(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0であると前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣を全て機体外に投出する、請求項1記載の貨幣処理機。
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を確認する処理である精査処理を行う、請求項1記載の貨幣処理機。
前記比較手段により、前記精査処理により検知された貨幣の在高が前記初期在高よりも大きいと判断された場合には、前記精査処理により検知された貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体外に投出することを可能とする、請求項4記載の貨幣処理機。
前記比較手段により、前記精査処理により検知された貨幣の在高が前記初期在高よりも小さいと判断された場合には、前記比較結果出力手段は、前記精査処理により検知された貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体内に投入することを操作者に促す旨の情報も出力する、請求項4記載の貨幣処理機。
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣を全て機体外に投出するとともに機体外に投出された貨幣を機体内に受入可能とする、請求項1記載の貨幣処理機。
前記後処理実行手段は、前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣が全て機体外に投出された後に前記貨幣処理機の機体内に投入された貨幣の在高と前記初期在高とを比較し、
(i)前記貨幣処理機の機体内に投入された貨幣の在高が前記初期在高よりも大きいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体外に投出することを可能とし、
(ii)前記貨幣処理機の機体内に投入された貨幣の在高が前記初期在高よりも小さいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体内に投入することを操作者に促す旨の情報を出力する、請求項8記載の貨幣処理機。
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を把握している場合には、
(i)前記トレーニングモードが行われた後の貨幣の在高が前記初期在高よりも大きいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体外に投出することを可能とし、
(ii)前記トレーニングモードが行われた後の貨幣の在高が前記初期在高よりも小さいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体内に投入することを操作者に促す旨の情報を出力する、請求項1記載の貨幣処理機。
前記選択手段により前記トレーニングモードを行うことが選択されたときに、前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高が不明確である場合には、前記トレーニングモードが行われる前に、前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を確認する処理である精査処理が行われ、
前記初期在高取得手段は、当該精査処理により検知された貨幣の在高を前記初期在高とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の貨幣処理機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されるような貨幣釣銭機におけるエラー解除操作の体験は、トレーニング専用の貨幣釣銭機を用いて行う場合や、運用中の貨幣釣銭機を用いて行う場合がある。ここで、運用中の貨幣釣銭機を用いてエラー解除操作の体験を行った場合、エラー解除操作の体験中に操作者により機体内から取り出された貨幣は貨幣釣銭機の機体内に戻す必要がある。ただし、その貨幣が機外から送り込まれた貨幣である場合は、最終的に機外へ回収する必要がある。この取り扱いを誤ると、通常の運用に戻った際に在高異常が発生することになる。一方、トレーニング専用の貨幣釣銭機を用いてエラー解除操作の体験を行う場合についても、エラー解除の体験中に操作者により機体内から取り出された貨幣を機内に戻す運用と、機外に回収する運用とが想定され、操作者は貨幣の取り扱いに悩むことになる。同様に、エラー解除操作の体験後に貨幣釣銭機の機体内に残った貨幣についても、どのタイプの貨幣釣銭機でエラー解除操作の体験を行ったか、トレーニング専用の貨幣釣銭機においてどちらの運用に従うべきか等の条件を正確に把握していない場合、操作者は貨幣の取り扱いに悩むことになってしまう。また、入金操作や出金操作のトレーニングを行った場合にも、トレーニングに用いた貨幣の取り扱いに悩むことになってしまう。
【0007】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、トレーニングモードが行われた後に、トレーニングモードが行われる前における貨幣処理機に収納されている貨幣の在高である初期在高が0であるか否かによって異なる処理を行うことにより、トレーニング中に操作者により取り出された貨幣やトレーニング後に貨幣処理機の機体内に残った貨幣等を適切に処理することができる貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の貨幣処理機は、貨幣の処理を行う貨幣処理機であって、少なくともトレーニングモードを行うことを選択できる選択手段と、前記トレーニングモードが行われる前における前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高である初期在高を取得する初期在高取得手段と、前記初期在高取得手段により取得された前記初期在高が0であるか否かを判定する判定手段と、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0であるか否かという前記判定手段による判定結果によって異なる処理を行う後処理実行手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
このような貨幣処理機によれば、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であるか否かという判定結果によって異なる処理を行うことができるため、トレーニングモードが行われた貨幣処理機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかが分からない場合でも、当該貨幣処理機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかを自動的に判別することによりトレーニングモードが行われた後の処理を適切に行うことができるようになる。このため、トレーニング中に操作者により取り出された貨幣やトレーニング後に貨幣処理機の機体内に残った貨幣等を適切に処理することができる。
【0010】
本発明の貨幣処理機においては、前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0であると前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣を全て機体外に投出するようになっていてもよい。
【0011】
本発明の貨幣処理機においては、前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を確認する処理である精査処理を行うようになっていてもよい。
【0012】
この場合、本発明の貨幣処理機は、前記初期在高と前記精査処理により検知された貨幣の在高とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較結果を出力する比較結果出力手段と、を更に備えていてもよい。
【0013】
また、前記比較手段により、前記精査処理により検知された貨幣の在高が前記初期在高よりも大きいと判断された場合には、前記精査処理により検知された貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体外に投出することを可能とするようになっていてもよい。
【0014】
また、前記比較手段により、前記精査処理により検知された貨幣の在高が前記初期在高よりも小さいと判断された場合には、前記比較結果出力手段は、前記精査処理により検知された貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体内に投入することを操作者に促す旨の情報も出力するようになっていてもよい。
【0015】
また、本発明の貨幣処理機は、前記比較結果出力手段により出力された情報を表示する表示部を更に備えていてもよい。
【0016】
本発明の貨幣処理機においては、前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣を全て機体外に投出するとともに機体外に投出された貨幣を機体内に受入可能とするようになっていてもよい。
【0017】
この場合、前記後処理実行手段は、前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣が全て機体外に投出された後に前記貨幣処理機の機体内に投入された貨幣の在高と前記初期在高とを比較し、(i)前記貨幣処理機の機体内に投入された貨幣の在高が前記初期在高よりも大きいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体外に投出することを可能とし、(ii)前記貨幣処理機の機体内に投入された貨幣の在高が前記初期在高よりも小さいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体内に投入することを操作者に促す旨の情報を出力するようになっていてもよい。
【0018】
本発明の貨幣処理機においては、前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと前記判定手段により判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を把握している場合には、(i)前記トレーニングモードが行われた後の貨幣の在高が前記初期在高よりも大きいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体外に投出することを可能とし、(ii)前記トレーニングモードが行われた後の貨幣の在高が前記初期在高よりも小さいときには、この貨幣の在高と前記初期在高との差分の貨幣を機体内に投入することを操作者に促す旨の情報を出力するようになっていてもよい。
【0019】
本発明の貨幣処理機においては、前記選択手段により前記トレーニングモードを行うことが選択されたときに、前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高が不明確である場合には、前記トレーニングモードが行われる前に、前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を確認する処理である精査処理が行われ、前記初期在高取得手段は、当該精査処理により検知された貨幣の在高を前記初期在高とするようになっていてもよい。
【0020】
本発明の貨幣処理システムは、貨幣の処理を行う貨幣処理機、および前記貨幣処理機に通信可能に接続され、当該貨幣処理機の管理を行う管理装置を備えた貨幣処理システムであって、少なくともトレーニングモードを行うことを選択できる選択手段と、前記トレーニングモードが行われる前における前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高である初期在高を取得する初期在高取得手段と、前記初期在高取得手段により取得された前記初期在高が0であるか否かを判定する判定手段と、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0であるか否かという前記判定手段による判定結果によって異なる処理を行う後処理実行手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
このような貨幣処理システムによれば、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であるか否かという判定結果によって異なる処理を行うことができるため、トレーニングモードが行われた貨幣処理機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかが分からない場合でも、当該貨幣処理機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかを自動的に判別することによりトレーニングモードが行われた後の処理を適切に行うことができるようになる。このため、トレーニング中に操作者により取り出された貨幣やトレーニング後に貨幣処理機の機体内に残った貨幣等を適切に処理することができる。
【0022】
本発明の貨幣処理方法は、貨幣処理機により貨幣の処理を行う貨幣処理方法であって、トレーニングモードを行うことを
選択手段により選択する工程と、
初期在高取得手段が、前記トレーニングモードが行われる前における前記貨幣処理機に収納されている貨幣の在高である初期在高を取得する工程と、
判定手段が、取得された前記初期在高が0であるか否かを判定する工程と、
後処理実行手段が、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0であるか否かによって異なる処理を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【0023】
このような貨幣処理方法によれば、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であるか否かという判定結果によって異なる処理を行うことができるため、トレーニングモードが行われた貨幣処理機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかが分からない場合でも、当該貨幣処理機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかを自動的に判別することによりトレーニングモードが行われた後の処理を適切に行うことができるようになる。このため、トレーニング中に操作者により取り出された貨幣やトレーニング後に貨幣処理機の機体内に残った貨幣等を適切に処理することができる。
【0024】
本発明の貨幣処理方法においては、
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0であると判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣を全て機体外に投出するようになっていてもよい。
【0025】
本発明の貨幣処理方法においては、
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣の在高を確認する処理である精査処理を行うようになっていてもよい。
【0026】
本発明の貨幣処理方法においては、
前記後処理実行手段は、前記トレーニングモードが行われた後に、前記初期在高が0ではないと判定されたときに前記貨幣処理機の機体内に収納されている貨幣を全て機体外に投出するとともに機体外に投出された貨幣を機体内に受入可能とするようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0027】
本発明の貨幣処理機、貨幣処理システムおよび貨幣処理方法によれば、トレーニング中に操作者により取り出された貨幣やトレーニング後に貨幣処理機の機体内に残った貨幣等を適切に処理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至
図7は、本実施の形態による貨幣釣銭機やこの貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムを示す図である。このうち、
図1は、本実施の形態による貨幣処理システムの貨幣釣銭機、棒金収納装置およびPOSレジスタの構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す貨幣処理システムの貨幣釣銭機、棒金収納装置およびPOSレジスタの内部構成を模式的に示す構成図であり、
図3は、
図1に示す貨幣処理システムの制御系の構成を示す機能ブロック図である。また、
図4は、
図1に示す貨幣処理システムの棒金収納装置において収納ドロアを筐体から引き出したときの状態を示す上面図である。また、
図5(a)〜(d)は、
図1等に示す貨幣処理システムにおいてトレーニングモードを行うことが選択されたときの操作表示部における表示内容を示す図である。また、
図6は、
図1等に示す貨幣処理システムにおいてトレーニングモードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートであり、
図7は、
図1等に示す貨幣処理システムにおいてトレーニングモードとして搬送エラー解除体験モードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。
【0030】
まず、本実施の形態による貨幣処理システムの全体構成について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、本実施の形態による貨幣処理システムは、上下に並べて配置された硬貨釣銭機100および棒金収納装置400と、これらの硬貨釣銭機100や棒金収納装置400の隣に並べて配置された紙幣釣銭機200と、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の上方に設けられたPOSレジスタ300とを備えている。硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200は、それぞれ硬貨や紙幣の入出金処理を行うようになっている。これらの硬貨釣銭機100および紙幣釣銭機200により貨幣釣銭機が構成されている。また、棒金収納装置400は、各金種の棒金硬貨(同一金種の硬貨を一定枚数だけ棒状にまとめてフィルムや包装紙等により包装したもの)を取り出し可能に収納するようになっている。また、POSレジスタ300は、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400の管理を行う管理装置として用いられるようになっている。
【0031】
図2は、
図1に示す貨幣処理システムの硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200、棒金収納装置400およびPOSレジスタ300の内部構成を模式的に示す構成図であり、
図3は、
図1に示す貨幣処理システムの制御系の構成を示す機能ブロック図である。ここで、
図2において、硬貨釣銭機100および棒金収納装置400についてはこれらの硬貨釣銭機100や棒金収納装置400を上方から見たときの内部構成が模式的に示されており、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300についてはこれらの紙幣釣銭機200やPOSレジスタ300を側方から見たときの内部構成が模式的に示されている。
図2および
図3に示すように、硬貨釣銭機100は、上位制御部120および硬貨釣銭機制御部130を有しており、これらの上位制御部120および硬貨釣銭機制御部130は通信可能に接続されている。また、紙幣釣銭機200は紙幣釣銭機制御部230を有しており、この紙幣釣銭機制御部230は硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されている。また、棒金収納装置400は棒金収納装置制御部430を有しており、この棒金収納装置制御部430は硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されている。また、POSレジスタ300はPOS制御部330を有しており、硬貨釣銭機100の上位制御部120はPOSレジスタ300のPOS制御部330に通信可能に接続されている。また、図示していないが、POSレジスタ300のPOS制御部330は店舗サーバ等の上位端末と通信可能に接続されている。
【0032】
まず、硬貨釣銭機100の構成について具体的に説明する。
図1に示すように、硬貨釣銭機100は、前部上面にタッチパネル等の操作表示部112が設けられた筐体110を備えている。筐体110の前部には硬貨受入部114および硬貨払出部116が設けられている。
【0033】
硬貨受入部114は、硬貨投入口を介して受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込むようになっている。より詳細には、硬貨受入部114には繰出ベルト(図示せず)が設けられており、硬貨投入口に投入された硬貨を検知するとこの繰出ベルトが駆動されることにより当該繰出ベルトが硬貨を硬貨釣銭機100の筐体110内に1枚ずつ繰り出すようになっている。また、
図1に示すように、硬貨受入部114の硬貨投入口には当該硬貨投入口の開閉を行うシャッタ118が設けられており、シャッタ118が開かれたときに硬貨受入部114に硬貨を投入することができるようになっている。また、
図2に示すように、硬貨受入部114には、当該硬貨受入部114により筐体110内に取り込まれた硬貨を搬送する入金搬送部103が接続されている。
【0034】
図2に示すように、入金搬送部103の途中には、硬貨の識別を行う硬貨識別部101と、分岐部104とがそれぞれ設けられている。分岐部104は、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨を出金搬送部108へ案内(搬送)するようになっている。
【0035】
一方、正常硬貨等の筐体110内に収納されるべき硬貨は入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送されるようになっている。硬貨収納部106は硬貨を金種別に収納するようになっている。具体的には、例えば日本国で流通している硬貨の6つの金種(500円硬貨、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨および1円硬貨)に対応して6つの硬貨収納部106が設けられており、入金搬送部103の上流側(すなわち、
図2における下側)から低額順に硬貨が収納されるようになっている。
【0036】
出金搬送部108は、硬貨収納部106から繰り出された硬貨を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。また、出金搬送部108は、分岐部104から案内されたリジェクト硬貨等を硬貨払出部116へ搬送するようになっている。
【0037】
また、
図2に示すように、出金搬送部108から硬貨が選択的に送られる補助収納部170が設けられている。補助収納部170は、硬貨収納部106から出金搬送部108に繰り出された硬貨のうち硬貨払出部116により筐体110の外部に払い出されない硬貨を収納するようになっている。また、補助収納部170には、当該補助収納部170に収納された硬貨を入金経路の上流位置に繰り出す繰出搬送部171が設けられている。具体的には、補助収納部170に収納された硬貨は繰出搬送部171により硬貨受入部114に繰り出されるようになっている。
【0038】
次に、紙幣釣銭機200の構成について具体的に説明する。
図1および
図2に示すように、紙幣釣銭機200は、筐体210と、この筐体210内の略中央部に設けられた環状の周回搬送部203aとを備えている。また、紙幣受入部214、3つの紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207が、周回搬送部203aを外側から取り囲むように配置されている。
【0039】
また、紙幣釣銭機200の筐体210の内部には、紙幣受入部214、各紙幣収納部206、紙幣払出部216、出金リジェクト部204、および紙幣回収カセット207と、周回搬送部203aとの間をそれぞれ接続する複数の接続搬送部203bが形成されている。また、周回搬送部203aには紙幣識別部201が設けられており、この紙幣識別部201は、当該紙幣識別部201を通過する紙幣の識別を行うようになっている。
【0040】
また、周回搬送部203aと各接続搬送部203bとの間で紙幣の搬送経路を切り換える経路切換部(図示せず)が、周回搬送部203aに沿って配置されている。
【0041】
図1および
図2に示すように、筐体210の前面には、紙幣受入部214の紙幣受入口214aと、紙幣払出部216の紙幣取出口216aとがそれぞれ設けられている。また、紙幣回収カセット207は筐体210に対して着脱可能に取り付けられている。
【0042】
紙幣受入部214は、投入された紙幣を検知すると駆動され、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出すようになっている。各紙幣収納部206は、紙幣識別部201の識別結果に基づいて紙幣を金種別に収納する。具体的には、3つの紙幣収納部206として、一万円札を収納する紙幣収納部206、五千円札および二千円札を混合状態で収納する紙幣収納部206、および千円札を収納する紙幣収納部206がそれぞれ設けられている。また、各紙幣収納部206は金種毎に紙幣の最大収納量が予め設定されている。また、各紙幣払出部216は、各紙幣収納部206から周回搬送部203aに繰り出された紙幣を紙幣取出口216aより機外へ放出するようになっている。
【0043】
出金リジェクト部204は、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣を出金リジェクト紙幣として収納する。また、紙幣受入部214から筐体210内に取り込まれた紙幣のうち、汚損等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却されるようになっている。
【0044】
紙幣回収カセット207は、筐体210に対して手前側に引き出し可能となっており、筐体210から紙幣回収カセット207を引き出すことによりこの紙幣回収カセット207に収納された紙幣を紙幣回収カセット207ごと回収することができるようになっている。紙幣回収カセット207の内部には図示しないステージが設けられており、接続搬送部203bから紙幣回収カセット207に送られた紙幣はステージ上に積層状態で集積されるようになっている。また、ステージの下部にはパンタグラフ形状の昇降機構(図示せず)が設けられており、当該昇降機構によりステージを上下方向に移動させることができるようになっている。また、紙幣回収カセット207の内部においてステージの上方には、当該ステージ上に集積された紙幣を接続搬送部203bに繰り出す搬送ベルト(図示せず)が設けられている。このような搬送ベルトは、紙幣回収カセット207に収納された紙幣を当該紙幣回収カセット207から接続搬送部203bに繰り出す繰出機構として機能するようになっている。
【0045】
次に、棒金収納装置400の構成について具体的に説明する。
図1、
図2および
図4に示すように、棒金収納装置400は、手前側の側面が開口している筐体410と、筐体410内に収容可能となっているとともに当該筐体410から手前側に引き出し可能な収納ドロア412とを備えており、収納ドロア412には各金種の棒金硬貨が例えば2列で収納されるようになっている(
図4において、収納ドロア412に収納された各金種の棒金硬貨を斜線で示している)。ここで、収納ドロア412には、棒金硬貨を1本ずつ収納する収納部(ポケット)が複数個設けられており、各収納部に収納される棒金硬貨の金種毎の収納本数および位置が予め設定されている。具体的には、
図4において参照符号Aで示す領域には8本の100円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Bで示す領域には1本の500円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Cで示す領域には1本の50円の棒金硬貨が収納可能となっている。また、
図4において参照符号Dで示す領域には6本の10円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Eで示す領域には4本の1円の棒金硬貨が収納可能となっており、参照符号Fで示す領域には1本の5円の棒金硬貨が収納可能となっている。
【0046】
また、
図2に示すように、棒金収納装置400の筐体410の内部には、収納ドロア412が筐体410に完全に収容されたときに当該収納ドロア412を筐体410内にロックするためのロック部416が設けられている。ここで、ロック部416が収納ドロア412を筐体410内にロックしたときには、この収納ドロア412を筐体410から手前側に引き出すことができなくなり、よって収納ドロア412から棒金硬貨を取り出すことができなくなる。
【0047】
また、棒金収納装置400の筐体410における前面開口の近傍には、収納ドロア412が筐体410から手前側に引き出されたり筐体410の内部に戻されたりする際に当該収納ドロア412に収納されている棒金硬貨の金種毎の本数を検知する棒金検知部414が設けられている。具体的には、
図2等に示すように、棒金検知部414は左右一対の光センサ414aおよび筐体410からの収納ドロア412の引き出し量を検知するロータリエンコーダ414bを有している。ここで、各光センサ414aは発光素子および受光素子を有しており、発光素子から発せられた光は、棒金収納装置400の幅方向(
図2における左右方向)に延びる光軸を通って受光素子に送られるようになっている。そして、収納ドロア412が筐体410内に完全に収容されていたり当該収納ドロア412が筐体410から完全に引き出されたりしているときには、各光センサ414aにおいて発光素子から発せられた光は受光素子により受けられ、一方、収納ドロア412が筐体410から手前側に引き出されたり筐体410の内部に戻されたりする際に、発光素子から発せられた光が収納ドロア412内に収納された棒金硬貨により遮られることにより受光素子に届かなくなり、このことにより棒金硬貨の孔の有無や直径の大きさが検知されるようになる。前述したように、収納ドロア412において、収納される棒金硬貨の金種毎の収納本数および位置が予め設定されているため、光センサ414aにより検知された棒金硬貨の孔の有無や直径の大きさ、ならびにロータリエンコーダ414bにより検知された筐体410からの収納ドロア412の引き出し量に基づいて、収納ドロア412に収納された棒金硬貨の金種毎の本数、および各棒金硬貨が収納ドロア412内の所定の位置に正しく収納されているか否か等が検知されるようになっている。
【0048】
なお、本実施の形態による棒金収納装置400は上記の構成のものに限定されることはない。他の構成の棒金収納装置400において、収納ドロア412に収納されている棒金硬貨の金種毎の本数を検知する棒金検知部414として、収納ドロア412の収納部に収納される棒金硬貨の有無および金種(材質)を検出するセンサを全ての収納部に配置するような方式のものが用いられてもよい。
【0049】
次に、POSレジスタ300の構成について具体的に説明する。POSレジスタ300のPOS制御部330は、
図2に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120に通信可能に接続されているとともに、店舗サーバ等の上位端末(図示せず)にも通信接続されている。そして、このPOS制御部330は、硬貨釣銭機100の上位制御部120を介して当該硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230に指令を送ることにより硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に対して硬貨や紙幣の入出金処理を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨釣銭機100の上位制御部120を介して棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430に指令を送ることによりロック部416による筐体410内での収納ドロア412のロックや当該ロックの解除を行わせるようになっている。また、POS制御部330は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230から、上位制御部120を介して、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況に係る情報を受け取るようになっている。
【0050】
操作部304は、操作者が操作することができるようになっており、POS制御部330に対して様々な指令を与えることができるようになっている。また、表示部302は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の情報を表示するようになっている。また、POSレジスタ300には客(購入者)が視認可能な追加の表示部302aが設けられており、様々な情報を表示部302に表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示が行われるようになっていてもよい。また、POSレジスタ300にはカードリーダ336および印字部338が設けられている(
図3参照、
図1および
図2では図示せず)。カードリーダ336は、操作者のIDカードを読み取ることにより操作者のIDや権限等に関する情報を取得するようになっている。また、印字部338は例えばプリンタから構成され、売上レシートや集計レシートに加えて、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報を印字するようになっている。
【0051】
図3に、上述のような構成からなる貨幣処理システムの機能ブロック図を示す。
図3に示すように、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、硬貨釣銭機100のインターフェース132、操作表示部112および記憶部134が通信可能に接続されている。この上位制御部120は、インターフェース132により、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230やPOSレジスタ300のPOS制御部330に対して信号の送受信を行うようになっている。また、操作者により操作表示部112に入力された指令が当該操作表示部112から上位制御部120に送られるとともに、上位制御部120は操作表示部112に指令を送ることにより当該操作表示部112に様々な情報を表示させるようになっている。より詳細には、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高が表示されるようになっている。また、記憶部134には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。また、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、選択手段113、初期在高取得手段136、判定手段137、後処理実行手段138、比較手段140および比較結果出力手段142がそれぞれ通信可能に接続されている。これらの選択手段113、初期在高取得手段136、判定手段137、後処理実行手段138、比較手段140および比較結果出力手段142の構成の詳細については後述する。
【0052】
硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130には、硬貨受入部114、入金搬送部103、硬貨識別部101、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116、繰出搬送部171等がそれぞれ通信可能に接続されており、硬貨識別部101から硬貨釣銭機制御部130に硬貨の識別結果が送られるとともに、硬貨釣銭機制御部130から硬貨受入部114、入金搬送部103、分岐部104、硬貨収納部106、出金搬送部108、硬貨払出部116、繰出搬送部171等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。
【0053】
紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230には、インターフェース232、紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣識別部201、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等がそれぞれ通信可能に接続されており、紙幣識別部201から紙幣釣銭機制御部230に紙幣の識別結果が送られるとともに、紙幣釣銭機制御部230から紙幣受入部214、周回搬送部203a、接続搬送部203b、紙幣収納部206、出金リジェクト部204、紙幣払出部216等の各々に対して様々な指令が送られるようになっている。また、紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230は、インターフェース232により、硬貨釣銭機100の上位制御部120に対して信号の送受信を行うようになっている。
【0054】
棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430には、インターフェース432、棒金検知部414、ロック部416、記憶部434等がそれぞれ通信可能に接続されており、棒金検知部414から収納ドロア412内の棒金硬貨の検知結果が棒金収納装置制御部430に送られるとともに、棒金収納装置制御部430からロック部416に対して収納ドロア412を筐体410内にロックするか否かの指令が送られるようになっている。また、棒金収納装置400の棒金収納装置制御部430は、インターフェース432により、硬貨釣銭機100の上位制御部120に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部434には、棒金収納装置400の内部に収納された棒金硬貨の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
【0055】
また、POSレジスタ300のPOS制御部330には、表示部302、操作部304、記憶部334、インターフェース332、カードリーダ336、印字部338等がそれぞれ通信可能に接続されており、操作者により操作部304に入力された指令が当該操作部304からPOS制御部330に送られたり、カードリーダ336により読み取られた操作者のIDカードに係る情報がPOS制御部330に送られたりするようになっている。また、POS制御部330は表示部302に指令を送ることにより当該表示部302に様々な情報を表示させるようになっている。なお、POS制御部330は、表示部302に様々な情報を表示させる代わりに、あるいは表示部302における表示に加えて、追加の表示部302aにおいて表示を行わせるようになっていてもよい。また、POS制御部330は印字部338に指令を送ることにより当該印字部338により様々な情報を印字させるようになっている。また、POSレジスタ300のPOS制御部330は、インターフェース332により、硬貨釣銭機100の上位制御部120や店舗サーバ等の上位端末(図示せず)に対して信号の送受信を行うようになっている。また、記憶部334には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から送信された、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の処理状況や、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の内部に収納された硬貨や紙幣の在高等の様々な情報が記憶されるようになっている。
【0056】
本実施の形態では、上述したように、硬貨釣銭機100の上位制御部120には、選択手段113、初期在高取得手段136、判定手段137、後処理実行手段138、比較手段140および比較結果出力手段142がそれぞれ通信可能に接続されている。選択手段113は、貨幣釣銭機において通常の処理モードの他に少なくともトレーニングモードを行うことを選択することができるようになっている。初期在高取得手段136は、選択手段113によりトレーニングモードを行うことが選択されたときにトレーニングモードが実際に行われる前に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高である初期在高を取得するようになっている。なお、初期在高取得手段136は、初期在高として、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高に加えて、棒金収納装置400に収納されている棒金硬貨の在高も取得するようになっていてもよい。
【0057】
判定手段137は、初期在高取得手段136により取得された初期在高が0であるか否かを判定するようになっている。後処理実行手段138は、初期在高が0であるか否かという判定手段137による判定結果によって異なる処理を行うようになっている。具体的には、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であると判定手段137により判定されたときには、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出するようになっている。また、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0ではないと判定手段137により判定されたときには、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において後述する精査処理を行うことにより、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を確認するようになっている。なお、トレーニングモードが行われた後に、上位制御部120が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を把握している場合には、このような精査処理を行うことを省略することもできる。
【0058】
比較手段140は、初期在高が0ではないと判定手段137により判定されたときに、初期在高取得手段136により取得された初期在高と、精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高(あるいは、上位制御部120により把握されている硬貨や紙幣の在高)とを比較するようになっている。比較結果出力手段142は、比較手段140による比較結果を出力するようになっている。比較結果出力手段142により出力された、比較手段140による比較結果は、操作表示部112に表示されたり、あるいはPOSレジスタ300に送信されて当該POSレジスタ300の表示部302に表示されたりする。また、本実施の形態では、比較手段140による比較結果に基づいて、初期在高取得手段136により取得された初期在高と、精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高(あるいは、上位制御部120により把握されている硬貨や紙幣の在高)とが異なる場合には、両者の間の差異を修正するような修正処理が行われる。このような修正処理の詳細については後述する。
【0059】
次に、このような構成からなる貨幣処理システムにおいて通常モードが行われるときの動作について説明する。なお、以下に示す貨幣処理システムの動作は、硬貨釣銭機100の硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機200の紙幣釣銭機制御部230が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成部材をそれぞれ制御することにより行われる。
【0060】
まず、硬貨釣銭機100に硬貨を入金する場合の動作について以下に説明する。硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、硬貨受入部114は、受け入れた硬貨を1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込み、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、リジェクト硬貨等の、硬貨払出部116から払い出されるべき硬貨であると識別された硬貨は、分岐部104により出金搬送部108へ案内(搬送)され、出金搬送部108により硬貨払出部116に搬送される。一方、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、正常硬貨等の筐体110内に収納されるべき硬貨であると識別された硬貨は、入金搬送部103により硬貨収納部106へ搬送され、当該硬貨収納部106に金種別に収納される。
【0061】
また、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき硬貨の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100から釣銭としての硬貨が出金されるようになる。硬貨釣銭機制御部130に対して出金指令が与えられると、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により硬貨払出部116へ搬送される。このようにして、操作者は、硬貨払出部116から硬貨を取り出すことができるようになる。
【0062】
また、硬貨釣銭機100において、各硬貨収納部106に収納されている硬貨の在高を確認するために精査処理を行う場合には、操作者は操作表示部112により精査処理開始の指示を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から精査処理開始の指令が上位制御部120を介して硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、硬貨釣銭機100において精査処理が行われるようになる。硬貨釣銭機100における硬貨の精査処理では、硬貨収納部106に収納されている硬貨が当該硬貨収納部106から繰り出され、繰り出された硬貨は出金搬送部108により補助収納部170へ搬送される。補助収納部170に収納された硬貨は繰出搬送部171により硬貨受入部114に繰り出され、当該硬貨受入部114に繰り出された硬貨は1層1列状態で1枚ずつ筐体110内に取り込まれ、取り込まれた硬貨は入金搬送部103により搬送される。そして、入金搬送部103により搬送される硬貨は硬貨識別部101により硬貨の識別が行われる。硬貨識別部101により識別された硬貨は、入金搬送部103により元の硬貨収納部106に戻される。このような動作が各金種に対応する硬貨収納部106毎に行われる。このようにして、硬貨識別部101による硬貨の識別結果に基づいて、各硬貨収納部106に収納されている硬貨の在高が検知されるようになる。
【0063】
次に、紙幣釣銭機200に紙幣を入金する場合の動作について以下に説明する。紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、紙幣受入部214は、紙幣受入口214aに挿入された入金紙幣を一括で取り込んで、周回搬送部203a側へ1枚ずつ繰り出す。そして、周回搬送部203a側へ繰り出された紙幣は当該周回搬送部203aにより搬送され、この際に紙幣識別部201により紙幣の識別が行われる。紙幣識別部201により正常な紙幣であると識別された紙幣は、各紙幣収納部206に金種別に収納される。一方、紙幣受入部214から取り込まれた紙幣のうち、汚損や搬送異常等により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は入金リジェクト紙幣として紙幣払出部216に返却される。
【0064】
また、当該紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣を出金する場合には、操作者は操作表示部112により出金されるべき紙幣の金種別の枚数や合計金額等を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から出金指令が上位制御部120を介して紙幣釣銭機制御部230に送られることにより、紙幣釣銭機200から釣銭としての紙幣が出金されるようになる。紙幣釣銭機制御部230に対して出金指令が与えられると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣払出部216に送られる。そして、紙幣払出部216は、紙幣収納部206から送られた紙幣を紙幣取出口216aより筐体210外へ放出する。このようにして、操作者は、紙幣釣銭機200から出金された紙幣を得ることができるようになる。なお、紙幣収納部206から繰り出された紙幣のうち、斜行等の搬送異常により紙幣識別部201で識別することができない紙幣は、出金リジェクト紙幣として出金リジェクト部204に収納される。
【0065】
また、紙幣釣銭機200において、各紙幣収納部206に収納されている紙幣の在高を確認するために精査処理を行う場合には、操作者は操作表示部112により精査処理開始の指示を入力する。あるいは、POSレジスタ300のPOS制御部330から精査処理開始の指令が上位制御部120を介して硬貨釣銭機制御部130に送られることにより、紙幣釣銭機200において精査処理が行われるようになる。紙幣釣銭機200における紙幣の精査処理では、まず、紙幣回収カセット207に収納されているオーバーフロー紙幣等の紙幣が紙幣釣銭機200の筐体210内の他の場所(例えば、紙幣払出部216や出金リジェクト部204等)に移動させられ、紙幣回収カセット207が空の状態となる。紙幣回収カセット207が空の状態になると、紙幣収納部206に収納されている紙幣が当該紙幣収納部206から繰り出され、繰り出された紙幣は紙幣識別部201により識別された後、周回搬送部203aにより紙幣回収カセット207に送られる。そして、紙幣収納部206に収納されている紙幣が全て紙幣回収カセット207に送られると、紙幣回収カセット207に収納されている紙幣が1枚ずつ接続搬送部203bに繰り出され、周回搬送部203aを経て元の紙幣収納部206に戻される。このような動作が各金種に対応する紙幣収納部206毎に行われる。このようにして、紙幣識別部201による紙幣の識別結果に基づいて、各紙幣収納部206に収納されている硬貨の在高が検知されるようになる。
【0066】
本実施の形態の貨幣処理システムでは、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400の機体内の貨幣の在高は常に上位制御部120により把握されるようになっている。具体的には、営業開始時や電源ON時等の所定のタイミングで、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において上述した精査処理が行われるようになっている。また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において上述した入金処理や出金処理が行われた場合には、硬貨識別部101や紙幣識別部201による硬貨や紙幣の識別結果に基づいて硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納された硬貨や紙幣の在高情報がリアルタイムで更新されるようになる。また、棒金収納装置400では、収納ドロア412が筐体410から引き出されたり筐体410に戻されたりするたびに棒金検知部414により収納ドロア412内の棒金硬貨の検知が行われ、このことにより棒金収納装置400の機体内に収納された棒金硬貨の在高情報がリアルタイムで更新されるようになる。
【0067】
また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において硬貨収納部106や紙幣収納部206から複数枚の硬貨や紙幣が一度に繰り出されたり、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において筐体110、210の開閉動作が行われたりした場合には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納された硬貨や紙幣の在高情報が不確定となるため、操作表示部112には、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における在高情報が不確定となった旨の情報、および精査処理を行うことを操作者に促す旨の情報が表示されるようになる。
【0068】
また、本実施の形態では、初心者等の操作者に対して貨幣釣銭機のエラー解除操作や入金操作、出金操作等のトレーニングを行わせることができるようになっている。本実施の形態の貨幣処理システムにおいて処理モードを通常モードからトレーニングモードに切り替える方法について、
図5に示す硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面および
図6や
図7に示すフローチャートを用いて説明する。
【0069】
図5(a)に、通常モードにおいて貨幣釣銭機が待機状態にあるときの硬貨釣銭機100の操作表示部112の表示画面を示す。
図5(a)に示すような画面(待機画面)が硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示されているときに、操作者が「つり銭機」のボタンを押下すると、操作表示部112には
図5(b)に示すような画面が表示され、この画面で操作者が「練習」のボタンを押下すると、操作表示部112には
図5(c)に示すようなトレーニングモードの種類の選択画面が表示される。ここで、トレーニングモードの種類としては、入金処理時や出金処理時におけるエラー解除体験、入金操作体験、出金操作体験等がある。また、通常モードにおいて貨幣釣銭機が待機状態にあるときに、POSレジスタ300からの指令により当該貨幣釣銭機が通常モードからトレーニングモードに遷移するようになっていてもよい。この場合には、POSレジスタ300のPOS制御部330から硬貨釣銭機100の上位制御部120に指令が送られると、操作表示部112には
図5(c)に示すようなトレーニングモードの種類の選択画面が表示されるようになる。このようなトレーニングモードの種類の選択画面が操作表示部112に表示されているときに、操作者が例えば「硬貨入金エラー解除」にカーソルを合わせ、「決定」キーを押下すると、操作表示部112には
図5(d)に示すようなトレーニング内容を操作者にガイダンスする画面が表示されるようになる。
【0070】
図6は、
図1等に示す貨幣処理システムにおいてトレーニングモードを行うことが選択されたときの動作を示すフローチャートである。操作表示部112に
図5(b)に示すような画面が表示されているときに操作者により「練習」ボタンが押下されたり、POSレジスタ300のPOS制御部330から硬貨釣銭機100の上位制御部120にトレーニングモードを行うことの指令が送られたりすると、選択手段113によりトレーニングモードを行うことが選択される(STEP1)。この際に、初期在高取得手段136により、トレーニングモードが実際に行われる前に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高である初期在高が取得される(STEP2)。なお、上述したように、初期在高取得手段136は、初期在高として、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高に加えて、棒金収納装置400に収納されている棒金硬貨の在高を取得するようになっていてもよい。そして、操作表示部112に
図5(c)に示すような画面が表示されているときに操作者によりトレーニングモードの種類が選択されると(STEP3)、操作表示部112には
図5(d)に示すようなトレーニング内容を操作者にガイダンスする画面が表示される。
【0071】
トレーニングモードの種類として「硬貨入金エラー解除」や「紙幣入金エラー解除」が選択されたときの動作について
図7に示すフローチャートを用いて説明する。トレーニングモードの種類として「硬貨入金エラー解除」や「紙幣入金エラー解除」が選択されたときには、硬貨釣銭機100の入金搬送部103や紙幣釣銭機200の周回搬送部203aで硬貨や紙幣を搬送している際にジャムが発生したときのエラー解除を操作者に体験させるような搬送エラー解除体験モードが行われる。このような搬送エラー解除体験モードでは、まず、操作者が硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入することを促す旨の画面が操作表示部112に表示される。そして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に硬貨や紙幣が投入されると(STEP101の「YES」)、これらの硬貨や紙幣が機体内に取り込まれた後、硬貨収納部106や紙幣収納部206に搬送される前に、硬貨や紙幣の搬送が途中で停止される(STEP102)。より詳細には、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、硬貨釣銭機100の硬貨受入部114に硬貨が受け入れられると、当該硬貨が入金搬送部103により搬送されて硬貨識別部101により識別された後、硬貨収納部106の手前の箇所で入金搬送部103による硬貨の搬送が停止されるようになる。更に具体的に説明すると、入金搬送部103における硬貨収納部106の手前の箇所には検出センサ(図示せず)が設けられており、この検出センサにより硬貨が検出されたときに入金搬送部103による当該硬貨の搬送が停止されるようになる。一方、搬送エラー解除体験モードが実行されているときに、紙幣受入部214の紙幣受入口214aに紙幣が挿入されると、当該紙幣が周回搬送部203aにより搬送されて紙幣識別部201により識別された時点で、周回搬送部203aによる紙幣の搬送が停止されるようになる。このように、入金搬送部103や周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させることにより、ジャムに類似する状態を人為的に発生させることができるようになる。なお、搬送エラー解除体験モードが実行されているときには、硬貨識別部101や紙幣識別部201により識別された硬貨や紙幣は、計数結果には含まれないようになる。
【0072】
そして、上位制御部120は、硬貨釣銭機100の入金搬送部103や紙幣釣銭機200の周回搬送部203aによる硬貨や紙幣の搬送を途中で停止させた後、発生させられたエラーに対応したエラー解除方法に関する情報を出力する。出力されたエラー解除方法に関する情報は、硬貨釣銭機100の操作表示部112に表示される(STEP103)。具体的には、操作表示部112には、エラーを解除するために操作が必要な箇所の画像や復旧操作の手順が示されるようになる。
【0073】
そして、操作者は、操作表示部112に表示されたエラー解除方法に従って硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の各構成部材を操作すると、搬送が途中で停止された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出すことができ、エラーが解除される(STEP104の「YES」)。エラーが解除されて、装置を元の状態に戻した後、操作者が操作表示部112により所定の戻し操作を行うことによって(具体的には、操作表示部112に表示された「戻る」キーを操作者が押下することによって)(STEP105の「YES」)、貨幣釣銭機において実行される処理モードがトレーニングモード(具体的には、搬送エラー解除体験モード)から通常モードに戻るようになる(STEP106)。戻し操作が行わなければ(STEP105の「NO」)、再び硬貨または紙幣を投入することで、エラーを発生させて、エラー解除操作を再び体験することができる。なお、他の例として、エラーが解除されると、操作者が操作表示部112により所定の戻し操作を行わなくても、エラー解除体験は1回限りとし、貨幣釣銭機において実行される処理モードがトレーニングモードから自動的に通常モードに戻るようになっていてもよい。このようにして、トレーニングモードが完了する。
【0074】
また、トレーニングモードの種類として「入金操作体験」や「出金操作体験」が選択されたときには、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において操作者が上述した硬貨や紙幣の入金処理や出金処理を行うようになる。この際に、操作表示部112には、硬貨や紙幣の入金処理や出金処理を行うために操作が必要な箇所の画像や、硬貨や紙幣の入金処理や出金処理における操作の手順が示されるようになる。
【0075】
このようにして、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において、選択された種類のトレーニングモードが実行され(STEP4)、トレーニングモードが終了すると(STEP5の「YES」)、判定手段137は、初期在高取得手段136により取得された初期在高が0であるか否かを判定する(STEP6)。そして、後処理実行手段138は、初期在高が0であるか否かという判定手段137による判定結果によって異なる処理を行うようになる。具体的には、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であると判定手段137により判定されたときには(STEP6の「YES」)、後処理実行手段138は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出する(STEP7)。具体的には、硬貨釣銭機100では、各硬貨収納部106に収納されている硬貨の枚数が比較的少ない場合には、各硬貨収納部106に収納されている硬貨を硬貨払出部116に払い出すようにし、一方、各硬貨収納部106に収納されている硬貨の枚数が比較的多い場合には、硬貨払出部116の底面に設けられた出金用開閉扉(図示せず)を開くことにより、硬貨払出部116の底面開口(図示せず)を介して落下した硬貨を容器に収納させて当該容器ごと硬貨を回収するようにする。また、紙幣釣銭機200では、各紙幣収納部206に収納されている紙幣を紙幣払出部216に払い出すか紙幣回収カセット207に収納させて当該紙幣回収カセット207ごと紙幣を回収するようにする。
【0076】
ここで、初期在高が0であると判定手段137により判定された場合において(STEP6の「YES」)、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に自動的に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出してもよいし、あるいは、トレーニングモードが行われた後に、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を機体外に投出することの承認を求める画面を操作表示部112に表示させ、操作者による承認が操作表示部112により入力されたときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出してもよい。
【0077】
初期在高が0であると判定手段137により判定されたときには、トレーニングモードが行われた貨幣釣銭機はトレーニング専用のものであると考えられるため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出することにより、操作者はトレーニングモードで用いられた貨幣の取り扱いに悩むことがなくなる。また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出することにより、トレーニング専用の貨幣釣銭機において次回のトレーニングをスムーズに行うことができるようになる。
【0078】
また、初期在高取得手段136が棒金収納装置400に収納されている棒金硬貨の初期在高も取得している場合において、初期在高が0であると判定手段137により判定されたときには、棒金収納装置400においてロック部416が収納ドロア412のロックを解除し、当該収納ドロア412を棒金収納装置400の筐体410から引き出すことができるようにしてもよい。トレーニングモードが行われる最中に操作者が棒金収納装置400の収納ドロア412に対する棒金硬貨の出し入れを行った場合には、トレーニングモードが行われた後に棒金収納装置400の収納ドロア412に棒金硬貨が残っている可能性もあるため、棒金収納装置400の収納ドロア412に収納されている棒金硬貨を全て棒金収納装置400の機体外に投出する必要があるからである。
【0079】
また、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0ではないと判定手段137により判定されたときに(STEP6の「NO」)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高が上位制御部120により把握されていない場合には(STEP8の「NO」)、後処理実行手段138は、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において上述した精査処理を行うことにより(STEP9)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を確認する。ここで、初期在高が0ではないと判定手段137により判定された場合において、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に自動的に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において精査処理を行ってもよいし、あるいは、トレーニングモードが行われた後に、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において精査処理を行うことの承認を求める画面を操作表示部112に表示させ、操作者による承認が操作表示部112により入力されたときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において精査処理を行ってもよい。
【0080】
初期在高が0ではないと判定手段137により判定された場合には、トレーニングモードが行われた貨幣釣銭機は運用中のものであると考えられるため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を精査処理によって確認することにより、操作者はトレーニング中に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出された貨幣やトレーニング後に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に残った貨幣の取り扱いに悩むことがなくなる。
【0081】
なお、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高が上位制御部120により把握されている場合には(STEP8の「YES」)、このような精査処理を行うことを省略することもできる。例えば、トレーニングモードの種類として「入金操作体験」や「出金操作体験」が選択されたときには、操作者により入金処理や出金処理のトレーニングが行われる際に、硬貨識別部101や紙幣識別部201による硬貨や紙幣の識別結果に基づいて硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納された硬貨や紙幣の在高情報がリアルタイムで更新されるため、トレーニングモードが行われた後の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における在高が上位制御部120により把握されるようになる。
【0082】
また、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0ではないと判定手段137により判定されたときに(STEP6の「NO」)、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高が上位制御部120により把握されると、比較手段140は、初期在高取得手段136により取得された初期在高と、精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高(あるいは、上位制御部120により把握されている硬貨や紙幣の在高)とを比較する。また、比較結果出力手段142は、比較手段140による比較結果を出力する(STEP10)。具体的には、比較手段140による比較結果は操作表示部112に表示されたり、あるいはPOSレジスタ300に送信されて当該POSレジスタ300の表示部302に表示されたりするようになる。
【0083】
また、比較手段140による比較結果に基づいて、硬貨や紙幣の各金種において、初期在高取得手段136により取得された初期在高と、精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高(あるいは、上位制御部120により把握されている硬貨や紙幣の在高)とが異なる場合には、両者の間の差異を修正するような修正処理が硬貨や紙幣の金種毎に行われる。具体的には、硬貨や紙幣のある金種において、トレーニングモードが行われた後の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の在高が初期在高よりも大きい場合には(STEP11の「YES」)、上位制御部120が硬貨釣銭機制御部130や紙幣釣銭機制御部230に指令を送ることにより、差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に投出させるようにする(STEP12)。
【0084】
ここで、トレーニングモードが行われた後の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200におけるある金種の硬貨や紙幣の在高が初期在高よりも大きい場合において、上位制御部120は、自動的に差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に投出させてもよいし、あるいは、差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に投出させることの承認を求める画面を操作表示部112に表示させ、操作者による承認が操作表示部112により入力されたときに、差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に投出させてもよい。
【0085】
トレーニングモードが行われた後の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200におけるある金種の硬貨や紙幣の在高が初期在高よりも大きい場合には、トレーニングモードにおいて余分な硬貨や紙幣(すなわち、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において初期在高に含まれない硬貨や紙幣)が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されたと考えられるため、上記の処理を行うことによってこのような余分な硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に投出させることにより、上位制御部120において在高異常が発生することを防止することができるようになる。
【0086】
また、比較手段140による比較結果において、トレーニングモードが行われた後の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200におけるある金種の硬貨や紙幣の在高が初期在高よりも小さい場合には(STEP13の「YES」)、上位制御部120は、差分の貨幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入することを操作者に促す旨の情報を出力する(STEP14)。上位制御部120により出力された上記の情報は、操作表示部112に表示されたり、あるいはPOSレジスタ300に送信されて当該POSレジスタ300の表示部302に表示されたりする。操作表示部112やPOSレジスタ300の表示部302に表示された上記の情報を操作者が視認することにより差分の貨幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入すると、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において実行される処理モードがトレーニングモードから通常モードに戻るようになる。
【0087】
トレーニングモードが行われた後の硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200におけるある金種の硬貨や紙幣の在高が初期在高よりも小さい場合には、トレーニングモードにおいて硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200から機体外に取り出された硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に戻さなければならないのに機体内に戻されなかったと考えられるため、上記の処理を行うことによって操作者が差分の貨幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入することにより、上位制御部120において在高異常が発生することを防止することができるようになる。
【0088】
また、比較手段140による比較結果に基づいて、硬貨や紙幣の各金種において、初期在高取得手段136により取得された初期在高と、精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高(あるいは、上位制御部120により把握されている硬貨や紙幣の在高)とが異なる場合に、両者の間の差異を修正するような上記の修正処理が行われる代わりに、上位制御部120において管理される、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の在高として、初期在高取得手段136により取得された初期在高ではなく精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高を用いることにより、引き続き硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において通常の処理モードを行うようにしてもよい。この場合にも、上位制御部120において管理される、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200における硬貨や紙幣の在高を最新のものとすることにより、上位制御部120において在高異常が発生することを防止することができるようになる。
【0089】
また、比較手段140による比較結果に基づいて、硬貨や紙幣の全ての金種において、初期在高取得手段136により取得された初期在高と、精査処理により検知された硬貨や紙幣の在高(あるいは、上位制御部120により把握されている硬貨や紙幣の在高)とが一致する場合には(STEP11の「NO」、STEP13の「NO」)、上記の修正処理が行われることなく、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において実行される処理モードがトレーニングモードから通常モードに戻るようになる。
【0090】
以上のような構成からなる本実施の形態の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムによれば、少なくともトレーニングモードを行うことを選択できる選択手段113と、トレーニングモードが行われる前における硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高である初期在高を取得する初期在高取得手段136と、初期在高取得手段136により取得された初期在高が0であるか否かを判定する判定手段137と、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であるか否かという判定手段137による判定結果によって異なる処理を行う後処理実行手段138とを備えている。このことにより、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であるか否かという判定結果によって異なる処理を行うことができるため、トレーニングモードが行われた貨幣釣銭機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかが分からない場合でも、当該貨幣釣銭機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかを自動的に判別することによりトレーニングモードが行われた後の処理を適切に行うことができるようになる。このため、トレーニング中に操作者により取り出された貨幣やトレーニング後に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に残った硬貨や紙幣を適切に処理することができる。
【0091】
また、本発明の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムにおいては、上述したように、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0であると判定手段137により判定されたときに硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出するようになっている。初期在高が0であると判定手段137により判定されたときには、貨幣釣銭機はトレーニング専用のものであると考えられるため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出することにより、操作者はトレーニングモードで用いられた貨幣の取り扱いに悩むことがなくなる。また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣を全て機体外に投出することにより、トレーニング専用の貨幣釣銭機において次回のトレーニングをスムーズに行うことができるようになる。
【0092】
また、本発明の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムにおいては、上述したように、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0ではないと判定手段137により判定されたときに硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を確認する処理である精査処理を行うようになっている。初期在高が0ではないと判定手段137により判定された場合には、貨幣釣銭機は運用中のものであると考えられるため、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を精査処理によって確認することにより、操作者はトレーニング中に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内から取り出された貨幣やトレーニング後に硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に残った貨幣の取り扱いに悩むことがなくなる。
【0093】
また、本発明の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムにおいては、上述したように、初期在高と精査処理により検知された貨幣の在高とを比較する比較手段140、および比較手段140による比較結果を出力する比較結果出力手段142がそれぞれ設けられている。この場合には、操作者は、比較手段140による、初期在高と精査処理により検知された貨幣の在高との比較結果に基づいて、両者の間に差異が存在するか否かを認識することができるようになる。
【0094】
また、本発明の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムにおいては、上述したように、比較手段140により、精査処理により検知された貨幣の在高が初期在高よりも大きいと判断された場合には、精査処理により検知された貨幣の在高と初期在高との差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体外に投出することを可能としている。一方、比較手段140により、精査処理により検知された貨幣の在高が初期在高よりも小さいと判断された場合には、比較結果出力手段142は、精査処理により検知された貨幣の在高と初期在高との差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入することを操作者に促す旨の情報も出力する。これらの技術的特徴により、初期在高と精査処理により検知された貨幣の在高との間に差異が存在する場合でも、両者の間の差異を修正するような修正処理を行うことにより、上位制御部120において在高異常が発生することを防止することができるようになる。
【0095】
また、本発明の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムにおいては、上述したように、比較結果出力手段142により出力された情報を表示する表示部として操作表示部112が設けられている。
【0096】
また、本発明の貨幣釣銭機およびこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムにおいては、上述したように、後処理実行手段138は、トレーニングモードが行われた後に、初期在高が0ではないと判定手段137により判定されたときに硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を把握している場合には、(i)トレーニングモードが行われた後の貨幣の在高が初期在高よりも大きいときには、この貨幣の在高と初期在高との差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200機体外に投出することを可能とし、(ii)トレーニングモードが行われた後の貨幣の在高が初期在高よりも小さいときには、この貨幣の在高と初期在高との差分の硬貨や紙幣を硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に投入することを操作者に促す旨の情報を出力するようになっている。このように、トレーニングモードが行われた後に、上位制御部120が硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を把握している場合には、精査処理を行わなくても、初期在高とトレーニングモードが行われた後の貨幣の在高との間の差異を修正するような修正処理を適切に行うことができるようになり、よって上位制御部120において在高異常が発生することを防止することができるようになる。
【0097】
なお、本実施の形態による貨幣釣銭機やこのような貨幣釣銭機を備えた貨幣処理システムは、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
【0098】
例えば、選択手段113によりトレーニングモードを行うことが選択されたときに、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高が不明確である場合には、トレーニングモードが行われる前に、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200の機体内に収納されている硬貨や紙幣の在高を確認する処理である精査処理が行われるようになっていてもよい。この場合には、初期在高取得手段136は、トレーニングモードの前に行われる精査処理により検知された貨幣の在高を初期在高とする。このように、選択手段113によりトレーニングモードを行うことが選択されたときに硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200に収納されている硬貨や紙幣の在高が不明確である場合でも、トレーニングモードを行う前に精査処理を行うことにより、トレーニングモードが行われた貨幣釣銭機がトレーニング専用のものかあるいは運用中のものかを自動的に判別することができるようになり、よってトレーニングモードが行われた後の処理を適切に行うことができるようになる。
【0099】
また、上記の説明では、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200、棒金収納装置400およびPOSレジスタ300を備えた貨幣処理システムについて述べたが、本実施の形態による貨幣処理システムはこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システムの他の例として、硬貨釣銭機100、紙幣釣銭機200および棒金収納装置400を備えたもの(すなわち、POSレジスタ300が設けられていないもの)が用いられてもよい。また、本実施の形態による貨幣処理システムの更に他の例として、硬貨釣銭機100、棒金収納装置400およびPOSレジスタ300を備えたもの、硬貨釣銭機100およびPOSレジスタ300を備えたもの、紙幣釣銭機200およびPOSレジスタ300を備えたもの、硬貨釣銭機100単体のもの、あるいは紙幣釣銭機200単体のもの等が用いられてもよい。
【0100】
また、上記の説明では、選択手段113、初期在高取得手段136、判定手段137、後処理実行手段138、比較手段140および比較結果出力手段142が全て硬貨釣銭機100に設けられた態様について述べたが、本実施の形態による貨幣処理システムはこのような態様のものに限定されることはない。本実施の形態による貨幣処理システムの他の例として、選択手段113、初期在高取得手段136、判定手段137、後処理実行手段138、比較手段140および比較結果出力手段142のうち一部または全部が硬貨釣銭機100ではなく紙幣釣銭機200やPOSレジスタ300、棒金収納装置400等に設けられたものが用いられもよい。
【0101】
また、硬貨釣銭機100や紙幣釣銭機200において精査処理が行われるときの動作は上述したものに限定されることはない。例えば硬貨釣銭機100において、硬貨受入部114により筐体110の内部に受け入れられて硬貨識別部101により識別された硬貨を硬貨収納部106に送る前に一時的に保留する入金一時保留部(図示せず)が設けられている場合には、精査処理においてこのような入金一時保留部が用いられるようになっていてもよい。具体的には、上位制御部120に精査処理開始の指令が与えられると、硬貨収納部106から繰り出された硬貨が入金一時保留部に送られる。そして、硬貨収納部106から入金一時保留部に硬貨が全て送られるとこの入金一時保留部から元の硬貨収納部106に硬貨が戻され、この際に識別部により硬貨の識別が行われるようになる。精査処理ではこのような動作が6つの硬貨収納部106に収納された硬貨について金種ごとに行われる。
【0102】
また、紙幣釣銭機200において、精査処理が行われる際に紙幣回収カセット207が用いられる代わりに3つの紙幣収納部206のうちある1つの紙幣収納部206(例えば、一万円札用の紙幣収納部206)が精査用の紙幣収納部206として用いられてもよい。具体的には、上位制御部120に精査処理開始の指令が与えられると、まず一万円札用の紙幣収納部206から紙幣(一万円札)が繰り出されて二千円札および五千円札用(以下、単に五千円札用という)の紙幣収納部206に収納され、このことにより一万円札用の紙幣収納部206が空となる。次に、千円札用の紙幣収納部206から紙幣(千円札)が繰り出され、空となった一万円札用の紙幣収納部206に送られる。この際に、紙幣識別部201により千円札の識別が行われる。そして、千円札用の紙幣収納部206から一万円札用の紙幣収納部206に紙幣が全て送られて千円札用の紙幣収納部206が空になると、この一万円札用の紙幣収納部206から千円札用の紙幣収納部206に紙幣が戻される。次に、五千円札用の紙幣収納部206から紙幣(二千円札、五千円札および一万円札)が繰り出され、空となった一万円札用の紙幣収納部206に送られる。この際に、紙幣識別部201により二千円札、五千円札および一万円札の識別が行われる。そして、一万円札用の紙幣収納部206から二千円札および五千円札のみが繰り出され、五千円札用の紙幣収納部206に戻される。このようにして、紙幣釣銭機200において紙幣の精査処理が完了する。
【0103】
また、更なる変形例に係る貨幣処理機として、硬貨収納部や紙幣収納部に収納されている硬貨や紙幣の在高を確認するにあたり、機体内で硬貨や紙幣を循環させるのではなく、硬貨収納部や紙幣収納部に収納されている硬貨や紙幣を全て貨幣処理機の機体外に払い出して在高を確認した後に、払い出された全ての硬貨や紙幣を貨幣処理機の機体内に再投入するようなタイプのものが用いられてもよい。このような更なる変形例に係る貨幣処理機の動作について以下に説明する。
【0104】
上記の更なる変形例に係る貨幣処理機では、トレーニングモードが行われる前における貨幣処理機に収納されている紙幣や硬貨の在高である初期在高は初期在高取得手段により事前に取得されている。そして、初期在高が0ではない場合には、トレーニングモードが行われた後、タッチパネル等の操作表示部において精査処理が必要な旨のメッセージが表示され、当該操作表示部において承認操作を受け付けることができるようになる。その後、操作者が操作表示部において承認操作を行うと、硬貨収納部や紙幣収納部に収納されている硬貨や紙幣が全て貨幣処理機の機体外に払い出される。この際に、硬貨収納部や紙幣収納部から繰り出された硬貨や紙幣が識別部によって識別されることにより貨幣処理機における硬貨や紙幣の在高が確認される。そして、払い出された全ての硬貨や紙幣を操作者が貨幣処理機に再投入すると、投入された硬貨や紙幣について識別部により識別が行われ、これらの投入された硬貨や紙幣の在高と初期在高取得手段により取得された初期在高とが比較される。ここで、硬貨や紙幣の各金種について、貨幣処理機に再投入された貨幣の在高が初期在高よりも大きい場合には、余分な硬貨や紙幣は貨幣処理機の機体外に投出されるとともに操作表示部には余分な硬貨や紙幣を返却する旨のメッセージが表示される。なお、貨幣処理機に再投入された貨幣の在高が初期在高よりも大きい場合に、まず操作表示部に余分な硬貨や紙幣を返却する旨のメッセージが表示され、操作者による承認操作が受け付けられた後に余分な硬貨や紙幣が貨幣処理機の機体外に投出されるようになっていてもよい。一方、硬貨や紙幣の各金種について、貨幣処理機に再投入された貨幣の在高が初期在高よりも小さい場合には、操作表示部には不足貨幣の追加投入を操作者に求める旨のメッセージが表示され、操作者に対して注意喚起が行われるようになる。
【0105】
また、上記の更なる変形例に係る貨幣処理機において、初期在高が0である場合には、トレーニングモードが行われた後、硬貨収納部や紙幣収納部に収納されている硬貨や紙幣が全て貨幣処理機の機体外に払い出される。この場合には、払い出された硬貨や紙幣を貨幣処理機に再投入することができないようになり、もし仮に操作者が誤って硬貨や紙幣を貨幣処理機に投入した場合にはエラーとなる。