特許第6335907号(P6335907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335907薬剤送出装置用のアダプターおよびこのアダプターを薬剤送出装置に装着するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335907
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】薬剤送出装置用のアダプターおよびこのアダプターを薬剤送出装置に装着するための方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/34 20060101AFI20180521BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61M5/34 510
   A61M39/10 100
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-536137(P2015-536137)
(86)(22)【出願日】2013年10月11日
(65)【公表番号】特表2015-531288(P2015-531288A)
(43)【公表日】2015年11月2日
(86)【国際出願番号】EP2013071231
(87)【国際公開番号】WO2014057071
(87)【国際公開日】20140417
【審査請求日】2016年7月19日
(31)【優先権主張番号】12306260.6
(32)【優先日】2012年10月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライオネル マリタン
(72)【発明者】
【氏名】ギルバート ポンソン
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム グリュンフート
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−201177(JP,A)
【文献】 特表平08−506978(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/150042(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/049532(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/34
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送出装置(1)の末端先端部(2)に装着されるよう意図されたアダプター(10)であって、前記末端先端部は、前記薬剤送出装置内に含有された製品の移送のための軸方向の経路(3)を画定し、前記アダプターは、前記軸方向経路に位置合わせされた長手方向軸線Aを有し、前記アダプターは、前記アダプターをコネクターに連結するための連結手段(27)を具え、前記アダプターは、
前記末端先端部に係合されることが可能である内側リング(20)であって、前記アダプターが前記末端先端部に係合されると前記末端先端部に径方向の内向きの力を及ぼすことができる保持手段(25)を具え、
前記内側リングが前記末端先端部に係合された場合、前記保持手段は、これらが前記末端先端部に及ぼす前記径方向の内向きの力が、前記末端先端部に対する前記アダプターの軸方向移動を限定しない自由構成から、これらが前記末端先端部に及ぼす前記径方向の内向きの力が、前記軸方向移動を限定する係止された構成に切り替わることができる内側リング
をさらに具え、前記アダプターは、
前記内側リングに結合され圧縮手段(30,32)であって、前記圧縮手段が前記保持手段に求心圧力を及ぼさず、前記保持手段がその自由構成にある基端位置と、前記圧縮手段が前記保持手段に求心圧力を及ぼし、前記保持手段がその係止された構成にある末端位置との間で、前記保持手段に対して軸方向に移動可能である、圧縮手段(30,32)と、
前記圧縮手段(30)を、前記保持手段(25)に対するその基端位置に一時的に維持するための解放可能な維持手段(29,34)と
をさらに具えていることを特徴とするアダプター(10)。
【請求項2】
前記保持手段は、前記内側リングの円周に沿って分散された1または複数の径方向に外方向に偏向可能なタブ(25)を具え、前記タブは、前記アダプターが前記末端先端部に装着された場合に前記末端先端部の外側表面(2b)と接触し、前記圧縮手段は、前記径方向に外方向に偏向可能なタブ(25)を少なくとも部分的に受け入れることができる外側リング(30)を具えていることを特徴とする請求項1に記載のアダプター(10)。
【請求項3】
前記径方向に外向きに偏向可能なタブ(25)は、基端の薄い壁(25b)および末端の厚い壁(25a)を具えており、前記外側リング(30)は、内側径方向リム(32)を具え、前記内側径方向リム(32)は、前記外側リング(30)がその基端位置にある場合には前記基端の薄い壁(25b)に面し、そこに求心圧力を及ぼさず、前記内側径方向リム(32)は、前記外側リング(30;130)がその末端位置にある場合には前記末端の厚い壁(25a)と接触し、そこに求心圧力を及ぼすことを特徴とする請求項2に記載のアダプター(10)。
【請求項4】
前記連結手段(27)は、前記内側リングに位置することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載のアダプター(10)。
【請求項5】
前記連結手段は、前記内側リングの内側壁に設けられたねじ山(27)を具えていることを特徴とする請求項4に記載のアダプター(10)。
【請求項6】
前記圧縮手段(30)を、前記保持手段(25)に対するその末端位置に締め付けるためのスナップ嵌合手段(24,34)を具えていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載のアダプター(10)。
【請求項7】
前記薬剤送出装置内に含有された製品の移送のための軸方向経路(3)を画定する末端先端部(2)を具えた薬剤送出装置(1)であって、請求項1から請求項6の何れか一項に記載の少なくとも1つのアダプター(10)をさらに具えていることを特徴とする薬剤送出装置(1)。
【請求項8】
前記末端先端部(2)は、ガラスから作製されることを特徴とする請求項7に記載の薬剤送出装置(1)。
【請求項9】
前記末端先端部(2)は、円錐状であって末端側が先細りにされることを特徴とする請求項7または8に記載の薬剤送出装置(1)。
【請求項10】
前記末端先端部に、前記末端先端部の基端外側表面(2b)および末端外側表面(2a)を画定する環状稜部(4)が設けられており、前記保持手段は、前記アダプターが前記末端先端部に装着された場合に前記基端外側表面に前記径方向の内向きの力を及ぼすことを特徴とする請求項7から請求項9の何れか一項に記載の薬剤送出装置(1)。
【請求項11】
前記末端先端部の前記外側表面の基端領域に、前記アダプターが前記末端先端部に装着された場合に前記末端先端部に対する前記アダプターの回転を防止するために前記保持手段と協働するよう意図された係止手段が設けられることを特徴とする請求項2に従属する請求項7から請求項10の何れか一項に記載の薬剤送出装置(1)。
【請求項12】
請求項1から請求項6に記載のアダプター(10)を、請求項7から請求項11に記載の薬剤送出装置(1)の末端先端部(2)に装着するための方法であって、少なくとも以下のステップ、すなわち
前記アダプターを、前記圧縮手段(30)が前記保持手段(25)に対するその基端位置にある状態で提供するステップと、
前記アダプターが前記末端先端部に正確に位置決めされるまで、前記内側リング(20)を介して前記アダプターを前記末端先端部に係合させるステップと、
前記圧縮手段を前記保持手段に対して、その基端位置からその末端位置まで移動させるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤送出装置と共に使用するための、たとえばルアーロックアダプターなどの改良されたアダプターに関する。アダプターは、薬剤送出装置と薬剤送出装置に結合されるコネクターとの間の安全な連結を可能にする。本発明はまた、このような改良されたアダプターが設けられた薬剤送出装置およびアダプターをこのような薬剤送出装置に装着するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この用途では、構成要素または装置の末端端部は、ユーザーの手から最も遠い端部を意味すると理解され、基端端部は、ユーザーの手にもっと近い端部を意味すると理解されるものとする。同様に、この用途では、「末端方向」は、本発明のアダプターが装着されることが意図された薬剤送出装置に対する注射の方向を意味すると考えられ、「基端方向」は、注射の上記方向とは反対方向を意味すると理解されるものとする。
【0003】
シリンジ、針組立体、かん流装置、輸血用装置、およびたとえばIV(静脈内)、IM(筋肉内)、皮下コネクターなどの、医療流体を移送および/または保管するためのさまざまな医療装置が知られている。安全上の理由で、これらのさまざまな医療装置が一緒に正確かつ確実組み立てられ得ることが必須である。さまざまな医療装置間の特有のアダプターの使用は、封止された連結を確実にし、これらが含有する医療液体製品の汚染に対する保護を提供しながら、これらが組み付けられることを可能にする。
【0004】
従来の薬剤送出装置は、通常、医療製品のための容器を形成する中空本体を具え、容器を形成する本体の末端端部は、通常、先端部を具え、その先端部内には軸方向の経路が配置され、その経路を通じて、製品は容器から排出される。
【0005】
従来の薬剤送出装置は、一般に、プラスチックまたはガラスから作製される。ガラス外筒は、特に、周囲気体または容器材料と相互作用しやすい薬物に使用される。ガラス外筒はまた、好ましくは、外筒に事前充填され、使用前、かなりの期間にわたって保管される薬物にも使用される。薬剤送達装置およびその末端先端部が、プラスチック材料から作製された場合、アダプターは、同じ材料または独自のものを用いて末端先端部と一緒に成形され得る。いずれにせよ、製造の困難性により、ガラス外筒およびガラス末端先端部は、特に、そこに装着される別個に形成されたアダプターを必要とし得る。このアダプターは、薬剤送出装置の末端先端部に確実に装着されて先端部からのその連結解除を回避しなければならない。
【0006】
通常、アダプターは、最初に、摩擦力によって薬剤送出装置の末端先端部に装着され、次いでコネクターが、たとえばねじ込むことによってアダプターの自由端部に装着される。一般的には、アダプターには、末端先端部に摩擦力がかけられる径方向に拡張可能なリングが設けられる。アダプターは、この場合、リングによって末端先端部に及ぼされた摩擦力により、摺動嵌合の相互係合部によって末端先端部に対して不動のままであるよう意図される。
【0007】
いずれにせよ、末端先端部に対するアダプターの組み付けの強さは、第1には、末端先端部およびアダプター両方の外部表面の寸法の正確性に応じて、第2には、アダプターを末端先端部に係合させるために使用される力に応じて決まる。工業的公差により、末端先端部に対するアダプターの組み付けは、従って、どちらかと言えば不精密であり、組み付けの強さは保証され得ない。そのため、このような相互係合部が十分に締め付けられないということが起こり得る。
【0008】
このような組立体の信頼性を増大させるために、末端先端部に、アダプターのリングが嵌め込まれる溝を設けることが提案されている。いずれにせよ、このような解決策は、末端先端部がガラス材料から作製される場合は望ましくなく、その理由は、ガラス形成の困難性のため、また、これが、末端先端部の脆弱性を増大させ得るためでもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、薬剤送出装置へのアダプターの確実な組み付けを確実にすることができる改良されたアダプターに関する必要性が存在する。また、このようなアダプターが設けられた薬剤送出装置の必要性も存在する。
【0010】
医療的使用は、薬剤送出装置が汚染されないことを確実にするための特有の組み付け条件を必要とする。適切な品質レベルは、特有の品質グレード下で、クリーンルーム内で組み付けを実行することによって得られ、この中で薬剤送出装置は、洗浄され、次いでストッパの良好な滑らかな動きを可能にするようにシリコーン処理される。しかし、薬剤送出装置の末端先端部へのアダプターの摩擦力による連結は、末端先端部の外側表面に不注意に施与され得るシリコーンの存在によって大きな影響が与えられる。
【0011】
従って、薬物注射装置の末端先端部への確実な組み付けを可能にする改良されたアダプターに関する必要性が存在する。また、このようなアダプターが設けられた薬剤送出装置の必要性も存在する。
【0012】
他の問題が、さまざまな薬剤送出装置とのアダプターの使用に関して報告されている。実際、医療分野において薬剤送出装置をコネクターに連結させる目的で使用するのに利用可能であるアダプターのほとんどは、プラスチック材料から作製される。このようなプラスチック材料の変形能力は、経年および温度条件によって影響される。加えて、プラスチック材料は、殺菌プロセスに対して敏感である。
【0013】
まず第1に、医療分野で使用可能な利用可能なプラスチック材料の範囲は、組成物および色に関して限定される。
【0014】
第2に、たとえば一定時間後、または殺菌サイクルのような特有の状態にさらされた後および/または異なる温度にさらされた後、選ばれたプラスチック材料の弾力特性が改変される場合がある。その結果、アダプターは、薬剤送出装置の末端先端部に対して不動のままではなくなる。アダプターの一部は、殺菌によって弱くされ、末端先端部に対する十分な締結をもはや確実にしなくなる可能性があり、それによってアダプターの容易な連結解除を招く。また、摩擦力が、特にユーザーがコネクターをアダプターにねじ込もうとする場合にアダプターが回転するのを防止するのに十分重要でない場合がある。従って、ユーザーが、コネクターがこのアダプターに良好に嵌合されるかどうか、その結果、コネクターが薬剤送出装置の末端先端部に良好に連結されるかどうかを決定することは不可能である。薬剤送出装置とコネクターの間の不正確な連結は、薬剤送出装置に関するアダプターおよび/またはコネクターの変位を引き起こし得、これは、製品の漏出、従って患者に投与される不正確な投与量ならびに製品の浪費を招き得る。これらの問題を克服し、コネクターとアダプターの間の正しい連結を確実にするために、コネクターをアダプターにねじ込む場合、ユーザーは、薬剤送出装置をアダプター自体によって掴む傾向がある。アダプターが小さいサイズを有する場合、これを効率的に取り扱うのは困難である。この作動中、ユーザーの指は、注射薬剤送出装置の先端部および軸方向経路の近くにあり、含有された医療液体の汚染のリスクを増大させる。
【0015】
従って、薬物注射装置とコネクターの間の効率的かつ確実な連結を確実にしながら、幅広い範囲の材料の使用を可能にする改良されたアダプターに関する必要性が存在する。また、このようなアダプターが設けられた薬剤送出装置の必要性も存在する。
【0016】
加えて、前記末端先端部の形状および/または外側表面を改変する必要なく、薬剤送出装置の末端先端部に確実に締め付けられるアダプターに関する必要性が存在する。
【0017】
本発明の態様は、薬剤送出装置の末端先端部に装着されるよう意図されたアダプターであって、薬剤送出装置と、アダプターに連結されるよう意図されたコネクターとの間の安全な連結を可能にする、アダプターである。特に、本発明のアダプターは、末端先端部へのアダプターの最適な固定を確実にする締め付け手段を具え、それにより、前記アダプターは、使用時に末端先端部から連結解除されることはない。
【0018】
本発明の第1の態様は、薬剤送出装置の末端先端部に装着されるよう意図されたアダプターであって、前記末端先端部は、前記薬剤送出装置内に含有された製品の移送のための軸方向の経路を画定し、前記アダプターは、前記軸方向の経路に位置合わせされた長手方向軸線Aを有し、アダプターは、前記アダプターをコネクターに連結させるための連結手段を具え、前記アダプターは、
− 前記末端先端部に係合されることが可能である内側リングであって、前記アダプターが前記末端先端部に係合されると前記末端先端部に径方向の内向きの力を及ぼすことができる保持手段を具え、
この場合、
前記内側リングが前記末端先端部に係合された場合、前記保持手段は、これらが前記末端先端部に及ぼす径方向の内向きの力が、前記末端先端部に対する前記アダプターの軸方向移動を限定しない自由構成から、これらが前記末端先端部に及ぼす径方向の内向きの力が、前記軸方向移動を限定する係止された構成に切り替わることができる内側リングをさらに具え、
アダプターは、
− 前記内側リングに結合された圧縮手段であって、前記圧縮手段が前記保持手段に求心圧力を及ぼさず、前記保持手段がその自由構成にある基端位置と、前記圧縮手段が前記保持手段に求心圧力を及ぼし、前記保持手段がその係止された構成にある末端位置との間で、前記保持手段に対して軸方向に移動可能である、圧縮手段と、
− 前記圧縮手段を、前記保持手段に対するその基端位置に一時的に維持するための解放可能な維持手段と
をさらに具えたアダプターである。
【0019】
本発明のアダプターは、特に、コネクターを薬剤送出装置に連結するために使用され得る。
【0020】
本発明のアダプターが、変位され、最終的には、これがそこに装着されるよう意図された薬剤送出装置の末端先端部に置き間違えられるリスクは、従って、大きく限定される。本発明のアダプターは、従って、コネクターの再生可能な連結を可能にし、コネクターが薬剤送出装置に対して正確に位置決めされることを確実にする。
【0021】
実際、本発明のアダプターでは、末端先端部へのアダプターの締結は、内側リングの保持手段が末端先端部に径方向の内向きの力を及ぼす能力だけに依存していない。実際、追加の径方向の内向きの力、実際には圧縮手段によって及ぼされた求心圧力が、保持手段によって生成された初期の径方向の内向きの力に加えられる。末端先端部に及ぼされた全体的な摩擦力は、従って増大され、アダプターは、末端先端部に確実に取り付けられ、この場合、これがそこから引き離される危険性を有さない。加えて、保持手段がその係止された構成にある場合に末端先端部に及ぼされる全体的な力は、2つの異なる源、すなわち一方では保持手段および他方では圧縮手段から生じるため、アダプターを位置決めするためにユーザーによって必要とされる力は、2つのステップでかけられ得る。アダプターの正しい配置は、従って容易にされ、アダプターがそこに装着された場合に末端先端部を破損するリスクは、低減される。
【0022】
本出願では、「ユーザー」とは、IVラインなどのコネクターをそこに連結するために本発明のアダプターを使用する必要があり得る健康ケア作業者を意味し、または代替的に、これは、アダプターがすでにそこに装着された薬剤送出装置を提供するために、薬剤送出装置の末端先端部への本発明のアダプターの装着を実行する薬剤送出装置の製造者でよい。このような場合、装着ステップは、コネクターが薬剤送出装置に連結されない間、薬剤送出装置をその保管位置で安全に閉鎖することを確実にするためにアダプターにキャップを連結させることをさらに含む。製造者の構内で装着するステップは、組み付けラインにおいて自動的に完了され得る。
【0023】
その結果、本出願では、「コネクター」は、製品を薬剤送出装置から、針ハブ、ポケットドリップ、バイアル、IV(静脈内)ライン、IM(筋肉内)ラインなどの別の医療装置に移送することを可能にするための、またはこれに反して、薬剤送出装置の保管位置の、たとえば閉鎖キャップのような、充填された薬剤送出装置をその使用前に安全に閉鎖し、いかなる汚染も防止するための、アダプターに連結されるよう意図された任意の装置を意味する。
【0024】
実際、本発明のアダプターは、最初に、保持手段がその自由構成にある状態で末端先端部に係合される。このようなステップは、アダプターを末端先端部に配置するために大きい力がユーザーによって生み出されることを必要としない。アダプターが末端先端部に位置決めされると、保持手段がその自由構成にある状態で、ユーザーはこの場合、圧縮手段をその基端位置からその末端位置に移動させる。ここでも、このステップは、大きい力がユーザーによってかけられることを必要としない。末端先端部の完全性は、従って温存される。本発明のアダプターは、従って、前記末端先端部がガラスから作製される場合であってもアダプターと末端先端部の安全な連結を可能にする。
【0025】
加えて、本発明のアダプターの圧縮手段が、保持手段に対するこれらの圧縮手段の末端移動によって始動されるという事実は、アダプターを末端先端部により安全に固定すること、ならびに「アダプターおよび末端先端部」の装着された組立体を、末端先端部からアダプターを連結解除しようとする故意の試みからより良好に保護することを確実にする。実際、本発明のアダプターが、保持手段がその係止された構成にある状態で薬剤送出装置の末端先端部に装着されると、作業者がアダプターを末端先端部から末端方向に引き出そうする場合、これは、保持手段に圧縮手段によって及ぼされた圧縮を増大させるだけである。装着されると、保持手段がその係止された構成にある状態で、アダプターは、組立体全体を破損しこれに損傷を与えることなしには、末端先端部から連結解除され得ない。
【0026】
たとえば、保持手段がその係止された構成にある状態になると、本発明のアダプターの圧縮手段の存在はまた、アダプターが末端先端部に対して回転することを防止することも可能にする。追加的に、何らかの係止手段が、末端先端部の基端外側表面に形成され、好ましくは薬剤送出装置の長手方向軸に対して位置合わせされることが可能である。これらの係止手段は、径方向に外向きに偏向可能なタブの機械的当接により、アダプターをしっかりと回転係止するリブの形態を有することができる。実際、これらのリブは、アダプターのいかなる回転移動も防止するために、2つの隣接する、径方向に外向きに偏向可能なタブの間に存在する空間内に密接に嵌合する。
【0027】
あるいは、本発明のアダプターは、前記末端先端部の形状または外側表面を改変することを必要とせずに、たとえば、これに環状溝または環状稜部を設けることによって、ガラス材料から作製された従来の円錐状の末端先端部で使用されてよい。
【0028】
諸実施形態では、保持手段は、前記内側リングの円周に沿って分散された1または複数の径方向に内向きに偏向可能なタブであって、アダプターが末端先端部に装着された場合に前記末端先端部の外側表面と接触する、タブを具え、圧縮手段は、前記径方向に外向きに偏向可能なタブを少なくとも部分的に受け入れることができる外側リングを具えている。保持手段によって及ぼされた径方向の内向きの力は、従って、末端先端部の円周に沿って良好に分散され、固定が確実にされる。
【0029】
諸実施形態では、前記径方向に外向きに偏向可能なタブは、基端の薄い壁および末端の厚い壁を具えており、前記外側リングは、内側径方向リムを具え、前記内側径方向リムは、前記外側リングがその基端位置にある場合に前記基端の薄い壁に面し、そこに求心圧力を及ぼさず、前記内側径方向リムは、前記外側リングがその末端位置にある場合に前記末端の厚い壁と接触し、そこに求心圧力を及ぼす。
【0030】
特に、径方向に外向きに偏向可能なタブの厚い末端壁は、たとえばねじ込むことによってコネクターがアダプターに連結されるよう意図される場所において良好な機械的特性を具えた内側リングを提供する。コネクターの連結するステップ、たとえばねじ込みステップは、従って容易にされ、安全に実行され得る。
【0031】
外側リングの内側径方向リムは、最適な求心圧力を前記保持手段に及ぼすために、追加の剛性および機械的特性を、保持手段と接触するよう意図された外側リングの部分に提供する。
【0032】
内側リングは、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポロプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、熱可塑性エラストマー(TPE)およびその組み合わせから選択された材料から作製され得る。外側リングもまた、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポロプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、熱可塑性エラストマー(TPE)およびその組み合わせから選択された材料から作製され得る。
【0033】
諸実施形態では、外側リングは、好ましくは、内側リングを形成する材料より剛性の材料から作製される。たとえば、外側リング、特に内側径方向リムは、ポリアミドから形成されてよく、径方向の外向きに偏向可能なタブは、ポリエチレンから作製されてよい。他の実施形態では、外側リング、特に内側径方向リムは、ポリブチレンテレフタレートから作製されてよく、径方向に外向きに偏向可能なタブは、熱可塑性エラストマーから作製されてよい。
【0034】
諸実施形態では、前記連結手段は、内側リングに位置する。たとえば、連結手段は、前記内側リングの内側壁に設けられたねじ山を具えている。
【0035】
アダプターは、前記圧縮手段を前記保持手段に対するその基端位置に一時的に維持するための解放可能な維持手段を具えている。アダプターは、従って、事前に組み付けられた位置で取り扱われてよく、この位置では、圧縮手段は、前記保持手段に対するその基端位置にある。たとえば、解放可能な維持手段は、外側リングを、径方向に外向きに偏向可能なタブに対するその基端位置に一時的に維持することを可能にする。本発明のアダププタの取り扱いは、従って、ユーザーにとって簡易化され、ユーザーは、内側リングおよび圧縮手段が、互いに対して正確に位置決めされることの保証を伴って、事前に組み付けられた位置にあるアダプターを薬剤送出装置の末端先端部に装着するだけでよい。アダプターの事前に組み付けられた位置はまた、ユーザーにとって、圧縮手段をその基端位置からその末端置に移動させるステップを簡易化する。従って、ユーザーは、係止構成にある保持手段を移動させるために、1回だけの簡単な作動を実行することが必要である。
【0036】
諸実施形態では、アダプターは、前記圧縮手段を保持手段に対するその末端位置に締め付けるためのスナップ嵌合手段をさらに具えている。保持手段は、従って、その係止された構成に安全に固定され、その結果、アダプターが末端先端部に装着されると、これは、そこから引き離されることはない。
【0037】
本発明の別の態様は、薬剤送出装置内に含有された製品の移送のための軸方向経路を画定する末端先端部を具えた薬剤送出装置であって、先に説明された少なくとも1つのアダプターをさらに具えていることを特徴とする薬剤送出装置である。
【0038】
諸実施形態では、末端先端部はガラスから作製される。
【0039】
諸実施形態では、末端先端部は、円錐状であって末端側が先細りにされ、自由構成にある径方向に外向きに偏向可能なタブによって及ぼされた径方向の内向きの力は、従って増大される。
【0040】
諸実施形態では、末端先端部には、前記末端先端部の基端外側表面および末端外側表面を画定する環状稜部が設けられており、前記保持手段は、前記アダプターが前記末端先端部に装着された場合に前記基端外側表面に前記径方向の内向きの力を及ぼす。
【0041】
環状稜部は、アダプターが末端先端部に装着されると、末端先端部からのアダプターの潜在的な引き離しへの追加の障害物を形成する。
【0042】
諸実施形態では、末端先端部の外側表面の基端領域に、アダプターが前記末端先端部に装着された場合、前記末端先端部に対する前記アダプターの回転を防止するために保持手段と協働するよう意図された係止手段が設けられる。これらの係止手段は、径方向に外向きに偏向可能なタブの機械的当接により、アダプターをしっかりと回転係止するリブの形態を有することができる。
【0043】
本発明の別の態様は、先に説明されたアダプターを、先に説明された薬剤送出装置の末端先端部に装着するための方法であって、少なくとも以下のステップ、すなわち
− アダプターを、圧縮手段が保持手段に対するその基端位置にある状態で提供するステップと、
− アダプターが末端先端部に正確に位置決めされるまで、内側リングを介して前記アダプターを末端先端部に係合させるステップと、
− 圧縮手段を保持手段に対して、その基端位置からその末端位置まで移動させるステップとを含む方法である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明およびこれから生じる利点は、添付の図を参照して以下で与えられる詳細な説明からはっきりと明確になろう。
図1】本発明のアダプターの実施形態の上部からの分解斜視図である。
図2図1のアダプターの底部からの分解斜視図である。
図3図1のアダプターの分解断面図である。
図4図1〜3のアダプターが、薬剤送出装置の末端先端部に装着される前の、本発明の薬剤送出装置およびアダプターの断面図である。
図5】末端先端部への内側リングの係合の開始時の、外側リングが保持手段に対するその基端位置にある場合の、図4の薬剤送出装置およびアダプターの断面図である。
図6】アダプターが、保持手段が依然としてその自由構成にある状態で、末端先端部に正確に位置決めされた場合の、図4の薬剤送出装置およびアダプターの断面図である。
図7】アダプターが末端先端部に装着され、外側リングがその末端位置にあり、保持手段がその係止された構成にある状態の、図4の薬剤送出装置およびアダプターの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1〜3を参照すると、末端端部に末端先端部2が設けられた(図4を参照)薬剤送出装置1に装着されるよう意図された、内側リング20および外側リング30を具える本発明のアダプター10が示される。
【0046】
図1〜3を参照すると、内側リング20は、図示する例では複数の円周方向の分散された外側突出部22aから形成された外側径方向リム22が末端端部に設けられた円形壁21を具えている。円形壁21にはまた、その外側面に、環状の外側稜部23が設けられる。外側径方向リム22および環状の外側稜部23は、それらの間に、環状溝24を画定する。円形壁21には、さらに、環状の外側稜部23から末端に離間された基端の環状溝29が設けられる。円形壁21には、その基端端部に、基端方向に延び、円形壁21の円周に沿って等間隔に分散された複数の径方向に外向きに偏向可能なタブ25が設けられる。
【0047】
図示する例に関し、内側リング20は、8つのこのような径方向に外向きに偏向可能なタブ25を具えている。図示しない例では、内側リング20は、4個、5個、または9個または10個などの、これより少ないまたは多いこれらの径方向に外向きに偏向可能なタブ25を具えることができる。複数の径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、薬剤送出装置1の末端先端部2(図5を参照)に対する内側リング20の係合を可能にするように成形され寸法設定された中央穴26を画定する。
【0048】
図1には、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、歪みにさらされておらず、従って静止位置にある。
【0049】
各々の径方向に外向きに偏向可能なタブ25には、基端側を先細りにした外側面が設けられる。加えて、各々の径方向に外向きに偏向可能なタブ25には、その内側壁の末端領域内に、内側の径方向突出部28が設けられる。その結果、各々の径方向に外向きに偏向可能なタブ25の壁は、基端領域より末端領域の方が厚い。換言すれば、各々の径方向に外向きに偏向可能なタブ25には、厚い末端壁25aおよび薄い基端壁25bが設けられる。
【0050】
図2に示すように、ねじ山27が、円形壁21の内側面に設けられる。以下の説明から明らかになるように、このねじ山27は、薬剤送出装置1の使用時にアダプター10をコネクター(図示せず)に連結するための連結手段を形成する。
【0051】
図示しない実施形態では、連結手段は、コネクターがクリップ留めされ得る、内側リングの円形壁の内側面に設けられた溝になることができる。
【0052】
外側リング30は、基端端部に内側径方向リム32が設けられた円形壁31を具えている。外側リング30の円形壁31は、内側リング20の外側径方向リム22ではなく、内側リング20の円形壁21を受け入れることができるように寸法設定され成形される。その結果、図7の説明から後で明らかになるように、外側径方向リム22は、アダプター10が末端先端部2に装着されると、外側リング30の円形壁31の末端端部に基端当接状態にある。
【0053】
加えて、外側リング30の内側径方向リム32は、中央穴33を画定し、この中央穴33の直径は、末端先端部2(図4を参照)の外径より大きく、また、複数の径方向に外向きに偏向可能なタブ25の薄い基端壁25bの外側面によって画定された外径よりも僅かに大きい。加えて、中央穴33の直径は、複数の径方向に外向きに偏向可能なタブ25の厚い末端壁25aの外側面によって画定された外径より小さい。
【0054】
外側リング30には、さらに、その末端端部に、図2に示す例では3つの稜部セグメント34aから形成された、内側の環状稜部34が設けられる。
【0055】
内側リング20および外側リング30は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレン(PS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポロプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、熱可塑性エラストマー(TPE)およびその組み合わせから選択された材料から作製され得る。
【0056】
いずれにせよ、以下の説明から明らかになるように、外側リング30、特にその内側径方向リム32は、アダプター10が末端先端部2に装着された場合(図7を参照)、径方向に外向きに偏向可能なタブ25を内向きに径方向に圧縮するよう意図され、それにより、アダプター10のすべての軸方向移動が限定または防止されるので、内側径方向リム32は、好ましくは、径方向に外向きに偏向可能なタブ25を形成する材料より剛性の材料から作製される。
【0057】
たとえば、諸実施形態では、外側リング30、特に内側径方向リム32は、ポリアミドから形成され、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、ポリエチレンから作製される。
【0058】
他の実施形態では、外側リング30、特に内側径方向リム32は、ポリブチレンテレフタレートから作製されてよく、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、熱可塑性エラストマーから作製されてよい。
【0059】
たとえば、外側リングの内側径方向リム32の内径は、径方向に外向きに偏向可能なタブ25によって画定された外径より小さく、たとえば0.4mm小さくてよい。
【0060】
後の説明で明らかになるように、アダプター10は、薬剤送出装置の末端先端部に(図5に示す)事前に組み付けられた位置で係合されるよう意図される。アダプター10のこの事前に組み付けられた位置では、円形壁21は、外側リング30内に受け入れられ、径方向に外向きに偏向可能なタブ25の薄い基端壁25bは、外側リング30の内側径方向リム32に面しており、外側リング30の内側環状稜部34は、内側リング20の基端環状溝29内に係合される。
【0061】
薬剤送出装置1の末端先端部2に対するアダプター10の装着が、次に、図4〜7を参照して説明される。
【0062】
図4を参照すると、内側リング20および外側リング30がまだ組み付けられていない位置にあるアダプター10と、末端先端部2が設けられた薬剤送出装置1とが示される。
【0063】
薬剤送出装置1およびアダプター10は、位置合わせされ、共通の長手方向軸線Aを有する。末端先端部2は、円錐状であって末端側が先細りにされ、これは、薬剤送出装置1内に含有された、または含有されるよう意図された製品(図示せず)の移送のための軸方向の経路3を画定する。軸方向経路3は、その末端端部3aにおいて開放している。図示しない実施形態では、末端先端部は、円筒状の外側表面を有することができる。
【0064】
図4には、ゴムプラグ41と、ゴムプラグ41を受け入れることができる剛性スリーブ42とを具えたキャップ40もまた示される。以下の説明において示すように、キャップ40は、薬剤送出装置1が使用中ではなく、製品の保管容器として働く場合に、薬剤送出装置1の末端先端部2の経路3の開放末端端部3aを閉鎖するよう意図される。以下の説明において示すように、キャップ40は、本発明の一部ではなく、薬剤送出装置1の使用時に取り外されるよう意図され、実際に、ユーザーが製品を薬剤送出装置1から別の医療装置(注入ライン、別のシリンジ等)内に移送することを望む場合、キャップ40は、薬剤送出装置1から他の医療装置への製品の移送を可能にするコネクター(図示せず)によって置き換えられる。
【0065】
図に示す例では、末端先端部2には、末端先端部2の末端外側表面2aおよび基端外側表面2bを画定する環状稜部4が設けられる。図示しない実施形態では、末端先端部2の外側表面は、いかなる環状稜部もなくてよく、または代替的には、環状溝または逆円錐体が設けられてよい。
【0066】
末端先端部2は、プラスチックまたはガラス材料から作製され得る。諸実施形態では、末端先端部2は、ガラス材料から作製される。別の実施形態では、末端先端部2ならびに薬剤送出装置は、クリスタルクリアポリマー(CCP)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、およびその組み合わせから選択されるプラスチック材料から作製される。
【0067】
図4図7は、薬剤送出装置1が保管位置にある図7において得るように、薬剤送出装置1の末端先端部2にアダプター10を装着することを示す。その結果、キャップ40が、薬剤送出装置1に装着され、それによって軸方向経路3の末端端部3aを閉鎖し、ねじ山27は、剛性スリーブ42の外側壁に設けられた外側ねじ山43と協働することによって、キャップ40を内側リング20に連結するための連結手段を形成する。
【0068】
いずれにせよ、上記のように、キャップ40は、本発明のアダプター10の一部ではなく、製品を薬剤送出装置1から別の医療装置に移送することに照らして、内側リング0のねじ山27と協働することができるねじ山が設けられたコネクター(図示せず)で置き換えられるよう意図される。
【0069】
図4では、アダプター10の内側リング20は、末端先端部2にまだ係合されず、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、いかなる歪みにもさらされておらず、従って静止位置にある。
【0070】
図5を参照すると、内側リング20は、外側リング30内に受け入れられ、この場合外側リング30の内側径方向リム32は、径方向に外向きに偏向可能なタブ25の薄い基端壁25bに面しており、外側リング30の内側環状稜部34は、内側リング20の基端環状溝29内に係合される。内側環状稜部34および基端の環状溝29は、外側リング30および内側リング20をアダプター10の事前に組み付けられた位置に維持するための解放可能な維持手段を形成する。外側リング30のこの位置では、内側径方向リム32は、静止位置にある径方向に外向きの偏向可能なタブ25の薄い基端壁25bに対していかなる圧力も及ぼさない。外側リング30は、保持手段、換言すれば径方向に外向きに偏向可能なタブ25に対するその基端位置にある。
【0071】
次いで、ユーザーはアダプター10を末端先端部2の末端端部に近づけ、図5に示すように、アダプター10をその内側リング20を介して末端先端部2に係合させ始める。末端先端部2が末端側を先細りにしているため、ユーザーがアダプター10を基端方向に押し出した場合、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、末端先端部2の外側表面と接触し、その結果、これらは、ユーザーがアダプター10を正確に位置決めするまで径方向に外向きに偏向し、この場合図6に示す例では、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、基端外側表面2bに面している。この図を参照すると、この位置では、外側リング30は、依然として、径方向に外向きに偏向可能なタブ25に対するその基端位置にある。その結果、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、径方向に外向きに偏向しており、末端先端部2の外側基端表面2bに径方向の内向きの力を及ぼしているが、これらは依然としてその自由構成にあり、径方向の内向きの力は、たとえばユーザーがアダプター10を末端方向に移動させる場合、末端先端部2に対するアダプター10の軸方向移動を限定しない。この段階では、アダプター10は、依然として末端先端部2から容易に取り外され得る。
【0072】
加えて、図6に示す位置では、外側リング30の中央穴33は、複数の径方向に外向きに偏向可能なタブ25の薄い基端壁25bの外側面によって画定された外径より大きい直径を有するため、径方向に外向きに偏向可能なタブ25は径方向に外向きに偏向しているが、外側リング30の内側径方向リム32は、径方向に外向きに偏向可能なタブ25にいかなる求心圧力もかけない。
【0073】
さらなるステップでは、ユーザーは、次いで、たとえば図示する例ではキャップ40を介して、内側リング20に基端圧力をかけ、この基端圧力は、外側リング30の内側環状稜部34を内側リング20の基端環状溝29から逃がし、外側リング30は、従って、図7で示すように、径方向に外向きに偏向可能なタブ25に対して基端位置から末端位置まで移動され、内側径方向リム32は、従って、径方向に外向きに偏向可能なタブ25の厚い末端壁25aと接触する。基端の薄い壁25bと末端の厚い壁25aとの間の厚さの変動により、内側径方向リム32は、この場合、径方向に外向きに偏向可能なタブ25の末端の厚い壁25aに求心圧力を及ぼす。外側リング30、特にその内側径方向リム32は、径方向に外向きに偏向可能なタブ25の末端の厚い壁25aの圧縮手段として作用する。その結果、この場合径方向に外向きに偏向可能なタブ25によって末端の厚い壁25aを介して末端先端部2に及ぼされる径方向の内向きの力は、内側の径方向リム32から発する追加の求心圧力から増大されている。径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、この場合その係止された位置にあり、これらがこの場合に末端先端部2に及ぼす径方向の内向きの力は、末端先端部2に対するアダプター10のいかなる潜在的な軸方向移動も限定する。諸実施形態では、この場合末端先端部2に及ぼされた径方向に外向きに偏向可能なタブ25からの径方向の内向きの力もまた、末端先端部2に対する内側リング20およびアダプター10のいかなる回転も防止することができる。
【0074】
追加的に、図示しない実施形態では、一部の係止手段が、末端先端部の基端外側表面に形成され、好ましくは薬剤送出装置の長手方向軸に位置合わせされ得る。これらの係止手段は、径方向に外向きに偏向可能なタブ25との機械的当接により、アダプターをしっかりと回転係止するリブの形態を有することができる。実際、これらのリブは、末端先端部に対するアダプターのいかなる回転移動も防止するために、2つの隣接する径方向に外向きに偏向可能なタブ間に存在する空間内に密接に嵌合する。好ましくは、少なくとも2つの係止手段が必要とされるが、係止手段の数および末端先端部の表面のその分散は、2つの隣接する径方向に外向きに偏向可能なタブ25間に存在する自由空間の数によって決まり得る。
【0075】
加えて、図7に示すように、外側リング30の内側環状稜部34は、この場合、内側リング20の環状溝24内に係合され、それによって外側リング30に対する内側リング20の軸方向移動を防止する。外側リング30の内側環状稜部34および内側リング20の環状溝24は、外側リング30を、径方向に外向きに偏向可能なタブ25に対するその末端位置に締め付けるためのスナップ嵌合手段を形成する。保持手段、換言すれば径方向に外向きに偏向可能なタブ25は、従って、その係止された構成で安全に維持される。
【0076】
その結果、アダプター10はこの場合、末端先端部2にしっかりと取り付けられ、これは、ユーザーが、一方向または他方向に引き出そうとしても末端先端部から連結解除されることはない。
【0077】
薬剤送出装置1を使用するために、ユーザーは、キャップ40を、内側リング20からこれを緩めることによって取り外すことだけが必要である。このステップは、末端先端部2へのアダプター10の締め付け固定により、容易に完了する。特に、ユーザーは、キャップ40の取り外しが安全に行われることが可能であり、アダプター10を末端先端部2から分離させなくてよいことを知る。キャップ40が取り外されると、ユーザーは、次いで、薬剤送出装置内に含有された製品をコネクターを介して別の医療装置に移送することを進めるために、ねじ山27に、コネクター(図示せず)に設けられた対応する外側ねじ山をねじ込むことができる。
【0078】
ここでも、末端先端部2に対するアダプター10の締め付け固定により、コネクターとアダプター10、従って末端先端部2の連結が、容易にされる。
【0079】
本発明のアダプターは、末端先端部の形状および/または外側表面を改変する必要なく、薬剤送出装置の末端先端部へのコネクターの確実な連結を可能にする。本発明のアダプターが変位され、最終的には、薬剤送出装置の末端先端部に置き間違えられ、コネクターが間違って連結されるリスクが、大幅に限定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7