(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インキツボキーを複数備え、これらインキツボキーの開き量の調整によってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの量を調整し、このインキツボローラに供給されたインキをインキ呼び出しローラの呼び出し動作によりインキローラ群を介して刷版へ供給するインキ供給装置におけるインキローラ群に、次の印刷ジョブの印刷で使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ供給方法において、
前記インキローラ群内のインキを減少させるインキ減少ステップと、
次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じた前記各インキツボキーの開き量を求める開量演算ステップと、
前記各インキツボキーに対応する範囲の前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正値を各インキツボキーの開き量の補正値として求める補正値演算ステップと、
前記開量演算ステップによって求められた次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じた各インキツボキーの開き量を前記補正値演算ステップによって求められた各インキツボキーの開き量の補正値で補正する開量補正ステップと、
前記開量補正ステップによって補正された開き量に前記各インキツボキーの開き量を設定する開量設定ステップと、
前記インキ減少ステップによって前記インキローラ群内のインキが減少された状態で、前記開量設定ステップによって前記各インキツボキーの開き量が補正された開き量に設定された状態で、前記インキ呼び出しローラの呼び出し動作を所定回数行い、前記インキローラ群に次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ膜厚分布形成ステップと
を備えることを特徴とするインキ供給方法。
インキツボキーを複数備え、これらインキツボキーの開き量の調整によってインキツボ内よりインキツボローラに供給されるインキの量を調整し、このインキツボローラに供給されたインキをインキ呼び出しローラの呼び出し動作によりインキローラ群を介して刷版へ供給するインキ供給装置におけるインキローラ群に、次の印刷ジョブの印刷で使用する刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ供給装置において、
前記インキローラ群内のインキを減少させるインキ減少手段と、
次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じた前記各インキツボキーの開き量を求める開量演算手段と、
前記各インキツボキーに対応する範囲の前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正値を各インキツボキーの開き量の補正値として求める補正値演算手段と、
前記開量演算手段によって求められた次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じた各インキツボキーの開き量を前記補正値演算手段によって求められた各インキツボキーの開き量の補正値で補正する開量補正手段と、
前記開量補正手段によって補正された開き量に前記各インキツボキーの開き量を設定する開量設定手段と、
前記インキ減少手段によって前記インキローラ群内のインキが減少された状態で、前記開量設定手段によって前記各インキツボキーの開き量が補正された開き量に設定された状態で、前記インキ呼び出しローラの呼び出し動作を所定回数行い、前記インキローラ群に次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成するインキ膜厚分布形成手段と
を備えることを特徴とするインキ供給装置。
【背景技術】
【0002】
図62に輪転印刷機における各色の印刷ユニット内のインカー(インキ供給装置)の要部を示す。同図において、1はインキツボ、2はインキツボ1に蓄えられたインキ、3はインキツボローラ、4(4−1〜4−n)はインキツボローラ3の軸方向に複数並設して設けられたインキツボキー、5はインキ呼び出しローラ、6はインキローラ群、7は刷版、8は刷版7が装着された版胴、9はゴム胴、10は圧胴である。
【0003】
このインキ供給装置は、インキツボキー4−1〜4−nの開度調整によってインキツボ1内のインキ2をインキツボローラ3に供給し、このインキツボローラ3に供給されたインキをインキ呼び出しローラ5の呼び出し動作によりインキローラ群6を介して刷版7へ供給する。
【0004】
刷版7には絵柄が焼き付けられており、刷版7に供給されたインキをゴム胴9が受け取り、ゴム胴9が受け取ったインキがゴム胴9と圧胴10との間を流れる印刷用紙(被印刷体)11に転写される。
【0005】
なお、インキローラ群6のインキの流動経路の末端には、刷版7に接するインキ着ローラ6−1〜6−4が設けられている。また、刷版7に対しては、インキ着ローラ6−1〜6−4を介するインキと合わせて、水舟13に蓄えられた湿し水が水着ローラ12を介して供給される。
【0006】
このインキ供給装置において、印刷ジョブの切り替えを行う場合、すなわち前の印刷ジョブの刷版7を交換して次の印刷ジョブの刷版7’とする場合、インキツボキー4−1〜4−nの開度やインキツボローラ3の回転量などを次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じた値に変更し、インキツボ1内のインキ2をインキローラ群6を介して交換された刷版7’へ供給する。この場合、本刷りの前に試刷りを行って、インキ供給量を調整し、満足すべき色調を得る。これにより、インキローラ群6、版胴8およびゴム胴9に、所望のインキ膜厚分布(インキ膜厚さの勾配)が作られる。
【0007】
しかしながら、従来のインキ供給装置では、刷版7を刷版7’に交換して次の印刷ジョブを行おうとした場合、前の印刷ジョブの刷版7に対するインキ膜厚分布がインキローラ群6に残っている。この場合、前の印刷ジョブの刷版7に対するインキ膜厚分布を次の印刷ジョブの刷版7’に対するインキ膜厚分布に徐々に変えて行かなければならず、満足すべき色調を得るまでにインキ供給量の調整と試刷りを過大に必要とし、「印刷前準備時間の増加」、「労働負荷の増大」、「印刷資材の浪費」、「生産効率の低下」、「コストアップ」等の問題が生じる。
【0008】
このため、満足すべき色調を得るまでのインキ供給量の調整と試刷りの回数を少なくすることを目的として、特許文献1や特許文献2に示された「インキ膜厚の制御方法」が提案されている。
【0009】
〔特許文献1(刷り減らし+プレインキング2)〕
特許文献1に示されたインキ膜厚の制御方法では、印刷ジョブの切り替えに際して、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作をオフとしたうえ、前の印刷ジョブの刷版7を装着したままの状態で本機を運転し、所定枚数の印刷(白紙印刷)を行い、これによってインキ供給装置内のインキを減らし(刷り減らし)、インキローラ群6に上流から下流になるにしたがって薄くなる印刷中に必要とされる最低限のインキ膜厚分布Ma(
図63(a)参照)、すなわち刷版7の絵柄のない部分(絵柄面積率がゼロの部分)に対応する基準インキ膜厚分布Maを残す(インキリムービング)。
【0010】
次に、インキツボキー4−1〜4−nの開度やインキツボローラ3の回転量などを次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じた値に設定したうえ、インキ着ローラ6−1〜6−4を脱とした状態で、本機を運転し、インキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、インキローラ群6に残されている基準インキ膜厚分布Maに次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mb(
図63(b)参照)を重畳する(プレインキング2)。
【0011】
〔特許文献2(壺返し+プレインキング1)〕
特許文献2に示されたインキ膜厚の制御方法では、印刷ジョブの切り替えに際して、インキツボキー4−1〜4−nの開き量をゼロに設定し、その状態でインキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、インキローラ群6上のインキを全てインキツボ1内に戻す(壺返し)。これにより、インキローラ群6内の各ローラがインキを保有していない状態となる。
【0012】
次に、インキツボキー4−1〜4−nの開度を所定開度(例えば、50%)としたうえ、またインキツボローラ3の回転量を所定量(例えば、50%)としたうえ、インキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、印刷中に必要される最低限のインキ膜厚分布(基準インキ膜厚分布)Ma(
図63(a)参照)をインキローラ群6に形成する(プレインキング1の第1ステップ)。
【0013】
そして、インキツボキー4−1〜4−nの開度やインキツボローラ3の回転量などを次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じた値に設定したうえ、インキ着ローラ6−1〜6−4を脱とした状態で、本機を運転し、インキ呼び出しローラ5を所定回数呼び出し動作させて、インキローラ群6に形成されている基準インキ膜厚分布Maに次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mb(
図63(b)参照)を重畳する(プレインキング1の第2ステップ)。
【0014】
図64にこのインキ供給装置を備えた印刷機によって印刷された印刷物を示す。印刷物11には、絵柄領域11−1を除く余白部に、帯状のカラーバー11−2が印刷される。カラーバー11−2は、一般の4色刷りの場合、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色の濃度測定用のパッチ(網点面積率100%のベタのカラーパッチ)11a1,11a2,11a3,11a4から構成される。領域S1〜Snは、印刷機における各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−1〜4−nのキーゾーンに対応している。
【0015】
〔色合わせ〕
各色の印刷ユニットに対しては基準濃度が予め設定されている。すなわち、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックの各色に対して基準濃度値が予め設定されており、印刷物11の印刷に際しては、各色の濃度値をこの基準濃度値に一致させるような各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−1〜4−nの開度調整が行われる。この各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−1〜4−nの開度調整は、印刷物11に印刷された各色の濃度測定用のパッチ11a(11a1,11a2,11a3,11a4)の濃度に基づいて、不図示のインキ供給量調整装置によって行われる。
【0016】
例えば、印刷物11における領域S1を代表して説明すると、試刷りや本刷りによって得られた印刷物11の各色の濃度測定用のパッチ11aの濃度値を測定し、この測定した各色の濃度値と予め設定されている各色の基準濃度値との濃度差を求め、この求めた各色の濃度差より各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−1の開き量の調整値(領域S1へのインキ供給量の調整値)を求め、この求めた調整値(基準の調整値)に独自の係数(コントロールレシオ)を掛けて修正値を求め、この修正値をフィードバック量として各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−1の開き量を調整する。
【0017】
同様にして、領域S2〜Snについても、各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−2〜4−nの開き量の調整値(領域S2〜Snへのインキ供給量の調整値)を求め、この求めた調整値(基準の調整値)にコントロールレシオを掛けて修正値を求め、この求めた修正値をフィードバック量として各色の印刷ユニットにおけるインキツボキー4−2〜4−nの開き量を調整する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0044】
〔実施の形態1:インキツボキーに対応する範囲の前の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキの供給量を示す指標値を前の印刷ジョブの刷版の絵柄面積率とする例〕
図1は本発明に係るインキ供給方法の実施に用いる印刷ジョブ切替制御装置の一実施の形態(実施の形態1)を示すブロック図である。
【0045】
この印刷ジョブ切替制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、入力装置104、表示器105、出力装置(プリンタ等)106、印刷停止スイッチ107、印刷ジョブ切替開始スイッチ108、濃度測定スイッチ109、印刷機の原動モータ110、原動モータドライバ111、原動モータ用ロータリーエンコーダ112、D/A変換器113、印刷機の原点位置検出器114、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115、インキ呼び出し装置116を備えている。
【0046】
また、測色計117、測色計移動用モータ118、測色計移動用モータ用ロータリーエンコーダ119、測色計移動用モータドライバ120、測色計の現在位置検出用カウンタ121、A/D変換器122、測色計原点位置検出器123、ローラ群分割・連結用エアシリンダ124、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ125、水着ローラ着脱用エアシリンダ126、水着ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ127、インキ着ローラ着脱用エアシリンダ128、インキ着ローラ着脱用エアシリンダ用バルブ129、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ130、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ131、給紙装置132、印刷ユニット133、メモリ134、入出力インターフェイス(I/O,I/F)135−1〜135−13を備えている。
【0047】
図2はこの印刷ジョブ切替制御装置100によって制御される各印刷ユニット内のインキ供給装置の要部を示す図である。同図において、
図62と同一符号は
図62を参照して説明した構成要素と同一或いは同等構成要素を示し、その説明は省略する。このインキ供給装置において、インキローラ群6は同図に点線で示すラインL1を境として、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割可能とされている。
【0048】
具体的には、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとの間に位置するローラ6Cを支点P1を回動中心として揺動する揺動アーム14の一端部に軸支させ、この揺動アーム14の他端部にローラ群分割・連結用エアシリンダ124を連結して設けている。なお、揺動アーム14は、他と区別するためにここでは一点鎖線で示している。
【0049】
この構造において、ローラ群分割・連結用エアシリンダ124を伸長動作させると(
図3参照)、揺動アーム14が支点P1を回動中心として矢印A方向へ揺動し、この揺動に伴ってローラ6Cの周面が上流側のローラ小群6Aのインキ流動経路の最下端に位置するローラ6A1の周面から離れ、またローラ6Cの周面が下流側のローラ小群6Bのインキ流動経路の最上端に位置するローラ6B1の周面から離れる。これにより、インキローラ群6が上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割される。
【0050】
この状態からローラ群分割・連結用エアシリンダ124を縮退動作させると、揺動アーム14が支点P1を回動中心として矢印B方向へ揺動し、この揺動に伴ってローラ6Cの周面が上流側のローラ小群6Aのインキ流動経路の最下端に位置するローラ6A1の周面に対接し、またローラ6Cの周面が下流側のローラ小群6Bのインキ流動経路の最上端に位置するローラ6B1の周面に対接する(
図2参照)。これにより、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとが連結され、1つのインキローラ群6に戻される。
【0051】
また、インキローラ群6に対しては、上流側のローラ小群6Aのローラ6A2の周面に接して上流側のローラ小群6A内のインキを掻き取るインキ掻き取りブレード15と、このインキ掻き取りブレード15によって掻き取られたインキを回収するインキ受け16とが設けられている。インキ掻き取りブレード15に対してはインキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ130が設けられている。インキを掻き取る場合には、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ130を縮退動作させて、インキ掻き取りブレード15をローラ6A2の周面に対接させる(
図4参照)。インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ130を伸長動作させると、インキ掻き取りブレード15がローラ6A2の周面から離れる。
【0052】
この印刷ジョブ切替制御装置100において、CPU101は、インターフェイス135−1〜135−13を介して与えられる各種入力情報を得て、RAM102やメモリ134にアクセスしながら、ROM103に格納されたプログラムに従って動作する。
【0053】
原動モータ用ロータリーエンコーダ112は、印刷機の原動モータ110の所定回転角毎に回転パルスを発生して、原動モータドライバ111に出力する。印刷機の原点位置検出器114は、印刷機の1回転毎の原点位置を検出し、原点位置検出信号を発生して印刷機の回転回数カウント用カウンタ115に出力する。
【0054】
インキ呼び出し装置116はインキ呼び出しローラ5に対して設けられている。インキ呼び出し装置116をオンとすると、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作が開始され、インキ呼び出し装置116をオフとすると、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作が停止される。
【0055】
水着ローラ着脱用エアシリンダ126は水着ローラ12に対して設けられている。水着ローラ着脱用エアシリンダ126を伸長動作させると、水着ローラ12が着状態(刷版7(7’)に接した状態)となり、水着ローラ着脱用エアシリンダ126を縮退動作させると、水着ローラ12が脱状態(刷版7(7’)から離れた状態)となる。
【0056】
インキ着ローラ着脱用エアシリンダ128はインキ着ローラ6−1〜6−4に対して設けられている。インキ着ローラ着脱用エアシリンダ128を伸長動作させると、インキ着ローラ6−1〜6−4が着状態(刷版7(7’)に接した状態)となり、インキ着ローラ着脱用エアシリンダ128を縮退動作させると、インキ着ローラ6−1〜6−4が脱状態(刷版7(7’)から離れた状態)となる。
【0057】
図5〜
図7にメモリ134の内容を分割して示す。メモリ134にはメモリM1〜M28が設けられる。メモリM1にはカウント値Nが記憶される。メモリM2には次の印刷ジョブの刷版のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率S1b〜Snbが記憶される。メモリM3には前の印刷ジョブの刷版のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率S1a〜Snaが記憶される。メモリM4には各印刷ユニットのインキツボキーの総数nが記憶される。メモリM5には測色計の現在位置検出用カウンタ121のカウント値が記憶される。メモリM6には測色計117の現在位置が記憶される。メモリM7には、測色計117によって測定すべき印刷サンプルの各パッチの位置が記憶される。メモリM8には測色計117からの色データが記憶される。メモリM9には印刷サンプルの各パッチの濃度値D1〜Dnが記憶される。メモリM10にはプレインキング時の回転速度Vprが記憶される。
【0058】
メモリM11には印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値が記憶される。メモリM12にはインキ掻き取り時の印刷機の回転回数N1が記憶される。メモリM13には絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルが記憶される。メモリM14には次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b〜θnbが記憶される。メモリM15には基準濃度値DRが記憶される。メモリM16には印刷サンプルの各パッチの濃度値D1〜Dnと基準濃度値DRとの差(濃度差)ΔD1〜ΔDnが記憶される。メモリM17には前の印刷ジョブの絵柄面積率−濃度差に関する補正係数変換表が記憶される。メモリM18にはインキツボキー4−1〜4−nの濃度差に関する補正係数α1〜αnが記憶される。メモリM19にはプレインキング時のインキツボキー4−1〜4−nの開き量の第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nが記憶される。
【0059】
メモリM20には前の印刷ジョブの絵柄面積率に関する補正係数βが記憶される。メモリM21には前の印刷ジョブの絵柄面積率に関するインキツボキー4−1〜4−nの開き量の補正値KA1〜KAnが記憶される。メモリM22には前の印刷ジョブの絵柄面積率がゼロの時の基準補正値KA0が記憶される。メモリM23にはプレインキング時のインキツボキー4−1〜4−nの開き量の第2の補正値Δθ2
1〜Δθ2nが記憶される。メモリM24にはプレインキング時のインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b’〜θnb’が記憶される。メモリM25にはインキツボローラの回転量が記憶される。メモリM26にはプレインキング時の印刷機の回転回数N2が記憶される。メモリM27には版胴・ゴム胴プレインキング時の印刷機の回転回数N3が記憶される。メモリM28には印刷速度Vpが記憶される。
【0060】
測色計117は、
図8に示すように、支柱20−1,20−2間に設けられたボールネジ(送りねじ)20−3に取り付けられている。ボールネジ20−3は測色計移動用モータ118によって正/逆回転する。このボールネジ20−3の正/逆回転により、ボールネジ20−3に案内されながら、測色計117が支柱20−1,20−2間を移動する。測色計117のヘッド部117−1は測定台20−4の測定対象が置かれる面20−4aに向けられている。
【0061】
なお、
図1において、200はインキ供給装置におけるインキツボローラ3を駆動するインキツボローラ制御装置、300−1〜300−nはインキ供給装置におけるインキツボキー4−1〜4−nの開き量を制御するインキツボキー制御装置である。インキツボローラ制御装置200およびインキツボキー制御装置300−1〜300−nは各色のインキ供給装置毎に設けられているが、この実施の形態では説明を簡単とするためにインキ供給装置は1つとする。すなわち、1つのインキ供給装置を代表して、その動作を説明する。
【0062】
〔印刷ジョブ切替制御装置の概略的な動作〕
印刷ジョブ切替制御装置100の詳細な動作の説明に入る前に、理解を容易とするために、その概略的な動作について説明しておく。
【0063】
(1)給紙を停止すると共に刷版7を用いての印刷を停止する(前の印刷ジョブを終了する)。印刷を停止すると、胴抜きが行われてゴム胴9が版胴8および圧胴10から離れると共に、インキ着けローラ6−1〜6−4が脱とされ、水着ローラ12が脱とされ、版胴8から離れる(
図3参照)。この場合、インキローラ群6には、
図9(a)に示すように、刷版7の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mcが残される。すなわち、前の印刷ジョブのインキ膜厚分布Mcが残される。
【0064】
(2)印刷機停止状態で、版胴8に装着されている刷版7を次の印刷ジョブの刷版7’に交換するとともにゴム胴9を洗浄する(
図9(b))。
【0065】
(3)インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割(リムービン時の分割)する。これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mcは、
図9(c)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布McAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布McBとに分かれる。
【0066】
(4)印刷機の回転速度をプレインキング時の回転速度Vprまで増速し、インキ掻き取りブレード15を上流側のローラ小群6A内のローラ6A2に着にし、その状態で印刷機を一定回転(インキ掻き取り時の回転回数N1)させ、上流側のローラ小群6A内のインキを掻き取って減少させる(
図4参照)。すなわち、上流側のローラ小群6A内のインキをリムービングする。これにより、
図9(d)に示されるように、上流側のローラ小群6Aにリムービング後のインキ膜厚分布MaA’が残される。この時、下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布は、インキ掻き取り時の回転回数N1により均されて、平坦なインキ膜厚分布McB’となる。
【0067】
この(4)の工程では、特許文献1や2に示されたインキ膜厚の制御方法と同様に、前の印刷ジョブの印刷物が基準濃度で印刷されていることを想定してインキの掻き取りを実施するため、前の印刷ジョブの印刷物が基準濃度で印刷されていない場合、上流側のローラ小群6Aに残されるインキに過不足が生じる(問題1)。
【0068】
また、この(4)の工程において、上流側のローラ小群6Aに残されるリムービング後のインキ膜厚分布MaA’は、インキ掻き取りブレード15がローラ幅方向に対して一律にインキを掻きとるので、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の違いによるインキの膜厚の凹凸の影響を受けた、また絵柄面積率がゼロの部分に対応する基準インキ膜厚分布に食い込んだ形でインキを除去したインキ膜厚分布となる(問題2)。
【0069】
図10に前回の印刷ジョブ(ジョブA)と今回の印刷ジョブ(ジョブB)の刷版の絵柄とその絵柄に対するインキ供給装置内のインキの膜厚(印刷状態)を例示する。
図10における上段の図はジョブAとジョブBの刷版の絵柄を示し、下段の図はジョブAとジョブBの刷版の絵柄に対するインキ供給装置内のインキの膜厚を示している。
【0070】
ジョブAは左から右へインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率が大(インキの膜厚が大)となっており、ジョブBはジョブAとは反対に右から左へインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率が大(インキの膜厚が大)となっている。なお、t1は基本インキ膜厚、t2は絵柄膜厚、Wは刷版の幅であり、基本インキ膜厚t1および絵柄膜厚t2はインキローラ群6上の上流から下流になるにしたがって薄くなるインキの膜厚の平均値を示している。
【0071】
図11(a)に、ジョブAからジョブBへの印刷ジョブの切り替えに際し、特許文献1に示された方法(白紙印刷)でインキを刷り減らした後のインキの膜厚(リムービング後の膜厚)を示す。この場合、白紙印刷でインキを刷り減らしているので、ジョブAの刷版の絵柄膜厚t2が取り除かれて基準インキ膜厚t1のみが残されている。このため、各インキツボキーの開き量をジョブBの刷版の絵柄に応じた開き量に設定すれば、基準インキ膜厚t1にジョブBの絵柄膜厚t2が重畳される。
【0072】
図11(b)に、ジョブAからジョブBへの印刷ジョブの切り替えに際し、インキ掻き取りブレード15でインキを掻き取った後のインキの膜厚(リムービング後の膜厚)を示す。この場合、インキ掻き取りブレード15はローラ幅方向に対して一律にインキを掻きとるので、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の違いによるインキの膜厚の凹凸の影響を除去することができず、また基準インキ膜厚t1に食い込んだ形でインキが除去されてしまう。このため、インキツボキー4−1〜4−nの開き量をジョブBの刷版の絵柄に応じた開き量に設定しても、基準インキ膜厚t1にジョブBの絵柄膜厚t2を重畳させたインキ膜厚を得ることができない。
【0073】
すなわち、
図12(b)に
図11(b)のジョブAからジョブBへの印刷ジョブの切り替えに際する「リムービング後の膜厚」を転記して示すように、
図12(b)における基準インキ膜厚t1×W(刷版の幅)で表される矩形の面積を基準膜厚成分J0とした場合、この基準膜厚成分J0に食い込んだ鍵状のインキ除去成分(白色で示す部分)J1を除く成分(黒色で示す部分)J2がリムービング後のインキ膜厚成分となる。このため、インキツボキー4−1〜4−nの開き量をジョブBの刷版の絵柄に応じた開き量に設定しても、基準インキ膜厚t1にジョブBの絵柄膜厚t2を重畳させたインキ膜厚を得ることができない。
【0074】
(5)そこで、本実施の形態では、上述した問題1に対しては、前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分(以下、この補正成分をJXと呼ぶ)に相当する補正値(インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正値)をインキツボキー4−1〜4−nの開き量の第1の補正値として求めるようにし、上述した問題2に対しては、
図12(a)に示すように、ジョブBの絵柄膜厚成分JBとインキ除去成分J1に相当する基準膜厚補填成分JYとがリムービング後のインキ膜厚成分J2に加わるように、基準膜厚補填成分JYに相当する補正値(インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の前の印刷ジョブの刷版7の絵柄面積率に応じた補正値)をインキツボキー4−1〜4−nの開き量の第2の補正値として求めるようにし、この第1の補正値と第2の補正値とで次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量を補正し、インキツボキー4−1〜4−nの開き量をその補正された開き量に設定する。また、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを連結して1つのインキローラ群6に戻す(
図9(e))。
【0075】
(6)そして、印刷機の回転速度がプレインキング時の回転速度Vprとされている状態で、プレインキング時の回転回数N2だけインキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を行わせ、インキローラ群6に残されているリムービング後のインキ膜厚成分に次の印刷ジョブの絵柄膜厚成分と前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分と基準膜厚補填成分とを加え、インキローラ群6に次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mdを形成する(
図9(f))。
【0076】
(7)インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止し、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに再分割(印刷開始時の分割)する。これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mdは、
図9(g)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布MdAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布MdBとに分かれる。
【0077】
(8)インキ着ローラ6−1〜6−4および水着ローラ12を着とすると共に、版胴8とゴム胴9のみを着状態とする。すなわち、インキ着ローラ6−1〜6−4および水着ローラ12を刷版7’の版面に接した状態とすると共に、ゴム胴9を版胴8に対してのみ着とする(呼び出し動作は停止したまま)。これにより、下流側のローラ小群6Bと水着ローラ12と版胴8とゴム胴9とが着状態とされる(
図9(h))。
【0078】
(9)この状態で、印刷機を版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N3だけ回転させ、下流側のローラ小群6B内のインキを版胴8に装着されている刷版7’およびゴム胴9に供給する(
図9(i))。この場合、下流側のローラ小群6B内の比較的薄いインキ膜厚分布MdBのインキのみが刷版7’およびゴム胴9に供給されるものとなり、刷版7’およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0079】
すなわち、
図13に示されるように、
図9(f)に対応する
図13(f)の工程の後、インキローラ群6を分割せずに、インキ着ローラ6−1〜6−4と水着ローラ12と版胴8とゴム胴9とを着状態にして(
図13(g))、印刷機を所定回数回転させ、版胴8およびゴム胴9にもインキを供給することが考えられるが、この場合、インキ供給装置内の全てのインキがインキローラ群6、版胴8およびゴム胴9内で均されるため、版胴8およびゴム胴9に過分なインキが多量に供給されてしまい、版胴8およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎる(
図13(h))。
【0080】
これに対して、
図9(f)の工程の後、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割することにより(
図9(g))、下流側のローラ小群6B内の比較的薄いインキ膜厚分布MdBのインキのみが刷版7’およびゴム胴9に供給されるものとなり(
図9(h),(i))、刷版7’およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0081】
(10)この後、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを再連結して1つのインキローラ群6に戻して(
図9(j))、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を行わせ、ゴム胴9を圧胴10に対しても着状態として、すなわち版胴8、ゴム胴9および圧胴10間を接触させた胴入れ状態として(
図2参照)、版胴8に装着されている刷版7’を使用しての次の印刷ジョブの印刷を開始する。
【0082】
この場合、次の印刷ジョブの印刷時のインキ膜厚分布(最終的な本刷り時のインキ膜厚分布)は、印刷中に作成される。この際、下流側のローラ小群6Bおよび版胴8およびゴム胴9内のインキ膜厚分布MdB’は薄くなっているため、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布Me(
図9(k))が速やかに形成されるものとなる。
【0083】
図13に示された方法では、版胴8およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎるため(
図13(h))、本刷り中のインキ膜厚分布Me(
図13(i))が形成されるまでに時間がかかり、多くの損紙が発生してしまう。これに対して、本実施の形態では、版胴8およびゴム胴9に対して形成されるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれるので、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布が速やかに形成されるものとなり、刷版7’
に交換しての次の印刷ジョブの印刷開始後、短時間で正常な印刷物が得られるものとなる。
【0084】
なお、
図9を用いて説明した概略的な動作では、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割した後に(
図9(g))、下流側のローラ小群6Bを版胴8に対して着状態とするようにしたが(
図9(h))、
図14に示すように、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割する前に下流側のローラ小群6Bを版胴8に対して着状態とし(
図14(g))、その後にインキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割する(
図14(h))ようにしてもよい。
【0085】
〔印刷ジョブ切替制御装置の詳細な動作〕
印刷ジョブを切り替える場合、オペレータは印刷停止スイッチ107をオンとする。すると、CPU101は、印刷停止スイッチ107がオンとされたことを確認し(
図15:ステップS101のYES)、給紙装置132に給紙停止指令を出力し、印刷機への給紙を停止させるとともに(ステップS102)、胴抜き指令、インキ着ローラの脱指令、水着ローラの脱指令を印刷ユニット133に出力する(ステップS103、S104、S105)。
【0086】
すなわち、胴抜き指令によって、ゴム胴9を版胴8および圧胴10から脱とする。また、インキ着ローラの脱指令によって、インキ着ローラ6−1〜6−4を脱とし、刷版7から離した状態とする。また、水着ローラの脱指令によって、水着ローラ12を脱とし、刷版7から離した状態とする。また、CPU101は、原動モータドライバ111に停止信号を出力し(ステップS106)、原動モータ110を停止させる。これにより、印刷機が停止する(
図9(a))。
【0087】
〔前の印刷ジョブの刷版の絵柄面積率の移し替え〕
CPU101は、メモリM1中のカウント値Nを1とし(ステップS107)、メモリM1からカウント値Nを読み出し(
図16:ステップS108)、メモリM2のN番目のアドレス位置の絵柄面積率(前の印刷ジョブで使用した刷版7のN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率)を読み込み、メモリM3のN番目のアドレス位置に前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率として書き込む(ステップS109)。
【0088】
そして、メモリM1中のカウント値Nに1を加算し(ステップS110)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS111)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS112のYES)、ステップS108〜S112の処理動作を繰り返す。これにより、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の前の印刷ジョブで使用した刷版7の絵柄面積率S1b〜SnbがメモリM2から読み出され、前の印刷ジョブのインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率S1a〜SnaとしてメモリM3に格納されて行く。
【0089】
〔濃度測定〕
オペレータは、前の印刷ジョブで印刷された印刷物の中から1枚を抜き取り、測定台20-4(
図8)上に印刷サンプル11としてセットする。このセット状態において、印刷サンプル11のカラーバー11-2は、測色計117のヘッド部117−1の下面に位置する。この状態で、オペレータは、濃度測定スイッチ109をオンとする。濃度測定スイッチ109がオンとされると(
図17:ステップS113のYES)、CPU101は、濃度の測定処理を開始する。
【0090】
〔色データの採取〕
この濃度測定の処理において、CPU101は、測色計移動用モータドライバ120に正転信号を出力して、測色計移動用モータ118を正転させる(ステップS114)。この測色計移動用モータ118の正転により、ボールネジ20−3が正転し、このボールネジ20−3に案内されて測色計117が支柱20−1に接する原点位置から支柱20−2方向へ向けて移動する。
【0091】
CPU101は、メモリM1中のカウント値NをN=1とし(ステップS115)、測色計の現在位置検出用カウンタ121からカウント値を読み込んでメモリM5に記憶し(ステップS116)、この読み込んだカウント値より測色計117の現在位置を演算してメモリM6に記憶し(ステップS117)、メモリM1中のカウント値Nを読み出し(ステップS118)、メモリM7中の測定すべき印刷サンプルのN番目のパッチの位置を読み出し(ステップS119)、測色計117の現在位置がその読み出したN番目のパッチの位置に達したときに(
図18:ステップS120のYES)、測色計117に測定指令信号を出力し(ステップS121)、その位置に位置する印刷サンプル11のパッチ11aの色データをA/D変換器122を介して測色計117により採取し、採取した色データをメモリM8のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS122)。
【0092】
次に、CPU101は、ステップS122で採取した色データより印刷サンプル11のN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度値DNを算出し、メモリM9のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS123)。そして、メモリM1中のカウント値Nに1を加算し(ステップS124)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS125)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS126のYES)、ステップS116〜S126の処理動作を繰り返す。これにより、メモリM7に記憶されているN番目のパッチの位置に達する毎に、その位置に位置する印刷サンプル11のパッチ11aの色データが測色計117により採取され、採取された色データがメモリM8に格納されて行くと共に、その色データから算出された濃度値D1〜DnがメモリM9に格納されて行く。
【0093】
CPU101は、印刷サンプル11からの色データの採取を完了すると(ステップS126のYES)、測色計移動用モータ118の正転を停止させる(
図19:ステップS127)。そして、測色計移動用モータ118を逆転させ(ステップS128)、測色計原点位置検出器123の出力がONとなって(ステップS129のYES)、測色計117が原点位置に復帰した後、測色計移動用モータ118の逆転を停止させる(ステップS130)。
【0094】
〔次の印刷ジョブの刷版の絵柄面積率の入力〕
次に、CPU101は、入力装置104より入力された刷版7’のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率をメモリM2に格納する。なお、この実施の形態において、刷版7’のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の測定には、本出願人による特許文献5や特許文献6に示されているような「絵柄面積率測定装置」を用い、この「絵柄面積率測定装置」を用いて測定した絵柄面積率を可搬型のメモリに書き込み、この絵柄面積率が書き込まれた可搬型のメモリを入力装置104にセットすることによって、刷版7’のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の入力を行う。なお、CPU101と「絵柄面積率測定装置」とをオンラインで結び、「絵柄面積率測定装置」から直接、刷版7’のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率を取り込むようにしてもよい。
【0095】
CPU101は、入力装置104に可搬型のメモリがセットされると、すなわちインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の刷版7’の絵柄面積率が入力されると(ステップS131のYES)、メモリM1中のカウント値Nを1とし(
図20:ステップS132)、メモリM1からカウント値Nを読み出し(ステップS133)、N番目のインキツボキーに対応する範囲の刷版7’の絵柄面積率を可搬型のメモリから読み出して、メモリM2のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS134)。
【0096】
そして、メモリM1中のカウント値Nに1を加算して(ステップS135)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS136)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS137のYES)、ステップS133〜S137の処理動作を繰り返す。これにより、刷版7’のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率が可搬型のメモリから読み出され、次の印刷ジョブのインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率S1b〜SnbとしてメモリM2に格納されて行く。
【0097】
〔版交換・洗浄〕
一方、オペレータは、印刷機が停止され、インキ着ローラ6−1〜6−4および水着ローラ12が脱とされている状態で(
図9(a))、版胴8に装着されている刷版7を次の印刷ジョブの刷版7’に交換するとともにゴム胴9の洗浄を行う(
図9(b))。
【0098】
〔インキローラ群の分割〕
CPU101は、印刷ジョブ切替開始スイッチ108がオンとされると(
図21:ステップS138のYES)、インキ呼び出し装置116に動作停止信号を出力し(ステップS139)、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止させる。そして、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ125に分割信号を出力し(ステップS140)、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割させる(
図3参照)。
【0099】
これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mcは、
図9(c)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布McAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布McBとに分かれる。
【0100】
〔上流側のローラ小群中のインキの掻き取り〕
次に、CPU101は、メモリM10からプレインキング時の回転速度Vprを読み出し(ステップS141)、原動モータドライバ111にD/A変換器113を介してプレインキング時の回転速度Vprを出力する(ステップS142)。これにより、印刷機が回転し始め、その速度がプレインキング時の回転速度Vprまで上昇する。
【0101】
そして、CPU101は、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ131に着信号を出力する(ステップS143)。これにより、
図4に示されるように、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ130が縮退動作し、インキ掻き取りブレード15がローラ6A2の周面に対接し、上流側のローラ小群6A中のインキの掻き取り(インキの除去)が開始される。
【0102】
CPU101は、この上流側のローラ小群6A中のインキの除去を、印刷機の回転回数がメモリM12中のインキ掻き取り時の回転回数N1に達するまで続ける。すなわち、CPU101は、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ131に着信号を出力した後(ステップS143)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115にリセット信号およびイネーブル信号を出力し(
図22:ステップS144)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115へのリセット信号の出力を停止させて(ステップS145)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115の零からのカウント動作を開始させる。そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115からカウント値を読み込んでメモリM11に記憶し(ステップS146)、メモリM12中のインキ掻き取り時の回転回数N1を読み出し(ステップS147)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値がインキ掻き取り時の回転回数N1に達するまで(ステップS148のYES)、ステップS146〜S148の処理動作を繰り返す。
【0103】
そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値がインキ掻き取り時の回転回数N1に達した時点で(ステップS148のYES)、インキ掻き取りブレード着脱用エアシリンダ用バルブ131に脱信号を出力し(ステップS149)、上流側のローラ小群6A中のインキの除去を完了させる。
【0104】
これにより、
図9(d)に示されるように、上流側のローラ小群6Aにリムービング後のインキ膜厚分布MaA’が残される。この時、下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布は、インキ掻き取り時の回転回数N1により均されて、平坦なインキ膜厚分布McB’となる。
【0105】
この工程では、前の印刷ジョブの印刷物が基準濃度で印刷されていることを想定してインキの掻き取りを実施するため、前の印刷ジョブの印刷物が基準濃度で印刷されていない場合、上流側のローラ小群6Aに残されるインキに過不足が生じる。また、リムービング後のインキ膜厚分布MaA’は、インキ掻き取りブレード15がローラ幅方向に対して一律にインキを掻きとるので、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率の違いによるインキの膜厚の凹凸の影響を受けた、また絵柄面積率がゼロの部分に対応する基準インキ膜厚分布に食い込んだ形でインキを除去したインキ膜厚分布となる。
【0106】
〔次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じた補正されたインキツボキーの開き量の設定(プレインキング時のインキツボキーの開き量の設定)〕
次に、CPU101は、メモリM1中のカウント値Nを1とし(
図23:ステップS150)、メモリM1からカウント値Nを読み出し(ステップS151)、メモリM2のN番目のアドレス位置より、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNbを読み出す(ステップS152)。
【0107】
そして、メモリM13中の絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを読み出し(ステップS153)、この絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを用いて、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNbより、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量(次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたN番目のインキツボキーの開き量)θNbを求め、この求めた次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbをメモリM14のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS154)。
【0108】
次に、CPU101は、メモリM9のN番目のアドレス位置より印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度値DNを読み出し(ステップS155)、メモリM15より基準濃度値DRを読み出し(ステップS156)、基準濃度値DRより印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度値DNを減算し、印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度差ΔDNを求め、メモリM16のN番目のアドレス位置に記憶させる(
図24:ステップS157)。
【0109】
そして、メモリM3のN番目のアドレス位置より前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaを読み出し(ステップS158)、メモリM17中の前の印刷ジョブの絵柄面積率−濃度差に関する補正係数変換表を読み出し(ステップS159)、前の印刷ジョブの絵柄面積率−濃度差に関する補正係数変換表を用いて、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaより、N番目のインキツボキーの濃度差に関する補正係数αNを求め、メモリM18のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS160)。
【0110】
そして、CPU101は、ステップS157で求めた印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度差ΔDNにステップS160で求めたN番目のインキツボキーの濃度差に関する補正係数αNを乗算し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1Nを求め、メモリM19のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS161)。
【0111】
次に、CPU101は、メモリM3のN番目のアドレス位置より、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaを読み出し(
図25:ステップS162)、メモリM20から前の印刷ジョブの絵柄面積率に関する補正係数βを読み出し(ステップS163)、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaに前の印刷ジョブの絵柄面積率に関する補正係数βを乗算し、前の印刷ジョブの絵柄面積率に関するN番目のインキツボキーの開き量の補正値KANを求め、メモリM21のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS164)。
【0112】
そして、メモリM22から前の印刷ジョブの絵柄面積率がゼロの時の基準補正値KA0を読み出し(ステップS165)、前の印刷ジョブの
絵柄面積率がゼロの時の基準補正値KA0より前の印刷ジョブの絵柄面積率に関するN番目のインキツボキーの開き量の補正値KANを減算し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第2の補正値Δθ2Nを求め、メモリM23のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS166)。
【0113】
そして、CPU101は、メモリM14のN番目のアドレス位置より次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbを読み出し(ステップS167)、メモリM19のN番目のアドレス位置よりプレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1Nを読み出し(
図26:ステップS168)、この読み出したプレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1NとステップS166で求めたプレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第2の補正値Δθ2Nとを次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbに加算し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量θNb’(θNb’=θNb+Δθ1N+Δθ2N)を求め、メモリM24のN番目のアドレス位置に記憶させるとともに(ステップS169)、N番目のインキツボキー制御装置300に送信する(ステップS170)。
【0114】
ここで、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbは、
図12を用いて説明したジョブBの絵柄膜厚成分JBに相当し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1Nは、前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分JXに相当し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第2の補正値Δθ2Nは、
図12を用いて説明した基準膜厚補填成分JYに相当する。したがって、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量θNb’(θNb’=θNb+Δθ1N+Δθ2N)は、ジョブBの絵柄膜厚成分JBと前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分JXと基準膜厚補填成分JYとを足し合わせた膜厚成分「JB+JX+JY」に相当するものとなる。
【0115】
そして、CPU101は、メモリM1中のカウント値Nに1を加算し(ステップS171)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS172)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS173のYES)、ステップS151〜S173の処理動作を繰り返す。
【0116】
これにより、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の刷版7’の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b〜θnbがプレインキング時のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nと第2の補正値Δθ2
1〜Δθ2nとによって補正されてプレインキング時のインキツボキーの開き量θ1b’〜θnb’とされ、このプレインキング時のインキツボキーの開き量θ1b’〜θnb’がメモリM24に記憶されて行くと共に、インキツボキー制御装置300−1〜300−nに送信されて行く。
【0117】
〔インキツボキーの開き量の設定が完了していることの確認〕
次に、CPU101は、メモリM1中のカウント値Nを1とし(
図27:ステップS174)、メモリM1からカウント値Nを読み出し(ステップS175)、N番目のインキツボキー制御装置300からのインキツボキーの開き量の設定完了信号の有無を確認する(ステップS176)。
【0118】
ここで、N番目のインキツボキー制御装置300からインキツボキーの開き量の設定完了信号が送信されてきていな
ければ(ステップS176のNO)、ステップS174に戻り、メモリM1中のカウント値Nを1として、ステップS175,S176を繰り返す。
【0119】
N番目のインキツボキー制御装置300からインキツボキーの開き量の設定完了信号が送信されてきていれば(ステップS176のYES)、メモリM1中のカウント値Nに1を加算し(ステップS177)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS178)、カウント値Nとインキツボキーの総数nとを比較する(ステップS179)。
【0120】
CPU101は、カウント値Nがインキツボキーの総数nに一致するまで、ステップS175〜S179の処理動作を繰り返す。そして、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えると(ステップS179のYES)、すなわち全てのインキツボキー制御装置300から設定完了信号が送信されてきたことを確認すると、CPU101は、インキツボキーの開き量の設定が完了していると判断し、全てのインキツボキー制御装置300(300−1〜300−n)に、全インキツボキーの開き量設定完了信号を送信する(
図28:ステップS180)。
【0121】
〔インキローラ群の連結〕
次に、CPU101は、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ125に連結信号を出力し(ステップS181)、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを連結し、1つのインキローラ群6に戻す(
図9(e))。
【0122】
〔プレインキング(インキ膜厚分布の形成)〕
次に、CPU101は、メモリM25に格納されているインキツボローラの回転量を読み出し(ステップS182)、その読み出したインキツボローラの回転量をインキツボローラ制御装置200に送信する(ステップS183)。
【0123】
そして、インキツボローラ制御装置200からのインキツボローラの回転量受信完了信号を受けて(ステップS184のYES)、インキ呼び出し装置116に動作信号を出力し(ステップS185)、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を開始させる。CPU101は、このインキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を、印刷機の回転回数がメモリM26中のプレインキング時の回転回数N2に達するまで続ける(ステップS186〜S190(
図29))。
【0124】
すなわち、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115にリセット信号およびイネーブル信号を出力し(ステップS186)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115へのリセット信号の出力を停止させて(ステップS187)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115の零からのカウント動作を開始させる。そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115からカウント値を読み込んでメモリM11に記憶し(ステップS188)、メモリM26中のプレインキング時の回転回数N2を読み出し(ステップS189)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値がプレインキング時の回転回数N2に達するまで(ステップS190のYES)、ステップS188〜S190の処理動作を繰り返す。
【0125】
これにより、インキローラ群6に残されているリムービング後のインキ膜厚成分に次の印刷ジョブの絵柄膜厚成分と前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分と基準膜厚補填成分とが加えられ、インキローラ群6に次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキ膜厚分布Mdが形成される(
図9(f))。
【0126】
CPU101は、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値がプレインキング時の回転回数N2に達すると(ステップ190のYES)、インキ呼び出し装置116に動作停止信号を出力し、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を停止させる(ステップS191)。
【0127】
〔次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキーの開き量への設定〕
次に、CPU101は、メモリM1中のカウント値Nを1とし(
図30:ステップS192)、メモリM1からカウント値Nを読み出し(ステップS193)、メモリM14のN番目のアドレス位置より、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbを読み出し(ステップS194)、N番目のインキツボキー制御装置300に送信する(ステップS195)。そして、メモリM1中のカウント値Nに1を加算し(ステップS196)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS197)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS198のYES)、ステップS193〜S198の処理動作を繰り返す。
【0128】
これにより、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b〜θnbが、インキツボキー制御装置300−1〜300−nに送信されて行く。
【0129】
〔インキツボキーの開き量の設定が完了していることの確認〕
次に、CPU101は、メモリM1中のカウント値Nを1とし(
図31:ステップS199)、メモリM1からカウント値Nを読み出し(ステップS200)、N番目のインキツボキー制御装置300からのインキツボキーの開き量の設定完了信号の有無を確認する(ステップS201)。
【0130】
ここで、N番目のインキツボキー制御装置300からインキツボキーの開き量の設定完了信号が送信されてきていな
ければ(ステップS201のNO)、ステップS199に戻り、メモリM1中のカウント値Nを1として、ステップS200,S201を繰り返す。
【0131】
N番目のインキツボキー制御装置300からインキツボキーの開き量の設定完了信号が送信されてきていれば(ステップS201のYES)、メモリM1中のカウント値Nに1を加算し(ステップS202)、メモリM4からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS203)、カウント値Nとインキツボキーの総数nとを比較する(ステップS204)。
【0132】
CPU101は、カウント値Nがインキツボキーの総数nに一致するまで、ステップS200〜S204の処理動作を繰り返す。そして、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えると(ステップS204のYES)、すなわち全てのインキツボキー制御装置300から設定完了信号が送信されてきたことを確認すると、CPU101は、インキツボキーの開き量の設定が完了していると判断し、全てのインキツボキー制御装置300(300−1〜300−n)に、全インキツボキーの開き量設定完了信号を送信する(ステップS205)。
【0133】
〔インキローラ群の分割(ローラ群再分割)〕
そして、CPU101は、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ125に分割信号を出力し(
図32:ステップS206)、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに再分割させる(
図3参照)。
【0134】
これにより、インキローラ群6のインキ膜厚分布Mdは、
図9(g)に示すように、上流側のローラ小群6Aのインキ膜厚分布MdAと下流側のローラ小群6Bのインキ膜厚分布MdBとに分かれる。
【0135】
〔下流側のローラ小群と版胴およびゴム胴とを着状態とする〕
次に、CPU101は、水着ローラの着指令、インキ着ローラの着指令、版胴とゴム胴の着指令を印刷ユニット133に出力する(ステップS207、S208、S209)。すなわち、水着ローラの着指令によって、水着ローラ12を着とし、刷版7’に接した状態とする。また、インキ着ローラの着指令によって、インキ着ローラ6−1〜6−4を着とし、刷版7’に接した状態とする。また、版胴とゴム胴の着指令によって、版胴8とゴム胴9のみを着状態とする。すなわち、ゴム胴9を版胴8に対してのみ着とする。これにより、下流側のローラ小群6Bと版胴8およびゴム胴9とが着状態とされる(
図9(h))。
【0136】
〔版胴・ゴム胴プレインキング(版胴・ゴム胴へのインキの供給)〕
そして、この状態で、CPU101は、印刷機の回転回数がメモリM27中の版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N3に達するまで、印刷機を回転させる(ステップS210〜S214(
図33))。
【0137】
すなわち、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115にリセット信号およびイネーブル信号を出力し(ステップS210)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115へのリセット信号の出力を停止させて(ステップS211)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115の零からのカウント動作を開始させる。そして、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115からカウント値を読み込んでメモリM11に記憶し(ステップS212)、メモリM27中の版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N3を読み出し(ステップS213)、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値が版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N3に達するまで(
図33:ステップS214のYES)、ステップS212〜S214の処理動作を繰り返す。
【0138】
これにより、下流側のローラ小群6B中のインキが版胴8に装着されている刷版7’およびゴム胴9に供給される(
図9(i))。この場合、下流側のローラ小群6B中の比較的薄いインキ膜厚分布MdBのインキのみが刷版7’およびゴム胴9に供給されるものとなり、刷版7’およびゴム胴9におけるインキ膜厚分布が厚くなり過ぎることが防がれる。
【0139】
〔次の印刷ジョブの印刷(印刷開始)〕
〔インキローラ群の連結〕
CPU101は、印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値が版胴・ゴム胴プレインキング時の回転回数N3に達すると(ステップS214のYES)、インキ呼び出し装置116に動作信号を出力し(ステップS215)、インキ呼び出しローラ5の呼び出し動作を開始させる。
【0140】
そして、CPU101は、ローラ群分割・連結用エアシリンダ用バルブ125に連結信号を出力し(ステップS216)、上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとを再連結し(
図2参照)、1つのインキローラ群6に戻す(
図9(j))。
【0141】
〔給紙&胴入れ〕
そして、CPU101は、メモリM28から印刷速度Vpを読み出し(ステップS217)、原動モータドライバ111にD/A変換器113を介して印刷速度の回転指令を出力し(ステップS218)、印刷機の速度を印刷速度Vpとする。また、給紙装置132に給紙指令を出力し(ステップS219)、印刷機への給紙を開始する。また、胴入れ指令(圧胴とゴム胴の着指令)を印刷ユニット133に出力し(ステップS220)、ゴム胴9を圧胴10に対しても着状態とする。すなわち、版胴8、ゴム胴9および圧胴10間を接触させた胴入れ状態とする(
図2参照)。これにより、刷版7’を使用しての次の印刷ジョブの印刷が開始される。
【0142】
この場合、次の印刷ジョブの印刷時のインキ膜厚分布(最終的な本刷り時のインキ膜厚分布)は、印刷中に作成される。この際、下流側のローラ小群6Bおよび版胴8およびゴム胴9中のインキ膜厚分布MdB’は薄くなっているため、インキが上流側から下流側に速く流れ、インキローラ群6および版胴8およびゴム胴9に本刷り中のインキ膜厚分布Meが速やかに形成されるものとなる(
図9(k))。
【0143】
〔実施の形態2:インキツボキーに対応する範囲の前の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキの供給量を示す指標値を前の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキーの開き量とする例〕
実施の形態1では、インキツボキーに対応する範囲の前の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキの供給量を示す指標値を前の印刷ジョブの刷版の絵柄面積率とするようにしたが、実施の形態2では前の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキーの開き量とする。
【0144】
図34および
図35に実施の形態2におけるメモリ134の内容を分割して示す。なお、実施の形態2の印刷ジョブ切替制御装置の構成は、
図1に示した印刷ジョブ切替制御装置100の構成と同じであるので、この印刷ジョブ切替制御装置100の構成を流用する。
【0145】
メモリ134にはメモリM31〜M59が設けられる。メモリM31にはカウント値Nが記憶される。メモリM32には次の印刷ジョブの刷版のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率S1b〜Snbが記憶される。メモリM33には前の印刷ジョブの刷版のインキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の絵柄面積率S1a〜Snaが記憶される。メモリM34には各印刷ユニットのインキツボキーの総数nが記憶される。メモリM35には測色計の現在位置検出用カウンタ121のカウント値が記憶される。メモリM36には測色計117の現在位置が記憶される。メモリM37には、測色計117によって測定すべき印刷サンプルの各パッチの位置が記憶される。メモリM38には測色計117からの色データが記憶される。メモリM39には印刷サンプルの各パッチの濃度値D1〜Dnが記憶される。メモリM40にはプレインキング時の回転速度Vprが記憶される。
【0146】
メモリM41には印刷機の回転回数カウント用カウンタ115のカウント値が記憶される。メモリM42にはインキ掻き取り時の印刷機の回転回数N1が記憶される。メモリM43には絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルが記憶される。メモリM44には次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b〜θnbが記憶される。メモリM45には前の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1a〜θnaが記憶される。メモリM46には基準濃度値DRが記憶される。メモリM47には印刷サンプルの各パッチの濃度値D1〜Dnと基準濃度値DRとの差(濃度差)ΔD1〜ΔDnが記憶される。メモリM48には前の印刷ジョブの絵柄面積率−濃度差に関する補正係数変換表が記憶される。メモリM49にはインキツボキー4−1〜4−nの濃度差に関する補正係数α1〜αnが記憶される。メモリM50にはプレインキング時のインキツボキー4−1〜4−nの開き量の第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nが記憶される。
【0147】
メモリM51には前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量に関する補正係数γが記憶される。メモリM52には前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量に関するインキツボキー4−1〜4−nの開き量の補正値KB1〜KBnが記憶される。メモリM53には前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量がゼロの時の基準補正値KB0が記憶される。メモリM54にはプレインキング時のインキツボキー4−1〜4−nの開き量の第2の補正値Δθ2
1〜Δθ2nが記憶される。メモリM55にはプレインキング時のインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b’〜θnb’が記憶される。メモリM56にはインキツボローラの回転量が記憶される。メモリM57にはプレインキング時の印刷機の回転回数N2が記憶される。メモリM58には版胴・ゴム胴プレインキング時の印刷機の回転回数N3が記憶される。メモリM59には印刷速度Vpが記憶される。
【0148】
この実施の形態2の印刷ジョブ切替制御装置100のCPU101が実行する印刷ジョブ切替動作のフローチャートを
図37〜
図55に分割して示す。この実施の形態2におけるCPU101が実行する処理動作のうち、ステップS301(
図37)〜S349(
図44)、ステップS375(
図49)〜S421(
図55)の処理動作は実施の形態1のステップS101(
図15)〜S149(
図22)、ステップS174(
図27)〜S220(
図33)の処理動作と同じであるので説明は省略し、実施の形態1とは異なる処理を含むステップS350(
図45)〜S374(
図48)の処理動作についてのみ説明する。
【0149】
〔次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じた補正されたインキツボキーの開き量の設定(プレインキング時のインキツボキーの開き量の設定)〕
CPU101は、メモリM31中のカウント値Nを1とし(
図45:ステップS350)、メモリM31からカウント値Nを読み出し(ステップS351)、メモリM32のN番目のアドレス位置より、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNbを読み出す(ステップS352)。
【0150】
そして、メモリM43中の絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを読み出し(ステップS353)、この絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを用いて、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNbより、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量(次の印刷ジョブの刷版7’の絵柄に応じたN番目のインキツボキーの開き量)θNbを求め、この求めた次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbをメモリM44のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS354)。
【0151】
次に、CPU101は、メモリM39のN番目のアドレス位置より印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度値DNを読み出し(ステップS355)、メモリM46より基準濃度値DRを読み出し(ステップS356)、基準濃度値DRより印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度値DNを減算し、印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度差ΔDNを求め、メモリM47のN番目のアドレス位置に記憶させる(
図46:ステップS357)。
【0152】
そして、メモリM33のN番目のアドレス位置より前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaを読み出し(ステップS358)、メモリM48中の前の印刷ジョブの絵柄面積率−濃度差に関する補正係数変換表を読み出し(ステップS359)、前の印刷ジョブの絵柄面積率−濃度差に関する補正係数変換表を用いて、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaより、N番目のインキツボキーの濃度差に関する補正係数αNを求め、メモリM49に記憶させる(ステップS360)。
【0153】
そして、CPU101は、ステップS357で求めた印刷サンプルのN番目のインキツボキーに対応するパッチの濃度差ΔDNにステップS360で求めたN番目のインキツボキーの濃度差に関する補正係数αNを乗算し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1Nを求め、メモリM50のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS361)。
【0154】
次に、CPU101は、メモリM33のN番目のアドレス位置より、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaを読み出し(ステップS362)、ステップS353で読み出した絵柄面積率−インキツボキー開き量変換テーブルを用いて、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーに対応する範囲の絵柄面積率SNaより、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量(前の印刷ジョブの刷版7の絵柄に応じたN番目のインキツボキーの開き量)θNaを求め、この求めた前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNaをメモリM45のN番目のアドレス位置に記憶させる(
図47:ステップS363)。
【0155】
そして、CPU101は、メモリM51から前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量に関する補正係数γを読み出し(ステップS364)、前の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNaに前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量に関する補正係数γを乗算し、前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量に関するN番目のインキツボキーの開き量の補正値KBNを求め、メモリM52のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS365)。
【0156】
そして、メモリM53から前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量がゼロの時の基準補正値KB0を読み出し(ステップS366)、前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量がゼロの時の基準補正値KB0より前の印刷ジョブのインキツボキーの開き量に関するN番目のインキツボキーの開き量の補正値KBNを減算し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第2の補正値Δθ2Nを求め、メモリM54のN番目のアドレス位置に記憶させる(ステップS367)。
【0157】
そして、CPU101は、メモリM44のN番目のアドレス位置より次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbを読み出し(ステップS368)、メモリM50のN番目のアドレス位置よりプレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1Nを読み出し(
図48:ステップS369)、この読み出したプレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1NとステップS367で求めたプレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第2の補正値Δθ2Nとを次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbに加算し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量θNb’(θNb’=θNb+Δθ1N+Δθ2N)を求め、メモリM55のN番目のアドレス位置に記憶させるとともに(ステップS370)、N番目のインキツボキー制御装置300に送信する(ステップS371)。
【0158】
ここで、次の印刷ジョブのN番目のインキツボキーの開き量θNbは、
図12を用いて説明したジョブBの絵柄膜厚成分JBに相当し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1Nは、前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分JXに相当し、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量の第2の補正値Δθ2Nは、
図12を用いて説明した基準膜厚補填成分JYに相当する。したがって、プレインキング時のN番目のインキツボキーの開き量θNb’(θNb’=θNb+Δθ1N+Δθ2N)は、ジョブBの絵柄膜厚成分JBと前の印刷ジョブで印刷された印刷物の濃度に応じた補正成分JXと基準膜厚補填成分JYとを足し合わせた膜厚成分「JB+JX+JY」に相当するものとなる。
【0159】
そして、CPU101は、メモリM31中のカウント値Nに1を加算し(ステップS372)、メモリM34からインキツボキーの総数nを読み出し(ステップS373)、カウント値Nがインキツボキーの総数nを超えるまで(ステップS374のYES)、ステップS351〜S374の処理動作を繰り返す。
【0160】
これにより、インキツボキー4−1〜4−nに対応する範囲の刷版7’の絵柄に応じたインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b〜θnbがプレインキング時のインキツボキーの開き量の第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nと第2の補正値Δθ2
1〜Δθ2nとによって補正されてプレインキング時のインキツボキーの開き量θ1b’〜θnb’とされ、このプレインキング時のインキツボキーの開き量θ1b’〜θnb’がメモリM55に記憶されて行くと共に、インキツボキー制御装置300−1〜300−nに送信されて行く。
【0161】
〔インキツボローラ制御装置〕
図56にインキツボローラ制御装置200の内部構成の概略を示す。インキツボローラ制御装置200は、CPU201、RAM202、ROM203、インキツボローラ駆動用モータ204、インキツボローラ駆動用モータドライバ205、インキツボローラ駆動用モータ用ロータリーエンコーダ206、入出力インターフェイス(I/O,I/F)207,208、メモリ209,210を備えており、インターフェイス207を介して印刷ジョブ切替制御装置100と接続されている。メモリ209には受信したインキツボローラの回転量が記憶される。メモリ210には目標とするインキツボローラの回転量が記憶される。
【0162】
CPU201は、印刷ジョブ切替制御装置100よりインキツボローラの回転量が送られてくると(
図57:ステップS501のYES)、その受信した回転量をメモリ209に記憶する(ステップS502)。また、印刷ジョブ切替制御装置100に、インキツボローラの回転量受信完了信号を送信する(ステップS503)。また、受信したインキツボローラの回転量を目標とするインキツボローラの回転量(目標回転量)としてメモリ210に記憶する(ステップS504)。そして、メモリ210から目標回転量を読み出し(ステップS505)、この目標回転量より目標とするインキツボローラ駆動用モータ204の回転速度を演算し(ステップS506)、インキツボローラ駆動用モータドライバ205へ送り、インキツボローラの回転量を目標回転量に合わせ込む(ステップS507)。
【0163】
〔インキツボキー制御装置〕
図58にインキツボキー制御装置300(300−1〜300−n)の内部構成の概略を示す。インキツボキー制御装置300は、CPU301、RAM302、ROM303、インキツボキー駆動用モータ304、インキツボキー駆動用モータドライバ305、インキツボキー駆動用モータ用ロータリーエンコーダ306、カウンタ307、入出力インターフェイス(I/O,I/F)308,309、メモリ310〜313を備えており、インターフェイス308を介して印刷ジョブ切替制御装置100と接続されている。メモリ310には受信したインキツボキーの開き量が記憶される。メモリ311には目標とするインキツボキーの開き量が記憶される。メモリ312にはカウンタ307のカウント値が記憶される。メモリ313には現在のインキツボキーの開き量が記憶される。
【0164】
CPU301は、印刷ジョブ切替制御装置100よりインキツボキーの開き量が送られてくると(
図59:ステップS601のYES)、その受信した開き量をメモリ310に記憶するとともに(ステップS602)、受信したインキツボキーの開き量を目標とする開き量としてメモリ311に記憶する(ステップS603)。
【0165】
そして、カウンタ307からカウント値を読み取ってメモリ312に記憶し(ステップS604)、この読み取ったカウンタ307のカウント値より現在のインキツボキーの開き量を求めてメモリ313に記憶し(ステップS605)、メモリ311から目標とするインキツボキーの開き量を読み出し(ステップS606)、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量と同じであれば(ステップS607のYES)、直ちにステップS616(
図60)へ進み、印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力する。
【0166】
現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量と同じでない場合には(ステップS607のNO)、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量と同じになるまでインキツボキー駆動用モータ304を駆動した後(ステップS608〜S615(
図60))、印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力する(ステップS616)。
【0167】
すなわち、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量よりも小さい場合には(ステップS608のYES)、インキツボキー駆動用モータドライバ305に正転指令を送り(ステップS609)、カウンタ307よりカウント値を読み込み(ステップS611)、そのカウント値より現在のインキツボキーの開き量を演算し(ステップS612)、メモリ311から目標とするインキツボキーの開き量を読み出し(ステップS613)、現在のインキツボキーの開き量が目標とするインキツボキーの開き量と一致するまで(ステップS614のYES)、ステップS611〜S614の処理動作を繰り返す。
【0168】
また、現在のインキツボキーの開き量が目標とする開き量よりも大きい場合には(ステップS608のNO)、インキツボキー駆動用モータドライバ305に逆転指令を送り(ステップS610)、カウンタ307よりカウント値を読み込み(ステップS611)、そのカウント値より現在のインキツボキーの開き量を演算し(ステップS612)、メモリ311から目標とするインキツボキーの開き量を読み出し(ステップS613)、現在のインキツボキーの開き量が目標とするインキツボキーの開き量と一致するまで(ステップS614のYES)、ステップS611〜S614の処理動作を繰り返す。
【0169】
そして、ステップS614において現在のインキツボキーの開き量が目標とするインキツボキーの開き量と一致すれば(ステップS614のYES)、インキツボキー駆動用モータドライバ305に停止指令を出力し(ステップS615)、印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力する(ステップS616)。
【0170】
印刷ジョブ切替制御装置100へインキツボキーの開き量の設定完了信号を出力すると(ステップS616)、CPU301は、印刷ジョブ切替制御装置100からの全インキツボキーの開き量設定完了信号を受信した時点で(ステップS617のYES)、印刷ジョブ切替制御装置100へのインキツボキーの開き量の設定完了信号の出力を停止する(ステップS618)。
【0171】
なお、上述した実施の形態では、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに2分割するようにしたが(ローラ6Cも含めれば厳密には3分割)、3分割したり、4分割したりするなど、さらに多くのローラ小群に分割するようにしてもよい。また、その場合、分割されたローラ小群のうちの少なくとも最も下流側のローラ小群と次の印刷ジョブで使用する刷版が装着されている版胴とを着状態にすればよい。
【0172】
また、上述した実施の形態では、揺動アーム14を用いてインキローラ群6を分割・連結するようにしたが、インキローラ群6を分割・連結する機構は揺動アームを用いた機構に限られるものでないことは言うまでもない。
【0173】
また、上述した実施の形態では、版胴8に装着されている刷版7(7’)に供給されたインキをゴム胴9を介して印刷用紙11に転写する例で説明したが、版胴8に装着されている刷版7(7’)に供給されたインキをゴム胴9を介することなく直接印刷用紙11に転写する例においても(
図61参照)、同様にして本発明を適用することが可能であり、同様の効果を得ることができる。
【0174】
また、上述した実施の形態では、インキローラ群6に次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布を形成して行く際に、インキローラ群6を上流側のローラ小群6Aと下流側のローラ小群6Bとに分割するようにしたが、必ずしも分割するようにしなくてもよい。すなわち、分割・連結する機構のないインキ供給装置に本発明を適用するようにしてもよい。
【0175】
また、上述した実施の形態では、1つのインキ供給装置を代表してその動作を説明したが、各色のインキ供給装置において同様の動作が行われることは言うまでもない。すなわち、上述した実施の形態1や2のフローチャートには濃度値の測定など1色分の処理動作についてしか示していないが、実際には全色について同様の処理動作が行われ、各色のインキ供給装置において同様にして次の印刷ジョブの刷版の絵柄に応じたインキ膜厚分布の形成が行われるものとなる。
【0176】
また、上述した実施の形態では、次の印刷ジョブのインキツボキー4−1〜4−nの開き量θ1b〜θnbを第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nと第2の補正値Δθ2
1〜Δθ2nとで補正してプレインキング時のインキツボキーの開き量θ1b’〜θnb’を得るようにしたが、第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nのみで補正するようにしてもよい。例えば、インキローラ群6内のインキをインキ掻き取りブレード15ではなく、白紙印刷によって減少させるような場合には、第2の補正値Δθ2
1〜Δθ2nは必要なく、第1の補正値Δθ1
1〜Δθ1nのみで補正するようにする。
【0177】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。