特許第6335654号(P6335654)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335654
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】微細工具
(51)【国際特許分類】
   B23P 15/34 20060101AFI20180521BHJP
   B23P 15/32 20060101ALI20180521BHJP
   B23H 7/02 20060101ALI20180521BHJP
   B23H 9/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B23P15/34
   B23P15/32
   B23H7/02 K
   B23H9/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-109168(P2014-109168)
(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公開番号】特開2015-223654(P2015-223654A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2017年3月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】501033006
【氏名又は名称】有限会社三井刻印
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(72)【発明者】
【氏名】三井 健一
(72)【発明者】
【氏名】三井 豊
(72)【発明者】
【氏名】三橋 究
(72)【発明者】
【氏名】角井 肇
(72)【発明者】
【氏名】三井 満
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−307227(JP,A)
【文献】 実開平6−36715(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3154847(JP,U)
【文献】 特表2007−510555(JP,A)
【文献】 特開昭62−142704(JP,A)
【文献】 特開2010−264533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23P 15/34
B23H 7/02
B23H 9/00
B23P 15/32
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンク(32)と、このシャンク(32)に固定され先端に刃(43)が形成されている円柱部(29)とからなる微細工具(37)であって、
前記円柱部(29)の外径は、2.0mm以下であり、
前記円柱部(29)は、前記シャンク(32)に接合される金属層(34)と、この金属層(34)に積層された非金属層(35)とからなり、
この非金属層(35)は、立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層で構成され、
この様な円柱部(29)には、中心に軸方向に延びるクーラント通路(42)が設けられており、
このクーラント通路(42)は、前記円柱部(29)の外周から中心へ進入するΩ字進入線(41)を含むことで、Ω字断面とされていることを特徴とする微細工具
【請求項2】
前記円柱部(29)の外径は、0.5〜1.0mmであることを特徴とする請求項1記載の微細工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端に外径が2.0mm以下の円柱部を有する微細工具に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドミルは、外周面と先端面に切れ刃を有するシャンクタイプフライスの総称であり、外周面の切れ刃と先端面の切れ刃とでワークを切削できるために、金属加工業界で広く採用されている。
【0003】
高速で回転するエンドミルに、クーラント(冷却液)を噴射することで、エンドミル及びワークの温度上昇を抑えることが行われている。だたし、噴射量の割りにエンドミルの冷却効果は小さいことが懸念される。
対策として、少ない量のクーラントで効率よくエンドミルを冷却する技術が提案されている(例えば、特許文献1(図6)参照。)。
【0004】
特許文献1の図6に、ソリッドボールエンドミルが示されており、このボールエンドミルは、本体(1)(括弧付き数字は、特許文献1に記載された符号を示す。以下同様)にクーラント穴(6)を備え、このクーラント穴(6)を介してクーラントを先端に供給し、先端から噴射する。刃部(2)に直接クーラントが供給されるため、少ない量のクーラントでエンドミルを冷却することができる。
【0005】
特許文献1の段落番号[0010]の説明によれば、本体(1)の直径(外径)は6mmであり、クーラント穴(6)の穴径は1mmである。本体(1)は超硬合金製である。クーラント穴(6)は、レーザ加工、放電加工、ケミカル加工により穴開けが行われると推定される。
【0006】
ただし、被切削物であるワークが硬い場合には、本体(1)の寿命が短くなる。この場合は、超硬合金より硬いCBNチップを刃部に適用する構造が有効となる(例えば、特許文献2(図4)参照。)。
【0007】
特許文献2の図4に、CBNチップ(5)、(6)(括弧付き数字は、特許文献2に記載された符号を示す。以下同様)を備えるボールエンドミルが示されている。CBNチップ(5)、(6)と干渉しない部位に、クーラント孔(7)、(8)が設けられている。
【0008】
特許文献2には、ボールエンドミルの先端の外径が記載されていない。特許文献2記載のボールエンドミルの先端の外径は、特許文献1と同様に6mm程度と推定される。
【0009】
特許文献1、2の技術では、先端がCBN又はPCDで構成され、先端の外径が2.0mmを超えないような微細工具にクーラント穴(孔)を開けることができない。
よって、従来は、クーラント穴(孔)を有しないソリッド型の微細工具に、クーラントを噴射することで、切削を実施してきた。
【0010】
しかし、微細工具であってもクーラント穴を設けるべきであるという要求が出る中、クーラント穴を有する微細工具の提供が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平11−90721号公報
【特許文献2】特開2003−53618公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、先端がCBN又はPCDで構成され、先端の外径が2.0mmを超えないような微細工具にクーラント穴(孔)を開けることができる技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1に係る発明は、シャンクと、このシャンクに固定され先端に刃が形成されている円柱部とからなる微細工具であって、
前記円柱部の外径は、2.0mm以下であり、
前記円柱部は、前記シャンクに接合される金属層と、この金属層に積層された非金属層とからなり、
この非金属層は、立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層で構成され、
この様な円柱部には、中心に軸方向に延びるクーラント通路が設けられており、
このクーラント通路は、前記円柱部の外周から中心へ進入するΩ字進入線を含むことで、Ω字断面とされていることを特徴とする。
【0014】
請求項2に係る発明では、円柱部の外径は、0.5〜1.0mmであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項に係る発明では、微細工具は、円柱部内に軸方向に延びるΩ字断面のクーラント通路を備えている。スクエアタイプのエンドミルのように回転中心にクーラント通路を開口できる場合に好適である。
請求項2に係る発明によれば、従来法ではクーラント通路を設けることが困難であった1.0mm以下の径の超微細工具に、本発明によりクーラント通路が形成可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1備工程を説明する図である。
図2り出し工程を説明する図である。
図3り出し工程を説明する図である。
図4体化工程を説明する図である。
図5付け工程を説明する図兼微細工具の断面図である。
図6】別の微細工具の断面図である。
図7本発明での切り出し工程を説明する図である。
図8本発明での切り出し工程を説明する図及び円柱部の斜視図である。
図9本発明での一体化工程を説明する図である。
図10本発明での刃付け工程を説明する図兼微細工具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、本発明の微細工具は、図7図10で説明するが、関連する技術を参考までに図1図6で説明する。
【実施例】
【0022】
図1に示すように、金属板11の一方の面に、立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層12を形成してなる板状素材13を準備する(準備工程)。
詳しくは、超硬円板等からなる金属板11の上面に、立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層12を積層してなる板状素材13を、適当な鋼板14に半田15で固定する。
【0023】
そして、鋼板14をワイヤカット放電加工機のテーブルに載せてクランパ16でクランプする。鋼板14は必須ではないが、板状素材13を直接クランプするよりは、鋼板14を介して抑える方がクランプが容易となる。なお、立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層12の厚さは0.5〜2.0mm、金属板11の厚さは5.0〜13.0mmである。
【0024】
次に、ワイヤカット放電加工機で外径が2.0mmを超えない円柱部を切り出す切り出し工程を、図2図3に基づいて説明する。なお、板状素材13の縁19は曲線であるが、図2図3では便宜的に直線とした。
【0025】
図2(a)に示すように、縁19に平行になるように、板状素材13にワイヤカット放電加工機のワイヤ18で第1溝21を入れ、更に縁19に直角に第2溝22を切り込む。以降の切り込み予定線を想像線で示す。この想像線のうち、円柱部の外周線の一部23を、ワイヤ18で切り込む。
図2(b)に示すように、円柱部の外周線の一部23の先端から円柱部の外周線の内部に進入するU字進入線24をワイヤ18で切り込む。
図2(c)に示すように、円柱部の外周線の残部25を、ワイヤ18で切り込む。
これで、図2(d)の形態が得られる。
【0026】
図3(a)に示すように、縁19に平行に第1溝(図2(a)、符号21)に相当する溝26を入れ、図2(b)〜(d)を繰り返す。得られた溝21〜26で分離することで、図3(b)に示すように、幹部28と円柱部29、29の形態が得られる。
図3(c)に示すように、円柱部29、29を幹部28から分離する。
図3(d)に示すように、円柱部29の外周に軸方向に延びるU溝状のクーラント通路31が形成されている。
【0027】
図4に示すように、円柱部29の外径より大きな径のシャンク32を準備する。このシャンク32には、中心からオフセットした位置に予めクーラント供給路33が設けられている。このクーラント供給路33とU溝状のクーラント通路31を合致させつつ、円柱部29の金属層34をシャンク32の一端にロー付けで固定する(一体化工程)。
【0028】
次に、図5に示すように、円柱部29の非金属層(立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層)35に、レ断面の刃36を形成する(刃付け工程)。刃36の先がU溝状のクーラント通路31に干渉しない。結果、円柱部29の外周に軸方向に延びるU溝状のクーラント通路31を備えた微細工具37が得られる。円柱部29の外径は、2.0mm以下であり、このような微細工具37にクーラント通路31を設けることができた。
または、図6に示すように、円柱部29の先端に、V断面の刃38を形成するようにしてもよい。
【0029】
次に、本発明の実施例を説明する。
図7(a)に示すように、縁19に平行になるように、板状素材13にワイヤ18で第1溝21を入れ、更に縁19に直角に第2溝22を切り込む。以降の切り込み予定線を想像線で示す。この想像線のうち、円柱部の外周線の一部23を、ワイヤ18で切り込む。
図7(b)に示すように、円柱部の外周線の一部23の先端から円柱部の外周線の内部に進入するΩ字進入線41をワイヤ18で切り込む。
図7(c)に示すように、円柱部の外周線の残部25を、ワイヤ18で切り込む。
これで、図7(d)の形態が得られる。
【0030】
図8(a)に示すように、縁19に平行に溝26を入れ、図7(b)〜(d)を繰り返す。得られた溝21〜26、41で分離することで、図8(b)に示すように、幹部28と円柱部29、29の形態が得られる。
図8(c)に示すように、円柱部29、29を幹部28から分離する。
図8(d)に示すように、円柱部29の中心に軸方向に延びるΩ字断面のクーラント通路42が形成されている。
【0031】
図9に示すように、円柱部29の外径より大きな径のシャンク32を準備する。このシャンク32には中心に予めクーラント供給路33が設けられている。このクーラント供給路33とΩ字断面のクーラント通路42を合致させつつ、円柱部29の金属層34をシャンク32の一端にロー付けで固定する(一体化工程)。
【0032】
次に、図10に示すように、円柱部29の先端の両隅に、刃43、43を形成する(刃付け工程)。刃43、43がΩ字断面のクーラント通路42に干渉しない。結果、円柱部29の中心に軸方向に延びるΩ字断面のクーラント通路42を備えた微細工具7が得られる。円柱部29の外径は、2.0mm以下であり、このような微細工具7にクーラント通路42を設けることができた。
【0033】
なお、本発明の微細工具は、エンドミルの他、ドリルであってもよい。
【0034】
また、2.0mm以下である円柱部29の外径は、1.0mm以下、好ましくは0.5〜1.0mmの範囲であってもよい。すなわち、本発明は、外径が0.5〜1.0mmの超微細工具に適用することができる。結果、従来法ではクーラント通路を設けることが困難であった1.0mm以下の径の超微細工具に、本発明によりクーラント通路が形成可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、外径が2.0mm以下の微細工具に好適である。
【符号の説明】
【0036】
11…金属板、12…立方晶窒化ホウ素層又は多結晶焼結ダイヤモンド層、13…板状素材、18…ワイヤカット放電加工機のワイヤ、23…円柱部の外周線の一部、24…進入線(U字進入線)、25…円柱部の外周線の残部、29…円柱部、31…U溝状のクーラント通路、32…シャンク、34…金属層、35…非金属層、37…微細工具、41…進入線(Ω字進入線)、42…Ω字断面のクーラント通路、43…刃
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