【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24年度、総務省、79GHz帯レーダーシステムの高度化に関する研究開発の委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(各実施形態の内容に至る経緯)
先ず、本開示に係るレーダーシステムの実施形態を説明する前に、従来のレーダーシステムにおける課題について
図1から
図5を参照して説明する。
図1は、レーダーシステムからターゲットにレーダー送信信号を送信する様子を示す説明図である。
図2は、セクタレーダー#RD1から送信されたレーダー送信信号がセクタレーダー#RD2において受信された場合にセクタレーダー#RD2において生じる干渉の説明図である。
【0013】
図3は、従来のセクタレーダーの第1構成例を示すブロック図である。
図4は、従来のセクタレーダーの第2構成例を示すブロック図である。
図5(A)及び(B)は、ドップラ周波数の変動に伴って生じた位相回転のキャンセレーションを説明する説明図である。
【0014】
以下の説明において、相補符号とは、例えばペアとなる2つの相補符号系列(A
n、B
n)を用いた符号である。相補符号は、一方の相補符号系列A
nと他方の相補符号系列B
nの各自己相関演算結果において遅延時間τ[秒]を一致させた各自己相関値の加算によって、自己相関値のピーク値を除いたサイドローブがゼロとなる性質を有する。なお、パラメータnはn=1,2〜L(符号系列長(符号長))である。また、以下の説明では、パラメータnの表記を省略し、単に符号系列A又はBと表記する。
【0015】
図1に示すレーダーシステム100は、複数(例えば2個)のセクタレーダー#RD1,#RD2を含み、広角な範囲においてターゲットTAR(例えば自動車又は人)の有無を検出する。2個のセクタレーダー#RD1,#RD2は、同様な構成を有する。
【0016】
セクタレーダー#RD1は、レーダー送信信号TX−RD1を送信アンテナAntx−RD1から送信し、ターゲットTARにより反射された反射波信号を受信信号Anrx−RD1において受信する。
【0017】
セクタレーダー#RD2は、レーダー送信信号TX−RD2を送信アンテナAntx−RD2から送信し、ターゲットTARにより反射された反射波信号を受信信号Anrx−RD2において受信する。
【0018】
セクタレーダー#RD1は、
図2に示す第n回目の送信周期では、相補符号(A,B)のペアを構成する一方の符号系列Aを用いて生成したレーダー送信信号TX−RD1を送信し、同図に示す第(n+1)回目の送信周期では、相補符号(A,B)のペアを構成する他方の符号系列Bを用いて生成したレーダー送信信号TX−RD1を送信する。また、セクタレーダー#RD1は、
図2に示す第(n+2)回目以降の送信周期では、第n回目及び第(n+1)回目の2個の送信周期を単位として、第n回目及び第(n+1)回目の各送信周期における同様のレーダー送信信号TX−RD1を送信する。
【0019】
同様に、セクタレーダー#RD2は、
図2に示す第n回目の送信周期では、相補符号(C,D)のペアを構成する一方の符号系列Cを用いて生成したレーダー送信信号TX−RD2を送信し、同図に示す第(n+1)回目の送信周期では、相補符号(C,D)のペアを構成する他方の符号系列Dを用いて生成したレーダー送信信号TX−RD2を送信する。また、セクタレーダー#RD2は、
図2に示す第(n+2)回目以降の送信周期では、第n回目及び第(n+1)回目の2個の送信周期を単位として、第n回目及び第(n+1)回目の各送信周期における同様のレーダー送信信号TX−RD2を送信する。
【0020】
例えば、第n回目の送信周期においてセクタレーダー#RD1から送信されたレーダー送信信号TX−RD1がターゲットにより反射された反射波信号がセクタレーダー#RD2において受信されたとする(
図2参照)。
【0021】
第n回目の送信周期では、セクタレーダー#RD2は送信符号Cを用いてレーダー送信信号TX−RD2を生成する。このため、第n回目の送信周期において、送信符号Aを用いて生成されたレーダー送信信号TX−RD1の反射波信号がセクタレーダー#RD2において受信されると、セクタレーダー#RD2は、送信符号Cを用いてレーダー送信信号TX−RD2の反射波信号も受信するため、2つの反射波信号により干渉が生じる。
【0022】
ここで、各セクタレーダー#RD1,#RD2は、例えば第n回目及び第(n+1)回目の2個の送信周期において自己が送信したレーダー送信信号TX−RD1,TX−RD2とターゲットTARにより反射された各反射波信号との自己相関値を加算することで、サイドローブが抑圧された相関特性を得る。従って、セクタレーダー#RD2において、セクタレーダー#RD1が送信したレーダー送信信号TX−RD1による干渉が生じると、セクタレーダー#RD2における受信信号の相関特性が劣化する。これにより、セクタレーダー#RD2におけるターゲットTARの検出精度が劣化する。
【0023】
なお、詳細な説明は省略するが、
図2に示す第(n+1)回目の送信周期においても、同様にセクタレーダー#RD2において干渉が生じる。また、詳細な説明は省略するが、例えば第n回目の送信周期において、送信符号Cを用いて生成されたレーダー送信信号TX−RD2の反射波信号がセクタレーダー#RD1において受信された場合にも、セクタレーダー#RD1において干渉が生じる。
【0024】
次に、
図1に示すレーダーシステム100を構成する各セクタレーダーの構成が
図3に示す場合のセクタレーダー#RD1の構成及び動作について説明する。
【0025】
図3には、
図1に示すレーダーシステム100を構成する2個のセクタレーダー#RD1,#RD2のうち、例えばセクタレーダー#RD1の内部構成が示されている。
図3に示すセクタレーダー#RD1は、送信符号記憶部(相補符号)205、送信符号制御部210、DAC(Digital Analog Converter)220、送信アンテナAntx−RD1が接続された送信RF部230、受信アンテナAnrx−RD1が接続された受信RF部260、ADC(Analog Digital Converter)270、相関器280及びコヒーレント加算部290を含む。2個のセクタレーダー#RD1,#RD2は同様に動作する。
【0026】
送信符号記憶部(相補符号)205は、セクタレーダー#RD1がレーダー送信信号TX−RD1を生成するために用いる符号系列として、例えば相補符号(A,B)のペアを構成する符号系列A,Bを格納する。なお、
図3に示すセクタレーダー#RD1に対応する不図示のセクタレーダー#RD2の送信符号記憶部は、セクタレーダー#RD2がレーダー送信信号TX−RD2を生成するために用いる符号系列として、例えば相補符号(C,D)のペアを構成する符号系列C,Dを格納する。符号系列A,Bと符号系列C,Dとは無相関である。
【0027】
ここで、符号系列A,Bと符号系列C,Dとが無相関であるとは、例えば、符号系列Aと符号系列Cとの相関値(A#C)と、符号系列Bと符号系列Dとの相関値(B#D)との和の全要素がゼロになることである。
【0028】
送信符号制御部210は、送信符号記憶部(相補符号)205を参照し、高周波のレーダー送信信号RX−RD1の送信周期毎に符号系列A又はBを交互に読み出す。送信符号制御部210は、送信周期毎に読み出した符号系列A又はBを用いて、パルス圧縮符号としての送信信号を生成してDAC220及び相関器280にそれぞれ出力する。
【0029】
DAC220は、送信符号制御部210から出力されたデジタルの送信信号をアナログの送信信号にD/A変換して送信RF部230に出力する。送信RF部230は、不図示のローカル信号発振器から出力されたローカル信号を用いて、DAC220から出力された送信信号を高周波のレーダー送信信号TX−RD1に変換して送信アンテナAntx−RD1から送信する。
【0030】
受信RF部260は、ターゲットTARにより反射されたレーダー送信信号TX−RD1を受信アンテナAnrx−RD1において受信し、不図示のローカル信号発振器から出力されたローカル信号を用いて、受信アンテナAnrx−RD1において受信された高周波の受信信号をベースバンドの受信信号に変換してADC270に出力する。ADC270は、受信RF部260から出力されたアナログのベースバンドの受信信号をデジタルのベースバンドの受信信号にA/D変換して相関器280に出力する。
【0031】
相関器280は、送信周期毎に、送信符号制御部210により生成された送信信号とADC270から出力された受信信号との自己相関値を演算してコヒーレント加算部290に出力する。コヒーレント加算部290は、所定のコヒーレント加算回数(例えば相補符号を構成する符号系列の個数(2回)又は符号系列の個数の倍数)分の各送信周期において相関器280により演算された自己相関値を加算し、ピーク自己相関値となる時間を基にターゲットTARとセクタレーダー#RD1との間の距離を測距する。
【0032】
図3に示すセクタレーダー#RD1と、
図3に示すセクタレーダー#RD1と同様の構成を有するセクタレーダー#RD2とを含むレーダーシステムは、送信符号として相補符号を用いるため、静的な環境下(例えばターゲットTARの移動が無い場合)では、各セクタレーダー#RD1,#RD2において各コヒーレント加算部における加算結果によって、サイドローブが抑圧された相関特性を得る。
【0033】
ところが、
図3に示した相補符号を用いたセクタレーダーを含むレーダーシステムは、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号における位相回転が生じる場合(例えば測定中にターゲットが移動する場合)では、各セクタレーダー#RD1,#RD2において各コヒーレント加算部における加算結果によっては、サイドローブが抑圧された相関特性を得ることが困難となる場合がある。
【0034】
次に、
図1に示すレーダーシステム100を構成する各セクタレーダーの構成が
図4に示す場合のセクタレーダー#RD1の構成及び動作について説明する。
図3に示すセクタレーダー#RD1は相補符号系列(A,B)のうちいずれかの符号系列を用いて送信信号を生成するが、
図4に示すセクタレーダー#RD1は後述するスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)の順に1個の符号系列を送信周期毎に用いて送信信号を生成する。また、
図4に示すセクタレーダー#RD1の構成及び動作において、
図3に示すセクタレーダー#RD1の構成及び動作と同一の内容の説明は省略し、異なる内容について説明する。
【0035】
図4に示すセクタレーダー#RD1は、送信符号記憶部(スパノ符号)206、送信符号制御部211、DAC220、送信アンテナAntx−RD1が接続された送信RF部230、受信アンテナAnrx−RD1が接続された受信RF部260、ADC270、相関器280及びコヒーレント加算部290を含む。
【0036】
送信符号記憶部(スパノ符号)206は、セクタレーダー#RD1がレーダー送信信号TX−RD1を生成するために用いる符号系列として、例えば相補符号(A,B)を基にして構成されるスパノ符号系列を構成する8個の符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)を格納する。
【0037】
スパノ符号系列は、相補符号(A,B)を構成する符号系列A,Bと、各符号系列A,Bの各順序反転符号系列A’,B’とを含む符号系列であり、例えば(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)の順序を満たす8個の符号系列を含む。
図4に示すセクタレーダー#RD1は、スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)の順に1個の符号系列を送信周期毎に用いて送信信号を生成するので、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号における位相回転が生じる場合(例えば測定中にターゲットが移動する場合)でも、サイドローブが抑圧された相関特性を得ることができる(後述する
図5参照)。
【0038】
なお、
図4に示すセクタレーダー#RD1に対応する不図示のセクタレーダー#RD2の送信符号記憶部は、セクタレーダー#RD2がレーダー送信信号TX−RD2を生成するために用いる符号系列として、例えば相補符号(C,D)を基にして構成されるスパノ符号系列(C,D,C’,D’,D,C,C’,D’)を格納する。スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)と、スパノ符号系列(C,D,C’,D’,D,C,C’,D’)とは無相関である。
【0039】
なお、スパノ符号系列同士が無相関であると、スパノ符号系列のn番目の要素同士の相関値を全て加算した結果がゼロとなる。
【0040】
具体的には、符号系列Aと符号系列Cとの相関値を(A#C)として表す場合、スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)とスパノ符号系列(C,D,C’,D’,D,C,C’,D’)とが無相関である場合、各同一番目の要素同士の相関値の加算結果、即ち(A#C)+(B#D)+(B’#C’)+(A’#D’)+(B#D)+(A#C)+(A’#C’)+(B’#D’)=ゼロベクトル を満たす。
【0041】
送信符号制御部211は、送信符号記憶部(スパノ符号)206を参照し、高周波のレーダー送信信号RX−RD1の送信周期毎にスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)の順に1個の符号系列を送信周期毎に読み出す。送信符号制御部211は、送信周期毎に読み出した1個の符号系列を用いて、パルス圧縮符号としての送信信号を生成してDAC220及び相関器281にそれぞれ出力する。
【0042】
コヒーレント加算部291は、所定のコヒーレント加算回数(例えばスパノ符号系列を構成する各符号系列の8個又は8の倍数)分の各送信周期において相関器280により演算された自己相関値を加算し、ピーク自己相関値となる時間を基にターゲットTARとセクタレーダー#RD1との間の距離を測距する。
【0043】
ここで、
図4に示すセクタレーダー#RD1がスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)のうちいずれかの符号系列を用いて送信信号を生成する場合に、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号における位相回転が生じてもコヒーレント加算結果においてサイドローブが抑圧されるメカニズムを説明する。
【0044】
例えば、相補符号(A,B)を構成する各符号系列を、A=[+1,−1,−1,−1],B=[+1,−1,+1,−1]とする。符号系列Aの自己相関値(符号系列Aを用いて生成された送信信号と、同送信信号が高周波変換されたレーダー送信信号がターゲットTARにより反射されて受信されたベースバンド処理後の受信信号と、の相関演算値)A#Aは[4,1,0,−1]となる。同様に、符号系列Bの自己相関値B#Bは[4,−1,0,1]となる。A#Aは、符号系列Aの自己相関値を示す。各自己相関値のうち、4はメインローブ成分である。
【0045】
各自己相関値A#A,B#Bのうちサイドローブ成分は、それぞれ[1,0,−1],[−1,0,1]となり、前者をベクトルrと表すと、後者はベクトル(−r)と表せる。また、符号系列A’の自己相関値のサイドローブ成分はr’、符号系列B’の自己相関値のサイドローブ成分は−r’と表せる。
【0046】
例えば静的な環境下では、
図3に示すセクタレーダー#RD1において、コヒーレント加算部290が2個の送信周期にわたって各自己相関値をコヒーレント加算処理すると、r+(−r)=0となり、サイドローブ成分がゼロとなり抑圧される。
【0047】
同様に、
図4に示すセクタレーダー#RD1において、コヒーレント加算部291が8個の送信周期にわたって各自己相関値をコヒーレント加算処理すると、r+(−r)+(−r’)+r’+r+(−r)+r’+(−r’)=0となり、サイドローブ成分がゼロとなり抑圧される。
【0048】
次に、静的な環境下ではなくターゲットTARが移動している場合では、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号にφのドップラ位相回転が生じる。ドップラ位相回転量φは1から2度以下程度の小さい値であるが、コヒーレント加算部291におけるコヒーレント加算回数が例えば100回程度と大きくなると、受信信号に加重されるドップラ位相回転量の影響を考慮する必要がある。ドップラ位相回転量φの影響として、第n(n:2以上の整数)番目の送信周期におけるドップラ位相回転量φの加重時に、係数exp((n−1)jφ)が受信信号に付加される。
【0049】
例えばターゲットTARが移動している場合では、
図3に示す相補符号を用いたセクタレーダー#RD1において、第1回目の送信周期における自己相関値のサイドローブ成分はrであるが、第2回目の送信周期における自己相関値のサイドローブ成分は−rexp(jφ)となる。従って、コヒーレント加算部290が2個の送信周期にわたって各自己相関値をコヒーレント加算処理すると、サイドローブ成分はゼロとならずにr−rexp(jφ)となり、サイドローブの抑圧が不十分となり、受信信号の相関特性が劣化する。
【0050】
同様に、
図4に示すスパノ符号を用いたセクタレーダー#RD2において、第1回目〜第8回目の各送信周期における各自己相関値のサイドローブ成分はr,r−exp(jφ),r−exp(2jφ),r−exp(3jφ),r−exp(4jφ),r−exp(5jφ),r−exp(6jφ),r−exp(7jφ)となる。ここで、コヒーレント加算部291において、第1回目、第2回目、第5回目及び第6回目の各送信周期における自己相関値のサイドローブ成分の加算処理結果は、数式(1)により示される。
【0052】
数式(1)は、{1−exp(jφ)}と{−exp(4jφ)+exp(5jφ)}との和である。ドップラ位相回転量φは微小であるため、{1−exp(jφ)}と{−exp(4jφ)+exp(5jφ)}とは、方向が反対であり、同じ大きさのベクトルとして近似できる(
図5(A)参照)。従って、数式(1)はゼロに近似できる。
【0053】
同様に、コヒーレント加算部291において、第3回目、第4回目、第7回目及び第8回目の各送信周期における自己相関値のサイドローブ成分の加算結果は、数式(2)により示される。
【0055】
数式(2)は、{−exp(2jφ)+exp(3jφ)}と{exp(6jφ)−exp(7jφ)}との和である。ドップラ位相回転量φは微小であるため、{−exp(2jφ)+exp(3jφ)と{exp(6jφ)−exp(7jφ)}とは、方向が反対であり、同じ大きさのベクトルとして近似できる(
図5(B)参照)。従って、数式(2)はゼロに近似できる。
【0056】
従って、
図4に示すセクタレーダー#RD1において、コヒーレント加算部291がスパノ符号系列の個数に対応する8個の送信周期にわたって各自己相関値をコヒーレント加算処理すると、数式(1)及び(2)に示すサイドローブ成分はゼロに近似できるため、サイドローブが抑圧されることになり、スパノ符号系列の特性により、受信信号の相関特性は劣化しない。
【0057】
以上により、たとえ静的な環境下ではなくターゲットTARが移動している場合でも、セクタレーダー#RD1がスパノ符号系列を用いて送信信号を生成し、スパノ符号系列の個数に対応する8個又は8の倍数の送信周期にわたって各自己相関値を加算処理した場合には、受信信号の相関特性は劣化しない。
【0058】
ところが、上述した説明では、ターゲットTARが移動している場合に受信信号の相関特性は劣化しないが、例えばセクタレーダー#RD2がセクタレーダー#RD1から出力されたレーダー送信信号がターゲットにより反射された反射波信号を受信した場合に生じる干渉の技術的対策は考慮されていない。
【0059】
そこで、以下の実施形態では、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号に位相回転が生じる場合でも、受信信号の相関特性の劣化を抑制し、複数のセクタレーダー間における干渉を抑圧するレーダーシステムの例を説明する。
【0060】
(第1の実施形態)
次に、本開示に係るレーダーシステムの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態のレーダーシステム100は、複数(例えば2個)のセクタレーダーとして、例えばセクタレーダー#RD1とセクタレーダー#RD2とを含み(
図1参照)、ターゲットTARと各セクタレーダー#RD1,#RD2との間の距離を測る(測距)する。
【0061】
図6は、第1,第2の各実施形態のレーダーシステム100を構成するセクタレーダー#RD1の内部構成を示すブロック図である。
図7は、第1,第2の各実施形態のレーダーシステム100を構成するセクタレーダー#RD2の内部構成を示すブロック図である。各セクタレーダー#RD1,#RD2は同様に動作する。本実施形態では、セクタレーダー#RD1を例示して説明し、セクタレーダー#RD2の動作についてはセクタレーダー#RD1と同様の内容の説明は省略し、セクタレーダー#RD1と異なる内容について説明する。
【0062】
本実施形態では、セクタレーダー#RD1は、例えば、2
(n+1)のスパノ符号(nは、1以上の整数)、具体的には、8個のスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)及び第1直交化符号系列(後述参照)から、レーダー送信信号TX−RD1の送信周期毎に所定の順序に従って、1個のスパノ符号と1個の第1直交化符号とをそれぞれ選択し、選択した符号同士を乗算して第1送信信号を生成する。
【0063】
また、本実施形態では、セクタレーダー#RD2は、例えば8個のスパノ符号系列(C,D,D’,C’,D,C,C’,D’)及び第2直交化符号系列(後述参照)から、レーダー送信信号TX−RD2の送信周期毎に所定の順序に従って、1個のスパノ符号と1個の第2直交化符号とをそれぞれ選択し、選択した符号同士を乗算して第2送信信号を生成する。
【0064】
更に、本実施形態では、合計8個の第1直交化符号系列と第2直交化符号系列とは、8個の2倍となる16個の送信周期にわたって互いに直交する(数式(3)参照)。また、スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)と、スパノ符号系列(C,D,C’,D’,D,C,C’,D’)とは無相関である。
【0065】
また、本実施形態では、各セクタレーダー#RD1,#RD2は互いに無相関な8個のスパノ符号系列を用いて第1送信信号,第2送信信号を生成する。これにより、上述したスパノ符号系列の特性により、本実施形態のレーダーシステム100では、静的な環境下及びターゲットTARが移動しているためにドップラ周波数の変動に伴って受信信号に位相回転が生じる状況下のいずれでも、受信信号の相関特性を抑制できる。
【0066】
図6に示すセクタレーダー#RD1は、送信符号記憶部401a、送信符号制御部210a、パルスカウンタ402a、直交化符号記憶部403a、直交化符号制御部404a、直交化符号乗算部405a、DAC220a、送信アンテナAntx−RD1が接続された送信RF部230a、受信アンテナAnrx−RD1が接続された受信RF部260a、ADC270a、相関器280a及びコヒーレント加算部290aを含む。パルスカウンタ402aは、2個のパルスカウンタ402aa,402abを含む。
【0067】
図7に示すセクタレーダー#RD2は、送信符号記憶部401b、送信符号制御部210b、パルスカウンタ402b、直交化符号記憶部403b、直交化符号制御部404b、直交化符号乗算部405b、DAC220b、送信アンテナAntx−RD2が接続された送信RF部230b、受信アンテナAnrx−RD2が接続された受信RF部260b、ADC270b、相関器280b及びコヒーレント加算部290bを含む。パルスカウンタ402bは、2個のパルスカウンタ402ba,402bbを含む。
【0068】
送信符号記憶部401aは、セクタレーダー#RD1がレーダー送信信号TX−RD1を生成するために用いる符号系列として、例えばスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)を構成する4個の符号系列(A,B,A’,B’)を格納する。
【0069】
送信符号記憶部401bは、セクタレーダー#RD2がレーダー送信信号TX−RD2を生成するために用いる符号系列として、例えばスパノ符号系列(C,D,D’,C’,D,C,C’,D’)を構成する4個の符号系列(C,D,C’,D’)を格納する。
【0070】
送信符号制御部210aは、レーダー送信信号TX−RD1の送信周期毎に、送信信号の生成タイミング信号SGをパルスカウンタ402a(具体的には2個のパルスカウンタ402aa,402ab)に出力する。
【0071】
送信符号制御部210aは、レーダー送信信号TX−RD1の送信周期毎に、送信信号の生成タイミング信号SGに応じて、スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)のうちいずれか1個の符号系列を、スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)の順番に送信符号記憶部401aから読み出して直交化符号乗算部405aに出力する。
【0072】
パルスカウンタ402aaは、送信符号制御部210aからの生成タイミング信号SGを基に、カウンタ値ACT1をインクリメントして直交化符号制御部404aに出力する。カウンタ値ACT1は、1から8までの整数値を繰り返して8の次は1に戻り、レーダー送信信号TX−RD1の送信周期と1対1に対応する。例えば
図8では、第1回目(最も左側とする)のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT1は1となり、第8回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT1は8となり、第9回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT1は1となる。
【0073】
パルスカウンタ402abは、送信符号制御部210aからの生成タイミング信号SGを8回入力した場合に、カウンタ値ACT2をインクリメントして直交化符号制御部404aに出力する。カウンタ値ACT2は、1及び2を交互に繰り返し、レーダー送信信号TX−RD1の8個分の送信周期と1対1に対応する。例えば
図8では、第1回目から第8回目までのレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT2は1となり、第9回目から第16回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT2は2となり、第17回目から第24回目までのレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT2は再び1となる。
【0074】
直交化符号記憶部403aは、例えば、8(=2×(3+1)=2
2+1)個の2倍となるレーダー送信信号TX−RD1の送信周期にわたって、セクタレーダー#RD2における第2直交化符号系列OC2a,OC2bと直交する第1直交化符号系列OC1a,OC1bを記憶する。即ち、第1直交化符号系列OC1a,OC1bと第2直交化符号系列OC2a,OC2bとは数式(3)の関係を満たし、それぞれの内積の和はゼロベクトルとなる。OC1a・OC2aはベクトルの内積を示す。本実施形態では、第1直交化符号系列OC1a,OC1bは、長さ8のベクトルであり、例えば、
OC1a=[1,1,1,1,1,1,1,1]、
OC1b=[1,1,1,1,1,1,1,1]
である(
図8参照)。
【0075】
直交化符号記憶部403bは、例えば8(=2
2+1)個の2倍となるレーダー送信信号TX−RD2の送信周期にわたって、セクタレーダー#RD1における第1直交化符号系列OC1a,OC1bと直交する第2直交化符号系列OC2a,OC2bを記憶する。本実施形態では、第2直交化符号系列OC2a,OC2bは、長さ8のベクトルであり、例えば、
OC2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]
である(
図8参照)。
【0077】
直交化符号制御部404aは、パルスカウンタ402aa,402abからの各カウンタ値ACT1,ACT2を基に、各カウンタ値ACT1,ACT2に応じた第1直交化符号系列を直交化符号記憶部403aから読み出して直交化符号乗算部405aに出力する。例えば、直交化符号制御部404aは、カウンタ値ACT1が「1」であってカウンタ値ACT2が「1」である場合には直交化符号記憶部403aから第1直交化符号「1」を読み出し、カウンタ値ACT1が「1」であってカウンタ値ACT2が「2」である場合には直交化符号記憶部403aから第1直交化符号「1」を読み出す(
図8参照)。
【0078】
直交化符号制御部404bは、パルスカウンタ402ba,402bbからの各カウンタ値BCT1,BCT2を基に、各カウンタ値BCT1,BCT2に応じた第2直交化符号系列を直交化符号記憶部403bから読み出して直交化符号乗算部405bに出力する。例えば、直交化符号制御部404bは、カウンタ値BCT1が「1」であってカウンタ値BCT2が「1」である場合には直交化符号記憶部403bから第2直交化符号「1」を読み出し、カウンタ値BCT1が「1」であってカウンタ値ACT2が「2」である場合には直交化符号記憶部403bから第2直交化符号「−1」を読み出す(
図8参照)。
【0079】
直交化符号乗算部405aは、送信符号制御部210aから出力された符号系列と、直交化符号制御部404aから出力された第1直交化符号とを乗算して第1送信信号を生成する。直交化符号乗算部405aは、生成した第1送信信号をDAC220a及び相関器280aにそれぞれ出力する。本実施形態では、直交化符号乗算部405aは、スパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)と同数の8個の2倍となる合計16個の送信周期において、
A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,A,B,B’,A’,B,A,A’,B’
の各第1送信信号を生成する(
図8参照)。
【0080】
直交化符号乗算部405bは、送信符号制御部210bから出力された符号系列と、直交化符号制御部404bから出力された第2直交化符号とを乗算して第2送信信号を生成する。直交化符号乗算部405bは、生成した第2送信信号をDAC220b及び相関器280bにそれぞれ出力する。本実施形態では、直交化符号乗算部405bは、スパノ符号系列(C,D,D’,C’,D,C,C’,D’)と同数の8個の2倍となる合計16個の送信周期において、
C, D, D’, C’, D, C, C’, D’,
−C,−D,−D’,−C’,−D,−C,−C’,−D’,
の各第2送信信号を生成する(
図8参照)。なお、各第2送信信号のうち後半の8個については、直交化符号系列OC2bが乗算されるため、“−”の表記となる。
【0081】
また、マイナスの符号を有する第1直交化符号又は第2直交化符号(例えば「−1」)をスパノ符号系列のうちいずれか1個の符号系列に乗算しても、各セクタレーダー#RD1,#RD2において受信信号の相関特性を抑制できる。なお、以下の各実施形態において同様である。
これは、例えば、「−A」を用いて生成されたレーダー送信信号のターゲットTARにより反射された反射波信号が受信された場合には、相関演算が線形演算の性質を有するため、自己相関値は(−A)#(−A)=A#Aとなり、マイナスの成分は相殺されるためである。
【0082】
DAC220aは、直交化符号乗算部405aから出力されたデジタルの送信信号をアナログの送信信号にD/A変換して送信RF部230aに出力する。送信RF部230aは、不図示のローカル信号発振器から出力されたローカル信号を用いて、DAC220aから出力された送信信号を高周波のレーダー送信信号TX−RD1に変換して送信アンテナAntx−RD1から送信する。
【0083】
本実施形態では、各セクタレーダー#RD1,#RD2における符号系列と直交化符号との重畳(乗算)のタイミングは、例えば
図8に示すように、各セクタレーダー#RD1,#RD2間において同期する。即ち、各セクタレーダー#RD1,#RD2の送信符号制御部210a,210bは、各セクタレーダー#RD1,#RD2間において、直交化符号が同期するように乗算のタイミングを制御する。
【0084】
一方、各セクタレーダー#RD1,#RD2が送信する送信パルスタイミングは、厳密には同一でなくても良い。例えば、各セクタレーダー#RD1,#RD2は、数十nsec程の時間を、各セクタレーダー#RD1,#RD2において交互に送信パルスタイミングをずらすことで、同時に送信パルスを送信しなくても良い。なお、各セクタレーダー#RD1,#RD2間の送信タイミングのオフセット値(ずれ値)は、完全にゼロでもよいし、送信パルスの送信期間相当の数十nsec程度でも良い。オフセット値が送信周期より小さい値であれば、本実施形態のレーダーシステム100では、各セクタレーダー#RD1,#RD2は、干渉信号成分を抑圧できる。
【0085】
受信RF部260aは、ターゲットTARにより反射されたレーダー送信信号TX−RD1を受信アンテナAnrx−RD1において受信し、不図示のローカル信号発振器から出力されたローカル信号を用いて、受信アンテナAnrx−RD1において受信された高周波の受信信号をベースバンドの受信信号に変換してADC270aに出力する。ADC270aは、受信RF部260aから出力されたアナログのベースバンドの受信信号をデジタルのベースバンドの受信信号にA/D変換して相関器280aに出力する。
【0086】
相関器280aは、送信周期毎に、直交化符号乗算部405aにより生成された送信信号とADC270aから出力された受信信号との自己相関値を演算してコヒーレント加算部290aに出力する。コヒーレント加算部290aは、所定のコヒーレント加算回数(例えばスパノ符号系列の個数(2回)の2倍)分の合計16個の各送信周期において相関器280aにより演算された自己相関値を加算し、ピーク自己相関値となる時間を基にターゲットTARとセクタレーダー#RD1との間の距離を測距する。
【0087】
例えば、セクタレーダー#RD1から送信されたレーダー送信信号TX−RD1がターゲットTARにより反射された反射波信号がセクタレーダー#RD2において受信されたとする。セクタレーダー#RD2における受信信号の干渉成分は、コヒーレント加算部290bの加算処理結果として、
(A# C)+(B# D)+(B’# D’)+(A’# C’)+
(B# D)+(A# C)+(A’# C’)+(B’# D’)+
(A#−C)+(B#−D)+(B’#−D’)+(A’#−C’)+
(B#−D)+(A#−C)+(A’#−C’)+(B’#−D’)
となる。
【0088】
ここで、符号系列Aと符号系列Bとの相関演算を(A#B)とする。
符号系列A=[A1,A2〜AL]、符号系列B=[B1,B2〜BL]では、数式(4)となる。
【0090】
相関演算は線形演算であるため、相関演算において、マイナスの符号を相関演算外に移動でき、例えば、(A#−C)を−(A#C)と変形できるため、セクタレーダー#RD2における受信信号の干渉成分は、
(A#C)+(B#D)+(B’#D’)+(A’#C’)
+(B#D)+(A#C)+(A’#C’)+(B’#D’)
−(A#C)−(B#D)−(B’#D’)−(A’#C’)
−(B#D)−(A#C)−(A’#C’)−(B’#D’)
=0(ゼロ)となる。
【0091】
また、例えばセクタレーダー#RD2から送信されたレーダー送信信号TX−RD2がターゲットTARにより反射された反射波信号がセクタレーダー#RD1において受信された場合でも、同様な演算により、セクタレーダー#RD1における受信信号の干渉成分はゼロとなる。従って、本実施形態では、各セクタレーダー#RD1,#RD2における干渉は生じない。
【0092】
以上により、本実施形態のレーダーシステム100では、セクタレーダー#RD1は、例えば8個のスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)及び第1直交化符号系列から、レーダー送信信号TX−RD1の送信周期毎に所定の順序に従っていずれか1個のスパノ符号と第1直交化符号とを乗算した第1送信信号を生成する。
【0093】
セクタレーダー#RD2は、例えば8個のスパノ符号系列(C,D,D’,C’,D,C,C’,D’)及び第2直交化符号系列から、レーダー送信信号TX−RD2の送信周期毎に所定の順序に従っていずれか1個のスパノ符号と第2直交化符号とを乗算した第2送信信号を生成する。合計8個の第1直交化符号系列と第2直交化符号系列とは、8個の2倍となる16個の送信周期にわたって互いに直交する。
【0094】
更に、各セクタレーダー#RD1、#RD2は、所定のコヒーレント加算回数(例えばスパノ符号系列の個数(2回)の2倍)分の合計16個の各送信周期において相関器280aにより演算された相関値を各コヒーレント加算部290a,290bにおいて加算する。
【0095】
これにより、本実施形態のレーダーシステム100は、例えばセクタレーダー#RD2から送信されたレーダー送信信号TX−RD2とセクタレーダー#RD1から送信されたレーダー送信信号TX−RD1とがセクタレーダー#RD1,#RD2において受信された場合でも、各セクタレーダー#RD1,#RD2における受信信号の干渉成分はゼロとなり、干渉を抑圧できる。
【0096】
即ち、本実施形態のレーダーシステム100は、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号に位相回転が生じる場合でも、受信信号の相関特性の劣化を抑制し、複数のセクタレーダー間における干渉を抑圧できる。
なお、符号系列A,Bと符号系列C,Dとが無相関である場合が、最も効果的に干渉波の抑制が可能であるが、符号系列A,Bと符号系列C,Dとが無相関でなくとも、直交化符号系列を符号系列A,Bと符号系列C,Dとに乗算することで、干渉波の抑制は可能である。
【0097】
(第1の実施形態における第1直交化符号系列,第2直交化符号系列の変形例)
上述した実施形態では、第1直交化符号系列OC1a,OC1b及び第2直交化符号系列OC2a,OC2bは、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]
としたが、数式(3)を満たせば、以下の例でも良い。
OC1a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]
又は、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
【0098】
なお、本実施形態では、スパノ符号の一例として、
(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)
という8系列を含む一組のスパノ符号を用い、8系列によって1組を構成するスパノ符号を1つのグループとみなして、直交化符号が重畳(乗算)された。
【0099】
また、8系列によって1組を構成するスパノ符号を、
前半の4系列(A,B,B’,A’)と、
後半の4系列(B,A,A’,B’)と
に分離して、4系列のスパノ符号が2組あるものとみなして、直交化符号が重畳(乗算)されても良い。
【0100】
前半の4系列又は後半の4系列では、8系列によって1組を構成する上述したスパノ符号の特徴を有さないが、前半の4系列を用いて直交化符号の重畳(乗算)が行われた後に、後半の4系列を用いて直交化符号の重畳(乗算)が行われることで、8系列によって1組を構成する上述したスパノ符号に対する直交化符号の重畳(乗算)と同等に、干渉信号成分の抑圧効果とサイドローブ抑圧特性が得られる。
【0101】
例えば、セクタレーダー#RD1は、本実施形態において用いた8系列によって1組を構成するスパノ符号を前半の4系列と後半の4系列とに分割した符号(A,B,B’,A’)と(B,A,A’,B’)とを用いる。セクタレーダー#RD2も、同様に分割した符号(C,D,D’,C’)と(D,C,C’,D’)とを用いる。
【0102】
ここで、セクタレーダー#RD1が(1,1)の直交化符号を用い、セクタレーダー#RD2が(1,−1)の直交化符号を用いるとすると、
セクタレーダー#RD1から、
(A,B,B’,A’),
(A,B,B’,A’),
(B,A,A’,B’),
(B,A,A’,B’)
の送信パルスが送信される。一方、セクタレーダー#RD2から、
(C,D,D’,C’),
(−C,−D,−D’, −C’),
(D,C,C’,D’),
(−D,−C,−C’, −D’)
の送信パルスが送信される。
【0103】
(第1の実施形態の変形例)
また、本実施形態では、位相回転を用いることで、送信される高周波信号又は受信された高周波信号の誤差を低減できる。例えば、送信における位相回転では、2個の送信パルスが送信される毎に90度の位相回転が送信パルスに与えられ、受信における位相回転では、2個の送信パルスに連動して2個の送信パルスが送信される毎に−90度の位相回転が受信パルスに与えられる。
【0104】
より具体的な構成として、
図18及び
図19を参照して説明する。
図18は、第1の実施形態の変形例のレーダーシステムを構成するセクタレーダー#RD1の内部構成を示すブロック図である。
図19は、第1の実施形態の変形例のレーダーシステムを構成するセクタレーダー#RD2の内部構成を示すブロック図である。
【0105】
図18に示すセクタレーダー#RD1では、DAC220aの前段に位相回転部411aが設けられ、ADC270aの後段に位相回転部413aが設けられる。同様に、
図19に示すセクタレーダー#RD2では、DAC220bの前段に位相回転部411bが設けられ、ADC270bの後段に位相回転部413bが設けられる。
【0106】
位相回転部411a,411bでは、2個の送信パルスが送信される毎に、直交化符号乗算部405a,405bの出力に対して90度の位相回転が与えられる。位相回転部413a,413bでは、2個の受信パルスが受信される毎に、ADC270a,270bの出力に対して−90度の位相回転が与えられる。
【0107】
直交化符号乗算部405a,405bでは、送信符号制御部210a,210bの出力に対して、
図8に示す各セクタレーダー#RD1,#RD2の直交化符号が重畳(乗算)される。このため、セクタレーダー#RD1の直交化符号乗算部405aにより生成される送信符号系列は、
A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,
A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,
・・・
となる。一方、セクタレーダー#RD2の直交化符号乗算部405bにより生成される送信符号系列は、
C,D,D’,C’,D,C,C’,D’,
C,D,D’,C’,D,C,C’,D’,
・・・
となる。
【0108】
位相回転部411a,411bは、2個の送信パルスを送信する毎に、90度の位相回転を与える。この場合、セクタレーダー#RD1から送信される送信信号は、
A,B,jB’,jA’,−B,−A,−jA’,−jB’,
A,B,jB’,jA’,−B,−A,−jA’,−jB’,
・・・
となる。
【0109】
一方、セクタレーダー#RD2から送信される送信信号は、
C,D,jD’,jC’,−D,−C,−jC’,−jD’,
C,D,jD’,jC’,−D,−C,−jC’,−jD’,
・・・
となる。
【0110】
次に、上述した送信信号が受信された後、位相回転部413a,413bでは、2個の受信パルスが受信される度に、位相回転部411a,411bにおいて与えられた位相回転量の逆位相、即ち、−90度の位相回転が与えられる。この場合、セクタレーダー#RD1において受信された受信信号は、
A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,
A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,
・・・
となる。
【0111】
一方、セクタレーダー#RD2において受信された受信信号は、
C,D,D’,C’,D,C,C’,D’,
C,D,D’,C’,D,C,C’,D’,
・・・
となる。
【0112】
以上により、各セクタレーダー#RD1,#RD2において、DAC220a,220bの前段に位相回転部411a,411bが設けられ、更に、ADC270a,270bの後段に位相回転部413a,413bが設けられた場合でも、第1の実施形態のレーダーシステム100の各セクタレーダー#RD1,#RD2と同様の効果が得られる。
【0113】
(第2の実施形態)
ドップラ周波数の変動に伴って受信信号に位相回転が生じた場合でも受信信号の相関特性を劣化させないという性質を有するスパノ符号系列は、第1の実施形態における8個の符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)の他に、例えば4個の符号系列(A,B,B,A)が知られている。
【0114】
第2の実施形態では、セクタレーダー#RD1は、4個のスパノ符号系列(A,B,B,A)のうちいずれか1個の符号系列と4個の第1直交化符号系列OC1a,OC1b(長さ4)のうちいずれかの長さ1の符号系列とを送信周期毎に用いて第1送信信号を生成する。また、セクタレーダー#RD2は、4個のスパノ符号系列(C,D,D,C)のうちいずれか1個の符号系列と4個の第2直交化符号系列OC2a,OC2b(長さ4)のうちいずれかの長さ1の符号系列とを、送信周期毎に用いて第2送信信号を生成する。
【0115】
本実施形態のレーダーシステムの構成は第1の実施形態のレーダーシステム100と同様であるため同一の符号を用い、以下、第1の実施形態のレーダーシステム100と異なる内容について説明する。
【0116】
送信符号記憶部401aは、セクタレーダー#RD1がレーダー送信信号TX−RD1を生成するために用いる符号系列として、例えばスパノ符号系列(A,B,B,A)を構成する2個の符号系列(A,B)を格納する。
【0117】
送信符号記憶部401bは、セクタレーダー#RD2がレーダー送信信号TX−RD2を生成するために用いる符号系列として、例えばスパノ符号系列(C,D,D,C)を構成する2個の符号系列(C,D)を格納する。
【0118】
パルスカウンタ402aaは、送信符号制御部210aからの生成タイミング信号SGを基に、カウンタ値ACT1をインクリメントして直交化符号制御部404aに出力する。本実施形態では、カウンタ値ACT1は、1から4までの整数値を繰り返して4の次は1に戻り、レーダー送信信号TX−RD1の送信周期と1対1に対応する。例えば、第1回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT1は1となり、第4回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT1は4となり、第5回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT1は1となる。
【0119】
パルスカウンタ402abは、送信符号制御部210aからの生成タイミング信号SGを4回入力した場合に、カウンタ値ACT2をインクリメントして直交化符号制御部404aに出力する。例えば、第1回目から第4回目までのレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT2は1となり、第5回目から第8回目のレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT2は2となり、第9回目から第12回目までのレーダー送信信号TX−RD1の送信周期ではカウンタ値ACT2は再び1となる。
【0120】
直交化符号記憶部403aは、例えば4(=2
1+1)個の2倍となるレーダー送信信号TX−RD1の送信周期にわたって、セクタレーダー#RD2における第2直交化符号系列OC2a,OC2bと直交する第1直交化符号系列OC1a,OC1bを記憶する。本実施形態では、第1直交化符号系列OC1a,OC1bは長さ4のベクトルであり、例えば、
OC1a=[ 1,−1, 1,−1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1]
である。
【0121】
直交化符号記憶部403bは、例えば4(=2
1+1)個の2倍となるレーダー送信信号TX−RD2の送信周期にわたって、セクタレーダー#RD1における第1直交化符号系列OC1a,OC1bと直交する第2直交化符号系列OC2a,OC2bを記憶する。本実施形態では、第2直交化符号系列OC2a,OC2bは長さ4のベクトルであり、例えば、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1,−1, 1,−1]
である。
【0122】
直交化符号乗算部405aは、スパノ符号系列(A,B,B,A)と同数の4個の2倍となる合計8個の送信周期において、つまり、送信周期毎に、スパノ符号系列の順次呼び出しを2回繰り返し、更に、第1直交化符号系列OC1aの順次呼び出しの後に、第1直交化符号系列OC1bを順次呼び出すことで、
A,−B,B,−A,−A,B,−B,A
の各第1送信信号を生成する。
【0123】
直交化符号乗算部405bは、スパノ符号系列(C,D,D,C)と同数の4個の2倍となる合計8個の送信周期において、
C,−D,D,−C,C,−D,D,−C
の各第2送信信号を生成する。
【0124】
例えば、セクタレーダー#RD1から送信されたレーダー送信信号TX−RD1とセクタレーダー#RD2から送信されたレーダー送信信号TX−RD2とがセクタレーダー#RD2において受信されたとする。セクタレーダー#RD2における受信信号の干渉成分は、コヒーレント加算部290bの加算処理結果として、例えば、(A#−C)を−(A#C)と変形し、(A#−C)=−(A#C)と変形し、(−B#−D)=(B#D)と変形することで、
(A#C)+(−B#−D)+(B#D)+(−A#−C)
+(−A#C)+(B#C)+(−B#D)+(A#−C)
=(A#C)+( B# D)+(B#D)+( A# C)
−(A#C)+( B# C)−(B#D)−( A# C)
=0(ゼロ)
となる。
【0125】
また、例えばセクタレーダー#RD2から送信されたレーダー送信信号TX−RD2がターゲットTARにより反射された反射波信号がセクタレーダー#RD1において受信された場合でも、同様な演算により、セクタレーダー#RD1における受信信号の干渉成分はゼロとなる。従って、本実施形態でも、各セクタレーダー#RD1,#RD2における干渉は生じない。
【0126】
以上により、本実施形態のレーダーシステム100でも、セクタレーダー#RD1は、4個のスパノ符号系列(A,B,B,A)のうちいずれか1個の符号系列と4個の第1直交化符号系列OC1a,OC1b(長さ4)のうちいずれかの長さ1の符号系列とを送信周期毎に用いて第1送信信号を生成する。また、セクタレーダー#RD2は、4個のスパノ符号系列(C,D,D,C)のうちいずれか1個の符号系列と4個の第2直交化符号系列OC2a,OC2b(長さ4)のうちいずれかの長さ1の符号系列とを送信周期毎に用いて第2送信信号を生成する。
【0127】
これにより、本実施形態のレーダーシステム100は、例えばセクタレーダー#RD2から送信されたレーダー送信信号TX−RD2とセクタレーダー#RD1から送信されたレーダー送信信号TX−RD1とがセクタレーダー#RD1,#RD2において受信された場合でも、各セクタレーダー#RD1,#RD2における受信信号の干渉成分はゼロとなり、干渉を抑圧できる。即ち、本実施形態のレーダーシステム100は、ドップラ周波数の変動に伴って受信信号に位相回転が生じる場合でも、受信信号の相関特性の劣化を抑制し、複数のセクタレーダー間における干渉を抑圧できる。
【0128】
(第2の実施形態における第1直交化符号系列,第2直交化符号系列の変形例)
第2の実施形態では、第1直交化符号系列OC1a,OC1b及び第2直交化符号系列OC2a,OC2bは、
OC1a=[ 1,−1, 1,−1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1]、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1,−1, 1,−1]
としたが、数式(3)を満たせば、以下の例でも良い。
OC1a=[ 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1]、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1, 1, 1, 1]
又は、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[ 1, 1, 1, 1]、
OC2a=[ 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1]
【0129】
(スパノ符号系列の個数に応じた第1直交化符号系列,第2直交化符号系列の変形例)
ドップラ周波数の変動に伴って受信信号に位相回転が生じた場合でも受信信号の相関特性を劣化させないという性質を有するスパノ符号系列は、8個の符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)及び4個の符号系列(A,B,B,A)が知られている。また、レーダーシステム100は、16個又は32個の符号系列を有するスパノ符号系列が存在する場合には、セクタレーダー#RD1における第1直交化符号系列OC1a,OC1b、及びセクタレーダー#RD2における第2直交化符号系列OC2a,OC2bとして、次の組み合わせの例を用いることで、上述した各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0130】
例えば、16個の符号系列を有するスパノ符号系列が存在する場合には、第1直交化符号系列OC1a,OC1b及び第2直交化符号系列OC2a,OC2bは長さ16のベクトルであり、例えば、
OC1a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]
OC2a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]
である。
【0131】
また、数式(3)を満たせば、以下の例でも良い。
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]
OC2a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
又は、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
OC2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,
−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]
【0132】
更に、32個の符号系列を有するスパノ符号系列が存在する場合には、第1直交化符号系列OC1a,OC1b及び第2直交化符号系列OC2a,OC2bは長さ32のベクトルであり、例えば、
OC1a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]
である。
【0133】
また、数式(3)を満たせば、以下の例でも良い。
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OC2a=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1,
1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]、
OC2b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]
又は、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,
−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,
−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,
−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]
【0134】
(第3の実施形態)
第1,第2の各実施形態では、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波に対する干渉抑圧方法を説明した。第3の実施形態では、更に、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波も考慮した干渉抑圧方法を説明する。
【0135】
図9は、セクタレーダー#RD2において、異なるセクタレーダー#RD1からの隣接送信周期内において発生する干渉波901の説明図である。なお、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期内において発生する干渉波に対して干渉抑圧対策する場合、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波902に対しても干渉抑圧対策が必要である。
【0136】
なお、
図9では、セクタレーダー#RD2において、セクタレーダー#RD1から送信された送信符号Aの受信信号波形とセクタレーダー#RD2から送信された送信符号Cの受信信号波形の受信タイミングが異なるが、実際には、同時に受信する。
【0137】
このため、本実施形態では、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波902に対して、直交化された符号系列を用いて干渉抑圧対策するレーダーシステムについて説明する。
【0138】
例えば、M×2
(N+1)の系列を用いて構成されるスパノ符号は、まず、ドップラ位相変動をの影響を低減する基礎単位である2
(N+1)の系列を2回並べて、同じ基礎単位2
(N+1)である2つの干渉抑圧符号(直交化符号)が乗算されるため、2×M×2
(N+1)の系列となる。
【0139】
ここで、1重の干渉抑圧符号(直交化符号)が乗算された2×M×2
(N+1)の系列において、同一系列中、即ち同一送信周期内に他のセクタレーダーが用いる符号系列間において生じるレンジ間干渉(送信周期間干渉)は抑制できるが、連続した系列、即ち隣接送信周期(前後の送信周期)にわたって生じるレンジ間干渉の抑制が不十分であり、2×M×2
(N+1)の最後尾の符号と、次の2×M×2
(N+1)の先頭の符号との間においては、レンジ間干渉(送信周期間干渉)が発生する可能性がある。
【0140】
このため、本実施形態では、連続した系列においてのレンジ間干渉を抑圧するために、2重の干渉抑圧符号(直交化符号)の乗算処理を行う。2重の干渉抑圧符号(直交化符号)の乗算処理では、2×M×2
(N+1)系列を2回並べて、2×M×2
(N+1)系列の2つの干渉抑圧符号(直交化符号)を乗算する。
【0141】
つまり、2重の干渉抑圧符号(直交化符号)の乗算処理によって、ドップラ耐性の劣化を抑制するための1重の干渉抑圧符号(直交化符号)の乗算処理後のM×2
(N+1)の系列のスパノ符号に対して、更に、レンジ間干渉(送信周期間干渉)の抑圧ができる。
【0142】
ここで、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波に対しては、第1,第2の各実施形態において説明した方法によって干渉波の抑圧が可能である。
【0143】
これに対して、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期内にわたって発生する干渉波に対しては、1重の干渉抑圧符号(直交化符号)としてレンジ間干渉(送信周期間干渉)の抑圧対策した符号系列に、セクタレーダー間干渉を抑圧するための直交化符号を乗算することで、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波(レンジ間干渉)を抑圧できる。
【0144】
これらより、本実施形態において提案するスパノ符号が有するドップラ耐性の劣化を軽減した符号系列は、以下に示す4重の直交化符号を基本となるスパノ符号系列に乗算、つまり、異なる直交化符号を4回乗算した系列となる。
【0145】
なお、本実施形態において提案するスパノ符号が有するドップラ耐性の劣化を軽減した符号系列は、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波と、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波と、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波とを抑圧している。
【0146】
ここで、基本となるスパノ符号系列は、ドップラー位相変動の基本単位を2
(N+1)系列とし、異なるK種類の基本単位を並べた系列であり、合計は、K×2
(N+1)系列である。
【0147】
<セクタレーダー#RD1の1重の直交化符号>
異なるセクタレーダーからの同送信周期内において発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに2
(N+1)個の直交化符号OC1a,OC1bを乗算する。つまり、直交化符号乗算部405aは、1つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列には直交化符号OC1aを乗算し、2つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列には、直交化符号OC1bを乗算する。これによって、1重の直交化符号が乗算された2×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0148】
<セクタレーダー#RD1の2重の直交化符号>
自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、1重の直交化符号が乗算されたスパノ符号系列2×2
(N+1)を2回並べて、それぞれに2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1a,OCR1bを乗算する。
【0149】
つまり、直交化符号乗算部405aは、1つ目の2×2
(N+1)個のスパノ符号系列には2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1aを乗算し、2つ目の2×2
(N+1)個のスパノ符号系列には、2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1bを乗算する。これによって、2重の直交化符号が乗算されたスパノ符号系列2×2×2
(N+1)が生成される。
【0150】
<セクタレーダー#RD1の3重の直交化符号>
自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、2重の直交化符号が乗算された2×2×2
(N+1)個をK回繰り返し、4K×2
(N+1)個、つまり、K×2×2×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、1個の直交化符号を乗算する。なお、説明を簡単にするために、以下にはK=2として記載する。
【0151】
このため、直交化符号乗算部405aは、1回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1a1を乗算し、1回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1b1を乗算する。
【0152】
直交化符号乗算部405aは、2回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1a1を乗算し、2回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1b1を乗算する。
【0153】
直交化符号乗算部405aは、3回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1a2を乗算し、3回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1b2を乗算する。
【0154】
更に、直交化符号乗算部405aは、4回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1a2を乗算し、4回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR1bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP1b2を乗算する。つまり、8K×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0155】
<セクタレーダー#RD1の4重の直交化符号>
異セクターからの隣接送信周期タイミングにおいて発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、3重の直交化符号が乗算された8K×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに8K×2
(N+1)個の直交化符号OCQ1a,OCQ1bを乗算する。4重の直交化符号を乗算する事により、全符号系列は16倍になり、16K×2
(N+1)系列となる。
【0156】
<セクタレーダー#RD2の1重の直交化符号>
異セクターからの同送信周期内において発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに2
(N+1)個の直交化符号OC2a,OC2bを乗算する。つまり、直交化符号乗算部405aは、1つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列には直交化符号OC2aを乗算し、2つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列には、直交化符号OC2bを乗算する。これによって、1重の直交化符号が乗算された2×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0157】
<セクタレーダー#RD2の2重の直交化符号>
自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、1重の直交化符号が乗算されたスパノ符号系列2×2
(N+1)を2回並べて、それぞれに2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2a,OCR2bを乗算する。
【0158】
直交化符号乗算部405aは、つまり、1つ目の2×2
(N+1)個のスパノ符号系列には2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2aを乗算し、2つ目の2×2
(N+1)個のスパノ符号系列には、2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2bを乗算する。これによって、2重の直交化符号が乗算されたスパノ符号系列2×2×2
(N+1)が生成される。
【0159】
<セクタレーダー#RD2の3重の直交化符号>
自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、2重の直交化符号が乗算された2×2×2
(N+1)個をK回繰り返し、4K×2
(N+1)個、つまり、K×2×2×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、1個の直交化符号を乗算する。なお、説明を簡単にするために、以下にはK=2として記載する。
【0160】
このため、直交化符号乗算部405aは、1回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2a1を乗算し、1回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2b1を乗算する。
【0161】
直交化符号乗算部405aは、2回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2a1を乗算し、2回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2b1を乗算する。
【0162】
直交化符号乗算部405aは、3回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2a2を乗算し、3回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2b2を乗算する。
【0163】
更に、直交化符号乗算部405aは、4回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2aが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2a2を乗算し、4回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCR2bが乗算されたスパノ符号系列には、1個の直交化符号OCP2b2を乗算する。つまり、8K×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0164】
<セクター2の4重の直交化符号>
異セクターからの隣接送信周期タイミングにおいて発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、3重の直交化符号が乗算された8K×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに8K×2
(N+1)個の直交化符号OCQ2a、OCQ2bを乗算する。4重の直交化符号を乗算する事により、全符号系列は16倍になり、16K×2
(N+1)系列となる。
【0165】
ここで、直交化符号OC1a,OC1b,OC2a,OC2bは、第1,第2の各実施形態において説明したものである。なお、直交化符号OCQ1a,OCQ1b,OCQ2a,OCQ2bは、第1の実施形態の直交化符号OC1a,OC1b,OC2a,OC2bと同じ規則によって生成されたものである。
【0166】
また、直交化符号OCR1aとOCR1b,直交化符号OCR2aとOCR2b,直交化符号OCP1a1とOCP1b1とOCP1a2とOCP1b2,直交化符号OCP2a1とOCP2b1とOCP2a2とOCP2b2は、隣接送信周期にわたって発生する干渉波をキャンセルするための符号である。
【0167】
なお、干渉波をキャンセルするための符号とは、ベクトル{OCR1a,OCR1b}の隣接2要素の乗算したベクトルと、ベクトル{OCR2a,OCR2b}の隣接2要素の乗算したベクトルとを加算したベクトルがゼロベクトルになる(構成要素が全てゼロ)となるベクトルである。
【0168】
上記のゼロベクトルなる符号を用いると、隣接送信周期にわたって発生する符号同士の干渉が、コヒーレント加算部290a,290bにおけるコヒーレント総和を演算することで干渉波がキャンセルできる。
【0169】
ここで、例えば、N=2、K=2のシステムとして、スパノ符号の一例として、
「A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,C,D,D’,C’,D,C,C’,D’」を用いて説明する。
【0170】
なお、説明を簡単にするために、
SAB=[A,B,B’,A’,B,A,A’,B’]
SEF=[E,F,F’,E’,F,E,E’,F’]
SCD=[C,D,D’,C’,D,C,C’,D’]
SGH=[G,H,H’,G’,H,G,G’,H’]
とする(
図12参照)。
図12は、第3の実施形態における各セクタレーダーにおいて用いられるスパノ符号系列及び各カウンタ値の関係の一例を示す図である。
【0171】
直交化符号制御部404a,404bは、1重の直交化符号として、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]
を用いる。
【0172】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、1重の直交化符号の乗算処理を、
SAB・OC1a,
SAB・OC1b,
SEF・OC1a,
SEF・OC1b
と計算する。
【0173】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、1重の直交化符号の乗算処理を、
SCD・OC2a,
SCD・OC2b,
SGH・OC2a,
SGH・OC2b
と計算する。
【0174】
ここで、SCD・OC2bは、スパノ符号と直交化符号との演算であるため、[−C,−D,−D’,−C’,−D,−C,−C’,−D’]と表される。
【0175】
次に、直交化符号制御部404a,404bは、2重の直交化符号として、
OCR1a=OCR2a=
[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1
, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCR1b=OCR2b=
[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1
,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]
を用いる。
【0176】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、2重の直交化符号の乗算処理を、1重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから2重の直交化符号を乗算するため、
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b
と計算する。
【0177】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、2重の直交化符号の乗算処理を、1重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから2重の直交化符号を乗算するため、
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b
と計算する。
【0178】
次に、直交化符号制御部404a,404bは、3重の直交化符号として、
OCP1a1=1、
OCP1b1=1、
OCP1a2=1、
OCP1b2=−1、
OCP2a1=1、
OCP2b1=1、
OCP2a2=1、
OCP2b2=−1
を用いる。
【0179】
直交化符号OCPは、長さ1のベクトルであり、数式(3)に基づいて生成され、乗算符号系列に対して一律同一符号が乗算される。
【0180】
直交化符号OCR及び直交化符号OCは、乗算する符号系列数の長さと同じ長さのベクトルであり、直交化符号のI番目と、符号系列のI番目が乗算される。
【0181】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、3重の直交化符号の乗算処理を、2重の直交化符号の乗算処理の結果を2回繰り返してから2回並べるため、
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a・OCP1a1,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b・OCP1b1,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a・OCP1a1,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b・OCP1b1,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a・OCP1a2,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b・OCP1b2,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a・OCP1a2,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b・OCP1b2
と計算する。
【0182】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、3重の直交化符号の乗算処理を、2重の直交化符号の乗算処理の結果を2回繰り返してから2回並べるため、
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a・OCP2a1,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b・OCP2b1,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a・OCP2a1,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b・OCP2b1,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a・OCP2a2,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b・OCP2b2,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a・OCP2a2,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b・OCP2b2
と計算する。
【0183】
次に、直交化符号制御部404a,404bは、4重の直交化符号として、直交化符号OCQ1a,OCQ1b,OCQ2a,OCQ2bを用いる。直交化符号OCQ1a,OCQ1b,OCQ2aは、構成要素が全て1であり、長さ128のベクトルであり、直交化符号OCQ2bは、構成要素が全て−1であり、長さ128のベクトルである。
【0184】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、4重の直交化符号の乗算処理を、3重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから直交化符号を乗算するため、
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a・OCP1a1・OCQ1a,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b・OCP1b1・OCQ1a,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a・OCP1a1・OCQ1a,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b・OCP1b1・OCQ1a,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a・OCP1a2・OCQ1a,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b・OCP1b2・OCQ1a,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a・OCP1a2・OCQ1a,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b・OCP1b2・OCQ1a,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a・OCP1a1・OCQ1b,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b・OCP1b1・OCQ1b,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a・OCP1a1・OCQ1b,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b・OCP1b1・OCQ1b,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1a・OCP1a2・OCQ1b,
(SAB・OC1a,SAB・OC1b)・OCR1b・OCP1b2・OCQ1b,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1a・OCP1a2・OCQ1b,
(SEF・OC1a,SEF・OC1b)・OCR1b・OCP1b2・OCQ1b
と計算する。
【0185】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、4重の直交化符号の乗算処理を、3重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから直交化符号を乗算するため、
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a・OCP2a1・OCQ2a,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b・OCP2b1・OCQ2a,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a・OCP2a1・OCQ2a,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b・OCP2b1・OCQ2a,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a・OCP2a2・OCQ2a,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b・OCP2b2・OCQ2a,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a・OCP2a2・OCQ2a,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b・OCP2b2・OCQ2a,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a・OCP2a1・OCQ2b,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b・OCP2b1・OCQ2b,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a・OCP2a1・OCQ2b,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b・OCP2b1・OCQ2b,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2a・OCP2a2・OCQ2b,
(SCD・OC2a,SCD・OC2b)・OCR2b・OCP2b2・OCQ2b,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2a・OCP2a2・OCQ2b,
(SGH・OC2a,SGH・OC2b)・OCR2b・OCP2b2・OCQ2b
と計算する。
【0186】
図10,
図11は、第3の実施形態のレーダーシステムを構成するセクタレーダー#RD1,#RD2の内部構成を示すブロック図である。第1,第2の各実施形態と異なる点は、パルスカウンタ402a,402bが有するカウンタの数が増えて、それらのカウンタの値に対応して乗算される直交化符号の種類が増えることである。
【0187】
パルスカウンタ402a,402bの動作を、
図12及び
図13を用いて説明する。
図13は、第3の実施形態における各セクタレーダーにおいて用いられるスパノ符号系列、各カウンタ値、及び各セクタレーダーに用いられる直交化符号の関係の一例を示す図である。
【0188】
本実施形態では、各カウンタACT2,ACT3,ACT4,ACT5,ACT6,BCT2,BCT3,BCT4,BCT5,BCT6の値に応じて、4種類の直交化符号が選択される。
【0189】
また、
図12に示すカウンタACT1,BCT1の値は、スパノ符号系列の送信信号が送信される毎に1〜8の値を遷移する。なお、カウンタACT1の値が遷移する値の1から8までに相当するパルスであるA,B、B’、A’、B、A、A’、B’の8つのパルスをまとめて、SABと表す。同様に8つのパルスをまとめて、SCD,SEF,SGHと表す。
【0190】
次に、カウンタACT2,BCT2の値は、カウンタACT1,BCT1の値が8までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0191】
次に、カウンタACT3,BCT3の値は、カウンタACT2,BCT2の値が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0192】
次に、
図13において、カウンタACT4,BCT4の値は、カウンタACT3,BCT3の値が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0193】
次に、カウンタACT5,BCT5の値は、カウンタACT4,BCT4の値が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0194】
次に、カウンタACT6,BCT6の値は、カウンタACT5,BCT5の値が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0195】
また、1重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号1」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT2の値=1において直交化符号OC1aを選択し、カウンタACT2の値=2において直交化符号OC1bを選択する。
【0196】
同様に、1重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号1」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT2の値=1において直交化符号OC2aを選択し、カウンタBCT2の値=2において直交化符号OC2bを選択する。
【0197】
また、2重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号2」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT3の値=1において直交化符号OCR1aを選択し,カウンタACT3の値=2において直交化符号OCR1bを選択する。
【0198】
同様に、2重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号2」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT3の値=1において直交化符号OCR2aを選択し、カウンタBCT3の値=2において直交化符号OCR2bを選択する。
【0199】
また、3重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号3」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT3の値=1かつカウンタACT5の値=1において直交化符号OCP1a1を選択し、カウンタACT3の値=2かつカウンタACT5の値=1において直交化符号OCP1b1を選択し、カウンタACT3の値=1かつカウンタACT5の値=2において直交化符号OCP1a2を選択し、カウンタACT3の値=2かつカウンタACT5の値=2において直交化符号OCP1b2を選択する。
【0200】
同様に、3重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号3」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT3の値=1かつカウンタBCT5の値=1において直交化符号OCP2a1を選択し、カウンタBCT3の値=2かつカウンタBCT5の値=1において直交化符号OCP2b1を選択し、カウンタBCT3の値=1かつカウンタBCT5の値=2において直交化符号OCP2a2を選択し、カウンタBCT3の値=2かつカウンタBCT5の値=2において直交化符号OCP2b2を選択する。
【0201】
また、4重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号4」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT6の値=1において直交化符号OCQ1aを選択し、カウンタACT6の値=2において直交化符号OCQ1bを選択する。
【0202】
同様に、4重の直交化符号(
図13に示す「直交化符号4」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT6の値=1において直交化符号OCQ2aを選択し、カウンタBCT6の値=2において直交化符号OC2Qbを選択する。
【0203】
なお、各カウンタによって選択された直交化符号は、
図11,
図12の直交化符号乗算部405a,405bにおいて、送信符号制御部210a,210bから出力された送信符号と乗算される。
【0204】
例えば、セクタレーダー#RD2において、
図13の各カウンタの値がそれぞれカウンタBCT2の値=2、カウンタBCT3の値=2、カウンタBCT4の値=1、カウンタBCT5の値=1、カウンタBCT6の値=2の場合では、
(1)1重の直交化符号は、
符号長8のOC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]、
(2)2重の直交化符号は、
符号長16のOCR2b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
(3)3重の直交化符号は、符号長1のOCP2b1=1、
(4)4重の直交化符号は、OCQ2bであり、構成要素が全て−1であり、長さ128のベクトルである。
【0205】
このため、上述した各カウンタの値となるタイミングでは、SCDの8つのパルス(C,D,D’,C’,D,C,C’,D’)が送信されている。
【0206】
SCDのi番目のパルス(例えばi=3ではD’)は、
1重の直交化符号OC1bのi番目の符号(例えばi=3では−1)と、
2重の直交化符号OCR1bの(8+i)番目の符号(例えばi=3では−1)と、
3重の直交化符号OCP1b1の符号1と、
4重の直交化符号OCQ1bのi番目の符号(例えばi=3では−1)とを乗算した、
(−1)×(−1)×(+1)×(−1)×(D’)=(−D’)の−D’のパルスが送信される。
【0207】
2重,3重,4重の直交化符号は、それぞれベクトル長が16,16,128であり、ここで選択するベクトルの順番は、直交化符号が選択されてからの順番を選ぶ必要がある。
【0208】
2重の直交化符号において(8+i)番目の符号を選択しているのは、2重の直交化符号は、カウンタBCT2の値=1,カウンタBCT3の値=2,カウンタBCT4の値=1,カウンタBCT5の値=1,カウンタBCT6の値=2から直交化符号OCR2bが選択されているため、最初の8符号はそこで用いられているためである。
【0209】
以上により、本実施形態のレーダーシステムは、上述した4重の直交化符号を選択して乗算する事で、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波と、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波と、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波を抑圧できる。
【0210】
(第4の実施形態)
第3の実施形態では、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波と、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波と、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波を抑圧させるために、4重の直交符号を符号系列に乗算した。
【0211】
第4の実施形態では、第3の実施形態において1重の直交化符号と2重の直交化符号とを兼用させ、3回の直交化符号の乗算により、第3の実施形態と同等の干渉抑圧性能を実現するというものである。
【0212】
ここで、第3の実施形態において用いた1重の直交化符号は、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波を抑圧し、2重の直交化符号は、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波を抑圧する。
【0213】
第3の実施形態における直交化符号の一例は、以下のものである。
【0214】
例えば、1重の直交化符号は、
OC1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC1b=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OC2b=[−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1,−1]
である。
【0215】
また、2重の直交化符号は、
OCR1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCR2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1,
1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCR1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OCR2b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,
−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]
である。
【0216】
本実施形態では、第3の実施形態において用いた上述した1重の直交化符号と2重の直交化符号との2つの直交化符号と同等の直交化符号を考慮した以下の直交化符号によって実現できる。
【0217】
具体的には、
OCX1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCX1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OCX2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCX2b=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]
である。
【0218】
上述した直交化符号OCX1a,OCX1b,OCX2a,OCX2bを用いることで、第3の実施形態の1重の直交化符号と2重の直交化符号とを兼用でき、第3の実施形態と同等の干渉抑圧特性を、3重の直交化符号、即ち3回の直交化符号の乗算により実現できる。
【0219】
なお、本実施形態では、直交化符号の乗算処理回数が1段回分減ることで、全系列数が半減するため、冗長パルスの送信を削減できる。
【0220】
以下に、本実施形態における直交化符号の乗算処理について説明する。
【0221】
<セクタレーダー#RD1の1重の直交化符号>
異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波対策と、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに2
(N+1)個の直交化符号OCX1a,OCX1bを乗算する。つまり、直交化符号乗算部405aは、1つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列に直交化符号OCX1aを乗算し、2つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列に直交化符号OCX1bを乗算する。これによって、1重の直交化符号が乗算された2×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0222】
<セクタレーダー#RD1の2重の直交化符号>
自セクターからの隣接送信周期内にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、1重の直交化符号が乗算された2×2
(N+1)個のスパノ符号系列をK回繰り返した、つまり、2K×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、1重の直交化符号の符号長と同じ個数である1個の直交化符号を乗算する。なお、以下にはK=2として記載する。
【0223】
このため、直交化符号乗算部405aは、1回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1aが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP1a1を乗算し、1回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1bが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP1b1を乗算する。
【0224】
直交化符号乗算部405aは、2回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1aが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP1a1を乗算し、2回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1bが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP1b1を乗算する。
【0225】
直交化符号乗算部405aは、3回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1aが乗算されたスパノ符号系列に、1個の直交化符号OCP1a2を乗算し、3回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1bが乗算されたスパノ符号系列に、1個の直交化符号OCP1b2を乗算する。
【0226】
直交化符号乗算部405aは、4回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1aが乗算されたスパノ符号系列に、1個の直交化符号OCP1a2を乗算し、4回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX1bが乗算されたスパノ符号系列に、1個の直交化符号OCP1b2を乗算する。つまり、4K×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0227】
<セクタレーダー#RD1の3重の直交化符号>
異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405aは、2重の直交化符号が乗算された4K×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに8K×2
(N+1)個の直交化符号OCQ1a,OCQ1bを乗算する。3重の直交化符号を乗算する事により、全符号系列は8倍になり、8K×2
(N+1)系列となる。
【0228】
<セクタレーダー#RD2の1重の直交化符号>
異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波対策と自セクターからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405bは、2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに2
(N+1)個の直交化符号OCX2a,OCX2bを乗算する。つまり、直交化符号乗算部405bは、1つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列に直交化符号OCX2aを乗算し、2つ目の2
(N+1)個のスパノ符号系列に直交化符号OCX2bを乗算する。これによって、1重の直交化符号が乗算された2×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0229】
<セクタレーダー#RD2の2重の直交化符号>
自セクターからの隣接送信周期タイミングにおいて発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405bは、1重の直交化符号が乗算された2×2
(N+1)個のスパノ符号系列をK回繰り返した、2K×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、1重の直交化符号の符号長と同じ個数である1個の直交化符号を乗算する。なお、以下にはK=2として記載する。
【0230】
このため、直交化符号乗算部405bは、1回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2aが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2a1を乗算し、1回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2bが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2b1を乗算する。
【0231】
直交化符号乗算部405bは、2回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2aが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2a1を乗算し、2回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2bが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2b1を乗算する。
【0232】
直交化符号乗算部405bは、3回目(K=1)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2aが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2a2を乗算し、3回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2bが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2b2を乗算する。
【0233】
直交化符号乗算部405bは、4回目(K=2)の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2aが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2a2を乗算し、4回目の2×2
(N+1)個の直交化符号OCX2bが乗算されたスパノ符号系列に1個の直交化符号OCP2b2を乗算する。つまり、4K×2
(N+1)個のスパノ符号系列が生成される。
【0234】
<セクタレーダー#RD2の3重の直交化符号>
異セクターからの隣接送信周期タイミングにおいて発生する干渉波対策
直交化符号乗算部405bは、2重の直交化符号が乗算された4K×2
(N+1)個のスパノ符号系列を2回並べて、それぞれに8K×2
(N+1)個の直交化符号OCQ2a,OCQ2bを乗算する。3重の直交化符号を乗算する事により、全符号系列は8倍になり、8K×2
(N+1)系列となる。
【0235】
ここで、例えば、N=2、K=2のシステムとして、スパノ符号の一例として、
「A,B,B’,A’,B,A,A’,B’,C,D,D’,C’D,C,C’,D’ 」を用いて説明する。
【0236】
なお、説明を簡単にするために、
SAB=[A,B,B’,A’,B,A,A’,B’]
SEF=[E,F,F’,E’,F,E,E’,F’]
SCD=[C,D,D’,C’,D,C,C’,D’]
SGH=[G,H,H’,G’,H,G,G’,H’]
とする(
図16参照)。
図16は、第4の実施形態における各セクタレーダーにおいて用いられるスパノ符号系列及び各カウンタ値の関係の一例を示す図である。
【0237】
直交化符号制御部404a,404bは、1重の直交化符号として、
OCX1a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCX1b=[−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1]、
OCX2a=[ 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1, 1]、
OCX2b=[ 1,−1, 1,−1, 1,−1, 1,−1]
を用いる。
【0238】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、1重の直交化符号の乗算処理を、
SAB・OCX1a,
SAB・OCX1b,
SEF・OCX1a,
SEF・OCX1b
と計算する。
【0239】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、1重の直交化符号の乗算処理を、
SCD・OCX2a,
SCD・OCX2b,
SGH・OCX2a,
SGH・OCX2b
と計算する。
【0240】
ここで、SCD・OC2bは、スパノ符号と直交化符号との演算であるため、[−C,−D,−D’,−C’,−D,−C,−C’,−D’]と表される。
【0241】
次に、直交化符号制御部404a,404bは、2重の直交化符号として、
OCP1a1= 1、
OCP1b1= 1、
OCP1a2= 1、
OCP1b2=−1、
OCP2a1= 1、
OCP2b1= 1、
OCP2a2= 1、
OCP2b2=−1
を用いる。
【0242】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、2重の直交化符号の乗算処理を、1重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから直交化符号を乗算するため、
SAB・OCX1a・OCP1a1,
SAB・OCX1b・OCP1b1,
SEF・OCX1a・OCP1a1,
SEF・OCX1b・OCP1b1,
SAB・OCX1a・OCP1a2,
SAB・OCX1b・OCP1b2,
SEF・OCX1a・OCP1a2,
SEF・OCX1b・OCP1b2
と計算する。
【0243】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、2重の直交化符号の乗算処理を、1重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから直交化符号を乗算するため、
SCD・OCX2a・OCP2a1,
SCD・OCX2b・OCP2b1,
SGH・OCX2a・OCP2a1,
SGH・OCX2b・OCP2b1,
SCD・OCX2a・OCP2a2,
SCD・OCX2b・OCP2b2,
SGH・OCX2a・OCP2a2,
SGH・OCX2b・OCP2b2
と計算する。
【0244】
次に、直交化符号制御部404a,404bは、3重の直交化符号として、OCQ1a,OCQ1b,OCQ2a,OCQ2bを用いる。3重の直交化符号OCQ1a,OCQ1b,OCQ2aの構成要素は全て1であり、長さ64のベクトルであり、3重の直交化符号OCQ2bの構成要素は全て−1であり、長さ64のベクトルである。
【0245】
セクタレーダー#RD1では、直交化符号乗算部405aは、3重の直交化符号の乗算処理を、2重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから直交化符号を乗算するため、
SAB・OCX1a・OCP1a1・OCQ1a,
SAB・OCX1b・OCP1b1・OCQ1a,
SEF・OCX1a・OCP1a1・OCQ1a,
SEF・OCX1b・OCP1b1・OCQ1a,
SAB・OCX1a・OCP1a2・OCQ1a,
SAB・OCX1b・OCP1b2・OCQ1a,
SEF・OCX1a・OCP1a2・OCQ1a,
SEF・OCX1b・OCP1b2・OCQ1a,
SAB・OCX1a・OCP1a1・OCQ1b,
SAB・OCX1b・OCP1b1・OCQ1b,
SEF・OCX1a・OCP1a1・OCQ1b,
SEF・OCX1b・OCP1b1・OCQ1b,
SAB・OCX1a・OCP1a2・OCQ1b,
SAB・OCX1b・OCP1b2・OCQ1b,
SEF・OCX1a・OCP1a2・OCQ1b,
SEF・OCX1b・OCP1b2・OCQ1b
と計算する。
【0246】
セクタレーダー#RD2では、直交化符号乗算部405bは、3重の直交化符号の乗算処理を、2重の直交化符号の乗算処理の結果を2回並べてから直交化符号を乗算するため、
SCD・OCX2a・OCP2a1・OCQ2a,
SCD・OCX2b・OCP2b1・OCQ2a,
SGH・OCX2a・OCP2a1・OCQ2a,
SGH・OCX2b・OCP2b1・OCQ2a,
SCD・OCX2a・OCP2a2・OCQ2a,
SCD・OCX2b・OCP2b2・OCQ2a,
SGH・OCX2a・OCP2a2・OCQ2a,
SGH・OCX2b・OCP2b2・OCQ2a,
SCD・OCX2a・OCP2a1・OCQ2b,
SCD・OCX2b・OCP2b1・OCQ2b,
SGH・OCX2a・OCP2a1・OCQ2b,
SGH・OCX2b・OCP2b1・OCQ2b,
SCD・OCX2a・OCP2a2・OCQ2b,
SCD・OCX2b・OCP2b2・OCQ2b,
SGH・OCX2a・OCP2a2・OCQ2b,
SGH・OCX2b・OCP2b2・OCQ2b
と計算する。
【0247】
図13,
図14は、第4の実施形態のレーダーシステムを構成するセクタレーダー#RD1,#RD2の内部構成を示すブロック図である。第3の実施形態と異なる点は、パルスカウンタ402a,402bが有するカウンタの数が異なる。
【0248】
パルスカウンタ402a,402bの動作を、
図16及び
図17を参照して説明する。
図17は、第4の実施形態における各セクタレーダーにおいて用いられるスパノ符号系列、各カウンタ値、及び各セクタレーダーに用いられる直交化符号の関係の一例を示す図である。
【0249】
本実施形態では、
図16に示すカウンタACT1,BCT1は、スパノ符号系列の送信信号が送信される毎に1〜8の値を遷移する。なお、カウンタACT1の値が遷移する値の1から8までに相当するパルスである[A,B,B’,A’,B,A,A’,B’]の8つのパルスをまとめて、SABと表す。同様に8つのパルスをまとめてSCD,SEF,SGHと表す。
【0250】
次に、カウンタACT2,BCT2の値は、カウンタACT1,BCT1の値が8までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0251】
次に、
図17において、カウンタACT3,BCT3の値は、カウンタACT2,BCT2の値が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0252】
次に、カウンタACT4,BCT4は、カウンタACT3,BCT3が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0253】
次に、カウンタACT5,BCT5は、カウンタACT4,BCT4が2までカウントされる毎に変化し、1か2の値となる。
【0254】
また、1重の直交化符号(
図17に示す「直交化符号1」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT2の値=1において直交化符号OCX1aを選択し、カウンタACT2の値=2において直交化符号OCX1bを選択する。
【0255】
同様に、1重の直交化符号(
図17に示す「直交化符号1」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT2の値=1において直交化符号OCX2aを選択し、カウンタBCT2の値=2において直交化符号OCX2bを選択する。
【0256】
また、2重の直交化符号(
図17に示す「直交化符号2」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT2の値=1かつカウンタACT4の値=1において直交化符号OCP1a1を選択し、カウンタACT2の値=2かつカウンタACT4の値=1において直交化符号OCP1b1を選択し、カウンタACT2の値=1かつカウンタACT4の値=2において直交化符号OCP1a2を選択し、カウンタACT2の値=2かつカウンタACT4の値=2において直交化符号OCP1b2を選択する。
【0257】
同様に、2重の直交化符号(
図17に示す「直交化符号2」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT2の値=1かつカウンタBCT4の値=1において直交化符号OCP2a1を選択し、カウンタBCT2の値=2かつカウンタBCT4の値=1において直交化符号OCP2b1を選択し、カウンタBCT2の値=1かつカウンタBCT4の値=2において直交化符号OCP2a2を選択し、カウンタBCT2の値=2かつカウンタBCT4の値=2において直交化符号OCP2b2を選択する。
【0258】
また、3重の直交化符号(
図17に示す「直交化符号3」参照)として、セクタレーダー#RD1の直交化符号制御部404aは、カウンタACT5の値=1において直交化符号OCQ1aを選択し、カウンタACT5の値=2において直交化符号OCQ1bを選択する。
【0259】
同様に、3重の直交化符号(
図17に示す「直交化符号3」参照)として、セクタレーダー#RD2の直交化符号制御部404bは、カウンタBCT5の値=1において直交化符号OCQ2aを選択し、カウンタBCT5の値=2においてOC2Qbを選択する。
【0260】
なお、各カウンタによって選択された直交化符号は、
図14,
図15の直交化符号乗算部405a,405bにおいて、送信符号制御部210a,210bから出力された送信符号と乗算される。
【0261】
例えば、セクタレーダー#RD2において、
図17に示すカウンタの値がそれぞれカウンタBCT2の値=2、カウンタBCT3の値=1、カウンタBCT4の値=2、カウンタBCT5の値=1の場合では、
(1)1重の直交化符号1は、
符号長8のOCX2b=[1,−1,1,−1,1,−1,1,−1]、
(2)2重の直交化符号は、符号長1のOCP2b2=−1、
(3)3重の直交化符号は、OCQ2aであり、構成要素が全て1であり、符号長64のベクトルである。
【0262】
このため、上述した各カウンタの値となるタイミングでは、SCDの8つのパルス[C,D,D’,C’,D,C,C’,D’]が送信されている。
【0263】
SCDのi番目のパルス(例えばi=3ではD’)は、
1重の直交化符号OCX2bのi番目の符号(例えばi=3では1)と、
2重の直交化符号OCP2b2の符号−1と、
3重の直交化符号OCQ2aの(40+i)番目の符号(例えばi=3では1)とを乗算した、
(+1)×(−1)×(+1)×(D’)=(−D’)の−D’のパルスが送信される。
【0264】
なお、直交化符号OCQ2aは、カウンタBCT2の値=1、カウンタBCT3の値=1、カウンタBCT4の値=1、カウンタBCT5の値=1となった時から1に設定されているため、今回のカウンタ設定までで用いられる40符号から用いられて(40+i)番目となる。
【0265】
以上により、本実施形態のレーダーシステムは、上述した3重の直交化符号を選択して乗算する事によって、異なるセクタレーダーからの同一送信周期内において発生する干渉波と、自セクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波と、異なるセクタレーダーからの隣接送信周期にわたって発生する干渉波を抑圧できる。
【0266】
以上、図面を参照して各種の実施形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0267】
上述した実施形態において、セクタレーダー#RD1は、8個のスパノ符号系列(A,B,B’,A’,B,A,A’,B’)のうち任意の2個又は4個を部分的に選択した符号系列を用いて第1送信信号を生成しても良い。同様に、セクタレーダー#RD2は、8個のスパノ符号系列(C,D,D’,C’,D,C,C’,D’)のうち任意の2個又は4個を部分的に選択した符号系列を用いて第2送信信号を生成しても良い。
【0268】
また、スパノ符号系列は、上記実施の形態に記載した1組の相補符号(A、B)または(C,D)を元にした、スパノ符号系列として、「A,B,B’,A’,B,A,A’,B’」、「A,B,B,A」、「C,D,C’,D’,D,C,C’,D’」、「C,D,D,C」以外にも用いることができ、例えば、8系列のスパノ符号としては、「A,B,B,A,B,A,A,B」、または、「A,B,D,C,B,A,C,D」でも良く、4系列のスパノ符号としては、「A,B,B’,A’」又は「A,B,D,C」を用いても良い。
【0269】
なお、本出願は、2013年2月21日出願の日本特許出願(特願2013−032002)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。