(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記現像剤担持体は、外周面に現像剤を担持する現像ローラであって、前記外周面には、前記現像ローラの周方向及び前記現像ローラの回転軸方向に対して傾斜する方向に形成された螺旋状に連続する傾斜溝によって設けられた前記凸部及び前記凹部が規則的に配置された現像剤担持面が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
前記現像剤担持体の外周面には、互いに交差するように形成された複数の傾斜溝によって設けられた複数の凸部及び凹部が規則的に配置された現像剤担持面が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量が、10μg/g以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の現像装置。
前記無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量アミンの発生量が、3μg/g以下であることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の現像装置。
前記現像剤規制部材は、前記現像剤担持体の回転軸に平行な幅方向に延び且つ端部を有する弾性当接体を備えると共に、前記現像剤担持体の外周面に当接するように配置され、
前記現像剤担持体に対する前記現像剤規制部材の当接部分の表面硬度の比率は、0.20以上1.00未満であることを特徴とする請求項1〜8の何れか一項に記載の現像装置。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状及びそれらの相対配置等は、本発明が適応される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。尚、図面の説明において、同一又は同等の要素には、同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0033】
本実施形態の現像ローラ、現像装置及び画像形成装置は、電子写真方式を用いて記録材(記録媒体)に画像を形成する複写機、プリンター、ファクシミリ装置、ワードプロセッサー及びこれらを複数備える複合機等に用いられるものである。
【0034】
まず、画像形成装置及び当該画像形成装置を用いた画像形成方法について説明する。
【0035】
<画像形成装置及び画像形成方法について>
本実施形態に係る画像形成方法は、少なくとも、外部より帯電部材に電圧を印加し、静電潜像担持体に帯電を行う帯電工程と、帯電された静電潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、静電荷像を現像剤であるトナーにより現像してトナー像を静電潜像担持体上に形成する現像工程と、静電潜像担持体上のトナー像を転写材に転写する転写工程と、転写材上のトナー像を加熱定着する定着工程とを有するものである。また、先に挙げた工程以外に、例えば、静電潜像担持体表面に残存したトナー等の残存物を除去するクリーニング工程等を更に備えていてもよい。
【0036】
画像形成装置は、帯電手段、静電潜像担持体、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び定着手段を備える。
【0037】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例として、一成分現像方式を用いた画像形成装置について説明する。
【0038】
画像形成装置において、電子写真感光体の周囲には、電子写真感光体の表面を帯電する帯電手段である帯電部と、帯電された電子写真感光体を露光し画像情報に応じて静電潜像を形成する潜像形成手段である露光部と、静電潜像をトナーにより現像してトナー画像を形成する現像手段である現像部と、電子写真感光体の表面に形成されたトナー画像を被転写体の表面に転写する転写手段である転写部と、転写後の電子写真感光体の表面上に残存したトナーを除去するクリーニング手段であるクリーニング部とが、この順で配置されている。
【0039】
画像形成装置は、プロセスカートリッジを着脱可能に備えている。プロセスカートリッジは、静電潜像担持体と、静電潜像担持体と一体的にカートリッジ化される現像装置と、を備えている。
【0040】
また、被転写体に転写されたトナー画像を定着する定着手段である定着部が、転写部の被転写体の進行方向側に配置されている。
【0041】
本実施形態に係る画像形成装置の動作について説明する。
【0042】
まず、帯電部により電子写真感光体の表面が均一に帯電される(帯電工程)。次に、露光部により電子写真感光体の表面に光が照射され、光の照射された部分の帯電電荷が除去されて、画像情報に応じて静電荷像(静電潜像)が形成される(潜像形成工程)。その後、静電荷像が現像部により現像され、電子写真感光体の表面にトナー画像が形成される(現像工程)。
【0043】
例えば、電子写真感光体として有機感光体を用い、露光部としてレーザビーム光を用いたデジタル式電子写真複写機を考える。この場合、電子写真感光体の表面は、帯電部により負電荷を付与され、レーザビーム光によりドット状にデジタル潜像が形成され、レーザビーム光の当たった部分に現像部によりトナーが付与され可視像化される。
【0044】
続いて、転写部で、用紙等の被転写体がこのトナー画像に重ねられ、被転写体の裏側からトナーとは逆極性の電荷が被転写体に与えられ、静電気力によりトナー画像が被転写体に転写される(転写工程)。転写されたトナー画像は、定着部において定着部材により熱及び圧力が加えられ、被転写体に融着されて定着される(定着工程)。
【0045】
他方、転写されずに電子写真感光体の表面に残存したトナーは、クリーニング部で除去される(クリーニング工程)。この帯電からクリーニングに至る一連のプロセスで、一回のサイクルが終了する。
なお、トナー画像は、中間転写体等の転写体を介して、被転写体に転写されても良い。
【0046】
以下、画像形成装置における帯電手段、静電潜像担持体、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、定着手段について説明する。
【0047】
[帯電手段]
帯電手段である帯電部としては、例えば、コロナ放電を利用した帯電器や導電性又は半導電性の帯電ローラ等を用いることが出来る。導電性又は半導電性の帯電ローラを用いた接触型帯電器は、電子写真感光体に対して、直流電流を印加してもよく、交流電流を重畳させて印加してもよい。このような帯電部により、電子写真感光体との接触部近傍の微小空間で放電を発生させることで、電子写真感光体表面を帯電させる。なお、導電性又は半導電性の帯電ローラは、単層構造であってもよく、多重構造であってもよい。また、帯電ローラの表面をクリーニングする機構を更に設けてもよい。
【0048】
[静電潜像担持体]
静電潜像担持体は、少なくとも潜像(静電荷像)が形成される機能を有する。静電潜像担持体としては、電子写真感光体が好適に挙げられる。電子写真感光体は、円筒状の導電性の基体外周面に、有機感光体等を含む塗膜を有する。塗膜は、基体上に、必要に応じて下引き層と、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを含む感光層とが、この順序で形成されたものである。電荷発生層と電荷輸送層との積層順序は、逆であってもよい。
【0049】
これらは、電荷発生物質と電荷輸送物質とを個別の層(電荷発生層、電荷輸送層)に含有させて積層した積層型感光体であるが、電荷発生物質と電荷輸送物質との双方を同一の層に含む単層型感光体であってもよいが、好ましくは積層型感光体である。また、下引き層と感光層との間に中間層を有していてもよい。また、有機感光体に限らずアモルファスシリコン感光膜等の他の種類の感光層を使用してもよい。
【0050】
[露光手段]
露光手段である露光部としては、特に制限はなく、例えば、静電潜像担持体表面に、半導体レーザ光、LED光、液晶シャッタ光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系機器等が挙げられる。
【0051】
[現像手段]
現像手段である現像部は、少なくとも、現像剤担持体と、現像剤(トナー)及び現像剤規制部材を有し、必要に応じて、現像剤担持体に現像剤を供給する為の現像剤供給部材や攪拌搬送部材とを有する。現像剤担持体は、電子写真感光体の周面上に形成された静電潜像に対して現像剤を供給するものであり、例えば、非磁性の金属や高分子材料からなる円柱状又は筒状部材である。現像剤担持体は、電子写真感光体と対向して回転可能に設置され、現像バイアスを印加する現像バイアス印加部が設けられている。
【0052】
また、現像剤担持体と電子写真感光体とが対向する位置を基準として現像剤担持体の回転方向上流側には、現像剤規制部材が設けられている。現像剤規制部材は、現像剤担持体の周面上に担持した現像剤の層厚に均す部材であって、例えば金属製のブレードから構成することができる。
【0053】
現像剤が非磁性一成分トナーである場合には、攪拌搬送部材等により搬送された現像剤が、直接及び/又は現像剤供給部材によって現像剤担持体表面に供給される。現像剤担持体と電子写真感光体との間には、所定の現像バイアスが印加され、現像剤担持体上の現像剤は、静電潜像に応じて電子写真感光体上に飛翔し、トナー像(可視像)となる。
【0054】
[転写手段]
転写手段である転写部としては、例えば、被転写体の裏側からトナーとは逆極性の電荷を被転写体に与え、静電気力によりトナー画像を被転写体に転写するもの、又は、被転写体の表面に被転写体を介して直接接触して転写する導電性又は半導電性のローラ等を用いた転写ローラ及び転写ローラ押圧装置を用いることができる。
【0055】
転写ローラには、静電潜像担持体に付与する転写電流として、直流電流を印加してもよいし、交流電流を重畳させて印加してもよい。転写ローラは、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード等により、任意に設定することができる。また、低コスト化のため、転写ローラとして単層の発泡ローラ等が好適に用いられる。
【0056】
転写方式としては、紙等の被転写体に直接転写する方式でも、中間転写体を介して被転写体に転写する方式でもよい。
【0057】
中間転写体としては、公知の中間転写体を用いることができる。中間転写体に用いられる材料としては、ポリカーボネート樹脂(PC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリアルキレンフタレート、PC/ポリアルキレンテレフタレート(PAT)のブレンド材料、エチレンテトラフロロエチレン共重合体(ETFE)/PC、ETFE/PAT、PC/PATのブレンド材料等が挙げられるが、機械的強度の観点から熱硬化ポリイミド樹脂を用いた中間転写ベルトが好ましい。
【0058】
[クリーニング手段]
クリーニング手段であるクリーニング部については、静電潜像担持体上の残留トナーを清掃するものであれば、ブレードクリーニング方式、ブラシクリーニング方式、ローラクリーニング方式を採用したもの等、適宜選定して差し支えない。これらの中でも弾性を有するクリーニングブレードを用いることが好ましい。
【0059】
[定着手段]
定着手段(画像定着装置)である定着部としては、被転写体に転写されたトナー像を加熱、加圧あるいは加熱加圧により定着するものであり、ローラ状やベルト状の定着部材を備えるものである。
【0060】
本実施形態の画像形成装置では、画像情報に従って、記録材(例えば、記録用紙、プラスチックシート、等)に画像を形成することが可能である。画像情報は、画像形成装置に接続された画像読み取り装置、或いは画像形成装置本体に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器から入力される。
【0061】
続いて、上記のような画像形成装置の現像手段である現像装置について、より詳細に説明する。
【0062】
[現像装置の説明]
図1は、本実施形態に係る現像装置100の概略構成を示す断面図であり、上記の如き画像形成装置に搭載される。例えば、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色に対応する現像装置100を備えた画像形成装置は、現像装置100による現像により、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色を用いてカラー画像を形成する。画像形成装置は、トナー像を形成する現像ローラ110を備えた現像装置100のほかに、用紙を搬送する記録媒体搬送ユニットと、トナー像を用紙に二次転写する転写ユニットと、周面に画像が形成される静電潜像担持体である感光体ドラム30と、トナー像を用紙に付着させる定着ユニットとを備えている。
【0063】
このような画像形成装置に被記録画像の画像信号が入力されると、画像形成装置の制御部は、受信した画像信号に基づいて、帯電ローラにより感光体ドラム30の表面を所定の電位に均一に帯電させる。その後、露光ユニットにより感光体ドラム30の表面にレーザ光を照射して静電潜像を形成する。一方、各現像装置100では、現像室内にあるトナーT(現像剤)をトナー供給ローラ120(現像剤供給体)により現像ローラ110に担持させる。
【0064】
そして、現像ローラ110の回転によりトナーが感光体ドラム30と対向する領域まで搬送されると、現像ローラ110に担持されたトナーが感光体ドラム30の周面上に形成された静電潜像に移動し、静電潜像が現像される。このような現像をマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色に対して行う。こうして形成されたトナー像は、感光体ドラム30と転写ベルトとが対向する領域で、感光体ドラム30から転写ベルトへ一次転写される。そして、トナー像は、記録媒体搬送ユニットによって搬送された用紙に二次転写される。その後、トナー像が二次転写された用紙は、定着ユニットへ搬送されて定着され、画像形成装置の外部へ排出される。
【0065】
ここで、現像装置100は、前述した現像ローラ110のほかに、トナー供給ローラ120、トナー収容室130(現像剤収容室)、弾性当接体142を有する現像剤規制部材、現像室150、トナー貯留部160(現像剤貯留部)、区画壁170、搬送部材135及び撹拌部材165を備えている。なお、画像形成装置には、現像装置100が、マゼンタ、イエロー、シアン、ブラックの各色に対応して設けられるが、現像剤であるトナーの種類が異なることを除いて基本的な構成は同じであるため、以下、個別の説明は省略する。
【0066】
トナー収容室130は、トナーTを収容する室である。現像室150は、現像ローラ110によって現像を行う室であり、トナー収容室130の上方に隣接して配置されている。トナー収容室130と現像室150との間には区画壁170が設けられており、区画壁170が両室130,150を区画する。区画壁170にはその一部に開口部172が設けられており、この開口部172を介してトナー収容室130と現像室150とが繋がるようになっている。トナー収容室130、現像室150及び区画壁170は、一体に形成されている。
【0067】
トナー収容室130には、トナーTを現像室150に搬送する搬送部材135が設けられている。搬送部材135は、回転可能な搬送部材であり、回転動作を行うことにより、区画壁170の開口部172を通じて、トナー収容室130内に収容されているトナーTを所定量、現像室150内に搬送する。
【0068】
トナー供給ローラ120は、トナー収容室130から搬送部材135によって供給されたトナーTと、後述する規制部材140によって現像ローラ110から掻き落とされたトナーTとが撹拌部材165で撹拌混合されたトナーTを、現像ローラ110に供給するための供給部材である。トナー供給ローラ120は、現像ローラ110の周面上に当接するように現像ローラ110に対向して現像室150内に配置されている。トナー供給ローラ120は、例えばポリウレタンフォーム等の弾性部材からなり、弾性変形可能なように形成されており、弾性変形された状態で現像ローラ110に当接するようになっている。
【0069】
トナー供給ローラ120は、例えば反時計回りに回転し、同じく反時計回りに回転する現像ローラ110との当接領域において、現像ローラ110と逆方向に移動するように構成されている。このような構成のトナー供給ローラ120の表面には、撹拌混合されたトナーTが付着されており、トナー供給ローラ120の表面が現像ローラ110の表面(
図1参照)に当接することによって、トナー供給ローラ120から現像ローラ110にトナーTが供給され、現像ローラ110にトナーを担持させる。また、トナー供給ローラ120は、トナーTの供給と同時に、感光体ドラム30との現像ニップを通過して現像に使用されなかったトナーTを現像ローラ110から剥ぎ取り、トナーTが長時間現像ローラ110上に滞留することで帯電量が過上昇することを防止する機能も持ち合わせている。
【0070】
現像ローラ110は、トナー供給ローラ120から供給されたトナーTをその表面に担持して感光体ドラム30と対向する領域までトナーTを搬送し、感光体ドラム30の周面上に形成された静電潜像にそのトナーTを移動させて、静電潜像を現像させるための部材であり、トナー供給ローラ120の周面上に当接するようにトナー供給ローラ120に対向すると共に感光体ドラム30に対向するように現像室150内に配置されている。
【0071】
[現像剤担持体の構成]
本発明に係る現像剤担持体は、その表面には凸部と凹部が規則的に配置された現像剤担持面が設けられている。凹部表面には、現像剤中に存在するシリコーンオイル処理無機微粉体(以下、「オイル処理微粉体」とも称す)を担持可能な微小凹部が形成されている。これにより、従来から指摘されていた問題点に加え、上述の如き新たな問題点に対しても、包括的に高度な対応が可能となる。
【0072】
現像剤担持体を現像ローラとする場合には、現像ローラの外周面に、現像ローラの周方向及び現像ローラの回転軸方向に対して傾斜する傾斜溝が設けられた現像剤担持面を有する構成が挙げられる。現像ローラは、傾斜溝が螺旋状に連続して、凸部と凹部が規則的に配置された現像剤担持面を有する。傾斜溝が形成された現像剤担持面としては螺旋溝タイプや格子溝タイプ等を挙げることができる。螺旋溝タイプでは、傾斜溝が交差しないように配置されている。格子溝タイプでは、互いに交差するように形成された第1の傾斜溝と第2の傾斜溝とが配置されている。
【0073】
上記の如き現像ローラは、外周面に規則的に配置された凸部と凹部を有する現像剤担持面を有すると共に、凹部にオイル処理微粉体を担持可能な微小凹部が形成されているので、現像剤担持面に担持されるトナー量を常に均一且つ最適な量に調整可能とすることができる。さらにこの現像剤中にオイル処理微粉体を存在させることにより、トナーを凝集させることなく、現像剤担持面表面にシリコーンオイル皮膜を迅速に形成することが可能となる。その結果、現像剤担持面へのトナー等の固着や汚染を防止しつつ、現像剤に好ましい帯電性を付与することが出来る。また、現像剤担持体表面に形成されたシリコーンオイル皮膜は、現像剤中のオイル処理微粉体によって継続的に形成され続けるので、長期にわたって、あらゆる使用条件での現像特性が格段に改善される。
【0074】
特に、磁気拘束力を利用するこが出来ない上に、製法的に特定の荷電制御剤を含有させることが困難であった着色粒子を非磁性一成分現像剤に適応した場合であっても、トナー粒子を適切に帯電させることが出来る。ところで、現像ローラは、磁気拘束力を利用するこが出来ない非磁性一成分現像剤を使用する際に用いても、現像剤担持面に上記の如き適切な表面形状をもたせている為、良好な画像形成が可能である。
【0075】
図2は、本発明に好ましい実施形態の一例である現像ローラ110の概略構成を示す図である。現像ローラ110の外周面には、現像ローラ110の回転軸(図示X方向)に対して角度αの傾斜角でA方向に形成された螺旋状に連続する第1傾斜溝と、同様に角度βの傾斜角でB方向に形成された螺旋状に連続する第2傾斜溝を交差させることで形成された格子溝タイプの現像剤担持面111が形成されている。
【0076】
現像ローラ110の現像剤担持体面の凸部112は、長方形若しくは平行四辺形状を呈しておりC−C線に沿って断面視した際には、台形形状を呈する。
また、現像ローラ110の現像剤担持体面の凹部114には、現像剤中に存在するオイル処理微粉体を担持可能な微小凹部113が形成されている。
【0077】
現像剤担持体は、外周面に配設される現像剤担持面111の形状を、使用する現像剤の形状や構成成分と関連付けることにより、現像特性を飛躍的に改善することが可能である。現像剤担持面111の凸部112と凹部114の高低差は、用いる一成分現像剤の重量平均粒径(D4)の105%以上190%以下に調整することが好ましい。これにより、現像剤担持面上に担持される現像剤は、現像剤規制部材によって、1~2層のトナー粒子層に整列される。そのため、各トナー粒子が均一な帯電付与機会を得ることが出来るので、画像カブリ等を未然に防止し、高品位な画像を得ることが可能となる。現像剤担持面の凸部112と凹部114の高低差が105%未満の場合、現像ローラ上のトナー担持量が十分に確保できないばかりか、縦スジ上の画像不良等が発生し易くなる。また、現像剤担持面111の凸部112と凹部114の高低差が190%を超える場合には、トナー粒子への均一帯電が困難となる。
【0078】
一方、現像ローラ110の現像剤担持体面の凹部114に設けた微小凹部113の深さについては、無機微粒子の平均一次粒径の2.0倍以上30倍以下に調整する。微小凹部113の深さDが無機微粒子の平均一次粒径の2.0倍未満の場合、オイル処理微粉体に対する保持力が十分でなく、また、微小凹部113の深さDが無機微粒子の平均一次粒径の30倍を超える場合には、一旦保持された無機微粒子が微小凹部113から抜け出すことが出来なくなるばかりか、他の微粉成分の侵入を許し、画像不良の原因となる。
【0079】
本発明において、現像剤担持体面の凹部114や微小凹部113の深さDは、以下のように定義される。すなわち、
図3の(a)に示したように、凸部112表面に存在する最高点H1と、凸部112に近接する凹部114表面に存在する最低点H2を決定すると共に、凹部114表面に点在する微小凹部113の中から任意の一か所を選択する。次いで、凸部112と凹部114の最大高低差ΔH(=H1−H2)と微小凹部の深さDを計測する(
図3の(b)参照)。例えば、現像剤担持体が現像ローラ110である場合、先ず、現像ローラ110の中央部及び左右担部付近の計3ケ所において、其々8ケ所の異なる凸部112を選択し、凸部112と凹部114の最大高低差ΔHと微小凹部113の深さDを計測し、それらの平均値を求め、対象となる現像ローラ110の現像剤担持面111の凸部112と凹部114の高低差及び微小凹部113の深さとする。
【0080】
上記のような現像剤担持面の形状測定には、従来公知の方法を用いることが可能であり、例えば、非接触式の表面形状測定装置や形状測定レーザマイクロスコープ等が挙げられ、得られた表面形状情報を、上記のような装置に付属する解析ツールで解析したり、CAD(コンピュータ支援設計)等を用いることによって、図面上で幾何学的に決定することができる。
【0081】
本発明に係る現像ローラは、例えば、円柱状や円筒状の銅、アルミニウム、ステンレス等の金属または合金製のローラ基材の外周面(以下、「円筒面」と称す)をセンターレス研磨機により研磨した後、サンドブラスト処理等の公知の方法によって凹凸処理を施し、円筒面に均一で微細な凹凸を形成する。その後、更に、転造法やエッチング法等の公知の方法により、凹部と凸部が規則的に配置された現像剤担持面を設けると同時に、凹部表面に存在。又、サンドブラスト処理等によって形成された微小な凹凸は、現像剤担持面で規則的に表面加工した後、必要に応じて、研磨やめっき等の追加工を加えることによって製造される。
【0082】
次に、本発明の現像ローラに好適な製造方法の一例を説明する。
図4は、本発明に係る現像ローラ110の製造方法の概要を示す図である。
【0083】
現像ローラ110の現像剤担持面111は、円筒形状を呈するローラ基材803の外周面に、互いに交わる2種類の溝を形成することによって設けられる。より具体的には、互いに同一方向に回転する1対のダイス801とダイス802をローラ基材803の表面に押し当てながら、所定方向に送る通し転造法によって、螺旋状に連続する第1の溝201と第2の溝202を形成することによって設けられる。
【0084】
ダイス801の回転軸とローラ基材803の中心軸とは平行ではなく僅かに(例えば1度)傾けられる。また、ダイス802の回転軸とローラ基材803の中心軸との間も、上記とは反対方向かつ同じ大きさ(例えば−1度)に傾けられる。この様に調整することにより、ローラ基材803には、ダイス801とダイス802の回転に起因するスラスト力が作用することとなり、ダイス801とダイス802を回転させることにより、ローラ基材803が軸方向に沿って送られる。
図4に示す例では、ダイス801とダイス802の回転によってローラ基材803は回転しながら図の右方向に送られる。
【0085】
ダイス801とダイス802の其々は、円筒の外周面に螺旋状の突起を有する形状となっている。ダイス801における螺旋状の突起のピッチをP1、螺旋角をθ1とする。この突起をローラ基材803に押し当てることにより、ローラ基材803の表面が塑性変形して、螺旋角θ1´を呈する螺旋状に連続する第1の溝201が溝間隔P1´で刻まれる。この時、第1の溝の螺旋角θ1´は、ダイス801の突起の螺旋角θ1と、ローラ中心軸に対するダイス801の回転軸の傾きの大きさとによって決めることが出来る。また、
図4に破線で示す三角形から、90度から第1の溝201の螺旋角θ1´を引いた値が、
図2に示した傾斜角αに相当していることがわかる。第1の溝201は、1条や多条の何れであってもよく、ダイスの形状によって選択可能である。
【0086】
また、ダイス802に設けられた突起の螺旋のピッチをP2、螺旋角をθ2とする。この突起をローラ基材803に押し当てることにより、螺旋角θ2´を呈する螺旋状に連続する第2の溝202が溝間隔P2´で刻まれる。また、
図2に破線で示す三角形から、180度から第2の溝202の螺旋角θ2´を引いた値が、
図2に示した傾斜角βに相当していることが判る。第2の溝202も、1条や多条の何れであってもよい。
【0087】
このようにすることにより、ローラ基材803の外周面には格子状に交わる2種類の溝が刻まれて、この溝が現像ローラ表面の凹部114として機能する。また、溝に囲まれた多数の突起部が現像ローラ表面の凸部112として機能することとなる。各凸部の頂面は、もとのローラ基材803の表面であって、当然にこれらはいずれも単一の円筒面の一部をなしている。
【0088】
ここで、第1の溝201を形成する為のダイス801と、第2の溝202を形成する為のダイス802との間で、その突起のピッチを僅かに異ならせたり(P1≠P2)、ダイスのピッチ比を非整数比としたり、更には螺旋角を僅かに異なる値に設定することで(θ1≠θ2)、凸部112の配列状態を変化させることが出来るので、現像ローラと当接する部材間での自己クリーニング性能や部品相互の摩耗状態を好ましいものとすることが出来る。
【0089】
図5は、現像ローラに非磁性一成分現像剤を適応させる際に好ましい現像剤規制部材の実施形態の一例であって弾性ブレード140を示している。弾性ブレード140は、基体143、弾性当接体142及び固定部材141を有する。固定部材141は、弾性当接体142を基体143に固定するものである。
【0090】
弾性当接体142は、現像ローラ110の軸方向に平行に延び且つ端部を有し、現像ローラ110の表面に設けられた現像剤担持面111に圧接させる。弾性当接体142の「突出し量」を調整することにより、現像剤担持面111上に所望量の現像剤(トナー)の薄層を形成することが出来る。
【0091】
本発明において、現像剤規制部材の「突出し量」とは、現像剤担持体(現像ローラ110)の回転中心O
110から現像剤規制部材の先端部を通過して該現像剤担持体の外周に達する延長線L
110上に存在する現像剤規制部材の先端部の圧接面側との交点J1から現像剤担持体の外周面との交点までの距離Jのことである。
【0092】
また、弾性当接体142の当接部分は、多数回の画像形成を繰り返しながら減耗するように設定することにより、自己クリーニングを行うことが可能となるので、例えば、弾性当接体142に、現像ローラ110に対する表面硬度比が0.20以上1.00未満のリン青銅又はステンレス等によって形成された板状部材が好ましく選択される。
【0093】
これにより、トナーのフィルミング等を防止できるので、トナー粒子の帯電状態に維持だけではなく、トナー粒子の担持状態をも最良の状態に維持することが出来る。その結果、例えば、縦縞状の画像濃度ムラの発生を抑制し、画像濃度、印刷背景の相当する非画像領域のトナー汚れ、細線再現性及び色味等の悪化/変動等を最小限に留めることを可能とした優れた現像装置を提供することが出来る。
【0094】
尚、上記の現像装置を、外部からの変形応力の影響を受け易いプロセス・カートリッジ方式の画像形成装置に用いた場合、その効果は非常に大きく発現する。
【0095】
次いで、本発明の現像装置に用いられる現像剤について説明する。
【0096】
<現像剤について>
本実施形態の現像剤は、少なくとも、着色剤と結着樹脂からなる着色粒子の表面に、少なくとも、現像剤担持体の外周面に設けられた現像剤担持面の凹部表面に設けた微小凹部の内部に担持可能なシリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粒子を付着及び/又は固定化したものである。現像剤は、トナー(以下、「トナー粒子」ともいう)のみで構成される一成分現像剤や、トナーと磁性キャリアを混合してなる二成分現像剤であってもよい。特に、本実施形態の現像ローラは、現像ローラ上での帯電付与性や搬送性の面で不利である非磁性一成分現像剤に対して非常に有効である。
現像剤は、例えば無機微粒子を、着色粒子100質量部に対して、2質量部以上8質量部以下で付着及び/又は固定化したものである。無機微粒子中のシリコーンオイルの含有率は、1.5
mg/g以上25
mg/g以下である。
【0097】
[着色粒子]
本実施形態の着色粒子は、結着樹脂中に均一に着色剤を分散させた粒子であって、高品位な画像形成に供する為に重量平均粒径が7μm以下の微小粒径を呈する着色粒子が好ましく適応される。このような着色粒子は、所謂、粉砕法や重合法といった従来公知の方法によって製造することが出来、特に、着色粒子を一成分現像剤に適応する場合には、着色粒子の粒子径や形状を制御し、本実施形態の現像装置に好ましく適用することが出来る。
【0098】
一般に、上記の如き方法により一成分現像剤を調製した場合、得られた一成分現像剤の重量平均粒径が着色粒子の重量平均粒径より大きくなることはない。従って、着色粒子は、現像剤として適応される現像装置の現像剤担持体の表面形状を勘案し、現像剤担持体の凸部と凹部の高低差が、着色粒子の重量平均粒径の105%以上190%以下の範囲に収まるように製造することが好ましい。
【0099】
ところで、着色粒子中には、重量平均粒径よりも細かい着色粒子の微粉が存在し、特に一成分現像剤に用いた場合には、現像剤の帯電性に悪影響を与えたり、現像剤担持体表面を汚染したり、場合によっては固着物を発生させる等の原因になることが知られている。
【0100】
本実施形態の現像剤担持体は、凹部表面に存在する微小凹部にシリコーンオイル処理微粉体を担持しながらシリコーンオイル皮膜を形成するので、これらの現象を大幅に減じることが出来るが、着色粒子の個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の着色粒子の微粉を20個数%以下に抑制することによって、現像剤担持体面上のトナー粒子が現像に好ましい整列状態になる為、高品位の画像を安定して再現することが可能となる。
【0101】
ここで、非磁性一成分現像剤の重量平均粒径について説明する。一成分系現像剤の重量平均粒径(D4)や個数基準の粒径頻度分布における3μm以下のトナーの粒子数は、例えば、精密粒度分布測定装置「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)を用い、該測定装置の操作説明書に従い、ベックマン・コールター社のインターネットのホームページに記載されている「トナー粒子径分布の測定方法(http://www.beckmancoulter.co.jp/product/product03/toner/04.html)」等を参考にして測定することが出来る。
【0102】
具体的な測定方法としては、懸濁液作成用ビーカーに電解液「アイソトンII-pc」(ベックマン・コールター社製)100mlを用意し、ここに分散剤としての界面活性剤(好ましくはLAS;直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)0.1gを加えた後、測定試料(トナー粒子又はトナー)5mgを加え、トナー懸濁液とする。次いで、該トナー懸濁液中の測定試料の分散性を高める為に、超音波バス等を用いて外部からの超音波照射処理を2分間行い、測定サンプルを調製する。アパーチャーチューブには50μmの開口径を有するものを用い、測定試料の体積及び個数を、チャンネル毎に測定して、測定試料の体積分布と個数分布を算出する。算出された分布から測定試料の重量平均粒径(D4)と個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の微粉の粒子数を求める。
【0103】
着色粒子に含有される結着樹脂としては、具体的には、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体が挙げられる。また、乳化凝集法や懸濁重合法といったケミカル法によりトナー粒子を得る方法においては、結着樹脂を形成するための単量体が用いられる。具体的には、スチレン;o−(m−,p−)メチルスチレン 、m−(p−)エチルスチレンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、( メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、( メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルなどの(メタ )アクリル酸エステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、シクロヘキセン、(メタ)アクリロニトリル、アクリル酸アミドなどのエン系単量体が好ましく用いられる。これらは 、単独で、又は一般的にはポリマーハンドブック第2版 III−P139〜192(John Wiley&Sons社製)に記載の理論ガラス転移温度(Tg)が40〜75℃を示すように単量体を適宜混合して用いられる。理論ガラス転移温度(Tg)が40℃未満の場合にはトナーの保存安定性や耐久安定性の面から問題が生じやすく、一方75℃を超える場合はトナーの定着点の上昇をもたらす。
【0104】
更に、トナー粒子の機械的強度を高めるために結着樹脂の合成時に架橋剤を用いてもよい。
乾式トナーに用いられる架橋剤のうち2官能の架橋剤として、ジビニルベンゼン、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレ ート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート、及び上記のジアクリレートをジメタクリレートに代えたものが挙げられる。
【0105】
多官能の架橋剤としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びそのメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシ、ポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及びトリアリルトリメリテートが挙げられる。
【0106】
これらの架橋剤は、結着樹脂を構成する重合性単量体100質量部に対して0.01〜10質量部、好ましくは0.1〜5質量部が使用される。
【0107】
結着樹脂としてスチレンアクリル樹脂を用いる場合には、係る樹脂が耐湿性に優れることから、帯電安定性に優れる結着樹脂を製造することが可能となる。また、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合には、得られる画像の透明性に優れ、カラー画像に適した結着樹脂を製造することが出来る。
【0108】
一方、着色粒子に含有される着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等の染料および顔料を、単独あるいは混合して使用可能である。
【0109】
更に、着色粒子には、公知のワックスを用いることが出来、具体的には、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、モンタンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等が使用可能である。これらの離型剤の中でも、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、エステルワックス等を使用することが好ましく、差走査熱量測定(DSC)で測定される最大吸熱ピーク温度が50℃以上110℃未満の領域に吸熱ピークを呈するものが、現像ローラ表面へのトナー固着の防止の観点から特に好ましく用いられる。
【0110】
ワックスの最大吸熱ピークは、「ASTM D3418−82」に準じて、例えば、「DSC−50」(島津製作所社製)により測定される。標準物質にはイリジウムを用い、測定に際しては、アルミニウム製のサンプルセルを用い、室温〜180℃の測定領域を昇温速度10℃/minで昇温した時に得られるDSC曲線から最大吸熱ピークのピーク温度を求めることが出来る。尚、ワックスのみを測定する場合には、測定時と同一条件で昇温−降温を行って前履歴を取り除いた後に測定を開始する。また、トナー中に含まれた状態のワックスを測定する場合には、前履歴を取り除く操作を行わず、そのままの状態で測定を行う。
【0111】
一般に、上記の如き着色粒子を一成分現像剤に適応する場合、サリチル酸、ナフトエ酸、ダイカルボン酸などのカルボン酸の金属化合物;スルホン酸又はカルボン酸基を側鎖に持つ高分子型化合物;ホウ素化合物;尿素化合物;ケイ素化合物 ;カリークスアレーン等のネガ系荷電制御剤や、四級アンモニウム塩;該四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物等のポジ系荷電制御剤を添加することにより、帯電速度や帯電量を調製することが出来る反面、現像剤と接触する部材表面への付着汚染に起因する画像不良等を生じるばかりか、荷電制御剤を含有する着色粒子をケミカル法で製造する場合には、荷電制御剤が水中に溶出したり、重合に悪影響を及ぼしたりするといった新たな問題も生じていた。
【0112】
しかしながら、本実施形態の現像装置では、着色粒子中に荷電制御剤を用いずとも、現像剤担持体の表面形状と一成分現像剤の粒度分布を制御することにより、現像に好ましい状態とすることが出来るので、上記の如き問題を未然に防ぐことができる。
【0113】
[シリコーンオイル処理無機微粉体]
シリコーンオイル処理無機微粉体は、無機微粒子の構成成分として単独或いは他の無機微粉体と共に乾式混合されることで着色粒子に付着及び/又は固定化されて現像剤に調製された後、現像剤担持面の凹部表面に供給され、凹部表面に設けた微小凹部への担持と脱離を繰り返しながら、現像剤担持体面にシリコーンオイル皮膜を形成し、現像に好ましい状態を作り出すことが可能となる。
【0114】
シリコーンオイル処理無機微粉体は、無機微粉体表面をシリコーンオイルで処理したものであって、無機微粉体としては、金属酸化物微粉末であることが好ましく、Si、Al、Tiの酸化物やそれら等の複合化合物から好ましく選択される。また、表面をシリル化剤等により予め疎水化しておくことにより、シリコーンオイルによる処理を均一に施すことが出来、現像剤に好ましい特性をもたらすことが出来る。
【0115】
無機微粉体は、シリコーンオイルで処理される表面を十分に有する必要があることから、BET比表面積が28~300m
2/gを呈するものが好ましく用いられ、特に40〜100m
2/gを呈するものが現像剤に好ましい粉体特性を付与することが出来るので好ましく用いられる。
【0116】
シリコーンオイルとしては、一般式(1)で表せるものが好ましい。
【化1】
(ここで、Rは炭素数1〜3のアルキル基を表わし、R’はアルキル、ハロゲン変性アルキル、フェニル、変性フェニル等のシリコーンオイル変性基を表わし、R”は炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシ基を表わし、m、nは整数を表わす。)
【0117】
シリコーンオイル処理無機微粉体に用いられるシリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、ビニル基含有シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0118】
特に、負帯電性一成分現像剤中に用いる場合、シリコーンオイル処理無機微粉体は、窒素原子を含有するシリコーンオイルで処理されたものを用いることが好ましく、窒素原子を有するシリコーンオイルによるシリコーンオイル皮膜が現像剤担持面に形成され、現像剤に好ましい負帯電性を付与することが可能となる。このような窒素原子を有するシリコーンオイルとしては、例えば、少なくとも下記式で表わされる部分構造を有したアミノ変性シリコーンオイルを単独又は他のシリコーンオイルと混合して使用することが出来る。尚、これ等の部分構造はシリコーンオイル末端に有していてもよい。
【0119】
【化2】
(式中、R
1は水素、アルキル基、アリール基又はアルコキシ基を示し、R
2はアルキレン基又はフェニレン基を示し、R
3,R
4は水素、アルキル基、又はアリール基を示し、R5は含窒素複素環をその構造に有する化合物を示す。但し、上記アルキル基、アリール基、アルキレン基、フェニレン基はアミンを含有していても良いし、また帯電性を損ねない範囲で、ハロゲン等の置換基を有していても良い。)
【0120】
アミノ変性シリコーンオイルにおけるアミン当量(g/mol)は、300以上10000以下が好ましい。アミン当量が300未満の場合には、微粒子に均一コートされ難く、また疎水性が低い。またアミン当量が10000を超える場合には、帯電性が低くなり、微粒子凝集体もネガ帯電性となって画像濃度低下を引き起こす場合がある。より好ましくは、アミン当量が300以上8000以下である。
【0121】
シリコーンオイル処理無機微粉体は、公知の方法により調製することが可能であり、例えば、無機微粉体とシリコーンオイルとを乾式混合機で直接混合して調製する方法や、乾式混合機に投入した無機微粉体に対し、予め適当な溶剤に希釈しておいたシリコーンオイルを噴霧しながら撹拌混合した後、溶剤を加熱除去して調製する方法が挙げられる。
【0122】
無機微粉体を処理する為に用いられるシリコーンオイルの粘度は、25℃における動粘度が30〜500mm
2/sの範囲にあるものが好ましく用いられる。動粘度が30mm
2/s未満の場合、シリコーンオイルから発生する揮発成分が多く、現像剤に対して後述するような悪影響を及ぼす。又、500mm
2/sを超える場合には、現像剤担持面へのシリコーンオイル皮膜の成膜性に問題を生じる。
【0123】
無機微粉体に対するシリコーンオイルの処理量としては、被処理物である無機微粉体の比表面積等との関係があるので一概に限定することは出来ないが、無機微粉体100質量部に対して、シリコーンオイルは1〜30質量部の範囲で用いられる。1質量部未満だと処理効果が発現せず、30質量部を超えると現像剤の流動性が著しく低下し、帯電性や現像性に悪影響を生じる。現像剤担持体表面に上記の如き機能を付与し、現像剤に好ましい現像特性や粉体特性を付与するには3〜10質量部の範囲で処理することが好ましい。
【0124】
ところで、上記の如きシリコーンオイル処理無機微粉体に用いられるシリコーンオイルは、上記一般式で示される様に、様々な重合度を呈するシリコーンと低分子量シロキサンの混合物である。
【0125】
本発明者等が鋭意検討したところ、シリコーンオイル中に存在する低分子量シロキサンは、現像剤の経時劣化を引き起こす可能性があることを知見した。特に、現像装置は、オイル処理微粉体によって、現像剤担持面の表面にオイル皮膜を形成するので、画像形成を長期にわたって休止している場合に経時劣化が進行し易い。その結果、非画像領域(印刷背景)にトナー汚れが発生したり、現像剤担持面へのトナー粒子の固着が誘発される。
【0126】
上記の如き経時劣化の現象は、(1)粉砕法で製造した着色粒子を使用した場合、(2)着色粒子中に融点の低い極性ワックスを含有させた場合、(3)現像剤や現像装置を高温雰囲気下に放置した場合、等により一層顕在化するが、現像剤中の低分子量シロキサンの存在量を抑制することにより未然に防止することが出来る。
【0127】
上記の如き経時変化の発生予測の指標として、現像装置に適応される現像剤中の無機微粒子を150℃で10分間、加熱しした際に発生する低分子量シロキサンの発生量を用いており、発生量を20μg/g以下にすることにより放置劣化を防止することが可能であり、より好ましくは10μg/g以下、更に好ましくは5μg/g以下である。
【0128】
経時変化の発生予測の指標として用いられる「低分子量シロキサン」とは、重合度が2〜10のオルガノポリシロキサンであって、「低分子量シロキサンの発生量」とは、現像剤に用いられる無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生する上記オルガノポリシロキサンの発生量の総和を無機微粉体の質量で除した値を意味する。
【0129】
上記低分子量シロキサンとしては、例えば、鎖状メチルシロキサン2量体〜同10量体や環状メチルシロキサン3量体〜同10量体が挙げられ、各成分の発生量の定量には、ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC−MS)が用いられ、トルエンを標準物質とした時の相対値(トルエン換算値)として求められる。
【0130】
具体的には、先ず、測定対象となる無機微粒子を精秤後、150℃で10分間加熱し、発生した揮発成分を捕集する。次いで、捕集した揮発成分を熱分解GC−MSに導入し、揮発成分の定性分析を行い、上記低分子量シロキサンに該当する成分を選別し、その検出量をトルエン換算値として求めた後に合算し、これを無機微粉体の質量で除した値を低分子量シロキサンの発生量とし、経時劣化防止の指標として用いる。尚、無機微粒子の入手が困難な場合には、同様にして捕集した現像剤からの揮発成分の内、上記低分子量シロキサンに該当する成分を選別/定量し、これを別の分析手法により決定した無機微粒子の質量で除した値を低分子量シロキサンの発生量とすることも出来る。
【0131】
ところで、アミノ変性シリコーンオイルを用いた場合には、上記の低分子量シロキサンに加え、シリコーンオイルをアミノ変性する際に用いた原料や反応副生成物に由来する低分子量アミンも同様の経時劣化の原因となり得る。
【0132】
上記「低分子量アミンの発生量」も、上記低分子量シロキサンの発生量の測定と同時にGC−MSで行うことが出来、現像剤に用いられる無機微粒子を150℃で10分間、加熱した際に発生した揮発成分の内、環状オルガノシロキサン10量体よりも溶出時間が短い範囲に検出される低分子量アミン成分の検出量のトルエン換算値の総和を求め、無機微粒子の質量で除した値を「低分子量アミンの発生量」とし、経時劣化防止の第2の指標として用いることが出来る。
【0133】
この時、低分子量アミンの発生量は、10μg/g以下にすることにより放置劣化を防止することが可能であり、より好ましくは5μg/g以下、更に好ましくは3μg/g以下である。尚、上記低分子量アミンの発生量は、上記低分子シロキサンの発生量と同様に、現像剤の揮発成分を利用して求めることも可能である。
【0134】
無機微粒子に含有される低分子量シロキサン及び低分子量アミンは、公知の方法によって減じることが出来、例えば、予めシリコーンオイルを加熱精製しておく方法や、溶剤に希釈しておいたシリコーンオイルを噴霧しながら無機微粉体に処理を施した後、加熱撹拌しながら、溶剤と共に除去する方法等を挙げることが出来る。
【0135】
オイル処理無機微粉体の個数平均粒子径を16~80nmとするにより、現像剤に適度な流動性を付与しつつ、現像剤担持体表面に存在する微小凹部に担持することが出来る。シリコーンオイル処理無機微粉体の個数平均粒子径が16nm未満となると、混在する着色粒子表面に容易に埋没してしまい添加効果が短期間で消失する。又、80nmを超える場合には、現像剤担持面の微小凹部の開口径や深さが大きくなる為、他の問題を生じ易くなる。更に、オイル処理無機微粉体の個数平均粒子径を20~40nmとすると、現像剤としての能力と現像剤担持体表面の維持を高度に両立させることが出来るので、一層好ましいものとなる。
【0136】
シリコーンオイル処理無機微粉体と共に構成成分として用いられる他の無機微粉体としては、特に制限されることはなく、従来公知の無機微粉体を用いることが可能であり、例えば、シリカ微粉体やチタニア微粉体等の表面をシリル化剤等により処理した疎水性無機微粉体が挙げられる。
【0137】
上記の如き疎水性無機微粉体の個数平均粒子径が7~200nmの場合には、現像剤に好ましい帯電性と流動特性を付与することが可能であり、個数平均粒子径が40~200nmの場合には、共存するシリコーンオイル処理無機微粉体が着色粒子の表面に埋没することを防止し、上記の如き効果を持続させることが可能であり、現像装置の形状や画像形成速度に応じて、種々選択することが出来る。又、予めシリコーンオイルで表面処理されたチタン酸ストロンチウムをシリコーンオイル処理無機微粉体と共に用いることも可能であり、特に、個数平均粒子径が100~500nmで、立方晶を呈するチタン酸ストロンチウムは、現像剤担持体面の凹凸形状に対するクリーニング効果が高い為、好ましく用いられる。
【0138】
無機微粒子の個数平均粒子径は、例えば、測定対象とする無機微粉体の拡大写真を撮影した後、該拡大写真中の測定対象物の画像の輪郭が明瞭になるように画像コントラストを調整し、個数平均粒径の測定用画像を得る。その後、該測定用画像を適宜拡大等した上で、50個以上の無機微粉体を無作為に選択し、その一次粒子の長径をノギスや定規を用いて計測し、個数平均粒径を算出することが出来る。
【0139】
具体的な一例としては、現像剤中の無機微粉体の電子顕微鏡写真を撮影し、その写真を「ニコレ社製画像処理解析装置ルーゼックスIID」により画像処理解析し、各粒子の投影面積に対する円相当径を算出し、その算術平均値をもって平均一次粒径とする。その際、フレーム面積に対する粒子の面積率は2%を超えないようにし、100〜150個の粒子の画像処理を行う。
【0140】
<着色粒子表面への付着及び/又は固定化方法について>
シリコーンオイル処理無機微粉体を、着色粒子表面に付着及び/又は固定化させる方法としては、従来公知の方法を適用することが可能であるが、上記の如き機能を効率的に発現させる為には、乾式混合装置を用いた多段階混合が好ましい。例えば、着色粒子に、無機微粒子の構成成分であるシリコーンオイル処理無機微粉体とその他の疎水性無機微粒子を付着及び/又は固定化させる場合、先ず、その他の疎水性無機微粒子を乾式混合し、次いで、シリコーンオイル処理無機微粉体を乾式混合して現像剤を調製することによって、シリコーンオイル処理無機微粉体の微小凹部に対する挙動が最適化される。
【0141】
本実施形態の現像装置によれば、現像剤担持体の表面に、複数の凸部と凹部が規則的に配置された現像剤担持面を設けることにより、現像剤の担持量と帯電量の変動を最小化出来る。
【0142】
また、凹部表面に特定の深さを有する微小凹部を設けると共に、現像剤中にシリコーンオイル処理無機微粉体を存在させることにより、現像剤担持面表面にシリコーンオイル皮膜を迅速且つ継続的に形成することが可能となり、その結果、前記現像剤担持面への現像剤等の固着や汚染を防止しつつ、現像剤に好ましい帯電性を付与することが出来るので、長期にわたって、あらゆる使用条件での現像特性が格段に改善される。
【0143】
更に、シリコーンオイル処理無機微粉体中の低分子量シロキサン量を20μg/g以下とすることで、トナー粒子に対するケミカルアタックを防止することが可能となり、トナー粒子の可塑化に伴う固着や帯電特性の変動に起因する問題を未然に防ぐことが出来る。
【0144】
現像装置によれば、トナーの搬送不良を改善することができる。現像装置によれば、フィルミングを解決することができる。現像剤担持面上の現像剤の帯電状態を良好なものとすることができる。現像装置によれば、シリコーンオイル処理無機微粉体に用いられるシリコーンオイルの組成などを精密にコントロールすることにより、現像ローラの性能を最大限に引き出すことができる。その結果、高品位なプリント画像を長期間にわたり安定して提供することが可能である。
【実施例1】
【0145】
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0146】
<現像剤担持体の製造例>
[現像ローラの製造例1]
直径16mmの炭素鋼鋼管からなる円柱状のローラ基材の外周面(以下「円筒面」と称す)をセンターレス研磨機により研磨した後、サンドブラスト処理(研磨材;ホワイトアランダム#60)を施し、円筒面を均一に微小な凹凸を形成した。次いで、交差する2本の溝(
図2の矢印A、Bで示される方向の溝)を形成するために、それぞれの溝に対応する凸条が形成されている第1及び第2のダイスを具備した転造装置にローラ基材を設置した。そして、それぞれのダイスとローラ基材とを一定速度で回転させながら、ローラ基材を送り出しつつ、ダイスを押圧し、第1及び第2の溝をローラ基材に転造した。
【0147】
その結果、円筒面には、規則的に配置された複数の凸部及び前記凸部を取り囲む凹部をその表面に有し、前記凸部の表面が互いに同一の円筒面の一部を成した転造ローラを得た。この時、サンドブラスト処理によって形成された微小な凹凸は、転造時の押圧によって変形したが、前記凹部表面に、微小凹部として残った。
【0148】
得られた転造ローラを加温した脱脂液に浸漬して脱脂処理を行った後、Ni-Pめっき浴に浸漬し、円筒面に無電解めっきを施し、これを洗浄、乾燥して、
図2に示す表面構造を呈する現像剤担持面を有する「現像ローラ−1」を製造した。
【0149】
得られた「現像ローラ−1」の表面形状を計測したところ、凸部と凹部の高低差は9μmで、微小凹部の深さは97nmであった。
【0150】
[現像ローラの製造例2〜4]
サンドブラスト処理時の加工圧力、ノズル径及び研磨材の粒径を変更する以外は、「現像ローラの製造例1」と同様にして、微小凹部の深さが異なる現像ローラである「現像ローラ−2〜4」を製造した。
【0151】
[現像ローラの製造例5]
第1と第2のダイスを交換し、其々のダイスが形成する傾斜溝が互いに交差しないように調整し、其々の傾斜溝が同方向に形成されるようにする以外は、「現像ローラの製造例1」と同様にして、螺旋状に連続する傾斜溝によって設けられた凸部と凹部を有する「現像ローラ−5」を製造した。
【0152】
[比較用現像ローラの製造例1及び2]
サンドブラスト処理時の加工圧力、ノズル径及び研磨材の粒径を変更する以外は、前記「現像ローラの製造例1」と同様にして、微小凹部の深さが異なる現像ローラである「比較用現像ローラ−1及び2」を製造した。
「現像ローラの製造例1~5」及び「比較用現像ローラの製造例1及び2」で得られた「現像ローラ−1〜5」及び「比較用現像ローラ−1及び2」の内容を、以下の表1にまとめて示す。
【表1】
【0153】
<シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例>
[シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例1]
乾式法で製造されたシリカ微粉末母体(比表面積50m
2/g)100質量部を撹拌機に投入し、撹拌しながら、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(以下、γ−APSと略す)2質量部、ヘキサメチルジシラザン(以下、HMDSと略す)2質量部及びヘキサン5質量部からなる混合溶液を噴霧し、混合処理を行った後、撹拌を継続しながら、120℃迄昇温し、溶剤を除去して乾燥させ、シラン(水素化ケイ素)処理物とした。
【0154】
次いで、アミノ変性シリコーンオイル(アミン当量=1,900g/mol、25℃における粘度=250mm
2/S)25質量%を含有するジメチルシリコーンオイル(25℃における粘度=3,000mm
2/S)4質量部をヘキサン10質量部に希釈した混合溶液を前記シラン処理物100質量部に撹拌しながら噴霧し、混合処理を行った後、撹拌を継続しながら、120℃迄昇温し、溶剤を除去して乾燥させ、シリコーンオイル処理物とした。
【0155】
更に、得られたシリコーンオイル処理物を120℃の熱風中で6時間流動させて硬化処理を施した後、解砕処理をして「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」を得た。
【0156】
得られた「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」を150℃で10分間、加熱した際に発生した揮発成分を捕集し、熱分解GC−MSを用いて分析を行ったところ、
図6(a)に示すクロマトグラムを得た。前記クロマトグラムを定性分析したところ、経時変化の発生予測の指標として用いられる低分子量シロキサン(重合度が2~10のオルガノポリシロキサン)に該当する成分として、ピークP1〜P8が選別され、環状オルガノシロキサン10量体よりも溶出時間が短い範囲に低分子量アミン成分は検出されなかった。
【0157】
前記ピークP1〜P8の成分の定性結果と、トルエン換算による定量結果は、
図6(b)の通りで、「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」から検出された低分子量シロキサン成分の発生量は11.2μg/gで、低分子量アミン成分の発生量は0μg/gであった。
【0158】
上記「シリコーンオイル処理無機微粉体−1」の内容を、以下の表2にまとめて示す。
【0159】
[シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例2〜9]
用いるシリカ微粉末母体、γ−APS量、HMDS量、シリコーンオイルの内容及び硬化処理の条件を変更する以外は、前記「シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例1」と同様にして、「シリコーンオイル処理無機微粉体−2〜9」を得た。
【0160】
[比較用無機微粉体の製造例]
用いるγ−APS量やHMDS量を増量する以外は、前記「シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例1」と同様にしてシラン処理物を得た後、シリコーンオイルを混合しないまま、100℃の熱風中で3時間流動させて硬化処理を施した後、解砕処理をして「比較用無機微粉体」を得た。
【0161】
前記「シリコーンオイル処理無機微粉体の製造例2~9」及び「比較用無機微粉体の製造例」で得られた「シリコーンオイル処理無機微粉体−2~9」及び「比較用無機微粉体」の内容を、以下の表2にまとめて示す。
【0162】
分析結果の一例として、「シリコーンオイル処理無機微粉体−7」を150℃で10分間、加熱した際に発生した揮発成分のクロマトグラムを
図7(a)に示す。
低分子量シロキサン成分に該当する成分として、ピークP3、P6、P8及びP10〜14が選別され、同様に、低分子量アミン成分に該当する成分として、ピークP1、P2、P4、P5、P7及びP9が選別された。
【0163】
前記ピークP1〜P16の成分の定性結果と、トルエン換算による定量結果は、
図7(b)の通りで、「シリコーンオイル処理無機微粉体−7」から検出された低分子量シロキサン成分の発生量は26.1μg/gで、低分子量アミン成分の発生量は21.9μg/gであった。
【0164】
【表2】
【0165】
〈現像剤の製造例〉
[トナー粒子の製造例1]
下記成分を乾式混合した後、二軸混練機で混練した。
・ポリエステル樹脂(Mw=4万、Tg=60℃) 100質量部
・カーボンブラック(平均粒径=35nm) 5質量部
・エステルワックス(DSCの最大吸熱ピークのピーク温度=70℃) 5質量部
【0166】
得られた混練物を冷却し、大凡1mm以下に粗粉砕した後、更に機械式粉砕機を用いて微粉砕し、得られた微粉砕物を分級して、荷電制御剤を含有しない「トナー粒子−1」を得た。
【0167】
[トナー粒子の製造例2]
混練時に、サリチル酸誘導体のアルミニウム化合物(オリエント化学工業社製)1質量部を追加した以外は、前記「トナー粒子の製造例1」と同様にして、荷電制御剤を含有する「トナー粒子−2」を得た。
【0168】
上記の製造例で得られたトナー粒子−1及び2は、何れも重量平均粒径(D4)が6.7μmで、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の現像剤の粒子数が10個数%となるように製造した。
【0169】
[一成分現像剤の製造例1]
下記の成分を乾式混合装置中に投入して、低回転速度で予備混合を行った後、更に高回転速度で4分間の乾式混合を行った。
・前記トナー粒子−1 100質量部
・疎水化処理シリカ微粒子(平均一次粒子径=100nm) 1.5質量部
・疎水化処理チタニア微粒子(平均一次粒子径=20nm) 1.0質量部
更に、下記の成分を追加投入し、高回転速度で4分間の乾式混合を行った。
・前記シリコーンオイル処理無機微粉体−1 0.4質量部
・HMDS処理シリカ微粒子(平均一次粒子径=15nm) 1.0質量部
【0170】
乾式混合の後、篩掛けにより粗大粒子を除去し、ブラック色の「一成分現像剤−1」を得た。
【0171】
得られた「一成分現像剤−1」を電界放出形走査電子顕微鏡(FE−SEM)で観察したところ、着色粒子である「トナー粒子−1」の表面には、乾式混合された上記無機微粒子が付着及び/又は固定化されており、無機微粒子の総量は、「トナー粒子−1」(100質量部)に対して、3.9質量部であった。
【0172】
又、前記無機微粒子は、シリコーンオイルを3.9mg/g含有しており、150℃で10分間、加熱した際に発生する低分子量シロキサンの発生量は1.1μg/gで、低分子量アミン成分の発生量は0μg/gであった。
【0173】
上記「一成分現像剤−1」の内容を、以下の表3にまとめて示す。
【0174】
[一成分現像剤の製造例2〜6及び8〜10]
前記シリコーンオイル処理無機微粉体−1に代えて、前記シリコーンオイル処理無機微粉体−2〜6若しくはシリコーンオイル処理無機微粉体−8~10を用いた以外は、前記「一成分現像剤の製造例1」と同様にして、「一成分現像剤−2〜6」
及び「一成分現像剤−8〜10」を得た。
【0175】
[一成分現像剤の製造例7]
前記トナー粒子−1とシリコーンオイル処理無機微粉体−1に代えて、前記トナー粒子−2とシリコーンオイル処理無機微粉体−6を用いる以外は、前記「一成分現像剤の製造例1」と同様にして、「一成分現像剤−7」を得た。
【0176】
[比較用一成分現像剤の製造例1]
前記シリコーンオイル処理無機微粉体−1に代えて、前記比較用無機微粉体を用いた以外は、前記「一成分現像剤の製造例1」と同様にして、「比較用一成分現像剤−1」を得た。
【0177】
[比較用一成分現像剤の製造例2]
前記シリコーンオイル処理無機微粉体−1の代わりに、ジメチルシリコーンオイル(KF−96−200CS、信越化学工業社製)0.5質量部を用いた以外は、前記「一成分現像剤の製造例1」と同様にして、「比較用一成分現像剤−2」を得た。
前記「一成分現像剤の製造例1〜10」及び「比較用一成分現像剤の製造例1及び2」で得られた「一成分現像剤−1〜10」及び「比較用一成分現像剤−1及び2」の内容を、以下の表3にまとめて示す。
【0178】
尚、上記の製造例で得られた一成分現像剤と比較用一成分現像剤は、何れも重量平均粒径(D4)が6.7μmで、個数基準の粒径頻度分布における3μm以下の現像剤の粒子数が10個数%であり、乾式混合前の状態を維持していた。
【0179】
【表3】
【0180】
<実施例1>
画像形成装置として、A4サイズ紙対応のモノクロレーザープリンタであるML−3310ND(SAMSUNG ELECTRONICS社製)の現像器ユニットを非磁性一成分トナーに対応した非接触現像ユニットに交換し、33枚/分(A4サイズ紙を縦向きに出力)の画像出力速度で画像形成が可能であるように改造/調整したものを用いた。前記画像形成装置は、静電像担持体であるOPCドラム、接触型帯電器である帯電ローラ及び現像装置を脱着可能にカートリッジ化したプロセスカートリッジを用いる構成をとっており、前記プロセスカートリッジの現像装置部分を非磁性一成分トナーに対応した非接触現像装置に交換し、33枚/分(A4サイズ紙を縦向きに出力)の画像出力速度で画像形成が可能であるように改造/調整したものを用いた。
【0181】
前記画像形成装置の非接触現像ユニットには、「現像ローラの製造例1」で得られた「現像ローラ−1」を使用し、現像剤規制部材の弾性当接体には、ステンレス鋼の薄板(板厚=90μm)を用いた。
【0182】
前記非接触現像ユニットには、前記「一成分現像剤の製造例1」で得られた「一成分現像剤−1」を150g投入し、前記現像剤規制部材の弾性当接体の突き出し量を増減することで、現像ローラ上に担持されるトナー量が0.30〜0.35mg/cm
2の範囲を満足するように調整して用いた。
【0183】
転写材には、富士ゼロックス社製フルカラー複写機用紙C2(70g/cm2、A4サイズ)を用い、得られた画像の画質評価と画像形成装置とのマッチング性評価を実施した。
【0184】
更に、別途準備した前記一成分現像剤−1をポリカップ中に150g量り取り、これをポリカップごとポリ袋内に収め、密封した状態で50℃に設定したオーブン中に一週間放置し、現像剤の経時変化を加速させた。この放置現像剤も同様に評価した。
【0185】
以下に、評価テストの評価項目及び評価基準を示す。
【0186】
[画質評価]
[1.画像濃度]
常温常湿(23℃/55%Rh)、低温低湿(15℃/10%Rh)及び、高温高湿(32℃/80%Rh)の各試験環境において、現像剤を補給しながら、5,000枚分プリントアウト試験を実施し、その際、一辺5mmの正方形のソリッドパッチを四隅付近と中央部分に有する画像を100枚間隔でプリントアウトし、得られた画像のソリッドパッチの反射濃度を分光光度計スペクトロアイ(グレタグマクベス社製)で計測で計測後、平均値を算出し、以下の基準に従って評価した。
A:1.30以上 (非常に良好である)
B:1.15以上1.30未満 (良好である)
C:1.00以上1.15未満 (本発明において許容レベルである)
D:1.00未満 (本発明において不可レベルである)
【0187】
[2.小ポイント文字画像の再現性]
四隅付近と中央部分に5ポイントの文字画像をプリントし、得られた文字画像の再現性を、以下の基準に従い評価した。
A:細線の線幅の変動量が10%未満 (非常に良好である)
B:細線の線幅の変動量が10%以上15%未満 (良好である)
C:細線の変化が15%以上であり、目視でも確認に出来る
(本発明において許容レベルである)
D:細線同士の接触や細線自身の断裂が目視でも容易に確認出来る
(本発明において不可レベルである)
【0188】
[3.非画像領域(印刷背景)のトナー汚れ]
低温低湿(15℃/10%Rh)において、白画像形成時、現像工程後から転写工程に移行する間に感光体ドラム上に存在する現像剤をメンディングテープ(住友3M社製)の粘着面に移し取り、それを紙上に貼ったものの反射濃度を分光光度計スペクトロアイ(グレタグマクベス社製)で計測し、得られた反射濃度からメンディングテープをそのまま紙上に貼った時の反射濃度(ブランク)を差し引いた数値を求め、以下の基準に従って評価した。数値が小さい程、非画像領域のトナー汚れが抑制されていることを示す。
A:0.03未満 (非常に良好である)
B:0.03以上0.07未満 (良好である)
C:0.07以上1.00未満 (本発明において許容レベルである)
D:1.00以上 (本発明において不可レベルである)
【0189】
[画像形成装置とのマッチング性評価]
[1.帯電量分布]
プリントアウト試験終了後、現像ローラの現像剤担持面上に担持されたトナー粒子の一部を回収し、「ホソカワミクロン社製イースパートアナライザーEST−3」を用いての帯電良分布を計測し、q/dがプラス値を呈する成分(正帯電成分)の存在量を評価した。存在量が少ない程、良好な帯電付与がなされていることを示す。
A:10個数%未満 (非常に良好である)
B:10個数%以上20個数%未満 (良好である)
C:20個数%以上30個数%未満 (本発明において許容レベルである)
D:30個数%以上 (本発明において不可レベルである)
【0190】
[2.現像剤担持面の状態]
全試験終了後、トナーを消費しない状態で現像ローラを4時間回転させて、現像剤担持面に強制的に圧力を加えた際の現像剤担持面の状態を顕微鏡下で観察し、以下の基準に従って評価した。
A:未発生 (非常に良好である)
B:トナー粒子の固着部分が、凸部頂面を除く現像剤担持面の10面積%未満
(良好である)
C:トナー粒子の固着部分が、凸部頂面を除く現像剤担持面の30面積%未満
(本発明において許容レベルである)
D:トナー粒子の固着部分が、凸部頂面を除く現像剤担持面の30面積%を超える
(本発明において不可レベルである)
【0191】
上記に従って、評価テストを行ったところ、現像ローラ−1の表面には、凸部と凹部が規則的に配置された現像剤担持面が設けられているので現像剤の担持量と帯電量の変動が最小化されると共に、前記凹部表面に設けた微小凹部の深さDを、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粉体の平均一次粒径dの5.7倍とすることで、前記シリコーンオイル処理無機微粉体を前記微小凹部に継続的に供給/担持させることが可能となり、現像剤担持面表面にシリコーンオイル皮膜を迅速且つ継続的に形成することが可能となった。
【0192】
これにより、前記現像剤担持面への現像剤等の固着や汚染を未然に防止すると共に、アミノ変性シリコーンオイルを含有させることで、現像剤に好ましい負帯電性を付与することが可能となった。その結果、長期にわたって、あらゆる使用条件での現像特性が格段に改善され、非常に良好な画質を呈するプリントアウト画像を得ることが出来た。
又、シリコーンオイル処理無機微粉体中のシリコーンオイルに起因する低分子量シロキサン成分と低分子量アミン成分の揮発量を所定量以下とすることにより、着色粒子に対するケミカルアタックを防止することが可能となり、トナー粒子の可塑化に伴う固着や帯電特性の変動に起因する現像剤の経時劣化を未然に防ぐことが出来た。
【0193】
実施例1の検討内容と評価結果の詳細を、以下の表4と表5にまとめて示す。
【0194】
<実施例2〜10>
「現像ローラ−1」と「一成分現像剤−1」に代え、前記「現像ローラの製造例2〜5」で得られた「現像ローラ−2〜5」と、前記「一成分現像剤の製造例2〜10」で得られた「一成分現像剤−2〜10」を用いる以外は、「実施例1」と同様に評価テストを実施した。
【0195】
実施例2〜10の検討内容と評価結果の詳細を、以下の表4と表5にまとめて示す。
【0196】
〈比較例1〉
「現像ローラ−1」を前記「現像ローラの製造例2」で得られた「現像ローラ−2」し、前記「比較用一成分現像剤の製造例1」で得られた「比較用一成分現像剤−1」を用いる以外は、「実施例1」と同様に評価テストを実施した。
【0197】
その結果、無機微粒子中にシリコーンオイル処理無機微粉体を含有しない為、現像剤担持体表面にトナー粒子の固着を招いたり、現像剤の帯電量分布に問題を生じた。その結果、得られたプリントアウト画像の画質は許容出来ない不可レベルとなるばかりか、接触帯電ローラの表面に現像剤が付着し、画像上に、帯電不良に起因する縦筋状の画像欠陥を誘発した。
【0198】
<比較例2>
「現像ローラ−1」を前記「比較用現像ローラの製造例1」で得られた「比較用現像ローラ−1」に交換し、前記「比較用一成分現像剤の製造例9」で得られた「比較用一成分現像剤−9」を用いる以外は、「実施例1」と同様に評価テストを実施した。この時、「現像ローラ−1」の現像剤担持面の凹部表面に設けた微小凹部の深さDが、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粉体の平均一次粒径dの45倍であった。
【0199】
その結果、前記微小凹部中に保持されたシリコーンオイル処理無機微粉体やその他の微粉成分が抜け出すことが出来なくなり、現像剤担持面表面へのシリコーンオイル皮膜形成が阻害され、プリントアウト画像の画質や画像形成装置とのマッチング性に問題を生じた。
【0200】
<比較例3>
「現像ローラ−1」を前記「比較用現像ローラの製造例1」で得られた「比較用現像ローラ−1」に交換し、前記「一成分現像剤の製造例9」で得られた「一成分現像剤−9」を用いる以外は、「実施例1」と同様に評価テストを実施した。この時、「現像ローラ−1」の現像剤担持面の凹部表面に設けた微小凹部の深さDが、シリコーンオイル処理無機微粉体を構成成分として含有する無機微粉体の平均一次粒径dの1.9倍であった。
【0201】
その結果、前記微小凹部中へのシリコーンオイル処理無機微粉体の保持が困難となり、現像剤担持面表面へのシリコーンオイル皮膜形成が不足し、プリントアウト画像の画質や画像形成装置とのマッチング性に問題を生じた。
【0202】
<比較例4>
「現像ローラ−1」を前記「現像ローラの製造例2」で得られた「現像ローラ−2」し、前記「比較用一成分現像剤の製造例2」で得られた「比較用一成分現像剤−2」を用いる以外は、「実施例1」と同様に評価テストを実施した。
【0203】
その結果、画像濃度は許容出来るレベルであったものの、シリコーンオイルの直接添加によって流動性を失った現像剤が、現像剤担持面上で更に凝集化した為、小ポイント文字画像の再現性や非画像領域のトナー汚れに問題を生じた。
【0204】
このような状態で、現像装置内に新たな現像剤を補給しながら画像形成を多数回繰り返したところ、接触帯電ローラの表面に現像剤が付着し、画像上に、帯電不良に起因する縦筋状の画像欠陥を誘発した。
【0205】
更に、45℃下で一週間放置した「比較用一成分現像剤−2」を評価したところ、現像剤の著しい劣化が認められた。上記の如き問題が加速されただけでなく、現像剤担持体面への著しい固着を生じた為、検討を中止した。
【0206】
比較例1〜4での検討内容と評価結果の詳細を、以下の表4と表5にまとめて示す。
【0207】
【表4】
【0208】
【表5】
【0209】
本発明は、前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で下記のような種々の変形が可能である。
【0210】
例えば、現像剤は負帯電性現像剤と、正帯電性現像剤とを有し、正帯電性現像剤は、窒素原子を有するシリコーンオイルを含有するシリコーンオイル処理無機微粉体を備えるものでもよい。
【0211】
また、上記実施形態では、静電潜像担持体の表面に電荷を付与する為の帯電装置として接触型帯電器を備える構成としているが、帯電装置は接触型帯電器に限定されず、その他の帯電装置を備える構成でもよい。