(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、エンジンに備えた第1ハウジング(フライホイールハウジング)の内部と第2ハウジング(クラッチハウジング)の内部とにわたる伝動系などに対するメンテナンスを行うために、第1ハウジングと第2ハウジングとの連結を解除する場合には、キャビンをハウジングユニットから取り外して、第1ハウジングと第2ハウジングとを連結する複数の連結部を開放する必要がある。そのため、第1ハウジングの内部と第2ハウジングの内部とにわたる伝動系などに対するメンテナンスが煩わしくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、第1ハウジングの内部と第2ハウジングの内部とにわたる伝動系などに対するメンテナンス性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題解決手段は、
ハウジングユニットと前記ハウジングユニットに載置するキャビンとを備え、
前記ハウジングユニットは、前記キャビンの前方に配置する第1ハウジングと、前記第1ハウジングの後部に着脱可能に連結する第2ハウジングとを備え、
前記キャビンは、前記第2ハウジングの上部側を上方から覆うカバー体を備え、
前記カバー体の左右中央に、後輪の差動装置を操作可能なデフロックペダルが配置され、
前記カバー体は、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを連結する複数の連結部のうち、上部側の連結部
の上部におけるボルト挿通孔と対向して前記上部側の連結部に対する前記キャビンの内部からの操作を許容する
と共に前記デフロックペダルの左右に振り分けられた複数の開口と、
夫々の前記開口を開閉可能に閉塞する
複数の蓋体とを備え
、
前記複数の蓋体のうち、少なくとも左右一方の前記開口に対応する前記蓋体において、前記蓋体の機体外側がボルト固定され、前記蓋体の機体内側が前記デフロックペダルを覆うカバーによって固定されている。
【0007】
この手段によると、第1ハウジングと第2ハウジングとを連結する複数の連結部のうち、キャビンの下方からの操作が可能な下部側の各連結部に対しては、キャビンの下方からの操作によって、下部側の各連結部を連結状態と連結解除状態とに切り替えることができる。そして、キャビンの下方からの操作が不可能な上部側の各連結部に対しては、カバー体から蓋体を取り外すことにより、開口からの操作によって、上部側の各連結部を連結状態と連結解除状態とに切り替えることができる。
【0008】
つまり、キャビンをハウジングユニットから取り外す手間を要することなく、第1ハウジングと第2ハウジングとの連結及び連結解除を行うことができる。
【0009】
その結果、第1ハウジングの内部と第2ハウジングの内部とにわたる伝動系などに対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0010】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記開口を、前記キャビンの内部に備えた電子機器と前記キャビンの外部に備えた電子機器とにわたる電線を通す挿通孔に兼用している。
【0011】
この手段によると、カバー体に電線を通すための専用の挿通孔を形成する必要がなくなる。その結果、作業工数の削減を図れるとともに、電線専用の挿通孔を形成することに起因したカバー体などの強度の低下を防止することができる。
【0012】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
電線保護用のグロメットを、前記カバー体に取り付ける第1部材と前記蓋体に取り付ける第2部材とを備える二分割構造に構成している。
【0013】
この手段によると、カバー体に蓋体を取り付けるのに伴って、電線をグロメットに挿通した状態を得ることができる。又、カバー体から蓋体を取り外すのに伴って、電線をグロメットから抜き出した状態を得ることができる。つまり、電線の組み付け又は交換などを行う場合に、電線をグロメットに挿通する手間やグロメットから抜き出す手間を無くすることができる。
【0014】
その結果、キャビンの内部に備えた電子機器とキャビンの外部に備えた電子機器とにわたる電線の組み付け性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0015】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記開口を、ステアリング操作系を通す挿通孔に兼用している。
【0016】
この手段によると、カバー体にステアリング操作系を通すための専用の挿通孔を形成する必要がなくなる。その結果、作業工数の削減を図れるとともに、ステアリング操作系専用の挿通孔を形成することに起因したカバー体などの強度の低下を防止することができる。
【0017】
本発明をより好適なものにするための手段の一つとして、
前記第1ハウジングは、エンジンの後部に連接するフライホイールハウジングであり、
前記第2ハウジングは、その上部が前記フライホイールハウジングに向けて前上がり傾斜するクラッチハウジングであり、
前記カバー体は、前記第2ハウジングの上部に略沿って前上がり傾斜する傾斜面を備え、前記傾斜面に前記開口を形成している。
【0018】
この手段によると、開口が後上方向きになることから、例えば、開口が真上又は真後ろに向かう場合に比較して、開口からの操作による上部側の各連結部の連結状態と連結解除状態との切り替えが行い易くなる。
【0019】
従って、第1ハウジングの内部と第2ハウジングの内部とにわたる伝動系などに対するメンテナンス性を更に向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1に示すように、この実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム1の前半部に原動部2を備えている。又、車体フレーム1の後半部に搭乗運転部3を形成するキャビン4を防振搭載している。そして、車体フレーム1に対する前部の左右両側方箇所に駆動可能で操舵可能な左右の前輪5を配備している。又、車体フレーム1に対する後部の左右両側方箇所に駆動可能で制動可能な左右の後輪6を配備している。これにより、駆動可能な左右の前輪5と左右の後輪6とを備える4輪駆動形式に構成している。
【0023】
車体フレーム1は、エンジン7と、エンジン7の下部から前方に向けて延出する前部フレーム8と、エンジン7の後端下部から後方に向けて延出するフレーム部材兼用のハウジングユニット9とをボルト連結して構成している。つまり、車体フレーム1の前半部をエンジン7及び前部フレーム8により構成し、車体フレーム1の後半部をハウジングユニット9により構成している。
【0024】
ハウジングユニット9は、第1ハウジング9Aとしてのフライホイールハウジング10と、第2ハウジング9Bとしてのクラッチハウジング11と、第3ハウジング9Cとしてのミッドケース12と、第4ハウジング9Dとしてのリヤケース13とを、その順に前後方向に着脱可能にボルト連結して構成している。そして、フライホイールハウジング10の前端部をエンジン7の後端下部にボルト連結して、エンジン7の後部にフライホイールハウジング10を連接している。これにより、フライホイールハウジング10がキャビン4の前方に位置し、クラッチハウジング11とミッドケース12とリヤケース13とがキャビン4の下方に位置するように構成している。
【0025】
クラッチハウジング11は、その上部がフライホイールハウジング10に向けて前上がり傾斜している。又、その左右両側部から横外方に片持ち状態で延出する左右のブラケット(図示せず)を備えている。左右のブラケットは、防振用のマウントゴム(図示せず)を介してキャビン4の前端部を下方から受け止め支持している。
【0026】
リヤケース13は、その左右両側部に連結する左右のブレーキケース16と、左右のブレーキケース16から横外方に片持ち状態で延出する左右の後車軸ケース17とを備えている。左右の後車軸ケース17は、それらのブレーキケース側に支持部材18を立設している。左右の支持部材18は、防振用のマウントゴム15を介してキャビン4の後端部を下方から受け止め支持している。
【0027】
原動部2は、前部フレーム8及びボンネット19などにより形成するエンジンルームに、エンジン7及びバッテリ20などを配備して構成している。
【0028】
図1〜3に示すように、キャビン4は、キャビンフレーム21に、床面を形成するフロアパネル22、透明のウィンドシールド23、透明で外開き式の左右のドアパネル24、透明で外開き式の左右のサイドウィンド25、透明で外開き式のリヤウィンド26、及び、収納空間を有するルーフ部27、などを備えて構成している。そして、複数のマウントゴム15を介してハウジングユニット9に載置している。又、キャビン4の内部に、表示ユニット28、前輪操舵用のステアリングホイール29、クラッチペダル30、左制動用の左ブレーキペダル31、右制動用の右ブレーキペダル32、デフロックペダル33、チルトペダル34、及び、運転座席35、などを備えて搭乗運転部3を形成している。ルーフ部27には、空調ユニット(図示せず)などとともに、WiFiユニットなどの無線通信手段36を内蔵している。
【0029】
図1〜6に示すように、キャビンフレーム21は、その前端下部の左右中央箇所にパネルフレーム部21Aを備えている。そして、このパネルフレーム部21Aの上部に、表示ユニット28及びステアリングホイール29などとともに、上部カバー37及びステアリングポストカバー38を配備している。又、パネルフレーム部21Aにおける下部の左右中央箇所に、デフロックペダル33などとともに下部カバー39を配備している。そして、下部カバー39の左側に、クラッチペダル30及びチルトペダル34を配備し、下部カバー39の右側に、左右のブレーキペダル31,32を配備している。
【0030】
パネルフレーム部21Aの下部は、鋼板製のセンタパネル40と、その左右両端に溶接する鋼板製のサイドパネル41とから構成している。センタパネル40は、クラッチハウジング11の上部側を上方から覆うカバー体Bとして機能している。そのため、クラッチハウジング11の上部に略沿って前上がり傾斜する傾斜面40Aを備えている。そして、この傾斜面40Aに、フライホイールハウジング10とクラッチハウジング11とを連結する複数の連結部Cのうち、上部側の4カ所の連結部Cに面して上部側の連結部Cに対するキャビン4の内部からの操作を許容する左右の開口40B,40Cと、これらの開口40B,40Cを開閉可能に閉塞する左右の蓋体42,43とを備えている。
【0031】
各連結部Cは、フライホイールハウジング10の後端部に備えた前後向きの螺合部10A、クラッチハウジング11の前端部に備えた前後向きのボルト挿通孔11A、及び、ボルト挿通孔11Aに挿通して螺合部10Aに螺合するボルト44、などから構成している。
【0032】
左側の開口40Bは、上部側4カ所の連結部Cのうちの左側2カ所の連結部Cに面している。右側の開口40Cは、上部側4カ所の連結部Cのうちの右側2カ所の連結部Cに面している。左右の蓋体42,43は、センタパネル40の傾斜面40Aに着脱可能にボルト連結している。
【0033】
上記の構成から、フライホイールハウジング10とクラッチハウジング11とを連結する複数の連結部Cのうち、キャビン4の下方からのボルト44の操作が可能な下部側の各連結部Cに対しては、キャビン4の下方からのボルト44の操作によって、下部側の各連結部Cを連結状態と連結解除状態とに切り替えることができる。そして、キャビン4の下方からのボルト44の操作が不可能な上部側の各連結部Cに対しては、センタパネル40の傾斜面40Aから左右の蓋体42,43を取り外すことにより、左右の開口40B,40Cからのボルト44の操作によって、上部側の各連結部Cを連結状態と連結解除状態とに切り替えることができる。
【0034】
つまり、キャビン4をハウジングユニット9から取り外す手間を要することなく、フライホイールハウジング10とクラッチハウジング11との連結及び連結解除を行うことができる。その結果、クラッチハウジング11に内蔵したクラッチ(図示せず)などのフライホイールハウジング10の内部とクラッチハウジング11の内部とにわたる伝動系などに対するメンテナンス性を向上させることができる。
【0035】
図1、
図3〜6に示すように、センタパネル40における左側の開口40Bは、ワイヤハーネス46を通す挿通孔40Dに兼用している。ワイヤハーネス46は、キャビン内部の電子機器Dとしてキャビン内部の表示ユニット28に備えた表示用の電子制御ユニット28Aと、キャビン外部の電子機器Eとして原動部2に備えたエンジン用の電子制御ユニット47などとにわたる複数の電線48を2本の樹脂チューブ49に通して2系統に纏めたものである。
【0036】
電線挿通用の挿通孔40Dは、単にセンタパネル40の傾斜面40Aに左側の蓋体42を取り付けた場合には、傾斜面40Aと左側の蓋体42との間にメガネ状の開口として区画形成される。そして、この開口を形成するセンタパネル40の傾斜面40Aと左側の蓋体42との開口形成箇所に電線保護用のグロメット50を取り付けることにより、左右の丸孔として区画形成されるように構成している。
【0037】
その構成について詳述すると、センタパネル40の傾斜面40Aは、左側の開口40Bを、その上縁に2連の半円凹部40aを有する形状に形成している。左側の蓋体42は、その上縁に2連の半円凹部42aを有する形状に形成している。グロメット50は、ゴムなどの樹脂製で、センタパネル40の傾斜面40Aにおける左側開口上縁の2連の半円凹部40aに嵌合して取り付ける2連湾曲形状の第1部材50Aと、左側の蓋体42における上縁に2連の半円凹部42aに嵌合して取り付ける2連湾曲形状の第2部材50Bとを備える二分割構造に構成している。そして、センタパネル40の傾斜面40Aに左側の蓋体42を取り付けた場合には、第1部材50Aと第2部材50Bとが連接して、円形の挿通孔40Dを左右に区画形成するメガネ状に形成される。
【0038】
上記の構成により、センタパネル40に前述したワイヤハーネス46を通すための専用の挿通孔を形成する必要がなくなる。その結果、作業工数の削減を図れるとともに、専用の挿通孔を形成することに起因したセンタパネル40などの強度の低下を防止することができる。
【0039】
そして、センタパネル40の傾斜面40Aに左側の蓋体42を取り付けるのに伴って、ワイヤハーネス46をグロメット50に挿通した状態を得ることができる。又、センタパネル40の傾斜面40Aから左側の蓋体42を取り外すのに伴って、ワイヤハーネス46をグロメット50から抜き出した状態を得ることができる。つまり、ワイヤハーネス46の組み付け又は交換などを行う場合に、ワイヤハーネス46をグロメット50に挿通する手間やグロメット50から抜き出す手間を無くすることができる。その結果、ワイヤハーネス46の組み付け性やメンテナンス性を向上させることができる。
【0040】
図4に示すように、センタパネル40における右側の開口40Cは、ステアリングホイール29から左右の前輪5にわたるステアリング操作系51を通す挿通孔40Eに兼用している。この挿通孔40Eは、右側の蓋体43に形成した開口43Aにより、センタパネル40の右側の開口40Cを右側の蓋体43で閉じた状態であっても確保することができるように構成している。
【0041】
この構成により、センタパネル40にステアリング操作系51を通すための専用の挿通孔を形成する必要がなくなる。その結果、作業工数の削減を図れるとともに、専用の挿通孔を形成することに起因したセンタパネル40などの強度の低下を防止することができる。
【0042】
図4、
図6及び
図7に示すように、デフロックペダル33は、キャビンフレーム21のパネルフレーム部21Aに備えた左右向きの支軸52を支点にして上下揺動する第1アーム53、第1アーム53の遊端部に上下揺動可能に連結した第2アーム54、及び、第1アーム53を上方のロック解除位置に復帰付勢する引っ張りバネ55、などにより屈曲可能に構成している。そして、第2アーム54の基端部に、第1アーム53の下縁に接触可能なストッパ54Aを備えている。このストッパ54Aは、第2アーム54が第1アーム53に対して第1アーム53の延長線上に設定した使用位置まで下降揺動した場合に第1アーム53の下縁に接触するように設定している。そして、この接触により、第1アーム53に対する第2アーム54の使用位置からの下降揺動を阻止している。第2アーム54は、その自重により、ストッパ54Aが第1アーム53の下縁に接触する状態を維持するように構成している。これにより、第2アーム54を使用位置にて自重保持することができ、又、その自重に抗した上昇揺動による第2アーム54の退避位置への揺動変位が可能となるように構成している。尚、第2アーム54は、その退避位置においては、パネルフレーム部21Aに備えた下部カバー39に沿って起立するように構成している。
【0043】
上記の構成により、デフロックペダル33は、第2アーム54が使用位置に位置する使用状態と、第2アーム54が退避位置に位置する格納状態とに切り替えることができる。
そして、その使用状態において、第2アーム54の遊端部に備えたペダル部54Bを踏み込み操作すると、第1アーム53と第2アーム54とが、左右向きの支軸52を支点にして下方のデフロック位置に向けて一体揺動する。これにより、リヤケース13に内蔵した後輪用の差動装置(図示せず)をデフロック状態に切り替えることができ、圃場などにおける車体の直進性を向上させることができる。又、ペダル部54Bの踏み込み操作を解除すると、引っ張りバネ55の作用により、第1アーム53と第2アーム54とが、左右向きの支軸52を支点にして上方のロック解除位置に向けて一体揺動する。これにより、後輪用の差動装置をデフロック解除状態に切り替えることができ、車体の旋回性を向上させることができる。
【0044】
キャビンフレーム21のパネルフレーム部21Aは、デフロックペダル33の上方箇所に、デフロックペダル33の使用状態と格納状態との切り替えを可能にする上下揺動式の操作レバー56を備えている。操作レバー56は、その連係部56Aをデフロックペダル33の第2アーム54にリンク機構57を介して操作連係している。そして、パネルフレーム部21Aに備えた係合部21aに係合することにより、引っ張りバネ66の作用に抗して上方のペダル使用位置に保持することができ、又、その係合を解除することにより、引っ張りバネ66の作用によって下方のペダル退避位置に保持されるように構成している。
【0045】
リンク機構57は、デフロックペダル33における第1アーム53の中間部に備えた左右向きの支軸58、この支軸58を支点にして天秤揺動する連係アーム59、連係アーム59の一端部をデフロックペダル33の第2アーム54に連係する左右向きの連係ピン60、及び、連係アーム59の他端部を操作レバー56の連係部56Aに連係する押し引きロッド61、などにより構成している。そして、連係アーム59の他端側に、デフロックペダル33の支軸52に外嵌したボス62に上方から外嵌する湾曲部59Aを形成している。又、連係アーム59の他端部に連係する押し引きロッド61の一端部を、左右向きの連係軸部61Aに形成している。そして、操作レバー56が下方のペダル使用位置に位置する状態では、デフロックペダル33の支軸52の中心と押し引きロッド61の連係軸部61Aの中心とが一致し、かつ、連係アーム59の湾曲部59Aがボス62に外嵌するように構成している。
【0046】
デフロックペダル33の第2アーム54は、その基端部からリンク機構57の連係アーム59に向けて延出する連係部54Cを備えている。そして、その連係部54Cに、連係アーム59との連係ピン60による連係を可能にし、かつ、連係アーム59の揺動に連動した第2アーム54の使用位置と退避位置とにわたる揺動変位を可能にする長孔54aを形成している。
【0047】
上記の構成により、操作レバー56の上下揺動操作によって、デフロックペダル33を使用状態と格納状態とに切り替え保持することができる。そして、デフロックペダル33の使用状態では、操作レバー56がペダル使用位置に位置することにより、前述したように、デフロックペダル33の支軸52の中心と押し引きロッド61の連係軸部61Aの中心とが一致し、かつ、連係アーム59の湾曲部59Aがボス62に外嵌する。これにより、デフロックペダル33の第1アーム53と第2アーム54とリンク機構57の連係アーム59とのデフロックペダル33の支軸52を支点にした一体揺動が可能になる。その結果、デフロックペダル33の踏み込み又は踏み込み解除による揺動操作を良好に行うことができる。そして、このデフロックペダル33の使用状態において、操作レバー56のペダル退避位置への揺動操作を行うと、この操作に伴って、操作レバー56の連係部56Aとともに連係アーム59の他端側が上昇揺動し、連係アーム59の一端側とともに連係ピン60が下降揺動する。これにより、デフロックペダル33における第2アーム54の連係部54Cが連係ピン60により押し下げられて、第2アーム54が使用位置から退避位置に起立揺動する。その結果、デフロックペダル33を使用状態から格納状態に切り替えることができる。その後、操作レバー56をパネルフレーム部21Aの係合部21aに係合することにより、操作レバー56をペダル退避位置に保持することができ、デフロックペダル33を格納状態に保持することができる。そして、このデフロックペダル33の格納状態では、連係アーム59の他端側が上昇揺動したことにより、デフロックペダル33の支軸52に外嵌したボス62から連係アーム59の湾曲部59Aが離れるとともに、デフロックペダル33の支軸52の中心と押し引きロッド61の連係軸部61Aの中心とが一致しなくなる。その結果、格納状態のデフロックペダル33に対して、他物の接触などによる不測の押し下げ操作が行われたとしても、その操作によって格納状態のデフロックペダル33がロック解除位置からデフロック位置に下降揺動する虞を回避することができる。
【0048】
つまり、路上走行などのように後輪用の差動装置をデフロック状態に切り替える必要がない場合には、デフロックペダル33を格納状態に切り替え保持することにより、デフロックペダル33の誤操作などに起因して、後輪用の差動装置が不測にデフロック状態に切り替わる虞を回避することができる。又、圃場での作業走行などのように後輪用の差動装置をデフロック状態に切り替える必要がある場合には、デフロックペダル33を使用状態に切り替え保持することにより、デフロックペダル33の踏み込み操作による後輪用の差動装置のデフロック状態への切り替えが可能になり、圃場での直進性を向上させることができる。
【0049】
尚、上記のペダル格納構造は、デフロックペダル33だけでなく、使用状態と格納状態とに切り替え可能に構成することが望ましい操作ペダル(例えばチルトペダル34など)に適用することができる。
【0050】
図3、
図6及び
図8に示すように、上部カバー37は、キャビンフレーム21のパネルフレーム部21Aに固定するカバー本体63と着脱式の天板64とを備えている。そして、カバー本体63の上部に表示ユニット28を取り付けている。一方、天板64に隣接するパネルフレーム部21Aの上部には、ワイパモータ65の取り付けを可能にする第1取付部21bと、WiFiユニットなどの無線通信手段36の取り付けを可能にする第2取付部21cとを備えている。そして、トラクタがキャビン4を備えるキャビン仕様である場合には、第1取付部21bを利用してパネルフレーム部21Aの上部にワイパモータ65を取り付けるようにしている。又、トラクタがキャビン4ではなく保護フレーム(ROPS)を備えるロプス仕様である場合には、第2取付部21cを利用してパネルフレーム部21Aの上部に無線通信手段36を取り付けるようにしている。そして、トラクタの仕様に応じたパネルフレーム部21Aの上部に対するワイパモータ65と無線通信手段36との付け替えは、天板64を取り外した後の上部カバー37の開口37Aから容易に行えるようにしている。
【0052】
〔1〕ハウジングユニット9は、キャビン4の前方に配置する第1ハウジング9Aと、第1ハウジング9Aの後部に着脱可能に連結する第2ハウジング9Bとを備える2分割構造、又は、キャビン4の前方に配置する第1ハウジング9Aと、第1ハウジング9Aの後部に着脱可能に連結する第2ハウジング9Bと、第2ハウジング9Bの後部に着脱可能に連結する第3ハウジング9Cとを備える3分割構造、などであってもよい。
【0053】
〔2〕ハウジングユニット9を、キャビン4の前方に配置する第1ハウジング9Aがクラッチハウジング11となり、第1ハウジング9Aの後部に着脱可能に連結する第2ハウジング9Bがミッドケース12又はリヤケース13となるように構成してもよい。又、第1ハウジング9Aがフライホイールハウジング10となり、第1ハウジング9Aの後部に着脱可能に連結する第2ハウジング9Bがミッドケース12又はリヤケース13となるクラッチレス仕様に構成してもよい。
【0054】
〔3〕カバー体Bは、単一の開口40Bと単一の蓋体42とを備えるもの、又は、左右の開口40B,40Cと、それらを開閉可能に閉塞する単一の蓋体42とを備えるもの、などであってもよい。
【0055】
〔4〕カバー体Bは、電線48を通す専用の挿通孔40Dを備えるもの、又は、ステアリング操作系51を通す専用の挿通孔40Eを備えるもの、などであってもよい。又、開口40B,40Cが油圧配管を通す挿通孔を兼用するもの、又は、油圧配管を通す専用の挿通孔を備えるもの、などであってもよい。
【0056】
〔5〕カバー体Bは、傾斜面40Aを備えていないものであってもよい。
【0057】
〔6〕各連結部Cを、例えば、第1ハウジング9Aの後端部に固定した前後向きのスタッドボルト、第2ハウジング9Bの前端部に備えた前後向きのボルト挿通孔、及び、ボルト挿通孔に挿通したスタッドボルトに螺合するナット、などから構成してもよい。
【0058】
〔7〕キャビン内部の電子機器Dが例えばワイパモータ65などであり、キャビン外部の電子機器Eが例えば主要部用の電子制御ユニットであり、ワイパモータ65と主要部用の電子制御ユニットとにわたる電線48などを挿通孔40Dに通すように構成してもよい。
【0059】
〔8〕グロメット50を単一部材で構成してもよい。
【0060】
〔9〕作業車は、操作ペダルの操作に連動して、左制動用の左ブレーキペダル31と右制動用の右ブレーキペダル32とを一体揺動可能に連結する連結状態と独立揺動可能に連結解除する解除状態とに切り替わる連結機構を備えるものであってもよい。