(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一の待機態様で表示される前記保留表示に対して第三の前記変化契機演出が実行される第五場面における前記変化可能性と、前記他の待機態様で表示される前記保留表示に対して前記第三の変化契機演出が実行される第六場面における前記変化可能性と、が互いに等しい請求項1に記載の遊技機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。また、以下の説明では、「前」「後」「左」「右」「上」「下」とは、特に断りのない限り、
図1に示すように遊技機10を正面側(遊技者側)から見た状態で指称するものとする。
【0012】
<遊技機10の概要について>
まず、遊技機10の概要について、
図2、
図4または
図5を用いて説明する。
図2は、遊技機10内に配設された遊技盤50を示す図である。
図4は、遊技機10の主要な制御構成を示す機能ブロック図である。
図5は、演出制御部210に関する制御構成を示す機能ブロック図である。
【0013】
遊技機10は、乱数取得手段(特図保留制御部115)と、当否判定手段(当否抽選部131)と、特典付与手段(大当り制御部145)と、図柄表示制御手段(特別図柄表示制御部151)と、保留表示制御手段(保留表示制御部214)と、を備える。
特図保留制御部115は、始動条件の成立を契機として乱数を取得する。
当否抽選部131は、特図保留制御部115によって取得された乱数を用いて当選の成否を判定する。
大当り制御部145は、当否抽選部131によって当選が判定された場合の少なくとも一部において、遊技者にとって有利な特典(大当り遊技)を付与する。
特別図柄表示制御部151は、当否抽選部131による判定結果を報知する図柄変動ゲームを実行する。
保留表示制御部214は、取得された乱数に基づく保留表示を保留表示領域86に表示させる。
保留表示制御部214は、特典(大当り遊技)が付与される可能性を示唆する複数とおりの示唆態様と、示唆態様が変化する可能性を示唆する複数とおりの待機態様と、が共に識別可能に保留表示を表示させる。
遊技機10は、さらに、いずれかの待機態様で表示されている保留表示の示唆態様が変化しうる旨を示唆する一または複数とおりの変化契機演出を、一または複数の保留表示に対して実行する変化契機演出制御部212(変化契機演出制御手段)を備える。
一の待機態様で表示される保留表示に対して第一の変化契機演出が実行される第一場面と、他の待機態様で表示される保留表示に対して第一の変化契機演出が実行される第二場面と、では保留表示の示唆態様が変化する変化可能性が異なる。
【0014】
上記のように保留表示が表示されているので、保留表示自体によって示唆態様の変化の可能性を示唆することができ、遊技者は保留表示が表示されている期間にわたって保留表示変化を期待することができる。
また、保留表示の待機態様と変化契機演出とが互いに示唆態様が変化する可能性を示唆しており、その組合せによって保留表示の示唆態様が変化する可能性が異なるので、保留表示自体に現れる変化と保留表示に対して行われる演出とが相乗的に作用し、保留表示変化の演出効果を従来以上に高めることができる。
【0015】
ここで特典とは、遊技機10に興じる遊技者にとって有利な恩恵をいう。
なお、本実施形態における特典は大当り遊技として説明するが、小当り遊技、確変状態または変短状態等を特典として本発明の保留変化演出が実施されてもよい。
【0016】
ここで始動条件とは、図柄変動ゲームを開始するための条件である。本実施形態における始動条件には、(i)遊技球が始動口に入球すること、(ii)遊技球が入球した始動口において保留記憶数が上限に達していないこと、が含まれる。
ここで図柄変動ゲームとは、図柄を変動表示させた後に停止表示させ、停止表示された図柄によって当否抽選手段による判定の当否を遊技者に報知する遊技である。本実施形態において単に図柄変動ゲームと称した場合には、特に断りがない限り、特別図柄表示部91において行われる特別図柄による図柄変動ゲームのことをいう。
【0017】
ここで保留表示とはいわゆる保留玉のことであり、その表示個数によって保留記憶されている乱数の数を示すと共に、その表示形態によって特典が付与される可能性を示唆し、図柄変動ゲームの実行に伴って表示態様が変化しうる演出画像をいう。本実施形態では、一回の図柄変動ゲームに関する始動条件の成立に起因して、一個の保留表示が保留表示領域86に表示されうる。
【0018】
ここで示唆態様とは、特典(大当り遊技)が付与される可能性を示唆する表示態様である。また、ここで待機態様とは、上記に挙げた示唆態様が変化する可能性を示唆する表示態様である。示唆態様とは、具体的には、保留表示の色彩・保留表示の形状・保留表示が表示している図柄や文字の種別・保留表示を構成するキャラクターの種別・保留表示を構成するキャラクターの動作等のいずれか一つまたは複数を組み合わせたものをいう。同様に、待機態様とは、具体的には、保留表示の色彩・保留表示の形状・保留表示が表示している図柄や文字の種別・保留表示を構成するキャラクターの種別・保留表示を構成するキャラクターの動作等のいずれか一つまたは複数を組み合わせたものをいう。
以下の説明では、保留表示の色彩を示唆態様とし、保留表示を構成するキャラクター(モグラ)の動作を待機態様とする。
【0019】
ここで、「一の待機態様」で表示される保留表示とは、例えば睡眠態様で表示されるモグラ(
図11を参照して後述)である。また、「他の待機態様」で表示される保留表示とは、例えば移動態様で表示されるモグラ(
図11を参照して後述)である。また、第一の変化契機演出とは、例えば、モグラの好物であるミミズが一または複数のモグラの前を通過する演出(
図15を参照して後述)である。
従って、「第一の場面」とは、保留表示は睡眠態様で表示されるモグラであって、変化契機演出としてミミズが当該モグラの前を通過する演出が実行された場面である。また、「第二の場面」とは、保留表示は移動態様で表示されるモグラであって、変化契機演出としてミミズが当該モグラの前を通過する演出が実行された場面である。
そして、第一場面と第二場面とでは保留表示の示唆態様が変化する変化可能性が異なるとは、同じ変化契機演出(第一の変化契機演出)が実行されても保留表示の待機態様(一の待機態様または他の待機態様)によって、当該変化契機演出が示唆する示唆態様の変化可能性の信頼度が異なることを示す。
【0020】
<遊技機10の構造について>
図1から
図3または
図6を用いて遊技機10の構造について説明する。
なお、
図1は、遊技機10の正面図である。
図3は、遊技機10内に配設された図柄表示器90を示す図である。
図6は、遊技機10の払出制御構成を示す機能ブロック図である。
【0021】
本実施形態の遊技機10は、いわゆるパチンコ機であり、多数の遊技釘(図示せず)が立設された遊技盤50の前面領域(以下、遊技領域50aと称す)に遊技球を発射し、遊技球が特定の入賞口(例えば、大入賞口55等)に入球すると賞球が得られる遊技を行うものである。
【0022】
遊技機10は、前後に開口する矩形枠状の外枠15と、外枠15の開口前面側に遊技盤50を着脱可能に保持する中枠(図示せず)と、遊技盤50(中枠)の前面側を覆うよう構成された前枠20と、を備える。
【0023】
前枠20は、ヒンジ機構21により左端側を回動自在に支持され、中枠に対して開閉可能となっている。なお、前枠20は、シリンダ錠23により施錠・解錠が可能となっている。
前枠20は、遊技領域50aを覆うように配置された透明部材25を備え、透明部材25によって遊技領域50aおよび遊技盤50を透視保護している。
前枠20は、遊技球を貯留する上球受け皿27および下球受け皿29を備え、上球受け皿27と下球受け皿29は上下に離間して前枠20と一体的に設けられている。
前枠20は、下球受け皿29の右側方に操作ハンドル31を備え、操作ハンドル31の回動操作によって、上球受け皿27に貯留された遊技球が遊技領域50aに向けて発射されるようになっている。
【0024】
前枠20の上枠部32の左側と右側にそれぞれ一対のスピーカ33(33a、33b)が配設されている。また、前枠20の上枠部32と左右側枠部34、36は光透過性のカバーにより形成されており、その内部にはそれぞれ照明装置35(35a、35b、35c)が配設されている。スピーカ33や照明装置35は、遊技中に発生する演出やエラー報知等と連動して音声出力または点灯若しくは消灯することができる。
前枠20は、上球受け皿27の前方部にボタン37が配設されている。ボタン37は、遊技中に発生する演出を切り替えるまたは遊技者が遊技機10に関わる種々の情報を得るために行う遊技者の操作を受け付けることができる。
【0025】
下球受け皿29の下部には、下球受け皿29に貯留された遊技球を下方へ排出する球抜き機構39が設けられている。この球抜き機構39を操作することにより、下球受け皿29の底面に形成された底面口(図示せず)が開口して、当該底面口から遊技球が自然落下して排出される。
【0026】
演出表示器80は、遊技盤50の略中央に配設されているメイン表示部81と、メイン表示部81の上方に配設されている上サブ表示部82と、メイン表示部81の左側に配設されている左サブ表示部83と、メイン表示部81の右側に配設されている右サブ表示部84と、を含んでいる。メイン表示部81は固定式の液晶装置であり、上サブ表示部82・左サブ表示部83・右サブ表示部84は可動式の液晶装置である。
【0027】
メイン表示部81は、特別図柄表示部91における図柄変動ゲームに連動して行われる演出図柄の変動表示を、演出図柄変動領域85に表示することができ、さらに他の各種の演出も表示することができる。ここで演出図柄とは、遊技機10における遊技の興趣をより高めるために表示される図柄であり、具体的には数字や絵柄またはそれらの組み合わせから構成されている。
演出図柄変動領域85は、その略中央に演出図柄を表示可能であり、さらに当該演出図柄の上方および下方にもそれぞれ演出図柄が表示されうる。すなわち、演出図柄変動領域85には、「上段」「中段」「下段」にそれぞれ演出図柄が表示され、表示された演出図柄が一または複数の列をなしている。
保留表示領域86は、メイン表示部81の表示領域の一部であり、演出図柄変動領域85の下方側に設けられている。保留表示領域86は、上記の保留表示を表示するための表示領域であり、特定の演出の実行時において保留表示とは異なる演出画像を表示しうる。
本実施形態における保留表示領域86は、第1始動口58または第2始動口59における保留記憶の最大数(4個)を上限として、保留記憶に対応している保留表示を表示可能なものとして説明するが、本発明の実施はこの態様に限られない。例えば、始動口に入球した遊技球が当該始動口の内部で振り分けられて異なる領域を通過する構成になっており、単一の始動口に対して8個の保留記憶が許容されるように見える態様の遊技機(いわゆる8個保留タイプ)において本発明が実施される場合、保留表示領域86には8個の保留表示が表示されてもよい。
【0028】
上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84は、主として演出に関連する演出画像を表示するために設けられるものであり、特定の演出の実行時に移動しうる。それぞれの原位置はメイン表示部81を基準として上方、左側または右側であり、これらの原位置からメイン表示部81における演出図柄の表示領域に重なる位置まで上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84は移動しうる。
【0029】
なお、本実施形態における演出表示器80(メイン表示部81、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84)には、いずれも液晶表示装置が採用されているが、本発明の実施はこれに限るものではない。例えば、ドラム式やドットマトリックス式等、多様な方式の表示装置を演出表示器80として採用しうる。
【0030】
図柄表示器90は、演出表示器80の右下側など、演出表示器80よりも遊技者が視認しにくい位置に配設される。また、図柄表示器90の表示領域は、演出表示器80の表示領域よりも小さい面積になっている。
図柄表示器90は、複数のランプが配列されている。本実施形態で図柄表示器90に用いられるランプとは、発光ダイオード(以下、LEDと称す)である。図柄表示器90は、発光するLEDの配列によって種々の情報を示し、特別図柄表示部91または普通図柄表示部93を含んでいる。
【0031】
特別図柄表示部91は、複数個のLEDの発光パターンにより特別図柄による図柄変動ゲームの抽選結果を表示する。より詳細には、
図3に示すように、特別図柄表示部91は左側のLED16個から構成される。
普通図柄表示部93は特別図柄表示部91より少ない数(例:2個)のLEDの発光パターンにより普通図柄による図柄変動ゲームの抽選結果を表示する。
【0032】
なお、
図3に示すように、図柄表示器90は、特別図柄表示部91または普通図柄表示部93の表示に用いられないLEDも含んでおり、特別図柄または普通図柄による図柄変動ゲームの抽選結果の他にも、保留記憶数や大当り遊技のラウンド回数等の情報も表示しうる。
また、本実施形態における特別図柄表示部91は、第1始動口58への入球または第2始動口59への入球のいずれを起因とする図柄変動ゲームにおいても変動表示を行う。このとき、変動表示に用いられるLEDが入球した始動口によって異なってもよく、同一であってもよい。
【0033】
ここで特別図柄とは、特別図柄表示部91に表示するために選択されうるデータ群、あるいは特別図柄表示部91に表示されうる図柄(LEDの発光パターン)をいう。なお、以下、特別図柄のことを「特図」と略して表記する場合がある。また、ここで特別図柄による図柄変動ゲームとは、特別電動役物65(いわゆるアタッカー)を開放させるための抽選結果を示すために、特別図柄表示部91を変動表示させた後に特定の特別図柄を停止表示させることをいう。
【0034】
ここで普通図柄とは、普通図柄表示部93に表示するために選択されうるデータ群、あるいは普通図柄表示部93に表示されうる図柄(LEDの発光パターン)をいう。なお、以下、普通図柄のことを「普図」と略して表記する場合がある。また、ここで普通図柄による図柄変動ゲームとは、普通電動役物61(いわゆる電動チューリップ)を開放させるための抽選結果を示すために、普通図柄表示部93を変動表示させた後に特定の普通図柄を停止表示させることをいう。
【0035】
なお、本実施形態において図柄表示器90に配列される複数のランプはLEDとして説明しているが、ランプの種別はこれに限定されるものではない。そして、当該ランプの配置についても
図3に図示するものに限らず、多様な配置を採用しうる。
【0036】
遊技盤50の前面には、多数の遊技釘(図示せず)や風車52、装飾部材といった障害物が配置されていることにより、打ち出された遊技球が転動するように遊技領域50aが画成されている。また、遊技領域50aの左側および上側には、操作ハンドル31の回転操作により発射された遊技球を遊技領域50aの上部に案内するために設けられた湾曲形状の外レール51および内レール53が配置されている。なお、外レール51は、遊技領域50a中央を基準として内レール53より外側に位置している。
ここで風車52とは、遊技球の落下の方向に変化を与えるための機構であって、くぎ状のものをいう。
【0037】
遊技機10は操作ハンドル31の回転操作量(例えば回転角度)の大小によって遊技球の打ち出しの強弱をつけることが可能になっている。また、より弱く打ち出された遊技球が転動する第1流路X(いわゆる左打ち)、より強く打ち出された遊技球が転動する第2流路Y(いわゆる右打ち)、のいずれか一方を遊技球が転動するように各種障害物が遊技領域50aに配置されている。
【0038】
遊技領域50aには、各種の入賞口(例えば大入賞口55等)が配設され、各入賞口の後方には入球した遊技球を検知する各種スイッチ(例えばカウントスイッチSW4等)が配設されている。なお、以下の説明において入賞とは、遊技球が特定の入賞口に入球することをいう。
本実施形態においては、上記の各種スイッチは遊技者が視認できないように配設されており、
図1および
図2においては図示しない。
【0039】
図2には、主要な入賞口として、大入賞口55、第1始動口58、第2始動口59、作動ゲート63、普通入賞口67(67a、67b)を図示する。ここで図示する入賞口は一例であり、その数や配置は適宜変更しても構わない。
【0040】
第1始動口58は、遊技領域50aの中央下部(メイン表示部81の下方)に配置されており、一般的に「ヘソ」と呼ばれる。
第1始動口58には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW1が配置されており、第1始動口58に入球した遊技球がカウントスイッチSW1で検知されることにより、特別図柄による図柄変動ゲームを始動させる始動条件と、予め定めた数の遊技球を賞球として払い出す払出条件と、が成立しうる。
【0041】
第2始動口59は、遊技領域50aの右下側(メイン表示部81の右下側)に配置されており、第2始動口59には普通電動役物61が付設されている。普通電動役物61は、第2始動口59に遊技球への入球が容易である開放状態または入球が困難である閉鎖状態に可換に遷移する開閉部材であり、アクチュエータAC1の作動により当該開放状態または当該閉鎖状態のいずれかに遷移する。なお、普通電動役物61の制御については、後に詳述する。
第2始動口59には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW2が配設されており、第2始動口59に入球した遊技球がカウントスイッチSW2で検知されることにより、特別図柄による図柄変動ゲームの始動条件と、賞球の払出条件と、が成立しうる。
【0042】
作動ゲート63は、第2始動口59の右上側(メイン表示部81の右側)に配置されている。作動ゲート63には、通過した遊技球を検知するカウントスイッチSW3が配設されており、作動ゲート63を通過した遊技球がカウントスイッチSW3で検知されることにより、普通図柄による図柄変動ゲームの始動条件が成立しうる。
【0043】
なお、本実施形態の遊技機10においては、
図6にカウントスイッチSW3が図示されていないことから明らかであるように、カウントスイッチSW3の検知は賞球の払出条件に含まれていない。すなわち、本実施形態の作動ゲート63に遊技球が入球しても賞球はゼロである。
また、作動ゲート63は通過した遊技球が通過後再び遊技領域50aを転動する、いわゆるゲートタイプの入賞口であってもよい。この場合において、作動ゲート63を通過することも本明細書では「入球」と称す。
【0044】
大入賞口55は、第2始動口59の下方(メイン表示部81の右下側)に配置されている。大入賞口55には、アクチュエータAC2の作動により開閉動作を行う特別電動役物65が付設されている。
また、大入賞口55には、入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW4が配設されており、大入賞口55に入球した遊技球がカウントスイッチSW4で検知されることにより、賞球の払出条件が成立しうる。
【0045】
閉鎖状態における特別電動役物65は、遊技領域50aの面位置と略一致するように延在しており、当該面位置より奧方の大入賞口55に蓋をする。
また、開放状態における特別電動役物65は、遊技領域50aの面位置より前方に飛び出し、上方から流下してくる遊技球の受け皿として機能するように作動し、受け入れた遊技球を大入賞口55へと誘導する。
本実施形態における特別電動役物65は、大当り遊技の実行中に開放状態となるように作動して大入賞口55への遊技球の入球を許容する。
【0046】
普通入賞口67(67a、67b)は、メイン表示部81の左下側に配置されている。普通入賞口67には入球した遊技球を検知するカウントスイッチSW5が配設されており、普通入賞口67に入球した遊技球がカウントスイッチSW5で検知されることによって賞球の払出条件が成立しうる。
なお、本実施形態においては二つの普通入賞口67a、67bに対して一つのカウントスイッチSW5が設けられている実施例で説明したが、個別にセンサ(カウントスイッチ)を設けてもよい。このとき、それぞれのセンサによって賞球の払出条件が異なってもよく、同一であってもよい。
【0047】
本実施形態における遊技領域50aは、遊技球が第2流路Yから転動したときよりも、遊技球が第1流路Xから転動したときに第1始動口58または普通入賞口67に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、第1始動口58または普通入賞口67は、遊技領域50aの左側を主とする第1流路Xに設けられている。
また、本実施形態における遊技領域50aは、遊技球が第1流路Xから転動したときよりも、遊技球が第2流路Yから転動したときに大入賞口55、第2始動口59または作動ゲート63に入球しやすくなるように、各種障害物が配置されている。つまり、大入賞口55、第2始動口59または作動ゲート63は、遊技領域50aの右側を主とする第2流路Yに設けられている。
【0048】
アウト口69は、遊技領域50aの最下部に配置されている。上述した各入賞口(作動ゲート63を除く)に入球しなかった遊技球はアウト口69に落入し、アウト球として処理される。
【0049】
ここまで、本実施形態における遊技機10の構造について説明してきたが、これらは一例であって、別の構成によって本発明を実施することもできる。
【0050】
<遊技機10の制御構成について>
続いて、
図4から
図6を用いて遊技機10の制御構成について説明する。なお、上述した
図1から
図3に図示されている各構成要素に触れて説明する場合があるので、これらの図面も適宜参照されたい。
なお、
図4から
図6で図示される各構成要素は本実施形態の遊技機10を説明する上で必要な構成要素を挙げたものであり、ここに図示しない構成要素を遊技機10に追加してもよい。また、遊技機10はここに図示する構成要素の全部を必ずしも備えなくてもよく、本発明の効果を阻害しない範囲で一部の構成要素が省かれても良い。
【0051】
遊技機10は、基板(図示せず)を自機の内部に備えており、
図4から
図6に図示している構成要素を含む基板と当該基板に電気的に接続している機能部品との処理によって種々の機能を実現している。より具体的には当該基板は、制御動作を所定の手順で実行するCPU(図示せず)と、当該CPUの制御プログラムを格納するROM(図示せず)と、必要なデータの書き込みおよび読み出しができるRAM(図示せず)を備えている。CPUは、ROMから読み出した制御プログラムを実行し、RAMに種々のデータを書き込む、またはRAMから種々のデータを読み出すことによって種々の機能を実現することができる。
なお、
図4から
図6に図示している各構成要素は、一の基板のみで機能する構成要素、複数の基板の間で種々のデータ授受を行うことにより機能する構成要素、基板と当該基板に非搭載の機能部品とが電気的に接続していることにより機能する構成要素等が混在している。これらの各構成要素を実現するためのハードウェア構成は幾通りも存在しうるものであって、必ずしも一つに限定されない。
【0052】
主制御部100は、遊技を統括的に制御し、遊技に関連する演出等について他の構成要素(例えば演出制御部210)にコマンドを伝送する。主制御部100は、遊技の結果に影響を及ぼす機能または及ぼす虞がある機能を有する基板であって、いわゆる主基板として機能する。
図4に示すように、主制御部100は多数の構成要素を有し、これらの構成要素が互いに接続している構成となっているが、ここに図示している構成要素または構成要素間の接続は一例であって、必ずしもこれに限られるものではない。
【0053】
主制御部100が備える主な構成要素としては、特図抽選制御部130、普図抽選制御部170、遊技状態制御部140、図柄表示制御部150、変動パターン処理部160、情報伝送部110等が挙げられる。
特図抽選制御部130は、特別図柄による図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する。
普図抽選制御部170は、普通図柄による図柄変動ゲームに関連して他の構成要素を制御する。
遊技状態制御部140は、大当り遊技の制御、確変状態の管理または変短状態の管理を行う。
図柄表示制御部150は、特別図柄による図柄変動ゲームの結果として選択された特別図柄、または普通図柄による図柄変動ゲームの結果として選択された普通図柄、を図柄表示器90に表示させる。
変動パターン処理部160は、特別図柄による図柄変動ゲームにて図柄表示制御部150が変動表示を開始してから停止表示を行うまでの時間を示す変動時間情報を少なくとも含む変動パターンを決定する。また、変動パターン処理部160によって決定された変動パターンは、情報伝送部110を介して演出制御部210に出力されて演出表示器80における表示演出(リーチ演出や保留変化演出等)を実行する際にも用いられる。
情報伝送部110は、主制御部100に含まれる各構成要素にて生成された制御情報(コマンド)を他の構成要素(例えば、演出制御部210等)に伝送する機能を有している。情報伝送部110によって伝送されるコマンドには、上述の変動パターンを示す情報の他にも、特図抽選や普図抽選の結果、確変状態または変短状態の有無、保留記憶に関する情報または大当り遊技の実行に関する情報等が含まれてもよい。
【0054】
また、遊技機10は、上述した主要の構成要素の他に、演出制御部210、払出制御部230等を備えている。
演出制御部210は、遊技機10によって行われる遊技(図柄変動ゲームや大当り遊技等)に関連する演出を制御する。
払出制御部230は、各入賞口への入賞の特典として付与される賞球の払い出しを制御する。
ここまで挙げた各構成要素について、以下ではより詳細に説明する。
【0055】
<特図抽選について>
主制御部100は、特図保留制御部115と、特図抽選制御部130と、を備える。
また、特図抽選制御部130は特別図柄による図柄変動ゲームを司り、当否抽選部131と特図選択部132とを有している。
【0056】
特図保留制御部115は、第1始動口58の入賞を契機として乱数M1を取得して保留記憶させる。また、特図保留制御部115は、第2始動口59の入賞を契機として乱数M2を取得して保留記憶させる。
より具体的には、特図保留制御部115は、カウントスイッチSW1によって第1始動口58の入賞が検知されると乱数M1を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。また、特図保留制御部115は、カウントスイッチSW2によって第2始動口59の入賞が検知されると乱数M2を取得し、専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。
乱数M1の保留上限数または乱数M2の保留上限数は予め定められており、本実施形態では乱数M1および乱数M2の各々について4個が保留上限数と設定されている。
【0057】
特図保留制御部115は、第1始動口58の入賞を契機として取得される乱数M1と、第2始動口59の入賞を契機として取得される乱数M2と、を区別して保留記憶させる。
特図保留制御部115は、保留記憶させた乱数M1または乱数M2を、保留記憶させた順番で当否抽選部131に処理させてもよいし、一方を他方に優先して当否抽選部131に処理させてもよい。
【0058】
特図保留制御部115は保留記憶されている乱数の数をそれぞれについて監視してもよい。この場合、特図保留制御部115は、監視している乱数の数を、図柄表示器90に表示させるように図柄表示制御部150(特別図柄表示制御部151)に指令を出力してもよい。また、特図保留制御部115は、保留記憶させている乱数の数に相当する数の保留表示を保留表示領域86に表示させるように、情報伝送部110を介して演出制御部210(保留表示制御部214)に指令を出力してもよい。
【0059】
特図保留制御部115は、後述する事前判定部118を有しており、事前判定部118による判定結果である事前判定情報を乱数M1または乱数M2に対応付けて保留記憶させることができる。特図保留制御部115に保留記憶されている事前判定情報は、後述の図柄変動開始処理において生成されるコマンドに包含されて、情報伝送部110を経由して演出制御部210に出力される。
事前判定部118は、保留記憶されている乱数M1または乱数M2が当否抽選部131による判定における当選値であるか否かを判定する(以下、この判定を第一判定と称す)。また、事前判定部118は、当選値であるか否かの判定に基づいて、判定対象の乱数M1または乱数M2に起因する特別図柄の図柄変動ゲームにおいて演出制御部210が決定する演出内容(リーチ演出の有無やリーチ演出の種別等)の決定条件を判定する(以下、この判定を第二判定と称す)。さらに、事前判定部118は、判定された決定条件に基づいて、その演出を実行している最中(判定対象の乱数M1または乱数M2に起因する特別図柄の図柄変動ゲームの実行中)に保留変化演出を行うか否かを判定する(以下、この判定を第三判定と称す)。
ここで事前判定情報とは、ここで述べた第三判定の判定結果を少なくとも包含する情報であり、第一判定または第二判定の判定結果は包含してもしなくてもよい。また、ここで保留変化演出とは保留表示の示唆態様を変化させる演出であり、示唆態様の変化を示唆する変化契機演出や待機態様の変化とは異なる概念である。
なお、ここで述べた第一判定が肯定される場合には第三判定が肯定されやすく、第一判定が否定される場合には第三判定が否定されやすくなっている。すなわち、当選値である乱数M1または乱数M2が保留記憶された場合には、保留変化演出が行われやすくなっている。
【0060】
当否抽選部131は、第1始動口58または第2始動口59への遊技球の入球を契機として取得された乱数M1または乱数M2を用いて大当り遊技の当否抽選を行う。なお、当否抽選部131による当否抽選の当選確率は一例に限らず、適宜変更可能である。
ここで「入球を契機として当否抽選を行う」とは、入球を検知することを一つの条件として、その後に当否抽選が実行されうることをいう。すなわち、入球が検知されたとしても、必ずしも当該当否抽選が実行されなくてもよい。例えば、保留されている乱数M1の数が保留上限数を超えた場合にカウントスイッチSW1によって検知された入球、または保留されている乱数M2の数が保留上限数を超えた場合にカウントスイッチSW2によって検知された入球は、当否抽選の条件にはならない。
【0061】
特図選択部132は、当否抽選部131による当否抽選の結果に基づいて、特別図柄表示部91に表示させる特別図柄を選択する。
特図選択部132によって選択された特別図柄は、特別図柄による図柄変動ゲームの実行中に、後述する特別図柄表示制御部151によって特別図柄表示部91に表示される。
なお、特図選択部132による選択には、当否抽選に用いられた乱数と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって一意に決定される態様も含まれる。
【0062】
<普図抽選について>
遊技機10は、普図保留制御部116と、普図抽選制御部170と、普通電役制御部180と、を備える。
普図抽選制御部170は普通図柄による図柄変動ゲームを司り、開放抽選部171と普図選択部172とを有する。また、普通電役制御部180は、普通電動役物61を制御する機能である。
【0063】
普図保留制御部116は、カウントスイッチSW3によって作動ゲート63の入賞が検知されると、乱数M3を取得して専用の記憶領域に格納(保留記憶)させる。ここで乱数M3は、開放抽選部171による抽選に用いられる乱数である。保留可能な乱数M3の上限数である保留上限数は予め定められている。
普図保留制御部116は、普図抽選制御部170が普通図柄による図柄変動ゲームに係る制御を行っていないとき、保留されている乱数M3を所定の周期で読み出す。
【0064】
普図保留制御部116は保留されている乱数M3の数を監視している。また、普図保留制御部116は、監視している乱数M3の数を、図柄表示器90に表示させるように図柄表示制御部150に指令を出してもよいし、演出表示器80に表示させるように情報伝送部110を介して演出制御部210に指令を出してもよい。
【0065】
開放抽選部171は、普図保留制御部116によって取得された乱数M3を用いて、普通電動役物61を開放状態に遷移させるか否かの開放抽選を行う。なお、開放抽選部171による開放抽選の当選確率は、通常遊技状態であるときは変短状態であるときより低くなっており、変短状態であるときは通常遊技状態であるときより高くなっている。
開放抽選部171による開放抽選に当選したとき、普通電役制御部180はアクチュエータAC1を作動させて所定の開放条件で普通電動役物61を開放させる。
【0066】
普図選択部172は、開放抽選部171による開放抽選の当否結果に基づいて普通図柄を選択し、選択された普通図柄を普通図柄表示制御部153によって普通図柄表示部93に表示させる。普通図柄表示部93に対応している二つのLEDは一方が当選、一方が落選に対応しており、普通図柄表示制御部153は普図選択部172が選択した普通図柄に従っていずれか一方を発光させる。
なお、ここでいう選択とは、特図選択部132による選択と同様に、開放抽選部171による抽選に用いられた乱数M3と、予め用意されている特別図柄の種類が同数であって一意に決定される態様も含まれる。
【0067】
普通電役制御部180は、変短制御部143によって変短状態が付与されているとき、開放状態をとる時間が単位時間あたりで増加するように普通電動役物61を制御する。すなわち、普通電役制御部180の制御は、後述する変短制御部143による変短状態の付与に起因して変動する。
【0068】
<遊技状態制御について>
遊技状態制御部140は大当り遊技、確変状態または変短状態を制御し、確変制御部141、変短制御部143または大当り制御部145を有している。
【0069】
確変制御部141は、確変状態の付与条件が成立したときに通常遊技状態から確変状態へ、または確変状態の解除条件が成立したときに確変状態から通常遊技状態へと移行させることができる。ここで確変状態とは、特別図柄による図柄変動ゲームにおける当選確率が通常遊技状態より高確率になることをいう。
【0070】
確変状態の方式は、一般的にループ方式・ST方式・転落抽選方式の三種類に大別される。本実施形態における確変制御部141は、これらの三種類の確変状態のいずれを付与する態様であってもよい。
ループ方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行し、少なくとも次回大当りまで継続する確変をいう。従って、ループ方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることである。
ST方式の確変とは、「スペシャルタイム確変」あるいは「回数切り確変」等とも称され、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変状態に移行した後、所定回数の図柄変動ゲームのうちに大当り抽選に当選しない場合に、通常遊技状態に移行する確変をいう。従って、ST方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることに加えて、所定回数の図柄変動ゲームが行われることが含まれる。
転落抽選方式の確変とは、確変大当りに係る大当り遊技の後に確変に移行した後に行われる図柄変動ゲームにおいて確変状態から通常遊技状態へ転落するか否かを抽選(転落抽選)し、転落抽選に当選した場合に通常遊技状態へ移行する確変をいう。従って、転落抽選方式の確変の場合、確変状態の解除条件は次回大当りが開始されることに加えて、転落抽選に当選することが含まれる。
【0071】
確変状態の付与条件は、一般的には(a)一部または全部の当り遊技を条件とする方式と、(b)当り遊技中に所定の領域(入賞口を含む)への遊技球の入球を条件とする方式と、が挙げられる。また、(a)の方式において確変状態の付与条件となる一部の当り遊技を選択する方式としては、特別図柄変動ゲームにて抽選される特別図柄によって決定する方式を採用することが多い。
なお、本実施形態における確変状態の付与条件は、(a)の方式を採用してもよく、(b)の方式を採用してもよい。
【0072】
変短制御部143は、変短状態の付与条件が成立したときに通常遊技状態から変短状態へと移行させ、変短状態の解除条件が成立したときに変短状態から通常遊技状態へと移行させる機能である。
なお、本実施形態における変短状態の付与条件は、確変状態の付与条件と共通であってもよいし異なってもよい。また、本実施形態における変短状態の解除条件は、確変状態の解除条件と共通であってもよいし異なってもよい。すなわち、確変状態が付与される期間と変短状態が付与される期間は、共通であってもよいし異なってもよい。
【0073】
変短状態とは、(i)普通電動役物の開放抽選の当選確率が通常遊技状態より高確率になる、(ii)普通電動役物の一回当たりの開放時間が通常遊技状態より延長される、(iii)普通電動役物の開放抽選の当選に応じて普通電動役物が開放される回数が通常遊技状態より増加される、(iv)普通図柄表示部における一回あたりの変動表示時間が短縮される、の少なくとも一つが行われることをいう。
本実施形態において変短状態が付与された場合には、上記の四つのいずれも実行されるものとする。なお、上記の(ii)および(iii)の少なくとも一つが行われることを、一般的には"電チューサポート"または"電サポ"等と称する。
【0074】
大当り制御部145は、大当り遊技を制御する機能である。
本実施形態における大当り遊技は、具体的には以下のように実行される。
【0075】
まず、当否抽選部131によって大当り遊技に当選した場合、大当り遊技に対応する特別図柄が特図選択部132によって選択され、選択された特別図柄が特別図柄表示部91に停止表示された後(特別図柄による図柄変動ゲームが終了した後)に、大当り制御部145は大当り遊技を開始させる。
大当り遊技が開始されると、大当り制御部145は演出制御部210に大当り遊技の開始を示すオープニング演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従い所定時間(オープニング時間)にわたってオープニング演出を実行する。なお、オープニング演出において遊技者に右打ちを推奨する等して、大入賞口55に向かう第2流路Yへの遊技球の打ち出しを促すことが好ましい。
オープニング演出の終了後には、大入賞口55が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定回数(ラウンド回数)を上限として複数回行われる。ラウンド遊技では、大入賞口55が所定回数(例えば1回)開放される。また、開放された大入賞口55に規定個数の遊技球が入球した後、または規定時間(ラウンド遊技時間)が経過後に、大入賞口55が閉鎖されてそのラウンド遊技が終了する。
ラウンド遊技の終了後には、大入賞口55が所定の時間(インターバル時間)だけ閉鎖され、次のラウンド遊技の開始と共に再び大入賞口55が開放される。
【0076】
大当り制御部145は、前段で述べたように制御するために、ラウンド回数・ラウンド遊技時間・インターバル時間等を制御情報として含む指令を特別電役制御部190に伝送する。
特別電役制御部190は、大当り制御部145から受けた指令に従って、アクチュエータAC2を作動させて特別電動役物65を開放させる。また、特別電役制御部190は、特別電動役物65を開放させている間、1回のラウンド遊技中に大入賞口55に入球した遊技球の個数をカウントスイッチSW4の検知に基づいて監視している。そして、特別電役制御部190は、入球した遊技球が上限数に達したとき、アクチュエータAC2を作動させて特別電動役物65を閉鎖させる。
【0077】
大当り制御部145は、演出制御部210にラウンド遊技中に係る演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従ってラウンド演出を実行する。
規定のラウンド回数が終了すると、大当り制御部145は情報伝送部110を介して演出制御部210に大当り遊技の終了を示すエンディング演出に関する指令を出す。演出制御部210は大当り制御部145の指令に従い所定時間(エンディング時間)にわたってエンディング演出を実行し、大当り制御部145は大当り遊技を終了させる。
【0078】
<払出制御について>
遊技機10は、上球受け皿27に連通している払出機構部70を制御し、上球受け皿27へ賞球を払い出すことができる払出制御部230を備える。
より詳細には、主制御部100は、各カウントスイッチ(カウントスイッチSW1、カウントスイッチSW2、カウントスイッチSW4、カウントスイッチSW5)による入賞検知に応じて所定の賞球を払い出すように払出制御部230に対して指令を出力する。そして、払出制御部230は、主制御部100から受け付けた指令に基づいて払出機構部70を制御する。なお、払出機構部70は中枠(図示せず)の後方に配設されており、前枠20が閉じた状態では視認することができない。
各カウントスイッチに対して予め設定されている所定の賞球の数は、実施の態様に合わせて適宜設定してもよく、一例に限られない。
【0079】
<図柄変動ゲームと演出図柄の変動表示について>
遊技機10は、図柄表示制御部150と、演出制御部210と、変動パターン処理部160と、を備える。
図柄表示制御部150は、特別図柄による図柄変動ゲームの結果である特別図柄、または普通図柄による図柄変動ゲームの結果である普通図柄、を図柄表示器90に表示させる。
演出制御部210は、主に特別図柄による図柄変動ゲームや大当り遊技に関する演出表示を演出表示器80に表示させる。特に、特別図柄による図柄変動ゲームの実行中に関していえば、演出制御部210に含まれる演出図柄変動制御部211は、特別図柄表示部91における特別図柄による図柄変動ゲームの変動時間に合わせて、演出表示器80の表示領域の一部である演出図柄変動領域85に、演出図柄の変動表示を行っている。換言すれば、演出図柄変動制御部211は、特別図柄表示部91における一回の特別図柄による図柄変動ゲームと、演出図柄変動領域85における一回の演出表示とを、原則として対応付けて実行する。
【0080】
前段で述べた特別図柄による図柄変動ゲームと演出図柄の変動表示との対応性を担保するため、変動パターン処理部160は変動パターンを定める。
より詳細には、変動パターン処理部160は、特別図柄による図柄変動ゲームにて特別図柄が変動する時間を示す変動時間情報を少なくとも含む変動パターンを定め、変動パターンを含む指令を図柄表示制御部150(特別図柄表示制御部151)または演出制御部210(演出図柄変動制御部211)に出力する。このとき、変動パターン処理部160は、事前判定部118による判定結果、特に演出内容に関する決定条件の判定(第二判定)の結果を参照して変動パターンを定めてもよい。
特別図柄表示制御部151は変動パターンに応じて特別図柄による図柄変動ゲームを実行し、また演出図柄変動制御部211は変動パターンに応じて演出図柄の変動表示を実行することによって、これらの対応性を担保している。
【0081】
なお、上記の説明において、演出制御部210は、演出表示器80(メイン表示部81、上サブ表示部82、左サブ表示部83、右サブ表示部84)の演出表示を制御する旨を説明したが、その他に照明装置35による点灯(点滅)演出、またはスピーカ33による音声演出についても制御することができ、これらの演出表示、点灯演出、音声演出等を組み合わせて遊技者の興趣を喚起することができる。
また、演出制御部210は、ボタン37にて受け付けた遊技者の操作に応じて各種演出を可変に切り替えることもできる。
また、演出制御部210は、上サブ表示部82、左サブ表示部83または右サブ表示部84の移動制御を実行することができ、さらに
図5では図示していないが、いわゆる装飾可動体の移動制御を実行することができてもよい。
【0082】
また、上記の説明において、変動パターン処理部160によって定められる変動パターンは変動時間情報を少なくとも含む旨を説明した。この他にも、変動パターンには、リーチ演出をするかバラケ目にするかを示す情報やリーチ演出の種別を示す情報等が含まれてもよい。
【0083】
<保留表示と変化契機演出について>
遊技機10は、保留表示制御部214と、変化契機演出制御部212(変化契機演出制御手段)と、を備える。
保留表示制御部214は、特図保留制御部115によって取得された大当り判定用乱数(乱数M1または乱数M2)に基づく保留表示を保留表示領域86に表示させる。ここで「取得された大当り判定用乱数に基づく保留表示」には、大当り判定用乱数から直接的に保留表示が導出されることに限らず、大当り判定用乱数の取得時(始動条件の成立時)に大当り判定用乱数に基づいて導出された他のデータを用いて保留表示が導出されることも含まれる。
変化契機演出制御部212は、いずれかの待機態様で表示されている保留表示が変化されうる旨を示唆する複数とおりの変化契機演出を、一回の特別図柄による図柄変動ゲームの期間内に一または複数の保留表示に対して実行しうる。以下の説明において、変化契機演出制御部212が変化契機演出に関する(示唆態様が変化する可能性を示唆する)演出画像を表示する表示領域を演出表示領域88と呼称する。
【0084】
図11から
図30は、上記の保留表示または変化契機演出に関連する図である。これらの図面を用いて、保留表示または変化契機演出について説明する。
図11は、本実施形態における保留表示の表示例を示す図である。
図11に示すとおり、本実施形態における保留表示はモグラを模したキャラクター(以下、単にモグラと称する)によって構成されており、モグラは4箇所の穴86a〜穴86dのいずれかから頭を出したり引っ込めたりする。本実施形態における穴とは、遊技者が穴と認識できるように表示されている演出画像であって、物理的な空洞を意味するものではない。
モグラは、先に保留記憶された乱数に対応するものほど左側の穴に表示され、後に保留記憶された乱数に対応するものほど右側の穴に表示される。また、図柄変動ゲームが実行されるごとに、穴86aに表示されているモグラが保留表示領域86から消滅し、消滅したモグラを埋めるように穴86b〜穴86dに表示されているモグラが左側にスライドして表示される。
なお、
図11でモグラが表示される穴を4つ図示しているが、これは第1始動口58または第2始動口59における保留記憶の上限数が4つであることに対応している。上述した8個保留タイプの遊技機で本発明を実施する場合には、この穴に相当する表示を8箇所に設けてもよい。
【0085】
既に述べたように、本実施形態における保留表示の待機態様はモグラの動作によって表示され、具体的には以下の4パターンが存在する。
(i)一回の演出図柄の変動表示にわたってモグラが頭を引っ込めている(
図11の穴86aに表示されるモグラ)。この待機態様を「没態様」と称する。
(ii)一回の演出図柄の変動表示にわたってモグラが頭を出している(
図11の穴86bに表示されるモグラ)。この待機態様を「出態様」と称する。
(iii)一回の演出図柄の変動表示の少なくとも一部においてモグラが寝ている(
図11の穴86cに表示されるモグラ)。この待機態様を「睡眠態様」と称する。
(iv)一回の演出図柄の変動表示の中でモグラが頭を出したり引っ込めたりする(
図11の穴86dに表示されるモグラ)。この待機態様を「移動態様」と称する。
なお、本実施形態におけるモグラの動作は、保留表示領域86の表示領域内で行われるものとするが、この態様に限定される必要はない。すなわち、保留表示の待機態様の変化を示す表示は、保留表示領域86の表示領域から外れて演出図柄変動領域85の一部に及んでもよい。
【0086】
本実施形態において、上記の(i)の待機態様(没態様)で表示されているモグラは、その待機態様で表示されている間は、モグラの色彩(示唆態様)が変化しないようになっている。
また、本実施形態において、上記の(ii)(iii)または(iv)の待機態様(出態様、睡眠態様、移動態様)で表示されているモグラは、その待機態様で表示されている間に、モグラの色彩(示唆態様)が変化する可能性があるようになっている。
【0087】
図12から
図15は、保留表示に対して行われる変化契機演出の表示例を示す図である。本実施形態における変化契機演出の種別には、以下の4つが含まれる。
(i)演出表示領域88にハンマーを持った男の子88aが登場し、一のモグラの頭にハンマーを振り落とす(
図12参照)。
(ii)演出表示領域88にハンマーを持った鬼88bが登場し、一のモグラの頭にハンマーを振り落とす(
図13参照)。
(iii)演出表示領域88に気球に乗った男の子88cが登場し、一のモグラの頭に爆弾を落とす(
図14参照)。
(iv)演出表示領域88にモグラの好物であるミミズ88dが一または複数のモグラの前を通過する(
図15参照)。
【0088】
なお、
図12から
図15に図示される変化契機演出の演出表示領域88は、いずれも穴86aを対象として実行されることを想定して図示されているが、他の穴(穴86b〜穴86d)を対象として変化契機演出が実行される場合には、各穴の近傍または各穴を包含する位置に演出表示領域88が設けられる。
本実施形態における変化契機演出では、ハンマーを持った男の子88aやハンマーを持った鬼88bが表示される演出表示領域88に比べて、気球に乗った男の子88cと落とす爆弾が表示される演出表示領域88が広くなっている。
また、本実施形態における変化契機演出では、ミミズ88dが表示される演出表示領域88は、保留表示領域86と略同一の広さになっている。
また、本実施形態における変化契機演出では、ミミズ88dが表示される演出表示領域88は複数の穴(穴86a〜穴86d)に跨がっており、他の変化契機演出における演出表示領域88では単一の穴を包含している。すなわち、ミミズ88dが登場する変化契機演出は一回の実行において複数の保留表示を対象としうるのに対して、他の変化契機演出は単一の保留表示を対象としている点において異なる。
上述した各変化契機演出における演出表示領域88の範囲は例示であって、図示された態様に限られない。すなわち、演出表示領域88の範囲は変化契機演出の態様に応じて適宜変更してもよい。
【0089】
変化契機演出が成功パターンで実行された場合、それを契機として保留表示の示唆態様(モグラの色彩)が変化するようになっている。また、変化契機演出には失敗パターンとガセパターンとが含まれており、変化契機演出が失敗パターンまたはガセパターンで実行された場合には保留表示の示唆態様は変化しないようになっている。
【0090】
上述した4種別の変化契機演出は、それぞれ成功パターンになる可能性、すなわち保留表示の示唆態様が変化する変化可能性が異なる。例えば、ハンマーを持った男の子88aが登場する変化契機演出における変化可能性より、ハンマーを持った鬼88bがモグラの頭を叩く変化契機演出における変化可能性の方が高くなっている。また、ハンマーを持った鬼88bがモグラの頭を叩く変化契機演出における変化可能性より、気球に乗った男の子88cがモグラの頭に爆弾を落とす変化契機演出の方が高くなっている。
【0091】
また、上述した4種別の変化契機演出の少なくとも一部は、モグラの動作(保留表示の待機態様)によって相性の良し悪しがある。例えば、ハンマーを持った男の子88aは、寝ているモグラを叩きやすく(成功パターンになりやすい)、頭を出したり引っ込めたりするモグラを叩きにくい(成功パターンになりにくい)。また、ミミズ88dがモグラの前を通過する場合、寝ているモグラはミミズ88dを食べにくく(成功パターンになりにくい)、頭を出したり引っ込めたりするモグラはミミズ88dを食べやすい(成功パターンになりやすい)。このように、変化契機演出と待機態様との組み合わせによって、当該変化契機演出が成功パターンになりやすいか否かが、異なることがある。また、具体的には後述するが、待機態様のパターンにかかわらず成功パターンのなりやすさが互いに等しい変化契機演出の種別もある。
【0092】
以下、成功パターン・失敗パターン・ガセパターンがそれぞれ実現する場面について詳細に説明した上で、変化契機演出と待機態様との組み合わせについて詳細に説明する。
まず、成功パターンの変化契機演出について説明する。ここでは、ハンマーを持った男の子88aが登場して、穴86aに表示されているモグラ89aの頭にハンマーを振り落とす変化契機演出を事例として詳細に説明する。
図16は、成功パターンにおけるタイムチャートの一例を示す図である。また、
図16における「s」とは、秒を意味する。ここでハンマーを持った男の子88aの有無とは、ハンマーを持った男の子88aがメイン表示部81に表示されているか否かを意味している。すなわち、ハンマーを持った男の子88aが有りである期間が、ハンマーを持った男の子88aに関する変化契機演出を実行している期間に等しい。
また、ここで、モグラ89aの出没とは、モグラ89aが穴86aから頭を出しているか引っ込んでいるかを意味している。
また、
図16において網掛けしている箇所は、ハンマーを持った男の子88aがハンマーを振りかぶって振り下ろすアクションを行う期間(以下、アクションAと称す)を示している。
図17から
図20は、タイムチャートの各時点におけるメイン表示部81の表示態様を示す図である。
【0093】
図16のタイムチャートの冒頭(0s)時点におけるメイン表示部81の表示態様を
図17に示す。タイムチャートにおいて「s」は「秒」を表している。
演出図柄変動領域85では、上段・中段・下段において右から左に向けて演出図柄がスクロールしている。これらのスクロールについては、
図17並びに他の図面において、右から左に向かう矢印によって簡略的に図示する。
ここでは、二つの保留表示(モグラ89aとモグラ89b)が保留表示領域86に表示されている状態を想定する。モグラ89aは頭を引っ込めている状態で穴86aに表示されており、モグラ89bは頭を引っ込めている状態で穴86bに表示されている。穴86cと穴86dには保留表示が表示されていない、すなわち
図17に示す時点において特図保留制御部115によって保留記憶されている大当り判定用乱数(乱数M1または乱数M2)は二つである。
【0094】
図16のタイムチャートの1s時点におけるメイン表示部81の表示態様を
図18に示す。
図18に示すように、モグラ89aの近傍にハンマーを持った男の子88aが表示される変化契機演出が開始されたものとする。このとき、ハンマーを持った男の子88aは、保留表示領域86と演出図柄変動領域85とを跨ぎ、かつ穴86aを包含する演出表示領域88に表示される。
【0095】
図16のタイムチャートの3s時点または4s時点におけるメイン表示部81の表示態様を
図19または
図20に示す。
図16または
図19に示すように、3s時点の直前において穴86aからモグラ89aの頭が出ている状態に変化している。ハンマーを持った男の子88aは3s時点からハンマーを振りかぶり始め、4s時点でハンマーを振り下ろす。
図16または
図20に示すように、4sの時点においてモグラ89aは未だ穴86aから頭を出しているので、ハンマーを持った男の子88aが振り下ろしたハンマーはモグラ89aの頭を叩くことができ、それを契機としてモグラ89aの色彩(示唆態様)が変化する。
【0096】
次に、失敗パターンの変化契機演出について説明する。
図21は、失敗パターンにおけるタイムチャートの一例を示す図である。また、
図21における「s」とは、
図16と同様に秒を意味する。
図21において網掛けしている箇所は、
図16と同様にアクションAを行う期間を示している。
図22は、
図21に図示するタイムチャートの4s時点におけるメイン表示部81の表示態様を示す図である。なお、
図21のタイムチャートにおける0s時点、1s時点、3s時点におけるメイン表示部81の表示態様は、
図17から
図19に図示している表示態様と同じであるため、図示および説明を省略する。
【0097】
図21のタイムチャートの4s時点におけるメイン表示部81の表示態様を
図22に示す。
図21または
図22に示すように、4sの時点においてモグラ89aは穴86aの中に頭を引っ込めているので、ハンマーを持った男の子88aが振り下ろしたハンマーはモグラ89aの頭を叩くことができずに転んでしまう。従って、モグラ89aの色彩(示唆態様)は維持される。
【0098】
次に、ガセパターンの変化契機演出について説明する。
図23は、ガセパターンにおけるタイムチャートの一例を示す図である。また、
図23における「s」とは、
図16と同様に秒を意味する。
図24は、
図23に図示するタイムチャートの3s時点におけるメイン表示部81の表示態様を示す図である。なお、
図23のタイムチャートにおける0s時点、1s時点におけるメイン表示部81の表示態様は、
図17または
図18に図示している表示態様と同じであるため、図示および説明を省略する。
【0099】
図23のタイムチャートの3s時点におけるメイン表示部81の表示態様を
図24に示す。
図23に示すように、3s時点の直前において穴86aからモグラ89aの頭が出ている状態に変化している。また、
図23および
図24に示すように、ハンマーを持った男の子88aは何らアクションを起こすことなく、演出表示領域88から消滅する。従って、モグラ89aの色彩(示唆態様)は維持される。なお、
図24では、ハンマーを持った男の子88aが消滅する瞬間を、ハンマーを持った男の子88aを破線で描画することによって図示している。
【0100】
上記のように失敗パターンおよびガセパターンは、最終的に保留表示の示唆態様が維持される点においては共通している。一方、失敗パターンおよびガセパターンは、示唆態様が変化しない旨が確定的になるタイミング(遊技者が失望するタイミング)については異なる。
このように、示唆態様が変化しない旨を遊技者に示す表示態様が複数とおり存在し、その旨が確定的になるタイミングが異なるので、多彩な遊技興趣を喚起させることができる。
【0101】
ところで、上述した変化契機演出と保留表示の示唆態様(モグラの色彩)の変化について時系列で整理すると次のようになる。
まず、演出図柄変動領域85で演出図柄の変動表示が行われる。この場合、保留表示領域86ではモグラが上記のいずれかの動作(待機態様)で待機している。
次に、演出図柄の変動表示中の一部において一または複数のモグラに対して変化契機演出が演出表示領域88で実行される。この変化契機演出が成功パターンである場合、これを契機としてモグラの色彩が変化する。また、変化契機演出が失敗パターンまたはガセパターンである場合、モグラの色彩は維持される。
【0102】
なお、本実施形態では、一回の演出図柄の変動表示にわたってモグラが頭を引っ込めている待機態様(没態様)で表示されている場合、当該モグラの色彩が変化しないように設定されている。すなわち、当該モグラの色彩が変化する場合には、必ず他の待機態様(出態様、移動態様、睡眠態様)を表示させた後に、モグラの色彩が変化する。
このように、保留表示の動作変化や色彩変化、またはその周辺で行われる変化契機演出が段階的に行われるので、遊技者は各段階において多様な興趣を得ることができる。
なお、上記のような時系列でモグラの動作変化(待機態様の変化)、変化契機演出の実行、およびモグラの色彩変化(示唆態様の変化)、が行われるので、待機態様は示唆態様が変化する可能性を示唆する演出であると共に、変化契機演出が実行される可能性を示唆する演出(変化契機演出の予兆演出)であるともいえる。
【0103】
なお、変化契機演出の予兆演出として、上記のような待機態様の変化以外にも、例えば特別図柄による図柄変動ゲームが開始した時点から変化契機演出が実行される時点までの間に、変化契機演出の実行を示唆する他の演出を実行してもよい。
【0104】
ところで、変化契機演出において成功パターンが実現する可能性、すなわち変化契機演出によって示唆態様が変化する変化可能性は、変化契機演出と待機態様との組み合わせによって、互いに異なる場合や等しい場合がある。以下、これらの組み合わせについて詳細に説明する。
【0105】
(1)第一場面
図25は、第一場面の表示例を示す図である。第一場面では、保留表示は睡眠態様のモグラ89aであり、変化契機演出は当該モグラ89aの前を通過するミミズ88dである。
ここで、本実施形態において、ミミズ88dによる変化契機演出(第一の変化契機演出)では、モグラ89aが没態様の場合、または、モグラ89aが睡眠態様の場合には、当該変化契機演出は失敗パターンとなる。
第一場面では、
図25の上段に示すように睡眠態様のモグラ89aの前にミミズ88dが位置しても、同図の下段に示すように睡眠態様のモグラ89aはミミズ88dの存在に気づかず、モグラ89aはミミズ88dを捕食しないため、当該モグラ89aの示唆態様は変わらない。すなわち、第一場面では、変化契機演出は失敗パターンとなる。
【0106】
(2)第二場面
図26は、第二場面の表示例を示す図である。第二場面では、保留表示は移動態様のモグラ89aであり、変化契機演出は当該モグラ89aの前を通過するミミズ88dである。
ここで、本実施形態において、ミミズ88dによる変化契機演出(第一の変化契機演出)では、モグラ89aが出態様、かつ、モグラ89aがミミズ88dに食いつく場合、または、モグラ89aが移動態様、かつ、モグラ89aが穴86aから頭を出す、かつ、モグラ89aがミミズ88dに食いつく場合には、当該変化契機演出は成功パターンとなる。
第二場面では、
図26の上段に示すように移動態様のモグラ89aの前にミミズ88dが登場すると、同図の下段に示すようにモグラ89aが穴86aから頭を出したタイミングでミミズ88dが当該モグラ89aの前に位置すると、当該モグラ89aはミミズ88dを捕食して当該モグラ89aの示唆態様が変わりうる。すなわち、第二場面では、第一場面と比して、変化契機演出が成功パターンとなりやすい。
【0107】
ここで、「第一の変化契機演出」をミミズ88dとし、「一の待機態様」を睡眠態様とし、「他の待機態様」を移動態様とする。
すると、一の待機態様で表示される保留表示(睡眠態様で表示されるモグラ89a)に対して第一の変化契機演出(ミミズ88d)が実行される第一場面(
図25参照)と、他の待機態様で表示される保留表示(移動態様で表示されるモグラ89a)に対して第一の変化契機演出(ミミズ88d)が実行される第二場面(
図26参照)と、では保留表示の示唆態様が変化する変化可能性が異なる、といえる。より詳細には、第二場面(
図26参照)における変化可能性が、第一場面(
図25参照)における変化可能性より高い。
この特徴により、保留表示の待機態様と変化契機演出との組合せによって保留表示の示唆態様が変化する可能性が異なるので、保留表示自体に現れる変化と保留表示に対して行われる演出とが相乗的に作用し、保留表示変化の演出効果を従来以上に高めることができる。
【0108】
(3)第三場面
図27は、第三場面の表示例を示す図である。第三場面では、保留表示は睡眠態様のモグラ89aであり、変化契機演出はハンマーを持った男の子88aである。
ここで、本実施形態において、ハンマーを持った男の子88aによる変化契機演出では、モグラ89aが出態様の場合、モグラ89aが移動態様、かつ、モグラ89aが穴86aから頭を出す場合、または、モグラ89aが睡眠態様の場合には、当該変化契機演出は成功パターンとなる。
第三場面では、
図27の上段に示すように睡眠態様のモグラ89aに対してハンマーを持った男の子88aが登場すると、同図の下段に示すようにハンマーを持った男の子88a振り落したがハンマーでモグラ89aの頭が叩かれて当該モグラ89aの示唆態様が変わる。すなわち、第三場面では、変化契機演出は成功パターンとなる。
【0109】
(4)第四場面
図28は、第四場面の表示例を示す図である。第四場面では、保留表示は移動態様のモグラ89aであり、変化契機演出はハンマーを持った男の子88aである。
ここで、本実施形態において、ハンマーを持った男の子88aによる変化契機演出では、モグラ89aが没態様の場合、または、モグラ89aが移動態様、かつ、モグラ89aが穴86aから頭を出さない場合には、当該変化契機演出は失敗パターンとなる。
第四場面では、
図28の上段に示すように移動態様のモグラ89aの前にハンマーを持った男の子88aが登場し、同図の下段に示すように当該ハンマーを持った男の子88aがハンマー振り落したときに、当該モグラ89aの頭が穴86a内に没していると、当該モグラ89aの頭はハンマーで叩かれず、当該モグラ89aの示唆態様が変わらない。すなわち、第四場面では、第三場面と比して、変化契機演出は失敗パターンとなりやすい。
【0110】
ここで、「第一の変化契機演出」をミミズ88dとし、「第二の変化契機演出」をハンマーを持った男の子88aとし、「一の待機態様」を睡眠態様とし、「他の待機態様」を移動態様とする。
すると、一の待機態様で表示される保留表示(睡眠態様で表示されるモグラ89a)に対して第二の変化契機演出(ハンマーを持った男の子88a)が実行される第三場面(
図27参照)における変化可能性が、他の待機態様(移動態様で表示されるモグラ89a)で表示される保留表示に対して第二の変化契機演出(ハンマーを持った男の子88a)が実行される第四場面(
図28参照)における変化可能性より高い。また、上述したように、第二場面(
図26参照)における変化可能性が、第一場面(
図25参照)における変化可能性より高い。
この特徴により、一の待機態様と他の待機態様との間で、当該保留表示の示唆態様が変化契機演出により変化する可能性の高低関係が、当該変化契機演出の種別によって逆の関係になりうる。このため、遊技者にとっては実際に変化契機演出が実行されるまでは、示唆態様の変化可能性を予測しにくく、結果として保留表示変化に関心が集中するので、保留表示変化の演出効果がより大きくなる。
【0111】
(5)第五場面
図29は、第五場面の表示例を示す図である。第五場面では、保留表示は睡眠態様のモグラ89aであり、変化契機演出は気球に乗った男の子88cである。
ここで、本実施形態では、気球に乗った男の子88cによる変化契機演出(第三の変化契機演出)では、投下された爆弾が爆発しない場合には、当該変化契機演出は失敗パターンとなる。また、爆弾が投下されない場合には、当該変化契機演出はガセパターンとなる。また、投下された爆弾が爆発した場合には、当該変化契機演出は成功パターンとなる。
第五場面では、
図29の上段に示すように睡眠態様のモグラ89aの上方に気球の乗った男の子88cが登場した後、同図の下段に示すようにモグラ89aの頭上には気球に乗った男の子88cによって爆弾が投下され、当該モグラ89aの示唆態様が変わりうる。上述したように、気球に乗った男の子88cは、示唆態様の変化可能性が高く設定されているので、第五場面では、変化契機演出は成功パターンとなりやすい。
【0112】
(6)第六場面
図30は、第六場面の表示例を示す図である。第六場面では、保留表示は移動態様のモグラ89aであり、変化契機演出は気球に乗った男の子88cである。
第六場面では、
図30の上段に示すように移動態様のモグラ89aの上方に気球の乗った男の子88cが登場した後、同図の下段に示すようにモグラ89aの頭上には気球に乗った男の子88cによって爆弾が投下され、当該モグラ89aの示唆態様が変わりうる。ハンマーを持った男の子88aやハンマーを持った鬼88bによる変化契機演出の場面と比して、第六場面では、変化契機演出は成功パターンとなりやすい。上述したように、成功パターンの変化契機演出は、待機態様に依存せずに実現する。従って、第五場面と第六場面とは共に気球に乗った男の子88cによる変化契機演出が実行される場面であり、両場面における成功パターンになりやすさは等しい。
【0113】
ここで、「第三の変化契機演出」を気球に乗った男の子88cとし、「一の待機態様」を睡眠態様とし、「他の待機態様」を移動態様とする。
すると、一の待機態様で表示される保留表示に対して第三の変化契機演出が実行される第五場面における変化可能性と、他の待機態様で表示される保留表示に対して第三の変化契機演出が実行される第六場面における変化可能性と、が互いに等しい、といえる。
ここで、変化契機演出制御部212(変化契機演出制御手段)は、第三の変化契機演出を実行する頻度が、第一の変化契機演出を実行する頻度より低くなっているとする。
このように第三の変化契機演出が希少な(実行されにくい)演出である場合、当該第三の変化契機演出が示唆する可能性の信頼度が保留表示の待機態様の種別によって変動してしまうと、遊技者の興趣を削いでしまう場合もありうる。従って、第三の変化契機演出が示唆する可能性については、保留表示の待機態様にかかわらず等しいものとすることで、遊技者の興趣を削いでしまうことが防止される。
【0114】
<各種処理の処理手順について>
次に、上記で説明した各種処理の処理手順について、
図7から
図10を用いて説明する。なお、上述した
図1から
図3に図示されている各構成要素や
図4、
図5に図示されている各構成要素に触れて説明する場合があるので、これらの図面も適宜参照されたい。
【0115】
図7は、入球時処理の処理手順を示すフローチャートである。
図8は、入球時における保留表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
図9は、図柄変動開始処理の処理手順を示すフローチャートである。
図10は、図柄変動時における保留表示処理の処理手順を示すフローチャートである。
なお、これらのフローチャートで図示される処理手順は、本発明の処理手順やその実行タイミングを限定するものではない。このため、本発明に関する処理を実施するときには、その複数の処理手順は内容的に支障のない範囲で変更することができ、また複数の処理の実行タイミングの一部または全部が互いに重複していてもよい。
また、
図7から
図10で図示される各処理は、本発明の説明に必要な主たる処理であって、遊技機10によって実行される全ての処理を示すものではない。
【0116】
まず、入球時処理について説明する。ここで入球時処理とは、第1始動口58または第2始動口59に対して遊技球が入球した後に実行される一連の処理である。
第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されるまで(ステップS102のNO)、ステップS104以降の処理は行われないまま待機となる。
また、第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されたとしても(ステップS102のYES)、特図保留制御部115による保留数が上限に達していれば(ステップS104のYES)、ステップS106以降の処理は行われないまま待機となる。
【0117】
第1始動口58または第2始動口59への入球が検知されて(ステップS102のYES)、かつ特図保留制御部115による保留数が上限に達していないとき(ステップS104のNO)、特図保留制御部115による保留数が加算される(ステップS106)。また、特図保留制御部115によって乱数M1または乱数M2が取得されて、専用の記憶領域に保留記憶される(ステップS108)。
すなわち、ステップS102の肯定とステップS104の否定とが、上記の始動条件の成立を意味する。
【0118】
次に、乱数M1または乱数M2が保留されたことを契機として、事前判定部118によって事前判定処理(ステップS110)が行われる。
事前判定処理が実行されるとき、事前判定部118は、保留記憶された乱数M1または乱数M2に起因して大当り遊技に当選するか否かおよびその乱数に対して保留変化演出を行うか否かを判定し、その判定結果を示す事前判定情報を生成する。
本実施形態における事前判定部118は、上述の第一判定、第二判定または第三判定に用いられる判定テーブルを有しており、当該判定テーブルに基づいて各判定処理を行う。なお、第一判定に用いられる判定テーブルには、当否抽選部131に用いられる抽選テーブルに格納されている当選値の少なくとも一部が格納されており、判定対象の乱数M1または乱数M2が当該判定テーブルに格納されている当選値と一致するか否かによって第一判定を実行することができる。
【0119】
ステップS102からステップS110までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS112)、その入球時処理は終了となる。
ステップS112にて出力されるコマンドには、例えば、ステップS110における事前判定部118の判定結果を示す事前判定情報が含まれる。
【0120】
次に、入球時における保留表示処理の処理手順について説明する。演出制御部210が、ステップS112において出力されたコマンドを入力した場合であって(ステップS402)、入力されたコマンドに含まれる事前判定情報が保留変化演出を行う旨の判定結果を示している場合(ステップS404のYES)、その保留変化演出が行われる乱数M1または乱数M2に対応している保留表示の色彩(示唆態様)の変化に関する判定を行う(ステップS406)。
また、入力されたコマンドに含まれる事前判定情報が保留変化演出を行わない旨の判定結果を示している場合(ステップS404のNO)、ステップS406の処理は行われないまま待機となる。
【0121】
ステップS406において、保留変化演出の対象となる保留表示に対して、保留表示期間の最初における当該保留表示の色彩、保留表示期間内に変化する回数、保留表示期間の最後(当該保留表示に対応する乱数に起因する図柄変動ゲームの直前)における当該保留表示の色彩等を設定してもよい。ここで挙げた設定内容は一例であり、ステップS406において事前判定情報(事前判定部118による判定結果)に基づいて設定される内容は適宜変更してもよい。
【0122】
次に、ステップS406で設定された色彩(保留表示期間の最初における保留表示の色彩)の保留表示を、保留表示制御部214は保留表示領域86に追加する(ステップS408)。このとき、保留表示領域86に含まれる穴86a〜穴86dのうち、保留表示が表示されていない穴であって、且つ最も左に位置する穴に新たな保留表示を追加する。
【0123】
続いて、図柄変動開始処理の処理手順について説明する。ここで図柄開始処理とは、特別図柄による図柄変動ゲームを開始させる際に行われる一連の処理である。
まず、特図抽選制御部130は、変動開始条件が成立しているか否かを判定する(ステップS202)。ここで変動開始条件とは、(i)ステップS202の判定時において特別図柄による図柄変動ゲームが実行されていないこと、(ii)ステップS202の判定時において大当り遊技が実行されていないこと、(iii)ステップS202の判定時において保留記憶が1個以上存在すること等が挙げられる。
ステップS202の判定が否定されるとき(ステップS202のNO)、ステップS204以降の処理は実行されずに、その開始処理は終了となる。
【0124】
ステップS202の判定が肯定されるとき(ステップS202のYES)、当否抽選部131は、特図保留制御部115に保留されている乱数M1または乱数M2を読み出す(ステップS204)。
ステップS204において、当否抽選部131は、特図保留制御部115に保留記憶されている順番で乱数M1または乱数M2を読み出してもよいし、一方を他方に優先して読み出してもよい。
【0125】
ステップS204で乱数が読み出されることを契機として各判定処理が実行される(ステップS206)。
ここでステップS206に含まれる処理としては、具体的には、上述した当否抽選部131による当否抽選や特図選択部132による特別図柄の選択が少なくとも含まれる。また、(i)変短状態が付与されているか否か、(ii)演出図柄をリーチ目で停止させるか否か、(iii)特定の演出を行うか否か等の判定処理が、ステップS206の処理に含まれてもよい。
【0126】
変動パターン処理部160は、ステップS206の処理結果を用いて変動パターンを決定する(ステップS208)。ステップS208における変動パターンに関する処理は、ステップS110における判定結果を参照して実行されてもよい。
【0127】
ステップS202からステップS208までの一連の処理結果を制御情報として含むコマンドが、情報伝送部110から演出制御部210に対して出力されて(ステップS210)、その図柄変動開始処理は終了となる。
ステップS210において出力されるコマンドには、例えば、ステップS206で実行された判定の処理結果を示す情報やステップS208で決定された変動パターンを示す情報、またはこれらに関連して実行される演出に用いられる情報等が含まれてもよい。
【0128】
次に、図柄変動時における保留表示処理の処理手順について説明する。
演出制御部210が、ステップS210において出力されたコマンドを入力した場合であって(ステップS502)、入力されたコマンドに基づいて行われる演出図柄の変動表示の実行中に示唆態様が変化する保留表示が存在しない場合(ステップS504のNO)、成功パターンとなる変化契機演出を実行する必要がないので、後述するステップS506の処理は行わずに、ステップS508に移行する。
【0129】
ステップS502で入力されたコマンドに基づいて行われる演出図柄の変動表示の実行中に示唆態様が変化する保留表示が存在する場合(ステップS504のYES)、ステップS506に移行する。ここで、変化契機演出制御部212は、示唆態様が変化する保留表示に対して実行される変化契機演出の成功パターンを決定する(ステップS506)。また、変化契機演出制御部212は、示唆態様が変化しない保留表示に対して実行される変化契機演出の失敗パターンまたはガセパターンを決定する(ステップS508)。ステップS506またはステップS508の処理には、具体的には上記の変化契機演出の種別および変化契機演出の実行タイミングを決定する処理が含まれる。
ステップS506またはステップS508の決定は、ステップS502において入力されたコマンドに含まれる変動パターンに基づいて行われる。すなわち、変化契機演出の実行時間が特別図柄表示部91で実行される図柄変動ゲームの実行時間に収まるように、変化契機演出制御部212は変化契機演出を決定する。
【0130】
続いて、保留表示制御部214は、変化契機演出の対象となる保留表示の待機態様(モグラの動作)を決定する(ステップS510)。
このとき、保留表示制御部214は、実行される変化契機演出のタイミングに基づいて、待機態様を変化させるタイミングを決定させる。変化契機演出のタイミングと待機態様を変化させるタイミングの事例については、上述したタイムチャート(
図16、
図21、
図23)で述べたとおりであり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0131】
上記のステップS502〜ステップS510に含まれる一連の処理の結果を反映した内容で、変化契機演出制御部212または保留表示制御部214は保留表示演出を実行する(ステップS512)。ここで保留表示演出とは、保留表示の示唆態様または待機態様を変化させる演出および保留表示の示唆態様または待機態様を維持させる演出を包含する概念である。そして、上述した第一場面乃至第六場面における変化契機演出および保留表示演出は、事前判定部118の判定結果に基づいて演出制御部210が
図10に示す保留表示処理(図柄変動時)を実行することで実現する。
【0132】
なお、示唆態様とは、上述したように「特典(大当り遊技)が付与される可能性」を示唆する表示態様である。ここで、「特典(大当り遊技)が付与される可能性」は、保留表示による演出として遊技者に提示するものであり、当該保留表示に対応する特別図柄による図柄変動ゲームにおいて実際に特典(大当り遊技)が付与される確率とは異なる概念である。
【0133】
<本発明の保留変化演出の効果について>
以上、本実施形態における遊技機10の構造、機能構成、処理手順について説明した。これらの説明を踏まえて、本発明の保留変化演出の効果について述べる。
本発明の保留変化演出は、特典付与の可能性を示唆するために色彩等(示唆態様)が変化するだけの単純な演出ではなく、示唆態様が変化する可能性を示唆する動作等(待機態様)の変化も伴う。待機態様は、図柄変動ゲームの実行時に変化する構成になっているので、「示唆態様が変化するかもしれない」という期待感を図柄変動ゲームの冒頭から遊技者は抱くことができる。
また、保留表示の待機態様と変化契機演出とが互いに示唆態様が変化する可能性を示唆しており、その組合せによって保留表示の示唆態様が変化する可能性が異なるので、保留表示自体に現れる変化と保留表示に対して行われる演出とが相乗的に作用し、保留表示変化の演出効果を従来以上に高めることができる。
【0134】
<本発明の変形例について>
ここまで
図1から
図30を用いて説明される実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
上記実施形態では、複数(4つ)の種別の変化契機演出を設けているが、1種別のみの変化契機演出を設けてもよい。また、上記実施形態では、動作を伴うキャラクターの画像を変化契機演出としているが、このような例に限られず、例えば保留表示に対して作用する何らかの画像等を変化契機演出としてもよい。
【0135】
また、上記実施形態では、一の待機態様と他の待機態様との間で、当該保留表示の示唆態様が変化契機演出により変化する可能性の高低関係が、当該変化契機演出の種別によって逆の関係になりうる変化契機演出が設けられている。具体的には、このような関係にある変化契機演出の組み合わせとしては、ハンマーを持った子88aとミミズ88dとの組み合わせ、および、ハンマーを持った鬼88bとミミズ88dとの組み合わせが挙げられる。すなわち、上記実施形態では、上述した逆の関係になりうる変化契機演出の一方のみについて複数種別設けられている。しかしながら、上述した逆の関係になりうる両方について複数種別設けてもよいし、両方について一種別のみ設けてもよい。
【0136】
また、上記実施形態では、変化契機演出が成功パターン、失敗パターン、またはガセパターンになることが、保留表示の待機態様等に依存する変化契機演出に加えて、それらに依存しない変化契機演出(気球に乗った男の子88c(第三の変化契機演出))が設けられており、当該変化契機演出を希少な(実行されにくい)演出であるとしているが、必ずしも希少な演出としなくてもよい。すなわち、保留表示の待機態様等に依存する変化契機演出を設けた上で、単にそれらに依存しない変化契機演出を設けるだけでもよい。これによれば、変化契機演出のバリエーションが増加するため、遊技の演出性がさらに高まる。
【0137】
上記実施形態では、主制御部100に含まれる事前判定部118が示唆態様の変化の有無を判定し、演出制御部210に含まれる各構成要素(変化契機演出制御部212、または保留表示制御部214)が具体的な保留変化演出の内容を決定する事例で説明したが、この態様に限られなくてもよい。
例えば、演出制御部210に含まれる構成要素が保留変化演出(示唆態様の変化)の有無を判定する変形例によって本発明が実施されてもよいし、本実施形態において演出制御部210で決定されている演出内容の一部を事前判定部118が決定してコマンド出力する変形例によって本発明が実施されてもよい。
【0138】
また、上記実施形態は、いわゆるパチンコ機を前提としてこれまで説明した。しかし、同様の保留変化演出をスロットマシンにおいて実行することも可能である。以下、スロットマシンに本発明を応用する変形例について説明するが、各構成要素の図示は省略する。
この場合、本発明の乱数取得手段は、遊技者による始動レバーの操作の検知を始動条件の少なくとも一つに含む。また、本発明の図柄表示制御手段は、始動条件の成立を契機として複数の図柄が表示されている複数のリールを回動させることによって図柄変動ゲームを行い、前記複数のリールを停止させることによって前記停止表示を行う。また、本発明の当否判定手段は、当選の判定がされた場合の少なくとも一部に起因して、遊技者にとって有利な有利遊技状態への移行を特典として判定する。また、本発明の保留表示制御手段は、有利遊技状態への移行を示唆する示唆態様を含む保留表示を保留表示領域に表示させる。当否判定手段によって有利遊技状態への移行が判定されている場合、特典付与手段は保留表示領域に保留表示を表示させている期間の後に有利遊技状態へ移行させる。
すなわち、保留表示制御手段は、有利遊技状態に移行する前に行われる前兆演出またはガセ前兆演出として本発明の保留変化演出を行うことができる。
なお、この変形例における有利遊技状態に該当する例として、具体的にはいわゆるビッグボーナス(役物連続作動装置)やアシストリプレイタイム(ART)等が挙げられる。
また、この変形例における保留表示に該当する例として、パチンコ機における保留玉を擬似して表示される演出画像が含まれる他、特典が付与される可能性が高い期間をカウントダウンするように示す数字図柄等も含まれる。
【0139】
本実施形態は以下の技術思想を包含する。
(1)始動条件の成立を契機として乱数を取得する乱数取得手段と、前記乱数取得手段によって取得された前記乱数を用いて当選の成否を判定する当否判定手段と、前記当否判定手段によって前記当選が判定された場合の少なくとも一部において、遊技者にとって有利な特典を付与する特典付与手段と、前記当否判定手段による判定結果を報知する図柄変動ゲームを実行する図柄表示制御手段と、取得された前記乱数に基づく保留表示を保留表示領域に表示させる保留表示制御手段と、を備え、前記保留表示制御手段は、前記特典が付与される可能性を示唆する複数とおりの示唆態様と、前記示唆態様が変化する可能性を示唆する複数とおりの待機態様と、が共に識別可能に前記保留表示を表示させ、さらに、いずれかの前記待機態様で表示されている前記保留表示の前記示唆態様が変化しうる旨を示唆する一または複数とおりの変化契機演出を、一または複数の前記保留表示に対して実行する変化契機演出制御手段を備え、一の前記待機態様で表示される前記保留表示に対して第一の前記変化契機演出が実行される第一場面と、他の前記待機態様で表示される前記保留表示に対して前記第一の変化契機演出が実行される第二場面と、では前記保留表示の前記示唆態様が変化する変化可能性が異なる遊技機。
(2)前記一の待機態様で表示される前記保留表示に対して第二の前記変化契機演出が実行される第三場面における前記変化可能性が、前記他の待機態様で表示される前記保留表示に対して前記第二の変化契機演出が実行される第四場面における前記変化可能性より高く、前記第二場合における前記変化可能性が、前記第一場面における前記変化可能性より高い(1)に記載の遊技機。
(3)前記一の待機態様で表示される前記保留表示に対して第三の前記変化契機演出が実行される第五場面における前記変化可能性と、前記他の待機態様で表示される前記保留表示に対して前記第三の変化契機演出が実行される第六場面における前記変化可能性と、が互いに等しい(1)または(2)に記載の遊技機。
(4)前記変化契機演出制御手段は、前記第三の変化契機演出を実行する頻度が、前記第一の変化契機演出を実行する頻度より低くなっている(3)に記載の遊技機。
(a)前記乱数取得手段は、遊技者による始動レバーの操作の検知を前記始動条件の少なくとも一つに含み、前記図柄表示制御手段は、前記始動条件の成立を契機として複数の前記図柄が表示されている複数のリールを回動させることによって前記図柄変動ゲームを行い、前記複数のリールを停止させることによって前記停止表示を行い、前記当否判定手段は、前記当選の判定がされた場合の少なくとも一部に起因して、遊技者にとって有利な有利遊技状態への移行を前記特典として判定し、前記保留表示制御手段は、前記有利遊技状態への移行を示唆する前記示唆態様を含む前記保留表示を前記保留表示領域に表示させ、前記当否判定手段によって前記有利遊技状態への移行が判定されている場合、前記特典付与手段は前記保留表示領域に前記保留表示を表示させている期間の後に前記有利遊技状態へ移行させる(1)に記載の遊技機。