(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来のスポイト容器では、可動蓋部の上昇に伴ってポンプ室内で生じる負圧の大きさが同等である場合にも、容器本体内の内容物の残量に応じて内容物の吸込量が変化することがあり、内容物の残量に関わらず吸込量を精度良く一定にすることについて改善の余地がある。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、内容物の残量に関わらず吸込量を精度良く一定にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係るスポイト容器は、内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部上に配置された蓋基部と、前記蓋基部に対して上方移動自在に配設された可動蓋部と、前記蓋基部と前記可動蓋部とを上下に離間させる方向に付勢する第1付勢手段と、前記蓋基部に装着され、前記容器本体内に向けて延びるスポイト管と、を備え、前記可動蓋部は、前記口部に着脱自在に装着された装着筒と、弾性変形可能に形成され、前記装着筒の上端開口を閉塞する蓋体と、前記装着筒の径方向の内側に配設され、前記装着筒に連結されたシリンダ部と、を備え、前記蓋基部は、前記シリンダ部内に相対的に上下摺動自在に嵌合されたピストン部を備え、前記スポイト管は前記蓋基部に連結されるとともに、前記スポイト管には前記シリンダ部が上昇自在に装着され、前記スポイト管および前記シリンダ部には、前記シリンダ部が前記スポイト管に対して上昇端位置に位置したときに互いに係合する係合部が形成され、前記スポイト管内は、前記装着筒の上端開口と前記蓋体との間の空間に連通可能とされ、前記シリンダ部に、前記空間に連通する連通孔が形成されたスポイト容器であって、前記口部と、前記蓋基部または前記スポイト管と、の間には、前記蓋基部および前記スポイト管を前記容器本体に対して上方に付勢し、かつ前記第1付勢手段よりもばね定数の高い第2付勢手段を備える介装体が配設され、前記蓋基部は、前記口部または前記介装体に設けられたシール部に当接することで、前記口部を開閉自在に閉塞し、前記蓋基部、前記可動蓋部および前記スポイト管を前記容器本体から離脱した後、再度装着するときに、前記蓋基部が前記シール部から離間した状態で、前記介装体が、前記口部と、前記蓋基部または前記スポイト管と、により上下方向の両側から支持されることを特徴とする。
【0008】
この場合、まず、スポイト管を容器本体から離脱させるため、可動蓋部を容器本体に対して上昇させる。すると、第1付勢手段の付勢力により、可動蓋部のシリンダ部内で、蓋基部のピストン部が相対的に下方に向けて摺動してシリンダ部の内容積が増大し、シリンダ部内に負圧が発生する。この負圧は、連通孔、前記空間およびスポイト管内を通して容器本体内に及ぼされ、容器本体内の内容物がスポイト管内に吸い込まれる。可動蓋部がスポイト管に対して上昇端位置まで上昇して係合部が互いに係合した後、さらに可動蓋部を容器本体に対して上昇させると、可動蓋部とスポイト管とが係合部を介して一体となって上昇することで、スポイト管が、可動蓋部および蓋基部とともに容器本体から離脱される。そして蓋体を押圧することで、スポイト管内の内容物がスポイト管の下端開口から注出される。
容器本体から離脱したスポイト管を再度装着させるときには、可動蓋部を介してスポイト管を容器本体の口部内に挿入し、可動蓋部を容器本体に対して下降させる。このとき、蓋基部がシール部から離間した状態で、介装体が、口部と、蓋基部またはスポイト管と、により上下方向の両側から支持され、この状態(以下、「中間状態」という。)で、容器本体内が、蓋基部とシール部との間に設けられた連通隙間を通して外部に連通されながら、第2付勢手段が、口部により下方から直接または間接的に支持され、かつ蓋基部またはスポイト管により上方から直接または間接的に支持される。ここで第2付勢手段のばね定数が、第1付勢手段のばね定数よりも高いことから、中間状態で可動蓋部を下降させると、第2付勢手段よりも第1付勢手段が優先して弾性変形する。したがって、まず、可動蓋部が、第1付勢手段を弾性変形させて上下方向に圧縮しながら蓋基部に対して下降した後、可動蓋部、蓋基部およびスポイト管が、第2付勢手段を弾性変形させて上下方向に圧縮しながら容器本体に対して下降する。可動蓋部が蓋基部に対して下降するときには、蓋基部のピストン部が、可動蓋部のシリンダ部内を相対的に上方に向けて摺動してシリンダ部の内容積を減少させ、シリンダ部内に正圧を発生させる。この正圧は、連通孔、前記空間およびスポイト管内を通して容器本体内に及ぼされる。このとき、前述のように容器本体内が連通隙間を通して外部に連通されることから、容器本体内に及ぼされた正圧は連通隙間を通して外部に逃がされ、容器本体の内圧上昇が抑えられる。その後、さらに可動蓋部を下降させることで、前述のように可動蓋部、蓋基部およびスポイト管が容器本体に対して下降して蓋基部がシール部に当接し、容器本体の口部が閉塞される。
内容物を再び注出するときには、改めて可動蓋部を容器本体に対して上昇させる。ここで、前回の注出操作時に容器本体の内圧上昇が抑えられているので、今回の注出操作時にシリンダ部内で負圧が発生したときに、容器本体内の内容物がスポイト管内に精度良く一定量吸い込まれる。なお仮に、前回の注出操作時にシリンダ部内に発生する正圧が外部に逃がされなかった場合、この正圧に基づく容器本体の内圧上昇の程度が内容物の残量によって変化するため、今回の注出操作時にシリンダ部内で負圧が発生したときに、負圧の大きさが同等であっても、内容物のスポイト管への吸込量が変化するおそれがある。
このスポイト容器によれば、可動蓋部が蓋基部に対して下降するときにシリンダ部内に発生する正圧を外部に逃がし、容器本体の内圧上昇を抑えることができるので、内容物の残量に関わらず吸込量を精度良く一定にすることができる。
【0009】
前記介装体は、前記口部に下方から支持されるとともに、前記第2付勢手段を下方から支持する支持部を備え、前記支持部は、前記容器本体内と、前記蓋基部と前記シール部との間に設けられる連通隙間と、を連通可能な連絡筒を備え、前記第2付勢手段は、前記連絡筒内に配置されていてもよい。
【0010】
この場合、支持部が、容器本体内と連通隙間とを連通可能な連絡筒を備え、かつ第2付勢手段が、連絡筒内に配置されているので、容器本体の内圧を外部に確実に逃がしつつ、介装体の小型化を図ることができる。
【0011】
前記装着筒は、前記口部に螺着されるとともに、前記シリンダ部に連結部を介して連結され、前記蓋基部は、前記装着筒が容器軸回りに回転するときに前記連結部に係合し、前記可動蓋部と共回りしてもよい。
【0012】
この場合、装着筒が容器軸回りに回転するときに、蓋基部が、連結部に係合して可動蓋部と共回りするので、装着筒を容器本体の口部に着脱するときに、可動蓋部のみならず蓋基部も回転させることが可能になり、ピストン部をシリンダ部内でスムーズに上下摺動させることができる。
【0013】
前記可動蓋部は、前記装着筒に径方向の外側から、相対的に上下動不能にかつ回転不能に装着された外装筒を備え、前記外装筒は、前記蓋体を、その周縁部を前記装着筒との間で上下方向に挟持しながら、上方に向けて露出させていてもよい。
【0014】
この場合、外装筒が、蓋体を、その周縁部を装着筒との間で上下方向に挟持しながら、上方に向けて露出させているので、蓋体の押圧操作を阻害することなく、蓋体を装着筒に強固に固定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、内容物の残量に関わらず吸込量を精度良く一定にすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るスポイト容器を、
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すように、スポイト容器10は、内容物が収容される容器本体11と、容器本体11に着脱自在に装着されるスポイトキャップ12と、容器本体11とスポイトキャップ12との間に配設された介装体13と、を備えている。スポイトキャップ12は、容器本体11の口部11a上に配置された蓋基部14と、蓋基部14に対して上方移動自在に配設された可動蓋部15と、蓋基部14と可動蓋部15とを上下に離間させる方向に付勢する第1付勢手段16と、蓋基部14に装着され、容器本体11内に向けて延びるスポイト管17と、を備えている。
【0018】
ここで、容器本体11は有底筒状に形成されており、容器本体11およびスポイト管17の各中心軸は、共通軸上に配置されている。以下では、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向に沿った容器本体11の図示しない底部側を下側といい、その反対側である容器本体11の口部11a側を上側という。スポイト容器10を上下方向から見た平面視において、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向とする。
【0019】
可動蓋部15は、装着筒18と、シリンダ部19と、蓋体20と、外装筒21と、を備えている。シリンダ部19および蓋体20は、いずれも筒状に形成されており、装着筒18、シリンダ部19、蓋体20および外装筒21は、いずれも容器軸Oと同軸に配置されている。
【0020】
装着筒18は、容器本体11の口部11aに着脱自在に装着されている。本実施形態では、装着筒18のうち、下部18aが口部11aに径方向の外側から螺着されていて、上部18bは口部11aよりも上方に突出している。装着筒18の下端部には、径方向の外側に向けて突出するフランジ部22が設けられている。フランジ部22には、容器軸Oと同軸に配置され、装着筒18を径方向の外側から囲繞する係合筒23が立設されている。
【0021】
図2に示すように、シリンダ部19は、装着筒18の径方向の内側に配設され、装着筒18に連結されている。シリンダ部19は、装着筒18の上部18b内に配置されている。シリンダ部19は、二重の筒状に形成されていて、外周壁24と、内周壁25と、頂壁部26と、を備えている。外周壁24は、装着筒18の上部18bと上下方向に同等の大きさに形成され、内周壁25は、外周壁24よりも上下方向に小さい。外周壁24および内周壁25の各上端部は、上下方向に同等の位置に配置されている。頂壁部26は、容器軸Oと同軸の環状に形成され、外周壁24および内周壁25の各上端部を連結している。
【0022】
頂壁部26には、この頂壁部26を上下方向に貫通する連通孔27が形成されている。連通孔27は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。連通孔27は、外周壁24、内周壁25および頂壁部26により形成されるシリンダ部19の内部に連通している。
【0023】
装着筒18とシリンダ部19との間には、環状隙間28が設けられている。環状隙間28は、装着筒18の上部18bと、シリンダ部19の外周壁24と、の間に形成されている。
装着筒18およびシリンダ部19は、連結部29を介して連結されている。連結部29は、環状隙間28内に周方向に間隔をあけて複数設けられ、装着筒18における上部18bの下端部と、シリンダ部19における外周壁24の下端部と、を間欠的に連結している。
【0024】
図1および
図2に示すように、蓋体20は、弾性変形可能に形成され、装着筒18の上端開口を閉塞している。蓋体20は、有頂筒状(ドーム状)に形成されていて、嵌合筒部30と、膜筒部31と、を備えている。嵌合筒部30は、環状隙間28の上端部内に気密に嵌合されている。膜筒部31は、嵌合筒部30の内周縁から上方に向けて突出している。
装着筒18の上端開口と蓋体20との間には、連通孔27を通してシリンダ部19内に連通する空間32が設けられている。この空間32は、膜筒部31により形成されている。
【0025】
外装筒21は、装着筒18に径方向の外側から、相対的に上下動不能にかつ回転不能に装着されている。外装筒21は、装着筒18のフランジ部22にアンダーカット嵌合することにより、上下動不能に装着されている。外装筒21と係合筒23との間には、互いに係合することで外装筒21と係合筒23との周方向に沿った相対的な回転移動を規制する回転規制部33が各別に設けられており、この回転規制部33を介して外装筒21が装着筒18に回転不能に装着されている。
【0026】
外装筒21は、蓋体20を、その周縁部を装着筒18との間で上下方向に挟持しながら、上方に向けて露出させている。外装筒21の上端部には、径方向の内側に向けて突出する規制リング34が設けられており、規制リング34の内周縁部と、装着筒18の上端部と、の間に、蓋体20の嵌合筒部30が上下方向に挟持されている。規制リング34の内側には、蓋体20の膜筒部31が配置されており、膜筒部31の天壁部は、規制リング34から上方に向けて膨出している。
【0027】
蓋基部14は、ピストン部35と、ピストン支持部36と、パッキン37と、を備えている。ピストン部35およびピストン支持部36は、いずれも筒状に形成され、パッキン37は、環状に形成されており、ピストン部35、ピストン支持部36およびパッキン37は、いずれも容器軸Oと同軸に配置されている。
ピストン部35は、シリンダ部19内に相対的に上下摺動自在に嵌合されている。
図2に示すように、ピストン部35は、内筒部38と、外筒部39と、底壁部40と、脚筒部41と、を備えている。
【0028】
内筒部38は、シリンダ部19の内周壁25に、径方向の外側から上下摺動自在に嵌合されている。外筒部39は、内筒部38を径方向の外側から囲繞している。外筒部39は、内筒部38よりも上下方向に小さく、外筒部39および内筒部38の各下端部は、上下方向に同等の位置に配置されている。外筒部39の上端部には、径方向の内側に向けて突出する摺動部42が設けられている。摺動部42は、シリンダ部19の外周壁24内に上下摺動自在に嵌合されている。底壁部40は、容器軸Oと同軸の環状に形成され、内筒部38および外筒部39の各下端部を連結している。脚筒部41は、外筒部39から下方に向けて延びている。
【0029】
ピストン支持部36は、基筒部43と、環状板部44と、基板部45と、を備えている。基筒部43は、ピストン部35の脚筒部41内に嵌合されている。環状板部44は、基筒部43の上端部から径方向の内側に向けて突出している。基板部45は、基筒部43の下端部から径方向の外側に向けて環状に突出している。基板部45の上面には、ピストン部35の脚筒部41の下端縁が配置されている。
【0030】
基板部45の外周縁には、上方に向けて突出し環状隙間28内に進入する係合片46が突出している。係合片46は、周方向に間隔をあけて複数配置されており、周方向に隣り合う係合片46は、連結部29を周方向に挟み込んでいる。
パッキン37は、容器軸Oと同軸の環状に形成されている。パッキン37は、ピストン支持部36に上下方向に重ねられていて、パッキン37の上面は基板部45の下面に当接している。
【0031】
スポイト管17には、可動蓋部15のシリンダ部19が上昇自在に装着され、かつスポイト管17は、蓋基部14に連結されている。スポイト管17の上端部は、可動蓋部15および蓋基部14に挿通されている。スポイト管17の上端部の外径は、上側から下側に向けて漸次段状に拡径していて、スポイト管17の上端部には、小径管部47、中径管部48および大径管部49が形成されている。
【0032】
小径管部47は、シリンダ部19の内周壁25内に上下動自在に挿通されている。中径管部48には、ピストン支持部36の環状板部44が嵌合される嵌合溝50が周設されている。大径管部49は、蓋基部14の基筒部43内に嵌合され、パッキン37の直上に位置している。大径管部49には、Oリング51が嵌合されるリング保持溝52が周設されている。Oリング51は、大径管部49と基筒部43との間を気密に封止している。
【0033】
なお図示の例では、内周壁25内には、スポイト管17の上端開口を開閉自在に閉塞する弁体53が設けられている。弁体53は、容器軸O上に配置され、シリンダ部19の内周壁25の上端部にブリッジ部54を介して連結されている。ブリッジ部54は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。スポイト管17内は、可動蓋部15がスポイト管17に対して上昇し、弁体53によりスポイト管17の上端開口が開放されたときに、前記空間32に連通する。すなわち、スポイト管17内は、前記空間32に連通可能となっている。
【0034】
スポイト管17およびシリンダ部19には、シリンダ部19がスポイト管17に対して上昇端位置に位置したときに、互いに係合する係合部55が形成されている。係合部55として、シリンダ部19に設けられた外係合部55aと、スポイト管17に設けられた内係合部55bと、が備えられている。外係合部55aは、シリンダ部19の内周壁25の下端から径方向の内側に環状に突出し、内係合部55bは、スポイト管17の小径管部47の上端から径方向の外側に環状に突出している。外係合部55aは、内係合部55bに下方から対向しており、シリンダ部19がスポイト管17に対して上昇したときに、外係合部55aが内係合部55bに下方から係合することで、シリンダ部19の更なる上昇移動が規制される。
【0035】
第1付勢手段16は、可動蓋部15のシリンダ部19と、蓋基部14のピストン部35と、の間に配置されている。第1付勢手段16は、シリンダ部19の頂壁部26により上方から支持され、かつピストン部35の底壁部40に下方から支持されている。第1付勢手段16は、筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配置されている。第1付勢手段16としては、例えばコイルスプリングなどを採用することができる。
【0036】
図1に示すように、介装体13は、容器本体11の口部11aと、スポイトキャップ12の蓋基部14またはスポイト管17と、の間に配置されている。本実施形態では、介装体13は、口部11aに装着され、蓋基部14に下方から当接している。介装体13は、支持部56と、第2付勢手段57と、カバー部58と、を備えている。
【0037】
支持部56は、容器本体11の口部11aに下方から支持される。支持部56は、連絡筒59と、鍔部60と、土台部61と、を備えている。連絡筒59は、口部11a内に嵌合されている。鍔部60は、連絡筒59の上端部から径方向の外側に向けて突出し、口部11aの上端開口縁上に配置されている。土台部61は、連絡筒59の下端部から径方向の内側に向けて環状に突出している。土台部61の内周面は、スポイト管17の外周面から径方向の外側に離間している。
【0038】
第2付勢手段57は、支持部56により下方から支持されていて、スポイトキャップ12を容器本体11に対して上方に付勢する。図示の例では、第2付勢手段57は、コイルスプリングにより形成されている。第2付勢手段57は、支持部56の連絡筒59内に配置されていて、支持部56の鍔部60により下方から支持されている。第2付勢手段57のばね定数は、第1付勢手段16のばね定数よりも高い。
【0039】
カバー部58は、第2付勢手段57を径方向の内側および上方から覆い、支持部56内に上下動自在に挿入されている。カバー部58は、被覆筒62と、被覆フランジ63と、を備えている。被覆筒62は、支持部56の連絡筒59および第2付勢手段57内に挿通されている。被覆フランジ63は、被覆筒62の上端から径方向の外側に向けて環状に突出しており、第2付勢手段57の上端上に配置されている。
被覆筒62の下端部には、径方向の外側に向けて突出する規制突起64が設けられている。規制突起64は、支持部56の土台部61に下方から対向しており、カバー部58が支持部56に対して上昇端位置まで上昇したときに、土台部61に係合することでカバー部58の更なる上昇移動を規制する。
【0040】
前記スポイト容器10では、スポイトキャップ12が容器本体11に装着された初期状態で、蓋基部14が、容器本体11の口部11aまたは介装体13に設けられたシール部65に当接することで、口部11aを開閉自在に閉塞している。本実施形態では、シール部65は、介装体13の支持部56における鍔部60の上面に設けられており、シール部65に、蓋基部14のパッキン37の下面が圧接することで、口部11aが気密に閉塞されている。
【0041】
前述の初期状態において、蓋基部14のパッキン37は、介装体13におけるカバー部58の被覆フランジ63を、第2付勢手段57の付勢力に抗して下方に押し込んで支持部56の鍔部60内に挿入させており、第2付勢手段57は、被覆フランジ63を介して蓋基部14により上方から支持されている。また初期状態において、第1付勢手段16は、上下方向に圧縮された状態で、シリンダ部19とピストン部35との間に配置されている。
【0042】
次に、
図1および
図2に示すような前記スポイト容器10の作用について説明する。
【0043】
内容物を注出するときには、まず、スポイトキャップ12を容器本体11から離脱させるため、可動蓋部15の装着筒18と容器本体11の口部11aとの螺着を解除し、可動蓋部15を容器本体11に対して上昇させる。このとき、可動蓋部15の外装筒21を容器本体11に対して容器軸O回りの緩み側に回転させると、この回転力が回転規制部33および係合筒23を介して装着筒18に伝達されて装着筒18が外装筒21と共回りし、可動蓋部15の全体が回転する。さらに本実施形態では、このとき可動蓋部15の連結部29が基筒部43の係合片46に係合することで、蓋基部14も可動蓋部15と共回りする。
【0044】
可動蓋部15を容器軸O回りの緩み側に回転させ、可動蓋部15を容器本体11に対して上昇させると、第1付勢手段16の付勢力により、可動蓋部15のシリンダ部19内で、蓋基部14のピストン部35が相対的に下方に向けて摺動してシリンダ部19の内容積が増大し、シリンダ部19内に負圧が発生しながら、弁体53がスポイト管17の上端開口を開放する。シリンダ部19内で発生した負圧は、連通孔27、前記空間32およびスポイト管17内を通して容器本体11内に及ぼされ、容器本体11内の内容物がスポイト管17内に吸い込まれる。
【0045】
可動蓋部15がスポイト管17に対して上昇端位置まで上昇し、係合部55が互いに係合した後、さらに可動蓋部15を容器本体11に対して上昇させると、可動蓋部15とスポイト管17とが係合部55を介して一体となって上昇することで、スポイト管17が容器本体11内から抜き出され、スポイトキャップ12が容器本体11から離脱される。このとき第2付勢手段57も復元変形し、カバー部58が支持部56に対して上昇端位置まで上昇する。
そして、容器本体11から離脱されたスポイトキャップ12において蓋体20の膜筒部31を押圧することで、スポイト管17内の内容物がスポイト管17の下端開口から注出される。
【0046】
容器本体11から離脱したスポイトキャップ12を再度装着させるときには、可動蓋部15を介してスポイト管17を容器本体11の口部11a内に挿入し、例えば、外装筒21を容器本体11に対して容器軸O回りの締め込み側に回転させ装着筒18を口部11aに螺着させる等して、可動蓋部15を容器本体11に対して下降させる。このとき
図3に示すように、蓋基部14のパッキン37がシール部65から離間した状態で、パッキン37が介装体13のカバー部58に当接することで、介装体13が口部11aと蓋基部14とにより上下方向の両側から支持される。この状態(以下、「中間状態」という。)では、容器本体11内が、介装体13の連絡筒59内と、蓋基部14とシール部65との間に設けられた連通隙間66と、を通して外部に連通されながら、第2付勢手段57が、支持部56を介して口部11aにより間接的に下方から支持され、かつカバー部58を介して蓋基部14により間接的に上方から支持される。
【0047】
ここで第2付勢手段57のばね定数が、第1付勢手段16のばね定数よりも高いことから、中間状態で可動蓋部15を下降させると、第2付勢手段57よりも第1付勢手段16が優先して弾性変形する。したがって、まず、可動蓋部15が、第1付勢手段16を弾性変形させて上下方向に圧縮しながら蓋基部14に対して下降した後、スポイトキャップ12が、第2付勢手段57を弾性変形させて上下方向に圧縮しながら容器本体11に対して下降する。
【0048】
可動蓋部15が蓋基部14に対して下降するときには、蓋基部14のピストン部35が、可動蓋部15のシリンダ部19内を相対的に上方に向けて摺動してシリンダ部19の内容積を減少させ、シリンダ部19内に正圧を発生させる。この正圧は、連通孔27、前記空間32およびスポイト管17内を通して容器本体11内に及ぼされる。このとき、前述のように容器本体11内が連通隙間66を通して外部に連通されることから、容器本体11内に及ぼされた正圧は連通隙間66を通して外部に逃がされ、容器本体11の内圧上昇が抑えられる。
その後、さらに可動蓋部15を下降させることで、前述のようにスポイトキャップ12が容器本体11に対して下降して、
図1に示すように、蓋基部14がシール部65に当接して容器本体11の口部11aが閉塞される。
【0049】
内容物を再び注出するときには、改めて装着筒18の口部11aに対する螺着を解除し、可動蓋部15を容器本体11に対して上昇させる。ここで、前回の注出操作時に容器本体11の内圧上昇が抑えられているので、今回の注出操作時にシリンダ部19内で負圧が発生したときに、容器本体11内の内容物がスポイト管17内に精度良く一定量吸い込まれる。なお仮に、前回の注出操作時にシリンダ部19内に発生する正圧が外部に逃がされなかった場合、この正圧に基づく容器本体11の内圧上昇の程度が内容物の残量によって変化するため、今回の注出操作時にシリンダ部19内で負圧が発生したときに、負圧の大きさが同等であっても、内容物のスポイト管17への吸込量が変化するおそれがある。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係るスポイト容器10によれば、可動蓋部15が蓋基部14に対して下降するときにシリンダ部19内に発生する正圧を外部に逃がし、容器本体11の内圧上昇を抑えることができるので、内容物の残量に関わらず吸込量を精度良く一定にすることができる。
【0051】
また支持部56が、容器本体11内と連通隙間66とを連通可能な連絡筒59を備え、かつ第2付勢手段57が、連絡筒59内に配置されているので、容器本体11の内圧を外部に確実に逃がしつつ、介装体13の小型化を図ることができる。
【0052】
また本実施形態では、初期状態において弁体53がスポイト管17の上端開口を閉塞している。したがって、例えば、初期状態において蓋体20を意図せず操作してしまったとしても、容器本体11内の内容物がスポイト管17内に誤って流入するのを抑制することが可能になり、スポイト管17からの内容物の注出量を精度良く一定に確保することができる。さらに例えば、初期状態においてスポイト容器10が転倒すること等により、容器本体11内の内容物がスポイト管17内に流入したとしても、内容物を弁体53によりせき止めることが可能になり、この内容物が空間32に流入するのを規制することもできる。
【0053】
また、装着筒18が容器軸O回りに回転するときに、蓋基部14が、連結部29に係合して可動蓋部15と共回りするので、装着筒18を容器本体11の口部11aに着脱するときに、可動蓋部15のみならず蓋基部14も回転させることが可能になり、ピストン部35をシリンダ部19内でスムーズに上下摺動させることができる。
【0054】
また外装筒21が、蓋体20を、その周縁部を装着筒18との間で上下方向に挟持しながら、上方に向けて露出させているので、蓋体20の押圧操作を阻害することなく、蓋体20を装着筒18に強固に固定することができる。
【0055】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係るスポイト容器を、
図4および
図5を参照して説明する。
この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0056】
図4に示すように、本実施形態のスポイト容器70では、介装体13に、カバー部58を備えさせるのに代えて、介装体13の第2付勢手段57を、径方向の内側および上方に露出させており、初期状態において、第2付勢手段57は、蓋基部14のパッキン37により直接、上方から支持されている。
【0057】
また本実施形態では、第2付勢手段57を、コイルスプリングにより形成するのに代えて、例えばゴムなどの弾性体により筒状に形成している。第2付勢手段57は、介装体13における支持部56の連絡筒59内に、上下方向に圧縮変形可能かつ膨張変形可能に嵌合されている。第2付勢手段57の上下方向の両端部には、径方向に延びる連絡路71が周方向に間隔をあけて複数形成されている。連絡路71は、第2付勢手段57の上下方向の両端面それぞれに溝状に設けられている。
【0058】
さらに本実施形態では、介装体13には、しごき片84が設けられている。しごき片84は、介装体13の支持部56に一体に設けられている。しごき片84は、土台部61から径方向の内側に向けて環状に突出している。しごき片84内には、スポイト管17が上下摺動自在に嵌合されている。しごき片84は、土台部61に連結片85を介して連結されている。連結片85は、周方向に間隔をあけて複数配置されており、支持部56の連絡筒59内は、周方向に隣り合う連結片85の間を通して容器本体11内に連通している。
【0059】
前記スポイト容器70において、スポイトキャップ12を容器本体11から離脱した後、再度装着するときに、
図5に示すように、蓋基部14のパッキン37がシール部65から離間した状態で、パッキン37が介装体13の第2付勢手段57の上端に当接することで、介装体13が口部11aと蓋基部14とにより上下方向の両側から支持される。この中間状態では、容器本体11内が、介装体13の連絡筒59内と、第2付勢手段57の上端部に設けられた連絡路71と、蓋基部14とシール部65との間の連通隙間66と、を通して外部に連通されることから、容器本体11の内圧を外部に逃がすことができる。
【0060】
なお図示の例では、連絡路71が、第2付勢手段57の上下方向の両端部に設けられているので、第2付勢手段57を連絡筒59内に嵌合するときに、連絡筒59の上下方向の向きによらず嵌合させることができるが、本発明はこれに限れられず、連絡路71が、第2付勢手段57の上下方向の一方の端部に限定して設けられていてもよい。
【0061】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係るスポイト容器を、
図6および
図7を参照して説明する。
この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0062】
図6に示すように、本実施形態のスポイト容器80では、容器本体11の口部11aに介装体13が装着されているのに代えて、口部11aにしごき部材81が設けられている。しごき部材81は、本体筒82と、突き当て部83と、しごき片84と、を備えている。本体筒82は、容器本体11の口部11a内に嵌合されている。突き当て部83は、本体筒82の上端部から径方向の外側に向けて突出し、口部11aの上端開口縁上に配置されている。しごき片84は、本体筒82から径方向の内側に向けて環状に突出している。しごき片84内には、スポイト管17が上下摺動自在に嵌合されている。しごき片84は、本体筒82に連結片85を介して連結されている。連結片85は、周方向に間隔をあけて複数配置されており、本体筒82内は、周方向に隣り合う連結片85の間を通して容器本体11内に連通している。
【0063】
また本実施形態では、蓋基部14がパッキン37を備えるのに代えて、蓋基部14のピストン支持部36が下方に向けて露出している。図示の例では、ピストン支持部36のうちの基板部45が露出していて、基板部45は、径方向の外側に位置する外周部86が、径方向の内側に位置する内周部87よりも下側に突出する環状に形成されている。基板部45の内周部87は、スポイト管17の大径管部49の下端部と上下方向に同等の位置に配置されていて、内周部87および大径管部49の各下面により、下方に向けて開口する環状の進入凹部88が形成されている。
【0064】
さらに本実施形態では、介装体13が、容器本体11の口部11aに装着されるのに代えて、スポイト管17に装着されている。介装体13は、カバー部58を備えておらず、介装体13の支持部56は、スポイト管17に上下動自在に径方向の外側から挿通され、第2付勢手段57は、スポイト管17と支持部56との間に配置されている。図示の例では、支持部56の土台部61が、スポイト管17に上下摺動自在に嵌合されており、第2付勢手段57は、土台部61と、スポイト管17の大径管部49と、の間に配置されている。
【0065】
ここで土台部61には、土台部61を上下方向に貫通する連通路89が、周方向に間隔をあけて複数設けられている。連通路89は、径方向の内側に向けて開口している。
またスポイト管17には、介装体13のスポイト管17からの脱落を規制する脱落規制部90が設けられている。脱落規制部90は、支持部56がスポイト管17に対して下降端位置まで下降したときに、支持部56に係合して更なる下降を規制する。脱落規制部90は、スポイト管17の外周面に突起状に形成されていて、支持部56の土台部61に下方から係合する。
【0066】
そして本実施形態では、シール部65が、容器本体11の口部11aにおけるしごき部材81の突き当て部83の上面に設けられている。スポイトキャップ12が容器本体11に装着された初期状態では、ピストン支持部36における基板部45の外周部86が、シール部65に圧接することで、容器本体11の口部11aが気密に封止されている。なおシール部65を、容器本体11の口部11aにしごき部材81を介して間接的に設けるのに代えて、口部11aの上端開口縁上に直接設けることも可能である。
【0067】
前述の初期状態において、介装体13における支持部56の連絡筒59は、しごき部材81の本体筒82内に挿入されており、支持部56の鍔部60は、進入凹部88に進入した状態で、本体筒82により下方から支持されている。第2付勢手段57は、支持部56を介して容器本体11の口部11aに下方から支持され、かつスポイト管17により上方から支持されている。第2付勢手段57は、支持部56の土台部61と、スポイト管17の大径管部49と、の間で上下方向に圧縮変形させられている。
【0068】
次に、前記スポイト容器80の作用について説明する。
【0069】
スポイトキャップ12を容器本体11から離脱させると、介装体13はスポイトキャップ12とともに容器本体11から離脱される。このとき、第2付勢手段57の弾性復元力により、介装体13の支持部56がスポイト管17に対して下方に向けて摺動し、支持部56の鍔部60が、進入凹部88から下方に突出してピストン支持部36の基板部45の外周部86よりも下方に位置する。
【0070】
容器本体11から離脱したスポイトキャップ12を再度装着させるときには、可動蓋部15を介してスポイト管17を容器本体11の口部11a内に挿入し、可動蓋部15を容器本体11に対して下降させる。
このとき
図7に示すように、ピストン支持部36における基板部45の外周部86がシール部65から離間した状態で、介装体13の支持部56における鍔部60がしごき部材81の本体筒82に当接することで、介装体13が口部11aとスポイト管17とにより上下方向の両側から支持される。この中間状態では、第2付勢手段57が、支持部56を介して口部11aにより下方から間接的に支持され、かつスポイト管17により上方から直接支持される。そして容器本体11内が、しごき部材81の本体筒82内、支持部56の連通路89、支持部56の連絡筒59内および連通隙間66を通して外部に連通される。したがって、中間状態で可動蓋部15を下降させることでシリンダ部19内に発生する正圧を、容器本体11内を通して外部に逃がすことができる。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば、前記第3実施形態では、しごき部材81が設けられているが、前記第1、第2実施形態にもしごき部材81を設けることが可能である。この場合、しごき部材81を介装体13と別体に設けることも可能であり、例えばしごき部材81を、介装体13と容器本体11の口部11aとの間に装着させてもよい。また、しごき部材81のしごき片84を、前記第2実施形態のように介装体13と一体に設けることも可能であり、例えば前記第1実施形態において、しごき片84をカバー部58の被覆筒62の内周面から突出させてもよい。
さらに装着筒18が容器本体11の口部11aに螺着されていなくてもよく、本発明では、装着筒18が口部11aに着脱自在に装着された他の形態に適宜変更することが可能である。
【0073】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。