特許第6335391号(P6335391)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335391平面媒体搬送システムのための吸引ボックス及びこのようなシステムを備えた印刷機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335391
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】平面媒体搬送システムのための吸引ボックス及びこのようなシステムを備えた印刷機
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20180521BHJP
   B41J 11/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B41J2/01 305
   B41J2/01 307
   B41J11/08
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-522723(P2017-522723)
(86)(22)【出願日】2015年7月17日
(65)【公表番号】特表2017-522209(P2017-522209A)
(43)【公表日】2017年8月10日
(86)【国際出願番号】EP2015025050
(87)【国際公開番号】WO2016008597
(87)【国際公開日】20160121
【審査請求日】2017年1月18日
(31)【優先権主張番号】14002499.3
(32)【優先日】2014年7月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ベソン ジャン−フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】マルチャーノ パスカル
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0109768(US,A1)
【文献】 特開2014−125342(JP,A)
【文献】 特開2006−089223(JP,A)
【文献】 特開2011−168351(JP,A)
【文献】 特開2009−255520(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0244244(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
B41J 11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの印刷ユニット(2)を備えた媒体印刷機(1)における、一連の貫通穴が設けられた少なくとも1つのエンドレスベルト(6)を有する平面媒体搬送システム(4)のための吸引ボックスであって、
− 前記ベルト(6)が通過する面(16)と、
− 真空を生成できる吸引手段(17)と、
を有し、前記面(16)に、
− 前記ベルト(6)によって搬送される前記媒体に前記ベルト(6)の前記貫通穴を通じて前記真空を付与するように前記吸引手段(17)と連通する、少なくとも1つの第1の吸引圧力のゾーン(22、23、24)であって、前記第1の吸引圧力のゾーン(22、23、24)は、吸引区画(28、29、31)に関連し、区画(28、29、31)は、吸引ダクト(18a、18b、18c)と連通する、第1の吸引圧力のゾーン(22,23,24)と、
− 前記印刷ユニット(2)の領域内に存在して前記第1の圧力の値よりも高い値を有するとともに、前記吸引手段(17)に連通しない、少なくとも1つの第2の圧力のゾーン(26、27)と、
が形成される、
ことを特徴とするボックス。
【請求項2】
前記第2の圧力のゾーン(26、27)は、前記印刷ユニット(2)の少なくとも1つのデジタル印字ヘッド(14)に対して垂直に位置し、前記第1の吸引圧力のゾーン(22、23、24)は、前記印字ヘッド(14)から前記平面媒体の搬送方向にオフセットして位置する、請求項1に記載のボックス。
【請求項3】
1つの第2の圧力のゾーン(26、27)と、2つの第1の吸引圧力のゾーン(22、23、24)とを含み、前記第2の圧力のゾーン(26、27)は、第1の吸引圧力のゾーン(22、23、24)によって取り囲まれる、
請求項1又は2に記載のボックス。
【請求項4】
前記ゾーン(22、23、24、26、27)は、前記平面媒体の搬送方向に直交する方向に配向される、
請求項1から3のいずれか1項に記載のボックス。
【請求項5】
前記第1の吸引圧力のゾーン(22、23、24)は、穴開きプレート(32)を有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のボックス。
【請求項6】
前記吸引手段(17)は、少なくとも1つの吸引ダクト(18)と、少なくとも1つの吸引システム(19)とを含む、
請求項1から5のいずれか1項に記載のボックス。
【請求項7】
少なくとも1つの印刷ユニット(2)を備えた媒体印刷機(1)における、一連の貫通穴が設けられた少なくとも1つのエンドレスベルト(6)を有する平面媒体搬送システムであって、請求項1から6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの吸引ボックス(11)を備える、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
前記ベルト(6)は、少なくとも1つの駆動モータ(9)によって回転駆動されて前記ベルト(6)を搬送方向(F)に駆動する第1及び第2ローラ(7、8)間に取り付けられる、
請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
少なくとも1つの印刷ユニット(2)を備えた平面媒体印刷機であって、請求項7又は8に記載の平面媒体搬送システム(4)を備える、
ことを特徴とする平面媒体印刷機。
【請求項10】
少なくとも1つの印刷ユニット(2)を備えた平面媒体印刷機であって、請求項1から6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの吸引ボックスを有する媒体搬送システムを備える、
ことを特徴とする平面媒体印刷機。
【請求項11】
各印刷ユニット(2)は、吸引ボックス(11)に関連する、
請求項9又は10に記載の平面媒体印刷機。
【請求項12】
前記印刷ユニット(2)は、少なくとも1つのデジタル印字ヘッド(14)を有する、請求項9から11のいずれか1項に記載の平面媒体印刷機。
【請求項13】
横向きに配置されたデジタル印字ヘッド(14)の第1の列(14a)を有し、該第1の列(14a)に対して第2の圧力の第1のゾーン(26)が垂直に位置し、横向きに配置されたデジタル印字ヘッド(14)の第2の列(14b)をさらに有し、該第2の列(14b)に対して第2の圧力の第2ゾーン(27)が垂直に位置する、
請求項9から12のいずれか1項に記載の平面媒体印刷機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面媒体搬送システムのための吸引ボックスに関する。本発明は、少なくとも1つの吸引ボックスを含む平面媒体搬送システムに関する。本発明は、少なくとも1つの吸引ボックスを含む平面媒体搬送システムを備えた、これらの媒体の印刷機にも関する。
【背景技術】
【0002】
包装業界では、シート又は巻取紙又は厚紙などの平面媒体に印刷を行うための印刷機が使用される。印刷機は、複数の連続ステーションを含む。最も上流に位置する第1のステーションは、媒体を連続して投入する送り込みステーションである。送り込みステーションは、順に配置された1又は2以上の印刷ユニットの形態の複数の印刷ステーションに供給を行う。印刷ユニットの各々は、同等の配色を有するインクを用いて特定の色を印刷する。機械の最後には、画像が印刷された媒体を収集する配送ステーションが設けられる。
【0003】
厚紙シートに、具体的には段ボール紙に印刷を行う際に最も頻繁に使用される技術は、フレキソユニットを用いたフレキソ印刷である。例えばインクジェットタイプのデジタル印字ヘッドを備えた印刷ユニットの使用と共に、デジタル印刷もますます発展している。梱包材メーカーは、この印刷技術により、梱包デザインを表すコンピュータファイルから新たなシートに印刷を行うために非常に素早く業務を変更することができる。
【0004】
印刷機は、所望の色数に応じて1又は2以上の印刷ユニットを含む。媒体は、送り込みステーションから印刷ユニットへ、さらには配送ステーションへと上流から下流に長手方向に移動する。印刷媒体上に最終的な高品質画像を得るには、全ての印刷された異なる色のドットが正確に隣合わせに配置されることが特に必要である。印刷されたドットが変形していないことも必要である。
【0005】
平面媒体上に得られる印刷品質は、印刷機の質、使用するインクの質及び媒体投入の質だけでなく、使用する1又は複数の搬送システムの質及び精度にも依存する。
【0006】
媒体は、媒体を送り込みステーションから配送ステーションまで1つの印刷ユニットから他の印刷ユニットへ上流から下流に長手方向に移動させるために駆動されるベルト、フラットストラップ又は鋼ロールを用いて真空搬送によって搬送される。最適な印刷品質を得るには、媒体をできるだけ均一な速度で搬送することが基本原則の1つである。別の原則としては、1又は複数の印刷ユニットによる印刷中に、或いは1又は複数の印刷ユニット間で逸脱しないようにできるだけしっかりと媒体を保持し、搬送システムによって完全に導かれなければならない。
【0007】
米国特許第6,471,430号には、紙又は厚紙の形態の媒体のための、搬送システムを含む印刷機が記載されている。印刷するには、シートフィーダからシートを取り込み、第1のエンドレス搬送ベルト上で搬送する。搬送中、シートは吸引システムによって適所に保持され、第1の印刷ユニットの下方、及びその下流の第1のインク乾燥機の下方を通過する。その後は、シートをひっくり返し、第2の搬送ベルトによって第2の印刷ユニットの下方及び第2のインク乾燥機の下方を搬送した後で排出ステーションに収集する。
【0008】
搬送ベルトには、空気の吸引と、機械内におけるシートの搬送を可能にする保持効果の取得とを可能にする一連の貫通穴が形成される。さらに、真空を生成するために、ベルトの下方には吸引ボックスが配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,471,430号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、搬送ベルトの下方で真空を付与することによって印刷予定のシートを平坦に保つ吸引システムの使用にはいくつかの欠点がある。生成される真空が媒体に影響し、インクの堆積自体に、従って印刷品質に影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の主な目的は、平面媒体印刷機における平面媒体搬送システムのための吸引ボックスを提供することである。第2の目的は、印刷予定の媒体が搬送システムの搬送ベルト上に十分に保持されることを確実にする、これらの媒体を搬送するための吸引ボックスを提供することである。第3の目的は、印刷工程が必要な精度を保つように印刷工程にわずかな影響しか与えない吸引ボックスを開発することである。第4の目的は、エンドレスベルトを含む搬送システムを、少なくとも1つの吸引ボックスを備えた平面媒体印刷機に適合させることである。第5の目的は、先行技術のボックス及び搬送システムについて言及した技術課題を克服することである。さらに別の目的は、少なくとも1つの印刷ユニットを備えた平面媒体印刷機の印刷品質をさらに向上させることである。
【0012】
本発明の態様によれば、少なくとも1つの印刷ユニットを備えた平面媒体印刷機における、一連の貫通穴が設けられた少なくとも1つのエンドレス搬送ベルトを有する平面媒体搬送システムのための吸引ボックスが意図される。この吸引ボックスは、
− エンドレスベルトが通過する面と、
− 真空を生成できる吸引手段と、
を有する。
【0013】
この吸引ボックスでは、上記の面に、
− エンドレスベルトによって搬送される平面媒体にエンドレスベルトの貫通穴を通じて生成された真空を付与するように吸引手段と連通する、少なくとも1つの第1の吸引圧力のゾーンと、
− 印刷ユニットの領域内に存在して第1の圧力の値よりも高い値を有する、少なくとも1つの第2の圧力のゾーンと、
が形成される。
【0014】
換言すれば、吸引手段によって生じる吸引は、印刷ユニットの領域では印刷を妨げないように遮られる。この吸引は、印刷ユニット前後のエンドレスベルトの領域で作用する。1又は複数の第2の圧力のゾーンは、吸引手段と連通しない。従って、印刷ユニットによって印刷される予定の平面媒体は、印刷ユニットに達する地点及び印刷ユニットから離れる地点まで完全にベルトによって搬送され続ける。これにより、平面媒体の平面性と、搬送ベルトに対して平面媒体が動かないことと、従って搬送精度とを保つために、1又は複数の吸引ゾーンの領域で高い最適な吸引を維持できるようになる。
【0015】
平面媒体は、非限定的な例として、紙、平らな厚紙、段ボール紙、積層段ボール紙、例えばポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)又はその他のポリマーなどの可撓性プラスチック、或いはさらに他の材料などの、シート、ボード、又は連続ストリップの形の材料で構成されたものとして定義される。平面媒体は、非限定的な例として、ブランク紙及びその後の包装箱を形成するためのシートとして定義される。
【0016】
長手方向は、印刷機内における、その中心長手方向軸に沿った平面媒体の軌道に関して定義される。上流方向及び下流方向は、印刷機全体の長手方向における、媒体の軌道での移動方向に関して定義される。
【0017】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの印刷ユニットを備えた媒体印刷機における、一連の貫通穴が設けられた少なくとも1つのエンドレスベルトを有する平面媒体搬送システムが、以下及び請求項に記載する技術的特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する少なくとも1つの吸引ボックスを含む。
【0018】
本発明の別の態様では、少なくとも1つの印刷ユニットを備えた平面媒体印刷機が、以下及び請求項に記載する技術的特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する少なくとも1つの吸引ボックスを含む平面媒体搬送システムを備える。
【0019】
本発明のさらに別の態様では、少なくとも1つの印刷ユニットを備えた平面媒体印刷機が、以下及び請求項に記載する技術的特徴のうちの1つ又は2つ以上を有する平面媒体搬送システムを備える。
【0020】
本発明は、添付の概略図面を参照して行う以下の非限定的かつ例示的な実施形態の説明から容易に理解され、その様々な利点及び異なる特徴がさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による搬送システム及び吸引ボックスを含む印刷機の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態による吸引ボックスの斜視平面図である。
図3】本発明の第2の実施形態による吸引ボックスの斜視平面図である。
図4図2のボックスの平面図である。
図5図3のボックスの平面図である。
図6図2のボックスのプレートを含まない斜視平面図である。
図7図2のボックスのプレートを含まない平面図である。
図8図2のボックスの下側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示すように、印刷機1は、例えば段ボール紙などのプレート状要素の形の媒体に印刷を行うために使用される。主な例示的な実施形態では、印刷機1が、例えば米国特許6.471,430号明細書に記載されているいくつかの構成部品を含むデジタル印刷機である。印刷機1は、順に一列に配置された一連の4つの印刷ユニット2を含む。印刷ユニット2では、黒、シアン、マゼンタ及び黄色の水性インクがシート上に連続して印刷される。
【0023】
シートは、印刷機1(図示せず)の上流に取り付けられた供給ステーション(図示せず)によって投入(図1の矢印F)される。その後、これらのシートは把持され、長手方向Fに搬送されて循環し、印刷されると印刷機1の下流に取り付けられた配送ステーション(図示せず)において出力Fされる。印刷ユニット2の下流には、蒸気排出管を有する2つの乾燥機3が配置される。
【0024】
印刷予定のシートは、搬送システム4によって上流から下流に搬送される。搬送システム4は、少なくとも1つのベルトを有し、この例では、第1の上流側ローラ7と第2の下流側ローラ8との間に取り付けられた単一のエンドレス金属ベルト6を有する。エンドレスベルト6には、一連の貫通穴(図1では見えない)が設けられる。2つのローラ7及び8の少なくとも一方はモータ9によって回転駆動(図1の矢印R)され、これによってベルト6が駆動される。ローラ7及び8、並びにベルト6は、フレーム10に取り付けられる。
【0025】
シートは、真空ボックス11とも呼ばれる吸引ボックスによってベルト6に平らに貼り付いたままの状態で印刷ユニット2及び乾燥機3の下を通過する。図1では、印刷ユニット2の下方の真空ボックス11のみを破線で示している。
【0026】
印刷機1は、印刷予定の厚紙シート上に印刷によって堆積するインクの付着性及び安定性を促すために、上流側コーティングユニット12を含むことが好ましい。この上流側コーティングユニット12は、第1の印刷ユニット2の上流であって供給ステーションの直後に配置される。上流側コーティングユニット12は、上流側ローラ7に対して垂直に配置される。上流側コーティングユニット12と第1の印刷ユニット2との間には、コーティングを乾燥させるために乾燥機3を配置することができる。
【0027】
印刷機1は、印刷済みの厚紙シート上に印刷によって堆積したインクの安定性及び保護を促すために、下流側コーティングユニット13を含むことが好ましい。この下流側コーティングユニット13は、最後の印刷ユニット2及び乾燥機3の下流であって配送ステーションの直前に配置される。下流側コーティングユニット13は、下流側ローラ8に対して垂直に配置される。
【0028】
印刷機1では、各印刷ユニット2が、例えばインクジェットタイプの少なくとも1つの非接触デジタル印字ヘッド14を備える。一例として、各々が下を向いた(図2に破線で示す)一連の12個のヘッド14を設けることにより、ベルト6によって搬送されるシートの上面が印刷される。印刷ユニット2、従って印刷機1は、ベルト6に対して横向きに配置されたデジタル印字ヘッド14の第1の上流側の列又は行14aを含むことが好ましい。印刷ユニット2、従って印刷機1は、ベルト6に対して横向きに配置されたデジタル印字ヘッド14の第2の下流側の列又は行14bを含むことが好ましい。幅全体を途切れなくカバーするために、第1の列14aのヘッド14は、第2の列14bのヘッド14に対して横方向にオフセットされる。
【0029】
ベルト6の下方のフレーム10には、4つの吸引ボックス11が取り付けられる。ボックス11は、シートを搬送するベルト6の上側部分と、逆向きに戻るベルト6の下側部分との間に存在する。各吸引ボックス11は、ベルト6の下面に向けられた実質的に平坦な上面16を有し、シートは、ベルト6の下面に平らに貼り付く。ベルト6は、上面16を通過する。
【0030】
各吸引ボックス11は、真空を生成することができる吸引手段17を含む。吸引手段17は、少なくとも1つの吸引ダクト又は吸引チューブ18と、モータ21の形の吸引システム19とを含む。
【0031】
印字ヘッド14による印刷中には、オペレータが望む印刷品質を維持するために、ヘッド14によって放出されるインクジェットの微小液滴が最適な軌道及び形状を持続することが重要である。これらの微小液滴がシートに達する前に軌道から外れたり加速したりしないことを確実にするために、本発明の第1の実施形態(図2及び図4を参照)によれば、まず面16に、少なくとも1つの第1の吸引圧力のゾーン、この例では3つの吸引ゾーン22、23及び24が形成される。これらの3つの吸引ゾーン22、23及び24は、ベルト6によって搬送されるシートにベルト6の穴を通じて真空を付与するために吸引手段17と連通する。各ボックス11では、面16に、上流側吸引ゾーン22、中央吸引ゾーン23及び下流側吸引ゾーン24が形成される。
【0032】
また、本発明の第1の実施形態によれば、次に面16に、少なくとも1つの第2の圧力のゾーンが形成され、この第2の圧力は、第1の吸引圧力の値とは異なるさらに大きな値を有する。図2及び図4に示す例では、面16が、2つの大気圧ゾーン26及び27を有する。各ボックス11では、面16に、第1の上流側大気圧ゾーン26、及び第2の下流側大気圧ゾーン27が形成される。
【0033】
ボックス11では、大気圧ゾーン26及び27が、吸引ゾーン22、23及び24によって取り囲まれることが好ましい。より詳細には、2つの大気圧ゾーン26及び27が3つの吸引ゾーン22、23及び24と交互になり、各大気圧ゾーン26及び27が吸引ゾーン22、23及び24によって取り囲まれることが好ましい。2つの大気圧ゾーン26及び27は、印刷ユニット2の領域に、具体的には印刷ユニット2の下方に存在する。より正確には、大気圧ゾーン26及び27は、印字ヘッド14に対して垂直に存在することが好ましい。大気圧ゾーン26及び27は、外気に開放される。
【0034】
また、吸引ゾーン22、23及び24は、印字ヘッド14から長手方向にオフセットされるように位置する。ゾーン22、23、24、26及び27は、ベルト6に対して横向きに配向される。第1の大気圧ゾーン26は、ヘッド14aの第1の列に対して垂直に存在し、第2の大気圧ゾーン27は、ヘッド14bの第2の列に対して垂直に存在する。
【0035】
シートの先頭は、ヘッド14aの第1の列によって印刷されると、中央吸引ゾーン23に捕らえられることによって適所に保持され、その後、ヘッド14bの第2の列の下方を通過して印刷された後に、下流側吸引ゾーン24に捕らえられることによって適所に保持される。
【0036】
各吸引ゾーン22、23及び24は、ボックス11の一部を成すとともに吸引手段17の一部を成す下層の吸引区画28、29及び31にそれぞれ関連する(図4図7を参照)。上流側区画28は、上流側吸引ゾーン22の領域における真空の生成を可能にする。中央区画29は、中央吸引ゾーン23の領域における真空の生成を可能にする。下流側区画31は、下流側吸引ゾーン24の領域における真空の生成を可能にする。区画28、29及び31の各々は、実質的に平行六面体の横方向体積を形成する。区画28、29及び31は互いに分離されており、これによって大気圧ゾーン26及び27の範囲を定めることが可能になる。
【0037】
各区画28、29及び31は、区画28、29及び31の各々の中央で開口する吸引ダクト18a、18b及び18c(図7を参照)と連通する。吸引ダクト18a、18b及び18cは、吸引システム19に収束して吸引手段17の一部を成す。
【0038】
各吸引ゾーン22、23及び24は、穴開きプレート32を含むことが好ましい。プレート及びその穴は、吸引ゾーン22、23及び24の領域でも吸引を可能にする。面16は、その全体を単一の上側穴開きプレート32によって覆うことができる。ベルト6は、プレート32の真上を通過する。プレート32は、上流側吸引ゾーン22と中央吸引ゾーン23とを互いに分離して接続するとともに中央吸引ゾーン23と下流側吸引ゾーン24とを互いに分離して接続する長手方向ロッド33を含む。ロッド33の長さは、大気圧ゾーン26及び27の長さを定める。
【0039】
本発明の第2の実施形態(図3及び図5を参照)では、まず面16に、少なくとも1つの第1の吸引圧力のゾーン、この例では上流側吸引ゾーン22、中央吸引ゾーン23及び下流側吸引ゾーン24である3つの吸引ゾーンが形成され、これらのゾーンは互いに実質的に類似し、第1の実施形態と実質的に同様に機能する。
【0040】
面16には、次に少なくとも1つの第2の圧力ゾーンが形成され、この第2の圧力は、第1の吸引圧力値とは異なるさらに大きな値を有する。図3及び図5に示す例では、面16が、大気圧とは異なるさらに低い圧力の2つのゾーン26及び27を有する。
【0041】
各吸引ゾーン22、23及び24は、穴開きプレート32を含むことが好ましい。プレート及びその穴は、吸引ゾーン22、23及び24の領域でも吸引を可能にする。面16は、その全体を単一の上側穴開きプレート32によって覆うことができる。ベルト6は、プレート32の真上を通過する。第2の実施形態(図3及び図5)では、プレート32が、長手方向に配置されてベルト6の保持を可能にするリブ又はランナ34を含む。ベルト6は、これらのパッド34の上縁上を摺動することによって循環する。
【0042】
印刷中のシートは、これらに作用する吸引圧力によって印字ヘッド14の領域で上下に動いて波打たないようにしなければならない。従って、吸引を第2の圧力未満に保つために、第1の圧力の値を保ちながら第1の圧力と第2の圧力との差分を低減することが興味深い。
【0043】
これを行うために、リブ34の領域に整列穴36を配置して、第1の吸引圧力のゾーン22、23及び24を第2の圧力のゾーン26及び27に接続できるようにする。上流側に位置する穴36は、上流側吸引ゾーン22と、第2の圧力の第1の上流側ゾーン26と、中央吸引ゾーン23との間の相互接続部を形成する。下流側に位置する穴36は、中央吸引ゾーン23と、第2の圧力の第2の下流側ゾーン27と、下流側吸引ゾーン24との間の相互接続部を形成する。
【0044】
本発明は、説明し図示した実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲を越えることなく数多くの修正を行うことができる。
【0045】
印字ヘッド14の数、並びにヘッドの列14a及び14bの数は可変である。吸引ゾーン22、23及び24の数、並びに大気圧ゾーン26及び27の数についても同様である。複数のボックス11のための吸引手段17として共通吸引システムを設けることもできる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8