特許第6335933号(P6335933)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335933
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】メルカプトシラン−ポリマー混合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/12 20060101AFI20180521BHJP
   C08K 5/548 20060101ALI20180521BHJP
   C08L 23/06 20060101ALI20180521BHJP
   C08L 31/04 20060101ALI20180521BHJP
   C08L 21/00 20060101ALI20180521BHJP
   C08K 3/00 20180101ALI20180521BHJP
【FI】
   C08L23/12
   C08K5/548
   C08L23/06
   C08L31/04 S
   C08L21/00
   C08K3/00
【請求項の数】13
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2015-560598(P2015-560598)
(86)(22)【出願日】2014年2月4日
(65)【公表番号】特表2016-509115(P2016-509115A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】EP2014052113
(87)【国際公開番号】WO2014135323
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2016年11月22日
(31)【優先権主張番号】102013203651.5
(32)【優先日】2013年3月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】トアステン ペーターレ
(72)【発明者】
【氏名】アンケ ブルーメ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラフ モンキェヴィチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア コアヒ
(72)【発明者】
【氏名】ユーリ チェルニイェフ
(72)【発明者】
【氏名】カトリン クノーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クローゼ
【審査官】 藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−505225(JP,A)
【文献】 特開2009−256576(JP,A)
【文献】 特開2006−249069(JP,A)
【文献】 特表2009−543829(JP,A)
【文献】 特開2012−153758(JP,A)
【文献】 特開2012−009693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
C08J 3/00−3/28、99/00
C07F 7/00−7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】
[式中、
1は、アルキルポリエーテル基−O−(R5−O)m−R6であり、そのうちのR5は、同一または異なって、CH2−CH2、CH2−CH(CH3)、CH(CH3)−CH2、またはCH2−CH2−CH2であり、mは、平均して1〜30であり、かつR6は、少なくとも1個の炭素原子からなり、かつ非置換または置換の、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基であり、
2は、同一または異なって、R1基、またはR7O基であり、そのうちR7は、メチルまたはエチルであり、
3は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、二価のC1〜C30の炭化水素基であり、かつ
4は、H、CNまたは(C=O)−R9であり、そのうちR9は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、一価のC1〜C30の炭化水素基である]の少なくとも1種のメルカプトシランと、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートの群から選択される少なくとも1種のポリマーまたは前記ポリマーの混合物とを含有することを特徴とするメルカプトシラン−ポリマー混合物。
【請求項2】
一般式Iのメルカプトシランの混合物を含有することを特徴とする、請求項1に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物。
【請求項3】
下記式
【化2】
のメルカプトシランの混合物を含有することを特徴とする、請求項2に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物。
【請求項4】
一般式Iのメルカプトシランまたは一般式Iのメルカプトシランの混合物が、追加的に一般式Iのメルカプトシランの加水分解生成物および/または縮合生成物を含有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物。
【請求項5】
前記ポリマーは、50000〜1000000g/モルの分子量を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物。
【請求項6】
前記ポリマーは、80〜150kg/m3の嵩密度を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物。
【請求項7】
請求項1に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物の製造方法であって、一般式Iの少なくとも1種のメルカプトシランと、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートの群から選択される少なくとも1種のポリマーまたは前記ポリマーの混合物とを混合することを特徴とする製造方法。
【請求項8】
前記混合のために鋤刃型ミキサーが使用されることを特徴とする、請求項7に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物の製造方法。
【請求項9】
請求項1に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物の、ゴム混合物の製造のための使用。
【請求項10】
ゴム混合物であって、
(A)少なくとも1種のゴムと、
(B)少なくとも1種の充填剤と、
(C)少なくとも1種の請求項1記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物と、
を含有することを特徴とするゴム混合物。
【請求項11】
請求項10に記載のゴム混合物の製造方法であって、少なくとも1種のゴム、少なくとも1種の充填剤、および請求項1に記載の少なくとも1種のメルカプトシラン−ポリマー混合物を混合装置で混合することを特徴とする製造方法。
【請求項12】
請求項1に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物の、成形体の製造のための使用。
【請求項13】
請求項1に記載のメルカプトシラン−ポリマー混合物の、タイヤ、タイヤトレッド、ケーブル外被、チューブ、駆動ベルト、コンベヤーベルト、ローラー被覆材、靴底、シールリングおよび制振用エレメントにおける使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メルカプトシラン−ポリマー混合物、前記混合物の製造方法、ならびに前記混合物の使用に関する。
【0002】
タイヤ産業において、シリカと組み合わせて転がり抵抗、ウェットスキッド挙動、および耐摩耗性を改善するために、一部では含硫黄シランが使用されている。通常使用される含硫黄シランは液状であるため、該液体シランを予め重さを量って密封することによって、または液用計量供給装置によって、ミキサー中に直接的に導入せねばならない。そのような手間のかかる添加を避けるために(大抵の混練機は、液用計量供給装置を備えていない)、前記含硫黄シランを担体上に吸着させることができる。その場合に、全シラン量がタイヤ混合物中に提供されるように、前記担体は含硫黄シランと反応すべきではない。
【0003】
EP1285926、EP1683801およびEP1829922から、ポリエーテル基を有するメルカプトシランもしくはポリスルフィド系シランが知られている。前記シランは、有機担体上に吸着されていてもよい。
【0004】
更に、KR850000081からはシラン/充填剤混合物が知られており、かつDE102012205642からは、メルカプトシラン/カーボンブラック混合物が知られている。
【0005】
更に、US7078551からは、担体上のブロック化されたメルカプトシランが知られている。
【0006】
公知のメルカプトシラン/担体混合物の欠点は、貯蔵安定性、加工性、強化挙動、動的剛性、および/または分散性が悪化することである。
【0007】
本発明の課題は、良好な貯蔵安定性、加工性、良好な強化挙動、良好な動的剛性、および分散性を有する、メルカプトシランとポリマーとの混合物を提供することである。
【0008】
本発明の主題は、メルカプトシラン−ポリマー混合物であって、前記混合物は、一般式I
【化1】
[式中、
1は、アルキルポリエーテル基−O−(R5−O)m−R6であり、そのうちのR5は、同一または異なって、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の二価のC1〜C30−炭化水素基、好ましくはCH2−CH2、CH2−CH(CH3)、−CH(CH3)−CH2−またはCH2−CH2−CH2であり、mは、平均して1〜30、好ましくは2〜20、特に好ましくは2〜15、殊に好ましくは3〜10、極めて好ましくは3.5〜7.9であり、かつR6は、少なくとも1個の、好ましくは少なくとも11個の、特に好ましくは少なくとも12個の炭素原子からなり、かつ非置換または置換の、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基であり、
2は、同一または異なって、R1基、C1〜C12−アルキル基またはR7O基であり、そのうちR7は、H、メチル、エチル、プロピル、C9〜C30の分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、または(R83Si基であり、ここでR8は、C1〜C30の分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、
3は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、二価のC1〜C30の、好ましくはC1〜C6の、特に好ましくはC3の炭化水素基であり、かつ
4は、H、CNまたは(C=O)−R9であり、そのうちR9は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、一価のC1〜C30の、好ましくはC5〜C30の、特に好ましくはC5〜C20の、殊に好ましくはC7〜C15の、極めて好ましくはC7〜C11の炭化水素基である]の少なくとも1種のメルカプトシランと、ポリプロピレン、ポリエチレン、好ましくはHDPE、エチレンビニルアセテートの群から選択される少なくとも1種のポリマーまたは前記ポリマー混合物とを含有することを特徴とするメルカプトシラン−ポリマー混合物である。
【0009】
前記メルカプトシラン−ポリマー混合物は、前記メルカプトシラン−ポリマー混合物に対して、少なくとも20質量%の、好ましくは少なくとも25質量%の、特に好ましくは30質量%〜70質量%の一般式Iのメルカプトシランを含有してよい。
【0010】
一般式Iのメルカプトシランの、ポリマーに対する質量比は、30:70〜60:40、好ましくは40:60〜50:50であってよい。
【0011】
前記ポリマーは、50000〜1000000g/モルの、好ましくは80000〜500000g/モルの、特に好ましくは100000〜250000g/モルの分子量を有しうる(DIN EN ISO 16014-5:プラスチック(ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによる平均モル質量およびモル質量分布の測定)第5部:光散乱検出法)。
【0012】
前記ポリマーは、80〜200℃の、好ましくは90〜180℃の溶融温度を有しうる(示差走査熱量測定分析(DSC測定法)DIN EN ISO 11357)。殊に好ましくは、エチレンビニルアセテートは、90〜120℃の溶融温度を有し、ポリエチレンは、105〜140℃の溶融温度を有し、かつポリプロピレンは、140〜175℃の溶融温度を有しうる。
【0013】
前記ポリマーは、80〜150kg/m3の、好ましくは90〜140kg/m3の嵩密度を有しうる(DIN EN ISO 60)。
【0014】
前記ポリマーは、0.2〜30g/10minのメルトボリュームフローレート(MFR)を有しうる(ISO 1133: 190℃/2.16kg)。特に好ましくは、エチレンビニルアセテートは、0.4〜1.0g/10minのメルトボリュームフローレートを有し、ポリエチレンは、1.0〜5.0g/10minのメルトボリュームフローレートを有し、かつポリプロピレンは、20〜30g/10minのメルトボリュームフローレートを有しうる。
【0015】
前記ポリマーは、−80℃〜+10℃のガラス温度を有しうる(ISO 1133)。特に好ましくは、エチレンビニルアセテートは、−30℃〜−10℃のガラス温度を有し、ポリエチレンは、−80℃〜−60℃のガラス温度を有し、かつポリプロピレンは、−30℃〜+10℃のガラス温度を有しうる。
【0016】
前記ポリマーであるポリエチレンは、HDPEであってよい。前記HDPEは、0.94〜0.97g/cm3の密度を有しうる。
【0017】
前記メルカプトシラン−ポリマー混合物は、80〜900kg/m3の嵩密度を有しうる(DIN EN ISO 60)。
【0018】
前記ポリマーのエチレンビニルアセテートは、ビニルアセテートとエチレンとからのコポリマーであり、4〜30質量%の、好ましくは4.3〜6.7質量%のビニルアセテートを含んでよい(DIN EN ISO 4613-2:プラスチック(エチレン−ビニルアセテート(E/VAC)成形材料)第2部:試験体の製造と特性の測定)。
【0019】
一般式Iのメルカプトシランは、その式中、
1は、アルキルポリエーテル基−O−(R5−O)m−R6であり、そのうちのR5は、同一または異なって、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の二価のC1〜C30−炭化水素基、mは、平均して1〜30であり、かつR6は、少なくとも11個の炭素原子からなり、かつ非置換または置換の、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基であり、
2は、同一であって、C1〜C12−アルキル基またはR7O基であり、そのうちR7は、H、エチル、プロピル、C9〜C30の分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、または(R83Si基であり、ここでR8は、C1〜C30の分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、
3は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、二価のC1〜C30の炭化水素基であり、かつ
4は、H、CNまたは(C=O)−R9であり、そのうちR9は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、一価のC1〜C30の炭化水素基である、化合物であってよい。
【0020】
一般式Iのメルカプトシランは、その式中、
1は、
【化2】
であり、
2は、異なって、R1基、C1〜C12−アルキル基またはR7O基であり、そのうちR7は、H、メチル、エチル、プロピル、C9〜C30の分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、または(R83Si基であり、ここでR8は、C1〜C30の分枝鎖状または非分枝鎖状のアルキル基またはアルケニル基であり、
3は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、二価のC1〜C30の炭化水素基であり、かつ
4は、H、CNまたは(C=O)−R9であり、そのうちR9は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、一価のC1〜C30の炭化水素基である、化合物であってよい。
【0021】
一般式Iのメルカプトシランは、その式中、
1は、
【化3】
であり、
2は、R1基であり、
3は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、二価のC1〜C30の炭化水素基であり、かつ
4は、H、CNまたは(C=O)−R9であり、そのうちR9は、分枝鎖状または非分枝鎖状の、飽和または不飽和の、脂肪族の、芳香族の、または脂肪族/芳香族の混合型の、一価のC1〜C30の炭化水素基である、化合物であってよい。
【0022】
式Iで示され、式中、R4がHである好ましい化合物は、
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】
【化7】
【0026】
【化8】
【0027】
【化9】
【0028】
【化10】
であってよく、前記式中、R6は、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状であってよい。
【0029】
式Iで示され、その式中、R4がCNである好ましい化合物は、
【化11】
【0030】
【化12】
であってよく、前記式中、R6は、分枝鎖状もしくは非分枝鎖状であってよい。
【0031】
式Iで示され、その式中、R4が−C(=O)−R9であり、かつR9が分枝鎖状もしくは非分枝鎖状の−C511、−C613、−C715、−C817、−C919、−C1021、−C1123、−C1225、−C1327、−C1429、−C1531、−C1633、−C1735、および−C65(フェニル)である好ましい化合物は、
【化13】
【0032】
【化14】
であってよい。
【0033】
6は、好ましくはC12〜C17の、殊に好ましくはC12〜C16の、極めて好ましくはC12〜C14の、非置換または置換の、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルキルであってよい。
【0034】
6は、−C1123、−C1225、−C1327、−C1429、−C1531、−C1633、または−C1735のアルキル基であってよい。
【0035】
6は、好ましくはC11〜C35の、特に好ましくはC11〜C30の、殊に好ましくはC12〜C30の、極めて好ましくはC13〜C20の、非置換または置換の、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアルケニルであってよい。
【0036】
6は、好ましくはC11〜C14および/またはC16〜C30の、殊に好ましくはC11〜C14および/またはC16〜C25の、極めて好ましくはC12〜C14および/またはC16〜C20の、非置換または置換の、分枝鎖状または非分枝鎖状の一価のアラルキルであってよい。
【0037】
6は、アルケニルとして、−C1121、−C1223、−C1325、−C1427、−C1529、−C1631、または−C1733であってよい。
【0038】
1は、アルコキシル化されたヒマシ油(例えばCAS 61791-12-6)であってよい。
【0039】
1は、アルコキシル化されたオレイルアミン(例えばCAS 26635-93-8)であってよい。
【0040】
前記ポリエーテル基(R5O)mは、ランダムなエチレンオキシド単位およびプロピレンオキシド単位またはポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドからなるポリエーテルブロックを含んでよい。
【0041】
ポリエーテル基(R5−O)mは、好ましくは
【化15】
または互いの組み合わせであってよく、
前記式中、a、bおよびcは、互いに独立しており、かつ
aは、1〜50、好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜20、殊に好ましくは4〜15、極めて好ましくは5〜12であり、
bは、1〜50、好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜20、殊に好ましくは4〜15、極めて好ましくは5〜12であり、
cは、1〜50、好ましくは2〜30、特に好ましくは3〜20、殊に好ましくは4〜15、極めて好ましくは5〜12である。
【0042】
係数a、bおよびcは、整数であり、繰返単位の数を示す。
【0043】
基(R5−O)mは、R4が−H、−CNもしくは−C(=O)−R9の場合に、好ましくはエチレンオキシド単位(CH2−CH2−O)aまたはプロピレンオキシド単位(CH(CH3)−CH2−O)aもしくは(CH2−CH(CH3)−O)aを含んでよい。
【0044】
基(R5−O)mは、R4が−H、−CNもしくは−C(=O)−R9の場合に、好ましくはエチレンオキシド単位(CH2−CH2−O)aまたはプロピレンオキシド単位(CH(CH3)−CH2−O)aもしくは(CH2−CH(CH3)−O)aをランダム分布でまたはブロック状で含んでよい。
【0045】
アルキルポリエーテル基(R5−O)mは、R4が−Hの場合に、好ましくはエチレンオキシド単位(CH2−CH2−O)aおよびプロピレンオキシド単位(CH(CH3)−CH2−O)aもしくは(CH2−CH(CH3)−O)aをランダム分布でまたはブロック状で含んでよい。
【0046】
基(R5−O)mは、R4が−Hの場合に、好ましくはプロピレンオキシド単位(CH(CH3)−CH2−O)aもしくは(CH2−CH(CH3)−O)aを含んでよい。
【0047】
前記アルキルポリエーテル基O−(R5−O)m−R6は、R4が−H、−CNもしくは−C(C=O)−R9の場合に、
【化16】
【0048】
【化17】
であってよい。
【0049】
基R5は、置換されていてよい。基R6は、C1327であってよい。
【0050】
1は、
【化18】
であってよい。
【0051】
炭素鎖R6の平均分岐数は、1〜5、好ましくは1.2〜4であってよい。その場合に、前記平均分岐数は、CH3基の数−1として定義される。
【0052】
3は、
【化19】
を意味しうる。
【0053】
前記メルカプトシラン−ポリマー混合物は、一般式Iの種々のメルカプトシランと、任意に前記メルカプトシランの縮合生成物とからなる混合物を含有しうる。
【0054】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、種々のm値を有する一般式Iのメルカプトシランを含んでよい。
【0055】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、種々のR6基を有する一般式Iのメルカプトシランを含んでよい。その場合に、前記R6基は、種々の炭素原子鎖長を有してよい。
【0056】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、種々のR1基およびR2基を有する一般式Iの種々のメルカプトシランを含んでよく、その際、前記R1基およびR2基は、アルコキシ基およびアルキルポリエーテル基からなる。
【0057】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、種々のR2を有する一般式Iの種々のメルカプトシランを含んでよい。
【0058】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、種々のR1基およびR2基を有する一般式Iの種々のメルカプトシランを含んでよく、その際、前記R1基はアルキルポリエーテル基からなり、かつ前記R2基はエトキシ基からなり、かつR6は13個の炭素原子のアルキル鎖長であり、R5はエチレンであり、かつmは平均して5である。
【0059】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、一般式Iで示され、その式中、R2は同一または異なって、エトキシ基またはアルキルポリエーテル基(R1)であり、R6は13個の炭素原子のアルキル鎖長であり、R5はエチレンであり、かつmは平均して5であり、かつR2は様々である種々のメルカプトシランを含んでよい。
【0060】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、一般式Iで示され、その式中、R1基およびR2基は、アルコキシ基およびアルキルポリエーテル基であり、かつR6は、種々の炭素原子鎖長からなる種々のメルカプトシランを含んでよい。
【0061】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、一般式Iで示され、その式中、R2は同一または異なって、アルコキシ基またはアルキルポリエーテル基(R1)であり、かつ該混合物中のR2は、様々であり、R6は、種々の炭素原子鎖長からなる種々のメルカプトシランを含んでよい。
【0062】
一般式Iの種々のメルカプトシランの混合物は、好ましくは
【化20】
ならびに場合により前記化合物の加水分解生成物および/または縮合生成物を含んでよい。
【0063】
一般式Iのメルカプトシランから、水の添加と、場合により添加剤の添加によって、縮合生成物、つまりオリゴシロキサンおよびポリシロキサンを容易に形成することができる。
【0064】
式Iの化合物の前記オリゴマーまたはポリマーのシロキサンは、前記モノマーの式Iの化合物と同じ用途のためにカップリング試薬として使用できる。
【0065】
メルカプトシラン化合物は、一般式Iのメルカプトシランのオリゴマーもしくはポリマーのシロキサンの混合物として、または一般式Iのメルカプトシランと、一般式Iのメルカプトシランのオリゴマーもしくはポリマーのシロキサンの混合物との混合物として存在してもよい。
【0066】
本発明の更なる主題は、本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物の製造方法であって、一般式Iの少なくとも1種のメルカプトシランと、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンビニルアセテートまたは前記ポリマーの混合物の群から選択される少なくとも1種のポリマーとを混合することを特徴とする製造方法である。
【0067】
本発明による方法は、連続的にまたは断続的に実施することができる。
【0068】
一般式Iのメルカプトシランの、ポリマーに対する質量比は、30:70〜60:40、好ましくは40:60〜50:50であってよい。
【0069】
本発明による方法は、5〜150℃の、好ましくは10〜100℃の、特に好ましくは15〜60℃の温度で実施できる。縮合反応を避けるために、前記反応を無水環境で、理想的には不活性ガス雰囲気下で実施することが好ましいことがある。
【0070】
本発明による方法は、常圧または減圧で実施できる。
【0071】
本発明による方法における混合は、メカニカルミキサーによって行うことができる。前記メカニカルミキサーを用いると、一方では、均質な生成物移動と生成物完全混和を達成でき、他方では、担体顆粒の過度の破壊を引き起こしえない。
【0072】
この場合に、固体ミキサーの分類のための通常の特性値は、遠心加速度の重力加速度に対する比率を表すフルード数(Fr)である。
【0073】
Fr<1のゆっくり作動するミキサー、例えば重力式ミキサーまたは剪断ミキサー(Schubmischer)の他に、Fr>1の迅速に作動するミキサー、例えば乱流ミキサー(Wurfmischer)も、しかしFr>>1の遠心力ミキサー(Fliehkraftmischer)も使用することができる。
【0074】
ゆっくり作動する剪断ミキサーの場合に、例えばドラム式ミキサー(例えばEngelsmann社製)または二軸ミキサー(例えばGericke社製もしくはForberg社製)を使用することもできる。Fr>1の範囲の場合の迅速に作動するミキサーとしては、例えば鋤刃型ミキサー(Pflugscharmischer)(例えばLoedige社製)または縦型二軸ミキサー(例えばAmixon社製)を使用することができる。Fr>>1の範囲では、遠心力ミキサーまたは強力ミキサー(例えばEirich社製またはMixaco社製)を使用することができる。
【0075】
特に好ましくは、本発明による方法のためには鋤刃型ミキサーを使用することができる。
【0076】
本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物は、無機材料、例えば、ガラス繊維、金属、酸化物型充填剤、シリカと有機ポリマー、例えば熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂もしくはエラストマーとの間の付着媒介剤として、または架橋剤および表面改質剤として使用することができる。本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物は、ゴム混合物における、例えばタイヤトレッドにおけるカップリング試薬として使用することができる。
【0077】
本発明の更なる主題は、ゴム混合物であって、
(A)少なくとも1種のゴムと、
(B)少なくとも1種の充填剤、好ましくは沈降シリカと、
(C)少なくとも1種の本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物と、
を含有するゴム混合物である。
【0078】
ゴムとしては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができる。好ましい合成ゴムは、例えばW.Hofmann, ゴム工学(Kautschuktechnologie), Genter出版, Stuttgart 1980に記載されている。前記ゴムは、とりわけ
− ポリブタジエン(BR)、
− ポリイソプレン(IR)、
− スチレン/ブタジエン共重合体、例えばエマルジョンSBR(E−SBR)または溶液SBR(L−SBR)であり、好ましくは1〜60質量%、特に好ましくは5〜50質量%のスチレン含有率を有するもの(SBR)、
− クロロプレン(CR)
− イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、
− ブタジエン/アクリロニトリル共重合体であり、5〜60質量%、好ましくは10〜50質量%のアクリロニトリル含有率を有するもの(NBR)、
− 部分水素化または完全に水素化されたNBRゴム(HNBR)、
− エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)
− 上述のゴムであって、追加的に官能基、例えばカルボキシ基、シラノール基またはエポキシ基を有するゴム、例えばエポキシ化NR、カルボキシ官能化NBRまたはシラノール−(−SiOH)もしくはシロキシ官能化(−Si−OR)SBR、
ならびにこれらのゴムの混合物
であってよい。
【0079】
好ましい一実施形態においては、前記ゴムは、硫黄加硫可能であってよい。乗用車用のタイヤトレッドの製造のためには、特にガラス温度が−50℃を上回るアニオン重合されたL−SBRゴム(溶液SBR)ならびに前記ゴムとジエンゴムとの混合物を使用することができる。特に好ましくは、L−SBRゴムであって、そのブタジエン部が20質量%を上回るビニル割合を有するゴムを使用することができる。殊に好ましくは、L−SBRゴムであって、そのブタジエン部が50質量%を上回るビニル割合を有するゴムを使用することができる。
【0080】
好ましくは、上述のゴムの混合物であって、L−SBRの割合が50質量%を上回り、特に好ましくは60質量%を上回る混合物を使用することができる。
【0081】
充填剤として、本発明によるゴム混合物のためには、以下の充填剤を使用することができる。
【0082】
カーボンブラック:この場合に使用されるべきカーボンブラックは、ランプブラック法、ファーネスブラック法、ガスブラック法またはサーマル法により製造され、かつ20〜200m2/gのBET表面積を有する。前記カーボンブラックは、場合により例えばSiのようなヘテロ原子を含んでもよい。
【0083】
例えばケイ酸塩の溶液からの沈降によって、またはケイ素ハロゲン化物の火炎加水分解によって製造される、比表面積5〜1000m2/gの、好ましくは20〜400m2/g(BET表面積)を有し、かつ10〜400nmの一次粒度を有するアモルファスシリカ。前記シリカは、場合により他の金属酸化物、例えばアルミニウム(Al)酸化物、マグネシウム(Mg)酸化物、カルシウム(Ca)酸化物、バリウム(Ba)酸化物、亜鉛(Zn)酸化物およびチタン酸化物との混合酸化物としても存在してよい。
【0084】
合成ケイ酸塩、例えばアルミニウムケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウムまたはケイ酸カルシウムであって、20〜400m2/gのBET表面積および10〜400nmの一次粒径を有する合成ケイ酸塩。
【0085】
合成または天然のアルミニウム酸化物およびアルミニウム水酸化物。
【0086】
天然ケイ酸塩、例えばカオリンおよび他の天然産生ケイ酸。
【0087】
ガラス繊維およびガラス繊維生成物(マット、ロープ)または微小ガラス球。
【0088】
好ましくは、ケイ酸塩の溶液から沈降によって製造されるアモルファスシリカであって、BET表面積20〜400m2/g、特に好ましくは100m2/g〜250m2/gを有するシリカは、それぞれ100部のゴムに対して5〜150質量部の量で使用できる。
【0089】
上述の充填剤は、単独でまたは混合物で使用することができる。
【0090】
ゴム混合物は、100質量部のゴムに対して、5〜150質量部の充填剤(B)および0.1〜35質量部の、好ましくは2〜20質量部の、特に好ましくは5〜15質量部の本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物(C)を含有してよい。
【0091】
前記ゴム混合物は、追加的にシリコーン油および/またはアルキルシランを含有してよい。
【0092】
本発明によるゴム混合物は、更なる公知のゴム助剤、例えば架橋剤、加硫促進剤、反応促進剤、反応遅延剤、老化防止剤、安定化剤、加工助剤、可塑剤、ワックスまたは金属酸化物、ならびに場合により活性化剤、例えばトリエタノールアミン、ポリエチレングリコールまたはヘキサントリオールを含有してよい。
【0093】
ゴム助剤は、とりわけ使用目的に応じた通常の量で使用され得る。通常の量は、例えばゴムに対して0.1〜50質量%の量であってよい。
【0094】
架橋剤としては、硫黄または有機硫黄供与体を使用することができる。
【0095】
本発明によるゴム混合物は、更なる加硫促進剤を含有してよい。例えば、適切な加硫促進剤としては、メルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミド、グアニジン、ジチオカルバメート、チオ尿素、チオカーボネートならびにそれらの亜鉛塩、例えば亜鉛ジブチルジチオカルバメートを使用することができる。
【0096】
本発明によるゴム混合物は、好ましくは追加的に
(D)チウラムスルフィド系促進剤および/またはカルバメート系促進剤および/または相応の亜鉛塩と、
(E)窒素含有補助活性化剤と、
(F)場合により更なるゴム助剤と、
(G)場合により更なる促進剤と、
を含有してよく、その際、促進剤(D)の窒素含有補助活性化剤(E)に対する質量比の値は、1と同じか、または1より大きい。
【0097】
本発明によるゴム混合物は、(D)テトラベンジルチウラムジスルフィドまたはテトラメチルチウラムジスルフィドを、100質量部のゴムに対して少なくとも0.25質量部で、(E)ジフェニルグアニジンを、100質量部のゴムに対して最大0.25質量部で、かつ(G)シクロヘキシルスルフェンアミドまたはジシクロヘキシルスルフェンアミドを、前記(D)よりも多い質量部で含有してよい。
【0098】
好ましくは、スルフェンアミドは、グアニジン類およびチウラム類と一緒に使用でき、特に好ましくはシクロヘキシルスルフェンアミドまたはジシクロヘキシルスルフェンアミドは、ジフェニルグアニジンおよびテトラベンジルチウラムジスルフィドまたはテトラメチルチウラムジスルフィドと一緒に使用できる。
【0099】
加硫促進剤および硫黄は、使用されるゴムに対して、0.1〜10質量%の量で、好ましくは0.1〜5質量%の量で使用できる。特に好ましくは、硫黄およびスルフェンアミドは、1〜4質量%の量で使用でき、チウラムは、0.2〜1質量%の量で使用でき、かつグアニジンは、0質量%〜0.5質量%の量で使用できる。
【0100】
本発明の更なる主題は、本発明によるゴム混合物の製造方法であって、少なくとも1種のゴム(A)、少なくとも1種の充填剤(B)、少なくとも1種の本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物(C)および場合により更なるゴム助剤を混合装置で混合することを特徴とする製造方法である。
【0101】
ゴムと充填剤、場合によってはゴム助剤および本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物との混合は、通常の混合装置、例えば圧延機、密閉式ミキサーおよび混合押出機において実施され得る。通常、そのようなゴム混合物は、密閉式ミキサー中で製造され得、その際、まず1つまたは複数の連続した熱機械混合ステップにおいて、ゴム、充填剤、本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物およびゴム助剤が100〜170℃にて混和される。その際、個々の成分の添加順序および添加時点は、得られた混合物特性に決定的に作用を及ぼし得る。通常は、こうして得られたゴム混合物は、密閉式ミキサー中でまたは圧延機で40〜110℃で架橋化学物質と混合され、そして後続の処理工程、例えば形状付与および加硫のために、いわゆる粗製混合物へと加工され得る。
【0102】
本発明によるゴム混合物の加硫は、80〜200℃、好ましくは130〜180℃の温度、場合によっては10〜200barの加圧下で行われ得る。
【0103】
本発明によるゴム混合物は、成形体の製造のために、例えば空気タイヤ、タイヤトレッド、ケーブル外被、チューブ、駆動ベルト、コンベヤーベルト、ローラー被覆材、タイヤ、靴底、封止用エレメント、例えばシールリングおよび制振用エレメントの製造のために使用することができる。
【0104】
本発明の更なる主題は、本発明によるゴム混合物から加硫によって得られる成形体である。
【0105】
本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物は、より長い貯蔵時間でも該メルカプトシランが変化しないという利点を有する。
【0106】
更なる利点は、良好な加工性、良好な強化挙動、良好な動的剛性および分散性である。
【0107】
実施例:
例1:
ポリマーを26℃および80mbarで真空乾燥棚において8時間にわたり乾燥させる。引き続き、前記ポリマーを直接的にメカニカルミキサーSomakon MP-L(Somakon Verfahrenstechnik UG社)に量り入れ、そして該材料が外壁部で上昇するように250rpmの回転速度および室温で混合する(第1表)。スクレイパーは、30回転/分の一定の回転速度に調整する。造粒物に相応のシランを揺動ピストン型ポンプを用いて1.5mmのノズルを介して滴下させる。計量供給速度は、その場合に7〜7.5g/分である。こうして得られた生成物を、真空(50mbar)下に室温で一晩後処理する。
【0108】
第1表
【表1】
Accurel XP-712は、Membrana GmbH社製のポリアミド−12である。
Accurel XP-500は、Membrana GmbH社製のエチレンビニルアセテートである。
Accurel MP-100は、Membrana GmbH社製のポリプロピレンである。
Accurel XP-200は、Membrana GmbH社製のHDPEである。
Si 363は、式Si(OR)3(CH23−SHで示され、RがC25またはアルキルポリエーテルである、Evonik Industries AG社製のオルガノシランである。
【0109】
例2
ゴム混合物のために使用した処方は次の第2表に挙げられている。この場合に単位phrは、使用される粗製ゴム100部に対する質量割合を意味する。前記メルカプトシラン−ポリマー混合物は、メルカプトシランに対して等モルで使用される。該混合物は、1.5lのミキサー(Eタイプ)において155℃のバッチ温度で製造される。
【0110】
第2表
【表2】
【0111】
ポリマーVSL 5025-2は、スチレン含量25質量%およびビニル割合50質量%を有する溶液重合されたBayer AG社製のSBRコポリマーである。前記コポリマーは、37.5phrのTDAE油を含有し、かつムーニー粘度(ML 1+4/100℃)47を有する。
【0112】
ポリマーBuna CB 24は、少なくとも96%のシス−1,4含量を有し、かつ44±5のムーニー粘度を有する、Bayer AG社製のシス−1,4−ポリブタジエン(Neodymタイプ)である。
【0113】
Ultrasil 7000 GRは、Evonik Industries AG社製の易分散性シリカであり、かつ170m2/gのBET表面積を有する。
【0114】
TDAE油として、Klaus Dahleke KG社製のVivatec 500が使用され、Vulkanox 4020は、Lanxess Europe GmbH & Co. KG社製の6PPDであり、Vulkanox HS/LGは、Lanxess社製のTMQであり、かつProtektor G3108は、Paramelt B.V.社製のオゾン保護ワックスであり、ZnO RSは、Arnsperger Chemikalien GmbH社製のZnOであり、EDENOR ST1 GS 2.0は、Caldic Deutschland GmbH & Co. KG社製のパルミチン−ステアリン酸であり、Aktiplast STは、RheinChemie社製の炭化水素類とZn石けんと充填剤とからなる配合物からなる可塑剤である。Rhenogran DGG-80は、RheinChemie社製のEVA/EPDM担体上の80%DPGからなり、かつVulkacit CZは、Lanxess Europe GmbH & Co. KG社製のCBSである。Perkacit TBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)は、Flexsys N.V.社の製品である。
【0115】
前記ゴム混合物は、3段階で密閉式ミキサーにおいて第3表に従って製造される。
【0116】
第3表:
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
ゴム混合物およびそれらの加硫物を製造するための一般的な方法は、「ゴム工学ハンドブック(Rubber Technology Handbook), W.Hofmann, Hanser出版」に記載されている。
【0119】
ゴム工学的試験は、第4表に示される試験方法に従って行われる。
【0120】
第4表:
【表5】
【0121】
分散係数の測定
分散係数は、「表面トポグラフィーによるゴム混合物における充填剤分散液の特性決定のための方法の開発(Entwicklung eines Verfahrens zur Charakterisierung der Fuellstoffdispersion in Gummimischungen mittels einer Oberflaechentopographie)」, A. Wehmeier;学位論文 1998年(ミュンスター工科大学、シュタインフルト在、化学工学部)に記載されるトポグラフィー法と、Degussa AG, Applied Technology Advanced Fillersの「トポグラフィー測定による充填剤分散液分析(Filler dispersion Analysis by Topography Measurements)」、技術報告書TR 820(Technical Report TR 820)によって測定できる。
【0122】
それに代えて、前記分散係数は、また、ハノーファー在のドイツゴム研究所のDIAS法(光学式)によっても測定できる(H. Geisler, DIK aktuell, 初版(1997)およびMedalia, Rubber Age, April 1965を参照)。
【0123】
達成可能な最良の分散度は100%であり、従って理論上最低なのは0%である。90%より大きいまたはそれと同じ分散係数を有するシリカは、高分散性(HD)として等級付けられる。
【0124】
表面トポグラフィーによる分散係数の測定のための説明
分散係数(%)
ピーク下面積の合計(粗さについての尺度)(mm2
充填剤容量(%)
調査された全面積(mm2
【0125】
第5表には、粗製混合物および加硫物のついてのゴム工学的データが示されている。
【0126】
第5表:
【表6】
【0127】
本発明によるメルカプトシラン−ポリマー混合物を含有するゴム混合物は、等モルのインサイチュー混合物もしくはメルカプトシラン−ポリマーとポリアミドとの混合物と比較して、改善された加工挙動(第一の混合ステップでのより低いムーニー粘度)、改善された強化挙動(より高いモジュール)、改善された動的剛性および優れた分散液を示す。