(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポリスチレン系樹脂(a)の溶融粘度(ηa)に対する前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)の溶融粘度(ηc)の比(ηc/ηa)が0.8〜2であることを特徴とする請求項1に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)が、ポリスチレン系樹脂とブタジエン−スチレン共重合体と熱安定剤とを含む溶融混練物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
前記熱安定剤が、ビスフェノール型エポキシ系化合物、ノボラック型エポキシ系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物及びホスファイト系化合物から選ばれる1種又は2種以上の熱安定剤であることを特徴とする請求項3に記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)中のブタジエン−スチレン共重合体が、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体を含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法。
前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)が、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体を含むポリスチレン系樹脂押出発泡板屑及び/または該発泡板の粉砕物を加熱溶融して得られる、ポリスチレン系樹脂組成物であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
前記臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)の95重量%以上が、目開き500μmの篩網を通過するものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の、ポリスチレン系樹脂組成物と、物理発泡剤とを含む発泡性樹脂溶融物を押出発泡して、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造する方法は、
該ポリスチレン系樹脂組成物が、下記の要件(i)、(ii)を満足することを特徴としている。
(i)ポリスチレン系樹脂(a)と、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(以下、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体とも言う。)(b)、ポリスチレン系樹脂とブタジエン−スチレン共重合体を含むポリスチレン系樹脂組成物(c)とを含むこと。
(ii)ポリスチレン系樹脂組成物(c)中のブタジエン−スチレン共重合体の配合量が0.1〜50重量%であり、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)の配合量がポリスチレン系樹脂(a)100重量部に対して0.5〜20重量部であり、ポリスチレン系樹脂組成物(c)の配合量がポリスチレン系樹脂(a)100重量部に対して5〜150重量部であること。
【0014】
本発明者らの検討によれば、この臭素化ブタジエン−スチレン共重合体の溶融混練物は高粘度で流動性が低く、基材樹脂であるポリスチレン系樹脂との混練性に課題を残していた。すなわち、工業的な生産として長時間製造を行っていると、押出安定性に欠け、発泡板の一部に凹凸が発生する場合があることを知見した。
そこで、更に検討を進めた結果、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)とが共存する系に、ブタジエン−スチレン共重合体を低濃度で含有するポリスチレン系樹脂組成物(c)を配合してなるポリスチレン系樹脂組成物においては、長時間、連続的に押出発泡しても、凹凸のない優れた表面平滑性を有すると共に色調の良好な押出発泡板を安定的に製造できることを見出した。
【0015】
前記作用効果が発現する理由は定かではないが、該ポリスチレン系樹脂組成物(c)が、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)の相溶化剤的に機能し、ポリスチレン系樹脂(a)中の臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)の分散性や混練性が向上したものと考えられる。更には、ブタジエン−スチレン共重合体を低濃度で含有するポリスチレン系樹脂組成物(c)を配合することにより、上記作用と同時に難燃性の向上した押出発泡板が得られることを見出した。前記作用効果は、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)が押出発泡板中に均一かつ十分に分散されていることから発現されるものと考えられる。本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。
【0016】
以下、本発明のポリスチレン系樹脂押出発泡板の製造方法で用いられるポリスチレン系樹脂組成物について説明する。
【0017】
(ポリスチレン系樹脂組成物の必須構成成分)
ポリスチレン系樹脂組成物は、少なくとも、ポリスチレン系樹脂(a)と、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)とポリスチレン系樹脂とブタジエン−スチレン共重合体を含むポリスチレン系樹脂組成物(c)とを含む。該ポリスチレン系樹脂組成物(c)中のブタジエン−スチレン共重合体の配合量は、0.1〜50重量%重量%である。
【0018】
(ポリスチレン系樹脂(a))
ポリスチレン系樹脂(a)としては、例えばポリスチレンやスチレンを主成分とするスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ポリフェニレンエーテル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−メチルスチレン共重合体、スチレン−ジメチルスチレン共重合体、スチレン−エチルスチレン共重合体、スチレン−ジエチルスチレン共重合体等が挙げられる。上記スチレン系共重合体におけるスチレン単位成分含有量は50モル%以上が好ましく、特に好ましくは80モル%以上である。
【0019】
上記ポリスチレン系樹脂としては、本発明の目的、効果が達成される範囲内において、その他の重合体を混合したものであってもよい。その他の重合体としては、ポリエステル樹脂、ポリエチレン系樹脂(エチレン単独重合体及びエチレン単位成分含有量が50モル%以上のエチレン共重合体の群から選択される1種、或いは2種以上の混合物)、ポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体及びプロピレン単位成分含有量が50モル%以上のプロピレン共重合体の群から選択される1種、或いは2種以上の混合物)、ポリフェニレンエーテル樹脂、スチレン−エチレン共重合体等が挙げられ、これらの他の重合体は、ポリスチレン系樹脂中で50重量%未満となるように、好ましくは30重量%以下となるように、更に好ましくは10重量%以下となるように、目的に応じて混合することができる。
【0020】
また、上記ポリスチレン系樹脂としては、発泡性や成形性の観点から、その溶融粘度(200℃、剪断速度100sec
−1の条件下)が500〜2500Pa・s程度のものを用いることが好ましく、より好ましくは600〜2000Pa・s、さらに好ましくは700〜1500Pa・sである。
【0021】
(臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b))
【0022】
本発明において、難燃剤として使用される臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)は、ポリブタジエン換算で、重量平均分子量1.0×10
3〜2.0×10
5程度、好ましくは2.0×10
3〜1.0×10
5、より好ましくは5.0×10
3〜1.0×10
5、さらに好ましくは5.0×10
4〜1.0×10
5のブタジエン共重合体を臭素化することにより製造される。
【0023】
臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)におけるブタジエン−スチレン共重合体は、ブタジエンと1種以上のスチレン系単量体とのブロック共重合体(ジブロック、トリブロックのようなマルチブロックを含む)、ランダム共重合体又はグラフト共重合体であることでき、ポリスチレン系樹脂(a)との相溶性の観点から、スチレン系重合体ブロックと臭素化ポリブタジエンブロックとのブロック共重合体であることが好ましい。
【0024】
また、ブタジエンとしては、ブタジエンホモポリマーや、ブタジエン成分を10重量%以上含有するブタジエンと1種以上の他のモノマーとのブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体共重合体が例示される。なお、ブタジエン重合体の1,4−ブタジエン単位と1,2−ブタジエン単位の割合は、1,2−ブタジエン単位がブタジエン重合体中のブタジエン単位の50%以上、更に70%以上、特に85%以上が好ましい。
また、スチレン系単量体としては、スチレン、2−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−ニトロスチレン、4−ニトロスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどが例示でき、これこれらの中でも、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が好ましく、より好ましくはスチレンである。
【0025】
難燃性付与効果の観点から、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体中の臭素含有率は、50重量%以上であることが好ましく、より好ましくは60重量%以上である。なお、上記臭素含有率は、JIS K7392:2009に基づき求めることができる。
【0026】
ポリスチレン系樹脂(a)中への分散性などを考慮すると、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算で、好ましくは1.0×10
5〜2.0×10
5程度であり、その200℃、100sec
−1における溶融粘度は4000〜8000Pa・s程度である。
【0027】
本発明において、代表的な臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体であるポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体は下記一般式で表すことができる。
【0028】
【化1】
(式中、X、Y及びZは、正の整数である。)
【0029】
このようなポリスチレン−臭素化ポリブタジエンブロック共重合体は、たとえばポリスチレン−ポリブタジエンブロック共重合体を臭素化することにより製造される。
本発明で好ましく用いられるポリスチレン−臭素化ポリブタジエン共重合体としては、Chemtura社のEmerald3000、ICL−IP社のFR122Pなどの市販品を挙げられる。
【0030】
なお、上記臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)については、例えば特許文献1や2に詳細に開示されている。
【0031】
また、前記臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)の95重量%以上が、目開き500μmの篩網を通過するものであることが、前記黒点等の課題を改善する上で好ましい。
【0032】
本発明において、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体は、優れた難燃性付与効果を示すものである。しかしながら、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体は溶融状態での熱安定性に劣るため、成形加工時の熱履歴等の条件によっては重合体から臭素が遊離しやすく、この臭素の遊離に起因して難燃性付与効果を低下させる虞や熱可塑性樹脂を分解させる虞がある。また、該臭素の遊離に起因して該重合体中で炭素−炭素不飽和結合が形成されると、該重合体自体又はポリスチレン系樹脂が着色される虞や、不飽和結合の架橋により臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体がゲル化したりする虞がある。
【0033】
本発明者らは、難燃剤として使用される臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)の大部分が、目開き500μmのふるい網を通過する小粒径のものであると、熱安定剤が臭素化ブタジエン系重合体に効果的に作用し、黒点の発生等を抑制できることも見出した。
【0034】
なお、黒点の発生等を抑制するという観点からは、大粒径の臭素化ブタジエン系重合体の割合は少ないほど好ましく、目開き500μmのふるい網を通過する割合が97重量%以上の粒度を有することが好ましく、より好ましくは99重量%以上であり、さらに好ましくは100重量%である。
【0035】
目開き500μmのふるい網を通過する割合が95重量%以上の粒度を有する臭素化ブタジエン系重合体を得る方法としては、例えば後記する臭素化ブタジエン系重合体を原素材とし、これを粉砕、破砕するなどして小粒径化する方法や、ふるい網などを用いて分級する方法などが挙げられる。
なお、本発明において、目開きとは、JIS Z8801−1:2006に基づく公称目開きを意味する。
【0036】
(熱安定剤)
上記より臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)は熱安定性に劣るため、熱安定剤を添加することが好ましい。臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体の熱安定剤としては、エポキシ系化合物、フェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ホスファイト系化合物から選択される1又は2以上の熱安定剤が挙げられる。なお、上記熱安定剤の配合量は、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)100重量部に対して、5〜40重量部であることが好ましい。
【0037】
前記エポキシ樹脂系化合物としては、ノボラック型またはビスフェノール型が好ましい。ビスフェノール型エポキシ系化合物としては、特に臭素化ビスフェノールA型エポキシ化合物、所謂臭素化エポキシ化合物が好ましい。ビスフェノール型エポキシ系化合物やノボラック型エポキシ系化合物としては、たとえばICL−IP製F2200HM、DIC製EPICLONシリーズ、HUNTUMAN製Araldaite ECN1280等を挙げることができる。
【0038】
前記フェノール系化合物としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、トリエチレングリコールビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、押出安定性、難燃性の点から、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
【0039】
前記ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、または4−ヒドロキシ−1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピぺリジンの脂肪族または芳香族カルボン酸エステル、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。
これらは、単独または2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、押出安定性、難燃性の点から、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシラート、又はビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケートが好ましい。
【0040】
ホスファイト系化合物としては、例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデン−ビス(2−t−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、モノ(ジノニルフェニル)モノ−p−ノニルフェニルホスファイト、トリス(モノノニルフェニル)ホスファイト、テトラアルキル(C=12〜16)−4,4’−イソプロピリデン−(ビスフェニル)ジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(3−t−ブチル−6−メチル−4オキシフェニル)−3−メチルプロパントリホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリステアリルホスファイト、水添ビスフェノールAペンタエリスリトールホスファイトポリマーなどがあげられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでも、押出安定性の点から、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト又はビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイトが好ましい。
【0041】
なお、上記熱安定剤としては、ビスフェノール型エポキシ化合物及び/またはノボラック型エポキシ化合物と、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、及びホスファイト系化合物から選択される化合物とを併用することが好ましい。上記の場合、ビスフェノール型エポキシ化合物及び/またはノボラック型エポキシ化合物の合計配合量は、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体100重量部に対して5〜20重量部であることが好ましい。一方、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物、及びホスファイト系化合物から選択される化合物の合計配合量は、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)100重量部に対して0.2〜20重量部であることが好ましい。
【0042】
本発明においては上記安定剤に、金属石鹸、有機スズ化合物、鉛化合物、ハイドロタルサイト、多価アルコール、β−ケトン、アジピン酸エステル、イオウ系化合物などの他の安定剤を併用することもできる。
【0043】
本発明においては、前記臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)を直接添加するが、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)はポリスチレン系樹脂に対し非常に粘度の高いものであり、臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)がポリスチレン系樹脂(a)への分散性に課題を残し、押出安定性が低下するおそれがある。この押出安定性の低下は、特に厚みの厚い発泡板を得る場合に顕著に現れる。
かかる不具合を解消するために、本発明においては、前記したように、分散性を向上させるために、ブタジエン−スチレン共重合体を0.1〜50重量%含むポリスチレン系樹脂組成物(c)を用いる。
【0044】
(ポリスチレン系樹脂組成物(c))
すなわち、本発明においては、ポリスチレン系樹脂を基材樹脂とし、且つブタジエン−スチレン共重合体を0.1〜50重量%含むポリスチレン系樹脂組成物(c)を、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)とともに混ぜて使用する。
【0045】
ポリスチレン系樹脂組成物(c)に含有される上記ブタジエン−スチレン共重合体としては、ブタジエンと1種以上のスチレン系単量体とのブロック共重合体(ジブロック、トリブロックのようなマルチブロックを含む)、ランダム共重合体又はグラフト共重合体であることでき、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)の相溶性の観点から、スチレン系重合体ブロックと臭素化ポリブタジエンブロックとのブロック共重合体であることが好ましい。
【0046】
また、ブタジエンとしては、ブタジエンホモポリマーや、ブタジエン成分を10重量%以上含有するブタジエンと1種以上の他のモノマーとのブロック共重合体、ランダム共重合体又はグラフト共重合体共重合体が例示される。なお、ブタジエン重合体の1,4−ブタジエン単位と1,2−ブタジエン単位の割合は、1,2−ブタジエン単位がブタジエン重合体中のブタジエン単位の50%以上、更に70%以上、特に85%以上が好ましい。
【0047】
また、スチレン系単量体としては、スチレン、2−ブロモスチレン、4−ブロモスチレン、2−クロロスチレン、4−クロロスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、2−ニトロスチレン、4−ニトロスチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチルスチレンなどが例示でき、これこれらの中でも、スチレン、4−メチルスチレン、α−メチルスチレン又はこれらの混合物が好ましく、より好ましくはスチレンである。
【0048】
なお、ポリスチレン系樹脂組成物(c)に含有される上記ブタジエン−スチレン共重合体は、前述の臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)と同様のものであってもよい。
【0049】
このポリスチレン系樹脂組成物(c)は、前記ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)との相溶化剤的に作用するものと考えられ、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)との混練性が高められるので、押出安定性が向上し、押出発泡断熱板のような厚みの厚い発泡板を製造対象とした場合であっても、凹凸がなく表面平滑性に優れた厚物発泡板を安定して得ることが可能となる。
【0050】
ポリスチレン系樹脂組成物(c)中のブタジエン−スチレン共重合体の配合量は、0.1〜25重量%、更に0.1〜10重量%、更に0.2〜8重量%、特に0.5〜5重量%が好ましい。濃度が低すぎる場合には、押出安定性の向上効果が得られない。一方、濃度が高すぎる場合には、難燃剤の分散性低下を招く恐れがある。上記観点から、より好ましくは0.2〜8重量%、さらに好ましくは0.5〜6重量%である。
【0051】
ブタジエン−スチレン共重合体を0.1〜50重量%含むポリスチレン系樹脂組成物(c)としては、ブタジエン−スチレン共重合体とポリスチレン系樹脂とが予め溶融混練されたものが挙げられ、該溶融混練物は、ブタジエン−スチレン共重合体がポリスチレン系樹脂中に均一に分散されていることが好ましい。また、ブタジエン−スチレン共重合体として臭素化ブタジエン−スチレン共重合体を選択することができ、上記のとおり予め溶融混練される場合には、同時に前記熱安定剤が添加されることが、黒点や黄変の発生を抑制されたポリスチレン系樹脂組成物(c)を得る上で好ましい。
【0052】
なお、ポリスチレン系樹脂組成物(c)としては、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体を含むポリスチレン系樹脂押出発泡板屑及び/または該発泡板の粉砕物、すなわち、臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体を含有するポリスチレン系押出発泡板の製造の際に発生する端材、スクラップ、及び/または臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体を含有するポリスチレン系押出発泡板等を切削、破砕、粉砕したものを用いることができる。
【0053】
なお、前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)は、計量性、取扱の容易性等から押出機から押出し、カットしてペレット化しておくことが好ましい。
【0054】
(ポリスチレン系樹脂組成物の必須構成成分の配合割合)
前記ポリスチレン系樹脂(a)、前記臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)、前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)は、以下の配合で混合することが望ましい。
【0055】
該ポリスチレン系樹脂(a)100重量部に対して、該臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)の配合量は0.5〜20重量部、好ましくは1〜15重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
該臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)の配合量が多すぎる場合、押出発泡成形が不安定となるおそれがある。一方、該臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)の配合量が少なすぎる場合、所望の難燃性を得るには不十分となるおそれがある。
【0056】
また、該ポリスチレン系樹脂(a)100重量部に対して、該ポリスチレン系樹脂組成物(c)の配合量は5〜150重量部、好ましくは10〜140重量部、より好ましくは15〜130重量部、更に好ましくは20〜110重量部である。該組成物(c)が多すぎる場合、押出発泡成形時の安定性が低下する虞がある。一方、少なすぎる場合、難燃剤の分散性が不十分になる虞がある。
【0057】
また、前記(c)と(b)との配合量比(c/b)は、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)との混練性の観点から、2〜50が好ましく、3〜40がより好ましい。
【0058】
また、前記ポリスチレン系樹脂(a)の重量平均分子量が20万〜45万であり、前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)の重量平均分子量が20万〜40万であることが、得られる押出発泡板の機械的物性向上効果の観点から好ましい。
なお、本発明で用いる重量平均分子量は、試料10mgをテトラヒドロフラン(THF)10mlに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により測定し、標準ポリスチレンで校正した値である。
【0059】
更に、前記ポリスチレン系樹脂(a)の重量平均分子量(Mwa)に対する前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)の重量平均分子量(Mwc)の比(Mwc/Mwa)が0.5〜1.1であることが好ましく、0.7〜1であることがより好ましい。特に、本発明のように難燃剤として臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)を用いる場合には、押出発泡工程において該樹脂(a)と重合体(b)と組成物(c)の混練時にポリスチレン系樹脂の熱劣化が抑制される。
【0060】
また、前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)の溶融粘度は500〜2500Pa・sであることが好ましい。溶融粘度が上記範囲内であれば、基材樹脂を構成する他の樹脂との混練性がより良好となる。更に、前記ポリスチレン系樹脂(a)の溶融粘度(ηa)に対する前記ポリスチレン系樹脂組成物(c)の溶融粘度(ηc)の比(ηc/ηa)が0.8〜2であることが好ましく、0.9〜1.5であることが、同様の観点からより好ましい。
【0061】
本発明においては、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、前記臭素化されているブタジエン−スチレン共重合体(b)からなる難燃剤に、他の難燃剤を混合して使用することができる。他の難燃剤として、例えば、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル))に代表される2,3−ジブロモ−2−メチルプロピル基を有する有機化合物、テトラブロモビスフェノール−A−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−S−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノール−F−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレートおよびトリス(2,3−ジブロモプロピル)シアヌレートに代表される2,3−ジブロモプロピル基を有する有機化合物、モノ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、ジ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレートに代表される臭素化イソシアヌレート、クレジルジ2,6−キシレニルホスフェート、三酸化アンチモン、五酸化二アンチモン、硫酸アンモニウム、スズ酸亜鉛、シアヌル酸、ペンタブロモトルエン、イソシアヌル酸、トリアリルイソシアヌレート、メラミンシアヌレート、メラミン、メラム、メレム等の窒素含有環状化合物、シリコーン系化合物、酸化ホウ素、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛などの無機化合物、トリフェニルホスフェートに代表されるリン酸エステル系、赤リン系、ポリリン酸アンモニウム、フォスファゼン、次亜リン酸塩等のリン系化合物等が挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上を混合して使用できる。
【0062】
本発明においては、押出発泡板に、難燃剤とともに、さらにジフェニルアルカン、ジフェニルアルケン、ポリアルキルベンゼンから選ばれる少なくとも1種の助剤を配合することで、酸素指数の向上効果をさらに高めることができる。該助剤は上記難燃剤100重量部に対して、0.5〜20重量部配合されることが好ましく、1〜15重量部配合されることがより好ましい。
前記ジフェエニルアルカンとしては具体的には、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、2,3−ジエチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、3,4−ジエチル−3,4−ジフェニルヘキサンが挙げられる。また、ジフェニルアルケンとしては具体的には、例えば、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン、2,4−ジフェニル−4−エチル−1−ペンテン、また、ポリアルキレンベンゼンとしては具体的には、ポリ−1,4−ジイソプロピルベンゼンが例示される。
【0063】
本発明の製造方法において、基材樹脂には、難燃剤以外に、押出発泡板の平均気泡径を調整するために気泡調整剤を添加することができる。気泡調整剤としては、タルク、カオリン、マイカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、クレー、酸化アルミニウム、ベントナイト、ケイソウ土等の無機物が例示される。また、本発明において該気泡調整剤は2種以上組合せて用いることもできる。前記各種の気泡調整剤の中で、得られる発泡板の気泡径の調整が容易で気泡径を小さくし易い等の理由でタルクが好適に用いられ、特に、粒子径の細かい平均粒径(光透過遠心沈降法による50%粒径)が0.5〜75μmのタルクが好ましい。
【0064】
該気泡調整剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂(a)と臭素化ブタジエン−スチレン共重合体(b)とポリスチレン系樹脂組成物(c)との合計重量100重量部に対して0.01〜5重量部、更に0.1〜4重量部の割合で添加されることが好ましい。
【0065】
本発明の製造方法においては、前記気泡調整剤、難燃剤以外にも、本発明の目的、効果を妨げない範囲において、グラファイト、ハイドロタルサイト、カーボンブラックやアルミニウム粉、酸化チタン等の断熱性向上剤、着色剤、充填剤、滑剤等の各種添加剤を適宜添加することができる。尚、上記気泡調整剤等の各種添加剤は、ポリスチレン系樹脂などの熱可塑性樹脂を基材とするマスターバッチとして添加することが好ましい。
【0066】
(発泡剤)
本発明で用いる発泡剤においては、炭素数3〜5の飽和炭化水素(X)と以下に示す他の発泡剤(Y)を単独又は混合して用いることができ、特に、背景技術に記載した観点から、炭素数3〜5の飽和炭化水素(X)と以下に示す他の発泡剤(Y)とを含有する混合発泡剤を用いることがより好ましい。
【0067】
前記炭素数3〜5の飽和炭化水素(X)としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタン、シクロペンタンなどが挙げられる。
上記の飽和炭化水素(X)は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
前記飽和炭化水素(X)の中では、発泡倍率の高い発泡板が得られ易い観点からプロパン、n−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましい。また、発泡板の断熱性能の点からn−ブタン、i−ブタンあるいはこれらの混合物が好ましく、特に好ましくはi−ブタンである。
【0068】
他の発泡剤(Y)としては、その他の有機系物理発泡剤、及び無機系物理発泡剤を用いることができる。
前記有機系物理発泡剤としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチルなどの蟻酸エステル類、塩化メチル、塩化エチルなどの塩化アルキル類などが挙げられる。また、オゾン破壊係数が0、かつ地球温暖化係数の小さいトランス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、シス−1,3,3,3−テトラフルオロプロペン、1,1,1,2−テトラフルオロプロペンなどのフッ化不飽和炭化水素を用いることもできる。
前記無機系物理発泡剤としては、例えば水、二酸化炭素、窒素などが挙げられる。
上記の他の発泡剤(Y)は、単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0069】
前記他の発泡剤(Y)の中では、前記発泡剤(X)との組合せにおいて、発泡板成形性、高発泡倍率化などの観点からは、塩化メチル、塩化エチル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、水、二酸化炭素が好ましい。
【0070】
前記混合発泡剤においては、飽和炭化水素(X)の配合割合が10〜80モル%であり、他の発泡剤(Y)の配合割合が90〜20モル%〔但し、発泡剤(X)と発泡剤(Y)との合計量は100モル%〕であることが好ましい。配合割合がこの範囲内の混合発泡剤を使用することにより、安全かつ安定的に高発泡倍率の押出発泡板の製造することができるようになると共に断熱性、難燃性に優れた押出発泡板を製造する上で好ましい。かかる観点から、飽和炭化水素(X)30〜70モル%と他の発泡剤(Y)70〜30モル%〔但し、発泡剤(X)と発泡剤(Y)との合計量は100モル%〕とを含有する混合発泡剤がより好ましい。
【0071】
本発明における発泡剤の添加量は、ポリスチレン系樹脂(a)とポリスチレン系樹脂組成物(c)との合計重量1kg中に、0.5〜2.5モル/kgとなるように添加することが好ましく、0.8〜2.0モル/kgがより好ましい。
【0072】
本発明により得られるポリスチレン系樹脂押出発泡板の見掛け密度は、概ね20〜60kg/m
3であり、好ましくは22〜50kg/m
3である。
【0073】
また、ポリスチレン系樹脂押出発泡板の厚みは、下限が10mmであることが好ましく20mmであることがより好ましく、40mmであることがさらに好ましい。特に、発泡板の厚みが厚くなると、押出安定性が低下し易く、本発明の製造方法が有用となる。また、その上限は、150mmであることが好ましく、140mmであることがより好ましく、130mmであることがさらに好ましい。押出発泡板の幅は、450mm〜1500mmが好ましい。
【0074】
また、押出発泡板の厚み方向の平均気泡径は、より高い断熱性を有する発泡板とする上で0.75mm以下が好ましく、0.5mm以下がより好ましく、0.3mm以下であることがさらに好ましい。なお、該平均気泡径の下限は概ね0.03mm、好ましくは0.06mmである。
【実施例1】
【0075】
次に、実施例により本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0076】
実施例及び比較例の押出発泡板を得るために、以下の装置及び材料を用いた。
【0077】
[押出装置]
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機を直列に連結し、第1押出機の終端付近に物理発泡剤注入口を設け、第2押出機の出口に間隙1mm×幅110mmの横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイを連結した製造装置を用いた。
フラットダイの樹脂出口には上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂板からなる賦形装置(ガイダー)を上下の該樹脂板が平行となるように付設した。
【0078】
[原料]
(ポリスチレン系樹脂(a))
PS1:重量平均分子量27×10
4、溶融粘度950Pa・S(200℃、せん断速度100sec
―1)、Tg100℃、MFR6.5g/10min
【0079】
(臭素化ブタジエン―スチレン共重合体(b1))
b1:ICL−IP社製、スチレン―臭素化ブタジエンブロック共重合体、商品名;FR122P、体積平均粒径;D50=50μm、目開き500μmの篩網下の割合が100重量%、溶融粘度 4500Pa・S(200℃、せん断速度100sec
―1)。
【0080】
(臭素化ブタジエン―スチレン共重合体(b2、b3))
b2:Chemtura社製、スチレン―臭素化ブタジエンブロック共重合体、商品名;Emerald3000の粉砕物、体積平均粒径;D50=200μm,D90=490μm、目開き500μmの篩網下の割合が95重量%、溶融粘度5300Pa・S(200℃、せん断速度100sec
―1)。
b3:Chemtura社製、スチレン―臭素化ブタジエンブロック共重合体、商品名;Emerald3000、体積平均粒径;D50=500μm,D90=1000μm、目開き500μmの篩網下の割合が75重量%、溶融粘度5300Pa・S(200℃、せん断速度100sec
―1)。
【0081】
上記b1、b2、b3における体積平均粒径は、日機装社製、マイクロトラック MT―3300EX2にて測定された値である。また、上記b1、b2、b3の目開き500μmの篩網下の割合は、JIS Z8801−1:2006にて定められる目開き500μmの篩網を用い分級し、篩網下の割合を求めた値である。
【0082】
(ポリスチレン系樹脂組成物(c1))
c1:内径50mmの押出機を用い、表1に示す原料を押出機に投入し、樹脂温度185℃で溶融混練した後、吐出15kg/時の条件にて押出し、ペレタイズを行ないペレット状のポリスチレン系樹脂組成物(c1)を得た。
【0083】
(ポリスチレン系樹脂組成物(c2))
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機を直列に連結し、第1押出機の終端付近に物理発泡剤注入口を設け、第2押出機の出口に間隙1mm×幅110mmの横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイを連結した製造装置を用いた。さらに、フラットダイの樹脂出口には上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂板からなる賦形装置(ガイダー)を上下の該樹脂板が平行となるように付設したものを用いた。
c2:表2に示すとおり、前記PS1と前記b1、気泡調整剤、熱安定剤を、第一押出機で200℃まで加熱して溶融混練し、物理発泡剤注入口から物理発泡剤を供給し、第1押出機内でさらに溶融混練した溶融樹脂組成物を、続く第2押出機に供給して樹脂温度を発泡適性温度(表2では発泡温度と表記した。この発泡温度は押出機とダイとの接合部の位置で測定された発泡性溶融樹脂組成物の温度である。)に調整した後、吐出量70kg/時でダイリップから50mmの間隙で平行に配置されたガイダー内に押出し、発泡させながらガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造した。次いで、該押出発泡板を粉砕機にて粉砕した後、内径90mm、L/D=50の単軸押出機に供給して最高温度220℃の条件にて混練し、その溶融樹脂を吐出量250kg/時にて押出し、ペレタイズを行ないペレット状のポリスチレン系樹脂組成物(c2)を得た。
【0084】
(ポリスチレン系樹脂組成物(c3))
c3:表2に示すとおり、難燃剤(b1)を難燃剤(b2)に変更した以外はc2と同様の方法にて、ポリスチレン(c3)を作製した。
【0085】
(ポリスチレン系樹脂組成物(c4))
c4:表2に示すとおり、難燃剤(b1)を難燃剤(b3)に変更した以外はc2と同様の方法にて、ポリスチレン(c4)を作製した。
(気泡調製剤)
タルク:松村産業社製、タルク、商品名;ハイフィラー#12
【0086】
(熱安定剤)
EPICLON:DIC社製、ノボラック型エポキシ樹脂、商品名;EPICLON N680
Irganox:BASF社製、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、商品名;Irganox1010
PEP:ADEKA社製、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジホスファイト、商品名;PEP36
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
(実施例1)
内径65mmの第1押出機と内径90mmの第2押出機を直列に連結し、第1押出機の終端付近に物理発泡剤注入口を設け、第2押出機の出口に間隙1mm×幅110mmの横断面が長方形の樹脂排出口(ダイリップ)を備えたフラットダイを連結した製造装置を用いた。さらに、フラットダイの樹脂出口には上下一対のポリテトラフルオロエチレン樹脂板からなる賦形装置(ガイダー)を上下の該樹脂板が平行となるように付設したものを用いた。
【0090】
表3に示すとおり、前記PS1と前記b1とc1、気泡調整剤、熱安定剤を、第一押出機で200℃まで加熱して溶融混練し、物理発泡剤注入口から物理発泡剤を供給し、第1押出機内でさらに溶融混練した溶融樹脂組成物を、続く第2押出機に供給して樹脂温度を発泡適性温度(表3では樹脂温度と表記した。)に調整した後、吐出量70kg/時でダイリップから50mmの間隙で平行に配置されたガイダー内に押出し、発泡させながらガイダー内を通過させることにより板状に成形(賦形)し、ポリスチレン系樹脂押出発泡板を製造した。
【0091】
(実施例2、3)
実施例1において、ポリスチレン系樹脂組成物(c1)の配合量を表3に示す値に変更した以外は実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡板を得た。
【0092】
(実施例4)
ポリスチレン系樹脂組成物(c1)を再生ポリスチレン樹脂組成物(c2)に変更した以外は実施例3と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡板を得た。なお、ポリスチレン系樹脂(a)の重量平均分子量(Mwa)とポリスチレン系樹脂組成物(c)の重量平均分子量(Mwc)との比(MWc/Mwa)は、0.96であり、溶融粘度比(ηc/ηa)は0.96であった。
【0093】
(実施例5)
難燃剤を(b1)から(b2)に変更し、ポリスチレン系樹脂組成物(c2)を再生ポリスチレン樹脂組成物(c3)に変更した以外は実施例4と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡板を得た。なお、ポリスチレン系樹脂(a)の重量平均分子量(Mwa)とポリスチレン系樹脂組成物(c)の重量平均分子量(Mwc)との比(MWc/Mwa)は、1.0であり、溶融粘度比(ηc/ηa)は1であった。
【0094】
(実施例6)
難燃剤を(b2)から(b3)に変更し、ポリスチレン系樹脂溶融物(c3)をポリスチレン系樹脂溶融物(c4)に変更した以外は実施例5と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡板を得た。また、ポリスチレン系樹脂(a)の重量平均分子量(Mwa)とポリスチレン系樹脂組成物(c)の重量平均分子量(Mwc)との比(MWc/Mwa)は、1.0であり、溶融粘度比(ηc/ηa)は1であった。なお、得られた押出発泡板は、該発泡板の断面において、断熱性能等には影響がないが黒い粒が点在しているものであった。
【0095】
(比較例1)
ポリスチレン系樹脂組成物(c1)を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてポリスチレン系樹脂押出発泡板を得た。
【0096】
実施例1〜6及び比較例1における押出安定性、並びに得られたポリスチレン系樹脂押出発泡板の、見掛け密度、厚さ、独立気泡率、外観、色調、気泡径、熱伝導率、燃焼性および分子量を表3に示す。
【0097】
【表3】
【0098】
表3に示す押出発泡板の各種物性の測定方法および評価方法は以下のとおりである。
【0099】
(押出安定性)
○: 表面凹凸がなく、外観が良好な押出発泡板を長時間安定して得ることができる。
△: 長時間運転すると、吐出圧力が変動して、表面凹凸が一部に形成された押出発泡板となる。
×: 製品を得ることができない
【0100】
(見掛け密度)
JIS K7222(2005)に基づいて測定された見掛け密度である。
【0101】
(厚さ)
押出発泡板の幅方向において、等間隔に5点の厚みを測定し、それらの測定値の算術平均値を押出発泡板の厚み(mm)とした。
【0102】
(独立気泡率)
押出発泡板の独立気泡率は、次のようにして求めた。まず、押出発泡板を幅方向に5等分し、それらの中央部付近から25mm×25mm×20mmのサイズに成形表皮を持たないカットサンプル(計5個)を切り出した。次に、ASTM−D2856−70の手順Cに従って、各カットサンプルの真の体積Vxを測定し、下記(1)式により独立気泡率S(%)を計算し、それら計算値の算術平均値を押出発泡板の独立気泡率とした。なお、測定装置として東芝ベックマン株式会社の空気比較式比重計930型を使用した。
【0103】
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (1)
ただし、Vx:上記空気比較式比重計による測定により求められるカットサンプルの真の体積(cm
3)(押出発泡板のカットサンプルを構成する樹脂組成物の容積と、カットサンプル内の独立気泡部分の気泡全容積との和に相当する。)
Va:測定に使用されたカットサンプルの外形寸法から算出されたカットサンプルの見掛け上の体積(cm
3)
W:測定に使用されたカットサンプル全重量(g)
ρ:押出発泡板を構成する樹脂組成物の密度(g/cm
3)
【0104】
(外観)
製品表面の平滑性について目視にて評価を行った。
○:凹凸がなく平滑な表面である
△:長時間連続製造時に表面凹凸が発生する
【0105】
(気泡径)
押出発泡板の幅方向垂直断面(押出発泡板の押出方向と直交する垂直断面)の中央部及び両端部の計3箇所に厚み方向に全厚みに亘る線分を引き各々の線分の長さと該線分と交差する気泡の数から各線分上に存在する気泡の平均径(線分の長さ/該線分と交差する気泡の数)を求め、求められた3箇所の平均径の算術平均値を気泡径した。
【0106】
(熱伝導率)
熱伝導率は、ISO 11561に記載の促進試験に準拠した以下の方法により測定した。
製造直後の押出発泡板の中央部から200mm×200mm×10mmの成形表皮が存在しない試験片を切り出し、該試験片を23℃、湿度50%の雰囲気下に保存した。製造後10日後に該試験片を用いてJIS A1412−2:1999記載の熱流計法(試験体1枚・対称構成方式、高温側38℃、低温側8℃、平均温度23℃)に基づいて熱伝導率を測定した。
【0107】
(燃焼性)
製造直後の押出発泡板を気温23℃、相対湿度50%の部屋に移し、その部屋で4週間放置した後、押出発泡板から試験片を無作為に5個切り出して(N=5)、JIS A9511(2006R)の5.13.1「測定方法A」に基づいて燃焼性を測定し、5個の試験片の平均燃焼時間(秒)により、押出発泡板の難燃性を評価した。
【0108】
(重量平均分子量)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー分析法により測定を行った。
樹脂試料10mgをテトラヒドロフラン(THF)10mlに溶解させ、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析法により測定し、標準ポリスチレンで校正した値である。
GPC分析条件の詳細は以下の通りである。
使用機器:株式会社ジーエルサイエンス製GPC仕様高速液体クロマトグラフ
カラム:昭和電工株式会社製カラム、商品名ShodexGPC KF−806、同KF−805、同KF−803をこの順に直列に連結して使用
カラム温度:40℃
溶媒:THF
流速:1.0mL/分
濃度:0.15w/v%
注入量:0.2ml
検出器:株式会社ジーエルサイエンス製紫外可視検出器、商品名UV702型(測定波長254nm)
分子量分布の計算に用いた較正曲線の分子量範囲:1.2×10
7〜5.2×10
3
【0109】
(溶融粘度)
表中の溶融粘度は株式会社東洋精機製作所のキャピログラフ 型式1Dにて測定を行って得られた値である。測定の詳細としては、内径9.55mm(有効長さ250mm)のシリンダーの先端に穴径1.0mm、長さ10mmのキャピラリーを取付け、シリンダーおよびキャピラリーを200℃に昇温し、シリンダー内に測定試料(樹脂ペレット)を充填した。充填後、シリンダー内にピストンを充填し、4分間の予備加熱にて溶融させた。なお、予備加熱中にピストンを一時的に押し下げ溶融状態の測定試料から気泡を十分に除去した。また、測定試料の充填量は、気泡除去後に測定試料が15cc以上確保できる十分な量とした。予備加熱終了後、ピストンにてキャピラリー部のせん断速度が100s
−1となる様にシリンダー内の測定試料を押出し、そのときの溶融粘度を計測した。なお、溶融粘度の測定は200℃、100s
−1の条件を採用し、押出荷重が安定した後に行った。