(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記第2検査モードにおいて、前記遊離試薬を分注せずに前記固相試薬および前記標識試薬を前記反応容器に分注するように前記試薬分注部を制御する、請求項1に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、前記第1検査モードにおいて、前記免疫複合体と第1固相担体とを結合させる第1固相化処理と、前記免疫複合体を前記第1固相担体から遊離させる遊離処理と、前記免疫複合体と第2固相担体とを結合させる第2固相化処理と、前記信号を測定する測定処理と、を含む第1検査処理を管理する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、前記第1固相化処理において、前記目的物質と前記標識物質とを結合する標識物質結合処理の後に、前記目的物質と前記標識物質とを含む前記免疫複合体と前記第1固相担体とを結合する第1固相担体結合処理を行うように前記第1検査処理を管理する、請求項5に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、測定オーダーを受け付けたことに基づいて、測定オーダーに対応する前記第1検査処理に対して前記第1反応容器および前記第2反応容器を割り当てる、請求項7または8に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、前記遊離処理と前記第2固相化処理との間に前記第2BF分離処理を行うように前記第1検査処理を管理する、請求項7〜9のいずれか1項に記載の免疫測定装置。
前記検体分注部は、前記第2BF分離処理で遊離された前記免疫複合体を、前記第1反応容器から前記第2反応容器に分注する、請求項7〜10のいずれか1項に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、前記第2BF分離処理と前記第2固相化処理との間に、前記第1反応容器を廃棄する第1反応容器廃棄処理を行うように前記第1検査処理を管理する、請求項7〜11のいずれか1項に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、前記第2固相化処理と前記測定処理との間に、前記BF分離部により分離された液体成分を廃棄する第3BF分離処理を行うように前記第1検査処理を管理する、請求項7〜12のいずれか1項に記載の免疫測定装置。
前記制御部は、前記第1検査処理および前記第2検査処理の処理タイミングの少なくとも一部が互いにオーバーラップするように管理する、請求項14に記載の免疫測定装置。
前記第1検査モードでは、前記免疫複合体と第1固相担体とを結合する第1固相化処理と、前記免疫複合体を前記第1固相担体から遊離させる遊離処理と、前記免疫複合体と第2固相担体とを結合する第2固相化処理と、前記信号を測定する測定処理と、を含む第1検査処理を実施する、請求項16〜19のいずれか1項に記載の免疫測定方法。
前記第1固相化処理において、前記目的物質と前記標識物質とを結合する標識物質結合処理の後に、前記目的物質と前記標識物質とを含む前記免疫複合体と前記第1固相担体とを結合する第1固相担体結合処理を実施する、請求項20に記載の免疫測定方法。
前記第2固相化処理と前記測定処理との間に、前記免疫複合体と結合した前記第2固相担体から分離させた液体成分を廃棄する第3BF分離処理を行う、請求項20〜23のいずれか1項に記載の免疫測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
[免疫測定装置の概要]
まず、
図1を参照して、一実施形態による免疫測定装置100の概要について説明する。
【0012】
免疫測定装置100は、抗原抗体反応を利用して検体中の目的物質を測定する装置である。目的物質は、たとえば、血液に含まれる抗原または抗体、タンパク質や、ペプチドなどである。免疫測定装置100は、血清を検体として取得して、検体に含まれる抗原または抗体などを定量測定または定性測定する。検体は、血漿でもよい。なお、抗原抗体反応は、抗原と抗体との反応のみならず、アプタマー等の特異的結合物質を用いた反応を含む。アプタマーは、特定の物質と特異的に結合するように合成された核酸分子またはペプチドである。
【0013】
本実施形態では、免疫測定装置100は、免疫複合体転移法による免疫複合体の分離処理を行う。免疫複合体転移法は、目的物質と標識物質とを含む免疫複合体(抗原抗体反応による結合体)を、固相担体に形成させた後、免疫複合体と固相担体とを解離させ、解離した免疫複合体を固相担体から分離する手法である。これにより、免疫複合体を固相担体に形成させる過程で固相担体に非特異的に結合した不要な標識物質が、免疫複合体から固相担体と一緒に分離される。その結果、免疫複合体転移法を行わずに測定が行われる場合と比較して、ノイズレベルを下げることができるので、測定データのベースラインを下げて、免疫測定の高感度化ができる。
【0014】
図1に示すように、免疫測定装置100は、検体分注部10と、試薬分注部20と、BF分離部30と、測定部40と、移送部50とを備える。これらの各部は、免疫測定装置100の筐体101内に収容されている。
【0015】
検体分注部10は、第1反応容器70に目的物質81を含む検体を分注できる。検体分注部10は、検体を収容した試験管(図示せず)から検体を吸引して、所定量の検体を第1反応容器70に分注する。
【0016】
検体分注部10は、たとえば、先端に分注チップ11が着脱可能に構成されている。分注チップ11は、たとえば所定量の検体を収容可能な中空筒状の先端部品であり、使い捨て可能に構成されている。この場合、検体分注部10は、第1反応容器70に第1分注チップ11aを介して検体を分注する。分注チップ11を介して検体を吸引して分注チップ11内に収容し、所望の容器に吐出することで、分注チップ11のみを検体と接触させて分注ができる。
【0017】
試薬分注部20は、免疫測定に用いられる各種試薬を分注できる。具体的には、試薬分注部20は、検体が分注された第1反応容器70に、固相担体82を含む固相試薬、および、標識物質83を含む標識試薬を分注する。試薬分注部20により分注される各種試薬は、液体試薬であり、種類毎にそれぞれ別々の試薬容器に収容されている。固相試薬は液体中に固相担体を含んだ液体試薬であり、標識試薬は液体中に標識物質を含んだ液体試薬である。
【0018】
固相担体82は、たとえば、免疫測定で用いられる公知の粒子である。粒子は、例えば、磁性粒子、ラテックス粒子、赤血球、ゼラチン粒子などが挙げられる。BF分離部30による分離処理のため、固相担体82として磁性粒子を用いるのが好ましい。磁性粒子としては、磁性を有する材料を基材として含み、通常の免疫測定に用いられる粒子であればよい。例えば、基材としてFe
2O
3および/またはFe
3O
4、コバルト、ニッケル、フィライト、マグネタイトなどを用いた磁性粒子が利用できる。固相担体82は、目的物質81と結合するための結合物質がコーティングされていてよいし、固相担体82と目的物質81とを結合させるための捕捉物質84を介して目的物質81と結合してもよい。捕捉物質84は、固相担体82および目的物質81と相互に結合する抗原または抗体などである。この場合、捕捉物質84を含む試薬が試薬分注部20により第1反応容器70に分注される。
【0019】
標識物質83は、目的物質81と抗原抗体反応により結合し、測定部40により測定可能な標識を含有する。標識物質83は、免疫測定で用いられる公知の標識を含む抗体であれば、特に限定されない。捕捉物質84を用いる場合、標識物質83が捕捉物質84と結合してもよい。標識物質83に含まれる標識としては、たとえば、酵素、蛍光物質、放射性同位元素などである。酵素としては、アルカリホスファターゼ(ALP)、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、チロシナーゼ、酸性ホスファターゼなどが挙げられる。蛍光物質としては、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、グリーン蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェリンなどが利用できる。放射性同位元素としては、125I、14C、32Pなどが利用できる。本実施形態における標識物質83に用いる標識としては、酵素が好ましい。
【0020】
標識が酵素である場合、標識物質83の酵素に対する基質は、用いる酵素に応じて適宜公知の基質を選択すればよい。例えば、酵素としてアルカリホスファターゼを用いる場合の基質としてはCDP−Star(登録商標)、(4−クロロ−3−(メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2’−(5’−クロロ)トリクシロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)、CSPD(登録商標)(3−(4−メトキシスピロ[1,2−ジオキセタン−3,2−(5’−クロロ)トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン]−4−イル)フェニルリン酸2ナトリウム)などの化学発光基質;p−ニトロフェニルホスフェート、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、4−ニトロブルーテトラゾリウムクロリド(NBT)、ヨードニトロテトラゾリウム(INT)などの発光基質;4−メチルウムベリフェニル・ホスフェート(4MUP)などの蛍光基質;5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸(BCIP)、5−ブロモ−6−クロロ−インドリルリン酸2ナトリウム、p−ニトロフェニルリンなどの発色基質などが利用できる。
【0021】
試薬分注部20は、使用される試薬の種類に応じて、1または複数の試薬分注ユニットを含むことができる。試薬分注部20の試薬分注ユニットは、たとえば固定式の吸引管を介して試薬の分注を行う。試薬分注部20が着脱式の分注チップを用いてもよい。
【0022】
本実施形態では、免疫測定装置100により、免疫複合体転移法による免疫複合体の分離処理が行われる。
【0023】
試薬分注部20は、固相担体82上に形成された目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85を固相担体82から遊離させるための遊離試薬86を、検体が分注された第1反応容器70に分注する。遊離試薬86は、固相担体82と、免疫複合体85との結合の種類により適宜選択される。遊離試薬86が分注されることにより、免疫複合体85以外に標識物質83が非特異的に結合した固相担体82から、免疫複合体85が解離される。
【0024】
遊離試薬86によって固相担体82から遊離した免疫複合体85は、第2反応容器71に分注される。これにより、標識物質83が非特異的に結合した固相担体82を含んだ第1反応容器70中から、免疫複合体85が分離抽出され、別の第2反応容器71に移し替えられる。また、免疫複合体85が第1反応容器70から第2反応容器71に移し替えられることにより、免疫複合体85が第1反応容器70の壁面に付着した他の不要成分からも分離される。不要成分は、容器中に存在し、目的物質81の測定に不要な物質全般のことを指す。不要成分は、たとえば、検体中に含まれていた目的物質81以外の成分、目的物質81に結合しなかった未反応の標識物質83などである。
【0025】
第1反応容器70および第2反応容器71は、たとえば、使い捨て可能な樹脂製の容器である。この場合、免疫複合体85を第2反応容器71に移し替えた後の第1反応容器70をそのまま廃棄することができる。第1反応容器70と第2反応容器71とは、共通の容器であってよい。つまり、同じ種類の2つの使い捨て容器を、1つは第1反応容器70として用い、他の1つは第2反応容器71として用いてもよい。この場合、第1反応容器70と第2反応容器71とを別々に貯留および保管する必要がなくなる。
【0026】
免疫複合体85の吸引は、第1反応容器70において固相担体82を集めておいて、第1反応容器70中の上清液を吸引することにより実現できる。固相担体82が磁性粒子である場合、磁石によって第1反応容器70内に固相担体82を集磁することで、固相担体82と免疫複合体85とを効率的に分離できる。固相担体82が非磁性のビーズの場合、遠心分離を行ってもよいし、自然に沈殿させてもよい。
【0027】
BF分離部30は、目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85が形成された固相担体82と、液体成分とを分離するBF分離処理を行う。BF分離部30は、検体、固相試薬および標識試薬が分注された後、遊離試薬86が分注される前に、BF分離処理を行う。
【0028】
BF分離部30は、免疫複合体85と結合した固相担体82を第1反応容器70内に集めて、第1反応容器70内の液体成分を吸引することにより、液体成分を除去する。BF分離部30は、固相担体82が磁性粒子である場合、磁石によって免疫複合体85と結合した固相担体82を第1反応容器70内に集磁しつつ、第1反応容器70内の液体成分を除去する。BF分離部30は、固相担体82が非磁性のビーズの場合、遠心分離や自然沈殿などにより免疫複合体85と結合した固相担体82を集めて、上清を吸引することにより第1反応容器70内の液体成分を除去する。BF分離部30は、第1反応容器70内の液体成分を除去した後、第1反応容器70内に洗浄液を供給して、再度、液体成分を除去する。BF分離部30は、液体成分の除去と洗浄液の供給とを1または複数回行う。
【0029】
BF分離部30は、さらに、第2反応容器71内の免疫複合体85と結合した固相担体82に対して、分離処理を行ってもよい。この場合、第2反応容器71に移し替えられた免疫複合体85を、別の固相担体と結合させ、別の固相担体と結合した免疫複合体85を含む試料から、BF分離処理によって不要成分を取り除く。この場合の不要成分は、たとえば、目的物質81に結合しなかった未反応の標識物質83、遊離試薬86などの物質のうち、免疫複合体85とともに上清液中に含まれていた一部である。
【0030】
測定部40は、第2反応容器71に分注された免疫複合体85に含まれる標識に基づく信号を測定するように構成されている。測定は、標識物質83に用いる標識の種類に応じた適切な方法で行われればよく、測定方法は特に限定されない。たとえば、標識物質83に用いる標識が酵素である場合、測定は、酵素に対して基質を反応させることにより発生する光、色などを測定することにより行うことができる。この場合の測定部40として、分光光度計、ルミノメータなどが利用できる。また、標識物質83が放射性同位体である場合、測定部40としてシンチレーションカウンターなどが利用できる。
【0031】
移送部50は、第1反応容器70を、検体分注部10が分注できる位置、試薬分注部20が分注できる位置、およびBF分離部30に移送するように構成されている。移送部50は、1または複数の容器移送ユニットから構成される。容器移送ユニットとしては、たとえば、第1反応容器70を1つずつ把持して移送可能なキャッチャユニット、複数の第1反応容器70を保持しながら移動可能な可動式の反応容器保持部などである。また、移送部50は、第2反応容器71を測定部40に移送できる。
【0032】
上記のように、本実施形態では、免疫化学測定のための固相試薬および標識試薬を分注する試薬分注部20によって、免疫複合体転移法のための遊離試薬86の分注ができる。また、免疫複合体転移法のための免疫複合体85の分注ができる。これにより、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を1台の免疫測定装置100で実施することができる。また、第1反応容器70から吸引された免疫複合体85が、別の第2反応容器71に分注されるので、第1反応容器70に付着していた未反応の標識物質83や遊離試薬86などのキャリーオーバーを防止できる。
【0033】
[免疫測定装置の具体的な構成例]
以下では、免疫測定装置100の具体的な構成例について詳細に説明する。上記した免疫測定装置100の各部は、
図2に示すような構成によって具体的に実現される。また、免疫測定装置100は、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定と免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定とを行うことができる。
図2に示す例では、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を行う第1検査処理と、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定を行う第2検査処理とが混在して行われる例を示している。なお、第1検査処理で用いられる試薬を、R1〜R9で表している。また、第2検査処理で用いられる試薬を、r1〜r5で表している。
【0034】
図2に示す構成例では、免疫測定装置100は、測定機構部102と、測定機構部102に隣接するように配置された検体搬送部103と、測定機構部102に電気的に接続されたPC(パーソナルコンピュータ)からなる制御部104とを備えている。
【0035】
検体搬送部103は、検体を収容した複数の試験管が載置されたラックを搬送可能である。検体搬送部103は、検体を収容した試験管を後述する検体分注部10による検体吸引位置210に搬送できる。
【0036】
制御部104は、CPU、表示部、入力部および記憶部を含むコンピュータである。CPUは、測定機構部102により得られた測定結果を分析し、その分析結果を表示部に表示する。また、記憶部は、HDD(ハードディスクドライブ)を含み、各種プログラムや測定結果のデータなどを記憶している。
【0037】
また、測定機構部102には、検体分注部10と、試薬分注部20と、BF分離部30と、測定部40と、移送部50とが設けられている。測定機構部102における各部は、測定機構部102に設けられた制御部102aにより制御されている。制御部102aには、FPGA等を搭載した基板が用いられる。また、制御部102aは、検体搬送部103および制御部104と通信可能に接続されており、制御部104への測定結果データの送信および検体搬送部103への動作命令の送信などを行う。
【0038】
図2に示す構成例では、制御部104は、目的物質81と標識物質83と第1固相担体82aとを結合する第1固相化処理と、免疫複合体85を第1固相担体82aから遊離する遊離処理と、免疫複合体85と第2固相担体82bとを結合する第2固相化処理と、信号を測定する測定処理とを含む第1検査処理を管理する。つまり、制御部104は、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を行う第1検査処理を管理する。これにより、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を1台の免疫測定装置100により行うことができる。なお、管理するとは、制御部104が、免疫測定装置100により第1検査処理の各種処理を行うように制御することを含む。
【0039】
図2に示す構成例では、制御部104は、測定オーダーに対応する第1検査処理に対して、第1反応容器70および第2反応容器71を割り当てる。具体的には、制御部104は、遊離処理の完了前に、第1検査処理に対して第2反応容器71を割り当てる。なお、遊離処理の完了前とは、たとえば、遊離試薬86が分注された後第2反応容器71への分注を行う第2BF分離処理(後述)の開始前までである。また、第1反応容器70および第2反応容器71を割り当てるとは、第1反応容器70および第2反応容器71を使用するための情報が記憶部に記録されること、第1反応容器70および第2反応容器71が反応容器保持部60に供給されることの少なくとも一方を含む。これにより、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定に際して、2つの反応容器(第1反応容器70および第2反応容器71)を確実に用意することができる。また、遊離処理の完了前に第2反応容器71が割り当てられるので、第2反応容器71の割り当ての遅延を抑制することができる。その結果、測定処理の遅延を抑制することができる。
【0040】
図2に示す構成例では、制御部104は、第1固相化処理において、標識物質結合処理の後に、第1固相担体結合処理を行うように第1検査処理を管理する。なお、標識物質結合処理は、目的物質81と標識物質83とを結合する処理である。また、第1固相担体結合処理は、目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85と第1固相担体82aとを結合する処理である。これにより、目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85が第1固相担体82aに結合されるので、BF分離により、免疫複合体85と、その他の成分とを容易に分離することができる。
【0041】
図2に示す構成例では、制御部104は、第1固相化処理後に、BF分離部30によるBF分離で分離された液相を廃棄する第1BF分離処理と、遊離試薬86によって第1固相担体82aから遊離した免疫複合体85を第2反応容器71に分注する第2BF分離処理とをさらに含む第1検査処理を管理する。これにより、第1BF分離処理により、第1固相担体82aに結合された免疫複合体85を、その他の成分から容易に分離することができる。また、第2BF分離処理により、第1固相担体82aから遊離した免疫複合体85を、第1固相担体82aから分離することができる。
【0042】
図2に示す構成例では、また、制御部104は、遊離処理と第2固相化処理との間に第2BF分離処理を行うように第1検査処理を管理する。これにより、第1固相担体82aから遊離し、第2固相担体82bに結合する前の免疫複合体85を、第2BF分離処理により、容易に分離することができる。
【0043】
図2に示す構成例では、制御部104は、第2BF分離処理と第2固相化処理との間に、第1反応容器70を廃棄する第1反応容器廃棄処理を行うように第1検査処理を管理する。これにより、使用済みの第1反応容器70が廃棄されるので、使用済みの第1反応容器70を移送部50により移送する必要がない。
【0044】
図2に示す構成例では、制御部104は、第2固相化処理と測定処理との間に、BF分離部30により分離された液相を廃棄する第3BF分離処理を行うように第1検査処理を管理する。これにより、第3BF分離処理により、第2固相担体82bに結合された免疫複合体85を、その他の成分から容易に分離することができる。
【0045】
図2に示す構成例では、制御部104は、目的物質81と標識物質83と第3固相担体82cとを結合する第3固相化処理と、信号を測定する測定処理とを含む第2検査処理を管理する。つまり、制御部104は、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定を行う第2検査処理を管理する。これにより、1つの免疫測定装置100により、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定と免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定との両方を行うことができる。
【0046】
図2に示す構成例では、制御部104は、測定オーダーに対応する第2検査処理に対して、第1反応容器70を割り当てる。これにより、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定に対して、1つの第1反応容器70を確実に用意することができる。
【0047】
図2に示す構成例では、制御部104は、第1検査処理および第2検査処理の測定オーダーが混在する場合、第1測定オーダーに対応する第1検査処理に対して第1反応容器70および第2反応容器71を割り当てる。また、制御部104は、第2測定オーダーに対応する第2検査処理に対して第1反応容器70を割り当てる。そして、制御部104は、第1検査処理および第2検査処理を混在して行うように管理する。これにより、第1検査処理および第2検査処理の測定オーダーが混在する場合でも、第1検査処理および第2検査処理に対して、それぞれ、反応容器を確実に用意することができる。この場合、制御部104は、第1検査処理および第2検査処理の処理タイミングの少なくとも一部が互いにオーバーラップするように管理してもよい。これにより、検査処理の時間が長くなるのを抑制することができる。
【0048】
測定機構部102は、検体分注部10として、検体分注アーム12を備える。検体分注アーム12は、移動可能に構成されている。検体分注アーム12は、チップ装着位置220において第1分注チップ11aを装着した後、検体搬送部103により検体吸引位置210に搬送された試験管内の検体を吸引し、反応容器保持部60の第1反応容器70内に検体を分注する。これにより、検体を分注するための検体分注部10によって、免疫複合体転移法のための免疫複合体85の分注ができる。また、検体分注アーム12は、チップ装着位置220において第2分注チップ11bを装着した後、反応容器保持部60の第1反応容器70から免疫複合体85を含む上清液を吸引し、反応容器保持部60の第2反応容器71に免疫複合体85を分注する。
【0049】
分注チップ11は、分注チップ供給部111に貯留されている。分注チップ供給部111は、多数の分注チップ11を受け入れ可能であり、投入された分注チップ11を1つずつチップ装着位置220に搬送できる。第1分注チップ11aおよび第2分注チップ11bとして、同一種類の分注チップ11が用いられる。検体分注アーム12は、第1分注チップ11aの装着および第2分注チップ11bの装着を、それぞれ共通のチップ装着位置220において行う。これにより、分注チップ供給部111を複数設けて第1分注チップ11aの装着と第2分注チップ11bの装着とを別々の位置で行う場合と比べて、装置構成を簡素化できる。第1分注チップ11aと第2分注チップ11bとで、別々の種類の分注チップを用いるような場合などには、分注チップ供給部111を複数設けてもよい。
【0050】
検体分注部10が分注チップ11を介して分注を行う場合、検体分注部10は、第1分注チップ11aから取り替えられた第2分注チップ11bを介して第1反応容器70から免疫複合体85を吸引して、第2反応容器71に分注する。第1分注チップ11aから第2分注チップ11bに交換されることにより、分注チップ11を介した検体のキャリーオーバーが防止される。また、検体分注部10による免疫複合体85の分注を、検体を分注する際に用いる第1分注チップ11aから第2分注チップ11bに取り替えて実施する場合には、検体のコンタミネーションが防止される。
【0051】
第1反応容器70および第2反応容器71として、同一種類の容器が用いられる。第1反応容器70および第2反応容器71は、容器供給部112に貯留されている。容器供給部112は、多数の容器を受け入れ可能であり、反応容器保持部60に第1反応容器70または第2反応容器71を1つずつ順次供給できる。
【0052】
反応容器保持部60は、第1反応容器70および第2反応容器71を保持するための保持孔61を有する。反応容器保持部60の構成については、後述する。
【0053】
測定機構部102は、試薬分注部20として、第1試薬分注ユニット21、第2試薬分注ユニット22、第3試薬分注ユニット23および第4試薬分注ユニット24を備える。
【0054】
第1試薬分注ユニット21、第2試薬分注ユニット22、第3試薬分注ユニット23は、それぞれ、1つのピペット25を備えている。第1試薬分注ユニット21、第2試薬分注ユニット22、第3試薬分注ユニット23は、それぞれのピペット25を、所定の試薬吸引位置と試薬分注位置とに移動できる。
【0055】
第1試薬分注ユニット21は、試薬設置部113に設置された試薬容器からピペット25によりR1試薬を吸引し、吸引したR1試薬を反応容器保持部60に載置された第1反応容器70に分注する。また、第1試薬分注ユニット21は、試薬設置部113に設置された試薬容器からピペット25によりr1試薬を吸引し、吸引したr1試薬を反応容器保持部60に載置された第1反応容器70に分注する。
【0056】
第2試薬分注ユニット22は、試薬設置部113に設置された試薬容器からピペット25によりR3試薬、R5試薬をそれぞれ吸引し、吸引したR3試薬、R5試薬を第1反応容器70に分注できる。また、第2試薬分注ユニット22は、試薬設置部113に設置された試薬容器からR7試薬を吸引し、吸引したR7試薬を第2反応容器71に分注できる。第2試薬分注ユニット22は、試薬分注位置230に移送された第1反応容器70または第2反応容器71に試薬を分注する。なお、後述するように、R5試薬およびR7試薬は、それぞれ、第1固相担体82aおよび第2固相担体82b(
図6参照)を含有する。このように、試薬分注部20は、第1反応容器70に第1固相試薬(R5試薬)を分注し、免疫複合体85が分注された第2反応容器71に第2固相試薬(R7試薬)を分注するように構成されている。また、第2試薬分注ユニット22は、試薬設置部113に設置された試薬容器からピペット25によりr2試薬を吸引し、吸引したr2試薬を試薬分注位置230に移送された第1反応容器70に分注する。なお、後述するように、r2試薬は、第3固相担体82c(
図8参照)を含有する。このように、試薬分注部20は、第1反応容器70に第3固相試薬(r2試薬)を分注するように構成されている。
【0057】
第3試薬分注ユニット23は、試薬設置部113に設置された試薬容器からピペット25によりR2試薬、R4試薬をそれぞれ吸引し、吸引したR2試薬、R4試薬を第1反応容器70に分注できる。第3試薬分注ユニット23は、試薬分注位置240に移送された第1反応容器70に試薬を分注する。また、第3試薬分注ユニット23は、試薬設置部113に設置された試薬容器からピペット25によりr3試薬を吸引し、吸引したr3試薬を試薬分注位置240に移送された第1反応容器70に分注する。
【0058】
第4試薬分注ユニット24は、R8試薬を第2反応容器71に分注する分注部24aと、R9試薬を第2反応容器71に分注する分注部24bとを含んでいる。分注部24aおよび分注部24bは、それぞれ、R8試薬およびR9試薬を収容する図示しない試薬容器に接続されている。分注部24aおよび分注部24bは、それぞれ分注部24aおよび分注部24bの位置まで移送された第2反応容器71に試薬を分注する。また、分注部24aは、分注部24aの位置まで移送された第1反応容器70にr4試薬(R8試薬)を分注する。分注部24bは、分注部24bの位置まで移送された第1反応容器70にr5試薬(R9試薬)を分注する。
【0059】
試薬設置部113は、試薬を収容する試薬容器120を複数収容可能に構成されている。試薬容器120は、たとえば
図3に示すようなボトル形状を有し、内部に試薬を収容している。試薬容器120は、試薬の種類毎にそれぞれ設けられ、試薬設置部113に個別にセットされている。つまり、本実施形態では、収容する試薬に応じて、R1試薬〜R7試薬の7種類の試薬容器120が試薬設置部113にセットされている。なお、分注部24aに接続されたR8試薬の試薬容器(図示せず)と、分注部24bに接続されたR9試薬の試薬容器(図示せず)とは、試薬設置部113とは別の設置部(図示せず)に設置されている。
【0060】
図2に戻って、第1試薬分注ユニット21〜第3試薬分注ユニット23は、試薬設置部113のそれぞれの試薬吸引位置に設けられた吸引窓(図示せず)から、それぞれピペット25を介して試薬を吸引できる。
【0061】
測定機構部102は、BF分離部30として、第1分離部30aおよび第2分離部30bを備えている。第1分離部30aは、第1固相試薬(R5試薬)が分注された第1反応容器70中の免疫複合体85に対する第1BF分離処理を行う。第2分離部30bは、第2固相試薬(R7試薬)が分注された第2反応容器71中の免疫複合体85に対する第3BF分離処理を行う。第1BF分離処理は、目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85が形成された第1固相担体82a(
図6参照)と、液体成分とを分離する分離処理である。第3BF分離処理は、目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85が形成された第2固相担体82b(
図6参照)と、遊離試薬86とを分離する分離処理である。第1分離部30aおよび第2分離部30bの構成は共通としてよい。詳細は後述する。また、第1分離部30aは、第3固相試薬(r2試薬)が分注された第1反応容器70中の第3固相担体82c(
図8参照)に対する1次BF分離処理を行う。第2分離部30bは、第3固相試薬(r2試薬)が分注された第1反応容器70中の免疫複合体85に対する2次BF分離処理を行う。
【0062】
測定機構部102は、光電子増倍管を含む測定部40を備えている。測定部40は、目的物質81に結合する標識物質83と発光基質との反応過程で生じる光を光電子増倍管で取得することにより、その検体に含まれる抗原の量を測定する。
【0063】
測定機構部102は、移送部50として複数の移送ユニットを備えている。移送部50は、容器保持部51と、反応容器移送部52とを含む。
【0064】
容器保持部51は、第1反応容器70および第2反応容器71を保持するための複数の保持孔51aを備えており、第1反応容器70および第2反応容器71の設置位置を提供する。容器保持部51は、各保持孔51aに保持された第1反応容器70および第2反応容器71を順次移送可能に構成されている。
図2の構成例では、容器保持部51は、円形の試薬設置部113の外周に沿って円環状に形成され、周方向に回転移動できる。容器保持部51には、複数の保持孔51aが周方向に沿って多数形成されている。容器保持部51は、各保持孔51aに保持された第1反応容器70および第2反応容器71を一括して周方向に移動できる。本実施形態では、容器保持部51は、A1方向に回転移動する。
【0065】
容器保持部51は、保持孔51aに保持された第1反応容器70および第2反応容器71を所定温度に加温または維持する機能を有していてもよい。
図2の構成例では、容器保持部51は、保持孔51aに保持された第1反応容器70および第2反応容器71の温度調節を行いながら、A1方向への容器の移送を行う。
【0066】
反応容器移送部52は、検体分注部10、試薬分注部20、BF分離部30および測定部40などの各部と、容器保持部51との間で第1反応容器70および第2反応容器71を移送する機能を有する。反応容器移送部52は、第1反応容器70または第2反応容器71を1つずつ取り出して移動できるキャッチャユニットであり、測定機構部102に複数設けられている。
【0067】
反応容器移送部52aは、反応容器保持部60と容器保持部51との間で第1反応容器70および第2反応容器71を移送できる。反応容器移送部52aは、反応容器保持部60に保持された第1反応容器70または第2反応容器71を、容器保持部51の第1位置250に位置付けられた保持孔51aに移送できる。また、反応容器移送部52aは、容器保持部51の第4位置280に位置付けられた保持孔51aに保持された第1反応容器70を、反応容器保持部60の保持孔61に移送できる。第1位置250と第4位置280とは、同じ位置でも異なる位置でもよい。
図2では、第1位置250と第4位置280とが同じ位置である例を示している。つまり、反応容器移送部52aが容器保持部51に第1反応容器70または第2反応容器71をセットする位置(第1位置250)と、反応容器移送部52aが容器保持部51から第1反応容器70を取り出す位置(第4位置280)と、が同じ位置である。反応容器移送部52aは、取り出し対象の第1反応容器70が容器保持部51によって第4位置280に位置付けられたときに、取り出し対象の第1反応容器70を取り出す。反応容器移送部52aは、保持する第1反応容器70のセットタイミングが到達した時に第1位置250に位置する保持孔51aに、第1反応容器70または第2反応容器71をセットする。
【0068】
反応容器移送部52bは、容器保持部51と第1分離部30aとの間で第1反応容器70を移送できる。反応容器移送部52bは、容器保持部51の第2位置260に位置付けられた保持孔51aに保持された第1反応容器70を第1分離部30aに移送でき、第1分離部30aから容器保持部51の第3位置270に位置付けられた保持孔51aに第1反応容器70を移送できる。
【0069】
反応容器移送部52cは、容器保持部51と第2分離部30bとの間で第1反応容器70および第2反応容器71を移送できる。反応容器移送部52bは、容器保持部51の第5位置290に位置付けられた保持孔51aに保持された第1反応容器70または第2反応容器71を第2分離部30bに移送でき、第2分離部30bから第6位置300に第1反応容器70または第2反応容器71を移送できる。
【0070】
反応容器移送部52dは、第6位置300と、容器保持部51と、第4試薬分注ユニット24との間で第2反応容器71および第1反応容器70を移送できる。反応容器移送部52eは、容器保持部51と測定部40との間で第2反応容器71および第1反応容器70を移送できる。また、反応容器移送部52eは、測定済みの第2反応容器71および第1反応容器70と、上清液が吸引された後の第1反応容器70とを、廃棄口114に移送して廃棄する。
【0071】
このように移送部50として容器保持部51と反応容器移送部52とを設けることによって、複数の第1反応容器70および第2反応容器71を容器保持部51に保持させて一括で移送しながら、反応容器移送部52によって、反応容器保持部60およびBF分離部30に第1反応容器70を個別に移送することができる。その結果、個々の第1反応容器70および第2反応容器71を一括で移送せずに完全に個別で移送する場合と比較して、移送部50の構成を簡素化できる。
【0072】
(BF分離部の構成例)
第1分離部30aおよび第2分離部30bは、共通の構成を有するので、まとめてBF分離部30として説明する。BF分離部30は、たとえば
図4に示すように、洗浄部31を備える。洗浄部31は、未反応の標識物質83を含む液体を吸引する吸引管31aと、第1反応容器70または第2反応容器71内に洗浄液を吐出する吐出管31bとを含む。
【0073】
固相担体82として磁性粒子が用いられる場合、BF分離部30は、目的物質81と標識物質83とを含む免疫複合体85が形成された固相担体82(磁性粒子)を集めるための第1集磁部32を備えてよい。第1集磁部32は、磁性粒子に作用させる磁力を発生可能であり、たとえば永久磁石または電磁石である。BF分離部30は、第1反応容器70または第2反応容器71を保持可能に構成され、第1集磁部32は、BF分離部30に保持された第1反応容器70または第2反応容器71の近傍に設置される。
図4では、BF分離部30に設置された第1反応容器70の側面に近接する位置に第1集磁部32が配置され、固相担体82(磁性粒子)を第1反応容器70の内側面に集磁する構成例を示している。
【0074】
この場合、洗浄部31は、第1集磁部32により磁性粒子が集められた状態で、未反応の標識物質83を含む液体成分を吸引して除去し、磁性粒子を洗浄液で洗浄する。これにより、固相担体82と結合した免疫複合体85を含む試料から、BF分離処理によって不要成分が取り除かれる。
【0075】
(反応容器保持部の構成例)
反応容器保持部60は、たとえば
図5に示すように、複数の保持孔61を有している。
【0076】
反応容器保持部60は、保持孔61の1つに第1反応容器70を設置し、他の1つの保持孔61に第2反応容器71を設置可能である。つまり、反応容器保持部60は、複数の保持孔61に、それぞれ第1反応容器70と第2反応容器71を保持できる。
図5では保持孔61が2つ設けられている。
【0077】
この場合、検体分注部10は、反応容器保持部60に保持された第1反応容器70中の免疫複合体85を、反応容器保持部60に保持された第2反応容器71に分注する。これにより、たとえば反応容器保持部60において吸引済みの第1反応容器70と新しい第2反応容器71とを取り替えてから第2反応容器71に免疫複合体85を分注する場合と比較して、免疫複合体85の吸引動作と分注動作とを速やかに行える。
【0078】
固相担体82として磁性粒子が用いられる場合、免疫測定装置100は、反応容器保持部60の保持孔61に保持された第1反応容器70内の磁性粒子を集めるための第2集磁部62を備えていてよい。この場合、第2集磁部62により磁性粒子が集められた状態で、検体分注部10は第1反応容器70中の遊離した免疫複合体85を第2分注チップ11bを介して吸引する。これにより、第2集磁部62の磁力によって免疫複合体85と固相担体82(磁性粒子)とを迅速かつ効果的に分離できる。その結果、免疫複合体85を第2反応容器71に分注する際の固相担体82のキャリーオーバーを効果的に抑制できる。
【0079】
第2集磁部62は、磁性粒子に作用させる磁力を発生可能であり、たとえば永久磁石または電磁石である。第2集磁部62は、たとえば、保持孔61の底部近傍に配置される。そして、検体分注部10は、第1反応容器70中の上清液を吸引することにより、遊離した免疫複合体85を吸引する。これにより、免疫複合体85の吸引位置(すなわち、第1反応容器70の上部)から極力遠ざけた位置に固相担体82を集磁できる。
【0080】
第2集磁部62は、反応容器保持部60の外部に隣接するように配置されてよいし、
図5のように反応容器保持部60の保持部材63に取り付けられてもよい。
図5では、2つの保持孔61のそれぞれに第2集磁部62を設置している例を示しているが、第2集磁部62は1つの保持孔61のみに設けられていてよい。その場合、反応容器移送部52aは、第2集磁部62が設けられている保持孔61に第1反応容器70を移送し、第2集磁部62が設けられていない保持孔61に第2反応容器71を移送する。それぞれの保持孔61に第2集磁部62を設置する場合、第1反応容器70と第2反応容器71とを任意の保持孔61に設置できるようになる。
【0081】
反応容器保持部60は、複数の保持孔61の位置を相互に入れ替え可能なように移動可能に構成されていてよい。たとえば、反応容器保持部60は、複数の保持孔61が設けられた保持部材63を、回転軸64周りに回転させる駆動部65を備える。この場合、複数の保持孔61は回転軸64を中心として径方向に等距離の位置に配置され、互いに位置を入れ替え可能に構成される。これにより、検体分注部10の分注位置を固定しておいて、保持部材63の回転により、各保持孔61に設置された第1反応容器70と第2反応容器71とを、順次分注位置に配置できる。免疫複合体85の吸引と分注とを別々の位置で行う場合と比較して、免疫複合体85の吸引動作と分注動作とを速やかに行える。
【0082】
(第1検査処理による免疫測定の概要)
図2の構成例では、
図6に示すように、R1試薬〜R9試薬を用いて免疫測定が行われる。また、
図6に示す例では、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を行う第1検査処理について説明する。ここでは、免疫測定の一例として、目的物質81がB型肝炎表面抗原(HBsAg)である例について説明する。
【0083】
まず、第1反応容器70に目的物質81を含む検体とR1試薬とが分注される。R1試薬は、アルカリ性物質を含有し、検体をアルカリ変性させる試薬である。R1試薬は、予め抗体が結合した状態で検体中に存在する抗原を、抗体から遊離させる。次に、第1反応容器70にR2試薬が分注される。R2試薬は、酸性物質を含み、R1試薬分注後の検体のアルカリを中和する中和試薬である。R1試薬およびR2試薬は、予め抗体が結合した状態で検体中に存在する抗原を、抗体から遊離させる前処理として分注される。目的物質81によっては、R1試薬およびR2試薬を分注する必要はない。
【0084】
次に、第1反応容器70にR3試薬が分注される。R3試薬は、標識物質83を含有し、目的物質81と反応して結合する。これにより、標識物質結合処理が行われる。
図6の例では、標識物質83は、ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗体である。
【0085】
次に、第1反応容器70にR4試薬が分注される。R4試薬は、捕捉物質84を含有し、目的物質81と反応して結合する。捕捉物質84は、捕捉物質84が第1固相担体82aと結合するための第1結合物質84aと、捕捉物質84が第2固相担体82bと結合するための第2結合物質84bとを含む。第1結合物質84aと第2結合物質84bとは、互いに異なる結合能によって、固相担体と結合する物質である。
【0086】
これらの結合物質と固相担体との結合には、たとえばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスタチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの組み合わせが利用できる。なお、「アビジン類」とは、アビジンおよびストレプトアビジンを含むことを意味する。
【0087】
本実施形態では、捕捉物質84は、DNP(ジニトロフェニル基)とビオチンとで修飾された抗体(DNP/biotin抗体)である。すなわち、捕捉物質84には、第1結合物質84aとしてDNP(ジニトロフェニル基)が修飾され、第2結合物質84bとしてビオチンが修飾されている。
【0088】
次に、第1反応容器70にR5試薬が分注される。R5試薬は、固相担体82として、第1固相担体82aを含有する。第1固相担体82aは、抗DNP抗体を固定した磁性粒子(抗DNP抗体化磁性粒子)である。抗ハプテンである抗DNP抗体化磁性粒子の抗DNP抗体は、ハプテンである捕捉物質84のDNPと反応して結合する。この結果、第1固相担体82a上に、目的物質81と、標識物質83と、捕捉物質84とを含む免疫複合体85が形成される。これにより、第1固相担体結合処理が行われる。また、標識物質結合処理の後、第1固相担体結合処理が行われることにより、第1固相化処理が行われる。
【0089】
第1固相担体82a上に形成された免疫複合体85と、未反応の標識物質83とは、第1BF分離処理によって分離される。第1BF分離処理によって、未反応の標識物質83などの不要成分が、第1反応容器70中から除去される。
【0090】
第1BF分離処理の次に、第1反応容器70にR6試薬が分注される。R6試薬は、遊離試薬86である。遊離試薬86は、捕捉物質84の第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合を解消させる。これにより、遊離処理が行われる。遊離試薬86は、第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合の種類に応じて選択される。
【0091】
たとえば、第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合がハプテン−抗ハプテン抗体による結合である場合、ハプテンまたはハプテン誘導体が遊離試薬86として利用できる。また、第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合が、イオン結合による結合である場合は、遊離試薬86としてイオンを含む溶液が利用できる。また、第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合が、分離可能結合としてリガンド−レセプターによる結合である場合は、遊離試薬86としてリガンドまたはリガンド類似体が利用できる。第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合が、分離可能結合としてレクチン−糖鎖による結合である場合は、遊離試薬86として糖質が利用できる。また、第1結合物質84aと第1固相担体82aとの結合が、ビオチン−アビジンにより結合している場合は、遊離試薬86としてビオチンが利用できる。
【0092】
図6の例では、遊離試薬86としてDNP−Lys(DNP−Lysine)を用いる。DNP−Lysは、第1固相担体82aである抗DNP抗体化磁性粒子と反応し結合する。そのため、第1反応容器70にR6試薬が分注されると、捕捉物質84のDNPと第1固相担体82aとの結合と、遊離試薬86(DNP−Lys)と第1固相担体82aとの結合とが競合し、第1固相担体82aから免疫複合体85が解離する。
【0093】
R6試薬によって遊離した免疫複合体85は、検体分注部10によって第1反応容器70から吸引され、別の容器(第2反応容器71)に分注される。これにより、第1固相担体82aから遊離した免疫複合体85を含む上清液が第1反応容器70から第2反応容器71に移し替えられる。免疫複合体85を含む上清液が吸引された後の第1反応容器70には、第1固相担体82aが残留する。この結果、第1固相担体82aに非特異的に結合した標識物質83が、免疫複合体85から分離される。これにより、第2BF分離処理が行われる。
【0094】
免疫複合体85が分注された第2反応容器71には、次にR7試薬が分注される。R7試薬は、固相担体82として、第2固相担体82bを含有する。第2固相担体82bは、捕捉物質84の第2結合物質84bと結合する。第2固相担体82bは、ビオチンと結合するストレプトアビジンを固定した磁性粒子(StAvi結合磁性粒子)である。StAvi結合磁性粒子のストレプトアビジンは、第2結合物質84bであるビオチンと反応して結合する。この結果、目的物質81と、標識物質83と、捕捉物質84とを含む免疫複合体85が第2固相担体82bと結合する。これにより、第2固相化処理が行われる。
【0095】
第2固相担体82bと結合した免疫複合体85と、免疫複合体85が形成された第2固相担体82b以外の不要成分とは、第3BF分離処理によって分離され、不要成分が第2反応容器71中から除去される。不要成分は、たとえば、上清液中に含まれていた遊離試薬86、目的物質81と結合せずに、免疫複合体85とともに上清液中に含まれていた標識物質83などである。このように、第1固相担体82aを含む固相試薬(R5試薬)が分注された第1反応容器70中の免疫複合体85に対する分離処理(第1BF分離処理)と、第2固相担体82bを含む固相試薬(R7試薬)が分注された第2反応容器71中の免疫複合体85に対する分離処理とが、それぞれ行われる。これにより、第1反応容器70から第2反応容器71に免疫複合体85が移し替えられる際に免疫複合体85とともに混入した不要成分を除去することができるので、免疫測定におけるバックグラウンド信号をさらに低減できる。
【0096】
その後、第2反応容器71にR8試薬およびR9試薬が分注される。R8試薬は、緩衝液を含有する。第2固相担体82bと結合した免疫複合体85が緩衝液中に分散される。R9試薬は、化学発光基質を含有する。R8試薬に含有される緩衝液は、免疫複合体85に含まれる標識物質83の標識(酵素)と基質との反応を促進する組成を有する。標識に対して基質を反応させることによって光が発生し、発生する光の強度が測定部40により測定される。
【0097】
(第1検査処理による免疫測定処理動作の説明)
次に、
図2に示した免疫測定装置100の測定処理動作を、
図7を用いて説明する。また、
図7に示す例では、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を行う第1検査処理について説明する。以下の説明では、測定処理動作の各ステップについて
図7を参照し、免疫測定装置100の各部について
図2を参照するものとする。
【0098】
測定の際には、容器保持部51は、所定時間間隔ごとに、時計方向(A1方向)に単位ピッチずつ回転していく。反応容器移送部52は、検体分注部10、試薬分注部20およびBF分離部30の各処理のタイミングに合わせて、容器保持部51と検体分注部10、試薬分注部20およびBF分離部30との間で容器移送を行う。1検体の測定に着目すると、本実施形態では、検体が分注されてから測定部40に移送されるまでに、容器保持部51が4周回転する。
【0099】
容器保持部51の1周目には、ステップS1〜S3の各処理が実行される。ステップS1において、第1反応容器70にR1試薬が分注される。まず、容器供給部112から反応容器保持部60に第1反応容器70が供給される。第1試薬分注ユニット21が、反応容器保持部60に保持された第1反応容器70にR1試薬を分注する。
【0100】
ステップS2において、第1反応容器70に検体が分注される。検体分注部10が、チップ装着位置220で第1分注チップ11aを装着し、検体吸引位置210で検体を吸引する。検体分注部10は、吸引した検体を反応容器保持部60に保持された第1反応容器70に分注する。分注後、第1分注チップ11aは図示しない廃棄口に廃棄される。検体分注部10は、第1分注チップ11aの装着、検体の吸引、検体の分注および第1分注チップ11aの廃棄を単位シーケンスとする検体分注動作を、2回繰り返す。これにより、分注チップ11によって分注可能な単位量の2倍の量の検体が、第1反応容器70に分注される。検体分注部10は、第1分注チップ11aを介した分注動作を行う度に、未使用の分注チップ11(未使用の第1分注チップ11a)に交換する。
【0101】
検体の分注後、反応容器移送部52aが、容器保持部51の第1位置250に位置付けられた保持孔51aに第1反応容器70を移送する。
【0102】
第1反応容器70が容器保持部51により第3試薬分注ユニット23の試薬分注位置240まで移送されると、ステップS3において、第1反応容器70にR2試薬が分注される。第3試薬分注ユニット23が容器保持部51に保持された第1反応容器70にR2試薬を分注する。ステップS1〜S3で容器保持部51の1周目に行われる処理が完了する。
【0103】
容器保持部51の2周目には、ステップS4およびS5の各処理が実行される。ステップS4において、第1反応容器70にR3試薬が分注される。容器保持部51により第1反応容器70が第2試薬分注ユニット22の試薬分注位置230まで移送されると、第2試薬分注ユニット22が容器保持部51に保持された第1反応容器70にR3試薬を分注する。これにより、標識物質結合処理が行われる。
【0104】
ステップS5において、第1反応容器70にR4試薬が分注される。容器保持部51により第1反応容器70が第3試薬分注ユニット23の試薬分注位置240まで移送されると、第3試薬分注ユニット23が容器保持部51に保持された第1反応容器70にR4試薬を分注する。ステップS4およびS5で容器保持部51の2周目に行われる処理が完了する。
【0105】
容器保持部51の3周目には、ステップS6〜S8の各処理が実行される。ステップS6において、第1反応容器70にR5試薬が分注される。容器保持部51により第1反応容器70が第2試薬分注ユニット22の試薬分注位置230まで移送されると、第2試薬分注ユニット22が容器保持部51に保持された第1反応容器70にR5試薬を分注する。これにより、第1固相担体結合処理が行われる。
【0106】
ステップS7において、第1分離部30aにより、第1BF分離処理が行われる。まず、容器保持部51により第1反応容器70が第2位置260に移送されると、反応容器移送部52bが第1反応容器70を取り出し、第1分離部30aに移送する。
【0107】
第1分離部30aは、第1反応容器70中の試料に対して第1BF分離処理を行い、液体成分を除去する。第1BF分離処理が終わると、反応容器移送部52bが、容器保持部51の第3位置270に位置付けられた保持孔51aに第1反応容器70をセットする。
【0108】
ステップS8において、第1反応容器70にR6試薬が分注される。容器保持部51により第1反応容器70が第3試薬分注ユニット23の試薬分注位置240まで移送されると、第3試薬分注ユニット23が容器保持部51に保持された第1反応容器70にR6試薬を分注する。これにより、遊離処理が行われる。ステップS6〜S8で容器保持部51の3周目に行われる処理が完了する。
【0109】
容器保持部51の4周目には、ステップS9〜S15の各処理が実行される。ステップS9において、第1反応容器70から免疫複合体85が吸引される。容器保持部51により第1反応容器70が第4位置280まで移送されると、反応容器移送部52aが第1反応容器70を取り出し、反応容器保持部60の保持孔61に移送する。また、容器供給部112から反応容器保持部60に新しい容器が第2反応容器71として供給される。第1反応容器70と第2反応容器71とは、反応容器保持部60の複数の保持孔61にそれぞれセットされる。第1反応容器70中の磁性粒子は、第2集磁部62によって第1反応容器70の底部に集磁される。
【0110】
次に、検体分注部10が、チップ装着位置220で第2分注チップ11bを装着し、反応容器保持部60に保持された第1反応容器70から上清液を吸引することにより、免疫複合体85を吸引する。その後、反応容器保持部60が、吸引済みの第1反応容器70と第2反応容器71との位置を入れ替える。そして、検体分注部10が、反応容器保持部60に保持された第2反応容器71に免疫複合体85を分注する。これにより、第2BF分離処理が行われる。分注後、第2分注チップ11bは図示しない廃棄口に廃棄される。
【0111】
検体分注部10は、第2分注チップ11bの装着、検体の吸引、検体の分注および第2分注チップ11bの廃棄を単位シーケンスとする検体分注動作を、2回繰り返す。したがって、検体分注部10は、第2分注チップ11bを介した分注動作を行う度に、未使用の分注チップ11(未使用の第2分注チップ11b)に交換する。これにより、コンタミネーションのより確実な防止を図ることができる。
【0112】
分注後の第2反応容器71は、反応容器移送部52aによって取り出され、容器保持部51の第1位置250に位置付けられた保持孔51aに移送される。第2反応容器71を移送した後、反応容器移送部52aは、容器保持部51の第1位置250に移動してきた次の保持孔51aに、吸引された使用済み第1反応容器70を移送する。このため、容器保持部51の各保持孔51aには、第2反応容器71と使用済み第1反応容器70とが交互にセットされる。なお、保持孔51aへの第2反応容器71のセットは、第1反応容器70と交互でなく、たとえば第1反応容器70に対して2つおきや、3つおきにしてもよい。吸引済みの第1反応容器70は、ステップS10において、廃棄処理される。なお、吸引済みの第1反応容器70は、容器保持部51によって第2反応容器71と同じ経路で移送されてもよい。
【0113】
ステップS11において、第2反応容器71にR7試薬が分注される。容器保持部51により第2反応容器71が第2試薬分注ユニット22の試薬分注位置230まで移送されると、第2試薬分注ユニット22が容器保持部51に保持された第2反応容器71にR7試薬を分注する。これにより、第2固相化処理が行われる。
【0114】
ステップS12において、第2分離部30bにより、第3BF分離処理が行われる。まず、容器保持部51により第2反応容器71が第5位置290に移送されると、反応容器移送部52cが第2反応容器71を取り出し、第2分離部30bに移送する。
【0115】
第2分離部30bは、第2反応容器71中の試料に対して第3BF分離処理を行い、液体成分を除去する。第3BF分離処理が終わると、反応容器移送部52cが、第6位置300に第2反応容器71を移送する。
【0116】
ステップS13において、第2反応容器71にR8試薬が分注される。第2反応容器71が第6位置300に移送されると、反応容器移送部52dが第2反応容器71を取り出して、第4試薬分注ユニット24の分注部24aに移送する。分注部24aが、第2反応容器71にR8試薬を分注する。
【0117】
ステップS14において、第2反応容器71にR9試薬が分注される。反応容器移送部52dが、第4試薬分注ユニット24の分注部24bに第2反応容器71を移送する。分注部24bが、第2反応容器71にR9試薬を分注する。R9試薬が分注されると、反応容器移送部52dが、容器保持部51に第2反応容器71を戻す。
【0118】
ステップS15において、免疫複合体85の測定処理が行われる。容器保持部51により第2反応容器71が所定の取出位置まで移送されると、反応容器移送部52eが第2反応容器71を取り出して、測定部40に移送する。測定部40により測定処理が実行され、標識に対して基質を反応させることによって生じる光の強度が測定される。測定部40の測定結果は、制御部104に出力される。ステップS9〜S15で容器保持部51の4周目に行われる処理が完了する。
【0119】
測定終了後は、ステップS16において、反応容器移送部52eが測定済みの第2反応容器71を測定部40から取り出して、廃棄口114に廃棄する。なお、容器保持部51において、第2反応容器71がセットされていた保持孔51aの次の保持孔51aには、ステップS9で吸引された使用済み第1反応容器70がセットされていてもよい。この場合、使用済み第1反応容器70は、第2分離部30bおよび第4試薬分注ユニット24には移送されずに、容器保持部51に保持されたまま反応容器移送部52eの取出位置に移送される。反応容器移送部52eは、容器保持部51によって取出位置に移送された使用済み第1反応容器70を取り出して、廃棄口114に廃棄する。
【0120】
以上により、免疫測定装置100の第1検査処理による測定処理動作が行われる。
【0121】
(第2検査処理による免疫測定の概要)
図2の構成例では、
図8に示すように、r1試薬〜r5試薬を用いて免疫測定が行われる。また、
図8に示す例では、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定を行う第2検査処理について説明する。第2検査処理により検査される目的物質81は、第1検査処理を行わなくても、十分な精度で測定される。また、第2検査処理により検査されることにより、第1検査処理に比べて検査時間を短縮することができる。
【0122】
まず、第1反応容器70に目的物質81を含む検体とr1試薬とが分注される。r1試薬は、捕捉物質84を含有し、目的物質81と反応して結合する。捕捉物質84は、捕捉物質84が第3固相担体82cと結合するための結合物質84cを含む。なお、r1試薬は、R4試薬と同じ試薬であってもよい。
【0123】
この結合物質と固相担体との結合には、たとえばビオチンとアビジン類、ハプテンと抗ハプテン抗体、ニッケルとヒスタチジンタグ、グルタチオンとグルタチオン−S−トランスフェラーゼなどの組み合わせが利用できる。
【0124】
たとえば、捕捉物質84は、ビオチンで修飾された抗体(biotin抗体)である。すなわち、捕捉物質84には、結合物質84cとしてビオチンが修飾されている。
【0125】
次に、第1反応容器70にr2試薬が分注される。r2試薬は、固相担体82として、第3固相担体82cを含有する。第3固相担体82cは、捕捉物質84の結合物質84cと結合する。第3固相担体82cは、ビオチンと結合するストレプトアビジンを固定した磁性粒子(StAvi結合磁性粒子)である。StAvi結合磁性粒子のストレプトアビジンは、第3結合物質84cであるビオチンと反応して結合する。この結果、目的物質81と、捕捉物質84とが第3固相担体82cと結合する。なお、第3固相担体82cは、第1検査処理で用いられる第2固相担体82bと同じ成分により構成されていてもよい。つまり、r2試薬は、R7試薬と同じ試薬であってもよい。この場合、第2固相担体82bを含む試薬と第3固相担体82cを含む試薬とを共通化することができるので、免疫測定装置100に配置する試薬の種類が多くなるのを抑制することができる。
【0126】
第3固相担体82c上に形成された目的物質81および捕捉物質84と、未反応の捕捉物質84とは、1次BF分離処理によって分離される。1次BF分離処理によって、未反応の捕捉物質84などの不要成分が、第1反応容器70中から除去される。
【0127】
次に、第1反応容器70にr3試薬が分注される。r3試薬は、標識物質83を含有し、目的物質81と反応して結合する。この結果、第3固相担体82c上に、目的物質81と、標識物質83と、捕捉物質84とを含む免疫複合体85が形成される。
図8の例では、標識物質83は、ALP(アルカリホスファターゼ)標識抗体である。なお、r3試薬は、R3試薬と同じ試薬であってもよい。
【0128】
第3固相担体82c上に形成された免疫複合体85と、未反応の標識物質83とは、2次BF分離処理によって分離される。2次BF分離処理によって、未反応の標識物質83などの不要成分が、第1反応容器70中から除去される。
【0129】
その後、第1反応容器70にr4試薬およびr5試薬が分注される。r4試薬は、緩衝液を含有する。第3固相担体82cと結合した免疫複合体85が緩衝液中に分散される。r5試薬は、化学発光基質を含有する。r4試薬に含有される緩衝液は、免疫複合体85に含まれる標識物質83の標識(酵素)と基質との反応を促進する組成を有する。標識に対して基質を反応させることによって光が発生し、発生する光の強度が測定部40により測定される。なお、r4試薬およびr5試薬は、それぞれ、R8試薬およびR9試薬と同じ試薬であってもよい。
【0130】
(第2検査処理による免疫測定処理動作の説明)
次に、
図2に示した免疫測定装置100の測定処理動作を、
図9を用いて説明する。また、
図9に示す例では、免疫複合体転移法を実施しない免疫化学測定を行う第2検査処理について説明する。以下の説明では、測定処理動作の各ステップについて
図9を参照し、免疫測定装置100の各部について
図2を参照するものとする。
【0131】
測定の際には、容器保持部51は、所定時間間隔ごとに、時計方向(A1方向)に単位ピッチずつ回転していく。反応容器移送部52は、検体分注部10、試薬分注部20およびBF分離部30の各処理のタイミングに合わせて、容器保持部51と検体分注部10、試薬分注部20およびBF分離部30との間で容器移送を行う。1検体の測定に着目すると、本実施形態では、検体が分注されてから測定部40に移送されるまでに、容器保持部51が1周回転する。
【0132】
ステップS21において、第1反応容器70にr1試薬が分注される。まず、容器供給部112から反応容器保持部60に第1反応容器70が供給される。第1試薬分注ユニット21が、反応容器保持部60に保持された第1反応容器70にr1試薬を分注する。
【0133】
ステップS22において、第1反応容器70に検体が分注される。検体分注部10が、チップ装着位置220で分注チップ11を装着し、検体吸引位置210で検体を吸引する。検体分注部10は、吸引した検体を反応容器保持部60に保持された第1反応容器70に分注する。分注後、分注チップ11は図示しない廃棄口に廃棄される。検体分注部10は、分注チップ11を介した分注動作を行う度に、未使用の分注チップ11に交換する。
【0134】
検体の分注後、反応容器移送部52aが、容器保持部51の第1位置250に位置付けられた保持孔51aに第1反応容器70を移送する。
【0135】
ステップS23において、第1反応容器70にr2試薬が分注される。容器保持部51により第1反応容器70が第2試薬分注ユニット22の試薬分注位置230まで移送されると、第2試薬分注ユニット22が容器保持部51に保持された第1反応容器70にr2試薬を分注する。
【0136】
ステップS24において、第1分離部30aにより、1次BF分離処理が行われる。まず、容器保持部51により第1反応容器70が第2位置260に移送されると、反応容器移送部52bが第1反応容器70を取り出し、第1分離部30aに移送する。
【0137】
第1分離部30aは、第1反応容器70中の試料に対して1次BF分離処理を行い、液体成分を除去する。1次BF分離処理が終わると、反応容器移送部52bが、容器保持部51の第3位置270に位置付けられた保持孔51aに第1反応容器70をセットする。
【0138】
ステップS25において、第1反応容器70にr3試薬が分注される。容器保持部51により第1反応容器70が第3試薬分注ユニット23の試薬分注位置240まで移送されると、第3試薬分注ユニット23が容器保持部51に保持された第1反応容器70にr3試薬を分注する。
【0139】
ステップS26において、第2分離部30bにより、2次BF分離処理が行われる。まず、容器保持部51により第1反応容器70が第5位置290に移送されると、反応容器移送部52cが第1反応容器70を取り出し、第2分離部30bに移送する。
【0140】
第2分離部30bは、第1反応容器70中の試料に対して2次BF分離処理を行い、液体成分を除去する。2次BF分離処理が終わると、反応容器移送部52cが、第6位置300に第1反応容器70を移送する。
【0141】
ステップS27において、第1反応容器70にr4試薬が分注される。第1反応容器70が第6位置300に移送されると、反応容器移送部52dが第1反応容器70を取り出して、第4試薬分注ユニット24の分注部24aに移送する。分注部24aが、第1反応容器70にr4試薬を分注する。
【0142】
ステップS28において、第1反応容器70にr5試薬が分注される。反応容器移送部52dが、第4試薬分注ユニット24の分注部24bに第1反応容器70を移送する。分注部24bが、第1反応容器70にr5試薬を分注する。r5試薬が分注されると、反応容器移送部52dが、容器保持部51に第1反応容器70を戻す。
【0143】
ステップS29において、免疫複合体85の測定処理が行われる。容器保持部51により第1反応容器70が所定の取出位置まで移送されると、反応容器移送部52eが第1反応容器70を取り出して、測定部40に移送する。測定部40により測定処理が実行され、標識に対して基質を反応させることによって生じる光の強度が測定される。測定部40の測定結果は、制御部104に出力される。
【0144】
測定終了後は、ステップS30において、反応容器移送部52eが測定済みの第1反応容器70を測定部40から取り出して、廃棄口114に廃棄する。
【0145】
以上により、免疫測定装置100の第2検査処理による測定処理動作が行われる。
【0146】
(第1検査処理および第2検査処理の管理の概要)
図2の構成例では、
図10に示す一例のように、第1検査処理および第2検査処理が混在して行われてもよい。
図10に示す例では、2つの第1検査処理の測定オーダーと、1つの第2検査処理の測定オーダーとに対する検査処理について説明する。
【0147】
ターンT1において反応容器保持部60から開始される第1検査処理は、ターンT2〜T5において、容器保持部51の孔B1に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT6〜T11において、容器保持部51の孔D1に配置され反応処理が行われる。ターンT12〜T13において、第1分離部30aの孔C1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT14〜T15において、容器保持部51の孔B1に配置され反応処理が行われる。ターンT16において、反応容器保持部60の孔A1に配置され分注処理が行われる。ターンT17〜T19において、容器保持部51の孔F1に配置され反応処理が行われる。ターンT20〜T21において、第2分離部30bの孔E1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT22〜T24において、容器保持部51の孔F1に配置され反応処理が行われる。ターンT25において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0148】
ターンT2において反応容器保持部60から開始される第2検査処理は、ターンT3〜T6において、容器保持部51の孔B2に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT7〜T8において、第1分離部30aの孔C1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT9〜T12において、容器保持部51の孔D1に配置され反応処理が行われる。ターンT13〜T14において、第2分離部30bの孔E1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT15〜T18において、容器保持部51の孔F2に配置され反応処理が行われる。ターンT19において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0149】
ターンT4において反応容器保持部60から開始される第1検査処理は、ターンT5〜T6において、容器保持部51の孔B3に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT7〜T10において、容器保持部51の孔D3に配置され反応処理が行われる。ターンT11〜T12において、第1分離部30aの孔C2に配置されBF分離処理が行われる。ターンT13〜T14において、容器保持部51の孔B2に配置され反応処理が行われる。ターンT15において、反応容器保持部60の孔A1に配置され分注処理が行われる。ターンT16〜T18において、容器保持部51の孔F3に配置され反応処理が行われる。ターンT19〜T20において、第2分離部30bの孔E2に配置されBF分離処理が行われる。ターンT21〜T23において、容器保持部51の孔F3に配置され反応処理が行われる。ターンT24において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0150】
なお、第1検査処理および第2検査処理の選択は、ユーザにより選択されてもよいし、測定する目的物質81に応じて選択されてもよい。また、測定項目に応じて選択されてもよい。測定項目は、たとえば、HIV抗体、HA抗体、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体、梅毒抗体などの測定項目を含む。この場合、特定の測定項目がユーザにより選択された場合、免疫複合体転移法を用いた高感度の免疫測定を行う第1検査処理を行うようにしてもよい。
【0151】
(第1検査処理の管理の概要)
図2の構成例では、
図11に示す一例のように、複数の第1検査処理が行われてもよい。
図11に示す例では、3つの第1検査処理の測定オーダーに対する検査処理について説明する。
【0152】
ターンT1において反応容器保持部60から開始される第1検査処理は、ターンT2〜T5において、容器保持部51の孔B1に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT6〜T11において、容器保持部51の孔D1に配置され反応処理が行われる。ターンT12〜T13において、第1分離部30aの孔C1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT14〜T15において、容器保持部51の孔B1に配置され反応処理が行われる。ターンT16において、反応容器保持部60の孔A1に配置され分注処理が行われる。ターンT17〜T19において、容器保持部51の孔F1に配置され反応処理が行われる。ターンT20〜T21において、第2分離部30bの孔E1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT22〜T24において、容器保持部51の孔F1に配置され反応処理が行われる。ターンT25において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0153】
ターンT2において反応容器保持部60から開始される第1検査処理は、ターンT3〜T4において、容器保持部51の孔B2に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT4〜T9において、容器保持部51の孔D2に配置され反応処理が行われる。ターンT10〜T11において、第1分離部30aの孔C1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT12〜T13において、容器保持部51の孔B1に配置され反応処理が行われる。ターンT14において、反応容器保持部60の孔A1に配置され分注処理が行われる。ターンT15〜T17において、容器保持部51の孔F2に配置され反応処理が行われる。ターンT18〜T19において、第2分離部30bの孔E1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT20〜T22において、容器保持部51の孔F2に配置され反応処理が行われる。ターンT23において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0154】
ターンT4において反応容器保持部60から開始される第1検査処理は、ターンT5〜T6において、容器保持部51の孔B3に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT7〜T10において、容器保持部51の孔D3に配置され反応処理が行われる。ターンT11〜T12において、第1分離部30aの孔C2に配置されBF分離処理が行われる。ターンT13〜T14において、容器保持部51の孔B2に配置され反応処理が行われる。ターンT15において、反応容器保持部60の孔A1に配置され分注処理が行われる。ターンT16〜T18において、容器保持部51の孔F3に配置され反応処理が行われる。ターンT19〜T20において、第2分離部30bの孔E2に配置されBF分離処理が行われる。ターンT21〜T23において、容器保持部51の孔F3に配置され反応処理が行われる。ターンT24において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0155】
(第2検査処理の管理の概要)
図2の構成例では、
図12に示す一例のように、複数の第2検査処理が行われてもよい。
図12に示す例では、3つの第2検査処理の測定オーダーに対する検査処理について説明する。
【0156】
ターンT1において反応容器保持部60から開始される第2検査処理は、ターンT2〜T5において、容器保持部51の孔B1に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT6〜T7において、第1分離部30aの孔C1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT8〜T11において、容器保持部51の孔D1に配置され反応処理が行われる。ターンT12〜T13において、第2分離部30bの孔E1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT14〜T17において、容器保持部51の孔F1に配置され反応処理が行われる。ターンT18において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0157】
ターンT2において反応容器保持部60から開始される第2検査処理は、ターンT3〜T6において、容器保持部51の孔B2に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT7〜T8において、第1分離部30aの孔C2に配置されBF分離処理が行われる。ターンT9〜T12において、容器保持部51の孔D2に配置され反応処理が行われる。ターンT13〜T14において、第2分離部30bの孔E2に配置されBF分離処理が行われる。ターンT15〜T18において、容器保持部51の孔F2に配置され反応処理が行われる。ターンT19において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0158】
ターンT3において反応容器保持部60から開始される第2検査処理は、ターンT4〜T7において、容器保持部51の孔B3に配置され反応処理が行われる。その後、ターンT8〜T9において、第1分離部30aの孔C1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT10〜T13において、容器保持部51の孔D3に配置され反応処理が行われる。ターンT14〜T15において、第2分離部30bの孔E1に配置されBF分離処理が行われる。ターンT16〜T19において、容器保持部51の孔F3に配置され反応処理が行われる。ターンT20において、測定部40の孔G1に配置され測定処理が行われる。
【0159】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく請求の範囲によって示され、さらに請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0160】
たとえば、反応容器保持部60および容器保持部51の他の構成例として、
図13に示す変形例を採用してもよい。
【0161】
この変形例では、検体分注位置315と、容器受渡位置316との間を移動可能な反応容器保持部310が設けられている。反応容器保持部310は、直線状の搬送路311に沿って、保持孔312を有する保持部材313を直線移動可能に構成されている。保持孔312は、複数設けられ、
図13では2つ設けられた例を示している。保持孔312には、容器供給部112から供給される第1反応容器70および第2反応容器71がセットできる。固相担体82として磁性粒子が用いられる場合、反応容器保持部310に第2集磁部314を設けてよい。第2集磁部314は、検体分注位置315の近傍で、たとえば搬送路311の側方位置または下方位置に配置される。また、第2集磁部314は、保持部材313に取り付けられてもよい。
【0162】
反応容器保持部310は、保持部材313を移動させることで、第1反応容器70および第2反応容器71をそれぞれ検体分注位置315に配置できる。検体分注部10は、分注チップ供給部111から供給される第1分注チップ11aを介して、遊離試薬86によって固相担体82から遊離した免疫複合体85を、第2分注チップ11bを介して吸引する。検体分注部10は、第2分注チップ11bを介して吸引した免疫複合体85を、第2反応容器71に分注する。
【0163】
図13の構成例では、容器保持部51の代わりに、複数の保持孔331を備える反応部330が、複数設けられている。反応容器移送部320が、容器受渡位置316で保持部材313から第1反応容器70および第2反応容器71を取り出して、反応部330にセットする。複数の反応容器移送部320がそれぞれの反応部330およびBF分離部30の間で第1反応容器70および第2反応容器71を1つずつ移送する。なお、反応部330は、保持孔331に保持される第1反応容器70および第2反応容器71を所定温度に加温または維持する機能を有していてもよい。この場合、反応部330は、温度設定が可変に構成されていてもよい。以上のような構成であってもよい。
【0164】
また、
図2に示した構成例では、検体分注部10が、遊離試薬86によって固相担体82aから遊離した免疫複合体85を第2反応容器71に分注する例を示したが、これに限られない。検体分注部10以外の分注部により、遊離試薬86によって固相担体82aから遊離した免疫複合体85を第2反応容器71に分注してもよい。
【0165】
また、
図2に示した構成例では、
図7に示したように、容器保持部51を4周回転させて検体測定を行う例を示したが、これに限られない。4周以外の周回数で1検体の測定が完了するようにしてもよい。この場合、たとえば試薬分注部20が4つ以上の数の試薬分注ユニットを備えていてもよい。
【0166】
また、
図2に示した構成例では、第1検査処理と第2検査処理とを混在して行う例を示したが、これに限られない。第1検査処理を行う第1検査モードと、第2検査処理を行う第2検査モードとが切り替えられるようにしてもよい。つまり、制御部104は、第1検査処理を管理する第1検査モードと、第2検査処理を管理する第2検査モードとを切り替えるようにしてもよい。また、制御部104は、第2反応容器71に収容された免疫複合体に含まれる標識に基づく信号を測定する第1検査モードと、第1反応容器70に収容された免疫複合体に含まれる標識に基づく信号を測定する第2検査モードと、を切り替えてもよい。この場合、第1検査モードの場合、複数または単数の第1検査処理のみが行われる。また、第2検査モードの場合、複数または単数の第2検査処理のみが行われる。これにより、第1検査処理を行う場合、第1検査モードに切り替えることにより、免疫測定装置100の動作を第1検査処理に最適化することができるので、効率よく第1検査処理を行うことができる。また、第2検査処理を行う場合、第2検査モードに切り替えることにより、免疫測定装置100の動作を第2検査処理に最適化することができるので、効率よく第2検査処理を行うことができる。
【0167】
また、第1検査モードおよび第2検査モードの切り替えは、ユーザの操作に基づき、免疫測定装置100を再起動して行ってもよい。つまり、制御部104は、ユーザの選択により、第1検査モードと、第2検査モードとを切り替えてもよい。これにより、ユーザの所望する第1検査処理または第2検査処理による検査を容易に行うことができる。また、制御部104は、再起動することにより、第1検査モードと第2検査モードとを切り替えてもよい。これにより、モード切り替え時に再起動することにより、安定して第1検査モードまたは第2検査モードに移行することができる。
【0168】
また、第1検査モードおよび第2検査モードの切り替えは、測定項目に応じて切り替えられてもよい。つまり、制御部104は、測定項目に応じて、第1検査モードと第2検査モードとを切り替えてもよい。これにより、測定項目に適した検査モードにより効率よく検査を行うことができる。測定項目は、たとえば、HIV抗体、HA抗体、HBs抗体、HBc抗体、HCV抗体、梅毒抗体などの測定項目を含む。また、制御部104は、より精度を必要とする測定項目の場合、第1検査モードに切り替えてもよい。
【0169】
また、
図2に示した構成例では、検体分注部により、遊離試薬によって固相担体から遊離した免疫複合体を第2反応容器に分注する例を示したが、これに限られない。たとえば、
図14に示す変形例のように、試薬分注部20により、遊離試薬によって固相担体から遊離した免疫複合体85を第2反応容器71に分注してもよい。これにより、試薬を分注するための試薬分注部20によって、免疫複合体転移法のための免疫複合体85の分注ができる。
【0170】
また、
図15に示す変形例のように、遊離した免疫複合体85を分注するための免疫複合体分注部90を設け、免疫複合体分注部90により、遊離試薬によって固相担体から遊離した免疫複合体85を第2反応容器71に分注してもよい。これにより、免疫複合体を分注するために最適化された免疫複合体分注部90によって、免疫複合体転移法のための免疫複合体85の分注ができるので、免疫複合体85の分注を効率よく行うことができる。