(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
転写パターンを形成する加工対象膜を有する基板上に、請求項10又は11に記載のレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物を塗布し、ベークして、レジスト下層膜を形成し、次いで、上記レジスト下層膜上にレジストを被覆して、上記レジストを被覆した基板にKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、極端紫外線及び電子線から選ばれる放射線を照射し、その後、現像して、レジストパターンを形成し、上記レジストパターンをマスクとしてドライエッチングを行って、上記基板上にパターンを転写して半導体素子を作製する方法。
前記(B−1)成分がポリブタジエン、シクロペンタジエン、ジビニルビフェニル、ビスフェノールAジアリレート、トリビニルシクロヘキサン、トリアリルイソシアヌレート、メチルジアリルイソシアヌレート及び前記アリル/グリシジルグリコールウリル類からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載の光学デバイス用シリコーン樹脂組成物。
前記(B−2)成分が分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有する環状及び/又は鎖状のオルガノシロキサンである請求項14に記載の光学デバイス用シリコーン樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)アリル/グリシジルグリコールウリル類
本発明による新規なアリル/グリシジルグリコールウリル類は、一般式(I)
【0021】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示し、R
3とR
4はそれぞれ独立にアリル基又はグリシジル基を示す。)
で表される。
【0022】
即ち、本発明によれば、上記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類として、以下に示す一般式(Ia)〜(Id)、即ち、
(1)一般式(Ia)
【0024】
(式中、R
1及びR
2は前記と同じである。)
で表される1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル類、
(2)一般式(Ib)
【0026】
(式中、R
1及びR
2は前記と同じである。)
で表される1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル類、
(3)一般式(Ic)
【0028】
(式中、R
1及びR
2は前記と同である。)
で表される1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル類、及び
(4)一般式(Id)
【0030】
(式中、R
1及びR
2は前記と同である。)
で表される1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル類が提供される。
【0031】
上記一般式(Ia)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の好ましい具体例として、例えば、
1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル、
1−アリル−3,4,6−トリグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1−アリル−3,4,6−トリグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1−アリル−3,4,6−トリグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル
等を挙げることができる。
【0032】
上記一般式(Ib)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の好ましい具体例として、例えば、
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル、
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル
等を挙げることができる。
【0033】
上記一般式(Ic)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の好ましい具体例として、例えば、
1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル、
1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル
等を挙げることができる。
【0034】
また、上記一般式(Id)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の好ましい具体例として、例えば、
1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル、
1,3,4−トリアリル−6−グリシジル−3a−メチルグリコールウリル、
1,3,4−トリアリル−6−グリシジル−3a,6a−ジメチルグリコールウリル、
1,3,4−トリアリル−6−グリシジル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリル
等を挙げることができる。
【0035】
(2)アリル/グリシジルグリコールウリル類の製造
本発明による前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類はそれぞれ、一般式(II)
【0037】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示し、R
5とR
6はそれぞれ独立に水素原子又はアリル基を示す。)
で表されるアリルグリコールウリル類にエピクロロヒドリンを反応させて、その窒素原子上の水素原子をすべて、グリシジル基と置換することによって得ることができる。
【0038】
より詳細には、前記一般式(Ia)で表される1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル類、前記一般式(Ib)で表される1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル類、前記一般式(Ic)で表される1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル類、及び前記一般式(Id)で表される1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル類はそれぞれ、下記一般式(IIa)
【0040】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
で表される1−アリルグリコールウリル類、一般式(IIb)
【0042】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
で表される1,3−ジアリルグリコールウリル類、一般式(IIc)
【0044】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
で表される1,4−ジアリルグリコールウリル類、及び一般式(IId)
【0046】
(式中、R
1及びR
2はそれぞれ独立に水素原子、低級アルキル基又はフェニル基を示す。)
で表される1,3,4−トリアリルグリコールウリル類を、必要に応じて適宜の溶媒中、エピクロロヒドリンと反応させることによって得ることができる。
【0047】
本発明によれば、上記アリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応において、反応を促進するために、必要に応じて、相間移動触媒や塩基の存在下に反応が行われる。
【0048】
前記一般式(IIa)で表される1−アリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応において、エピクロロヒドリンは、上記1−アリルグリコールウリル類1モル部に対して、通常、3.0〜200モル部の範囲にて用いられ、好ましくは、12〜80モル部の範囲にて用いられる。
【0049】
上記一般式(IIb)で表される1,3−ジアリルグリコールウリル類、上記一般式(IIc)で表される1,4−ジアリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応においては、エピクロロヒドリンは、ジアリルグリコールウリル類1モル部に対して、通常、2.0〜200モル部の範囲にて用いられ、好ましくは、12〜80モル部の範囲にて用いられる。
【0050】
上記一般式(IId)で表される1,3,4−トリアリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応においては、エピクロロヒドリンは、トリアリルグリコールウリル類1モル部に対して、通常、1.0〜200モル部の範囲にて用いられ、好ましくは、12〜80モル部の範囲にて用いられる。
【0051】
上記塩基としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等を用いることができる。塩基は、用いるアリルグリコールウリル類1モル部に対して、通常、0.1〜10.0モル部の範囲にて用いられ、好ましくは、1.0〜5.0モル部の範囲にて用いられる。
【0052】
上記アリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応においては、反応促進のために、好ましくは、相間移動触媒が用いられる。上記相間移動触媒としては、例えば、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、メチルトリデシルアンモニウムクロリド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、N,N−ジメチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムヨージド、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ベンジル−N−メチルピロリジニウムクロリド、N−エチル−N−メチルピロリジニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−ブチル−N−メチルモルホリニウムヨージド、N−アリル−N−メチルモルホリニウムブロミド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムクロリド、N−メチル−N−ベンジルピペリジニウムブロミド、N,N−ジメチルピペリジニウムヨージド、N−メチル−N−エチルピペリジニウムアセテート、N−メチル−N−エチルピペリジニウムヨージド等を挙げることができる。
【0053】
また、上記アリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応において、必要に応じて、溶媒が用いられている。溶媒は、反応を阻害しない限りは、特に、制限されることはないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロトリフルオロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等を挙げることができる。このような溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0054】
上記アリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応は、通常、−10〜150℃の範囲の温度で行われ、好ましくは、0〜100℃の範囲の温度で行なわれる。また、反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜48時間の範囲であり、好ましくは、1〜24時間の範囲である。
【0055】
目的とする本発明によるアリル/グリシジルグリコールウリル類は、上記アリルグリコールウリル類とエピクロロヒドリンとの反応終了後、反応混合物から有機溶媒による抽出操作、蒸留操作又はカラムクロマトグラフィ等の一般的方法によって取り出すことができる。
【0056】
(アリルグリコールウリル類の製造)
前記一般式(II)で表されるアリルグリコールウリル類のうち、R
1及びR
2がいずれも水素原子であるアリルグリコールウリル類、即ち、1−アリルグリコールウリル、1,3−ジアリルグリコールウリル、1,4−ジアリルグリコールウリル及び1,3,4−トリアリルグリコールウリルはそれぞれ、通常、下記の第1工程と第2工程によって得ることができる。
【0057】
1−アリルグリコールウリルは、第1工程において、尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にアリル尿素と反応させることによって得ることができる。
【0058】
1,3−ジアリルグリコールウリルは、第1工程において、尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にジアリル尿素と反応させることによって得ることができる。
【0059】
1,4−ジアリルグリコールウリルは、第1工程において、アリル尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にアリル尿素と反応させることによって得ることができる。また、1,4−ジアリルグリコールウリルは、アリル尿素とグリオキザールを、第1工程を経ずに第2工程の条件で反応させることによっても得ることができる。
【0060】
また、1,3,4−トリアリルグリコールウリルは、第1工程において、アリル尿素とグリオキザールを通常、水中にて塩基触媒の存在下に反応させ、次いで、かくして得られた反応生成物を第2工程において、通常、水中にて酸触媒の存在下にジアリル尿素と反応させることによって得ることができる。
【0061】
上記1−アリルグリコールウリル類、1,3−ジアリルグリコールウリル類、1,4−ジアリルグリコールウリル類及び1,3,4−トリアリルグリコールウリル類のいずれの製造においても、第1工程において、グリオキザールは、尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.5〜2.0モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.8〜1.6モル部の範囲で用いられる。
【0062】
上記第1工程において用いられる塩基触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物や、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸塩を挙げることができる。これら塩基触媒は、尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.1〜1.0モル部の範囲で用いられる。
【0063】
また、上記第1工程においては、溶媒は、これを用いるときは、反応を阻害しない限りは、特に制限されることはないが、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールのようなアルコール類、ヘキサン、ヘプタンのような脂肪族炭化水素類、アセトン、2−ブタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチルのようなエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロトリフルオロメタン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類、ジメチルスルホキシドのようなスルホキシド類等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて、適宜量が用いられる。
【0064】
上記第1工程における反応温度は、通常、−10〜150℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜100℃の範囲である。反応時間は、反応温度にもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜6時間の範囲である。
【0065】
上記第1工程の終了後、過剰のグリオキザールと溶媒を留去して、反応生成物を濃縮物として得、これを第2工程に供してもよく、また、第1工程の終了後、得られた反応混合物をそのまま、第2工程に供してもよい。
【0066】
上記第2工程においては、アリル尿素又はジアリル尿素は、第1工程において用いた尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.2〜2.0モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.3〜1.5モル部の範囲で用いられる。尚、1,4−ジアリルグリコールウリルを、アリル尿素とグリオキザールから第1工程を経ずに、第2工程の条件で反応させて得る場合、グリオキザールは、アリル尿素1モル部に対して、通常、0.2〜1.0モル部の範囲で用いられ、好ましくは、0.3〜0.7モル部の範囲で用いられる。
【0067】
上記第2工程において用いられる酸触媒としては、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸、ギ酸、トルエンスルホン酸等を挙げることができる。これらの酸触媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、これら酸触媒は、第1工程において用いた尿素又はアリル尿素1モル部に対して、通常、0.1〜100モル部の範囲で用いられる。
【0068】
上記第2工程においても、溶媒は、これを用いるときは、反応を阻害しない限りは、特に制限されることはなく、上記第1工程と同じ溶媒を用いることができる。
【0069】
上記第2工程における反応温度は、通常、−10〜200℃の範囲であり、好ましくは、0℃〜150℃の範囲である。反応時間は、反応温度のもよるが、通常、1〜24時間の範囲であり、好ましくは、1〜12時間の範囲である。
【0070】
第2工程の終了後、得られた反応混合物から抽出操作等によって、生成したアリルグリコールウリル類を適宜に取り出すことができる。必要であれば、更に水等の溶媒による洗浄、活性炭処理、シリカゲルクロマトグラフィー等によって、得られたアリルグリコールウリル類を精製することができる。
【0071】
前記一般式(II)で表されるアリルグリコールウリル類であって、7位置及び/又は8位置に低級アルキル基及び/又はフェニル基を有するものは、上述したそれぞれの製造方法において、置換基として、目的とするアリルグリコールウリル類に対応して、低級アルキル基及び/又はフェニル基を有する置換グリオキザール類を用いることによって得ることができる。
【0072】
例えば、1−アリル−3a,6a−ジメチルグリコールウリルは、上述したアリルグリコールウリルの製造において、グリオキザールに代えて、ジメチルグリオキザール、即ち、ジアセチルを用いることによって得ることができる。また、1,3,4−トリアリル−3a,6a−ジフェニルグリコールウリルは、上述した1,3,4−トリアリルグリコールウリルの製造において、グリオキザールに代えて、ジフェニルグリオキザールを用いることによって得ることができる。
【0073】
本発明によるアリル/グリシジルグリコールウリル類は、その活性なアリル基とグリシジル基の反応性を利用して、種々の有機化合物の合成原料として用いることができ、また、その活性なアリル基とグリシジル基の反応性を利用して、種々の樹脂組成物、特に、ボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物、半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物、アンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物、リソグラフィー用レジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物、光学デバイス用シリコーン樹脂組成物等における必須の成分として有用である。
【0074】
本発明による上記エポキシ樹脂組成物は、本発明による前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含む。即ち、本発明によるエポキシ樹脂組成物は、前記一般式(Ia)で表される1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル類、前記一般式(Ib)で表される1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル類、前記一般式(Ic)で表される1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル類、及び前記一般式(Id)で表される1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル類の少なくとも1種を含む。
【0075】
一般に、エポキシ樹脂とは、代表的には、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテルや、或いはノボラック型エポキシ樹脂のように、1分子当りに平均して2個以上のエポキシ基を有する低分子量のプレポリマーのみならず、例えば、ジシクロペンタジエンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート、トリグリシジルイソシアヌレートのように、1分子当りに2個以上のエポキシ基を有する単量体型の有機化合物をいう。
【0076】
本発明においても、上述した1分子当りに平均して2個以上のエポキシ基を有する低分子量のプレポリマーと上述した1分子当りに2個以上のエポキシ基を有する単量体型の有機化合物のいずれをもエポキシ樹脂に含めることとする。
【0077】
従って、本発明においては、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類のうち、分子中に2個以上のエポキシ基を有するアリル/グリシジルグリコールウリル類、即ち、前記一般式(Ia)で表される1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル類、前記一般式(Ib)で表される1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル類及び前記一般式(Ic)で表される1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル類もエポキシ樹脂に含めることとする。
【0078】
上記1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル類はトリエポキシドであり、上記1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル類と1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル類はジエポキシドである。
【0079】
以下、本発明において、1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル類、1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル類及び1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル類をアリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂という。
【0080】
一方、本発明において、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類のうち、前記一般式(Id)で表される1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル類はモノエポキシドであって、以下、これをアリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドという。
【0081】
上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドは、上に定義したエポキシ樹脂には含まれない。
【0082】
しかし、本発明において、エポキシ樹脂組成物が前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含むというときは、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の少なくともいずれか1種を、必要に応じて、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を除く第2のエポキシ樹脂と共に、含むものとする。
【0083】
また、本発明において、光学デバイス用シリコーン樹脂組成物が本発明によるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含むというときも、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の少なくともいずれか1種を含むものとする。
【0084】
更に、本発明においては、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を除くエポキシ樹脂を第2のエポキシ樹脂という。
【0085】
以下に本発明による種々のエポキシ樹脂組成物と光学デバイス用シリコーン樹脂組成物について説明する。
【0086】
(3)ボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類と共に、硬化剤と無機質充填剤を含む。
【0087】
即ち、本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、
(a)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂、
(b)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと第2のエポキシ樹脂、及び
(c)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシド
から選ばれる少なくとも1種と共に、硬化剤と無機質充填剤を含む。
【0088】
しかし、本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、エポキシ樹脂として、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂と、必要に応じて、第2のエポキシ樹脂を含む。
【0089】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂は、単一のものであってもよく、また、2種以上の組み合わせからなるものであってもよい。
【0090】
本発明によるボールグリッドアレイ用半導体封止用エポキシ樹脂組成物における硬化剤は、従来、エポキシ樹脂用硬化剤として知られているものであれば、特に、限定されることなく、いずれでも用いられるが、しかし、本発明においては、なかでも、フェノール樹脂が好ましく用いられる。上記フェノール樹脂は、特に、限定されないが、なかでも、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、フェノールノボラック型樹脂、クレゾールノボラック型樹脂、フェノールアラルキル樹脂等が好ましく用いられる。これらのフェノール樹脂も、単独で、又は2種以上の組み合わせが用いられる。
【0091】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上記エポキシ樹脂を硬化させるに十分な量にて上記硬化剤を含むことが好ましい。上記フェノール樹脂を硬化剤として用いるときは、フェノール樹脂は、上記エポキシ樹脂中のエポキシ基1当量に対して、フェノール樹脂中の水酸基の合計が0.1〜5.0当量の範囲となるように用いることが好ましい。
【0092】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、無機質充填剤も、特に限定されるものではなく、従来、知られている種々の充填剤が用いられる。そのような充填剤として、例えば、石英ガラス粉末、タルク、シリカ粉末(溶融シリカ粉末や結晶性シリカ粉末等)、アルミナ粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ケイ素粉末等を挙げることができ、なかでも、得られる硬化物の線膨張係数を低減できる点から、シリカ粉末が好ましく、特に、高充填性と高流動性の点から、溶融シリカ粉末が好ましい。これらの無機質充填剤も、単独で、又は2種以上の組み合わせが用いられる。
【0093】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、上記無機質充填剤の配合量は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物中の無機質充填剤を除く全成分の合計重量100重量部に対して、5〜1000重量部の範囲であることが好ましい。
【0094】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物が第2のエポキシ樹脂を含むとき、その第2のエポキシ樹脂は、従来から知られているものを特に限定されることなく用いることができる。
【0095】
そのような第2のエポキシ樹脂として、例えば、ジシクロペンタジエン型、クレゾールノボラック型、フェノールノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型、トリスヒドロキシフェニルメタン型等の種々のエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0096】
なかでも、本発明においてにおいては、特に、汎用性の高い2官能エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂、耐熱性向上を目的とする多官能型エポキシ樹脂を第2のエポキシ樹脂の好ましい例として挙げることができる。これらの第2のエポキシ樹脂もまた、単独で、又は2種以上の組み合わせを用いることができる。
【0097】
本発明によれば、得られるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物が高いガラス転移温度を有するようにエポキシ樹脂としては、上述したように、本発明によるアリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を単独で用いることが好ましいが、しかし、上述した第2のエポキシ樹脂を併用する場合は、エポキシ樹脂成分全体の0.1重量%以上、好ましくは、10重量%以上、より好ましくは、50重量%以上を、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂が占めることが好ましい。
【0098】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、硬化促進剤、離型剤、シランカップリング剤、低応力化剤、難燃剤、カーボンブラックのような顔料等、その他の添加剤を1種又は2種以上を組み合わせて、本発明の効果が損なわれない範囲において、適宜量、含むことができる。
【0099】
上記硬化促進剤としては、従来から知られているものを用いることができる。具体例として、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートやトリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物、フェニルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5等のジアザビシクロアルケン系化合物等を挙げることができる。これらの硬化促進剤も、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0100】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上記硬化促進剤を、樹脂組成物の重量に基づいて、0.01〜10重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0101】
上記離型剤としては、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸カルシウム、カルナバワックス、ポリエチレン系ワックスを挙げることができる。これらの離型剤も、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0102】
上記低応力化剤としては、アクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合体等のブタジエン系ゴムや、シリコーン化合物等を挙げることができる。
【0103】
上記難燃剤としては、有機リン化合物、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等を挙げることができる。
【0104】
更に、耐湿信頼性向上を目的として、ハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等のイオントラップ剤を配合してもよい。
【0105】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上述した各成分の所定量を混合し、ミキシングロール機等の混練機を用いて、加熱状態で溶融混錬した後、室温下で冷却固化させ、その後、適宜の手段にて粉砕し、必要に応じて、打錠することによって、得ることができる。
【0106】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物を用いる半導体素子の封止は、特に限定されるものではなく、通常のトランスファー成形等の公知の成形方法により行うことができる。このようにして得られる半導体装置としては、ボールグリッドアレイのような片面封止型半導体装置やフリップチップ型半導体装置、IC、LSI、パワーデバイスと称するトランジスタ、ダイオード等を挙げることができる。
【0107】
本発明によるボールグリッドアレイ半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上述したように、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含んでおり、好ましくは、本発明によるアリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を含んでおり、かくして、このようなエポキシ樹脂組成物を用いて得られる半導体装置は、封止樹脂部分のガラス転移温度が高く、パッケージの反りの発生を抑制することができる。
【0108】
(4)光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含み、更に、ガラスフィラー、硬化剤、硬化促進剤、硬化触媒、ポリエステル樹脂、オルガノシロキサン、ゴム粒子及び添加剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含む。
【0109】
即ち、本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、
(a)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂、
(b)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと第2のエポキシ樹脂、及び
(c)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシド
から選ばれる少なくとも1種を含み、更に、ガラスフィラー、硬化剤、硬化促進剤、硬化触媒、ポリエステル樹脂、オルガノシロキサン、ゴム粒子及び添加剤から選ばれる少なくとも1種の成分を含む。
【0110】
成分(1)(アリル/グリシジルグリコールウリル類)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(1)として、好ましくは、アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を含み、又はアリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと第2のエポキシ樹脂を含む。
【0111】
本発明において、上記第2のエポキシ樹脂は、常温で液状であるものが好ましいが、常温で固体のものであってもよく、また、別の常温で液状のエポキシ樹脂や希釈剤にて希釈して、常温で液状のものとして用いることができる。
【0112】
上記第2のエポキシ樹脂の具体例として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂やヒダントイン型エポキシ樹脂等の含窒素環エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、低吸水率硬化体タイプの主流であるビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロ環型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0113】
尚、エポキシ樹脂は、アルコールや酸無水物等のエポキシ基と反応する化合物を加えて、予め、変性して用いてもよい。
【0114】
上記イソシアヌレート型エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1−アリル−3,5−ジグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジアリル−5−グリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
【0115】
上記脂環式エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、下記一般式(1)で表されるものや、下記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
【0117】
(式中、R
6は単結合又は連結基を示す。)
【0118】
上記連結基は1以上の原子を有する2価の基であって、例えば、2価の炭化水素基、カルボニル基、エーテル結合、エステル結合、カーボネート基、アミド基や、これらの基が複数個、連結した基である。
【0120】
(式中、nは1〜30の整数、pは1〜10の整数、R’はp価のアルコールからp個の−OHを除した基を示す。)
【0121】
上記一般式(1)で表される脂環式エポキシ樹脂の代表例としては、例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(3,4−エポキシ)シクロヘキサンカルボキシレート等を挙げることができる。
【0122】
また、上記一般式(2)で表される脂環式エポキシ樹脂の代表例としては、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物等を挙げることができる。
【0123】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物が第2のエポキシ樹脂を含む場合、エポキシ樹脂成分全体の0.1重量%以上、好ましくは、10重量%以上、より好ましくは、50重量%以上を、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂が占めることが好ましい。
【0124】
成分(2)(ガラスフィラー)
成分(2)のガラスフィラーとしては、従来、知られているガラスフィラーを使用することができ、特に、限定されるものではないが、例えば、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー、ミルドガラス、ガラス繊維、ガラス繊維布(例えば、ガラスクロスやガラス不織布)等を挙げることができる。なかでも、充填率を高くしやすく、耐吸湿リフロー性と耐熱衝撃性を向上させやすい点から、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスパウダー等が好ましい。
【0125】
ガラスフィラーを構成するガラスの種類としては、特に、限定されるものではないが、例えば、Tガラス、Eガラス、Cガラス、Aガラス、Sガラス、Lガラス、Dガラス、NEガラス、石英ガラス、低誘電率ガラス、高誘電率ガラス等を挙げることができる。なかでも、イオン性不純物が少なく、耐熱性と電気絶縁性にすぐれる点で、Eガラス、Tガラス、NEガラスが好ましい。ガラスフィラーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて、用いることができる。
【0126】
ガラスフィラ−のナトリウムD線(波長589.29nmの光)の屈折率は、特に、限定されるものではないが、1.40〜2.10であることが好ましい。屈折率がこの範囲を外れるときは、硬化物の透明性が著しく低下する傾向がある。ガラスフィラーのナトリウムD線の屈折率は、例えば、アッベ屈折計(測定温度25℃)を使用して測定することができる。
【0127】
ガラスフィラーとしてガラスビーズやガラスパウダーを使用する場合、これらの平均粒径は、特に限定されないが、0.5〜200μmが好ましい。ガラスフィラーの平均粒径は、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置等を使用して、ガラスフィラー(例えば、ガラスビーズやガラスフィラー)の粒径の平均値を算出することによって表すことができる。
【0128】
ガラスフィラーとしてガラスクロスのようなガラス繊維布を使用する場合、これらのフィラメントの織り方は、特に限定されるものではないが、例えば、平織り、ななこ織り、朱子織り、綾織り等を挙げることができる。ガラス繊維布(ガラス不織布を含む。)の厚みは、特に限定されるものではないが、20〜200μmが好ましい。ガラス繊維布(ガラス不織布を含む。)は、1枚だけで使用することもできるし、複数枚を重ねて使用することもできる。
【0129】
ガラスフィラーは、適宜の表面処理剤にて表面処理されていてもよい。このような表面処理剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤、界面活性剤、無機酸等を挙げることができる。
【0130】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物において、ガラスフィラーの含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部の範囲が好ましい。
【0131】
成分(3)(硬化剤)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(3)として、硬化剤を含んでいてもよい。硬化剤は、エポキシ樹脂を硬化させる働きを有する化合物であり、従来、エポキシ樹脂用硬化剤として知られているものを適宜に用いることができる。
【0132】
本発明において、上記硬化剤としては、室温で液状の酸無水物が好ましく、そのような室温で液状の酸無水物として、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。
【0133】
しかし、例えば、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等のように、室温で固体状の酸無水物であっても、室温で液状の酸無水物に溶解させて液状の混合物とすることによって、本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物における硬化剤として好ましく用いることができる。
【0134】
本発明において、硬化剤は1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。前述したように、硬化剤としては、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、耐クラック性の観点から、飽和単環炭化水素ジカルボン酸の無水物が好ましく、環にアルキル基等の置換基が結合したものも含む。
【0135】
また、本発明においては、硬化剤として、商品名「リカシッドMH−700」(新日本理化(株)製)、「リカシッドMH−700F」(新日本理化(株)製)、商品名「HN−5500」(日立化成工業(株)製)等の市販品を使用することもできる。
【0136】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物における硬化剤の含有量は、特に限定されるものではないが、通常、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、10〜200重量部の範囲が好ましい。
【0137】
成分(4)(硬化促進剤)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(4)として、硬化促進剤を含んでいてもよい。硬化促進剤は、エポキシ樹脂を硬化剤にて硬化させる際に、その硬化の速度を促進する機能を有する化合物である。
【0138】
硬化促進剤としては、従来、知られている硬化促進剤を使用することができ、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン−5(DBN)又はその塩(例えば、フェノール塩、オクチル酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ギ酸塩、テトラフェニルボレート塩)、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン等の第3級アミン、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、リン酸エステル、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラフェニルホスホニウムテトラ(p−トリル)ボレート等のホスホニウム化合物、オクチル酸亜鉛やオクチル酸スズ等の有機金属塩、金属キレート等を挙げることができる。硬化促進剤は1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0139】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成における硬化促進剤の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0. 05〜5重量部の範囲であることが好ましい。
【0140】
成分(5)(硬化触媒)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(5)として、硬化触媒を含んでいてもよい。硬化触媒は、エポキシ樹脂の硬化反応を開始させ、及び/又は硬化反応を促進する機能を有する化合物である。硬化触媒としては、特に限定されるものではないが、紫外線照射又は加熱処理を施すことによって、カチオン種を発生して重合を開始させるカチオン触媒(カチオン重合開始剤)を挙げることができる。硬化触媒は、1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0141】
紫外線照射によりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、ヘキサフルオロアンチモネートト塩、ペンタフルオロヒドロキシアンチモネート塩、ヘキサフルオロホスフェート塩、ヘキサフルオロアルゼネート塩等を挙げることができる。
【0142】
加熱処理を施すことによりカチオン種を発生するカチオン触媒としては、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨードニウム塩、アリールスルホニウム塩、アレン−イオン錯体等を挙げることができる。更に、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸やジケトン類とのキレート化合物とトリフェニルシラノール等のシラノールとの化合物、アルミニウムやチタン等の金属とアセト酢酸やジケトン類とのキレート化合物とビスフェノールS等のフェノール類との化合物であってもよい。
【0143】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物における上記硬化触媒の含有量は、特に限定されるものではないが、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、0.01〜50重量部の範囲であることが好ましい。硬化触媒をこのような範囲で用いることによって、耐熱性、耐光性、透明性にすぐれた硬化物を得ることができる。
【0144】
成分(6)(ポリエステル樹脂)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(6)として、ポリエステル樹脂を含むことが好ましい。ポリエステル樹脂を含むことによって、特に、硬化物の耐熱性と耐光性が向上して、光半導体装置の光度低下が抑制される傾向がある。脂環式ポリエステル樹脂は、脂環構造(脂肪族環構造)を少なくとも有するポリエステル樹脂である。特に、硬化物の耐熱性と耐光性向上の観点から、脂環式ポリエステル樹脂は、主鎖に脂環(脂環構造)を有する脂環式ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0145】
脂環式ポリエステル樹脂における脂環構造としては、特に限定されないが、例えば、単環炭化水素構造や橋かけ環炭化水素構造(例えば、二環系炭化水素等)等を挙げることができる。なかでも、特に、脂環骨格(炭素−炭素結合)がすべて炭素−炭素単結合により構成された飽和単環炭化水素構造や飽和橋かけ環炭化水素構造が好ましい。また、脂環式ポリエステル樹脂における脂環構造は、ジカルボン酸由来の構成単位とジオール由来の構成単位のいずれか一方のみに導入されていてもよいし、両方共に導入されていてもよく、特に限定されるものではない。
【0146】
脂環式ポリエステル樹脂は、脂環構造を有するモノマー成分由来の構成単位を有している。脂環構造を有するモノマーとしては、従来から知られている脂環構造を有するジオールやジカルボン酸が挙げられ、特に限定されないが、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ハイミック酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等の脂環構造を有するジカルボン酸(酸無水物等の誘導体も含む。)等、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロペンタンジメタノール、1,3−シクロペンタンジメタノール、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.0]デカン等の5員環ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の6員環ジオール、水素添加ビスフェノールAなどの脂環構造を有するジオール(これらの誘導体も含む。)等を挙げることができる。
【0147】
脂環式ポリエステル樹脂は、脂環構造を有しないモノマー成分に由来する構成単位を有していてもよい。脂環構造を有しないモノマーとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸(酸無水物等の誘導体も含む。)、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等の脂肪族ジカルボン酸(酸無水物等の誘導体も含む。)、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールキシリレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等のジオール(これらの誘導体も含む。)等を挙げることができる。尚、前記脂環構造を有しないジカルボン酸やジオールに適宜な置換基、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等が結合したものも、脂環構造を有しないモノマーに含まれる。
【0148】
脂環式ポリエステル樹脂を構成する全モノマー単位(全モノマー成分)(100モル%)に対する脂環を有するモノマー単位の割合は、特に限定されないが、10モル%以上が好ましい。
【0149】
成分(7)(オルガノシロキサン類)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(7)として、オルガノシロキサン類を含んでもよい。
【0150】
上記オルガノシロキサン類は、エポキシ樹脂と溶融混合可能なものであれば、特に限定されることなく、種々のポリオルガノシロキサン類、即ち、無溶剤で固形又は室温で液状のオルガノシロキサン類を用いることができる。このように、本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物において、オルガノシロキサン類は、樹脂組成物の硬化体中に均一に分散可能なものであればよい。
【0151】
このようなオルガノシロキサン類としては、その構成成分となるシロキサン単位が下記の化学式(3)で表されるものを挙げることができる。これは、一分子中に少なくとも一個のケイ素原子に結合した水酸基またはアルコキシ基を有し、ケイ素原子に結合した一価の炭化水素基(R
7)中、10モル%以上が置換または未置換の芳香族炭化水素基となるものである。
【0153】
(式中、R
7は炭素数1〜18の置換又は未置換の飽和一価炭化水素基であり、同じであっても異なっていてもよく、R
8は水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であり、同じであっても異なっていてもよく、m及びlはそれぞれ、0<m+l≦4を満たす0〜3の整数を示す。)
【0154】
一般式(3)で表されるシロキサン単位を有するオルガノシロキサン類において、炭素数1〜18の置換又は未置換の飽和一価炭化水素基であるR
7のうち、未置換の飽和一価炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基や、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ジシクロペンチル基、デカヒドロナフチル基等のシクロアルキル基を挙げることができ、更に、芳香族基として、フェニル基、ナフチル基、テトラヒドロナフチル基、トリル基、エチルフェニル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基等のアラルキル基等を挙げることができる。
【0155】
一方、一般式(3)で表されるシロキサン単位を有するオルガノシロキサン類において、炭素数1〜18の置換又は未置換の飽和一価炭化水素基であるR
7のうち、置換された飽和一価炭化水素基としては、具体的には、炭化水素基中の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、シアノ基、アミノ基、エポキシ基等によって置換されたものを挙げることができ、具体的には、クロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、ジフルオロフェニル基、β−シアノエチル基、γ−シアノプロピル基、β−シアノプロピル基等の置換炭化水素基等を挙げることができる。
【0156】
また、一般式(3)で表されるシロキサン単位を有するオルガノシロキサン類において、OR
8基は、水酸基又はアルコキシ基であって、アルコキシ基である場合のR
8 としては、具体的には、前述したR
7について例示したアルキル基において、炭素数1〜6のものである。より具体的には、R
8としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基を挙げることができる。これらの基は、同一のシロキサン単位のなかで、又はシロキサン単位の間で、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0157】
更に、本発明によれば、前記ポリオルガノシロキサン類は、その一分子中に少なくとも一個のケイ素原子に結合した水酸基又はアルコキシ基、即ち、シリコーン樹脂を構成するシロキサン単位の少なくとも一個が前記OR
8基を有することが好ましい。即ち、前記ポリオルガノシロキサン類がシリコーン樹脂を構成するシロキサン単位の少なくとも一個が前記OR
8基を有しない場合には、エポキシ樹脂との親和性が不十分となり、また、その機構は定かではないものの、これら水酸基又はアルコキシ基がエポキシ樹脂の硬化反応のなかで何らかの形で作用するためと考えられるが、得られる樹脂組成物により形成される硬化物の物理的特性も十分なものが得られ難い。そして、ポリオルガノシロキサン類において、ケイ素原子に結合した水酸基又はアルコキシ基の量は、好ましくは、OH基に換算して0.1〜15重量%の範囲に設定されることが好ましい。
【0158】
また、本発明の光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物においては、前記オルガノシロキサン類は、分子内にエポキシ基を有するエポキシ変性オルガノシロキサン類であってもよい。本発明の光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物がエポキシ変性基オルガノシロキサン類を含むとき、特に、得られる硬化物の耐熱性や耐光性をより高いレベルにまで向上させることができる。
【0159】
分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ変性オルガノシロキサン類におけるシロキサン骨格(−Si−0−骨格)としては、特に限定されないが、例えば、環状シロキサン骨格、直鎖状のシリコーン、かご型やラダー型のポリシルセスキオキサン等のポリシロキサン骨格等を挙げることができる。なかでも、シロキサン骨格としては、硬化物の耐熱性や耐光性を向上させて、光度の低下を抑制する観点から、環状シロキサン骨格や直鎖状シリコーン骨格が好ましい。
【0160】
即ち、エポキシ変性オルガノシロキサン類としては、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ変性環状シロキサン、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ変性直鎖状シリコーンが好ましい。これらのエポキシ変性オルガノシロキサン類は1種のみを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0161】
分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ変性オルガノシロキサン類としては、具体的には、例えば、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,4,6,6,8,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]へプチル})エチル]−2,2,4,6,6,8−ヘキサメチル−シクロテトラシロキサン、2,4−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]へプチル})エチル]−6,8−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、4,8−ジ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル})エチル]−2,6−ジプロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]ヘプチル} )エチル]−2,4,6,6,8−ペンタメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,8−トリ[2− (3−{オキサビシクロ[4.1.0]へプチル} )エチル]−6−プロピル−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、2,4,6,8−テトラ[2−(3−{オキサビシクロ[4.1.0]へプチル})エチル]−2,4,6,8−テトラメチル−シクロテトラシロキサン、分子内に2以上のエポキシ基を有するシルセスキオキサン等を挙げることができる。
【0162】
また、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ変性オルガノシロキサン類としては、例えば、特開2008−248169号公報に記載の脂環エポキシ基含有シリコーン樹脂や、特開2008−19422号公報に記載の一分子中に少なくとも2個のエポキシ官能性基を有するオルガノポリシルセスキオキサン樹脂等を採用することもできる。
【0163】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物がオルガノシロキサン類を含むときは、その含有量は、分子内に2以上のエポキシ基を有するエポキシ変性オルガノシロキサン類を含めて、通常、樹脂組成物中のエポキシ基を有する化合物の全重量に対して、1〜99重量%の範囲であることが好ましい。
【0164】
成分(8)(ゴム粒子)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、成分(8)として、ゴム粒子を含んでいてもよい。ゴム粒子としては、例えば、粒子状NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム)、反応性末端カルボキシル基NBR(CTBN)、メタルフリーNBR、粒子状SBR(スチレン−ブタジエンゴム)等のゴム粒子を挙げることができる。
【0165】
ゴム粒子としては、ゴム弾性を有するコア部分と、そのコア部分を被覆する少なくとも1層のシェル層とからなる多層構造(コアシェル構造)を有するゴム粒子が好ましい。
【0166】
本発明において、上記ゴム粒子は、特に、(メタ)アクリル酸エステルを必須モノマー成分とするポリマー(重合体)で構成されており、表面にエポキシ樹脂等のエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有するゴム粒子が好ましい。
【0167】
ゴム粒子の表面にヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基が存在しない場合、冷熱サイクル等の熱衝撃によって、硬化物が白濁して、透明性が低下するため好ましくない。
【0168】
ゴム粒子におけるゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、特に限定されないが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分とすることが好ましい。
【0169】
ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、上記モノマー成分に加えて、限定されるものではないが、その他のモノマー成分、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、エチレン、プロピレン、イソブテン等を含んでいてもよい。
【0170】
なかでも、ゴム弾性を有するコア部分を構成するポリマーは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、芳香族ビニル化合物、ニトリル類及び共役ジエンより群から選ばれる少なくとも1種を組み合わせて含むことが好ましい。即ち、コア部分を構成するポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル、(メタ)アクリル酸エステル/共役ジエン等の二元共重合体、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/共役ジエン等の三元共重合体等を挙げることができる。また、コア部分を構成するポリマーには、ポリジメチルシロキサンやポリフェニルメチルシロキサン等のシリコーンやポリウレタン等が含まれていてもよい。
【0171】
コア部分を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレート等、分子中に2以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
【0172】
ゴム粒子のコア部分は、なかでも、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニルの二元共重合体、特に、アクリル酸ブチル/スチレンより構成されたコア部分であることが、ゴム粒子の屈折率を容易に調整できる点で好ましい。
【0173】
ゴム粒子のコア部分は、通常、知られている方法で製造することができ、例えば、上述したモノマーを乳化重合法により重合する方法等により製造することができる。乳化重合法においては、モノマーの全量を一括して仕込んで重合してもよく、モノマーの一部を重合した後、残りを連続的に又は断続的に添加して重合してもよく、更には、シード粒子を使用する重合方法を使用してもよい。
【0174】
ゴム粒子のシェル層を構成するポリマーは、コア部分を構成するポリマーとは異種のポリマーであることが好ましい。また、上述したように、シェル層は、エポキシ樹脂等のエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基として、ヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を有することが好ましい。これにより、特に、エポキシ樹脂との界面で接着性を向上させることができ、そのようなシェル層を有するゴム粒子を含む樹脂組成物を硬化させた硬化物に対して、すぐれた耐クラック性を発揮させることができる。また、硬化物のガラス転移温度の低下を防止することもできる。
【0175】
シェル層を構成するポリマーは、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステルを必須のモノマー成分として含むことが好ましい。
【0176】
例えば、コア部分における(メタ)アクリル酸エステルとしてアクリル酸ブチルを用いた場合、シェル層を構成するポリマーのモノマー成分として、アクリル酸ブチル以外の(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等)を使用することが好ましい。
【0177】
(メタ)アクリル酸エステル以外に含んでいてもよいモノマー成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル等を挙げることができる。
【0178】
ゴム粒子においては、シェル層を構成するモノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、前記モノマーを単独で、又は2種以上を組み合わせて含むことが好ましく、特に、少なくとも芳香族ビニルを含むことがゴム粒子の屈折率を容易に調整できる点で好ましい。
【0179】
更に、シェル層を構成するポリマーは、モノマー成分として、エポキシ樹脂等のエポキシ基を有する化合物と反応し得る官能基としてのヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基を形成するために、ヒドロキシル基含有モノマー(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等)や、カルボキシル基含有モノマー(例えば、(メタ)アクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸無水物等のα,β−不飽和酸無水物等)を含有することが好ましい。
【0180】
ゴム粒子におけるシェル層を構成するポリマーは、モノマー成分として、(メタ)アクリル酸エステルと共に、前記モノマーから選択された1種または2種以上を組み合わせて含むことが好ましい。即ち、シェル層は、例えば、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル/芳香族ビニル/α,β−不飽和酸等の三元共重合体などから構成されたシェル層であることが好ましい。
【0181】
シェル層を構成するポリマーは、その他のモノマー成分として、コア部分と同様に、前記モノマーの他にジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ブチレングリコールジアクリレート等、分子中に2以上の反応性官能基を有する反応性架橋モノマーを含有していてもよい。
【0182】
ゴム粒子は、コア部分をシェル層により被覆することによって得ることができる。コア部分をシェル層で被覆する方法としては、例えば、上述した方法にて得られたゴム弾性を有するコア部分の表面にシェル層を構成する共重合体を塗布することによって被覆する方法、上述した方法にて得られたゴム弾性を有するコア部分を幹成分とし、シェル層を構成する各成分を枝成分としてグラフト重合する方法等を挙げることができる。
【0183】
ゴム粒子の平均粒径は、特に限定されないが、10〜500nmであることが好ましい。また、ゴム粒子の屈折率は、例えば、ゴム粒子を型に注型して、210℃、4MPaで圧縮成形し、厚さ1mmの平板を得、得られた平板から縦20mm×横6mmの試験片を切り出し、中間液としてモノブロモナフタレンを使用してプリズムと該試験片とを密着させた状態で、多波長アッベ屈折計(商品名「DR−M2」、(株)アタゴ製)を使用し、20℃、ナトリウムD線での屈折率を測定することにより求めることができる。
【0184】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物の屈折率は、例えば、下記光半導体装置の項に記載の加熱硬化方法により得られた硬化物から、縦20mm×横6mm×厚さ1mmの試験片を切り出し、中間液としてモノブロモナフタレンを使用してプリズムと該試験片とを密着させた状態で、多波長アッベ屈折計(商品名「DR−M2」、(株)アタゴ製)を使用し、20℃、ナトリウムD線での屈折率を測定することにより求めることができる。
【0185】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物がゴム粒子を含むときは、その含有量は、特に限定されないが、通常、樹脂組成物中のエポキシ樹脂100重量部に対して、0.5〜30重量部の範囲であることが好ましい。
【0186】
成分(9)(添加剤)
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、上述した種々の成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲内で、成分(9)として、その他の種々の添加剤を含有していてもよい。
【0187】
このような添加剤として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の水酸基を有する化合物を含有させると、反応を緩やかに進行させることができる。その他にも、粘度や透明性を損なわない範囲内で、シリコーン系やフッ素系消泡剤、レベリング剤、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランや3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、界面活性剤、シリカ、アルミナ等の無機充填剤、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、イオン吸着体、顔料、蛍光体、離型剤などの慣用の添加剤を使用することができる。
【0188】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、前記成分(1)(アリル/グリシジルグリコールウリル類)と共に、上述した成分(2)から成分(9)から選ばれる少なくとも1種を含んでいればよく、その製造方法については、特に限定されるものではない。
【0189】
具体的には、例えば、各成分を所定の割合で混合して、必要に応じて真空下で脱泡することにより調製することもできるし、また、エポキシ樹脂を含む組成物(以下、エポキシ樹脂という場合がある。)、硬化剤と硬化促進剤を含む組成物及び/又は硬化触媒を含む組成物(以下、エポキシ樹脂硬化剤という場合がある。)を調製し、これをエポキシ樹脂と所定の割合で混合し、必要に応じて真空下で脱泡することにより調製することもできる。
【0190】
ガラスフィラーは、予め、エポキシ樹脂及び/又はエポキシ樹脂硬化剤の構成成分として配合しておいてもよいし、エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤を混合する際にエポキシ樹脂とエポキシ硬化剤以外の成分として配合してもよい。
【0191】
前記エポキシ樹脂を調製する際の混合時の温度は、特に限定されないが、30〜150℃が好ましい。また、前記エポキシ硬化剤を調製する際の混合時の温度は、特に限定されないが、30〜100℃が好ましい。混合操作には、従来、知られている適宜の装置、例えば、自転公転型ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、ディゾルバー等を使用できる。
【0192】
特に、本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物が硬化剤と前記ポリエステル樹脂を必須成分として含む場合には、より均一な組成物を得るために、前記脂環式ポリエステル樹脂と硬化剤とを予め混合して、混合物を得た後、この混合物に硬化促進剤、その他の添加剤を配合してエポキシ硬化剤を調製し、引き続き、このエポキシ硬化剤と別途調製したエポキシ樹脂とを混合することにより調製することが好ましい。
【0193】
ポリエステル樹脂と硬化剤を混合する際の温度は、特に限定されないが、60〜130℃の範囲であることが好ましい。混合時間も、特に限定されないが、30〜100分間が好ましい。特に、限定されるものではないが、上記混合操作は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0194】
ポリエステル樹脂と硬化剤を混合した後、特に限定されないが、更に、適宜の化学処理(例えば、水素添加やポリエステル樹脂の末端変性等)等を施してもよい。ポリエステル樹脂と硬化剤の混合物においては、硬化剤の一部がポリエステル樹脂(例えば、ポリエステル樹脂の水酸基等)と反応していてもよい。
【0195】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、耐熱性、耐光性及び耐熱衝撃性にすぐれ、特に、耐吸湿リフロー性にすぐれた硬化物を与える。本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物を硬化させる際の加熱温度(硬化温度)は、特に限定されないが、45〜200℃が好ましい。また、硬化の際に加熱する時間(硬化時間)は、特に限定されないが、30〜600分間が好ましい。硬化条件は種々の条件に依存するが、例えば、硬化温度を高くした場合は硬化時間を短く、硬化温度を低くした場合は硬化時間を長くする等により、適宜調整することができる。
【0196】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物を用いることによって、上述したように、高い耐熱性、耐光性及び耐熱衝撃性を有し、特に耐吸湿リフロー性にすぐれた硬化物にて光半導体素子が封止された本発明による光半導体装置を得ることができる。従って、このような光半導体装置は、高出力と高輝度の光半導体素子を備える場合であっても、経時で光度が低下しにくく、特に、高湿条件下で保管された後にリフロー工程にて加熱された場合でも、光度低下等の劣化が生じにくい。
【0197】
このように、本発明による光半導体装置は、上述した本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物により光半導体素子が封止された光半導体装置である。
【0198】
光半導体素子を封止するには、上述したようにして調製したエポキシ樹脂組成物を所定の成形型内に注入し、所定の条件で加熱硬化して行う。これによってエポキシ樹脂組成物の硬化物にて光半導体素子が封止された光半導体装置を得ることができる。ここにおいて、硬化温度と硬化時間は、硬化物の調製時と同様の範囲で設定することができる。
【0199】
本発明による光半導体素子封止用エポキシ樹脂組成物は、上述した光半導体素子封止用途に限定されず、例えば、接着剤、電気絶縁材、積層板、コーティング、インク、塗料、シーラント、レジスト、複合材料、透明基材、透明シート、透明フィルム、光学素子、光学レンズ、光学部材、光造形、電子ペーパー、タッチパネル、太陽電池基板、光導波路、導光板、ホログラフィックメモリ等の用途にも使用することができる。
【0200】
(5)アンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類と硬化剤を含んでなるものである。
【0201】
即ち、本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、
(a)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂、
(b)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと第2のエポキシ樹脂、及び
(c)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシド
から選ばれる少なくとも1種と硬化剤を含んでなるものである。
【0202】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂と硬化剤を含んでなるものである。
【0203】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類と硬化剤と共に、上記アリル/グリシジルグリコールウリル類を除くエポキシ化合物、即ち、モノエポキシドや第2のエポキシ樹脂を含むことができる。
【0204】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、好ましくは、更に、無機充填剤、硬化促進剤、コアシェルゴム及び反応性希釈剤を含む。
【0205】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂は、単独で、又は2種以上の組み合わせとして用いられる。
【0206】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、上記硬化剤は、アミン系硬化剤又は酸無水物硬化剤である。これらの硬化剤は、種類も多く、半導体素子のパッシベーション膜(例えば、ポリイミド等)との密着性にすぐれるため、半導体封止用樹脂組成物に使用した場合に、耐吸湿リフロー性試験時の剥離を防止することができる。
【0207】
上記アミン系硬化剤は、特に限定されることなく、従来から知られているものが用いられる。例えば、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン等の脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン等の脂環式ポリアミン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジン等のピペラジン型のポリアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ビス(メチルチオ)トルエンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルホン、ジエチルトルエンジアミン、トリメチレンビス(4−アミノベンゾエート)、ポリテトラメチレンオキシド−ジ−p−アミノベンゾエート等の芳香族ポリアミン類を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0208】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、樹脂組成物が含むエポキシ樹脂の有するエポキシ当量に対して、上記アミン系硬化剤を0.01〜3.0当量の割合で含み、樹脂組成物がエポキシ樹脂と共に反応性希釈剤を含むときは、エポキシ樹脂と反応性希釈剤が有するエポキシ当量に対して、アミン系硬化剤を0.01〜3.0当量の割合で含むことが好ましい。
【0209】
一方、上記酸無水物硬化剤も、特に限定されることなく、従来から知られているものが適宜に用いられる。例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、アルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルハイミック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物、メチルナジック酸無水物、グルタル酸無水物、3,4−ジメチル−6−(2−メチル−1−プロペニル)−1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1−イソプロピル−4−メチル−ビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボン酸無水物、ノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、メチルノルボルナン−2,3−ジカルボン酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、アルケニル基で置換されたコハク酸無水物、ジエチルグルタル酸無水物等を挙げることができる。市販品としては、三菱化学(株)製酸無水物(グレード:YH306、YH307)等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上の組み合わせとして用いられる。
【0210】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂の有するエポキシ当量に対して、上記酸無水物硬化剤を0.5〜1.5当量の割合で含み、樹脂組成物がエポキシ樹脂と共に反応性希釈剤を含むときは、エポキシ樹脂と反応性希釈剤が有するエポキシ当量に対して、酸無水物硬化剤を0.5〜1.5当量の割合で含むことが好ましい。
【0211】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂は、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を含めて、常温で液状であることが好ましい。しかし、常温で固体状のエポキシ樹脂であっても、他の液状のエポキシ樹脂又は希釈剤により希釈して、液状を示すようにして用いることができる。
【0212】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を除く第2のエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、エーテル系又はポリエーテル系エポキシ樹脂、オキシラン環含有ポリブタジエン、アミノフェノール型エポキシ樹脂、シリコーンエポキシコポリマー樹脂等を挙げることができる。
【0213】
前記液状であるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約400以下のもの、p−グリシジルオキシフェニルジメチルトリスビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの、ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンのような脂環式エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジグリシジルオキシビフェニルのようなビフェニル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルのようなグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインのようなヒダントイン型エポキシ樹脂、ナフタレン環含有エポキシ樹脂等を例示することができる。
【0214】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、第2のエポキシ樹脂として、1,3−ビス(3−グリシドキシプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのようなオルガノシロキサン骨格をもつエポキシ樹脂も用いることができる。また、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びグリセリントリグリシジルエーテルのようなトリエポキシド化合物も例示することができる。
【0215】
更に、上述した以外にも、常温で固体乃至超高粘性のエポキシ樹脂も、第2のエポキシ樹脂として用いることができる。そのようなエポキシ樹脂として、高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラックエポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等を例示することができる。
【0216】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂と共に第2のエポキシ樹脂を用いるとき、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂と共に第2のエポキシ樹脂の合計量の0.1重量%以上、好ましくは、10重量%以上、特に、50重量%以上を前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂が占めることが好ましい。
【0217】
同様に、本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂として、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと第2にエポキシ樹脂を含むときは、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと第2のエポキシ樹脂の合計量の0.1重量%以上、好ましくは、10重量%以上を前記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドが占めることが好ましい。
【0218】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、必要に応じて、樹脂組成物の粘度を下げるために、希釈剤を含んでもよい。希釈剤は非反応性でも、反応性でも、いずれでもよいが、反応性のものが好ましい。
【0219】
反応性希釈剤とは、通常、分子中に1個のエポキシ基を有する常温で比較的低粘度のモノエポキシドをいうが、本発明においては、後述するように、分子中に2個以上のエポキシ基を有する常温で比較的低粘度のエポキシ樹脂又はポリエポキシドも、反応性希釈剤として用いることができる。
【0220】
また、本発明においては、上記反応性希釈剤は、目的に応じて、エポキシ基以外に、他の重合性官能基、例えば、ビニル基やアリル等のアルケニル基、アクリロイル基やメタクリロイル基等の不飽和カルボン酸残基を有していてもよい。
【0221】
上記モノエポキシドである反応性希釈剤としては、n−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、p−s−ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、α−ピネンオキシドのようなモノエポキシド化合物、アリルグリシジルエーテル、メタクリル酸グリシジル、1−ビニル−3,4−エポキシシクロヘキサンのような他の官能基を有するモノエポキシド化合物等を例示することができる。
【0222】
しかし、本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物が反応性希釈剤を含むとき、その反応性希釈剤は、分子中に2個以上のエポキシ基を有する常温で比較的低粘度のエポキシ樹脂であることが好ましい。
【0223】
一般に、半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、モノエポキシドである反応性希釈剤を用いた場合、エポキシ樹脂の硬化に際して、三次元的な架橋を形成することができないため、得られる半導体封止用樹脂組成物の硬化物におけるガラス転移温度(Tg)や強靱性が低下するという問題があった。
【0224】
しかし、本発明によれば、アンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、反応性希釈剤として、ある種のポリエポキシドを用いることによって、エポキシ樹脂の硬化に際して、三次元的な架橋を形成することができるので、得られる半導体封止用樹脂組成物の硬化物におけるガラス転移温度(Tg)や強靱性の低下を抑制することができる。
【0225】
このポリエポキシドとしては、前述の(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのようなジエポキシド化合物、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル及びグリセリントリグリシジルエーテルを例示することができる。尚、これらのポリエポキシドは、適宜、第2のエポキシ樹脂及び/又は反応性希釈剤として使用することができる。
【0226】
本発明のアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物が希釈剤を含むときは、希釈剤が非反応性、反応性を問わず、アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂(と第2のエポキシ樹脂の合計量)100重量部に対して、希釈剤を0.1〜200質量部の割合で含むことができる。
【0227】
第2のエポキシ樹脂として、前述したような常温で固体乃至超高粘性であるエポキシ樹脂を用いる場合は、それらの第2のエポキシ樹脂を上述したようなポリエポキシドからなる反応性希釈剤と組み合わせて、流動性を調節して用いることが好ましい。
【0228】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、無機充填剤は、半導体封止用樹脂組成物の熱膨張係数を調整することにより、耐サーマルサイクル性、耐熱性、耐湿性等を向上させることができる。
【0229】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物における上記無機充填剤の含有量は、半導体封止用樹脂組成物100重量部に対して、通常、10〜500重量部の範囲であることが好ましい。
【0230】
上記無機充填剤としては、アンダーフィル用の半導体封止用樹脂組成物として、従来、知られているものを制限なく使用することができる。具体的には、シリカ、アクリルビーズ、ガラスビーズ、ウレタンビーズ等が挙げられ、特に、シリカがコストや半導体封止用樹脂組成物の他の成分との相溶性の理由から好ましい。
【0231】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤は、従来、エポキシ樹脂の硬化促進剤として知られているものであれば、制限なく使用することができる。
【0232】
例えば、イミダゾール系硬化促進剤(マイクロカプセル型、エポキシアダクト型を含む。)、第3級アミン系硬化促進剤、リン化合物系硬化促進剤等が挙げられ、特に、イミダゾール系硬化促進剤が半導体封止用樹脂組成物の他の成分との相溶性と硬化速度の点ですぐれていることから好ましく用いられる。
【0233】
上記イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物等を挙げることができる。
【0234】
また、マイクロカプセル型イミダゾールやエポキシアダクト型イミダゾールと呼ばれるカプセル化イミダゾールも用いることができる。即ち、イミダゾール化合物を尿素やイソシアネート化合物でアダクトし、更に、その表面をイソシアネート化合物でブロックすることによりカプセル化したイミダゾール系潜在性硬化剤や、イミダゾール化合物をエポキシ化合物でアダクトし、更に、その表面をイソシアネート化合物でブロックすることによりカプセル化したイミダゾール系潜在性硬化剤も用いることができる。具体的には、例えば、ノバキュアHX3941HP、ノバキュアHXA3042HP、ノバキュアHXA3922HP、ノバキュアHXA3792、ノバキュアHX3748、ノバキュアHX3721、ノバキュアHX3722、ノバキュアHX3088、ノバキュアHX3741、ノバキュアHX3742、ノバキュアHX3613(いずれも旭化成ケミカルズ(株)製、製品名)等を挙げることができる。ノバキュアはカプセル化イミダゾールと熱硬化性エポキシ樹脂を所定の比率で混合した製品である。
【0235】
本発明のアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、硬化促進剤の含有量は、硬化促進剤の種類によっても異なるが、イミダゾール系硬化促進剤の場合は、樹脂組成物が含むエポキシ樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜100重量部の範囲であることが好ましい。
【0236】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、コアシェルゴムは、半導体封止用樹脂組成物をアンダーフィルとして使用した際のフィレットクラックの発生と進展を抑制する目的で使用することができる。
【0237】
具体的には、コアシェルゴムを含むことによって、半導体封止用樹脂組成物が低弾性率化して、アンダーフィルとして使用した際に、フィレット部に生じる応力が低減され、フィレットクラックの発生を抑制することができる。
【0238】
また、フィレットクラックが発生した場合には、コアシェルゴムが応力緩和剤として作用し、フィレットクラックの進展を抑制することができる。
【0239】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物において、コアシェルゴムとは、コア層とこれを覆う1以上のシェル層で構成される多層構造のゴム材料をいい、コア層とシェル層は相互に組成が異なる。
【0240】
コアシェルゴムは、コア層を柔軟性にすぐれた材料で構成し、シェル層を半導体封止用樹脂組成物の他の成分に対する親和性、特に、グリコールウリル化合物や、グリコールウリル化合物以外のエポキシ樹脂に対する親和性にすぐれた材料で構成することにより、コアシェルゴムの配合による半導体封止用樹脂組成物の低弾性率化を達成しつつ、半導体封止用樹脂組成物中の分散性が良好となる。
【0241】
コア層の構成材料としては、例えば、シリコーン系エラストマー、ブタジエン系エラストマー、スチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー、ポリオレフィン系エラストマー、シリコーン/アクリル系複合系エラストマー等を挙げることができる。
【0242】
一方、シェル層の構成材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を挙げることができ、特に、アクリル樹脂が半導体封止用樹脂組成物の他の成分に対する親和性、特に、グリコールウリル類や、グリコールウリル類以外のエポキシ樹脂に対する親和性の観点から好ましい。
【0243】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を使用する際の注入性を良好にし、フィレットクラックの発生を抑えるためには、コアシェルゴムの平均粒径は50μm以下であることが好ましい。
【0244】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂100重量部に対して、コアシェルゴムを0.1〜200重量部の範囲で含むことが好ましい。
【0245】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、密着性にすぐれるように、シランカップリング剤を含んでもよい。
【0246】
このようなシランカップリング剤としては、エポキシ系、アミノ系、ビニル系、メタクリル系、アクリル系、メルカプト系等の各種シランカップリング剤を用いることができる。これらのなかでも、エポキシ系シランカップリング剤は、半導体封止用樹脂組成物をアンダーフィルとして使用した際の密着性と機械的強度を向上させる効果にすぐれることから好ましい。
【0247】
エポキシ系シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(KBM−303、信越化学工業(株)製)、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン(KBM−402、信越化学工業(株)製)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403、信越化学工業(株)製)、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、(KBE−402、信越化学工業(株)製)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(KBE−403、信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。
【0248】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物がシランカップリング剤を含む場合、その含有量は、樹脂組成物中の全成分の合計重量に対して、0.01〜99重量%の範囲であることが好ましい。
【0249】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、上述した成分に加えて、消泡剤、イオントラップ剤、界面活性剤、表面改質剤、顔料、染料、その他着色剤等を本発明の効果を損なわない範囲において含むことができる。
【0250】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物の製造方法は、特に限定されるものではなく、上述した各成分の所定量を混合撹拌することによって得ることができる。混合撹拌には、ライカイ機、ポットミル、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機を用いることができるが、これらに限定されるものではない。グリコールウリル類又はエポキシ樹脂が固形の場合には、加熱する等して、液状化乃至流動化させて、混合することが好ましい。
【0251】
各成分を同時に混合しても、一部の成分を先に混合し、残りの成分を後から混合する等、適宜変更しても差支えない。
【0252】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、ディスペンサー、印刷等で基板の所望の位置に形成される。
【0253】
本発明によるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化は、100〜250℃で、1秒〜30分間行うことが好ましい。
【0254】
本発明によるによるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、アンダーフィル用途以外にも、接着剤等にも用いることができる。
【0255】
本発明によるによるアンダーフィルとして用いられる半導体封止用エポキシ樹脂組成物を適用し得る電子部品は、本発明の半導体封止用樹脂組成物をアンダーフィルとして使用し、前記の手順で基板と半導体素子との間のギャップを封止したものである。ここで封止を行う電子部品としては、半導体素子が挙げられ、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、コンデンサ等、特に限定されるものではない。
【0256】
(6)レジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類又は前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類と酸無水物の反応物を含み、且つ、架橋剤及び溶剤を含んでなるものである。
【0257】
即ち、本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、
(a)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂を含み、又は
(b)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドと共に第2のエポキシ樹脂の混合物を含み、又は
(c)少なくとも上記アリル/グリシジルグリコールウリル類モノエポキシドを含み、又は、
(d)前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類と酸無水物の反応物を含む。
【0258】
前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類と酸無水物を反応させる際、必要に応じて触媒、ラジカル重合禁止剤等を用いることができる。
【0259】
前記酸無水物としては、例えば、コハク酸無水物、無水マレイン酸、テトラブロモフタル酸無水物、テトラクロロフタル酸無水物、フタル酸無水物、(+)−ジアセチル−L−酒石酸無水物、酒石酸無水物が挙げられるが、これらの酸無水物に限定されない。
【0260】
前記触媒としては、例えば、第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩が挙げられる。第4級アンモニウム塩及び第4級ホスホニウム塩として、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイドのような公知の化合物を用いることができる。
【0261】
前記の反応条件は、使用する化合物及びそれらの濃度に依存するものであり、特に限定されないが、反応時間は1時間〜24時間の範囲が好ましい。
【0262】
特に、本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂として、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂又は前記アリル/グリシジルグリコールウリル類エポキシ樹脂と酸無水物の反応物を樹脂組成物の重量に基づいて、0.5〜70重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0263】
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物において、上記架橋剤としては、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン、1,3,4,6−テトラキス(メトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ブトキシメチル)グリコールウリル、1,3,4,6−テトラキス(ヒドロキシメチル)グリコールウリル、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,1,3,3−テトラキス(ブトキシメチル)尿素および1,1,3,3−テトラキス(メトキシメチル)尿素等が用いられる。これらの架橋剤は1種のみで、又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0264】
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、樹脂組成物が含むエポキシ樹脂に対して、上記架橋剤を、通常、1〜50重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0265】
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物において、上記溶剤としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、乳酸エチル、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン、これら溶剤から選ばれる2種以上の混合物等が用いられる。
【0266】
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、その架橋反応を促進するために、好ましくは、架橋触媒を含む。この架橋触媒としては、例えば、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ピリジニウム−p−トルエンスルホネート、サリチル酸、カンファースルホン酸、5−スルホサリチル酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ベンゼンジスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、クエン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸等のスルホン酸化合物及びカルボン酸化合物等を挙げることができる。
【0267】
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、前記架橋剤に対して、上記架橋触媒を通常、0.1〜20重量%の範囲で含むことが好ましい。
【0268】
本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、すぐれた熱硬化性を有するため、レジストとのインターミキシングを生じないレジスト下層膜を形成することができる。
【0269】
また、本発明によるレジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物は、すぐれたドライエッチング速度を有するレジスト下層膜を形成することができる。
【0270】
(7)光学デバイス用シリコーン樹脂組成物
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、
(A)アルケニル基を有する有機化合物、
(B)1分子中に少なくとも3つ以上のヒドロシリル基を有する化合物および
(C)ヒドロシリル化触媒からなる硬化性組成物であって、
上記(A)成分として、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含む。
【0271】
(A)アルケニル基を有する有機化合物
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物において、上記アルケニル基を有する有機化合物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類を含むことが必須であり、ここに、上記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類とは、前述した一般式(Ia)〜(Id)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類の少なくとも1種を意味する。
【0272】
換言すれば、本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物における上記(A)成分としての前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類は、分子中にアルケニル基を少なくとも1個有すればよいが、好ましくは、分子中にアルケニル基を2個以上有する。
【0273】
また、本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、前記一般式(I)で表されるアリル/グリシジルグリコールウリル類に加えて、その他のアルケニル基を有する有機化合物(第2のアルケニル基を有する有機化合物という。)を含んでいてもよい。
【0274】
上記第2のアルケニル基を有する有機化合物としては、分子中にアルケニル基を少なくとも1個有する有機化合物であれば、特に、限定されるものではない。そのような第2のアルケニル基を有する有機化合物としては、ポリシロキサン−有機ブロックコポリマーやポリシロキサン−有機グラフトコポリマーのようなシロキサン単位を含むものではなく、構成元素としてC、H、N、O、S、ハロゲンのみを含むものであることが好ましい。また、アルケニル基の結合位置は特に限定されず、骨格のどの位置に存在してもよい。
【0275】
従って、第2のアルケニル基を有する有機化合物の具体例としては、例えば、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、モノアリルジメチルイソシアヌレート、1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上の組み合わせとして用いられる。
【0276】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類を含むことから、樹脂組成物を基材上で硬化させた場合の基材との接着性にすぐれており、更に、得られる硬化物が耐熱性と耐光性のバランスにすぐれ、また、熱応力を効果的に低減させることができる。
【0277】
(B)1分子中に少なくとも3つ以上のヒドロシリル基を有する化合物
本発明によるシリコーン樹脂組成物において、(B)成分は、主に硬化剤として使用されるものであり、分子中に少なくとも3つ以上のヒドロシリル基を有するオルガノシロキサンであれば、特に、限定されることなく、種々のものが用いられる。
【0278】
上記分子中に少なくとも3つ以上のヒドロシリル基を有するオルガノシロキサンとしては、例えば、分子中に少なくとも3つ以上のヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンオルガノシロキサンや、アルケニル基を少なくとも2つ有する有機化合物((B−1)成分)と、1分子中に少なくともヒドロシリル基を2つ有する鎖状及び/又は環状のオルガノハイドロジェンオルガノシロキサン((B−2)成分)とをヒドロシリル化反応させることによって得られる有機変性シリコーン化合物((B−3)成分)を挙げることができる。
【0279】
上記オルガノハイドロジェンオルガノシロキサンとは、ケイ素原子上に炭化水素基又は水素原子を有するシロキサン化合物をいう。
【0280】
これらの(B)成分のうち、前記(A)成分との相溶性の観点から、有機変性シリコーン化合物(B−3)を用いることが好ましい。
【0281】
また、オルガノハイドロジェンオルガノシロキサンとしては、一般式(4)から一般式(6)で表される鎖状、環状のものや、ヒドロシリル基を含有する多面体ポリシロキサン等を挙げることができる。
【0283】
(式中、m及びnは、3<m+n≦50、3<m、0≦nを満たす数であり、Rは主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であって、1個以上のフェニル基を含有してもよい。)
【0285】
(式中、m及びnは、1<m+n≦50、1<m、0≦nを満たす数であり、Rは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であって、1個以上のフェニル基を含有してもよい。)
【0287】
(式中、m及びnは、3≦m+n≦20、3<m≦19、0≦n<18を満たす数であり、Rは、主鎖の炭素数が2〜20の炭化水素基であって、1個以上のフェニル基を含有してもよい。)
【0288】
また、上記(B−3)成分である有機変性シリコーンは、(B−1)成分と(B2)成分の組み合わせにより種々のものを合成して使用することが可能である。
【0289】
(B−1)成分は、アルケニル基を少なくとも2つ有する有機化合物であれば特に限定されないが、具体例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,3,4,6−テトラアリルグリコールウリル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレート、ビスフェノールAのジアリルエーテル、ビスフェノールSのジアリルエーテル、テトラアリルグリコールウリル及びそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは、1、2比率が50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、また、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部又はすべてをアリル基に置き換えたもの等を挙げることができる。
【0290】
(B−1)成分としては、良好な特性を有する硬化物が得られるという観点から、複素環骨格を有する有機化合物であることが好ましい。複素環骨格を有する有機化合物は、環状骨格中にヘテロ元素を有する化合物であれば特に限定されないが、環を形成する原子にSiが含まれるものは除かれる。また、環を形成する原子数に特に制限はなく、3以上であればよいが、入手の容易さの点から10以下であることが好ましい。
【0291】
複素環の具体例としては、エポキシ系、オキセタン系、フラン系、チオフェン系、ピラロール系、オキサゾール系、フラザン系、トリアゾール系、テトラゾール系、ピラン系、ピリジン系、オキサジン系、チアジン系、ピリダジン系、ピリミジン系、ピラジン系、ピペラジン系等の他、グリコールウリル系のものが挙げられるが、本発明の効果が飛躍的に発揮される点において、グリコールウリル系の複素環が好ましい。
【0292】
即ち、(B−1)成分として、前記アリル/グリシジルグリコールウリル類を使用することが好ましい。
【0293】
上記(B−2)成分は、一分子中に少なくとも2つのヒドロシリル基を有するオルガノハイドロジェンシロキサン化合物であれば特に限定されず、例えば、国際公開第96/15194号パンフレットに記載される化合物で、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有するもの等が使用できる。これらのうち、入手の容易さの点からは、1分子中に少なくとも2個のヒドロシリル基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンが好ましく、シリコーン系硬化性組成物中における相溶性が良いという観点からは、環状オルガノポリシロキサンが好ましい。
【0294】
ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示されるが、入手の容易さの点からは、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
【0295】
(B−2)成分の分子量に特に制限はなく、任意のものが使用できるが、流動性の観点からは低分子量のものが好ましく用いられる。この場合の分子量の下限は58であり、同上限は100,000であり、より好ましくは1,000であり、更に好ましくは700である。
【0296】
(C)ヒドロシリル化触媒
ヒドロシリル化触媒は、特に、限定されることなく、従来、知られているものが適宜に用いられる。
【0297】
具体例として、例えば、塩化白金酸、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体{例えば、Pt
n(ViMe
2SiOSiMe
2Vi)
n、Pt〔(MeViSiO)
4〕
m};白金−ホスフィン錯体{例えば、Pt(PPh
3)
4、Pt(PBu
3)
4};白金−ホスファイト錯体{例えば、Pt〔P(OPh)
3〕
4、Pt〔P(OBu)
3〕
4}(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を示し、n及びmは整数を表す)、Pt(acac)
2、Ashbyらの米国特許第3159601号明細書及び同3159662号明細書に記載された白金−炭化水素複合体、Lamoreauxらの米国特許第3220972号明細書に記載された白金アルコラート触媒等を挙げることができる。
【0298】
白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh
3)
3、RhCl
3、Rh/Al
3O
3、RuCl
3、IrCl
3、FeCl
3、AlCl
3、PdCl
2・2H
2O、NiCl
2、TiCl
4等を挙げることができる。
【0299】
これらのヒドロシリル化触媒は、単独で、又は2種以上を組み合わせ用いられるが、触媒活性の点からは、塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)
2等が好ましく用いられている。
【0300】
本発明によるシリコーン樹脂組成物において、ヒドロシリル化触媒の含有量は、特に限定されるものではないが、通常、(A)成分中のアルケニル基1モルに対して10
−1〜10
−8モルの範囲で用いられ、好ましくは、10
−2〜10
−6モルの範囲で用いられる。ヒドロシリル化触媒の含有量が(A)成分中のアルケニル基1モルに対して、10
−8モル未満であるとき、ヒドロシリル化が十分に進行しないおそれがあり、一方、10
−1モルを超える量を用いたときは、組成物の貯蔵安定性が悪化するおそれがある。
【0301】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、上述したように、(A)〜(C)成分を含み、ヒドロシリル化反応によって硬化する組成物であって、シリコーン樹脂組成物中における(A)成分と(B)成分の組成比は、特に限定されないが、硬化反応を効率的に進行させる観点からは、(B)成分のヒドロシリル基のモル数)/((A)成分のアルケニル基とのモル数で表されるモル比が0.5〜2.0の範囲内にあることが好ましく、0.7〜1.5の範囲内にあることがより好ましく、0.8〜1.3の範囲内にあることが更に好ましい。
【0302】
上記モル比が0.5未満である場合、例えば、組成物を硬化させた場合に、系中に過剰なアルケニル基が残存することにより、硬化物の耐熱性が問題となり場合があり、また、モル比が1.3を超える場合には、系中に過剰なヒドロシリル基が残存することによって、例えば長期耐熱試験中にヒドロシリル基同士の縮合反応が起こり、硬化物の特性が低下するおそれがある。
【0303】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物の粘度は、ハンドリング性の観点から、2000cP以下であることが好ましく、1000cP以下であることがより好ましく、500cP以下であることが更に好ましい。
【0304】
粘度が2000cPを超えると、樹脂組成物をディスペンサーで塗布しようとする場合に、樹脂詰まりが起こりやすくなったり、また、均一に塗布することが困難となったりするおそれがある。
【0305】
(硬化遅延剤)
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、その保存安定性を改良するため、又は製造過程でのヒドロシリル化反応の反応性を調整するために、硬化遅延剤を含むことができる。硬化遅延剤としては、脂肪族不飽和結合を有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等を挙げることができ、これらを併用してもよい。
【0306】
上記脂肪族不飽和結合を有する化合物としては、エチニル基を有するアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等を例示することができる。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等を例示することができる。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等を例示することができる。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等を例示することができる。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等を例示することができる。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等を例示することができる。
【0307】
これらの硬化遅延剤のうち、遅延活性が良好であり、且つ、原料入手の容易さの観点から、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等が好ましく用いられる。
【0308】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、用いるヒドロシリル化触媒1モルに対して、上記硬化遅延剤を、好ましくは、10
−1〜10
3モルの範囲で、より好ましくは1〜50モルの範囲で含む。
【0309】
(接着付与剤)
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、被着体に対するすぐれた接着性を有するように、接着付与剤を含むことができる。接着付与剤の具体例として、例えば、シランカップリング剤、ほう素系カップリング剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等を挙げることができる。
【0310】
上記シランカップリング剤の例としては、分子中にエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基及びカルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基と、ケイ素原子に結合したアルコキシ基を有するシランカップリング剤が好ましい。上記官能基は、硬化性と接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基又はアクリル基であることが好ましい。
【0311】
例えば、エポキシ基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0312】
また、メタクリロイル基又はアクリロイル基とケイ素原子結合アルコキシ基を有する有機ケイ素化合物としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。
【0313】
上記ほう素系カップリング剤の例としては、ほう酸トリメチル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec.−ブチル,ほう酸トリ−tert.−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう素メトキシエトキサイド等を挙げることができる。
【0314】
上記チタン系カップリング剤の例としては、テトラ(n−ブトキシ)チタン,テトラ(i−プロポキシ)チタン,テトラ(ステアロキシ)チタン、ジ−i−プロポキシ−ビス(アセチルアセトネート)チタン,i−プロポキシ(2−エチルヘキサンジオラート)チタン,ジ−i−プロポキシ−ジエチルアセトアセテートチタン,ヒドロキシ−ビス(ラクテト)チタン、i−プロピルトリイソステアロイルチタネート,i−プロピル−トリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート,テトラ−i−プロピル−ビス(ジオクチルホスファイト)チタネート,テトラオクチル−ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート,ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート,i−プロピルトリオクタノイルチタネート,i−プロピルジメタクリル−i−ステアロイルチタネート等を挙げることができる。
【0315】
上記アルミニウム系カップリング剤としては、アルミニウムブトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセトナート、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。
【0316】
これらの接着性付与剤については、1種のみを単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0317】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物における上記接着性付与剤の添加量は、通常、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましい。
【0318】
(その他の添加剤)
本発明の効果を損なわない範囲において、本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、これを硬化してなる硬化物に対して、タック性や密着性を付与する目的で種々の添加剤を含むことができる。用いる添加剤は、その種類において、特に限定されるものではないが、硬化物からのブリードを抑制する観点からは、アルケニル基又はヒドロシリル基を有する化合物であって、ヒドロシリル化による硬化時に(A)成分又は(B)成分と化学結合を形成できる化合物を用いることが好ましい。
【0319】
上記アルケニル基を有する化合物としては、アルケニル基を有する化合物、例えば、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端メチルフェニルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等を挙げることができる。これらは単独で、又は2種以上の組み合わせてが用いられる。
【0320】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物において、上記添加剤の含有量は、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対して、通常、5重量部以下であることが好ましい。また、添加剤の種類や添加量によっては、ヒドロシリル化反応に対する影響を考慮しなければならない。
【0321】
(硬化物)
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物は、耐熱性と耐光性にすぐれると共に、硬化後の硬化収縮が小さい硬化物を与えることができ、種々の基材に対する接着性にもすぐれるので、そのような硬化物は、種々の光学デバイスの樹脂層として用いることができる。
【0322】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物の硬化物は、熱応力を低減する観点から、ガラス転移温度が150℃以下であることが好ましく、145℃以下であることがより好ましく、140℃以下であることが更に好ましい。ガラス転移温度が150℃を超えると、硬化時又は高温環境下における熱応力が大きくなり、例えば基材上で硬化させた場合に反りが起こったり、基材に対する接着性が低下したりするおそれがある。
【0323】
また、本発明による硬化物は、前述したと同様に、熱応力を低減させる観点から、150℃における貯蔵弾性率が500MPa以下であることが好ましく、200MPa以下であることがより好ましく、100MPa以下であることが更に好ましい。貯蔵弾性率が500MPaを超えると、熱応力が大きくなり、基材上で硬化させた場合に反りが起こったり、基材に対する接着性が低下するおそれがある。
【0324】
ガラス転移温度の測定方法については、種々の方法を採用することができ、動的粘弾性測定、熱機械測定等の方法が例示され、また、貯蔵弾性率は動的粘弾性測定によって測定することができる。
【0325】
(光学デバイス)
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物を樹脂層とする光学デバイスとしては、発光ダイオード、各種受光素子、表示ディスプレイ、太陽電池等が例示される。
【0326】
本発明による光学デバイス用シリコーン樹脂組成物を用いて発光ダイオードを製造することができる。この場合、発光ダイオードは、本発明による光学デバイス用樹脂組成物によって発光素子を被覆することができる。上記発光素子とは、従来から知られている発光ダイオードに用いられている発光素子である。
【0327】
このような発光素子としては、例えば、MOCVD法、HDVPE法、液相成長法等の各種方法によって、必要に応じて、GaN、AlN等のバッファー層を設けた基板上に半導体材料を積層して製作したものが挙げられる。この場合の基板としては、各種材料を用いることができるが、例えば、サファイヤ、スピネル、SiC、Si、ZnO、GaN単結晶等が挙げられる。これらのうち、結晶性の良好なGaNを容易に形成でき、工業的利用価値が高いという観点から、サファイヤを用いることが好ましい。
【0328】
積層される半導体材料としては、GaAs、GaP、GaAlAs、GaAsP、AlGaInP、GaN、InN、AlN、InGaN、InGaAlN、SiC等が挙げられる。これらのうち、高輝度が得られるという観点からは、窒化物系化合物半導体(Inx GayAlz N)が好ましい。このような材料には付活剤等を含んでいてもよい。
【0329】
発光素子の構造としては、MIS接合、pn接合、PIN接合を有するホモ接合、ヘテロ接合やダブルへテロ構造等が挙げられる。また、単一あるいは多重量子井戸構造とすることもできる。
【0330】
発光素子はパッシベーション層を設けていてもよいし、設けなくてもよい。発光素子には従来知られている方法によって電極を形成することができる。
【0331】
発光素子上の電極は種々の方法でリード端子等と電気接続できる。電気接続部材としては、発光素子の電極とのオーミック性機械的接続性等が良いものが好ましいく、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウムやそれらの合金等を用いたボンディングワイヤーが挙げられる。また、銀、カーボン等の導電性フィラーを樹脂で充填した導電性接着剤等を用いることもできる。これらのうち、作業性が良好であるという観点からは、アルミニウム線或いは金線を用いることが好ましい。
【0332】
上述したようにして、発光素子が得られるが、本発明の発光ダイオードにおいては、発光素子の光度として、垂直方向の光度が1cd以上であれば任意のものを用いることができるが、垂直方向の光度が2cd以上の発光素子を用いた場合により本発明の効果が顕著であり、3cd以上の発光素子を用いた場合に更に本発明の効果が顕著である。
【0333】
発光素子の発光出力としては、特に制限なく任意のものを用いることができる。発光素子の発光波長は、紫外域から赤外域までの種々の波長であってよい。使用する発光素子は、一種類の発光素子で単色発光させてもよいし、複数の発光素子を組み合わせて単色または多色発光させてもよい。
【0334】
本発明の発光ダイオードに用いられるリード端子としては、ボンディングワイヤー等の電気接続部材との密着性、電気伝導性等が良好なものが好ましく、リード端子の電気抵抗としては、300μΩ・cm以下が好ましく、より好ましくは、3μΩ・cm以下である。これらのリード端子材料としては、例えば、鉄、銅、鉄入り銅、スズ入り銅や、これらに銀、ニッケル等をメッキしたもの等が挙げられる。これらのリード端子は良好な光の広がりを得るために適宜光沢度を調整してもよい。
【0335】
本発明による発光ダイオードは、本発明の硬化性組成物によって発光素子を被覆することにより製造することができるが、この場合の被覆とは、上記発光素子を直接封止するものに限らず、間接的に被覆する場合も含む。具体的には、発光素子を本発明の硬化性組成物で直接従来用いられる種々の方法で封止してもよいし、従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等の封止樹脂やガラスで発光素子を封止した後に、その上あるいは周囲を本発明の硬化性組成物で被覆してもよい。また、発光素子を本発明の硬化性組成物で封止した後、従来用いられるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ユリア樹脂、イミド樹脂等でモールディングしてもよい。以上のような方法によって屈折率や比重の差によりレンズ効果等の種々の効果をもたせることも可能である。
【0336】
封止の方法としても各種方法を採用することができる。例えば、底部に発光素子を配置させたカップ、キャビティ、パッケージ凹部等に液状の組成物をディスペンサーその他の方法にて注入して、加熱等により硬化させてもよいし、固体状又は高粘度液状の組成物を加熱する等して流動させ、同様に、パッケージ凹部等に注入して更に加熱する等して、硬化させてもよい。この場合のパッケージは種々の材料を用いて作成することができ、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフタルアミド樹脂等を挙げることができる。また、モールド型枠中に組成物を予め、注入し、そこに発光素子が固定されたリードフレーム等を浸漬した後、硬化させる方法も採用することができるし、発光素子を挿入した型枠中にディスペンサーによる注入、トランスファー成形、射出成形等により組成物による封止層を成形、硬化させてもよい。
【0337】
更に、単に液状又は流動状態とした組成物を発光素子状に滴下又はコーティングして硬化させてもよい。また、発光素子上に孔版印刷、スクリーン印刷又はマスクを介して塗布すること等により硬化性樹脂を成形させて硬化させることもできる。その他、予め、板状やレンズ形状等に部分硬化若しくは硬化させた組成物を発光素子上に固定する方法によってもよい。更には、発光素子をリード端子やパッケージに固定するダイボンド剤として用いることもできるし、発光素子上のパッシベーション膜として用いることもできる。また、パッケージ基板として用いることもできる。
【0338】
被覆部分の形状も特に限定されず、種々の形状としてよい。例えば、レンズ形状、板状、薄膜状、特開平6−244458記載の形状等が挙げられる。これらの形状は組成物を成形硬化させることによって成形してもよいし、組成物を硬化した後に、後加工により成形してもよい。
【0339】
本発明の発光ダイオードは、種々のタイプとすることができ、例えば、ランプタイプ、SMDタイプ、チップタイプ等いずれのタイプでもよい。SMDタイプ、チップタイプのパッケージ基板としては、種々のものが用いられ、例えば、エポキシ樹脂、BTレジン、セラミック等が挙げられる。
【0340】
その他、本発明の発光ダイオードには、従来から知られている種々の方式を適用することができる。例えば、発光素子背面に光を反射し、又は集光する層を設ける方式、封止樹脂の黄変に対応して補色着色部を底部に形成させる方式、主発光ピークより短波長の光を吸収する薄膜を発光素子上に設ける方式、発光素子を軟質又は液状の封止材で封止した後周囲を硬質材料でモールディングする方式、発光素子からの光を吸収してより長波長の蛍光を出す蛍光体を含む材料で発光素子を封止した後、周囲をモールディングする方式、蛍光体を含む材料を予め、成形してから、発光素子と共にモールドする方式、特開平6−244458に記載のように、モールディング材を特殊形状として発光効率を高める方式、輝度むらを低減させるためにパッケージを2段状の凹部とする方式、発光ダイオードを貫通孔に挿入して固定する方式、発光素子表面に主発光波長より短い波長の光を吸収する薄膜を形成する方式、発光素子をはんだバンプ等を用いたフリップチップ接続等によってリード部材等と接続して基板方向から光を取出す方式等を挙げることができる。
【0341】
本発明の発光ダイオードは、従来より知られている種々の用途に用いることができる。具体例としては、バックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【実施例】
【0342】
以下に本発明を実施例によって説明するが、本発明はそれら実施例によって特に限定されるものではない。
【0343】
(グリコールウリル類の合成)
以下において、40%グリオキサール溶液、アリル尿素、尿素及びベンジルトリメチルアンモニウムクロリドは和光純薬工業(株)製、エピクロロヒドリンはダイソー(株)製を用いた。尚、実施例において用いた1,3−ジアリル尿素は特開平10−251214号公報に記載の方法によって合成した。
【0344】
参考例1
(1−アリルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた200mLフラスコに尿素3.0g(50mmol)、40%グリオキサール溶液11.6g(80mmol)及び水5.0gを入れた。得られた溶液に4N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、そのpHを9.0に調整した後、80℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物にアリル尿素5.0g(50mmol)、36%塩酸21.7g(217mmol)及び水10.2gを加えた後、30℃にて24時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物に1N水酸化ナトリウム溶液を加えて中和した後、クロロホルム30mLで抽出操作を行った。同様の抽出操作を更に2回行った後、得られた有機層を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=15/1(容量比))にて精製して、1−アリルグリコールウリル0.6gを白色固体として得た。収率7%。
【0345】
得られた1−アリルグリコールウリルの
1HNMRスペクトル(d6−DMSO)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0346】
7.41(s,1H),7.37(s,1H),7.29(s,1H)5.67−5.77(m,1H),5.22(dt,1H),5.18(dd,1H),5.17(dd,1H),5.13(dd,1H),3.91(dd,1H),3.45(dd,1H)
【0347】
参考例2
(1,3−ジアリルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた100mLフラスコに40%グリオキサール溶液8.7g(60mmol)、14%水酸化ナトリウム水溶液1.3g、尿素3.0g(50mmol)及び水1.0gを入れ、70℃で3時間撹拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、1,3−ジアリル尿素2.8g(20mmol)、水5.0g及び36%塩酸2.5g(25mmol)を加え、室温で18時間撹拌した。得られた反応溶液に45%水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、濾過し、水3.3gにて洗浄し、乾燥して、1,3−ジアリルグリコールウリル3.8gを白色固体として得た。収率86%。
【0348】
得られた1,3−ジアリルグリコールウリルの
1HNMRスペクトル(d6−DMSO)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0349】
7.52(s,2H),5.68−5.79(m,2H),5.19(s,2H),5.18(dd,2H),5.14(dd,2H),3.94(dd,2H),3.51(dd,2H)
【0350】
参考例3
(1,4−ジアリルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた100mLフラスコにアリル尿素5.0g(50mmol)、40%グリオキサール溶液3.6g(25mmol)、p−トルエンスルホン酸一水和物1.9g(10mmol)及び水20.0gを入れ、30℃にて24時間撹拌した。得られた反応混合物に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルム25mLで抽出操作を行った。同様の抽出操作を更に2回行った後、得られた有機層を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をアセトン17mLで洗浄した後、乾燥して1,4−ジアリルグリコールウリル2.1gを白色固体として得た。収率37%。
【0351】
得られた1,4−ジアリルグリコールウリルの
1HNMRスペクトル(CDCl
3)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0352】
6.11(s,2H),5.75−5.85(m,2H),5.30(dd,2H),5.28(s,2H),5.25(dd,2H),4.01(dd,2H),3.77(dd,2H)
【0353】
参考例4
(1,3,4−トリアリルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた200mLフラスコにアリル尿素5.0g(50mmol)、40%グリオキサール溶液11.6g(80mmol)及び水5.0gを入れた。得られた溶液に4N水酸化ナトリウム水溶液を加えて、溶液のpHを9.0に調整した後、80℃にて3時間撹拌した。得られた反応混合物に1,3−ジアリル尿素7.0g(50mmol)、36%塩酸21.7g(217mmol)及び水10.2g加え、30℃にて24時間撹拌した。得られた反応混合物に1N水酸化ナトリウム水溶液を加えて中和した後、クロロホルム75mLで抽出操作を行った。同様の抽出操作を更に1回行った後、得られた有機層を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製し、1,3,4−トリアリルグリコールウリル2.6gを無色油状物として得た。収率20%。
【0354】
得られた1,3,4−トリアリルグリコールウリルの
1HNMRスペクトル(d6−DMSO)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0355】
7.75(s,1H),5.68−5.79(m,3H),5.22(dd,1H)5.19(dd,1H),5.16−5.21(m,2H),5.15(dd,2H),5.14(dd,2H),3.91−4.06(m,3H),3.65(dd,1H),3.64(dd,1H),3.55(dd,1H)
【0356】
実施例1
(1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた200mLフラスコに1−アリルグリコールウリル9.1g(50mmol)、エピクロロヒドリン55.5g(600mmol)、ジメチルスルホキシド12.5g及び水酸化カリウム11.2g(200mmol)を加え、25℃にて3時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を減圧下で濃縮した。
【0357】
得られた濃縮物に水31.0gを加えた後、トルエン250mLで抽出操作を行った。得られた有機層を水31.0gで洗浄した後、減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/1(容量比))にて精製し、1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル1.5gを無色油状物として得た。収率9%。
【0358】
得られた1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリルのIRスペクトルを
図1に示す。また、その
1HNMRスペクトル(CDCl
3)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0359】
5.72−5.85(m,2H),5.48−5.59(m,1H),5.10−5.31(m,3H),4.07−4.29(m,3H),3.65−3.84(m,2H),3.41−3.65(m,2H),3.03−3.28(m,3H),2.76−2.85(m,4H),2.54−2.61(m,2H)
【0360】
実施例2
(1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた300mLフラスコに1,3−ジアリルグリコールウリル11.1g(50mmol)、エピクロロヒドリン277.6g(3000mmol)、ベンジルトリメチルアンモニウムクロリド0.5g(2.5mmol)及び水酸化ナトリウム4.6g(115mmol)を加え、25℃にて18時間撹拌した。
【0361】
得られた反応混合物を濾過し、減圧濃縮して、得られた濃縮物にトルエン150mlを加えた後、45%水酸化ナトリウム水溶液25.0gで1回、飽和塩化ナトリウム水溶液25.0gで2回洗浄した。有機層に無水硫酸ナトリウム20.0gを加え、室温で2時間撹拌し、濾過し、減圧濃縮して、1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル16.1gを無色油状物として得た。収率96%。
【0362】
得られた1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリルのIRスペクトルを
図2に示す。また、その
1HNMRスペクトル(CDCl
3)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0363】
5.73−5.84(m,2H),5.46−5.50(m,1H),5.18−5.31(m,5H),4.23−4.29(m,1H),4.19(dd,1H),4.07−4.17(m,1H),3.85−3.95(m,2H),3.54−3.62(m,2H),3.06−3.16(m,2H),2.78−2.82(m,3H),2.52−2.58(m,2H)
【0364】
実施例3
(1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた100mLフラスコに1,4−ジアリルグリコールウリル11.1g(50mmol)、エピクロロヒドリン46.3g(500mmol)、ジメチルスルホキシド11.1g及び水酸化カリウム8.4g(150mmol)を入れ、25℃にて3時間撹拌した。
【0365】
得られた反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物に水12.6gを加えた後、トルエン100mLで抽出操作を行った。得られた有機層を水12.6gで洗浄した後、減圧下で濃縮して、1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリル10.3gを無色油状物として得た。収率62%。
【0366】
得られた1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリルのIRスペクトルを
図3に示す。また、その
1HNMRスペクトル(CDCl
3)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0367】
5.73−5.84(m,2H),5.46−5.50(m,1H),5.18−5.31(m,5H),4.16−4.29(m,2H),4.06−4.13(m,1H),3.85−3.98(m,2H),3.59−3.62(m,2H),3.06−3.16(m,2H),2.78−2.82(m,3H),2.52−2.58(m,2H)
【0368】
実施例4
(1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリルの合成)
温度計を備えた100mLフラスコに1,3,4−トリアリルグリコールウリル13.1g(50mmol)、エピクロロヒドリン46.3g(500mmol)、ジメチルスルホキシド13.1g及び水酸化カリウム5.0g(150mmol)を入れ、25℃にて3時間撹拌した。
【0369】
得られた反応混合物を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物に水50.0gを加えた後、トルエン100mLで抽出操作を行った。得られた有機層を水50.0gで洗浄した後、減圧下で濃縮して、1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル8.3gを無色油状物として得た。収率52%。
【0370】
得られた1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリルのIRスペクトルを
図4に示す。また、その
1HNMRスペクトル(CDCl
3)におけるδ値は下記のとおりであった。
【0371】
5.69−5.85(m,3H),5.38(dd,1H),5.15−5.28(m,7H),4.06−4.29(m,4H),3.91(dt,1H),3.67−3.78(m,2H),3.61(t,1H),3.07−3.16(m,1H),2.75−2.81(m,1H),2.53−2.56(m,1H)
【0372】
(ボールグリッドアレイ半導体用封止用樹脂組成物)
実施例5〜8及び比較例1
(1)エポキシ化合物またはエポキシ樹脂
1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル(以下、「エポキシ樹脂A」という。)
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル(以下、「エポキシ樹脂B」という。)
下記式(7)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(以下、「エポキシ樹脂C」という。)
【0373】
【化19】
【0374】
(2)硬化剤
下記式(8)で表されるフェノール樹脂
【0375】
【化20】
【0376】
(式中、nは3又は4である。)
【0377】
(3)樹脂組成物の調製
表1に示す量の前記エポキシ樹脂A、B及び/又はCを硬化剤180重量部、硬化促進剤トリフェニルホスフィン3重量部、離型剤酸化ポリエチレンワックス7重量部、シランカップリング剤3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5重量部、無機質充填剤として球状溶融シリカ粉末(平均粒径13.2μm)2000重量部、カーボンブラック(三菱化学(株)製#3030B)15重量部及び難燃剤として三酸化アンチモン(Sb
2O
3)3.3重量部をロール混練機を用いて80〜170℃にて溶融混練した後、冷却し、粉砕し、更に、タブレット状に打錠して、実施例5〜8及び比較例1としての樹脂組成物を調製した。
【0378】
上記実施例5〜8及び比較例1において得られた樹脂組成物のガラス転移温度を測定し、また、上記樹脂組成物を用いて得られたパッケージの反り量を測定した。樹脂組成物のガラス転移温度とパッケージの反り量の測定は下記のようにして行った。結果を表1に示す。
【0379】
[ガラス転移温度(Tg)]
粘弾性測定装置(レオメトリック社製 固体粘弾性測定装置「RSAII」、二重カレンチレバー法、周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、上記樹脂組成物のガラス転移温度を測定した。
【0380】
[反り量]
シリコンチップ(寸法10mm×10mm×厚さ0.325mm)をガラスエポキシ基板上に等間隔となるように、銀(Ag)ペーストを使用して実装し、プレス機(TOWA社製)にて前記樹脂組成物を用いて封止した。プレス機の金型温度は175℃とし、封止条件はトランスファースピード1.5mm/秒、クランプ圧1960N、トランスファー圧49N、キュア時間90秒間とした。尚、ガラスエポキシ基板を封止した樹脂層の厚みは450μmである。続いて、パッケージを175℃で5時間加熱し、加熱後のパッケージについて、温度可変レーザー3次元装置(ティーテック社製)を用いて観察し、パッケージの反り量を測定した。
【0381】
【表1】
【0382】
表1に示す結果から、本発明によるグリコールウリル類を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物はいずれも、ガラス転移温度が高く、反りの抑制効果にすぐれている。
【0383】
実施例9〜11及び比較例2
(光半導体素子封止用樹脂組成物)
(1)主原料
(イ)アリル/グリシジルグリコールウリル類
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル
(ロ)エポキシ樹脂
脂環式エポキシ化合物((株)ダイセル製、製品名「セロキサイド2021P」)
(ハ)ガラスフィラー
ガラスフィラー(日本フリット(株)製、製品名「ガラスビーズCF0018WB15C」)
(ニ)硬化剤
4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸/ヘキサヒドロ無水フタル酸(新日本理化(株)製、製品名「リカシッドMH−700」)
(ホ)硬化促進剤
特殊アミン(サンアプロ(株)製、製品名「U−CAT18X」)
【0384】
(2)評価試験
(イ)通電試験(高温通電試験)
光半導体装置の全光束を全光束測定機を使用して測定し、これを「0時間の全光束」とした。続いて、85℃にて100時間加熱しながら、光半導体装置に30mAの電流を流した後の全光束を測定し、これを「100時間後の全光束」とした。
【0385】
得られた「0時間の全光束」と「100時間後の全光束」から、下式に従って光度保持率(%)を算出した。この数値が大きいほど、硬化物の耐光性がすぐれている。
光度保持率(%):
〔100時間後の全光束(Im)〕/〔0時間の全光束(Im)〕×100
(ロ)はんだ耐熱性試験
光半導体装置を30℃/70%RHの条件にて192時間静置して加湿処理を行った。次いで、この光半導体装置をリフロー炉に入れ、下記加熱条件にて加熱処理を行った。その後、この光半導体装置を室温環境下に取り出して放冷した後、再度リフロー炉に入れて同条件で加熱処理を行った。即ち、光半導体装置は下記の加熱条件による2回の熱履歴を有する。
【0386】
加熱条件(光半導体装置の表面温度基準)
(1)予備加熱:150〜190℃にて60〜120秒間
(2)予備加熱後の本加熱:217℃以上(最高温度260℃)にて、60〜150秒間
(但し、予備加熱から本加熱に移行する際の昇温速度は最大で3℃/秒に制御した。)
続いて、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、製品名「VHX−900」)を使用して光半導体装置を観察し、硬化物におけるクラック(長さが90μm以上)の発生の有無と、電極剥離(電極表面からの硬化物の剥離)の発生の有無を確認した。尚、試験はn=2で行った。
【0387】
光半導体装置2個のうち、硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数と、電極剥離が発生した光半導体装置の個数を表2に示した。
【0388】
(ハ)熱衝撃試験
光半導体装置に対し、−40℃の雰囲気下に30分間曝露し、続いて、120℃の雰囲気下に30分間曝露する工程を1サイクルとした熱衝撃を、熱衝撃試験機を使用して200サイクル分与えた。その後、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製、製品名「VHX−900」)を使用して光半導体装置を観察し、硬化物におけるクラック(長さが90μm以上)の発生の有無を確認した。尚、試験はn=2で行った。
【0389】
光半導体装置2個のうち、硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数を表2に示した。
【0390】
実施例9
(エポキシ樹脂組成物の調製及び光半導体装置の作製)
表2に示す組成にてグリコールウリル類とガラスフィラー(製品名「ガラスビーズCF0018WB15C」)とを自公転式攪拌装置(シンキー(株)製、製品名「あわとり練太郎AR−250」)を使用して、均一に混合、脱泡した。
【0391】
続いて、この混合物に、表2に示す組成となるように、硬化剤(製品名「リカシッドMH−700」)と硬化促進剤(製品名「U−CAT18X」)を加えて、混合、脱泡して、エポキシ樹脂組成物を調製した。
【0392】
次いで、このエポキシ樹脂組成物を光半導体のリードフレーム(InGaN素子、3.5mm×2.8mm)に注型した後、120℃(樹脂硬化オーブン)にて5時間加熱して、光半導体素子を上記樹脂組成物の硬化物にて封止した光半導体装置を作製した。
【0393】
この光半導体装置について、通電試験、はんだ耐熱試験及び熱衝撃試験を行った。得られた結果を表2に示す。また、これらの評価試験の結果に基づき、以下の判定基準に従って総合判定した。結果を表2に示す。
【0394】
[判定基準]
次の項(イ)〜(ニ)に示した基準を全て満たす場合を「良好(○と表記)」と判定し、これ以外の場合を「不良(×と表記)」と判定した。
(イ)通電試験:光度保持率が90%以上
(ロ)はんだ耐熱性試験:硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数が0個
(ハ)はんだ耐熱性試験:電極剥離が発生した光半導体装置の個数が0個
(ニ)熱衝撃試験:硬化物に長さが90μm以上のクラックが発生した光半導体装置の個数が0個
【0395】
実施例10〜11及び比較例2
実施例9と同様にして、表2に示した組成のエポキシ樹脂組成物を調製し、光半導体素子が該組成物の硬化物により封止された光半導体装置を作製した。
【0396】
これらの光半導体装置について、通電試験、はんだ耐熱試験及び熱衝撃試験を行った。得られた結果を表2に示す。また、これらの評価試験の結果に基づいて行った総合判定の結果を表2に示す。
【0397】
【表2】
【0398】
表2に示す結果から、本発明による新規なグリコールウリル類を含む光半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物は光保持率や耐熱性等にすぐれていることが認められる。
【0399】
(アンダーフィルとして用いられる半導体封止用樹脂組成物)
実施例12〜15及び比較例3
(1)樹脂組成物の調製
エポキシ樹脂として表3に示す量の1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル又は1,4−ジアリル−3,6−ジグリシジルグリコールウリルとビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学(株)製、YDF8170C)を硬化剤4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン(日本化薬(株)製、カヤハードA−A)50重量部、無機充填剤としてエポキシ表面処理シリカフィラー(アドマテックス(株)製、SE5200SEE、平均粒径2μm)200重量部、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業(株)製、2P4MHZ)2重量部、コアシェルゴム(コアはシリコーンゴム、シェルはアクリル樹脂、平均粒径0.3μm)10重量部、反応性希釈剤としてポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(エポキシ当量320、全塩素量1000ppm)20重量部及びシランカップリング剤3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM403)2重量部をロールミルにて用いて混錬して、実施例12〜15及び比較例3としての半導体封止用樹脂組成物を調製した。
【0400】
これら半導体封止用樹脂組成物の粘度とガラス転移温度を測定し、更に、半導体封止用樹脂組成物としての性能を評価した。
【0401】
(イ)粘度
上記樹脂組成物の粘度をブルックフィールド粘度計を用いて、25℃/50rpmの条件にて測定した。
(ロ)ガラス転移温度
上記樹脂組成物を150℃/1時間加熱硬化し、得られた硬化物について、TMA法によりガラス転移温度(Tg)を測定した。測定装置としては、ブルカーASX製TMA4000SAを用いた。
(ハ)耐吸湿リフロー性
PHASE2E175(日立超LSIシステムズ社製)をフリップチップ実装させたJKIT TypeIII基板(日立超LSIシステムズ社製)(サイズ30mm×50mm×0.7mm、ダイサイズ10mm×10mm×0.7mm、PIパッシベーションダイ、Sn−3Ag−0.5Cuバンプ、バンプピッチ175μm)の間に、前記操作により得られた樹脂組成物を注入し、150℃/1時間加熱硬化させた後、抵抗値を測定した。次に、リフロー処理(260℃)を行った後、85℃/85%の条件で24時間放置した。その後、再びリフロー処理を3回行った後、抵抗値の測定および剥離状態の観察を行い、下記の基準で耐吸湿リフロー性の評価を行った。
【0402】
即ち、リフロー処理の前後における抵抗値の変化率が±10%未満であり、且つ剥離の発生している面積の割合が1%未満であるときを○(良好)とし、リフロー処理の前後における抵抗値の変化率が±10%以上であり、及び/又は剥離の発生している面積の割合が1%以上であるときを×(不良)とした。
【0403】
(ニ)耐フィレットクラック性
前述したと同様の方法によって吸湿リフロー処理を行った基板を125℃/30分間と−55℃/30分間の加熱/冷却を1000回実施した後、基板上のフィレットクラックを観察し、下記の基準で耐フィレットクラック性の評価を行った。
【0404】
ダイ周辺長さに対するフィレットクラックのダイと水平方向長さの割合が30%未満であるときを良好(○)とし、ダイ周辺長さに対するフィレットクラックのダイと水平方向長さの割合が30%以上であるときを不良(×)とした。
【0405】
【表3】
【0406】
表3に示す結果から、本発明による新規なグリコールウリル類を含む半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物はいずれも、粘度、耐熱性及び耐湿性等にすぐれていることが認められる。
【0407】
(リソグラフィー用レジスト下層膜形成用エポキシ樹脂組成物)
(1)溶剤耐性試験
レジスト下層膜形成用樹脂組成物をスピンコーターでシリコンウェハ上に塗布し、ホットプレート上、205℃で60秒間加熱し、硬化させて、塗布膜を形成した。この塗布膜の膜厚を光干渉膜厚計(ナノメトリクス社製、「ナノスペックAFT5100」)を用いて測定し、これを初期膜厚とした。
【0408】
次に、この塗布膜を形成したシリコンウェハを溶剤(東京応化工業株製、「OK73シンナー」)に30秒間浸漬した後、スピンコーターでスピンドライし、続いて、ホットプレート上、100℃で30秒間加熱して、溶剤を除去した。溶剤を除去した後の塗布膜の膜厚を測定し、これを浸漬後膜厚とした。初期膜厚に対する浸漬後膜厚の割合から残膜率を算出した。
【0409】
(2)エッチングレート試験
レジスト下層膜形成用樹脂組成物をスピンコーターでシリコンウェハ上に1500rpm/60秒の条件にて塗布し、ホットプレート上、205℃で60秒間加熱した。この操作を3回繰り返して、レジスト下層膜を厚膜化した後、ドライエッチング装置(日本サイエンティフィック社製、「RIEシステムES401」)を用いて、ドライエッチングガスとしてCF
4を使用して、レジスト下層膜のドライエッチング速度(単位時間当たりの膜厚の減少量)を測定した。
【0410】
また、レジスト溶液(住友化学(株)製、「PAR710」)をスピンコーターを用いてシリコンウェハ上に塗布し、前述したと同様の方法によりレジスト膜を形成した。そして、前述したと同様の方法により、レジスト膜のドライエッチング速度を測定した。
【0411】
レジスト膜のドライエッチング速度に対するレジスト下層膜のドライエッチング速度の比(以下、ドライエッチング速度の選択比という。)を算出した。
【0412】
(合成例1)
1−アリル−3,4,6−トリグリシジルグリコールウリル4.20g、エポキシ基と反応するテトラブロモフタル酸無水物7.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.14g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル45.3gを混合し、撹拌しながら、12時間加熱還流して、反応生成物を含む溶液を得た。この溶液に陽イオン交換樹脂(ムロマチテクノス(株)製、「ダウエックス(登録商標)550A」)10.00g、陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「アンバーライト(登録商標)15JWET」)10.00gを加えて、室温で8時間イオン交換処理をした。得られた化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量1500であった。
【0413】
(合成例2)
1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル6.02g、エポキシ基と反応するテトラブロモフタル酸無水物7.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.14g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル45.3gを混合し、撹拌しながら、12時間加熱還流して、反応生成物を含む溶液を得た。この溶液に陽イオン交換樹脂(ムロマチテクノス(株)製、「ダウエックス(登録商標)550A」)10.00g、陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「アンバーライト(登録商標)15JWET」)10.00gを加えて、室温で8時間イオン交換処理をした。得られた化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量900であった。
【0414】
(合成例3)
1,3,5−トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌル酸(日産化学工業(株)製、「TEPIC(登録商標)−SS」)3.59g、テトラブロモフタル酸無水物7.00g、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド0.14g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル45.3gを混合し、撹拌しながら、12時間加熱還流して、反応生成物を含む溶液を得た。この溶液に陽イオン交換樹脂(ムロマチテクノス(株)製、「ダウエックス(登録商標)550A」)10.00g、陰イオン交換樹脂(オルガノ(株)製、「アンバーライト(登録商標)15JWET」)10.00gを加えて、室温で8時間イオン交換処理をした。得られた化合物のGPC分析を行ったところ、標準ポリスチレン換算にて重量平均分子量700であった。
【0415】
実施例16
上記合成例1で得た化合物1.20gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液7.00g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、「POWDERLINK(登録商標)1174」)0.29g、5−スルホサリチル酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.05gを混合し、溶液として、レジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0416】
得られたレジスト下層膜形成用樹脂組成物について、溶剤耐性試験及びエッチングレート試験を行った。結果を表4に示す。
【0417】
実施例17
合成例2で得た化合物1.20gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液7.00g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、「POWDERLINK(登録商標)1174」)0.29g、5−スルホサリチル酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル20.00g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート11.05gを混合し、溶液として、レジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0418】
得られたレジスト下層膜形成用樹脂組成物について、溶剤耐性試験及びエッチングレート試験を行った。結果を表4に示す。
【0419】
比較例4
合成例3で得た化合物1.20gを含むプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液7.00g、テトラメトキシメチルグリコールウリル(日本サイテックインダストリーズ(株)製、「POWDERLINK(登録商標)1174」)0.29g、5−スルホサリチル酸0.03g、プロピレングリコールモノメチルエーテル11.05g及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート8.32gを混合して、溶液として、レジスト下層膜形成用樹脂組成物を調製した。
【0420】
得られたレジスト下層膜形成用樹脂組成物について、溶剤耐性試験及びエッチングレート試験を行った。結果を表4に示す。
【0421】
【表4】
【0422】
表4に示す結果から明らかなように、本発明による新規なレジスト下層膜形成用樹脂組成物から得られるレジスト下層膜は、良好な溶剤耐性を示す。従って、本発明によるレジスト下層膜形成用下層膜は、レジストとインターミキシングを生じないようなすぐれた溶剤耐性を有することが認められる。
【0423】
また、本発明のレジスト下層膜形成用樹脂組成物から得られるレジスト下層膜は、ドライエッチング速度の選択比が大きく、すぐれたドライエッチング選択性を有することが認められる。
【0424】
(光学デバイス用シリコーン樹脂組成物)
(1)接着性試験
3ccの硬化性組成物をバーコーターを使用して膜厚40〜60μmになるように、10×10cmのガラス基板上に塗布し、対流式オーブンにて150℃、1時間硬化させて、試験用硬化物を作製した。この硬化物を使用して、JIS 5600−5−6準拠にてクロスカット試験を行い、同規格の判定基準に従い、接着性を分類0〜5までの6段階にて判定した。
【0425】
(2)耐熱性試験
硬化性組成物を3mm厚みのテフロン製スペーサーを2枚のガラス基板で挟み込んで作製した型に流し込み、80℃で3時間及び150℃で2時間の各条件にて段階的に加熱を行って試験用硬化物(3mm厚)を作製した。この硬化物を対流式オーブンにて120℃/100時間加熱した後、400nmにおける光線透過率を測定し、下式により保持率を算出した。
【0426】
保持率(%)=(100時間加熱後の光線透過率/加熱前の光線透過率)×100。
【0427】
加熱前の光線透過率に対して、90%以上の保持率がある場合は非常に良好(◎)、80から89%の保持率の場合を良好(○)とした。
【0428】
(3)ガラス転移温度(Tg)
前述した耐熱性試験の場合と同様にして、試験用硬化物を作製し、この硬化物を汎用ミル(IKA社製、M20)で0.5mm以下に粉砕した後、DSCでガラス転移温度(Tg)を測定した。
【0429】
(4)耐光性試験
メタリングウェザーメーター(スガ試験機(株)製)を使用して、放射照度0.53kW/m
2にて積算放射照度50MJ/m
2まで照射した後、照射前後の外観の変化の有無を観察した。変化がない場合は良好(○)とし、着色等の変化があった場合を不良(×)とした。
【0430】
(成分B(変性体1)の合成)
撹拌装置、冷却管及び滴下漏斗を取り付けた5L容量の二口フラスコにトルエン500gと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン350gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱撹拌した。得られた溶液に1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリル100g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.4mLからなる混合溶液を50分間かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、撹拌した。1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.8mgを加えた後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンを減圧留去して、変性体1として反応生成物220gを得た。
【0431】
1H−NMRを解析した結果、上記変性体1は1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基の一部が1,3−ジアリル−4,6−ジグリシジルグリコールウリルと反応したものであることが分かった。この変性体1を樹脂組成物における成分(B)として使用した。
【0432】
(成分B(変性体2)の合成)
撹拌装置、冷却管及び滴下漏斗を取り付けた5L容量の二口フラスコにトルエン500gと1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン350gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱撹拌した。得られた溶液に1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリル100g、トルエン200g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.4mLからなる混合溶液を50分間かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、撹拌した。1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.8mgを加えた後、未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとトルエンを減圧留去して、変性体2として反応生成物220gを得た。
【0433】
1H−NMR解析の結果、この変性体2は、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基の一部が1,3,4−トリアリル−6−グリシジルグリコールウリルと反応したものであることが分かった。この変性体2を樹脂組成物における成分(B)として使用した。
【0434】
(成分B(変性体3)の合成)
撹拌装置、冷却管、滴下漏斗を取り付けた5L容量の二口フラスコにトルエン200gと1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン195gを入れ、120℃のオイルバス中で加熱撹拌した。得られた溶液にトリアリルイソシアヌレート82g、トルエン100g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3重量%含有)0.3mLからなる混合溶液を50分間かけて滴下した。得られた溶液をそのまま6時間加温、撹拌した。1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.6mgを加えた後、未反応の1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを減圧留去して、変性体3を反応生成物710gとして得た。
【0435】
1H−NMRの解析によって、上記変性体3は、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンのヒドロシリル基の一部がトリアリルイソシアヌレートと反応したものであることが分かった。この変性体3を樹脂組成物における成分(B)として使用した。
【0436】
実施例18〜21及び比較例5
表5に示す配合比(重量部)にて、成分A、B及びCを配合し、硬化性組成物を調製して、評価試験を行った。得られた結果を表5に示す。
【0437】
【表5】
【0438】
表5に示す結果から明らかなように、本発明による硬化性組成物は耐熱性と耐光性を損なうことなく、基材に対するすぐれた接着性を有する硬化物を与えることができる。