(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
スズ、マンガン、インジウム、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤で促進された非ゼオライト支持体に含浸された白金を含む第1の白金族金属を含む第1のウォッシュコート層を有する基材を備え、
更に下塗りウォッシュコート層を備え、該下塗りウォッシュコート層には、白金族金属が、1g/フィート3(35.31g/m3)以上の濃度で意図的に加えられておらず、及び前記下塗りウォッシュコート層は、前記基材と前記第1のウォッシュコート層との間に位置付けられ、及び
支持体上に第2の白金族金属を含む第2のウォッシュコート層をさらに備える、ことを特徴とするディーゼル酸化触媒としての触媒物品。
スズ、マンガン、インジウム、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤を有する、促進された非ゼオライト支持体を、白金を含む白金族金属で含浸させることと、
前記促進された非ゼオライト支持体上に前記白金族金属を固定するように乾燥および焼成することと、
前記焼成された促進された非ゼオライト支持体を含むウォッシュコートスラリーを形成することと、
基材を前記ウォッシュコートスラリーでウォッシュコーティングすることと、を含む、触媒物品を製造する方法であって、
前記促進剤が、マンガン、インジウム、およびイリジウムを含むことを特徴とする触媒物品を製造する方法。
スズ、マンガン、インジウム、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤を有する、促進された非ゼオライト支持体を、白金を含む白金族金属で含浸させることと、
前記促進された非ゼオライト支持体上に前記白金族金属を固定するように乾燥および焼成することと、
前記焼成された促進された非ゼオライト支持体を含むウォッシュコートスラリーを形成することと、
基材を前記ウォッシュコートスラリーでウォッシュコーティングすることと、を含む、触媒物品を製造する方法であって、
前記促進剤が、スズ、インジウム、およびイリジウムを含むことを特徴とする触媒物品を製造する方法。
【発明の概要】
【0006】
1つの態様は、触媒物品を対象とする。多様な実施形態を以下に列挙する。以下に列挙される実施形態は、以下に列挙されるように組み合わされるだけではなく、本発明の範囲に従って他の好適な組み合わせが可能であることが理解されるであろう。
【0007】
実施形態1では、触媒物品は、第1のウォッシュコート層を有し、その第1のウォッシュコート層が、スズ、マンガン、インジウム、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤で促進される、非ゼオライト支持体上に含浸される、白金を含む第1の白金族金属を含む。
【0008】
実施形態2は、実施形態1の触媒物品に対する修正を含み、支持体上に第2の白金族金属を含む第2のウォッシュコート層をさらに備える。
【0009】
実施形態3は、実施形態1または2のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、実質的に白金族金属を含まない下塗りウォッシュコート層をさらに備え、下塗りウォッシュコート層が、基材と第1のウォッシュコート層との間に位置付けられる。
【0010】
実施形態4は、実施形態1〜3のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、総白金族金属の約10%以下が、第2のウォッシュコート層内にある。
【0011】
実施形態5は、実施形態1〜4のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進剤が、非ゼオライト支持体との固溶体である。
【0012】
実施形態6は、実施形態1〜5のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、非ゼオライト支持体がアルミナである。
【0013】
実施形態7は、実施形態1〜6のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、第1の白金族金属が、白金とパラジウムとの混合物を含む。
【0014】
実施形態8は、実施形態2〜7のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、第1のウォッシュコート層および第2のウォッシュコート層のうちの1つ以上が、さらにゼオライトを含む。
【0015】
実施形態9は、実施形態2〜8のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、第1のウォッシュコート層および第2のウォッシュコート層の両方が、実質的にゼオライトを含まない。
【0016】
実施形態10は、実施形態1〜9のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進剤が、重量により最大約50重量%の量で存在する。
【0017】
実施形態11は、実施形態1〜10のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、マンガン、インジウム、およびイリジウムで促進される。
【0018】
実施形態12は、実施形態1〜10のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、マンガンとインジウムとを含む促進剤で促進される。
【0019】
実施形態13は、実施形態1〜10のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、マンガンを含む促進剤で促進される。
【0020】
実施形態14は、実施形態1〜10のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、スズ、マンガン、インジウム、およびイリジウムのうちの1つ以上を含む。
【0021】
実施形態15は、実施形態1〜11のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進剤が、マンガンを最大約1g/インチ
3の量で、イリジウムを最大約0.01g/インチ
3の量で、およびインジウムを最大約0.1g/インチ
3の量で含む。
【0022】
実施形態16は、実施形態1〜11のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進剤が、約0.17g/インチ
3以下のマンガン、約0.0035g/インチ
3以下のイリジウム、および約0.067g/インチ
3以上を含む。
【0023】
実施形態17は、実施形態1〜11のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、促進剤が、スズを最大約0.2g/インチ
3の量で、インジウムを最大約0.2g/インチ
3の量で、およびイリジウムを最大約0.01g/インチ
3の量で含む。
【0024】
実施形態18は、実施形態1〜17のいずれかの触媒物品に対する修正を含み、基材が、縦方向に延在する複数の通過を有する壁流モノリスを含み、縦方向に延在する複数の通過が、前記通過を拘束および確定する、縦方向に延在する壁により形成される。
【0025】
実施形態19は、排気ガス流が実施形態1〜18のいずれかの触媒物品に通すことを含むディーゼルエンジンにより、排出される排気ガス流を処理する方法に関する。
【0026】
実施形態20は、実施形態19の方法に対する修正を含み、促進剤が、非ゼオライト支持体との固溶体である。
【0027】
実施形態21は、実施形態19または20の方法に対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、マンガン、インジウム、およびイリジウムを含む。
【0028】
実施形態22は、ディーゼルエンジンと、スズ、マンガン、インジウム、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤、促進された非ゼオライト支持体上に含浸される白金を含む白金族金属、を含む、第1のウォッシュコート層が基材上に配置される基材を備え、ディーゼルエンジンの下流に配置され、かつ流動連通状態にある、ディーゼル酸化触媒と、を備える、排気処理システムに関する。
【0029】
実施形態23は、実施形態22の排気処理システムに対する修正を含み、促進剤が、非ゼオライト支持体との固溶体である。
【0030】
実施形態24は、実施形態22または23のいずれかの排気処理システムに対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、マンガン、インジウム、およびイリジウムを含む。
【0031】
実施形態25は、実施形態22〜24のいずれかの排気処理システムに対する修正を含み、促進された非ゼオライト支持体が、マンガンを含む。
【0032】
実施形態26は、実施形態22〜25のいずれかの排気処理システムに対する修正を含み、エンジンの下流、ディーゼル酸化触媒の上流、および両方の流動連通状態に配置される少なくとも1つの追加の触媒を、さらに含む。
【0033】
実施形態27は、実施形態22〜26のいずれかの排気処理システムに対する修正を含み、ディーゼル酸化触媒の下流に配置され、かつディーゼル酸化触媒と流動連通状態にある少なくとも1つの追加の触媒を、さらに含む。
【0034】
実施形態28は、スズ、マンガン、インジウム、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤を有する、促進された非ゼオライト支持体を、白金を含む白金族金属で含浸させることと、促進された非ゼオライト支持体上に白金族金属を固定するように、乾燥および焼成することと、焼成された促進された非ゼオライト支持体を含むウォッシュコートスラリーを形成することと、基材をウォッシュコートスラリーでウォッシュコーティングすることと、を含む、触媒物品を作製する方法に関する。
【0035】
実施形態29は、実施形態28の方法に対する修正を含み、促進剤が、非ゼオライト支持体との固溶体である。
【0036】
実施形態30は、実施形態28または29の方法に対する修正を含み、促進剤が、マンガン、インジウム、およびイリジウムを含む。
【0037】
実施形態31は、実施形態28〜30のいずれかの方法に対する修正を含み、促進剤が、スズ、インジウム、およびイリジウムを含む。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明のいくつかの例示的実施形態を説明する前に、本発明は、以下の説明で記載される構造またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態、および多様な方法で実践されること、または実行されることが可能である。
【0040】
本明細書ならびに添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、コンテクストが明確に別様に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「触媒」への参照は、2つ以上の触媒の混合物等を含む。
【0041】
以下の用語は、本願の目的では、以下に記載されるそれぞれの意味を有するものとする。
【0042】
希薄排気流を含む「希薄ガス状流」は、λ>1.0を有するガス流を意味する。
【0043】
「希薄期間」は、排気ガス組成物が希薄である、つまりλ>1.0である、排気処理の期間を指す。
【0044】
「白金族金属」は、白金族金属またはそれらの酸化物のうちの1つを指す。
【0045】
「希土類金属成分」は、ランタン、セリウム、プラセオジム、およびネオジムを含む、元素周期表に定義されるランタン系のうちの1つ以上の酸化物を指す。
【0046】
濃密排気流を含む「濃密ガス状流」は、λ<1.0を有するガス流を意味する。
【0047】
「濃密期間」は、排気ガス組成物が濃密である、つまりλ<1.0である、排気処理の期間を指す。
【0048】
「ウォッシュコート」は、処理されているガス流のそれを通した通過を可能にするように十分多孔性である、モノリス基材またはフィルタ基材を通るハニカム流等の、耐火性基材に適用される触媒または他の材料の薄い接着コーティングの分野における、その通常の意味を有する。
【0049】
「VIII族金属」は、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、および白金である。
【0050】
酸化触媒において、未燃のガス状および非揮発性炭化水素(つまりSOF)および一酸化炭素は、二酸化炭素および水を形成するように大幅に燃焼される。さらに、NO
x成分のNOの実質的な割合は、酸化触媒において、NO
2に酸化される。酸化触媒の触媒作用によるNO
x内のNO
2の割合の増加が、NO
x成分内のより小さい割合のNO
2を含む排気流と比較すると、CSFおよびSCR等の、DOCに続く触媒成分のためのNO
xの削減を促進する。
【0051】
酸化触媒は、未燃のガス状および非揮発性炭化水素(つまりSOF)および一酸化炭素の効果的な燃焼を提供する、いかなる組成物からも形成されることが可能である。さらに、酸化触媒は、NO
x成分のNOの実質的な割合をNO
2に変換するように効果的であるべきである。本明細書で使用されるように、「NO
x成分のNOのNO
2への実質的な変換」という用語は、少なくとも約5%または少なくとも約10%または少なくとも約20%の、および具体的に運動サイクルに比べて少なくとも約30%の、NO
2へのNOの変換を意味する。触媒組成物は、耐火性金属またはセラミック(例えば、菫青石)材料で形成されるモノリス基材を通るハニカム流上でコーティングされ得る。代替的に、酸化触媒は、当業者には周知の金属またはセラミック発泡体基材上で形成されてもよい。これらの酸化触媒は、それらが上にコーティングされる基材に基づいて(例えば、開放セルセラミック発泡体)、および/またはそれらの内部酸化触媒活性に基づいて、微粒子除去の一部のレベルを提供する。
【0052】
実験用ライトオフリアクターおよびエンジンdynoテストに基づいて、ディーゼル酸化触媒を組み込むスズおよびマンガンは、基準触媒の属性に比べて上位のライトオフ属性を提供する。
図1および2は、本発明の多様な実施形態に従う、触媒物品の横断面例を示す。本発明の1つ以上の実施形態は、第1のウォッシュコート層12を有する基材10を含む触媒物品を対象とし、第1のウォッシュコート層12が、促進された非ゼオライト支持体上に含浸される第1の白金族金属を含む。詳細な実施形態において、非ゼオライト支持体が、スズ、マンガン、VIII族金属、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される促進剤で促進される。
【0053】
非ゼオライト支持体で促進剤は、好適な濃度で存在できる。詳細な実施形態において、促進剤は、支持体の最大約10重量%の量で存在する。具体的な実施形態において、促進剤が、支持体の最大約50重量%の量でおよび約50重量%の量を含んで存在する。多様な実施形態において、促進剤が、最大約1%、2%、3%、4%、6%、7%、8%、9%、11%、12%、13%、14%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、または45%の量で、およびそれらの量を含んで、存在する。具体的な実施形態において、促進剤が、非ゼオライト支持体との固溶体内に存在する。
【0054】
第1のウォッシュコート層12支持体が、さらに以下に説明されるように任意の好適な支持体であり得る。具体的な実施形態において、促進された支持体が、非ゼオライト材料である。詳細な実施形態において、非ゼオライト材料が、アルミニウム化合物(例えば、アルミナ)、ジルコニウム化合物(例えば、ジルコニア)、セリウム化合物(例えば、セリア)、ゼオライト、シリコン化合物(例えば、シリカ)、チタニウム化合物(例えば、チタニア)、卑金属酸化物およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。具体的な実施形態において、第1のウォッシュコート層12支持体が、アルミナである。一部の実施形態において、第1のウォッシュコート層12支持体が、ゼオライトをさらに含む。詳細な実施形態において、ゼオライトが、ベータゼオライトである。他の実施形態において、第1のウォッシュコート層12が、実質的にゼオライトを含まない。本明細書および添付の請求項の範囲に使用されるように、「実質的にゼオライトを含まない」という用語は、支持体で、約5重量%のゼオライト未満であることを意味する。
【0055】
一部の実施形態に従って、第1のウォッシュコート層12支持体は、COおよび炭化水素ライトオフ温度を減少し、NO
2製造を増加する材料で促進される。詳細な実施形態において、支持体は、スズ、マンガンおよびインジウムのうちの1つ以上で促進される。具体的な実施形態において、支持体は、スズで促進される。他の具体的な実施形態において、支持体は、マンガンで促進される。第3の具体的な実施形態において、支持体は、インジウムおよびスズで促進される。さらに別の具体的な実施形態において、支持体は、インジウムおよびマンガンで促進される。
【0056】
詳細な実施形態において、白金族金属は、白金を含む。具体的な実施形態において、前記白金族金属は、白金とパラジウムとの混合物を含む。一部の実施形態において、第1のウォッシュコート層12は、約5g/フィート
3から約150g/フィート
3の範囲の第1の白金族金属負荷を有する。多様な実施形態において、第1の白金族金属は、約50g/フィート
3から約100g/フィート
3の範囲で、または約70g/フィート
3から約80g/フィート
3、または約72g/フィート
3の範囲の負荷を有する。具体的な実施形態において、第1の白金族金属は、パラジウム単独ではない。
【0057】
酸化触媒を形成する際の使用のために好適な白金族金属に基づく組成物はまた、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,100,632号(第’632号特許)に記載される。第’632号特許は、白金族金属とアルカリ
土類金属との間で約1:250から約1:1、および好ましくは約1:60から約1:6の原子比率を伴う、白金、パラジウム、ロジウム、およびルテニウム、ならびにマグネシウム酸化物、カルシウム酸化物、ストロンチウム酸化物、またはバリウム酸化物のようなアルカリ性アース金属酸化物の混合物を有する組成物を説明する。
【0058】
酸化触媒にとって好適な触媒組成物はまた、卑金属を触媒エージェントとして使用して形成されてもよい。例えば、米国特許第5,491,120号(参照によりその全体が本開示に組み込まれる)が、少なくとも約10m
2/gのBET表面積を有する触媒材料を含み、チタニア、ジルコニア、セリア−ジルコニア、シリカ、アルミナ−シリカ、およびアルファ−アルミナのうちの1つ以上であり得る、第2の金属酸化物の塊から本質的に成る酸化触媒組成物を開示する。
【0059】
一部の実施形態は、第2のウォッシュコート層14が、支持体上で第2の白金族金属を含むことをさらに含む。具体的な実施形態において、第2のウォッシュコート層は、約25g/インチ
3から約150g/フィート
3の範囲の白金族金属負荷を有する。より具体的な実施形態において、白金族金属は、約50g/フィート
3から約110g/フィート
3の範囲で、または約70g/フィート
3から約90g/フィート
3、または約80g/フィート
3の範囲の負荷を有する。具体的な実施形態の第2の白金族金属は、白金、パラジウム、または白金とパラジウムとの混合物を含む。
【0060】
実施形態の1つ以上において、第2の白金族金属の量は、総白金族金属濃度の約25%以下の量で存在する。詳細な実施形態において、第2の白金族金属は、約20%以下の量で存在する。具体的な実施形態において、第2の白金族金属の量は、総白金族金属濃度の約10%以下の量で存在する。
【0061】
一部の実施形態は、ゼオライトをさらに含む第2のウォッシュコート層14を有する。詳細な実施形態において、第1のウォッシュコート層12および第2のウォッシュコート層14のうちの1つ以上が、ゼオライトをさらに含む。具体的な実施形態において、第2のウォッシュコート層14が、実質的にゼオライトを含まない。実施形態の1つ以上において、第1のウォッシュコート層12および第2のウォッシュコート層14両方が実質的にゼオライトを含まない。
【0062】
図2に示される実施形態において、触媒物品は、下塗りウォッシュコート層16をさらに含む。下塗りウォッシュコート層16は、ゼオライトまたは非ゼオライト材料を含むことができる。具体的な実施形態の下塗りウォッシュコート層16の負荷は、約0.2g/インチ
3から約5g/インチ
3の範囲である。より具体的な実施形態において、負荷は、約0.5g/インチ
3から約4g/インチ
3、または約0.7g/インチ
3から約3g/インチ
3の範囲、または約0.8g/インチ
3から約2g/インチ
3の範囲、また約0.9g/インチ
3から約1.5g/インチ
3、または約1g/インチ
3の範囲である。
【0063】
詳細な実施形態において、下塗りウォッシュコート層16は、実質的に白金族金属を含まず、基材10と第1のウォッシュコート層12との間に位置付けられる。本明細書および添付の請求項の範囲に使用されるように「実質的に白金族金属を含まない」という用語は、白金族金属が、下塗りウォッシュコート層16に約1g/フィート
3以上の濃度で意図的に加えられないことを意味する。さらに、「実質的に白金族金属を含まない」は、近接の材料または層から拡散過程を通して層に移行し得る白金族金属を排除する。
【0064】
さらなる実施形態は、インジウムおよびイリジウムでさらに促進された、促進された非ゼオライト支持体を有する。詳細な実施形態において、促進剤が、マンガンを最大約1g/インチ
3の量で、イリジウムを最大約0.01g/インチ
3の量で、およびインジウムを最大約0.2g/インチ
3の量で含む。具体的な実施例において、促進剤が、約0.17g/インチ
3以下のマンガン、約0.0035/インチ
3以下のイリジウム、および約0.067g/インチ
3以上を含む。一部の実施形態において、促進剤が、スズを最大約0.2g/インチ
3の量で、インジウムを最大約0.2g/インチ
3の量で、およびイリジウムを最大約0.01g/インチ
3の量で含む。
【0065】
基材
基材は、一般的に触媒を調製するために使用されるそれらの材料のいかなるものであってもよく、好ましくはセラミックまたは金属ハニカム構造を含む。通過が、液体流体へそれを通って開放されるように(基材を通るハニカム流として称される)、基材の入口または出口面からのそれを通って延在する細い平行なガス流通路を有するタイプのモノリス基材のようないかなる好適な基材が用いられてもよい。必ずそれらの液体入口からそれらの液体出口への直線路である通過が、触媒材料がウォッシュコートとしてその上にコーティングされる壁により、触媒材料に接触する通過を通ってガスが流動するように画定される。モノリス基材の流体通過は、台形、長方形、正方形、正弦曲線、六角形、楕円形、円形等、任意の好適な横断面の形状およびサイズであり得る、薄壁性チャネルである。かかる構造は、横断面の平方インチ毎に約60から約600またはより多くのガス入口開放(つまり、セル)を収容してもよい。
【0066】
図3および4は、複数の通過32を有する壁流フィルタ基材30を例解する。通過は、フィルタ基材の内部壁33によりチューブ状に(tubularly)包囲される。基材は、入口端34および出口端36を有する。代替通過は、入口34および出口36で対向格子状パターンを形成するように、入口プラグ38を伴う入口端、および出口プラグ40を伴う出口端で施栓される。ガス流42は、出口プラグ46により停止される、未施栓チャネル入口44を通って進入し、(多孔性である)チャネル壁33を通って出口側48へ拡散する。ガスは、入口プラグ38のため、壁の入口側へ戻ることができない。
【0067】
本発明のシステムで使用するための壁流体基材は、液体流が背圧または物品全体にわたる圧での過増加を生じさせることなく通す、希薄多孔性壁ハニカム(モノリス)を包含することができる。システムで使用されるセラミック壁流体基材は、少なくとも10ミクロン(例えば、10から30ミクロンまで)の平均細孔径を有する少なくとも40%(例えば、40〜75%)の多孔率を有する材料で形成され得る。
【0068】
外部機能性が適用される具体的な実施形態において、基材は、少なくとも59%の多孔率を有し、10ミクロン〜20ミクロンの平均細孔径を有することができる。これらの多孔率および平均細孔径を有する基材が以下に説明される手法でコーティングされるとき、十分なレベルの所望の触媒組成物が基材上に負荷され得る。これらの基材は、触媒負荷にかかわらず、十分な排気流特性、つまり許容範囲にある背圧を依然として保持することができる。好適な壁流基材の開示に関して、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,329,162号である。
【0069】
商用使用における一般的な壁流フィルタは、例えば、約42%から50%までの、一般的に低壁多孔率で形成される。概して、商用壁流フィルタの細孔径分散は、25ミクロンより小さい平均細孔径で一般的に非常に広範である。
【0070】
多孔性壁流フィルタは、それ上に1つ以上の触媒材料を有するまたはその中に1つ以上の触媒材料を含む、要素の壁で触媒され得る。触媒材料は、要素壁単独の入口側、出口側、入口および出口両側上に存在してもよく、または壁自体は、触媒材料の全ての、または一部を構成してもよい。本発明は、要素の入口および/または出口壁上で、触媒材料の1つ以上のウォッシュコートおよび触媒材料の1つ以上のウォッシュコートの組み合わせの使用を含む。フィルタは、当業者に周知の任意の多様な手段によりコーティングされてもよい。
【0071】
本発明の触媒にとって使用しやすい基材はまた、事実上金属性であってもよく、1つ以上の金属または金属合金から成ってもよい。金属性基板は、波板またはモノリス形成等の多様な形状で用いられてもよい。好ましい金属性支持体は、チタニウムおよびステンレス鋼、同様に鉄が実質的なまたは主要な成分である、他の合金等の耐熱性金属および金属合金を含む。かかる合金は、ニッケル、クロミウムおよび/またはアルミニウムのうちの1つ以上を包含してもよく、これらの金属の総量は、少なくとも合金の15重量%、例えば、クロミウムの10〜25重量%、アルミニウムの3〜8重量%、およびニッケルの最大20重量%の量を有利に含んでもよい。合金はまた、マンガン、銅、バナジウム、チタン等のうちの1つ以上の他の金属の少量または微量を含有してもよい。表面または金属基材は、例えば、1000℃およびそれ以上の高温で、酸化物層を形成することにより合金の腐食への抵抗を改善するように、基材表面上で酸化され得る。かかる高温度誘発酸化は、耐火性金属酸化支持体の接着および触媒的に基材へ金属成分を促進することを強化し得る。
【0072】
壁流フィルタ基材(または壁流モノリスとも称される)および壁流基材は、菫青石、アルファ−アルミナ、炭化ケイ素、アルミニウムチタン酸塩、窒化ケイ素、ジルコニア、ムライト、リシア輝石、アルミナシリカマグネシア、またはケイ酸ジルコニウム等のセラミック様材料、あるいは多孔性耐火性金属から成る。壁流基材はまた、セラミックファイバー組成材料で形成されてもよい。他の実施形態の壁流モノリスは、アルミニウムチタン酸塩、菫青石、炭化ケイ素、金属酸化物およびセラミックのうちの1つ以上である。具体的な壁流基材は、菫青石、炭化ケイ素、およびアルミニウムチタン酸塩から形成される。かかる材料はまた、排気流を処理する際に遭遇する、具体的に高温度の環境に耐え得る。
【0073】
代替的実施形態において、1つ以上の触媒組成物は、開放セル発泡体基材に配置されてもよい。かかる基材は、当分野において知られ、一般的に耐火性セラミックまたは金属性材料で形成される。
【0074】
触媒組成物で壁流基材のコーティングをすることは、第2の基材がスラリーの表面の真上に位置するように、触媒スラリーの一部分で垂直に基材を浸漬することにより達成される。この様式で、スラリーは、各ハニカムの入口面には接触するが、各壁の出口面に接触することを阻止する。試料は、約30秒間スラリーに残されたものである。基材は、スラリーから除去され、過剰のスラリーは、それがチャネルから排水するのを可能にすること、次いで、圧縮空気で吹き付けること(スラリーが貫通する方向に対して)、および次いでスラリーが貫通する方向から真空を引き抜くことにより、壁流基材から最初に除去される。この技術を使用することにより、細孔が、過度の背圧が完全な基材で構築する程度まで閉塞されないが、触媒スラリーは、基材の壁を透過する。本明細書に使用されたように、「透過する」という用語は、基材上で触媒スラリーの分散を説明するために使用されたとき、触媒組成物が、基材の壁全体に分散されることを意味する。
【0075】
コーティングされた基材は、一般的に約100℃で乾燥され、より高温で焼成される(例えば、300℃から450℃)。焼成後、基材のコーティングされた重量およびコーティングされていない重量の算出を通じて触媒負荷が判定され得る。当業者には明らかになるように、触媒負荷は、コーティングスラリーの固形分を改変することにより修正され得る。代替的に、コーティングするスラリーでの基材の繰り返された浸漬は、上に説明したように過剰のスラリーの除去が引き続いて起こり、実施され得る。
【0076】
触媒は、高表面積および高表面積酸化アルミニウム等の高質の熱安定性がある耐火性酸化物等の好適な支持体材料上で分散される。また、第2の酸化物で安定されたアルミナも、好適な支持体である。アルミナのランタナ安定は、貴族金属のための好適な支持体を提供する。また、アルミナの混合物も、好適な支持体である。安定または改善された界面化学を提供するように、SiO
2、ZrO
2、TiO
2等の酸化物でドープ塗装されるまたは処理される他のアルミナもまた、使用され得る。他の好適な支持体材料は、これに限定されないが、ZrO
2およびTiO
2が、使用され得る。上記で論議された支持体酸化物に加えて、触媒ゾーン内に組み込むように他の触媒的に機能的な酸化物を含むことが有益であると証明し得る。これらの実施例は、CeO
2、Pr
6O
11、V
2O
5、およびMnO
2、およびそれらの組み合わせおよび固溶体酸化混合物、等を含む。これらの酸化物は、特に重燃料で生成された炭化水素、および注入燃料の不均化(つまり、脱水素化または酸化的脱水素化)から生成された付着コークス/煤、炭化水素を燃焼することの一因となり得、この方法で、触媒ゾーンに追加的燃焼活性を所与し、加えて付着炭化水素で生成されたコークによりPGMの非活性化を阻止する。
【0077】
排出物処理方法および処理システム
本発明の、さらなる実施形態は、排気ガス流が、煤、一酸化炭素、および炭化水素を含むディーゼルエンジンにより、排出される排気ガス流を処理する方法を対象とする。方法は、本明細書に記載のように、排気ガス流が触媒物品を通ることを含む。
【0078】
排出物処理システム50の一実施形態は、
図5に概略的に描写される。ガス状汚染物質を含む排気(未燃炭化水素、一酸化炭素およびNOxを含む)および微粒子状物質は、本明細書に記載されるような構造でエンジン51から酸化触媒52へ伝達される。酸化触媒52において、未燃のガス状および非揮発性炭化水素(つまりSOF)および一酸化炭素は、二酸化炭素および水を形成するように大幅に燃焼される。
【0079】
排出物処理システムの他の実施形態は、
図6に示される。1つ以上の実施形態で、排出物処理システムは、エンジンの下流、ディーゼル酸化触媒52の上流、および両方の流動連通状態に配置される少なくとも1つの追加の触媒53を、さらに含む。追加の触媒は、煤フィルタ(触媒化されるまたは非触媒化される)、アンモニア酸化触媒、SCR触媒のうちの1つ以上の部分になり得る。
【0080】
多様な実施形態において、システムは、ディーゼル酸化触媒52の下流、およびディーゼル酸化触媒52と流動連通状態に配置される1つ以上の追加の触媒54を、さらに含む。追加の触媒は、任意の好適な触媒になり得る。特定の実施形態で、追加の触媒54は、煤フィルタである。これらの実施形態において、酸化触媒52を使用してのSOFの実質的な割合の除去は、具体的には、煤フィルタ上で微粒子状物質が過度に堆積すること(つまり、目詰まり)を阻止することに役立ち、これは一部の実施形態におけるシステムで下流に位置付けられてもよい。さらに、NOx成分のNOの実質的な割合は、酸化触媒52において、NO
2に酸化される。
【0081】
一部の実施形態はまた、排気ガス流に燃料または酸素を追加することが可能な還元剤または空気注入器56を含んでもよい。注入器56はまた、還元剤または注入された空気の量を制御可能にする、計量装置55を含んでもよい。
【実施例】
【0082】
以下の調製は、総称的に、本発明の多様な実施形態に従って試料を用意するために用いられた手順を示す。個別の材料が、変形する性能の特性で触媒物品にもたらされるように調製され得ることを、当業者には理解されたい。
【0083】
下塗りの調製
低表面積アルミナ(約100m
2/g未満の表面積を持つ)を、適当な量の水および酢酸に追加し、約44%および3.2未満のpHの固形分を有する溶液を得た。混合物を、次いで、約15〜約25℃の定温で製粉し、約14μmのD
90で最終スラリーを得た。水を追加して、約43重量%のスラリー中の最終固形分を達成した。モノリス基材を、乾燥後約1.0g/インチ
3の負荷にこのスラリーでコーティングした。コーティングされたモノリスを、約450℃で焼成した。
【0084】
第1のコートの調製
アルミナの細孔容量の約80%は、Pd溶液で含浸され、約15分間撹拌された。Pd量は、コーティングの後に約40g/フィート
3の最終濃度を有するように選ばれた。水酸化バリウム粉末は、含浸されたアルミナ支持体で混合された。水が追加され、細孔容量の残る約20%を満たし、残留粉末が約15分間撹拌された。
【0085】
含浸されたアルミナ粉末は、ある量の水と混合され、Pt溶液が、混合物に追加された。Ptの量は、コーティングの後にの約72g/フィート
3最終濃度を有するように選ばれた。pHは、酒石酸および硝酸で調節されて、約37重量%の総固形分およびpH約4で溶液を得た。スラリーは、次いで、約15〜約25℃の定温で製粉され、約16μmのD
90への粒径を削減した。水が、製粉されたスラリーへ追加され、固形分を約35重量%に低下し、アルミナの重量の約6%に等しい糖類が追加された。
【0086】
下塗りで先にコーティングされたモノリスを、第1のコートスラリーでコーティングし、乾燥後に約2.6g/インチ
3の総負荷を得た。コーティングされたモノリスを、約450℃で焼成した。
【0087】
スズ及びマンガンをドープ塗装された第1のコートスラリーを調製するために、スズまたはマンガンの約5重量%を含むアルミナが、アルミナの代わりに使用された。他のプロセスパラメータは、変更されなかった。
【0088】
第2のコートの調製
約100m
2/gから約200m
2/gの範囲で表面積を有する多孔性アルミナおよび酢酸は、水と混合され、約3.8〜約4.5のpH、および約200cP以下の粘性により、約40重量%の固形分で溶液を有した。溶液は、約15〜約25℃の定温で製粉され、約20μmのD
90への粒径を削減した。
【0089】
水および溶液を含有するPtは、事前製粉されたH−ベータゼオライトへ追加され、約30分間混合された。Ptの量は、コーティングの後に約80g/フィート
3の全体的なPt濃度を有するように選ばれた。かかるゼオライト事前スラリーのための対象固形分は、約40重量%であった。
【0090】
アルミナフリットおよびゼオライト事前スラリーは、共に混合され、pHは、酢酸で約3.8〜約4.2の値へ、調節された。水とコロイドアルミナ結合剤は、混合物に追加され、約35%の固形分および約3.0〜約4.2のpHでスラリーを得た。スラリーは、次いで、約15〜約25℃の定温で製粉され、約15μmのD
90への粒径を削減した。水および乾燥固形分の約3%に等しい適当な量の糖分は、製粉されたスラリーに追加され、約32重量%の固形分で最終溶液を得た。
【0091】
下塗りおよび第1のコートで先にコーティングされたモノリスを、第2のコートスラリーでコーティングし、乾燥後に約3.3g/インチ
3の総負荷を得た。コーティングされたモノリスを、次いで約450℃で焼成した。
【0092】
促進された試料の調製
試料は、インジウム、イリジウム、マンガンおよびスズのうちの1つ以上の様々な量で、上記概説に同様に調製された。試料は、実験用リアクタでテストされた。
【0093】
表1は、様々な量のインジウム、イリジウム、およびマンガンを含む試料のリストを含む。試料は、説明された包括的な調製に従って調製された。各試料は、約30g/フィート
3の白金族金属負荷を、白金とパラジウムとの比率が10:1で含む。
【0094】
【表1】
【0095】
実験用リアクタ研究は、表1で各組成物から1.5インチx3.0インチの試料で実施された。供給ガス組成物は、14%のO
2、4%のCO
2、5%のH
2O、1060vppmCO、33vppmプロピレン、30vppm
デカン、100vppmNOであった。空間速度は、50,000h
−1であった。温度掃引は、約10℃/分で、約80℃から約380℃に加熱すること、約380℃で10分間保持すること、および約10℃/分で、約380℃から約80℃に冷却することを含んだ。
【0096】
図7は、表1からの多様な試料のための炭化水素用のライトオフ温度を示す。試料12は、基準の約27℃内に存在する各残留試料で、基準試料とほぼ同様のライトオフ温度を示した。
図8は、表1からの多様な試料のための
一酸化炭素用のライトオフ温度を示す。示された試料の大部分は、基準試料のそれよりもより低いライトオフ温度を有した。
【0097】
図9〜11は、表1からの多様な試料のためのライトオフおよび変換パーセンテージを示す。
図9は、
図7および8で示された試料のためのライトオフ温度を示す。
図10および11は、それぞれ、200℃および350℃でのNOの変換パーセントを示す。
図10および11に示される試料は、12時間、約800℃の10%水蒸気でエージングされた。
【0098】
表2は、多様な量のインジウム、イリジウム、およびスズを含む試料のリストを含む。試料は、上に説明された包括的な調製に従って調製された。各試料は、約30g/フィート
3の白金族金属負荷を、白金とパラジウムとの比率が10:1で含む。
【0099】
【表2】
【0100】
実験用リアクタ研究は、表1の試料のための研究に従って、表2で列挙される試料上で実施された。結果は、
図12〜14に提示される。
図12は、表2からの採取したての試料に対する温度の関数としての炭化水素の変換パーセントを示す。各促進された試料は、基準試料と比較される炭化水素にとって、ライトオフ温度(50%変換が達成された温度)で、減少を示した。
図13は、空気中10%水蒸気で約10時間約700℃で試料をエージングした後の炭化水素の変換パーセントを示す。促進された試料は、基準試料のそれよりもより低いライトオフ温度を示し続けた。
【0101】
図14は、表2からのエージングされた試料のためのNOの変換パーセントのグラフを示し、試料は、空気中10%水蒸気で約10時間約700℃でエージングされた。促進された試料が、基準試料より、大いにより高い変換パーセンテージを有したことが、本グラフから理解され得る。
【0102】
エンジン試料19−21
エンジンテストのための試料は、前の試料に類似して調製された。下塗り層および第1のコートの調製は、上記の説明に従って調製された。これらの試料とともに使用されたモノリスは、概して、直径約5.66インチおよび長さ約3インチのシリンダー状であった。モノリスは、スクエアインチ当たり約400セルのセル密度を有した。各モノリスは、最初に下塗り層で、次いで上に説明したように第1の層でコーティングされた。
【0103】
第2のコートは、約100m
2/gから約150m
2/gの範囲の表面積を有する多孔性アルミナを混合することにより調製され、酢酸は、水と混合され、約44重量%の固形分および約3.8から約4.5のpHで溶液を有した。溶液は、約15〜約25℃の定温で製粉され、約20μmのD
90への粒径を削減した。
【0104】
水および溶液を含有するPtは、事前製粉されたH−ベータゼオライトへ追加され、約30分間混合された。Ptの量が、約120g/フィート
3のコーティングの後、Pt:Pdが約2:1の比率で選ばれ、全体的なPt濃度を有した。かかるゼオライト事前スラリーのための対象固形分は、約40重量%および約3.8から約4.2の範囲における対象pHであった。
【0105】
アルミナフリットおよびゼオライト事前スラリーは、共に混合され、pHは、酢酸で約3.0〜約4.2の値へ調節された。水とコロイドアルミナ結合剤は、混合物に追加され、約35%の固形分でスラリーを得た。スラリーは、次いで、約15〜約25℃の定温で製粉され、約15μmのD
90への粒径を削減した。水および適当な量の糖分は、製粉されたスラリーに追加され、約32重量%の固形分および約3.0から約4.2の範囲における対象pHで最終溶液を得た。
【0106】
下塗りおよび第1のコートで先にコーティングされたモノリスを、第2のコートスラリーでコーティングし、乾燥後に約3.28g/インチ
3の総負荷を得た。コーティングされたモノリスを、次いで約450℃で焼成した。
【0107】
促進された試料の調製
試料は、約5重量%のスズまたはマンガンで、上記概説と同様に調製された。表3は、2.0Lエンジン上でテストされた試料を要約する。
【0108】
【表3】
【0109】
図15は、一酸化炭素(50%レベルで測定された)および炭化水素(70%レベルで測定された)のためのライトオフ温度のグラフを示す。試料20および21のライトオフ温度は、基準試料19と比較された。陰性値は、基準試料19に対してライトオフ温度が減少されたことを示す。
【0110】
図16は、温度の関数として、基準試料19および試料21のためのNO
2/NO
x比率のグラフを示す。グラフに示されたより高いNO
2/NO
x比率は、SCR性能のためにより良い。
【0111】
一部の詳細な実験形態に従って、触媒物品は、促進剤なしで調製された類似の触媒物品よりも、10%水蒸気中800℃で12時間のエージング後、より低いCOライトオフ温度および炭化水素ライトオフ温度を有する。
【0112】
本明細書全体を参照して、「一実施形態」、「ある実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」は、実施形態に関連して説明された特定の特性、構造、材料、または特徴が、本発明の少なくとも1つの実施形態において含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の多様な位置に出現する「1つ以上の実施形態において」、「ある実施形態で」「一実施形態で」、または「実施形態において」等の用語は、本発明の同様の実施形態を指す必要はない。さらに、特定の特性、構造、材料、または特徴は、1つ以上の実施形態において任意の好適な様式で組み合わされてもよい。
【0113】
本明細書の本発明は、特定の実施形態を参照して説明されてきたが、これらの実施形態が本発明の原理および応用の例示的なものにすぎないことは、理解されたい。多様な修正および変形が、本発明の趣旨および範囲を逸脱することなく本発明の方法および装置に成され得ることは、当業者には明らかである。したがって、本発明が、添付の特許請求の範囲およびその均等性の範囲内に存在する修正および変形を含むことが意図される。