(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の揮散容器によれば、揮発性液体を定量的且つ継続的に揮散させることが可能とされているが、必要に応じて一時的に揮散量を増加させることができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、必要に応じて揮散量を一時的に増加させることができる揮散容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る揮散容器は、揮発性液体が収容されると共に、内部に空気を導入する導入孔及び前記揮発性液体から生じる気化ガスを揮散させる揮散窓が形成された容器体と、前記容器体の底部側に下端開口部が位置し、且つ前記導入孔側に上端開口部が位置した状態で前記容器体の内部に配設され、前記空気が送り込まれるパイプと、前記導入孔と前記パイプの上端開口部との間に設けられ、前記導入孔を通じた前記パイプへの前記空気の流入を許容し、且つ前記導入孔を通じた前記パイプからの前記空気の流出を規制する弁体と、吸気孔が形成されると共に弾性変形可能に形成され、前記導入孔に対して内部が連通するように前記容器体に装着された空気ポンプと、を備え
、前記容器体は、前記揮発性液体が収容される容器本体、及び前記容器本体に対して着脱自在に装着された容器キャップを備え、前記導入孔及び前記揮散窓は、前記容器キャップに形成され、前記パイプは、前記容器キャップに接続され、前記空気ポンプは、容器軸方向に弾性変形する胴部を有し、前記容器キャップの上部に装着され、前記容器キャップ、前記パイプ及び前記空気ポンプは、一体的に組み合わされたユニットとされていることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る揮散容器によれば、容器体の内部に収容されている揮発性液体を容器体の内部で揮散させることができ、その際に生じる気化ガス(揮発性成分)を、揮散窓を通じて大気中に拡散させることができる。従って、揮発性液体を定量的且つ連続的に揮散させることができる。
また、吸気孔を塞ぎながら空気ポンプを弾性変形させることで、空気ポンプの内部の空気を導入孔及び弁体を通じてパイプ内に送り込むことができると共に、パイプの下端開口部から容器体の内部に泡として排出させることができる。するとこの泡は、揮発性液体内を次々と浮上して液面で弾け合う。これにより、揮発性を高めることができ、揮発性液体から効率良く気化ガスを発生させて、該気化ガスを強制的に拡散させることができる。しかも、液面で泡が弾ける際、揮発性液体は飛沫状となって容器体の内部に飛散し易いので、揮発性を効果的に高めることができ、気化ガスを効率良く発生させることができる。これらのことにより、必要に応じて揮散量を一時的に増加させることができる。
【0008】
なお、空気ポンプの弾性変形を解除すると、該空気ポンプは復元変形して元の状態に復帰する。このとき、弾性変形時に空気ポンプの内部は負圧化されているので、復元変形に伴って吸気孔を通じて空気ポンプの内部に新たな空気を取り込むことができる。さらに、空気ポンプの復元変形時、弁体が導入孔を閉じてパイプからの空気の流出を規制するので、空気と共に揮発性液体が空気ポンプの内部に吸い込まれることを防止できる。これらのことにより、次回の空気ポンプの弾性変形による空気の排出に備えることができる。
さらに、例えば空気ポンプを上方から自然に押し下げるような操作で弾性変形させることができるので、操作性を向上することができる。
【0009】
(2)前記パイプの下端開口部を塞ぐように前記パイプに装着されると共に、前記空気を通過させる空気孔が形成された閉塞部材を備え、前記空気孔は、前記パイプの下端開口部の開口面積よりも小さい開口面積で形成されていても良い。
【0010】
この場合には、空気孔を通じてパイプから空気を排出できるので、揮発性液体内に微細且つ均一な泡を発生させることができる。従って、揮発性液体における液面の全体にむらなく泡を到達させて弾けさせることができるので、揮発性をさらに高めることができる。そのため、さらに効率良く揮散量を増加させることができる。
【0013】
(3)前記吸気孔は、
前記胴部の上端部に接続され、且つ前記空気ポンプにおいて容器軸方向の外側に位置する
天壁部に形成されていても良い。
【0014】
この場合には、例えば空気ポンプを上方から押し下げながら弾性変形させる際に、吸気孔を容易に塞ぐことができる。従って、吸気孔を塞ぐ操作と、空気ポンプを弾性変形させる操作と、を一連の流れで同時に行うことができるので、操作性をさらに向上することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、揮発性液体を定量的且つ連続的に揮散させることができることに加え、必要に応じて揮散量を一時的に増加させることができるので、使い易く利便性に優れている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0018】
図1に示すように、揮散容器1は、揮発性液体Wが内部に収容された有底筒状の容器体2と、容器体2の内部に配設されたパイプ3と、容器体2に装着された有頂筒状の空気ポンプ4と、を備えている。
【0019】
なお、容器体2、パイプ3及び空気ポンプ4は、それぞれの中心軸が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿った空気ポンプ4側を上側、その反対側を下側という。また、容器軸O方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。また、揮発性液体Wとしては、例えば、芳香剤、消臭剤や殺虫剤等が挙げられる。
【0020】
容器体2は、底部11、胴部12、肩部13及び口部14を有する有底筒状に形成された容器本体10と、容器本体10の口部14及び肩部13に装着された筒状の容器キャップ20と、を備えている。
容器本体10の胴部12は、横断面視で円形状に形成され、且つ肩部13との接続部分から下方に向かうにしたがって径方向外側に向けて膨らむように拡径した後、径方向内側に向けて縮径するように形成されている。
但し、胴部12の形状は、このような湾曲形状に限定されるものではなく、例えば上下方向に垂直な筒状に形成されていても構わない。また、胴部12の形状は、横断面視で例えば楕円状や角形状に形成されていても構わない。
【0021】
胴部12の上端部には、径方向内側に向けて突出した環状のフランジ部15が接続されている。容器本体10の肩部13は、このフランジ部15の内周縁部に接続されている。具体的に肩部13は、フランジ部15の内周縁部から上方に向けて延びた円筒状の垂直肩部13aと、垂直肩部13aの上端部から上方に向かうにしたがって漸次径方向内側に向かって延びた傾斜肩部13bと、を備えている。
容器本体10の口部14は、肩部13における傾斜肩部13bの上端部から上方に向かって延びている。
【0022】
容器キャップ20は、容器本体10の口部14に装着される装着筒部21と、装着筒部21を径方向外側から囲む外郭筒部22と、容器本体10の口部14の内側に配置される連結筒部23と、連結筒部23と装着筒部21とを連結する環状の連結壁部24と、を備えている。
【0023】
装着筒部21は、容器本体10の口部14よりも上方に向けて突出しており、容器本体10の口部14の外周面に螺着されている。但し、この場合に限定されるものではなく、例えば容器本体10の口部14に対して装着筒部21を固着或いは密着するように嵌合していれば嵌合形態は問わない。
外郭筒部22は、装着筒部21の上端部に接続され、該上端部から下方に向けて延びている。この際、外郭筒部22は、装着筒部21の上端部から下方に向かうにしたがって漸次径方向外側に向かって拡径するようにスカート状に形成されている。外郭筒部22の下端部は、容器本体10のフランジ部15上に位置している。これにより、外郭筒部22は、装着筒部21を径方向外側から囲んでいるだけなく、容器本体10の肩部13の全体を径方向外側から囲んでいる。
【0024】
従って、外郭筒部22は、容器本体10の口部14、肩部13及び装着筒部21を、揮散容器1の外側から見え難くするための目隠し用の壁部として機能する。そのため、外観性の低下を防いでデザイン性の向上に繋げることができる。しかも、外郭筒部22の外面と容器本体10の胴部12の外面とが段差なく連なっており、外郭筒部22及び容器本体10の胴部12の全体の形状が丸みを帯びて径方向外側に膨らんだ形状とされている。このことによっても、デザイン性の向上に繋げることができる。
【0025】
連結筒部23は、容器本体10の口部14よりも縮径した円筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配置され、連結壁部24を介して装着筒部21に支持されている。
連結壁部24は、装着筒部21の上端部から径方向内側に向けて突出した環状の上側壁部24aと、上側壁部24aの内周縁部から下方に向けて突出した円筒状の周壁部24bと、周壁部24bの下端部から径方向内側に向けて突出した環状の下側壁部24cと、を備えている。連結筒部23の上端部は、連結壁部24における下側壁部24cの内周縁部に接続されている。
【0026】
このように容器キャップ20が構成されているので、容器本体10の口部14は容器キャップ20の連結壁部24によって上方から覆われている。連結筒部23の内側は、容器本体10の内部に外部から空気を導入するための導入孔25として機能する。
【0027】
また、容器キャップ20には、揮発性液体Wから生じる気化ガス(揮発性成分)を揮散させる揮散窓30が形成されている。
この揮散窓30は、外郭筒部22を径方向に貫通する第1貫通孔31と、装着筒部21を径方向に貫通する第2貫通孔32とで形成されている。第1貫通孔31は、外郭筒部22の上端部から下方に向けて縦長のスリット状に形成されている。第2貫通孔32は、装着筒部21のうち容器本体10の口部14よりも上方に突出する部分に形成され、且つ、第1貫通孔31に対して径方向に向かい合う位置に形成されている。
【0028】
これにより、容器本体10の内部と外部とは揮散窓30を通じて連通している。なお、図示の例では、揮散窓30は周方向に間隔をあけて複数形成されている。但し、揮散窓30は1つでも構わない。さらに、揮散窓30の形状は、例えば揮散容器1全体の形状や、揮散容器1の用途や揮発性液体Wの種類(揮発性能)等に応じて、自由に設計して構わない。
【0029】
なお、容器キャップ20は、上述したように装着筒部21が容器本体10の口部14に対して螺着しているので、容器本体10に対して着脱自在に装着されている。従って、容器本体10と容器キャップ20とを分離させることができ、例えば容器本体10内に揮発性液体Wを補充したり、揮発性液体Wが予め収容された新たな容器本体10に容器キャップ20を付け替えたりすることが可能とされている。
このとき、容器キャップ20には、後述するようにパイプ3及び空気ポンプ4が一体的に組み合わされている。そのため、容器キャップ20、パイプ3及び空気ポンプ4が一体となったユニットを、容器本体10に対して組み合わせることが可能とされている。
図1及び
図2では、上記ユニットが容器本体10に対して組み合わされている状態を図示している。
なお、上記ユニットを組み合わせる前の段階(図示省略)において、容器本体10の口部14には、パッキン等を有する捨てキャップが例えば嵌合や螺着により装着、又はシール部材が剥離可能に貼着されており、容器本体10の内部を密封している。
【0030】
上記パイプ3は、容器軸Oと同軸であって、且つ連結筒部23の下方に配置されており、弁体41を備えるバルブ部材40を介して連結筒部23に接続されている。
バルブ部材40は、上記弁体41と、連結筒部23に装着され、弁体41を内部に収容する第1支持筒部42と、第1支持筒部42と協働して弁体41を支持する第2支持筒部43と、を備えている。第1支持筒部42及び第2支持筒部43は、容器軸Oと同軸に配置されている。
【0031】
第1支持筒部42は、連結筒部23に外嵌された外嵌筒部42aと、外嵌筒部42aの下端部に接続され、連結筒部23の下端開口縁に当接する環状のリング部42bと、リング部42bの外周縁部から下方に向けて延びた収容筒部42cと、を備えている。
リング部42bは、内周縁部が連結筒部23の内側に位置し、外周縁部が外嵌筒部42aよりも径方向外側に位置するように環状に形成されている。そのため、収容筒部42cは、連結筒部23よりも拡径している。リング部42bの内周縁部には、下方に向けて突出した弁用の突起部42dが形成されている。この突起部42dは、リング部42bの内周縁部に全周に亘って環状に形成されている。
【0032】
上記弁体41は、突起部42dに対して下方から離反可能に配置された弁本体41aと、収容筒部42cの内側に嵌合されたリング枠41bと、弁本体41aとリング枠41bとを一体に繋ぐ複数(3本)の弾性アーム41cと、を備えた例えば3点弁とされ、収容筒部42cの内側に配置されている。但し、弾性アーム41cの数は3本に限定されるものではない。
【0033】
弁本体41aは、例えば平面視円形状に形成され、突起部42dに対して下方から着座することで、導入孔25を開閉自在に閉塞している。
弾性アーム41cは、例えば周方向に延びるように形成されて適度なばね性が確保されていると共に、内端部が弁本体41aの外縁部に接続され、且つ外端部がリング枠41bの内周面に接続されている。この弾性アーム41cは、空気ポンプ4の弾性変形によって導入孔25に空気が送り込まれたときに、弁本体41aを下方に移動させるように弾性変形して、弁本体41aを突起部42dから離反させる。これにより、空気ポンプ4の弾性変形時、導入孔25を開放させて、パイプ3に空気を送り込むことが可能とされている。つまり、弁体41は、導入孔25を通じたパイプ3への空気の流入を許容し、且つ導入孔25を通じたパイプ3からの空気の流出を規制する逆止弁構造とされている。
【0034】
なお、弁体41としては、空気ポンプ4の弾性変形時に導入孔25を開放できれば良く、上記構成以外の弁構造としても良い。例えば、リング枠41bは必須なものではなく、例えば弾性アーム41cの外端部を収容筒部42cの内周面に一体的に接続するように形成しても構わない。
【0035】
第2支持筒部43は、収容筒部42cの内側に嵌合されており、弁体41のリング枠41bを第1支持筒部42のリング部42bとの間で挟み込んで固定している。これにより、弁体41は適切に位置決めされた状態で安定に支持されている。また、第2支持筒部43は、収容筒部42cよりも下方に突出するように延びている。
さらに、第2支持筒部43の内周面には、径方向内側に向けて突出した凸部43aが形成されている。この凸部43aは、パイプ3を位置決めするための突起であり、図示の例では環状に形成されている。但し、環状に形成する必要はなく、例えば周方向に間隔をあけて複数の凸部43aを形成しても構わない。
【0036】
パイプ3は、上下方向に延びた長尺な円筒状パイプであり、第2支持筒部43の内側に嵌合されている。パイプ3の上端部は、凸部43aに対して下方から接している。これにより、パイプ3は適切に位置決めされた状態で容器体2の内部に配置され、上端開口部が導入孔25側を向き、且つ下端開口部が容器本体10の底部11側を向いた状態となる。また、パイプ3の下端開口部と容器本体10の底部11との間には、適切な間隔が確保されている。
【0037】
パイプ3の下端部には、底壁部45a及び周壁部45bを有する有底筒状の閉塞部材45が装着されている。閉塞部材45の底壁部45aは、パイプ3の下端開口部を下方から塞いでいる。また、この閉塞部材45には、空気を通過させる空気孔47が形成されている。空気孔47は、周壁部45bの下端部及び底壁部45aの外周縁部に一体に形成されている。この際、空気孔47は、パイプ3の下端開口部の開口面積よりも小さい開口面積で開口している。また、図示の例では、空気孔47は周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0038】
空気ポンプ4は、弾性変形可能に形成され、弾性変形時に内部の空気をパイプ3に送り込むポンプであって、容器軸O方向に圧縮変形する蛇腹状の胴部50と、胴部50の下端部に接続された連結部51と、胴部50の上端部に接続され、空気ポンプ4において容器軸O方向の外側に位置する天壁部52と、で有頂筒状に形成されている。
【0039】
連結部51は、胴部50の下端部から径方向内側に突出し、容器キャップ20における連結壁部24の上側壁部24a上に配置された環状の第1連結壁51aと、第1連結壁51aの内周縁部から下方に向けて延び、容器キャップ20における連結壁部24の周壁部24bの内側に取り付けられた第2連結壁51bと、を備えている。
【0040】
図示の例では、第2連結壁51bは容器キャップ20の周壁部24bに対して固着或いは密着するように嵌合されている。但し、この場合に限定されるものではなく、例えば容器キャップ20の周壁部24bに対して第2連結壁51bを螺着させても構わない。
【0041】
天壁部52には、空気ポンプ4の内部に空気を取り込むための吸気孔53が形成されている。図示の例では、吸気孔53は、天壁部52の中央部分に配置され、平面視円形状に形成されている。また、空気ポンプ4の上方には、吸気孔53を利用して押さえプレート55が取り付けられている。
【0042】
押さえプレート55は、天壁部52を上方から覆う頂壁部56と、頂壁部56の中央部分に配置され、内側が上記吸気孔53に連通する吸気筒部57と、備えている。
頂壁部56は、空気ポンプ4の胴部50よりも拡径した平面視円形状に形成されていると共に、中央部分から外周縁部に向かうにしたがって漸次下方に向けて傾斜している。これにより、頂壁部56は、上方に向けて中央部分が外周縁部よりも盛り上がった形状とされ、例えば手に平に対してフィットし易く、上方から押し下げ易い設計とされている。
吸気筒部57の下端部は、吸気孔53の内側に嵌合されている。これにより、押さえプレート55の全体が空気ポンプ4の上部に安定して取り付けられている。
【0043】
次に、上述のように構成された揮散容器1を使用する場合について説明する。
はじめに、先に説明したように、使用前の状態では、容器本体10と、容器キャップ20、パイプ3及び空気ポンプ4が一体的に組み合わされたユニットと、は別体とされている。そこで、容器本体10の口部14から上述した捨てキャップ又はシール部材を取り外した後、上記ユニットを組み合わせ、容器キャップ20の装着筒部21を容器本体10の口部14に対して螺着させる。これにより、
図1に示すように、容器本体10と上記ユニットとを組み合わせることができると共に、パイプ3が容器本体10の内部に差し込まれて揮発性液体W内に浸漬された揮散容器1を得ることができる。
【0044】
この揮散容器1によれば、通常時の場合に、容器本体10の内部に収容されている揮発性液体Wを容器本体10の内部で揮散させることができ、その際に生じる気化ガスを、揮散窓30を通じて大気中に拡散させることができる。従って、揮発性液体Wを定量的且つ連続的に揮散させることができる。
【0045】
次いで、揮発性液体Wの揮散量を一時的に増加させる場合について説明する。
この場合には、吸気孔53を塞ぎながら空気ポンプ4を弾性変形させる。具体的には、
図2に示すように、押さえプレート55における吸気筒部57の開口部を塞ぎながら、押さえプレート55を下方に押し下げて空気ポンプ4の胴部50を容器軸O方向に圧縮変形させる。これにより、空気ポンプ4内の空気を導入孔25内に送り込むことができると共に、弁本体41aを下方に移動させて突起部42dから離反させることができる。
【0046】
そのため、上記空気をパイプ3内に送り込み、
図2に示す矢印のようにパイプ3の下端開口部から容器本体10の内部に泡として排出させることができる。すると、この泡は揮発性液体W内を次々と浮上して液面で弾け合う。これにより、揮発性を高めることができ、揮発性液体Wから効率良く気化ガスを発生させて、該気化ガスを強制的に拡散させることができる。
しかも、液面で泡が弾ける際、揮発性液体Wは飛沫状となって容器本体10の内部に飛散し易いので、揮発性を効果的に高めることができ、気化ガスをより効率良く発生させることができる。これらの結果、揮散量を一時的に増加させることができる。
【0047】
なお、揮発性液体W内で泡を発生させることにより、揮発性液体Wを攪拌するかのように流動させることができるので、例えば揮発性液体Wに含まれる成分の沈降等を防止でき、長期に亘って液を均一な状態に維持し易い。従って、製品の信頼性の向上にも繋げることができる。
【0048】
また、押さえプレート55の押し下げを解除すると、空気ポンプ4は胴部50が復元変形して元の状態に復帰する。このとき、弾性変形時に空気ポンプ4の内部は負圧化されているので、復元変形に伴って吸気孔53を通じて空気ポンプ4の内部に新たな空気を取り込むことができる。
さらに、空気ポンプ4の復元変形時、弁本体41aが弾性アーム41cの復元変形によって元の状態に戻るので、
図1に示すように突起部42dに対して下方から着座する。これにより、導入孔25を再び閉塞することができ、パイプ3からの空気の流出を規制することができ、空気と共に揮発性液体Wが空気ポンプ4側に吸い込まれることを防止できる。その結果、次回の空気ポンプ4の弾性変形による空気の排出に備えることができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態の揮散容器1によれば、揮発性液体Wを定量的且つ連続的に揮散させることができることに加え、必要に応じて揮散量を一時的に増加させることができるので、使い易く利便性に優れている。
さらに、空気孔47を通じてパイプ3から空気を排出できるので、揮発性液体W内に微細且つ均一な泡を発生させることができる。従って、揮発性液体Wにおける液面の全体にむらなく泡を到達させて広範囲で弾けさせることができるので、揮発性をさらに高めることができる。
【0050】
また、空気ポンプ4の胴部50が容器軸O方向に変形する蛇腹状に形成されているので、押さえプレート55を介して空気ポンプ4を上方から自然に押し下げるような操作で弾性変形させることができる。従って、操作性を向上することができる。
しかも、押さえプレート55における頂壁部56の中央部分に吸気孔53に連通する吸気筒部57の開口部が形成されているので、空気ポンプ4の弾性変形時に吸気孔53を容易に塞ぐことができる。従って、吸気孔53を塞ぐ操作と、空気ポンプ4を弾性変形させる操作とを一連の流れで同時に行うことができるので、操作性をさらに向上することができる。
【0051】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0052】
例えば、空気ポンプ4は圧縮変形可能で、空気を容器体2内へ送り込める構造を有していれば、どのような形態でも構わない。例えば、上記実施形態のように、蛇腹状の胴部50を有する形態でも良いし、或いは袋体等の形態でも良い。
さらには、上記実施形態では、容器軸O方向に圧縮変形可能な蛇腹状の胴部50を有する空気ポンプ4を例に挙げたが、圧縮変形に限定されるものでなく、弾性変形によって空気をパイプ3に送り込むことができる空気ポンプであれば良い。例えば、外力を加えることで萎むように弾性変形する空気ポンプとしても構わない。この場合であっても同様の作用効果を奏功することができる。但し、操作性を向上することができる観点で、上記実施形態のように、容器軸O方向に圧縮変形する蛇腹状の胴部50を有する空気ポンプ4を採用することが好ましい。
【0053】
また、上記実施形態では、押さえプレート55を設けたが、必須な構成ではなく具備しなくても構わない。押さえプレート55を具備する場合には、押さえプレート55と空気ポンプ4と別体ではなく一体としても構わない。
さらに、空気孔47が形成された閉塞部材45は必須なものではなく、具備しなくても構わない。この場合、例えばパイプ3の下端開口部の形状を工夫することで、泡の発生具合を調整しても良い。さらには、メッシュ状の空気孔が形成された閉塞部材を採用しても良い。