(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335780
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】内燃機関又は圧縮機用の少なくとも1つの摺動面を備えたエレメント
(51)【国際特許分類】
C23C 14/06 20060101AFI20180521BHJP
C23C 14/35 20060101ALI20180521BHJP
F01L 1/04 20060101ALI20180521BHJP
F01L 1/14 20060101ALI20180521BHJP
F01L 3/02 20060101ALI20180521BHJP
F01L 3/04 20060101ALI20180521BHJP
F02F 1/00 20060101ALI20180521BHJP
F02F 5/00 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
C23C14/06 A
C23C14/35 Z
F01L1/04 J
F01L1/14 B
F01L3/02 J
F01L3/04
F02F1/00 G
F02F5/00 F
【請求項の数】12
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-513007(P2014-513007)
(86)(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公表番号】特表2014-523476(P2014-523476A)
(43)【公表日】2014年9月11日
(86)【国際出願番号】BR2012000160
(87)【国際公開番号】WO2012162771
(87)【国際公開日】20121206
【審査請求日】2015年3月18日
【審判番号】不服2017-3762(P2017-3762/J1)
【審判請求日】2017年3月14日
(31)【優先権主張番号】PI1102335-0
(32)【優先日】2011年5月27日
(33)【優先権主張国】BR
(73)【特許権者】
【識別番号】512012425
【氏名又は名称】マーレ メタル レーベ ソシエダーデ アノニマ
【氏名又は名称原語表記】MAHLE Metal Leve S/A
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】パウロ ホセ ダ ロチャ モルデンテ
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト リカルド バンフィールド
(72)【発明者】
【氏名】ホセ ヴァレンティム リマ サラバンダ
【合議体】
【審判長】
大橋 賢一
【審判官】
瀧口 博史
【審判官】
宮澤 尚之
(56)【参考文献】
【文献】
PAPA F. et al.,Industrial Impact of HIPIMS and HIPIMS+ Technology ,Galvanotechnik ,2009年 7月,No.15
【文献】
PAULITSCH J. et al.,Structure and properties of high power impulse magnetron sputtering and DC magnetron sputtering CrN and TiN films deposited in an industrial scale unit ,Thin Solid Films ,2010年 6月 4日,Vol.518, No.19,P.5558−5564
【文献】
GRECZYNSKI G. et al.,Microstructure control of CrN x films during high power impulse magnetron sputtering ,Surf Coat Technol ,2010年 6月11日,Vol.205, No.1,P.118−130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/00 - 14/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関で使用するためのコーティングを有する少なくとも1つの摺動面を備え、任意の金属合金のベース(2)と、5〜100μmの範囲の厚さを有する硬質セラミックコーティング(4)を備えた少なくとも1つの内表面(3)とを含み、2体積%を下回る気孔率、1500〜3000HVの範囲のビッカース硬度、及び500MPaを下回る圧縮内部応力を有するエレメント(1)の製造方法であって、前記硬質セラミックコーティング(4)は物理蒸着によって生じ、前記物理蒸着が高出力インパルスマグネトロンプラズマ(HIPIMS)によって達成され、且つベース(2)が負電位で分極することを特徴とする、前記エレメント(1)の製造方法。
【請求項2】
セラミックコーティング(4)が、クロム、チタン、ニオブ、モリブデン又はアルミニウムのうち少なくとも1つによって形成される窒化物を含むことを特徴とする、請求項1に記載のエレメントの製造方法。
【請求項3】
コーティング(4)が0.5体積%未満の気孔率を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のエレメントの製造方法。
【請求項4】
コーティング(4)が200MPa未満の圧縮内部応力を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項5】
ベース材料(2)が鋳鉄であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項6】
ベース材料(2)が鋼であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項7】
ベース材料(2)がアルミニウムであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項8】
ピストンリングであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項9】
タペットであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項10】
弁であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項11】
ローブであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【請求項12】
ベアリング又はピストンリングであることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項に記載のエレメントの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摩擦を受ける内燃機関で摺動し且つ蒸気相において物理蒸着によるクロムベースのセラミックコーティングを受けるエレメントであって、高出力インパルスマグネトロンプラズマによって達成される、低い内部張力、高い硬度及び低い気孔率によって使用に耐えるような、前記エレメントに関する。
【0002】
従来技術の説明
内燃機関は、摩擦を受ける多くのエレメントを含み、その結果、それらのエレメントは、機関が運転する時に大きな応力を受けるので摩耗する。
【0003】
機関の耐用年数パラメータのために長い/十分な耐用年数を有し得るように、摺動するエレメントの耐摩耗性を保証する方法の1つは、それが作られる卑金属上に1つ以上のコーティング層を適用することである。特に耐磨耗摩滅性の改善されたコーティングは、何百万もの機関の爆発サイクルの後でさえも、摺動するエレメントの動作特性を維持する。
【0004】
シリンダ、ピストン及びパネルの他に、内燃機関は、部品の耐用年数を延ばすようにコーティングできる、少なくとも1つの摺動面を備えた多くの追加のエレメントを有する。これらのエレメントの幾つかは、ベアリング、弁装置の部品(タペット、カムシャフト、ローブ等)である。
【0005】
これに関して、コーティングの大部分の多様な組成物を用いる多くの技術及び多くの適用プロセスがあり、それぞれ、殆どの多様な種類の性能及び耐久特性並びに摺動面を有する内燃機関に使用されるエレメントの構成を最適化することを試みている。
【0006】
殆どの本発明に関連する先行技術のコーティングは、本願明細書でPVDと呼ばれる、蒸気相(物理蒸着)において物理蒸着プロセスを通して生成した窒化物から構成されるセラミックコーティングである。
【0007】
PVDプロセスを通して形成された窒化物コーティングは、層の厚さに応じて増加する内部張力を示す(
図1を参照のこと)。これらの張力は通常、圧縮力があり、フィルムの成長に伴って更に圧縮する。
【0008】
図1は、450℃で堆積し且つ175Vの基材に対して粒子の促進された張力を有する窒化クロム(CrN)コーティング中の圧縮内部張力の増加を証明するグラフを示し、このコーティングは対象表面上への材料のスパッタリング堆積によって得られた。
【0009】
このコーティングの成長に応じて圧縮内部張力が増加する現象は、プラズマ環境内で正イオンが、電磁場によってコーティングが成長する表面に引きつけられるので、コーティング上の爆撃イオンのエネルギーがフィルム内の圧縮張力の発生を誘発させる事実によるものである。
【0010】
更に、窒化物フィルムは、一般的に数百摂氏度を含む環境において頂にあり、その際、基材上へのコーティングの堆積後に、フィルムを冷却し、その結果、様々な膨張係数の存在が基材の更なる収縮を促進させる。従って、コーティング材料と基材材料との間の様々な膨張は、窒化物フィルム内の圧縮内部張力の「形成」を促進させる。
【0011】
かかる圧縮内部張力の存在は、種々の欠点をもたらし、一方で、コーティングの厚さを制限し、他方で、コーティングを備えたかかるエレメントが有し得る作用荷重を低下させる。内部張力が圧縮性であるため、それらはエレメントが受ける荷重値に追加されることに留意するべきである。
【0012】
その結果、全てのコーティングは、外部荷重(例えば、機械又は内燃機関の部品としての適用による)によって応力を受ける時に、コーティングの内部張力が中性値(又はゼロの内部張力)に近いほど、コーティングの破断を引き起こす張力に達するまで、後者が有する荷重が大きくなる。圧縮内部張力と荷重の値が、コーティングが受ける制限値を超える時に、コーティングの転位があり、これがコーティングに対して大きな損傷を引き起こし得る。
【0013】
コーティングの成長に関しては、幾つかのコーティング、例えば、TiNがその高い張力による成長の制限を示し、その結果、2又は3マイクロメートル(μm)よりも高い厚さまでコーティングを成長させることができないことが観察されている。
【0014】
フィルムの耐性にも悪影響を及ぼす別の条件は、気孔の存在である。気孔はコーティングに存在する領域であり、これは極めて局在化された材料の凝集による欠陥を有する。従って、気孔は、気孔の形状と数に応じて、より大きな又は小さな規模で張力コンセントレータとして作用する。当然ながら、高い気孔率はコーティングの耐摩耗性を損なわせる。
【0015】
この文脈では、目下、窒化セラミックコーティングの型は、コーティング内で相互作用する値の間で以下の比によって反映される。より大きな層の厚さは、より高い内部圧縮張力を生じさせ、これはコーティングの気孔率を悪化させている。この比は、先行技術によって示される溶液の硬度の値と、その結果の耐摩耗性の値を制限する。
【0016】
この例は、文献の米国特許第5,449,547号及び米国特許第6,270,081号であり、これらはそれぞれ、CrCN/CrON及びCrNコーティングを備えたピストンリングを記載している。これらのコーティングの硬度は、それぞれ2200HV及び1800HVに制限されており、第2の文献は3%よりも高い気孔率を記載していることに留意するべきである。
【0017】
次に、文献の米国特許第6,372,369号は、1300〜2300HVの範囲の硬度を有するCrN及びTiNで作られたピストンリングのコーティングを開示している。硬度の値は、窒化単層コーティングを扱う際に200HVよりもかろうじて高く、この硬度の上限はこの種のコーティングの場合、現存するモデル関連性から生じる制限のうちの1つであることに留意するべきである。
【0018】
残念なことに、現在の摺動するエレメントのコーティングは、大きな作用条件下で応力を受けた時に適切な耐摩耗性能を示さない。このような現実は、現在のPVDコーティングが次の数世代の機関において、特に排気ガス再循環−EGR及び選択的触媒還元−SCRを有する機関で正確に作用せず、これらの機関が汚染物質排出速度の低下を目的として未来の世代で使用されることを示す。
【0019】
従って、先行技術に示される従来の方法は、高性能の窒化セラミックコーティングを得ることができ、同時にフィルムの成長を引き起こす可能性を示す一方で、低下した圧縮内部張力を維持して顕著な耐摩耗性を可能にする、技術的な解決策を開示していない。
【0020】
本発明の課題
本発明の課題は、耐摩耗性を増大させることが可能な窒化物ベースのコーティングを備えた、内燃機関で使用される摺動するエレメントを提供することである。
【0021】
本発明の課題は更に、圧縮内部張力を増大させることなく、同時にかなり低減された気孔率を有する、その厚さを増大させることができる窒化物ベースのコーティングを有する摺動するエレメントを提供することである。
【0022】
本発明の簡単な説明
本発明の課題は、内燃機関で使用される少なくとも1つの摺動面を備えたエレメントであって、金属合金のベースと、物理蒸着(PVD)によって生じた硬質セラミックコーティングを備えた少なくとも1つの外表面とを含み、該エレメントが2体積%を下回る気孔率、1500〜3000HVの範囲のビッカース硬度及び500MPaを下回る圧縮内部張力を有する、前記エレメントによって達成される。
【0023】
図面の簡単な説明
本発明はここで、図面に表される実施態様の例を参照して更に詳細に記載される。図面は以下のことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、窒化クロムコーティングにおける圧縮内部張力の増大の間の関係性を示すグラフである。
【
図2】
図2は、10cm/分の速度で実施される、異なる種類のPVD堆積の関数として窒化クロムコーティングの摩耗係数(m
3/Nm)を示すグラフである。
【
図3】
図3は、摺動する2つのエレメントの図であり、そのうちの1つは本発明による等軸形態を有する窒化クロムコーティングを備えている。
【0025】
図面の詳細な説明
本発明は、その厚さにも関わらずコーティングの内部張力に影響を及ぼし、従って、従来のものよりも大きな厚さでコーティングを実施し且つ物理蒸着(PVD)プロセスで窒化されたかかるセラミックコーティングの耐摩耗性を増大させ得る革新的な可能性に関するものである。
【0026】
物理蒸着によって堆積したコーティングの特性は、堆積プロセスの間に、正イオン、例えば、Cr
+及びN
+に適用されるエネルギーに応じて大きく変化する。
【0027】
前述の通り、現在の内燃機関で摺動するエレメント1上への窒化セラミックコーティングのプロセスは、それらの高い圧縮内部張力のために減摩性能に関して制限されている。
【0028】
本発明は、コーティング4の圧縮内部張力を増大させることなくコーティング4の成長を促進することによってこの課題に対する解決策を提供する。
【0029】
摺動するエレメント1が、接触を受けて、それらの間で摩擦の関係性が生じる機関の様々な部品を含み得ることに留意するべきである。従って、本発明のコーティング4は、2つのエレメントのうちの1つに適用されるか又は同時に相互作用する両方のエレメントに適用されてよい。
【0030】
本発明の摺動するエレメント1は、任意の金属合金のベース2と、コーティング4を受ける外表面3とを含む(
図3を参照のこと)。ベース2は、鉄合金によって又は鋼によって、例えば、特に10〜17%のクロムを含有する鋼(ステンレス鋼)、アルミニウムによって構成され得る。
【0031】
本発明の摺動するエレメント1の例は、数多くの中でも特に、圧縮及びオイルの両方のピストンリング、シリンダ及びシリンダスリーブ、ピストン、ベアリング及びセグメント、タペット及びカムに見出される。
【0032】
本発明のコーティング4は、PVDプロセスによって摺動するエレメント1の少なくとも1つの表面上の、更に具体的には高出力インパルスマグネトロンスパッタリング(以後、HIPIMSと呼ぶ)による、コーティング4の堆積に基づくものである。
【0033】
摺動するエレメント1の新規なHIPIMS堆積法は、材料、一般的には金属材料(Cr、Ti、Mo、Nb、Al等)を、窒化物に変換する前にイオン化することができる。次に、コーティング4表面に対して高エネルギーによる金属イオンの加速が、その硬度を失わずにその成長の間にコーティング4の緩和を、意外な方法で達成することができる。
【0034】
ところで、この挙動(コーティングの高い硬度と低い内部張力)が、先行技術に対して相反することが明白ではないことに留意するべきである。いずれにしても、これは顕著な耐摩耗性を得るために非常に望ましい結果である。外部の荷重によって応力を受けた際(例えば、機械の又は内燃機関の部品としての適用のために)、コーティングは、荷重から生じる張力の発生を受け、従って、コーティング4の破断を引き起こす張力(その亀裂核形成及びその成長)に到達するまで、コーティングの初期張力が低下する程、それが有する荷重が大きくなる。
【0035】
本発明の好ましい例を
図3に示す。図面がピストンリングと内燃機関のシリンダ(摺動するエレメント1の両方)に対応すると仮定すると、摺動するたった1つの又は両方のエレメント1は被覆され得る。本発明の例では、本発明者らは、それらの溝のいずれかに配置するためのピストンリングが、シリンダの壁に接触する表面上で本発明のコーティング4を受ける、典型例についてよく検討している。
【0036】
必須ではないが、好ましくは、セラミックコーティング4は窒化クロムのものであるが、他の金属エレメントがセラミックコーティングの形成に使用されてよく、特に、チタン、モリブデン、ニオブ、アルミニウム等、又はそれらの混合物が利用され得る。
【0037】
コーティング4が、負の電位で分極したベース2(基材)を用いてHIPIMSによって堆積され、0〜500MPaの範囲の圧縮内部張力値を達成することが可能であるが、これらの値は好ましくは0〜200MPaの範囲であるべきである。HIPIMS堆積法の特徴的な特徴によって1000HV〜3000HVの範囲のビッカース硬度を達成することができる。この範囲は先行技術の値よりも高く、3000HVの値が驚くほど高いことに留意するべきである。更に、本発明は、先行技術と比較した時に明白に高い値、即ち、5μm〜100μmの範囲のコーティング4の厚さに高めようとするので、コーティングがチタン窒化物をベースとする場合、コーティングは通常、その高い張力のために限定された厚さを示す。
【0038】
コーティング4を形成する高エネルギーのイオンの、特にHIPIMSプロセスの当然の結果として、コーティング4が顕著に高密度化し、気孔率の低下とベース2上へのイオンの優れた付着がもたらされる。気孔率値は2体積%未満であり、本発明の好ましい範囲は0.5%未満であるが、この値は、硬度と内部張力値が同時に優れていることを考慮すると、先行技術に対してかなり低い。
【0039】
更に、このプロセスは、液体粒子(微粒子)のないコーティング4の成長を可能にする、別の利点を可能にする。その結果、コーティング4のHIPIMS堆積プロセスは、優れたトライボ特性、例えば、耐摩耗性及び耐剥離性を達成することが可能である。
【0040】
図2のグラフは、前記PVDプロセスによって得られた結果の違いをはっきりと明白にする。
図2は、先行技術の異なる堆積法に応じた窒化クロムコーティングの摩耗係数の試験結果を示す。本発明のHIPIMSに関して、不平衡マグネトロン(UMB)とArcによるターゲット材料のスパッタリングによる堆積が挙げられる。本発明の方法が、疑いの余地なく、従来技術よりも2倍高い耐摩耗性を達成し、驚くことに、本発明のHIPIMSコーティング4が内燃機関に使用される摺動するエレメント1について非常に良い結果を生むことが可能であることは明白である。
【0041】
優れた成果のお陰で、本技術は、次の数世代の機関、特に排気ガス再循環と選択的触媒還元を有する機関での運転に対して要求される水準に到達し、従って、汚染物質の排出を低減することに寄与する。
【0042】
従って、通常、従来技術によって実施されない高いトライボ特性及び厚さを有するコーティングを得ようとし、従って、従来技術のPVD法によって得られる任意のコーティングのものよりも優れた耐摩耗性が生じるため、本発明のコーティング4が、コーティングの成長とその内部張力との間の予想外の関係性を提案することは明らかである。
【0043】
記載された実施態様の好ましい例については、本発明の範囲が、他の可能な変更を包含し、可能な等価物を含む、添付の特許請求の範囲の内容によってのみ限定されていることが理解されるべきである。