(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の例示的な実施形態に関する上記の要約および下記の詳細な説明は、以下の添付の図面と併せて読むとさらによく理解される。
【
図1A】
図1A〜1Gは、本発明に係る例示的な工程、装置、および材料を概略的に例示した図であり、本発明は、本発明の3D印刷工程の具体例の1つにすぎないインクジェット印刷または他の材料ディスペンサにより例示される。
図1Aは、2つの異なる材料12、13を印刷して第1および第2の構造14、15を基板16上に設ける2つのプリントヘッド10、11を概略的に例示した図である。
【
図1B】
図1A〜1Gは、本発明に係る例示的な工程、装置、および材料を概略的に例示した図であり、本発明は、本発明の3D印刷工程の具体例の1つにすぎないインクジェット印刷または他の材料ディスペンサにより例示される。
図1Bは、
図1Aの前記第2の構造15上にさらに金属17が選択的に積層される場合を概略的に例示した図である。
【
図1C】
図1A〜1Gは、本発明に係る例示的な工程、装置、および材料を概略的に例示した図であり、本発明は、本発明の3D印刷工程の具体例の1つにすぎないインクジェット印刷または他の材料ディスペンサにより例示される。
図1Cは、第2の構造25のインクジェット印刷を概略的に例示した図で、
図1Aと同様な態様であるが、基板上に直接ではなく、金属層20上に印刷している。
【
図1D】
図1A〜1Gは、本発明に係る例示的な工程、装置、および材料を概略的に例示した図であり、本発明は、本発明の3D印刷工程の具体例の1つにすぎないインクジェット印刷または他の材料ディスペンサにより例示される。
図1Dは、
図1Cの前記第2の構造25上にさらに金属22が積層される場合を概略的に例示した図である。
【
図1E】
図1A〜1Gは、本発明に係る例示的な工程、装置、および材料を概略的に例示した図であり、本発明は、本発明の3D印刷工程の具体例の1つにすぎないインクジェット印刷または他の材料ディスペンサにより例示される。
図1Eは、
図1Dの前記第2の構造25の前記インクジェットで積層された材料が除去されて、自立金属構造28を残した場合を概略的に例示した図である。
【
図1F】
図1Fおよび1Gは、
図1C〜1Dと同様な方法とその結果得られる構造を概略的に例示しているが、前記第2の構造25上に設けられた犠牲材料18を有し、これにより当該犠牲材料の位置における金属化が防止され、金属化後に前記第2の構造25の除去を促進する排出穴がもたらされる。
【
図1G】
図1Fおよび1Gは、
図1C〜1Dと同様な方法とその結果得られる構造を概略的に例示しているが、前記第2の構造25上に設けられた犠牲材料18を有し、これにより当該犠牲材料の位置における金属化が防止され、金属化後に前記第2の構造25の除去を促進する排出穴がもたらされる。
【
図2】
図2は、本発明の3D印刷工程、装置、および材料の具体例として、ホットメルト押出成形による製作の使用を概略的に例示したものであり、プリントヘッド30が基板35上に材料33を積層する。
【
図3】
図3は、本発明の3D印刷工程、装置、および材料の具体例として、光造形法の例示的工程を概略的に例示したものであり、液体モノマー34を含む浴32内に基板30が配置され、露光装置36により前記モノマーに硬化照射38が行われて、硬化された構造40がもたらされ、この工程が多数回繰り返されて3D構造が作製される。
【
図4】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図5】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図6】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図7】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図8A】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図8B】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図9】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図10】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図11】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図12】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図13】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図14】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図15】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図16】
図4〜16は、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図17】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図18】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図19】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図20】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図21】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図22】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図23】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図24】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図25】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図26】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図27A】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図27B】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図28】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図29A】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【
図29B】
図17〜29Bは、3次元多層同軸ケーブル製作のための、本発明に係る例示的な3D印刷工程および構造の断面図を概略的に例示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、3次元(3D)コンピュータまたは3Dデジタル設計のデジタル情報から物体自体へと3D物体を作製する方法として、3次元(3D)付加構築製造(additive build manufacturing)を少なくとも部分的に利用して実施(実装)される工程および装置に関する。本発明は、その一態様において、単純で複雑な電子的および/または機械的な構造とそれらの成形工程とに関する。特筆すべき一態様において、本発明は、伝導性がありミクロン規模、例えばマイクロ波回路および導波回路の公差および正確度を伴う構造を有する装置に関する。この点で、本発明は、そのような伝導構造を3D付加構築製造により作製する新規性のある方法であって、小寸法で許容性が高く適切なバルク電気・熱伝導率特性を有し3D付加構築製造で作製される伝導構造の提供に関する現在の課題を克服する方法を提供する。特に、本発明は、後述する3D付加構築工程により提供される選択的金属化工程および材料と非伝導構造とを使って、複数構造および/または複数構成要素を含んだ装置環境内に、ミクロン規模の正確度で伝導構造を提供する。本明細書において、「選択的金属化」とは、1つの材料が金属化工程または金属化触媒下におかれると第2の材料に結合するが、双方の材料が同じ金属化工程下におかれた場合はその結合が生じない能力を意味する。そのため、選択的金属化では、選択された構造が金属化されるとともに、全体的な装置またはシステムアーキテクチャ内の他の構造は金属化されないようにできる。この選択性には、いくつかの動機が見いだされている。
【0019】
その動機の1つとして、最高の正確度および公差を伴う3D印刷方法の一部、例えば光造形法では、光硬化したモノマーまたはポリマーで成形が行われる傾向がある。ただし、導電性ポリマーを使用したとしても、通常、その伝導性ポリマーが密な金属、例えば銀または銅のバルク導電率を提供できることはない。大半のプラスチック表面は金属で、例えば無電解めっきによりコーティングできるが、現行の精密技術を使って金属をコーティングする位置としない位置を選択することは、十分な寸法がある平坦で滑らかな外面にマスキングなどを追加する場合を除いて不可能である。そのため、本発明によれば、略バルク伝導率を伴う積層材料を望ましい場所に成長および接着させ、または後期熱処理など他の手段を通じてこれを行う必要性が認識されている。
【0020】
付加製造または3D印刷を実施する上で利用できる種々の技術について述べると、3D付加構築製造には、粉末焼結積層造形(Selective Laser Sintering:SLS、別称「選択的レーザー焼結」)、光造形法(StereoLithography:SLA)、およびマイクロ光造形法などの付加製造方法が含まれるようになった。他の付加製造方法としては、薄膜積層法(Laminated Object Manufacturing:LOM)、熱溶解積層法(Fused Deposition Modeling:FDM)、マルチジェットモデリング(MultiJet Modeling:MJM)、およびインクジェットなどがある。これらの方法の多くは重複する分野も多く、作製する1つまたは複数の物体の要件により定義される材料、公差、サイズ、数量、正確度、費用構造、限界寸法、および他のパラメータに基づき、必要に応じて前記方法を選択できる。また、3D付加構築製造は、例えば3D印刷を含む種々の名称で知られるようになった。そのため、本明細書における用語「3D付加構築製造」および「3D印刷」は、同義的に使われる。
【0021】
3次元(3D)印刷は、積層造形(additive fabrication)または付加製造(additive manufacturing)技術の一形態であり、その場合、3D物体は材料の連続層を精確な位置に敷設または形成して製作される。そのため、インクジェットも熱溶解積層もマルチジェットも、すべて3D印刷の形態である。3Dプリンタは、機械的および/または物理的な特性の異なる複数の材料からなる構造を単一の構築工程で印刷する能力があり、3Dコンピュータファイルから得られる一連の断面を構築方向へ構築するよう動作する。次に、各断面層は、順次重なるように印刷され、3D物体を生じる。(用語「層」(layer)は、本明細書で使用される場合、1若しくはそれ以上のレベル、すなわち潜在的にパターン化される層(strata)を意味し、必ずしも連続した平面を意味するわけではない。
【0022】
あるいは、3Dプリンタで液体を押出成形して3D物体を作製することもでき、その液体は、温度変化、あるいは融解または重合などの化学的変化のどちらか一方により硬化する。そのため、一部のケースで層ごとの構築を使用できる一方、ベクトルベースの構築も使用でき、その場合は、作製する部品、機械の物理的性質、材料の化学的性質、および他の製造上考慮すべき点に基づき、平面の両側で3Dの動きが決定される。材料を供給する「プリントヘッド」の面内ラスタリングおよび面外運動、または同じ「プリントヘッド」について、感光性の液体内における光の限界焦点体積(critical focal volume)の3D座標の調整と(ひいては、その位置の3D座標から立体的「ボクセル」への変換)は、どちらも、運動および反復を通じて、目標とされる何らかの物理的な寸法、形状、およびサイズを伴う3D物体を成形できる方法である。
【0023】
3D印刷を行うには、いくつかの技術が利用できる。それらの主な違いは、層を構築して物体を作製する方法にある。一部の方法では融解またはリフローを使って層を作製し、例えば「粉末焼結積層造形法」では、1若しくはそれ以上のレーザーが粒子床の粒子を選択的に融解する。各断面が作製されると、その頂部に新たな粉末層が適用され、望ましい3D構造が得られるまで、この工程が繰り返される。望ましい特性に応じ、各粉末層を同じものにしても、異なる粉末の層を適用してもよい。各粉末層は、均一にしても、セクションごとに異なる材料にしてもよいため、特性および/または機能性の異なる物体を得る能力がもたらされる。この技術は、溶融プラスチック層および/またはプラスチック物体、または金属層および/または金属物体、またはセラミック層および/またはセラミック物体を生成する上でも役立つ。金属構造の場合は、金属粉末床が提供されたのち、レーザーが照射される。電子機器および機械機構内の機能的物体の多くには、金属、セラミック、プラスチック、半導体などのうち1より多くを含む材料の組み合わせが望まれる。そのため、そのような工程では、上記のように材料タイプが非常に不均一な3D装置を構成または構築する場合、要因、例えば応力、収縮、CTE、物質凝集、および材料間の界面接着を管理することが望ましい。
【0024】
3D印刷による別の付加製造方法は、「ホットメルト押出成形による製作」で、その場合は、ペレットおよび/またはフィラメントとして供給される材料が液化され、1若しくはそれ以上の押出成形ヘッドにより積層される。それらのペレットおよび/またはフィラメントは同じものでも異なるものでもよく、押出成形前に、または押出成形中に、融解および混合できる。
【0025】
他の方法としては、液体材料を適用して、インクジェット印刷を含む種々の技術で硬化させる方法などがある。3D構造の場合は、「インクジェット」が積層を行い、例えば、各層はミクロンから数十ミクロン若しくはそれ以上の厚さになる。それらの層は、工程が進むとともに、例えば乾燥により硬化する。あるいは、部分的に、インクジェット印刷の層は、一度に1層ずつ適用し、硬化させることができる。1若しくはそれ以上の印刷ヘッドを使うと、同様な若しくは異なる材料を使って、基板上に構造を構築することができる。もう1つのインクジェット印刷技術では、粉末床にインクジェットでバインダー(結合剤)を適用し、粉末を結合させて固体層にする。この工程は、望ましい3D物体が得られるまで続く。
【0026】
液体材料を使う別の付加製造方法は、光造形法で、その場合、バット(vat)内の液体ポリマーまたは液体ポリマーの層に光が当てられる。液体ポリマーの露光領域は、硬化して固体層になる。固体層領域が製作された時点で、基板が小寸法の増分だけ下方に移動され、前記液体ポリマーは、再び露光される。この工程は、モデルが構築されるまで繰り返される。次に、前記液体ポリマーがバットから排出されて、固体モデルが残される。また、この方法では、構築工程中の種々の段階で前記液体ポリマーを異なる液体ポリマーで置き換えられるため、異なる用途に異なる特性を伴った異なる材料を使用することができる。
【0027】
他の技術としては2光子光造形法などがあり、その場合、1つのレーザーを集光して3Dゲルを生じることにより、3D構造が得られる。これに続けて、前記ゲルの望ましいセクションを硬化させて固体にする第2のレーザーが照射され、未硬化のゲルは洗い流される。
【0028】
電子的および/または機械的な構造の3D製作に有用な材料としては、誘電材料、例えばABS、ポリアクリレート、BCB、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリシリコン材料、および電子的および/または機械的な構造製作用の誘電体として有用であることが当該技術分野で知られている他の材料などがあるが、これに限定されるものではない。ポリマーが現行の3D印刷技術を使って最も積層しやすい材料である一方、電子構成要素で一般に見られるのは、半導体、セラミックス、および金属である。粉末焼結積層造形法は、現在、略バルク状態の密度の金属をもたらす数少ない付加製造技術の1つであるが、その正確度および解像度は、ジェット積層または押出積層による3Dプリンタと比べて低い。ただし、これらの材料は、混合物、例えばナノ材料ペーストまたはバインダー中の組成物として3D印刷できる。直接的な熱的構成要素、例えばレーザー焼結を有する3D印刷技術は、多くの場合、最終的な構造材料をもたらすが、他のアプローチ、例えば最終的な印刷済み構造をベークしてバインダーおよび一定のポリマー成分を除去するものも、最終的に望ましい材料特性を得るするため同様に使用できる。例えば、ポリマーを熱処理して溶剤を除去し、固体を残すことは可能であり、またはポリマー・セラミック複合材料を熱処理してポリマーを分解し、セラミックを残すこともできる。それらの材料は、単独で使用することも、インクジェット組成物に配合することもでき、あるいはホットメルト押出成形用途の融解可能な固体として、または光造形法用途のモノマー材料(単量体材料)、ポリマー材料、または材料混合物として使用することもできる。
【0029】
他の有用な材料は、付加製造すなわち3D印刷工程により適用して、硬化工程、例えばエポキシ、ノボラック、メラミン、ポリビスフェノールAのグリシジルエーテル、またはこれらの組み合わせ、および熱硬化、光硬化、またはこれらの組み合わせを必要とする他の架橋結合系でさらに処理できる。これら材料の一部では、前記硬化工程における1若しくはそれ以上の硬化触媒、例えば光酸発生剤、熱酸発生剤、光塩基発生剤、および/または熱塩基発生剤が、反応を補助する。望ましい特性に応じ、3D印刷用の材料は、1若しくはそれ以上の有用な印刷組成物と組み合わせることができる。
【0030】
一部の実施形態において、前記3D印刷すなわち付加製造用の組成物は、「金属化可能な組成物」を有する。これらの組成物は、金属化触媒を含み、またはこれに選択的に結合することができ、前記金属化触媒により、湿式化学工程または気相工程を使った金属の積層が可能になる。金属化触媒としては、例えば処理中に活性化してパラジウム触媒になるパラジウム−スズ合金などがある。他の触媒としては、熱処理、化学処理、またはプラズマ処理により活性化してパラジウム触媒にできる有機パラジウム材料などがある。一部の場合、金属化前駆体を積層中の誘電体に含めることができる。一部の場合には、触媒に吸着されず、吸収されず、または結合しない第2の材料と関連して、溶液から前記触媒に吸着され、吸収され、または結合しやすい材料が選択される。この実施形態では、前記材料が積層され、前記材料が任意選択的にエッチングされ、任意選択的に追加工程が適用されて、例えば少量のポリマーまたはバインダー材料を選択的に除去して触媒を残すプラズマエッチング工程で、触媒を濃縮する。触媒、例えば塩化パラジウム組成物を活性化させるため必要とされる付加的な処理、例えば還元剤の適用は、当該技術分野で知られている。次いで前記材料はめっきすることができる。
【0031】
他の実施形態において、前記印刷組成物は、光画像形成性材料を有することができる。例えば、光画成可能な誘電材料、例えばポリビスフェノールAのグリシジルエーテルまたは光酸発生剤システムを3D方法で適用したのち、フォトリソグラフィ技術、例えばフォトマスクを施し化学線を照射し適切な現像液を使って未照射材料を除去することにより、追加処理を行うことができる。この方法で2要素からなるパターニング工程が可能になり、その第1は3D積層によりもたらされるパターン、第2はフォトリソグラフィ工程で、3D構造の製造に比較的高い汎用性が得られる。他のフォトリソグラフィ材料は、例えば、アクリレート系、BCB系、シリコンベースの系、および/またはノボラック系にも使用できる。
【0032】
例えば、当該技術分野で知られた無電解金属化工程を使うと、金属、例えば銅、ニッケル、金、スズ、亜鉛、銀、パラジウム、スズ、鉛、アルミニウム、クロム、および/または合金を選択的に積層することができる。一部の実施形態において、前記金属化触媒を含む組成物は、表面がエッチングされて非触媒誘電材料の一部が除去されることにより、前記組成物の表面における触媒部位の数が増えて、めっきの改善が実現する可能性がある。例えば、前記金属化可能なプラスチックの表面上で触媒を濃縮するためのエッチング工程には、プラズマ工程、例えば酸素の存在下におけるプラズマエッチングを含めることができ、または湿式化学エッチングを含めることができる。
【0033】
金属触媒を含まない他の誘電材料は、触媒化された誘電体とともに積層できる。これらは、インクジェットまたはホットメルト押出成形による印刷時、1より多くのプリントヘッドおよび/または順次、例えば光造形法を使用することにより、同時に積層でき、その場合、1つの材料が液体組成物で積層されると、その組成物が洗い流されて第2の液体組成物で置き換えられ、前記第2の液体組成物で積層が行われる。これにより、選ばれた構造が金属化される一方、他の構造は金属化されない選択的金属化が可能になる。
【0034】
これまでのところ、3D印刷されたプラスチックモデルは、すべてプラスチック表面をめっきする技術、例えば無電解めっきおよび/または無電解めっき後の電解めっきにより金属化されている。しかし、金属化領域および非金属化領域の選択的な形成を可能にすると同時に金属化領域が積層材料で画成されるようにする方法は、まだ実証されていない。これは、レジストまたは塗料などの付加的なマスキング材料を物体に適用して金属パターンを生成するパターン化された金属化とは、対照的である。他の実施形態では、3D印刷方法を使って2つの誘電性組成物を基板上に積層でき、その誘電性組成物のうち一方だけはめっき触媒で触媒化したのちめっきが可能になり、他方には触媒を導入せず、同じ金属化工程を行ってもめっきは行われない。これは、1つの方法では、前記誘電性組成物の一方にめっき触媒が付着できる表面特性があると同時に、他方の誘電性組成物には触媒が付着できない場合、達成される。そのような付着性表面の例としては、表面が、例えばカルボン酸基、水酸基、および/または他の高極性基を伴い、および/または前記表面が多孔質で、その微孔により触媒を捕捉できる場合などがある。
【0035】
あるいは、前記誘電性組成物の1つを従来のプラスチックめっき工程で処理し、例えば前記誘電体をわずかに膨張させエッチングしたのち、触媒浴に接触させて、その触媒が前記誘電体に対して付着性になるようにもできる。次いで、前記処理済みの誘電体にめっき浴でめっきが施される。積層される他方の誘電体は、前記触媒化工程、ひいてはめっき工程に影響されないよう選択される。選択した誘電体のめっきは、例えば、無電解めっき工程により、および/または無電解めっきとそれに続く電解めっきとの組み合わせにより行える。上記のめっき工程では、本開示の諸実施形態において、積層された3D構造の選択的めっきおよび非めっきが提供されることが理解されるであろう。
【0036】
また、前記選択的金属化は気体または気相反応によっても生じ、例えば原子層成長法(atomic layer deposition:ALD)では、極性材料により、一連の気相反応で表面の金属化が可能になり、非極性材料では反応が開始しない。
【0037】
金属化可能な若しくはそれ以外の永続的な誘電材料の3D印刷すなわち付加製造に加え、本発明は、犠牲材料とともに、前記金属化可能な誘電体および前記金属化不可能な誘電体のうちの1若しくはそれ以上を3D印刷する工程を含む。例えば、3D印刷された材料は、デンプンなどの犠牲足場(sacrificial scaffolding)およびABSなどの永続的材料の双方を提供する上で使用できる。この場合、最終的な物体は、前記犠牲足場が溶解し、または除去されたとき得られる。完全に誘電材料で作製された部品は一定の用途に役立つが、他の産物、特に電子的および/または機械的な構造は、ほぼ任意の複雑度と組み合わせ、特に空間または空隙(void)を望ましい場所にもたらせる犠牲材料と組み合わせた場合、利用可能な金属および誘電体の混合物を有する恩恵を受ける。
【0038】
そのため、通常は3つの材料、すなわち印刷後に溶解可能な犠牲足場材料と、2つの材料とが使用される可能性があり、前記2つの材料のうち1つの材料は第2の材料に対し選択的に金属化可能で、どちらの材料も前記犠牲足場材料を除去する工程中、元の状態で保たれる。次に前記金属化可能な材料は金属化工程中に金属化され、その後、前記選択的に金属化された材料は、任意選択的に第2の除去工程で除去される。材料が任意選択的に除去される場合、金属が確実に自立構造になる厚さまで積層されるようにすることが望ましい。一部の場合、誘電体、金属、および空隙は、最終構造において任意の、ならびに決定された複雑度で構造化することが望ましい。単に誘電体、例えば選択的に金属化可能なプラスチックを金属でコーティングするだけでは望ましくない場合もある。金属で封入された誘電体は、例えば温度サイクル下で、前記金属および誘電体の特性不一致により破損するおそれがあるため、足場として作用可能な犠牲材料の除去と同様に、金属化された誘電体を金属コーティングから除去することが望ましい場合がある。そのため、そのような装置を実現するには、3または4つの材料、すなわち選択的に金属化可能な誘電体、それと同じ工程で金属化されない第2の誘電体、前記金属化可能な誘電体上でコーティングされる金属、および任意選択で足場材料を選択する。通常は、前記足場材料が除去されたのち、前記2つの誘電材料のうち1つの上で金属が選択的に積層され、次いで前記金属化された誘電材料も最終的な除去工程で任意選択的に除去されて、望ましい金属、空気、誘電体の構造が残る。
【0039】
犠牲材料として適した材料は、3D技術を使って印刷できる。そのような材料は、上記の技術を使ってめっき可能、すなわちめっき触媒を含み、および/または膨張・エッチング・触媒化が可能で、および/または除去が容易で除去後に完全または部分的な金属構造要素を残すことができる。そのような材料としては、例えば、ポリアクリレート、ポリカーボネート、セルロース材料、および除去剤により除去可能な他の材料などがある。除去剤は、有機溶剤、例えばグリコールエーテル、グリコールエーテルアセテート、アルコール、エーテル、ケトン、ハロゲン系溶剤、DMF、DMSOなど;水溶性溶剤、例えばpH約0〜約13の範囲で界面活性剤および/または乳化剤を伴う若しくは伴わない酸および塩基;および/または熱的蒸発、および/またはこれらの組み合わせを含む。前記犠牲材料は、溶解し、乳化し、粒子化し(particulate)、解重合し、および/または気体状になる。また、機械的な補助、例えば超音波処理(ultrasonification)も使用できる。前記除去剤および前記除去工程の選択性により、前記誘電材料は、前記除去工程中に影響を受けないことが必要とされる。
【0040】
また、本願は、金属化可能な誘電体、金属化不可能な誘電材料、および犠牲材料を複数の層へと堆積させる工程についても開示している。3D印刷の汎用性により、電子的および/または機械的な構造の要件に基づき、種々のシーケンスで層を堆積させることができる。例えば、3D−MERFSおよびPoly Strata(登録商標)と同様な装置は、本明細書に開示する方法で作製できる。本開示の方法を使って作製できる装置の例としては、米国特許第7,012,489号、米国特許第7,649,432号、米国特許第7,948,335号、米国特許第7,148,772号、米国特許第7,405,638号、米国特許第7,656,256号、米国特許第7,755,174号、米国特許第7,898,356号、米国特許第8,031,037号、米国特許第2008/0199656号、および米国特許出願公開第2011/0123783号、米国特許出願公開第2010/0296252号、米国特許出願公開第2011/0273241号、米国特許出願公開第2011/0181376,号、米国特許出願公開第2011/0210807号を参照。これらの特許および公開出願の内容は、この参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
一部の実施形態では、材料の印刷前に、それらの材料をリザーバー(貯留槽)で混合できる。これは、特に反応性の高い材料に有用で、2つの材料が印刷中に互いに反応し始めるようにできる。この態様では、層の適用時、粘性を迅速に高めて固体層を形成する上で役立つ。
【0042】
2つの印刷装置を互いに協動的に動作させると、反応性の高い材料の2つの部分は同時に印刷され、ただちに反応し始めることができ、例えばエポキシノボラック層が1つの印刷装置から印刷され、酸が第2の印刷装置から直接、前記エポキシノボラック層上に印刷されるようにできる。酸が前記エポキシに接触すると、すぐに架橋結合反応が起こる。
【0043】
他の工程では、一部の層を熱および/または光で硬化できるため、一部のプリントヘッドは、積層済みの層に適用可能な加熱要素および/または発光要素で置き換え、またはそれらと併用することが可能である。これにより、さらに別の処理に適した状態になるよう、前記層を選択的に硬化し、または未硬化の状態で保つことができる。
【0044】
前記電子的および/または機械的な構造は、通常必要とされるコーティング工程に依存せず、多種多様な表面上に設けることができる。そのため、前記層の堆積には、平面状または非平面状の表面を使用できる。電子装置および/または構成要素が一部または全体に装着された表面も使用でき、これらの表面上で製作が行えるが、これを現行の従来方法で実現することは難しい。
【0045】
電子的および/または機械的な構造を構築する方法は、従来の積層工程を使って材料を成膜する工程を含むことができ、これには例えば、スピンコーティング、積層(lamination)、ディップコーティング、カーテンコーティング、スロットコーティング、スプレーコーティング、オフセットコーティングなどが含まれる。各層の後で若しくは定期的に構造を平坦化し、または1若しくはそれ以上の層の処理中に選択的な除去工程を設けることが望ましい場合もある。そのためには、他の従来工程、例えば化学機械研磨、ラップ仕上げ、機械加工、ダイヤモンド切削、または他の精密な旋削、フライス加工、研削、プラズマエッチング、レーザーアブレーション、および/またはこれらの組み合わせを含めることもできる。
【0046】
前記3D印刷工程は、種々の形状および/または種々の高さの構造だけでなく、製造中、後の段階で個別の構成要素を内設できる空洞および/または壁を有する構造ももたらすことができる。
【0047】
本特許願はサイズに制限されず、これらの方法を使うとミクロン〜メートルオーダーの物体を製作でき、主にプリントヘッドの解像度性能またはプリンタの規模だけに制限される。また、積層に使用される基板は支持体としてのみ機能し、その上に物体とそのすべての実施形態が印刷されて、その後、前記基板が除去されて選択的に金属化された部分を表面に伴う自立構造の物体をもたらすようになっている。
【0048】
ここで
図1Aを参照すると、本発明の3D印刷工程の具体例として、プリントヘッド10、11が提供されており、これらは第1および第2の材料12、13の液滴を積層して、第1および第2の層状構造14、15を基板16上に形成できる。本明細書における用語「液滴」とは、液体、固体、例えば粉末またはナノ粒子、またはこれらの組み合わせ、例えば懸濁液またはスラリーをいう。「液滴」の体積は、製作する装置のサイズ、公差、および複雑度に応じ、ピコリットル〜ミリリットルオーダーであってよい。前記第1および第2の材料12、13は、同じまたは異なる組成物を有することができ、前記プリントヘッド10、11は、同じものでも異なるものでもよく、必要に応じて異なるサイズおよび/または形状の液滴を積層する。
図1Aでは2つのプリントヘッド10、11を例示しているが、2つより多くのプリントヘッドを使用することもでき、その場合、各プリントヘッドは、材料を同時に、および/または順次積層できる。また、単一のプリントヘッド10を使用しても、各前記第1および第2の材料12、13を積層できる。前記プリントヘッド10、11および前記基板16は、通常、例えばリニアモーター、ガントリーロボットシステム、スカラロボットシステム、粒子の静電偏向、ラスタースキャン印刷運動、または他の関連技術などを使って互いに相対的に移動される。
【0049】
前記プリントヘッド10、11は、構造に望ましい厚さが得られるまで層を重ねて堆積させる。一部の工程では、前記プリントヘッド10、11が、それらの工程中に1つの材料から別の材料へと切り替えを行うことにより複数の材料を提供し、複数材料のうち異なるものを互いに積層印刷して複雑なパターンを提供できる。層を互いに重ねて印刷する場合は、それらの層中に開口部を残して、層で形成された構造に対し溶液が流入および流出できるようにできる。
【0050】
前記基板16は、電子的および/または機械的な装置を成形する上で有用な任意の表面、例えばシリコン材料、セラミック材料、ガラス材料、金属材料、集積回路を含む半導体材料、回路基板材料、RFID基板などを有することができる。例えば、集積回路を含んだSiGeまたはInPウエハーとすることもできる。前記基板16は平坦であってよく、または、前記工程の汎用性により、前記基板16にすでに構成要素および/または構造が装着された状態であってもよい。前記基板16は、最終製品の永続的な部分であっても、あるいは、例えば犠牲層を使って構造を成長させ、および/または除去および/または分離するための一時的なプラットフォームであってもよい。
【0051】
図1Bは、金属コーティング17による前記第2の層状構造15の選択的金属化を例示したもので、これは例えば無電解めっき技術、電解技術、および/または直接めっきにより達成される。一部の応用において、前記材料12、13のうちの1若しくはそれ以上は、伝導性ポリマー、例えばポリチオフェン、ポリピロール、および/またはポリアニリンを含むことができる。伝導性材料としては、例えばグラフェン、炭素(カーボン)、ナノカーボン構造、および/または電気めっき導体として有用な非金属を含む他の材料などもある。
【0052】
択一的または付加的に、前記材料の1つ、例えば材料13に、めっき触媒を含めることができる。その触媒は、例えばパラジウム−スズコロイドおよび/またはその塩化物のうちの1若しくはそれ以上を含むことができる。前記印刷工程が完了したら(例えば、
図1A)、層状構造14、15を含む前記基板16を市販の活性化溶液に浸漬させることができ、これにより例えば前記任意選択的に触媒を含有した第2の材料13中で、スズ塩またはパラジウム塩が還元されて元素状パラジウムおよび/またはスズになる。次に、前記基板16は、市販の無電解めっき浴に浸漬され、望ましい金属厚さが得られるよう操作される。一部の実施形態では、前記触媒を含有した第2の材料13の表面をエッチングして、前記無電解めっき材料に接触して反応する前記触媒の量を前記表面上で増やすことが有利である。エッチングは、液体浴、例えば強アルカリに何らかの感受性を有する強アルカリ性の材料で行え、または例えば上述のように酸素含有プラズマで前記材料をプラズマエッチングすることもできる。
【0053】
本発明のさらに別の例示的構造および方法を参照すると、
図1Cでは
図1Aと同様な工程を例示したもので、プリントヘッド10、11が第1および第2の材料12、13の液滴を積層して第1および第2の層状構造24、25を基板26上に形成している。ただし、前記基板26上には、前記第2の構造25の積層位置に事前に金属層20が設けられている。さらに、前記第2の構造25の露出面に金属22を積層すると、
図1Bの前記金属17に関する上記の説明と同様な態様で、前記第2の構造25が金属22に完全に囲まれるようにできる(
図1D)。続けて、前記第2の構造25を成す前記第2の積層材料13を除去し、自立3D金属構造28を残すことができる(
図1E)。上述のように、前記積層された第2の材料13は、溶解、熱的蒸発、ポリマー分解、および他の適切な方法のうちの1若しくはそれ以上により除去できる。前記第2の構造25の溶解は、当該第2の構造25の一部の上に付加的な犠牲材料18を印刷することにより、当該第2の構造25の選択した領域が金属化されずに「排出穴」を形成するようにすることにより促進できる(
図1F、1G)。この付加的な犠牲材料18を選択的に除去すると、前記第2の構造25でまだ金属化されていない領域を露出させたのち、金属シェル29から溶解させ、および/または除去することができる。前記付加的な犠牲材料18は、犠牲材料25と同じものでも異なるものでもよく、および/または前記第2の構造25の条件下で選択的に金属化されない薄い誘電体層であってもよい。
図1Gの次の工程は、18および25の材料を除去する選択肢が選択された場合、
図1Eと同様になる。
【0054】
前述のように、積層に適した材料は、誘電材料、例えばポリイミド、ポリスルホン、ポリシランなどから、ポリアクリレートまでの範囲にわたる。製作される電子的および/または機械的な装置の望ましい構造に応じ、一時的な材料、例えばワックス、溶剤に可溶性の材料、および/または水溶液に可溶性の材料も使用できる。これらの材料は、
図1Eに示したように、製作する最終装置に空気間隙または空隙がある場合に重要となる可能性がある。
【0055】
図2は、電子的および/または機械的な構造用にホットメルト押出成形による製作技術を使って材料を積層する別の例示的な工程を例示したもので、プリントヘッド37が基板35上に材料33を積層する。上述のインクジェット印刷技術と同様、この場合も、1より多くの材料を同時に若しくは異なる時点で積層する1より多くのプリントヘッドを設けることができる。前記プリントヘッド内に供給される材料は、前記工程中に変更でき、これにより異なる材料を同じプリントヘッドから積層できる。択一的または付加的に、異なる材料を含む複数のプリントヘッドを順次または並行して使用することもできる。この工程において、材料は、予熱され、および/または積層前に他の材料と予混合できる。
【0056】
図3は、本発明の3D構造を製作するさらに別の例示的工程として、光造形法を例示したものである。基板30は、硬化可能な材料、例えば液体モノマーまたは液体ポリマー34を含む浴32内に配置される。露光装置36は、前記モノマーに硬化照射38を行うもので、この照射は、例えば前記基板30上の選択された位置に硬化された層パターン40をもたらす紫外線照射であってよい。前記層パターン40が積層された後、前記基板30は、さらに、選択されたレベルまで前記浴32に浸漬され、前記基板30の頂部および/または前記既存の層パターン40の部分の上に新たな液体層が硬化される。前記露光は、新たな各層が前の層40に付着するとともに繰り返すことができ、前記基板30は、さらに再び前記浴32に浸漬される。この工程は、望ましい3D構造が作製されるまで続く。当該工程中は、前記液体モノマー34を排出して異なる材料で置き換えることにより、1タイプより多くの材料を使用して構造を構築することができる。また、1より多くの露光ユニット36により、同時に若しくは異なる時点で、前記液体モノマー34を露光させることができる。
【0057】
ここで
図4〜16を参照すると、本発明の3D付加構築工程の例として、3次元多層構造の同軸ケーブル78(
図16)の製作においてインクジェット工程を使用する本発明の例示的工程が示されている。他の適切な3D製造技術を代わりに若しくは組み合わせて使用してもよく、インクジェット印刷は、単に例示目的で示しており、限定のためではないことを理解すべきである。
【0058】
基板50は、底部金属壁52を有して提供され、その上に同軸導波導体ケーブル78が設けられる(
図4)。犠牲材料54a、54bは、3Dインクジェット印刷56または他の適切な3D付加構築工程により、望ましいパターンで積層して、同軸状の側壁68(
図16を参照)の下部の位置53と、望ましい構造および/または装置、例えば前記同軸ケーブル78の中心導体69用の非伝導性支柱を付加するためのポケット55とを画成することができる(
図5)。次に、保護層58を前記ポケット55内に積層できる(
図6)。前記保護層58は非伝導性で、この保護層58上の金属めっきを防ぐ。次いで、金属めっき、または他の適切な金属化工程が行うことにより、前記位置53に金属を充填して、前記底部金属壁52と連続した側壁下部60aを設けることができる(
図7)。
sここでも、平坦化技術を含めて上面61を平坦化することにより、オーバーめっきにより積層された過剰な金属があれば、それを除去することができる。平坦化を必要とするこの工程および/または任意の工程における平坦化は、CMP、ラップ仕上げ、研磨、研削、ダイヤモンド切削、旋削、フライス加工などのうちの1若しくはそれ以上により達成される。これは、代わりに前記支柱に関する次の工程後、任意選択的に行い、または必要な場合および必要に応じて任意の工程で任意選択的に行うことができる。
【0059】
支柱62は、非伝導性材料63、例えば上述した誘電材料のいずれかを、前記保護層58の上にインクジェット印刷することにより積層でき、前記同軸ケーブル78の前記中心導体69の支持を提供する(
図8A)。平坦化は、この段階で任意選択的に使うと水平面をもたらすことができるが、印刷工程で過積層に対する調整を行うこともできる。ここで保護層58および支柱62の積層は2つの別個の材料および工程を有するものとして示しているが、前記保護層58および前記支柱62は、同じ材料、例えば金属化不可能な材料を有してよく、1つの積層または成形工程で成形できる。
【0060】
任意選択で、
図8Aの材料62は、前記非伝導層58上に積層される支柱材料として示されているが、それに代えて、前記ポケットまたは凹部領域55に物体65を挿入し(
図8B)、
図4〜16に示した同軸ケーブル例以外の装置を実現することもできる。例えば、前記物体65は、チップ(集積回路)、磁石、およびフェライトのうちの1若しくはそれ以上を含んでよく、前記ポケット55に挿入できる。例えば、化学的または熱的要件などのため、利用される3D付加構築工程に適合性しない材料または装置、あるいは前記3D付加構築工程で可能な処理より多い若しくは少ない処理を必要とする装置を、挿入することができる。前記物体65は、1若しくはそれ以上の手段、例えば伝導性または非伝導性の接着剤により、前記保護層58および/または当該保護層58下の前記底部金属壁52にボンディングでき、あるいは当該物体65は、後続の積層工程で機械的に定位置でロックできる。任意の適切な手段、例えばピックアンドプレース、手動挿入、または静電引力を使った流体中での自己組織化を使っても、前記装置または物体65を組み込むことができる。
【0061】
前記同軸状の構築例について説明を再開すると、犠牲材料64a、64bは、3Dインクジェット印刷または他の適切な3D付加構築工程により積層でき、これにより前記同軸状の側壁68の中間部分の位置66aと、前記中心導体69の中間部分の位置66bとが画成される(
図9、16)。前記支柱62は非伝導性であるため、この支柱62上へのめっきを可能にするシード層67、例えば金属化触媒または伝導性の薄膜を、インクジェット印刷により積層することができる(
図10)。次いで、金属めっき、または他の適切な金属化工程を行うことにより、前記位置66bに金属を充填して中心導体69を設けることができ、また前記位置66aに金属を充填して、前記側壁下部60aと連続した側壁中間部60bを設けることができる(
図11)。
【0062】
この時点で、前記側壁68の頂部の位置71aと、前記同軸ケーブル78の外側の導体79の最上層の位置71bとを画成する犠牲材料70a、70bが積層される(
図12、16)。なお、本発明の3D付加構築工程の汎用性により、70aの厚さは、70bの厚さより[訳注:原文一部脱落]であるため、前記側壁68の最上層および前記外側の導体79の最上層のめっきは、並行して起こるようにできる。
【0063】
溶解プラグ72は、任意選択的に、前記犠牲材料70bの表面の選択された位置にインクジェット印刷で積層される(
図13)。これらのプラグ72は、金属めっきされない材料で構成され、後で除去して完成した同軸ケーブル78の頂部に穴を生じて、前記犠牲材料54b、64b、70bが除去工程中に通過できる経路を作製できるようにする。シード層74を前記犠牲材料70b上に積層すると、前記犠牲材料70b最上層の前記溶解プラグ72の位置以外の全領域をめっきすることができる(
図14)。次いでめっきが行われ、前記同軸ケーブル78の側壁頂部60cおよび最上層76が提供される(
図15)。次に、適切な溶解方法、例えば本明細書で説明したものにより、前記犠牲溶解プラグ72および前記犠牲材料54a、54b、64a、64b、70a、70bを除去し、同軸ケーブル78を提供する(
図16)。前記溶解プラグ72は、例えば前記犠牲材料54a、64a、70aを含む任意の適切な位置に設けることができる。前記溶解プラグ72により提供される穴は、望ましい電気特性の低下を最小限に抑える位置、サイズ、および形状で提供できる。
【0064】
なお、この例示的工程におけるすべてのコーティング工程は、3D付加構築工程であることに注意すべきである。さらに、3D構築で略バルク金属特性を得る方法としてめっきを使用しているが、必要とされる適切な材料特性が得られる場合は、前記めっき工程のうちの1若しくはそれ以上を3D印刷工程で置き換えることもできる。その追加態様または代替態様として、以下の例で示すように、選択された非伝導構造を金属化して伝導面を有する中実または中空構造をもたらすことにより、バルク電気および/または熱伝導性のある代替構造として、伝導構造を提供できる。
【0065】
図17〜29Bを参照すると、主に空気誘電体(air dielectric)を伴う3D同軸構造を作製する、本発明の3D付加構築工程のさらに別の例が例示されている。3D積層装置84は、基板80上に第1の材料82を積層して第1の層82aを提供することができる(
図17)。この積層装置84は、任意の適切な3D付加構築工程、例えば固体ポリマー印刷を実施する任意の装置であってよい。あるいは、この積層装置84は、積層されるプラスチックフィルム用の積層およびパターニング工程、および/またはスピンコーティングされるフォトレジスト用のパターニング工程を概略的に表すものであってもよい。この例において、前記第1の材料82は、選択的に金属化可能なポリマー、プラスチック、および/または誘電材料を有することができ、また作製する物体の規模に応じてミクロン〜センチメートルオーダーの厚さに積層可能である。前記第1の材料82の第2の層82bは、前記第1の層82aの選択された位置に積層できる(
図18)。第2の材料90は、積層装置88により前記第1の層82aの選択された位置に積層でき、前記積層装置88は、前記積層装置84と同じものでも異なるものでもよい。前記第2の材料90は、一定位置で支柱90aを提供でき、前記支柱90aと第2の層82bとの間に空隙91を生じることができる。前記第2の材料90には、前記第1の層82aの前記材料82と異なる望ましいものを選択することにより、前記第1の層82aが適切な金属化工程で選択的に金属化されながら、前記支柱90aは金属化されないようにできる。選択的に金属化可能な材料、例えば第1の材料82は、金属材料および組成物を各々バルクで、特に各々の表面上に引き付ける触媒または他の活性部位を含むことができる。例えば、前記第1の材料82は、前記第2の材料90を触媒化した形態を有することができ、その触媒により前記第1の材料82が金属化可能になる。付加的または二者択一的に、物理特性の違い、例えば表面の粗さを利用すると、材料を選択的に金属化可能にすることができる。例えば、表面の粗さまたは表面の空隙率により、同じ工程でも材料90には触媒が付着せず、材料82aおよび82bには触媒が付着するようにできる。そのため、第1および第2の材料および金属化工程の選択または工学設計に応じて、金属化可能な組成物を有する前記第1および第2の層82a、82bは、前記支柱90aと比べ、選択的に金属化可能にできる。
【0066】
犠牲足場材料94は、積層装置92で積層でき、前記積層装置92は、前記積層装置84、88と同じでも異なってもよく、これにより前記空隙91のうちの1若しくはそれ以上を選択的に埋めて、当該3D付加構築工程中、懸架する必要のある後続構造または層のための足場94aをもたらすことができる。犠牲足場材料94の使用は、構造下に空隙領域を設けて構造を架設し若しくは構造を提供する必要性に応じて予測でき、積層装置84、88で積層された材料を支持する上で使用できる。前記足場94aは、後続工程で除去できる。3D微細加工の当業者であれば、例えば光造形法または液体樹脂が同様に機能する同様な工程が使用される場合、例えば液体層上における選択的な重合により、非重合液体で懸架された形状が形成される場合、前記足場94aが不要になりうることは明らかなはずである。また、懸架された形状を生じる他の手段を使っても、例えば材料の急激な固化および力、例えば凝集力または表面張力を使っても、3D付加構築システムにおいて、足場材料の必要なく、懸架された材料を作製することができる。そのような例では、足場94aを使用することなく同様な構築工程を使用できる。
【0067】
前記構築工程に立ち戻ると、前記積層装置84は、次に材料82の第3の層であって、前記支柱90aおよび前記第2の層82bの上にそれぞれ設けられる構造82d、82cを有する第3の層を積層することができる(
図21)。付加的な犠牲材料94は、前記足場94aの上に構造82d、82c間の空隙へと積層装置92により積層でき、これにより後で除去可能な付加的な足場94bが提供される(
図22)。次いで前記積層装置84は、層82a〜82dと同じ材料を有することのできる第4の層82eを前記構造82cの上に積層でき(
図23)、構造82dおよび足場94bの上には付加的な犠牲材料94を手段92で積層して付加的な足場94cを提供できる(
図24)。
【0068】
前記第1の層82aと同じ材料を有する上方構造82fは、前記第4の層82eおよび付加的な足場94cの上に装置84で積層できる(
図25)。前記足場94a〜94cは選択的に除去でき、その結果、空隙106(空気誘電体)を内部に有した同軸形状の構造200が生じる(
図26)。前述のように、前記足場94a〜94cは、溶剤除去工程、熱昇華工程、および蒸気除去工程のうちの1若しくはそれ以上により溶解できる。例えば、層82a〜82fおよび支柱90aがそれぞれ触媒化されたABSプラスチックおよび非触媒化されたABSプラスチックで、前記足場94a〜94cがデンプンを有する場合は、例えば高温水中での超音波撹拌により、除去を起こすことができる。
【0069】
当該工程の現段階において、前記同軸構造200は、前記3D付加構築工程に利用される材料82、90の選択の観点から非伝導性であってよく、前記層82a〜82fは、集合的に、外側の導体および層82dとして使用するための金属化可能なコア202、内側の導体として使用するための金属化可能なコアを提供する(
図26)。これにより、金属化工程を行って、前記第1の材料82を有する構造(すなわち、層82a〜82f)を金属化しながら、前記支柱90aを金属化されていない状態に保つことができる(
図27A、27B)。ここでも、前記第1の材料82は、前記支柱材料90と比べ、例えば前記第1および第2の材料82、90間の組成的および/または表面の物理的違い、ひいては利用される金属化工程に対する、そのような材料82、90の特定の反応、すなわち材料82、90間の選択的金属化の違いにより、選択的に金属化される。(他の実施形態において、前記装置の大半は金属化不可能な材料を有し、任意の混合物および任意数の層の金属化可能な材料、金属化不可能な材料、および空隙が、本例示的工程により作製可能である。)
図27A、27Bは、前記選択的な金属化後、例えば無電解銅、無電解銀、または無電解金のコーティング工程を伴う金属化シーケンスの適用後の前記同軸構造200の端面図および横断面図をそれぞれ概略的に例示したものである。その結果、層82dの上に施される金属コーティング97aにより、内側の導体97が金属化され、層82a〜82c、82e、82fの外面および内面にそれぞれ施される金属コーティング110a、110bにより、外側の導体110が金属化される。前記内側の導体97は、形成されたコア82dを、例えば
図21に例示した突起の一部として有し、
図20に例示した工程で形成された金属化されない支柱90aにより、前記外側の導体110とは電気的に不連続である。
図27Bに例示するように、前記同軸状の内側の導体97は、頂面まで上方へ延長し(左側)、当該中心導体97の平面内のポートから出ることができる(右側)。
【0070】
前記金属コーティング97a、110aは、成形される構造の規模に応じてサブミクロン、または数10、数100、数1000ミクロンの厚さにでき、当該技術分野で知られた無電解および/または電解めっき手段のほか、電鋳手段により成形できる。前記コーティング97a、110a、110bは、1より多くの金属層、例えばニッケルの層および金の層を有することができる。RF表皮深さのため、数ミクロン若しくはそれ以下の厚さで、1若しくは数GHzを超える周波数で低損失の伝送線路を提供することができる。なお、一部の実施形態では、例えば伝導性の基板を使って前記コーティング110a、110bを前記コア202の内面および外面に不連続に成形することにより、三軸伝送線路を同様なシーケンスで成形することもできる。
【0071】
また、前記シーケンス(順次)構築中は、
図19に例示した工程で複数の支柱90aを積層できる。そのような支柱90aは、ブロック、スタブ、ストラップ、シート、ロッドなどを含む形態を成すことができる。図では単純な伝送線路セクションを示しているが、当該例示的な3D付加構築工程により、同軸状の導波構成要素から成る複雑な3D多層ネットワークが作製可能なことは明らかなはずである。この例では、内側の導体97を同軸状のものとして示しているが、この内側の導体97を省略すると、同じ工程で中空のコア導波路も同等に作製できる。また、DCバイアスおよび制御線と、チップ装着領域と、コネクタおよびコネクタフランジと、当該装置の諸要素またはシステムハウジング自体との統合も、3D付加構築工程により成形できる。
【0072】
例えば、前記例示的な3D構築工程は、前記支柱90aを省略し、前記空隙91と、前記支柱90aで占められていた領域とに犠牲材料を充填して足場94dを提供することにより、
図19の工程以降を修正できる。次いで支持バー102を前記第2の層82bおよび足場94dの一部の上に積層できる。この支持バー102は、金属化可能な部分102bおよび金属化不可能な部分102a、102cを有することができる。金属化可能な部分102bと金属化不可能な部分102a、102cとの差別化は、前記支持バー102のバルク特性により実現でき、例えば前記支持バー102の積層中に、触媒または他の適切な材料を金属化可能な部分102bに提供してもたらすことができる。択一的または付加的に、前記金属化可能な部分102bは、前記金属化不可能な部分102a、102bと組成が異なる別個の材料として積層できる。さらに、前記金属化可能な部分102bは、前記支持バー102の物理的または化学的な表面特性を、前記支持バー102のバルク特性と比べ、当該金属化可能な部分102bの位置で変化させることにより金属化可能にできる。次いで、
図21〜26に例示したように付加的な層および足場材料を追加し続ける処理を行ったのち、
図27A〜27Bに関連して上記で説明したように金属化を行うと、
図29A、29Bに例示した同軸構造を得ることができる。ここで、(1つまたは複数の)前記支持バー102は前記内側の導体97を支持し、当該支持バー102の両端が層82cで前記外側の導体コアに埋め込まれることにより、前記では支柱90aにより提供された支持機能を提供する。金属化可能な部分102bおよび金属化不可能な部分102a、102cを有する支持バー102のそのような使用は、他の構造でも、例えば
図30に例示した
図16の例に見られる前記支柱62の代わりに実施できる。
【0073】
閉じた構造、または前記足場94a〜94cの除去を促進し、および/または前記金属コーティング工程に必要な流体流を促進する流れが制限された構造には、任意選択的な排出穴を内設できる。そのような穴は、例えば、金属化の前に、望ましい電気特性の低下を最小限に抑える位置およびサイズで、
図1F、1G、13〜15に例示した溶解プラグ72を使用するように、上層82fまたは任意の層に追加することができる。そのような排出穴の使用と各々の設計および配置とは、当業者であれば設計でき、ソフトウェア、例えば電磁構造についてはAnsoftのHFSS(登録商標)、機械または流体構造についてはAnsoftのAnsys(登録商標)、および/または同様なソフトウェア製品による支援が可能である。
【0074】
また、
図17〜29Bに例示したシーケンスでは基板80を使用しているが、前記基板80から、例えば犠牲材料、例えば材料92を適用し、および/または例えばプラットフォームから当該物体を機械的に分離して構造を容易に排出できることは明らかなはずである。さらに、前記選択的に金属化可能な材料82は最終装置に残せるが、前記金属層90a、110a、110bが十分厚い場合は、例えば、前記金属層90a、110a、110bの1若しくはそれ以上の開口部を通じて、前記支柱90aを元の状態で残す方法を使って、前記選択的に金属化可能な材料82を前記金属積層後に除去することができる。さらに、上記では電子的用途について例示したが、他の多くの用途、例えば流体装置、機械装置なども作製できる。
【0075】
以上に述べた本発明の利点等は、当業者であれば、本明細書の上記説明から明確に理解されるであろう。例えば、上記で概説した構築工程には、最終装置および/または作製する構造に応じ、より多数または少数の層およびより多数または少数の材料を含めることができる。前記構築工程は、任意の点で停止して、物品(items)または他の材料を一部完成した構造に挿入したのち、当該構築工程を継続して、前記挿入された材料および/または装置を埋め込み、および/または相互接続することができる。例えば、受動または能動電子装置、磁石、粉末、液体などを空洞またはレセプタクル(容器)に入れ、前記構築工程を継続してそれらを一部または全部相互接続または封入することが可能である。そのため、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱しない範囲で上記の実施形態を変更または修正できることが理解されるであろう。従って、本発明は本明細書に説明した特定の実施形態に限定されず、添付の請求項に記載した本発明の要旨に含まれるすべての変更形態を含むよう意図されていると理解すべきである。