特許第6335453号(P6335453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335453
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】ロールベーラ
(51)【国際特許分類】
   A01F 15/08 20060101AFI20180521BHJP
   A01F 15/10 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A01F15/08 R
   A01F15/10 R
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-173560(P2013-173560)
(22)【出願日】2013年8月23日
(65)【公開番号】特開2015-39364(P2015-39364A)
(43)【公開日】2015年3月2日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】郷野 善徳
(72)【発明者】
【氏名】伊東 辰幸
(72)【発明者】
【氏名】猪部 ことえ
(72)【発明者】
【氏名】井ノ山 和宏
(72)【発明者】
【氏名】申 宝明
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0223196(US,A1)
【文献】 特開2007−259748(JP,A)
【文献】 特開平02−097331(JP,A)
【文献】 特開2007−209211(JP,A)
【文献】 特開2002−360055(JP,A)
【文献】 特開2003−002108(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 15/07
A01F 15/08
A01F 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入される飼料作物をロールベールに成形すると共に、成形後の前記ロールベールを排出する成形室を具備したロールベーラであって、
前記成形室の下方に、該成形室から排出される前記ロールベールを支持すると共に、該ロールベールの支持した状態で下降し、且つ下降限界位置で支持した前記ロールベールを転がすように圃場に排出する排出支持体を具備し、
前記排出支持体は、前記ロールベールの排出方向と直交する軸を中心として回転自在に軸支され、上昇限界位置で前記成形室から排出される前記ロールベールを支持する支持部と、前記支持部の後方に連設され、前記上昇限界位置で前記成形室から排出される前記ロールベールの転がりを受け止めて、前記支持部による前記ロールベールの支持状態を保持する排出部と、前記支持部を回転させると共に、該支持部の上昇限界位置を保持し、且つ該支持部の下降限界位置を保持する昇降支持装置とを備え、
前記支持部は、前記上昇限界位置において、前記排出部側の先端が、前記支持部の軸支側の端部よりも高い位置となる方向に傾斜していると共に、前記傾斜状態が保持され、且つ前記支持部の前記上昇限界位置から前記支持部の下降方向への回転によって、前記支持部の排出部側の先端が、前記支持部の軸支側よりも低い位置となる方向に傾斜するように支持され、
前記排出部は、前記上昇限界位置において、前記排出部の先端が、前記支持部の前記排出部側の先端よりも高い位置となる方向に傾斜していると共に、前記下降限界位置において、前記排出部の先端が、前記支持部の前記排出部側の先端よりも低い位置となる方向に傾斜するように形成されていることを特徴とするロールベーラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細断された飼料作物をロールベールに成形するロールベーラに関する。
【背景技術】
【0002】
ロールベーラは、下記特許文献1に記載されているように、車体に配置された原動機によって作動するクローラを有すると共に、車体の前方から後方にシュートが備えられた収穫機、操縦席、ホッパ、成形室を有したものが知られている。
【0003】
このようなロールベーラによると、走行しながら収穫した飼料作物を細断し、細断した飼料作物をシュートからホッパに投入し、このホッパから落下する飼料作物を搬送コンベヤのベルト上で受け、ベルトに載った飼料作物を搬送コンベヤの搬送回転で成形室に投入してロールベールを成形することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−321061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述の特許文献1のロールベーラは、ロールベールの成形後に成形室が開いて圃場に落下するように排出されるが、このとき、成形室から排出されるロールベールは、落下によるショックによって、変形や型崩れが生じるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために、成形室から排出されるロールベールを転がして圃場に排出するスロープを設けることが提案できる。しかしながら、このスロープは、ロールベールの変形や型崩れが生じない程度の転がり速度となる傾斜とする必要があるが、このような傾斜とするスロープである場合、スロープが相当の長さとなってしまうという問題があった。
【0007】
すなわち、このようなスロープによってロールベーラの全長が長くなってしまい、ロールベーラの移動時や収容時において、これらの操作が行い難い上に、収容場所の面積を大きくしなければならないという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、ロールベーラの全長を長くするスロープを不要とした上で、ロールベールの排出時におけるショックを緩和できること、これにより、ロールベーラをコンパクトにできると共に、排出されるロールベールの変形や型崩れを防止できること、等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するために、本発明によるロールベーラは、以下の構成を少なくとも具備するものである。
【0010】
投入される飼料作物をロールベールに成形すると共に、成形後の前記ロールベールを排出する成形室を具備したロールベーラであって、前記成形室の下方に、該成形室から排出される前記ロールベールを支持すると共に、該ロールベールの支持した状態で下降し、且つ下降限界位置で支持した前記ロールベールを転がすように圃場に排出する排出支持体を具備し、前記排出支持体は、前記ロールベールの排出方向と直交する軸を中心として回転自在に軸支され、上昇限界位置で前記成形室から排出される前記ロールベールを支持する支持部と、前記支持部の後方に連設され、前記上昇限界位置で前記成形室から排出される前記ロールベールの転がりを受け止めて、前記支持部による前記ロールベールの支持状態を保持する排出部と、前記支持部を回転させると共に、該支持部の上昇限界位置を保持し、且つ該支持部の下降限界位置を保持する昇降支持装置とを備え、前記支持部は、前記上昇限界位置において、前記排出部側の先端が、前記支持部の軸支側の端部よりも高い位置となる方向に傾斜していると共に、前記傾斜状態が保持され、且つ前記支持部の前記上昇限界位置から前記支持部の下降方向への回転によって、前記支持部の排出部側の先端が、前記支持部の軸支側よりも低い位置となる方向に傾斜するように支持され、前記排出部は、前記上昇限界位置において、前記排出部の先端が、前記支持部の前記排出部側の先端よりも高い位置となる方向に傾斜していると共に、前記下降限界位置において、前記排出部の先端が、前記支持部の前記排出部側の先端よりも低い位置となる方向に傾斜するように形成されていることを特徴とするロールベーラである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る実施形態の自走収穫式ロールベーラの一部切欠概略側面図である。
図2図1の一部切欠概略平面図である。
図3】排出されたロールベールを排出支持体が指示した状態を示す動作図である。
図4】排出支持体の下降途中の状態を示す動作図である。
図5】排出支持体が下降してロールベールを地面に排出する状態を示す動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下でいう飼料作物とは、圃場で育成されたデントコーンや牧草等の家畜の飼料に利用されるものである。
【0013】
以下、本発明に係る実施形態のロールベーラの一例を図1図5に基づいて説明する。尚、本形態で例示するロールベーラは、飼料作物の収穫から、ロールベールの成形及び排出まで行う自走収穫式ロールベーラであるが、本発明では、自走収穫式ロールベーラに限らない。
【0014】
収穫機3側を前(前進側)、成形室6側を後、操縦席1側を上、走行体2側を下、図2において上側を右、下側を左とする。
【0015】
自走収穫式ロールベーラAは、操縦席1からの操作により、クローラ式の走行体2を前進走行させながら圃場Gの飼料作物Bを収穫してロールベールB1を成形するものである。
【0016】
自走収穫式ロールベーラAは、操縦席1が車体A1の前端側の上方、且つ右側に配置され、走行体2が車体A1の下方に軸支されて配置されている。
【0017】
車体A1には、収穫機3、ホッパ4、搬送コンベヤ5、成形室6、排出支持体7が配置されており、更に、走行体2、収穫機3、ホッパ4、搬送コンベヤ5、成形室6、排出支持体7の作動の原動力となるエンジンA2や、エンジンA2の動力を、操縦席1からの操作によって、走行体2、収穫機3、ホッパ4、搬送コンベヤ5、成形室6、排出支持体7に伝達する動力伝達系(図示せず)が配置されている。
【0018】
収穫機3は、車体A1の前端側に配置されており、前述の動力伝達系によって伝達された動力によって収穫機3を上下動させる油圧シリンダA3に支持されており、この油圧シリンダA3の動作によって上下動するようにされている。
【0019】
収穫機3は、油圧シリンダA3に連結されたフレーム30と、フレーム30に対して鉛直軸を中心に回転自在に軸支された円盤状のカッタ31と、カッタ31の上方に設けられた切断支持部32と、カッタ31の後方側に配置された細断部33と、細断部33の上方に配置された飼料作物放出部34とを備えている。
【0020】
このような収穫機3は、走行体2を前進させながら、カッタ31と切断支持部32とによって飼料作物を刈り取ると共に、刈り取った飼料作物をカッタ31の回転によって細断部33に案内し、且つ細断部33で細断された飼料作物を飼料作物放出部34で放出するようにされている。
【0021】
細断部33は、フレーム30の左側後方、且つカッタ31の左右方向の中心よりも後方にあり、回転するカッタ31によって案内される飼料作物Bをそのまま受け取ることができるようになっている。
【0022】
飼料作物放出部34は、操縦席1と左側で隣り合い、且つ操縦席1の前端よりも後方の位置に配置されている。
【0023】
飼料作物放出部34の連絡口340には、シュート3Aが連結されており、細断部33のファン(図示せず)による送風によって放出される細断された飼料作物Bが、シュート3Aで案内されると共に、シュート3Aの飼料作物放出口31Aからホッパ4に向けて放出される。
【0024】
シュート3Aは、円弧状に形成された管状体であり、その後端が連絡口340に連結され、前端の飼料作物放出口31Aがホッパ4の前端に設けられた飼料作物投入口40に向かうと共に、飼料作物放出口31Aが飼料作物投入口40に挿入されるように、図2において車体A1を斜めに横切る方向として配置されている。
【0025】
また、シュート3Aは、飼料作物放出口31Aの上端が、収穫機3の下限位置で、ホッパ4の飼料作物投入口40の上端(天盤41の前縁)よりも下方に位置し、飼料作物放出口31Aの下端が、収穫機3の上限位置で、ホッパ4の飼料作物投入口40の下端よりも上方に位置するような円弧状に形成されている。
【0026】
また、飼料作物放出口31Aの位置及び方向は、収穫機3の上限位置(仮想線で示す位置)から下限位置(実線で示す位置)の範囲で変化するが、この位置及び方向の変化にかかわらず、飼料作物放出口31Aから放出される飼料作物Bをホッパ4外に至らないように、ホッパ4の飼料作物投入口40を通過させてホッパ4内に投入できる位置及び方向に設定されている。
【0027】
また、飼料作物放出口31Aの位置及び方向は、収穫機3の上限位置(仮想線で示す位置)から下限位置(実線で示す位置)の範囲で変化しても、ホッパ4の天盤41の内側(ホッパ4内)に設けられた拡散板4Aの先端40Aに接触する位置及び方向に設定されている。
【0028】
ホッパ4は、上端が天盤41によって塞がれており、前端に飼料作物投入口40が開口され、下方に飼料作物落下口42が開口されたものである。天盤41の内側に設けられた拡散板4Aは、ホッパ4の左右方向中心部付近に配置されている。
【0029】
飼料作物投入口40は、収穫機3の上限位置(仮想線で示す位置)から下限位置(実線で示す位置)の範囲で飼料作物放出口31Aの位置及び方向が変化しても、シュート3Aが飼料作物投入口40の周縁に接触しない大きさの面積を有している。
【0030】
拡散板4Aは、先端40Aから左右に拡がるように傾斜する傾斜面41A、42Aを有し、先端40Aの位置及び上下方向の長さが、収穫機3の上限位置(仮想線で示す位置)から下限位置(実線で示す位置)の範囲で変化に伴うシュート3Aの飼料作物放出口31Aの位置及び方向の変化にかかわらず、放出される飼料作物Bが接触する位置に配置されていると共に、放出される飼料作物Bが接触する長さにされている。
【0031】
ホッパ4の飼料作物落下口42の下方には、搬送部4Bが配置されている。搬送部4Bは、飼料作物落下口42と連続する独立した空間である飼料作物搬送空間43を備えており、この飼料作物搬送空間43に搬送コンベヤ5が配置されている。
【0032】
飼料作物搬送空間43は、下流側に成形室6の投入口6Aに至る出口430を備えており、飼料作物落下口42の下方から出口430に至る底部を搬送面431として確保している。
【0033】
また、搬送面431の上流側には、ホッパ4の飼料作物落下口42から落下する飼料作物を受けると共に、搬送面431に案内する案内面431Aが連設されている。案内面431Aは、後述の無限軌道体52の下流側端部の外側に配置され、後述の回転体50と同軸とすると共に、後述の搬送突起53の先端が接触する円弧状に形成されている。
【0034】
飼料作物搬送空間43は、飼料作物落下口42と連通する部位及び出口430を除いて、外部と閉鎖された独立した空間として形成され、飼料作物落下口42から落下する飼料作物Bを機外にこぼすことなく受け止めることができるようにされている。
【0035】
搬送コンベヤ5は、上流側端部が飼料作物落下口42の下方に位置し、下流側端部が出口430に至るように位置するように配置されており、飼料作物搬送空間43の上流側と下流側とに夫々回転自在に軸支された前述の回転体(スプロケット)50、51にわたるように、前述の無限軌道体(チェーン)52が巻き掛けられている。
【0036】
無限軌道体52の外周には、前述の複数の搬送突起53が突設されており、無限軌道体52の搬送回転(矢印方向)によって、搬送突起53が飼料作物Bを案内面431Aから搬送面431に案内すると共に、搬送面431の飼料作物Bを出口430に向かって強制的に搬送するようにされている。
【0037】
無限軌道体52は、左右に夫々巻き掛けられた2本のチェーンからなり、この2本の無限軌道体52にわたるように、搬送突起53を架け渡すと共に、隣り合う搬送突起53の相互間に所定間隔を空けて配置されており、図2において、搬送回転方向に連続するラダー状を呈するようにされている。
【0038】
搬送突起53は、無限軌道体52にわたる長さ、且つ先端が搬送面431及び案内面431Aに接触する突設長さのものであり、これによって、搬送面431上の飼料作物Bの全部を出口430に向かって掻き取るように強制的に搬送し、搬送面431及び案内面431Aにおいて飼料作物Bの停滞を防止できるようになっている。
【0039】
このような搬送コンベヤ5は、ラダー状を呈しているので、飼料作物落下口42から落下する飼料作物Bを、2本のチェーンからなる無限軌道体52と搬送突起53とで構成される隙間から搬送面431及び案内面431Aに落下させることができ、これによって、搬送コンベヤ5上での飼料作物Bの停滞を防止できるようになっている。
【0040】
したがって、飼料作物落下口42から落下する飼料作物Bの全部を搬送コンベヤ5上に残すことなく搬送面431及び案内面431Aに落下させることができる。
【0041】
搬送コンベヤ5の無限軌道体52は、チェーンに限らずベルトとしてもよい(図示せず)。無限軌道体52がベルトである場合、飼料作物落下口42から落下する飼料作物Bが無限軌道体52上に載置されるが、この載置された飼料作物Bは、無限軌道体52の搬送回転によって、案内面431Aに落下させることができる。
【0042】
成形室6は、ホッパ4側に区画形成された固定側半部60と、固定側半部60の後方側に区画改正された可動側半部61と、固定側半部60と可動側半部61とにわたって配置された成形装置62とを備えている。
【0043】
固定側半部60には、搬送コンベヤ5から搬送される飼料作物Bを成形室6内に投入する投入口6Aが形成されている。
【0044】
投入口6Aの上方には、成形室6で成形されたロールベールB1を梱包する梱包資材(ネット、トワイン等)B2を成形室6内に送出する送出装置A4が配置されている。
【0045】
送出装置A4は、成形室6内でロールベールB1の成形後、梱包資材B2を成形室6内に送出するものであり、送出された梱包資材B2は、成形装置62の成形動作によって回転するロールベールB1によって引き込まれると共に、ロールベールB1に巻付くようにこのロールベールB1を梱包する。
【0046】
このような成形室6は、搬送コンベヤ5から投入口6Aを経て成形室6内に投入された飼料作物Bを、成形装置62により回転させながら圧縮して円柱状のロールベールB1に成形するようにされている。
【0047】
成形装置62は、固定側半部60と可動側半部61とにわたる円周上に連続するように配列され、左右方向を軸とする複数の回転ローラ620と、固定側半部60の下半部に配列された回転ローラ620に巻き掛けた成形ベルト621と、可動側半部61の下半部に配列された回転ローラ620に巻き掛けた成形ベルト622とから構成されている。
【0048】
成形ベルト621、622は、ロールベールB1の成形前から成型後まで常にテンションがかかった状態を保持するように巻き掛けられており、ロールベールB1の成形中に、拡径されるロールベールB1に伴って外側に膨らむように変形するようにされている。
【0049】
符号623、624は、成形ベルト621、622のテンションを保持するテンションローラであり、回転ローラ620の外側に配置され、夫々、前後方向にスライドするように支持されている、成形ベルト621、622に対して常にテンションがかかるように付勢力が作用している。
【0050】
すなわち、前述の付勢力によって、ロールベールB1の成形開始から成形終了まで、成形ベルト621、622に常にテンションがかかった状態としているので、成形ベルト621、622の回転による摩擦力をロールベールB1に対して平衡に、且つ効率的に作用させることができる。
【0051】
このような成形室6は、成形装置62によってロールベールB1を成形すると共に、成形されたロールベールB1の梱包資材B2による梱包後、可動側半部61を開動させて固定側半部60を開放することで(図3参照)、梱包されたロールベールB1を成形室6から排出し、ロールベールB1の排出後には、可動側半部61を閉動させて固定側半部60を閉鎖して次のロールベールB1を成形できる状態に戻すようになっている。
【0052】
尚、成形室6は、例示した回転ローラ620と成形ベルト621、622とを組み合わせてなる成形装置62を有する構成に限らず、回転ローラ620からなる成形装置62を有するものであってもよい。
【0053】
排出支持体7は、固定側半部60から排出されるロールベールB1を固定側半部60の外側で一旦支持すると共に、支持した状態で降ろして、圃場Gに近い低い位置からロールベールB1を転がして排出するようにされている。
【0054】
排出支持体7は、車体A1に左右方向を軸として回転可能に支持された支持部70と、支持部70の後端に連設された排出部71と、支持部70を回転させるように支持すると共に、支持部70の停止状態を支持する油圧シリンダ(昇降支持装置)72とから構成されている。
【0055】
尚、昇降支持装置は、例示した油圧シリンダ72に限定するものではなく、支持部70を回転させるように支持できると共に、支持部70の停止状態を支持できる構成のものであればよい。
【0056】
支持部70は、図2において、車体A1の左右に夫々軸支されており、この2本の支持部70にわたるようにC状を呈する排出部71が連設されている。
【0057】
排出部71は、図3(ロールベール支持状態、上昇限界位置)に示すように、軸を前後方向とした状態(水平よりも支持部70の先端がわずかに高い傾斜状態)の支持部70の軸に対して後方に倒れる方向に傾斜するように連設されており、固定側半部60から排出されるロールベールB1を支持部70と排出部71とで一旦支持するようになっている。
【0058】
すなわち、固定側半部60が開放されてロールベールB1が排出されたときに、この排出の勢いを支持部70の傾斜によって弱めると共に、排出部71が受け止めることで、支持部70上にロールベールB1を支持することができる。
【0059】
油圧シリンダ72は、図3(ロールベール支持状態、上昇限界位置)に示すように、伸長によって支持部70の軸を前後方向とした状態(水平に近い状態)を保持し、図4(ロールベール排出途中状態)及び図5(ロールベール排出状態、下降限界位置)に示すように、収縮によって支持部70を徐々に下降させると共に、支持部70の先端側が低くなる状態を保持するようにされている。
【0060】
排出部71は、図4(ロールベール排出途中状態)及び図5(ロールベール排出状態、下降限界位置)に示すように、支持部70が下降すると、この支持部70の先端が圃場Gに向かって徐々に低くなる傾斜に伴って、排出部71の先端が圃場Gに向かって徐々に低くなるように傾斜すると共に、この傾斜状態が油圧シリンダ72によって保持される。
【0061】
すなわち、支持部70と排出部71とは、油圧シリンダ72の収縮によって、図3のロールベール支持状態から図5のロールベール排出状態にわたり、夫々の先端の位置が徐々に下がって低くなるように動作することで、ロールベールB1を支持部70から排出部71を経て圃場Gにゆっくりと転がすように排出することができる。
【0062】
排出部71の支持部70の軸に対する傾斜角度は、図3のロールベール支持状態において、固定側半部60から排出されるロールベールB1の排出の勢いを受け止めて、ロールベールB1を支持部70上に支持できる角度であって、且つ図5のロールベール排出状態において、排出部71の先端が圃場Gに近づいたときに、ロールベールB1をゆっくりと転がすように排出できる角度の範囲で決定することができる。
【0063】
以上の構成とする自走収穫式ロールベーラAによると、走行しながら圃場Gの飼料作物Bを収穫機3で収穫しながら細断し、細断された飼料作物Bがシュート3Aによって、飼料作物投入口40からホッパ4に投入される。
【0064】
ホッパ4内の飼料作物Bは、飼料作物落下口42から飼料作物搬送空間43の搬送面431に落下すると共に、搬送コンベヤ5の搬送回転に伴って動作する搬送突起53によって投入口6Aに向かって搬送され、且つ搬送突起53によって投入口6Aを経て成形室6に投入され、更に、成形装置62によってロールベールB1に成形される。
【0065】
ロールベールB1の成形後には、梱包資材B2を送出装置A4から送出すると共に、ロールベールB1を梱包し、ロールベールB1の梱包後に固定側半部60を開放することによって、梱包されたロールベールB1が成形室6外に排出される。
【0066】
排出されたロールベールB1は、排出支持体7の支持部70及び排出部71に一旦支持され、油圧シリンダ72の収縮による支持部70及び排出部71の下降で、支持されたロールベールB1が圃場Gに排出される。
【0067】
自走収穫式ロールベーラAの走行(通常走行及び収穫走行)時においては、シュート3Aの下端が、操縦席1と左側で隣り合い、且つ操縦席1の前端よりも後方の位置に配置された飼料作物放出部34に連結され、この部位からシュート3Aの飼料作物放出口31Aをホッパ4の飼料作物投入口40に向けて、車体A1を斜めに横切るようにシュート3Aを配置したことにより、操縦席1からの左側及び左前方の視界が妨げられないため、視界不良による事故等を防止することができる。
【0068】
また、収穫機3の上下動に伴うシュート3Aの飼料作物放出口31Aの位置及び角度の変化に対応するに範囲に、ホッパ4の飼料作物投入口40が、ホッパ4の前端側に前方を向くように開口されているので、収穫機3の上下動に伴ってシュート3Aが上下動しても、飼料作物Bを確実にホッパ4内に投入することができる。
【0069】
また、シュート3Aは、飼料作物放出口31Aの上端が、収穫機3の下限位置(図1において実線で示す位置)で、ホッパ4の飼料作物投入口40の上端(天盤41の前縁)よりも下方に位置し、飼料作物放出口31Aの下端が、収穫機3の上限位置(図1において仮想線で示す位置)で、ホッパ4の飼料作物投入口40の下端よりも上方に位置するような円弧状に形成されているので、シュート3Aを含む自走収穫式ロールベーラAの全高を低く抑えることができる。
【0070】
これによって、圃場G間の移動等においてシュート3Aが障害となることを防止できると共に、移動時においてシュート3Aを折り畳むような機構を不要とすることができる。
【0071】
また、飼料作物放出口31Aの位置及び方向は、飼料作物放出口31Aから放出される飼料作物Bをホッパ4外に至らせずに、ホッパ4の飼料作物投入口40を通過させてホッパ内に投入できる位置及び方向に設定されているので、収穫機3が上下動しても、飼料作物Bを確実にホッパ4内に投入することができる。
【0072】
また、飼料作物放出口31Aの位置及び方向は、収穫機3の上限位置(図1において仮想線で示す位置)から下限位置(図1において実線で示す位置)の範囲で変化しても、ホッパ4の天盤41の内側(ホッパ4内)に設けられた拡散板4Aの先端40Aに接触する位置及び方向に設定されている。
【0073】
また、飼料作物投入口40の面積は、収穫機3の上限位置(仮想線で示す位置)から下限位置(実線で示す位置)の範囲で飼料作物放出口31Aの位置及び方向が変化しても、シュート3Aが飼料作物投入口40の周縁に接触しない大きさの面積にされている。
【0074】
また、拡散板4Aの先端40Aの長さが、収穫機3の上限位置から下限位置の範囲で変化に伴うシュート3Aの飼料作物放出口31Aの位置及び方向の変化にかかわらず、放出される飼料作物Bが接触する長さにされている。
【0075】
したがって、ホッパ4内に投入される飼料作物Bを、拡散板4Aの先端40Aに確実に接触されることができるので、飼料作物Bをホッパ4内において確実に拡散することができると共に、ホッパ4内に均等に貯留できるように投入することができ、且つ飼料作物Bをホッパ4の中央部や左右に偏らせることなく、ホッパ4に均等に貯留することができる。
【0076】
これによって、飼料作物搬送空間43に対して、中央部や左右に偏らせることなく均等に落下させることができる。
【0077】
そして、飼料作物Bを飼料作物搬送空間43に中央部や左右に偏らせることなく均等に落下させることができるので、この均等な状態で飼料作物Bを成形室6に搬送することができる。
【0078】
これによって、成形室6で成形されるロールベールB1を、密度が均等な、型崩れしにくいと共に、正常な円筒状に成形することができる。
【0079】
しかも、収穫機3の上限位置(仮想線で示す位置)から下限位置(実線で示す位置)の範囲で飼料作物放出口31Aの位置及び方向が変化しても、シュート3Aが飼料作物投入口40の周縁に接触しないため、収穫機3が上下動しても、シュート3Aや飼料作物投入口40の破損等を防止することができる。
【0080】
飼料作物落下口42の下方には、飼料作物落下口42と連続する空間である飼料作物搬送空間43が設けられ、この飼料作物搬送空間43に搬送コンベヤ5が配置されているので、落下する飼料作物Bを機外にこぼすことなく成形室6に搬送することができる。
【0081】
また、飼料作物搬送空間43は、飼料作物落下口42と連通する部位及び出口430を除いて、外部と閉鎖された独立した空間として形成されているので、飼料作物落下口42から落下する飼料作物Bを機外にこぼすことなく受け止めることができる。
【0082】
また、飼料作物搬送空間43に落下した飼料作物Bは、搬送面431及び案内面431Aに至り、搬送コンベヤ5の無限軌道体52の外周に突設された搬送突起53が、搬送面431及び案内面431Aに至った飼料作物Bを、無限軌道体52の搬送回転によって掻き取るように出口430に向かって搬送することができる。
【0083】
したがって、飼料作物Bを効率よく、且つ確実に成形室6に投入することができ、これによって、ロールベールB1の成形作業を効率よく、確実に行うことができる。
【0084】
しかも、搬送突起53が、搬送面431及び案内面431Aに至った飼料作物Bを、無限軌道体52の搬送回転によって掻き取るように出口430に向かって搬送するので、飼料作物Bの搬送面431及び案内面431Aでの残留量を大幅に減少することができ、これによって、作業後の清掃を容易に行うことができると共に、飼料作物Bの残留による悪臭の発生を抑制することができる。
【0085】
成形室6の固定側半部60から排出されたロールベールB1は、排出支持体7の支持部70及び排出部71によって、固定側半部60の外側で一旦支持され、支持された状態で油圧シリンダ72の収縮によって、支持部70及び排出部71を、夫々の先端が圃場Gに近づく方向に回転させることで、ロールベールB1を支持しながら下降させることができる。
【0086】
そして、支持部70及び排出部71は、下降によって徐々にロールベールB1を圃場Gに転がして排出することができるように傾斜することで、圃場Gに近い低い位置(下降限界位置)からロールベールB1を転がして排出することができ、これによって、ロールベールB1の排出時のロールベールB1に対する落下ショックを緩和することができると共に、落下ショックによるロールベールB1の型崩れを防止でき、且つ型崩れによる飼料作物Bの圃場Gへのこぼれ落ちを防止することができる。
【符号の説明】
【0087】
A:自走収穫式ロールベーラ
A1:車体
B:飼料作物
B1:ロールベール
G:圃場
1:操縦席
2:走行体
3:収穫機
4:ホッパ
5:搬送コンベヤ
6:成形室
7:排出支持体
3A:シュート
31A:飼料作物放出口
34:飼料作物放出部
40:飼料作物投入口
42:飼料作物落下口
43:飼料作物搬送空間
430:出口
431:搬送面
431A:案内面
4A:拡散板
50:回転体
51:回転体
52:無限軌道体
53:搬送突起
60:固定側半部
61:可動側半部
6A:投入口
70:支持部
71:排出部
72:油圧シリンダ(昇降支持装置)
図1
図2
図3
図4
図5