【実施例】
【0068】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0069】
実施例1および比較例1
実施例1のサンプルとして、S−アデノシルメチオニン含有酵母を配合した錠剤(9錠中のS−アデノシルメチオニンとして80mg含有)を用意した。比較例1のサンプルとして、S−アデノシルメチオニン含有酵母を含まないプラセボの錠剤を用意した。S−アデノシルメチオニン含有酵母としては、磐田化学工業株式会社製の「アミー(商品名)」を用いた。
【0070】
実施例1のサンプル、および比較例1のサンプルの各組成は、以下の表1に示すとおりであった。
【0071】
【表1】
【0072】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女13名に上記実施例1のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。実施例1と同じパネラー13名に比較例1のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿中の成長ホルモン量を測定した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ3回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0073】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0074】
(尿中のGH量の増加と体内のGH分泌量の増加との相関関係)
早朝第1尿中のGH量が夜間入眠後の3時間の血中GH量とよく相関するので、早朝第1尿中のGH量測定が採血によるGH量測定の代替測定に用い得ることが報告されている(尿中成長ホルモン測定の臨床的意義、Yasuko Itagane et al.,小児科、金原出版(株)、1989,vol.80,No.6,p.629−636)。
【0075】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。CLEIA法は、安達ら,ホルモンと臨床,(有)医学の世界社,1997年発行、Vol.45,p.223−235に記載されており、以下簡潔に説明する。まず、尿中のGHとマイクロプレートのウェルに固相化した抗GHマウスモノクロナール抗体とを反応させ、さらにビオチン化抗GH抗体を反応させ、ここにペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを加える。続けて過酸化水素とルミノールを加えると、GH量に応じた強度の発光を生じる。そこでこの発光強度を測定し、検量線より尿中のGH量を定量することができる。本実施例での評価では、尿中のクレアチニン濃度も測定し、クレアチニン補正したGH量とした。
【0076】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(3回分)の平均値(S−アデノシルメチオニン摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例1においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(1)により算出した。
【0077】
式(1):
尿中GH量変化率(%)=(S−アデノシルメチオニン含有酵母摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0078】
尿中GH量変化率の13名の平均値は、116.2%であった。
【0079】
実施例2および比較例2
表2に示す組成のサンプルを用いたほかは、実施例1と同様に試験および評価を行った。
【0080】
【表2】
【0081】
パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を式(1)により算出した。尿中GH量変化率(%)の13名の平均値は、112.4%であった。
【0082】
実施例1および2、ならびに比較例1および2の結果は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を生体に投与することにより、生体のGHの分泌が効果的に促進されることを示している。
【0083】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、S−アデノシルメチオニン含有酵母として、三菱ガス化学株式会社製の「SAMe高含有乾燥酵母(商品名)」を用いた。
【0084】
(処方例1:錠剤(1))
S−アデノシルメチオニン含有酵母100mg、乳糖60mg、結晶セルロース80mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、および、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0085】
(処方例2:錠剤(2))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した:
造粒品108mg、S−アデノシルメチオニン含有酵母30mg、ソルビトール110mg、部分α化でんぷん15mg、リン酸マグネシウム75mg、ステアリン酸カルシウム3mg、メントール粒子40mg、アスパルテーム5mg。
【0086】
造粒品は、エリスリトール1935g、コーンスターチ300gにヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えることにより、製造した。平均粒径は290μmであった。
【0087】
(処方例3:ソフトカプセル(1))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
S−アデノシルメチオニン含有酵母 200mg;植物油脂 110mg;グリセリン脂肪酸エステル 10mg;蜜蝋 10mg。
【0088】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0089】
実施例3、実施例4および比較例3
実施例3のサンプルとして、ブドウ抽出エキスを配合した錠剤を用意した。実施例4のサンプルとして、メリンジョ抽出エキスを配合したカプセル剤を用意した。比較例3のサンプルとして、ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスを含まないプラセボの錠剤を用意した。ブドウ抽出エキスとしては、ACTICHEM社製のVINEATROL20M(商品名)を用いた。メリンジョ抽出エキスとしては、株式会社ルナYBF社製のメリンジョレスベラトロール−20(商品名)を用いた。
【0090】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の実施例サンプル、および比較例サンプルの各組成の詳細は、以下の表3に示すとおりであった。
【0091】
【表3】
【0092】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女6名に上記実施例3のサンプルを4日連続して就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。同じパネラー男女6名に、実施例3のサンプル摂取の次の週に4日連続して上記比較例3のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。
更に期間をあけて同じパネラー男女6名に、実施例4のサンプルを4日連続して就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。同じパネラー男女6名に、実施例4のサンプルを摂取した次の週に4日連続して比較例3のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。
各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0093】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0094】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、実施例1と同様に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。
【0095】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(4回分)の平均値(実施例3のサンプルおよび実施例4のサンプルのそれぞれの摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例3においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(2)により算出した。
【0096】
式(2):
尿中GH量変化率(%)=(ブドウ抽出エキスまたはメリンジョ抽出エキス摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0097】
ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスの尿中GH量変化率の6名の平均値は、それぞれ165.1%、109.4%であった。
【0098】
実施例3、実施例4および比較例3の結果は、スチルベン系化合物を生体に投与することにより、生体のGHの分泌が効果的に促進されることを示している。
【0099】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、ブドウ抽出エキスとして、ACTICHEM社製のVINEATROL20M(商品名)を用いた。メリンジョ抽出エキスとして、株式会社ルナYBF社製のメリンジョレスベラトロール−20(商品名)を用いた。
【0100】
(処方例4:錠剤(3))
ブドウ抽出エキス140mg、結晶セルロース155mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0101】
(処方例5:ソフトカプセル(2))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
ブドウ抽出エキス140mg、植物油脂110mg、グリセリン脂肪酸エステル10mg、蜜蝋10mg。
【0102】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0103】
(処方例6:錠剤(4))
メリンジョ抽出エキス140mg、結晶セルロース155mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0104】
(処方例7:ソフトカプセル(3))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
メリンジョ抽出エキス140mg、植物油脂110mg、グリセリン脂肪酸エステル10mg、蜜蝋10mg。
【0105】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0106】
実施例5および比較例4
実施例5のサンプルとして、オリーブエキスを配合したカプセル剤を用意した。比較例4のサンプルとして、オリーブエキスを含まないプラセボのカプセル剤を用意した。オリーブエキスとしては、GROUPE GRAP’SUD社(フランス)製の「Olivex(商品名)」を用いた。
【0107】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の実施例サンプル、および比較例サンプルの各組成の詳細は、以下の表4に示すとおりであった。
【0108】
【表4】
【0109】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女6名に上記実施例5のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。実施例5と同じパネラー6名に比較例4のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿中の成長ホルモン量を測定した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0110】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0111】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、実施例1と同様に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。
【0112】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(4回分)の平均値(実施例5のサンプルの摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例4においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(3)により算出した。
【0113】
式(3):
尿中GH量変化率(%)=(オリーブエキス摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0114】
オリーブエキスの尿中GH量変化率の6名の平均値は、254.7%であった。
【0115】
実施例5および比較例4の結果は、オリーブエキスを生体に投与することにより、生体のGHの分泌が効果的に促進されることを示している。
【0116】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、オリーブエキスとして、GROUPE GRAP’SUD社の「Olivex(商品名)」を用いた。
【0117】
(処方例8:錠剤(5))
オリーブエキス100mg、結晶セルロース190mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0118】
(処方例9:錠剤(6))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した:
造粒品108mg、オリーブエキス100mg、ソルビトール110mg、部分α化でんぷん15mg、リン酸マグネシウム75mg、ステアリン酸カルシウム3mg、メントール粒子40mg、アスパルテーム5mg。
【0119】
造粒品は、エリスリトール1935g、コーンスターチ300gにヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えることにより、製造した。平均粒径は290μmであった。
【0120】
(処方例10:ソフトカプセル(4))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
オリーブエキス100mg、植物油脂110mg、グリセリン脂肪酸エステル10mg、蜜蝋10mg。
【0121】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0122】
実施例6および比較例5
実施例6のサンプルとして、シベリアカラマツエキスを配合した錠剤(6錠中のシベリアカラマツエキスとして60mg含有)を用意した。比較例5のサンプルとして、シベリアカラマツエキスを含まないプラセボの錠剤を用意した。シベリアカラマツエキスとしては、フラビール社製の「ジクベルチン(商品名)」を用いた。シベリアカラマツエキスには、ジヒドロケルセチン、ジヒドロケンフェロール、ナリンゲニンがそれぞれ、90質量%、8質量%、2質量%含まれていた。
【0123】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の実施例サンプル、および比較例サンプルの各組成の詳細は、以下の表5に示すとおりであった。
【0124】
【表5】
【0125】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女13名に上記実施例6のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。実施例6と同じパネラー13名に比較例5のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿中の成長ホルモン量を測定した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ3回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0126】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0127】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、実施例1と同様に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。
【0128】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(3回分)の平均値(実施例6のサンプルのそれぞれの摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例5においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(4)により算出した。
【0129】
式(4):
パネラー一人の尿中GH量変化率(%)=(シベリアカラマツエキス摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0130】
シベリアカラマツエキスの尿中GH量変化率の13名の平均値は、123.1%であった。
【0131】
実施例6および比較例5の結果は、シベリアカラマツエキスを生体に投与することにより、生体のGH分泌が効果的に促進されることを示している。
【0132】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、シベリアカラマツエキスとして、フラビール社製の「ジクベルチン(商品名)」を用いた。
【0133】
(処方例11:錠剤(7))
シベリアカラマツエキス10mg、乳糖60mg、結晶セルロース170mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法により打錠し錠剤を製造した。
【0134】
(処方例12:錠剤(8))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した。
造粒品108mg、シベリアカラマツエキス20mg、ソルビトール110mg、部分α化でんぷん15mg、リン酸マグネシウム75mg、ステアリン酸カルシウム3mg、メントール粒子40mg、アスパルテーム5mg。
造粒品は、エリスリトール1935g、コーンスターチ300gにヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えることにより、製造した。平均粒径は290μmであった。
【0135】
(処方例13:ソフトカプセル(5))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
シベリアカラマツエキス 20mg、植物油脂 110mg、グリセリン脂肪酸エステル 10mg、蜜蝋 10mg。
【0136】
上記内容物と、豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。