(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記鋳造体が、複数の前記カムキャップ形成部を備えるものであり、前記複数のカムキャップ形成部が、前記鋳造体の同じ側に配された複数のサブフレームにそれぞれ配されている、請求項1に記載のカムシャフト支持部材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、
図1〜
図7を参照しつつ説明する。本実施形態では、吸気側のカムシャフト30が吸気側カムシャフト支持部材1(カムシャフト支持部材に該当)により支持され、排気側のカムシャフトが排気側カムシャフト支持部材(カムシャフト支持部材に該当)によって支持されている例について説明する。以下には、吸気側カムシャフト支持部材1の構成及び製造方法について詳細に説明する。排気側カムシャフト支持部材については、その構成及び製造方法は吸気側カムシャフト支持部材1と同様であり、詳細は記載しない。
【0018】
図1および
図2に示すように、吸気側カムシャフト支持部材1は、エンジンヘッド(図示せず)の上部に組み付けられるカムハウジング10と、このカムハウジング10に組み付けられて、カムハウジング10との間でカムシャフト30を挟み込んで保持するカムキャップ20とを備える。
【0019】
図2および
図3に示すように、カムハウジング10は、カムシャフト30を支持する複数の支持部11と、これら複数の支持部11を接続する複数の接続部14とを備えている。
【0020】
複数の支持部11は、カムシャフト30の軸方向に沿って等間隔に配置されている。各支持部11は、略矩形板状であり、その板面同士が互いに向かい合うようにして、カムシャフト30と垂直に配置されている。各接続部14は、支持面12を有している。支持面12は、各支持部11において、カムシャフト30と平行な端面(
図2、
図3において上側の端面)である。
【0021】
接続部14は、互いに隣接する2つの支持部11、11を接続する部位である。各接続部14は、互いに隣接する2つの支持部11、11の間にそれぞれ設けられている。各接続部14は、隣り合う2つの支持部11、11において互いに向かい合う対向面13、13の間に渡されている。各接続部14は、支持部11、11の対向面13、13において支持面12に対してほぼ垂直な端縁に沿って配置されている。すべての接続部14は、複数の支持部11の同じ側に配されている。
【0022】
各支持部11は、それぞれ、ハウジング側軸受凹部15(ハウジング側軸受部に該当)を有している。ハウジング側軸受凹部15は、支持面12から内側(
図2、
図3において下側)に凹む半円アーチ形のハウジング側アーチ面16によって定義される凹部である。
【0023】
各支持部11は、ボルト穴17および固定用ボルト挿通孔18を有している。ボルト穴17は、カムキャップ20を支持部11に固定するためのボルト(図示せず)をねじ付けるためのものである。ボルト穴17は、ハウジング側軸受凹部15の両側方にそれぞれ配され、支持面12側に開口している。固定用ボルト挿通孔18は、カムハウジング10を車両のエンジンにおけるシリンダヘッド(図示せず)に固定するためのボルト(図示せず)を挿通するためのものである。固定用ボルト挿通孔18は、支持面12からその逆側の面まで貫通する貫通孔であって、各支持部11において、接続部14側の端縁、および、その逆側の端縁から、やや中央に寄った位置にそれぞれ配されている。
【0024】
このカムハウジング10は、車両のエンジンにおけるシリンダヘッド(図示せず)に対して、固定用ボルト挿通孔18に挿通された複数本のボルトによって固定される。複数の支持部11によって仕切られる空間内には、詳細には図示しないが、シリンダヘッドに備えられる動弁系や換気系の部品等、種々の部品が配置される。
【0025】
図2および
図4に示すように、カムキャップ20は、略板状であり、キャップ側軸受凹部22(キャップ側軸受部に該当)を備えている。キャップ側軸受凹部22は、カムキャップ20において、支持部11の支持面12と接する側の端面である当接面21(
図2、
図4において下面)に配されている。キャップ側軸受凹部22は、当接面21から内側(
図2、
図4において上側)に凹む半円アーチ形のキャップ側アーチ面23によって定義される凹部である。キャップ側アーチ面23の曲率半径は、ハウジング側アーチ面16の曲率半径と等しくなっている。
【0026】
カムキャップ20は、組付用ボルト挿通孔24を有している。組付用ボルト挿通孔24は、カムキャップ20を支持部11に固定するためのボルト(図示せず)を挿通するためのものである。組付用ボルト挿通孔24は、カムキャップ20における当接面21から、この当接面21とは逆側の面まで貫通する貫通孔であって、キャップ側軸受凹部22の両側方にそれぞれ配されている。
【0027】
カムキャップ20を、その当接面21が支持部11の支持面12と重なるように支持部11に載置し、ボルト(図示せず)を組付用ボルト挿通孔24に挿通してボルト穴17にねじ付けることにより、カムキャップ20が支持部11に固定される。この状態では、互いに組み付けられる支持部11とカムキャップ20とに設けられたハウジング側軸受凹部15とキャップ側軸受凹部22とが組み合わせられて、軸受孔Hとなっている。つまり、キャップ側アーチ面23とハウジング側アーチ面16とが、断面円形の内周面を形成しており、キャップ側アーチ面23とハウジング側アーチ面16とで囲まれる空間が、カムシャフト30を挿通可能な軸受孔Hとなっている。複数の支持部11にそれぞれ備えられる複数のハウジング側軸受凹部15と、このハウジング側軸受凹部15と組み合わされるキャップ側軸受凹部22とで形成される、複数の軸受孔Hは、互いに同軸上に位置している。
【0028】
カムシャフト30は、STKM材等の金属材料によって形成された丸棒である。カムシャフト30の外周には、複数のカム31が組み付けられている。複数のカム31は、カムシャフト30の軸方向に並んでいる。カムシャフト30の外径は、軸受孔Hの内径よりもわずかに小さくなっている。カムシャフト30は、軸受孔Hに挿通された状態で、カムハウジング10とキャップ20によって挟まれて、回転可能に支持される。
【0029】
次に、吸気側カムシャフト支持部材1の製造方法について説明する。
【0030】
まず、鋳造加工により、鋳造体40を製造する(鋳造工程)。
鋳造体40は、
図5および
図6に示すように、複数のメインフレーム41と、隣り合う2つのメインフレーム41、41同士を接続するサブフレーム42、43とを備える。
【0031】
複数のメインフレーム41は、カムハウジング10の支持部11となる部位である。各メインフレーム41は、略矩形板状であり、その板面同士が互いに向かい合うようにして、等間隔に配置されている。
【0032】
互いに隣接するメインフレーム41、41の間には、両者を接続する2つのサブフレーム42、43が配置されている。2つのサブフレーム42、43のうち一方のサブフレーム42は、カムハウジング10の接続部14となる部位であり、他方のサブフレーム43は、後述の分離工程においてメインフレーム41、41から分離されて、カムキャップ20となる部位である。
【0033】
2つのサブフレーム42、43のうち一方のサブフレーム42は、互いに隣接する2つのメインフレーム41、41において互いに同じ側(
図5において奥側、
図6において上側)にある一の端縁同士を接続しており、他方のサブフレーム43は、上記一の端縁と逆側(
図3において手前側、
図4において下側)にある他の端縁同士を接続している。一方のサブフレーム42と他方のサブフレーム43とは、互いに平行に配されている。
【0034】
各メインフレーム41は、フレーム側半円凹部45を有している。各フレーム側半円凹部45は、各メインフレーム41において、隣接するメインフレーム41と対向する対向面47に対して垂直な複数の端面のうち一の端面44(
図5において上側の端面)から内側(
図5において下側)に凹む半円アーチ形の半円壁面46によって定義される凹部である。
【0035】
各メインフレーム41において、フレーム側半円凹部45の両側方には、それぞれ、端面44側に開口するボルト穴17が形成されている。さらに、各メインフレーム41においてサブフレーム42、43側の端縁からやや中央に寄った位置には、それぞれ、固定用ボルト挿通孔18が形成されている。ボルト穴17および固定用ボルト挿通孔18の形状は、上記のカムハウジング10が備えるものと同様であるから、同一の符号を付して説明を省略する。
【0036】
2つのサブフレーム42、43のうち一方のサブフレーム43は、カムキャップ形成部50と、連結部54とを備える。
【0037】
カムキャップ形成部50は、カムキャップ20の基材となる部分であり、略矩形板状である。連結部54は、メインフレーム41、41とカムキャップ形成部50との間に配されて、両者を連結している部分である。鋳造体40の同じ側に形成されたすべてのサブフレーム43に、カムキャップ形成部50と連結部54とが形成されている。
【0038】
各カムキャップ形成部50は、キャップ側半円凹部52を有している。キャップ側半円凹部52は、カムキャップ形成部50において、フレーム側半円凹部45が配されている側と同じ側の端面51(
図5において上側の端面)から内側(
図5において下側)に凹む半円アーチ形の半円壁面53によって定義される凹部である。各カムキャップ形成部50は、組付用ボルト挿通孔24を有している。組付用ボルト挿通孔24の形状は、上記のカムハウジング10が備えるものと同様であるから、同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
次に、
図7に示すように、得られた鋳造体40から、カムキャップ形成部50を分離する(分離工程)。分離は、トリミングプレス、切断等の公知の方法を用いて行うことができる。そして、カムキャップ形成部50を分離した後の鋳造体40、つまり、メインフレーム41および一方のサブフレーム42は、カムハウジング形成部55となる。カムハウジング形成部55は、カムハウジング10の基材である。
【0040】
次に、得られたカムハウジング形成部55とカムキャップ形成部50とに仕上げ加工を施すことにより、カムハウジング形成部55からカムハウジング10を、カムキャップ形成部50からカムキャップ20を得る。
【0041】
まず、カムハウジング形成部55およびカムキャップ形成部50に残されている連結部54の一部を切削加工により取り除くなど、必要な加工を施す。
【0042】
次に、軸受加工を行う(軸受加工工程)。軸受加工は、カムキャップ形成部50にキャップ側軸受凹部22を形成し、カムハウジング形成部55における複数のメインフレーム41にハウジング側軸受凹部15を形成するものである。
【0043】
軸受加工は、共加工により行う。まず、カムキャップ形成部50においてキャップ側半円凹部52が形成された端面51が、メインフレーム41においてフレーム側半円凹部45が形成された端面44に当接するようにして、カムキャップ形成部50をメインフレーム41に重ねる。そして、ボルトを組付用ボルト挿通孔24に挿通してボルト穴17にねじ付けることにより、カムキャップ形成部50をメインフレーム41に固定する。
【0044】
この状態で、フレーム側半円凹部45およびキャップ側半円凹部52を形成する半円壁面46、53に、同時に切削加工を施し、キャップ側軸受凹部22およびハウジング側軸受凹部15を形成する。このように、共加工を行うことにより、複数の軸受孔Hの同軸度を確保することができる。
【0045】
このようにして、カムハウジング10とカムキャップ20とを得る。
【0046】
以上のように本実施形態のカムシャフト支持部材の製造方法は、カムハウジング10とカムキャップ20とを備える吸気側カムシャフト支持部材1を製造するためのものである。カムハウジング10は、カムシャフト30の軸方向に沿って並列する複数の支持部11と、隣り合う支持部11、11を接続する接続部14とを備え、複数の支持部11のそれぞれがカムシャフト30と平行な支持面12を有し、支持面12にカムシャフト30を受けるハウジング側軸受凹部15が配されたものである。カムキャップ20は、カムハウジング10の支持面12に組み付けられるものであって、支持面12と当接する当接面21にカムシャフト30を受けるキャップ側軸受凹部22が配されたものである。
カムシャフト支持部材の製造方法は、鋳造工程と、分離工程と、軸受加工工程とを含む。
鋳造工程は、鋳造体40を鋳造形成する工程である。鋳造体40は、 互いに平行に、かつ間隔を空けて配置される複数のメインフレーム41と、隣り合うメインフレーム41、41間に配置される一対のサブフレーム42、43と、一対のサブフレーム42、43のうち一方のサブフレーム43に形成されたカムキャップ形成部50とを備えるものである。
分離工程は、カムキャップ形成部50を鋳造体40から分離する工程である。
軸受加工工程は、複数のメインフレーム41のそれぞれに複数のカムキャップ形成部50のそれぞれを組み付けた状態で、メインフレーム41とカムキャップ50とにハウジング側軸受凹部15とキャップ側軸受凹部22とを形成する工程である。
【0047】
ここで、複数の支持部11の位置精度や複数の軸受孔Hの同軸度を確保するためには、隣り合う支持部11が任意の部位で連結されていれば足りる。しかし、鋳造工程における凝固、冷却時の変形、内部欠陥の発生等を抑制し、得られる鋳造体40の品質を確保するためには、鋳造体40を、複数のメインフレーム41の両端縁が、それぞれサブフレーム42、43によって連結されたはしご型とすることが好ましい。
【0048】
そこで、本実施形態では、鋳造工程においてはしご型の鋳造体40を形成しておき、その後、サブフレーム42、43のうち一方を分離することとしている。このようにすれば、鋳造工程においては鋳造体40をはしご型とすることにより、鋳造体40の品質を確保できる。一方、サブフレーム43を分離することによってできる空間は、種々の部品を配置するためのスペースとして利用することができ、設計の自由度が高まる。
【0049】
さらに、分離するサブフレーム43を、カムキャップ20を形成するためのカムキャップ形成部50として利用することとしている。これにより、全体として素材の使用量を少なくすることができ、コストを削減することができる。
【0050】
また、複数のカムキャップ形成部50が、鋳造体40において同じ側に配されるサブフレーム43にのみ形成され、他方のサブフレーム42は、カムキャップ形成部を備えないものとなっている。このように、カムキャップ形成部50が鋳造体40一方の側に集められていることにより、鋳造の際の溶湯の流れの制御が容易となり、鋳造体40の品質を確保することができる。
【0051】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、
図8〜
図13を参照しつつ説明する。本実施形態では、吸気側のカムシャフト30と排気側のカムシャフト30とを1つのカムシャフト支持部材100によって支持する例について説明する。
【0052】
図8および
図9に示すように、カムシャフト支持部材100は、エンジンヘッド(図示せず)の上部に組み付けられるカムハウジング110と、このカムハウジング110に組み付けられて、カムハウジング110との間でカムシャフト30を挟み込んで保持するカムキャップ20とを備える。
【0053】
図10に示すように、カムハウジング110は、カムシャフト30を支持する複数の支持部111と、これら複数の支持部111を接続する複数の接続部114とを備えている。
【0054】
複数の支持部111は、カムシャフト30の軸方向に沿って等間隔に配置されている。各支持部111は、略矩形板状であり、その板面同士が互いに向かい合うようにして、カムシャフト30と垂直に配置されている。各支持部111は、支持面112を有している。支持面112は、各支持部111において、カムシャフト30と平行な端面(
図9、
図10において上側の端面)である。
【0055】
接続部114は、互いに隣接する2つの支持部111、111を接続する部位である。各接続部114は、互いに隣接する2つの支持部111、111の間にそれぞれ設けられている。各接続部114は、隣り合う2つの支持部111、111において互いに向かい合う対向面113、113の間に渡されている。各接続部114は、支持部111の対向面113、113において支持面112に対してほぼ垂直な端縁に沿って配置されている。すべての接続部114は、複数の支持部111の同じ側に配されている。
【0056】
各支持部111は、それぞれ、2つのハウジング側軸受凹部115、116(ハウジング側軸受部に該当)を有している。各ハウジング側軸受凹部115、116は、支持面112から内側(
図9、
図10において下側)に凹む半円アーチ形のハウジング側アーチ面117、118によって定義される凹部である。2つのハウジング側軸受凹部115、116は、それぞれ、支持面112において接続部114側の端縁とそれとは逆側の端縁との間の中央位置よりも接続部114側に寄った位置に1つ、逆側に寄った位置にもう1つが配されている。2つのハウジング側軸受凹部115、116のうち一方は、ハウジング側吸気軸受凹部115であり、他方は、ハウジング側排気軸受凹部116である。
【0057】
各支持部111は、ボルト穴119および固定用ボルト挿通孔120を有している。ボルト穴119は、カムキャップ20を支持部111に固定するためのボルト(図示せず)をねじ付けるためのものである。ボルト穴119は、ハウジング側軸受凹部15の両側方にそれぞれ配され、支持面112側に開口している。固定用ボルト挿通孔120は、カムハウジング110を車両のエンジンにおけるシリンダヘッド(図示せず)に固定するためのボルト(図示せず)を挿通するためのものである。固定用ボルト挿通孔120は、支持面112からその逆側の面まで貫通する貫通孔であって、各支持部111において、接続部114側の端縁、および、その逆側の端縁から、やや中央に寄った位置にそれぞれ配されている。
【0058】
このカムハウジング110は、車両のエンジンにおけるシリンダヘッド(図示せず)に対して、固定用ボルト挿通孔120に挿通された複数本のボルトによって固定される。複数の支持部111によって仕切られる空間内には、詳細には図示しないが、シリンダヘッドに備えられる動弁系や換気系の部品等、種々の部品が配置される。
【0059】
カムキャップ20の構成は、実施形態1と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
カムキャップ20は、1つの支持部111に対し、2つが組み付けられる。2つのカムキャップ20のうち1つは、ハウジング側吸気軸受凹部115が配された位置に、もう1つは、ハウジング側排気軸受凹部116が配された位置に組み付けられる。カムキャップ20を、その当接面21が支持部111の支持面112と当接するように支持部111に載置し、ボルトを組付用ボルト挿通孔24に挿通してボルト穴119にねじ付けることにより、カムキャップ20が支持部111に固定される。
【0061】
この状態では、互いに組み付けられる支持部111とカムキャップ20とに設けられたハウジング側吸気軸受凹部115とキャップ側軸受凹部22とが組み合わせられて、吸気側軸受孔H
Iとなっている。つまり、キャップ側アーチ面23とハウジング側アーチ面117とが、断面円形の内周面を形成しており、キャップ側アーチ面23とハウジング側アーチ面117とで囲まれる空間が、カムシャフト30を挿通可能な吸気側軸受孔H
Iとなっている。複数の支持部111にそれぞれ備えられる複数のハウジング側吸気軸受凹部115と、このハウジング側軸受凹部115と組み合わされるキャップ側軸受凹部22とで形成される、複数の吸気側軸受孔H
Iは、互いに同軸上に位置している。同様に、ハウジング側排気軸受凹部116とキャップ側軸受凹部22とが組み合わせられて、排気側軸受孔H
Oとなっている。複数の排気側軸受孔H
Oは、互いに同軸上に位置している。
【0062】
カムシャフト30およびカム31の構成は、実施形態1と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0063】
吸気側のカムシャフト30は、複数のハウジング側吸気軸受凹部115と、これらと組み合わされる複数のキャップ側軸受凹部22とによって形成された複数の吸気側軸受孔H
Iに挿通された状態で、回転可能に支持される。同様に、排気側のカムシャフト30は、複数のハウジング側排気軸受凹部116と、これらと組み合わされるキャップ側軸受凹部22とによって形成された複数の排気側軸受孔H
Oに挿通された状態で、回転可能に支持される。
【0064】
次に、カムシャフト支持部材100の製造方法について説明する。
【0065】
まず、鋳造加工により、鋳造体130を製造する(鋳造工程)。
鋳造体130は、
図11および
図12に示すように、複数のメインフレーム131と、隣り合う2つのメインフレーム131、131同士を接続するサブフレーム132、133とを備える。
【0066】
複数のメインフレーム131は、カムハウジング110の支持部111となる部位である。各メインフレーム131は、略矩形板状であり、その板面同士が互いに向かい合うようにして、等間隔に配置されている。
【0067】
互いに隣接するメインフレーム131、131の間には、両者を接続する2つのサブフレーム132、133が配置されている。2つのサブフレーム132、133のうち一方のサブフレーム132は、カムハウジング110の接続部114となる部位であり、他方のサブフレーム133は、後述の分離工程においてメインフレーム131、131から分離されて、カムキャップ20となる部位である。
【0068】
2つのサブフレーム132、133のうち一方のサブフレーム132は、互いに隣接する2つのメインフレーム131、131において互いに同じ側(
図11において奥側、
図12において上側)にある一の端縁同士を接続しており、他方のサブフレーム133は、上記一の端縁と逆側(
図11において手前側、
図12において下側)にある他の端縁同士を接続している。一方のサブフレーム132と他方のサブフレーム133とは、互いに平行に配されている。
【0069】
各メインフレーム131は、2つのフレーム側半円凹部135を有している。各フレーム側半円凹部135は、各メインフレーム131において、隣接するメインフレーム131と対向する対向面137に対して垂直な複数の端面のうち一の端面134(
図11において上側の端面)から内側(
図11において下側)に凹む半円アーチ形の半円壁面136によって定義される凹部である。2つのフレーム側半円凹部135は、それぞれ、端面134においてサブフレーム132、133側の端縁間の中央位置よりもサブフレーム132、133側に寄った位置にそれぞれ配されている。
【0070】
各メインフレーム131において、フレーム側半円凹部135の両側方には、それぞれ、端面134側に開口するボルト穴119が形成されている。さらに、各メインフレーム131においてサブフレーム132、133側の端縁からやや中央に寄った位置には、それぞれ、固定用ボルト挿通孔120が形成されている。ボルト穴119および固定用ボルト挿通孔120の形状は、上記のカムハウジング110が備えるものと同様であるから、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
2つのサブフレーム132、133のうち一方のサブフレーム133は、カムキャップ形成部50と、連結部54とを備える。カムキャップ形成部50および連結部54の構成は、実施形態1と同様であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】
次に、
図13に示すように、得られた鋳造体130から、カムキャップ形成部50を分離する(分離工程)。分離は、トリミングプレス、切断等の公知の方法を用いて行うことができる。そして、カムキャップ形成部50を分離した後の鋳造体130、つまり、メインフレーム131および一方のサブフレーム132は、カムハウジング形成部137となる。カムハウジング形成部137は、カムハウジング110の基材である。
【0073】
次に、得られたカムハウジング形成部137とカムキャップ形成部50とに仕上げ加工を施すことにより、カムハウジング形成部137からカムハウジング110を、カムキャップ形成部50からカムキャップ20を得る。
【0074】
まず、カムハウジング形成部137およびカムキャップ形成部50に残されている連結部54の一部を切削加工により取り除くなど、必要な加工を施す。
【0075】
次に、軸受加工を行う(軸受加工工程)。軸受加工は、カムキャップ形成部50にキャップ側軸受凹部22を形成し、カムハウジング形成部137における複数のメインフレーム131にハウジング側軸受凹部115、116を形成するものである。
【0076】
軸受加工は、共加工により行う。まず、カムキャップ形成部50においてキャップ側半円凹部52が形成された端面51が、メインフレーム131においてフレーム側半円凹部135が形成された端面134に当接するようにして、カムキャップ形成部50をメインフレーム131に重ねる。そして、ボルトを組付用ボルト挿通孔24に挿通してボルト穴119にねじ付けることにより、カムキャップ形成部50をメインフレーム131に固定する。
【0077】
この状態で、フレーム側半円凹部135およびキャップ側半円凹部52を形成する半円壁面136、53に、同時に切削加工を施し、キャップ側軸受凹部22およびハウジング側軸受凹部115、116を形成する。このように、共加工を行うことにより、複数の軸受孔Hの同軸度を確保することができる。
【0078】
このようにして、カムハウジング110とカムキャップ20とを得る。
【0079】
以上のように、本実施形態においても、鋳造工程においてはしご型の鋳造体130を形成しておき、その後、サブフレーム132、133のうち一方を分離することとしている。このようにすれば、鋳造工程においては鋳造体130をはしご型とすることにより、品質を確保できる。一方、サブフレーム132を分離した後の空間は、種々の部品を配置するためのスペースとして利用することができ、設計の自由度が高まる。
【0080】
さらに、分離するサブフレーム132を、カムキャップ20を形成するためのカムキャップ形成部50として利用することとしている。これにより、全体として素材の使用量を少なくすることができ、コストを削減することができる。
【0081】
また、複数のカムキャップ形成部50が、サブフレーム133のみに配され、他方のサブフレーム132は、カムキャップ形成部を備えないものとなっている。このように、カムキャップ形成部50が鋳造体130の一方の側に集められていることにより、鋳造の際の溶湯の流れの制御が容易となり、鋳造体130の品質を確保することができる。
【0082】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、鋳造体40、130の同じ側に形成されたすべてのサブフレーム43、133に、カムキャップ形成部50と連結部54とが形成されているが、一部のサブフレーム43、133にのみカムキャップ形成部が設けられても構わない。
【0083】
(2)上記実施形態では、鋳造体40、130の一方の側に配されたサブフレーム43、133のみがカムキャップ形成部50を備え、他方の側に配されたサブフレーム42、132はカムキャップ形成部50を備えないが、一部のカムキャップ形成部が一方の側のサブフレームに、他のカムキャップ形成部が他方の側のサブフレームに形成されても構わない。
【0084】
(3)上記実施形態では、一方のサブフレーム42、132と他方のサブフレーム43、133とは、平行に配置されていたが、隣り合うメインフレーム間に配置される一対のサブフレームは、互いに平行でなくても構わない。
【0085】
(4)上記実施形態では、キャップ側半円凹部52は、カムキャップ形成部50において、フレーム側半円凹部45が配されている側と同じ側の端面(
図5において上側の端面)に配されていたが、キャップ側半円凹部は、フレーム側端縁凹部とは逆側の端面に配されていても構わない。