(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連結体は、前記第1コントロールケーブルの一端部に連結する第1部材と、前記被連結部及び前記移動規制部に作用する第2部材と、前記第1部材の独立移動を許容しながら前記第1部材と前記第2部材とを一体移動可能に連結する蓄力部材とを有している請求項1又は2に記載の作業車。
前記操作ペダルを、踏み込み操作が可能な使用状態と踏み込み操作が不可能な使用不能状態とに切り替える切替機構を備えている請求項1〜3のいずれか一つに記載の作業車。
前記操作ペダルは、前記車体フレームに上下揺動可能に取り付けた第1アームと、前記第1アームの遊端部に上下揺動可能に取り付けた第2アームとを有して、前記第1アームと前記第2アームとが前後向き姿勢で一直線上に並ぶ伸長状態を前記使用状態とし、かつ、前後向き姿勢の前記第1アームの遊端部にて前記第2アームが起立する屈曲状態を前記使用不能状態とし、
前記切替機構は、使用位置と使用不能位置とにわたって操作可能な操作レバーと、前記操作レバーから前記第2アームにわたる連係機構とを有している請求項4に記載の作業車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成では、例えば、耕耘作業などの作業走行時に、畦際において車体を180度旋回させて隣接する旋回前の作業走行経路から旋回後の作業走行経路に移行する畦際旋回を行う場合には、ステアリングホイールを旋回方向に回動操作しながら、旋回内側のブレーキペダルを制動領域に踏み込み操作して、旋回内側のサイドブレーキにより旋回内側の後輪を制動することにより、隣接する旋回前の作業走行経路から旋回後の作業走行経路への移行に適した制動旋回(小回り旋回)を簡便に行うことができる。
又、制動旋回を行う必要のない路上走行時や移動走行時などの非作業走行時には、左右のブレーキペダルを連結ピンにて連結しておくことにより、左右のブレーキペダルの両踏み操作を行わなくても、左右いずれか一方のブレーキペダルの片踏み操作を行うだけで、両ブレーキペダルを同じ操作量で制動領域に位置させることができ、車体を良好に制動減速又は制動停止させることができる。
【0005】
しかしながら、作業走行時には左右のブレーキペダルを連結ピンにて連結しておくことができないことから、作業走行時に車体を制動減速又は制動停止させる場合には、左右のブレーキペダルの両踏み操作を行う必要がある。そのため、作業走行時に車体を制動減速又は制動停止させる場合に、左右いずれか一方のブレーキペダルを踏み損なうことに起因した車体の制動旋回が不測に行われる虞がある。
【0006】
つまり、作業走行時に車体を制動減速又は制動停止させる場合に、操作ミスで車体が不測に制動旋回する虞を回避できるようにすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための手段として、
制動解除位置に自動復帰する状態で左右に隣接する第1ブレーキペダル及び第2ブレーキペダルと、
前記第1ブレーキペダルと前記第2ブレーキペダルとを、それらが同じ操作位置に位置する場合に一体操作可能に連結する連結機構と、
前記連結機構による前記第1ブレーキペダルと前記第2ブレーキペダルとの連結を解除する解除機構と、
連結した前記第1ブレーキペダルと前記第2ブレーキペダルとを制動位置に保持する保持機構とを備え、
前記連結機構は、前記第1ブレーキペダルに備えた被連結部と、前記第2ブレーキペダルに前記被連結部に対する連結位置と連結解除位置とにわたって移動可能に備えた連結体とを有し、
前記解除機構は、連結位置と連結解除位置とにわたって操作可能な操作ペダルと、前記操作ペダルから前記連結体にわたる第1コントロールケーブルとを有し、
前記保持機構は、保持解除位置と保持位置とにわたって操作可能な操作具と、前記第1ブレーキペダル又は前記第2ブレーキペダルに備えた係止部と、車体フレームに前記係止部に対する係止位置と係止解除位置とにわたって移動可能に備えた係止体と、前記操作具から前記係止体にわたる第2コントロールケーブルとを有し、
前記係止体は、前記係止位置において前記連結体の前記連結位置から前記連結解除位置への移動を阻止する移動規制部を有している。
【0008】
この手段によると、操作ペダルを連結位置に位置させておくと、連結体が連結位置に位置することにより、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとを連結機構にて連結することができる。又、操作ペダルを連結解除位置に操作すると、連結体が連結解除位置に位置することにより、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結機構による連結を解除することができる。
【0009】
これにより、通常は、操作ペダルを連結位置に位置させておけば、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの少なくとも一方の踏み操作を行うことにより、両ブレーキペダルを同じ操作量で制動領域に位置させることができ、車体を簡便かつ良好に制動減速又は制動停止させることができる。そして、制動旋回を行う場合には、操作ペダルを連結解除位置に操作した後、旋回内側のブレーキペダルを踏み込み操作することにより、車体を簡便に制動旋回させることができる。
【0010】
つまり、作業走行時には、車体の制動旋回を簡便に行えるようにしながら、非作業走行時と作業走行時とに関係なく車体を簡便かつ良好に制動減速又は制動停止させることができる。
【0011】
そして、車体を駐車させる場合は、操作ペダルを連結位置に位置させた状態で、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとを制動領域に位置させた後、操作具を保持位置に操作して車体フレームに備えた係止体を係止位置に位置させる。これにより、車体フレームの係止体を、第1ブレーキペダル又は第2ブレーキペダルに備えた係止部に係止させることができ、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとを任意の制動位置に係止保持することができる。その結果、車体を駐車させることができる。
【0012】
ところで、この駐車状態において、操作ペダルの連結解除位置への操作が行われて、連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結が解除されると、駐車時の制動状態が、左右一方の制動が解除された片ブレーキ状態になる。
【0013】
そこで、その対策として移動規制部を備えるようにしているのであり、これにより、駐車状態においては、操作ペダルの連結解除位置への操作が行われても、連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を維持することができ、駐車時の制動状態を、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとが制動領域に位置する両ブレーキ状態に維持することができる。
【0014】
従って、作業走行時に車体を制動減速又は制動停止させる場合に、操作ミスで車体が不測に制動旋回する虞を回避することができ、又、駐車時の制動状態が片ブレーキ状態になる虞を回避することができる。
【0015】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記連結体を前記連結位置に復帰付勢する付勢部材を備え、
前記第1ブレーキペダルは、前記第1ブレーキペダルと前記第2ブレーキペダルとが同じ操作位置に位置するまでの間、前記連結体を前記連結解除位置に受け止め保持する受止部を有している。
【0016】
この手段によると、連結機構による連結を解除して、第1ブレーキペダル又は第2ブレーキペダルのみを踏み込み操作する片ブレーキ操作を行っている間は、受止部が連結体を連結解除位置に受け止め保持することから、片ブレーキ操作による制動旋回を良好に行うことができる。そして、片ブレーキ操作の終了に伴って第1ブレーキペダル又は第2ブレーキペダルが制動解除位置に復帰すると、付勢部材の作用により、連結体が連結解除位置から連結位置に復帰して被連結部に連結する。
【0017】
つまり、片ブレーキ操作による制動旋回の終了に伴って、第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとを自動的に一体操作可能に連結することができ、これにより、車体の制動減速及び制動停止を簡便かつ良好に行うことができる。
【0018】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記連結体は、前記第1コントロールケーブルの一端部に連結する第1部材と、前記被連結部及び前記移動規制部に作用する第2部材と、前記第1部材の独立移動を許容しながら前記第1部材と前記第2部材とを一体移動可能に連結する蓄力部材とを有している。
【0019】
この手段によると、非駐車状態において操作ペダルの連結解除位置への操作が行われた場合には、この操作に伴って第1部材と第2部材とが蓄力部材を介して一体移動することから、操作ペダルを連結解除位置に位置させることができるとともに、第1部材と第2部材とを連結解除位置に移動させることができる。
【0020】
又、駐車状態において操作ペダルの連結解除位置への操作が行われた場合には、この操作に伴う第1部材の連結解除位置への移動が蓄力部材により許容される一方で、この操作に伴う第2部材の連結解除位置への移動が移動規制部により規制されることから、操作ペダルと第1部材とを連結解除位置に移動させながら、第2部材を連結位置に維持することができる。
【0021】
つまり、駐車状態での操作ペダルの連結解除位置への操作力を蓄力部材にて吸収することができ、これにより、例えば連結体を剛体とした場合に、駐車状態での操作ペダルに対する操作力がそのまま移動規制部に伝わることに起因して、連結体又は移動規制部などが変形する虞を回避することができる。
【0022】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記操作ペダルを、踏み込み操作が可能な使用状態と踏み込み操作が不可能な使用不能状態とに切り替える切替機構を備えている。
【0023】
この手段によると、操作ペダルを操作する必要のない非作業走行時及び駐車時には、操作ペダルを使用不能状態に切り替えておくことにより、操作ペダルの誤操作を阻止することができる。
【0024】
これにより、操作ペダルの誤操作によって連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結が解除される虞を回避することができる。又、例えば連結体を剛体とした場合に、駐車状態での操作ペダルの誤操作に起因して、連結体又は移動規制部などが変形する虞を回避することができる。
【0025】
課題をより好適に解決するための手段の一つとして、
前記操作ペダルは、前記車体フレームに上下揺動可能に取り付けた第1アームと、前記第1アームの遊端部に上下揺動可能に取り付けた第2アームとを有して、前記第1アームと前記第2アームとが前後向き姿勢で一直線上に並ぶ伸長状態を前記使用状態とし、かつ、前後向き姿勢の前記第1アームの遊端部にて前記第2アームが起立する屈曲状態を前記使用不能状態とし、
前記切替機構は、使用位置と使用不能位置とにわたって操作可能な操作レバーと、前記操作レバーから前記第2アームにわたる連係機構とを有している。
【0026】
この手段によると、操作ペダルを操作する必要のない非作業走行時及び駐車時には、操作レバーを使用不能位置に操作して操作ペダルを使用不能状態に切り替えることにより、非作業走行時及び駐車時に操作ペダルの誤操作が行われる虞を回避することができる上に、運転者の足元を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図4】連結機構、保持機構などの構成を示す要部の縦断右側面図である。
【
図5】連結機構、保持機構などの構成を示す要部の平面図である。
【
図6】切替機構により操作ペダルを使用不能状態に切り替えた状態などを示す要部の斜視図である。
【
図7】連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結状態を示す要部の縦断左側面図である。
【
図8】連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結状態を示す要部の横断底面図である。
【
図9】連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除した状態を示す要部の縦断左側面図である。
【
図10】連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除した状態を示す要部の横断底面図である。
【
図11】連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除して第1ブレーキペダルを踏み込み操作した状態を示す要部の縦断左側面図である。
【
図12】連結機構による連結状態の第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとを保持機構により制動位置に保持して解除機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結解除を阻止した状態を示す要部の縦断左側面である。
【
図13】連結機構による連結状態の第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとを保持機構により制動位置に保持して解除機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結解除を阻止した状態を示す要部の横断底面図である。
【
図14】切替機構により操作ペダルを使用状態に切り替えた状態などを示す要部の斜視図である。
【
図15】切替機構により操作ペダルを使用不能状態に切り替えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【
図16】切替機構により操作ペダルを使用状態に切り替えた状態を示す要部の縦断右側面図である。
【
図17】連結体にT字部材を採用した連結機構の別実施形態において連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結状態を示す要部の斜視図である。
【
図18】連結体にT字部材を採用した連結機構の別実施形態において連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除して第2ブレーキペダルを踏み込み操作した状態を示す要部の斜視図である。
【
図19】連結体にT字部材を採用した連結機構の別実施形態において連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除して第1ブレーキペダルを踏み込み操作した状態を示す要部の斜視図である。
【
図20】連結体に横向きのY字部材を採用し、被連結部に横向きのU字部材を採用した連結機構の別実施形態において、連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結状態を示す要部の斜視図である。
【
図21】連結体に横向きのY字部材を採用し、被連結部に横向きのU字部材を採用した連結機構の別実施形態において、連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除して第2ブレーキペダルを踏み込み操作した状態を示す要部の斜視図である。
【
図22】連結体に横向きのY字部材を採用し、被連結部に横向きのU字部材を採用した連結機構の別実施形態において、連結機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結を解除して第1ブレーキペダルを踏み込み操作した状態を示す要部の斜視図である。
【
図23】連結体を第1部材及び第2部材などから屈曲可能に構成した連結機構の別実施形態において、解除機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結解除を阻止した状態を示す要部の横断平面図である。
【
図24】連結体を第1部材及び第2部材などから屈曲可能に構成した連結機構の別実施形態において、解除機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結解除を阻止した状態で、解除機構による連結解除操作が行われた状態を示す要部の横断平面図である。
【
図25】連結体を第1部材及び第2部材などから屈曲可能に構成した連結機構の別実施形態において、解除機構による第1ブレーキペダルと第2ブレーキペダルとの連結解除を許容した状態を示す要部の横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明を、作業車の一例であるトラクタに適用した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
尚、
図1に記載した矢印の符号Fの方向がトラクタの前側であり、符号Uの方向がトラクタの上側である。
【0030】
図1に示すように、本実施形態で例示するトラクタは、車体フレーム10の前半部に配置した原動部20、車体フレーム10の後半部に配置した搭乗運転部30、原動部20の左右両側方箇所に駆動可能かつ操舵可能に配置した左右の前輪1、及び、搭乗運転部30の左右両側方箇所に駆動可能かつ制動可能に配置した左右の後輪2、などを備えている。これにより、トラクタを、駆動可能な左右の前輪1と左右の後輪2とを備える4輪駆動形式に構成している。
【0031】
車体フレーム10は、原動部20に備えたエンジン21の下部から前方に向けて延出する前部フレーム11、エンジン21の後端下部から後方に向けて延出するフレーム部材兼用のハウジングユニット12、及び、ハウジングユニット12の左右に配置するサイドメンバ13、などを備えている。又、車体フレーム10は、車体フレーム10の後端部から上方に延出する保護フレーム3を備えている。
【0032】
図1〜3に示すように、搭乗運転部30は、搭乗運転部30の床面を形成するフロアパネル31、前輪操舵用のステアリングホイール32、ステアリングホイール32の前方に配置した表示ユニット33、搭乗運転部30の左足元部位に配置したクラッチペダル34、搭乗運転部30の右足元部位に配置した第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36、及び、搭乗運転部30の後部側に配置した運転座席37、などを備えている。
【0033】
図1〜14に示すように、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36は、第1ブレーキペダル35が右足元部位の右側に位置し、第2ブレーキペダル36が右足元部位の左側に位置する配置で、左右に隣接している。
各ブレーキペダル35,36は、車体フレーム10に備えた左右向きの回転軸4に外嵌するボス部35A,36A、ボス部35A,36Aから延出する丸パイプ製で側面視略U字状のアーム部35B,36B、及び、アーム部35B,36Bの延出端に備えた踏付部35C,36C、などを有している。
第1ブレーキペダル35は、そのボス部35Aを回転軸4の右端部に相対回転可能に外嵌している。そして、第1ブレーキペダル35は、そのボス部35Aから上向きに延出する連係部35Dを、右側の後輪2を制動する右側の第1サイドブレーキ(図示せず)に、右制動用の第1連係機構5を介して連係している。
第2ブレーキペダル36は、そのボス部36Aを回転軸4の右端部に固定している。回転軸4は、その左端部に備えた連係部4Aを、左側の後輪2を制動する左側の第2サイドブレーキ(図示せず)に、左制動用の第2連係機構6を介して連係している。
各ブレーキペダル35,36は、車体フレーム10から各ブレーキペダル35,36に架け渡した左右の引っ張りバネ7の作用により、回転軸4を支点にして上方の制動解除位置に復帰揺動する。
これらにより、例えば、耕耘作業などの作業走行時に、畦際において車体を180度旋回させて隣接する旋回前の作業走行経路から旋回後の作業走行経路に移行する畦際旋回を行う場合には、ステアリングホイール32を旋回方向に回動操作しながら、旋回内側のブレーキペダル35,36を制動領域に踏み込み操作して、旋回内側のサイドブレーキにて旋回内側の後輪2を制動することにより、隣接する旋回前の作業走行経路から旋回後の作業走行経路への移行に適した制動旋回(小回り旋回)を簡便に行うことができる。
【0034】
図1及び
図4〜14に示すように、このトラクタは、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを、それらが同じ操作位置に位置する場合に一体操作可能に連結する連結機構40を備えている。連結機構40は、第1ブレーキペダル35に備えた被連結部41、及び、第2ブレーキペダル36に被連結部41に対する連結位置と連結解除位置とにわたって移動可能に備えた連結体42、などを有している。
これにより、前述した制動旋回を行う必要のない路上走行時や移動走行時などの非作業走行時には、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを連結機構40にて連結しておくことにより、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との両踏み操作を行わなくても、第1ブレーキペダル35又は第2ブレーキペダル36の片踏み操作を行うだけで、両ブレーキペダル35,36を同じ操作量で制動領域に位置させることができる。そして、この操作に連動して、第1サイドブレーキと第2サイドブレーキとの双方を、同じ制動力で左右の後輪2に作用させることができ、トラクタを良好に制動減速又は制動停止させることができる。
つまり、制動旋回用の第1サイドブレーキと第2サイドブレーキとを減速停止用のブレーキとして使用することができる上に、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結により、トラクタを制動減速又は制動停止させる場合に、第1ブレーキペダル35又は第2ブレーキペダル36を踏み損なうことに起因した片踏み操作によって不測に制動旋回が行われる虞を回避することができる。
【0035】
第1ブレーキペダル35は、そのアーム部35Bのボス部側に板体35Eを縦向き姿勢で備えている。板体35Eは、その後縁35Eaの上下中間部位から、各ブレーキペダル35,36の揺動方向と直交する方向に真直ぐに凹入する凹入部35Ebを備えている。そして、この凹入部35Ebが被連結部41として機能している。
第2ブレーキペダル36は、そのアーム部36Bのボス部側から下方に延出する支軸部36Eを備えている。支軸部36Eは、第2ブレーキペダル36に対する取り付け姿勢を、左右のブレーキペダル35が同じ操作位置に位置する場合に、板体35Eの凹入部35Ebに対して直交する姿勢となるように設定している。連結体42は、支軸部36Eに相対回転可能に外嵌するボス部42A、及び、ボス部42Aから被連結部41に係入可能に延出する係入部42B、などを有している。つまり、第2ブレーキペダル36は、その支軸部36Eに、連結体42を連結位置と連結解除位置とにわたって揺動可能に備えている。
これらにより、連結機構40は、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とが同じ操作位置に位置する場合に、連結体42を連結位置に揺動させて係入部42Bを被連結部41に係入することにより、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを一体操作可能に連結することができる。逆に、連結体42を連結解除位置に揺動させて係入部42Bを被連結部41から抜き出すことにより、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを独立操作可能に連結解除することができる。
【0036】
連結機構40は、連結体42を連結位置に復帰付勢する付勢部材43、及び、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とが同じ操作位置に位置するまでの間、連結体42を連結解除位置に受け止め保持する受止部44を備えている。
これにより、例えば、連結機構40による連結を解除して、第1ブレーキペダル35又は第2ブレーキペダル36のみを踏み込み操作する片ブレーキ操作を行っている間は、受止部44が連結体42を連結解除位置に受け止め保持することから、片ブレーキ操作による制動旋回を良好に行うことができる。そして、片ブレーキ操作の終了に伴って第1ブレーキペダル35又は第2ブレーキペダル36が制動解除位置に復帰すると、付勢部材43の作用により、連結体42が連結解除位置から連結位置に復帰し、連結体42の係入部42Bが被連結部41に係入する。つまり、片ブレーキ操作の終了に伴って、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを自動的に一体操作可能に連結することができ、これにより、トラクタの制動減速及び制動停止を簡便かつ良好に行うことができる。
【0037】
付勢部材43には、連結体42のボス部42Aに外嵌するねじりバネを採用している。受止部44には、第1ブレーキペダル35に備えた板体35Eの後縁35Eaを利用している。板体35Eの後縁35Eaは、回転軸4の軸心を中心とする円弧状に形成している。これにより、受止部44が連結体42を受け止める片ブレーキ操作時には、第1ブレーキペダル35又は第2ブレーキペダル36の操作位置に関係なく、付勢部材43の作用によって受止部44にかかる連結体42の押圧力を一定にすることができる。
【0038】
連結機構40は、回転軸4などとともに、フロアパネル31の下方に配備している。連結体42は、その係入部42Bの被連結部41への係入を円滑に行えるようにするために、係入部42Bを丸棒鋼材により形成している。
【0039】
図3〜16に示すように、このトラクタは、連結機構40による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結を解除する解除機構50を備えている。解除機構50は、連結位置と連結解除位置とにわたって操作可能な操作ペダル51、及び、操作ペダル51から連結体42にわたる第1コントロールケーブル52、などを有している。
操作ペダル51は、車体フレーム10に備えた左右向きの第1支軸53を支点にして上下揺動するように、搭乗運転部30の左足元部位に配備している。そして、操作ペダル51は、車体フレーム10から操作ペダル51に架け渡した引っ張りバネ54の作用により、上方の連結位置に復帰揺動する。
第1コントロールケーブル52は、操作ペダル51の連結位置から連結解除位置への踏み込み操作に連動して連結体42が連結位置から連結解除位置に揺動変位し、かつ、引っ張りバネ54の作用で操作ペダル51が連結解除位置から連結位置に復帰することにより、付勢部材43の作用による連結体42の連結解除位置から連結位置への復帰を許容するように、操作ペダル51と連結体42とを連係している。
これらにより、通常は、引っ張りバネ54の作用によって操作ペダル51が連結位置に位置することから、トラクタを制動減速又は制動停止させる場合には、操作ペダル51の踏み込み操作を行わずに、少なくとも第1ブレーキペダル35又は第2ブレーキペダル36の踏み込み操作を行うことにより、不測に制動旋回が行われる虞を回避しながら、トラクタを制動減速又は制動停止させることができる。
一方、耕耘作業などの作業走行時に畦際旋回などを行う場合には、左足による操作ペダル51の踏み込み操作を行って連結機構40による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結を解除するとともに、ステアリングホイール32を旋回方向に回動操作しながら、右足により旋回内側のブレーキペダル35,36を踏み込み操作して、旋回内側のサイドブレーキにて旋回内側の後輪2を制動することにより、旋回半径の小さい畦際旋回などに適した制動旋回を簡便に行うことができる。
そして、制動旋回中は、操作ペダル51の踏み込み操作を解除しても、前述した受止部44の作用によって連結体42を連結解除位置に受け止め保持することができる。これにより、制動旋回中は、操作ペダル51の操作位置に関係なく、制動旋回を継続することができる。
しかも、制動旋回中に操作ペダル51の踏み込み操作を解除しておくと、制動旋回の終了とともに第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とが同じ制動解除位置に位置するのに伴って、付勢部材43の作用により、連結体42を連結解除位置から連結位置に復帰させることができ、この復帰により、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを連結することができる。
【0040】
図1〜14に示すように、このトラクタは、連結した第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを制動位置に保持する保持機構60を備えている。保持機構60は、保持解除位置と保持位置とにわたって操作可能な操作具61、第2ブレーキペダル36に備えた係止部62、車体フレーム10に係止部62に対する係止位置と係止解除位置とにわたって移動可能に備えた係止体63、及び、操作具61から係止体63にわたる第2コントロールケーブル64、などを有している。
操作具61は、押し引き操作可能に表示ユニット33の右下方に配備している。係止部62は、L字状で第2ブレーキペダル36のアーム部36Bに溶接している。係止体63は、車体フレーム10に備えた左右向きの第2支軸14に相対回転可能に外嵌する嵌合部63A、嵌合部63Aから下方に延出する係止アーム部63B、及び、嵌合部63Aから上方に延出する連係アーム部63C、などを有している。又、係止体63は、第2支軸14に外嵌したねじりバネ65の作用によって係止解除位置に復帰する。係止アーム部63Bは、そのブレーキペダル側の側縁に複数の凹部63Baを備える鋸刃状に形成している。第2コントロールケーブル64は、操作具61の保持解除位置から保持位置への引き込み操作に連動して係止体63が係止解除位置から係止位置に揺動変位し、かつ、ねじりバネ65の作用による係止体63の係止位置から係止解除位置への復帰揺動に連動して操作具61が保持位置から保持解除位置に復帰するように、操作具61と係止体63の連係アーム部63Cとを連係している。
これらにより、連結状態の第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36の制動領域への踏み込み操作を行いながら、操作具61の保持解除位置から保持位置への引き込み操作を行うと、この引き込み操作に連動して係止体63が係止解除位置から係止位置に揺動変位し、この揺動変位により、第2ブレーキペダル36の係止部62が係止アーム部63Bのいずれかの凹部63Baに係入する係止状態を得ることができる。そして、この係止状態において、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36の踏み込み操作と操作具61の引き込み操作とを解除すると、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36と係止体63とが、左右の引っ張りバネ7及びねじりバネ65の作用により、前述した係止状態を維持する方向に揺動付勢される。その結果、連結した第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを任意の制動位置に安定的に係止保持することができ、制動旋回用の第1サイドブレーキと第2サイドブレーキとを駐車ブレーキとして使用することができる。つまり、構成の簡素化を図りながらトラクタを安定的に駐車させることができる。
この駐車状態において、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36の踏み込み操作を行うと、第2ブレーキペダル36の係止部62によって係止アーム部63Bを係止解除側に押し出すことができる。そして、この押し出しにより、係止部62を係止アーム部63Bの凹部63Baから抜け出させることができ、左右の引っ張りバネ7及びねじりバネ65の作用による前述した係止状態の維持を解除することができる。そして、この解除により、ねじりバネ65の作用によって係止体63が係止解除位置に復帰するとともに操作具61が保持解除位置に復帰する。その後、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36の踏み込み操作を解除すると、左右の引っ張りバネ7の作用によって第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36が制動解除位置に復帰する。つまり、連結状態の第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36の踏み込み操作を行うだけで、駐車状態のトラクタを走行可能にすることができる。
【0041】
図4〜14に示すように、係止体63は、係止位置において連結体42の連結位置から連結解除位置への移動を阻止する移動規制部63Dを有している。
これにより、係止体63が係止位置に位置する駐車状態においては、操作ペダル51の連結位置から連結解除位置への踏み込み操作とともに、連結体42の連結位置から連結解除位置への揺動変位を阻止することができ、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを連結機構40による連結状態に維持することができる。
その結果、前述したトラクタの駐車状態において、連結機構40による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結が解除されることに起因して、第1ブレーキペダル35が制動解除位置に復帰して、左側の後輪2に対する第1サイドブレーキの制動が解除された片ブレーキ状態になる虞を回避することができる。
【0042】
図4〜14に示すように、移動規制部63Dは、鋼板製で、車体フレーム10に備えた左右向きの第3支軸15を支点にして前後揺動する。又、移動規制部63Dは、前後向きの連係ロッド66を介して係止体63に連動連結している。そして、この連動連結により、移動規制部63Dは、係止体63の係止位置への揺動変位に連動して、連結体42の連結位置から連結解除位置への移動を阻止する阻止位置に揺動変位し、かつ、係止体63の係止解除位置への揺動変位に連動して、連結体42の連結位置から連結解除位置への移動を許容する許容位置に揺動変位する。一方、連結体42は、ボス部42Aから阻止位置の移動規制部63Dに接触可能に延出する接触部42Cを備えている。
これらにより、係止体63が係止位置に位置する駐車状態においては、操作ペダル51の踏み込み操作に連動する連結体42の接触部42Cが阻止位置の移動規制部63Dに接触することにより、連結体42の連結位置から連結解除位置への揺動変位とともに、操作ペダル51の連結位置から連結解除位置への揺動変位を阻止することができる。
【0043】
図6及び
図14〜16に示すように、このトラクタは、操作ペダル51を、踏み込み操作が可能な使用状態と踏み込み操作が不可能な使用不能状態とに切り替える切替機構70を備えている。
これにより、前述した制動旋回を行う必要のない非作業走行時には、操作ペダル51を使用不能状態に切り替えておくことにより、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36とを制動領域に位置させる制動減速操作又は制動停止操作において、第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結を解除する操作ペダル51の誤操作が行われる虞を回避することができる。
又、移動規制部63Dにより操作ペダル51の連結位置から連結解除位置への揺動変位を阻止するトラクタの駐車状態において、操作ペダル51の踏み込み操作が行われることに起因した移動規制部63Dの変形などを回避することができる。
【0044】
図1〜3、
図6及び
図14〜16に示すように、操作ペダル51は、車体フレーム10に上下揺動可能に取り付けた第1アーム51Aと、第1アーム51Aの遊端部に上下揺動可能に取り付けた第2アーム51Bとを有している。そして、操作ペダル51は、第1アーム51Aと第2アーム51Bとが前後向き姿勢で一直線上に並ぶ伸長状態を使用状態とし、かつ、前後向き姿勢の第1アーム51Aの遊端部にて第2アーム51Bが起立する屈曲状態を使用不能状態としている。
切替機構70は、上方の使用位置と下方の使用不能位置とにわたって操作可能な操作レバー71と、操作レバー71から第2アーム51Bにわたる連係機構72とを有している。連係機構72は、操作レバー71の使用位置から使用不能位置への操作に連動して、操作ペダル51が使用状態から使用不能状態に切り替わり、かつ、操作レバー71の使用不能位置から使用位置への操作に連動して、操作ペダル51が使用不能状態から使用状態に切り替わるように、操作レバー71と操作ペダル51の第2アーム51Bとを連係している。
これらにより、前述した制動旋回を行う必要のない路上走行時や移動走行時には、操作レバー71を使用不能位置に操作することにより、操作ペダル51を、その第2アーム51Bが第1アーム側に起立する使用不能状態に切り替えることができる。その結果、非作業走行時に操作ペダル51の誤操作が行われる虞を回避することができる上に、搭乗運転部30の左足元部位を広くすることができる。
【0045】
図6及び
図14〜16に示すように、操作ペダル51の第2アーム51Bは、操作ペダル51の使用状態において第1アーム51Aの下縁に接触するストッパ51Baを有している。そして、第2アーム51Bは、その自重により、ストッパ51Baが第1アーム51Aの下縁に接触する状態を維持している。
【0046】
操作レバー71は、車体フレーム10から操作レバー71に架け渡した引っ張りバネ73の作用によって下方の使用不能位置に復帰揺動する上下揺動式で、表示ユニット33の左下方に配備している。そして、操作レバー71は、案内溝16の上部に備えた係合部16Aに係合することにより、引っ張りバネ73の作用に抗して上方の使用位置に保持することができる。又、操作レバー71は、その揺動中心部71Aから前方に延出する連係部71Bに連係機構72を接続している。
【0047】
連係機構72は、第1アーム51Aの前後中間側に備えた左右向きの支軸部51Aaを支点にして天秤揺動する連係アーム72A、連係アーム72Aの後端部を第2アーム51Bに連係する左右向きの連係ピン72B、及び、連係アーム72Aの前端部と操作レバー71の連係部71Bとにわたる押し引きロッド72C、などを備えている。連係アーム72Aは、その前端側に、操作ペダル51の使用状態において第1アーム51Aの上縁に接触する接触部72Aaを有している。又、連係アーム72Aは、操作ペダル51の使用不能状態において、車体フレーム10に備えたストッパ17に接触する。ストッパ17は、操作ペダル51の第1アーム51Aとの接触により、操作ペダル51を連結位置に維持するストッパを兼ねている。押し引きロッド72Cは、連係アーム72Aの前端部に接続するする下端部72Caを左右向きに屈曲させている。押し引きロッド72Cの下端部72Caは、操作ペダル51の使用状態において、連係アーム72Aの接触部72Aaが第1アーム51Aの上縁に接触することにより、下端部72Caの中心が第1支軸53の軸心と一致する。これにより、操作ペダル51の使用状態においては、押し引きロッド72Cの下端部72Caを、第1支軸53を支点にした操作ペダル51と連係アーム72Aとの一体揺動を許容する左右向きの支軸部として機能させることができる。
【0048】
第2アーム51Bは、その揺動中心部51Bbから連係アーム72Aに向けて延出する連係部51Bcを備えている。又、第2アーム51Bは、その連係部51Bcに、連係アーム72Aとの連係ピン72Bによる連係を可能にし、かつ、連係アーム72Aの揺動に連動した第2アーム51Bの前後向き姿勢と起立姿勢とにわたる揺動変位を可能にする長孔51Bdを有している。そして、第2アーム51Bは、その起立姿勢においては、表示ユニット33の下方に備えた下部カバー18の凹部18Aに入り込む。
【0049】
これらにより、操作レバー71を上方の使用位置から下方の使用不能位置に揺動操作すると、押し引きロッド72Cを介して連係アーム72Aの前端部が引き上げられ、この引き上げにより、連係アーム72Aの接触部72Aaが第1アーム51Aの上縁から上方に離れるとともに、連係アーム72Aの後端部が連係ピン72Bを介して第2アーム51Bの連係部51Bcを押し下げる。これにより、第2アーム51Bの姿勢が前後向き姿勢から起立姿勢に切り替わって、第2アーム51Bが下部カバー18の凹部18Aに入り込むことにより、操作ペダル51が使用不能状態に切り替わる。
又、操作レバー71を使用不能位置から使用位置に揺動操作すると、押し引きロッド72Cを介して連係アーム72Aの前端部が押し下げられ、この押し下げにより、連係アーム72Aの接触部72Aaが下降して第1アーム51Aの上縁に接触するとともに、連係アーム72Aの後端部が連係ピン72Bを介して第2アーム51Bの連係部51Bcを押し上げる。これにより、第2アーム51Bの姿勢が起立姿勢から前後向き姿勢に切り替わって、第2アーム51Bが下部カバー18の凹部18Aから後方に突出することにより、操作ペダル51が使用状態に切り替わる。そして、この使用状態では、押し引きロッド72Cの下端部72Caが、第1支軸53を支点にした操作ペダル51と連係アーム72Aとの一体揺動を許容する左右向きの支軸部として機能することから、操作ペダル51の踏み込み操作が可能になり、連結機構40による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結を、操作ペダル51の踏み込み操作によって解除することが可能になる。
つまり、操作ペダル51の使用状態においては、操作ペダル51の踏み込み操作による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結解除を良好に行えるようにしながら、操作ペダル51の使用不能状態においては、第2アーム51Bを下部カバー18の凹部18Aに入り込ませることができ、これにより、操作ペダル51の誤操作が行われる虞をより確実に回避することができる上に、搭乗運転部30の左足元部位をより広くすることができる。
【0050】
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0051】
〔1〕連結機構40は、例えば、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36を、第1ブレーキペダル35が右足元部位の左側に位置し、第2ブレーキペダル36が右足元部位の右側に位置する配置で、左右に隣接して配備することにより、被連結部41が左側の第1ブレーキペダル35とともに右足元部位の左側に位置し、連結体42が第2ブレーキペダル36とともに右足元部位の右側に位置するように構成してもよい。
【0052】
〔2〕
図17〜19に示すように、連結機構40は、操作ペダル51の踏み込み操作に連動して、第2ブレーキペダル36に備えた横向きのT字部材45が付勢部材43の作用に抗して前方に揺動変位することにより、連結機構40による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結を解除するように構成してもよい。
この別実施形態について詳述すると、この別実施形態では、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36のアーム部35B,36Bを鋼板製としている。そして、第1ブレーキペダル35におけるアーム部35Bの前縁35Baを連結機構40の受止部44として使用している。又、アーム部35Bの前縁35Baから後方に凹入する凹入部35Bbを連結機構40の被連結部41としている。一方、第2ブレーキペダル36のアーム部36Bに上下のブラケット36Fを介して前後揺動可能に取り付けた横向きのT字部材45を連結機構40の連結体42としている。又、T字部材45の支軸部45Aに外嵌したねじりバネ46を連結機構40の付勢部材43としている。
【0053】
〔3〕
図20〜22に示すように、連結機構40は、操作ペダル51の踏み込み操作に連動して、第1ブレーキペダル35に備えた横向きのU字部材47に対して、第2ブレーキペダル36に備えた横向きのY字部材48の上半部が、付勢部材43の作用に抗して前方に揺動変位することにより、連結機構40による第1ブレーキペダル35と第2ブレーキペダル36との連結を解除するように構成してもよい。
この別実施形態について詳述すると、この別実施形態では、第1ブレーキペダル35及び第2ブレーキペダル36のアーム部35B,36Bを鋼板製としている。そして、第1ブレーキペダル35のアーム部35Bに備えた横向きのU字部材47を連結機構40の被連結部41としている。又、U字部材47の前縁47a及び後縁47bを連結機構40の受止部44として使用している。一方、第2ブレーキペダル36のアーム部36Bに前後方向に天秤揺動可能に備えた横向きのY字部材48を連結機構40の連結体42としている。又、Y字部材48の支軸部48Aに外嵌したねじりバネ49を付勢部材43としている。そして、第2ブレーキペダル36のアーム部36Bに、Y字部材48がU字部材47に外嵌する連結位置にてY字部材48を受け止めるストッパ36Bcを備えている。
【0054】
〔4〕
図23〜25に示すように、連結機構40の連結体42を、第1コントロールケーブル52の一端部に連結する第1部材42Dと、被連結部41及び移動規制部63Dに作用する第2部材42Eと、第1部材42Dの独立移動を許容しながら第1部材42Dと第2部材42Eとを一体移動可能に連結する蓄力部材42Fとを有するように構成することにより、移動規制部63Dが阻止位置に位置する駐車状態において、操作ペダル51の連結解除位置への踏み込み操作が行われた場合には、この踏み込み操作による操作ペダル51及び第1部材42Dの連結解除位置への移動は蓄力部材42Fにより許容しながら、この踏み込み操作による第2部材42Eの連結解除位置への移動は移動規制部63Dにより規制するようにしてもよい。
この別実施形態について詳述すると、この別実施形態では、第2ブレーキペダル36の支軸部36Eにより第1部材42Dと第2部材42Eとを相対揺動可能に支持している。そして、第1部材42Dに、第2部材42Eに接触することにより、蓄力部材42Fの作用による第1部材42Dと第2部材42Eとの一体揺動を可能にするストッパ42Daを備えている。又、第2部材42Eに、阻止位置の移動規制部63Dに接触可能な接触部42Eaを備えている。
この別実施形態によると、非駐車状態において操作ペダル51の連結解除位置への踏み込み操作が行われた場合には、この踏み込み操作に伴って第1部材42Dと第2部材42Eとが蓄力部材42Fを介して一体移動することから、操作ペダル51を連結解除位置に位置させることができるとともに、第1部材42Dと第2部材42Eとを連結解除位置に移動させることができる。
又、駐車状態において操作ペダル51の連結解除位置への踏み込み操作が行われた場合には、蓄力部材42Fにより、操作ペダル51に対する操作力がそのまま移動規制部63Dに伝わることを阻止することができ、操作ペダル51に対する操作力が移動規制部63Dに伝わることに起因して、連結体42又は移動規制部63Dなどが変形する虞を回避することができる。
【0055】
〔5〕連結機構40は、連結体42が被連結部41に対する連結位置と連結解除位置とにわたって摺動変位するように構成してもよい。
【0056】
〔6〕第1コントロールケーブル52及び第2コントロールケーブル64としてプッシュプルワイヤを採用してもよい。
【0057】
〔7〕移動規制部63Dを係止体63に一体形成してもよい。
【0058】
〔8〕付勢部材43として引っ張りバネなどを採用してもよい。
【0059】
〔9〕切替機構70は、操作レバー71の使用不能位置への操作により、操作ペダル51を踏み込み解除位置に固定するように構成してもよい。
【0060】
〔10〕切替機構70は、操作具61の保持位置への操作(駐車操作)に連動して、操作ペダル51を使用不能状態に切り替えるように構成してもよい。