(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
棒金硬貨を収納可能な棒金収納装置、硬貨を収納可能であるとともに少なくとも収納された硬貨の出金処理を実行可能な硬貨処理機、および前記棒金収納装置および前記硬貨処理機の管理を行う管理装置を備えた硬貨処理システムであって、
前記硬貨処理機に収納されている硬貨の在高を管理する在高管理手段と、
前記在高管理手段により管理される在高に基づいて前記硬貨処理機における硬貨の補充可能量を算出する補充可能量算出手段と、
前記棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知する取出量検知手段と、
前記補充可能量算出手段により算出された前記補充可能量と前記取出量検知手段により検知された前記取出量とを比較する比較手段と、
を備えた、硬貨処理システム。
前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に警告するための警告手段を更に備えた、請求項1または2記載の硬貨処理システム。
前記警告手段は、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に視覚的に警告するための表示部を有している、請求項3記載の硬貨処理システム。
前記警告手段は、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に聴覚的に警告するための音声部を有している、請求項3記載の硬貨処理システム。
前記棒金収納装置は、当該棒金収納装置の筐体から引き出し可能であり棒金硬貨の収納を行う収納ドロアおよび前記収納ドロアが前記筐体に収容されたときに当該収納ドロアを前記筐体内にロックするためのロック部を有しており、
前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合に、前記収納ドロアが前記筐体に収容されても前記ロック部により前記収納ドロアを前記筐体内にロックしないよう当該ロック部の制御を行うロック部制御手段を更に備えた、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の硬貨処理システム。
前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合に、前記硬貨処理機の筐体内に硬貨が取り込まれることを防止する硬貨取込防止手段を更に備えた、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の硬貨処理システム。
棒金硬貨を収納可能な棒金収納装置、および前記棒金収納装置に通信可能に接続され、硬貨を収納可能であるとともに少なくとも収納された硬貨の出金処理を実行可能な硬貨処理機を備えた硬貨処理システムであって、
前記硬貨処理機に収納されている硬貨の在高を管理する在高管理手段と、
前記在高管理手段により管理される在高に基づいて前記硬貨処理機における硬貨の補充可能量を算出する補充可能量算出手段と、
前記棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知する取出量検知手段と、
前記補充可能量算出手段により算出された前記補充可能量と前記取出量検知手段により検知された前記取出量とを比較する比較手段と、
を備えた、硬貨処理システム。
貨幣を収納可能な貨幣収納装置、および前記貨幣収納装置に通信可能に接続され、貨幣を収納可能であるとともに少なくとも収納された貨幣の出金処理を実行可能な貨幣処理機を備えた貨幣処理システムであって、
前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高を管理する在高管理手段と、
前記在高管理手段により管理される在高に基づいて前記貨幣処理機における貨幣の補充可能量を算出する補充可能量算出手段と、
前記貨幣収納装置から取り出された貨幣の量である取出量を検知する取出量検知手段と、
前記補充可能量算出手段により算出された前記補充可能量と前記取出量検知手段により検知された前記取出量とを比較する比較手段と、
を備えた、貨幣処理システム。
棒金硬貨を収納可能な棒金収納装置、および前記棒金収納装置に通信可能に接続され、硬貨を収納可能であるとともに少なくとも収納された硬貨の出金処理を実行可能な硬貨処理機を備えた硬貨処理システムによる硬貨処理方法であって、
補充可能量算出手段が、前記硬貨処理機における硬貨の補充可能量を算出する工程と、
取出量検知手段が、前記棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知する工程と、
比較手段が、算出された前記補充可能量と検知された前記取出量とを比較する工程と、
を備えた、硬貨処理方法。
貨幣を収納可能な貨幣収納装置、および前記貨幣収納装置に通信可能に接続され、貨幣を収納可能であるとともに少なくとも収納された貨幣の出金処理を実行可能な貨幣処理機を備えた貨幣処理システムによる貨幣処理方法であって、
補充可能量算出手段が、前記貨幣処理機における貨幣の補充可能量を算出する工程と、
取出量検知手段が、前記貨幣収納装置から取り出された貨幣の量である取出量を検知する工程と、
比較手段が、算出された前記補充可能量と検知された前記取出量とを比較する工程と、
を備えた、貨幣処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の釣銭補充管理システムでは、店舗のレジ担当者等が硬貨釣銭機にバラ硬貨を補充するために棒金収納庫から棒金硬貨を取り出す際に、硬貨釣銭機における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を棒金収納庫から取り出してしまったり、硬貨釣銭機に補充されるべき硬貨の金種とは異なる金種の棒金硬貨を誤って棒金収納庫から取り出してしまったりすることがあった。このような場合には、棒金収納庫から取り出された棒金硬貨の包装を解いてバラ硬貨としても、全てのバラ硬貨を硬貨釣銭機に収納しきれないおそれがあり、硬貨釣銭機に収納しきれずに返却されたバラ硬貨の保管に困るという問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであって、硬貨処理機における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって硬貨処理機に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる硬貨処理システムおよび硬貨処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明の他の目的は、貨幣処理機における貨幣の補充可能量よりも多くの量の貨幣を操作者が誤って貨幣収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって貨幣処理機に補充することができない貨幣が発生してしまうことを防止することができる貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の硬貨処理システムは、棒金硬貨を収納可能な棒金収納装置、硬貨を収納可能であるとともに少なくとも収納された硬貨の出金処理を実行可能な硬貨処理機、および前記棒金収納装置および前記硬貨処理機の管理を行う管理装置を備えた硬貨処理システムであって、前記硬貨処理機に収納されている硬貨の在高を管理する在高管理手段と、前記在高管理手段により管理される在高に基づいて前記硬貨処理機における硬貨の補充可能量を算出する補充可能量算出手段と、前記棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知する取出量検知手段と、前記補充可能量算出手段により算出された前記補充可能量と前記取出量検知手段により検知された前記取出量とを比較する比較手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような硬貨処理システムによれば、硬貨処理機における硬貨の補充可能量と、棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量とを比較することによって、硬貨処理機における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって硬貨処理機に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる。
【0010】
本発明の硬貨処理システムにおいては、前記在高管理手段は、前記硬貨処理機に収納されている硬貨の在高を金種毎に管理するようになっており、前記補充可能量算出手段は、前記補充可能量を金種毎に算出するようになっており、前記取出量検知手段は、前記取出量を金種毎に検知するようになっており、前記比較手段は、前記補充可能量と前記取出量とを金種毎に比較するようになっていてもよい。
【0011】
本発明の硬貨処理システムは、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に警告するための警告手段を更に備えていてもよい。
【0012】
この場合、前記警告手段は、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に視覚的に警告するための表示部を有していてもよい。
【0013】
あるいは、前記警告手段は、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に聴覚的に警告するための音声部を有していてもよい。
【0014】
本発明の硬貨処理システムにおいては、前記棒金収納装置は、当該棒金収納装置の筐体から引き出し可能であり棒金硬貨の収納を行う収納ドロアおよび前記収納ドロアが前記筐体に収容されたときに当該収納ドロアを前記筐体内にロックするためのロック部を有しており、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合に、前記収納ドロアが前記筐体に収容されても前記ロック部により前記収納ドロアを前記筐体内にロックしないよう当該ロック部の制御を行うロック部制御手段を更に備えていてもよい。
【0015】
本発明の硬貨処理システムは、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合に、前記硬貨処理機の筐体内に硬貨が取り込まれることを防止する硬貨取込防止手段を更に備えていてもよい。
【0016】
この場合、前記硬貨処理機は、当該硬貨処理機の前記筐体内に硬貨を投入するための硬貨投入口の開閉を行うシャッタを有しており、前記硬貨取込防止手段は、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合に、前記硬貨処理機の前記シャッタを閉じて前記硬貨投入口への硬貨の投入を防止するようになっていてもよい。
【0017】
あるいは、前記硬貨処理機は、当該硬貨処理機の前記筐体内に硬貨を繰り出す繰出部を有しており、前記硬貨取込防止手段は、前記比較手段において前記補充可能量よりも前記取出量が多いと判断された場合に、前記硬貨処理機の前記繰出部を動作させないようになっていてもよい。
【0018】
本発明の硬貨処理システムにおいては、前記硬貨処理機に収納される硬貨の最大収納量が予め設定されており、前記補充可能量算出手段は、予め設定された前記最大収納量と、前記在高管理手段により管理される在高とに基づいて前記補充可能量を算出するようになっていてもよい。
【0019】
あるいは、本発明の硬貨処理システムは、前記硬貨処理機に収納される硬貨の収納適正量を記憶する記憶手段を更に備え、前記補充可能量算出手段は、前記記憶手段に記憶されている前記収納適正量と、前記在高管理手段により管理される在高とに基づいて前記補充可能量を算出するようになっていてもよい。
【0020】
本発明の硬貨処理システムは、棒金硬貨を収納可能な棒金収納装置、および前記棒金収納装置に通信可能に接続され、硬貨を収納可能であるとともに少なくとも収納された硬貨の出金処理を実行可能な硬貨処理機を備えた硬貨処理システムであって、前記硬貨処理機に収納されている硬貨の在高を管理する在高管理手段と、前記在高管理手段により管理される在高に基づいて前記硬貨処理機における硬貨の補充可能量を算出する補充可能量算出手段と、前記棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知する取出量検知手段と、前記補充可能量算出手段により算出された前記補充可能量と前記取出量検知手段により検知された前記取出量とを比較する比較手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
このような硬貨処理システムによれば、硬貨処理機における硬貨の補充可能量と、棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量とを比較することによって、硬貨処理機における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって硬貨処理機に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる。
【0022】
本発明の貨幣処理システムは、貨幣を収納可能な貨幣収納装置、および前記貨幣収納装置に通信可能に接続され、貨幣を収納可能であるとともに少なくとも収納された貨幣の出金処理を実行可能な貨幣処理機を備えた貨幣処理システムであって、前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高を管理する在高管理手段と、前記在高管理手段により管理される在高に基づいて前記貨幣処理機における貨幣の補充可能量を算出する補充可能量算出手段と、前記貨幣収納装置から取り出された貨幣の量である取出量を検知する取出量検知手段と、前記補充可能量算出手段により算出された前記補充可能量と前記取出量検知手段により検知された前記取出量とを比較する比較手段と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
このような貨幣処理システムによれば、貨幣処理機における貨幣の補充可能量と、貨幣収納装置から取り出された貨幣の量である取出量とを比較することによって、貨幣処理機における貨幣の補充可能量よりも多くの量の貨幣を操作者が誤って貨幣収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって貨幣処理機に補充することができない貨幣が発生してしまうことを防止することができる。
【0024】
本発明の貨幣処理システムにおいては、前記貨幣は、バラ紙幣、バラ硬貨、帯封紙幣および棒金硬貨を含む群から選択された少なくとも1つのものからなっていてもよい。
【0025】
本発明の硬貨処理方法は、棒金硬貨を収納可能な棒金収納装置、および前記棒金収納装置に通信可能に接続され、硬貨を収納可能であるとともに少なくとも収納された硬貨の出金処理を実行可能な硬貨処理機を備えた硬貨処理システムによる硬貨処理方法であって、
補充可能量算出手段が、前記硬貨処理機における硬貨の補充可能量を算出する工程と、
取出量検知手段が、前記棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知する工程と、
比較手段が、算出された前記補充可能量と検知された前記取出量とを比較する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
このような硬貨処理方法によれば、硬貨処理機における硬貨の補充可能量と、棒金収納装置から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量とを比較することによって、硬貨処理機における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって硬貨処理機に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる。
【0027】
本発明の貨幣処理方法は、貨幣を収納可能な貨幣収納装置、および前記貨幣収納装置に通信可能に接続され、貨幣を収納可能であるとともに少なくとも収納された貨幣の出金処理を実行可能な貨幣処理機を備えた貨幣処理システムによる貨幣処理方法であって、
補充可能量算出手段が、前記貨幣処理機における貨幣の補充可能量を算出する工程と、
取出量検知手段が、前記貨幣収納装置から取り出された貨幣の量である取出量を検知する工程と、
比較手段が、算出された前記補充可能量と検知された前記取出量とを比較する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0028】
このような貨幣処理方法によれば、貨幣処理機における貨幣の補充可能量と、貨幣収納装置から取り出された貨幣の量である取出量とを比較することによって、貨幣処理機における貨幣の補充可能量よりも多くの量の貨幣を操作者が誤って貨幣収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって貨幣処理機に補充することができない貨幣が発生してしまうことを防止することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の硬貨処理システムおよび硬貨処理方法によれば、硬貨処理機における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって硬貨処理機に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる。
【0030】
本発明の貨幣処理システムおよび貨幣処理方法によれば、貨幣処理機における貨幣の補充可能量よりも多くの量の貨幣を操作者が誤って貨幣収納装置から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって貨幣処理機に補充することができない貨幣が発生してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
〔第1の実施の形態〕
以下、図面を参照して本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1乃至
図6は、第1の実施の形態による貨幣処理システムを示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による貨幣処理システムの貨幣釣銭機、棒金収納装置およびPOSレジスタの構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す貨幣処理システムの貨幣釣銭機、棒金収納装置およびPOSレジスタの内部構成を模式的に示す構成図であり、
図3は、
図1に示す貨幣処理システムの制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、
図4は、
図1に示す貨幣処理システムの棒金収納装置において収納ドロアを筐体から引き出したときの状態を示す上面図である。また、
図5は、
図1に示す貨幣処理システムにおいて棒金収納装置から棒金硬貨を取り出してバラ硬貨とした後に硬貨釣銭機に補充するときの動作を示すフローチャートである。また、
図6(a)〜(c)は、
図1に示す貨幣処理システムにおいて棒金収納装置から棒金硬貨を取り出してバラ硬貨とした後に硬貨釣銭機に補充するときの操作表示部の表示内容を示す図である。
【0033】
まず、本実施の形態による貨幣処理システムの全体構成について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理システムは、上下に並べて配置された硬貨釣銭機100および棒金収納装置400と、これらの硬貨釣銭機100や棒金収納装置400の隣に並べて配置された紙幣釣銭機200と、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の上方に設けられたPOSレジスタ300とを備えている。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。これらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200により貨幣釣銭機が構成されている。また、棒金収納装置400は、各金種の棒金硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を取り出し可能に収納するようになっている。また、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
【0034】
図2および
図3に示すように、硬貨釣銭機100は、上位制御部120および硬貨釣銭機制御部130を有しており、これらの上位制御部120および硬貨釣銭機制御部130は通信可能に接続されている。また、紙幣釣銭機200は紙幣釣銭機制御部230を有しており、この紙幣釣銭機制御部230は硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されている。また、棒金収納装置400は棒金収納装置制御部430を有しており、この棒金収納装置制御部430は硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されている。また、POSレジスタ300はPOS制御部330を有しており、硬貨釣銭機100の上位制御部120はPOSレジスタ300のPOS制御部330に通信可能に接続されている。また、図示していないが、POSレジスタ300のPOS制御部330は店舗サーバ等の上位端末と通信可能に接続されている。
【0035】
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。
図1に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112が設けられた筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
【0036】
硬貨受入部114は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部114には繰出ベルト(図示せず)が設けられており、硬貨投入口に投入された硬貨を検知するとこの繰出ベルトが駆動されることにより当該繰出ベルトが硬貨を硬貨釣銭機100の筐体110内に1枚ずつ繰り出すようになっている。また、
図1に示すように、硬貨受入部114の硬貨投入口には当該硬貨投入口の開閉を行うシャッタ118が設けられており、シャッタ118が開かれたときに硬貨受入部114に硬貨を投入することができるようになっている。また、
図2に示すように、硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により筐体110内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
【0037】
図2に示すように、入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)するようになっている。
【0038】
一方、正常硬貨等の筐体110内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの硬貨収納部106が設けられており、入金搬送部103の上流側(すなわち、
図2における下側)から低額順に硬貨が収納されるようになっている。また、各硬貨収納部106は金種毎に硬貨の最大収納量が予め設定されている。具体的には、500円硬貨に対応する硬貨収納部106における硬貨の最大収納量は例えば105枚であり、100円硬貨、10円硬貨、1円硬貨にそれぞれ対応する硬貨収納部106における硬貨の最大収納量は例えば160枚であり、50円硬貨および5円硬貨にそれぞれ対応する硬貨収納部106における硬貨の最大収納量は例えば120枚である。
【0039】
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104から案内されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
【0040】
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。
図1および
図2に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aを外側から取り囲むように配置されている。
【0041】
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行うようになっている。
【0042】
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
【0043】
図1および
図2に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱可能に取り付けられている。
【0044】
紙幣受入部214は、投入された紙幣を検知すると駆動され、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。具体的には、3つの紙幣収納部206として、一万円札を収納する紙幣収納部206、五千円札および二千円札を混合状態で収納する紙幣収納部206、および千円札を収納する紙幣収納部206がそれぞれ設けられている。また、各紙幣収納部206は金種毎に紙幣の最大収納量が予め設定されている。また、各紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出するようになっている。
【0045】
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から筐体210内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
【0046】
次に、棒金収納装置400の構成について具体的に説明する。
図1および
図4に示すように、棒金収納装置400は、手前側の側面が開口している筐体410と、筐体410内に収容可能となっているとともに当該筐体410から手前側に引き出し可能な収納ドロア412とを備えており、収納ドロア412には各金種の棒金硬貨が例えば2列で収納されるようになっている(
図4において、収納ドロア412に収納された各金種の棒金硬貨を斜線で示している)。ここで、収納ドロア412には、所定金種の棒金硬貨を一本ずつ受け入れる収納部が形成されており、収納される棒金硬貨の金種毎の収納本数および位置が予め設定されている。具体的には、
図4において参照符号Aで示す領域には8本の100円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Bで示す領域には1本の500円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Cで示す領域には1本の50円の棒金硬貨が収納可能となっている。また、
図4において参照符号Dで示す領域には6本の10円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Eで示す領域には4本の1円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Fで示す領域には1本の5円の棒金硬貨が収納可能となっている。
【0047】
また、
図2に示すように、棒金収納装置400の筐体410の内部には、収納ドロア412が筐体410に完全に収容されたときに当該収納ドロア412を筐体410内にロックするためのロック部416が設けられている。ここで、ロック部416が収納ドロア412を筐体410内にロックしたときには、この収納ドロア412を筐体410から手前側に引き出すことができなくなり、よって収納ドロア412から棒金硬貨を取り出すことができなくなる。ロック部416によるロックが解除されると、図示されないバネ構造の付勢により収納ドロア412が筐体410の前面から手前側に若干量突出した状態となる。
【0048】
また、棒金収納装置400の筐体410における前面開口の近傍には、収納ドロア412が筐体410から手前側に引き出されたり筐体410の内部に戻されたりする際に当該収納ドロア412に収納されている棒金硬貨の金種毎の本数を検知する棒金検知部414が設けられている。具体的には、
図2等に示すように、棒金検知部414は左右一対の光センサ414aおよび筐体410からの収納ドロア412の引き出し量を検知するロータリエンコーダ414bを有している。ここで、各光センサ414aは発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光は、棒金収納装置400の幅方向(
図2における左右方向)に延びる光軸を通って受光素子に送られるようになっている。そして、収納ドロア412が筐体410内に完全に収容されていたり当該収納ドロア412が筐体410から完全に引き出されたりしているときには、各光センサ414aにおいて発光素子から発せられた光は受光素子により受けられ、一方、収納ドロア412が筐体410から手前側に引き出されたり筐体410の内部に戻されたりする際に、発光素子から発せられた光が収納ドロア412内に収納された棒金硬貨により遮られることにより受光素子に届かなくなり、このことにより棒金硬貨の孔の有無や直径の大きさが検知されるようになる。前述したように、収納ドロア412において、収納される棒金硬貨の金種毎の収納本数および位置が予め設定されているため、光センサ414aにより検知された棒金硬貨の孔の有無や直径の大きさ、ならびにロータリエンコーダ414bにより検知された筐体410からの収納ドロア412の引き出し量に基づいて、収納ドロア412に収納された棒金硬貨の金種毎の本数、および各棒金硬貨が収納ドロア412内の所定の位置に正しく収納されているか否か等が検知されるようになっている。
【0049】
次に、POSレジスタ300の構成について具体的に説明する。POSレジスタ300のPOS制御部330は、
図2に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されているとともに、店舗サーバ等の上位端末(図示せず)にも通信接続されている。そして、このPOS制御部330は、硬貨釣銭機100の上位制御部120を介して当該硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨釣銭機100の上位制御部120を介して棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430に指令を送ることによりロック部416による筐体410内での収納ドロア412のロックや当該ロックの解除を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230から、上位制御部120を介して、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
【0050】
操作部304は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部330に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部302は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の情報を表示するようになっている。また、POSレジスタ300には客(購入者)が視認可能な追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。また、POSレジスタ300にはカードリーダ336および印字部338が設けられている(
図3参照、
図1および
図2では図示せず)。カードリーダ336は、操作者のIDカードを読み取ることにより操作者のIDや権限等に関する情報を取得するようになっている。また、印字部338は例えばプリンタから構成され、売上レシートや集計レシートに加えて、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報を印字するようになっている。
【0051】
図3に、上述のような構成からなる貨幣処理システムの機能ブロック図を示す。
図3に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、硬貨釣銭機100のインターフェース132、操作表示部112、音声部113および記憶部134が通信可能に接続されている。この上位制御部120は、インターフェース132により、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230やPOSレジスタ300のPOS制御部330に対して信号の送受信を行うようになっている。また、操作者により操作表示部112に入力された指令が当該操作表示部112から上位制御部120に送られるとともに、上位制御部120は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が表示されるようになっている。また、音声部113は、音声により操作者に対して様々な通知を行うことができるようになっている。また、記憶部134には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、在高管理手段136、補充可能量算出手段137および比較手段138がそれぞれ通信可能に接続されている。これらの在高管理手段136、補充可能量算出手段137および比較手段138の構成の詳細については後述する。
【0052】
硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130には、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等がそれぞれ通信可能に接続されており、硬貨識別部101から硬貨釣銭機制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、硬貨釣銭機制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130には、硬貨釣銭機100の筐体110内に硬貨が取り込まれることを防止するための硬貨取込防止手段117が通信可能に接続されている。このような硬貨取込防止手段117の構成の詳細については後述する。
【0053】
紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等がそれぞれ通信可能に接続されており、紙幣識別部201から紙幣釣銭機制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、紙幣釣銭機制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の上位制御部120に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0054】
棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430には、インターフェース432、棒金検知部414、ロック部416、記憶部434等がそれぞれ通信可能に接続されており、棒金検知部414から収納ドロア412内の棒金硬貨の検知結果が棒金収納装置制御部430に送られるとともに、棒金収納装置制御部430からロック部416に対して収納ドロア412を筐体410内にロックするか否かの指令が送られるようになっている。また、棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430は、インターフェース432により、硬貨釣銭機100の上位制御部120に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部434には、棒金収納装置400の内部に収納された棒金硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430には、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を検知するための取出量検知手段436が通信可能に接続されている。この取出量検知手段436の構成の詳細については後述する。
【0055】
また、POSレジスタ300のPOS制御部330には、表示部302、操作部304、記憶部334、インターフェース332、カードリーダ336、印字部338等がそれぞれ通信可能に接続されており、操作者により操作部304に入力された指令が当該操作部304からPOS制御部330に送られたり、カードリーダ336により読み取られた操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部330に送られたりするようになっている。また、POS制御部330は表示部302に指令を送ることにより当該表示部302に様々な情報を表示させるようになっている。なお、POS制御部330は、表示部302に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示を行わせるようになっていてもよい。また、POS制御部330は印字部338に指令を送ることにより当該印字部338により様々な情報を印字させるようになっている。また、POSレジスタ300のPOS制御部330は、インターフェース332により、硬貨釣銭機100の上位制御部120や店舗サーバ等の上位端末(図示せず)に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部334には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から送信された、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
【0056】
本実施の形態では、上述したように、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、在高管理手段136、補充可能量算出手段137および比較手段138がそれぞれ通信可能に接続されており、また、棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430には、取出量検知手段436が通信可能に接続されている。在高管理手段136は、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400に収納されているバラ硬貨、バラ紙幣および包装硬貨の在高を金種毎に管理するようになっている。具体的には、在高管理手段136は、硬貨釣銭機100の硬貨識別部101や紙幣釣銭機200の紙幣識別部201による硬貨や紙幣の識別結果に基づいて、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に収納されている金種毎の硬貨や紙幣の枚数をリアルタイムで把握するようになっている。また、在高管理手段136は、筐体410から収納ドロア412が引き出されたり当該収納ドロア412が筐体410の内部に戻されたりする際における棒金検知部414による棒金硬貨の検知情報に基づいて棒金収納装置400に収納されている金種毎の棒金硬貨の本数をリアルタイムで把握するようになっている。また、補充可能量算出手段137は、在高管理手段136により管理されている在高に基づいて、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の補充可能量を金種毎に算出するようになっている。具体的には、補充可能量算出手段137は、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206において金種毎に予め設定されている硬貨の最大収納量と、在高管理手段136により管理される、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に実際に収納されている金種毎の硬貨や紙幣の枚数との差を補充可能量としている。
【0057】
なお、補充可能量算出手段137による硬貨や紙幣の補充可能量の算出方法は、上記の態様に限定されることはない。例えば、記憶部134において硬貨釣銭機100の各硬貨収納部106や紙幣釣銭機200の各紙幣収納部206に収納される硬貨や紙幣の収納適正量が金種毎に記憶されるようになっている場合には、補充可能量算出手段137は、記憶部134に記憶されている各硬貨収納部106や各紙幣収納部206の収納適正量と、在高管理手段136により管理される、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206に実際に収納されている金種毎の硬貨や紙幣の枚数(在高)との差を補充可能量としてもよい。なお、記憶部134において記憶されている各硬貨収納部106や各紙幣収納部206の収納適正量は、各硬貨収納部106や各紙幣収納部206において金種毎に予め設定されている硬貨の最大収納量よりも小さな値(具体的には、補充処理後に入金処理が続けて行われてもフル状態にならないように、最大収納量の8割〜9割の大きさの値が用いられる。)となる。また、記憶部134に記憶されている各硬貨収納部106や各紙幣収納部206の収納適正量は、操作者が操作表示部112により変更することができるようになっている。
【0058】
また、取出量検知手段436は、棒金検知部414により検知された、収納ドロア412内の棒金硬貨の金種毎の本数に基づいて、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を金種毎に検知するようになっている。具体的には、棒金硬貨の各金種について、筐体410から収納ドロア412が引き出されるときに棒金検知部414により検知される収納ドロア412内の棒金硬貨の本数から、筐体410内に収納ドロア412が戻されるときに棒金検知部414により検知される収納ドロア412内の棒金硬貨の本数を差し引くことにより、棒金硬貨の各金種についての取出量が検知されるようになる。
【0059】
また、比較手段138は、補充可能量算出手段137により算出された、硬貨釣銭機100の各硬貨収納部106における硬貨の補充可能量と、取出量検知手段436により検知された、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の取出量とを金種毎に比較するようになっている。そして、比較手段138において、硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、操作表示部112や音声部113によりこのことが操作者に視覚的および/または聴覚的に警告されるようになる。具体的には、比較手段138において、ある金種について補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、操作表示部112において、補充可能量よりも取出量が多い硬貨の金種および補充可能量と取出量との差分に関する情報が表示されたり、音声部113において棒金収納装置400からの棒金硬貨の取出量が多すぎる旨のメッセージが読み上げられたりする。操作表示部112における表示内容の詳細については後述する。
【0060】
また、本実施の形態では、比較手段138において、硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、収納ドロア412が筐体410から引き出された状態から当該筐体410内に戻されて収容されてもロック部416により収納ドロア412を筐体410内にロックしないよう、棒金収納装置制御部430はロック部416の制御を行うようになっている。このように、硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、操作者が収納ドロア412を筐体410内に戻してもロック部416により当該収納ドロア412が筐体410内にロックされずに筐体410の前面から前方に若干突出するので、操作者は棒金収納装置400からの棒金硬貨の取り出し量が多すぎることを認識することができるようになる。
【0061】
また、本実施の形態では、比較手段138において、硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、硬貨取込防止手段117により、硬貨釣銭機100の筐体110内に硬貨が取り込まれることを防止するようになっている。具体的には、比較手段138において、硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、硬貨取込防止手段117は硬貨受入部114に設けられたシャッタ118を閉じることにより、操作者が硬貨投入口に硬貨を投入することができないようにする。なお、すでにシャッタ118が閉じられていた場合には、閉鎖状態が維持される。また、硬貨投入口にシャッタ118が設けられていない場合等には、硬貨取込防止手段117は、シャッタ118により硬貨投入口を閉じる代わりに、硬貨の投入が検知されても硬貨受入部114に設けられた繰出ベルトを動作させないことにより、硬貨受入部114に受け入れられた硬貨を筐体110の内部に繰り出させないようにしてもよい。このような硬貨取込防止手段117の機能により、硬貨釣銭機100において各硬貨収納部106に収納することのできないような硬貨が硬貨受入部114から筐体110内に繰り出されることを防止することができるようになる。
【0062】
次に、このような構成からなる貨幣処理システムの動作について説明する。なお、以下に示す貨幣処理システムの動作は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成部材をそれぞれ制御することにより行われる。
【0063】
まず、硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の筐体110内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
【0064】
また、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
【0065】
次に、紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合の動作について以下に説明する。紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納される。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損や搬送異常等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
【0066】
また、当該紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して紙幣釣銭機制御部230に送られることにより、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金されるようになる。紙幣釣銭機制御部230に対して出金指令が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
【0067】
また、硬貨釣銭機100において釣銭として出金されるべき硬貨が不足している場合には、操作者は棒金収納装置400から棒金硬貨を取り出し、この取り出された棒金硬貨のフィルムや包装紙等の包装を解くことによりバラ硬貨とし、当該バラ硬貨を硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に投入することにより硬貨の補充処理を行う。このような硬貨の補充処理方法について
図5に示すフローチャートおよび
図6に示す硬貨釣銭機100の操作表示部112における表示内容を用いて説明する。
【0068】
貨幣処理システムの待機状態において、
図6(a)に示すように、硬貨釣銭機100の操作表示部112には、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400における硬貨、紙幣、棒金硬貨の金種毎の在高情報が表示されるようになっている。また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において、釣銭として出金されるべき硬貨や紙幣が不足している場合には、このことが操作表示部112に表示されるようになっている。具体的には、硬貨釣銭機100については、各金種について硬貨収納部106に収納されている硬貨の枚数が10枚よりも少なくなった場合には、操作表示部112において当該金種の硬貨が不足している旨の情報が表示される。例えば、操作表示部112における表示画面が
図6(a)に示すようなものとなっているときには、硬貨釣銭機100において釣銭として100円硬貨が不足している。
【0069】
また、
図6(a)に示すように、操作表示部112において、硬貨釣銭機100に収納される硬貨の各金種について、補充可能な棒金硬貨の本数が各硬貨収納部106の在高の下に表示されるようになっている。具体的には、
図6(a)に示す例では、硬貨釣銭機100に対して100円の棒金硬貨3本分に相当する150枚の100円硬貨および1円の棒金硬貨2本に相当する100枚の1円硬貨を補充することができるようになる。一方、500円、50円、10円、5円の各金種については、補充可能本数が0本である旨が操作表示部112に表示されており、これらの500円、50円、10円、5円の各金種については棒金収納装置400から棒金硬貨を取り出してバラ硬貨とした後に硬貨釣銭機100に投入すると硬貨収納部106が満杯になってしまい当該金種の全ての硬貨を硬貨収納部106に収納することができないことがわかる。
【0070】
操作者が硬貨釣銭機100への硬貨の補充処理を行う場合には、まず操作表示部112により補充処理開始の指令を上位制御部120に与える(STEP1)。補充処理開始の指令が上位制御部120に与えられると、補充可能量算出手段137により、硬貨釣銭機100の各硬貨収納部106における硬貨の補充可能量が金種毎に算出される。また、硬貨釣銭機100において釣銭としての硬貨の補充が必要であるか否かの判断が上位制御部120において行われる(STEP2)。具体的には、硬貨釣銭機100において少なくとも1つの金種について硬貨収納部106に収納されている硬貨の枚数が所定の枚数よりも少ない場合には、硬貨釣銭機100において釣銭としての硬貨の補充が必要であると上位制御部120により判断され(STEP2の「YES」)、ロック部416による筐体410内での収納ドロア412のロックを解除する旨の指令が上位制御部120から棒金収納装置制御部430に送られる。このことにより、ロック部416による筐体410内での収納ドロア412のロックが解除される(STEP4)。一方、硬貨釣銭機100において硬貨収納部106に収納されている硬貨の枚数が全ての金種について所定の枚数以上である場合には、硬貨釣銭機100において釣銭としての硬貨の補充が必要ではないと上位制御部120により判断され(STEP2の「NO」)、ロック部416による筐体410内での収納ドロア412のロックは解除されない(STEP3)。このように、硬貨釣銭機100において釣銭としての硬貨の補充が必要ではないと上位制御部120により判断された場合には、硬貨釣銭機100への硬貨の補充処理は行われないようになる。
【0071】
STEP4に示すようにロック部416による筐体410内での収納ドロア412のロックが解除されると、操作者は筐体410から収納ドロア412を手前側に引き出し、硬貨釣銭機100に補充すべき硬貨の金種に対応する棒金硬貨を収納ドロア412から取り出す。その後、操作者は収納ドロア412を筐体410の内部に押し込んで筐体410内に収容させようとする。この際に、取出量検知手段436は、棒金硬貨の各金種について、筐体410から収納ドロア412が引き出されるときに棒金検知部414により検知される収納ドロア412内の棒金硬貨の本数から、筐体410内に収納ドロア412が戻されるときに棒金検知部414により検知される収納ドロア412内の棒金硬貨の本数を差し引くことにより、棒金硬貨の各金種についての取出量を検知する(STEP5)。
【0072】
棒金硬貨の各金種についての取出量が検知されると、比較手段138により、補充可能量算出手段137により算出された、硬貨釣銭機100の各硬貨収納部106における硬貨の補充可能量と、取出量検知手段436により検知された、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の取出量とが金種毎に比較される(STEP6)。そして、全ての金種について取出量が補充可能量よりも少ない場合には(STEP6の「YES」)、上位制御部120は硬貨釣銭機100において筐体110内に硬貨が取り込まれることを認容する(STEP7)。具体的には、硬貨受入部114においてシャッタ118を開くことにより硬貨投入口に硬貨を投入することができるようにし、また、硬貨の投入を検知すると硬貨受入部114の繰出ベルトを動作させることにより当該硬貨受入部114に投入された硬貨を筐体110内に1枚ずつ繰り出すようにする。また、全ての金種について取出量が補充可能量よりも少ない場合には、棒金収納装置400において収納ドロア412が筐体410内に収容されたときにロック部416が収納ドロア412を筐体410内でロックするようにする。
【0073】
一方、比較手段138において硬貨釣銭機100における補充可能量と棒金硬貨の取出量とを金種毎に比較したときに、硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には(STEP6の「NO」)、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の包装を解いてバラ硬貨としても、当該金種のバラ硬貨を硬貨釣銭機100に収納しきれないおそれがあり、硬貨釣銭機100に収納しきれずに返却されたバラ硬貨の保管に困るという問題が生じてしまう。このため、比較手段138において硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、硬貨釣銭機100において硬貨取込防止手段117により筐体110内に硬貨が取り込まれることを防止する(STEP8)。具体的には、硬貨取込防止手段117は硬貨受入部114に設けられたシャッタ118を閉じることにより、操作者が硬貨投入口に硬貨を投入することができないようにする。また、硬貨取込防止手段117は、シャッタ118により硬貨投入口を閉じる代わりに、硬貨受入部114に設けられた繰出ベルトを動作させないことにより、硬貨受入部114に受け入れられた硬貨を筐体110の内部に繰り出させないようにしてもよい。このようにして、硬貨釣銭機100において各硬貨収納部106に収納することのできないような硬貨が硬貨受入部114から筐体110内に繰り出されることを防止することができるようになる。
【0074】
また、比較手段138において硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、棒金収納装置400において収納ドロア412が筐体410内に戻されてもロック部416が収納ドロア412のロックを行わないよう、棒金収納装置制御部430がロック部416を制御するようにする(STEP9)。この場合には、操作者が収納ドロア412を筐体410内に戻してもロック部416により当該収納ドロア412が筐体410内にロックされないで筐体410の前面から前方に若干突出するので、操作者は棒金収納装置400からの棒金硬貨の取り出し量が多すぎることを認識することができるようになる。
【0075】
また、比較手段138において硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、操作表示部112において操作者に対して警告表示を行う(STEP10)。具体的には、
図6(b)に示すように、操作表示部112には「棒金を取り出し過ぎています。取り出し過ぎた棒金を戻してください。」というメッセージが表示されるとともに、収納ドロア412に戻すべき棒金硬貨の金種毎の本数が操作表示部112に表示されるようになる。警告表示によって棒金硬貨の取り出し過ぎに気づいた操作者が取り出し過ぎた棒金硬貨を収納ドロア412に戻すことによって全ての金種について取出量が補充可能量よりも少なくなった場合には(STEP6の「YES」)、上位制御部120は硬貨釣銭機100において筐体110内に硬貨が取り込まれることを認容する(STEP7)。なお、取り出し過ぎた棒金硬貨を操作者が収納ドロア412に戻した後、収納ドロア412を筐体410内に戻すことによって取出量検知手段436により棒金硬貨の取出量が再び検知されたときに、依然として比較手段138において硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、操作表示部112における警告表示の内容が変わるようになっていてもよい。
【0076】
比較手段138において硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に操作表示部112に表示されるメッセージは
図6(b)に示すようなものに限定されることはない。操作者により棒金収納装置400から棒金硬貨が取り出される際に、硬貨釣銭機100に補充されるべき硬貨の金種とは異なる金種の棒金硬貨が誤って取り出されてしまった場合には、
図6(c)に示すように、「取り出した棒金が間違っています。」というメッセージが表示されるとともに、収納ドロア412に戻すべき棒金硬貨の金種毎の本数および収納ドロア412から取り出されるべき棒金硬貨の金種毎の本数がそれぞれ操作表示部112に表示されるようになっていてもよい。
【0077】
また、比較手段138において硬貨の1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、操作表示部112において操作者に対して警告表示を行う代わりに、あるいは操作表示部112による警告表示に加えて、音声部113により操作者に対して聴覚的に警告がなされるようになっていてもよい。
【0078】
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理システムによれば、硬貨釣銭機100に収納されている硬貨の在高を在高管理手段136により管理し、在高管理手段136により管理される在高に基づいて硬貨釣銭機100における硬貨の補充可能量を補充可能量算出手段137により算出し、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量を取出量検知手段436により検知し、補充可能量算出手段137により算出された補充可能量と取出量検知手段436により検知された取出量とを比較手段138により比較するようになっている。このように、硬貨釣銭機100における硬貨の補充可能量と、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の硬貨量である取出量とを比較することによって、硬貨釣銭機100における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置400から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって硬貨釣銭機100に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる。
【0079】
また、本実施の形態の貨幣処理システムにおいては、上述したように、在高管理手段136は、硬貨釣銭機100に収納されている硬貨の在高を金種毎に管理するようになっており、補充可能量算出手段137は、上記の補充可能量を金種毎に算出するようになっており、取出量検知手段436は、上記の取出量を金種毎に検知するようになっており、比較手段138は、補充可能量と取出量とを金種毎に比較するようになっている。この場合には、硬貨の1つの金種でも補充可能量より取出量が多いと比較手段138により判断されたときにはこのことを操作者に認識させることができるため、硬貨の各金種について硬貨釣銭機100に補充することができないバラ硬貨が発生してしまうことを防止することができる。
【0080】
また、本実施の形態の貨幣処理システムにおいては、上述したように、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に警告するための警告手段が設けられている。具体的には、警告手段として、操作者に視覚的に警告するための操作表示部112や、操作者に聴覚的に警告するための音声部113が用いられるようになっている。このような操作表示部112や音声部113等からなる警告手段が設けられていることにより、硬貨釣銭機100における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置400から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に確実に認識させることができるようになる。
【0081】
また、本実施の形態の貨幣処理システムにおいては、上述したように、棒金収納装置400は、当該棒金収納装置400の筐体410から引き出し可能であり棒金硬貨の収納を行う収納ドロア412および収納ドロア412が筐体410に収容されたときに当該収納ドロア412を筐体410内にロックするためのロック部416を有しており、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、棒金収納装置400において収納ドロア412が筐体410に収容されてもロック部416により収納ドロア412を筐体410内にロックしないよう棒金収納装置制御部430により当該ロック部416の制御が行われるようになっている。この場合には、操作者が収納ドロア412を筐体410内に戻してもロック部416により当該収納ドロア412が筐体410内にロックされないので、操作者は棒金収納装置400からの棒金硬貨の取り出し量が多すぎることを認識することができるようになる。
【0082】
また、本実施の形態の貨幣処理システムにおいては、上述したように、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、硬貨釣銭機100の筐体110内に硬貨が取り込まれることを防止する硬貨取込防止手段117が設けられている。具体的には、硬貨取込防止手段117は、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、硬貨釣銭機100のシャッタ118を閉じて硬貨投入口への硬貨の投入を防止したり、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に設けられた繰出ベルト等の繰出部を動作させなかったりするようになっている。この場合には、硬貨釣銭機100における硬貨の補充可能量よりも多くの硬貨量の棒金硬貨を操作者が誤って棒金収納装置400から取り出してしまったときでも、この棒金硬貨の包装を解くことにより得られるバラ硬貨が硬貨釣銭機100の筐体110内に取り込まれることを防止することができる。
【0083】
また、本実施の形態の貨幣処理システムにおいては、上述したように、硬貨釣銭機100に収納される硬貨の最大収納量が予め設定されており、補充可能量算出手段137は、予め設定された最大収納量と、在高管理手段136により管理される在高とに基づいて補充可能量を算出するようになっている。あるいは、硬貨釣銭機100に収納される硬貨の収納適正量が記憶部134に記憶されており、補充可能量算出手段137は、記憶部134に記憶されている収納適正量と、在高管理手段136により管理される在高とに基づいて前記補充可能量を算出するようになっていてもよい。
【0084】
なお、本実施の形態による貨幣処理システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0085】
例えば、上記の説明では、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200、棒金収納装置400およびPOSレジスタ300を備えた貨幣処理システムについて述べたが、本実施の形態による貨幣処理システムはこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システムの他の例として、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400を備えたもの(すなわち、POSレジスタ300が設けられていないもの)が用いられてもよい。また、本実施の形態による貨幣処理システムの更に他の例として、硬貨釣銭機100、棒金収納装置400およびPOSレジスタ300を備えたもの(すなわち、紙幣釣銭機200が設けられていないもの)や、硬貨釣銭機100および棒金収納装置400を備えたもの(すなわち、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300が設けられていないもの)が用いられてもよい。また、硬貨釣銭機100の代わりに、硬貨の出金処理のみを行う出金専用機が用いられてもよい。
【0086】
また、上記の説明では、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400が一体となった貨幣処理システムについて述べたが、本実施の形態による貨幣処理システムはこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システムの他の例として、硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200からなる貨幣釣銭機と、棒金収納装置400とが別体で設けられたものが用いられてもよい。また、本実施の形態による貨幣処理システムの更に他の例として、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200、棒金収納装置400を複数接続したものを用いてもよい。
【0087】
また、上記の説明では、在高管理手段136、補充可能量算出手段137および比較手段138が硬貨釣銭機100に設けられるとともに取出量検知手段436が棒金収納装置400に設けられた貨幣処理システムについて述べたが、本実施の形態による貨幣処理システムはこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システムの他の例として、在高管理手段136、補充可能量算出手段137、比較手段138および取出量検知手段436の全てが硬貨釣銭機100および棒金収納装置400のうちいずれか一方に設けられたものが用いられもよい。また、本実施の形態による貨幣処理システムの更に他の例として、在高管理手段136、補充可能量算出手段137、比較手段138および取出量検知手段436の全てがPOSレジスタ300に設けられたものが用いられもよい。
【0088】
また、本実施の形態では、複数の貨幣処理システムの間で、ICカード等の外部媒体を用いることによりデータの交換が行われるようになっていてもよい。この場合には、比較手段138が硬貨釣銭機100に設けられる代わりに、ICカード等の外部媒体に比較手段138が設けられるようになっていてもよい。このことにより、ある貨幣処理システムの棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨の包装を解いて得られたバラ硬貨が他の貨幣処理システムの硬貨釣銭機100に補充される際に、棒金収納装置400から取り出された棒金硬貨が多すぎるか否かを外部媒体に設けられた比較手段138により判断することができるようになる。
【0089】
また、上記の説明では、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合にこのことを操作者に警告するための警告手段として、硬貨釣銭機100に設けられた操作表示部112や音声部113が用いられる貨幣処理システムについて述べたが、本実施の形態による貨幣処理システムはこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システムの他の例として、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、POSレジスタ300の表示部302に警告表示を行ったり、POSレジスタ300に設けられた音声部(図示せず)により操作者に対して聴覚的に警告を行ったりするようにしてもよい。あるいは、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、POSレジスタ300のPOS制御部330から店舗サーバ等の上位端末にこのことが通知されるようになっていてもよい。
【0090】
また、上記の説明では、棒金収納装置400において、収納ドロア412に収納されている棒金硬貨の金種毎の本数を検知する棒金検知部414として、筐体410における前面開口の近傍に設けられた左右一対の光センサ414aおよび筐体410からの収納ドロア412の引き出し量を検知するロータリエンコーダ414bを有するものが用いられることを述べたが、収納ドロア412に収納されている棒金硬貨の金種毎の本数を検知する棒金検知部はこのような例に限定されることはない。
図7に示すように、収納ドロア412において各棒金硬貨が収納されるべき箇所にそれぞれ棒金検知部415が各棒金硬貨に対応して設けられていてもよい。これらの棒金検知部415には、棒金硬貨の有無検知に加えて、棒金硬貨の材質に基づいて棒金硬貨の金種を特定する機能が備えられている。この場合には、収納ドロア412に棒金硬貨が収納されると、対応する棒金検知部415によりこのことが検知されるようになるため、収納ドロア412を筐体410から手前側に引き出したり筐体410の内部に戻したりしなくても、収納ドロア412から棒金硬貨を取り出したり収納ドロア412に棒金硬貨を戻したりした時点で棒金硬貨の有無の検知を行うことができるようになる。このため、
図7に示すような棒金収納装置400では、収納ドロア412が筐体410から引き出された後、硬貨釣銭機100に補充することができないような誤った棒金硬貨が収納ドロア412から取り出された時点で操作表示部112や音声部113により操作者に対して即座に警告を行うことができるようになり、操作者がこの誤って取り出された棒金硬貨を収納ドロア412に戻すとこのような警告が解除されるようになる。また、
図7に示すような棒金収納装置400では、収納ドロア412が筐体410から完全に引き出された後、比較手段138において補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合に、警告表示に加えて収納ドロア412を筐体410から引き出された位置で固定して当該筐体410に戻すことができないようになっていてもよい。この場合には、収納ドロア412を移動させることができないため操作者は誤った棒金硬貨を収納ドロア412から取り出したことを認識することができるようになる。
【0091】
〔第2の実施の形態〕
以下、図面を参照して本発明の第2の実施の形態について説明する。
図8乃至
図11は、第2の実施の形態による貨幣処理システムを示す図である。このうち、
図8は、本実施の形態による貨幣処理システムの出納機および貨幣管理装置の構成を示す斜視図であり、
図9および
図10は、それぞれ、
図8に示す貨幣処理システムにおける貨幣管理装置の第2紙幣収納ドロアおよび第2硬貨収納ドロアの構成を示す斜視図である。また、
図11は、
図8に示す貨幣処理システムの制御系の構成を示す機能ブロック図である。
【0092】
図8に示すように、第2の実施の形態による貨幣処理システム600は、互いに通信可能に接続された出納機700と貨幣管理装置800(現金バスとも呼ばれる)とを備えており、例えば金融機関に設置されるシステムである。なお、
図8では1台の出納機700と1台の貨幣管理装置800とが通信可能に接続された例が示されているが、1台の出納機700に対して、複数台の貨幣管理装置800が通信可能に接続されていてもよい。
【0093】
出納機700は、帯封紙幣(100枚束)を処理する帯封紙幣処理部P1およびバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置711と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理部712と、棒金硬貨を処理する棒金硬貨処理部713とを備えている。
図8において、参照符号721は帯封紙幣を出金する帯封紙幣出金口、参照符号722はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、参照符号723は棒金硬貨を出金する棒金硬貨出金口、参照符号724はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口をそれぞれ示している。
【0094】
また、この出納機700は、現金以外の有価証券類を投入する現金外ボックス714、出納機700の各構成部材を制御する制御部715(
図11参照)、制御部715に各種の指示を与えるキーボード式操作部716、制御部715による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ718を備えている。外部プリンタ718は、レシート発行装置として機能するようになっている。
【0095】
また、制御部715には、営業員および管理者とのインターフェースとしての表示部715aと、営業員および管理者が所持するIDカードの内容を読み取るカードリーダ715bとがそれぞれ通信可能に接続されている。
【0096】
また、
図11に示すように、制御部715には、出納機700におけるバラ硬貨、バラ紙幣、棒金硬貨、帯封紙幣の在高等の情報を記憶する記憶部715cや、貨幣管理装置800との間で信号の送受信を行うためのインターフェース719がそれぞれ通信可能に接続されている。
【0097】
また、制御部715には、在高管理手段720、補充可能量算出手段722および比較手段724がそれぞれ通信可能に接続されている。これらの在高管理手段720、補充可能量算出手段722および比較手段724の構成の詳細については後述する。
【0098】
図8に示すように、貨幣管理装置800は、1万円の帯封紙幣(100枚束以外に、10束の100枚束を帯封した大束紙幣も収納可能)を収納保管する第1紙幣収納ドロア811と、その他の金種の帯封紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア812と、100円と10円と1円の棒金硬貨を収納保管する第1硬貨収納ドロア813と、500円と50円と5円の棒金硬貨を収納保管する第2硬貨収納ドロア814と、現金以外の有価証券類を投入することができる予備収納ドロア815とを備えている。
【0099】
また、この貨幣管理装置800は、当該貨幣管理装置800の各構成部材を制御する制御部825(
図11参照)と、制御部825に各種の指示を与えるキーボード式操作部826と、使用者(営業員および管理者)とのインターフェースとしての表示部827と、収納庫に貨幣を入出する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るカードリーダ828とを備えている。
【0100】
図9は、貨幣管理装置800の第2紙幣収納ドロア812の斜視図である。
図9に示すように、第2紙幣収納ドロア812には、3種類の金種の帯封紙幣が規則正しく収納保管される。
図9の例では、第2紙幣収納ドロア812の内部に、4つの紙幣保管容器821〜824が配置されており、各容器毎に、収納保管される帯封紙幣の金種が決められている。なお、
図9では第2紙幣収納ドロア812の構成について示されているが、第1紙幣収納ドロア811も
図9に示すような第2紙幣収納ドロア812と同様の構成となっている。
【0101】
図10は、貨幣管理装置800の第2硬貨収納ドロア814の斜視図である。
図10に示すように、第2硬貨収納ドロア814には、3種類の金種の棒金硬貨が規則正しく収納保管される。
図10の例では、第2硬貨収納ドロア814の内部に、3つの硬貨保管容器841〜843が配置されており、各容器毎に、収納保管される棒金硬貨の金種が決められている。なお、
図10では第2硬貨収納ドロア814の構成について示されているが、第1硬貨収納ドロア813も
図10に示すような第2硬貨収納ドロア814と同様の構成となっている。
【0102】
また、第2硬貨収納ドロア814において、各硬貨保管容器841〜843内に収納保管されている棒金硬貨の重量を測定するための測定手段としてロードセル814r(
図11参照)が設けられている。制御部825は、ロードセル814rにより測定される棒金硬貨の重量に基づいて、各硬貨保管容器841〜843内に収納保管されている棒金硬貨の在高を検知するようになっている。また、第2硬貨収納ドロア814以外の第1紙幣収納ドロア811、第2紙幣収納ドロア812および第1硬貨収納ドロア813にも、各硬貨保管容器や各紙幣保管容器に収納保管されている棒金硬貨や帯封紙幣の重量を測定するための測定手段としてロードセル811r〜813rが設けられており、制御部825は、これらのロードセル811r〜813rによる測定結果(金種毎の重量)に基づいて第1紙幣収納ドロア811、第2紙幣収納ドロア812および第1硬貨収納ドロア813における棒金硬貨や帯封紙幣の在高(金種毎の本数や束数、および金額)を検知するようになっている。
【0103】
また、
図11に示すように、制御部825には、貨幣管理装置800における棒金硬貨や帯封紙幣の在高等の情報を記憶する記憶部825aや、出納機700との間で信号の送受信を行うためのインターフェース829がそれぞれ通信可能に接続されている。
【0104】
また、本実施の形態では、ロック制御手段として各ドロア811〜815に開閉電磁ロック811m〜815mが設けられており、これらの開閉電磁ロック811m〜815mにより、各ドロア811〜815を、貨幣の入出が可能な開状態と貨幣の入出が不可能なロック状態との間で切り替えることができるようになっている。
【0105】
この切替制御の条件として、本実施の形態では、使用者照合が採用されている。具体的には、例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報が記憶部825aに記憶されていて、カードリーダ828が読み取ったID情報が、許可者のID情報に対して照合されるようになっている。照合の結果がYESである、すなわち、カードリーダ828が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御部825は、開閉電磁ロック811m〜815mを制御して、貨幣の入出が可能な開状態とすることができる。
【0106】
また、本実施の形態では、インターフェース829が、開閉電磁ロック811m〜815mを制御してロック状態とするためのロック信号を受信するロック信号受信部として機能するようになっており、これに対応して、出納機700の制御部715が、所定の条件下で、インターフェース719を介してロック信号をインターフェース729に対して送信するように構成されている。この場合、貨幣管理装置800は、各ドロア811〜815の開状態から閉状態への変化を検知する閉動作検知装置811c〜815c(
図11参照)を更に備え、当該閉動作検知装置811c〜815cによる検知信号が出納機700に送信され、出納機700が当該検知信号を受信した際に前記ロック信号を送信するようになっていることが好ましい。この場合、各ドロアのロック制御の管理を、出納機700側でより集中的に行うことが可能となる。あるいは、開閉電磁ロック811m〜815mは、開状態とされてから所定時間が経過しても依然として開状態である場合に、自動的にロック状態となるように構成されていることが好ましい。また、貨幣管理装置800は、各ドロア811〜815の閉状態から開状態への変化を検知する開動作検知装置811o〜815oを更に備えることが好ましい。
【0107】
また、
図11に示すように、制御部825には、各ドロア811〜815の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置880や、貨幣管理装置800の電源オフ時にドロアの開閉が行われる際にそのことを検知する鍵検知部890がそれぞれ通信可能に接続されている。
【0108】
また、制御部825には、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の取出量を検知するための取出量検知手段850が通信可能に接続されている。この取出量検知手段850の構成の詳細については後述する。
【0109】
次に、本実施の形態の貨幣処理システム600において貨幣管理装置800から棒金硬貨や帯封紙幣を取り出し、この取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の包装を解いてバラ硬貨やバラ紙幣とした後にこれらのバラ硬貨やバラ紙幣を出納機700のバラ紙幣処理部P2やバラ硬貨処理部712に補充する動作について説明する。
【0110】
操作者が出納機700への貨幣の補充処理を行う場合には、まずこの出納機700に設けられたキーボード式操作部716や貨幣管理装置800に設けられたキーボード式操作部826により補充処理開始の指令を入力する。補充処理開始の指令が出納機700の制御部715に与えられると、補充可能量算出手段722により、出納機700のバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2における貨幣(具体的には、硬貨や紙幣)の補充可能量が金種毎に算出される。また、制御部715はインターフェース719を介して貨幣管理装置800の制御部825に指令を送ることにより開閉電磁ロック811m〜815mを制御してロック状態を解除するようにする。このとき、補充処理に必要の無いドロア811〜815(即ち、補充すべき金種の貨幣を収納していないドロア811〜815)の開閉電磁ロック811m〜815mは、解除されないようにしてもよい。
【0111】
貨幣管理装置800において開閉電磁ロック811m〜815mによるロック状態が解除されると、操作者は貨幣管理装置800の筐体から各ドロア811〜815を手前側に引き出し、出納機700に補充すべき貨幣の金種に対応する棒金硬貨や帯封紙幣を各ドロア811〜815から取り出す。この際に、ロードセル811r〜814rによる測定結果に基づいて、各ドロア811〜815から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の数が取出量検知手段850により検知される。
【0112】
そして、比較手段724によって、補充可能量算出手段722により算出された、出納機700のバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2における貨幣の補充可能量と、取出量検知手段850により検知された、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の取出量とが金種毎に比較される。そして、全ての金種について取出量が補充可能量よりも少ない場合には、制御部715は出納機700においてバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2に貨幣が収納されることを認容する。一方、比較手段724において出納機700のバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2における補充可能量と貨幣管理装置800からの棒金硬貨や帯封紙幣の取出量とを金種毎に比較したときに、1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の包装を解いてバラ硬貨やバラ紙幣としても、当該金種のバラ硬貨やバラ紙幣を出納機700のバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2に収納しきれないおそれがあり、出納機700に収納しきれずに返却されたバラ硬貨やバラ紙幣の保管に困るという問題が生じてしまう。このため、比較手段724において1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、制御部715は出納機700においてバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2に貨幣が収納されることを防止するようバラ硬貨処理部712やバラ紙幣処理部P2の各構成部材の制御を行う。具体的には、各入金口のシャッタを閉鎖したり、取り込み動作を行ったりしないような制御を行う。
【0113】
また、比較手段724において1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、貨幣管理装置800において各ドロア811〜815が筐体内に戻されても開閉電磁ロック811m〜815mが各ドロア811〜815のロックを行わないよう、制御部715がインターフェース719を介して開閉電磁ロック811m〜815mを制御するようにする。この場合には、操作者が各ドロア811〜815を貨幣管理装置800の筐体内に戻しても開閉電磁ロック811m〜815mによりドロア811〜815が筐体内にロックされないので、操作者は貨幣管理装置800からの棒金硬貨や帯封紙幣の取り出し量が多すぎることを認識することができるようになる。
【0114】
また、比較手段724において1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、出納機700の表示部715aや貨幣管理装置800の表示部827において操作者に対して警告表示を行う。このことによって、操作者は貨幣管理装置800からの棒金硬貨や帯封紙幣の取り出し量が多すぎることを認識することができるようになる。このとき、取出し過ぎた貨幣の金種や数量をあわせて表示してもよい。また、比較手段724において1つの金種でも補充可能量よりも取出量が多いと判断された場合には、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣を、貨幣管理装置800に戻すのではなく棒金硬貨処理部713や帯封紙幣処理部P1に収納することを操作者に指示する旨のメッセージが出納機700の表示部715aや貨幣管理装置800の表示部827に表示されるようになっていてもよい。このように、本実施の形態の貨幣処理システム600では、第1の実施の形態の貨幣処理システムと異なり、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣をばらさないでそのまま出納機700に補充するような運用も可能となる。
【0115】
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣処理システム600によれば、出納機700に収納されている貨幣(ここで、貨幣は、バラ紙幣、バラ硬貨、帯封紙幣および棒金硬貨を含む群から選択された少なくとも1つのものからなる)の在高を在高管理手段720により管理し、在高管理手段720により管理される在高に基づいて出納機700における貨幣の補充可能量を補充可能量算出手段722により算出し、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の取出量を取出量検知手段850により検知し、補充可能量算出手段722により算出された補充可能量と取出量検知手段850により検知された取出量とを比較手段724により比較するようになっている。このように、出納機700における貨幣の補充可能量と、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の取出量とを比較することによって、出納機700における貨幣の補充可能量よりも多くの量の棒金硬貨や帯封紙幣を操作者が誤って貨幣管理装置800から取り出してしまったときにこのことを当該操作者に認識させることができ、よって出納機700に補充することができないバラ硬貨やバラ紙幣が発生してしまうことを防止することができる。
【0116】
なお、本実施の形態による貨幣処理システム600は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0117】
例えば、上記の説明では、出納機700に在高管理手段720、補充可能量算出手段722および比較手段724が設けられるとともに貨幣管理装置800に取出量検知手段850が設けられた貨幣処理システム600について述べたが、本実施の形態による貨幣処理システム600はこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システム600の他の例として、在高管理手段720、補充可能量算出手段722、比較手段724および取出量検知手段850の全てが出納機700および貨幣管理装置800のうちいずれか一方に設けられたものが用いられもよい。また、本実施の形態による貨幣処理システム600の更に他の例として、出納機700や貨幣管理装置800にパーソナルコンピュータ等の操作端末機が通信可能に接続されており、この操作端末機に在高管理手段720、補充可能量算出手段722、比較手段724および取出量検知手段850の全てが設けられたものが用いられてもよい。
【0118】
また、貨幣管理装置800の各硬貨保管容器や各紙幣保管容器に収納保管されている棒金硬貨や帯封紙幣の重量を測定するための測定手段としてロードセル811r〜814rを用いる代わりに、各ドロア811〜814に対応して貨幣管理装置800の筐体側に光センサやイメージセンサを配設し、このセンサによって各ドロア811〜814内の棒金硬貨や帯封紙幣を走査することによりこれらの棒金硬貨や帯封紙幣の有無や数量の検知を行うようになっていてもよい。
【0119】
また、
図8に示すような貨幣処理システム600において出納機700や貨幣管理装置800に両替機等の他の機器が追加的に通信可能に接続されていてもよい。この場合には、出納機700の制御部715が両替機等の他の機器の在高情報を集中的に管理することにより、この両替機等における貨幣の補充可能量と、貨幣管理装置800から取り出された棒金硬貨や帯封紙幣の取出量とを比較することができるようになる。