(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記文献のものは、測定が容易である一方で、液面高さの測定精度を高く設定するには、電極パターンの一対を、上下に並べて多数設ける必要があり、部品点数が増加して、製造コストが増加する他、タンク毎に個別に設置する必要があるため、この点でも、コストが高くなる原因になる。
【0005】
本発明は、タンク内に収容された液体の液面高さを、低コストで、スムーズ且つ高精度に計測できる計測装置
及びシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計測装置は、タンク内に収容された液体の液面高さを、該液面の直上側から計測する計測装置であって、枠体に回転可能に支持された巻取ドラムと、巻取ドラムによって巻取られる帯状又は紐状の繰出体と、液面の直上に位置する巻取ドラムから繰出されて液面側に垂下った状態の繰出体における該繰出し量を測定する測定手段と、前記繰出体の繰出し側の端部である先端部に設けられ且つ該先端部が液面側に達したことを検出する液面検出部と、液面検出部の検出結果が入力される制御部とを備え、該制御部は、上記液面検出部によって繰出体の先端部が液面側に達したことを検出した場合、液面側に達した繰出体の上記繰出し量を、測定手段である繰出し量検知手段によって検知するか、或いは、巻取ドラム又は枠体側に設けられた報知手段によって報知を行うことにより、測定手段による繰出し量の測定を促すように構成され、検知又は測定された上記繰出し量に基づいて、タンク内に収容された液体の液面高さを求めることを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、液面の直上に位置する繰出体を垂下げ状態で下方に繰出し、繰出体の先端部が液面に達したことを、液体検出部によって検出させ、該検出に起因して、繰出体の繰出し量を、測定手段により測定するため、測定をスムーズに行うことが可能であり、繰出体の繰出しによる測定であるため、測定精度を低コストで高く設定することも容易であり、しかも、タンク毎に個別に設定する必要もないため、さらにコストが安くなる。
【0008】
前記液面検出部は、垂下げられた繰出体によって、上下方向を向いた姿勢で、吊下げ支持される水位センサであり、水位センサにおける吊下げ側端部である先端部には、該吊下げ方向に開放された溝部が凹設され、該水位センサは、溝部内の空間に上記液体が介在している状態である
か否かを検知することにより、繰出体の繰出し側端部が上記液面側に達したことを検出するものとしてもよい。
【0009】
前記水位センサの先端部における溝部を挟んだ一方側部分に、超音波を発振する発振部を設けるとともに、他方側部分に上記発振された超音波を受振する受振部を設け、該水位センサは、発振部から受振部への超音波の伝播状態によって、溝部内の空間に上記液体が介在している状態である
か否かを検知するものとしてもよい。
【0010】
未使用時に水位センサの先端部を覆うカバー体を設け、該カバー体の内面側に、水位センサへの装着時に溝部内に挿入される挿入部が一体的に形成され、カバー体における少なくとも挿入部を、超音波の伝播効率が空気に比べて良好な材料によって構成し、該挿入部の溝部内への挿脱によって、該水位センサの動作確認を行うものとしてもよい。
【0011】
前記報知手段である発光体を複数設け、前記制御部は、液面検出部の検出状態に基づいて、複数の発光体の点灯及び消灯のパターンを変更するものとしてもよい。
【0012】
上記液体は石油であるものとしてもよい。
【0013】
前記繰出体を巻尺とすることにより、上記測定手段を構成するか、或いは前記巻取ドラムの回転を検出する回転センサ又は回転位置を検出するポテンショメータを、前記繰出し量検知手段として設けたものとしてもよい。
【0014】
巻取ドラムを回転駆動させるアクチュエータを備え、上記制御部は、アクチュエータによって巻取ドラムが回転駆動されて繰出体が繰出し作動している最中、液面検出部によって、繰出体の先端部が液面側に達した状態を検出した場合には、アクチュエータによる駆動を停止させることにより、上記繰出体の繰出し作動を停止させるものとしてもよい。
【0015】
測定対象となっているタンクの種類を特定するための情報を入力する入力手段と、タンク内に収容された液体の液面高さと液量との関係を示すタンク情報が該タンクの種類毎に記憶された記憶部とを備え、前記制御部は、入力手段から入力される情報に基づいて、タンクの種類を特定し、記憶部から、特定された種類のタンク情報を取得し、上記液面検出部によって繰出体の先端部が液面側に達したことを検出した場合には、繰出し量検知手段によって検知される上記繰出し量と、該取得したタンク情報とに基づいて、該タンク内の液体の液量を求めるものとしてもよい。
【0016】
前記水位センサは
、発振部から受振部への超音波の伝播状態によって溝部内の空間に上記石油が介在している状態であるか否かを検知して前記繰出体の上記先端部が液面側に達したことを検出する
ことにより、該石油の液面付近
に気泡が発生するカプチーノ現象に起因した液面検出の精度低下を防止するように構成されるものとしてもよい。
【0017】
本発明の計測システムは、上記計測装置と、ネットワークに接続され且つ記憶装置を有する管理サーバとを備え、測定対象となるタンクは停泊中の船舶に設置され、前記計測装置は、上記ネットワークを介した管理サーバとの通信を可能とする通信手段と、自身の位置情報を取得する位置情報取得手段とを有し、各船舶の停泊位置に関する情報である停泊情報が記憶装置に記憶されるとともに、船舶に設置された各タンクの種類と設置位置に関する情報が含まれた船舶情報が、船舶毎に記憶装置に記憶され、タンク内に収容された液体の液面高さと液量との関係を示すタンク情報が、該タンクの種類毎に記憶装置又は計測装置の記憶部に記憶され、前記管理サーバは、ネットワークを介して送られてくる計測装置の位置情報、或いは計測装置によって入力された船舶を特定するための情報に基づいて、船舶を特定し、計測装置から送られてくる該計測装置の位置情報及び該船舶の船舶情報に基づいて、タンクの種類を特定し、計測装置の制御部又は管理サーバは、特定された種類のタンク情報を取得し、上記液面検出部によって繰出体の先端部が液面側に達したことを検出した場合には、繰出し量検知手段によって検知される上記繰出し量と、該取得したタンク情報とに基づいて、該タンク内の液体の液量を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
液面の直上に位置する繰出体を垂下げ状態で下方に繰出し、繰出体の先端部が液面に達したことを、液体検出部によって検出させ、該検出に起因して、繰出体の繰出し量を、測定手段により測定するため、測定をスムーズに行うことが可能であり、繰出体の繰出しによる測定であるため、測定精度を低コストで高く設定することも容易であり、しかも、タンク毎に個別に設定する必要もないため、さらにコストが安くなる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明を適用した計測装置を用いた計測方法の構成を示す概念図である。図示する計測方法では、内部に水や石油や液化天然ガス等の液体1が収容されたタンク2における該液体1の容量である液量を求めるために、該液体1の液面1aの高さである液面高さhを計測するものである。
【0021】
具体的には、まず、タンク2の天井側に形成された開口部2aから、タンク2内に、計測装置3を臨ませる。この際、計測装置3は、上記液面1aの直上且つタンク2の上端側に位置した状態になる。そして、この状態で、計測装置3により、タンク2上端側から、上記液面1aまでの距離であるアレージXを計測し、この測定されたアレージXと、既知の値であるタンク2の高さHから、液面高さhを求め、さらに、この液面高さhから、タンク2内の液体1の液量を求める。
【0022】
図2は、本発明を適用した計測装置の側面図であり、
図3は、
図2のA−A断面図であり、
図4(A),(B)はレベルスイッチの側面図及び底面図である。上記計測装置3は、ケース枠(枠体)4と、厚み方向が左右方向に向けられた円盤状をなすとともに自身の中心部を回転軸心Sとして上記ケース枠4内に回転自在に支持された巻取ドラム6と、該巻取ドラム6の外周面に巻取られてフレキシブルに変形可能な帯状又は紐状(図示する例では、帯状)の巻尺(繰出体)7と、巻取ドラム6から繰出される上記巻尺7の繰出し側端部である先端部に設けられた水位センサの一種であるレベルスイッチ(液面検出部)8と、ケース枠4の片側側面に設置され且つ側面視で巻取ドラム6と同一中心となる中空状且つ円盤状の制御ボックス(操作部)9とを備えている。
【0023】
上記ケース枠4は、左右一対の分割枠11,12から構成され、この左右の分割枠11,12間には、巻取ドラム6が挟持されるようにして支持されている。このケース枠4は、上記回転軸心Sから前後両側に突出するとともに上下両側に突出し、側面視で十字状に成形されている。ちなみに、この場合の前後方向、左右方向、上下方向は使用状態での方向を意図している。
【0024】
このケース枠4の測定作業者側に延びる後方突出部分は、他の部分よりもさらに後方に延出されてグリップ部13を形成し、前方突出部分の突出側端部には、巻尺7が繰出される繰出し部14が設けられ、下方突出部分の突出側端部には、レベルスイッチ8の外周面が弾力的に係止される左右一対のフック状部材16a,16aからなる係止具16が設けられている。
【0025】
繰出し部14には、巻取ドラム6から前方斜め下方に繰出された巻尺7の片面に面状に接する複数の送りローラ17,17が回転自在に支持され、この複数の送りローラ17,17によって、巻取ドラム6からの巻尺7の繰出し作動や、繰出された巻尺7の巻取ドラム6への繰入れ作動がスムーズに行われる。
【0026】
上記制御ボックス9は、ケース枠4の左右片側面に穿設された設置孔4aを介して、ケース枠4内に挿入され、この制御ボックス9と巻取ドラム6とは、ケース枠4内で互いに連結固定され、互いが上記回転軸心Sの軸回りに一体で回転される。
【0027】
この制御ボックス9には、径方向外側に突出する操作具18が一体的に設けられ、この操作具18には把持部18aが設けられており、測定作業者は、この把持部18aを把持して、制御ボックス9を回転させることにより、巻尺7の繰出し操作及び繰入れ操作を行う。すなわち、制御ボックス9は、巻尺7の繰入れ操作及び繰出し操作を行う操作部としても機能している。この他、この制御ボックス9内には、後述する各種部材が収容設置されている。
【0028】
上記レベルスイッチ8は、円筒状に成形され、その先端部には、径方向に延びて軸方向に窪んだ溝部19が凹設され、レベルスイッチ8の溝部19を挟んだ両側部分内には、超音波の発振用の圧電素子である発振部8aと、超音波の受振用の圧電素子である受振部8bがそれぞれ
配置されている。
【0029】
溝部19内の空間が液体で満たされている状態では、溝部19内が空洞である状態と比較して、発振部8aから受振部8bへの超音波の伝播効率が飛躍的に向上するため、この受振部8bにおける超音波の受振状態が顕著に変化する。この受振状態の顕著な変化を利用して、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出する。
【0030】
具体的には、タンク2の上端側に位置させたケース枠4内の巻取ドラム6から繰出され、液面1a側に向かって垂下げられた巻尺7の先端部に設けられたレベルスイッチ8は、該巻尺7によって吊下げ支持され、自重により、溝部19が形成された先端部(吊下げ側端部)が下端に位置し且つ全体が鉛直方向(上下方向)を向いた姿勢で、吊下げ支持された状態になる。
【0031】
そして、巻尺7を下方に繰出し、その先端側が液面1a側に達すると(具体的には、レベルスイッチ8の先端部が液面1aに達すると)、溝部19の空間が下方寄り位置から、液体1で満たされ、受振部8bにおける超音波の伝播効率が向上する。この伝播効率の向上を検知することにより、巻尺7の先端側が液面1a側に達したことを、該巻尺7の先端部を目視することなく、確認することが可能になる。
【0032】
ところで、従来の水位センサは、液体1が石油等である場合、液面1a付近に気泡等が発生する現象(カプチーノ現象)が発生し、液面1aの検出精度の低下していたが、この計測装置のレベルセンサ8は、超音波の伝播率の変化を利用して検出を行うものであり、気泡と液体1とでは、超音波の伝播効率がまったく異なるため、液面1aの検出を高精度に行うことが可能であり、カプチーノ現象に起因した検出程度の低下を防止できる。
【0033】
また、従来の水位センサは検出時に上下方向を向いた筒状に成形され、この水位センサの側周面には、径方向に窪んだ溝部が凹設され、この外側側方に開放された溝部内に液体が介在しているか否かにより、液面1aの検出を行うため、液面1a側から水位センサを引上げた際に、溝部内に液体1が残留することがあり、この溝部内の液体1の残留によって、検出精度が低下する場合がある。
【0034】
本計測装置のレベルセンサ8は、下方が開放された溝部19内の液体1の有無によって検出を行うため、液体1からの引上げ時における液体1の残留が防止され、これによって、検出精度の低下を防止することが容易になる。
【0035】
なお、このレベルスイッチ8は、不使用の状態では、前後方向を向いた姿勢で、その基端側周面が、係止具16に係止されて格納されるが、この他、レベルスイッチ8の先端部には、キャップ等のカバー体21が嵌められてカバーされ、保護される。
【0036】
このカバー体21は、キャップされた状態で、レベルスイッチ8の先端面及び先端側の外周面をカバーするが、この他、カバー体21のレベルスイッチ8先端部への装着時に、溝部19内に挿入される挿入部21aが、上記カバー体21におけるレベルスイッチ8の先端側外周面及び先端面をカバーする本体部分の内面側に、一体成形されている。
【0037】
カバー体21の少なくとも挿入部21a(本例では、カバー体21全体)が超音波を伝播しやすい材質で構成されるため、挿入部21aの溝部19への挿脱によって、レベルスイッチ8の動作確認が可能になる。すなわち、このカバー体21は、レベルスイッチ8の検出部分を保護する部材として機能するとともに、レベルスイッチ8の作動を確認する部材としても機能する。
【0038】
ちなみに、このレベルスイッチ8の入力端子22としては4つの端子が用意され、結線方式としては、2線式と3線式とが存在し、図示する例では、3線式によって配線を行っている。3線式を用いた場合、4つの入力端子22全てを用い、この内の2つが電源に接続される電源端子22,22になり、1つが接地されるアース端子22となり、最後の残り1つが検出信号を出力する信号端子22となる。また、2線式を用いた場合、予め定められた3つの入力端部22が用いられ、この内の2つが電源端子22,22になり、残りの1つがアース端子22となり、該2つの電源端子22,22の一方に電気的に接続される図示しない抵抗(負荷)に流れる電流値を、検出信号として、利用する。
【0039】
上記巻尺7は、フレキシブルに変形可能な鉄製、布製、ガラス繊維製または合成樹脂製の材料によって構成され、内部には、レベルスイッチ8の4本の入力端子22中で結線対象になっている入力端子と同数(本例では4本)の接続線23が、巻尺7の全長全体に亘り内装され、この接続線23は巻尺7と共にフレキシブルに変形可能に構成されている。
【0040】
また、巻尺7の片面又は両面には、目盛り7aが記されており、この目盛り7aを目視することによって、測定作業者は、ケース枠4及び巻取ドラム6側から、巻尺7の繰出し量を目視することが可能になる。すなわち、巻尺7の目盛り7aは、自身の繰出し量を測定する測定手段としても機能している。
【0041】
また、巻尺7の先端部には、巻尺7に沿って一直線状に延びる筒状に成形された接続ケース24が取付固定され、この接続ケース24の先端側には、径が拡大した接続部24aが一体成形され、この接続部24aの内周面側に、レベルスイッチ8の基端部の外周面側をネジ係合させることにより、該接続ケース24とレベルスイッチ8とが同一軸心状をなした状態で、両者が着脱自在に連結固定される。言換えると、レベルスイッチ8は、接続ケース24から繰出し側に突出した状態で、該接続ケース24に着脱自在に取付固定されている。
【0042】
図5は、本計測装置の回路図である。
図2及び
図5に示す通り、接続ケース24には、巻尺7側の接続線22とレベルスイッチ8の入力端子22とを電気的に接続する接続回路26が内装され、制御ボックス9には、該制御ボックス9内に設置されたメイン基板27と、巻尺7側の接続線23とを電気的に接続する接続回路28が内装され、これによって、レベルスイッチ8は、上記メイン基板27と電気的に接続される。
【0043】
上記レベルスイッチ8は、円筒状に成形され、その先端部には、径方向に延びて軸方向に窪んだ溝部19が凹設され、レベルスイッチ8の溝部19を挟んだ両側部分内には、超音波の発振用の圧電素子である発振部8aと、超音波の受振用の圧電素子である受振部8bがそれぞれ
配置されている。
【0044】
上記制御部29は、レベルスイッチ8によって、巻尺7の先端部が上記液面1a側に達したことを検出した場合、上記発光ダイオード31A,31B,31Cによって、その旨を、測定作業者に報知する。測定作業者は、上記報知によって、巻尺7の先端部が上記液面1a側に達したことを知り、その際の巻尺7の繰出し量を、目盛り7aによって、確認することにより、上述したアレージXを取得することが可能になり、このアレージXを分れば、液面高さhが求められる。
【0045】
ところで、タンク2の平断面形状は、上下方向全体に亘り常時同一でなく、その平断面積も変化するため、タンク2内の液体1の液面高さhに対して、該液体1の液量は、タンク2の種類毎に異なる。
【0046】
図7は、タンクの種類毎に設けられたタンク情報の構成を示す一覧表である。上記した理由により、測定作業者は、該タンク2内の液体1の液面高さhと、液量との関係を示すタンク情報を、タンクの種類毎に、予め本や記憶媒体に記憶して有している。タンク情報は、具体的には、液面高さhに対する液量の値を、液面高さhの値を所定値刻みにして示した一覧表である。
【0047】
そして、その測定対象になっているタンク2の種類を特定し、その種類のタンク2のタンク情報を確認することにより、求めた液面高さhに対する液量を取得することが可能になる。ちなみに、タンク情報は、液面高さhと液量との関係を示した一覧のみならず、アレージXと液量との関係を示した一覧であってもよい。
【0048】
以上のように構成される計測装置3を用いた計測方法について説明すると、この計測方法は、巻取ドラム6が回転可能に支持されたケース枠体4を、液面1aの直上に位置させた状態で、巻取ドラム6に巻取られている巻尺7を、液面1a側に垂下げた状態で、順次繰出す工程と、前記巻尺7の先端部に設けられたレベルスイッチ8によって、該先端部が液面1a側に達したことを検出する工程と、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出した場合に、制御部29が、報知手段である複数の発光ダイオード31A,31B,31Cによって報知を行うことにより、繰出し量の測定を促す工程と、測定作業者が、上記報知に促され、液面1a側に達した状態の巻尺7の上記繰出し量及びアレージXを、巻尺7の目盛り7aを読取るによって取得する工程と、取得した繰出し量及びアレージXから、液面高さhを求める工程と、液面高さhから液量を求める工程とを有している。
【0049】
ところで、発光ダイオード31A,31B,31Cは、制御ボックス9の測定作業者が視認可能な位置に、少なくとも3つ以上設けられ、その内の1つが第1発光ダイオード(第1発光体)、もう1つが第2発光ダイオード(第2発光体)、最後の1つが第3
発光ダイオード(第2発光体)となり、その発光パターンを変化させることにより、レベルスイッチ8の検知状態を、より詳細に報知することが可能になる。
【0050】
このレベルスイッチ8の検出状態を表す指標として、フラグA、フラグB及びフラグCを用いる。このフラグA、フラグB及びフラグCのON・OFF状態に基づいて、発光ダイオード31A,31B,31Cの発光パターンを変化させる。
【0051】
具体的には、制御部29は、フラグAがONしている場合には、第1発光ダイオード31Aを点灯させる一方で、OFFしている場合には、第1発光ダイオード31Aを消灯させる。また、制御部29は、フラグBがONしている場合には、第2発光ダイオード31Bを点灯させる一方で、OFFしている場合には、第2発光ダイオード31Bを消灯させる。また、制御部29は、フラグCがONしている場合には、第3発光ダイオード31Cを点灯させる一方で、OFFしている場合には、第3発光ダイオード31Cを消灯させる。
【0052】
図8は、制御部が行うフラグAのON・OFF制御の処理内容を示すフロー図である。制御部29は、この処理が開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、レベルスイッチ8からの入力信号によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達しているか否かを確認し、達していれば、ステップS2に進む。ステップS2では、フラグAをONにセットして、ステップS1に処理を戻す。ステップS1において、巻尺7の先端部が液面1a側に達していないことが確認された場合には、ステップS3に進み、ステップS3では、フラグAをOFFにセットして、ステップS1に処理を戻す。
【0053】
すなわち、フラグAは、レベルスイッチ8の検出結果がダイレクトに反映されるフラグになり、これによって、第1発光ダイオード31Aも、レベルスイッチ8の検出結果がダイレクトに反映される報知手段になる。
【0054】
図9は、制御部が行うフラグBのON・OFF制御の処理内容を示すフロー図である。制御部29は、この処理が開始されると、ステップS11に進む。ステップS11では、初期状態でOFFにセットされるフラグBのON・OFF状態を確認し、OFFが確認された場合には、ステップS12に進む。
【0055】
ステップS12では、レベルスイッチ8からの入力信号によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達しているか否かを確認し、達していればステップS13に進む一方で、達していなければステップS11に処理を戻す。ステップS13では、フラグBをONにセットし、タイマBをセットして、予め定めた所定時間である切作動時間(例えば、10秒等)のカウントダウンとを開始し、ステップS11に処理を戻す。
【0056】
ステップS11において、フラグBのON状態が確認された場合には、ステップS14に進む。ステップS14では、レベルスイッチ8からの入力信号によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達しているか否かを確認し、達していればステップS15に進む一方で、達していなければステップS16に処理を戻す。
【0057】
ステップS15では、タイマBを再度セットして、再び、上記切作動時間からのカウントダウンを開始する。ステップS16では、タイマBを確認し、カウント中の状態(ステップS13又はステップS15でのカウント開始から切作動時間が経過していない状態)であれば、ステップS11に処理を戻す一方で、カウントが終了している状態(ステップS13又はステップS15でのカウント開始から切作動時間が経過した状態)であれば、ステップS17に進む。ステップS17では、フラグBをOFFに設置して、ステップS11に処理を戻す。
【0058】
すなわち、フラグBは、一度、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことが検出された場合、巻尺7の先端部が液面1a側に達していない状態が、切作動時間、連続して検出されない限り、フラグBのON状態を保持し、上記状態が、切作動時間、連続して検出された場合に初めて、フラグBがOFF状態になる。このフラグBのON・OFFに連動して、第2発光ダイオード31Bも入切される。
【0059】
図10は、制御部が行うフラグCのON・OFF制御の処理内容を示すフロー図である。制御部29は、この処理が開始されると、ステップS21に進む。ステップS21では、初期状態でリセット状態である後述のタイマCの状態を確認し、リセット状態を確認した場合には、ステップS22に進む。ちなみに、フラグCも初期状態のOFFにセットされている。
【0060】
ステップS22では、レベルスイッチ8からの入力信号によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達しているか否かを確認し、達していればステップS23に進む。ステップS23では、タイマCをセットし、予め定めた所定時間である入作動時間(例えば、10秒等)のカウントダウンとを開始し、ステップS21に処理戻す。
【0061】
ステップS21において、タイマCがカウント中であれば、ステップS24に処理を進める。ステップS24では、レベルスイッチ8からの入力信号によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達しているか否かを確認し、達していればステップS21に処理を戻す一方で、達していなければ、ステップS25に進む。ステップS25では、タイマCをリセットして、ステップS26に進む。ステップS26では、フラグCをOFFにセットして、ステップS21に処理を戻す。
【0062】
ステップS22において、巻尺7の先端部が液面1a側に達していない状態が確認された場合にも、ステップS26に進み、フラグCがOFFにセットされ、処理がステップS21に戻される。
【0063】
ステップS21において、ステップS23で、カウントを開始したタイマCのカウントが終了していれば、ステップS27に進む。ステップS27では、レベルスイッチ8からの入力信号によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達しているか否かを確認し、達していればステップS28に進む。
【0064】
ステップS28では、フラグCのON・OFF状態を確認し、OFF状態が確認された場合には、ステップS29に進む。ステップS29では、フラグCをONにセットして、ステップS21に処理を戻す。ステップS28において、フラグCのON状態が確認された場合には、ステップS21に処理を戻す。
【0065】
また、ステップS27において、巻尺7の先端部が液面1a側に達していない状態が確認された場合には、ステップS25→ステップS26と処理が進み、タイマCがリセットされるとともに、フラグCがOFFにセットされ、処理がステップS21に戻される。
【0066】
すなわち、フラグCは、巻尺7の先端部が液面1a側に達している状態が、上記入作動時間、連続して検出されない限り、ON状態にはならず、ON状態であっても、巻尺7の先端部が液面1a側に達していない状態が一度でも検出されると、再び、OFFに
セットされ、次に、巻尺7の先端部が液面1a側に達している状態が、上記入作動時間、連続して検出されない限り、ON状態にはならない。このフラグCのON・OFFに連動して、第3発光ダイオード31Bも入切される。
【0067】
このように作動する3つの発光ダイオード31A,31B,31Cの発光パターンについて、説明すると、平地等の安定した場合に設置されているタンク2や、波が穏やかな場所に停泊している船舶に搭載されているタンク2では、液面1a側には、波がなく、フラットな面であるため、フラグAのON・OFFを、第1発光ダイオード31Aの入切によって、確認すれば、巻尺7の先端部が液面1a側に達したか否かが容易に判断可能である。
【0068】
しかし、波が荒い港に停泊している船舶に搭載されているタンク2では、タンク2内の液体1の液面1a側にも波が形成され、液面高さhが安定せず、フラグAがONとOFFとを繰返し、第1発光ダイオード31Aが点滅して、巻尺7の先端部が液面1a側に達したか否かを上手く判断できない。
【0069】
この場合には、第1発光ダイオード31Aが点滅し(フラグAがON・OFFを繰返し)、第2発光ダイオード31Bが点灯している状態(フラグBがON状態)であり、第3発光ダイオード31Cが消灯している状態(フラグCがOFF状態)が、望ましい状態であり、この際の巻尺7の繰出し量を測定すれば、正確な液面高さhを求めることが可能になる。このように液面1a側に波が立っている状態で、フラグCがON状態になる場合は、レベルスイッチ8が液体1内に深く挿入されている恐れがあり、正確な液面高さhを求めることができないためである。
【0070】
このように、タンク2内の液体1の液面1aが穏やかでフラットな状態(静状態)と、波が立っている状態(動状態)とで、条件を切換えることにより、正確な液面高さhを測定することが可能になる。
【0071】
次に、
図6に基づき、本発明の他の実施形態について、上述の形態と異なる点を説明する。
【0072】
この実施形態では、上記制御部29の入力側には、巻尺7の繰出し量を検知する繰出し量検知手段32と、各種情報を入力する入力手段33を設けている。一方、制御部29の出力側には、各種情報を伝える情報出力手段の一種である表示手段34と、巻取ドラム7及び制御ボックス9を、ケース枠4に対して回転駆動させる電動モータ等のアクチュエータ36と、報知手段として機能し且つ制御ボックス9内等に設置されるバイブレータ等の振動手段37と、ブザー音等を出力するスピーカ等の音出力手段38とが接続されている。また、制御部29は、各種情報を記憶する記憶部29aを有している。
【0073】
上記の繰出し量検知手段32は、巻取ドラム6のケース枠4に対する回転量や回転数を検出するポテンショメータや回転センサ等から構成されている。制御部29は、レベルスイッチ8によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出した場合には、繰出し量検知手段32によって、巻尺7の繰出し量を検知し、繰出し量又はアレージXの値や、これらから求まる液面高さhを、表示手段34を介して、表示させてもよい。
【0074】
また、記憶部29aに、上記タンク情報をタンク2の種類の毎に予め記憶させ、入力手段33から、制御部29に対して、タンク2の種類を特定する情報を入力可能としてもよい。この場合、制御部29は、入力手段33から入力された情報に基づいて、上記記憶部29のタンク2の種類を特定し、繰出し量検知手段32によって検知された繰出し量又はこの値から求まるアレージXや液面高さhから、上記タンク2の種類に対応するタンク情報に基づいて、該タンク2の液量を求め、これを、表示手段34等で、測定作業者に伝えることが可能になる。
【0075】
なお、レベルスイッチ8によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出する場合、単に、フラグAの確認をしてもよいし、或いは、上記した通り、フラグA,フラグB及びフラグCの情報を用いて、高精度に検出を行っても良い。
【0076】
また、アクチュエータ36を設けているため、先端部が液面1a側に達するまで、自動的に巻尺7の下方に繰出してもよい。具体的には、制御部29は、上記アクチュエータ36によって、巻取ドラム6が回転駆動されて巻尺7が繰出し作動している最中、レベルスイッチ8によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出した場合には、アクチュエータ36による駆動を停止させ、上記巻尺7の繰出し作動を停止させ、この時点での、繰出し量を、測定作業者が目盛り7aによって確認するか、或いは、繰出し量検知手段32によって検知してもよい。
【0077】
このような構成では、巻尺7の繰出し操作から、タンク2内の液体1の液面高さh若しくは液量の測定を略自動で行うことが可能になるため、利便性が高い。なお、レベルスイッチ8によって、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出する場合、上述の例と同様、単に、フラグAの確認をしてもよいし、或いは、上記した通り、フラグA,フラグB及びフラグCの情報を用いて、高精度に検出を行っても良い。
【0078】
また、報知手段として、振動手段37及び音出力手段38を設けているので、発光ダイオード3A,3B,3Aによる報知に代えて、或いは、これに併せて、振動手段37及び音出力手段38による報知を行ってもよい。
【0079】
具体的には、フラグAのON・OFFのみに連動させて、報知の有無を切換えてもよいが、フラグAのON・OFF、フラグBのON・OFF、フラグCのON・OFFが認識できるように、振動パターンや音の出力パターンを変化させてもよい。これによって、発光ダイオード3A,3B,3Cによる報知と同様の効果が期待できる。
【0080】
この計測装置を用いた計測方法は、巻取ドラム6が回転可能に支持されたケース枠体4を、液面1aの直上に位置させた状態で、巻取ドラム6に巻取られている巻尺7を、液面1a側に垂下げた状態で、順次繰出す工程と、前記巻尺7の先端部に設けられたレベルスイッチ8によって、該先端部が液面1a側に達したことを検出する工程と、巻尺7の先端部が液面1a側に達したことを検出した場合に、制御部29が、繰出し量検知手段32によって、繰出し量又はアレージXを検知する工程と、取得した繰出し量及びアレージXから、液面高さhを求める工程と、液面高さhから液量を求める工程とを有している。
【0081】
次に、
図6及び
図11に基づき、本発明の他の実施形態について、上述の形態と異なる点を説明する。
【0082】
この実施形態では、制御部29の入力側には、自身の位置情報を取得する位置情報取得手段39が接続されている他、制御部29は、TCP/IPプロトコルを実装した通信手段41を介して、インターネット等のグローバルはネットワーク42と接続されている。ちなみに、位置情報取得手段39は、具体的には、グローバル位置情報であるGPS情報を取得可能なGPSセンサである。
【0083】
一方、このネットワーク42には、記憶装置等を有するAT互換機である管理サーバ43が接続されている。この管理サーバ43と、制御部29とは、ネットワーク42を介して、通信可能に接続され、計測システムを構成している。
【0084】
この計測システムでは、管理サーバ43によって情報を管理している船舶に設置された各タンク2を、測定対象とし、この各タンク2内の液体の液面高さhや液量を取得することを目的としている。
【0085】
上述のタンク情報は、制御部29の記憶部29aに記憶してもよいし、或いは、管理サーバ43の記憶装置に記憶させてもよい。
【0086】
図11(A)は停泊情報の構成を示す一覧表であり、(B)は船舶毎に用意された船舶情報の構成を示す一覧表である。管理サーバ43の記憶装置には、停泊している複数の各船舶のグローバル位置情報及び船体向きに関する情報である停泊情報が記憶されるとともに、船舶に設置された各タンクの種類と設置位置に関する情報が含まれた船舶情報が、船舶毎に記憶装置に記憶されている。
【0087】
停泊情報は、管理対象となっている各船舶について、そのグローバル位置情報と、船体向き情報とが、記憶された一覧表であり、船舶情報は、船舶に設置された各タンクについて、タンクの種類に関する情報と、該タンクの設置位置に関する情報とが、記憶された一覧表である。船舶のグローバル位置情報と、該船舶の船体向きと、該船舶の各タンクの設置位置の情報を利用すれば、この船舶の各タンクのグローバル位置情報を得ることが可能になる。
【0088】
そして、測定作業者が、ある船舶に設置された一のタンク2に収容された液体1の液面高さh及び液量を測定する場合、まず、入力手段33によって船舶を特定する情報である船舶特定情報を入力し、この船舶特定情報と自己(計測装置3)のグローバル位置情報とを、管理サーバ43に送信するか、或いは、自己のグローバル位置情報のみを管理サーバ43に送信する。
【0089】
管理サーバ43は、送られてくる船舶特定情報から、上記船舶を特定するか、或いは、計測装置のグローバル位置情報と船舶情報とから、上記船舶を特定する。そして、計測装置3のグローバル位置情報と、その船舶の船舶情報とから、上記一のタンク2の種類を特定する。
【0090】
そして、タンク情報を管理サーバ43が保持している場合、計測装置によって測定された繰出し量やアレージXや液面高さhの情報を、該計測装置から、管理サーバ43に送信し、この情報と、特定されたタンク2の種類に対応するタンク情報から、該タンク2内の液体1の液量を求め、該液量を、計測装置に返信し、この情報を、計測装置が表示手段34によって、出力する。
【0091】
一方、タンク情報を計測装置が保持している場合、特定されたタンク2の種類を、管理サーバ43から、計測装置に送信する。そして、計測装置は、計測装置3によって測定された繰出し量やアレージXや液面高さhの情報と、管理サーバ43から受信したタンク2の種類に対応するタンク情報から、該タンク2内の液体1の液量を求め、該液量を表示手段34によって、出力する。
【0092】
このような計測システムによれば、ほぼ全ての作業がオートメーション化され、測定作業の効率が飛躍的に向上する。