(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電気生理学的信号は、水濃度、組織緊張、誘発電位、遠隔刺激神経活動、圧力刺激神経応答、電気的に刺激された移動、交感神経活性、筋電図信号[EMG]、筋音図信号[MMG]、局所電場電位、電子音響事象、血管拡張、膀胱壁剛性、筋交感神経活動[MSNA]、中枢交感神経衝動、神経連絡、またはこれらの組み合わせのうちの1つまたは複数に関係する、請求項1に記載の手術道具。
前記感知先端部のうちの1つまたは複数は、マイクロ回路と電気的に結合され、前記マイクロ回路は前記信号を調整するように構成されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のマイクロ手術道具。
1つまたは複数の感知先端部は、1つまたは複数の針電極および/または1つまたは複数のウィスカーを備え、そのそれぞれが特徴的な長さおよび先端部を有し、前記針電極および/またはウィスカーは前記感知先端部から前記関連する組織表面内に延在するように配置構成される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の手術道具。
1つまたは複数の感知先端部は、前記関連する組織表面から筋音図信号(MMG)を生成するように構成された筋音図信号(MMG)感知要素を備える、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の手術道具。
1つまたは複数の感知先端部は、組織緊張信号を生成するように構成された、コンプライアンス・センサーを備える、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の手術道具。
1つまたは複数の感知先端部は、前記関連する組織表面と接触するように構成された微小電極を備え、前記微小電極は5000sqμm未満、1000sqμm未満、250sqμm未満、または100sqμm未満の面積を有する、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の手術道具。
1つまたは複数の感知先端部および/または前記治療送達要素は、前記関連する組織表面および/または標的領域への刺激および/またはアブレーションをそれぞれ行うように構成されている、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の手術道具。
前記感知先端部および/または前記治療送達要素の1つまたは複数は、前記関連する組織表面および/または標的領域への電気的刺激および/またはアブレーションをそれぞれ行うように構成されている、請求項13に記載の手術道具。
前記感知先端部および/または前記治療送達要素の1つまたは複数は、前記関連する組織表面および/または標的領域への機械的刺激および/または超音波アブレーションをそれぞれ行うように構成されている、請求項13に記載の手術道具。
1つまたは複数の感知先端部は、前記組織表面および/または標的領域に対する前記刺激および/またはアブレーションの効果を監視するように構成されている、請求項13乃至15のいずれか1項に記載の手術道具。
前記治療剤は、化学薬品、原薬、神経調節物質、神経遮断物質、酸、塩基、除神経剤、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項17または18に記載の手術道具。
前記治療剤は、神経毒、ボツリヌス毒素、テトロドトキシン、テトラエチルアンモニウム、クロロトキシン、クラーレ、コノトキシン、ブンガロトキシン、ヒ素、アンモニア、エタノール、ヘキサン、一酸化窒素、グルタミン酸塩、レシニフェラトキシン、アルコール、フェノール、カプサイシン、麻酔薬、リドカイン、破傷風菌毒素、第四級アンモニウム塩、パッチークラーレ、レプトクラーレ、アセチルコリン、アミノステロイド、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項17乃至19のいずれか1項に記載の手術道具。
前記送達部材に機械的に結合され、流体を充填されたときに前記膀胱壁と接触する構成および寸法を有するバルーンを備え、前記感知先端部および/または前記治療送達要素の1つまたは複数は前記バルーンに取り付けられ、前記バルーンを充填した後に前記関連する組織表面および/または標的領域と接触するように配置構成される、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の手術道具。
前記送達部材は、前記バルーンと前記膀胱の外側に位置決めされた流体源との間を流体的に連通させるように配置構成されている管腔を備える、請求項22に記載の手術道具。
1つまたは複数の感知先端部は、前記バルーンと前記関連する組織表面との間の界面圧力を測定するように構成されている、請求項22乃至24のいずれか1項に記載の手術道具。
前記マイクロフィンガーは、前記膀胱内から配置された後に前記膀胱壁の方へ前記感知先端部を付勢するように構成された、前記感知先端部のうちの1つを備える、請求項28に記載の手術道具。
前記マイクロフィンガーは、前記長さに沿って延在する電気伝導性コアと前記コアの周りにある電気的絶縁クラッド層とを備える、請求項28または29に記載の手術道具。
100個より多いマイクロフィンガー、500個より多いマイクロフィンガー、または1,000個より多いマイクロフィンガーを備える、請求項28乃至30のいずれか1項に記載の手術道具。
前記信号、前記標的領域、または前記組織表面の1つまたは複数の可視化を使用者に伝送するように構成されたディスプレイに結合される、請求項1乃至32のいずれか1項に記載の手術道具。
前記膀胱に関する尿流動態検査を実施するように構成され、前記感知先端部の1つまたは複数は前記関連する組織表面および/または前記標的領域に対する尿流動態検査の効果を監視するように構成されている、請求項1乃至33のいずれか1項に記載の手術道具。
前記治療送達要素は、排尿、失禁、頻尿、疼痛、夜間頻尿、または膀胱容量のうちの少なくとも1つを調節するように構成されている、請求項1乃至35のいずれか1項に記載の手術道具。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明の特定の実施形態は、添付図面を参照しつつ以下で説明されるが、開示されている実施形態は、開示の単なる例にすぎず、さまざまな形態で具現化され得る。よく知られている機能または構造については、本開示を不必要に詳しくしてわかりにくくしないために、詳細には説明しない。したがって、本明細書で開示されている特定の構造および機能に関する詳細は、制限するものとして解釈されるべきでなく、単に請求項の基礎として、また本開示を事実上適度の詳しさで述べた構造でさまざまに採用する当業者を教示するための代表的基礎として解釈されるべきである。図の説明全体を通して、類似の参照番号は、類似の、または同一の要素を指しているものとしてよい。
【0051】
本開示による制御除神経システム(controlled denervation system)は、手術部位の周りの1つまたは複数の地点における1つまたは複数の生理学的パラメータを感知する機能を備えることができる。いくつかの態様において、除神経システムは、同じ部位のうちの1つまたは複数のところの組織を刺激し、および/またはアブレーションを行う機能を備えることができ、および/または刺激を与え、神経調節物質を送達し、および/またはそれらの部位のうちの1つまたは複数および/または手術部位の付近の代替的部位のところの組織にアブレーションを行う機能を備えることができる。いくつかの態様において、本開示による神経アブレーション・システムは、体内の内腔壁(例えば、膀胱、膣、子宮、腸、尿道、結腸、直腸などの壁)にアクセスできるように構成され得る。本明細書で開示されている非限定的な例の1つまたは複数の態様は、そのような構成を対象とするものとしてよい(例えば、外科手術時に膀胱壁に沿って膀胱神経および/または組織部位に対して制御可能にアブレーションを行うため)。
【0052】
本開示による制御神経アブレーション・システムおよび/または神経調節システムは、1つまたは複数の感知先端部(例えば、マイクロ先端部、ワイヤ、マトリックス内の電極、軟質バルーン、クランプ、フック形の構造物、ネット状の構造物などに配置されるような)を備えることができる。1つまたは複数の感知先端部は、圧力センサー、緊張センサー、温度センサー、電極(例えば、局部組織部位と相互作用する、そこに刺激を印加する、そこから電位を測定する、組織への/からの電流を監視する、生体インピーダンスを測定する、誘発電位、神経活動、筋電図信号[EMG]、心電計信号[ECG]、筋音図信号[MMG]、局所電場電位を測定する、などのための)、音響センサー、酸素飽和度センサー、または同様のものを備えることができる。
【0053】
感知先端部は、手術時にさまざまな重要な生理学的態様を明らかにするように構成され得る。以下の説明は、この点に関するいくつかの非限定的なアプローチの概要である。このような感知先端部は、1つまたは複数のマイクロフィンガー、マイクロ先端部、クランプ面、道具表面、フレキシブル回路、伸縮自在の基材、バルーン壁、または同様のものに組み込むことができ、それぞれ本開示に従う。
【0054】
1つまたは複数の感知先端部の間の生体インピーダンスは、感知先端部のうちの1つまたは複数と解剖学的構造部位との間の接触度、さらには潜在的に、感知先端部と解剖学的部位との間の付勢力を判定するために使用され得る。それに加えて、代替的に、または組み合わせて、1つまたは複数の感知先端部間の生体インピーダンス測定は、適切な接触がなされたときにそのことを、さらには外科手術時(例えば、熱アブレーション、RFアブレーション、超音波アブレーション、化学徐神経などにおいて)に解剖学的構造部位にどれだけの治療を施すべきかを判定するのに役立ち得る。さらに、それに加えて、代替的に、または組み合わせて、1つまたは複数の感知先端部間の生体インピーダンスは、それらの間に位置する組織の状態を判定するために使用され得る。非限定的な一例において、2つまたはそれ以上の感知先端部間の生体インピーダンス・スペクトルは、局部組織インピーダンスをマッピングするために使用され得る。そのような情報は、そのような組織が完全に治療された場合(例えば、アブレーション、剥離など)、組織がまだ治療されていない場合、などを明らかにするために役立ち得る。
【0055】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部、感知先端部および別の電極などの間の生体インピーダンス測定を使用して、感知先端部の1つまたは複数と局所的流体との間の絶縁状態を判定する(すなわち、内腔内の感知先端部と流体との間の絶縁状態を判定する、1つまたは複数の感知先端部と臓器壁との間の接触状態を判定する、臓器の充填状態を判定するなど)ことができる。
【0056】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数の感知先端部は、関連する歪み測定、先端部の振動、および/または接触力測定のわずかな変化によって(例えば、先端部と局所解剖学的構造との間の直接的力測定を介して、および/または装着されている関連する微小歪みゲージによって測定されるようなマイクロフィンガーの変形の変化を介して)決定されるような手術時の筋音図情報を取得するように構成され得る。筋音図情報は、自然に発生するか、または刺激に応答する局所的神経活動に関係し得る(例えば、適宜1つまたは複数の知覚先端部によって、局所適宜、遠隔から、局所的RFパルスの発生中および/または局所RFパルスを介して、など)。いくつかの態様において、感知先端部は、筋音図信号を検出するために、ピエゾ抵抗歪みゲージ、圧電マイクロトランスデューサ、界面圧力検出膜、または同様のものを備えることができる。非限定的な一例において、感知先端部は、ピエゾ抵抗または圧電材料(例えば、圧電性高分子、エレクトレット、ナノ粒子充填エラストマー、共役高分子など)のマイクロコーティングまたはナノコーティングでコーティングされ得る。いくつかの態様において、筋音図先端部は、局部組織の組織コンプライアンスの1つまたは複数の態様を測定するように構成され得る(例えば、石灰化材料、癌組織などを識別する)。
【0057】
いくつかの態様において、感知先端部、関連するマイクロフィンガー、および/または関連する電気的相互接続部(例えば、ワイヤ相互接続部、印刷相互接続部、パターン形成相互接続部など)は、1つまたは複数のピエゾ抵抗材料を含み得る。手術時のピエゾ抵抗材料のインピーダンスの変化は、関連する手術の1つまたは複数の態様に関連する1つまたは複数の筋電生理学的応答(例えば、移動、神経によって誘発される活動など)を判定するために使用され得る。
【0058】
いくつかの態様において、筋音図先端部は、局部組織の組織コンプライアンスの1つまたは複数の態様を測定するように構成され得る(例えば、石灰化材料、癌組織、結合組織が増加した組織、壁厚さの局所的変化などを識別する)。
【0059】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数の感知先端部は、電気生理学的信号を監視するように構成され得る。1つまたは複数の感知先端部のところの、および/または1つまたは複数の感知先端部の間のこのような電気生理学的監視は、神経応答、筋電図応答(EMG)、誘発電位、局所電場電位、細胞外電場電位などを、局所解剖学的構造部位の壁に沿って、および/またはその中にマッピングするために使用され得る(例えば、内腔の壁、臓器の壁に沿って、膀胱壁に沿って、腸壁内で、神経節付近で、神経叢の付近で、など)。このような情報は、外科手術(例えば、アブレーション手技、神経調節手技、信号割り込み、化学物質送達、研磨手技、生検など)を行う対象の組織を選択し、手術部位の長さに沿って神経を辿り、および/またはマッピングすること、外科手術の状態を判定すること、などに有益であり得る。いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部は、局所的神経活動(すなわち、神経連絡などに関連する筋肉活動)を監視するための手段として外科手術の前、外科手術の間、および/または外科手術の後の局所的筋電図(EMG)信号を監視するように構成され得る。そのような態様において、EMG信号は、除神経または神経調節手技の程度を監視するためのフィードバックとして使用され得る。
【0060】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数の感知先端部は、体内の組織の緊張を監視するように構成され得る。隣接する組織の緊張(例えば、機械的性質、壁剛性、弾性スペクトル応答、機械インピーダンス、生理学的性質など)を監視することは、移動(適宜循環または振動運動)を1つまたは複数の感知先端部に適用しながら感知先端部の歪みおよび/または力測定を組み合わせることによって決定され得る。このような感知先端部は、局所的に(例えば、局所的圧電トランスデューサ、容量性トランスデューサ、電気化学的トランスデューサ、スマート材料などによって)、または大域的に(例えば、横振動、軸方向振動、手術道具先端部、クランプ、フック、ループの一般振動、などによって)励起され得る。
【0061】
いくつかの態様において、感知先端部の1つまたは複数は、関連する組織と非対称的に接触し得る(すなわち、曲げられた先端部、マイクロフィンガー、ワイヤ状のフィンガーが組織表面に対して実質的に平行になるように構成され、それに対して鋭角をなして向き付けられる、など)。非対称的とは、感知先端部が垂直と異なる角度で関連する組織表面に近づくようなこと意味する。説明のため、そのような先端部を使用して局部組織緊張を監視し、および/または局所的励起(例えば、電気的励起、機械的励起など)を生じさせることは、励起過程において組織と先端部との間の実質的な相対的移動を生じないように(例えば、横方向接触力が先端部と組織との間でスリップ状態より低く留まるように、これらが励起時に一緒に移動するように)比較的小さな振幅で適用され得る。比較的小さいとは、感知先端部が組織表面に沿って目立って摺動し得ない十分に小さな振幅である励起を意味する。いくつかの態様において、取り付けられた構造物内の1つまたは複数の知覚先端部、および/または本開示によるシステムは、励起を発生するように構成され得る振動エキサイター(vibratory exciter)を備えることができる。
【0062】
いくつかの態様において、そのような緊張監視装置は、界面接触検出機能、電気生理学的測定機能、および/またはセンサー先端部歪み測定機能と組み合わせて、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の大量の局部組織に関係する生理学的情報を生成することができる。非限定的な一例において、局部組織は、アブレーション手技を行っている間に硬直することがある。局部組織緊張を監視することによって、剛性レベルを使用して、組織を不可逆的に損傷するのに適した程度のアブレーションがいつ施されているかを特徴付けることができる。おそらく外科手術が監視部位の付近の組織に直接影響を及ぼさない(すなわち、組織の直接的切断、加熱、アブレーション、研磨などを行わない)ように手術部位から著しく取り除かれた監視部位における、局部組織緊張の監視は、監視部位に隣接する組織の1つまたは複数の生理学的パラメータ(例えば、臓器壁剛性、神経活動の変化、局所的血液灌流の変化など)に対する外科手術の効果を判定するうえで有利な場合もある。
【0063】
いくつかの態様において、そのような緊張測定は、感知先端部アレイと接触する組織の局所的剛性(および/または隣接する血管、臓器などの全体的な壁剛性)を判定するのに役立ち得る(例えば、1つまたは複数の感知先端部に隣接する組織の種類を判定する、プラークを特定する、癌性の腫瘍を特定するなどのため)。緊張測定は、先端部が接触している組織の種類(例えば、筋肉、神経組織、脂肪、プラーク、癌組織など)を特徴付けるためにさらに使用され得る。いくつかの態様において、そのような情報は、場合によっては生体インピーダンス・データ、電気生理学的監視、または同様のものと組み合わせて、RFアブレーション手技においてRFエネルギーを局所的に印加する量を決定するために使用され得る。
【0064】
本開示による組織のRFアブレーションを行うための方法の態様において、局部組織緊張は、個別のRFパルスの発生前、発生中、その間、および/またはRFパルス列の発生後に測定され得る。RFパルスの印加時に局部組織緊張が変化するときに、治療の程度を決定するために緊張変化が使用され得る。RFアブレーション処理が隣接する組織に(おそらく、1つまたは複数の感知先端部を介して)施されるときに、緊張測定(1つまたは複数の感知先端部、おそらくRF信号が印加される際に通る同じ先端部によって決定されるような)が監視され得るが、それは、緊張測定が局所RF電流の著しい影響を受け得ないからである。
【0065】
いくつかの態様において、感知先端部アレイ内の1つまたは複数の感知先端部からの電気生理学的刺激および/または感知、または本開示によるシステムは、局所解剖学的構造(例えば、内腔壁、血管壁、神経に沿って、臓器壁、導管など)内の神経機能と接触し、監視し、および/または刺激するために使用され得る。そのような情報は、標的組織(例えば、神経)を探索すること、外科手術の組織を選択すること、外科手術の進行の程度(例えば、RF外科手術時のアブレーションの程度など)を判定すること、隣接する臓器および/またはその生理学的機能との標的神経の相互接続を判定すること、または同様のことを行うために使用され得る。
【0066】
いくつかの態様において、感知先端部のアレイは、好ましい方向に信号を送信するように構成されている神経のみを選択的に治療/監視するために(例えば、主に遠心性神経束、求心性神経束などを選択的に標的とするために)指向性刺激を印加し、および/または多部位検出を行うように構成され得る。このような構成は、関連する臓器の周辺の解剖学的構造および生理学的機能への影響を最小限度に抑えて神経疾患を治療するのに有利であると思われる。
【0067】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数の感知先端部は、RF電流を周辺組織に印加し/周辺組織から受け取る機能を備えることができる。RF電流は、複数ある感知先端部のうちの2つの間に局所的に流されるか、または1つまたは複数の感知先端部と身体の別の場所(例えば、身体の上に留置される複数のパッチから選択されるような、手術部位の上の大きな皮膚用パッチ上など)に留置されたマクロ電極との間で交互に流され得る。電流が感知先端部間に印加されることに制限され得る態様では、電流の流れの経路は、適切に制御されるが、局在性が高いものとしてよい。あるいは、1つまたは複数の感知先端部と1つまたは複数のマクロ電極との間にRF電流が通される例では、電流の流れの方向は、制御がより困難になるが、感知先端部から離れたところにある(すなわち、隣接する組織内にさらに入り込む、臓器の奥深く、内腔壁から遠く離れる、などの)組織にアクセスするために使用することができる。
【0068】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部と1つまたは複数のマクロ電極(例えば、患者の身体に取り付けられているような)との間の回路網インピーダンス測定は、RFアブレーション電流の印加前および/または印加中に監視され得る。それぞれの感知先端部および/またはマクロ電極は、すべての要素から形成される回路網を通る全体の電流の流れがそこを通して制御されるように調節可能であるものとしてよいインピーダンス制御回路を備えることができる。そのような構成は、局所アブレーション過程をより正確に制御する、したがって、制御の少ないアプローチに比べて高い正確さ、精度、空間識別、および信頼性で局部組織を標的にするのに有利であると思われる。
【0069】
いくつかの態様において、複数の感知先端部が、アブレーション過程におけるRF電流の流れに関わり得る。いくつかの態様において、それぞれのマイクロフィンガーおよび/または感知先端部の局所インピーダンスが監視され、および/または制御されて、これにより、そこに送達される電流をより都合よく最適化することができる。それに加えて、代替的に、または組み合わせて、それぞれの感知先端部を流れる局所電流の流れを監視して、RF電流の経路を判定すること、漏れ電流が検出されないことを確実にすることなどを行うことができる。そのような情報は、アブレーション手技において局所解剖学的構造へのRF電流の送達をより正確に制御するために使用され得る。
【0070】
それに加えて、代替的に、または組み合わせて、RF電流が周辺組織に印加される前、印加中、および/または印加後に、1つまたは複数の感知先端部が、生理学的パラメータ(例えば、水濃度、緊張、局部組織の血液酸素飽和度、誘発電位、神経活動の刺激/検出、局所電場電位、細胞外活動、EMG、温度など)を監視して、意図された外科手術の完了の程度を判定することができる。
【0071】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部は、光学的マイクロセンサー(例えば、光源および/またはCMOS光センサーを備えるマイクロパッケージ)および/または光ファイバー素子を備えることができる。外科手術において、光学的マイクロセンサーは、アブレーション手技を行う前、行っている間、および/または行った後に分析のために局部組織に対して、または近くに位置決めされ得る。
【0072】
いくつかの態様において、光学的に構成された感知先端部(または先端部のグループ)は、それに隣接する組織内の血液灌流および/または血液酸素化を局所的に評価するように構成され得る。システムは、この信号の変化に基づき外科手術を自動的に調節し、および/または停止するように構成され得る。代替的に、それに加えて、または組み合わせて、システムは、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後のこの信号の変化の警告を使用者(例えば、外科医、付き添いなど)に伝えることができる。そのような構成は、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の局部組織の健康状態、外科手術の程度などを評価するために役立ち得る。
【0073】
いくつかの態様において、1つまたは複数の光学的に構成された感知先端部は、手術部位の付近にある内腔、血管、または同様のものの組織の方へ付勢されるように構成され得る。光学的感知先端部は、狭帯域、多帯域、および/または広帯域の光を隣接する組織に送達するように構成された1つまたは複数の光源(例えば、発光ダイオード、光ファイバー先端部など)を備えることができる。いくつかの態様において、光学的感知先端部の1つまたは複数は、隣接する組織から反射された光を受光および/または分析するために1つまたは複数の光検出器(例えば、光検出器、フォトトランジスタ、光ファイバー先端部など)を備えることができる。受光された光は、それらの光源のうちの1つまたは複数によって放射されたものに関係するものとしてよいか、または、おそらく臓器の外側に(例えば、臓器の外部に、隣接する組織から離れて、膀胱腔、膣腔、直腸などの中から)、または被験者の身体の外側に配置されているであろう、周辺光源から受光され得る。
【0074】
光源は、隣接する組織の異なる吸収特性が、おそらく波長に依存するであろうが、外科手術時に観察されるように所定の波長の光を放出するように構成され得る。光検出器は、この光の少なくとも一部を受光するように構成され、これにより、システムで吸収特性を評価することができる(おそらく、本開示による前置増幅システムを介して、取り付けられている電子回路ユニット内で、など)。光検出信号は、酸素測定値またはそれに関係する信号を決定するために使用することができる。
【0075】
いくつかの態様において、光学的に構成された感知先端部は、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後に隣接する血管壁の外側の部位の方へ付勢され得る。代替的に、または組み合わせて、光学的に構成された感知先端部は、血管壁に関して実質的に静止しているものとしてよい(既知のサイズのカラーに取り付けられること、既知の幅の構造物に取り付けられることを介して、既知の半径まで拡大される構造物の一部として、など)。いくつかの態様において、付勢の大きさは、本開示によりセンサー及びアクチュエータの両方によって制御され得る。外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後に光検出器によって検出される光信号の変化(おそらく付勢力を変化させたことによる)は、これらを血管壁に当接させる付勢力の変化に関係し得る。このような構成は、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の交感神経系の緊張および/または血管拡張の変化を判定するうえで有利な場合がある。
【0076】
いくつかの態様において、光学的に構成された感知先端部は、1つまたは複数の歪みおよび/または界面張力測定方法と連携し、おそらく、感知先端部と隣接する組織との間の付勢力のより正確な読み取りを行い、移動に関係するアーチファクト、または同様のものに対する補正を行うことができる。
【0077】
いくつかの態様において、これらの光源のうちの1つまたは複数は、隣接する組織内を貫通する光が制御されるように選択され得る。非限定的な一例において、実質的に青色の波長および実質的に赤色の波長が、これらの組織内に放射され得る。青色の波長は、組織の表面の近くの変形および吸収に関係する情報をもたらすことができるが、赤色の波長は、隣接する組織の奥深く貫通することができ、これにより、先端部と組織との間の接触部位からさらに遠い位置にある組織の変形に応答して変化する信号を発する。光検出器またはそれと同等の光検出経路は、フィルター、偏光窓、または同様のものを備えて、分析時に異なるスペクトルを別々に評価することができる。青色スペクトルにおける光検出信号と赤色スペクトルから得られた信号との比較結果を用いて、感知先端部の付近の血管の組織の緊張および/または弾性係数を決定することができる。このような構成は、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の交感神経系の緊張(すなわち、筋肉の緊張の測定を用いて)、および/または血管拡張、臓器壁剛性、および/または局部組織剛性を評価するうえで有利な場合がある。このような特性の変化は、外科手術の完了の程度を示すことができる。
【0078】
いくつかの態様において、外部に(例えば、被験者の身体上に)留置された光源(例えば、赤外線、近赤外線、可視光線など)の光は、体内の手術部位に向けられ得る。光源は、適宜、被験者体内に検出しやすい信号を送るように変調され得る。光学的マイクロセンサーを備えた1つまたは複数の感知先端部は、光源から放射された光を感知することができる。受光した光のマッピングを使用して、光学的マイクロセンサーを装備した感知先端部のうちの1つまたは複数の近くの神経などの1つまたは複数の解剖学的特徴を特定し、および/または突き止めることができる。
【0079】
いくつかの態様において、1つまたは複数の外部に留置された光源および/または放射線ベースの撮像源は、手術中に注目する解剖学的部位の特定を補助するために使用され得る。外部エネルギー源として、狭帯域光源、広帯域光源、放射線源、超音波源、互いに相隔てて並ぶ光源、および/またはこれらの組み合わせ、または同様のものが挙げられる。エネルギー源は、注目する解剖学的構造上、解剖学的構造内、または解剖学的構造の近くに配置されているセンサーによってより容易に検出可能であるように変調され得る。非限定的な一例において、複数の光源を体内の異なる見晴らしの利く地点から(すなわち、内視鏡手術などを介してアクセスされるような)手術部位に、または身体の外部に(すなわち、身体の複数の場所に位置決めされるように)向けることができる。
【0080】
いくつかの態様において、内視鏡カメラが、手術中に解剖学的構造を観察すると同時に解剖学的構造の付近に手術道具を留置するために解剖学的構造、内腔壁、および/または注目する手術部位の近くに留置され得る。非限定的な一例において、内視鏡カメラおよび/または光源は、外科手術の際に行われるRFアブレーション過程に適したマクロ電極を備えることができる。
【0081】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部は、対応する微小光源(例えば、oLED、LEDなど)を装備することができる。微小光源は、隣接する組織に光を導くために使用され得る。光学的マイクロセンサーを備えた1つまたは複数の感知先端部は、隣接する組織によって後方散乱され、および/または隣接する組織を透過する微小光源から放射された光を検出するように構成され得る。このような情報は、隣接する組織内の解剖学的特徴(例えば、神経、腫瘍など)を検出すること、局所的流体(すなわち、含水量、血流など)を監視すること、組織可視化物質と相互作用すること、臓器壁内の組織を検査することなどを行うために使用され得る。
【0082】
このような光学的構成は、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の局部組織をマッピングするうえで有利な場合がある。これらは、神経検出システム内への実装(例えば、おそらく神経探索アルゴリズムへの入力などとして)に有利な場合もある。いくつかの態様において、このようなシステムは、光干渉断層法(OCT)構成によって具現化され得る。
【0083】
いくつかの態様において、システムは、臓器(例えば、膀胱、膣、子宮、直腸、結腸、腸など)の中に、またはそれに隣接する組織内などに留置するための微小バルーン・カテーテルを備えることができる。微小バルーン・カテーテルは、指示分子の薄い層でコーティングされ得る。指示分子には、注目する標的組織に付着するように標識を付け、および/または標的組織(例えば、神経組織など)に結合されたときに色特性を変化させるように標識を付けることができる。これらの分子は、バルーン・カテーテル挿入手技を行っている間に所望の組織に送達され得る。そのような手技を行っている時に、微小バルーン・カテーテルは、注目する臓器内に留置され、臓器の壁に軽く触れるように膨らまされ得る。臓器壁と接触している間に、指示分子は、局部組織に付着し、局部組織内に移動し/拡散し得る。そのような手技は、第1の外科的ステップとして、または本開示による他の態様と組み合わせるものとして行われ得る。いくつかの態様において、バルーンは、注目する解剖学的構造に治療薬(すなわち、神経遮断薬、エチルアルコール、ボトックスなど)を送達するように構成することもできる。
【0084】
本開示による一方法において、1つまたは複数の感知先端部が標的臓器(すなわち、膀胱、膣、結腸、子宮、など)に隣接する組織、および/または体内の壁を有する内腔内に挿入され、内腔または標的器官の壁の方へ付勢され、そこから1つまたは複数の電気生理学的信号が得られる。電気生理学的信号は分析され、これにより、外科手術に対する1つまたは複数の標的組織(すなわち、1つまたは複数の交感神経、副交感神経など)を特定することができる。治療薬(例えば、神経アブレーションの化学薬品、神経遮断物質、神経調節物質など)のボーラス、RF電流、熱エネルギー源、および/または同様のものを識別された組織に送達して、それに対して外科手術を行うことができる。いくつかの態様において、1つまたは複数の手術後電気生理学的信号を分析して、外科手術の程度を判定することができる。
【0085】
いくつかの態様において、治療薬は、本開示による微小バルーン・カテーテルを介して供給され得る。いくつかの態様において、微小バルーン・カテーテルは、本開示による1つまたは複数の知覚先端部(例えば、バルーンに取り付けられる、バルーンを囲む上部構造に取り付けられるなどの機能性要素の形態)を備えることができる。
【0086】
いくつかの態様において、アレイ内の1つまたは複数の感知先端部とアレイ内の1つまたは複数の感知先端部、外部電極、基準電極、または同様のものとの間の生体インピーダンスおよび/または電気生理学的信号は、アブレーション手技を行う時に隣接する組織の構造の変化を判定するために使用され得る。このような情報は、アブレーション手技、炭化物蓄積などの程度を判定するのに役立ち得る。
【0087】
いくつかの態様において、生体インピーダンス測定は、神経損傷データと相関し、おそらく、以前に行った外科手術、手術の進展で得られ、および/または特定の試験手順で得られ、これにより、外科手術において局所生体インピーダンス・データの変化を使用してアブレーション手技の程度を決定することができる。このような構成は、外科手術それ自体が局所的電気生理学的活動を圧倒し、そのため、手術が完了した後長期間にわたって神経監視が妨げられる可能性がある場合に、有利であり得る。
【0088】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部は、本開示によるアブレーション手技を行う時に局所電場を監視し、おそらく意図した目標を達成するのにアブレーション場が不十分である場合にそのことを手術者に指示する警告システムに接続されているであろう、隣接する解剖学的構造を通る電流の流れの経路をより適切に判定するように構成され得る。このような構成は、不発の、または狙いが誤ったアブレーション・セッションにおいて組織に不要な損傷をもたらすのを回避するために有利な場合がある。
【0089】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、1つまたは複数の知覚先端部(例えば、バルーンに取り付けられる、バルーンを囲む上部構造に取り付けられるなどの機能性要素の形態)を備える微小バルーン・カテーテルを具備することができる。微小バルーン・カテーテルは、隣接する臓器壁に対して知覚先端部を付勢するように構成され、これにより、選択的アブレーションおよび検出処理が実行され得る信頼できる界面が構成される。このような微小バルーン・カテーテルは、本開示による単一留置型外科手術に有利な場合がある。
【0090】
複数の感知先端部を備える態様では(例えば、微小バルーン・カテーテル、手術道具、クランプ、フック、ループ、マイクロフィンガー・アレイ、マイクロツール・セット、軟質ケージ・アセンブリ、バルーン壁、軟質ケージ・アセンブリなどに留置されるような)、感知先端部は、互いに相互接続され、信号処理回路、局所マイクロ回路、および同様のものおよび/またはこれらの組み合わせと相互接続され得る。手術時に手術部位に送られなければならない信号線の本数を実質的に減らすために、感知先端部のネットワーク・アレイを局所的に留置されるマイクロ回路(例えば、特定用途向け集積回路、分散/相互接続回路素子、軟質半導体回路素子の集合体など)と一緒に多重化するとよい。マイクロ回路は、体外システム(例えば、コンピュータ、制御システム、RFアブレーション制御装置、データ収集システムなど)とそのような信号を通信するように構成され得る。マイクロ回路は、アナログおよび/またはデジタル手段および/または方法を介して体外システムと通信するように構成され得る。非限定的な一例において、通信は、マイクロ回路がアレイ内のいくつかの感知先端部に関係するデータ、さらにはスイッチ・データ、制御データ、RFパルス・ルーティングなどを交換することができるように主にデジタル手段によるものとすることができる。
【0091】
いくつかの態様において、感知先端部のネットワーク・アレイは、分散電子的要素および軟質電気的相互接続部(例えば、バルーン壁に施される、構造用ワイヤ、マイクロフィンガー、ワイヤ・メッシュ要素によって構成されるような)と相互接続され得る。いくつかの態様において、感知先端部、マイクロフィンガー、または同様のもののうちの1つまたは複数は、軟質または伸縮自在の電子的基材上に備えられ、この電子的基材は感知先端部を解剖学的構造と接触させるだけでなく、1つまたは複数の感知先端部、同様のものを制御装置、制御システム、手術者、グラフィカル・ユーザー・インターフェース、ディスプレイ、または同様のものと電気的に接続するようにも構成され得る。
【0092】
本開示による制御神経アブレーション・システムは、1つまたは複数のマイクロフィンガーを備えることができる。
【0093】
このために、マイクロフィンガー・アレイのマイクロ手術道具が本明細書において開示されている。マイクロフィンガー・アレイ内のいくつかの要素は、外科手術を行う時に局所解剖学的構造を相互作用するための本開示による感知先端部を備えることができる。
【0094】
マイクロフィンガー・アレイは、体内の非常に小さな解剖学的部位にアクセスする、組織部位を高度に局在化して相互作用する、などを行ううえで有利な場合がある。
【0095】
いくつかの態様において、マイクロフィンガー・アレイは、それらのマイクロフィンガーのうちの1つまたは複数が隣接する組織と実質的に独立して接触するように本開示による手術道具内に配置構成され得る。そのため、マイクロフィンガーのアレイが、粗面化された、または他の何らかの形の制御されていない表面に対して留置された場合、それぞれのマイクロフィンガーは、使用するとき、マイクロフィンガー・アレイが手術の一部として表面に沿って引きずられる場合であっても、表面を移動するとき、などに、表面と接触すること、表面に対して制御された付勢力を維持すること、表内に関連する感知先端部を実質的に埋め込むこと、および/または表面との接触を実質的に維持することができるものとしてよい。そのような独立して調節可能なマイクロフィンガーは、特にマイクロフィンガーによる組織の監視、刺激の印加、および/またはアブレーションを行っている間に既知の界面圧力を維持するために有利な場合がある。そのような独立して調節可能なマイクロフィンガーは、手術時に関連する先端部(すなわち、関連する知覚先端部)を隣接する組織内に実質的に埋め込むのに有利であり得る。
【0096】
マイクロフィンガーとは、実質的に湾曲している(すなわち、長さに沿って1つまたは複数の地点で曲がっている、多数の軸に関して湾曲している、など)指に似た形状の部材を意味する。そのようなマイクロフィンガーは、一般的に特徴的な幅を有するものとしてよい(ただし、断面の構成は任意である)。マイクロフィンガーは、一般的に、約1mm、0.5mm、0.1mm、0.05mm、0.01mm、または同様の長さのオーダーの特徴的な幅を有することができる。非限定的な一例において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、特徴的な幅が約100μm、約50μm、約25μmなどのニチノール製構造物(例えば、ワイヤ、リボンなど)を備えるものとしてよい。
【0097】
いくつかの態様において、本開示によるマイクロフィンガーの1つまたは複数の領域は、絶縁層(例えば、酸化物層、誘電体コーティング、高分子層、潤滑剤層など)で選択的にコーティングされるものとしてよい。いくつかの態様において、このような絶縁層は、マイクロフィンガーのいくつかの領域に選択的に(すなわち、絶縁された領域およびその感受性領域を形成するために)施され得る。
【0098】
いくつかの態様において、マイクロフィンガーは、手術時に1つまたは複数の隣接する組織構造に対して配置され、および/または付勢するように構成され、また外科手術を行う時に検出、刺激の印加、および/またはアブレーションを行うことを目的として、局所解剖学的構造を接触可能に掃引するために使用され得る。いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーの寸法および構造は、広範な移動および寸法変動にわたって隣接する組織に実質的に均一で予測可能な付勢力をもたらすように設計され得る。
【0099】
いくつかの態様において、本開示によるマイクロフィンガーのアレイは、解剖学的構造(例えば、臓器など)内に制御可能に付勢される接触を形成するか、または手術部位(例えば、膀胱、子宮、膣、直腸などを囲む組織内の)に都合よく送達できるように、送達カテーテル内に十分につぶれて入り込める一方、配置後に外向きに拡大するように構成され得る。
【0100】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数のマイクロフィンガーは、ワイヤ・バスケット、メッシュ状の構造物、または同様のものの形状になるように構成され得る。いくつかの態様において、そのようなマイクロフィンガーの1つまたは複数の領域は、絶縁層でパターン形成され、これにより、信号をマイクロフィンガー上、関連する感知先端部の方へ導き、関連する感知先端部と制御電子回路との間の通信を実現し、その1つまたは複数の機械的特性を制御し、または同様のことを行うことができる。
【0101】
そのような構成は、手術時に手術部位で一貫性のある接触力を維持し、1つまたは複数の知覚先端部を臓器壁、注目する組織構造物内に実質的に埋め込み、隣接する流体から1つまたは複数の感知先端部を実質的に絶縁し、または同様のことも行いながら、損傷を最小限度に抑えつつ、注目する解剖学的部位にアクセスするために有利な場合がある。
【0102】
いくつかの態様において、本開示によるマイクロフィンガー・アレイは複数のフィンガーを備えることができ、1つまたは複数のそのようなフィンガーは周囲組織と接触し、配置部位から外向き半径方向に付勢されるように構成される(例えば、ガイド・ワイヤ、カテーテルなど)。いくつかの態様において、マイクロフィンガー・アレイは、抑制シェル(すなわち、カテーテル内の抑制層)の縦方向の後退を介して、熱または電流の印加を介して(すなわち、形状記憶マイクロフィンガーなどの場合)、送達カテーテルからのマイクロフィンガー・アレイの射出を介して(すなわち、マイクロフィンガー・アレイを送達カテーテルの先端部を越えて送ることなどによって)配置され得る。
【0103】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、バネ状のワイヤ要素(例えば、ニチノール、バネ鋼など)を備え、および/またはバネ状要素を備える複合構造物を具備して、付勢力を発生し、マイクロフィンガーの先端部および/または1つまたは複数の領域を臓器の壁の方へ(すなわち、表面などの方へ)押して、臓器の中に留置されるようにすることができる。
【0104】
いくつかの態様において、マイクロフィンガーは、電流を周辺組織に、および周辺組織から流すように、および/または関連する感知先端部と接続されているマイクロ回路との間で電気生理学的情報を通信するように適宜構成されたニチノール構造物を備えることができる。いくつかの態様において、ニチノール構造物は、RFパルスがそれを通して周辺組織の方へ印加されたときに、ニチノール構造物が、所定の量のエネルギーが通された後に、所定の温度に達したときに、または同様のときに、組織から後退するように構成され得る。したがって、ニチノール構造物は、一定分量のRFエネルギーを周辺組織に印加するための本質的に制御された方法を提供することができる。このような構成は、同時に、それに加えて、代替的に、および/または本開示で説明されている他の態様のうちの1つまたは複数と組み合わせて使用するように適合され得る。
【0105】
いくつかの態様において、アレイ内のそれぞれのフィンガーは、すべてのフィンガーが手術を行う時に臓器壁、標的組織、または同様のものとの接触を維持するようにいくぶん他のフィンガーと独立して移動できる。
【0106】
このような構成は、手技を行いながら(すなわち、1つまたは複数のマイクロフィンガーで表面を走査する、表面に沿ってマイクロフィンガーを引きずる、組織部位を監視する、組織部位にアブレーションを行うなど)、または相対的移動の期間中に(すなわち、おそらく生理学的過程、バイオリズムに関係するストレス、呼吸、血圧変動、収縮などによるものであろう、臓器運動の存在下で)、筋肉性の臓器(すなわち、膀胱、子宮、膣など)の内壁および/または外壁と強い接触を維持するために有利な場合がある。
【0107】
いくつかの態様において、マイクロフィンガーは、送達カテーテルに対してわずかに軸外れをなし、これにより、被さっているシースの相対的軸方向移動を使用してマイクロフィンガーをシース内に後退させるか、または逆にマイクロフィンガーを解剖学的部位の方へ配置することができる。それに加えて、代替的に、または組み合わせて、軸外れの配置構成では、マイクロフィンガーが取り付けられるカテーテルにひねりを加えることで解剖学的部位に沿ってマイクロフィンガーを周上で掃引する機能が実現され得る。
【0108】
このような構成は、外科手術を行う時に、解剖学的部位の同時マッピングおよび選択的アブレーションを行う際に有利な場合がある。
【0109】
さらに、そのような構成は、中を通る流体の流れを維持しながら(すなわち、拡張時に逆流する可能性のある、閉塞具とは反対に)、解剖学的部位を処置するために有利な場合がある。
【0110】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、高度に小型化され柔軟な構造を備えるものとしてよく、これにより、体内の制約が大きい解剖学的部位により容易にアクセスすることができ、および/または周辺組織への損傷を最小限度に抑えつつ注目する手術部位に到達することができる。
【0111】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、局所的手術部位から情報を取り込むために本開示による1つまたは複数の感知先端部を備えることができる。検出オプションのいくつかの非限定的な例として、温度センサー、電極、歪みゲージ、接触力センサー、これらの組み合わせ、および同様のものが挙げられる。説明のために、感知先端部はマイクロセンサーとも称され得る。
【0112】
感知先端部は、手術時にさまざまな重要情報を明らかにするように構成され得る。以下では、いくつかの態様についてさらに詳しく説明する。
【0113】
1つまたは複数のマイクロフィンガー先端部の間の生体インピーダンスは、フィンガー先端部と解剖学的構造部位との間の接触度、マイクロフィンガー先端部の間の組織の含水量、マイクロフィンガー先端部の間の組織の状態、さらには潜在的に、フィンガー先端部と解剖学的部位との間の付勢力を判定するために使用され得る。そのような情報は、いつ適切な接触をしているかを判定し、アブレーション手技を行う時に解剖学的部位に電流をどれだけ印加すべきかを測定するのに役立ち得る。
【0114】
筋音図情報は、関連する歪み測定、および/または接触力測定のわずかな変化によって(例えば、先端部と局所解剖学的構造との間の直接的力測定を介して、および/または装着されている関連する微小歪みゲージによって測定されるようなマイクロフィンガーの変形の変化を介して)決定されるとおりに手術時にフィンガー先端部から得ることができる。
【0115】
1つまたは複数のフィンガー先端部のところの、または間の誘発電位監視は、神経応答、筋電図応答、細胞外電位、局所電場電位、誘発電位、などを、局所解剖学的構造の壁(例えば、血管壁、臓器壁など)に沿って、または手術部位などに関連する組織内で、マッピングするために使用され得る。そのような情報は、外科手術(例えば、アブレーション手技、生検、刺激印加、化学薬品送達事象など)を行う組織を選択するのに有利な場合がある。
【0116】
隣接する組織の緊張は、1つまたは複数のマイクロフィンガーに励起を印加しながらマイクロフィンガーの歪みおよび/または力測定を組み合わせることによって判定され得る(例えば、適宜時計回りにひねってマイクロフィンガーを前進させ、わずかに反時計回りにひねって隣接する組織の緊張を測定する、接触および/またはマイクロフィンガー歪み測定と組み合わせた振動エキサイターを使用する、など)。
【0117】
そのような緊張測定は、マイクロフィンガー・アレイと接触する組織の局所的剛性を判定するのに役立ち得る(例えば、1つまたは複数のマイクロフィンガーに隣接する組織の種類を判定する、外科手術に対する局所的剛性の変化を監視する、プラークを特定する、癌性の腫瘍を特定するなどのため)。
【0118】
マイクロフィンガー・アレイ内の1つまたは複数のマイクロフィンガーからの刺激および感知を使用して、局所解剖学的構造の神経機能を誘発することができる。そのような情報は、外科手術の組織を選択すること、外科手術の進行の程度(例えば、RF外科手術時のアブレーションの程度、周辺組織内に送達される化学物質の効果、など)を判定することのために使用され得る。指向性刺激および感知を使用し、(すなわち、複数の感知先端部、感知部位、などからの刺激および/または感知の組み合わせを介して)好ましい方向に信号を送信するように構成されている神経のみを選択的に治療することができる。
【0119】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、RF電流を周辺組織に印加し/周辺組織から受け取る機能を備えることができる。
【0120】
そのようなRF電流は、アレイ内の1つのマイクロフィンガーと(適宜)遠くにある対向電極との間、アレイ内の2つまたはそれ以上のマイクロフィンガーの間、身体上の体外パッチなどに印加され得る。
【0121】
複数のマイクロフィンガーRF電流通路に関する態様において、それぞれのマイクロフィンガーの局所インピーダンスを変えることで、マイクロフィンガーに送達される電流を制御することができる。
【0122】
複数のマイクロフィンガーRF電流通路に関する態様において、それぞれのマイクロフィンガーを流れる局所電流の流れを監視して、RF電流の流れの経路を判定すること、漏れ電流が検出されないことを確実にすることなどを行うことができる。そのような情報は、アブレーション手技において局所解剖学的構造へのRF電流の送達をより正確に制御するために使用され得る。
【0123】
いくつかの態様において、RF電流が周辺組織に印加される前、印加中、および/または印加後に、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、生理学的パラメータ(例えば、水濃度、緊張、局部組織の血液酸素飽和度、誘発電位、1つまたは複数の局所電場電位、神経活動の刺激/感知、EMG、温度など)を監視して、意図された外科手術の完了の程度を判定するように構成され得る。
【0124】
いくつかの態様において、アレイ内の1つまたは複数のマイクロフィンガーの間の生体インピーダンスが、アブレーション手技を行う時に隣接する組織の構造の変化を判定するために使用され得る。このような情報は、アブレーション手技、炭化物蓄積、組織インピーダンスの変化などの程度を判定するのに役立ち得る。
【0125】
いくつかの態様において、生体インピーダンス測定は、神経損傷データと相関し、おそらく、以前に行った外科手術で得られるか、または特定の試験手順で得られ、これにより、外科手術において局所インピーダンス・データの変化を使用して手術の程度を決定することができる。このような構成は、外科手術それ自体が局所的電気生理学的活動を圧倒し、そのため、手術が完了した後長期間にわたって神経監視が妨げられる可能性がある場合に、有利であり得る。
【0126】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、アブレーション手技を行う時に局所電場を監視し、おそらく意図した目標を達成するのにアブレーション場が不十分である場合にそのことを手術者に指示する、意図された手術部位の方へエネルギーを導くのを支援する、エネルギーを節約する、などを行う警告システムに接続されているであろう、隣接する解剖学的構造を通る電流の流れの経路をより適切に判定するように構成することができる。このような構成は、失敗したアブレーション・セッションにおいて組織に不要な損傷をもたらすのを回避するために有利な場合がある。
【0127】
いくつかの態様において、システムおよび/またはマイクロフィンガーは、アブレーション手技を行う時および/または行った後にマイクロフィンガーを冷却するために冷却剤送達システム(例えば、生理食塩水送達システム)を備えることができる。このような冷却剤送達は、アブレーション手技に関連する炭化物および過剰な損傷を最小限にするために有利であり得る。いくつかの態様において、このような冷却剤送達は、低温外科手術(すなわち、冷凍アブレーション)、または同様のものの一部とすることができる。
【0128】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、隣接する解剖学的構造の壁にのみ触れる露出された電極領域(すなわち、電極ベースの感知先端部の一部として)備えることができる。このような構成は、血管内の隣接する流体に流れる電流を最小限にする(すなわち、臓器などの中の流体から電極を実質的に絶縁する)、電極の付近にあるRF電流の流れをより適切に制御する、露出されている領域と周辺の流体との間の導電性を最小限にする、隣接する解剖学的構造の壁内に露出された電極領域を実質的に埋め込む、などの作業を行うのに有利な場合がある。
【0129】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、1つまたは複数の活性材料要素を含み得る。活性材料要素に送達される制御信号は、マイクロフィンガーを意図された手術部位の方へ付勢する、フィンガー先端部と手術部位との間の接触力を能動的に制御する、などの作業を補助することができる。1つまたは複数のマイクロフィンガーに施すのに適していると思われる活性材料のいくつかの非限定的な例として、形状記憶材料(例えば、形状記憶合金、高分子、これらの組み合わせ)、電気活性高分子(例えば、共役高分子、誘電性エラストマー、圧電性高分子、エレクトレット、液晶、グラフトエラストマー、ヒドロゲルアクチュエータなど)、圧電セラミック(例えば、非晶質圧電セラミック、単結晶、複合体など)が挙げられる。それに加えて、活性材料は、振動エキサイターおよび/または機械的プローブとして使用することができ、隣接する組織の緊張を監視するのに使用し(上記参照)、代替的に、それに加えて、または組み合わせて、振動/超音波アブレーションおよび/または局所加熱を組織に対して施すことができる。そのような態様において、活性材料は、マイクロフィンガーの長さに沿って、および/または領域上に含まれ得る(すなわち、活性材料の収縮または膨張時にマイクロフィンガーの形状に影響を及ぼす)。
【0130】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部は、隣接する組織と接触する界面となるように共役高分子電極を備えることができる。好適な共役高分子のいくつかの非限定的な例として、ポリアニリン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、および同様のものが挙げられる。
【0131】
いくつかの態様において、1つまたは複数のマイクロフィンガーは、手術時に関連するカテーテル、身体などに流れる他の電流からマイクロフィンガー先端部が効果的にシールドされるように電気シールドを備えることができる。
【0132】
いくつかの態様において、マイクロフィンガー・ベースのカテーテルの1つまたは複数の要素として、双方向スイッチング回路網、マイクロ増幅器アレイ、知覚フロント・エンド、これらの組み合わせ、または同様のものが挙げられ、これにより、解剖学的構造の界面のできる限り近くで感知信号を増幅する、マイクロフィンガー先端部の機能を知覚機能、刺激性機能、および/またはアブレーション機能に切り換える、これらの組み合わせを行う、などを行うことができる。いくつかの態様において、回路は、システムのカテーテル内の送達ワイヤに備えることができる。そのような態様において、回路は、それぞれ本開示による1つまたは複数のマイクロフィンガーおよび/または感知先端部、および二次信号収集回路、デジタル通信ブロック、制御装置、RF信号発生装置、これらの組み合わせ、および同様のものに結合され得る。
【0133】
いくつかの態様において、双方向スイッチング回路網を使用することで、1つまたは複数のマイクロフィンガーなどの双方向刺激/感知機能を使用可能にすることができる。スイッチング回路網は、局所増幅器アレイ内に、柔軟性のある回路として、または1つまたは複数のマイクロフィンガーなどに相互接続されるか、もしくは置かれるシリコン・ダイ内に組み込まれ得る。代替的に、それに加えて、または組み合わせて、体外回路素子がスイッチング回路網および/またはマイクロフィンガー、感知先端部などに、また本開示によるマイクロフィンガー・アレイを備える外科システム内に備えられている制御装置に結合され得る。
【0134】
いくつかの態様において、マイクロ増幅器アレイは、使用時の、騒音シグネチャなどを改善するために、マイクロフィンガーの1つまたは複数の知覚態様から得られる信号を前置増幅するために使用され得る。マイクロ増幅器は、カテーテルに結合される、カテーテル内に埋め込まれる、1つまたは複数のマイクロフィンガー内に埋め込まれる、などが可能である。
【0135】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数のマイクロフィンガーは、局所解剖学的構造の穿刺を防ぐために、後方に移動する際に座屈する、すなわち向きを変える十分な柔軟性を有するように形成され得る。この非限定的な例で概要が示されているような構成は、より剛性のある構造に対する懸念となり得る隣接する解剖学的構造を損傷する(例えば、臓器壁を穿刺するなど)著しい危険性を生じることなく局所解剖学的構造との接触をもたらすのに有利な場合がある。このようなマイクロフィンガーは、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満の特徴的な幅を有することができる。
【0136】
いくつかの態様において、本開示による1つまたは複数のマイクロフィンガーは、非常に小さな配置チューブ/カテーテルから効果的に配置し、外向きに拡大して配置時の広範な血管寸法または形状の変化に対応できるようにするため、実質的に超弾性である材料(例えば、形状記憶合金材料、超弾性材料、バネ鋼などから形成される)を備えるものとしてよい。そのような構成は、少数の単位サイズが広範な解剖学的構造を治療するのに適している限り有利であり得る。それに加えて、マイクロフィンガーの設計曲率および形態は、配置可能な広い範囲の移動をさらに可能にするように実質的に選択され得る。
【0137】
複数のマイクロフィンガー・アレイ(すなわち、マイクロフィンガーのクラスタ、扇状に並ぶマイクロフィンガーなど)を備える手術道具を使用して、単一のアレイ内で利用可能である以上に、意図された手術部位から離れたところの生理学的応答を判定することができる。開示されている概念の態様は、アレイ内のマイクロフィンガー間の相互作用、アレイ間の相互作用を拡大することによって同じラインに沿って使用され得る。いくつかの態様において、複数のクラスタ化されたマイクロフィンガー・アレイを備える手術道具は、複数の部位(巨視的に分離されている部位)から同時に1つまたは複数の解剖学的部位を分析するうえで有利な場合がある。いくつかの態様において、2つのマイクロフィンガー・アレイがカテーテル・ベースの手術道具に沿って配置構成され、これにより、内腔の壁と、2つまたはそれ以上の縦方向に分離された距離で、注目する手術部位と(いくぶん)離れた場所との間で、または同様の配置で接触することができる。複数のマイクロフィンガーからの生理学的感知は、複数の部位の間の神経連絡の程度を判定する、連絡の方向を判定する、一方の方向または他方の方向からの連絡が遮断されているかどうかを判定する(すなわち、外科手術の後、RF電流の印加の後、除神経手技の後など)ことに有利な場合がある。複数の解剖学的部位の状態を判定するためのそのような構成および方法は、本開示の本文および添付図面全体を通してさらに開示される。
【0138】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、外科手術が行われる前、行っている間、および/または行った後に手術部位に関連する生理学的活動を監視するために使用され得る。外科手術のいくつかの好適な例として、RFアブレーション、アルゴン・プラズマ凝固、レーザー・アブレーション、水ジェット・アブレーション、超音波アブレーション、冷凍アブレーション、マイクロ波アブレーション、研磨、生検、物質の送達(例えば、化学薬品、薬物、神経調節物質、神経遮断物質、神経毒、酸、塩基、除神経剤、など)、これらの組み合わせ、および同様のものが挙げられる。局所生理学的活動(例えば、神経活動、血液灌流、緊張の変化、筋肉交感神経活動、など)は、1つまたは複数のセンサー(感知先端部、マイクロフィンガーなど)を、おそらく1つまたは複数の物理的センサー(すなわち、温度センサー、圧力センサーなど)および/またはそれぞれ本開示による関連する刺激装置と併用して、監視され得る。それに加えて、代替的に、または組み合わせて、関連する手術部位の1つまたは複数の生理学的特性および/または状態を評価するための技術が使用され得る。そのような技術として、生体インピーダンス、血圧、組織酸素化、組織二酸化炭素レベル、局所温度、これらの組み合わせ、これらの変化、および同様のものの値および/または動向を評価することが挙げられる。
【0139】
いくつかの態様において、システムは、感知先端部を留置することができる基材を含み得る。このような基材は、バルーン壁、メッシュ、織り合わせたリボンのアレイ、布、クランプ面、フック面などから形成することができる。いくつかの態様において、基材は、伸縮性および/または柔軟性を有する電子的材料を含むものとしてよい。
【0140】
電気的相互接続部は、カーボン・ナノチューブ(例えば、SWNT、MWNTなど)、ナノワイヤ、金属ワイヤ、複合材、導電性インク、そのパターン形成されたもの、これらの組み合わせ、および同様のものから形成され得る。
【0141】
いくつかの態様において、基材および/または関連する基材のキャリア・フィルムの一部、または全部は、ポリウレタン、シリコーン、一般的なエラストマー、絹フィブロイン材料、これらの組み合わせ、または同様のものから形成され得る。微小孔性または繊維性を有する基材を含むことは、基材または基材のキャリア・フィルムを、毛管効果を介して隣接する組織に接着させることができるので有利であり得る(すなわち、隣接する組織から基材中への流体のウィッキング現象を生じる傾向がある)。いくつかの態様において、これらの材料から形成されるフィルムの厚さは、50μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満、4μm未満、1μm未満とすることができる。いくぶん剛性の高い材料(ポリイミド、PET、PENなど)およびいくぶん軟質である材料(例えば、シリコーン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、など)の複合材料を使用して、基材の全体的構造剛性と形状適合能力との間の妥協を図ることができる。
【0142】
いくつかの態様において、パターン形成されたオーバーコートおよび/または複合材層も、測定領域の付近の周辺組織などに電極材料および/または感知先端部を曝すために使用され得る。
【0143】
いくつかの態様において、本開示による基材は、絹材料から形成することができる(例えば、カイコガ(Bombyx mori)の繭)。この材料は、当技術分野で知られている方法を使用してセリシイン(望ましくない免疫応答を引き起こし得る)を取り除くように処理され得る。結果として得られる材料は、形状に合わせて溶媒キャストされ、結晶化されて自立構造を形成することができる。
【0144】
いくつかの態様において、適応温度推定が、RFアブレーション過程をより適切に制御するために使用され得る。このような技術は、温度および/または生体インピーダンス監視態様により構成された1つまたは複数の感知先端部を含む、本開示による手術道具の使用によってサポートされ得る。局所生体インピーダンスの変化のモデリングは、アブレーション過程における局所温度変化に関係しているものとしてよい。そのような測定、さらには局所熱伝導特性、組織熱伝導なども、局所アブレーション過程が生じ得る速度(すなわち、熱アブレーション過程に関係するような)に影響を及ぼし得る。
【0145】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の神経活動および/または関係する生理学的活動を監視するため1つまたは複数のマイクロセンサーを備えることができる。好適な監視技術のいくつかの非限定的な例として、筋電図検査法(EMG)、筋交感神経活動(MSNA)、筋音図法(MMG)、筋音描写法(PMG)、細胞外電位、局所電場電位、これらの組み合わせ、および同様のものが挙げられる。筋音図法(MMG)では、関連する神経活動によって引き起こされた局所筋肉収縮によって生み出される力を測定する。筋音描写法(PMG)では、関連する神経活動によって生じた移動に関連する低周波音を測定する。従来から、MMGおよびPMGなどの技術は、外部からアクセス可能な神経および筋肉組織に対して使用されてきた。このような技術の一利点は、EMGほどには局所電気的雑音の影響を受けやすくなく、神経活動の効果は、一般的に、筋電図法に比べて関連する神経から遠いところで感知され得る。
【0146】
代替的に、それに加えて、または組み合わせて、当該感知技術を本開示による局所源からの刺激と組み合わせることができる。このような刺激および感知は、複雑な生物学的に生じる神経活動に常に注意を払っていなくても局所神経の機能性を判定することができ有利であり得る。さらに、組み合わされた刺激および感知は、除神経および/またはアブレーション手技を行う時にリアルタイムで局所神経の機能性を判定するために有利な場合がある(例えば、連続する刺激および感知を使用して、それらの間の神経遮断および/または神経筋遮断の程度を判定することができる)。いくつかの態様において、このような機能性、さらには神経信号伝搬の指向性(例えば、遠心性、求心性、など)は、組み合わされた局所刺激および感知の使用を通じてより容易に判定され得る。
【0147】
いくつかの態様において、神経刺激の1つまたは複数のパターンが、局所神経構造の機能、さらには外科手術(例えば、アブレーション)、麻酔、加熱、化学薬品送達、関係する状態、などによって引き起こされ得る神経遮断および/または神経筋遮断の1つまたは複数の態様を決定するために使用され得る。
【0148】
いくつかの態様において、単一の刺激を印加して、10Hz未満、1Hz未満、0.1Hz未満の周波数の関連する神経からの最大応答を誘発することができる。説明されている技術はどれかによって測定されるような下流応答は、印加される刺激の周波数に依存する。いくつかの態様において、刺激の間の神経の完全な回復を可能にするために、0.1Hz以下の周波数が有利な場合がある。
【0149】
関連する神経構造のRFアブレーションにおいて、誘発電気および/または筋応答は、劇的な影響を受け得る。応答のそのような変化は、除神経手技の状態を判定するのに役立ち得る。したがって、これらは、外科手術に望ましいような十分な除神経を引き起こすために所定の構造に対して印加されなければならないRFエネルギーの正確な程度を判定するのに有利であり得る。そのようなアプローチは、除神経手技によって引き起こされる周辺組織への損傷を制限すること、好適な除神経が達成されていることを確実にすること、この手技による影響を受ける神経を判定すること、除神経手技の程度を制御することなどに有利な場合がある。
【0150】
神経応答の刺激および感知の別の技術として、高速連続パルスを印加し、その後不活動の期間を続けることが挙げられる。パルス列は、神経を徐々に遮断状態にするために使用され得る。神経が遮断状態に入り、後でそこから回復する速度は、神経の全体的な健康状態および機能性の好適な指標(すなわち、手技がその神経にどのような影響を及ぼしたかを判定するための好適な計量)となり得る。
【0151】
いくつかの態様において、神経応答の感知は、手術部位に対して局所的である必要はないが、むしろ、手術部位から下流にある必要があり得る(関連する神経信号の流れの意味で)。神経応答のそのような感知は、手術部位を通り過ぎる特定の形態の連通(すなわち、求心性、遠心性の連絡など)の進行を判定するために有利な場合がある。
【0152】
いくつかの態様において、さまざまなマッピング技術を、外科手術を行う前、適宜行っている間、および/または行った後に手術部位に施すことができる。心臓インターベンションで使用されるようないくつかのマッピング技術は、ペース・マッピング、興奮マッピング、エントレインメント・マッピング、およびサブストレート・マッピングを含む。このような技術を意図された用途および/または本開示によるシステムで使用するように適応させることが実現可能であるものとしてよい。一般的に、これらの技術は、手術部位のうちでアブレーション手技の対象にする場所を局在化する際に互いに補完し合うものとしてよい。
【0153】
本明細書で説明されている態様に加えて、または組み合わせて、外科システムは、手術部位から遠い身体の1つまたは複数の位置で1つまたは複数の生理学的パラメータを監視するように構成され得る。監視され得るもののいくつかの非制限的な例として、水濃度、緊張、局部組織の血液酸素飽和度、誘発電位、神経活動の刺激/感知、筋電図、温度、血圧、血管拡張、血管壁剛性、筋交感神経活動(MSNA)、中枢交感神経衝動(例えば、1分当たりのバースト、心拍毎のバースト、など)、組織緊張、血流(例えば、動脈を通る、腎動脈を通る)、血流差分信号(例えば、身体、血管、臓器などの構造内の血流の著しい異常および/または急変)、血液灌流(例えば、臓器、目などへの)、血液検体レベル(例えば、ホルモン濃度、ノルエピネフリン、カテコールアミン、レピン、アンギオテンシンII、イオン濃度、水位、酸素レベルなど)、神経連絡(例えば、腓骨神経、腹腔神経節、上腸間膜神経節、大動脈腎動脈神経節、腎神経節、および/または関係する神経系の構造内の節後神経連絡)、これらの組み合わせ、および同様のものが挙げられる。
【0154】
いくつかの態様において、本開示による外科システムは、腺、内分泌腺(例えば、副腎、副腎髄質など)の1つまたは複数の部分の中および/または近く、中枢神経系内の部位などで、生理学的活動および/または検体レベル(例えば、ホルモン・レベル)を監視するための1つまたは複数の要素を備えることができる。
【0155】
いくつかの態様において、マルチツール外科システムを使用することができ、それぞれのカテーテルは本開示によるものである。非限定的な一例において、1つまたは複数の第1の道具は、第1の手術部位(例えば、臓器、膀胱、腸、膣、子宮、第1の神経構造、神経叢など)の組織をプローブで調べ、および/またはアブレーションを行うために使用され得るが、1つまたは複数の第2の道具は、体内の別の場所(例えば、動脈、静脈の場所、さらに第1の神経構造に沿った場所、臓器内の場所、リンパ節の場所、神経節の場所など)で1つまたは複数の生理学的パラメータを監視し、おそらくそれらに対する外科手術の効果を判定するように構成され得る。非限定的な一例において、道具は、体内への同じ、または近くに位置する入口点(例えば、体の開口部、尿道、膣、直腸、1つまたは複数の経皮的入口点など)に挿入され得る。そのような構成は、外科手術(例えば、交感神経切除、腎臓交感神経切除、神経調節手技など)を行うための低侵襲性の手術道具を実現するのに有利な場合がある。
【0156】
デバイス、道具、カテーテル、および方法を用いて、隣接する構造物への付随損傷を実質的に最小限にしながら、神経機能を調節(一時的におよび/または永久的に)するためのシステムおよび方法に関係するいくつかのさらなる態様について次に説明する。アブレーションに対する参照は、組織に対する一般的な外科手術(切断、加熱、冷却、切除、化学薬品送達など)を指すものとみなされ得る。
【0157】
本明細書において、電極、センサーなどに対する一般的な参照は、本開示による感知先端部に等しく関係するものとしてよい。
【0158】
本開示による手術道具は、電極のアレイを備えることができる。電極のアレイは、局部組織と緊密に接触するために使用され、これにより、アブレーション部位を選択する、アブレーションの成功を確認する、局所神経活動を感知する、刺激する、感知するなどを行うことができる。
【0159】
アレイ内の電極は、関係する外科手術またはアブレーション過程を行う前、行っている間、および/または行った後に局部組織を刺激し、感知し、および/またはアブレーションを施し、および/または神経活動を監視するために使用され得る。
【0160】
いくつかの態様において、本開示による道具は、本開示によるスイッチ・アレイを備え、適宜、1つまたは複数の電極が刺激、アブレーション、および/または感知を行う構成をとるような増幅器を備えることができる。道具は、1つまたは複数の電極の間の生体インピーダンスを監視するための電子回路を備えることができる(すなわち、意図された解剖学的構造に対して道具が適切に付勢されたときにそのことを判定するなどのため)。
【0161】
いくつかの態様において、道具は、感知された神経活動の変化が検出されたときにアブレーション信号を自動的に終了させるための電子回路を備えることができる。非限定的な一例において、脈動刺激は、おそらくアブレーション過程においておよび/またはアブレーション・パルスの間に、アブレーション・ゾーンの一方の側に印加される(および/またはおそらくアブレーション・パルスに混ぜられる)。アブレーション手技を行う前、行っている間、および/または行った後に神経応答を監視するために別の電極がアブレーション・ゾーンの対向側に留置され得る。
【0162】
いくつかの態様において、アレイ内の1つまたは複数の電極は、特定の機能を備え、局部組織を感知し、刺激し、および/またはアブレーションを施すように事前に構成され得る。
【0163】
アレイ内の1つまたは複数の電極は、単極電極または双極電極対の部分であるものとしてよい。一例において、2つまたはそれ以上の電極は、対、多極相互接続部などに配置構成され得る。
【0164】
いくつかの態様において、電極は、道具の面から突き出るように構成され得る(例えば、エンボス、メッキ、フィラメント、マット形態、マイクロファイバー構造物の利用などにより)。いくつかの態様において、微小電極のうちの1つまたは複数は、手技を行う時に組織の方へ道具のいくつかの接触する態様をより良好に付勢するようにエンボス加工され得る。これは、それぞれの電極が適切な圧力を隣接する組織に印加することを確実にし、および/または複数の電極との組織接触の可能性を改善するのに有利な場合がある。
【0165】
外科手術を行う前、行っている間、および/または行った後の神経機能低下の機能性、指向性、配置、および/または程度を判定するための方法は、体内の臓器(例えば、膀胱、腸、子宮、腺など)の近位および/または遠位位置に配置されている1つまたは複数の神経を刺激することと、刺激の位置の遠位および/または近位の位置における誘発応答を監視することと、外科手術を行っている間および/または行った後に誘発応答に関係する信号品質、スペクトル成分など、および/または誘発応答の変化を評価することとを含み得る。方法の1つまたは複数のステップは、それぞれ本開示により1つまたは複数の手術道具で実行され得る。
【0166】
いくつかの態様において、本開示による方法の1つまたは複数は、1つまたは複数のパルス列で刺激位置(例えば、神経、組織部位など)を刺激することを含み、パルス列は手術部位の近位および/または遠位の1つまたは複数の位置における所定のスペクトル成分を有する1つまたは複数のパルス(例えば、10Hz、50Hz、100Hz、500Hzなどを中心とするパルス)を含むことができる。
【0167】
パルス列は、刺激位置(例えば、神経構造、組織部位など)に局所的に印加されるものとしてよく、その振幅は一般的に、1.5×最大振幅複合活動電位(CAP)を得るのに必要な電圧であり、そのパルス持続時間は一般的に0.05から0.5msの範囲内であり、その時間間隔は2ms(500Hzの間隔に対して)から100ms(10Hzの間隔に対して)の間である。パルス列は、1つまたは複数のそのようなパルスを含み、これのパルスはおそらくパルスの印加にわたって交互のタイミングで等間隔に並ぶものとしてよい(注目する周波数範囲をより良好に走査するため)。対応する神経応答は、血管上の、または体内の別の位置で監視され得る。そのような応答は、一般的に500から5000の利得で、および一般的に0.1Hzから10kHzの周波数帯にわたって監視され得る。この構成は、刺激位置と監視位置とを接続する神経構造の全体的な健康および/または能力を評価するために使用され得る。
【0168】
外科手術において、神経構造への機能的変化の早期指標は、感知された信号の特性の変化(例えば、潜時、振幅、伝導速度、スペクトル成分などの変化)を監視することによって判定することができる。いくつかの態様において、アブレーション・パルスが、刺激性位置と監視位置との間の神経に印加され得る。感知された信号の特性の変化(例えば、そこからの高周波成分の減少、潜時の変化、振幅の変化など)は、パルスがそれらの間の神経構造に適切に印加されていることを示す早期指標であるものとしてよい。それに加えて、追加のパルスが印加され、アブレーション手技を行うなどのときに、機能変化の十分な状態に至る神経応答を観察するために応答が監視され得る。
【0169】
監視は、外科手術の直後のフォローアップにおいて、および/またはより長い期間(例えば、数時間、数日、数週間など)にわたって継続することができる。そのようなフォローアップは、外科的介入の長さを判定し、および/または予測するために使用され得る。そのようなフォローアップは、本開示による埋め込み型デバイスで行われ得る。
【0170】
いくつかの態様において、本明細書で開示されている技術のうちの1つまたは複数を使用して、注目する特定の神経を識別し、または正しい神経が外科手術で治療されていることを確実にすることができる(さらには、治療の程度が許容範囲内であることを確実にすることができる)。そのような識別は、感知された神経上の神経活動のレベルを監視して、それらのレベルが基準を外れているかどうかを(すなわち、体内の他の部位、患者母集団に対する活動測定基準、またはそのサブセットなどと比較して)判定することを伴い得る。
【0171】
外科手術の後のフォローアップ・スケジュールを作成するための方法は、外科手術の後の一定期間(例えば、数時間、数日、数週間など)にわたってその部位の神経活動を監視することと、その期間にわたるその変化に関係する測定基準を形成する神経活動の動向を調べることと、そこから再発データ(例えば、再発の確率、再発の時間枠など)を予測することと、再発データに応じてフォローアップ・スケジュールを生成することとを伴い得る。
【0172】
膀胱の壁上の注目する神経を探索するための方法は、遠位および/または近位神経活動を監視しながら膀胱の壁に点圧力を印加することを含み得る(例えば、関連する神経叢、仙骨神経などに沿っての、監視、および/または点圧力プローブのいずれかの側の刺激および感知)。観察される信号の変化は、印加された点圧力による圧力誘発神経遮断および/または知覚神経のトリガーを示し得る(すなわち、したがって調査している神経解剖学的構造の位置を識別する)。
【0173】
この方法は、滑らかな突き出ているプローブで臓器壁(例えば、膀胱壁)の1つまたは複数の領域を探り、プローブと組織との間の界面の圧力を高めることを含み得る。プローブは、アブレーション電極と組み合わせることができる(したがって、圧力印加とアブレーション・ゾーンの共通の場所を提供する)。複数のプローブを一緒に使用して、アブレーションを、神経または神経束の長さに沿って、臓器壁の伸長領域にわたって、などの位置で施すことができる。複数のプローブを含む態様において、1つまたは複数のプローブを表面上に相対的に留置して、それらの間を流れるアブレーション電流を最適化することができる。
【0174】
神経圧迫症候群に関係する、急性の神経圧迫の調査の結果、40mmHgを超える急な横方向圧力の印加による神経機能のある程度の喪失、および50mmHgを超える圧力印加でのすべての神経機能の喪失が示された。他の調査結果から、拡張期血圧より30mmHgほど低い圧力が印加され、平均動脈血圧より45mmHg低い圧力が神経に印加されたときに横方向の圧迫の下で機能遮断が生じることがわかっている。したがって、システムの1つまたは複数の構成要素(例えば、プローブ、マイクロフィンガー、知覚先端部、電極素子、点圧力印加装置など)は、本明細書で説明されているように神経機能、位置などを評価するために手技を行う時にこれらの範囲より高い、および/または低い圧力変動をもたらし得る。
【0175】
いくつかの態様において、点圧力印加装置は、試験部位に振動圧力を操作可能に加えること、脈動圧力印加をプローブのアレイと同期させること、などを実行し、アブレーション手技のためのプローブの対またはアレイの向きをより適切に決めるように構成され得る。
【0176】
いくつかの態様において、本開示によるフック状の道具(例えば、1つまたは複数の感知先端部がその上に載る、電極素子として構成される、などの)を使用して、標的解剖学的構造と一貫して、また制御して接触させることができる(単純な道具で解剖学的構造の広い表面にアクセスするため)。内面に向けて形作られた組織界面を有する柔らかいフック状の構造物(電極アレイ、感知先端部など)は、外科手術のときに重要な解剖学的構造とデリケートな接触をさせるために使用され得る。フックは、外科手術を行っている間および/または終了時に解剖学的構造物(例えば、臓器壁など)から簡単に取り外せるように、および/またはそれに沿って位置補正できるように、クイック・リリース(例えば、機械式クイック・リリース、電気活性材料のクイック・リリースなど)、または生分解性構造物などを備えることができる。
【0177】
本開示による感知先端部は、関連する外科手術を行っている間に隣接する組織を感知し、および/または接触することを可能にするようにフックに取り付けられ得る。
【0178】
いくつかの態様において、標的臓器の壁上の注目する神経を探索するための方法は、遠位および/または近位神経活動を監視しながら血管の壁に点圧力を印加することを含み得る(例えば、監視、および/または点圧力プローブのいずれかの側の刺激および感知)。観察される信号の変化は、印加された点圧力による圧力誘発神経遮断を示し得る(すなわち、したがって注目している神経解剖学的構造の位置を識別する)。
【0179】
いくつかの態様において、この方法は、隣接する壁上の平坦で滑らかな受け板(例えば、平坦な柔らかい表面など)および突き出ているプローブで血管を締め付けて、プローブと組織との間のインターフェースに圧力を高めることを含み得る。プローブは、アブレーション電極と組み合わせることができる(したがって、圧力印加とアブレーション・ゾーンの共通の場所を提供する)。複数のプローブを一緒に使用して、アブレーションを、神経または神経束の長さに沿って施すことができる。複数のプローブがある場合、プローブを表面上に相対的に留置してそれらの間を流れるアブレーション電流を最適化することができる。
【0180】
神経圧迫症候群に関係する、急性の神経圧迫の調査の結果、40mmHgを超える急な横方向圧力の印加による神経機能のある程度の喪失、および50mmHgを超える圧力印加でのすべての神経機能の喪失が示された。他の調査結果から、拡張期血圧より30mmHgほど低い圧力が印加され、平均動脈血圧より45mmHg低い圧力が神経に印加されたときに横方向の圧迫の下で機能遮断が生じることがわかっている。したがって、システムの1つまたは複数の構成要素(例えば、感知先端部、バルーン面、電極素子、点圧力印加装置など)は、注目している印加について本明細書で説明されているように神経機能、位置などを評価するためにこれらの範囲より高い、および/または低い圧力変動をもたらし得る。
【0181】
点圧力印加装置は、試験部位に振動圧力を操作可能に加えること、脈動圧力印加をプローブのアレイと同期させること、などを実行し、アブレーション手技のためのプローブの対またはアレイの向きをより適切に決めるように構成され得る。
【0182】
いくつかの態様において、1つまたは複数の外科手術要素(例えば、バルーン、マイクロフィンガー、点圧力印加装置など)と隣接する組織との間の付勢力は、生体インピーダンス測定、界面圧力センサー、微小パルス酸素濃度計ベースの測定、流量および/または局所灌流測定、光学式感知先端部、これらの組み合わせ、および同様のものを介したフィードバックを含むさまざまな手段によって制御され得る。機械的圧迫(神経圧迫)を介した信号抑制を引き起こすなどのさまざまな理由から力の印加を制御すること、関連する手技を行う時に一時的神経遮断を課すこと、手術部位の選択時に基礎の神経活動をマスクすること、関連するアブレーションおよび/または監視手技を実施するために1つまたは複数の接触圧力および/またはインピーダンスを制御することが望ましい場合がある。
【0183】
いくつかの態様において、本開示による手術道具は、電極内および電極の周辺の部位で真空を印加するための手段を備えることができる。そのような真空発生部を取り付けることで、手術時に隣接する組織表面と電極との間で非常に高いが穏やかな接触を実現することができる。
【0184】
いくつかの態様において、本開示による柔らかい軟質構造は、表面強化および/またはウィッキング機能(親水性材料、多孔質材料など)と併せて使用することで、標的組織表面から流体を引き出し、その結果生じる毛管力および表面張力を使用して、神経血管の監視に適した道具と組織との間のぴったりした密着した接触を形成することができる。これは、長期間留置するためのオプションであるものとしてよい(例えば、フォローアップなどのための手術の際に埋め込み型の構成要素の留置)。柔軟性を有する構造内に組み込まれる絹構造物は、素早く溶解し得る第1の層および数時間、数日、数週間などを経て溶解してゆくことができる第2の層とを適宜用いて、この機能性を実現するのに適している場合がある。
【0185】
いくつかの態様において、柔軟性を有する構造物には、薬剤を入れることができる(例えば、神経遮断薬、麻酔剤、リドカイン、エピネフリン、ステロイド、コルチコステロイド、オピオイド、アルコール、フェノールなど)。いくつかの態様において、柔軟性を有する構造物は、薬剤が束縛される薬剤放出構造(すなわち、ヒドロゲル構造)を備えることができ、数分、数時間、数日、数週間などを経て周辺組織内に放出され得る。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、ラジカル・ベースの架橋化学作用、クリック架橋化学作用などから形成され得る。
【0186】
いくつかの態様において、本開示による手術道具は、注目する組織内に薬剤のボーラスを送達するように構成され得る。いくつかの態様において、ボーラスは、ヒドロゲルプレポリマー内に収納することができ、手術道具は放出した後に適所にヒドロゲルプレポリマーを重合して、長期間(すなわち、数時間、数日、数週間、数カ月間など)にわたって薬剤が周辺組織に浸出し得る徐放構造を形成するための手段を備える。いくつかの態様において、ヒドロゲルは、被験者の体内に留置された後、時間をかけてヒドロゲルの破壊を可能にするように構成された生分解性連鎖を備えることができる。
【0187】
いくつかの態様において、この構造物は、薄い分解性支持構造を備えることができる。支持構造は、臓器壁の傍らに留置され、湿潤して、残りの構造が下方に落ち、および/または他の何らかの形で臓器壁と接触することを行わせるように液体(生理食塩水)の存在下で素早く溶解する分解性を有するものとしてよい。
【0188】
いくつかの態様において、システムは、接触する側、すなわち、隣接する解剖学的構造と接触し得る側に位置決めされた1つまたは複数の感知先端部(例えば、緊張測定、光学的装備、電極など)を備えることができる。
【0189】
そのような柔らかい構成は、過剰な圧力を印加することなく、血管の表面の輪郭を密着してなぞる、血管表面との信頼できる、それでも穏やかな接触を確立するために役立ち得る。密着しているが柔らかい接触は、信号伝送に機械的に干渉することなく高感度神経信号を読み取るのに有利な場合がある。
【0190】
本開示による手術道具は、外科手術を行う時に隣接する組織構造と確実に接触させるための道具表面から延在する1つまたは複数のウィスカーを備えることができる。ウィスカーは、電極などの感知先端部、および同様のものを備えることができる。それに加えて、代替的に、または組み合わせて、本開示による感知先端部は、手術時に隣接する組織と接触するためのウィスカーを備えることができる。
【0191】
いくつかの態様において、隣接する神経束内へのウィスカー侵入を使用して、より密着した接触をもたらし、さらには他の巨視的信号干渉などからの電極の絶縁を高めることができる。
【0192】
いくつかの態様において、ウィスカーは、マイクロファイバー、ナノファイバー、マイクロニードル、ナノニードルなどから形成することができる。一態様では、1つまたは複数のウィスカーは、カーボン構造、例えば、カーボン・ファイバー、カーボン・ナノチューブなどから形成することができる。いくつかの態様において、ウィスカーは、その長さの一部に沿って絶縁され、その上の先端部のところで電気的に露出された領域を有することができる。
【0193】
いくつかの態様において、ウィスカーのうちの1つまたは複数は、実質的に中空であり、本開示による薬剤を貯蔵すること、本開示による薬剤の送達のための手段を実現すること、または同様のことを行うように構成され得る。
【0194】
いくつかの態様において、外科手術の際に手術部位を監視するための境界法を使用することができる。このアプローチでは、複数のセンサー先端部を組織表面上の手術領域の周上で接触するように配置構成され、これにより、表面に沿っていくつかの位置で測定された電気生理学的信号が、境界内の組織の状態を判定するために使用され得る。説明のために、境界は、注目する管状臓器に適用される際に、効果的に血管の遠位端および近位端、または手術領域の端部であるものとしてよい。
【0195】
いくつかの態様において、視覚的検出アプローチが、本開示による内視鏡アプローチのどれかと組み合わせて、またはそれに加えて使用され得る。いくつかの態様において、視覚的評価を使用して、外科手術を少なくとも部分的に誘導することができる。フィードバックは、血管構造をわかりやすく視覚化すること、標的臓器(例えば、膀胱、子宮など)上の標的解剖学的構造(例えば、神経、神経束など)の識別、おそらく、標的解剖学的構造への道具の留置、などのために、手術道具とともに使用される、可視光線、近赤外線、赤外線分光、または類似のカメラ・システムの形態で行われ得る。
【0196】
いくつかの態様において、バックライト付き血管照明システムが、解剖学的構造を可視化すること、標的解剖学的構造を特定すること、などを支援するために使用され得る。
【0197】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、特徴強調媒体を備え、これにより標的組織の種を強調表示する(例えば、神経組織などを強調表示する)ことができる。この媒体は、意図された標的組織上の表面受容体と選択的に結合する分子結合種を含み、おそらく過程内の1つまたは複数の視覚的(色)特性を変化させ、および/または視覚的マーキング部分を含み得る。好適な分子結合種のいくつかの非限定的な例は、ペプチドとアプタマーである。好適なペプチドおよびアプタマーは、標的組織(例えば、神経組織、脂肪など)について選択され、当技術分野で知られているとおりに選択され得る。
【0198】
標的細胞について選択された分子結合種を含めることは、外科手術の際の解剖学的可視化を支援するのに有利な場合がある。分子結合種は送達賦形剤中に懸濁されて提供され、これにより手術時に標的組織に都合よく送達され得る。送達賦形剤は、標的組織に都合よく送達され得るゲル材料、1部の硬化ゲル、エラストマーなどであってよい。完全硬化可能な賦形剤は、外科手術および/または目的の過程が完了した後に身体からその媒体を完全に取り除くための簡易な方法を提供するのに有利な場合がある。
【0199】
分子結合種は、その可視性を改善するように構成された視覚的マーキング部分を備えることができる。したがって、分子結合種は、標的組織部位(例えば、神経組織など)に結合することができ、適切な可視化システムによる可視化のために視覚的マーキング部分によって強調され得る。視覚的マーキング部分の非限定的ないくつかの例として、5−カルボキシ・フルオレセイン、フルオレセイン−5−イソチオシアネート、6−カルボキシ・フルオレセイン、テトラメチルローダミン−6−イソチオシアネート、5−カルボキシテトラメチルローダミン、5−カルボキシ・ロードール誘導体、テトラメチルおよびテトラエチル・ローダミン、ジフェニルジメチルおよびジフェニルジエチル・ローダミン、ジナフチル・ローダミン、ローダミン101塩化スルホニル、Cy3、Cy3B、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、Cy7、インドシアニン・グリーン、IR800CW、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0200】
この可視化アプローチは、外科手術(腎臓交感神経切除など)に対する重要な組織を識別するのに有利な場合がある。手術後の外科送達および完全な除去に適した形態で材料を用意することによって、結果として得られるシステムは、材料の全身投与を必要とするアプローチに比べて安全であると言える。
【0201】
本開示によるシステムは、フォローアップを目的とする外科手術に続き体内に残されるように構成された、埋め込み型の道具を含み得る。
【0202】
いくつかの態様において、埋め込み型の道具は、隣接する組織と接触する界面となる1つまたは複数の感知先端部(すなわち、MMGセンサー、電極など)を備えることができる。
【0203】
いくつかの態様において、埋め込み型の道具は、道具を身体の外側に機械的に接続するように構成された、引きひもを備えることができる。監視期間の完了後に、引きひもを使用して、身体から埋め込み型の道具を引き抜くことができる。したがって、埋め込み型の道具は、外科手術後数日、数週間から数カ月ほどフォローアップ監視を行い得るが、それでも、外来患者環境では患者から取り除くことができる。
【0204】
埋め込み型の道具は、監視されている信号または生成された信号を身体の外部にあるモニターに通信するための通信回路を備えることができる。そのようなシステムは、神経機能(例えば、電気生理学的信号、神経活動、EMGなど)を監視して、望ましくない信号または神経学的挙動が外科手術の後に戻っているかどうかを判定するために使用され得る。したがって、埋め込み型の道具は、外科手術後数日、数週間から数カ月ほどフォローアップ監視を行い得るが、それでも、外来患者環境では患者から取り除くことができる。
【0205】
埋め込み型の道具は、手術後の部位を監視して、機能的変化がいつまでも、短期間だけ、などの時間にわたって続くかどうかを判定するために使用され得る。そのような道具は、フォローアップ、患者転帰の予後予測などのスケジュールに役立ち得る。
【0206】
いくつかの態様において、外科システムは、血管造影染料送達、生理食塩水送達、温度監視、デバイス間の体内および体外調整、壁撮像の使用、壁電流の流れの使用、局部組織冷却用の生理食塩水供給具、関連する撮像システムによる識別のための放射線不透過性マーカー、光干渉断層撮影(OCT)機能、および同様のものを含む他の機能性を備えることができる。
【0207】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、臓器壁のさまざまな電気生理学的態様をマッピングするように構成され得る。いくつかの態様において、システムは、異常な神経活動を識別するように構成され、したがって、疾病状態を治療するため(例えば、過活動膀胱を治療するため)膀胱内の神経(知覚神経、求心性神経、遠心性神経など)の選択的交感神経切除を行う手段を備えることができる。
【0208】
システムは、神経に関するフィードバックを、手術部位の局所で、および/または遠位で監視し、本開示による適切な除神経のフィードバックのための1つまたは複数の手段を備えることができる。
【0209】
いくつかの態様において、システムは、衝動(すなわち、排尿する必要があるという感覚)ベースのフィードバックを監視すること、膀胱充満の能力として信号活動を監視すること、および同様のことを関連する手術を行う前、行っている間、および/または行った後に行うための手段を備えることができる。そのような監視は、システムの1つまたは複数の特徴の影響を受け得る(例えば、手術時の膀胱との流体交換によって制御される、手術時に膀胱内でバルーンを膨らませることによって制御される、などのように)。
【0210】
いくつかの態様において、システムは、外科手術および/または関連する衝動ベースのフィードバック調査(例えば、尿流動態調査、バルーン膨張手技など)を行う前、行っている間、および/または行った後に、感覚、疼痛、膨満感などに関係する患者フィードバックを取り込み、および/または監視するための手段を備えることができる。そのような手段は、手術時に被験者のビデオ監視を行うこと、膀胱の付近の1つまたは複数の神経、仙骨神経、筋肉のEMG(すなわち、排尿筋収縮、痙攣など)を監視すること、被験者からのフィードバックを音で要求すること、これらの組み合わせ、または手術時の同様の作業を含み得る。このようなフィードバックは、関連する手術の完全性/有効性を判定するための代理または補足証拠として使用され得る。
【0211】
いくつかの態様において、本開示による方法は、被験者の疾病状態の検査および/または診断を行う(例えば、過活動膀胱を診断する)ために使用され得る。この方法は、本開示によるシステム、デバイス、および/または手術道具の一部を被験者の膀胱内に留置することと、デバイスの1つまたは複数の特徴を膀胱の壁に対して付勢することと、本開示によりデバイスの特徴(例えば、感知先端部、マイクロフィンガー、プローブなど)からのフィードバックを取得して局所神経活動を評価することと、適宜、付勢を変化させ、それへの神経応答の1つまたは複数の態様を監視してそれらの間の関係を確立することと、そのフィードバックおよび/または応答を母集団統計量(例えば、平均応答、中央値応答)、および/または母集団ベースのモデルと比較して挙動が正常であるかどうかを判定することとを含む。そのような情報は、疾病状態の診断に関連する情報を直接与えることができる。さらに、システムは、本開示により同じ介入手順において診断の直後に疾病状態を治療するための態様を備えることができる。
【0212】
それに加えて、代替的に、または組み合わせて、システムは、臓器壁に沿って(例えば、膀胱壁に沿って)腫瘍および/または病変を検出し、本開示に従って疑わしい腫瘍および/または病変の切開および/またはアブレーションを行うための本開示による1つまたは複数の態様を備えることができる。そのような手段は、緊張監視の態様、関連するカメラ・システム、それにより変えられた電気生理学的活動などからの視覚的フィードバックを含み得る。
【0213】
本開示によるシステムは、引き込み口(例えば、尿道、膣、など)を介して、中空の臓器(例えば、膀胱、子宮、など)の中に入るように構成された、送達システム(例えば、低侵襲性カテーテル、チューブ状送達システム、など)を含むことができる。カテーテルは、本開示による1つまたは複数の感知先端部、プローブ、および/またはマイクロフィンガーを備え、および/または接触するものとしてよい。
【0214】
送達システムは、引き込み口にぴったり入り、関連する臓器と接触するように10mm未満、6mm未満、4mm未満、2mm未満の直径を有する送達カテーテルを備えることができる。
【0215】
いくつかの態様において、送達システムは、外科手術時に体内の適所に送達システムを保持し、位置合わせし、および/または他の何らかの形で保つように構成された1つまたは複数の特徴を備えることができる。そのような特徴のいくつかの非限定的な例として、1つまたは複数のアンカー、マルコー翼端(Malecot wing tip)、Jステント、バスケット特徴部、DePezzerマッシュルーム形先端部(DePezzer mushroom tip)、フォーリーバルーン、位置合わせマーキング、トレランス線、コントラスト・マーキング、エンボス加工インジケータ、これらの組み合わせ、および同様のものが挙げられる。
【0216】
いくつかの態様において、送達システムは、外科手術時に関連する膀胱への尿道口に送達システムを位置合わせし、固定するように構成された、1つ複数のバルーンを備えることができる。
【0217】
いくつかの態様において、送達システムは、それぞれ本開示による1つまたは複数のマイクロフィンガー、バルーン、メッシュ、これらの組み合わせ、または同様のものを備えるものとしてよい。
【0218】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、バルーンがその遠位端の方へ(例えば、体内に挿入される端部の方へ)取り付けられている単一の、またはマルチルーメン・シースを備えることができる。バルーンは、外側表面の周りに配置構成される本開示による複数の電気素子および/または感知先端部を有することができる。いくつかの態様において、バルーンは、それに埋め込まれている電気素子を膀胱壁に対して付勢し、および/または手術時に膀胱を効果的に充填するように膨張可能であるものとしてよい。
【0219】
いくつかの態様において、道具、バルーンなどに含まれる1つまたは複数の電気素子は、制御ユニットと相互接続され、フィードバック(例えば、生体信号感知、剛性感知など)、および/または作動(例えば、アブレーション、移動、など)の機能の組み合わせ、または同様のものを実現することができる。
【0220】
いくつかの態様において、本開示により臓器(すなわち、膀胱)の監視、電気生理学的マッピング、および/または電気的なペーシングを行うためのシステムは、手術を行う前、行っている間、および/または行った後に臓器壁、および/または入口(すなわち、尿道)と接触するための本開示による1つまたは複数の感知先端部を備える。いくつかの態様において、感知先端部は、それぞれ本開示によるマイクロセンサー電極、電極ストリップ、筋音図センサー、剛性センサー、インピーダンス・センサー、これらの組み合わせ、または同様のものを備えることができる。
【0221】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部/電極は、刺激および/または治療(例えば、RFアブレーション、マイクロ波アブレーション、など)を臓器内の1つまたは複数の組織部位、および/または入口に施すように構成され得る。いくつかの態様において、局所アブレーション、ストリップ・アブレーションを行うこと、臓器壁の特殊な形状の領域のアブレーションを行うこと、臓器壁の任意にプログラム可能な領域のアブレーションを行うことに適した配置構成とすることができる(すなわち、フィードバック監視、検査手順、などを介して必要と判定されたときに)。そのようなアブレーションは、センサーからのフィードバックに基づき、および/またはそれを用いて詳しく調べられ、および/または完了することができる。
【0222】
いくつかの態様において、アブレーション手技を行う前、行っている間、および/または行った後に、手術の間に形成し得る損傷、炭化物などを最小限にするように流体の局所的な流れを設けることができる。
【0223】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、入口内に、臓器内に、臓器の付近に、隣接する臓器内に留置する構成および寸法を有する対向電極(すなわち、膣内に、または直腸内に留置された対向電極など)を備えることができる。いくつかの態様において、対向電極は、本開示による手技の一部として、RFアブレーション手技を円滑にする際に使用する対向電極として、これらの組み合わせで、または同様のものとして電気生理学的活動を監視するため基準電極として構成され得る。
【0224】
いくつかの態様において、1つまたは複数のRFアブレーション電流を本開示によるシステム内に備えられている2つまたはそれ以上の電極の間に導くことができる。したがって、局所的な、プログラム可能な電流パッチが、体内の局部組織部位と通信する電極間に構成され得る。電流の流れについて選択される電極は、フィードバック、異常な電気生理学的活動(すなわち、標的臓器に沿った1つまたは複数の部位などにおける)の判定に基づき選択され得る。そのような構成は、病変組織の領域、標的治療部位などへの治療電流の送達を制限するのに有利な場合がある。
【0225】
いくつかの態様において、追加の電極は、体内の、または身体上の離れた部位に留置され、これにより、追加の監視経路、または手術時の治療の電流の流れの経路が円滑にされ得る。
【0226】
本開示による過活動および/または不規則組織挙動(すなわち、異常な生理学的および/または電気生理学的活動)について体内の1つまたは複数の解剖学的部位を走査するための方法は、1つまたは複数の電極素子を臓器(すなわち、膀胱、子宮、など)の壁の方へ付勢することと、その電気生理学的活動を評価することとを含み得る。いくつかの態様において、この方法は、電気生理学的活動が異常(すなわち、過活動、不規則、刺激に過剰に敏感、など)かどうかを判定することを含み得る。いくつかの態様において、この方法は、マークを付けること(すなわち、将来参照できるように識別特徴でマークすることなど)、治療すること(すなわち、本開示による方法で組織を治療すること)、評価で使用される電極を用いて即座に治療することなどを行うかどうかを決定することを含み得る。いくつかの態様において、この方法は、手術から手術までの間に(すなわち、体内の1つまたは複数の部位の評価、検査、および治療の間に)被験者の身体から手術道具を取り出さずに組織を治療することを含み得る。
【0227】
いくつかの態様において、この方法は、刺激または検査とともに体内の1つまたは複数の離れている場所(臓器から物理的に取り出されている)の生理応答を監視することを含み得る。いくつかの態様において、この方法は、電位治療に対する固有受容神経終末の場所を判定するために1つまたは複数の組織を刺激することを含み得る。
【0228】
いくつかの態様において、1つまたは複数の異常部位(すなわち、評価などによって判定されるような)は、通常の充填および排尿手順において膀胱の全体的挙動を増大する(すなわち、調節する)ために選択的に治療され得る。
【0229】
いくつかの態様において、この方法は、本開示によるシステムを使用して1つまたは複数の部位をマッピングすることを含み得る。いくつかの態様において、マッピングの結果を使用して、選択的にアブレーションを行い、および/または膀胱壁の領域を除神経すること、膀胱の1つまたは複数の領域との神経の相互接続を選択的に減らすことなどを行うことができる。
【0230】
いくつかの態様において、この方法は、本開示によるシステムで、疼痛、膀胱関係の疼痛、などを評価することを含み得る。この方法は、臓器内の、またはそれに接続された神経学的特徴部に沿った1つまたは複数の部位に、被験者のそれに対する応答を評価しながら刺激を印加することを含み得る。いくつかの態様において、この方法は、刺激事象が生じているときに被験者が何を感じているかを質問すること、被験者が感じる感覚の程度を評価すること、などを含み得る。
【0231】
この方法は、尿流動態検査を実施しながら(すなわち、膀胱に流体を充填すること、膀胱からの排尿を行うこと、被験者に排尿を試みてもらうことなどを行いながら)、臓器内の(すなわち、膀胱内の、膀胱壁に沿った位置などの)1つまたは複数の部位またはそれに接続された1つまたは複数の神経学的特徴部において生理学的および/または電気生理学的信号を監視することを含み得る。
【0232】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、固有受容部位を診断して膀胱内の疼痛位置の位置合わせをするために使用され得る。そのような検査は、患者のフィードバック、不快感、疼痛レベルなどを監視しながら、膀胱壁に沿って活発に刺激する部位を介して実施され得る。そのような検査では、潜在的に疼痛信号を発生することに応答する、異常な組織部位を特定するための手段を用意することができる。そのような部位の治療は、検査と組み合わせて実施され得る。いくつかの態様において、これに関係する方法は、尿流動態検査を実施しているときに受けた電気生理学的活動の程度に基づき計量を生成することと、その計量に基づき少なくとも部分的に診断を割り当てることとを含み得る。
【0233】
いくつかの態様において、臓器内の、またはそれに接続された神経学的特徴部上の1つまたは複数の部位の治療は、単一のステップで実施され得るか、または段階に分けて実施され得る(すなわち、一連のステップで実施される)。いくつかの態様において、段階に分けた治療は、1つまたは複数の部位を治療するためエネルギーのボーラスを印加して(すなわち、可逆なエネルギー・レベル、低エネルギー・レベルなどを有する第1のボーラス)、正しい部位が治療されているか判定することを含み得る。部位を評価するために、エネルギー・ボーラスを、局部組織の機能を一時的に中断させるのに十分なレベルで局所的に印加するとよいが、不可逆的損傷を引き起こすほどの十分な量を供給しないものとしてよい。いくつかの態様において、エネルギーの第1のボーラスの印加の後に機能の望ましい変化を確認してから、不可逆的治療を行うのに適したエネルギーの第2のボーラスを印加することができる(例えば、低エネルギー・アブレーションとは反対に高エネルギー・アブレーション)。
【0234】
いくつかの態様において、段階に分けて行われる治療は、膀胱の空間的に分離された複数の領域にわたっても行われ得る。いくつかの態様において、治療は、膀胱の領域、おそらく多数の検査に最も劇的に反応する領域、または最も活発な領域に戦略的に行われ得る。治療は、活動の好適な変化が観察されるまで膀胱の壁に沿って継続するものとしてよい。
【0235】
いくつかの態様において、本開示によるシステムは、感圧素子、引き伸ばし要素などを備えることができる。いくつかの態様において、充填手技(すなわち、尿流動態検査)と組み合わせてそのような要素から発生する信号の組み合わせは、その結果が膀胱壁の緊張を判定するのに適している場合があり、充填、緊張における局所的相違(すなわち、局所病変または腫瘍)などで緊張を変化させる。
【0236】
いくつかの態様において、本開示による方法および/またはシステムは、過活動膀胱を患う患者を治療するために使用され得る。
【0237】
図1a〜bは、本開示による膀胱2内に留置される手術道具100の態様を示す。
図1aは、被験者の尿道1を介して被験者の膀胱2内に留置される手術道具100の態様を示す。図示されている例では、被験者は、女性であり、参考のため図示されているのは膣3、子宮4、および直腸5である。手術道具100(すなわち、本開示による監視道具、治療デバイスなど)は、挿入手技を行う時に尿道1を通って横断し膀胱2内に入る構成および寸法の本開示による送達システム110を備える。手術道具100は、これに固定されたバルーン105を備える。バルーン105は、それぞれ本開示による1つまたは複数の感知先端部を備え、これらは中でバルーンが膨らんだ後に臓器の壁の方へ付勢するように構成されている。手術道具100は、その遠位端と近位端との間で流体の交換を行うように構成された引き込み口115を備える(すなわち、図示されている例において、膨らませる手順でバルーン105を充填するか、または萎ませる手順でバルーン105を萎ませるために)。
【0238】
手術道具100は、手技の1つまたは複数の態様を実施するために制御装置(明示的に図示せず)と機械的に、流体的に、および/または電気的に通信する(120)ように結合され得る。いくつかの態様において、手術道具100、この場合送達システム110は、本開示による1つまたは複数のセンサーを備えることができる。
図1aに示されているように、送達システム110は、その長さに沿って位置決めされ、制御装置と電気的に結合された電極125(すなわち、対向電極、基準電極など)を備えることができる。いくつかの態様において、電極125は、外科手術のための留置後に括約筋(すなわち、尿道括約筋など)と密に接触するように送達システム110に沿って位置決めされ得る。電極125は、手技を行う時に(すなわち、尿流動態検査、刺激印加過程、アブレーション過程などにおいて)局部組織内の筋電図活動を刺激し、および/または監視するように構成され得る。いくつかの態様において、電極125は、バルーン105上に置かれた1つまたは複数の感知先端部とともに使用する対向または基準電極として構成され得る。いくつかの態様において、手術道具100は、バルーン105上に置かれた1つまたは複数の感知先端部から電極125にRF電流を流すように構成され得る。いくつかの態様において、手術道具100は、電極125に関してバルーン105上に置かれた1つまたは複数の感知先端部で電気生理学的活動を監視するように構成され得る。
【0239】
図1bは、被験者の膀胱2内に留置され、制御装置(明示的に図示せず)と流体的に、および電気的に通信するように係合されている(120)手術道具100を例示している。流体のボーラスが手術道具100に送達され、送達システム110および引き込み口115を介してバルーン105’を充填し、バルーン105’を膀胱2の壁と係合させた。いくつかの態様において、バルーン105’は、膀胱2の壁に対して圧力Pを与えるように充填されているものとしてよい。いくつかの態様において、圧力Pは、50mmHg未満、30mmHg未満、10mmHg未満、5mmHg未満、または同様の大きさであるものとしてよい。いくつかの態様において、バルーン105’は、印加圧力Pを測定するために本開示による1つまたは複数の感知先端部を備えることができる。いくつかの態様において、バルーン105’は、膀胱2の壁に沿って1つまたは複数の生理学的および/または電気生理学的信号を監視するために本開示による1つまたは複数の感知先端部を備えることができる。いくつかの態様において、そのような監視は、異常な生理学的挙動(すなわち、異常な電気生理学的活動、印加圧力Pに応答する異常な知覚応答、など)のある膀胱壁2に沿った1つまたは複数の領域130a〜iを明らかにすることであるものとしてよい。そのような領域130a〜iは、治療対象の部位として指定され得る。いくつかの態様において、手術道具100は、バルーン105’に備えられた1つまたは複数の感知先端部を介して領域130a〜iのうちの1つまたは複数を治療するように構成され得る。いくつかの態様において、領域130a〜iの治療は、バルーン105’に備えられた1つまたは複数の電極を介して行われ得る。いくつかの態様において、手術道具100は、バルーン105’上に置かれた1つまたは複数の感知先端部から電極125にRF電流を流すように構成され得る。いくつかの態様において、手術道具100は、電極125に関してバルーン105’上に置かれた1つまたは複数の感知先端部で電気生理学的活動を監視するように構成され得る。
【0240】
いくつかの態様において、1つまたは複数のピエゾ抵抗材料を含む本開示による感知先端部は、バルーンと臓器の壁との間の局所接触圧力を測定するように構成され得る。このような測定は、局所応力(すなわち、局部組織歪みなどで具現化される)を関係する組織内の電気生理学的活動と関係付けるために監視と併せて実施され得る。このような関係は、疾病状態を診断するための計量の形成で使用され、これにより、組織部位が治療の候補であるか判定すること、治療が成功したかどうかを判定することなどを行うことができる。
【0241】
図2は、本開示による手術道具200の態様を示す。手術道具200は、機械的、電気的に通信するため、または本開示による手技の一部として近位端と遠位端との間に流体222を送達するために、被験者の腔内に手術道具200を留置するのに適した1つまたは複数の内腔235を備える細長構造(すなわち、この場合は管状構造)の形状の送達システム210を備える。いくつかの態様において、手術道具200は、中にいったん留置されると、臓器内で向き付けられ得る、操縦可能な先端部(210も)を備えることができる。送達システム210は1つまたは複数の引き込み口215を備えることができ、それらの間で流体送達を行う。送達システム210は、制御装置と手術道具200上に配置されている1つまたは複数の感知先端部または電極225との間を電気的に通信させる(222)ためのケーブル布線240(すなわち、ワイヤ、プリント回路トレースなど)を備える。
【0242】
図2は、本開示によるバルーン205、205’(すなわち、同等のものとして、配置可能なメッシュ状構造)を例示しており、バルーン205、205’は、手技を行う時にそれに隣接する組織と接触するのに適した、それぞれ本開示による1つまたは複数の感知先端部245を備える。バルーン205、205’は、送達状態205(すなわち、臓器への入口を通過するのに適した状態)、および拡張状態205’(すなわち、臓器内の組織と接触するのに適した状態)で図示されている。図示されている例において、バルーン205は、送達状態にある送達システム210のシャフトの周りに襞状に置かれている(250)。
【0243】
いくつかの態様において、バルーン205、205’は、その表面の上に構成された複数の感知先端部245を備えることができる。いくつかの態様において、感知先端部245は、高度に局所的な解剖学的部位を(すなわち、1つまたは複数のマイクロ電極態様を介して)監視するか、または臓器壁の巨視的領域を(すなわち、1つまたは複数の巨視的に向き付けられた電極の特徴を介して)監視するように構成され得る。
図2は、表面の領域265上で電気生理学的活動を測定するためにバルーン205’に沿って配置構成された一連の感知電極245を例示している。
【0244】
いくつかの態様において、一連のマイクロ電極感知先端部は、局所的活動(すなわち、図中の個別の+および−記号によって指定される)を監視するように、または領域265全体を表す活動を(すなわち、総和処理などを介して)まとめて監視するように構成され配置され得る。このような構成は、臓器壁に沿った領域がさらなる治療を必要とするかどうかなどを判定するのに有利な場合がある。いくつかの態様において、感知先端部245は、そのような領域265、または中の顕微鏡的部位への治療を行うために使用され得る。そのような治療は、早期の感知動作、または同様のものに基づきプログラム可能に構成され得る。
【0245】
いくつかの態様において、本開示による一連の感知先端部245は、隣接する臓器の領域260内の局部組織のコンプライアンス255を測定するように(すなわち、充填手技、尿流動態検査などにおいて)バルーン205’に沿って配置され、構成され得る。
【0246】
図3は、本開示によるバルーン壁305の態様を示す。バルーン壁305は、本開示による1つまたは複数の感知先端部を備える。バルーン壁305は、本開示による複数の電極330を備える。電極330は、バルーン305がそれに対して付勢されたときに(すなわち、外科手術などのときに)、隣接する組織と接触するように外面上に配置構成されたバルーン壁305に沿ってクラスタ315に配置構成される。電極330は、1つまたは複数の電気トレース325を介して、関連する外科システムの1つまたは複数の態様と電気的に相互接続される(すなわち、送達システム、マイクロ回路、コネクタ、制御装置などと相互接続される)。いくつかの態様において、電気トレース325は、伸縮可能であること、周辺媒体から(すなわち、オーバーコードなどを介して)絶縁されること、または同様の特徴を有するものとしてよい。
【0247】
バルーン305は、壁厚さ320を有する。いくつかの態様において、壁厚さ320は、200μm未満、100μm未満、50μm未満、30μm未満、20μm未満、10μm未満、4μm未満、1μm未満などとすることができる。いくつかの態様において、バルーン壁305は、展開したときの拡張を受け入れることができるように伸縮可能な、実質的に弾性を有する材料を備える。いくつかの態様において、バルーン壁305は、いくぶん剛性の高い材料(ポリイミド、PET、PENなど)およびいくぶん軟質である材料(例えば、シリコーン、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、など)の1つまたは複数の複合材料を備え、壁の全体的構造剛性および形状適合能力との間の妥協を図るか、または展開時の非対称的な拡張に対応することができる。
【0248】
いくつかの態様において、バルーン壁305は、本開示により印加される圧力350を監視するように構成された界面感知先端部340を備えることができる。圧力感知先端部340は、1つまたは複数の相互接続部345を介してシステム内の1つまたは複数の態様と結合され得る。いくつかの態様において、圧力感知先端部340は、ピエゾ抵抗材料、歪み感知材料、ナノマテリアル・ベースの材料(すなわち、本開示によるウィスカー・ベースの材料)、などを含み得る。
【0249】
いくつかの態様において、バルーン壁305は、本開示による光感知先端部360を備えることができる。いくつかの態様において、光感知先端部360は、対応する微小光源(例えば、oLED、LEDなど)を装備することができる。微小光源は、隣接する組織に光370を導くために使用され得る。1つまたは複数の光感知先端部360は、隣接する組織によって後方散乱され、および/または隣接する組織を透過する微小光源から放射された光375を検出するように構成された光学的マイクロセンサーを備えるものとしてよい。このような情報は、隣接する組織内の解剖学的特徴(例えば、神経、腫瘍など)を検出すること、局所的流体(すなわち、含水量、血流など)を監視すること、組織可視化物質と相互作用すること、臓器壁内の組織を検査することなどを行うために使用され得る。いくつかの態様において、光感知先端部360は、本開示による1つまたは複数の電気トレース365を介してシステムの別の態様と相互接続され得る。
【0250】
いくつかの態様において、1つまたは複数の感知先端部330、340、360は、本開示によるマイクロ回路を備えることができる。マイクロ回路は、信号収集を管理すること、システムのいくつかの態様と通信すること、などを行うように構成され得る。
【0251】
図4a〜cは、本開示による基板405、425、450、470の態様またはバルーン壁の同等の態様を示す。
図4aは、電極415a〜c、420a〜fおよびそれに取り付けられた電気トレース417の配置構成を有する基板405を示しており、これは本開示によるシステム1つまたは複数の態様と電極とを電気的に相互接続(430)させるように構成されている。基板405は、比較的小さな距離で隣接する組織と接触する(すなわち、局所電場および/またはそこへの送達電流を監視するなど)構成および寸法を有する点サイズの電極420a〜fの配置構成を有するように図示されている。基板405は、比較的大きな距離にわたって隣接する組織と接触する構成および寸法を有する複数の細長い電極415a〜cも備える。
【0252】
図4bは、本開示による電気トレース430が取り付けられている基板425の態様を例示している。電気トレース430は、絶縁層435によっていくつかの領域でコーティングされており、領域440内に露出され、隣接する組織と接触する電極を形成することができる。露出されている領域440は、1つまたは複数の追加の電極材料でコーティングされ、これにより隣接する組織との界面を改善する、1つまたは複数の薬剤を貯蔵する、などを行うことができる。
【0253】
図4cは、本開示による電気トレース455が取り付けられている基板450の態様を示している。電気トレース455は、本開示による感知先端部465と結合されている。いくつかの態様において、基板の電気トレース455および/または領域は、絶縁層460で被覆され、これにより、隣接する環境などから絶縁することができる。
【0254】
図4cは、本開示による複数のウィスカー495を有する電極を備える基板470の態様を示している。基板470は、基板470の表面上に含まれるか、または露出されている電極素子490から延在する1つまたは複数のウィスカー状の構造物495を備えることができる(すなわち、本開示による感知先端部をまとめて形成する)。電極素子490は、道具の中の別の場所の回路素子、おそらく局所的マイクロ回路などと電気的に相互接続(480)され得る。そのような電気的相互接続部475は、柔軟な回路、配線、ケーブル布線などによって形成され得る。基板470は、電気的相互接続部475のうちの1つまたは複数が道具の中立軸に実質的に置かれるように構成され得る(すなわち、基板470を曲げているときにそれにかかる応力を最小限にするため)。道具は、類似の目的のために、および/または基板470の表面上の電極素子490の範囲を定める手段として構成された絶縁領域485を備えることができる。
【0255】
いくつかの態様において、ウィスカー495のうちの1つまたは複数は、マイクロファイバー、ナノファイバー、マイクロニードル、ナノニードルなどから形成することができる。いくつかの態様において、1つまたは複数のウィスカー495は、カーボン構造、例えば、カーボン・ファイバー、カーボン・ナノチューブなどから形成することができる。いくつかの態様において、ウィスカー495は、その長さの一部に沿って絶縁され、その上の先端部のところで電気的に露出された領域を有することができる。
【0256】
ウィスカー495は、組織構造内に、それに対して付勢されたときに貫通するように十分な強度で構成され得る。ウィスカー495は、先端部が手術時に隣接する神経構造、神経束、神経細胞体(体細胞と称されることが多い)、樹枝状結晶、軸索、神経軸索のケーブル状の束、神経内膜、神経繊維束、神経上膜、および/または神経周膜を貫通するように構成され得る。そのような構成は、関連する巨視的な電極で達成可能であるようなものと比べて高度に選択的である組織部位からの神経信号を監視するのに有利な場合がある。
【0257】
図5a〜bは、本開示によるフレキシブルワイヤ要素を有する手術道具の態様を示す図である。
図5aは、送達シース510および送達部材505(すなわち、まとめて本開示による送達システム)を備える手術道具を示している。送達シース510は、配置手技の実施中に送達部材505の露出を加減するように引き込み可能である(530)ものとしてよい。送達部材505は、それぞれ本開示による1つまたは複数のマイクロフィンガー515と結合され得る。マイクロフィンガー515は、それぞれ本開示による1つまたは複数の感知先端部520を備えることができる。いくつかの態様において、送達部材505は、挿入手技の実施中に1つまたは複数の感知先端部520を保護するように配置構成されたキャップ525と結合され得る。いくつかの態様において、キャップ525は、配置手技の実施中に1つまたは複数のマイクロフィンガー515を臓器内に配置できるように送達部材505に摺動可能に(535)装着され得る。
【0258】
図5bは、感知先端部520’を露出させ、マイクロフィンガー515’の配置を可能にし、感知先端部520’の1つまたは複数が隣接する臓器壁2と接触するように送達部材505’の長さに沿って調節された(540)キャップ525’を備える手術道具の態様を例示している。いくつかの態様において、送達部材505’は、臓器2の内側と制御装置(明示的に図示せず)との間で流体を連通させるための引き込み口550を備えることができる。そのような流体交換は、臓器の内部容積を調節すること、臓器から流体を取り除くこと、冷却剤を臓器の内側に供給することなどに適しているものとしてよい。
【0259】
いくつかの態様において、送達部材505’は、臓器壁2に沿って感知先端部520’のうちの1つまたは複数を回転させ(545)、および/または掃引するために送達シース510’の軸の周りで作動可能であり、および/または調節可能であるものとしてよい。
【0260】
図6は、本開示による配置可能な基板645を有する手術道具の態様を示す。手術道具は、送達シース615内の内腔の下に配置された送達シース615および送達部材610(まとめて本開示による送達システムを形成する)を備える。送達部材は、遠位端と近位端との間の流体交換のための引き込み口635を備えることができる。道具は、引き込み口(すなわち、尿道)を通して臓器に入る十分に小さな直径を有する構造を形成するように送達部材610の周りに一般的に巻き付けられた基板645を備えることができる。いくつかの態様において、送達シース615は、基板645をその壁に対して付勢するように(650)臓器内に基板645を配置するために送達部材610の長さに沿って引き込み可能であるものとしてよい。基板は、道具の1つまたは複数の態様と制御装置、コネクタなどとの間で通信する(625)ように1つまたは複数の電気的および/または光学的トレース620、630を備えることができる。いくつかの態様において、基板645は、1つまたは複数の感知先端部640(この態様では電極として図示されている)、および適宜、感知先端部640とトレース620、630とに結合された本開示による1つまたは複数のマイクロ回路655を備えることができる。
【0261】
いくつかの態様において、マイクロ回路655は、手術時に手術部位に送られなければならない信号線の本数を実質的に減らすように構成され得る。感知先端部のネットワーク・アレイを局所的に留置されるマイクロ回路655(例えば、特定用途向け集積回路、分散/相互接続回路素子、軟質半導体回路素子の集合体など)と一緒に多重化することができる。マイクロ回路655は、体外システム(例えば、コンピュータ、制御システム、RFアブレーション制御装置、データ収集システムなど)とそのような信号を通信するように構成され得る。マイクロ回路655は、アナログおよび/またはデジタル手段および/または方法を介して体外システムと通信するように構成され得る。いくつかの態様において、通信は、マイクロ回路がアレイ内のいくつかの感知先端部に関係するデータ、さらにはスイッチ・データ、制御データ、RFパルス・ルーティングなどを交換することができるように主にデジタル手段によるものとすることができる。
【0262】
図7a〜dは、本開示による配置可能なメッシュ710を有する手術道具の態様を示す。メッシュ710は、1つまたは複数のファイバー715、720(すなわち、本開示によるマイクロフィンガーの機能を遂行する)を備えることができる。ファイバー715、720は、電流を伝え、本開示による制御装置、マイクロ回路、コネクタ、などと結合される(730)ように構成され得る。ファイバー715、720は、縦方向a〜eに配置構成されたファイバー715が、前後方向に配置構成されたファイバー720と無関係にアドレスされるようにアドレス可能であるものとしてよい。したがって、体内の部位への電流を監視しおよび/または印加することを目的とする相互接続は、使用時にプログラムにより調節することができる(すなわち、刺激および/またはアブレーション電流をメッシュ710上の部位に導き、メッシュ710上の1つまたは複数の部位で監視するなど)。いくつかの態様において、メッシュ710は、注目する臓器の中に配置されるときに送達シースから外向きに配置(735)するように構成され得る。いくつかの態様において、メッシュ710は、感知、電流送達などが使用時にプログラムにより調節され得る1つまたは複数の部位725を備えることができる。
【0263】
図7bは、メッシュ710内の複数のファイバー715、720が一用途において一緒に最も接近する部位725の態様を示している。これらのファイバーは、使用時にその間に電流740、745、750、755の電気的通信を可能にするように1つまたは複数の露出された領域を備えることができる。
【0264】
図7cは、1つまたは複数のファイバー770を備え、送達シース765内に拘束される本開示による手術道具760を示している。ファイバー770は、本開示による制御装置、コネクタ、および/またはマイクロ回路と電気的に、および/または機械的に連絡する(775)ように用意され得る。
【0265】
図7dは、引き込み可能な送達シース765’内からメッシュ782の配置の後の手術道具760を示している。メッシュ782は、臓器の周辺組織と相互作用する複数のファイバー770、774を備える。メッシュ782は、送達シース765’から配備されるときに外向きに拡張する(777)ように構成され得る。いくつかの態様において、メッシュ782は、体内の配置手技においてメッシュ782の形状を束縛しやすいように構成された1つまたは複数の形状制御点772、779を備えることができる。
【0266】
ファイバー770、774は、本開示による制御装置、コネクタ、および/またはマイクロ回路と電気的に、および/または機械的に連絡する(775)ように用意され得る。
【0267】
図8は、本開示による対向電極840を有する手術道具800の態様を示す。手術道具800(すなわち、本開示による監視道具、治療デバイスなど)は、挿入手技を行う時に尿道1を通って横断し膀胱2内に入る構成および寸法の本開示による送達システム810を備える。手術道具100は、これに固定されたバルーン805’を備える。バルーン805’は、それぞれ本開示による1つまたは複数の感知先端部を備え、これらは中でバルーン805’が膨らんだ後に臓器の壁の方へ付勢するように構成されている。手術道具800は、その遠位端と近位端との間で流体の交換を行うように構成された引き込み口815を備える(すなわち、図示されている例において、膨らませる手順でバルーン805’を充填するか、または萎ませる手順でバルーン805’を萎ませるために)。
【0268】
図8は、被験者の膀胱2内に留置され、制御装置(明示的に図示せず)と流体的に、および電気的に通信するように係合されている(820)手術道具800を示している。流体のボーラスが手術道具800に送達され、送達システム810および引き込み口815を介してバルーン805’を充填し、バルーン805’を膀胱2の壁と係合させた。いくつかの態様において、バルーン805’は、膀胱2の壁に対して圧力Pを与えるように充填されているものとしてよい。いくつかの態様において、圧力Pは、50mmHg未満、30mmHg未満、10mmHg未満、5mmHg未満、または同様の大きさであるものとしてよい。いくつかの態様において、バルーン805’は、印加圧力Pを測定するために本開示による1つまたは複数の感知先端部を備えることができる。いくつかの態様において、バルーン805’は、膀胱2の壁に沿って1つまたは複数の生理学的および/または電気生理学的信号を監視するために本開示による1つまたは複数の感知先端部を備えることができる。いくつかの態様において、そのような監視は、異常な生理学的挙動(すなわち、異常な電気生理学的活動、印加圧力Pに対する異常な知覚応答、など)のある膀胱壁2に沿った1つまたは複数の領域830a〜iを明らかにすることであるものとしてよい。そのような領域830a〜iは、治療対象の部位として指定され得る。いくつかの態様において、手術道具800は、バルーン805’に備えられた1つまたは複数の感知先端部を介して領域830a〜iのうちの1つまたは複数を治療するように構成され得る。いくつかの態様において、領域130a〜iの治療は、バルーン105’に備えられた1つまたは複数の電極を介して行われ得る。いくつかの態様において、手術道具800は、バルーン805’上に置かれた1つまたは複数の感知先端部から電極825にRF電流を流すように構成され得る。いくつかの態様において、手術道具800は、電極825に関してバルーン805’上に置かれた1つまたは複数の感知先端部で電気生理学的活動を監視するように構成され得る。
【0269】
いくつかの態様において、手術道具800は、電流i
1、i
2(DC電流、RF電流、刺激電流、加熱電流、アブレーション電流など)をバルーン805’上の1つまたは複数の感知先端部と対向電極840との間に(すなわち、全体の対向電極840への、ここに備えられる1つまたは複数の電極パッチ850a、bなどを介して)流すように構成され得る。対向電極840は、本開示による制御装置、コネクタ、マイクロ回路などと結合され得る(845)。いくつかの態様において、対向電極840は、身体の隣接する開口部、膣、直腸、などの中に留置できる構成および寸法を有し、これにより、手術時に手術道具800との通信を円滑にできる。
【0270】
いくつかの態様において、1つまたは複数のピエゾ抵抗材料を含む本開示による感知先端部は、バルーンと臓器の壁との間の局所接触圧力を測定するように構成され得る。このような測定は、局所応力(すなわち、局部組織歪みなどで具現化される)を関係する組織内の電気生理学的活動と関係付けるために監視と併せて実施され得る。このような関係は、疾病状態を診断するための計量の形成で使用され、これにより、組織部位が治療の候補であるか判定すること、治療が成功したかどうかを判定することなどを行うことができる。
【0271】
図9は、本開示による被験者6に留置された1つまたは複数の遠隔監視部920a〜dと併せた手術道具900の態様を示す。手術道具900は、外科手術の一部として被験者6の体内に(すなわち、被験者6の体内の臓器の少なくとも一部にアクセスために)留置され得る。手術道具900は、制御装置、コネクタ、マイクロ回路(明示的に図示せず)と通信し(910)、遠隔監視部位920a〜dと併せて体内の1つまたは複数の隣接する組織を監視し、および/または治療するように構成され得る。遠隔監視部位920a〜dは、同じ制御装置、またはマイクロ回路と電気的に通信するように結合され(930)、これにより、被験者6に行われる手術の基準、対向電極などをもたらすことができる。
【0272】
このような遠隔監視部位920a〜dは、骨盤筋、膀胱、腹筋に関連する1つまたは複数の筋電図信号、末梢神経信号などを本開示による手術の一部として監視するように配置構成され得る。
【0273】
いくつかの態様において、このような構成は、被験者6に行われる尿流動態検査などの一部として、被験者6の一般的監視(すなわち、診断手順の一部、フォローアップ手順の一部など)に有利な場合がある。
【0274】
図10は、治療パターン1010a〜e、1020、1030、1040の非限定的な例を伴う膀胱2を示す。パターン1010a〜e、1020、1030、1040は、本開示によるシステム、手術道具、および/または1つまたは複数の感知先端部により形成され得る。膀胱壁2は、異常な組織挙動の適切に囲まれている領域を治療するために1つまたは複数のスポット治療パターン1010a〜eで治療され得る。いくつかの態様において、膀胱壁2は、異常な電気生理学的挙動の領域を、正常に機能している組織の領域、関連する神経回路、などから切り離すために1つまたは複数のトラック状のパターン1020で治療することができる。いくつかの態様において、膀胱壁2は、臓器の壁の中への制御された深さの壁貫通パターン1030で治療され得る。いくつかの態様において、壁貫通パターン1030治療部位は、臓器壁の粘膜および外膜層への損傷を制限するために、制御され得る(すなわち、主に臓器壁の筋肉層に影響を及ぼすように焦点を合わせる)。そのような制御は、冷却剤軽減RFアブレーション電流、壁内への化学剤送達のボーラスなどで得られるものとしてよい。
【0275】
いくつかの態様において、膀胱頸部および/または尿道1の周りの1つまたは複数の領域1040は、これの周りで実質的に周上治療パターンを形成するように治療され得る。
【0276】
いくつかの態様において、特定の被験者の手術時に治療される領域1010a〜e、1020、1030、1040は、異常な挙動、転帰などのある典型的な領域を判定するため、患者母集団などにわたってその被験者体内のすでに治療されている領域と比較され得る。
【0277】
図11は、本開示によるデバイスにより治療する前1110、治療している間1120、および治療した後1130の局所神経活動と膀胱充填容積との間の関係を示すグラフである。この関係は、前治療され(1140)、後利用された(1150)被験者に対する頻尿開始を示しており、その膀胱貯蔵容量に対する外科手術の効果を実証している。いくつかの態様において、本開示による手技は、外科手術を継続すること、停止すること、治療部位を調節することなどを行うかどうかを決定するために外科手術時に間隔をあけて被験者に対する排尿体積を評価することを含み得る。
【0278】
図12a〜dは、本開示による手術道具を使用するための方法の態様を示す。
図12aは、被験者体内の組織部位を治療するための方法を示しており、これは1つまたは複数の電極および/または感知先端部を被験者体内に挿入することと(1201)、電極および/または感知先端部を被験者体内の臓器の壁に対して付勢して(1203)、それにより組織と接触させることと、適宜、電極および/または感知先端部のうちの1つまたは複数で組織に刺激を印加することと(1205)、隣接する組織の機能性を評価するために生理学的および/または電気生理学的活動および/または(すなわち、オプションの刺激1205に対する)応答を監視することと(1207)を含む。この方法は、組織上で治療することと(1209)(すなわち、アブレーション、除神経、神経調節手技を行うこと、冷凍アブレーション、超音波破壊、磁気加熱、など)、この手技が完了しているかどうかを(すなわち、さらなる刺激を印加すること、監視することなどによって)判定することとも含み得る。手技が完了している場合、この方法は、外科手術が成功したか、または完了したかを判定するために被験者を適宜検査すること(1211)を含み得る。そうでない場合、この方法は、1つまたは複数のステップを繰り返すことを含み、完了している場合、この方法は、被験者から電極および/または感知先端部を取り出すことを含み得る。
【0279】
図12bは、本開示により被験者を治療するための方法を示しており、これは本開示による電極および/または感知先端部を標的組織(すなわち、被験者の泌尿器系に関連する組織)と接触させること(1213)と、尿流動態検査1215を実施して、被験者の1つまたは複数の生理学的応答を判定すること、そのような検査時に標的組織を監視すること、などを行うこととを含む。この方法は、被験者の組織を可逆的に治療して(1217)、正しい治療部位が選択されているかどうかを判定すること、そのような手技の潜在的な転帰を評価すること、などを行うことを含む。この方法は、適宜被験者を再検査して尿流動態検査から新しい結果が得られるかどうかを調べることを含み得る(1219)。検査結果が改善された場合、標的組織を永続的に治療し(1221)、そうでない場合、治療1223の部位または1つもしくは複数のパラメータを調節し、この方法の1つまたは複数のステップを繰り返す。
【0280】
図12cは、被験者の臓器内の1つまたは複数の標的部位を順次治療するための方法の態様を示しており、これは組織機能が本開示による外科手術で組織の異常な治療(1233)を行っていることが判明した場合に、潜在的手術部位の付近の組織の機能を分析すること(1231)と、そうでない場合、治療部位1239を調節して、臓器内の追加の組織を分析することを含む。治療1233が完了した場合、この方法は、被験者を再検査して(1235)、さらなる治療が必要かどうかを判定することと、そうでない場合に、手技が完了しているか、またはより多くの部位を治療すべきかどうかを判定することとを含み得る。手技が完了している場合、手技1237を終了する。
【0281】
図12dは、本開示により被験者を検査および/または治療するための手技の態様を示しており、これはカテーテルを被験者体内に、その膀胱にアクセスするため挿入すること(1251)と、膀胱内の圧力を変更すること(1253)と、それに対する応答を監視すること(1255)(すなわち、圧力の変化に対する1つまたは複数の生理学的および/または電気生理学的応答を監視すること)と、適宜、膀胱内の1つまたは複数の部位を治療すること(1257)と、適宜、検査を実行して治療が成功したかどうかを判定すること(1259)とを含む。この方法は、圧力変化と電気生理学的および/または生理学的活動とを比較して、膀胱内の1つまたは複数の組織部位の機能状態を判定すること、被験者の疾病状態に関する診断決定を円滑にすること、などを行うことを含み得る。
【0282】
方法の他の態様、その変更形態などは、本開示全体を通して説明される。
【0283】
図13a〜cは、本開示による手術道具の態様を示す。
図13aは、膀胱頸部にアクセスするように構成されたバルーン1305カテーテルの態様を示しており、バルーン1305は、これに取り付けられた本開示による1つまたは複数の相互接続部および関連する感知先端部1315を備える(すなわち、その上にパターン形成される、それに積層される、それに取り付けられる、など)。いくつかの態様において、バルーン1305は、膀胱内に配置され(1330)、これにより、感知先端部1315のうちの1つまたは複数をその壁と密着して接触させることができる。感知先端部1305は、制御装置、コネクタ、マイクロ回路などと光学的におよび/または電気的に接続される(1320)が、バルーンの内側は、コネクタ、制御装置、流体貯蔵槽などと流体的に連通するもの(1325)としてよい。
【0284】
図13bは、本開示による1つまたは複数の感知先端部1340を有するように構成された相互接続部1335の態様を示す。相互接続部1335は、感知先端部1340と関連するシステムの1つまたは複数の態様との間の電気的および/または光学的な連絡を行うように構成される。
【0285】
図13cは、本開示による複数の(この非限定的な例において)露出され結合されている電極1355a〜dを備える相互接続部1350の態様を示している(すなわち、アブレーション手技などにおいて間を流れる電流を調節するようにパターン形成される)。いくつかの態様において、相互接続部1350は、下にあるトレースを周囲環境から絶縁するように構成された1つまたは複数の絶縁領域1360a〜eを備える。
【0286】
いくつかの態様において、バルーン1305は、本開示により薬剤が隣接する組織または手術部位に送達されるように構成された1つまたは複数の穿孔および/またはマイクロインジェクション・ポートを備えることができる。
【0287】
図14は、本開示による局所生理応答を評価し、および/または局部組織部位1440を治療するためのデバイス1400の態様を示す。デバイス1400は、尿道1を通り膀胱2にアクセスするように構成された本開示による任意の送達シース1405および送達部材1410を備える送達システムを具備する。送達部材1410は、シース1405を越えて延在し、膀胱2内に入り、その組織と接触する。送達部材1410は、1つまたは複数の組織部位1440にその壁に沿ってアクセスするために膀胱2内で移動、掃引(1445)、などを行うように構成された作動可能な部分1415を備えることができる。送達部材1410は、臓器内の、および臓器の周辺の1つまたは複数の組織部位にアクセスし、および/または治療するための本開示による1つまたは複数の感知先端部1420、1425、1430を備えることができる。いくつかの非限定的な例は、電極1420、歪み感知素子1430、および圧力感知素子1425を備えるように示されている。いくつかの態様において、送達部材1410は、力Fで1つまたは複数の感知先端部1420を評価および/または治療部位1440の膀胱2の壁に対して付勢するように構成され得る。
【0288】
いくつかの態様において、システムは、部位1440における組織の緊張を測定し、圧力変化P、付勢力Fの変化、などへの電気生理学的応答を測定するように構成され得る。いくつかの態様において、送達シース1405は、手術時に位置を適所に維持するための保持特徴部1435を備えることができる。いくつかの態様において、送達シース1405は、手術時に送達システムと尿道1との間の歪み軽減嵌合を維持するように構成された、外部から付けられる保持特徴部1465を受け入れることができる。いくつかの態様において、送達部材1410および/または送達シース1405は、手術時に間を通る流体交換1450に適した、外部配置されている流体源と膀胱との間を流体的に連通する(1455)ように構成された1つまたは複数の内腔を備えることができる。いくつかの態様において、感知先端部1420、1430、1425は、本開示によるコネクタ、制御装置、および/またはマイクロ回路と電気的に結合され得る(1460)。
【0289】
いくつかの態様において、システムは、電流(すなわち、診断、一時的治療、永久的治療などを目的とする刺激電流、アブレーション電流、組織加熱電流)を電極1420のうちの1つまたは複数の間に通すように構成された1つまたは複数の電極1420を備えることができ、システムの1つまたは複数の態様および/または対向電極1480は手術部位1440から離れた場所に配置される(すなわち、身体パッチ、膣、直腸内に挿入された電極、経皮的に留置された電極などとして)。
【0290】
このような道具1400は、本開示による方法および/または外科手術の1つまたは複数の態様を行うように構成され得る。
【0291】
図15は、本開示によるデバイスにより実行されるプローブと生理学的測定との間の関係を示すグラフである。いくつかの態様において、プローブは、本開示によるバルーン、送達部材先端部、ワイヤ・メッシュ、などの一態様とすることができる。調査の下にある関係は、膀胱内の大域的な圧力印加、または監視部位、もしくは監視部位と電気生理学的に連絡する部位で印加される局所圧力印加に関連し得る。いくつかの態様において、手技は、刺激1505、おそらく、一連の刺激などを、組織部位に(すなわち、大域的に、局所的に、など)印加することを含み得る。そのような刺激として、電気インパルス、熱パルス(すなわち、局所加熱)、局所的圧力印加(すなわち、局所プローブ先端部からの力など)、または同様のものが挙げられる。いくつかの態様において、刺激1505への応答1515は、評価、治療の進行状況、異常な活動のある領域の判定などを目的として監視され得る(1520)。図示されている非限定的な例では、刺激1505は、本開示による電極で印加される、局所電流パルスである。応答1515は、刺激1505に応答する電極上で測定された(すなわち、組織に対して付勢されている間に電極に印加される)局所圧力である。電極は、刺激1505が局所的に印加されるときに組織の表面に沿ってゆっくり移動する(1510)。あるいは、それに加えて、または組み合わせて、刺激1505は、感知先端部のアレイ(すなわち、バルーン上にパターン化されるように、ブラシ状の道具の一部として、など)を介して組織の領域上に印加され、組織表面に対して1つまたは複数の要素を移動する必要なく、プローブと同じ効果を達成することができる。
【0292】
応答1515は、組織表面に沿って複数の部位に示されている。これからわかるように、ベースライン・レベルP
0からの圧力の変化はその上の複数の部位1525で十分に一貫しているが、1つまたは複数の部位1530において明確に区別できる形で増大し、そのような部位は、外科手術の候補となり得る、過敏性を示し得る、といったことがあり得る。そのような情報は、診断を目的として、好適な手術部位を識別する、外科手術の程度を識別する、などのために使用され得る。
【0293】
図16a〜cは、本開示による手術道具に対する先端部電極構成の態様を示す。
図16aは、それぞれ本開示によるプローブ1610(すなわち、同等のものとして送達モジュール、マイクロフィンガーなどの一部)と結合された電極1615を示す。電極1615は、手技を行う時にそれに隣接する組織と接触するためにシステム(明示的に図示せず)内の1つまたは複数の電極と通信する、単極構成として動作し得る。電極1615は、プローブ1610を介して本開示によるシステムの1つまたは複数の態様と結合され得る(1620)。
【0294】
図16bは、それぞれ本開示による、2つの電極1635a、bと結合された送達モジュール1630を示している。電極1635a、bは、局部組織部位と接触する双極電極配置構成で配置構成される。そのような配置構成は、局所電場ベクトル、移動、両極性信号などに、またはその付近の組織の正確な領域に電流を流すために有利な場合がある。
【0295】
図16cは、それぞれ本開示による複数の電極1655a〜dに結合されたプローブ1650を示している。電極1655a〜dは、被験者の体内の局部組織部位と接触する四極電極配置構成で配置構成される。四極電極1655a〜dは、被験者の電気生理学的活動の多部位取り込みを可能にするように配置構成され得る。そのような配置構成は、プローブ1650の付近の電場ベクトルを生成すること、被験者の体の表面上に電場伝搬をマッピングすること、などのために有利な場合がある。
【0296】
図17は、膀胱2内に留置された、本開示によるマイクロフィラメント・アレイ1725ベースの手術道具1700の態様を示す。手術道具1700は、尿道1を通り膀胱2にアクセスするように構成された本開示による任意の送達シース1705および送達部材1710を備える送達システムを具備する。手術の際に送達部材1710はシース1705を越えて延在し膀胱2内に入り、中に移動する。送達部材1710は、1つまたは複数の組織部位にその壁に沿ってアクセスするために膀胱2内で移動、掃引(1755)、などを行うように構成された作動可能な部分1720を備えることができる。送達部材1710から突き出ているのがマイクロフィラメント・アレイ1725であり、それぞれ本開示による複数のマイクロフィラメント・マイクロフィンガーを備える。フィラメント・アレイ1725は送達部材1710から摺動可能に配置可能であり(1750)、これにより監視、マッピング、治療、アブレーション、薬剤の送達などを目的としてそこから延在し、組織にアクセスすることができる。マイクロフィラメントは、手技の一部として膀胱の壁に対して付勢(1751)し得る。いくつかの態様において、マイクロフィラメント1725は、それぞれ本開示による感知先端部、電極などを備えることができる。
【0297】
いくつかの態様において、送達シース1705は、手術時に送達システムと尿道1との間の歪み軽減嵌合を維持するように構成された、外部から付けられる保持特徴部1735を受け入れることができる。いくつかの態様において、外部で施される保持特徴部1735は、手術時に送達シース1705を適所に保持するために被験者の身体の方へ付勢され得る(1770)。いくつかの態様において、送達部材1710および/または送達シース1705は、外部配置されている流体源と膀胱、抑制バルーン1730、または同様のものとの間を流体的に連通する(1759)ように構成された1つまたは複数の内腔を備えることができる。
【0298】
いくつかの態様において、本開示による外科用デバイスは、臓器と外部制御装置、流体貯蔵槽などとの間に流体を連通させるための手段を備えることができる。いくつかの態様において、流体は、手術時に臓器壁の機能に(一時的、または永久的に)影響を及ぼすように所定の温度まで加熱され得る。外科医用デバイスは、手術時に臓器内で、および/または臓器の壁に沿った部位で流体温度、組織温度、電気生理学的活動、圧力などを監視するように構成された1つまたは複数の感知先端部とともに構成され得る。そのような構成は、フィードバックしながら臓器の内壁全体を治療して手技の外科目標を達成するために必要な損傷の量を最小限にするのに有利な場合がある。いくつかの態様において、流体は、電極設定、RF加熱電極構成、外部加熱装置(すなわち、臓器内の使用済み流体を新鮮な流体と交換する循環流体移行液圧回路を使用する)、磁気粒子を攪拌するための電磁場と結合された流体中の磁気粒子、などを使用して加熱され得る。いくつかの態様において、流体は、化学療法薬剤などの薬剤を含み得る。いくつかの態様において、外科用デバイスは、癌性腫瘍部位の電気生理学的活動を監視して、治療によってその機能をいつ正常に変えられたかを判定するように構成され得る。
【0299】
そのようなシステムは、膀胱癌の治療、および適宜、温熱療法ベースの化学療法を実施するのに有利な場合がある。いくつかの態様において、本開示によるシステムは、被験者の体内の癌性腫瘍を監視/治療するのに有利な場合がある。
【0300】
温熱療法は、化学療法を含む伝統的な治療の効力を改善するために癌性領域内の温度を高める目標とされる用途である。いくつかの態様において、流体は、手術時に流体を加熱するための磁場と相互作用する膀胱内磁性流体としてカテーテルを介して送達される酸化鉄ナノ粒子を含み得る。磁場は、ナノ粒子を攪拌するために使用され、これにより、粒子は回転し、磁区の再整列が引き起こされ、この両方により熱が発生し得る。流体の温度は、温熱療法の治療の一部として3〜8℃ほど上昇し得る。いくつかの態様において、化学療法薬として、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン、およびシスプラチン、シスプラチンにフルオロウラシルを加えたもの(5−FU)、5−FUを含むマイトマイシン、ゲムシタビンおよびシスプラチン、メトトレキサート、ビンブラスチン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、およびシスプラチン(M−VACと称される)、カルボプラチン、およびパクリタキセルまたはドセタキセルのいずれか、などが挙げられる。
【0301】
いくつかの態様において、マイクロフィラメント1725のうちの1つまたは複数は、局所電気生理学的信号を監視し、電流i(すなわち、診断、一時的治療、永久的治療などを目的とする刺激電流、アブレーション電流、組織加熱電流)を電極のうちの1つまたは複数の間に通すように構成された1つまたは複数の電極(すなわち、一般的に、その先端部において)を備えることができ、システムの1つまたは複数の態様および/または対向電極1780は手術部位から離れた場所に配置される(すなわち、人体パッチ、膣、直腸内に挿入された電極、経皮的に留置された電極などとして)。いくつかの態様において、マイクロフィラメント1725は、本開示によるコネクタ、制御装置、および/またはマイクロ回路と電気的に結合され得る(1760)。
【0302】
いくつかの態様において、送達部材1710は、臓器内の、および臓器の周辺の1つまたは複数の組織部位にアクセスし、および/または治療するための本開示による1つまたは複数の感知先端部1740、1745を備えることができる。いくつかの非限定的な例は、歪み感知素子1745、および圧力感知素子1740を備えるように示されている。いくつかの態様において、送達部材1710は、マイクロフィラメント・アレイ1725を評価および/または治療部位1440の膀胱2の壁に対して付勢すること、そのような付勢力を監視すること、などを行うように構成され得る。
【0303】
このような道具1700は、本開示による方法および/または外科手術の1つまたは複数の態様を行うように構成され得る。
【0304】
図18a〜eは、本開示によるマイクロフィラメント先端部の態様を示す。
図18aは、導電性、抵抗性、および/または半導体性を有するコア1805(例えば、白金、カーボン、チタン、ステンレス鋼、ニッケル・チタン、銀、金、バネ鋼など)を備えるマイクロフィラメントの態様を示している。いくつかの態様において、コア1805は、100μm未満、50μm未満、25μm未満、12μm未満、7μm未満、5μm未満の直径寸法を有するものとしてよい。いくつかの態様において、コア1805の1つまたは複数のセグメントは、クラッド層1810で覆うことができる。
【0305】
いくつかの態様において、クラッド層1810は、不動態化材料、高伝導性材料、生体活性材料、電気的絶縁材料、などを含むことができる。いくつかの態様において、クラッド層1810は、コア1805を周囲から絶縁する、コア1805の縦伝導率を改善する(すなわち、金属クラッド層1810の場合)、固有の検体識別手段を実現する(すなわち、生体活性クラッド層1810、酵素層などの場合)ように構成され得る。いくつかの態様において、クラッド層1810があるとその結果、クラッド直径は200μm未満、100μm未満、25μm未満、12μm未満、6μm未満などとなり得る。いくつかの態様において、クラッド層1810は、1μm未満、0.5μm未満、0.1μm未満などの薄さであるものとしてよい。いくつかの態様において、クラッド層1810は、光学的に配向されたファイバー1805を下る改善された光透過を実現することができる。
【0306】
いくつかの態様において、クラッド層1810の1つまたは複数のセグメント、またはコア1805は、絶縁層でコーティングされ得る(またはクラッド層1810が絶縁体であってもよい)。絶縁層として、誘電体材料、厚い壁付き高分子材料、セラミックなどの層が挙げられる。絶縁層は、電気的絶縁を高め、および/または本開示によるマイクロフィラメント・アレイ内のマイクロフィラメントの間のクロストークを低減するように構成され得る。いくつかの態様において、絶縁層は、250μm未満、200μm未満、100μm未満、50μm未満、25μm未満、10μm未満などの直径を有することができる。いくつかの態様において、絶縁層は、その代替的セグメントに沿って異なる厚さ(すなわち、異なる全体的なマイクロフィラメント直径)を備えることができる。非限定的な一例において、絶縁層は、マイクロフィラメントの遠位領域の近くでは比較的薄く、その近位方向では徐々に厚くなって行く。
【0307】
いくつかの態様において、クラッド層1810および/または絶縁層は、取り除かれ、および/または他の何らかの形で、マイクロフィラメントの1つまたは複数のセグメント上に存在しないものとしてよい。そのような構成は、柔軟性を変えること、マイクロフィラメントの相互通信を変えること、マイクロフィラメントの間の相互接続を可能にすること、などを行うのに有利な場合がある。
【0308】
図18bは、手術時にコア1825の先端部のみが周辺環境に露出されるように構成された本開示によるコア1825およびクラッド層1830を備えるマイクロフィラメント先端部の態様を示している。そのような構成は、先端部のプロファイリングまたは他の何らかの方法による意図的な成形なしでその全長に沿って(すなわち、クラッド層1830を介して)絶縁を施しながらマイクロフィラメントの露出された導電領域を最小にするのに有利な場合がある。
【0309】
図18cは、クラッド層1855に対する厚さを徐々に増やす本開示によるコア1850およびクラッド層1855を備えるマイクロフィラメント先端部の態様を示している。
【0310】
図18dは、コア1870およびクラッド層1875を含むマイクロフィラメント先端部の態様を示しており、コア1870はその先端部の周り(1880)に巻き付けられ、電極面積を広げて周囲組織部位と接触するようにされている。
【0311】
図18eは、追加の電極材料1890でコア1870またはコア巻き付け領域の面積もしくは強度を増加させるか、またはメッキする追加のメッキもしくはコーティング手順1885を使用する
図18dで概要が示されているようなマイクロフィラメントの態様を示している。いくつかの態様において、追加の電極材料1890は、共役高分子、金属、還元された材料などを含み得る。
【0312】
図19は、本開示によるマイクロフィラメント・アレイ1920ベースの手術道具の態様を示す。道具は、複数のマイクロフィラメント1915が通る内腔を備える送達部材1910を具備する。アレイ1920は、配置手技の実施中にそこからアレイ1920に配置(1945)できるように送達部材1910内に摺動可能に配置構成され得る。
【0313】
いくつかの態様において、送達部材1910は、動作時にアレイ1920の曲げ、掃引、および/またはねじり(1930)移動を可能にするように作動可能であるものとしてよい。送達部材1910は、手術時に送達部材1910を作動させる(1940、1935)ためにテンドンが通されている1つまたは複数の内腔を備えることができる。
【0314】
いくつかの態様において、アレイ1920内のマイクロフィラメント1915は、高度に柔軟な構造を維持するために個別に分離され得る(すなわち、堅く接続されてはいない)。いくつかの態様において、マイクロフィラメント・アレイ1920は、潤滑流体とともに送達部材1910内に封じ込められ、流体は絶縁流体であってよく、これにより使用時にアレイ内のファイバー間の絶縁を補助することができる。
【0315】
図20a〜cは、本開示によるマイクロフィラメント・アレイ・ベースの手術道具の態様を示す。
図20aは、本開示によるコア2010およびクラッド層2015をそれぞれ備えるマイクロフィラメントの束2005を示している。きつく詰め込まれた束2005は、嵌め合わせコネクタ、マイクロ回路、またはMEMベースの相互接続部と接触し、デバイス内でそこから1つまたは複数の信号を抽出することができる。
【0316】
図20bは、本開示によるマイクロファイバー束2030と接触するコネクタ2020を例示している。マイクロフィラメント束2030は、束2030からの個別のファイバーが分離され、コネクタの本体部2025内の複数のリード線2035と接触するように構成され得る。こうして、コネクタ2020は、本開示によるシステム内のマイクロフィラメント束2030と通信する(2040)手段を実現し得る。
【0317】
図20cは本開示によるマイクロフィラメント束2065のブロック接続部2050を例示しており、マイクロフィラメント束2065のフィラメント2060は抑制ブロック2055内に固定されている。束2065および抑制ブロック2055は使用時にその中のフィラメント2060と接触するように面仕上げされ、研磨され得る(すなわち、研磨された面を嵌め合わせマイクロコネクタなどと結合することによって)。
【0318】
図21a〜cは、本開示によるマイクロフィラメント・アレイ・ベースの手術道具を用いて表面に対して行われる測定の態様を示す。
図21aは、臓器壁2、および臓器壁2の表面2105と接触する本開示による嵌め合わせ感知先端部のアレイによって形成される接触点を示す接点2110のアレイの概略を示している。複数の接点2110は、壁と相互作用すること、壁上の電気生理学的活動を測定すること、壁に電流を流すことなどに適しているとものとしてよい部位の集合を表し得る。いくつかの態様において、生理学的および/または電気生理学的データは、関連する感知先端部のそれぞれによって個別に接点2110のそれぞれから収集され、これにより、活動を表面上にマッピングすること、表面の機能性を評価すること、どの部位が治療に適した標的であり得るかを判定すること、などを行うことができる。
【0319】
図21bは、本開示による感知先端部のアレイで測定された蓄圧の時系列傾向を示す。アレイ内の特定の感知先端部から得られた個別の傾向2125は、臓器壁上で走査されるときに個別の感知先端部が受ける時系列圧力を示す。アレイ内の感知先端部のすべてによって得られる信号の総和によって得られる総和的な傾向2130も示される。いくつかの態様において、個別の傾向2125と総和的な傾向2130との間の関係は、マッピング、臓器壁に沿って機能を決定すること、壁に沿って部位の異常な挙動を識別すること、事象が発生したときに壁上の圧力および/または電気生理学的波伝搬を決定すること、検査、などを行うのに有利な場合がある。
【0320】
図21cは、体内の解剖学的部位と接触している本開示による感知先端部2105のアレイによって形成される接点2110の集合から得られる画像を示している。この画像は、接点2110上の波2115の伝搬を示しており、また1つまたは複数の将来の部位2130、2135への波2120、2125の進行方向を例示している。画像および画像内の接点2110の位置は、本開示によるシステム内の感知先端部の知られている位置決めから(すなわち、バルーンの面などに沿って)決定され得る。いくつかの態様において、壁に対する感知先端部の位置決めは、先験的に知ることはできない(すなわち、自由に移動するマイクロフィンガー、マイクロフィラメントなどとの配置構成において)。いくつかの態様において、アレイ内の感知先端部の位置決めは、監視セッション時にアレイ全体を通して伝搬する波の相関により、感知された信号から少なくとも部分的に決定され得る。いくつかの態様において、波伝搬アルゴリズムを使用して、監視時に壁に対する1つまたは複数の感知先端部の位置決めなどを近似することができる。そのような構成の他の態様は、本開示全体を通して説明される。
【0321】
図22は、組織表面と接触するさまざまな電極2225、2230、2235、2240、2245を備える本開示によるバルーン2205’ベースの手術道具の態様を示す。バルーン2205’は、関連するシステムの態様と、それに取り付けられている送達部材2210を通して流体的に連通する(2215)ように用意され得る。
図22に示されているのは、点電極2235のクラスタ、一対の曲がりくねった経路ベースの電極2240、一対のタブ・スタイルの電極2245、一対の半径方向に配向された帯状電極2230、周上に配向された電極1825の集合である。いくつかの態様において、代替的電極配置構成は、壁上に特定のアブレーション・パターンを形成すること、バルーンの異なる領域を監視することなどのタスクに合わせて構成され得る。
【0322】
図23は、本開示によるバルーン・ベースのデバイス2305に関連する評価ゾーン2320を示す。バルーンおよび関連する送達部材2310は、制御装置、コネクタ、マイクロ回路などとともに領域2320のうちの1つまたは複数に配置されている1つまたは複数の感知先端部の間に流体的な連通および/または電気的な通信2315を構成できる。バルーン上の領域2320内への感知先端部のグループ化は、潜在的治療部位と評価対象の膀胱の指定された領域との相関を求めるのに有利な場合がある。成功した転帰に関係するデータが収集されるときに、病変部のそのような領域内訳は、患者母集団に対する、手術道具の再設計、外科的アプローチ、検査する領域の選択、治療基準の調整などに役立つ。いくつかの態様において、そのような領域2320は、正中臍索の近く、1つまたは複数の外側臍索の近く、尿道開口部の近く、三角部の中心、皺の近く、膀胱頸部の近く、括約筋、尿道括約筋の近く、これらの組み合わせ、または同様のもののうちの1つまたは複数の領域に分けることができる。
【0323】
図24は、本開示による組織部位と物理的に接触するマイクロフィラメント・ベースの手術道具の態様を示す。道具は、本開示によるマイクロフィラメント・アレイ2420、およびアレイ2420が制御装置などと結合され得る(2415)際に通る送達部材2410を備える。マイクロフィラメント・アレイ2420は、手術時に臓器2の壁に対する力F
fで付勢されるように図示されている。いくつかの態様において、アレイ2420内のマイクロフィラメントは、力F
fが十分予測できるような弾性を十分に有しているものとしてよい。それに加えて、アレイの構成により、それぞれのマイクロフィラメントは、手術時に臓器壁と確実に接触することができる。そのような配置構成は、手術時に複数の接触部位と臓器の壁との間の確実な接触力を維持するのに有利である場合がある。
【0324】
図25a〜cは、本開示による埋め込み型デバイスの態様および膀胱の内壁内に取り付けられた埋め込み型デバイスの概略を示す。
図25aは、本開示による中空の臓器(すなわち、膀胱、子宮、直腸、など)の壁に沿った神経活動を監視し、および/または変調するための埋め込み型デバイスの態様を示している。埋め込み型デバイスは、外科手術時、外科手術の後、監視セッション時、尿流動態検査時、患者評価時などに、付近の1つまたは複数の物理的または生理学的パラメータを監視するように構成されているそれぞれ本開示による1つまたは複数の感知先端部2520、2525を備える。感知先端部2520、2525は、この非限定的な例における電極として示されている。
【0325】
埋め込み型デバイスは、感知先端部2520、2525で信号を監視し、信号調整を実行し、外部の読み取り装置、制御装置、操作デバイスなどと通信する(2535)ように構成された1つまたは複数のマイクロ回路2515を含むハウジング2510を具備する。ハウジング2510は、バッテリー、生物燃料電池(すなわち、ブドウ糖生物燃料電池、尿ベースの生物燃料電池など)、または運動エネルギー、入射RF信号からのエネルギー、または同様のものを取り込むためのエネルギー・ハーベスト・サブシステムなどの電源をさらに備えることができる。埋め込み型デバイスは、外部の読み取り装置と通信する(2535)ためホイップ・アンテナとして機能し得るテール部2530、テザー、取り外しひもなどを備える。
【0326】
いくつかの態様において、埋め込み型デバイスは、神経活動、筋電図情報、尿流動態、膀胱圧力、および/または生理学的情報を、外科手術後、そのような手術後の一定期間、(すなわち、数日、数週間、数カ月、無期限)にわたって監視するように構成され得る。いくつかの態様において、埋め込み型デバイスは、神経活動が異常状態などに戻った場合に追加の神経調節手技(すなわち、RFアブレーション手技)を実施することができる。いくつかの態様において、電源は、RFアブレーション手技が外部相互接続なしで実施され得るように十分な量のエネルギーを蓄える構成をとることができる。手技から次の手技までの間に、例えば、無線充電システム、または同様のものを介して、電源を充電するものとしてよい。
【0327】
図25bは、長時間の監視/治療セッションにおいて膀胱2内に留置される本開示による埋め込み型デバイスを示している。埋め込み型デバイスは、膀胱2の頸部の近くに位置決めされ、複数のフック状の電極2520/2525を介して膀胱の壁に固定されるように図示されており、この非限定的な例は監視セッションにおいて局所EMGを監視する電極機能をも備える。いくつかの態様において、埋め込み型デバイスは、EMG監視と連携して膀胱圧力を監視するための圧力感知先端部を備えることができる。埋め込み型デバイスは、ハウジング2510、および外部留置読み取り装置などと通信する(2535)ためのホイップ・アンテナ2530を備える。いくつかの潜在的取付部位2540a〜hは、膀胱2の壁の周りに配置されるように図示されている。
【0328】
図25cは、長時間の監視/治療セッションにおいて膀胱2内に留置される本開示による埋め込み型デバイスを示している。埋め込み型デバイスは、膀胱2の頸部の近くに位置決めされ、複数のフック状の電極2555a、b/2560を介して膀胱の壁に固定されるように図示されており、この非限定的な例は監視セッションにおいて局所EMGを監視する電極機能をも備える。いくつかの態様において、埋め込み型デバイスは、EMG監視と連携して膀胱圧力を監視するための圧力感知先端部を備えることができる。埋め込み型デバイスは、ハウジング2550、および外部に配置された読み取り装置などと通信する(2575)ためのテザー2560を備える。テザー2560は、ハウジング2550と電気的にかつ機械的に結合され、尿道1を横断するように配置構成され、被験者の身体の外部に延在する。テザー2560は、監視セッションにおいて尿道1内の電気生理学的活動を評価するための1つまたは複数の電極2565a〜cを備えることができる。いくつかの態様において、テザー2560は、その通信範囲を改善するために表面近く、または被験者の体外にテザー2560の一領域内に適宜位置決めされた、アンテナを備えることができる。いくつかの態様において、テザー2560は、監視セッション、フォローアップ、治療などが完了した後に被験者から埋め込み型デバイスを引き抜くために使用され得る。
【0329】
いくつかの態様において、埋め込み型デバイス2550は、テザー2560に取り付けられた外部タブ・ハウジング2580を備えることができる。タブ・ハウジング2580は、手術後にインプラントを容易に取り外せるように構成されているものとしてよく、デバイスの埋め込み可能な部分のサイズを縮小することを許しつつハウジング2550内に備えられている感知先端部と通信するための電源、アンテナ、マイクロ電子回路などのうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0330】
いくつかの態様において、本開示による埋め込み型デバイスは、ハウジング2510、2550を手術部位の近くの組織に適切に接着するための1つまたは複数の生体接着剤を備えることができる。生体接着剤は、監視過程において異物応答を最小限にしやすいように、毒性がなく、汚れがなく、生体適合性を有するものとしてよい。いくつかの好適な生体接着剤として、とりわけ、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリイソシアネート・マクロマーまたは混合物(米国特許出願第2008/0339142号)、フィブリン・シーラント、架橋剤としてグルテアルデヒドを含むアルブミン接着剤、キトサンおよびポリ(エチレングリコール)から形成されるようなヒドロゲル(米国特許第6,602,952号)、レソルシノール−ホルムアルデヒド錯体を含むゼラチン系接着剤、水分散性を有する酸化された多糖類、マルチアーム・ポリエーテル・アミン(米国特許出願公開第2006/0078536号)が挙げられる。また、上記の生体接着剤は、術後回復期に埋め込み型デバイスを適所に保持する十分な安定性を有し、その一方で、妥当な期間のみ保持が維持される十分な生分解性を有するものとしてよい。尿流動態監視用途の場合、埋め込み型デバイスは、最大3週間、2週間、1週間、3日、または1日の間保持されるものとしてよい。
【0331】
いくつかの態様において、ハウジング2510、2550は、縫合糸またはステープルを受け付けるように適合された1つまたは複数の小穴を備えることができる。このような縫合糸またはステープルは、知られている保持期間の後に容易に脱着できるように生分解性を有するものであってよい。好適な材料のいくつかの例として、アミノ酸系族、ポリエステル・ウレタン、ポリエステル・アミド、ポリエステル尿素、ポリチオエステル、およびポリエステル・ウレタンが挙げられる。
【0332】
いくつかの態様において、埋め込み型デバイスまたはハウジング2510、2550は、膀胱2の周辺組織内に本開示による神経調節物質を持続放出するためのコーティング、室、剥離層などを備えることができる。いくつかの態様において、埋め込み型デバイスは、おそらく保持媒体(すなわち、ヒドロゲル・マトリックスなど)中に封じ込められている、神経調節物質を備えることができ、またこの物質は、外科手術時に留置した後、時間をかけて周辺組織中に浸出することができる。いくつかの態様において、神経調節物質は、強力な除神経剤(すなわち、神経毒、ボツリヌス毒素、テトロドトキシン、テトラエチルアンモニウム、クロロトキシン、クラーレ、コノトキシン、ブンガロトキシン、ヒ素、アンモニア、エタノール、ヘキサン、一酸化窒素、グルタミン酸塩、レシニフェラトキシン、アルコール、フェノールなど)、神経遮断剤(カプサイシン、麻酔薬、リドカイン、破傷風菌毒素、第四級アンモニウム塩、パッチークラーレ、レプトクラーレ、アセチルコリン、アミノステロイド、など)であるものとしてよい。
【0333】
いくつかの態様において、保持媒体は、ラジアル重合法(radial polymerization procedure)(すなわち、光重合)、クリック重合法(すなわち、オキシム・クリック化学ベースのヒドロゲル)、または同様のものを介して架橋するように構成され得る。生体スキャフォールド形成および生体接着剤の技術分野で知られているフォーム・イン・プレース・ヒドロゲルが、この用途で使用できるように適合され得る。
【0334】
いくつかの態様において、保持媒体は、1つまたは複数の生分解性の態様により、時間の経過とともに(すなわち、制御された様式で)保持媒体が崩壊し、さらに神経調節物質が周辺組織内に放出されるように構成され得る。
【0335】
いくつかの態様において、
図25a〜cで説明されている埋め込み型デバイスは、時間の経過とともに周辺組織に対する神経調節物質の効果を監視すること、外科手術に対するフォローアップなどを行うように構成され得る。
【0336】
図26は、本開示によるシステムの態様を示す。システムは、本開示による手術道具2620と1つまたは複数のケーブル、コネクタ2615などを介して結合された制御装置2610を備える。制御装置2610は、被験者6に手術を行う前(すなわち、較正、検査などを介して)、行っている間(すなわち、道具の態様を移動すること、温度、インピーダンスを監視することなどを介して)、および/または行った後に、使用者7が手術道具2610を相互作用するために利用する1つまたは複数のユーザー・インターフェースを備えることができる。制御装置2610は、使用者たち7のうちの1人または複数に外科手術、監視、またはマッピング2635過程のうちの1つまたは複数の態様を示すディスプレイ2630に結合(2650)され得る(すなわち、機械的にまたはワイヤレス方式で)。そのようなフィードバックの態様は、本開示全体を通して説明されている。
【0337】
図27a〜cは、本開示による手技を行っている間に外科手術用ディスプレイ上に生理応答をマッピングし、および/または重ね合わせるためのシステムの態様を示す。
図27aは、複数の標的組織9a、b(この場合、自然に得られる画像では見られない、動脈壁に沿って走る神経)を含む解剖学的構造8(この場合、動脈)の画像2700の態様を示している。画像2700は、本開示による複数の感知先端部(すなわち、ここではマイクロフィラメント2705内に埋め込まれている)を備える手術道具2710によって測定されるような電気生理学的活動の拡張現実ベースのオーバーレイと組み合わされる。手術道具2710は、それが組織を相互作用する(2715)(すなわち、それに対して置かれる、その方へ付勢される、その上で掃引されるなどの)ときにその付近の電気生理学的活動を示すように構成され得る。いくつかの態様において、拡張現実オーバーレイ2720は、組織の表面に治療を施すべき場所、異常な組織部位、または生理学的機能が測定されている場所などを外科医が判定するのを補助するために使用され得る。図示されているように、画像は、手術道具2710によって形成され、手術をその進行に合わせてガイドしやすくするために外科医用の画像2700上で強調表示されている一連の部位のアブレーション2730a〜dを含む。
【0338】
図27bは、微小血管系10の特徴部で覆われている臓器の壁を含む画像2701を示している。画像2701に示されているのは、使用者向けに強調表示された異常な活動のある領域2740、および本開示による手術道具2710で走査される領域2730である。手術道具2710は、本開示による複数の感知先端部(すなわち、本明細書では、マイクロフィラメント2705内に埋め込まれている)を接触することを目的としている表面と接触させるように表面上を掃引する(2715)。
【0339】
図27cは、感知先端部と組織部位との間の接点2740のアレイを強調表示する走査の領域2730を示している。巨視的な電気生理学的活動のオーバーレイが、感知先端部によって得られる微視的電気生理学的信号から形成される輪郭2755、2750を強調表示する領域2730の上に示されている。図示されているように、輪郭2750は、治療、さらなる調査、などを必要とし得る、活動の潜在的発生源を示す。
【0340】
図28は、本開示による外科手術を行うためのシステムの態様を示す。システムは、身体、被験者、患者などの体内の手術部位2801と接触しているように示されている。システムは、本開示による手術道具2810を備える。使用時に、手術道具2810は、本開示により手術部位2801と相互作用する(2812)ように構成される。いくつかの態様において、手術道具2810は、コネクタ2820に結合され、コネクタは手術道具2810とシステムの1つまたは複数の他のモジュールとの間の機械的、電気的、および/または光学的インターフェースを構成するものとしてよい。いくつかの態様において、手術道具2810は、本開示による埋め込み型局所マイクロ回路2815a(マイクロ回路、スイッチ・ネットワーク、信号調整回路など)を備えることができる。いくつかの態様において、コネクタ2820は、本開示による局所マイクロ回路2815bを備えることができる。いくつかの態様において、コネクタ2820は、操作入力デバイス2825(すなわち、フット・ペダル、前進スライダー、トルク発生機構、記録ボタン、アブレーション・ボタンなど)に結合され得る。いくつかの態様において、コネクタ2820は、手術道具2810から1つまたは複数の信号を受け付けること、1つまたは複数の制御信号をそれに通信すること、1つまたは複数の脈動および/または高周波信号をマイクロコントローラに送信すること、マイクロ手術道具から1つまたは複数の電気生理学的信号を記録すること、または同様の操作を行うように構成された制御ユニット2830に結合され得る。
【0341】
いくつかの態様において、制御ユニット2830は、手術道具2810で少なくとも一部は得られた記録された信号の1つまたは複数の態様を手術者に示すこと、記録された信号、監視に関係する1つまたは複数の計量、1つまたは複数の診断検査結果、1つまたは複数の尿流動態検査結果などに少なくとも部分的に依存するマップを提示することを行うように構成されたディスプレイ2835に接続され得る。
【0342】
いくつかの態様において、制御ユニット2830は、外科サブシステム2840に結合され、外科サブシステム2840は外科手術2845を手術部位2801に行うように構成され得る。好適な外科手術のいくつかの非限定的な例として、アブレーション、冷凍アブレーション、切開、切断、焼くこと、高周波アブレーション、放射線外科手術、超音波アブレーション、研磨、生検、および物質の送達(すなわち、本開示による神経調節物質)が挙げられる。制御ユニット2830は、手術道具2810によって伝送される電気生理学的信号のうちの1つまたは複数に基づき、外科手術2840の1つまたは複数の態様に対するフィードバックに影響を与え、フィードバックを導き、フィードバックを制御し、および/またはフィードバックを供給するように構成され得る。
【0343】
本開示による外科手術を行うためのいくつかの非限定的な方法をここで説明する。
【0344】
いくつかの態様において、体内の臓器(例えば、腸壁、胃、腎臓、腺、動脈、静脈、腎動脈、腎臓、脾臓、膵臓、前立腺、膀胱など)の手術部位をアドレスするための方法を考察する。この方法は、1つまたは複数の基準信号を判定するために臓器の壁またはそれに接続されている入口に沿って1つまたは複数の測定位置で本開示により1つまたは複数の局所生理学的信号(例えば、誘発電位、神経活動、MSNA、EMG、MMG、局所電場電位、交感神経の緊張変化など)を監視することと、1つまたは複数の手術位置または近くの位置(例えば、測定される位置の1つまたは複数の近位、遠位、離れた場所、および/または同一の場所)で本開示による外科手術の少なくとも一部(例えば、アブレーション、切開、冷凍アブレーション、切断、焼くこと、RFアブレーション、研磨、放射線外科手術、生検、物質の送達など)を行うことと、1つまたは複数の更新された信号を判定するために測定位置の1つまたは複数で1つまたは複数の生理学的信号を監視することと、1つまたは複数の基準信号を1つまたは複数の更新された信号と比較して外科手術の完了の程度を判定することとを含む。
【0345】
いくつかの態様において、完了の程度は、局所生理学的または電気生理学的信号の1つまたは複数の少なくとも一部の変化、低減、および/または実質的排除(例えば、周波数帯域の振幅の低減、応答性の低下、測定位置による遅れの変化、測定位置の間のクロストークの変化、信号の実質的排除など)を含み得る。
【0346】
いくつかの態様において、完了の程度は、外科手術の影響を受ける部位から(すなわち、外科手術が行われた場所の遠位にある第1の部位から、およびこれらの部位で測定された神経連絡に関する外科手術が行われた場所の近位の第2の部位から)得られた2つまたはそれ以上の信号の間の干渉の変化を測定することを含み得る。
【0347】
いくつかの態様において、この手技は、一時的神経遮断を実行するものであってよい。この態様では、この方法は、一時的遮断のいずれかの側から求心性および遠心性の連絡を分離すること、影響を受ける知覚受容体からの連絡を減少させること(すなわち、1つまたは複数の知覚受容体への神経遮断を引き起こしたとき)などを行うために使用され、これにより、疾病のさらなる分析、診断、神経活動もしくは機能性の評価、または同様のことを行うことができる。いくつかの態様において、分析からそのような実質的に永久的な遮断が必要とされることがわかる場合に一時的遮断の後により永久的な遮断が続き得る。
【0348】
いくつかの態様において、更新された信号を判定するために監視するステップは、外科手術の少なくとも一部を行うステップの前、ステップの実行中、および/またはステップの後に実行され得る。いくつかの態様において、監視、刺激印加、およびアブレーションは、連続して、および/または平行して実行され得る。
【0349】
いくつかの態様において、この方法は、表面を監視し、刺激を印加し、および/またはアブレーションを行いながら臓器壁の上で1つまたは複数の電極を掃引することを含み得る。いくつかの態様において、同時監視および掃引は、臓器壁に沿った神経活動のマップを生成するために使用され得る。いくつかの態様において、この方法は、1つまたは複数の電極を臓器壁内に、その内腔から電極を絶縁するように貫通させるか、または埋め込むことを含み得る。
【0350】
外科手術の少なくとも一部を行うステップを繰り返すことができる。したがって、この方法の態様は、漸進的に適用され、外科手術を過剰に施すことなく段階的過程で完了に向かって進むことができる。
【0351】
この方法は、外科手術の少なくとも一部を行った後に待機することを含み得る。監視は、この待機手順において実行され、これにより、おそらく、局所生理学的信号に対する回復期(すなわち、局所生理学的信号が回復する期間)を決定することができる。このような回復期は、完了の程度を示す指標とすることができる。
【0352】
いくつかの態様において、この方法は、1つまたは複数の刺激位置(測定位置および/または外科手術位置のうちの1つまたは複数の近位、遠位、そこから離れた場所、および/またはそれと同一の場所)を刺激することを含み得る。刺激するステップは、外科手術の少なくとも一部を行うステップおよび/または基準および/または更新信号を判定するため監視するステップと連携させることができる。刺激は、本開示によるいくつかの形態で与えられ得る。いくつかの態様において、刺激は、1つまたは複数の電流パルス、1つまたは複数の電圧パルス、これらの組み合わせ、または同様のものを含み得る。刺激するステップは、背景雑音および/または局所生理学的活動の存在下で、1つまたは複数の測定位置の、および/または2つまたはそれ以上の測定位置の間の更新信号を評価するのに有利な場合がある。
【0353】
いくつかの態様において、この方法は、更新された遠隔生理学的信号および/または基準遠隔生理学的信号を判定するために、手術部位のすぐ付近から実質的に取り除かれる離れた場所(例えば、代替的臓器、関係する生物学的過程に関連する部位、臓器、神経節、神経などの付近の)で本開示による1つまたは複数の遠隔生理学的パラメータを監視することを含み得る。
【0354】
監視され得る遠隔生理学的パラメータのいくつかの非制限的な例として、水濃度、緊張、局部組織の血液酸素飽和度、誘発電位、神経活動の刺激/感知、局所電場電位、筋電図、温度、血圧、血管拡張、血管壁剛性、筋交感神経活動(MSNA)、中枢交感神経衝動(例えば、1分当たりのバースト、心拍毎のバースト、など)、組織緊張、血流(例えば、動脈を通る、腎動脈を通る)、血流差分信号(例えば、身体、血管、臓器などの構造内の血流の著しい異常および/または急変)、血液灌流(例えば、臓器、目などへの)、血液検体レベル(例えば、ホルモン濃度、ノルエピネフリン、カテコールアミン、レニン、アンギオテンシンII、イオン濃度、水位、酸素レベルなど)、神経連絡(例えば、腓骨神経、腹腔神経節、上腸間膜神経節、大動脈腎動脈神経節、腎神経節、および/または関係する神経系の構造内の節後神経連絡)、これらの組み合わせ、および同様のものが挙げられる。
【0355】
更新された遠隔生理学的信号および/または基準遠隔生理学的信号は、1つまたは複数の基準信号、および/または1つまたは複数の更新された信号と組み合わされ、および/または比較され、これにより、外科手術の完了の程度を、意思決定過程の一部として、および/または外科制御システムの一部として判定することができる(すなわち、外科手術を続けるか、停止するか、または変更するかを決定する)。
【0356】
いくつかの態様において、この方法は、外科手術位置を選択することを含み得る。選択のステップは、1つまたは複数の監視ステップ、代替的外科手術位置(すなわち、おそらくすでに治療されている外科手術位置、見込まれている外科手術位置など)への近接度に依存し得る。
【0357】
いくつかの態様において、この方法は、注目している1つまたは複数の解剖学的部位、異常な活動のある1つまたは複数の領域などを突き止めるために監視しながら内腔および/または血管の壁を掃引することを含み得る。
【0358】
いくつかの態様において、監視、比較、分析、診断、および/または治療のステップは、順次完了することができる。代替的に、それに加えて、または組み合わせて、監視のステップは、手技を通して効果的に連続的に適用され得る。比較は、監視の1つまたは複数のステップから得られる1つまたは複数のデータ点を使用して行うことができる。比較は、1つまたは複数の測定のアルゴリズムに関する組み合わせで実行され得る。
【0359】
いくつかの態様において、監視のステップは、第1の期間に1つまたは複数の電気生理学的パラメータを抽出し、第2の期間に印加される電場(すなわち、刺激および/またはアブレーション事象によって引き起こされるような)を監視するために使用され得る。
【0360】
いくつかの態様において、この方法は、1つまたは複数の測定から(例えば、信号の1つまたは複数から)トポロジカルマップを生成することを含み得る。この方法は、生理学的信号のうちの1つまたは複数から導出される手術部位の付近の生理学的機能性のトポロジカルマップを決定することを含み得る。この方法は、外科手術の少なくとも一部を行うステップの後にトポロジカルマップを更新することを含み得る。この方法は、掃引過程(すなわち、縦方向の掃引、周上の掃引、螺旋状の掃引など)においてマップを生成することを含み得る。
【0361】
いくつかの態様において、この方法は、複数の手術道具、外科手術位置のうちの1つまたは複数にアクセスするために留置される1つまたは複数の手術道具(すなわち、手術用の道具)、および監視位置のうちの1つまたは複数にアクセスするために留置される1つまたは複数の手術道具(すなわち、監視用の道具)の留置を含み得る。非限定的な一例において、手術用の道具は、第1の臓器(例えば、膀胱壁、腸壁、胃壁、腎臓、腺、腎動脈、左腎動脈など)上に留置され、監視用の道具は、第2の臓器(例えば、対向する腎動脈、右腎動脈、大腿動脈、腸骨動脈、膣、子宮、直腸、仙骨の付近など)に留置され得る。したがって、監視用の道具は、第2の臓器上の測定位置の1つまたは複数を監視するために使用され得る。手術用の道具は、第1の臓器上の1つまたは複数の外科手術位置を外科治療するために使用され得る。それに加えて、代替的に、または組み合わせて、手術用の道具は、第1の臓器上の1つまたは複数の監視位置を、おそらく監視用の道具によって第2の臓器上で実行される監視と組み合わせて監視することができる。
【0362】
いくつかの態様において、この方法は、本開示による1つまたは複数の手術道具で実行され得る。
【0363】
監視の1つまたは複数のステップは、本開示による1つまたは複数の感知先端部で実行され得る。
【0364】
外科手術の少なくとも一部を行う1つまたは複数のステップは、本開示による1つまたは複数の感知先端部で実行され得る。
【0365】
いくつかの態様において、組織に対してRFアブレーションを行うための方法が提供される。このような方法を実施するときに、局部組織緊張が、個別のRFパルスの発生前、発生中、その間、および/またはRFパルスの列の発生後に測定され得る。RFパルスの印加時に局部組織緊張が変化するときに、治療の程度を判定するために緊張変化が使用され得る。手術の完了の程度を判定するために、RFアブレーション処理が隣接する組織に(おそらく、1つまたは複数の感知先端部を介して)施されるときに、緊張測定(1つまたは複数の感知先端部、おそらくRF信号が印加される際に通る同じチップによって決定されるような)が監視され得る。そのようなアプローチは、緊張測定技術がRFアブレーション手技に関連する局所RF電流の影響をあまり受けないので有利な場合がある。
【0366】
いくつかの態様において、インターベンショナリスト/手術者は、本開示によるカテーテルを尿道内に挿入して膀胱にカニューレを挿入することができる。いくつかの態様において、ガイディング・カテーテルをこの目的のために使用し、1つまたは複数の手術道具を送達する際に使用する安定した基準を形成することができる。いくつかの態様において、本開示による手術道具は、ガイディング・カテーテルを通して留置され得る。
【0367】
いくつかの態様において、インターベンショナリスト/手術者は、本開示による手術道具を、経皮的アプローチを介して、おそらく代替的な方向から意図された臓器に近づくために可視化支援手段による誘導(すなわち、超音波誘導、放射線外科誘導など)の下で、挿入することができる。いくつかの態様において、尿道および経皮的アプローチの組み合わせを連携させることができる(すなわち、道具を多数使う手術の場合)。
【0368】
いくつかの態様において、電極は、それに対して付勢された場合に臓器壁内を貫通する構成および寸法を有するものとしてよい。電極は、電極の1つまたは複数を内膜、粘膜、粘膜下層、移行上皮、筋層、排尿筋、縦筋層、輪筋層、外膜、腹膜、臓器壁(すなわち、膀胱、子宮など)、または測定される付近の外膜内に貫通させるよう強制され得る。いくつかの態様において、1つまたは複数の電極は、微視的または巨視的空間記録を行うように構成され得る。いくつかの態様において、複数の微視的構成の電極が、微視的空間的記録の集合から1つまたは複数の巨視的空間的記録を生成するために使用され得る。適切な記録期間の後、デバイスは、ガイディング・カテーテル内に引き込まれ、身体から取り出されるものとしてよい。
【0369】
いくつかの態様において、貫通電極を含む/支持する本開示による基板、バルーン壁、マイクロフィンガー、フィラメントなどは、そのような手技を行う時に壁内への貫通の深さを制限するように構成された1つまたは複数の特徴部を備えることができる。いくつかの態様において、そのような深さ制限特徴部は、仕切り、フランジ、隆起部、カラー、直径部分の段(すなわち、マイクロフィンガー、またはフィラメントなどの場合)、これらの組み合わせ、または同様のものを含み得る。いくつかの態様において、バルーン壁または基板装着貫通電極は、バルーン壁または基板それ自体を越える電極の打ち出しされた高さ(すなわち、針の高さ、打ち出しされた高さなど)を介して隣接する組織表面内への貫通の深さを制限するように構成され得る。
【0370】
追加の利点および修正は、当業者が容易に思いつくものであることは理解されるであろう。したがって、本明細書に掲示されている開示およびそのより広範な態様は、特定の詳細、および図示され、本明細書で説明されている代表的な実施形態に限定されない。したがって、付属の請求項およびその等価物によって定義されているような本発明の一般的な概念の精神または範囲から逸脱することなく多数の変更、均等物、および改良を含めることができる。