(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1から
図10を参照して、実施の形態における工作機械の制御装置について説明する。本実施の形態における工作機械は、加工プログラムに基づいて工具とワークとを相対移動させて加工を行う数値制御式である。
【0018】
図1に、本実施の形態における工作機械のブロック図を示す。工作機械11は、各軸の移動装置の制御および加工情報の設定を行う制御装置70を備える。制御装置70は、例えば、バスを介して互いに接続されたCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、およびROM(Read Only Memory)等により構成することができる。
【0019】
制御装置70は、入力部71、読取解釈部72、補間演算部73、およびサーボモータ制御部74を含む。加工プログラム76に基づいてワークを加工する場合に、使用者は、加工プログラム76を作成する。または、加工プログラム76は、ワークの目標形状に基づいてCAM(Computer Aided Manufacturing)装置等にて生成することができる。ワークの目標形状は、たとえば、CAD(Computer Aided Design)装置にて作成することができる。
【0020】
入力部71には、加工プログラム76等の加工情報が入力される。加工プログラム76には、ワークに対する工具の相対移動の情報などが含まれている。加工プログラム76には、例えば、GコードやMコード等により工作機械に対する指令が含まれている。また、入力部71には、工具情報77やワーク情報78等の加工情報が入力される。工具情報77には、ドリルやエンドミル等の工具の種類、工具の径、および工具の長さ等の工具に関する情報が含まれている。ワーク情報78には加工を行うワークに関する情報が含まれている。入力部71への加工情報の入力は使用者が手入力にて行っても、各種の情報が含まれた電子ファイルが入力されても構わない。
【0021】
読取解釈部72は、入力部71から加工プログラム76等を読み込む。読取解釈部72は、移動指令を補間演算部73に送出する。補間演算部73は、補間周期毎の位置指令値を演算する。たとえば、補間演算部73は、移動指令に基づいて設定された時間間隔ごとの移動量を算出する。補間演算部73は、位置指令値をサーボモータ制御部74に送出する。サーボモータ制御部74は、位置指令に基づいてX軸、Y軸、およびZ軸等の各軸の移動量を算出し、各軸サーボモータ75を駆動する。
【0022】
工作機械11は、各種の加工情報に基づいて加工を実施する。加工に関連する加工情報としては、上記の加工プログラム76、工具情報77およびワーク情報78の他に、例えば、座標情報を含めることができる。座標情報には、加工プログラム76において使用されている座標の情報が含まれる。工作機械の座標系には、工作機械の所定の点を原点とした機械座標が含まれる。これに対して、例えばワークの任意の点を原点としたワーク座標が設定される場合がある。ワーク座標は、ワークが移動した場合にワークと共に移動する。ワーク座標は、機械座標に対する相対位置を設定することにより定めることができる。座標情報には、このような機械座標とは異なる他の座標の情報が含まれる。また、加工プログラム76の内部で複数の座標が用いられている場合には、これらの複数の座標の情報が座標情報に含まれる。
【0023】
更に、加工情報には、制御装置のパラメータを含めることができる。たとえば、加工情報には、制御装置の操作盤にて指定した加工条件の情報を含めることができる。このような加工条件としては、移動速度に関するオーバライド値を例示することができる。また、加工条件としては、クーラントに関する情報等を含めることができる。
【0024】
本実施の形態の工作機械11の制御装置70は、情報入力制御部20、加工情報を表示する表示部28および加工情報を記憶する記憶部26を含む。情報入力制御部20は、今回の加工を行うための加工情報を生成して入力部71に送出する。また、情報入力制御部20は、入力部71に入力された加工情報を編集して、新たな加工情報として入力部71に送出する。例えば、入力部71に入力された加工プログラムを編集して今回の加工の加工プログラムとして入力部71に送出する。また、オーバライド値等の操作盤41にて入力される加工情報も情報入力制御部20が受信する。この様に、情報入力制御部20は、加工情報を新規に作成したり編集したりすることができる。
【0025】
情報入力制御部20は、表示指令部22、記憶指令部25および読取部27を含む。記憶指令部25は、新たに生成された加工情報や編集された加工情報を記憶部26に記憶させる。読取部27は、記憶部26に記憶された加工情報を読み取る。表示部28は、表示指令部22の指令に基づいて加工情報を表示する。
【0026】
本実施の形態の情報入力制御部20は、今回の加工に使用する加工情報を生成するために、過去の加工情報を参考情報として表示部28に表示することができる。過去の加工情報は、記憶部26に保存しておくことができる。使用者は、過去の情報を確認しながら今回の加工の加工情報を設定することができる。
【0027】
なお、本実施の形態の記憶部26は、制御装置70の内部に配置されているが、この形態に限られず、記憶部26は、制御装置70の外部に配置されていても構わない。例えば、メモリーカードやハードディスクなどの記憶部が、通信インターフェイスを介して、制御装置に接続されていても構わない。
【0028】
ところで、加工情報には、ワークや工具の測定を行って今回の加工の設定値を定めることが好ましいものがある。工具情報77については、過去に使用した工具と同一の工具であっても過去の工具情報と一致するか否かが不明な場合がある。例えば、工具の研磨を行った場合に工具径等が変化している場合がある。このために、工具情報77については、工具の測定を改めて実施し、工具の計測結果を今回の加工の工具情報として入力することが好ましい。
【0029】
また、座標情報についても、過去の座標情報と一致するか否かが不明な場合がある。ワークは保持具によりテーブルに保持される。このときのワークが保持されるテーブル上の位置が僅かにずれる場合がある。たとえば、機械座標に対するワーク座標のオフセット値が変化する場合がある。このために、座標情報についても今回の加工において、改めて測定を実施することが好ましい。
【0030】
本実施の形態の工作機械は、工具またはワークの測定を実施できるように形成されている。例えば、工具の測定を実施することにより、工具径等の工具情報を定めることができる。また、ワークの測定を実施することにより、例えば機械座標系に対するワーク座標系のオフセット値を定めることができる。
【0031】
本実施の形態の工作機械は、工具またはワークの測定方法について、手動または自動を選択可能に形成されている。自動で測定を実施する場合の測定を支援する画面や測定プログラムは記憶部26に記憶されている。また、手動で測定を実施する場合の測定を支援する画面は、記憶部26に記憶されている。
【0032】
制御装置70は、測定指令部29を含む。情報入力制御部20からワークまたは工具等の測定の指示が測定指令部29に送出される。測定指令部29は、読取解釈部72に所定の測定のための指令を送出し、工作機械11において測定が実施される。
【0033】
制御装置70は、測定情報取得部30を含む。測定情報取得部30は、ワーク等の測定を実施しているときの情報を取得する。測定情報取得部30は、各種センサ32からの信号を受信する。また、測定情報取得部30は、サーボモータ制御部74からの機械座標の座標値を受信する。そして、測定情報取得部30は、これらの情報を情報入力制御部20に送出する。例えば、工作機械が測定装置としてのプローブを備える場合がある。測定情報取得部30は、プローブがワーク等に接触した信号と、その時の各軸の機械座標の座標値を情報入力制御部20に送出する。情報入力制御部20は、測定値から必要に応じて加工情報を演算して表示部28に表示することができる。
【0034】
次に、本実施の形態の工作機械の制御装置について、より具体的な例を示して説明する。本実施の形態の制御装置70は、加工情報を入力する時に入力作業を支援する機能を有する。
【0035】
図2に、工作機械の制御装置に配置されている操作盤の正面図を示す。操作盤41は、加工情報の表示および加工情報の入力を行う表示部28を含む。本実施の形態の表示部28は、画面を接触することにより所望の部分の選択が可能なタッチパネル方式が採用されている。
【0036】
操作盤41は、キー入力部42を含む。キー入力部42には、複数のキースイッチが配置されている。キー入力部42のキースイッチを押すことにより、所定の数字や文字を入力することができる。また、操作盤41は、所定の操作の選択を行う操作スイッチ部44およびオーバライド値の設定を行うオーバライド設定部43を含む。オーバライド設定部43は、例えば、主軸の回転速度のオーバライド値や加工の送り速度のオーバライド値等を設定することができる。オーバライド値を設定することにより、加工プログラムにて指定されている速度に対して、設定された割合を乗じて速度を速くしたり遅くしたりすることができる。また、操作盤41には、ワークまたは工具の測定を開始するための測定開始ボタン45が配置されている。
【0037】
図3から
図10には、操作盤41の表示部28に示される画面を示している。このような加工情報を入力する画面の書式は、制御装置70の記憶部26に記憶されている。
図3から
図10を参照して、画面の下側の領域には、ボタン領域54が配置されている。ボタン領域54には、所定の操作を行うためのボタンが配置されている。また、画面の左側には表示内容を選択するタブ49a〜49dが配置されている。
【0038】
加工データ管理のタブ49dを選択することにより、加工データ管理画面が表示される。加工データ管理画面では、加工情報を記憶部26から今回の加工を実施するための記憶領域に複写することができる。そして、加工データ管理画面では、この記憶領域に記憶されている複数の加工情報から今回の加工を実施するための加工情報を選択することができる。
【0039】
図3は、加工プログラムを表示および編集するためのプログラム編集画面である。プログラム編集画面55は、プログラム編集のタブ49aを選択することにより表示される。プログラム編集画面55は、加工プログラムを入力または編集する入力画面に相当する。プログラム編集画面55は、加工プログラムの内容が表示されている表示領域55aを有する。
【0040】
使用者が加工プログラムの編集を行うための選択部分55bを選択すると、表示部28は、入力補助画面81を表示する。入力補助画面81は、入力領域81aを有する。入力領域81aには、文字および数字等から構成される入力情報を入力する。そして、ボタン81c,81dを押すことにより、選択部分55bの前に文字や数字等を挿入したり、選択部分55bを置換したりすることができる。
【0041】
更に、表示部28は、入力領域81aに入力した情報が予め定められた形式とは異なる場合に、入力補助画面81の警告領域81bに警告文を表示する。使用者は、警告文を確認して入力ミスを訂正することができる。
図3に示す例では、数字の「0」を入力すべきところを英字の「O」を入力して警告文が表示されている。
【0042】
このように、本実施の形態の制御装置は、入力補助画面の入力領域に、文字および数字のうち少なくとも一方から構成される入力情報が入力された場合に、入力情報が予め定められた規則に合致するか否かを判別する。そして、予め定められた規則に反する場合には、入力補助画面に警告文を表示する。入力補助画面に警告文を表示することにより、使用者による入力ミスを低減することができる。また、加工プログラムの入力や編集を容易に行うことができる。
【0043】
図4に、工具情報を表示および編集するための工具データ画面を示す。工具データ画面56は、工具データのタブ49bを選択することにより表示することができる。工具データ画面56は、工具情報を入力または編集する入力画面として機能する。工具データ画面56には、使用する工具を表示する画面を選択する使用工具のタブ56aと、それぞれの工具の情報を表示および編集する画面を選択する工具データのタブ56bと、工具のオフセット値を入力する工具オフセットのタブ56cとを有する。
図4に示す例では、工具オフセットのタブ56cが選択されている。
【0044】
工具データ画面56のうち工具オフセットの画面は、表示領域56dを有する。表示領域56dには、加工プログラムによって指定される番号と、加工プログラムに記述される工具経路補正量の対応表が表示される。補正量としては、加工プログラムにて指定された工具の実際の工具長を例示することができる。所定の工具の項目を選択することにより、入力補助画面82が表示される。入力補助画面82には、入力領域82aとボタン82c,82dが表示されている。ボタン82c,82dを押すことにより、入力領域82aに入力された数字をそれぞれの項目に反映することができる。
【0045】
表示部28は、入力領域82aに入力した数字が予め定められた範囲と異なる場合に、入力補助画面82の警告領域82bに警告文を表示する。この例では、入力領域82aに入力した数字が所定の範囲よりも大きいために警告文が表示されている。この実施例においても、入力情報が予め定められた規則に反する場合には、警告文が入力補助画面82に表示されている。そして、入力補助画面82に警告文が表示されることにより、使用者による入力ミスを低減することができる。また、工具情報の編集を容易に行うことができる。
【0046】
図5に、工具情報を表示および編集するための他の工具データ画面を示す。
図5に示す例では、工具データのタブ56bが選択されている。この画面では、工具の番号、工具の種類、および工具長等のそれぞれの工具の情報が表示される。所定の工具の項目を選択することにより、入力補助画面83が表示される。入力補助画面83には、入力領域83aとボタン83cが表示されている。入力補助画面83では、ボタン83cを押すことにより、入力する項目に入力可能な情報例が表示される。
図5に示す例では、使用する工具の種類を編集する場合に、ボタン83cを押すことにより、予め記憶部26に記憶された工具の名称の一覧が表示される。使用者は、工具の名称の一覧から所望の名称を選択することができて、容易に工具の名称を入力することができる。
【0047】
図6に、座標情報を表示および編集するための座標データ画面を示す。座標データ画面58は、座標情報を入力または編集する入力画面として機能する。座標データのタブ49cを選択することにより、座標データ画面58を表示することができる。座標データ画面58には、加工プログラムに使用されている座標を表示するプログラム指令座標のタブ58aとワーク座標の設定を行うタブ58bが配置されている。
図6に示す例では、タブ58bが選択されている。
【0048】
タブ58bが選択された座標データ画面58では、表示領域58cにワーク座標の一覧が表示される。表示領域58dには、今回の加工において使用するワーク座標が表示される。この例では、名称がG54、G55、およびG58のワーク座標が用いられている。
【0049】
それぞれのワーク座標には、直線送り軸としてのX軸、Y軸、Z軸および回転送り軸としてのA軸、C軸の各軸の項目が表示されている。それぞれの項目の入力欄には、例えば、加工プログラムで想定されているワーク上の基準点(原点)の機械座標を入力する。
【0050】
図6に示す例では、名称がG54のワーク座標のY座標の項目を選択している。入力画面の所定の項目を選択することにより、第1の入力補助画面としての入力補助画面84が表示される。本実施の形態においては、選択した項目に隣接するように入力補助画面84が表示される。また、座標データ画面58に重なるように入力補助画面84が表示される。
【0051】
今回の加工の座標情報は、工作機械にワークを配置した時の実測値を設定することが好ましい。入力補助画面84は、数字を入力する入力領域84aを有する。入力領域84aに入力する数値が既に確定している場合には、使用者が入力領域84aに直接的に入力することができる。入力補助画面84には、入力領域84aに入力された数字を座標データ画面58の選択した項目に入力するためのボタン84cが配置されている。また、入力補助画面84には、入力領域84aに入力した数字を現在の数値に加算するボタン84dが配置されている。これらのボタン84c,84dを押すことにより、入力領域84aに入力された数字を、座標データ画面58の選択された項目に反映することができる。
【0052】
本実施の形態の工作機械の制御装置は、それぞれの座標の入力値を工作機械にて測定可能に形成されている。制御装置70は、テーブルに配置したワークの測定を行うことによりそれぞれのワーク座標の入力値を算出することができる。ここでの例の名称がG54のワーク座標は、直方体のワークの1つの表面における中心位置を原点としている。
【0053】
始めに、ワークの手動測定について説明する。入力補助画面84には、選択した項目の入力を支援するための第1の入力支援ボタンとして、ボタン84e,84fが配置されている。手動測定のボタン84eを押すことにより、ワークの手動測定に対応する第2の入力補助画面が表示される。
【0054】
図7は、座標情報を手動測定にて設定するときの第2の入力補助画面である。第2の入力補助画面としての入力補助画面85は、表示領域85aを有する。入力補助画面85では、手動測定の種類を選択する。表示領域85aには、手動測定の種類が記載された複数のボタン85b〜85eが表示されている。ボタン85b〜85eは、第2の入力支援ボタンとして機能する。例えば、ボタン85bは、ワークに形成された平面形状が円形の凹部の中心点の座標値を測定するボタンである。ボタン85cは、ワークの所定の点の座標値を測定するボタンである。ボタン85dは、ワークの所定の方向における中点を測定するボタンである。ボタン85eは、ワークの表面の傾斜角度を測定するボタンである。更に、その他の測定方法のボタンも配置されている。ここでは、Y軸方向の中点の測定に対応するボタン85dを選択する。ボタン85dを押すことにより、第2の入力補助画面の入力支援ボタンに対応した第3の入力補助画面が表示される。
【0055】
図8に、座標情報を手動測定にて設定するときの第3の入力補助画面を示す。工作機械のテーブルには予めワークを配置する。第3の入力補助画面としての入力補助画面86は、所定の方向の中点の座標値を測定するための画面である。入力補助画面86は、表示領域86aを有する。表示領域86aには、測定手順の概略図が示されている。この測定例では、Y軸方向における中点の座標値を測定する。
【0056】
図1および
図8を参照して、表示領域86aに示されている様に、Y軸方向において、工具1をワーク2の一方の端面に接触させた位置をA位置と称する。また、工具1をワーク2の他方の端面に接触させた位置をB位置と称する。ワーク2に対して工具1を手動で相対移動させて、ワーク2および工具1をA位置およびB位置に配置する。この制御は、制御装置70の測定指令部29にて実施することができる。また、A位置およびB位置の機械座標の座標値を取り込む。この制御は、測定情報取得部30にて実施することができる。情報入力制御部20は、A位置の機械座標の座標値およびB位置の機械座標の座標値に基づいて、Y軸方向におけるワーク2の中点の座標値を算出することができる。
【0057】
実際の測定手順では、はじめにA位置に工具1およびワーク2を配置する。A位置の機械座標の座標値を取り込むボタン86bを押すことにより、表示領域86dに機械座標の座標値を取り込むことができる。次に、工具1およびワーク2をB位置に配置して、機械座標を取り込むボタン86cを押す。表示領域86eに機械座標の座標値を取り込むことができる。この後に、中点の座標値が算出されて、表示領域86gに計算結果が表示される。
【0058】
使用者は、計算結果を確認した後に、計算結果を移行するボタン86fを押すことにより、
図6に示される表示領域58dのG54のY座標の数値欄に算出された中点の座標値が表示される。このように、入力補助画面および入力補助画面に表示される入力支援ボタンに従って、座標情報の設定のための手動測定が完了するまで操作することができる。
【0059】
次に、座標情報の所定の項目の入力値を設定するためのワークの自動測定について説明する。
図6を参照して、ワークの自動測定を行う場合には、第1の入力補助画面としての入力補助画面84に配置されている自動測定のボタン84fを押すと、ワークの自動測定に対応する第2の入力補助画面が表示される。
【0060】
図9に、ワークの自動測定を行うときの第2の入力補助画面を示す。第2の入力補助画面としての入力補助画面87では、自動測定の種類を選択する。入力補助画面87は、表示領域87aを有する。表示領域87aには、自動測定の種類が表示された複数のボタン87b〜87eが表示されている。ボタン87b〜87eは、第2の入力支援ボタンとして機能する。例えば、ボタン87bは、平面形状が四角形の凹部の2方向における中点の測定を設定する。ボタン87cは、平面形状が四角形の凹部の1つの方向における中点の測定を設定する。ボタン87dは、直方体の互いに直交する2方向の中点の測定を設定する。ボタン87eは、1つの基準面の高さの測定を設定する。
【0061】
ここでの例では、ボタン87dを選択して中点を測定する。ボタン87dを押すことにより、互いに直交する2つの方向における中点の測定を実施するための第3の入力補助画面が表示される。すなわち、第2の入力補助画面の入力支援ボタンに対応した第3の入力補助画面が表示される。
【0062】
図10に、ワークの自動測定を行うときの第3の入力補助画面を示す。第3の入力補助画面としての入力補助画面88は、表示領域88a,88bを有する。表示領域88aには、自動測定にて測定するX軸方向およびY軸方向の2つ方向の幅U,Vが表示されている。表示領域88bには、ワーク2の測定点が表示されている。表示領域88bに示す様に、主軸にプローブ3を装着する。制御装置70は、プローブ3がワーク2の端面に接触した時の機械座標の座標値を自動的に読み込むことができる。
【0063】
使用者は、X軸方向のワーク2の概略的な幅Uを図面等から読み取って入力領域88cに入力する。このときの幅Uは、プローブ3を移動させる範囲を設定するために入力する数値であるために概略的な数値で構わない。また、同様に、Y軸方向のワーク2の概略的な幅Vを図面等から読み取って入力領域88dに入力する。使用者は、操作盤41の操作等により、プローブ3がワーク2のほぼ中央の位置の上方に配置されるようにプローブ3の概略的な位置決めを行う。そして、ボタン88eを押すことにより、準備が完了したことを制御装置70に認識させる。次に、操作盤41の測定開始ボタン45(
図2参照)を押すことにより、自動測定が開始される。
【0064】
図1および
図10を参照して、測定指令部29は、それぞれの方向の概略的な幅U,Vを参照にして、ワーク2に対してプローブ3を相対的に移動する位置を設定する。そして、測定指令部29の指令より、表示領域88bに示されている様に、ワーク2の端面にプローブ3を接触させる。測定情報取得部30は、プローブ3がワーク2の端面に接触したときの機械座標の座標値を取得する。情報入力制御部20は、X軸方向における中点およびY軸方向における中点を算出し、算出された中点の座標値を表示領域88fに表示する。
【0065】
使用者は、計算結果を確認した後に、計算結果を移行するボタン88gを押す。この結果、
図6に示される表示領域58dのG54のX座標の数値欄およびY座標の数値欄に、算出された中点の座標値が表示される。このように、本実施の形態の制御装置では、入力補助画面および入力補助画面に表示される入力支援ボタンに従って座標情報の設定のための自動測定を実施することができる。
【0066】
本実施の形態の制御装置は、入力画面において加工情報の1つの項目を選択した場合に、1つの項目に対応する第1の入力補助画面が表示される。この第1の入力補助画面には、入力を支援するための入力支援ボタンが配置されている。入力支援ボタンを押すことにより、入力支援ボタンに対応した第2の入力補助画面が表示される。そして、第2の入力補助画面に従って操作することにより、入力画面の1つの項目を入力可能に形成されている。本実施の形態では入力補助画面に入力支援ボタンが配置されているために、使用者が入力支援機能を見落とすことを回避することができる。使用者は、工作機械が有する入力支援機能のうち最も好ましい入力支援機能を確実に選択することができる。適切な入力支援機能があるにも関わらず、使用者が適切な入力支援機能に気づかずに他の入力支援機能を使用することを回避できる。この結果、加工情報を入力する作業効率が向上したり、人為的な入力ミスを低減したりすることができる。
【0067】
上記のワークの測定を実施する例では、第1の入力補助画面に、ワークの測定を実施するための第1の入力支援ボタンが配置されている。第1の入力支援ボタンを押すことにより第2の入力補助画面が表示される。第2の入力補助画面には、測定の種類を選択する複数の第2の入力支援ボタンが表示されている。第2の入力支援ボタンを押すことにより、選択した種類の測定を実施するための第3の入力補助画面が表示される。ワークの測定方法には多くの種類が存在し、また、測定方法に対応して工作機械の操作が異なるが、この構成を採用することにより、使用者は入力補助画面および入力支援ボタンに従って測定が完了するまで適切な操作を行うことができる。使用者は、ワークの測定を容易かつ確実に実施することができて、加工情報の入力画面の所定の項目に測定値を入力することができる。
【0068】
また、上記の実施の形態では、座標情報を設定するためにワークを測定する例を取りあげて説明しているが、この形態に限られず、工具情報等を設定するために工具の測定を実施する場合にも、入力補助画面の表示および入力支援ボタンの押圧を繰り返すことにより、容易に工具の測定を実施することができる。例えば、
図4に示す工具情報を表示する工具データ画面56において、入力補助画面82に、工作機械に装着されている工具の測定を実施する入力支援ボタンを配置することができる。工具オフセット値を設定する場合に、入力補助画面82に配置された入力支援ボタンを押すことにより、他の入力補助画面が開いて、工具の工具長または工具径を測定可能に形成されていても構わない。
【0069】
更には、本発明は、任意の加工情報を入力または編集する入力画面に文字や数字を入力する制御装置に適用することができる。例えば、加工情報として、加工後のワークを検査した情報を含むワーク測定情報を取り上げることができる。ワーク測定情報には、ワークの測定を実施したときの測定手順や測定結果を含めることができる。ワークの測定結果の入力画面において、測定結果の項目を選択した場合に第1の入力補助画面が開くように形成することができる。そして、第1の入力補助画面に表示された入力支援ボタンを押すことにより、第2の入力補助画面が開き、そして、第2の入力補助画面に従って操作することにより、ワークの測定を実施するように形成することができる。
【0070】
上記の実施の形態においては、第2の入力補助画面に第2の入力支援ボタンが配置されているが、この形態に限られず、第2の入力補助画面には第2の入力支援ボタンが表示されていなくても構わない。例えば、
図6を参照して、第1の入力補助画面としての入力補助画面84に、複数の種類の手動測定のボタンを全て配置しても構わない。この場合には、第1の入力補助画面にて所定の方法の手動測定を選択した場合には、
図8に示される入力補助画面86のような入力補助画面を表示することができる。
【0071】
また、本実施の形態においては、入力補助画面として、第1の入力補助画面から第3の入力補助画面までの3個の入力補助画面を表示する例を示して説明したが、この形態に限られず、さらに多くの入力補助画面を表示しても構わない。入力補助画面に選択事項がある場合には、入力支援ボタンを配置して次の入力補助画面にて選択事項を選択可能に形成することができる。このように、制御装置は、入力補助画面の表示および入力支援ボタンの押圧を繰り返すことにより、ワークの測定または工具の測定が完了するまで操作可能に形成されていることが好ましい。この構成により、使用者は、入力補助画面および入力支援ボタンに注意をするだけで、最適な方法にてワークや工具の測定を実施し、入力画面の項目に必要な情報を入力することができる。
【0072】
上記のそれぞれの実施の形態は、適宜組み合わせることができる。たとえば、入力補助画面に入力支援ボタンを表示すると共に、入力領域に誤った数字等を入力した場合には警告文を表示するように形成することができる。つまり、本発明の特徴は、第1の入力補助画面の入力支援ボタンが押されることにより、入力支援ボタンに対応した第2の入力補助画面が表示されることにある。また、本発明の特徴は、警告文等のメッセージが表示されること、または、
図5に示した入力補助画面83のように工具の名称の情報例が表示されることにある。
【0073】
本実施の形態の制御装置は、エンドミル等の工具により切削を行うマシニングセンタやフライス盤の他に、旋盤、研削盤、または放電加工機等の任意の工作機械に適用することができる。
【0074】
上述のそれぞれの図において、同一または相当する部分には同一の符号を付している。なお、上記の実施の形態は例示であり発明を限定するものではない。また、実施の形態においては、請求の範囲に示される形態の変更が含まれている。