特許第6335703号(P6335703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6335703-印刷機における色濃度を調節する方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335703
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】印刷機における色濃度を調節する方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20180521BHJP
   B41F 33/10 20060101ALI20180521BHJP
   B41F 31/04 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   B41F33/00 238
   B41F33/10 S
   B41F33/00 280
   B41F33/00 246
   B41F31/04
【請求項の数】11
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-150671(P2014-150671)
(22)【出願日】2014年7月24日
(65)【公開番号】特開2015-24656(P2015-24656A)
(43)【公開日】2015年2月5日
【審査請求日】2017年3月23日
(31)【優先権主張番号】10 2013 012 299.6
(32)【優先日】2013年7月24日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ウルフ デランク
(72)【発明者】
【氏名】ハラルト ブーハー
【審査官】 亀田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03958509(US,A)
【文献】 特開2004−230793(JP,A)
【文献】 特開2009−234089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41F 31/04
B41F 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置(12)のインキ装置(16)に複数のインキゾーンを有する印刷機(101)における色濃度を調節する方法において、
テスト版を被印刷物(20)に印刷するステップであって、前記印刷装置(12)のインキ装置(16)に設けられた少なくとも1つのインキゾーンで、意図された目標色濃度からの意識的な色濃度偏差を設定するステップと、
あらかじめ調節された色濃度と、設定され調節された色濃度偏差とを、色測定器(21,24)によって、被印刷物の湿った状態での目標値に合わせて御するステップと、
前記色測定器(21,24)によって、乾燥された被印刷物を色測定するステップと、
乾いた状態で検出された色測定値と、テスト版の印刷原画とをコンピュータ(160)で比較するステップと、
意図された目標色濃度に対して最も小さな偏差を有する、前記インキゾーンに所属する色濃度を、印刷プロセスのための目標色濃度として引き取るステップと、
を実施することを特徴とする印刷機における色濃度を調節する方法。
【請求項2】
前記被印刷物(20)を、印刷機(101)の外部で、色測定器(21)によって検出する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記被印刷物(20)を、印刷機(101)内で、色測定器(24)によって検出する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
設定された色濃度偏差を、前記ンピュータ(160)によって算出しかつ調節する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記コンピュータ(160)において、前記設定された色濃度偏差を調節するために、インキゾーンでの目標色値を、段階的に変える、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記設定された色濃度偏差を付与されるインキゾーンの数が、前記コンピュータ(160)によって選択可能である、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
設定された色濃度偏差を付与されない出発インキゾーンが、前記コンピュータ(160)によって選択可能である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記設定された色濃度偏差を有するインキゾーンの数と、前記設定された色濃度偏差を付与されない前記出発インキゾーンとが、前記コンピュータ(160)内に固定的にファイルされている、請求項記載の方法。
【請求項9】
前記設定された色濃度偏差を、インキゾーンにおいて2%ステップで段階的に行う、請求項7又は8記載の方法。
【請求項10】
前記設定された色濃度偏差を付与されない前記出発インキゾーンは、前記印刷装置(12)のインキ装置(16)に設けられたインキゾーンの真ん中に位置していて、前記設定された色濃度偏差は、出発インキゾーンの一方の側では正の色濃度偏差を有し、前記出発インキゾーンの他方の側では負の色濃度偏差を有している、請求項から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記湿った被印刷物(20)の前記制御の後に、インキゾーンの調節された実際色値を、前記コンピュータ(160)内のデータに記憶する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の方法ステップを備えた、印刷装置のインキ装置に複数のインキゾーンを有する印刷機における色濃度(Faerbung)を調節する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷製品の製造の際に、印刷原画(印刷原本とも呼ばれる)を可能な限り色忠実に再現することが特に重要となる。このような課題は、第一にどのような印刷方法が使用されるのかとは無関係に課せられる。しかしながら、特にオフセット印刷機を使用する場合には、高い印刷品質が要求され、ひいては色の再現に対して、相応して高い要求も課せられる。印刷業者は、このような高い品質基準を満たさなければならず、この場合、部分的には印刷工業における規格に応じて合格認証され得る。このような認証は、特にオフセット印刷プロセスにおける、技術的に付与された一連の条件に基づき面倒である。目下の認証方法では、まずテスト版の版板が印刷機において種々異なる色濃度で印刷される。そのように製造された被印刷物は、次いで、翌日もしくは数時間の乾燥の後に測定される。このことは、第一に著しい時間損失を意味する。このステップは、テスト版の印刷原画と色測定値とが規定の許容誤差の範囲内におさまるまで繰り返される。その後に、印刷品質が色測定器によって検出され、こうしてトーン値の増加、印刷コントラスト、グレー値バランス、ずれ、ダブリに関するデータが得られる。次のステップでは、乾燥された状態で検出されたどの実際色値が、テスト版において対応している目標色値に相当するかが確かめられる。この比較は、DINまたはISOに拠る既存の規格に基づいて行われるか、または固有の要求に基づいて行われる。次いで、選択された乾いた状態での実際色値(乾式の実際色値)をベースにして、湿った状態での適切な目標色値(湿式の目標色値)が確定される。この場合、湿式の目標色値が確定された時点で、一般には湿式の実際色値はもはや存在しなくなるか、または制限された状態でしか存在しなくなるという問題が生じる。さらにこの方法は、印刷業者のもとで使用される、紙とインキとゴムブランケットと湿し水とのあらゆる組合せに関して実施されなければならない。このことは極めて大きな手間となり、それゆえにこのような大きな手間は実際には制限された状態でしか成し遂げられ得ない。
【0003】
したがって、過去においては既に、従来技術に基づいたこの手間のかかる方法をどのようにしたら短縮することができるか、について熟考が成された。このような熟考の結果は、独国特許出願公開第102007008640号明細書から知ることができ、この場合、湿式の色測定値を乾式の色測定値に換算する方法が記載されている。この方法を用いると、湿式の色測定値と乾式の色測定値との間での相互の換算がいつでも可能となる。これにより、たとえば湿った枚葉紙の印刷と、乾燥された被印刷物上での色測定値の検出との間の長い時間間隔を短縮させることができる。独国特許出願公開第102007008640号明細書に記載された方法の場合、検出された湿式の色測定値は、コンピュータにおいてベクトル色空間内に記憶され、対応する乾式の色測定値を求めるために、湿式の色測定値に対して、相応する補正ベクトルが加算される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102007008640号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、公知先行技術におけるよりも少ない手間をかけるだけで十分となる印刷基準の合格認証のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題を解決するために本発明による方法では、テスト版を被印刷物に印刷するステップであって、前記印刷装置のインキ装置に設けられた少なくとも1つのインキゾーンで、意図された目標色濃度からの意識的な色濃度偏差を設定するステップと、あらかじめ調節された色濃度と、設定され調節された色濃度偏差とを、色測定器によって、被印刷物の湿った状態での目標値に合わせて御するステップと、前記色測定器によって、乾燥された被印刷物を色測定するステップと、乾いた状態で検出された色測定値と、テスト版の印刷原画とをコンピュータで比較するステップと、意図された目標色濃度に対して最も小さな偏差を有する、前記インキゾーンに所属する色濃度を、印刷プロセスのための目標色濃度として引き取るステップとを実施するようにした。
【0007】
本発明の別の好適な実施態様は、従属形式の各請求項、以下の説明および図面から明らかとなる。
【0008】
本発明による方法は、一連の方法ステップに特徴付けられ、この場合やはりテスト版が使用される。特にオフセット印刷の際に典型的に生じる問題、たとえばトーン値の増加、グレーバランス、ずれ、ダブリ等を判定できるようにするために、このテスト版は、印刷コントロールストリップの形の適当な測定エレメントを備えている。色コントロールエレメントとしては、被印刷物上の色測定ストリップが使用される。この色測定ストリップならびに別の測定エレメントとは被印刷物上に複数個、またインキゾーン1つ当たりに複数個存在していてもよい。さらに、印刷装置のインキ装置に設けられた少なくとも1つのインキゾーンでは、意図された目標色濃度からの意識的な色濃度偏差が設定される。このように調節された色濃度および色濃度偏差は、次いで印刷機の色調整器を介して御される。このことは、湿った状態で行われるので、被印刷物が乾燥されるまで待つ必要はない。この目的のために、被印刷物は、色測定器によって湿った状態で検出される。このために必要となる色測定器は、基本的に印刷機の内部に配置されているか、または印刷機の外部に配置されていてもよい。特に印刷機の内部に配置された色測定器を使用する場合は、本発明によるこの新規方法が必要である。なぜならば、印刷機の内部のこのような色測定器(インライン色測定器とも称する)は、印刷機における長時間の乾燥プロセスに基づき、実際には被印刷物を湿った状態でしか測定することができないからである。これによって色コントロールプロセスは終了する。したがって、先行技術の場合のように、印刷済みの枚葉紙の乾燥プロセスの後でしか色コントロールループが成立されないのではなく、既に湿った状態で色コントロールループが形成される。このことは、色コントロールプロセスを大幅に短縮させる。次のステップでは、そうこうするうちに乾燥された被印刷物が、同じ色測定器によってもう一度測定され、そして乾いた状態で検出された色測定値とテスト版の印刷原画との比較がコンピュータで行われる。次いで、この比較の結果として、意図された目標色濃度に対して最小の偏差しか有しない、インキゾーンに属する色濃度が、印刷プロセスのための目標色濃度として引き取られる。このような評価は、あらかじめ設定された選択可能な合格認証基準、または顧客のために作成された固有の基準を使用することにより、自動的にコンピュータで行われる。この評価の際には、プロセスパラメータ、たとえばトーン値の増加、グレーバランス、ずれ、ダブリ等が使用される。
【0009】
本発明の別の好適な実施態様では、あらかじめ設定された色濃度偏差がコンピュータによって算出されかつ調節される。種々異なる色濃度レベルにおいて色測定値を求めるための、意識的に調節された色濃度偏差は、この場合には、コンピュータによって固定的に設定される。このコンピュータは、別個のコンピュータであってよいか、印刷機コンピュータ内に組み込まれているか、または色測定器の一部であってよい。このためには、コンピュータが、目標色値を段階的に変更し得る。これによって、種々異なる色濃度レベルにおいて色測定値を求めるための、意識的な色濃度偏差がいつでも正確に再現可能に調節されることが確保される。
【0010】
本発明のさらに別の実施態様では、規定された色濃度偏差を付与されるインキゾーンの数が、コンピュータによって設定可能である。この場合には、印刷オペレータが、インキゾーンの数と、必要に応じてインキゾーンの場所を設定することができるか、またはインキゾーンの規定された基準およびインキゾーンの場所をコンピュータによって選び出させることができる。また、調節された色濃度偏差を付与されないインキゾーンの数および場所(出発インキゾーンとも称される)もコンピュータ内にファイルされていてよい。
【0011】
本発明の特に好適な実施態様では、規定された色濃度偏差が、インキゾーンにおいて2%ステップで、つまり2%刻みで段階的に行われる。この場合、起点となる出発インキゾーンの一方の側では色濃度が、2%刻みで増加し、他方の側では2%刻みで減少する。この場合、出発インキゾーンがインキゾーンの真ん中に位置していると好ましい。この場合、偶数のインキゾーンの場合、たとえば32個のインキゾーンの場合には、真ん中の2つのインキゾーンが出発インキゾーンとして利用され得る。また、規定された色濃度偏差の段階もそれぞれ2つのインキゾーンにわたり延びてよいので、常に2つのインキゾーンが同一に調節される。
【0012】
本発明の特に好適なさらに別の実施態様では、湿った被印刷物の御の後に、インキゾーンの調節された実際色値は、コンピュータ内のデータに記憶される。そのときに、コンピュータのメニューにおける相応する操作エレメントを介して、ボタンプッシュにより、湿った状態で御された被印刷物の、その都度のインキゾーンの実際色値が検出され得る。それぞれのインキゾーンおよびインキゾーン実際色値は、対応関係を一義的にする形で記憶される。つまりインキゾーンと色タイプとは、1つのカラーセットとして記憶される。このカラーセットの名称付けは、自動的にまたは手動で行われ得る。その際に、受注名、日付、測定の時刻のようなデータも自動的にまたは手動で記憶され得る。
【発明の効果】
【0013】
したがって、本発明による方法を用いると、合格認証プロセスのためのたいていの調節が、コンピュータによって設定され得るので、プロセスが印刷オペレータによって問題なく実行され得ることが確保される。さらに、複数のインキゾーンにわたり、たとえば紙判70の32個のインキゾーンにわたり、意図的に設定された段階的な色濃度のオーバ調節またはアンダ調節に基づいて、十分に広い段階付けが達成されるので、これに対して相応の乾式目標値も存在することが確保される。いわゆる印刷基準は、原理的にはCMYKの組合せによる印刷のためにしか規定されていない。同じ製品を種々の国のための種々異なる色濃度レベル/基準で製造する包装プリンタのための特別色を加えることによって、本発明の付加使用が生ぜしめられる。このことは、選択された色測定ストリップに関連して、目下のところ最大10色に対して可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】色測定器と印刷機コンピュータとを備えた枚葉紙輪転印刷機の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明を実施するための形態を図面につき詳しく説明する。
【0016】
図1には、枚葉紙輪転オフセット印刷機101における本発明による方法の使用が示されている。しかしこの方法は、他のオフセット印刷機においても適用され得る。図示の枚葉紙輪転オフセット印刷機101は、ほぼ同一に構成された4つの印刷装置12を有している。これらの印刷装置12は、それぞれ1つのインキ装置16を有し、このインキ装置16には、インキつぼ11を介して印刷インキが供給される。インキ装置16は、インキ装置16に設けられたローラを介して均一に印刷インキを分配し、次いで版板を備えた版胴13に転移させる。インキは、版胴13からゴム胴14に転移されて、このゴム胴14は、圧胴15と共に印刷装置12の印刷ニップを形成する。各印刷装置12では枚葉紙状の被印刷物20が印刷ニップを通って搬送され、こうしてそれぞれの色分解で印刷を施される。図示の枚葉紙輪転オフセット印刷機101では、このようにして4つの色分解が、表面印刷において重なり合って施され得る。この場合、それぞれ2色の裏面印刷も可能である。それというのも、印刷装置12の間で被印刷物20が反転胴150によって表面から裏面へと反転させられて、両面に印刷を施すことができるからである。被印刷物20は、給紙装置130において、フィーダパイル131から取り出されて、枚葉紙給紙部120を介して第1の印刷装置12に引き渡される。最後の印刷装置12からの排出後に、印刷の完了した被印刷物20は、デリバリ140に引き渡されて、デリバリパイル141に積み上げられる。
【0017】
枚葉紙輪転オフセット印刷機101は、印刷機の目下の状態を表示するためのモニタ170を備えた印刷機コンピュータ160によって制御される。この印刷機コンピュータ160は、枚葉紙輪転オフセット印刷機101の電流供給部6に接続されていて、枚葉紙輪転オフセット印刷機101の駆動装置および作動装置のすべてを制御している。さらに、印刷機コンピュータ160には、最後の印刷装置12の後ろに配置されたインライン色測定器24と、外部の色測定器21とが接続されている。この外部の色測定器21は、印刷枚葉紙を収容するための枚葉紙載せ台23と、印刷枚葉紙もしくは印刷済みの被印刷物20をスキャンする可動式の測定ビームとから成る。色測定値を得るために、両色測定器21,24は、生産された被印刷物20の表面全体を走査するか、または側方に刷り込まれた少なくとも1つの色測定ストリップ22を走査する。インライン色測定器24は、最後の印刷装置12のすぐ後ろに位置しているので、枚葉紙もしくは被印刷物20はまだ湿った状態にある。したがって、インライン色測定器24によっては、湿った目下の実際色値しか検出され得ないが、外部の色測定器21は、乾いた被印刷物20を測定することができる。
【0018】
本方法によれば、枚葉紙輪転オフセット印刷機101において、テスト版が様々異なる色濃度レベルによって印刷される。このためには、印刷装置12用の相応する版板が、版板露光装置によって露光されて、枚葉紙輪転オフセット印刷機101間に緊締される。これらの版板と、それぞれの印刷装置12における相応する色濃度調節とによって複数の被印刷物20を生産した後に、それらの被印刷物20は、湿った状態で、枚葉紙輪転オフセット印刷機101内でインライン色測定器24によって測定されるか、または枚葉紙輪転オフセット印刷機101の外部で外部の色測定器21によって湿った状態で測定される。被印刷物20の製造時には、印刷機コンピュータ160にファイルされたステップが考慮されるので、色濃度のアンダ調節(淡化)またはオーバ調節(濃化)は、印刷機コンピュータ160によって、真ん中の両インキゾーンから見て右側または左側に向かってそれぞれ2つのインキゾーンの間隔を置いて2%ステップ(2%刻み)で実施される。したがって、被印刷物20上では色測定ストリップ22において、それぞれ2つのインキゾーン毎に同じ色濃度レベルが存在している。このように設定された目標色値は、次いで色測定器21,24によって検出された、湿った状態での実際色値を用いて、印刷機コンピュータ160によって御される。枚葉紙輪転オフセット印刷機101が、御された状態となるやいなや、被印刷物20が取り出されて、この被印刷物20の、場合によっては受注名、日付、測定の時刻、色分解、インキゾーンの番号等の付加的なデータを有する、それぞれのインキゾーンおよびカラーに関するインキゾーン実際色値が、印刷機コンピュータ160によって記憶される。
【0019】
湿った状態で御された被印刷物20が乾燥させられると、外部の色測定器21によって乾式測定が実施される。このことは、印刷済みの被印刷物が、湿った状態でインライン色測定器24によって検知された場合に行われ得る。この場合、インライン色測定器24と外部の色測定器21とは測定の前に互いに一致するように校正されている。乾燥した状態で検出された実際色値は、やはり、湿った状態での実際色値の検出時と同様に相応してインキゾーン毎に記憶される。その後に、印刷機コンピュータ160における自動的な比較が行われ、この自動的な比較により、印刷オペレータによってあらかじめ設定された基準につき、測定された乾式の色測定値と、測定された湿式の色測定値とが、プロセスパラメータ、たとえばトーン値の増加、グレーバランス、ずれ、ダブリ等を考慮して比較される。そして、乾式の目標色値から最も小さな間隔(誤差)を有する乾式の実際色測定値、つまり印刷原本の色測定値から最も小さな間隔を有する、乾式の実際色測定値が選び出される。次いで、段階的な色濃度のオーバ調節またはアンダ調節の、求められた乾式の実際色測定値に合わせて調節された調色濃度が、適正な調節として印刷機コンピュータ160によって選び出される。これによって、枚葉紙輪転オフセット印刷機101の認証プロセスは終了する。
【符号の説明】
【0020】
6 電流供給部、 11 インキつぼ、 12 印刷装置、 13 版胴、 14 ゴム胴、 15 圧胴、 16 インキ装置、 20 被印刷物、 21 外部の色測定器、 22 色測定ストリップ、 23 枚葉紙載せ台、 24 インライン色測定器、 101 枚葉紙輪転オフセット印刷機、 120 枚葉紙給紙部、 130 給紙装置、 131 フィーダパイル、 140 デリバリ、 141 デリバリパイル、 150 反転胴、 160 印刷機コンピュータ、 170 モニタ
図1