特許第6335879号(P6335879)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6335879-植物調節エレメントおよびその使用 図000006
  • 特許6335879-植物調節エレメントおよびその使用 図000007
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335879
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】植物調節エレメントおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20180521BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20180521BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20180521BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20180521BHJP
【FI】
   C12N15/00 AZNA
   C12N5/10
   A01H5/00 A
   A01H5/10
【請求項の数】17
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2015-507054(P2015-507054)
(86)(22)【出願日】2013年4月10日
(65)【公表番号】特表2015-514422(P2015-514422A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】US2013036011
(87)【国際公開番号】WO2013158442
(87)【国際公開日】20131024
【審査請求日】2016年2月18日
(31)【優先権主張番号】61/635,945
(32)【優先日】2012年4月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/830,403
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・アーレンス
(72)【発明者】
【氏名】ショーバ・チェリアン
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ジェイ・ロイダ
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・エル・ルトフィヤ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ・ウー
(72)【発明者】
【氏名】ジアリ・シエ
【審査官】 小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2009/0106857(US,A1)
【文献】 特表2010−500035(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/088299(WO,A1)
【文献】 特開平07−067645(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0177228(US,A1)
【文献】 国際公開第2010/117737(WO,A1)
【文献】 バイオインフォマティクス ゲノム配列から機能解析へ,株式会社 メディカル・サイエンス・インターナショナル,2005年,第2版,350−355、362−368頁
【文献】 日本土壌肥料学雑誌,2006年,Vol.77, No.2,p.213-218
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00−15/90
C12N 1/00− 7/08
A01H 1/00−17/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
MEDLINE/BIOSIS/EMBASE/WPIDS/WPIX/CAplus/REGISTRY(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a) 配列番号1、2、3、6または8のいずれかの全長と、少なくとも95%の配列同一性を示し、かつ遺伝子調節活性を有する配列;および
b) 配列番号1、2、3、6または8のいずれかを含む配列;
らなる群から選択される、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合したDNA配列を含む、DNA分子。
【請求項2】
異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子が、農学的に関心のある遺伝子を含む、請求項1記載のDNA分子。
【請求項3】
農学的に関心のある遺伝子が、植物に除草剤耐性をもたらす、請求項2記載のDNA分子。
【請求項4】
農学的に関心のある遺伝子が、植物に有害生物耐性をもたらす、請求項2記載のDNA分子。
【請求項5】
a) 配列番号1、2、3、6または8のいずれかの全長と、少なくとも95%の配列同一性を示し、かつ遺伝子調節活性を有する配列;および
b) 配列番号1、2、3、6または8のいずれかを含む配
らなる群から選択される、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合した配列を含む、異種性のDNA分子を含む遺伝子導入植物細胞。
【請求項6】
単子葉植物細胞である、請求項5記載の遺伝子導入植物細胞。
【請求項7】
双子葉植物細胞である、請求項5記載の遺伝子導入植物細胞。
【請求項8】
請求項1記載のDNA分子を含む、遺伝子導入植物またはその一部。
【請求項9】
子孫の植物またはその一部が該DNA分子を含む、請求項8記載の遺伝子導入植物の子孫またはその一部。
【請求項10】
請求項1記載のDNA分子を含む、遺伝子導入種子。
【請求項11】
配列番号1、6および8からなる群から選択される転写調節発現エレメントグループを含む導入遺伝子カセットであって、該転写調節発現エレメントグループが、配列番号10、11、12および13からなる群から選択される3’UTRに作動可能に結合する異種性のコード配列に作動可能に結合している、導入遺伝子カセット。
【請求項12】
配列番号10として表される3’UTRに作動可能に結合した異種性のコード配列に作動可能に結合している、配列番号1として表される転写調節発現エレメントグループを含む、請求項11記載の導入遺伝子カセット。
【請求項13】
配列番号11および12からなる群から選択される3’UTRに作動可能に結合している、異種性のコード配列に作動可能に結合している、配列番号6として表される転写調節発現エレメントグループを含む、請求項11記載の導入遺伝子カセット。
【請求項14】
配列番号12および13からなる群から選択される3’UTRに作動可能に結合した異種性のコード配列に作動可能に結合している、配列番号8として表される転写調節発現エレメントグループを含む、請求項11記載の導入遺伝子カセット。
【請求項15】
請求項8記載の遺伝子導入植物またはその一部を得、そこから製品を製造することを含む、製品の製造方法。
【請求項16】
該製品が蛋白質濃縮物、蛋白質単離物、穀粒、デンプン、種子、ミール、粒粉、バイオマスまたは種子油である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
転写可能なポリヌクレオチド分子を発現させる方法であって、該転写可能なポリヌクレオチド分子が発現している、請求項8記載の遺伝子導入植物を得、該植物を栽培することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
この出願は、2012年4月20日に出願された、米国特許仮出願第61/635,945および2013年5月14日に出願された第13/830,403号に対する利益を主張するものであり、これらはその全体が引用により本明細書中に包含される。
【0002】
配列表の取り込み
「MONS326WO_ST25.txt」のファイル名にて含まれる、22kb (Microsoft Windows(登録商標)で測定した場合) の、2013年4月10日作成の配列表を、電子出願によりともに提出し、該配列表は、引用により本明細書中に包含される。
【0003】
技術分野
本発明は、植物の分子生物学および植物の遺伝子工学の分野に関する。より具体的には、本発明は植物において遺伝子発現を調節するのに有用なDNA分子に関する。
【背景技術】
【0004】
調節エレメントは、作動可能に結合した、転写可能なポリヌクレオチド分子を調節することにより、遺伝子活性を調節する、遺伝子エレメントである。該エレメントには、プロモーター、リーダー、イントロンおよび3’非翻訳領域が含まれ、これらは、植物の分子生物学および植物遺伝子工学の分野において有用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
寒冷で湿潤なストレス条件下での発芽の間に植物に利点を与える導入遺伝子を発現する、遺伝子導入作物は、該導入遺伝子の発現に最も有益な発現パターンを示す調節エレメントを必要とする。かかる調節エレメントは、発生途中の種子において、種子が寒冷および/または湿潤な条件下にて出芽した場合に、すぐに作用し得る、導入遺伝子産物の貯蔵を可能にし、発芽および実生の確立の早期段階における発現を提供できる程度に充分に発現していなければならない。したがって、本発明は、発生および発芽中の種子において高いレベルの発現を示し、寒冷および/または湿潤な発芽条件にて益を与える導入遺伝子を発現させるのに使用し得る、新規の調節エレメントを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、植物において用いるための新規の遺伝子調節エレメントを提供する。本発明は、また、該調節エレメントを含むDNAコンストラクトを提供する。本発明はまた、該調節エレメントを含む遺伝子導入植物細胞、植物および種子を提供する。該配列は、転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合していてよい。態様の一において、かかる転写可能なポリヌクレオチド分子は、本明細書に記載する調節配列と異種性であってよい。したがって、特定の態様において、本発明で提供する調節エレメント配列は、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合しているとして定義されてよい。本発明はまた、調節エレメント、該調節エレメントを含むDNAコンストラクトおよび転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合した調節エレメントを含む、遺伝子導入植物細胞、植物および種子を提供する。
【0007】
局面の一において、本発明は、: (a) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかと少なくとも約85%の配列同一性を示す配列; (b)配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかを含む配列; ならびに(c) 遺伝子調節活性を有する配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのフラグメントからなる群から選択されるDNA配列を含むDNA分子を提供し、ここで該配列は、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合している。態様の一において、該DNA分子は、配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのDNA配列に少なくとも約90%の配列同一性を示す。他の態様では、該DNA分子は、配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのDNA配列と、少なくとも95%の配列同一性を示す。他の態様において、該DNA配列は、遺伝子調節活性を有する。さらに他の態様において、該異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子は、農業的に関心のある遺伝子を含む。他の態様において、農業的に関心のある遺伝子は、植物における除草剤耐性または有害生物耐性をもたらす。
【0008】
他の局面において、本発明は、(a) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかと少なくとも約85%の配列同一性を示す配列; (b) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかを含む配列; ならびに(c) 遺伝子調節活性を示す、配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのフラグメントからなる群から選択される配列を含む、異種性DNA分子を含む、遺伝子導入植物細胞を提供し、ここで該配列は、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に、作動可能に結合している。複数の態様において、該遺伝子導入植物細胞は、単子葉植物細胞であっても、双子葉植物細胞であってもよい。
【0009】
他の態様において、本発明は: (a) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかと少なくとも約85%の配列同一性を示す配列; (b) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかを含む配列; および (c) 遺伝子調節活性を示す、配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのフラグメントからなる群から選択されるDNA分子を含む、遺伝子導入植物またはその一部を提供し、ここで、該配列は、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合している。他の態様において、本発明は、かかる遺伝子導入植物の任意の世代の子孫である植物またはその一部を提供し、ここで、かかる子孫の植物またはその一部は、上述のDNA分子を含む。さらに他の態様において、本発明は、遺伝子導入種子を提供し、ここで、該種子は上述のDNA分子を含む。
【0010】
他の局面において、本発明は、配列番号1、6および8からなる群から選択される、転写調節発現エレメントグループを含む導入遺伝子カセットを提供し、ここで、該転写調節発現エレメントグループは、配列番号10、11、12および13からなる群から選択される3’UTRに作動可能に結合した、異種性のコード配列に作動可能に結合している。態様の一において、該導入遺伝子カセットは、配列番号1で表される転写調節発現エレメントグループを含み、ここで該転写調節発現エレメントグループは、配列番号10で表される3’UTRに作動可能に結合した、異種性のコード配列に作動可能に結合している。他の態様において、該導入遺伝子カセットは、配列番号6で表される転写調節発現エレメントグループを含み、ここで、該転写調節発現エレメントグループは、配列番号11および12からなる群から選択される3’UTRに作動可能に結合した異種性のコード配列に作動可能に結合している。さらに他の態様において、該導入遺伝子カセットは、配列番号8で表される転写調節発現エレメントグループを含み、該転写調節発現エレメントグループは、配列番号12および13からなる群から選択される3’UTRに作動可能に結合した、異種性のコード配列に作動可能に結合している。他の態様において、本発明は、製品の製造方法であって、(a) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかと配列同一性が約85%の配列; (b) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかを含む配列; ならびに (c) 遺伝子調節活性を持つ、配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのフラグメントからなる群から選択される、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に結合しているDNA配列を含む、遺伝子導入植物またはその一部を得、そこから製品を製造することを含む、方法を提供する。態様の一において、該製品は、蛋白質濃縮物、蛋白質単離物、穀粒、デンプン、種子、ミール、粒粉、バイオマスまたは種子油である。
【0011】
他の局面において、本発明は、転写可能なポリヌクレオチド分子を発現させる方法であって: (a) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかと少なくとも約85%の配列同一性を示す配列; (b) 配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかを含む配列; および(c) 転写活性を有する、配列番号1、2、3、4、6または8のいずれかのフラグメントからなる群から選択される、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合しているDNA配列を含む遺伝子導入植物を得、該転写可能なポリヌクレオチド分子が発現している、植物を栽培することを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】異なる導入遺伝子カセットの配置により見られる、発生途中の遺伝子導入トウモロコシ胚および胚乳におけるβ-グルクロニダーゼ(GUS)の発現を表す。各導入遺伝子カセットの配置は、実施例3の表3に示すように、転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1 (配列番号6) およびEXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1 (配列番号8) に作動可能に結合した、GUSコード配列と、3’UTRである、T-Os.CLUS33428_1-1:1:1 (配列番号11)、T-Os.Mth-1:1:1 (配列番号12)およびT-Os.Ara5-1:1:1 (配列番号13)からなる。
図2】種々の導入遺伝子カセット配置によりもたらされる、遺伝子導入トウモロコシの選択した組織における、β-グルクロニダーゼ (GUS)発現を表す。各導入遺伝子カセット配置は、実施例3の表3に示すように、転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1 (配列番号6)およびEXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1 (配列番号8) に作動可能に結合したGUSコード配列と、3’UTRである、T-Os.CLUS33428_1-1:1:1 (配列番号11)、T-Os.Mth-1:1:1 (配列番号12)およびT-Os.Ara5-1:1:1 (配列番号13)からなる。
【0013】
配列の簡単な説明
配列番号1は、転写調節発現エレメントグループ、すなわちEXPである、EXP-Zm.Nac+Zm.DnaK:1:1の配列であり、イントロンであるI-Zm.DnaK-1:1:1 (配列番号5)に作動可能に結合した、リーダーであるL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)の5’に作動可能に結合した、プロモーターのP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)からなる。
【0014】
配列番号2は、プロモーターであるP-Zm.Nac-1:1:2配列である。
【0015】
配列番号3は、リーダーであるL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)の5’に作動可能に結合した、プロモーターであるP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)からなる配列である。
【0016】
配列番号4は、リーダーであるL-Zm.Nac-1:1:1の配列である。
【0017】
配列番号5はイントロンであるI-Zm.DnaK-1:1:1の配列である。
【0018】
配列番号6は、転写調節発現エレメントグループ、すなわちEXPである、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1の配列であり、イントロンであるI-Os.FBA-1-1:1:1 (配列番号7)に作動可能に結合した、リーダーであるL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)の5’に作動可能に結合した、プロモーターであるP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)からなる。
【0019】
配列番号7は、イントロンであるI-Os.FBA-1-1:1:1の配列である。
【0020】
配列番号8は、調節発現エレメントグループ、すなわちEXPである、EXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1の配列であり、イントロンのI-Os.Cab-1-1:1:1 (配列番号9)に作動可能に結合した、リーダーであるL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)の5’に作動可能に結合した、プロモーターであるP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)からなる。
【0021】
配列番号9は、イントロンであるI-Os.Cab-1-1:1:1の配列である。
【0022】
配列番号10は、3’UTRであるT-AGRtu.nos-1:1:13の配列である。
【0023】
配列番号11は、3’UTRであるT-Os.CLUS33428_1-1:1:1の配列である。
【0024】
配列番号12は、3’UTRであるT-Os.Mth-1:1:1の配列である。
【0025】
配列番号13は、3’UTRであるT-Os.Ara5-1:1:1の配列である。
【0026】
配列番号14は、β-グルクロニダーゼマーカー遺伝子のコード配列である。
【0027】
配列番号15は、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV) 35Sプロモーターおよびリーダーを含む、転写調節発現エレメントグループすなわちEXPである、EXP-CaMV.35S:1:1の配列である。
【0028】
配列番号16は、コメのアクチン1プロモーター、リーダーおよびイントロンを含む、転写調節発現エレメントグループすなわちEXPである、EXP-Os.Act1:1:1の配列である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、植物種由来の、有益な遺伝子調節活性を持つ新規のポリヌクレオチド分子を提供する。本発明はまた、該調節エレメントを含むDNAコンストラクトならびに該調節エレメントを含む植物細胞、植物および種子を提供する。これらのポリヌクレオチド分子のヌクレオチド配列は、配列番号1、2、3、4、6および8として示される。これらのポリヌクレオチド分子のデザイン、作製および使用は、本発明により提供される。これらのポリヌクレオチド分子は、例えば、植物組織中の、作動可能に結合した転写可能なポリヌクレオチド分子の発現に影響を与えることができ、それにより、遺伝子導入植物における遺伝子発現またはコードされる遺伝子の産物の活性を選択的に調節することができる。本発明はまた、該調節エレメント、プロモーターおよび/または他の記載するヌクレオチド配列を含むDNAコンストラクトの作製および使用方法ならびにその製造および使用方法を提供する。本発明はまた、転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合した調節エレメントを含む、遺伝子導入植物細胞、植物および種子ならびに形質転換したホスト細胞を提供する。
【0030】
本発明のDNA配列は、転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合していてもよい。態様の一において、かかる転写可能なポリヌクレオチド分子は、本明細書中に記載の調節配列と異種性であってよい。したがって、具体的な態様において、本発明の提供する調節エレメントの配列は、異種性の転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合していると定義してよい。
【0031】
本発明をより明確に定義し、当業者が本発明を実行するために、以下の定義および方法を提供する。特にことわらない限り、用語は、関連分野において当業者が通常用いるものにしたがうと理解される。
【0032】
DNA分子
本明細書において、「DNA」または「DNA分子」という語は、ゲノムまたは合成起源の二本鎖DNA分子、すなわち、5’(上流)末端から3’(下流)末端に読まれる、デオキシリボヌクレオチド塩基のポリマーまたはポリヌクレオチド分子を指す。本明細書において、「DNA配列」という語は、DNA分子のヌクレオチド配列を指す。本明細書で用いる命名は、Federal Regulations§1.822, the United States Code, Title 37およびWIPO Standard ST.25 (1998), Appendix 2, Tables 1 and 3の表の記載に対応するものである。
【0033】
本明細書中において、「単離されたDNA分子」という語は、天然または自然の状態では通常結合している他の分子から、少なくとも部分的に分離されたDNA分子を指す。態様の一において、「単離された」という語は、天然または自然の状態では、通常、該DNA分子に隣接する核酸から、少なくとも部分的に分離されたDNA分子を指す。したがって、通常結合していない調節配列またはコード配列と、例えば組み換え技術の結果として融合させたDNA分子は、本明細書中では単離されているとみなす。該分子は、ホスト細胞のクロモソームに組み込まれた場合または他のDNA分子とともに核酸溶液中に存在する場合、天然の状態ではないという点で、単離されている考えられる。
【0034】
本明細書に記載するように、DNA分子またはそのフラグメントを単離および操作するのに、当業者によく知られている任意の方法を用いてよい。例えば、特定の開始DNA分子の増幅および/または元の分子の変異体の製造には、PCR(polymerase chain reaction: ポリメラーゼ連鎖反応)を用いてよい。DNA分子またはそのフラグメントは、また、例えば自動オリゴヌクレオチド合成機を用いて通常行われる、化学的な手法によるフラグメントの直接の合成のような、他の技術を用いて得てもよい。
【0035】
本明細書において、「配列同一性」という語は、最適アラインメントにおいて2つのポリヌクレオチド配列または2つのポリペプチド配列が同一である程度を指す。配列の最適アラインメントは、2つの配列、例えば対照配列と他の配列を、適当な内部ヌクレオチド挿入、欠失またはギャップのある配列のアラインメントにおいて、一致するヌクレオチドの数が最大になるように手動で並べて比較することにより行う。本明細書中において、「対照配列」という語は、配列番号1、2、3、4、6および8のポリヌクレオチド配列として表される配列を指す。
【0036】
本明細書中において、「パーセント配列同一性」または「パーセント同一」または「%同一性」という語は、同一の割合に100を掛けたものである。最適アラインメントにより対照配列と比較した、配列の「同一の割合」は、かかる最適アラインメントにおいて一致したヌクレオチドの数を、対照配列のヌクレオチドの総数、例えば、全対照配列の全長のヌクレオチドの総数で割った値を表す。したがって、態様の一において、本発明は、配列番号1、2、3、4、6および8として表される対照配列との最適アラインメントにおいて、対照配列と少なくとも約85%の配列同一性、少なくとも約90%の配列同一性、少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約96%の配列同一性、少なくとも約97%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性または少なくとも約99%の配列同一性を示す、配列を含むDNA分子を提供する。特定の態様において、該配列は、遺伝子調節活性を示すものと定義してもよい。
【0037】
調節エレメント
調節エレメントは、遺伝子調節活性を持つ、すなわち、作動可能に結合している転写可能なポリヌクレオチドの転写および/または翻訳に影響を及ぼすことのできる、DNA分子である。したがって、「遺伝子調節活性」という語は、作動可能に結合している転写可能なポリヌクレオチド分子の転写および/または翻訳に影響を与えることにより、かかる作動可能に結合した、転写可能なポリヌクレオチド分子の発現パターンに影響を及ぼすことができることを指す。本明細書中において、転写調節発現エレメントグループ(EXP) は、作動可能に結合した発現エレメント、例えばエンハンサー、プロモーター、リーダーおよびイントロンからなっていてよい。したがって、転写調節発現エレメントグループは、例えば、リーダー配列の5’に作動可能に結合したプロモーターからなっていてよく、該プロモーターは、それ自体は、イントロン配列の5’に作動可能に結合している。該イントロン配列は天然の配列の、最初のイントロン/エキソンスプライスジャンクションの位置で始まる配列からなっていてよく、適当なイントロン/エキソンプロセシングをもたらし、転写および得られる転写物の適当なプロセシングが促進されるように、二番目のイントロン/エキソンスプライスジャンクションを含む小さいリーダーフラグメントをさらに含んでいてよい。リーダーおよびイントロンは、作動可能に結合した転写可能なポリヌクレオチド分子の転写ならびに生じる転写されたRNAの翻訳に正に影響を与え得る。プレプロセシングを受けたRNA分子は、リーダーおよびイントロンを含み、これらは、転写されたRNAの転写後のプロセシングおよび/または細胞核から細胞質への転写されたRNA分子への輸送に影響を与え得る。転写されたRNA分子の転写プロセシングの後、該リーダー配列は、最終mRNAの一部として保持され、mRNA分子の翻訳に正に影響を与えてよい。
【0038】
プロモーター、リーダー、イントロンおよび転写終結領域のような調節エレメントは、遺伝子調節活性を持ち、生細胞における遺伝子発現全体において不可欠な役割を果たすDNA分子である。「調節エレメント」という語は、遺伝子調節活性を持つ、すなわち、作動可能に結合している転写可能なポリヌクレオチド分子の転写および/または翻訳に影響を与えることのできるDNA分子を指す。したがって、プロモーターおよびリーダーのような、植物中で機能する単離された調節エレメントは、遺伝子工学の方法を通じて植物の表現型を変更するのに有用である。
【0039】
調節エレメントは、その(質的および量的な)発現パターンへの影響、例えば正または負の影響および/または構成的もしくは他の影響、例えば、その時間的、空間的、発生、組織、環境、生理学、病理学、細胞周期および/または化学応答的な発現パターンおよびその任意の組み合わせ、ならびに量的または質的な指標により特徴づけてよい。プロモーターは、作動可能に結合している転写可能なポリヌクレオチド分子の発現を調節するための調節エレメントとして有用であり得る。
【0040】
本明細書中において、「遺伝子発現パターン」という語は、作動可能に結合したDNA分子の、転写されたRNA分子への転写の任意のパターンを意味する。転写されたRNA分子は、翻訳されて蛋白質分子を産生するか、アンチセンスまたは他の調節RNA分子、例えばmRNA、dsRNA、tRNA、rRNA、miRNAなどを提供し得る。
【0041】
本明細書中において、「蛋白質発現」という語は、転写されたRNA分子の蛋白質分子への任意のパターンの翻訳である。蛋白質発現は、その時間的、空間的、発生上または形態学的な性質ならびに量的または質的な指標により特徴づけてよい。
【0042】
本明細書中において、「プロモーター」という語は、一般的に、転写を開始するためのRNAポリメラーゼIIおよび他の蛋白質(トランス作用転写因子)の認識および結合に関連するDNA分子を指す。プロモーターは、遺伝子のゲノムコピーの5’UTR (5’非翻訳領域)から最初に単離してもよい。あるいは、プロモーターは、合成により製造したDNA分子または操作したDNA分子であってよい。プロモーターはまた、キメラ、すなわち、2つ以上の異種性のDNA分子の融合により製造したプロモーターであってもよい。本発明を実施するのに有用なプロモーターとしては、配列番号3またはそのフラグメントまたは変異体が挙げられる。本発明の特定の態様において、本明細書中に記載する該分子およびその任意の変異体または派生体は、さらに、プロモーター活性を含む、すなわち、ホスト細胞、例えば遺伝子導入植物においてプロモーターとして作用しうるものとして定義される。なおさらなる特定の態様において、フラグメントは、由来する開始プロモーター分子の有するプロモーター活性を示すものとして定義してもよく、または、フラグメントは、基本レベルの転写をもたらし、転写を開始するために、RNAポリメラーゼII複合体が認識および結合するための、TATAボックスまたは同等の配列からなる、「最小プロモーター」を含んでいてよい。
【0043】
態様の一において、本発明は、本明細書中に記載のプロモーター配列のフラグメントを提供する。プロモーターフラグメントは、上述のプロモーター活性を含んでいてもよく、単独または他のプロモーターおよびプロモーターフラグメントと組み合わせて、例えばキメラプロモーターの構築に有用であってよい。特定の態様において、プロモーターのフラグメントは、本明細書に記載の、プロモーター活性を有するポリヌクレオチド分子の、少なくとも約50、95、150、250、500、750または少なくとも1000、またはそれより長い連続するヌクレオチドを含んだ状態で提供される。
【0044】
発現を改善または変化させるために、配列番号3として表されるプロモーター由来の構成、例えば、内部または5’欠失を、当該分野で公知の方法を用いて、例えば発現に正もしくは負の影響を及ぼすエレメントの除去;発現に正もしくは負の影響を及ぼすエレメントの複製;および/または発現に組織または細胞特異的な影響を及ぼすエレメントを複製または除去することにより、製造してよい。例えば、エンハンサーエレメントを作製するために、配列番号3で表されるプロモーター由来の、TATAボックスエレメントまたはその同等の配列および下流の配列が欠失した3’欠失からなる、構成を用いてもよい。発現に正または負;組織特異的;細胞特異的;または時期特異的(例えば、非限定的な例としては概日リズム)な影響を及ぼす任意のエレメントを除くために、さらに欠失をさせてもよい。配列番号3として表されるプロモーターおよびそれ由来のフラグメントまたはエンハンサーを、他のエンハンサーおよびプロモーターに作動可能に結合した、配列番号3として表されるプロモーターおよびそれ由来のフラグメントまたはエンハンサーからなるキメラ転写調節エレメントの構成を作製するのに使用してよい。本明細書に記載の修飾、複製または欠失の、特定の導入遺伝子の所望の発現に対する効率は、安定発現および一過性発現の植物のアッセイ、例えば本明細書中に記載のアッセイにおいて実験して、結果を検証してよく、かかる結果は、開始分子の変化およびかかる変化の目的によって変動し得る。
【0045】
本明細書中において、「リーダー」という語は、遺伝子のゲノムコピーの5’非翻訳領域(5’UTR)から単離された、一般的に転写開始点(TSS)と蛋白質コード配列開始点の間のヌクレオチドセグメントとして定義される、DNA分子を指す。あるいは、リーダーは、合成により製造されたDNAエレメントであっても、操作されたDNAエレメントであってもよい。リーダーは、作動可能に結合した転写可能なポリヌクレオチド分子の発現を調節するための5’調節エレメントとして用いてよい。リーダー分子は、異種性のプロモーターまたはその天然のプロモーターとともに用いてよい。したがって、本発明のプロモーター分子は、その天然のリーダーに作動可能に結合していても、異種性のリーダーに作動可能に結合していてもよい。本発明を実施するのに有用なリーダーは、配列番号4またはそのフラグメントまたは変異体として表される。特定の態様において、該配列は、ホスト細胞、例えば遺伝子導入植物細胞において、リーダーとして作用し得るものとして定義され得る。態様の一において、該配列は、リーダー活性を含むことが解読されている。
【0046】
配列番号4で表される該リーダー配列(5’UTR) は、調節エレメントからなるかまたは導入遺伝子の転写または翻訳に影響を与えうる二次構造をとっていてよい。このリーダー配列は、本発明によれば、導入遺伝子の転写または翻訳に影響を与えるキメラ調節エレメントの作製に用い得る。さらに配列番号4として表されるリーダー配列は、導入遺伝子の転写または翻訳に影響を与えるキメラ調節エレメントの作製に用い得る。
【0047】
外来遺伝子を、新しい植物ホストに導入しても、導入した遺伝子が常に高い発現を示すわけではない。さらに、複雑な形質を扱う場合には、空間的または時間的な発現パターンの異なるいくつかの遺伝子を調節することが必要な場合もある。かかる調節は、主にイントロンが提供し得る。しかし、1つの植物に同じイントロンを複数使うと、不都合が生じることが示されている。その場合、適当な組み換えDNAエレメントの構築を制御する基本的なエレメントを収集しておくことが必要である。当該分野で、発現促進性の性質を有することが知られているイントロンの数は限られており、そのため、代替となるものが必要とされる。
【0048】
配列番号5、7および9に表されるいずれかのイントロンから得られる構成は、シス作用性エレメントの内部欠失または重複を含んでいてよい。さらに、イントロン/エキソン スプライスジャンクションを含む5’および3’配列の変異は、プロモーター+リーダーまたはキメラのプロモーター+リーダーとコード配列に作動可能に結合した場合の発現または発現の特異性を向上させるのに使用し得る。また、メッセンジャーRNAのプロセシングおよびスプライシング後に得られる転写物に、偽の開始コドンおよび停止コドンが導入される可能性を低下させるために、イントロン/エキソン スプライスジャンクションを含む5’および3’領域に変異を作製してもよい。該イントロンは、実施例に記載するように実験を行い、該イントロンの導入遺伝子の発現への影響を決定してよい。
【0049】
本発明によれば、プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、公知のプロモーターエレメント、すなわち、TATAボックスおよび他の公知の転写因子結合部位のモチーフのようなDNA配列の特徴があるかどうかを解析し得る。かかる公知のプロモーターエレメントを同定することにより、当業者が元々のプロモーターと類似の発現パターンを示すプロモーターの変異体をデザインするのに有用である場合がある。
【0050】
本明細書中において、「エンハンサー」または「エンハンサーエレメント」という語は、全体的な発現パターンをもたらすが、通常、単独では、作動可能に結合したポリヌクレオチド配列を発現させるには不十分である、シス作用性の転写調節エレメント(シスエレメント)を指す。エンハンサーエレメントは、プロモーターと異なり、通常、転写開始点(TSS)またはTATAボックスもしくは同等の配列を含まない。言うまでもないことであるが、プロモーターは、作動可能に結合したポリヌクレオチド配列の発現に影響を与えるエンハンサーエレメントを1つ以上含んでいてよい。単離したエンハンサーエレメントを、プロモーターに融合して、遺伝子発現の全体的な調節をもたらす、キメラプロモーターシスエレメントを作製してもよい。プロモーターまたはプロモーターフラグメントは、作動可能に結合した遺伝子の発現に影響を与えるエンハンサーエレメントを1つ以上含んでいてよい。多くのプロモーターエンハンサーエレメントは、DNA結合蛋白質に結合するか、および/またはDNAトポロジーに影響を与え、それにより、RNAポリメラーゼがDNAテンプレートに近づくのを選択的に可能にするかもしくは制限する、または転写開始点の二重らせんが選択的に開くのを促進する、局所立体構造をとるのに影響を与えると考えられている。エンハンサーエレメントは、転写を調節する転写因子への結合に機能し得る。エンハンサーには、1つ以上の転写因子に結合するものがあり、転写因子は、1つ以上のエンハンサードメインと、異なる親和性にて相互作用し得る。エンハンサーエレメントは、多数の技術、例えば欠失解析、すなわち、プロモーターの5’末端または内部の1つ以上のヌクレオチドの欠失の解析、DNase Iフットプリンティングを用いたDNA結合蛋白質解析、メチル化干渉、電気泳動移動度シフト解析、ライゲーション介在性PCRによる生体内ゲノムフットプリンティングおよび他の慣用アッセイ; または標的配列または標的モチーフとして公知のシス−エレメントモチーフまたはエンハンサーエレメントを用いた、BLASTのような、慣用的なDNA配列比較法によるDNA配列類似性解析により同定し得る。エンハンサードメインの細かい構造はさらに、1つ以上のヌクレオチドの変異誘発(または置換)または他の慣用的な方法により研究し得る。エンハンサーエレメントは、化学合成または該エレメントを含む調節エレメントからの単離により得られ、続く操作を促進するのに有用な制限酵素サイトを含む、さらなる隣接ヌクレオチドとともに合成し得る。したがって、本明細書に記載の、作動可能に結合した転写可能なポリヌクレオチド分子の発現調節のための方法によるエンハンサーエレメントのデザイン、構造および使用は本発明に含まれる。
【0051】
植物では、いくつかのイントロンを遺伝子コンストラクトに含むことによって、イントロンを欠くコンストラクトと比較して、mRNAおよび蛋白質の集積が増加する。この影響は、遺伝子発現の「イントロンを介する促進(IME)」と呼ばれる(Mascarenhas et al., (1990) Plant Mol. Biol. 15:913-920)。植物において発現を刺激することが知られているイントロンは、トウモロコシ遺伝子[例えば、tubA1、Adh1、Sh1、Ubi1 (Jeon et al., Plant Physiol. 123:1005-1014, 2000; Callis et al., Genes Dev. 1:1183-1200, 1987; Vasil et al., Plant Physiol. 91:1575-1579, 1989; Christiansen et al., Plant Mol. Biol. 18:675-689, 1992) およびコメ遺伝子 (例えば、salt、tpi: McElroy et al., Plant Cell 2:163-171, 1990; Xu et al., Plant Physiol. 106:459-467, 1994)において同定されている。同様に、双子葉類の植物遺伝子、例えばペチュニア (例えば、rbcS)、ジャガイモ (例えばst-ls1) およびシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana) (例えばubq3およびpat1)のイントロンは、遺伝子発現率を上昇させることがわかっている(Dean et al., Plant Cell 1:201-208, 1989; Leon et al., Plant Physiol. 95:968-972, 1991; Norris et al., Plant Mol Biol 21:895-906, 1993; Rose and Last, Plant J.11:455-464, 1997)。イントロンのスプライス部位における欠失または変異は、遺伝子発現を低下させることがわかっており、このことにより、IMEにはスプライシングが必要であり得ることが示唆される (Mascarenhas et al., Plant Mol Biol. 15:913-920, 1990; Clancy and Hannah, Plant Physiol. 130:918-929, 2002)。しかし、シロイヌナズナのpat1遺伝子のスプライス部位中の点変異に示されるように、双子葉植物の特定のIMEでは、スプライシングは必要ではない (Rose and Beliakoff, Plant Physiol. 122:535-542, 2000)。
【0052】
イントロンの挿入により、組み換え発現カセットが発現を亢進できない場合もあるため、イントロンによる遺伝子発現の亢進は、一般的な現象ではない (例えば、双子葉植物のイントロン、例えばエンドウマメのrbcS遺伝子、インゲンマメのファゼオリン遺伝子およびジャガイモ(Solanum tuberosum)のstls-1遺伝子およびトウモロコシ遺伝子のイントロン(adh1遺伝子の9番目のイントロンおよびhsp81遺伝子の1番目のイントロン) (Chee et al., Gene 41:47-57, 1986; Kuhlemeier et al., Mol Gen Genet 212:405-411, 1988; Mascarenhas et al., Plant Mol. Biol. 15:913-920, 1990; Sinibaldi and Mettler, In WE Cohn, K Moldave, eds, Progress in Nucleic Acid Research and Molecular Biology, Vol 42. Academic Press, New York, pp 229-257, 1992; Vancanneyt et al., Mol. Gen. Genet. 220:245-250, 1990)。したがって、遺伝子導入植物において、非内在性遺伝子または内在性遺伝子の発現を操作するのに全てのイントロンを使用できるわけではない。特定の遺伝子の発現率を高めるためには、イントロン配列にどのような特徴または特定の配列の特性が必要かは先行文献ではわからず、したがって、異種性に用いた場合に、ある特定の植物イントロンがIMEを引き起こすかどうかを予測することは不可能である。
【0053】
本明細書中において、「キメラ」という語は、第一のDNA分子を第二のDNA分子に融合させて製造した単一のDNA分子を指し、第一および第二のDNA分子のいずれも、通常ではその構造、すなわち、お互いに融合している状態では見られることはない。したがって、キメラDNA分子は、そうしなければ通常天然には見られない、新規のDNA分子である。本明細書中では、「キメラプロモーター」という語は、DNA分子のかかる操作により製造されるプロモーターを指す。キメラプロモーターは、2つ以上のDNAフラグメントを組み合わせていてよく、例えば、プロモーターをエンハンサーエレメントに融合させてよい。したがって、作動可能に結合した、転写可能なポリヌクレオチド分子の発現を調節するための、キメラプロモーターのデザイン、構築および本明細書中に記載の方法による使用は本発明に包含される。
【0054】
本明細書中において、「変異体」という語は、第一のDNA分子に構成が類似しているが、同一ではなく、一般的な機能性、すなわち第一のDNA分子と同じまたは類似の発現パターンを維持する、第二のDNA分子を指す。変異体は、第一のDNA分子の、短いまたは切断型であるか、および/または第一のDNA分子の配列変異型、例えば異なる制限酵素サイトおよび/または内部欠失、置換および/または挿入のあるものであってよい。「変異体」は、また、対照配列の1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入を含む調節エレメントを含んでいてよく、ここで、かかる派生調節エレメントは、対応する親の調節分子より高いか、低いかまたは同等の転写または翻訳活性を持つ。調節エレメントの「変異体」はまた、細菌および植物細胞の形質転換において自然に起こる変異から生じる変異体も含む。本発明において、配列番号1、2、3、4、6および8として提供されるポリヌクレオチド配列は、元々の調節エレメントと構成が類似しているが同一でなく、元々の調節エレメントの機能性を維持している、すなわち発現パターンが同じまたは類似である、変異体を製造するのに使用し得る。本発明の変異体の製造は、本明細書の記載を考慮すれば、当業者にとって通常の技術の範囲内であり、本発明の範囲に含まれる。キメラ調節エレメントの「変異体」は、対照配列と同じ構成要素を含むが、キメラ調節エレメントを含む構成要素は、当該分野で公知の種々の方法、例えば制限酵素の消化およびライゲーション、ライゲーション非依存性のクローニング、増幅中のPCR産物のモジュラー組み立てまたは該調節エレメントの直接化学合成ならびに他の当該分野で公知の方法により、作動可能に結合してよい。得られるキメラ調節エレメント「変異体」は、対照配列と同じ構成要素またはその変異体からなってよいが、配列または、連結配列または構成部位が作動可能に結合することを可能にする配列を含む配列が異なる。本発明において、配列番号1、2、3、4、6および8として表されるポリヌクレオチド配列は、対照配列であってよく、ここで、該対照配列を含む構成要素は、当該分野で公知の方法により結合していてもよく、1つ以上のヌクレオチドの置換、欠失および/または挿入または、細菌および植物細胞の形質転換にて自然に起こる変異を含んでいてよい。
【0055】
コンストラクト
本明細書中において、「コンストラクト」という語は、ポリヌクレオチド分子を含み、ゲノムの組み込みまたは自己複製の可能な任意の供給源より得られる、任意の組み換えポリヌクレオチド分子、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、自己複製ポリヌクレオチド分子、ファージ、または直鎖もしくは環状の一本鎖もしくは二本鎖のDNAもしくはRNAポリヌクレオチド分子を意味し、ここで、1つ以上のポリヌクレオチド分子は、操作上機能的な方法で、すなわち作動可能に結合している。本明細書中において、「ベクター」という語は、形質転換、すなわち、異種性のDNAのホスト細胞への導入のために用い得る任意の組み換えポリヌクレオチドコンストラクトを意味する。本発明のベクターは、任意の上述の分子より単離した発現カセットまたは導入遺伝子カセットを含んでいてよい。本発明を実施するのに有用な発現カセットまたは導入遺伝子カセットは、配列番号10、11、12または13として表される3’UTRに作動可能に結合している、異種性のコード配列に作動可能に結合している、配列番号1、6または8として表される転写調節発現エレメントグループ(「EXP」)からなる。
【0056】
本明細書中において、「作動可能に結合」しているという語は、第一の分子が第二の分子に、第一の分子が第二の分子の機能に影響を与えるような配置で結合していることを指す。かかる2つの分子は、単一の連続分子の一部であってもなくてもよく、隣接していてもしていなくてもよい。例えば、プロモーターが細胞内にて、関心のある転写可能なポリヌクレオチド分子の転写を調節する場合、該プロモーターは、かかる転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合している。例えば、リーダーが、コード配列によりコードされるポリペプチドのリーダーとして作用し得る場合、該リーダーは該コード配列に作動可能に結合している。
【0057】
態様の一において、本発明のコンストラクトは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)細胞から供給される、T−DNAの植物細胞ゲノムへの取り込みを可能にする、輸送分子とともに、T−DNAを含む、アグロバクテリウム・ツメファシエンスから単離されたTiプラスミドの右境界領域(RBまたはAGRtu.RB)および左境界領域(LBまたはAGRtu.LB)を有する、二重のTiプラスミド境界DNAコンストラクトとして提供される(例えば、米国特許第6,603,061号明細書参照)。該コンストラクトはまた、細菌細胞において複製機能および抗生物質選択性を供給するプラスミド骨格DNAセグメント、例えば、大腸菌複製起点、例えばori322、広域宿主の複製起点、例えばoriVまたはoriRiおよび選択マーカーのコード領域、例えばスペクチノマイシンまたはストレプトマイシンに対する耐性を与えるTn7アミノグリコシドアデニルトランスフェラーゼ(aadA)をコードするSpec/Strpまたはゲンタマイシンの選択マーカー遺伝子(Gm、Gent)を含んでいてよい。植物の形質転換については、ホストとなる細菌株はアグロバクテリウム・ツメファシエンス ABI、C58またはLBA4404であることがしばしばであるが; 植物の形質転換の分野で当業者に公知の他の株も、本発明で機能し得る。
【0058】
転写可能なポリヌクレオチド分子が、機能性のmRNA分子に転写され、翻訳されて蛋白質産物として発現するように、コンストラクトを組み立てて細胞に導入する方法が、当該分野では公知である。本発明を実行する上で、コンストラクトとホスト細胞の調製および使用のための慣用的な構成および方法は、当業者にはよく知られている(例えば、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 3rd edition Volumes 1, 2, and 3, J. Sambrook, D.W. Russell, and N. Irwin, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 2000)。植物の形質転換に特に適した組み換えベクターの製造方法としては、米国特許第4,971,908号; 第4,940,835号; 第4,769,061号;および第4,757,011号明細書に全体的に記載されているものが挙げられるが、これらに限定されない。これらの種類のベクターは、科学文献にも概説されている(例えば、Rodriguez, et al., Vectors: A Survey of Molecular Cloning Vectors and Their Uses, Butterworths, Boston, 1988; and Glick et al., Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology, CRC Press, Boca Raton, FL., 1993参照)。高等植物における核酸の発現に有用な典型的なベクターは、当該分野でよく知られており、アグロバクテリウム・ツメファシエンスの腫瘍誘発性(Ti:tumor-inducing) プラスミドから得られるベクターが挙げられる (Rogers et al., Methods in Enzymology 153: 253-277, 1987)。植物の形質転換に有用な他の組み換えベクターとしては、pCaMVCN 輸送制御ベクターが挙げられ、科学文献にも記載されている(例えば、Fromm et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 5824-5828, 1985参照)。
【0059】
本明細書に記載する任意のものを含むコンストラクトは、種々の調節エレメントを含んでいてよい。任意の調節エレメントは、他の調節エレメントと組み合わせてよい。かかる組み合わせは、所望の調節の特徴が得られるようにデザインまたは修飾してよい。態様の一において、本発明のコンストラクトは、3’転写終結分子に、作動可能に結合した、転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合した、調節エレメントを少なくとも1つ含む。
【0060】
本発明のコンストラクトは、本明細書に記載するか、当該分野で公知の任意のプロモーターまたはリーダーを含んでいてよい。例えば、本発明のプロモーターは、異種性の、例えば熱ショック蛋白質由来の、非翻訳5’リーダーに作動可能に結合していてよい(例えば、米国特許第5,659,122号および第5,362,865号明細書参照)。あるいは、本発明のリーダーは、カリフラワーモザイクウイルス (CaMV) 35S転写プロモーターのような異種性のプロモーターに作動可能に結合していてよい (米国特許第5,352,605号明細書参照)。
【0061】
本明細書中において、「イントロン」という語は、遺伝子のゲノムコピーから単離または同定し得るDNA分子を指し、一般的に、転写に先立つmRNAプロセシングの間にスプライシングされる領域として定義され得る。あるいは、イントロンは、合成により製造されたDNAエレメントまたは操作されたDNA分子エレメントであってもよい。イントロンは、作動可能に結合した遺伝子の転写に影響を与えるエンハンサーエレメントを含んでいてよい。イントロンは、作動可能に結合した転写可能なポリヌクレオチド分子の発現を調節するための、調節エレメントとして使用し得る。DNAコンストラクトは、イントロンを含んでいてよく、該イントロンは、該転写可能なポリヌクレオチド分子の配列と異種性であってもそうでなくてもよい。当該分野におけるイントロンの例としては、コメアクチンのイントロン(米国特許第5,641,876号明細書)およびトウモロコシHSP70イントロン (米国特許第5,859,347号明細書)が挙げられる。本発明を実施するのに有用なイントロンとしては、配列番号5、7および9が挙げられる。さらに、イントロン/エキソン境界配列を修飾する場合、mRNAを最終転写物にプロセシングする間に、望ましくない開始コドンが形成される可能性を除くためには、スプライス部位の5’末端(GT)の直前にAT配列またはヌクレオチドAを用いることおよびスプライス部位の3’末端(AG)の直後にヌクレオチドGまたはヌクレオチド配列TGをそれぞれ用いることは避けた方が好ましい場合もある。イントロンのスプライスジャンクション部位の5’末端または3’末端周辺の配列はこの方法で改変し得る。
【0062】
本明細書中において、「3’転写終結分子」または「3’UTR」という語は、転写の間、mRNA分子への任意分子の3’非翻訳領域(3’UTR)を産生するのに用いられるDNA分子を指す。mRNA分子の3’非翻訳領域は、特異的な切断および3’ポリアデニル化 (ポリAテイル)により作製し得る。3’UTRは、転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合してその下流に位置し、ポリアデニル化シグナルならびに、転写、mRNAプロセシングまたは遺伝子発現に影響を与えることのできる他の調節シグナルを提供するポリヌクレオチドを含んでいてよい。ポリAテイルは、mRNAの安定性および翻訳開始に機能していると考えられている。当該分野における、3’転写終結分子の例は、ノパリン合成酵素 3’領域 (Fraley, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80: 4803-4807, 1983参照); コムギ hsp17の3’領域; エンドウマメのリブロース二リン酸カルボキシラーゼ小サブユニット 3’領域; ワタE6の3’領域 (米国特許第6,096,950号明細書); 国際公開00/11200号に記載の3’領域; およびプロラミン(coixin) 3’UTR (米国特許第6,635,806号明細書参照)である。
【0063】
3’UTRは典型的に、特定の遺伝子の組み換え発現に有益であることがわかっている。動物の系において、3’UTRの機構はかなり明らかになっている (例えば、Zhao et al., Microbiol Mol Biol Rev 63:405-445, 1999; Proudfoot, Nature 322:562-565, 1986; Kim et al., Biotechnology Progress 19:1620-1622, 2003; Yonaha and Proudfoot, EMBO J. 19:3770-3777, 2000; Cramer et al., FEBS Letters 498:179-182, 2001; Kuerstem and Goodwin, Nature Reviews Genetics 4:626-637, 2003)。形質が表れるのを妨害する可能性のある、形質に関連のない(下流の)配列の望ましくない転写を防止するためには、RNA転写の効果的な終結が必要である。複数の遺伝子発現カセットがお互いに局所的に近接して配置されていること (例えば、1つのT-DNA内)により、独立して挿入した場合と比較して、該コンストラクト中の1つ以上の遺伝子の発現が抑制される可能性がある(Padidam and Cao, BioTechniques 31:328-334, 2001)。これは、例えば、全てのカセットからの強い発現が望ましい場合、十分な発現レベルを達成する妨げとなり得る。
【0064】
植物において、明確に定義されたポリアデニル化シグナル配列は知られていない。Hasegawa et al. (Plant J. 33:1063-1072, 2003) では、ニコチアナ・シルベストリス(Nicotiana sylvestris)の試験管内および生体内の系のいずれにおいても、保存されたポリアデニル化シグナル配列を同定することならびに、一次(非ポリアデニル化)転写物の実際の長さを決定することができなかった。弱い3’UTRでは、リードスルーが生じ、それにより、隣接する発現カセットに位置する遺伝子の発現に影響がおよぶ可能性がある (Padidam and Cao, BioTechniques 31:328-334, 2001)。転写終結の適当な制御により、下流に位置する配列(例えば他の発現カセット)へのリードスルーを阻止でき、さらに、RNAポリメラーゼのリサイクルが効率的に行われることにより、遺伝子発現を上昇させることができる。転写の効率的な終結(RNAポリメラーゼIIのDNAからの遊離)は、転写の再開の必須条件であり、それにより、全体の転写レベルに直接的に影響を与える。転写終結の次に、成熟mRNAが、合成部位および鋳型から離れて細胞質へと移動する。真核生物のmRNAは、生体内でポリ(A)型として集積するため、慣用的な方法により、転写終結部位を検出するのが困難である。しかし、効率的な3’UTRの容易な予測を可能にする保存配列がないことから、バイオインフォマティクスの方法により、機能的および効率的な3’UTRを予測するのは困難である。
【0065】
実用的な観点から、導入遺伝子カセットに用いる3’UTRが特定の特徴を有することが有益である場合もある。例えば、本発明における、有用な3’UTRは、導入遺伝子の転写を効率的および効果的に終結させ、隣接するDNA配列へのリードスルーを阻止し得、ここで、上述の隣接DNA配列は、1つのT−DNA、またはT−DNAが挿入される隣接するクロモソームDNA複数のカセットが存在する場合、他の転写カセットからなっていてもよい。該3’UTRは、最適な場合には、該導入遺伝子を発現させるのに用いるプロモーター、リーダーおよびイントロンによりもたらされる転写活性の低下を引き起こすものであってはならない。植物の生物工学において、3’UTRは、形質転換された植物から抽出される逆転写されたRNAの増幅反応を誘発するのに用いられることがしばしばであり、(1)一度植物のクロモソームに組み込まれた導入遺伝子のカセットの転写活性または発現の評価;(2)植物DNAにおけるインサートのコピー数の評価; および(3)繁殖後に得られる種子の接合状態の評価に用いてよい。該3’UTRはまた、挿入したカセットがインタクトであるかどうかを特徴づけるための、形質転換された植物から抽出したDNAの増幅反応に用いてもよい。
【0066】
植物において導入遺伝子の発現をもたらすために有用な3’UTRは、例えば、ウシクサ(Big bluestem)(アンドロポゴン・ゲラルディー(Andropogon gerardii))、ヨシススキ[サッカラム ラベンナエ(Saccharum ravennae) (エリアンサス(Erianthus ravennae))]、エノコログサ(セタリア・ヴィリディス(Setaria viridis))、テオシント(トウモロコシ亜種メキシカーナ(Zea mays subsp mexicana))、アワ(セタリア・イタリカ(Setaria italica))またはジュズダマ (コイクス・ラクリマ−ヨビ(Coix lacryma-jobi))由来の種子、花または他の任意の組織から単離したmRNAより作製したcDNAライブラリーの発現遺伝子配列断片(EST)に基づいて同定し得る。cDNAライブラリーは、当該分野で公知の技術を用いて、特定の植物種から単離した組織から、花組織、種子、葉、根または他の植物組織を用いて作製し得る。得られたcDNAを、当該分野で公知の種々の配列決定技術を用いて配列決定する。得られたESTを、バイオインフォマティクスのソフトウェア、例えばclc_ref_assemble_complete version 2.01.37139 (CLC bio USA, Cambridge, Massachusetts 02142)を用いて、組み合わせてクラスターにする。同定した3’UTRは、cDNA配列由来の配列ならびに、ゲノムDNA由来の配列からなっていてよい。cDNA配列は、プライマーをデザインするのに用いてよく、該プライマーは、マニュアルにしたがって作製したGenomeWalkerTM (Clontech Laboratories, Inc, Mountain View, CA)ライブラリーを用いて、対応するゲノムDNA配列の3’領域をクローニングし、より長い終結配列を得るのに使用してもよい。関連する転写物の存在量は、直接的なカウントまたは各組織ライブラリーについて観察された配列のリード数を基準化したカウントによる解析を用いて、発現パターンの性質について推測し得る。例えば、3’UTRには、葉組織よりも根組織に豊富なものがある。このことにより、該転写物は、根において高く発現しており、根に発現する性質が、プロモーター、リーダー、イントロンまたは3’UTRの転写制御に寄与し得ることを示唆している。特定の器官、組織または特定の種類の細胞に発現する性質により同定される3’UTRの実験による試験から、それらの特定の器官、組織または細胞種において発現を亢進する3’UTRを同定し得る。本発明を実施するのに有用な3’UTRは、配列番号9、10、11および12として表される。
【0067】
コンストラクトおよびベクターにはまた、蛋白質産生物を、具体的には葉緑体、白色体、または他の植物細胞小器官;ミトコンドリア;ペルオキシソーム;液胞または細胞外の位置に標的化するのに有用な連結ペプチドを発現する、輸送ペプチドコード配列を含んでいてよい。葉緑体輸送ペプチドの使用については、米国特許第5,188,642号および第5,728,925号明細書の記載を参照のこと。多くの葉緑体局在蛋白質は、前駆体として核遺伝子より発現し、葉緑体輸送ペプチド(CTP)により葉緑体を標的とする。単離されたかかる葉緑体蛋白質の例としては、リブロース-1,5,-ビスリン酸カルボキシラーゼの小サブユニット(SSU) に結合する蛋白質、フェレドキシン、フェレドキシンオキシドレダクターゼ、集光性複合体蛋白質IおよびII、チオレドキシンF、エノールピルビルシキミ酸リン酸合成酵素 (EPSPS)および米国特許第7,193,133号明細書に記載の輸送ペプチドが挙げられるが、これらに限定されるものではない。非葉緑体蛋白質を、異種性のCTPと蛋白質融合して用いることにより、葉緑体を標的とすることができること、ならびに、蛋白質を葉緑体へと標的化させるには、CTPで充分であることが、生体内および試験管内で示されている。適当な葉緑体輸送ペプチド、例えばシロイヌナズナEPSPS CTP (CTP2) (Klee et al., Mol. Gen. Genet. 210:437-442, 1987参照) またはペチュニア(Petunia hybrida)のEPSPS CTP (CTP4) (della-Cioppa et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:6873-6877, 1986参照) は、遺伝子導入植物において、異種性のEPSPS蛋白質配列を葉緑体に標的化させることが示されている(米国特許第5,627,061号;第5,633,435号;および第5,312,910号明細書; および欧州特許第0218571号; 第189707号; 第508909号; および第924299号明細書参照)。
【0068】
転写可能なポリヌクレオチド分子
本明細書中において、「転写可能なポリヌクレオチド分子」という語は、RNAに転写されることのできる任意のDNA分子を指し、例えば、蛋白質コード配列を有するDNA分子および遺伝子抑制に有用な配列を有するRNA分子を産生するDNA分子が含まれるが、これらに限定されるものではない。「導入遺伝子」という語は、少なくともゲノム内の位置において、ホスト細胞と異種性である、転写可能なポリヌクレオチド分子および/または現在存在する細胞または当該細胞の任意の前の世代において、ホスト細胞のゲノムに人工的に組み込まれた、転写可能なポリヌクレオチド分子を指す。
【0069】
本発明のプロモーターは、該プロモーター分子と異種性である、転写可能なポリヌクレオチド分子に、作動可能に結合していてよい。本明細書において、「異種性」という語は、かかる組合せが、通常天然には存在しないような、2つ以上のポリヌクレオチド分子の組合せを指す。例えば、かかる2つの分子は、異なる種由来であるか、および/または異なる遺伝子、例えば同じ種の異なる遺伝子、または異なる種の同じ遺伝子由来であってよい。したがって、かかる組合せが天然には見られない、すなわち、転写可能なポリヌクレオチド分子が該プロモーター分子と作動可能に結合していることが天然では起こらない場合、プロモーターは、作動可能に結合している転写可能なポリヌクレオチド分子と異種性である。
【0070】
転写可能なポリヌクレオチド分子は、一般的に、RNA転写物の発現が所望される任意のDNA分子であってよい。RNA転写物のかかる発現により、生じるRNA分子の翻訳およびそれによる蛋白質発現が引き起こされ得る。あるいは、例えば、転写可能なポリヌクレオチド分子は、特定の遺伝子または蛋白質の発現を最終的には低下させるためにデザインすることもできる。態様の一において、これは、アンチセンス方向の転写可能なポリヌクレオチド分子を用いることにより達成し得る。当業者は、かかるアンチセンス技術に精通している。端的には、アンチセンスの転写可能なポリヌクレオチド分子が転写されると、該RNA産物は、細胞内の相補的なRNA分子にハイブリダイズし、捕捉する。この二本鎖RNA分子は、細胞の翻訳機構により翻訳されることができず、細胞内で分解される。この方法により、任意の遺伝子を負に調節し得る。
【0071】
したがって、本発明の態様の一において、配列番号1、2、3、4、6および8として表される調節エレメントは、転写可能なポリヌクレオチド分子の転写を、該コンストラクトが植物細胞のゲノムに組み込まれている場合に、所望のレベルまたは所望のパターンにて調節するために、該転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合している。態様の一において、転写可能なポリヌクレオチド分子は、遺伝子の蛋白質コード領域を含み、プロモーターは、蛋白質産物として翻訳されて発現するRNA分子の転写に影響を与える。他の態様において、転写可能なポリヌクレオチド分子は、標的であるホスト細胞における、特定の関心のあるRNA分子の発現を阻害するために、遺伝子のアンチセンス領域、アンチセンスRNA分子の転写に影響を与えるプロモーター、二本鎖RNAまたは他の類似の阻害RNA分子を含む。
【0072】
農学的に関心のある遺伝子
本発明によれば、転写可能なポリヌクレオチド分子は、農学的に関心のある遺伝子であってよい。本明細書中において、「農学的に関心のある遺伝子」という語は、特定の植物組織、細胞または特定の種類の細胞で発現した場合に、所望の特性をもたらす、転写可能なポリヌクレオチド分子、例えば、植物形態、生理、成長、発生、収量、産生量、栄養プロファイル、疾病もしくは有害生物への耐性、および/または環境もしくは化学的な耐性に関連のある、ポリヌクレオチド分子を指す。農学的に関心のある遺伝子としては、収量蛋白質、ストレス耐性蛋白質、発生制御蛋白質、組織分化蛋白質、成長点蛋白質、環境応答蛋白質、老化蛋白質、ホルモン応答蛋白質、脱離蛋白質、ソース蛋白質 (source protein)、シンク蛋白質、花芽制御蛋白質、種子蛋白質、除草剤耐性蛋白質、疾患耐性蛋白質、脂肪酸生合成酵素、トコフェロール生合成酵素、アミノ酸生合成酵素、殺虫性蛋白質または他の任意の剤、例えば特定の標的遺伝子を抑制するための、アンチセンスもしくはRNAi分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。農学的関心のある遺伝子の産物は、植物の生理または代謝に影響を与えるように、植物内で作用し得るか、または、植物を食べる害虫の食事において、殺虫剤として作用し得る。
【0073】
本発明の態様の一において、プロモーターは、農学的に関心のある転写可能なポリヌクレオチド分子に作動可能に結合するように、コンストラクト中に取り込まれる。農学的に益のある形質を得るために、農学的に関心のある遺伝子の発現は望ましいものである。農学的に益のある形質としては、例えば、特に、除草剤耐性、害虫駆除、収量の改変、真菌性疾患耐性、ウイルス耐性、線虫耐性、細菌性疾病耐性、植物の成長および発生、デンプン産生、油産生量の改変、高い油産生量、脂肪酸含有量の改変、高い蛋白質産生量、果実成熟、動物およびヒトの栄養の増強、生体高分子、環境ストレス耐性、医薬ペプチドおよび分泌ペプチド、プロセシング形質の改善、消化性の改善、酵素産生、香味、窒素固定、ハイブリッド種子産生、繊維産生および生物燃料産生が挙げられるが、これらに限定されるものではない。当該分野において、農学的に関心のある遺伝子の例として知られているものとしては、除草剤耐性 (米国特許第6,803,501号;第6,448,476号;第6,248,876号; 第6,225,114号;第6,107,549号;第5,866,775号; 第5,804,425号; 第5,633,435号; および第5,463,175号明細書)、収量の増加(米国再発行特許第38,446号;米国特許第6,716,474号; 第6,663,906号;第6,476,295号; 第6,441,277号; 第6,423,828号; 第6,399,330号; 第6,372,211号; 第6,235,971号; 第6,222,098号; および第5,716,837号明細書)、害虫駆除 (米国特許第6,809,078号; 第6,713,063号; 第6,686,452号; 第6,657,046号; 第6,645,497号; 第6,642,030号; 第6,639,054号; 第6,620,988号; 第6,593,293号; 第6,555,655号; 第6,538,109号; 第6,537,756号; 第6,521,442号; 第6,501,009号; 第6,468,523号; 第6,326,351号; 第6,313,378号; 第6,284,949号; 第6,281,016号; 第6,248,536号; 第6,242,241号; 第6,221,649号; 第6,177,615号; 第6,156,573号; 第6,153,814号; 第6,110,464号; 第6,093,695号; 第6,063,756号; 第6,063,597号; 第6,023,013号; 第5,959,091号; 第5,942,664号; 第5,942,658号; 第5,880,275号; 第5,763,245号; および第5,763,241号明細書)、真菌性疾患耐性 (米国特許第6,653,280号; 第6,573,361号; 第6,506,962号; 第6,316,407号; 第6,215,048号; 第5,516,671号; 第5,773,696号; 第6,121,436号; 第6,316,407号; および第6,506,962号明細書)、ウイルス耐性 (米国特許第6,617,496号; 第6,608,241号; 第6,015,940号; 第6,013,864号; 第5,850,023号; および第5,304,730号明細書)、線虫耐性 (米国特許第6,228,992号明細書)、細菌性疾患耐性 (米国特許第5,516,671号明細書)、植物の成長および発生 (米国特許第6,723,897号および第6,518,488号明細書)、デンプン産生 (米国特許第6,538,181号; 第6,538,179号; 第6,538,178号; 第5,750,876号; および第6,476,295号明細書)、油産生量の改変 (米国特許第6,444,876号; 第6,426,447号;および第6,380,462号明細書)、高い油産生量(米国特許第6,495,739号; 第5,608,149号; 第6,483,008号; および第6,476,295号)、脂肪酸含有量の改変 (米国特許第6,828,475号;第6,822,141号; 第6,770,465号; 第6,706,950号; 第6,660,849号; 第6,596,538号; 第6,589,767号; 第6,537,750号; 第6,489,461号; および第6,459,018号明細書)、高い蛋白質生産量 (米国特許第6,380,466号明細書)、果実成熟(米国特許第5,512,466号明細書)、動物およびヒト栄養の増強(米国特許第6,723,837号; 第6,653,530号; 第6,5412,59号; 第5,985,605号; および第6,171,640号明細書)、生体高分子 (米国再発行特許第37,543号;米国特許第6,228,623号; 第5,958,745号; および第6,946,588号明細書)、環境ストレス耐性 (米国特許第6,072,103号明細書)、医薬ペプチドおよび分泌ペプチド(米国特許第6,812,379号明細書; 第6,774,283号; 第6,140,075号; および第6,080,560号明細書)、プロセシング形質の改善 (米国特許第6,476,295号明細書)、消化性の改善 (米国特許第6,531,648号明細書)、低ラフィノース (米国特許第6,166,292号明細書)、産業的な酵素産生 (米国特許第5,543,576号明細書)、香味の改善 (米国特許第6,011,199号明細書)、窒素固定 (米国特許第5,229,114号明細書)、ハイブリッド種子産生 (米国特許第5,689,041号明細書)、繊維産生(米国特許第6,576,818号;第6,271,443号; 第5,981,834号; および第5,869,720号明細書) および生物燃料産生 (米国特許第5,998,700号)に関するものが挙げられる。
【0074】
あるいは、農学的に関心のある遺伝子は、例えば、アンチセンス (例えば米国特許第5,107,065号明細書参照); 阻害RNA (「RNAi」、miRNA、siRNA、トランス作用siRNA、およびフェーズsRNAを介する機構による遺伝子発現の調節を含む、例えば米国特許公開第2006/0200878号および第2008/0066206号および米国特許出願第11/974,469号参照); またはコサプレッション介在性の機構を介して、内在遺伝子の発現において、目的とするような調節を引き起こすRNA分子をコードすることにより、上述の植物の特徴または表現型に影響を及ぼしうる。該RNAは、所望の内在性mRNA産物を切断するように設計した触媒性RNA分子 (例えば、リボザイムまたはリボスイッチ; 例えば米国特許公開第2006/0200878号参照) であってもよい。したがって、農学的に重要な表現型または関心のある形態変化に影響を与える、転写されたRNA分子をコードする、任意の転写可能なポリヌクレオチド分子は、本発明を実施するのに有用であり得る。コンストラクトを構築し、細胞に、該転写可能なポリヌクレオチド分子が、遺伝子抑制を引き起こすことのできる分子に転写されるように導入する方法は、当該分野で知られている。例えば、植物細胞における遺伝子発現を調節するための、アンチセンス方向の転写可能なポリヌクレオチド分子のコンストラクトを用いた転写後遺伝子抑制は、米国特許第5,107,065号および第5,759,829号明細書に記載されており、植物細胞における遺伝子発現を調節するための、センス方向の転写可能なポリヌクレオチド分子のコンストラクトを用いた転写後の遺伝子抑制は、米国特許第5,283,184号および第5,231,020号明細書に記載されている。また、植物細胞における転写可能なポリヌクレオチドの発現は、有害生物による植物の摂食を阻害するのに用いることができ、例えば甲虫目の害虫から単離された構成(米国特許公開第2007/0124836号)および線形動物の有害生物から単離された構成 (米国特許公開第2007/0250947号)を用い得る。植物の有害生物としては、節足動物、線形動物および真菌または細菌の有害生物が挙げられるがこれらに限定されるものではない。例えば、本発明のコンストラクトに取り込むための転写可能なポリヌクレオチド分子の例としては、標的の種以外の種由来のDNA分子または遺伝子または、同種由来であるか、または同種に存在するが、古典的な生殖または繁殖技術ではなく遺伝子工学的な技術によりレシピエント細胞に取り込まれる遺伝子が挙げられる。ポリヌクレオチド分子の種類としては、既に植物細胞に存在するポリヌクレオチド分子、他の植物由来のポリヌクレオチド分子、異なる生物体由来のポリヌクレオチド分子または外部で作製されたポリヌクレオチド分子、例えば遺伝子のアンチセンスメッセージを含むポリヌクレオチド分子、または人工、合成または他の方法で修飾されたバージョンの導入遺伝子を含むポリヌクレオチド分子が挙げられる。
【0075】
選択マーカー
本明細書中において、「マーカー」という語は、発現およびその欠損が、何らかの方法でスクリーニングまたはスコア付けできる任意の転写可能なポリヌクレオチド分子を指す。本発明を実施するに当たって使用するマーカー遺伝子としては、β-グルクロニダーゼ(GUS、米国特許第5,599,670号明細書に記載)、緑色蛍光蛋白質およびその変異体(GFP、米国特許第5,491,084号および第6,146,826号明細書に記載)、抗生物質耐性をもたらす蛋白質または除草剤耐性をもたらす蛋白質をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子が挙げられるが、これらに限定されるものではない。有用な抗生物質耐性マーカーとしては、カナマイシン(nptII)、ハイグロマイシンB(aph IV)、ストレプトマイシンまたはスペクチノマイシン(aad、spec/strep)およびゲンタマイシン(aac3およびaacC4)に対する耐性をもたらす蛋白質をコードしているものが挙げられ、これらは当該分野でよく知られている。遺伝子導入植物が耐性を示すことが示され、本発明を適用しうる除草剤としては: アミノ-メチル-ホスホン酸、グリホサート、グルホシネート、スルホニル尿素、イミダゾリノン、ブロモキシニル、ダラポン、ジカンバ、シクロヘキサンジオン、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害剤およびイソキサフルトール(isoxasflutole)除草剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。除草剤耐性に関連する蛋白質をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子は当該分野では知られており、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない:グリホサート耐性に関する、5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素 (EPSPS、米国特許第5,627,061号; 第5,633,435号; 第6,040,497号; および第5,094,945号明細書に記載)をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子;グリホサートオキシドレダクターゼ(GOX、米国特許第5,463,175号明細書に記載)およびグリホサート-N-アセチルトランスフェラーゼ(GAT、米国特許公開第2003/0083480号明細書に記載)をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子; およびジカンバモノオキシゲナーゼ(米国特許公開第2003/0135879号明細書に記載); ブロモキシニル耐性に関する、ブロモキシニルニトリラーゼ(Bxn、米国特許第4,810,648号明細書に記載)をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子; ノルフルラゾン耐性に関する、フィトエン不飽和化酵素(crtI)(Misawa, et al. (Plant Journal 4:833-840, 1993; およびPlant Journal 6:481-489, 1994)に記載)をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子; スルホニル尿素除草剤耐性に関する、アセトヒドロキシ酸合成酵素(AHAS、aka ALS Sathasiivan, et al. (Nucl. Acids Res. 18:2188-2193, 1990)に記載)をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子; およびグルホシネートおよびビアラホス耐性に関する、bar遺伝子(DeBlock, et al. (EMBO Journal 6:2513-2519, 1987)に記載)をコードする転写可能なポリヌクレオチド分子。本発明のプロモーター分子は、結合している、ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ、グリホサート耐性EPSPS、アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ヒドロキシフェニルピルビン酸デヒドロゲナーゼ、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ、ダラポンデハロゲナーゼ、ブロモキシニル耐性ニトリラーゼ、アントラニル酸合成酵素、アリールオキシアルカン酸ジオキシゲナーゼ、アセチルCoAカルボキシラーゼ、グリホサートオキシドレダクターゼおよびグリホサート-N-アセチルトランスフェラーゼをコードする転写可能なポリヌクレオチド分子を発現させてよい。
【0076】
「選択マーカー」という語には、形質転換細胞の同定または選択方法として、分泌が検出できる選択マーカーをコードする遺伝子も含まれる。例としては、抗体相互作用により同定しうる分泌抗原または、触媒作用により検出しうる分泌酵素をコードするマーカーが挙げられる。分泌選択マーカー蛋白質は、多数のクラスに分類され、中には、(例えばELISAにより)検出可能な、小さい拡散性の蛋白質、細胞外液中で検出可能な小さい活性酵素(例えばα-アミラーゼ、β-ラクタマーゼ、ホスフィノトリシントランスフェラーゼ)または細胞壁に挿入されるかまたは捕捉される蛋白質(例えば、伸張の発現ユニットで見られるようなリーダー配列を含む蛋白質またはタバコの病因関連蛋白質である、タバコPR-Sとも称される蛋白質)が含まれる。可能な他の選択マーカー遺伝子は、当業者には明らかであり、それらは本発明に含まれる。
【0077】
細胞形質転換
「形質転換」という語は、核酸を、レシピエントであるホストに導入することを指す。本明細書中において、「ホスト」という語は、細菌、真菌または植物を指し、該細菌、真菌または植物の任意の細胞、組織、器官または子孫が含まれる。例えば、本発明のホスト細胞は、任意の細胞または生物体、例えば植物細胞、藻類細胞、藻類、真菌細胞、真菌、細菌細胞、昆虫細胞などであってよい。態様の一において、ホストおよび形質転換された細胞としては以下が挙げられる: 植物、アスペルギルス属(Aspergillus)、酵母、昆虫、細菌および藻類。特に関心のある植物組織および細胞としては、プロトプラスト、カルス、根、塊茎、種子、茎、葉、実生、胚および花粉が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
本明細書中において、「形質転換された」という語は、外来性のポリヌクレオチド分子、例えば、コンストラクトが導入された、細胞、組織、器官または生物体を指す。導入されたポリヌクレオチド分子は、子孫に遺伝するように、レシピエントの細胞、組織、器官または生物体のゲノムDNAに組み込んでもよい。「遺伝子導入」または「形質転換」細胞または生命体としてはまた、該細胞または生物体の子孫ならびに、該遺伝子導入生物体を親として交配に用いた繁殖プログラムより得られる、外来性のポリヌクレオチド分子の存在により生じる表現型の変化を示す子孫が含まれる。「遺伝子導入」という語は、1以上の異種性のポリ核酸分子を含む、細菌、真菌または植物を指す。
【0079】
ポリ核酸分子を植物細胞に導入する方法として、多くの方法が存在する。該方法は、一般的に、適当なホスト細胞を選択し、該ホスト細胞を組み換えベクターで形質転換し、形質転換したホスト細胞を得る工程を含んでいてよい。適当な方法として、細菌感染(例えばアグロバクテリウム属(Agrobacterium))、BIBAC(バイナリー細菌性人工クロモソーム)ベクター、DNAの直接送達(例えば、PEG-介在性の形質転換、乾燥/阻害を介するDNA取り込み、エレクトロポレーション、シリコーンカーバイド繊維による撹拌およびDNAコートした粒子の加速などが挙げられる (Potrykus, et al., Ann. Rev. Plant Physiol. Plant Mol. Biol. 42: 205, 1991に概説されている)。
【0080】
DNA分子の細胞への導入技術は、当業者にはよく知られている。本発明を実施するにあたって、植物DNAコンストラクトを植物ゲノムに導入することにより、植物細胞を形質転換する方法および材料としては、よく知られた方法および以下に示す方法の任意のものが挙げられる。ホスト細胞を、本発明の1つ以上のプロモーターおよび/またはコンストラクトで形質転換するのに、任意の形質転換方法を用いてよい。
【0081】
再生した遺伝子導入植物は、自家受粉して、ホモ接合の遺伝子導入植物を得ることができる。あるいは、再生した遺伝子導入植物から得た花粉を、非遺伝子導入植物、好ましくは農学的に重要な品種の純系の系統と交雑させてもよい。異なる形質および作物に共通して用い得る繁殖方法は、例えば、以下の参照文献のいずれかに記載されている: Allard, Principles of Plant Breeding, John Wiley & Sons, NY, U. of CA, Davis, CA, 50-98, 1960; Simmonds, Principles of crop improvement, Longman, Inc., NY, 369-399, 1979; Sneep and Hendriksen, Plant breeding perspectives, Wageningen (ed), Center for Agricultural Publishing and Documentation, 1979; Fehr, Soybeans: Improvement, Production and Uses, 2nd Edition, Monograph, 16:249, 1987; Fehr, Principles of variety development, Theory and Technique, (Vol. 1) および Crop Species Soybean (Vol. 2), Iowa State Univ., Macmillan Pub. Co., NY, 360-376, 1987。反対に、非形質転換植物由来の花粉を、再生した遺伝子導入植物を受粉させるのに用いてもよい。
【0082】
形質転換した植物は、関心のある遺伝子の有無および/または本発明の調節エレメントにより得られる発現レベルおよび/または発現プロファイルについて解析してよい。形質転換した植物の解析に用い得る方法として多数のものがあることは、当業者には知られていることである。例えば、植物の解析方法としては、サザンブロッティングまたはノーザンブロッティング、PCR-ベースの方法、生化学的解析、表現型スクリーニング方法、野外評価および免疫診断アッセイが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
転写可能なポリヌクレオチド分子の発現は、マニュアルにしたがって、TaqMan(登録商標) (Applied Biosystems, Foster City, CA)試薬および方法ならびにTaqMan(登録商標) Testing Matrixを用いて決定したPCRサイクル数を用いて評価し得る。あるいは、Invader(登録商標) (Third Wave Technologies, Madison, WI) 試薬および方法を、マニュアルにしたがって用いて、導入遺伝子の発現を評価してよい。
【0083】
本発明の植物の種子は、稔性の遺伝子導入植物から回収し、本発明の形質転換植物、例えば本発明のコンストラクトと農学的に関心のある遺伝子の発現を含むハイブリッド植物系統の後継世代を育成するのに用いてもよい。
【0084】
本発明はまた、本発明の植物の一部も提供する。植物の一部としては、葉、茎、根、塊茎、種子、胚乳、胚珠および花粉が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明はまた、本発明の核酸分子を含む、形質転換した植物細胞を含み、提供する。
【0085】
遺伝子導入植物は、遺伝子導入ポリヌクレオチド分子をその子孫に伝える場合もある。子孫には、先祖植物由来の導入遺伝子を含む、任意の再生可能な植物の一部または種子が含まれる。遺伝子導入植物は、形質転換したポリヌクレオチド分子についてホモ接合型であり、有性生殖の結果としての全ての子孫に該配列を伝えることが好ましい。子孫は、該遺伝子導入植物により得られる種子から成長してもよい。これらのさらなる植物は、自家受粉して、植物の純系の系統を得てもよい。これらの植物の子孫は、特に、遺伝子発現について評価される。該遺伝子発現は、ウェスタンブロッティング、ノーザンブロッティング、免疫沈降およびELISAなどのいくつかの一般的な方法により検出できる。
【0086】
一般的な本発明について記述してきたが、以下の実施例についても同じであることを理解するのは容易なことである。また、これらの実施例は例示のみを目的とするものであり、とくにことわらない限り、本発明を限定するものではない。以下の実施例に記載する技術は、本発明を実施する上でよく機能することが本発明者により明らかにされたものである。しかし、当業者が、本明細書の記載から、本発明の精神および範囲内であれば、記載されている特定の態様について、多くの改変がなされてよく、同様の結果を得られることは、当業者によって理解されるべきことである。したがって、添付の図に示す事柄は全て例示のためのものであって、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0087】
実施例1
トウモロコシから単離した調節エレメントおよび対応する転写調節発現エレメントグループ
調節エレメントをトウモロコシから単離し、該トウモロコシ調節エレメントを含む、転写調節発現エレメントグループ (EXP) 配列を構築した。
【0088】
合衆国北部で4月の初めにトウモロコシの種子を植えるような、早植は、トウモロコシの種子に有害なリスクを与える可能性がある。例えば、寒冷および湿潤な土壌の条件が長く続くと、適切な発芽および実生の確立が妨げられる可能性がある。転写プロファイリングおよびその後の性質決定により、種子の発生および発芽に有用な発現パターンを示すいくつかの候補遺伝子を同定した。候補遺伝子由来のプロモーターおよびリーダーは、本明細書中においてそれぞれ、P-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)およびL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)と表記し、これらをトウモロコシのゲノムDNAから増幅し、クローニングして配列を決定した。
【0089】
増幅プライマーは、特異的および一般的なゲノム配列およびEST配列に基づいてデザインし、次に、該増幅プライマーをマニュアルにしたがって構築したGenomeWalkerTM (Clontech Laboratories, Inc, Mountain View, CA)ライブラリーとともに用いて、対応するゲノムDNA配列の5’領域をクローニングした。この配列を用いて、調節エレメントを、該遺伝子の5’領域内で、バイオインフォマティクスにより同定した。この解析結果を用いて、該遺伝子のコード配列の上流の5’配列内の調節エレメントを定義した。次に、該調節エレメントを増幅するためのプライマーをデザインした。特異的制限酵素サイトとトウモロコシから単離したゲノムDNA分子を用いた標準的なPCR条件により、各調節エレメントに対応するDNA分子を増幅した。このクローン配列は、プロモーターと該トウモロコシ遺伝子の蛋白質コード領域の上流の5’UTR配列とを含む。生じたDNAフラグメントを、標準的なDNAクローニング方法を用いてベースとなる植物発現ベクターにライゲーションし、配列を決定した。
【0090】
本明細書中において、同定した転写調節発現エレメントグループ (「EXP」) の配列を、以下の表1に記載する、配列番号1、6および8として表す。本明細書中において、プロモーターの配列を、配列番号2として表す。本明細書中において、リーダーの配列を、配列番号4として表す。本明細書中において、イントロンの配列は、配列番号57および9として表す。
【表1】
【0091】
表1に示すように、例えば、EXP-Zm.Nac+Zm.DnaK:1:1 (配列番号1)と称する、転写調節発現エレメントグループは、トウモロコシから単離された要素とともに、プロモーターエレメントであるP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)を含み、該プロモーターエレメントは、リーダーエレメントL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)の5’に作動可能に結合し、該リーダーエレメントはイントロンエレメントのI-Zm.DnaK-1:1:1 (配列番号5)の5’に作動可能に結合する。他のEXPは、表1に概要するように、同様に結合している。
【0092】
実施例2
F1遺伝子導入トウモロコシにおいてGUSを発現させるEXP-Zm.Nac+Zm.DnaK:1:1 (配列番号1)の解析
トウモロコシ植物を、β-グルクロニダーゼ(GUS)導入遺伝子を発現させる転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Zm.DnaK:1:1 (配列番号1)を含む、植物発現ベクターpMON73501を用いて形質転換し、得られた植物をGUS蛋白質発現について解析した。
【0093】
EXP配列を、当該分野で公知の方法を用いて植物バイナリー形質転換プラスミドコンストラクトにクローン化して導入した。得られた植物発現プラスミドコンストラクトであるpMON73501は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来の右境界領域、3’UTR領域のT-AGRtu.nos-1:1:13 (配列番号10)の5’に作動可能に結合した、β−グルクロニダーゼのコード配列(GUS、配列番号14)に作動可能に結合した、転写調節発現エレメントグループEXP-Zm.Nac+Zm.DnaK:1:1 (配列番号1)を試験するための第一導入遺伝子カセット; CaMV 35SプロモーターEXP-CaMV.35S:1:1 (配列番号15)により引き起こされる除草剤のグリホサート耐性をもたらす、形質転換植物細胞の選択用に用いる第二の導入遺伝子カセットならびにアグロバクテリウム・ツメファシエンス由来の左境界領域を含んでいた。得られたプラスミドは、トウモロコシ植物を形質転換するのに用いた。
【0094】
トウモロコシ植物を、GUS発現ベクターである、pMON73501を用いて形質転換した。シングルコピーの挿入について選択した、R0世代の形質転換体を、非形質転換LH244植物と交雑して、F1世代の形質転換体を得た。発生の過程において、選択した組織におけるGUS発現レベルを測定した。この試験に用いるF1組織としては: 水浸した種子の胚、水浸した種子の胚乳、根および発芽後(DAG)3日目の子葉鞘;V3ステージにおける葉および根;V7ステージにおける根および成熟した葉;VTステージ(繁殖の前の開花)における、根、成熟した老化途中の葉、穂軸、絹糸、節間、葯および花粉;受粉後(DAP) 7日目における穀粒;およびDAP21および35日目における、胚および胚乳が挙げられる。選択される組織試料を乾燥および寒冷ストレスの条件に曝されたF1植物についても解析した。寒冷および乾燥条件に曝した後、寒冷条件への暴露から2日間回復させた後(2DAR)に、V3の根および葉の組織を試料として回収した。
【0095】
F1、V3植物において、灌水を4日間控えて、完全に灌水した状態の植物における、元々の含水量の少なくとも50%まで含水量を低下させて、乾燥ストレスを誘導した。乾燥させる手法は本質的に以下の工程からなる。V3ステージの植物から水を欠乏させた。トウモロコシが乾燥状態を経験すると、葉の形態が、通常の健康な、折れ曲がっていない外見から、維管束の主脈にて折り曲がり、葉の先端から茎の方に見た場合にV字型を示す外見へと変化する。この形態変化は通常、灌流を休止してから約2日間で起こり始め、以前の実験によって、葉の曲がった形態が、水を与えていない植物で観察される場合のポットの重量と灌流の休止前のポットの重量から計測して、水分が約50%失われることと関係していることが示されている。葉が内向きに曲がった(V字型)、しおれた状態である場合、植物が乾燥条件下にあると考えられる。このレベルのストレスは、致死量以下の形態のストレスと考えられる。上述するように、各植物が一度乾燥状態を示すと、該植物を処分して根と葉の両方の試料を採取した。各ベクターについて4つの植物を用い、以下に記載するように、GUS測定を行った。
【0096】
乾燥に加えて、pMON73501で形質転換したF1の発芽している実生およびF1、V3ステージの植物を、寒冷条件下に暴露し、調節エレメントが、寒冷により誘導されるGUS発現を示すかどうかを決定した。10回の形質転換につき各6個の種子より得られる、60個の種子を、寒冷条件下での遺伝子発現の誘導について、試験した。該種子は、ペトリプレート中、水を浸した濾紙の上で、発芽した。発芽3日後に、発芽した実生を含むペトリ皿を10℃に設定した暗黒状態の生育箱に24時間置くことによって、実生を寒冷ストレスに暴露させた。24時間の終わりに、根と子葉鞘の組織の試料を、以下に記載するGUS発現の定量試験用に採取した。V3ステージにおける寒冷ストレス下でのGUS発現の誘導について、植物全体を試験した。10の形質転換のそれぞれにつき2つの植物を含む、20個のV3ステージのトウモロコシを、生育箱で12℃の温度に24時間暴露した。植物を生育箱中で、800μmol/m2秒の白色光10時間、暗黒条件14時間の光周期で生育した。冷却条件への暴露の後、葉および根の組織をGUS発現の定量化のために採取した。
【0097】
組織化学的なGUS解析を用いて、形質転換植物の定量的な発現解析を行った。組織の全セクションを、GUS染色液であるX-Gluc (5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−グルクロニド) (1mg/ml) とともに、適当な時間インキュベーションし、すすぎ、青色の発色を視覚的に観察した。GUS活性を、直接的な視覚による観察または選択した植物の器官および組織を用いた顕微鏡での観察により定性的に決定した。
【0098】
定量解析のために、形質転換したトウモロコシの、選択した組織から全蛋白質を抽出した。全蛋白質1μgを、全反応溶液50μl中で、蛍光発生基質である4-メチルウンベリフェリル−β−D−グルクロニド(MUG) とともに用いた。スリットの幅を、励起では2nmおよび発光では3nmに設定して、Micromax ReaderとFluoromax-3 (Horiba; Kyoto, Japan)を用いて、励起を365nm、発光を445nmにて蛍光を測定した。
【0099】
以下の表2は、pMON73501で形質転換したF1植物の選択した組織におけるGUSの平均発現レベルを示す。
【表2】
【0100】
表2に示すように、EXP配列である、プロモーターとリーダーであるP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2)およびL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)を含む、EXP-Zm.Nac+Zm.DnaK:1:1 (配列番号1)により促進される発現は、試料採取した他の組織に比べて、水浸した種子の胚および胚乳組織において発現レベルが高いという、際だった特徴が見られた。この高いレベルの発現は、寒冷および湿潤によるストレス条件に対する保護をもたらすのに有用である導入遺伝子を発現する、出芽している種子に益を与え得る。種子の発生の初期(21および35DAP)の胚および胚乳においても、他の組織と比較して高い発現が見られた。かかる発現パターンは、出芽および得られる種子の成長促進にも有利であり得る。例えば、トウモロコシのNacプロモーターと、種子の発生の初期段階で発現しているリーダーに作動可能に結合している導入遺伝子の発現により得られる蛋白質または産物によって、該蛋白質または得られる産物が、発生中の種子において集積し、寒冷または湿潤条件下での発芽時にすぐに使用することができるように貯蔵することが可能になる。発芽時に発現することで、所望の導入遺伝子が発現する種子は、冷却および湿潤によるストレス条件下にて、危機的な時にさらなる蛋白質または産出物を発現させることにより、さらなる益を得うる。また、この実験では、V3ステージの葉および根において、寒冷条件による発現誘導がわずかに見られた。
【0101】
実施例3
R0遺伝子導入トウモロコシにおいてGUSを発現させる調節エレメントの解析
トウモロコシを、β-グルクロニダーゼ(GUS) 導入遺伝子の発現を促進するEXP配列を含む、植物発現ベクターを用いて形質転換し、得られた植物を、GUS蛋白質の発現について解析した。転写調節発現エレメントグループを、当該分野で公知のバイナリー形質転換プラスミドコンストラクトにクローニングして導入した。
【0102】
得られた植物発現プラスミドのコンストラクトは、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来の右境界領域、EXP配列を試験するための第一の導入遺伝子カセットならびに、3’の終結領域(表3に示す)の5’に作動可能に結合するβ-グルクロニダーゼ(GUS)のコード配列(配列番号14)に作動可能に結合するEXP配列(表3に示す)からなる3’UTRの組み合わせ; 形質転換された植物細胞を選択するために用いる、除草剤であるグリホサートに対する耐性をもたらす、第二の導入遺伝子選択カセット(CP4、米国再発行特許第39247号、コメのアクチン1プロモーターにより転写が引き起こされる、EXP-Os.Act1:1:1、配列番号16)およびアグロバクテリウム・ツメファシエンス由来の左境界領域を含んでいた。得られたプラスミドを用いて、トウモロコシを形質転換した。表3には、表1にも記載した、プラスミドの名称、転写調節発現エレメントグループならびにGUSコード配列と作動可能に結合させて配置した3’UTRを記載する。各プラスミドコンストラクトは、特定のイントロンと、プロモーターおよびリーダーであるP-Zm.Nac-1:1:2 (配列番号2) およびL-Zm.Nac-1:1:1 (配列番号4)と作動可能に結合して配置されている3’UTRからなる、独特の導入遺伝子カセット配置からなる。
【表2】



【0103】
植物を、当該分野で公知の、アグロバクテリウムを介した形質転換方法により形質転換した。実施例2に上述するように、組織化学的および定量的なGUS解析を行った。トウモロコシに形質転換した各GUS導入遺伝子カセットについて観察されたR0におけるGUSの発現の平均を以下の表4に示す。
【表4】
【0104】
表4には、4つの導入遺伝子カセット全てについて、発生中の胚(21DAP)で発現が最も高いことが示されており、これは実施例2で得られた結果と一致する。図1では、各導入遺伝子カセットの配置によりもたらされる種々の発現パターンを示す。発生中の胚では、他の3つの導入遺伝子カセットと比較して、3’UTRであるT-Os.Ara5-1:1:1 (配列番号13) に作動可能に結合した、EXP配列であるEXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1 (配列番号8)からなる導入遺伝子カセットについての発現が最も高かった。3’UTRであるT-Os.Mth-1:1:1 (配列番号12)に作動可能に結合した転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1 (配列番号8)からなる発現カセットで形質転換した植物の、発生中の胚および胚乳で同様の発現レベルが観察された。3’UTRであるT-Os.Mth-1:1:1 (配列番号12)に作動可能に結合した転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1 (配列番号6)からなる導入遺伝子カセットについては、胚における発現と比較して、胚乳における発現がはるかに低かった。3’UTRであるT-Os.CLUS33428_1-1:1:1 (配列番号11)に作動可能に結合した転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1 (配列番号6)からなる導入遺伝子カセットについては、胚における発現が、胚乳における発現に比べて低かった。各導入遺伝子カセット配置により、発生中のR0種子において独特の発現パターンが示された。
【0105】
また、4つの異なる導入遺伝子カセットで形質転換した植物の根、葉、葯および絹糸ならびに発生中の種子における発現の差異を観察した。図2には、上述の組織それぞれにおける、各導入遺伝子カセット配置による異なる発現パターンを示す。例えば、葉の発現は、EXP配列であるEXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1 (配列番号8)からなる導入遺伝子カセットにおいて、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1 (配列番号6)を含む導入遺伝子カセットと比較して高い。葯の発現は、3’UTRであるT-Os.CLUS33428_1-1:1:1 (配列番号11) に作動可能に結合した転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.FBA:1:1 (配列番号6)および3’UTRであるT-Os.Mth-1:1:1 (配列番号12)に作動可能に結合した転写調節発現エレメントグループである、EXP-Zm.Nac+Os.Cab-1:1:1 (配列番号8)からなる2つの導入遺伝子カセットにおいて高い。4つの導入遺伝子カセット配置は、R0形質転換体においてそれぞれ独特の発現パターンを示した。
【0106】
本発明の原理を例示および記載したが、かかる原理から逸脱しなければ、本発明の配置および細部を変更し得ることは、当業者には明らかである。特許請求の範囲の精神および範囲に含まれる全ての変更は、本特許の特許請求の範囲に含まれる。本明細書中に引用する全ての文献および特許文献は、参照により、各文献または特許文献が個々に、具体的に参照により包含されるのと同程度に包含される。
図1
図2
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]