(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前後方向に沿ってチェーンを摺動案内する走行案内面を有した案内シューと、前記案内シューを支持する支持面、および、チェーンガイドを取付対象に取り付けるための取付用延出部を有したベース部材とを備え、前記ベース部材に対して前記案内シューを手前側から奥側に向けてスライドさせて装着するチェーンガイドであって、
前記ベース部材は、前記支持面を有したベース本体部と、前記ベース本体部から前記支持面よりも上方側に向けて延びる前記取付用延出部と、前記取付用延出部に形成されたベース側被係合部とを有し、
前記案内シューは、前記走行案内面を有したシュー本体部と、前記シュー本体部から延びる可撓性延出部と、前記可撓性延出部に形成され前記ベース側被係合部に係合可能なシュー側係合部とを有し、
前記シュー側係合部は、前記ベース側被係合部に対して、下方側、斜め下方側、または、前後方向から引っ掛けられて、係合時に、前記ベース側被係合部の奥側に位置するように構成されていることを特徴とするチェーンガイド。
前記案内シューは、前記ベース部材に対して幅方向の手前側から奥側に向けてスライドさせて装着されるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンガイド。
前記可撓性延出部は、前記シュー本体部の奥側端縁から上方側に向けて延びるシュー上方側延出部と、前記シュー上方側延出部の上縁から手前側に向けて延びるシュー手前側延出部とを有し、
前記シュー手前側延出部に、前記シュー側係合部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のチェーンガイド。
前記案内シューは、前記可撓性延出部よりも前方側に形成され、前記ベース部材に係合する前方側係合部と、前記可撓性延出部よりも後方側に形成され、前記ベース部材に係合する後方側係合部とを有し、
前記前方側係合部および前記後方側係合部は、前記ベース部材に対して前記案内シューを手前側から奥側に向けてスライドさせることで、前記ベース部材に係合するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のチェーンガイド。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、
図14や
図15に示すようなチェーンガイド110では、シュー本体部130の下面にシュー側係合部141が形成されていることから、ベース部材170に対する案内シュー120の取り付け時に、シュー本体部130を反らすように撓ませながら、ベース部材170に対して案内シュー120を奥側にスライドさせ、シュー側係合部141が係合穴196に係合させる必要がある。
【0007】
しかしながら、シュー本体部130は、チェーンを摺動案内する機能を担うことから、強度や耐摩耗性が要求され、一定以上の厚みで形成する必要があり、そのため、シュー本体部130を適切に撓ませながら、案内シュー120を奥側にスライドさせることは難しい。その結果、シュー側係合部141を係合穴196に完全に係合させることができず、組み付け不良が生じる恐れがあり、また、強い力で係合穴196にシュー側係合部141を係合させようとすると、シュー側係合部141が欠けてしまう恐れもある。
【0008】
また、係合穴196に対するシュー側係合部141の係合を容易にするために、シュー側係合部141の高さを低く設計することも考えられるが、この場合、係合穴196からシュー側係合部141が外れ易くなるため、チェーン走行時における振動等に起因してベース部材170から案内シュー120が浮き上がった時に、案内シュー120がベース部材170から脱落してしまう恐れがあった。特に、カム軸間の位置にチェーンガイド110を設置した場合、カム軸間の距離が短いことから、チェーンのコーダルアクションによる動きによって案内シュー120の浮きが生じ易く、案内シュー120の脱落の問題が発生し易い。
【0009】
また、上述したように、シュー本体部130を反らすように撓ませながら、ベース部材170に対して案内シュー120を奥側にスライドさせ、シュー側係合部141を係合穴196に係合させる作業は、微妙な力加減の調整を必要とすることから、機械による自動組立が難しく、製造コストが高くなるという問題もある。
【0010】
また、一旦、係合穴196に対してシュー側係合部141を係合させると、シュー側係合部141は係合穴196に対して強固に係合するため、チェーンガイド110を分別廃棄する時等に、案内シュー120とベース部材170とを分離することが難しいという問題もある。
【0011】
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、ベース部材に対する案内シューの組み付けを容易に達成するとともに、チェーン走行時の振動等に起因した、ベース部材に対する案内シューの係合の外れを確実に抑制するチェーンガイドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、前後方向に沿ってチェーンを摺動案内する走行案内面を有した案内シューと、前記案内シューを支持する支持面、および、チェーンガイドを取付対象に取り付けるための取付用延出部を有したベース部材とを備え、前記ベース部材に対して前記案内シューを手前側から奥側に向けてスライドさせて装着するチェーンガイドであって、前記ベース部材は、前記支持面を有したベース本体部と、前記ベース本体部から前記支持面よりも上方側に向けて延びる前記取付用延出部と、前記取付用延出部に形成されたベース側被係合部とを有し、前記案内シューは、前記走行案内面を有したシュー本体部と、前記シュー本体部から延びる可撓性延出部と、前記可撓性延出部に形成され前記ベース側被係合部に係合可能なシュー側係合部とを有し、前記シュー側係合部は、前記ベース側被係合部に対して、下方側、斜め下方側、または、前後方向から引っ掛けられて、係合時に、前記ベース側被係合部の奥側に位置するように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
【発明の効果】
【0013】
本請求項1、2に係る発明によれば、シュー本体部から延びる可撓性延出部に、ベース側被係合部に係合可能なシュー側係合部を形成することにより、ベース部材に対して案内シューを奥側に向けてスライドさせて装着する時に、シュー本体部を撓ませることなく、可撓性延出部を撓ませて、ベース側被係合部にシュー側係合部を係合させることが可能であるため、組み付け不良やシュー側係合部の欠けの発生を回避しつつ、ベース部材に対する案内シューの組み付けを容易に達成することができる。
また、シュー側係合部が、ベース側被係合部に対して、下方側、斜め下方側、または、前後方向から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部の奥側に位置するように構成されていることにより、チェーン走行時における振動等に起因して案内シューの浮き上がりが生じた場合であっても、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合が浅くなったり外れてしまうことを回避できるため、案内シューの脱落を防止することができる。
また、シュー本体部を撓ませることなく、ベース側被係合部にシュー側係合部を係合させることが可能であるため、組み付け時に高精度な力加減の調整を必要とせず、機械による自動組立が容易になる。
【0014】
本請求項3、4に係る発明によれば、可撓性延出部が、シュー本体部の奥側端縁から上方側に向けて延びているともに、取付用延出部が、ベース本体部の奥側端縁から上方側に向けて延びているため、案内シューおよびベース部材が幅方向に大型化することを回避することができ、また、可撓性延出部が、可撓性を有して手前側および奥側に移動可能に形成されていることにより、ベース部材に対して案内シューが手前側または奥側へ移動しようとした場合であっても、可撓性延出部が手前側または奥側に撓んで、可撓性延出部に掛かる負荷を分散することが可能であるため、可撓性延出部の破損を防止することができる。
本請求項5に係る発明によれば、ベース手前側延出部に、上下方向に貫通する係合穴が形成され、シュー側係合部が、係合穴内に挿入され、係合穴の手前側縁部がベース側被係合部として機能することにより、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を解除する時には、係合穴の上方側からシュー側係合部を操作する、または、可撓性延出部を折ることで、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を容易に解除することが可能であるため、案内シューとベース部材とを容易に分離することができ、また、係合穴内にシュー側係合部が挿入されていることにより、ベース部材に対する案内シューの前後方向についても規制することができる。
本請求項6に係る発明によれば、取付用延出部が、ベース本体部の奥側端縁から上方側に向けて延びるベース上方側延出部を有し、ベース側被係合部が、ベース上方側延出部に形成されていることにより、ベース上方側延出部よりも先端側にベース側被係合部を形成する必要がないため、ベース上方側延出部よりも先端側における取付用延出部の形状等の設計自由度を向上することができる。
本請求項7に係る発明によれば、可撓性延出部が係合穴内に挿入されているため、チェーン走行時における振動等に起因して案内シューの浮き上がりが生じた場合であっても、ベース部材に対する案内シューの上方側への移動を規制することができ、案内シューの脱落を確実に防止することができる。また、可撓性延出部が、可撓性を有して上下方向に移動可能に形成されていることにより、上述した案内シューの浮き上がりが生じた場合であっても、可撓性延出部が上下方向に撓んで、可撓性延出部に掛かる負荷を分散することが可能であるため、可撓性延出部の破損を防止することができる。また、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を解除する時には、係合穴の奥側から可撓性延出部を操作する、または、可撓性延出部を折ることで、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を容易に解除することが可能であるため、案内シューとベース部材とを容易に分離することができる。
本請求項8に係る発明によれば、係合穴の前方縁部または後方縁部に対して、各可撓性延出部が係合するため、ベース部材に対する案内シューの前後方向への移動を規制することができる。また、可撓性延出部が、可撓性を有して前後方向に移動可能に形成されていることにより、ベース部材に対して案内シューが前後方向へ移動しようとした場合であっても、可撓性延出部が前後方向に撓んで、可撓性延出部に掛かる負荷を分散することが可能であるため、可撓性延出部の破損を防止することができる。また、各可撓性延出部が係合穴内に挿入されているため、チェーン走行時における振動等に起因して案内シューの浮き上がりが生じた場合であっても、ベース部材に対する案内シューの上方側への移動を規制することもできる。また、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を解除する時には、係合穴の奥側から可撓性延出部を操作する、または、可撓性延出部を折ることで、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を容易に解除することが可能であるため、案内シューとベース部材とを容易に分離することができる。
本請求項9に係る発明によれば、可撓性延出部を係合させるための係合穴をベース上方側延出部に形成する必要がないため、取付用延出部を高強度かつコンパクトに設計することができ、また、各可撓性延出部は、ベース上方側延出部の前方側または後方側に配置されていることにより、ベース部材に対する案内シューの前後方向への移動を規制することができる。また、可撓性延出部が、可撓性を有して前後方向に移動可能に形成されていることにより、ベース部材に対して案内シューが前後方向へ移動しようとした場合であっても、可撓性延出部が前後方向に撓んで、可撓性延出部に掛かる負荷を分散することが可能であるため、可撓性延出部の破損を防止することができる。また、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を解除する時には、前方側および後方側から可撓性延出部を操作する、または、可撓性延出部を折ることで、ベース側被係合部に対するシュー側係合部の係合を容易に解除することが可能であるため、案内シューとベース部材とを容易に分離することができる。
本請求項10に係る発明によれば、案内シューが、可撓性延出部よりも前方側に形成され、ベース部材に係合する前方側係合部と、可撓性延出部よりも後方側に形成され、ベース部材に係合する後方側係合部とを有し、前方側係合部および後方側係合部が、ベース部材に対して案内シューを手前側から奥側に向けてスライドさせることで、ベース部材に係合するように構成されていることにより、ベース部材に対する案内シューの組み付け性を確保しつつも、ベース部材に対する案内シューの前後方向、手前側および奥側への移動を確実に規制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の第1実施形態に係るチェーンガイド10について、図面に基づいて説明する。
【0017】
本発明の第1実施形態に係るチェーンガイド10は、エンジンルーム内に設置されるタイミングシステムに組み込まれて用いられ、クランク軸とカム軸の夫々に設けた複数のスプロケット間を走行するチェーンを摺動案内し、チェーン張力を適正に保持するものである。
【0018】
チェーンガイド10は、エンジンルーム内で固定状態で設置される固定ガイドとして構成され、
図1〜
図3に示すように、前後方向(チェーン走行方向、ガイド長手方向)に沿ってチェーンを摺動案内する走行案内面(上面)31を有した案内シュー20と、案内シュー20を支持するベース部材70とから構成されている。
【0019】
案内シュー20は、
図1〜
図3から分かるように、ベース部材70に対して案内シュー20を幅方向の手前側から奥側に向けてスライドさせることで、ベース部材70に着脱可能に取り付けられる。
【0020】
案内シュー20は、
図1〜
図3に示すように、走行案内面31を有したシュー本体部30と、前後方向の中央または中央付近において、シュー本体部30の幅方向の奥側縁部から走行案内面31よりも上方に向けて延びる可撓性延出部40と、可撓性延出部40に形成されたシュー側係合部41と、シュー本体部30の前方側端部に形成された前方側係合部50と、シュー本体部30の後方側端部に形成された後方側係合部60とを有している。
【0021】
可撓性延出部40は、板状に形成され、
図1〜
図4に示すように、シュー本体部30の奥側端縁から上方側に向けて延びるシュー上方側延出部42と、シュー上方側延出部42の上縁から手前側に向けて延びるシュー手前側延出部43とを有している。
【0022】
可撓性延出部40の厚みは、
図4に示すように、前後方向における可撓性延出部40の寸法よりも薄く設定され、また、上下方向におけるシュー本体部30の厚みよりも薄く設定されている。
これにより、可撓性延出部40は可撓性を有し、シュー上方側延出部42が手前側および奥側に移動可能であるとともに、シュー手前側延出部43が上下方向に移動可能に形成されている。
【0023】
前方側係合部50は、
図1〜
図3に示すように、フック状に形成され、ベース本体部80の前方側端部に係合可能に構成されている。ベース本体部80に対する前方側係合部50の係合によって、ベース部材70に対する案内シュー20の、上下方向、後方側、および、奥側への移動が規制される。
【0024】
後方側係合部60は、
図1〜
図3に示すように、フック状に形成され、ベース本体部80の後方側端部に係合可能に構成されている。ベース本体部80に対する後方側係合部60の係合によって、ベース部材70に対する案内シュー20の、上下方向、前方側、および、奥側への移動が規制される。
【0025】
ベース部材70は、
図1〜
図3に示すように、案内シュー20を支持する支持面(上面)81を有したベース本体部80と、ベース本体部80の幅方向の奥側縁部から支持面81よりも上方側に向けて延びる取付用延出部90と、取付用延出部90に形成されたベース側被係合部91とを有している。
【0026】
取付用延出部90は、チェーンガイド10をエンジンブロック等の取付対象に取り付けるためのものであり、
図1〜
図4に示すように、ベース本体部80の奥側端縁から上方側に向けて延びる第1ベース上方側延出部92と、第1ベース上方側延出部92の上端から手前側に向けて延びるベース手前側延出部93と、ベース手前側延出部93の手前側端部から上方側に向けて延びる第2ベース上方側延出部94とを有している。
【0027】
ベース手前側延出部93(および第1ベース上方側延出部92)には、
図2〜
図4に示すように、上下方向に貫通する係合穴96が形成されている。なお、係合穴96は、上下方向に貫通させることなく、ベース手前側延出部93の下面に凹穴状に形成してもよい。
また、第2ベース上方側延出部94には、チェーンガイド10(ベース部材70)を取付対象に取り付けるためのボルトを挿入させる複数の取付孔90aが形成されている。
【0028】
次に、取付用延出部90に形成されたベース側被係合部91に対する、可撓性延出部40に形成されたシュー側係合部41の係合方法について、以下に説明する。
【0029】
まず、シュー側係合部41は、ベース部材70に対して案内シュー20を幅方向の手前側から奥側に向けてスライドさせることにより、ベース側被係合部91に係合する。
なお、前方側係合部50および後方側係合部60についても、同様に、ベース部材70に対して案内シュー20を幅方向の手前側から奥側に向けてスライドさせることにより、ベース部材70に係合する。
【0030】
具体的に説明すると、
図2〜
図4に示す状態から、案内シュー20を奥側に向けてスライドさせると、まず、シュー手前側延出部43の上面が、取付用延出部90(ベース手前側延出部93の下面)に当接して、可撓性延出部40が下方に押され、その結果、可撓性延出部40(シュー上方側延出部42)が手前側に向けて撓む。
【0031】
なお、この際、シュー手前側延出部43の上面は、
図4に示すように、手前側から奥側に向けて高さが下がるように傾斜しており、これにより、取付用延出部90に対して可撓性延出部40が過度に引っ掛かることを回避しつつ、可撓性延出部40を撓ませ、案内シュー20を奥側に向けて円滑にスライドさせることができる。
【0032】
次に、案内シュー20を奥側までスライドさせると、手前側および下方に押されて撓んでいた可撓性延出部40が弾性復帰して、可撓性延出部40(シュー手前側延出部43)の一部が、取付用延出部90の係合穴96内に挿入される(入り込む)。
【0033】
このように、本実施形態では、シュー側係合部41として機能するシュー手前側延出部43の手前側端部が、ベース側被係合部91として機能するベース手前側延出部93に形成された係合穴96の手前側縁部に対して、下方側から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部91の奥側に位置する。これにより、ベース部材70に対する案内シュー20の手前側への移動が規制される。
【0034】
また、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時に、取付用延出部90の係合穴96内に、可撓性延出部40の一部が入り込んでいるため、ベース部材70に対する案内シュー20の前後方向への移動についても規制される。
【0035】
次に、本発明の第2実施形態に係るチェーンガイド10について、
図5〜7に基づいて説明する。ここで、第2実施形態では、一部構成については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0036】
まず、第2実施形態では、
図6や
図7に示すように、シュー手前側延出部43の上面に形成された突起状の部分が、シュー側係合部41として機能する。
【0037】
そして、第2実施形態では、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時には、
図7に示すように、突起状のシュー側係合部41が、取付用延出部90の係合穴96内に挿入され(入り込み)、ベース部材70に対する案内シュー20の手前側への移動を規制することができる。
【0038】
また、第2実施形態では、
図7に示すように、突起状のシュー側係合部41の上面が手前側から奥側に向けて高さが下がるように傾斜しており、これにより、取付用延出部90に対する可撓性延出部40の過度な引っ掛かりを回避しつつ、可撓性延出部40を撓ませることができる。
【0039】
また、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時に、(シュー側係合部41以外の)シュー手前側延出部43の上面が、ベース手前側延出部93の下面に接触(または対向)するため、取付用延出部90に対する可撓性延出部40の上方側への移動を規制することができる。
【0040】
また、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時に、取付用延出部90の係合穴96内に、突起状のシュー側係合部41が入り込んでいるため、ベース部材70に対する案内シュー20の前後方向への移動についても規制される。
【0041】
次に、本発明の第3実施形態に係るチェーンガイド10について、
図8および
図9に基づいて説明する。ここで、第3実施形態では、一部構成については、前述した第1実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0042】
まず、第3実施形態では、
図8に示すように、可撓性延出部40が、シュー本体部30の奥側端縁から奥側に向けて延び、また、可撓性を有して上下方向に移動可能に形成されている。
【0043】
また、可撓性延出部40の上面には、
図8に示すように、シュー側係合部41が上方側に突出した突起状に形成されている。
【0044】
また、第3実施形態では、ベース部材70の取付用延出部90は、
図8や
図9に示すように、ベース本体部80の奥側端縁から上方側に向けて延びる第1ベース上方側延出部92と、第1ベース上方側延出部92と第1ベース上方側延出部92の上端から奥側に向けて延びるベース奥側延出部95とを有している。
【0045】
第1ベース上方側延出部92(およびベース本体部80)には、
図8に示すように、手前側から奥側に貫通する係合穴96が形成されている。
また、ベース奥側延出部95には、複数の取付孔90aが形成されている。
【0046】
そして、第3実施形態においては、シュー側係合部41が、ベース側被係合部91として機能する係合穴96の上方縁部に対して、下方側から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部91の奥側に位置する。
【0047】
また、第3実施形態では、
図8に示すように、突起状のシュー側係合部41の上面が手前側から奥側に向けて高さが下がるように傾斜しており、これにより、取付用延出部90に対する可撓性延出部40の過度な引っ掛かりを回避しつつ、可撓性延出部40を撓ませることができる。
【0048】
また、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時に、可撓性延出部40が係合穴96内に挿入されているため、取付用延出部90に対する可撓性延出部40の上方側および前後方向への移動についても規制される。
【0049】
次に、本発明の第4実施形態に係るチェーンガイド10について、
図10および
図11に基づいて説明する。ここで、第4実施形態では、一部構成については、前述した第3実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0050】
第4実施形態では、可撓性延出部40が、
図10に示すように、互いに前後方向に離間して2つ形成されている。各可撓性延出部40は、それぞれ、可撓性を有して前後方向に移動可能に形成されている。
【0051】
また、
図10に示すように、前方側の可撓性延出部40の前面には、シュー側係合部41が、前方側に突出した突起状に形成され、また、後方側の可撓性延出部40の後面には、シュー側係合部41が、後方側に突出した突起状に形成されている。
【0052】
そして、第4実施形態においては、各シュー側係合部41が、本実施形態においてベース側被係合部91として機能する係合穴96の前方縁部または後方縁部に対して、前方側または後方側から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部91の奥側に位置する。
【0053】
また、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時に、可撓性延出部40が係合穴96内に挿入されているため、取付用延出部90に対する可撓性延出部40の上方側および前後方向への移動についても規制される。
【0054】
次に、本発明の第5実施形態に係るチェーンガイド10について、
図12および
図13に基づいて説明する。ここで、第5実施形態では、一部構成については、前述した第3実施形態と全く同じであるため、相違点以外の構成については、その説明を省略する。
【0055】
第5実施形態では、可撓性延出部40は、
図12に示すように、互いに前後方向に離間して2つ形成されている。各可撓性延出部40は、それぞれ、可撓性を有して前後方向に移動可能に形成されている。
【0056】
また、第5実施形態では、
図12に示すように、前方側の可撓性延出部40の後面に、シュー側係合部41が、後方側に突出した突起状に形成され、また、後方側の可撓性延出部40の前面に、シュー側係合部41が、前方側に突出した突起状に形成されている。
【0057】
そして、第5実施形態においては、各シュー側係合部41が、本実施形態においてベース側被係合部91として機能する第1ベース上方側延出部92の前方縁部または後方縁部に対して、前方または後方から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部91の奥側に位置する。
【0058】
また、ベース部材70に対する案内シュー20の装着時に、可撓性延出部40が、第1ベース上方側延出部92の前方縁部および後方縁部に形成された凹部97内に配置されているため、取付用延出部90に対する可撓性延出部40の上方側および前後方向への移動についても規制される。
【0059】
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
【0060】
例えば、上述した複数の実施形態の各構成を、任意に組み合わせてチェーンガイドを構成しても何ら構わない。
また、案内シューの材質は、弾性、摩擦抵抗、剛性、耐久性、成形性、コスト等に諸条件に応じて公知の適宜のものを選択すればよく、特に、合成樹脂材料が好適である。
また、ベース部材は、剛性、耐久性、成形性、コスト等の諸条件に応じて適宜の金属材料や合成樹脂材料を選択すればよい。
また、上述した実施形態では、ベース部材に対して案内シューを幅方向の手前側から奥側に向けてスライドさせることで、ベース部材に対して案内シューを取り付けるものとして説明したが、案内シューの取り付け時における案内シューのスライド方向は、幅方向に限定されず、例えば、幅方向および前後方向に対して斜めに、案内シューをスライドさせてもよい。
また、上述した実施形態では、シュー側係合部は、ベース側被係合部に対して下方側または前後方向から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部の奥側に位置するものとして説明したが、シュー側係合部をベース側被係合部に対して斜め下方側から引っ掛けるように構成してもよい。
また、上述した実施形態では、前方側係合部がシュー本体部の前方側端部に形成されているものとして説明したが、前方側係合部の形成位置は、可撓性延出部よりも前方側であればよく、また、同様に、後方側係合部の形成位置についても、可撓性延出部よりも後方側であればよい。
また、前方側係合部および後方側係合部の具体的態様については、ベース部材に対する、前方側係合部、後方側係合部、および、可撓性延出部の係合によって、ベース部材に対する案内シューの、上方側、下方側、前方側、後方側、手前側、奥側への移動が規制されるものであれば、如何なるものでもよい。
【課題】ベース部材に対する案内シューの組み付けを容易に達成するとともに、チェーン走行時の振動等に起因した、ベース部材に対する案内シューの係合の外れを確実に抑制するチェーンガイドを提供すること。
【解決手段】ベース部材70が、ベース本体部80から支持面81よりも上方側に向けて延びる取付用延出部90と、取付用延出部90に形成されたベース側被係合部91とを有し、案内シュー20が、シュー本体部30から延びる可撓性延出部40と、可撓性延出部40に形成されたシュー側係合部41とを有し、シュー側係合部41は、ベース側被係合部91に対して、下方側、斜め下方側、または、前後方向から引っ掛けられて、係合時に、ベース側被係合部91の奥側に位置するように構成されているチェーンガイド10。