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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335901
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】事前補償光テープウォブルパターン
(51)【国際特許分類】
   G11B 7/0045 20060101AFI20180521BHJP
   G11B 7/003 20060101ALI20180521BHJP
   G11B 20/10 20060101ALI20180521BHJP
   G11B 7/24082 20130101ALI20180521BHJP
【FI】
   G11B7/0045 Z
   G11B7/003
   G11B20/10 311
   G11B7/24082
【請求項の数】11
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-533240(P2015-533240)
(86)(22)【出願日】2013年9月23日
(65)【公表番号】特表2015-534205(P2015-534205A)
(43)【公表日】2015年11月26日
(86)【国際出願番号】US2013061118
(87)【国際公開番号】WO2014052219
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2016年9月15日
(31)【優先権主張番号】13/626,414
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マフナド,ファラマルズ
【審査官】 川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0141868(US,A1)
【文献】 特開昭64−043827(JP,A)
【文献】 特開平02−278567(JP,A)
【文献】 特開昭57−164442(JP,A)
【文献】 特表2009−526342(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0206477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11B 7/00 − 7/013
G11B 7/24 − 7/2595
G11B 20/10 − 20/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学媒体上のデータを符号化する方法であって、
前記光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成するステップと、
事前補償ウォブルパターンを生成するために前記非補償ウォブルパターンにフィルタを適用するステップとを備え、前記事前補償ウォブルパターンは、ノイズのある状態において前記事前補償ウォブルパターンを示す信号に前記フィルタのインバースを適用した場合に、ノイズが抑制されて前記非補償ウォブルパターンが実質的に回復するように生成され、前記方法はさらに、
前記光学媒体上に前記事前補償ウォブルパターンをエンボス加工するステップとを備え
ウォブルパターンはキャリア周波数を有し、前記フィルタは、前記キャリア周波数を中心とするインバースバンドパスフィルタである、方法。
【請求項2】
光学媒体上のデータを符号化する方法であって、
前記光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成するステップと、
事前補償ウォブルパターンを生成するために前記非補償ウォブルパターンにフィルタを適用するステップとを備え、前記事前補償ウォブルパターンは、ノイズのある状態において前記事前補償ウォブルパターンを示す信号に前記フィルタのインバースを適用した場合に、ノイズが抑制されて前記非補償ウォブルパターンが実質的に回復するように生成され、前記方法はさらに、
前記光学媒体上に前記事前補償ウォブルパターンをエンボス加工するステップとを備え、
ウォブルパターンはキャリア周波数を有し、前記フィルタは、前記キャリア周波数に折点周波数を有するインバースローパスフィルタである、方法。
【請求項3】
ウォブルパターンは、アドレスインデックスサブフィールドを示すデュアルサイクル位相変調ウォブルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ウォブルパターンは、アドレスビットサブフィールドを示すデュアルサイクルウォブルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
ウォブルパターンは、タイミング回復サブフィールドを示すマルチサイクルウォブルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
光学媒体符号化システムであって、
光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成し、事前補償ウォブルパターンを生成するために非補償ウォブルパターンにフィルタを適用するように構成されるエンコーダを備え、前記事前補償ウォブルパターンは、ノイズのある状態において前記事前補償ウォブルパターンを示す信号に前記フィルタのインバースが適用された場合にノイズが抑制されて前記非補償ウォブルパターンが実質的に回復し、
ウォブルパターンはキャリア周波数を有し、前記フィルタは、前記キャリア周波数を中心とするインバースバンドパスフィルタである、光学媒体符号化システム。
【請求項7】
光学媒体符号化システムであって、
光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成し、事前補償ウォブルパターンを生成するために非補償ウォブルパターンにフィルタを適用するように構成されるエンコーダを備え、前記事前補償ウォブルパターンは、ノイズのある状態において前記事前補償ウォブルパターンを示す信号に前記フィルタのインバースが適用された場合にノイズが抑制されて前記非補償ウォブルパターンが実質的に回復し、
ウォブルパターンはキャリア周波数を有し、前記フィルタは、前記キャリア周波数に折点周波数を有するインバースローパスフィルタである、光学媒体符号化システム。
【請求項8】
ウォブルパターンは、アドレスインデックスサブフィールドを示すデュアルサイクル位相変調ウォブルを含む、請求項6または7に記載の光学媒体符号化システム。
【請求項9】
ウォブルパターンは、アドレスビットサブフィールドを示すデュアルサイクルウォブルを含む、請求項6または7に記載の光学媒体符号化システム。
【請求項10】
ウォブルパターンは、タイミング回復サブフィールドを示すマルチサイクルウォブルを含む、請求項6または7に記載の光学媒体符号化システム。
【請求項11】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令は、コンピュータによって実行されると、前記コンピュータに、(i)光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成させ、(ii)事前補償ウォブルパターンを生成するために前記非補償ウォブルパターンにフィルタを適用させ、前記事前補償ウォブルパターンは、前記事前補償ウォブルパターンを示す信号に前記フィルタのインバースが適用された場合にノイズが抑制されて前記非補償ウォブルパターンが実質的に回復するように生成され
ウォブルパターンはキャリア周波数を有し、前記フィルタは、前記キャリア周波数を中心とするインバースバンドパスフィルタ、または、前記キャリア周波数に折点周波数を有するインバースローパスフィルタである、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、光テープ、ならびに光テープ上の情報の符号化およびノイズがある状態における情報の復号化に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
縁部がウォブルしたランドおよびグルーブのトラックを有する光学媒体をプリフォーマットすることは、媒体上に記録トラックアドレスを埋め込むための効果的な方法である。ウォブルパターンブロックは、通常、周波数、振幅、または位相が変調された正弦波の列であり、媒体記録トラックの完全なアドレスフィールドのための構成ブロックとして利用される。これらのアドレスフィールドは、通常、インデックスサブフィールド(IF)、タイミング回復サブフィールド(TRF)、およびアドレスビットサブフィールド(AF)を含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
概要
光学媒体上のデータを符号化する方法は、光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成するステップと、事前補償ウォブルパターンを生成するために非補償ウォブルパターンにフィルタを適用するステップとを含み、事前補償ウォブルパターンは、ノイズがある状態において事前補償ウォブルパターンを示す信号にフィルタのインバースを適用した場合にノイズが抑制されて非補償ウォブルパターンが実質的に回復するように生成される。方法は、光学媒体上に事前補償ウォブルパターンをエンボス加工するステップをさらに含む。
【0004】
光学媒体符号化システムは、エンコーダを含む。エンコーダは、光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成し、事前補償ウォブルパターンを生成するために非補償ウォブルパターンにフィルタを適用する。事前補償ウォブルパターンは、ノイズがある状態において事前補償ウォブルパターンを示す信号にフィルタのインバースを適用した場合にノイズが抑制されて非補償ウォブルパターンが実質的に回復するように生成される。
【0005】
コンピュータ読取可能媒体は、そこに記憶される命令を有する。命令は、コンピュータによって実行された場合、コンピュータに、光学媒体のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す非補償ウォブルパターンを生成させ、事前補償ウォブルパターンを生成するために非補償ウォブルパターンにフィルタを適用させる。事前補償ウォブルパターンは、ノイズがある状態において事前補償ウォブルパターンを示す信号にフィルタのインバースが適用された場合にノイズが抑制されて非補償ウォブルパターンが実質的に回復するように生成される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】インデックスブロック波形を示す図である。
図2】アドレスビットブロック波形を示す図である。
図3】タイミング回復ブロック波形を示す図である。
図4図1から図3のブロックを含むアドレスパターン波形を示す図である。
図5】トラックアドレスデコーダを示すブロック図である。
図6】ウォブルパターン波形(ノイズなし)をその遅延バージョンに加え、得られるインデックスパターン波形を示す図である。
図7】ウォブルパターン波形(ノイズなし)および得られるインデックスパターン波形を示す図である。
図8】フィルタリングされていないウォブルパターン波形(ノイズあり)および得られるインデックスパターン波形を示す図である。
図9】フィルタリングされたウォブルパターン波形および得られるインデックスパターン波形を示す図である。
図10】信号処理システムを示すブロック図である。
図11】信号処理システムを示すブロック図である。
図12】ノイズのないウォブルフォーマットパターン生成部からの波形出力を示す図である。
図13】ノイズのあるウォブルフォーマットパターン生成部からの波形出力を示す図である。
図14】バンドパスフィルタの波形出力を示す図である。
図15】2サイクルテープフォーマットにおけるインデックスパターンのための波形を示す図である。
図16】2サイクルテープフォーマットにおける「1」ビットのための波形を示す図である。
図17】2サイクルテープフォーマットにおけるアドレスのための波形を示す図である。
図18図15のインデックスパターンに調整された整合フィルタの適用を示す図である。
図19図18の整合フィルタの適用の結果を示す図である。
図20図16の「1」ビットパターンに調整された整合フィルタの適用を示す図である。
図21】インデックスを確認するためのタイミング要件を示す図である。
図22】インデックスと、3つの「1」ビットと、アドレスビットとを有する波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
詳細な説明
本開示の実施形態がここに記載される。しかしながら、開示される実施形態は単に例であって他の実施形態が様々な代替的な形態を取り得ることが理解される。図面は必ずしも縮尺どおりでなく、一部の特徴は、特定の構成部品の詳細を示すために強調または最小化される。このため、ここに開示される具体的な構造および機能の詳細は、限定として解釈されるものではなく、当業者が本発明を様々な態様で採用するよう教示するための代表的な基準に過ぎない。当業者が理解するように、明示的に例示または記載されていない実施形態を作り出すために、図面のいずれかを参照して例示および記載される様々な特徴を1つ以上の他の図面に例示される特徴と組み合わせることができる。例示される特徴を組み合わせることにより、典型的な適用のための代表的な実施形態がもたらされる。しかしながら、本開示の教示に従う特徴の様々な組み合わせおよび変形が特定の適用および実施に望まれ得る。
【0008】
図1から図4を参照し、図1のインデックスブロック、図2のアドレスビットブロック、および図3のタイミング回復ブロックなどのデュアルサイクルウォブルブロックパターンが、光テープ媒体のための図4のパターンなどのアドレスフィールドブロックの基礎的要素の例として実施されてきた。位相変調デュアルサイクルブロックは、この例において、インデックスもしくはシンクフィールド(IF)を示し、インデックスフィールドの周りのモノトーンサイクルフィールドの集合(TRF)は、デコーダのタイミング回復のために使用され得て、8つの後続のサイクルの対は、アドレスフィールド(AF)の8ビットを示す。
【0009】
図5および図6を参照すると、トラックアドレスデコーダ10は、遅延フィルタ12と、閾値検知部18と、位相ロックループ(PLL)20と、シンクロナイザ22と、同期整流部24と、同期再設定可能インテグレータ(synchronized resettable integrator)26と、閾値検知部28とを含み得る。遅延フィルタ12は、遅延ブロック14とサムブロック(sum block)16とを含み得る。図6のウォブルパターンなどのウォブルパターンは、遅延ブロック14およびサムブロック16に入力され得る。図6の遅延パターンなど、遅延ブロック14から得られる出力は、サムブロック16にも入力され得る。図6のインデックスパターンなど、サムブロック16から得られる出力は、閾値検知部18に入力され得る。閾値検知部18の出力および図6のウォブルパターンは、位相ロックループ20に入力され得る。位相ロックループ20から得られる出力は、シンクロナイザ22に入力され得る。シンクロナイザ22の出力および図6のウォブルパターンは、同期整流部24に入力され得る。同期整流部24から得られる出力および図6のウォブルパターンは、同期再設定可能インテグレータ26に入力され得る。同期再設定可能インテグレータ26から得られる出力は、閾値検知部28に入力され得る。この配置において、閾値検知部28の出力は、ウォブルパターンに関連付けられたアドレスをもたらす。
【0010】
遅延フィルタもしくはバッファ12は、元のウォブルパターンと比して半サイクル遅延したパターンを生成する。2つのパターンをサムブロック16で加えることにより、インデックスパターンのピーク値がインデックス閾値を超えた場合に閾値比較部18によって検知することができる検知可能シンク半サイクル(インデックス)がもたらされる。ひとたび検知されると、図4を参照して説明されるタイミング回復サブフィールドのモノトーンパターンに対してロックされる位相ロックループ20は、アドレスサブフィールドの各ビットのタイミングを確立し、アドレスは、先行技術において既知のシンクロナイザ22、同期整流部24、同期再設定可能インテグレータ26、および閾値検知部28を介して復号化される。
【0011】
光学式記録システムにおけるウォブルパターンは媒体のノイズおよび不完全なプリフォーマット処理の影響を受けやすいことから、堅牢かつ効率的なトラックアドレス符号化/復号化スキームは、信頼性の高いデータの再符号化および回復に有用となり得る。この影響の受けやすさは、読み取り/書き込みチャネルのシンボル間干渉によって加えられる制限によって、物理的なウォブルナノ構造の振幅がランド・グルーブ構造と比較して小さくなるという事実によるものである。これ故に、特定の例において効果的なウォブル信号パターンの信号対ノイズ比(SNR)を向上させ得るウォブル符号化、事前補償、および復号化技術がここに開示される。
【0012】
事前補償ウォブルパターン
図7および図8をそれぞれ参照すると、例示的なデコーダの性能が、チャネルにノイズのない状態およびノイズのある状態のそれぞれにおいて検査される。過度のノイズがある状態において、データに埋め込まれた信号と信号に関連付けられたノイズとをデコーダが識別できなくなり得ることから、デコーダの機能の信頼性が損なわれ得る。ウォブルパターン(ノイズあり)のインデックスフィールドに対応しないインデックスパターン(ノイズあり)のピーク値は、たとえば、インデックス閾値を超え得る。これにより、デコーダがインデックスフィールドを誤って検知し得る。同様に、ウォブルパターン(ノイズあり)のインデックスフィールドに対応するインデックスパターン(ノイズあり)のピーク値は、たとえば、インデックス閾値を超え得ない。これにより、デコーダがインデックスフィールドを検知し得ない。
【0013】
図9を参照すると、インデックスパターンSNRは、パターンキャリア周波数を中心とするウォブル信号に対してナローバンドパス(BP)フィルタを適用することによって向上させることができる。しかしながら、ウォブル信号はその振幅および位相が変調されていることから、ナローBPを適用することによってパターンの形状を変化させることができ、デコーダの性能に影響を与えることができる。すなわち、デコーダはフィルタリングされたインデックス信号を復号化することが不可能となり得る。これは、たとえば、インデックス閾値信号を超えるフィルタリングされたインデックスのピーク値がもはやアドレスインデックスブロックに対応し得ないためである。
【0014】
特定の事前補償の方法として、媒体のインプリント(フォーマット)前にウォブルパターンに対してインバースフィルタ(たとえば、キャリア周波数を中心とするインバースBPフィルタ、キャリア周波数に折点周波数を有するインバースローパス(LP)フィルタなど)を適用することができる。媒体上にインプリントされたウォブルパターンは、読み出されたウォブルパターンに対してデコーダのフィルタリング(BPフィルタリング、LPフィルタリングなど)を行うことによってフィルタの出力に(実質的に)元の信号形状が得られるように事前補償される。
【0015】
図10を参照すると、従来の信号処理ブロック図は、光学媒体34のための媒体プリフォーマット処理30とドライブアドレス復号化処理32とを含む。プリフォーマット処理30において、トラックアドレス情報36がウォブルフォーマットパターン生成部38に入力され、光学媒体34がプリフォーマットされる。ドライブアドレス復号化処理32において、光学ピックアップユニット40が光学媒体34からデータを読み取る。そして、先行技術において既知のように、データはウォブルパターン検知部42およびトラックアドレスデコーダ44に入力される。しかしながら、上述したように、ドライブアドレス復号化処理32は、信号に関連付けられた過剰なノイズによって妨げられ得る。
【0016】
図11を参照すると、向上した信号処理ブロック図の例は、光学媒体50のための媒体プリフォーマット処理46とドライブアドレス復号化処理48とを含む。プリフォーマット処理46において、トラックアドレス情報52がウォブルパターンフォーマット生成部54に入力される。ウォブルパターンフォーマット生成部54は、特定の例において、光学媒体50のトラックアドレスのためのアドレスパターンを示す振幅および位相の変調された非補償ウォブルパターンを生成する。インバースBPフィルタ56は、非補償ウォブルパターンを事前補償するために適用される。そして、事前補償ウォブルパターンは、光学媒体50上にエンボス加工(emboss)される。
【0017】
ドライブアドレス復号化処理48において、光学ピックアップユニット58は、光学媒体50からデータを読み取る。そして、データは、ウォブルパターン検知部60、BPフィルタ62、およびトラックアドレスデコーダ64に入力される。しかしながら、BPフィルタ62を適用しても、トラックアドレスデコーダ64が認識不能となるようにウォブルパターンの形状は変化しない。これは、BPフィルタ62の適用に関連付けられた形状変更効果を考慮に入れるようにインバースBPフィルタ56がウォブルパターンを事前補償するためである。
【0018】
図12および図13をそれぞれ参照すると、ウォブルフォーマットパターン生成部54(元のウォブルパターン信号)およびインバースBPフィルタ56(事前補償ウォブルパターン信号)からのチャネルにおける例示的な出力が、ノイズのない場合とノイズのある場合について示される。上記のように、光学媒体50に対してエンボス加工を行う前にBPフィルタ56を適用することにより、ドライブアドレス復号化処理48におけるBPフィルタ62の適用後にウォブルパターンがトラックアドレスデコーダ64によって復号化され得るように、ウォブルパターンの波形が変更される。
【0019】
図14を参照すると、BPフィルタ62からの例示的な出力(フィルタリングされたウォブルパターン)が、図5を参照して記載されたインデックスパターンにそれ自体の遅延バージョンを加えることによって得られたパターンとともに示される。BPフィルタリングにより、ノイズが抑制され、実質的に元のウォブルアドレスパターンが得られる。上述のように、信号は次に、図5のトラックアドレスデコーダ10とほぼ同様に動作するトラックアドレスデコーダ64に入力される。したがって、トラックアドレスデコーダのインデックスデコーダは、ノイズがあったとしても、閾値を超えるインデックスウォブルパターンを検知することによってインデックスウォブルパターンのシンクフィールドを検知することができる。これは、元のウォブル信号のサイクルパターン形状の変化が小さいためである。すなわち、インデックス閾値よりも大きいピーク値は、復号化されたウォブルパターンのアドレスインデックスブロックに依然として対応する。
【0020】
整合フィルタに基づく光テープの復号化
図15から図17を参照すると、所定のテープフォーマットにおけるトラックアドレスは、上述のような一連の正弦波に符号化され得る。アドレスビットのブロックは、図15のインデックスパターンなどのインデックスパターンによって描かれる。アドレスは、図16の「1」ビット波形など、マルチサイクル(たとえば、デュアルサイクル)を伴うグレイ符号化された値として符号化される。図16では、「1」ビット、および「1」ビットのない「0」ビットが示される。たとえばトラッキングノイズのある状態における図15および図16の波形を含む図17のアドレスパターンについての急速かつ信頼性の高いアドレス復号化は、適時のデータ読み取りおよび書き込みを促すことができる。ここに記載の技術は、インデックスおよびビット検知のための整合フィルタ手法を用いてアドレスを復号化することができる。これらの整合フィルタは、特定の状況において有利となり得る。これは、帯域外信号ノイズを排除するそれらの能力によるものである。
【0021】
1つの例において、トラックアドレス情報は、2つの異なる整合フィルタを用いて復号化することができる。一方は、図15のインデックス波形を示す係数を有し、他方は、図16の「1」ビット波形を示す係数を有する。図18を参照すると、図17のアドレス波形などのアドレス波形内において符号化されたインデックスは、マルチプライヤ68およびインテグレータ70を含む整合フィルタ66を適用することによって検知することができ、以下の式に従って図15のデュアルサイクル波形に調整することができる。
【0022】
【数1】
【0023】
ここで、Ri(T)はフィルタ66の出力であり、Tはデコーダのサンプル時間(T=1、2、3、・・・)である。つまり、フィルタ出力Ri(T)は、インデックス波形l(n)およびアドレス波形A(n)の合成積である。異なる方法において、図15に示されるものに類似するプロトタイプのデュアルサイクルインデックス信号パターン72は、図17に示されるものに類似のアドレスパターン74とともにマルチプライヤ68に入力され得て、マルチプライヤ68の出力はインテグレータ70に入力される。
【0024】
図19を参照すると、インテグレータ70の出力が示される。インデックス検知は、ピーク信号値が所定の閾値を超えた場合に起こる。この閾値は、たとえば実験などによって各符号化スキームについて判定され得る。アドレスデコーダはまずインデックスを検索する。ひとたび検知されると、モードが切り替わり、インデックスの場所を確認するためにビットの所定のパターンを検索する。
【0025】
図20を参照すると、「1」ビットは、マルチプライヤ78とインテグレータ80とを含む整合フィルタ76を適用することによって検知され、以下に従って図16の「1」ビット波形に調整され得る。
【0026】
【数2】
【0027】
Ra(T)は、フィルタ76の出力であり、Tはデコーダのサンプル時間である(T=0、1、2、3・・・)。つまり、フィルタ出力Ra(T)は、「1」ビット波形a(n)およびアドレス波形A(n)の合成積である。異なる方法において、図16に示されるものと同様のプロトタイプ「1」ビット信号パターン82が、図17に示されるものと同様のアドレスパターン84とともにマルチプライヤ78に入力され得て、マルチプライヤ78の出力がインテグレータ80に入力される。
【0028】
図21を参照すると、インテグレータ80の出力が示される。特定のアドレスフォーマットにおいて、インデックス波形の後の所定時間において3つの「1」ビットが配置される。インデックスは、これら3つの「1」ビットを検知することによって確認され得る。「1」ビットは、図16の「1」ビットに調整された整合フィルタの結果に基づいて検知される。有効にするために、これらの「1」ビットは、正しい振幅とインデックスからのタイミングとを有する必要がある。ひとたびインデックスが確認されると、アドレスビットは、図16の「1」ビットへの整合フィルタの応答におけるピークを検索することによって検知される。「1」ビットは、振幅および直近に検知された「1」ビットからのタイミングによって確認される。アドレス検知のために、ビットの品質も指定される。この品質により、ビットが誤検知された可能性について示される。
【0029】
図22を参照すると、図17の信号から完全に復号化されたアドレスが示される。高品質(HQ)「1」ビットは、「1」ビットに調整された整合フィルタの出力のピークが所定の閾値を超え、最後の「1」ビットの検知後の予測された時間となった場合に検知される。HQ「0」ビットは、ピークが異なる所定の閾値を下回った場合に検知される。低品質ビットは、ピークがこれら2つの閾値の間にある場合に検知される。低品質(LQ)「1」ビットは、ピークがHQ「1」ビット閾値を下回り、中間閾値(LQ閾値)を上回る場合に検知される。低品質「0」ビットは、ピークが中間閾値を下回るがHQ「0」ビット閾値を上回る場合に検知される。これらの閾値は、たとえば実験などによって各符号化スキームについて判定され得る。
【0030】
図22の例において、インデックスはインデックスからの正しいタイミングを有する3つの「1」ビット(モノトーン)によって確認される。この例において[11000101」であるアドレスが検知される。すべての8つのアドレスビットは、高品質なものとなる。この同じ手法は、3サイクルまたは他のパターンで符号化されたアドレスを復号化するために使用され得る。
【0031】
ここに開示される処理、方法、またはアルゴリズムは、既存のプログラム可能電子制御ユニットまたは専用の電子制御ユニットを含み得る、処理装置、制御部、またはコンピュータに対して配信可能なものであり得る、またはこれらによって実施され得る。同様に、処理、方法、またはアルゴリズムは、ROM装置などの非書き込み可能な記憶媒体に恒久的に記憶される情報、ならびにフロッピー(登録商標)ディスク、磁気テープ、CD、RAM装置、および他の磁気および光学媒体などの書き込み可能な記憶媒体に変更可能に記憶される情報などを含む様々な形態で制御部またはコンピュータによって実行されるデータおよび命令として記憶され得るが、これらに限定されない。処理、方法、およびアルゴリズムは、ソフトウェアで実行可能なオブジェクトにおいて実施することもできる。代替的に、処理、方法、またはアルゴリズムは、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ステートマシン、制御部、または他のハードウェア構成部品もしくは装置などの適したハードウェア構成部品、またはハードウェア、ソフトウェア、およびファームウェア構成部品の組み合わせなどを用いて、その全体または一部が具現化され得る。
【0032】
例示的な実施形態が上に記載されたが、これらの実施形態が請求項によって包含されるすべての可能な形態を記載することは意図していない。明細書において使用される用語は、説明のための用語であって限定ではなく、本開示の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更が可能であることが理解される。前に記載したように、様々な実施形態の特徴は、明示的に記載もしくは例示されていない本発明のさらなる実施形態を形成するために組み合わせることができる。1つ以上の所望の特徴に関して他の実施形態もしくは先行技術の実施に対して利点を付与する、または好ましいものとして様々な実施形態が記載されるが、当業者は、1つ以上の特徴または特性が、特定の用途および実施に応じて望ましい全体的なシステム属性を実現するために持ち寄られることを認識する。これらの属性は、費用、強度、耐性、寿命コスト、市販可能性、外観、パッケージング、サイズ、有用性、重量、製造可能性、組み立ての容易さを含むが、これらに限定されない。このようなことから、1つ異常の特徴に対して他の実施形態もしくは先行技術の実施よりも望ましくないように記載された実施形態は、本開示の範囲の外にあるのではなく、特定の用途について望ましいものであり得る。
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