特許第6335418号(P6335418)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335418
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】空気調和システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/00 20110101AFI20180521BHJP
   F24F 11/70 20180101ALI20180521BHJP
   F24F 3/14 20060101ALI20180521BHJP
   F24F 13/26 20060101ALI20180521BHJP
   F24F 7/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   F24F1/00 371B
   F24F11/02 102V
   F24F3/14
   F24F13/26
   F24F7/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-165379(P2016-165379)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-31559(P2018-31559A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2016年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000244958
【氏名又は名称】木村工機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 恵一
(72)【発明者】
【氏名】森田 満津雄
(72)【発明者】
【氏名】浦野 勝博
【審査官】 町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−081721(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3094164(JP,U)
【文献】 実開平02−013934(JP,U)
【文献】 特開2015−057576(JP,A)
【文献】 特開2005−069515(JP,A)
【文献】 特開2013−104599(JP,A)
【文献】 実開昭54−136853(JP,U)
【文献】 実開昭57−121004(JP,U)
【文献】 特開2016−070610(JP,A)
【文献】 特開2016−099071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00
F24F 3/14
F24F 7/00
F24F 11/70
F24F 13/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調用空気が供給されるように設けられた誘引放射ユニット(A)と、前記誘引放射ユニット(A)に供給される前記空調用空気を加湿するように設けられた加湿ユニット(B)と、を備え、
前記誘引放射ユニット(A)が、前記空調用空気が噴流するように設けられた空気供給部(2)と、前記空気供給部(2)から出た噴流空気の誘引作用にて被空調空間(S)の空気を引き込むように設けられた空気誘引部(3)と、前記空気供給部(2)の前記噴流空気と前記空気誘引部(3)の誘引空気との混合空気を前記被空調空間(S)へ放出しかつ前記混合空気の熱を前記被空調空間(S)へ放射するように設けられた空気混合部(4)と、被浄化物質を化学反応で浄化するイオン、活性種のうちの少なくとも1つの浄化物質を生成して前記浄化物質を前記被空調空間(S)へ吹出すように設けられた空気浄化部(5)と、を備え、
前記空気浄化部(5)が、空気を放電にてプラズマ状態にして前記浄化物質を生成するように設けられた生成ユニット(12)と、前記空気混合部(4)の前記混合空気の一部を利用して前記浄化物質を前記被空調空間(S)へ吹出すように設けられた吹出ユニット(10)と、を備え、
前記空気混合部(4)は、前記空気混合部(4)の内部から前記吹出ユニット(10)の内部へ通り抜けるように設けられかつ前記空気混合部(4)の前記混合空気の一部が通過することで風速が増加するような通風断面積に構成された吹出穴部(17)を、有していることを特徴とする空気調和システム。
【請求項2】
前記加湿ユニット(B)が、気化式加湿器(23)と蒸気式加湿器(24)のうちの一方又は両方を備えた請求項1記載の空気調和システム。
【請求項3】
前記気化式加湿器(23)で前記空調用空気を気化熱冷却するか否かを選択できるように設けた制御装置(20)を、備えた請求項2に記載の空気調和システム。
【請求項4】
前記誘引放射ユニット(A)が、前記被空調空間(S)を照らす照明部(13)、前記被空調空間(S)へ音声を流す音源部(14)、前記被空調空間(S)へ芳香を放つ芳香部(15)のうちの少なくとも1つを備えた請求項1からの3いずれかに記載の空気調和システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気調和システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2012−154611号公報に示す空気調和システムは、空調用空気が供給されるように設けられた誘引放射ユニットと、誘引放射ユニットに供給される空調用空気を加湿するように設けられた加湿ユニットと、を備えている。誘引放射ユニットは、空調用空気が噴流するように設けられた空気供給部と、空気供給部から出た噴流空気の誘引作用にて被空調空間の空気を引き込むように設けられた空気誘引部と、空気供給部の噴流空気と空気誘引部の誘引空気との混合空気を被空調空間へ放出しかつ混合空気の熱を被空調空間へ放射するように設けられた空気混合部と、を備えている。この構造で生じる放射作用と誘引再熱作用にて、ドラフト感や温度ムラのない快適空調を行える。
【0003】
【特許文献1】特開2012−154611号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように空気調和システムは快適空間をつくる一助となっているが、近年さらにワンランク上の快適空間や知的環境づくりの要求が高まってきている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決するため、空調用空気が供給されるように設けられた誘引放射ユニットと、前記誘引放射ユニットに供給される前記空調用空気を加湿するように設けられた加湿ユニットと、を備え、前記誘引放射ユニットが、前記空調用空気が噴流するように設けられた空気供給部と、前記空気供給部から出た噴流空気の誘引作用にて被空調空間の空気を引き込むように設けられた空気誘引部と、前記空気供給部の前記噴流空気と前記空気誘引部の誘引空気との混合空気を前記被空調空間へ放出しかつ前記混合空気の熱を前記被空調空間へ放射するように設けられた空気混合部と、被浄化物質を化学反応で浄化する浄化物質を生成して前記浄化物質を前記被空調空間へ吹出するように設けられた空気浄化部と、を備え、前記加湿ユニットが、気化式加湿器と蒸気式加湿器のうちの一方又は両方を備えたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ドラフト感や温度ムラがなく清浄な空気の快適環境、知的環境の被空調空間を得られる。誘引放射ユニットに、室内などの被空調空間の温度を均一化する機能と空気浄化機能が一体化されているので、別個に高価なHEPAフィルタや空気清浄装置を設ける必要がなく、設置スペースと製作コストを減らせる。被空調空間の空気に含まれる人体に有害な菌類、ウィルス、煙、臭気、アレルゲンなどの被浄化物質に浄化物質を反応させて無効化する効果(機能)を得られる。煙、塵埃、花粉やPM2.5などの被浄化物質を生成ユニットで帯電させて捕集する集塵効果(機能)などを得られる。
【0007】
さらに、空気混合部の混合空気の一部を利用して浄化物質を吹出しているので、浄化物質と、被空調空間に浮遊する被浄化物質を含む空気と、を強制的に接触させるためのファンが不要で、小型化が図れ製作コストを減らせる。空気混合部の混合空気の一部を高風速で吹出すことで被空調空間に短時間で浄化物質を広範囲に行き渡らせることができ、空気浄化能力の向上を図れる。
【0008】
請求項2の発明によれば、被空調空間が湿度不足となりやすい外気条件の場合でも、加湿ユニットの蒸気式加湿器によって空調用空気が含むことができる水蒸気量を増やすことで、浄化物質と被浄化物質の反応効率を高めて浄化能力の維持と向上を図れる。空調用空気の多量の水分子が浄化物質を運び、高い浄化能力を発揮する。
【0009】
請求項3の発明によれば、中間期などで冷房や加湿が必要なときに、無駄なエネルギーを使わずに気化熱を利用した自然エネルギーで冷房や加湿を行える。
【0010】
請求項4の発明によれば、照明の色や音の振動によるセラピー効果(機能)、芳香によるアロマテラピー効果(機能)を得られる。
【実施例】
【0011】
図1図2は、本発明の空気調和システムを示している。この空気調和システムは、空調用空気を吹出す空気調和機Cと、空調用空気が供給されるように設けられた誘引放射ユニットAと、空気調和機Cから誘引放射ユニットAへ空調用空気を送るように接続されたダクト16と、誘引放射ユニットAに供給される空調用空気を加湿するように設けられた加湿ユニットBと、制御装置20と、を備える。
【0012】
空気調和機Cは、熱交換器21、送風機22及び加湿ユニットBを備えている。図示省略するが、熱交換器21は、空気が接触して通り抜けるように設けられた多数のプレート状の伝熱板と、伝熱板に挿着された多数の伝熱管と、を備える。この伝熱管内を流れる熱交換用媒体と通過空気が伝熱管及び伝熱板を介して熱交換する。伝熱管は楕円管にするのが好ましいが円形管でもよい。熱交換器21は、熱交換用媒体と空調用空気とを熱伝達させて、空調用空気を冷却又は加熱する。熱交換用媒体は、水や水溶液などの熱媒、フロンなどの冷媒、その他各種媒体を用いるも自由である。空気調和機Cは、床設置用でなく天井設置用としてもよい。
【0013】
加湿ユニットBは気化式加湿器23と蒸気式加湿器24を備えている。図示省略するが、蒸気式加湿器24は、蒸気を放出して空気に吸収させて加湿するように設けられた加湿ノズルと、加湿ノズルへ蒸気を供給する蒸気発生器等の機器と、を備えている。蒸気式加湿器24は、公知の電極式や電熱式、蒸気噴霧式など各種のものを適宜用いる。図示省略するが、気化式加湿器23は、空気が接触して保有水分を気化蒸発させて加湿するように設けられた加湿部材と、加湿部材に水分を浸透させる給水部と、を備えている。
【0014】
制御装置20は、送風機22の風量、熱交換器21の熱交換能力、気化式加湿器23及び蒸気式加湿器24の加湿能力のうちの少なくとも1つを制御するように設けられる。さらに制御装置20は、加湿ユニットBの気化式加湿器23で空調用空気を気化熱冷却するか否かを選択できるように設けられる。これにより、空気調和機Cの熱交換器21で空調用空気を冷却せずに、中間期などに空調することができる。
【0015】
図2から図6に示すように、誘引放射ユニットAは、ケーシング1の内部に、空気供給部2、空気誘引部3、空気混合部4および空気浄化部5を、備え、室内などの被空調空間Sの天井等に設置される。各図の太い点線の矢印は空気の流れる方向を示す。空気供給部2は、ダクト接続口を有し、ダクト16を介して空気調和機Cの吹出口に接続され、空気調和機Cから供給空気が送られる。供給空気は空気供給部2から空気混合部4へ噴流し、噴流した供給空気の誘引作用で空気誘引部3を介して被空調空間Sの空気を誘引する。供給空気と誘引空気は混ざり合って空気混合部4から被空調空間Sへ出つつ、供給空気と誘引空気の混合空気の熱を空気混合部4から被空調空間Sへ放射する。
【0016】
空気供給部2は、ライン状のノズル6を有し、外部から送り込まれた供給空気がノズル6から空気混合部4へ向かって噴流するように設けられる。空気誘引部3は、ライン状の誘引口7を一対有し、空気供給部2から出た噴流空気の誘引作用にて被空調空間Sの空気を誘引口7から空気混合部4へ引き込むように設けられる。
【0017】
空気混合部4は、ライン状の吸引口8と多数の放出穴9とプレート11の群とを有し、空気供給部2の噴流空気と空気誘引部3の誘引空気との混合空気を被空調空間Sへ放出しかつ混合空気の熱を被空調空間Sへ放射するように設けられる。プレート11の群は、熱伝達及び熱放射率が高いアルミ等の板材を間を隔てて配置して構成する。このプレート11の群を混合空気が分流拡散しながら整流状に通過して放出穴9から被空調空間Sへ出る。混合空気の熱はプレート11の群に熱伝達し、放出穴9から被空調空間Sへ放射する。
【0018】
空気浄化部5は、被浄化物質を化学反応で浄化する浄化物質を生成するように設けられる。空気浄化部5は、プラス電荷とマイナス電荷のイオン、ヒドロキシラジカル、スーパーオキサイド、スーパーオキサイドアニオン、オゾンなどの活性種のうちの少なくとも1つの浄化物質を生成する。浄化物質は、被空調空間Sに浮遊する煙、臭気、菌類、ウィルス、アレルゲンなどの被浄化物質を、酸化などの化学反応により消煙、消臭、除菌、不活性化させて無効化し浄化する。なお、浄化物質は上述以外の物質でもよい。
【0019】
空気浄化部5は、生成ユニット12と吹出ユニット10を備えている。生成ユニット12は、空気を放電にてプラズマ状態にして被浄化物質を帯電させるイオンなどの上述の浄化物質を生成するように設けられる。このプラズマ中の電子によって空気中の酸素や水が分解されて、オゾンなどの活性種やイオンなどが生成される。プラズマ状態にする放電方式としては、コロナ放電、バリア放電、沿面放電、アーク放電、マイクロ波放電、パルス放電など各種方式を適宜用いる。これらの方式を用いたプラズマ発生装置で生成ユニット12を構成する。
【0020】
吹出ユニット10は、空気混合部4の混合空気の一部を利用して浄化物質を被空調空間Sへ吹出すように空気混合部4に隣接して設けられる。空気混合部4は、空気混合部4の内部から吹出ユニット10の内部へ通り抜けるように設けられた吹出穴部17を、有している。吹出穴部17は、空気混合部4の混合空気の一部が吹出穴部17を通過することで風速が増加するような通風断面積に構成する。生成ユニット12は吹出ユニット10の内部に設ける。吹出穴部17を通過して増速した混合空気は、吹出ユニット10の内部に流れ込んで浄化物質を伴って被空調空間Sへ吹出される。
【0021】
なお、本発明は上述の実施例に限定されない。たとえば図7図8に示すように、被空調空間Sを照らすダウンライトやライン型照明器具などの照明部13、被空調空間Sへ音声を流すスピーカーユニットなどの音源部14、被空調空間Sへ芳香を放つ芳香発生装置などの芳香部15を全て又はそれらのうちの少なくとも1つを設けてもよい。その他の構成は上述の実施例と同様であるので省略する。また、空気浄化部5の数量と位置の変更は自由である。図示省略するが、浄化物質を生成する生成ユニット12は、放電方式以外に光触媒、紫外線や放射線を用いる方式としてもよい。加湿ユニットBは、気化式加湿器23と蒸気式加湿器24のうちの一方又は両方を備えたものでもよい。また、加湿ユニットBは、空気調和機Cでなくダクト16に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の空気調和システムを上から見た簡略説明図である。
図2図1を横から見た簡略説明図である。
図3】誘引放射ユニットを下方から見た斜視図である。
図4図3の平面図である。
図5図4のX−X断面図である。
図6図4のY−Y断面図である。
図7】他の実施例を示す斜視図である。
図8図7の縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
2 空気供給部
3 空気誘引部
4 空気混合部
5 空気浄化部
10 吹出ユニット
12 生成ユニット
13 照明部
14 音源部
15 芳香部
20 制御装置
23 気化式加湿器
24 蒸気式加湿器
A 誘引放射ユニット
B 加湿ユニット
S 被空調空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8