【実施例】
【0025】
以下、試験例および実施例により本発明を具体的に説明するが、これらによって本発明が限定されるものではない。
なお、実施例中、D−プシコースを含む希少糖を含有するシロップとして、前述の市販品「レアシュガースウィート」(固形分70%、糖組成:ブドウ糖44%、果糖30%、D−プシコースを含む全希少糖15%、ブドウ糖・果糖・希少糖以外の単糖6%、オリゴ糖5%。)を使用した。また、使用した「レアシュガースウィート」の甘味度は、砂糖を1としたときに0.85であったので、比較に際しては砂糖使用量の1.68倍量を使用することとした。
また、比較対照として使用した異性化糖(果糖ブドウ糖液糖)は、フジフラクトH−100(日本食品化工(株)製。固形分75%、果糖55%、ブドウ糖45%。)で、その甘味度は砂糖と同等であったので、比較に際しては水分量のみを勘案して砂糖使用量の1.33倍量を使用することとした。
【0026】
[試験例1]
(塩味増強効果の確認1)
表1の配合割合に従って食塩水を調製し、官能評価を行った。その結果、試験区1および2は対照区1と比べて強い塩味を呈しており、その程度は試験区2の方が強かった。
【0027】
【表1】
【0028】
[試験例2]
(塩味増強効果の確認2)
表2の配合割合に従って食塩水を調製し、官能評価を行った。その結果、試験区3および4は対照区2と比べて強い塩味を呈しており、その程度は試験区4の方が強かった。
【0029】
【表2】
【0030】
[試験例3]
(塩味増強効果の確認3)
表3の配合割合に従って調製した懸濁液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、でん粉糊液を得た。得られたでん粉糊液について、パネラー10人で官能評価を実施した結果を表3に合わせて示す。
なお、表中の数字は、対照区3と比べた際に塩味が強いと感じたパネラーの人数である。
その結果、多くのパネラーが対照区3より試験区5、6および7において強い塩味を感じ、試験例1のでん粉を含まない系における効果よりもさらに強い塩味増強効果が認められ(希少糖含有異性化糖を少量添加するだけで高い塩味増強効果が認められ)、また、希少糖含有異性化糖の添加量が増えるにつれ、強い塩味増強効果が認められた。
【0031】
【表3】
【0032】
[試験例4]
(塩味増強効果試験4)
表4に示す配合割合に従って調製した懸濁液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、でん粉糊液を得た。得られたでん粉糊液について、パネラー10人で官能評価を実施した結果を表4に合わせて示す。
なお、表中の数字は、塩味を最も弱く感じた対照区4を1点としたときに感じる塩味の強さ(5点が最大)を評価したときの平均点である。
その結果、試験区9の塩味が最も強かった。また、表中には配合および結果を示していないが、試験区9の配合における「レアシュガースウィート」の配合量を65重量部(A/B=77.5)または70重量部(A/B=83.5)としたときのそれぞれの試験区について、同様の比較試験を行ったところ、「レアシュガースウィート」を65重量部使用して比較した場合、他甘味料(砂糖または異性化糖)よりも塩味が強かったのに対し、70重量部を使用して比較した場合は、異性化糖と同程度の塩味増強効果しかみられなかった。
【0033】
【表4】
【0034】
[試験例5]
(でん粉糊液における穀物臭低減効果の確認)
試験例3および4の結果より、水溶液に比してでん粉糊液における塩味増強効果のほうが強く感じられたので、その塩味増強効果は、でん粉由来の穀物臭をマスキングする効果との相乗効果ではないかと推察し、以下のような確認試験を行った。
表5の配合割合に従って調製した懸濁液をビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、得られたでん粉糊液について官能評価を行った。使用したでん粉は、馬鈴薯、トウモロコシ、サゴ、粳米、糯米、タピオカ若しくは小麦のうちのいずれかを原料とする未加工でん粉または馬鈴薯、とうもろこし、ワキシーコーン若しくはタピオカのうちのいずれかを原料とする加工でん粉(ヒドロキシプロピル化リン酸架橋でん粉)から選ばれる1種のでん粉であり、これら10種類について各々比較検討を行った。
その結果、未加工でん粉か加工でん粉かにかかわらず、また、原料種の違いにかかわらず、いずれのでん粉を用いても、対照区5に比べて試験区10のでん粉糊液のほうがでん粉の穀物臭が低減していた。
以上より、希少糖含有異性化糖を使用することにより得られる塩味増強効果は、でん粉糊液に対して使用した際には、でん粉由来の穀物臭をマスキングする効果との相乗効果である可能性が示唆された。
【0035】
【表5】
【0036】
[実施例1]
(和風あん)
表6の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、得られた和風あんについて官能評価を行った。
その結果、希少糖含有異性化糖を用いた実施例1は比較例1と比べて強い塩味を呈していた。
【0037】
【表6】
【0038】
[実施例2〜4]
(トマトソース)
表7の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、得られたトマトソースについて官能評価を行った。
その結果、食塩濃度および甘味度を一定(実施例2、比較例2および3)として比較した場合、砂糖(比較例2)および異性化糖(比較例3)に比べて、希少糖含有異性化糖である「レアシュガースウィート」(実施例2)を用いたトマトソースのほうが強い塩味を呈した。
さらに、実施例3および4は減塩しているにも関わらず、実施例3は比較例3と、実施例4は比較例2と同程度の塩味をそれぞれ呈した。
以上より、トマトソースにおいて、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0039】
【表7】
【0040】
[実施例5〜7]
(酢豚のたれ)
表8の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、得られた酢豚のたれについて官能評価を行った。
その結果、食塩濃度および甘味度を一定(実施例5、比較例4および5)として比較した場合、実施例5(希少糖含有異性化糖)は比較例4(砂糖)および比較例5(異性化糖)より強い塩味を呈した。
また、実施例6および7は減塩しているにも関わらず、実施例6は比較例5と、実施例7は比較例4と同程度の塩味をそれぞれ呈した。
以上より、酢豚のたれにおいて、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0041】
【表8】
【0042】
[実施例8〜10]
(焼き肉のたれ)
表9の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、得られた焼き肉のたれについて官能評価を行った。
その結果、食塩濃度および甘味度を一定(実施例8、比較例6および7)として比較した場合、希少糖含有異性化糖(実施例8)は、砂糖(比較例6)および異性化糖(比較例7)よりも強い塩味を呈した。
また、実施例9および10は減塩しているにも関わらず、実施例9は比較例7と、実施例10は比較例6と同程度の塩味をそれぞれ呈した。
以上より、焼肉のたれにおいて、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0043】
【表9】
【0044】
[実施例11〜13]
(焼き鳥のたれ)表10の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱した。得られた焼き鳥のたれについて、パネラー10人で官能評価を実施した結果を表10に合わせて示す。なお、表中の数字は、「醤油感」および「塩味」の各項目において、「大変強く感じる」場合は5点、「強く感じる」場合は4点、「特に何も感じない」場合は3点、「弱く感じる」場合は2点、「大変弱く感じる」場合は1点として評価した10名の評価の平均点である。
その結果、食塩濃度および甘味度を一定(実施例11、比較例8および9)として比較した場合、実施例11(希少糖含有異性化糖)は、比較例8(砂糖)および比較例9(異性化糖)より強い塩味を呈していた。
また、実施例12および実施例13は減塩しているにも関わらず、実施例12は比較例9と、実施例13は比較例8と同程度の塩味をそれぞれ呈した。 以上より、焼き鳥のたれにおいて、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0045】
【表10】
【0046】
[実施例14〜16]
(みたらし団子のたれ)
表11の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱した。得られたみたらし団子のたれについて、パネラー10人で官能評価を実施した結果を表11に合わせて示す。「塩味」において、「大変強く感じる」場合は5点、「強く感じる」場合は4点、「特に何も感じない」場合は3点、「弱く感じる」場合は2点、「大変弱く感じる」場合は1点として評価した10名の評価の平均点である。 その結果、食塩濃度および甘味度を一定(実施例14、比較例10および11)として比較した場合、実施例14(希少糖含有異性化糖)は比較例10(砂糖)および比較例11(異性化糖)と比べて強い塩味を呈した。
また、実施例15および16は醤油の添加量を減らしているにも関わらず、実施例15は、比較例11と同程度、実施例16は比較例10と同程度の塩味を呈した。
すなわち、みたらし団子のたれにおいて、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0047】
【表11】
【0048】
[実施例17および18]
(板蒲鉾)
冷凍すり身(スケソウダラSA級)をフードカッターで5分間荒ずりし、食塩を添加して15分間塩ずりを行い、次いで「レアシュガースウィート」若しくは砂糖、およびその他の副材料を添加して15分間本ずりした。得られた肉糊を板に盛り、45℃、45分間坐りをとった後、90℃、45分間蒸煮を行って板蒲鉾を得た。但し、各添加材料の割合は表12の通りである。 得られた板蒲鉾について官能評価を行った結果、実施例17(希少糖含有異性化糖)は比較例12(砂糖)より強い塩味を呈した。
また、実施例18は減塩しているにも関わらず、比較例12と同程度の塩味を呈した。
すなわち、蒲鉾において、少なくともD−プシコースを含有する希少糖含有異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0049】
【表12】
【0050】
[実施例19]
(チーズフード)
表13に示される配合で、ゴーダチーズ以外の原料を混合し、その後、ゴーダチーズを投入し、90℃で5分間撹拌した。撹拌後、カップに流し込み成型、包装した。その後、一晩冷蔵庫に貯蔵し、翌日官能評価を行った。その結果を表13に合わせて示す。なお、表中の数字は、「塩味」および「チーズ風味」の各評価項目において、「大変強く感じる」場合は5点、「強く感じる」場合は4点、「特に何も感じない」場合は3点、「弱く感じる」場合は2点、「大変弱く感じる」場合は1点として評価したときの10名の評価の平均点である。
その結果、実施例19は比較例13および14より強い塩味を呈した。
【0051】
【表13】
【0052】
[実施例20〜22]
(レモンドレッシング)
表14の配合割合に従ってドレッシングを調製し、官能評価を行った。
その結果、食塩濃度および甘味度を一定(実施例20、比較例15および16)とした場合、実施例20は比較例15および16より強い塩味を呈した。 また、実施例21および22は減塩しているにも関わらず、実施例21は比較例16と同程度、実施例22は比較例15と同程度の塩味を呈した。
すなわち、ドレッシングにおいて、少なくともD−プシコースを含有する希少糖異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0053】
【表14】
【0054】
[実施例23]
(中華スープ)
表15の配合割合に従って中華スープを調製し、官能評価を行った。
その結果、実施例23は、比較例17および18より強い塩味を呈した。
【0055】
【表15】
【0056】
[実施例24〜25]
(ソーセージ)
1.5mmの目のついたプレートを装填したチョッパーを用いて冷凍中の豚赤肉と豚脂肪をそれぞれ別にひき、得られたひき肉を砂糖若しくは「レアシュガースウィート」、およびその他の副材料と一緒にフードカッター中に添加し、氷水を少しずつ混入しながらペースト状になるまで混和した。得られたペーストを真空デシケーターで脱気し、スタッファーを用いてコラーゲンフィルムのケーシングに充填し、6〜8cmの感覚で鎖状にねじり、たこ糸で結束し冷蔵庫中で1日間塩漬した。1日後約30℃で40分間くん煙処理を行い、75℃で40分間蒸煮後直ちに流水中で冷却してウィンナーソーセージを得た。但し、各添加材料の割合は表16の通りである。
得られたソーセージを3分間ボイルし、粗熱をとった後、官能評価を行った。その結果、塩濃度および甘味度を一定とした場合(実施例24および比較例19)、実施例24は比較例19より強い塩味を呈した。
また、実施例25は減塩しているにも関わらず、比較例19と同程度の塩味を呈した。
よって、ソーセージにおいても、少なくともD−プシコースを含有する希少糖異性化糖を使用することによる減塩効果が確認できた。
【0057】
【表16】
【0058】
[実施例26]
(プロセスチーズ)
表17に示される配合で、ゴーダチーズ以外の原料を混合し、その後、ゴーダチーズを投入し、90℃で5分間撹拌した。撹拌後、約7gに分割し、キャンディー型に成型し、一晩冷蔵庫に貯蔵し、翌日官能評価を行った。得られたプロセスチーズについて、官能評価を実施した結果を表17に合わせて示す。
なお、表中の数字は、「塩味」および「チーズ風味」の各評価項目において、「大変強く感じる」場合は5点、「強く感じる」場合は4点、「特に何も感じない」場合は3点、「弱く感じる」場合は2点、「大変弱く感じる」場合は1点として評価したときの10名の評価の平均点である。
その結果、実施例26は、比較例20および21と比べて強い塩味を呈した。
【0059】
【表17】
【0060】
[実施例27〜28]
(焼き鳥のたれ(2)-官能評価)
表18の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、焼き鳥のたれを得た。比較例22のたれを基準サンプルとして実施例27および28のたれの塩味を8名のパネラー(男性2名、女性6名)で評価した。
パネラーには、非特許文献1を参考に、五味識別試験及び塩味濃度差試験を実施し合格したパネラーを採用した。なお、各パネラーには、実施例と基準サンプルを比較してもらい、実施例の塩味の感じ方およびたれの香りについて以下のように点数をつけてもらった。
(塩味強度について)
5点=「塩味を非常に強く感じる」
4点=「塩味をやや強く感じる」
3点=「塩味は基準サンプルと同じ」
2点=「塩味をやや弱く感じる」
1点=「塩味を非常に弱く感じる」
(たれの香りについて)
5点=「焼き鳥のたれの香りを非常に強く感じる」
4点=「焼き鳥のたれの香りをやや強く感じる」
3点=「焼き鳥のたれの香りは基準サンプルと同じ」
2点=「焼き鳥のたれの香りをやや弱く感じる」
1点=「焼き鳥のたれの香りを非常に弱く感じる」
表19に各パネラーの塩味強度点数およびたれの香り点数の平均値を示す。表19に示すように、塩分濃度が同じでも、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖をたれ中に含むことでパネラーは明らかに実施例27のほうが比較例22に比べて塩味が強いと感じた。たれ中の塩分濃度を比較例の90%に減塩しても、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を含むことで、パネラーは実施例28を比較例22と同等以上の塩味と感じた。また、焼き鳥のたれの香りについて、パネラーは実施例27および28ともに比較例22に比べて強く感じた。少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖をたれ中に含むことで、焼き鳥のたれの香りが強くなったことが確認された。
なお、パネラーには実施例27および28とともに比較例22と同様のサンプルZを比較例22と同一とは明かさずに評価してもらった。Zに対して付けた点数を基に点数の有意差検定を行ったところ、実施例27の塩味強度点数はp<0.001、実施例27の香り点数はp<0.001、実施例28の香り点数はp<0.05となり、Z(比較例22)と比較して実施例27の塩味強度、たれの香り、実施例28のたれの香りは有意に差が認められた。
【0061】
【表18】
【0062】
【表19】
【0063】
(焼き鳥のたれ(2)−味覚センサーによる分析)
次に実施例27および28のたれの塩味強度を、Alpha−M.O.S社製の電子味覚装置α―Astreeを用いて評価した。比較例22のたれをS1とし、S1の食塩量を調整しS1の塩分濃度の90%(S2)、110%(S3)のたれを準備した。S1〜S3のたれを基準として塩センサー出力値を0〜12に分類した。次に実施例27のたれ(T1)、T1の塩分濃度を90%に減塩した実施例28(T2)を測定した。
各たれの3倍希釈液をα―Astree付属の専用ビーカーにセットし、味覚センサーで測定開始後、センサー強度が安定した100秒〜120秒の測定値の平均を味覚センサー値とした。
図1に、たれ中の塩分濃度(A1の塩分濃度を100%とした相対%)とセンサーによる塩味強度の測定結果を示す。S1とT1は塩分濃度が同じであるが、味覚センサーは、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を含むT1をS1に比べて約1.3倍塩味が強いと示した。S1中の塩濃度を90%に減塩しても、味覚センサーは少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖を含むT2を、S1と同等以上の塩味と示した。
官能評価と同様に、味覚センサーを用いた場合でも、本発明の方法で希少糖含有異性化糖を飲食品に含んだ場合、塩味増強効果が確認された。
【0064】
(焼き鳥のたれ(2)−匂いセンサーによる分析)
次に実施例27および28のたれの匂いを、Alpha−M.O.S社製の匂い分析装置HeraclesIIを用いて評価した。前記味覚センサーで用いたたれに加え、S1の砂糖量を90%(S4)、110%(S5)に変更したたれも準備した。
装置は2本のカラムを搭載し、各サンプルのクロマトグラムのパターン差により詳細なサンプルの匂い分析を可能とする。たれを装置付属のサンプルバイアル容器に封入し、60℃で15分保持し、その後、揮発成分をガスクロマトグラフにより分析することで、たれ中の揮発成分を測定した。
図2に、クロマトプロファイルにおいて、たれの主な匂い成分であるメチルピラジンのピーク面積を示す。グラフ2に示すように、希少糖を含まないたれ(S1〜S5)と希少糖を含むたれ(T1、T2)でメチルピラジンのピーク面積は4倍程度の差があり、希少糖を含むことで焼き鳥のたれとして好ましい匂い成分の揮発が促進されたことが示唆された。官能評価結果と同様に、匂いセンサーを用いた場合でも、穀物を含有する飲食物について本発明の方法を用いれば、穀物由来の穀物臭を低減しつつ好ましい風味を引き立たせることができることが確認された。
【0065】
[実施例29]
(焼き鳥のたれ(3))
次に、少なくともD−プシコースを含む希少糖含有異性化糖に変えて、D−プシコースを用いて焼き鳥のたれ(実施例29)を調製した。表20に実施例29の配合を示す。表20には、基準サンプルとして使用した表18記載の比較例22も合わせて記載した。表20の配合割合に従って調製した調味液100gをビーカーに入れ、湯浴で90℃達温まで加熱し、焼き鳥のたれを得た。
比較例22のたれを基準サンプルとして、実施例29のたれの塩味を17人のパネラー(男性10人、女性7人)で評価した。評価方法については、焼き鳥のたれ(2)-官能評価と同様である。
表21に各パネラーの塩味強度点数の平均値を示す。表21に示すように、比較例22と実施例29の塩分濃度は同じでも希少糖の1つであるD−プシコースを含むことで、パネラーは実施例29の塩味を明らかに強く感じた。
なお、焼き鳥のたれ(2)-官能評価と同様に実施例29の塩味強度点数の検定をおこなった結果、p<0.001となり、比較例22と比較して実施例29の塩味強度は有意に差が認められた。
【0066】
【表20】
【0067】
【表21】
【0068】
[実施例30]
(ポテトチップス)
表22の配合割合に従って調製したスナック用シーズニング5gをポテトチップス100gに振り掛け、塩味のポテトチップスを作製した。得られたポテトチップスについて、比較例25を基準サンプルとして実施例31の塩味をパネラー16人(男性8人女性8人)により評価した。評価方法については、焼き鳥のたれ(2)-官能評価と同様である。
表23に各パネラーの塩味強度点数の平均値を示す。D−プシコースを含有した実施例31を使用したポテトチップスは、比較例25を使用したポテトチップスに比べて塩味強度点数は高くなった。ポテトチップスにおいても、D−プシコースを含むことで塩味増強効果を確認できた。
なお、パネラーには実施例31とともに比較例25と同様のサンプルZも比較例25と同一とは明かさずに評価してもらった。Zに対して付けた点数を基に実施例31の有意差検定を行ったところ、p<0.05となり、比較例25に対して実施例31の塩味強度は有意に差が認められた。
【0069】
【表22】
【0070】
【表23】