特許第6335508号(P6335508)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335508
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】成長ホルモン分泌促進剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7076 20060101AFI20180521BHJP
   A23L 31/10 20160101ALI20180521BHJP
   A23L 33/14 20160101ALI20180521BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20180521BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20180521BHJP
   A61P 5/06 20060101ALN20180521BHJP
【FI】
   A61K31/7076
   A23L31/10
   A23L33/14
   A61K35/74 A
   A61K35/74 G
   A61P43/00 111
   !A61P5/06
【請求項の数】4
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2013-503499(P2013-503499)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(86)【国際出願番号】JP2012055361
(87)【国際公開番号】WO2012121140
(87)【国際公開日】20120913
【審査請求日】2014年11月5日
【審判番号】不服2017-616(P2017-616/J1)
【審判請求日】2017年1月16日
(31)【優先権主張番号】特願2011-47942(P2011-47942)
(32)【優先日】2011年3月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2011-113206(P2011-113206)
(32)【優先日】2011年5月20日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五木田 智夫
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 育子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 究
(72)【発明者】
【氏名】上林 博明
【合議体】
【審判長】 村上 騎見高
【審判官】 山本 吾一
【審判官】 穴吹 智子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−171(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第101322809(CN,A)
【文献】 特表2010−500965(JP,A)
【文献】 特開2008−11803(JP,A)
【文献】 特開2008−92869(JP,A)
【文献】 特開2009−227616(JP,A)
【文献】 特開2008−255040(JP,A)
【文献】 国際公開第2002/092105(WO,A1)
【文献】 特開2005−97167(JP,A)
【文献】 特表2008−501647(JP,A)
【文献】 特開2006−182706(JP,A)
【文献】 特開2009−247254(JP,A)
【文献】 特開2009−249320(JP,A)
【文献】 特開2009−191012(JP,A)
【文献】 特表2008−530335(JP,A)
【文献】 特開2008−13525(JP,A)
【文献】 特開2001−72583(JP,A)
【文献】 FASEB J,2000年,14(5),699−714
【文献】 Minerva Pediatrica,1971年,23(24),1053−60
【文献】 Verhandlungen der Deutschen Gesellschaft fuer Innere Medizin,1979年,85,167−74
【文献】 Appl Microbiol Biotechnol,2006年,69(6),704−10
【文献】 J Clin Endocrinol Metab,1982年,54(4),773−9
【文献】 Minerva Pediatrica,1971年,23(24),1053−60
【文献】 Monogr Gesamtgeb Psychiatr Psychiatry Ser.,1978年,18,151−69
【文献】 臨床精神医学,1984年,13(2),153−61
【文献】 J Agric Food Chem.,2009年,57(19),8798−804
【文献】 Life Sci.,2001年,68(25),2845−52
【文献】 Biosci. Biotech. Biochem.,1992年,56(9),1492−4
【文献】 Pharmacol Res.,1999年,40(6),493−6
【文献】 SOFW−Journal,2007年,133,20−8
【文献】 Himia rastitelnogo syra,2002年,4,5−13
【文献】 J Agric Food Chem.,2009年,57(6),2544−9
【文献】 N Nemazannikova et al.、Effect of resveratrol and carbohydrate restriction on pituitary function and ageing、Asia Pac J Clin Nutr、日本、2007.発行、16(Suppl 3)、S75, P05
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
A23L
CAPlus/BIOSIS/EMBASE/MEDLINE(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩有効成分として含有する成長ホルモン分泌促進剤。
【請求項2】
S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩が、酵母および/またはその培養物に含まれる請求項1に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
【請求項3】
S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩一日当たり投与量が、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩として1〜2000mgである請求項1または2に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
【請求項4】
S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を有効成分として含有する成長ホルモン分泌促進用食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成長ホルモン分泌促進剤に関する。詳しくは、S−アデノシルメチオニンを有効成分として含有する成長ホルモン分泌促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
成長ホルモン(以下、GHと略記する場合もある)は、脳下垂体から分泌され、骨代謝、タンパク質代謝、糖代謝、脂肪代謝、電解質代謝などの代謝に関与している。成長ホルモン分泌の不全は、小児期においては発育長障害につながり、成人期においては代謝異常、心血管障害などの疾患の危険因子である。健常者であっても、加齢に伴って成長ホルモンの分泌はより低下する。高齢者においては若年者に比べて相対的に成長ホルモン分泌不全の状態にあることが知られており、成長ホルモン分泌不全が高齢者の生活の質の低下をもたらしているとの指摘もある。
【0003】
小児期の成長ホルモン分泌不全に対して成長ホルモンそのものを投与することにより、発育長障害の改善等の効果が得られるとの知見がある。成人期の成長ホルモン分泌不全に対して成長ホルモンそのものを投与することにより、代謝異常などの疾患の危険因子が軽減するなどの効果が得られるとの知見がある。高齢者の成長ホルモン分泌不全に対して成長ホルモンそのものを投与することにより、生活の質が向上するなどの効果が得られるとの知見がある。しかし、成長ホルモンそのものを投与する方法は、投与量の制御などの投与条件を厳格に実行する必要があり、医療専門家のコントロールが必要である。また、成長ホルモンはペプチドであることから、成長ホルモン投与は、経口ではなく注射による必要があり、注射投与は侵襲的であるという問題点もある。
【0004】
生体内の成長ホルモンの分泌を促進する作用を有する物質は、成長ホルモン分泌促進物質と称される。成長ホルモンそのものを投与する代わりに、経口投与可能な成長ホルモン分泌促進物質を用いて、生体内の成長ホルモンの分泌促進を図る方法が提案されている。この方法は、成長ホルモンそのものの投与と比較して作用が穏やかであるため、より安全な成長ホルモン分泌不全対応策であると考えられている。
【0005】
経口投与可能な成長ホルモン分泌促進物質として、食物繊維等のプレバイオティクスおよび有胞子性乳酸菌等のプロバイオティクス(特許文献1:特開2007−131541号公報)、大豆蛋白由来ペプチド(特許文献2:特開2006−347946号公報)、ならびに乳酸菌発酵で得られるγ−アミノ酪酸(特許文献3:特開2004−269361号公報)が提案されている。
【0006】
しかしながら、従来の成長ホルモン分泌促進物質の効果は満足されるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−131541号公報
【特許文献2】特開2006−347946号公報
【特許文献3】特開2004−269361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、成長ホルモン分泌促進効果に優れ、かつ経口投与可能な成長ホルモン分泌促進剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、S−アデノシルメチオニンが成長ホルモン分泌を効果的に促進することを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、下記構成を採用した成長ホルモン分泌促進剤を提供する。
〔1〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、シベリアカラマツエキス、オリーブエキス、および、スチルベン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を有効成分として含有する成長ホルモン分泌促進剤。
〔2〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、化学合成されたS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩である上記〔1〕に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔3〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する菌体、もしくはその培養物である上記〔1〕に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔4〕菌体が酵母である上記〔3〕に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔5〕スチルベン系化合物が、スチルベン系化合物を含む植物抽出エキスである、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔6〕スチルベン系化合物を含む植物抽出エキスが、スチルベン系化合物を含むブドウ科植物抽出エキスまたはスチルベン系化合物を含むグネツム科植物抽出エキスである、上記〔5〕に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔7〕オリーブエキスが、オリーブの果実から分離されるエキスである、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔8〕オリーブエキスが、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1種以上のポリフェノールを含むオリーブエキスである、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の成長ホルモン分泌促進剤。
〔9〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、シベリアカラマツエキス、オリーブエキス、および、スチルベン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む飲食品、医薬品または医薬部外品。
【0011】
また、本発明は、下記の成長ホルモンの分泌を促進する方法をも提供する。
〔10〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、シベリアカラマツエキス、オリーブエキス、および、スチルベン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を生体に投与して、生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔11〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、化学合成されたS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩である上記〔10〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔12〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する菌体、もしくはその培養物である上記〔10〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔13〕菌体が酵母である上記〔12〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔14〕スチルベン系化合物が、スチルベン系化合物を含む植物抽出エキスである、上記〔10〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔15〕スチルベン系化合物を含む植物抽出エキスが、スチルベン系化合物を含むブドウ科植物抽出エキスまたはスチルベン系化合物を含むグネツム科植物抽出エキスである、上記〔10〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔16〕オリーブエキスが、オリーブの果実から分離されるエキスである、上記〔10〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔17〕オリーブエキスが、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1種以上のポリフェノールを含むオリーブエキスである、上記〔10〕に記載の生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
〔18〕S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、シベリアカラマツエキス、オリーブエキス、および、スチルベン系化合物からなる群から選ばれる1種以上を含む飲食品、医薬品または医薬部外品を生体に投与して、生体内の成長ホルモンの分泌を促進する方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、経口投与可能で成長ホルモン分泌促進効果に優れた成長ホルモン分泌促進剤を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において、成長ホルモン分泌促進剤の有効成分は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、スチルベン系化合物、オリーブエキス、および、シベリアカラマツエキスからなる群より選ばれる1種以上である。本発明においては、成長ホルモン分泌促進剤の有効成分として、上記群から選ばれる1種を単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせをもちいてもよい。
【0014】
(1)S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩
S−アデノシルメチオニンが生体内のメチル化反応におけるメチル基供与体として働くこと、および、リン脂質代謝の促進、タンパク質のメチル化、核酸のメチル化などのメチル化において重要な役割を演じていることは、従来知られていた。しかし、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を生体に投与することにより、生体の成長ホルモンの分泌が促進されることは、知られていなかった。
【0015】
S−アデノシルメチオニンは、アデノシンとメチオニンがメチルスルホニル結合をした構造をとる。メチオニンの光学異性体としてはL体、D体、DL体がある。本発明において、S−アデノシルメチオニンの構造中のメチオニンは前記光学異性体のいずれであってもよいが、生理活性の面からL体であることが好ましい。
【0016】
S−アデノシルメチオニンの塩としては、例えば、硫酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、硫酸・p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、1,4−ブタンジスルホン酸、1,5−ペンタンスルホン酸、リン酸塩、塩化物、臭化物、などが挙げられる。これらの塩のいずれも、本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の有効成分として用いることができる。
【0017】
本発明において、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、化学合成により得られるS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩であってもよいし、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する菌体であってもよい。
【0018】
S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する菌体は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を本来含有する菌体であってもよいし、本来は含有しない或いは微量を含有するに過ぎないが、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を菌体に産生させる方法を用いて、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有させた菌体であってもよい。S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を菌体に産生させる方法の例としては、菌体を培養して、菌体内(細胞内)にS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を産生させる方法が挙げられる。係る方法の場合、得られる培養物、培養液、培養後に回収される菌体、該菌体を乾燥して得られる乾燥菌体、培養物または培養液を精製して得られる菌体精製物、および菌体精製物を乾燥して得られる乾燥菌体精製物のいずれを使用してもよい。
【0019】
菌体の種類は特に限定されないが、酵母であることが好ましい。酵母の種類は、S−アデノシルメチオニンを産生し、経口投与可能なものであれば何でもよい。例えばサッカロマイセス属に属する酵母が挙げられ、サッカロマイセス・セルビシエが好適である。
【0020】
本発明において、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、特定の由来、製法により得られる1種を単独で用いてもよいし、由来、製法の異なる2種以上を組み合わせてもよい。
【0021】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤を医薬品として使用する場合は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、化学合成されたS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する菌体もしくはその培養物が好ましい。本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤を食品として使用する場合は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、上記菌体またはその培養物であることが好ましく、酵母またはその培養物であることがより好ましい。
【0022】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤がS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を有効成分として含む場合、成長ホルモン分泌促進剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。被投与生体に成長ホルモン分泌過剰などの問題がない場合、目的の効果を得る1日あたりの投与量は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩の1日あたりの投与量として、通常1〜2000mgであり、10〜1600mgが好ましく、10〜600mgがより好ましく、20〜100mgがさらに好ましい。
【0023】
S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する酵母としては、乾燥酵母が好ましい。本発明においては、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を含有する酵母の市販品を用いてもよい。市販品としては例えば、三菱ガス化学株式会社製の「SAMe高含有乾燥酵母(商品名)」、イタリアグノーシス社製の「スーパーエッセ(商品名)」、磐田化学工業株式会社製の「アミー(商品名)」などがある。
【0024】
(2)スチルベン系化合物
スチルベン系化合物とは、スチルベン骨格を有する化合物である。スチルベン骨格を式(I)に示す。
【化1】
【0025】
スチルベン骨格は、官能基で置換されていてもよい。官能基による置換部位は特に限定されないが、通常は、芳香環である。係る官能基としては、例えば、水酸基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、スルホン基、リン酸基などが挙げられる。中でも、水酸基およびヒドロキシアルキル基が好ましい。
【0026】
スチルベン系化合物は、スチルベン骨格を有していれば、単量体、多量体、単量体の配糖体および多量体の配糖体であってもよい。中でも、官能基が水酸基、ヒドロキシアルキル基からなる単量体、多量体やこれらの配糖体が好ましい。単量体としては、例えば、レスベラトロール(Resveratrol)、ピセアタンノール(Piceatannol)、アストリンジン(Astringin)、プテロスチルベン(Pterostilbene)などが挙げられる。単量体の配糖体としては、例えば、ピセイド(Piceid)などが挙げられる。多量体としては例えば、δ−ビニフェリン(δ−viniferin)、ε−ビニフェリン(ε−viniferin)、グネチンC(Gnetin C)、グネチンL(Gnetin L)、α−ビニフェリン(α−viniferin)、アンペロプシンA(Ampelopsin A)などが挙げられる。多量体の配糖体としては、例えば、グネモノサイドA(Gnemonoside A)、グネモノサイドC(Gnemonoside C)、グネモノサイドD(Gnemonoside D)などが挙げられる。
【0027】
上記の化合物はレスベラトロール類として分類される。レスベラトロール類は、抗虚血性心疾患効果(Lancet,338,1523−1526,1992)、抗がん効果(Br.J.cancer,86,774−778,2002)、認知症発症低下効果(Am.J.Epidemiol,167,648−691,2008)、高血圧抑制効果(Eur.J.Pharmacol.,667,258−264,2011)、および、寿命延長効果(Nature,444,337−342,2006)を有することが知られている。スチルベン系化合物は、レスベラトール類から選ばれる1種以上の化合物であることが好ましい。
【0028】
本発明において、スチルベン系化合物は、化学合成により得られるスチルベン系化合物、天然由来の(例えば、菌体、植物由来の)スチルベン系化合物であってもよい。これらのうち、天然由来のスチルベン系化合物が好ましく、植物由来のスチルベン系化合物が好ましい。
【0029】
天然由来のスチルベン系化合物は、純粋なスチルベン系化合物である必要はなく、他の化合物との混合物であってもよい。該混合物としては、例えば、植物抽出エキス、植物体の一部または全部、菌体培養物などが挙げられる。これらのうち植物抽出エキスが好ましい。
【0030】
スチルベン系化合物として植物抽出エキスを用いる場合、スチルベン系化合物を含有する植物の植物抽出エキスを用いることができる。スチルベン系化合物を含有する植物としては例えば、ブドウ科植物、フタバガキ科植物、マメ科植物、カヤツリグサ科植物、グネツム科植物等が挙げられる。中でもブドウ科植物またはグネツム科植物が好ましい。
【0031】
ブドウ科植物は、スチルベン系化合物を含有していればよく、レスベラトロール類を含有することが好ましい。ブドウ科植物としては例えば、ビティス・ビニフェラ(Vitis vinifera)、ビティス・ラブルスカ(Vitis labrusca)、ビティス・カリフォルニア(Vitis california)、ビティス・アムレンシス(Vitis amurensis)、ビティス・コワネティー(Vitis coignetiae)、ビティス・シラガイ(Vitis shiragai)などの種が挙げられる。ブドウ科植物としては、例えば、カベルネソービニオン、メルロー、ピノノワール、ガメイ、シラー、ネッビオーロ、サンジョヴェーゼ、テンプラニーリョ、ジンファンデル、カルメネール、マルベック、マスカットベリーA、甲州、ソーヴィニヨン・ブラン、セミヨン、シャルドネ、ミュスカデ、リースリング、ミュスカ、ヴィオニエ、トレッビアーノ、ピノ・グリージョ、フルミント、バロミノなどの品種が挙げられる。
【0032】
グネツム科植物としてはレスベラトロール類を含有する種類であれば特に限定されない。グネツム科植物としては、例えば、グネモンノキ(Gnetum gnemon、メリンジョ)、ヒメグネモン(Gnetum brunonianum)、ヒロハグネモン(Gnetum latifolium)、ホソバグネモン(Gnetum tenuifolium)などが挙げられる。これらのうちグネモンノキが好ましい。
【0033】
植物の抽出部位は、特に限定されず、植物体の全部であってもよいし、一部(例えば葉、茎、蔓、葉、果実、種子)であってもよい。ブドウ科植物の場合は、茎、蔓、葉または果実(果皮、種子を含む)が好ましい。グネツム科植物の場合は、実、種子、実の胚乳、花または葉が好ましく、実、種子または実の胚乳がより好ましく、実の胚乳が更に好ましい。
【0034】
植物体の一部を用いる場合は、植物体から分離した該当部分をそのまま用いてもよいし、天日、機械などにより乾燥して用いてもよい。
【0035】
抽出方法は特に限定されないが、例えば、溶媒を用いて抽出する方法、二酸化炭素等による超臨界抽出法を用いて抽出する方法が挙げられる。溶媒を用いて抽出する方法において、抽出溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、プロピオン酸などが挙げられる。これらの抽出溶媒は1種で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて混合液として使用してもよい。抽出溶媒は、水、エタノールまたはこれらの混合液(含水エタノール)が好ましい。含水エタノールを使用する場合、アルコール濃度は、限定されないが、20〜90容量%が好ましく、40〜80容量%がより好ましい。
【0036】
なお、植物抽出エキスを用いてもよいし、上記植物抽出エキスを精製して得られるスチルベン系化合物を用いてもよい。
【0037】
ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスは市販されており、本発明においては市販品を使用することができる。ブドウ抽出エキスの市販品としては、例えば、「VINEATROL20M(商品名)」(ACTICHEM社製)などがある。メリンジョ抽出エキスの市販品としては、例えば、「メリンジョレスベラトロール−20(商品名)」(株式会社ルナYBF社製)などがある。
【0038】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤がスチルベン系化合物を有効成分として含む場合、成長ホルモン分泌促進剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。被投与生体に成長ホルモン分泌過剰などの問題がない場合、目的の効果を得る1日あたりの投与量としては、スチルベン系化合物の1日あたりの摂取量として、通常0.1〜1000mgであり、1〜500mgが好ましく、10〜200mgがより好ましく、20〜120mgがさらに好ましい。
【0039】
(3)オリーブエキス
オリーブエキスは、抗酸化活性、心疾患および癌の予防効果(Free Radical Biology & Medicine,40,608−616,2006)、並びに抗炎症作用(J.Nutr.,1475−1479,2005)を有することが従来知られていた。しかし、オリーブエキスを生体に投与することにより、生体の成長ホルモンの分泌を促進する作用を有することは、知られていなかった。
【0040】
オリーブエキスは、オリーブ(Olea europea L.)の植物体の全部または一部から分離されるエキスである。オリーブの植物体の全部または一部から、抽出溶媒を用いて分離してもよいし、圧搾により分離してもよい。
【0041】
オリーブエキスの分離部位は特に限定されず、植物体の全部であってもよいし、一部(例えば葉、花、果実)であってもよいが、果実が好ましい。
【0042】
抽出溶媒としては例えば、水、有機溶媒(例えば、アルコール、アセトンなどから選ばれる1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒)、水および有機溶媒の混合液を使用できる。中でも水、水とアルコールとの混合液、およびアルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノール、メタノールが好ましい。抽出時間および温度は、オリーブエキスの抽出部位、溶媒の種類などによって適宜定めることができる。オリーブエキスは、オリーブから抽出された粗抽出物であってもよいし、粗抽出物に濃縮、乾燥、粉砕などの加工を施したものであってもよい。さらに、分配法による処理、精製処理(例えば、イオン交換樹脂、カラムなどを利用して吸着処理後、溶媒による溶出、その後必要によりさらに濃縮処理)により不純物を除去したものも使用することができる。
【0043】
オリーブエキスを圧搾により分離する場合には、分離の対象は果実であることが好ましく、オリーブの完熟した果実であることがより好ましい。例えば、果実を圧搾して得られる果汁をろ過および/または濃縮してオリーブエキスを得ることができる。これらのろ過物および濃縮物は、必要に応じて噴霧乾燥などにより粉末化してもよい。
【0044】
オリーブエキスの形態は特に限定されず、粉末、ペーストであってもよい。
【0045】
オリーブは、通常、オレイン酸のグリセリド、リノール酸のグリセリド、パルミチン酸のグリセリド等の脂肪酸のグリセリド、脂溶性ビタミン類に富み、カリウム、リン、マグネシウムなどのミネラルを含む。オリーブオイルには不飽和脂肪酸、β−カロテン、ビタミンD、E、スクアレンジヒドロケルセチンなどの脂溶性成分、ヒドロキシチロソール、チロソール、オレウロペインなどのポリフェノールが含まれている。本発明においてオリーブ本来のパルプとオイル分は、圧搾、濃縮(遠心分離など)などの操作により、オリーブエキスからは除かれていることが好ましい。
【0046】
本発明において、オリーブエキスはポリフェノールを含むことが好ましく、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1以上のポリフェノールを含むことがより好ましい。オリーブエキスのポリフェノールの含量は高いことが好ましく、ヒドロキシチロソール、チロソールおよびオレウロペインからなる群から選ばれる1以上のポリフェノールの含量が高いことがより好ましい。
【0047】
オリーブエキスは市販されており、市販品を用いることができる。オリーブエキスの市販品としては例えば、「Olivex(商品名)」(GROUPE GRAP’SUD社;フランス)などが挙げられる。
【0048】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤がオリーブエキスを有効成分として含む場合、成長ホルモン分泌促進剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。被投与生体に成長ホルモン分泌過剰などの問題がない場合、目的の効果を得る1日あたりの投与量は、オリーブエキスの1日あたりの投与量として、1日0.1〜1000mgであり、1〜500mgが好ましく、10〜200mgがより好ましく、20〜180mgがさらに好ましい。
【0049】
(4)シベリアカラマツエキス
シベリアカラマツエキスが抗酸化活性を持つこと、および、メラニン生成の抑制作用を持つことは、従来知られていた。しかし、シベリアカラマツエキスを生体に投与することにより、生体の成長ホルモンの分泌が促進されることは、知られていなかった。
【0050】
シベリアカラマツエキスは、シベリアおよび極東に分布するマツ科(Pinaceae)針葉植物のシベリアカラマツ(Larix Sibirica)の抽出物である。シベリアカラマツエキスは主成分としてジヒドロケルセチンを含み、ジヒドロケンフェロール、ナリンゲニンなど他の成分がわずかに含まれている。
【0051】
シベリアカラマツエキスは、シベリアカラマツ植物体の全部または一部から抽出溶媒を用いて抽出できる。シベリアカラマツの抽出部位は特に限定されず、植物体の全部であってもよいし、一部(例えば葉、樹皮、木部、種子、花)であってもよいが、樹皮、木部が好ましく、木部がより好ましい。抽出溶媒としては例えば、水、有機溶媒(例えば、アルコール、アセトンなどから選ばれる1種の溶媒、または2種以上の混合溶媒)、水および有機溶媒の混合液を使用できる。中でも水、水とアルコールとの混合液、およびアルコールが好ましい。アルコールとしては、エタノール、メタノールが好ましい。抽出時間および温度は、シベリアカラマツの抽出部位、溶媒の種類などによって適宜定めることができる。シベリアカラマツエキスは、シベリアカラマツから抽出された粗抽出物であってもよいし、粗抽出物に濃縮、乾燥、粉砕、圧搾などの加工を施したものであってもよい。さらに、分配法による処理、精製処理(例えば、イオン交換樹脂、カラムなどを利用して吸着処理後、溶媒による溶出、その後必要によりさらに濃縮処理)により不純物を除去したものも使用することができる。一方、ロシア特許No.2091076号明細書に記載されているように、シベリアカラマツを細かく粉砕したものを水蒸気で湿らせた後、アセトンで抽出し、精製して得られる産物を使用してもよい。シベリアカラマツエキスの形態は特に限定されず、粉末、ペーストであってもよい。
【0052】
シベリアカラマツエキスは市販されており、本発明においては市販品を使用することができる。シベリアカラマツエキスの市販品としては、例えば、「ジクベルチン(商品名)」(フラビール社;イルクーツク市、ロシア)などがある。
【0053】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤がシベリアカラマツエキスを有効成分として含む場合、成長ホルモン分泌促進剤の投与量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限は無く、適応される被投与生体の年齢、状態などの要因により適宜変えることができる。被投与生体に成長ホルモン分泌過剰などの問題がない場合、目的の効果を得る1日あたりの投与量は、シベリアカラマツエキスの1日あたりの投与量として、通常3〜1000mgであり、15〜500mgが好ましく、20〜200mgがより好ましく、30〜120mgがさらに好ましい。
【0054】
本発明において、シベリアカラマツエキスは、特定の抽出条件により得られる1種を単独で用いてもよいし、抽出条件の異なる2種以上を組み合わせてもよい。
【0055】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤はS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、シベリアカラマツエキス、オリーブエキス、および、スチルベン系化合物からなる群から選ばれる1種以上のみからなっていてもよいし(すなわち、上記群から選ばれる1種以上が全体の100質量%を占めていてもよいし)、他の成分を有していてもよい。他の成分としては、例えば、保存安定剤などの主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分、および、目的の最終製品を構成する成分の一部または全部、が挙げられる。
【0056】
(本発明の成長ホルモン分泌促進剤の最終製品への使用)
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、有効成分として成長ホルモン分泌促進作用を有するS−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩、スチルベン系化合物、オリーブエキス、および、シベリアカラマツエキスからなる群より選ばれる1種以上を含有している。S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩は、元来、生体に含まれる物質である。スチルベン系化合物は、ブドウ科植物、グネツム科植物等の植物に含まれており、これらの植物の果実は一般的に食されており、茎およびつるも煮物として食されている。インドネシアなどの東南アジアでは、グネツム科植物の若葉、花および果実が野菜として食され、グネツム科植物の種子は潰してから乾燥し乾燥種子を得て、乾燥種子を油で揚げて常時食されている。オリーブは、果実が一般的に食されている。シベリアカラマツエキスはロシア東部の先住民の食歴があり、したがって、生体に投与して安全であり、かつ効果的に成長ホルモン分泌を促進させることができる。したがって、これらの有効成分はいずれも、生体に投与して安全であり、かつ効果的に成長ホルモン分泌を促進させることができる。
【0057】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、そのままの形態で、最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)として用いてもよい。また、本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、飲食品、医薬品、医薬部外品用の添加剤として用いてもよい。これにより、生体の成長ホルモン分泌不全を改善または緩和することができる。
【0058】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、上記の有効成分以外の成分(薬理学的に許容される基剤)を有していてもよい。有効成分以外の成分の一例としては、主に貯蔵および流通における安定性を確保する成分(例えば保存安定剤など)が挙げられる。その他、目的の最終製品(例えば、飲食品、医薬品、医薬部外品など)を構成する諸成分から選ばれる1または2以上の種類の成分(好ましくは1〜3種類程度、より好ましくは1種類程度)を含有していてもよい。
【0059】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤に含まれ得る、上記有効成分以外の成分は、本発明の目的を損なわない限り特に限定されない。例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、着色剤、発色剤、矯味剤、着香剤、酸化防止剤、防腐剤、呈味剤、酸味剤、甘味剤、強化剤、ビタミン剤、膨張剤、増粘剤、界面活性剤などが挙げられる。これらの中から、製剤に必要な諸特性(例えば、製剤安定性)を損なわないものであって、最終製品(例えば、医薬品、医薬部外品、飲食品)の剤形に応じたものを1種または2種以上選択することができる。また、成長ホルモン分泌促進効果を有する他の成分を組み合わせてもよい。
【0060】
成長ホルモン分泌促進剤が、有効成分を2以上含む場合、或いは、有効成分以外の成分を有する場合には、成長ホルモン分泌促進組成物と言い換えることもできる。
【0061】
(本発明の成長ホルモン分泌促進剤の投与形態)
本発明の成長ホルモン分泌促進剤の投与形態は特に限定されない。例えば、経口投与(例えば、口腔内投与、舌下投与など)、非経口投与(静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与など)などが挙げられる。これらの中でも侵襲性の少ない投与形態が好ましく、経口投与であることがより好ましい。
【0062】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤の剤形は、飲食品、医薬品および医薬部外品のいずれとするかによって適宜決定することができ、特に限定されない。経口投与する場合の剤形の例としては、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、錠剤(錠剤)、カプセル状(カプセル剤)、粉末状(顆粒、細粒)、ソフトカプセル状(ソフトカプセル剤)、液状(液剤)、シロップ状(シロップ剤)、固形状、半液体状、クリーム状、ペースト状が挙げられる。非経口投与する場合の剤形の例としては、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、経鼻投与、経肺投与などが挙げられる。これらのうち生体への侵襲がない投与形態が好ましく、経口投与が好ましい。
【0063】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤を飲食品として使用する場合の投与形態は、通常、経口投与である。
【0064】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、成長ホルモン分泌を促進させることができるので、成長ホルモン分泌不全の緩和用の飲食品、医薬品および医薬部外品として有用である。
【0065】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤の摂取対象者は特に限定されないが、例えば、発育長障害を気にしている対象者、代謝異常、心血管障害等の疾病に対し危機感を感じている対象者、生活の質向上を図りたいと考えている対象者に適している。また、特段の問題のない対象者であっても、成長ホルモン分泌促進を目的として日常的に摂取することができる。成長ホルモン分泌促進剤の摂取時期は特に限定されない。
【0066】
本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、各種飲食品として利用することができる。例えば、飲料(清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料など)、菓子類(クッキー、ケーキ、ガム、キャンディー、タブレット、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、アイスクリーム、シャーベットなど)、水産加工品(かまぼこ、ちくわ、はんぺんなど)、畜産加工品(ハンバーグ、ハム、ソーセージ、ウィンナー、チーズ、バター、ヨーグルト、生クリーム、チーズ、マーガリン、発酵乳など)、スープ(粉末状スープ、液状スープなど)、主食類(ご飯類、麺(乾麺、生麺)、パン、シリアルなど)、調味料(マヨネーズ、ショートニング、ドレッシング、ソース、たれ、しょうゆなど)が挙げられる。本発明の成長ホルモン分泌促進剤は、健康食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、特定保健用食品、医療用食品、病者用食品、乳児用食品、介護用食品、高齢者用食品等の飲食品として利用することができる。中でも、健康食品、機能性食品とすることが好ましく、健康食品とすることがより好ましい。
【0067】
本発明において成長ホルモン分泌促進効果は、実施例のように、パネラーに就寝前にサンプルを服用させ、服用しないときと比べて翌朝の尿中の成長ホルモン量が増加していることにより確認できる。
【実施例】
【0068】
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されない。
【0069】
実施例1および比較例1
実施例1のサンプルとして、S−アデノシルメチオニン含有酵母を配合した錠剤(9錠中のS−アデノシルメチオニンとして80mg含有)を用意した。比較例1のサンプルとして、S−アデノシルメチオニン含有酵母を含まないプラセボの錠剤を用意した。S−アデノシルメチオニン含有酵母としては、磐田化学工業株式会社製の「アミー(商品名)」を用いた。
【0070】
実施例1のサンプル、および比較例1のサンプルの各組成は、以下の表1に示すとおりであった。
【0071】
【表1】
【0072】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女13名に上記実施例1のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。実施例1と同じパネラー13名に比較例1のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿中の成長ホルモン量を測定した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ3回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0073】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0074】
(尿中のGH量の増加と体内のGH分泌量の増加との相関関係)
早朝第1尿中のGH量が夜間入眠後の3時間の血中GH量とよく相関するので、早朝第1尿中のGH量測定が採血によるGH量測定の代替測定に用い得ることが報告されている(尿中成長ホルモン測定の臨床的意義、Yasuko Itagane et al.,小児科、金原出版(株)、1989,vol.80,No.6,p.629−636)。
【0075】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。CLEIA法は、安達ら,ホルモンと臨床,(有)医学の世界社,1997年発行、Vol.45,p.223−235に記載されており、以下簡潔に説明する。まず、尿中のGHとマイクロプレートのウェルに固相化した抗GHマウスモノクロナール抗体とを反応させ、さらにビオチン化抗GH抗体を反応させ、ここにペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを加える。続けて過酸化水素とルミノールを加えると、GH量に応じた強度の発光を生じる。そこでこの発光強度を測定し、検量線より尿中のGH量を定量することができる。本実施例での評価では、尿中のクレアチニン濃度も測定し、クレアチニン補正したGH量とした。
【0076】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(3回分)の平均値(S−アデノシルメチオニン摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例1においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(1)により算出した。
【0077】
式(1):
尿中GH量変化率(%)=(S−アデノシルメチオニン含有酵母摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0078】
尿中GH量変化率の13名の平均値は、116.2%であった。
【0079】
実施例2および比較例2
表2に示す組成のサンプルを用いたほかは、実施例1と同様に試験および評価を行った。
【0080】
【表2】
【0081】
パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を式(1)により算出した。尿中GH量変化率(%)の13名の平均値は、112.4%であった。
【0082】
実施例1および2、ならびに比較例1および2の結果は、S−アデノシルメチオニンおよび/またはその塩を生体に投与することにより、生体のGHの分泌が効果的に促進されることを示している。
【0083】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、S−アデノシルメチオニン含有酵母として、三菱ガス化学株式会社製の「SAMe高含有乾燥酵母(商品名)」を用いた。
【0084】
(処方例1:錠剤(1))
S−アデノシルメチオニン含有酵母100mg、乳糖60mg、結晶セルロース80mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、および、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0085】
(処方例2:錠剤(2))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した:
造粒品108mg、S−アデノシルメチオニン含有酵母30mg、ソルビトール110mg、部分α化でんぷん15mg、リン酸マグネシウム75mg、ステアリン酸カルシウム3mg、メントール粒子40mg、アスパルテーム5mg。
【0086】
造粒品は、エリスリトール1935g、コーンスターチ300gにヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えることにより、製造した。平均粒径は290μmであった。
【0087】
(処方例3:ソフトカプセル(1))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
S−アデノシルメチオニン含有酵母 200mg;植物油脂 110mg;グリセリン脂肪酸エステル 10mg;蜜蝋 10mg。
【0088】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0089】
実施例3、実施例4および比較例3
実施例3のサンプルとして、ブドウ抽出エキスを配合した錠剤を用意した。実施例4のサンプルとして、メリンジョ抽出エキスを配合したカプセル剤を用意した。比較例3のサンプルとして、ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスを含まないプラセボの錠剤を用意した。ブドウ抽出エキスとしては、ACTICHEM社製のVINEATROL20M(商品名)を用いた。メリンジョ抽出エキスとしては、株式会社ルナYBF社製のメリンジョレスベラトロール−20(商品名)を用いた。
【0090】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の実施例サンプル、および比較例サンプルの各組成の詳細は、以下の表3に示すとおりであった。
【0091】
【表3】
【0092】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女6名に上記実施例3のサンプルを4日連続して就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。同じパネラー男女6名に、実施例3のサンプル摂取の次の週に4日連続して上記比較例3のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。
更に期間をあけて同じパネラー男女6名に、実施例4のサンプルを4日連続して就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。同じパネラー男女6名に、実施例4のサンプルを摂取した次の週に4日連続して比較例3のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。
各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0093】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0094】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、実施例1と同様に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。
【0095】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(4回分)の平均値(実施例3のサンプルおよび実施例4のサンプルのそれぞれの摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例3においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(2)により算出した。
【0096】
式(2):
尿中GH量変化率(%)=(ブドウ抽出エキスまたはメリンジョ抽出エキス摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0097】
ブドウ抽出エキスおよびメリンジョ抽出エキスの尿中GH量変化率の6名の平均値は、それぞれ165.1%、109.4%であった。
【0098】
実施例3、実施例4および比較例3の結果は、スチルベン系化合物を生体に投与することにより、生体のGHの分泌が効果的に促進されることを示している。
【0099】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、ブドウ抽出エキスとして、ACTICHEM社製のVINEATROL20M(商品名)を用いた。メリンジョ抽出エキスとして、株式会社ルナYBF社製のメリンジョレスベラトロール−20(商品名)を用いた。
【0100】
(処方例4:錠剤(3))
ブドウ抽出エキス140mg、結晶セルロース155mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0101】
(処方例5:ソフトカプセル(2))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
ブドウ抽出エキス140mg、植物油脂110mg、グリセリン脂肪酸エステル10mg、蜜蝋10mg。
【0102】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0103】
(処方例6:錠剤(4))
メリンジョ抽出エキス140mg、結晶セルロース155mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0104】
(処方例7:ソフトカプセル(3))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
メリンジョ抽出エキス140mg、植物油脂110mg、グリセリン脂肪酸エステル10mg、蜜蝋10mg。
【0105】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0106】
実施例5および比較例4
実施例5のサンプルとして、オリーブエキスを配合したカプセル剤を用意した。比較例4のサンプルとして、オリーブエキスを含まないプラセボのカプセル剤を用意した。オリーブエキスとしては、GROUPE GRAP’SUD社(フランス)製の「Olivex(商品名)」を用いた。
【0107】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の実施例サンプル、および比較例サンプルの各組成の詳細は、以下の表4に示すとおりであった。
【0108】
【表4】
【0109】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女6名に上記実施例5のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。実施例5と同じパネラー6名に比較例4のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿中の成長ホルモン量を測定した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ4回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0110】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0111】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、実施例1と同様に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。
【0112】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(4回分)の平均値(実施例5のサンプルの摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例4においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(3)により算出した。
【0113】
式(3):
尿中GH量変化率(%)=(オリーブエキス摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0114】
オリーブエキスの尿中GH量変化率の6名の平均値は、254.7%であった。
【0115】
実施例5および比較例4の結果は、オリーブエキスを生体に投与することにより、生体のGHの分泌が効果的に促進されることを示している。
【0116】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、オリーブエキスとして、GROUPE GRAP’SUD社の「Olivex(商品名)」を用いた。
【0117】
(処方例8:錠剤(5))
オリーブエキス100mg、結晶セルロース190mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを、常法により打錠し錠剤を製造した。
【0118】
(処方例9:錠剤(6))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した:
造粒品108mg、オリーブエキス100mg、ソルビトール110mg、部分α化でんぷん15mg、リン酸マグネシウム75mg、ステアリン酸カルシウム3mg、メントール粒子40mg、アスパルテーム5mg。
【0119】
造粒品は、エリスリトール1935g、コーンスターチ300gにヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えることにより、製造した。平均粒径は290μmであった。
【0120】
(処方例10:ソフトカプセル(4))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
オリーブエキス100mg、植物油脂110mg、グリセリン脂肪酸エステル10mg、蜜蝋10mg。
【0121】
上記内容物と豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【0122】
実施例6および比較例5
実施例6のサンプルとして、シベリアカラマツエキスを配合した錠剤(6錠中のシベリアカラマツエキスとして60mg含有)を用意した。比較例5のサンプルとして、シベリアカラマツエキスを含まないプラセボの錠剤を用意した。シベリアカラマツエキスとしては、フラビール社製の「ジクベルチン(商品名)」を用いた。シベリアカラマツエキスには、ジヒドロケルセチン、ジヒドロケンフェロール、ナリンゲニンがそれぞれ、90質量%、8質量%、2質量%含まれていた。
【0123】
本発明に係る成長ホルモン分泌促進剤の実施例サンプル、および比較例サンプルの各組成の詳細は、以下の表5に示すとおりであった。
【0124】
【表5】
【0125】
(成長ホルモン分泌促進効果の評価)
パネラーとしての成人男女13名に上記実施例6のサンプルを就寝1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿(早朝第1尿)中の成長ホルモン量を測定した。実施例6と同じパネラー13名に比較例5のサンプルを就寝時間の1時間前に摂取してもらい、翌朝起床時の最初の尿中の成長ホルモン量を測定した。各サンプルの投与および測定の実施回数は、パネラー各一人につきそれぞれ3回とした。なお、各パネラーの平均睡眠時間は、6.5時間であり、最も睡眠時間の短いパネラーの睡眠時間と最も睡眠時間が長いパネラーの睡眠時間の差は、2時間であり、大差はなかった。
【0126】
成長ホルモン分泌促進効果の評価は、上記尿中の成長ホルモン(GH)量の増加の程度により評価した。
【0127】
(尿中のGH量測定)
尿中のGH量測定は、実施例1と同様に化学発光酵素免疫測定法(CLEIA法)を用い、外部臨床検査会社((株)エスアールエル社)に依頼して測定した。
【0128】
個々のパネラーの尿中のGH量(pg/mg・Cr)の測定値(3回分)の平均値(実施例6のサンプルのそれぞれの摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。比較例5においても同様にして平均値(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)を算出した。パネラーごとに、尿中GH量変化率(%)を下式(4)により算出した。
【0129】
式(4):
パネラー一人の尿中GH量変化率(%)=(シベリアカラマツエキス摂取後の尿中GH量平均値)/(プラセボ摂取後の尿中GH量平均値)×100
【0130】
シベリアカラマツエキスの尿中GH量変化率の13名の平均値は、123.1%であった。
【0131】
実施例6および比較例5の結果は、シベリアカラマツエキスを生体に投与することにより、生体のGH分泌が効果的に促進されることを示している。
【0132】
以下に、本発明の成長ホルモン分泌促進剤を用いた各種組成物(最終製品)の処方例を示す。以下の処方例では、シベリアカラマツエキスとして、フラビール社製の「ジクベルチン(商品名)」を用いた。
【0133】
(処方例11:錠剤(7))
シベリアカラマツエキス10mg、乳糖60mg、結晶セルロース170mg、カルボキシメチルセルロース−Ca5mg、ショ糖脂肪酸エステル5mgを常法により打錠し錠剤を製造した。
【0134】
(処方例12:錠剤(8))
以下の原料を用いて、常法により錠剤を製造した。
造粒品108mg、シベリアカラマツエキス20mg、ソルビトール110mg、部分α化でんぷん15mg、リン酸マグネシウム75mg、ステアリン酸カルシウム3mg、メントール粒子40mg、アスパルテーム5mg。
造粒品は、エリスリトール1935g、コーンスターチ300gにヒドロキシプロピルセルロース6質量%水溶液4000gを加えることにより、製造した。平均粒径は290μmであった。
【0135】
(処方例13:ソフトカプセル(5))
以下の原料を用いて、ソフトカプセルの内容物を製造した:
シベリアカラマツエキス 20mg、植物油脂 110mg、グリセリン脂肪酸エステル 10mg、蜜蝋 10mg。
【0136】
上記内容物と、豚ゼラチンとを用いて、常法によりソフトカプセルを製造した。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明によれば、経口投与可能で成長ホルモン分泌促進効果に優れた成長ホルモン分泌促進剤を提供することができる。