特許第6335759号(P6335759)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335759
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】放射性廃棄物の溶融システム
(51)【国際特許分類】
   G21F 9/30 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   G21F9/30 551G
   G21F9/30 551J
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-224274(P2014-224274)
(22)【出願日】2014年11月4日
(65)【公開番号】特開2016-90358(P2016-90358A)
(43)【公開日】2016年5月23日
【審査請求日】2017年7月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康史
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平2-298896(JP,A)
【文献】 特開平11-14797(JP,A)
【文献】 特開2013-117491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物を溶融する溶融容器を有する溶融炉と、
放射性廃棄物が充填されている投入容器を把持して、前記投入容器内の放射性廃棄物を前記溶融容器に投入する投入機と、
前記投入容器を、前記投入機が把持可能な把持位置と、前記投入機が把持不能な退避位置とに搬送する搬送装置と、
前記投入容器の底部を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置が撮像した画像データを処理する画像処理装置と、を備えており、
前記投入容器の前記底部は開閉可能であり、
前記投入機は、前記投入容器の前記底部を前記溶融容器の上方で開口させることにより、前記投入容器内の放射性廃棄物を前記溶融容器内に投入し、
前記撮像装置は、前記投入機に把持された放射性廃棄物投入後の前記投入容器の前記底部を撮像し、
前記画像処理装置は、前記画像データを処理して前記投入容器の底部における付着物の有無を判定する、放射性廃棄物の溶融システム。
【請求項2】
前記画像処理装置が前記投入容器の底部に付着物が付着していると判定したときに、前記投入容器の底部に付着物が付着していることを作業員に報知する報知装置、をさらに備えている、請求項1に記載の放射性廃棄物の溶融システム。
【請求項3】
前記撮像装置で撮像された前記画像データが表示されるモニタをさらに備える、請求項1又は2に記載の放射性廃棄物の溶融システム。
【請求項4】
前記投入容器の前記底部は、複数の部分底部により構成されており、
前記投入容器の前記底部は、前記複数の部分底部が当接面において互いに当接することにより閉鎖し、前記複数の部分底部が前記当接面において互いに当接しないことにより開口し、
前記撮像装置の少なくとも1つは、前記複数の部分底部の前記当接面を撮像する、請求項1〜3の何れか一項に記載の放射性廃棄物の溶融システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、放射性廃棄物の溶融システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射能を有する不燃性の雑固体や焼却灰などの放射性廃棄物を減容する(即ち、嵩を減らす)ために、これらの放射性廃棄物を溶融する溶融システムが知られている(特許文献1参照)。このような溶融システムは、一般に、溶融炉と、搬送装置と、投入機を備える。溶融炉は、放射性廃棄物を高温で溶融する有底筒状の溶融容器を有する。搬送装置は、予め放射性廃棄物が充填されている有蓋有底の筒状の投入容器を搬送する。投入機は、溶融炉の上方に位置しており、投入容器を把持して投入容器内部の放射性廃棄物を溶融容器に投入する。具体的には、投入機は、搬送装置の搬送面に載置されている投入容器を把持し、投入容器を溶融容器の真上まで下降させ、その位置で投入容器の底部を開口させて、投入容器内部の放射性廃棄物を溶融容器に投入する。投入機は、放射性廃棄物の投入が完了したら、投入容器の底部を閉鎖して、投入容器を上方に引き上げ、搬送装置の搬送面に載置する。搬送装置は、放射性廃棄物投入完了後の投入容器を所定の位置まで搬送し、予め放射性廃棄物が充填されている次の投入容器を搬送する。投入機は、溶融容器の内部が放射性廃棄物で満たされるまで放射性廃棄物の投入作業を繰り返す。
【0003】
溶融容器に十分な量の放射性廃棄物が充填されたら、溶融炉は溶融容器を高温にして放射性廃棄物の溶融を開始する。放射性廃棄物を溶融して減容すると、溶融容器内の上部にはスペースができる。すると、投入機から溶融容器に新たな放射性廃棄物が追加投入される。このように、上記の溶融システムでは、溶融容器で溶融処理を行っている最中においても、投入機から放射性廃棄物が間欠的に追加投入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−025819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した溶融システムでは、溶融容器内に放射性廃棄物を投入するために、搬送装置や投入機によって投入容器の搬送や把持等をしなければならない。放射性廃棄物の溶融処理を連続して円滑に行うためには、搬送装置や投入機による投入容器のハンドリングを適切に行う必要がある。しかしながら、上述した溶融システムにおいては、放射性廃棄物の追加投入を行っていくと、投入容器の適切なハンドリングが困難となり、溶融処理を継続して行うことができないことがあった。
【0006】
本明細書では、放射性廃棄物を溶融する溶融システムにおいて、投入容器の適切なハンドリングを可能とし、これによって放射性廃棄物の溶融処理を安定して行うことができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者等が投入容器の適切なハンドリングが困難となる原因を鋭意検討したところ、投入容器の底部の付着物の影響であることが判明した。即ち、上述したように放射性廃棄物の追加投入が行われると、溶融容器内で既に溶融された液体状の放射性廃棄物(以下、「溶湯」とも称する)が跳ね返って、溶湯の飛沫が投入容器の底部に付着することがある。また、溶融炉内は高温であるため、投入物に含まれるビニール等の可燃物が燃えて、投入容器の底部に固着することがある。以下では、このような溶湯及び固着物を「付着物」と総称する。投入容器の底部に付着物が生じると、投入容器と搬送装置等の設備が干渉し、投入容器の適切なハンドリングが困難となる。
【0008】
本明細書に開示する放射性廃棄物の溶融システムは、溶融炉と、投入機と、搬送装置と、撮像装置と、画像処理装置と、を備える。溶融炉は、放射性廃棄物を溶融する溶融容器を有する。投入機は、放射性廃棄物が充填されている投入容器を把持して、投入容器内の放射性廃棄物を溶融容器に投入する。搬送装置は、投入容器を、投入機が把持可能な把持位置と、投入機が把持不能な退避位置とに搬送する。撮像装置は、投入容器の底部を撮像する。画像処理装置は、撮像装置が撮像した画像データを処理する。投入容器の底部は開閉可能である。投入機は、投入容器の底部を溶融容器の上方で開口させることにより、投入容器内の放射性廃棄物を溶融容器内に投入する。撮像装置は、投入機に把持された放射性廃棄物投入後の投入容器の底部を撮像する。画像処理装置は、画像データを処理して投入容器の底部における付着物の有無を判定する。
【0009】
上記の放射性廃棄物の溶融システムは、撮像装置と画像処理装置を備えている。撮像装置は、放射性廃棄物を投入し終えた後の投入容器の底部を撮像し、画像処理装置は、撮像装置により撮像された画像データを処理して、投入容器の底部における付着物の有無を判定する。この構成によると、放射性廃棄物投入後の投入容器の底部に付着物が付着しているか否かを知ることが可能となり、投入容器の底部に付着物が付着したままの状態で溶融処理が継続されることを抑制することができる。このため、投入容器を適切にハンドリングでき、放射性廃棄物の溶融処理を安定して行うことができる。
【0010】
本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明を実施するための形態、及び、実施例にて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1の放射性廃棄物の溶融システムのブロック図。
図2】高周波溶融装置の概略図であり、把持部及び外筒が高さh1からh3まで下降する様子を示す図。
図3】高周波溶融装置の概略図であり、把持部が高さh3からh4まで下降する様子を示す図。
図4】投入容器の底蓋の開口時及び閉鎖時の模式図。
図5】搬送装置の模式図(その1)。
図6】搬送装置の模式図(その2)。
図7】投入容器とカメラとの位置関係を示す図。
図8】放射性廃棄物の溶融システムのフロー図(その1)。
図9】放射性廃棄物の溶融システムのフロー図(その2)。
図10】放射性廃棄物の溶融システムのフロー図(その3)。
図11】投入容器の底蓋の外表面に付着物が付着した状態を示す図。
図12】投入容器の部分底蓋同士の当接面に付着物が付着した状態を示す図。
図13】実施例2のカメラの設置形態を示す図。
図14】実施例3のカメラの設置形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。
【0013】
(特徴1) 本明細書に開示する放射性廃棄物の溶融システムは、画像処理装置が投入容器の底部に付着物が付着していると判定したときに、投入容器の底部に付着物が付着していることを作業員に報知する報知装置、をさらに備えていてもよい。この構成によると、報知装置が作動することにより、作業員は投入容器の底部に付着物が付着しているという情報を受動的に取得することができる。
【0014】
(特徴2) 本明細書に開示する放射性廃棄物の溶融システムは、撮像装置で撮像された画像データが表示されるモニタをさらに備えていてもよい。この構成によると、作業員が投入容器の底部を実際に確認する前に、予めモニタ上で付着物の大きさや付着箇所を把握することができる。このため、実際の確認作業を円滑に行うことができる。
【0015】
(特徴3) 本明細書に開示する放射性廃棄物の溶融システムでは、投入容器の底部は、複数の部分底部により構成されていてもよい。投入容器の底部は、複数の部分底部が当接面において互いに当接することにより閉鎖し、複数の部分底部が当接面において互いに当接しないことにより開口してもよい。撮像装置の少なくとも1つは、複数の部分底部の当接面を撮像してもよい。投入容器の底部が複数の部分底部により構成されている場合は、放射性廃棄物を追加投入すると、溶融容器から跳ね返った溶湯が部分底部の当接面に付着することがある。また、溶融炉内は高温であるため、投入物に含まれるビニール等の可燃物が燃えて部分底部の当接面に固着することがある。部分底部の当接面にこのような付着物が生じると、複数の部分底部同士を適切に閉鎖することができず、投入容器を適切にハンドリングできない可能性がある。このため、撮像装置が部分底部の当接面を撮像することにより、画像処理装置は、当接面における付着物の有無をも判定することができる。従って、当接面に付着物が付着していることに起因して投入容器を適切にハンドリングできない等の事態の発生を抑制することができる。
【実施例1】
【0016】
実施例1の放射性廃棄物の溶融システム2について、図1〜12を参照して説明する。図1に示すように、溶融システム2は、監視制御装置4と、PLC8(Programmable Logic Controller)と、高周波溶融装置10と、3台の赤外線カメラ18、20、22と、画像処理装置24と、モニタ26を備える。監視制御装置4、PLC8、及びモニタ26は制御室に設置されており、制御室に配備された作業員により管理される。
【0017】
監視制御装置4は、PLC8に制御信号を送信してPLC8を制御する。監視制御装置4はモニタ6を備えている。監視制御装置4は、いわゆるHMI(Human Machine Interface)である。PLC8は、制御盤に収容されたシーケンサ等の制御装置であり、監視制御装置4からの制御信号に基づいて、高周波溶融装置10をシーケンス制御する。即ち、高周波溶融装置10は、溶融炉12と、投入機14と、搬送装置16を備えており、PLC8による制御に従って放射性廃棄物を溶融処理する。赤外線カメラ18〜22は、高周波溶融装置10が有する投入容器60の底蓋64(後述)から放射される赤外線を検出し、輝度データを画像処理装置24に送信する。画像処理装置24は、赤外線カメラ18〜22から送信された輝度データを温度データに変換し、その温度データを処理して、投入容器60の底蓋64における付着物の有無を判定する。画像処理装置24は、付着物有無の判定結果をPLC8に送信すると共に、処理済の熱画像データ(温度に応じて色変換がされた画像データ)をモニタ26に送信する。PLC8は、画像処理装置24から「付着物有」の判定結果を受信すると、監視制御装置4に警報信号を送信する。監視制御装置4は、PLC8から警報信号を受信すると、モニタ6に警報を表示する。モニタ26は、画像処理装置24から受信した熱画像データを表示する。制御室の作業員は、モニタ6に警報が表示されることで、投入容器60の底蓋64に付着物が付着していることを知ることができる。そして、制御室にいながら、モニタ26で付着物の付着状態を確認することができる。作業員は、必要に応じて、監視制御装置4からPLC8に停止信号を送信する。PLC8が停止信号を受信すると、PLC8は、投入機14の動作を一時停止する。なお、投入容器60の底蓋64は、「投入容器の底部」の一例に相当し、監視制御装置4は「報知装置」の一例に相当する。
【0018】
図2、3、5、6は、高周波溶融装置10の概略図を示す。高周波溶融装置10は、溶融炉12、投入機14、及び搬送装置16(図5、6参照)を備えている。溶融炉12は、xy平面上に設置されている。溶融炉12の上部(z方向)には、外部から閉ざされた空間を有する投入準備室28が設置されている。投入準備室28内には、投入機14及び搬送装置16が配置されている。投入準備室28の床面30には円形の開口32が形成されている。開口32の外周には、床面30から上方に突出する円筒状の突出筒34が形成されている。
【0019】
溶融炉12は、炉本体36と、炉本体36の下方に配置された昇降装置38を備えている。炉本体36は、炉体40と、冷却ノズル42と、炉体40の外周面に沿って配置された誘導加熱コイル44を備えている。炉体40は、上端及び下端が開口した筒状に形成されており、その内部に収容空間40aが設けられている。収容空間40aには、溶融容器46が収容可能となっている。冷却ノズル42は、炉体40の下部に、炉本体36の外壁及び炉体40を貫通するように配置されている。炉本体36の外壁と炉体40の間は空洞になっている。誘導加熱コイル44は、その空洞内で、図示しない保持アームによって保持されている。誘導加熱コイル44は、炉体40を介して溶融容器46の側面を覆うように配置されている。誘導加熱コイル44は、図示しない高周波電源(50〜3000Hz)に接続されている。炉体40は、溶融容器46内の放射性廃棄物の高さを検出するセンサ(図示省略)を備えている。
【0020】
炉本体36の上部には、z方向に延びる通路50が設けられている。通路50は、投入容器60(後述)が通過可能な大きさに形成されている。通路50の上端は、投入準備室28の開口32に連通している。通路50の下端は、炉体40の収容空間40aに連通している。通路50の途中には、通路50を開閉する開閉扉52が設けられている。開閉扉52が開くと(図3参照)、開閉扉52より上方の通路50と収容空間40aとが通路50を介して連通し、開閉扉52が閉じると、開閉扉52より上方の通路50と収容空間40aとの連通状態が遮断される。炉本体36には、ガス排出通路54が設けられている。ガス排出通路54は、開閉扉52より下方の通路50に連通している。ガス排出通路54からは、溶融処理中に発生するガスが排出される。ガス排出通路54は、図示しない排ガス処理設備に接続されている。ガス排出通路54から排出される排ガスは、排ガス処理設備で無害化され、大気に排出される。ガス排出通路54は、収容空間40a内の空気を誘引し、収容空間40aを負圧に維持している。
【0021】
昇降装置38は、平面台38aと、平面台38aを昇降させる第1昇降機構(図示省略)を備えている。平面台38a上に支台56が載置され、支台56上に溶融容器46が載置される。平面台38aが第1昇降機構によって上端位置(図1の実線で示す位置)まで上昇すると、収容空間40aの下端が閉じられる。平面台38aが第1昇降機構によって下端位置(図1の二点鎖線で示す位置)まで下降すると、収容空間40aの下端が開かれる。
【0022】
溶融容器46は、有底の容器であり、カーボンを含有する導電性のセラミックでできている。誘導加熱コイル44に高周波電源を印加すると、溶融容器46内に渦電流が流れ、溶融容器46を好適に加熱することができる。例えば、溶融容器46は1500[℃]に加熱することができる。
【0023】
図2、3に示すように、投入機14は、外筒58と、把持部59と、外筒58及び把持部59をz方向に昇降させる第2昇降機構(図示省略)を備えている。第2昇降機構は、高さを検知するセンサ(図示省略)を備えており、外筒58及び把持部59を所定の高さで停止させることができる。第2昇降機構は、外筒58及び把持部59を別々に昇降させる。本実施例では、第2昇降機構は、外筒58を高さh1及び高さh3で停止させ、把持部59を高さh1、高さh2(図5参照)、高さh3、及び高さh4で停止させる(後述)。外筒58は、上端が閉口し、下端が開口した円筒形状である。把持部59は、外筒58の内部に、外筒58から下方に突出可能に収容され、投入容器60を両側から把持可能に構成されている。把持部59は、投入容器60の本体62(後述)の上部(より具体的には、z方向における略中央から上方の部分)を把持する。外筒58の中心軸は、投入準備室28の床に形成された突出筒34の中心軸と一致している。第2昇降機構によって外筒58を下降させていくと、図2に二点鎖線で示すように、外筒58の下端面は突出筒34の上端面と当接する。外筒58の下端面と突出筒34の上端面には、それぞれ図示しないシールが設けられている。このため、両者が当接すると両者の間は隙間なく封止され、投入準備室28における外筒58の外部の空間は、溶融炉12側の空間から分断される。以下では、このときの外筒58及び把持部59の高さを、高さh3と称する。また、高さh4(図3参照)は、投入容器60の底蓋64が収容空間40a(より具体的には、溶融容器46の真上)に位置するときの把持部59の高さである。開閉扉52は、把持部59及び投入容器60が通路50を通過する際は通路50を開放する。
【0024】
ここで、図4を参照して投入容器60について説明する。投入容器60は、円筒形状の本体62と、本体62の下端に接続された円錐形状の底蓋64により構成されている。投入容器60の外径は、外筒58の内径(厳密には、2つの把持部59間の距離)よりも小さい。底蓋64の内部は空洞であり、本体62の内部と連通している。底蓋64は、下方(−z方向)に向かって縮径している。底蓋64は、開閉可能に構成されている。具体的には、底蓋64は、部分底蓋66と部分底蓋68から構成されている。部分底蓋66、68は、投入容器60の中心軸(図3に一点鎖線で示す)を通る平面上で2分割された形状を有する。部分底蓋66、68は、それぞれヒンジ(図示省略)を支点として、位置S1、S2で回動可能となっている。部分底蓋66、68が支点S1、S2周りに互いに離間する方向に回転すると、投入容器60の底蓋64が開口する。底蓋64は、投入容器60内の放射性廃棄物が底蓋64にひっかかることなく真下に落下できる位置(例えば、図4に二点鎖線で示す位置)まで開口する。一方、部分底蓋66、68が支点S1、S2周りに互いに近接する方向に回転すると、部分底蓋66、68が当接面70において当接し、底蓋64が閉鎖する。なお、部分底蓋66、68はそれぞれ「部分底部」の一例に相当する。
【0025】
図5、6に示すように、搬送装置16は、コンベア74と、スライド板76と、支台78を備える。搬送装置16は、突出筒34に対してy方向側に配置されている。コンベア74には、従来公知のコンベアが用いられる。コンベア74の搬送面は双方向(即ち、±y方向)に進行可能であり、投入容器60を位置p1から位置p2まで、或いは位置p2から位置p1まで搬送する。投入容器60は支持台80に載置されており、コンベア74は、投入容器60を支持台80ごと搬送する。支持台80は、矩形状の台座82と、台座82の4隅から上方に延びる縦柱84と、隣接する縦柱84間を連結する横柱86を有する。縦柱84に横柱86が固定されると、4本の横柱86によって投入容器60が囲まれた状態となる。横柱86と投入容器60の本体62の側面との間には僅かな隙間が形成されている。投入容器60が支持台80に載置されると、底蓋64の先端部が台座82に当接し、投入容器60の本体62の側面が横柱86と当接する。これにより、投入容器60が横柱86によって支持され、投入容器60はほぼ直立した姿勢で支持台80に載置される。
【0026】
スライド板76は、xy平面上に位置する板状部材であり、その上面にコンベア74が固定されている。支台78は、スライド板76をスライド可能に支持している。支台78には、y方向に延びるレールが設けられている。スライド板76は、レールに沿って、位置p3から位置p4までスライド可能となっている。スライド板76がスライドすると、スライド板76に固定されているコンベア74も一体となってスライドする。スライド板76が位置p4までスライドすると、コンベア74上の投入容器60の中心軸は、外筒58、把持部59及び突出筒34の中心軸と一致する。図5に示すように、第2昇降機構は、外筒58を高さh1で停止させた状態で、把持部59のみを高さh1から高さh2まで下降させたり、高さh2から高さh1まで上昇させたりすることができる。なお、高さh1は、外筒58の下端面がコンベア74上の投入容器60の上面よりも高い位置に位置する高さであり、高さh2は、把持部59の下端がコンベア74上の投入容器60の本体62の中央付近に位置する高さである。
【0027】
投入準備室28は、複数の投入容器60を保管する倉庫(図示省略)に隣接している。倉庫では、放射性廃棄物が充填された投入容器60が、支持台80に載置された状態で保管されている。本実施例では、投入容器60には、不燃性の放射性廃棄物や放射能を有する焼却灰等が充填されている。コンベア74は、倉庫から投入機14の近傍まで延びている。
【0028】
図2、3、5、6に示すように、投入準備室28の床面30には、突出筒34の周囲に3台の赤外線カメラ18〜22(以下、単にカメラとも称する)が配置されている。図7は、投入準備室28を平面視した模式図であり、投入容器60とカメラ18〜22との位置関係を示す。なお、図7では、外筒58、把持部59及び突出筒34の図示を省略している。投入容器60を平面視すると、カメラ18、20は、当接面70の垂直二等分線上に位置しており、カメラ22は、当接面70の−y方向側の延長線上に位置している。本実施例では、カメラ18〜22には同一のカメラが用いられる。図2、3、5、6に示すように、カメラ18〜22はそれぞれ雲台に固定されており、一定の範囲内でカメラ18〜22の向きを自由に調節できるようになっている。カメラ18、20は、外筒58が高さh1に位置しているときの投入容器60の部分底蓋66、68から放射される赤外線をそれぞれ検出する。具体的には、カメラ18は、部分底蓋66の外表面から放射される赤外線を、カメラ20は、部分底蓋68の外表面から放射される赤外線を検出する(図2、7参照)。一方、カメラ22は、外筒58が高さh1に位置しているときの投入容器60の部分底蓋66と部分底蓋68との当接部分における赤外線を主に検出する(図6、7参照)。図7に示すように、投入準備室28には画像処理装置24が設置されており、カメラ18〜22は、画像処理装置24にケーブル(図示省略)で接続されている。カメラ18〜22は、検出した赤外線エネルギー量に基づく輝度データを画像処理装置24に送信する。
【0029】
画像処理装置24は、各カメラ18〜22から送信された輝度データを温度データに変換し、その温度データを処理して、底蓋64の温度分布を示す赤外線熱画像を作成し、その熱画像データを制御室のモニタ26に送信する。モニタ26には、カメラ18〜22ごとの熱画像が表示される。画像処理装置24は、図示しないタイマを備えている。画像処理装置24は、温度データから算出される検出温度が所定値以上である状態が所定時間(例えば3秒)継続した場合に、底蓋64に高温の付着物(溶湯及び固着物)が付着していると判定する一方、検出温度が所定値未満の場合、もしくは検出温度が所定値以上の状態が所定時間継続しなかった場合には、底蓋64に高温の付着物は付着していないと判定する。画像処理装置24は、判定結果を制御室のPLC8に送信する。
【0030】
図8〜10を参照して、放射性廃棄物の溶融システム2のフローを説明する。なお、以下の説明では、溶融容器46に放射性廃棄物を充填するまでの処理は省略し、放射性廃棄物の溶融を開始するところから説明する。
【0031】
まず、PLC8の制御により、高周波電源をオンして、誘導加熱コイル44に高周波電源を印加する(ステップS2)。これにより、溶融容器46に渦電流が発生し、溶融容器46が加熱される。溶融容器46の温度が上昇すると、溶融容器46内の放射性廃棄物が溶融する。炉体40に設置されているセンサは、溶融容器46内の溶湯(溶融された液体状の放射性廃棄物)の高さを検出し、その値が所定値以上かどうか判断する(ステップS4)。溶湯の高さが所定値以上の場合(ステップS4でYes)は、PLC8はステップS62に進む。一方、溶湯の高さが所定値未満の場合(ステップS4でNo)は、PLC8は放射性廃棄物の追加投入処理を実行する。具体的には、まず、クレーンにより自動で倉庫から投入容器60を支持台80ごと取出し、コンベア74の搬送面の位置p1に配置する(ステップS6)。投入容器60がコンベア74に配置されると、PLC8は、コンベア74を駆動して、投入容器60を位置p1から位置p2まで搬送する(ステップS8(図5参照))。なお、コンベア74が駆動している間は、投入機14の外筒58及び把持部59は、高さh1に位置している。投入容器60が位置p2まで搬送されると、PLC8は、コンベア74の駆動を停止し、スライド板76をレールに沿って位置p3から位置p4までスライドする(ステップS10)。これにより、コンベア74上の投入容器60もスライドする。続いて、PLC8は、投入機14の第2昇降機構を駆動して把持部59を高さh1から高さh2まで下降させ、投入容器60の上部を把持させる(ステップS12(図5参照))。このとき、外筒58は高さh1で停止している。続いて、PLC8は、投入容器60を把持した把持部59を高さh2から高さh1まで上昇させる(ステップS14)。これにより、支持台80から投入容器60が引き抜かれ、コンベア74上には支持台80が残される。把持部59を高さh1まで上昇させたら、PLC8は、スライド板76を位置p4から位置p3までスライドする(ステップS16)。このとき、把持部59は投入容器60を把持した状態で高さh1に位置している。続いて、PLC8は、把持部59を高さh3まで下降させる(ステップS17)。続いて、PLC8は、外筒58を高さh3まで下降させ、外筒58と突出筒34との間を封止する(ステップS18)。続いて、PLC8は、溶融炉12の通路50の開閉扉52を開き(ステップS20)、投入容器60の把持状態を維持したまま把持部59を高さh3から高さh4まで下降させる(ステップS22)。開閉扉52は、外筒58と突出筒34との間が封止されてから開くため、収容空間40aが投入準備室28における外筒58の外部の空間と連通することが防止される。続いて、PLC8は、投入容器60の底蓋64を開き、内部の放射性廃棄物を溶融容器46に投入する(ステップS24)。これにより、放射性廃棄物が溶融容器46に追加投入される。投入を終えたら、PLC8は、底蓋64を閉じて(ステップS26)、把持部59を高さh4から高さh3まで上昇させる(ステップS28)。続いて、PLC8は、開閉扉52を閉じ(ステップS30)、外筒58を高さh3から高さh1まで上昇させる(ステップS32)。外筒58は、開閉扉52が閉じてから上昇するため、投入準備室28内の空間が収容空間40aと連通することが防止される。その後、PLC8は、把持部59を高さh3から高さh1まで上昇させる(ステップS33)。
【0032】
ステップS33が終了したら、画像処理装置24が、投入容器60の底蓋64に付着物が付着していないか判定する処理を実行する。具体的には、まず、赤外線カメラ18〜22が投入容器60の底蓋64から放射される赤外線を検出し、輝度データを画像処理装置24に送信する(ステップS34)。続いて、画像処理装置24は輝度データを温度データに変換し、その温度データを処理して作成した熱画像を制御室のモニタ26に送信する(ステップS36)。これにより、制御室のモニタ26には、投入容器60の底蓋64の温度分布を示す熱画像が表示される。また、画像処理装置24は、温度データから算出される検出温度が所定値以上である状態をタイマで計測する(ステップS38)。当該状態が所定時間継続した場合は、画像処理装置24は、投入容器60の底蓋64に付着物が付着していると判定し(ステップS38のYes)、PLC8にその判定結果を送信する。すると、PLC8は、監視制御装置4に警報信号を送信し、モニタ6に警報を表示させる(ステップS40)。
【0033】
制御室には、監視制御装置4のモニタ6で設備の運転状態を管理する作業員が常駐している。モニタ6に警報が表示されることで、作業員は、投入容器60の底蓋64に付着物が付着しているという情報を受動的に取得できる。モニタ6に警告が表示されると、作業員は、モニタ26にて投入容器60の底蓋64の熱画像を検証し、付着物の付着位置、大きさ、状態(温度)等を確認する。作業員は、熱画像を検証して投入機14の動作を停止すべきと判断した場合は(ステップS42でYes)、監視制御装置4を操作して、PLC8に停止信号を送信する。すると、PLC8は、投入機14の動作を一時停止する(ステップS44)。搬送装置16の動作は投入機14の動作に関連付けられているため、投入機14の動作が停止すると、搬送装置16の動作も停止する。投入機14が一時停止すると、作業者は、投入容器60の底蓋64に付着している付着物を除去する(ステップS46)。このように、制御室のモニタ26に熱画像が表示される構成とすることにより、作業者は、投入準備室28に赴いて実際の投入容器60の底蓋64を確認する前に、モニタ26で付着物の大体の付着位置や大きさ等を把握することが可能となる。このため、作業者は、ステップS46における付着物の除去作業を比較的円滑に行うことができる。なお、ステップS44では、PLC8は、高周波電源をオフにせず、溶融容器の加熱状態を維持させることが好ましい。
【0034】
作業員が熱画像を検証した結果、投入機14の動作を停止する必要はないと判断した場合は(ステップS42でNo)、ステップS48に進む。これには、例えば、カメラ18〜22や画像処理装置24の不具合等で誤って警報が表示されてしまった場合等が含まれる。また、検出温度が所定値未満の場合や、検出温度が所定値以上の状態が所定時間継続しなかった場合は、画像処理装置24は、投入容器60の底蓋64に付着物が付着していないと判断し(ステップS38でNo)、ステップS48に進む。
【0035】
ステップS46が終了したら、PLC8は、投入機14(及び搬送装置16)の動作を再開させる。具体的には、まず、PLC8は、スライド板76を位置p3から位置p4までスライドする(ステップS48(図6参照))。次に、PLC8は、外筒58を高さh1で停止させた状態で、把持部59を高さh1から高さh2まで下降させ、投入容器60をコンベア74上に配置されている支持台80に載置させる(ステップS50)。このとき、PLC8は、把持部59が高さh2に近づくにつれて、把持部59の下降速度を減速することが好ましい。これにより、投入容器60の底蓋64の先端部は、支持台80の台座82に静かに当接する。続いて、PLC8は、把持部59の把持状態を解除する(ステップS52)。これにより、投入容器60はほぼ直立した姿勢で支持台80に載置される。続いて、PLC8は、把持部59を高さh2から高さh1まで上昇させ(ステップS54)、スライド板76を位置p4から位置p3までスライドする(ステップS56)。続いて、PLC8は、コンベア74の駆動を再開し、投入容器60を位置p2から位置p1まで搬送する(ステップS58)。即ち、空の投入容器60を搬送するときは、コンベア74の搬送面は、ステップS8における進行方向とは反対方向に進行する。続いて、倉庫のクレーンによりコンベア74から投入容器60を支持台80ごと取出す(ステップS60)。ステップS60が終了すると、ステップS4に進む。
【0036】
溶融容器46内の溶湯の高さが所定値以上の場合は(ステップS4でYes)、PLC8は、溶融処理を終了する。具体的には、まず、PLC8は、高周波電源をオフする。これにより、溶融容器46の加熱が終了する(ステップS62)。次に、PLC8は、昇降装置38を駆動して平面台38aを下降させる。これにより、溶融容器46が溶融炉12から取出される(ステップS64)。続いて、PLC8は、溶融容器46を冷却室57に搬送する。冷却室57では、溶融容器46は常温まで冷却される(ステップS66)。続いて、PLC8は、溶融容器46をドラム等の容器(図示省略)に装填し、容器と溶融容器46との隙間にモルタルを充填する(ステップS68)。そして、PLC8は、当該容器を所定の貯蔵施設に廃棄する(ステップS70)。
【0037】
実施例1の放射性廃棄物の溶融システム2では、赤外線カメラ18〜22と画像処理装置24を用いて、放射性廃棄物投入後の投入容器60の底蓋64における付着物の有無を判定する。この構成によると、底蓋64に付着物が付着しているか否かを知ることが可能となり、底蓋64に付着物が付着したままの状態で溶融処理が継続されることを抑制することができる。このため、投入容器を適切にハンドリングでき、放射性廃棄物の溶融処理を安定して行うことができる。
【0038】
ここで、図11、12は、底蓋64に付着物が付着した様子を示す。図11に示すように、底蓋64の外表面に付着物が付着すると、例えば、ステップS50でPLC8が把持部59を高さh2まで下降させる途中で、外表面の付着物が支持台80の台座82と干渉し、投入容器60を支持台80に適切に載置できない可能性がある。また、図11に示すように、付着物がヒンジに付着すると、部分底蓋(図11では部分底蓋68)の開閉機能が低下し、投入容器60を適切に再利用できない可能性がある。実施例1の溶融システム2によると、このように底蓋64の外表面に付着物が付着した場合は、カメラ18、20を用いて付着物の存在を適切に検出できるため、上記の問題の発生を抑制できる。
【0039】
また、図12に示すように、当接面70に付着物が付着すると、部分底蓋66と部分底蓋68とが完全に閉じずに、底蓋64の外表面に段差が生じる可能性がある。この場合、ステップS50において、部分底蓋66、68が台座82と干渉したり、投入容器60を台座82に安定して載置できないという問題が生じる。実施例1の溶融システム2によると、このように底蓋64が部分底蓋66、68から構成されており、それらの当接面70に付着物が付着した場合でも、カメラ22が当接部分の付着物の存在を適切に検出できるため、上記の問題の発生を抑制できる。
【0040】
また、収容空間40aでは放射性廃棄物の投入や溶融が行われるため、放射性物質が存在する。本実施例では、投入機14の外筒58が高さh1から高さh3まで下降して突出筒34と当接するまでは、開閉扉52が開かない構成となっている。また、放射性廃棄物の投入後、把持部59が高さh4から高さh3まで上昇し、開閉扉52が閉じるまでは、外筒58と突出筒34による封止状態が維持されている。このため、収容空間40aが通路50を介して投入準備室28(厳密には、投入準備室28における外筒58の外部の空間)と連通することがなくなり、投入準備室28側に放射性物質が拡散することを抑制できる。さらに、本実施例では、ガス排出通路54が収容空間40a内の空気を誘引することにより、収容空間40a(厳密には、開閉扉52より下方の通路50も含む)は負圧に保たれている。これにより、収容空間40aの放射性物質が投入準備室28側に拡散することがより抑制される。
【実施例2】
【0041】
次に、図13を参照して実施例2について説明する。以下では、実施例1と相違する点についてのみ説明し、実施例1と同一の構成についてはその詳細な説明を省略する。その他の実施例についても同様である。本実施例では、カメラの設置方法が実施例1と異なっている。具体的には、カメラ118、120は、z方向に伸縮可能な支柱119、121にそれぞれ取付けられている。カメラ118、120は、把持部59が高さh1に位置している状態で投入容器60の底蓋64の赤外線を検出可能な高さに位置している。この構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、カメラ118、120は、それぞれ雲台に固定された状態で支柱119、121に取付けられてもよい。また、突出筒34の−y方向側に、支柱119、121と同様の支柱に取付けられたカメラ122が配置されていてもよい。カメラ122は、部分底蓋66と部分底蓋68との当接部分における赤外線を検出可能な高さに位置していてもよい。
【実施例3】
【0042】
次に、図14を参照して実施例3について説明する。本実施例では、カメラの設置方法が実施例1と異なっている。具体的には、突出筒34には、バンド223が、その側面を一巡するように取付けられている。バンド223は、突出筒34の上端面のシール(図示省略)と干渉しない位置に取付けられている。バンド223には、カメラ218、220が、支点219、221でそれぞれ回動可能に取付けられている。カメラ218、220は、任意の角度で固定可能となっている。カメラ218、220は、把持部59が高さh1に位置している状態で投入容器60の底蓋64の赤外線を検出可能な角度に固定されている。この構成によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、突出筒34の−y方向側に、バンド223に取付けられたカメラ222が配置されていてもよい。カメラ222は、部分底蓋66と部分底蓋68との当接部分における赤外線を検出可能な角度に固定されていてもよい。
【実施例4】
【0043】
次に、実施例4について説明する。本実施例では、画像処理装置24における付着物有無の判定方法が実施例1と異なっている。本実施例では、赤外線カメラの代わりに、色画像を撮影する一般のカメラ(図示省略)が用いられる。具体的には、画像処理装置24は、放射性廃棄物追加投入後の投入容器60の底蓋64を撮影した画像の外郭と、付着物が付着していない状態の底蓋64の外郭とを比較する。そして、外郭の形状が異なっている場合(例えば、凹凸がある場合等)に、底蓋64に付着物が付着していると判定する。この方法によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、本実施例の判定方法は、実施例2又は3に適用してもよい。
【実施例5】
【0044】
次に、実施例5について説明する。本実施例では、画像処理装置24における付着物有無の判定方法が実施例1と異なっている。本実施例では、赤外線カメラの代わりに、カラー撮影が可能なカメラ(図示省略)が用いられる。具体的には、画像処理装置24は、放射性廃棄物追加投入後の投入容器60の底蓋64を撮影した画像に、高温の付着物を表す色(即ち、赤色、橙色等)が含まれていないか判断し、このような色が含まれている場合は、底蓋64に付着物が付着していると判定する。この方法によっても、実施例1と同様の作用効果を奏することができる。なお、本実施例の判定方法は、実施例2又は3に適用してもよい。
【0045】
以上、本明細書が開示する技術の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本明細書が開示する放射性廃棄物の溶融システムは、上記の実施例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0046】
例えば、上記の実施例では、投入準備室には3台のカメラが設置されたが、カメラの設置台数はこれに限られず、例えば2台以下であってもよいし、4台以上であってもよい。投入容器60の底蓋64の外表面を全体に亘って撮像でき、且つ、部分底蓋66と部分底蓋68との当接部分を撮像できる構成であればよい。
【0047】
また、溶融炉の種類は高周波溶融炉に限られない。また、ステップS42の判断は実施されなくてもよい。また、底蓋64を構成する部分底蓋の数は2つに限られず、3つ以上であってもよい。また、底蓋64の形状は円錐形状に限られず、先端部が球面状であってもよい。また、付着物が検出されたことを作業員に報知する方法は、モニタ6に警報を表示する方法に限られない。例えば、アラームを鳴らして作業員に報知してもよい。
【0048】
また、上記の実施例では画像処理装置24は投入準備室28に配置されたが、この構成に限られない。例えば、画像処理装置24はPLC8と共に制御盤に収容されてもよい。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0050】
4:監視制御装置
8:PLC
12:溶融炉
14:投入機
16:搬送装置
18、20、22:赤外線カメラ
24:画像処理装置
26:モニタ
46:溶融容器
58:外筒
59:把持部
60:投入容器
64:底蓋
66:部分底蓋
68:部分底蓋
70:当接面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14