(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の混合物をトリメチルスルホニウムヨージドと反応させて第3の混合物を形成することは、トリメチルスルホニウムヨージド、水素化ナトリウム、及びジメチルスルホキシドを前記第2の混合物に添加することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第3の混合物をルイス酸と反応させて6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを形成することは、前記2−(5−エトキシヘプト−1−イル)スピロ[ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6,2’−オキシラン]及び4−(5−エトキシヘプト−1−イル)スピロ[ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6,2’−オキシラン]をテトラヒドロフランに溶解させ、ヨウ化リチウムを前記テトラヒドロフランに添加することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第3の混合物をルイス酸と反応させて6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを形成することは、前記6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンをろ過して濃縮することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第1の混合物を酢酸及び亜鉛と反応させることは、亜鉛を7,7−ジクロロ−4−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−オン及び6,6−ジクロロ−4−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンと酢酸溶液中で反応させることを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
前記第2の混合物をトリメチルスルホニウムヨージドと反応させることは、前記第2の混合物をトリメチルスルホニウムヨージド及び水素化ナトリウムと反応させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0006】
6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを合成する方法が開示される。本発明の方法は、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンのより安全で安価な製造方法を提供する。本発明の方法によって合成される6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、良い収率で製造され得るとともに、医薬組成物又は化粧用組成物などの組成物における使用に適した純度を有する。
【0007】
本明細書において、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「特徴とする(characterized by)」及びそれらの文法的な同義語は、付加的な非記載の要素又は方法ステップを排除しない包括的又は開放式の用語を含むが、より限定的な用語「からなる(consisting of)」及び「基本的にからなる(consistingessentially of)」並びにそれらの文法的な同義語も含む。本明細書において、原料、構造、特性、又は方法に関して、用語「できる(may)」は、本発明の実施形態の実施に用いるために考えられる原料、構造、特性、又は方法を示す役割を果たし、このような用語は、それらとともに組み合わせて使用可能な他の互換性のある原料、構造、特性、及び方法が排除されるべきである、又は排除されなければならないという意味を避けるために、より制限的な用語「である(is)」に優先して用いられる。
【0008】
化合物6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、
図1、2に示すように合成され得る。
図1は、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンからの3−(5−エトキシヘプト−1−イル)シクロペンテン(化合物IX)の合成を示す。
図2は、化合物IXからの6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの合成を示す。
【0009】
図1の反応1及び2に示すように、2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンを、水において水酸化ナトリウム及び水素化ホウ素ナトリウムと反応させて、約85%〜約105%の収率で5−ヒドロキシヘプタン酸(化合物IIA)及びδ−ラクトン(化合物IIB)を調製することができる。本明細書に使用されるすべての百分率及び比率は、特に指示又は文脈上他の意味がない限り、全組成物の重量によるものである。2−メチル−1,3−シクロヘキサンジオンは、Sigma−AldrichCo.(St Louis, MO)などの薬品供給会社から購入できる。反応1における加水分解は、高収率で化合物Iであるケト酸を調製する。化合物Iを水素化ホウ素ナトリウム還元させた後、酸冷却して、化合物IIA及び化合物IIBの化合物IIBを優勢型とする混合物を調製する。化合物Iのカルボニル基は、水素化ホウ素ナトリウムによって還元され得る。その結果、化合物IIAのC−5位及び化合物IIBのC−6位におけるR及びS光学異性体のラセミ混合物が得られる。
【0010】
反応3に示すように、化合物IIA及びIIBをオルトギ酸トリエチル(TEOF)、エタノール、及び硫酸触媒と反応させて、エチル−5−エトキシ−ヘプタノアート(化合物III)を調製することができる。化合物IIA及びIIBのそれぞれは、特定の試薬と反応して、同じ生成物、すなわち化合物IIIを形成する。化合物IIIは、約50%〜約80%の収率で調製され得る。付加反応を行う前に、化合物IIIを、例えば、蒸留によって精製することができる。
【0011】
反応4に示すように、化合物IIIをテトラヒドロフラン(THF)において水素化アルミニウムリチウム(LAH)と反応させて、5−エトキシヘプタノール(化合物IV)を調製することができる。化合物IVは、約90%〜約99%の収率で調製され得る。反応は約−50℃〜約室温(約20℃〜約25℃)で行われ得る。反応を制御するために、いくつかの実施形態において、反応を室温で行うことができる。反応5に示すように、化合物IVをジメチルホルムアミド(DMF)において塩化メタンスルホニル(MsCl)及びピリジンと反応して、約75%〜約95%の収率でl−クロロ−5−エトキシヘプタン(化合物V)を調製することができる。
【0012】
反応6〜8に示すように、化合物Vを金属マグネシウムと反応させて、グリニャール塩である5−エトキシヘプチルマグネシウムクロリド(化合物VI)を形成することができる。化合物VIをジリチウムテトラクロロ銅塩(dilithiumtetrachlorocuprate)と反応させて、ジリチオクプラート錯体(dilithio cuprate complex)を形成する。ジリチオクプラート錯体を、3−クロロシクロペンテン(化合物VIII)と結合して、約55%〜約85%の収率で3−(5−エトキシヘプト−1−イル)シクロペンテン(化合物IX)を形成することができる。化合物VIIIは、反応6及び7に示されるように、ジシクロペンタジエンから合成されるシクロペンテン(化合物VII)より合成することができる。ジシクロペンタジエンは、Sigma−Aldrich Co.(St Louis, MO)などの薬品供給会社から購入できる。ジシクロペンタジエンの熱分解及び蒸留によって単量体シクロペンタジエンを調製し、その単量体シクロペンタジエンを塩酸で処理して化合物VIIIを得る。
【0013】
反応1〜8で調製される化合物I〜IXのそれぞれは、次の反応に進める前に、後処理、精製、及び単離を行うことができる。化合物I〜IXは、本明細書で詳述しない従来技術によって、後処理、精製、単離されてもよい。いくつかの実施形態において、化合物I〜IXはKashaらの米国特許第4,689,349号に記載される方法によって合成することができる。
【0014】
図2を参照すると、化合物IXは、反応9に示すように、ジクロロケテンと反応することができる。そのジクロロケテンは、原位置(insitu)でトリクロロアセチルクロリド及び亜鉛から調製される。化合物IXに対するジクロロケテンの付加環化は、本明細書において化合物Xと総称されるエキソ及びエンド7,7−ジクロロ−4−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−オンと、エキソ及びエンド6,6−ジクロロ−4−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンとの混合物を調製する。反応9は、化合物Xの両異性体をほぼ同じ量で調製する。化合物Xを調製するために、化合物IXはジエチルエーテルなどの有機溶剤に溶解されてもよい。しかし、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、及びこれらに類似した溶剤などの他の有機溶剤は用いられてもよい。亜鉛粉末は化合物IXの溶液に添加されてもよい。化合物IXのモル当量ごとに対して、約1.0モル当量〜約3.0モル当量、例えば約1.4モル当量〜約1.8モル当量の亜鉛粉末を反応9に用いてもよい。特定の実施形態において、1モル当量あたりの化合物IXに対して、約1.6モル当量の亜鉛粉末が用いられる。亜鉛粉末と化合物IXの溶液との混合物は、有機溶剤の還流温度直下の温度に加熱され得る。塩化トリクロロアセチルをジエチルエーテルなどの有機溶剤で希釈し、塩化トリクロロアセチル溶液を亜鉛粉末と化合物IXの溶液との混合物に徐々に添加することができる。しかし、他の有機溶剤が用いられてもよい。化合物IXのモル当量ごとに対して、塩化トリクロロアセチルは、約1.0モル当量〜約3.0モル当量、例えば約1.2モル当量〜約1.6モル当量で反応9に用いられてもよい。特定の実施形態において、1モル当量あたりの化合物IXに対して、約1.4モル当量のトリクロロアセチルクロリドは用いられる。添加中に、反応混合物を勢いよく還流させ始めることができる。トリクロロアセチルクロリド溶液は、約1時間〜約2時間にわたって亜鉛粉末と化合物IXの溶液との混合物に添加されてもよい。トリクロロアセチルクロリド溶液を添加した後、反応混合物は、反応を完了させるための十分な時間、例えば、約10分間〜約60分間において、還流下で混合されてもよい。反応混合物を、その後、冷却、ろ過、少なくとも1回の液液抽出、乾燥、ろ過、濃縮、精製して、無色油状物である化合物Xを調製することができる。一例として、反応混合物を室温まで冷却し、例えば商品名CELITE(登録商標)で入手可能な珪藻土などの珪藻土を通してろ過することができる。濾過ケーキは、ジエチルエーテルなどの有機溶剤で洗浄されてもよい。しかし、他の有機溶剤は用いられてもよい。有機溶剤層を合わせて水などで洗浄してもよい。有機相層を、その後、炭酸水素ナトリウム(NaHCO
3)の飽和水溶液とともに、例えば約1時間撹拌することができる。有機相層と水相層とは分離された後、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)で乾燥させ、シリカを通してろ過し、真空で濃縮することができる。得られる残留物を例えばバルブトゥーバルブ(bulbto bulb)蒸留によって精製し、無色油状物である化合物Xを調製することができる。
【0015】
反応10に示すように、化合物Xを酢酸及び亜鉛と反応させて、本明細書で化合物XIIと総称されるエキソ及びエンド4−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−オンと4−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−7−オンとの混合物を調製することができる。反応10は、化合物XIIの両異性体をほぼ同じ量で調製する。化合物Xは粗製品で、すなわち蒸留せずに反応10に用いられてもよく、このようにして、化合物Xの分解を抑制することができる。蒸留のための加熱(200℃以上の温度で)は、反応9の後に残された残留物に由来する亜鉛又は酸塩化物の存在によって、化合物Xの分解を引き起こす可能性があると考えられる。反応10において、亜鉛を化合物Xの酢酸溶液に少量ずつ添加することができる。化合物Xに対して過剰な亜鉛は用いられてもよい。一例として、1モル当量あたりの化合物Xに対して、約2モル当量〜約12モル当量、例えば約5モル当量〜約10モル当量の亜鉛は用いられてもよい。特定の実施形態において、1モル当量あたりの化合物Xに対して、亜鉛は約9.8モル当量で用いられる。亜鉛は約10℃〜約20℃の温度で化合物Xの溶液に添加されてもよい。反応温度を上昇させる亜鉛の添加の後に、反応混合物は例えば約1時間混合されてもよい。反応混合物をろ過、濃縮、少なくとも1回の液液抽出、乾燥、ろ過、濃縮、精製して、無色油状物である化合物XIIを調製する。一例として、反応混合物を商品名CELITE(登録商標)で入手可能な珪藻土を通してろ過し、ろ液を真空で濃縮して残留物を調製することができる。得られる残留物をヘプタンと水との間に分離することができる。有機相層と水相層を分離して、有機相層をNaHCO
3/食塩水の水溶液で洗浄することができる。有機相層をNa
2SO
4で乾燥させ、酢酸エチルなどの有機溶剤を添加することができる。しかし、他の有機溶剤は用いられてもよい。反応混合物を例えばシリカを通してろ過し、ろ液を濃縮することができる。得られる残留物を例えばバルブトゥーバルブ蒸留によって精製し、無色油状物である化合物XIIを調製することができる。化合物XIIは約55%以上の収率で調製され得る。化合物XIIは安定で、蒸留され得る。
【0016】
反応11に示すように、化合物XIIをトリメチルスルホニウムヨージドと反応させて、本明細書で化合物XIIIと総称される4−(5−エトキシヘプト−1−イル)スピロ[ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6,2'−オキシラン]と2−(5−エトキシヘプト−1−イル)スピロ[ビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6,2'−オキシラン]との混合物を調製することができる。反応11は、化合物XIIIの両異性体をほぼ同じ量で調製する。化合物XIIIは熱的に安定で、単離され得る。水素化ナトリウムをジメチルスルホキシド(DMSO)などの有機溶剤に添加して約50℃〜約60℃の温度に加熱し、室温まで冷却することができる。しかし、他の有機溶剤が用いられてもよい。水素化ナトリウムは、1モル当量あたりの化合物XIIに対して、約1モル当量〜約3モル当量、例えば約1.2モル当量で反応11に用いられてもよい。冷却した後、THF又は他の有機溶剤を添加し、水素化ナトリウム溶液を−5℃まで冷却することができる。トリメチルスルホニウムヨージドを冷却された水素化ナトリウム溶液に一度に添加することができる。トリメチルスルホニウムヨージドは、1モル当量あたりの化合物XIIに対して、約1モル当量〜約3モル当量、例えば約1.2モル当量で反応11に用いられてもよい。冷却源を取り除いた後、THF又は他の有機溶剤を化合物XIIと組み合させることができる。化合物XII及びTHFは、水素化ナトリウム及びトリメチルスルホニウムヨージドを含む溶液に添加され、反応混合物の温度を上昇させることができる。反応混合物は、反応を完了させるための十分な時間で撹拌されることによって反応を行うことができ、反応中に反応混合物の温度が約室温まで上昇する。反応混合物に水を添加した後、少なくとも1回の液液抽出、乾燥、ろ過、濃縮を行って、無色油状物である化合物XIIIを調製することができる。一例として、反応混合物を水に注いで、ヘプタンなどの有機溶剤で抽出することができる。有機相層は水で、かつ食塩水溶液で洗浄されてもよい。酢酸エチルなどの有機溶剤を添加して、溶液をNa
2SO
4で乾燥することができる。溶液を例えばシリカを通してろ過し、ろ液を濃縮して無色油状物である化合物XIIIを調製することができる。化合物XIIIは約90%以上の収率で調製され得る。
【0017】
反応12に示すように、ヨウ化リチウムを化合物XIIIと反応させて、主生成物として6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを調製することができる。最終生成物の対称性のために、化合物XIIIの両異性体をヨウ化リチウムと反応させて、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを調製することができる。ヨウ化リチウムは、1モル当量あたりの化合物XIIIに対して、約1モル当量〜約3モル当量、例えば約1.2モル当量で反応12に用いられてもよい。本発明の方法は、良い収率及び純度で6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンのラセミ混合物を調製することができる。ヨウ化リチウムのTHF溶液を化合物XIIIのTHF溶液に少量ずつ添加することができる。ヨウ化リチウム以外に、ルイス酸を反応12に用いることもできる。例えば、DMSO又はジクロロメタンなどの別の有機溶剤を反応12に用いることもできる。その反応が発熱反応であるため、反応混合物を氷浴によって室温まで冷却することができる。反応温度は、約10℃〜約25℃の間で変化することができる。反応混合物は、反応を完了させるための十分な時間、例えば約1時間〜約3時間で撹拌されてもよい。反応が完了すると、直ちに水を添加して、反応混合物をヘプタンなどの有機溶剤で少なくとも1回液液抽出することができる。有機相層を洗浄、乾燥、ろ過、精製して、油状物である6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを調製することができる。一例として、反応混合物に水を添加して、ヘプタンで反応混合物を抽出することができる。有機相層を食塩水溶液で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、シリカを通してろ過することができる。シリカを20%の酢酸エチルを含有するヘプタン溶液で洗浄し、洗浄液を濃縮して油状物である6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを得ることができる。油状物をクロマトグラフィーによってさらに精製して、約20%以上、例えば約40%以上の収率で、純粋な6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを調製することができる。6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、ガスクロマトグラフィー・マススペクトル(GC/MS)分析法によって、約99%以上の純度を有することがある。6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、核磁気共鳴(NMR)分析法によって約95%以上の純度を有し、キラルガスクロマトグラフィー(GC)分析法によって85%以上の純度を有することがある。
【0018】
同様の方法は6−(5−メトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オン又はCYOCTOL(商標)を合成するために用いられてもよい。CYOCTOL(商標)は、C−5位においてエトキシ基ではなくメトキシ基を有するETHOCYN(商標)の誘導体である。CYOCTOL(商標)は、上記の説明と同様の方法で合成されてもよい。
【0019】
6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンのさらなる精製は必要であれば、クロマトグラフィーなどの従来技術によって精製を行うことができる。
【0020】
6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンが4つのキラル中心を有するため、本発明の方法で合成される6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、理論的に、16種以下の異なる異性体を含むことができる。しかし、C−3a及びC−6aにおける2つのキラル中心が互いに結合されるので、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンにおける2つの5員環はcis−結合されている。したがって、本発明の方法は、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの8つ以下の異なる異性体のラセミ混合物を調製することができる。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記のように調製される化合物6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、例えば医薬組成物又は化粧用組成物などの局所投与に適した組成物に配合されてもよい。一例として、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、軟膏(salve)、クリーム、軟膏(ointment)、ローション、ゲル、フォーム、分散剤、ムース、溶液、エアロゾル、懸濁液、又はエマルションに配合されてもよい。6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、固体状、半固体状、及び液体状のメイクアップ(例えば、ファンデーション、アイメイク、及びリップトリートメント)、化粧落とし、デオドラント及び発汗抑制剤、せっけん、浴用化粧品(例えば、バスオイル又はバスソルト)、ヘアケア製品、日焼け止め、シェービングローション、並びにベビー用品を含むがこれらに限定されない様々な化粧品に配合されてもよい。また、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、例えば錠剤又はカプセルなどの経口投与に適した組成物に配合されてもよい。
【0022】
6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは治療上有効量で組成物に含まれてもよく、その治療上有効量とは、医学的障害又は疾患を治療又は予防するために患者に投与される場合、このような医学的障害又は疾患の治療又は予防に効くために十分な化合物の量である。特定の実施形態において、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、約0.01重量%〜約5重量%の濃度で組成物に含まれてもよい。一例として、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンは、例えば、尋常性座瘡、多毛症、アンドロゲン性脱毛症、又はケロイド瘢痕などのDHT媒介の医学的障害を治療又は予防するために用いられてもよい。
【0023】
また、その組成物は、希釈剤、分散剤、又は溶剤として機能し得る薬学的に許容される賦形剤を含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤は、非毒性で、生物学的に許容され、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ−[3.3.0]オクタン−3−オンと相溶可能で、その他、患者への投与に生物学的に適した物質である。薬学的に許容される賦形剤は、組成物に添加される以外に、6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの投与を容易にするために賦形剤、担体、又は希釈剤として用いられる。薬学的に許容される賦形剤は、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス液、リンゲル液、デキストロース/生理食塩水、又はグルコース、ラクトースもしくはスクロース溶液を含むが、これらに限定されるものではない。また、その組成物は、例えば、スターチ、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、又はエタノールなどの薬学的に許容される添加剤を含んでもよい。
【0024】
その組成物は、必要に応じて、例えば、吸収剤、研磨剤、固結防止剤、消泡剤、抗菌薬、バインダ、生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、化学添加剤、化粧品バイオサイド、変性剤、化粧品収斂剤、収斂剤、外用鎮痛薬、フィルム形成剤、不透明化剤、精油、皮膚知覚剤(skinsensate)、緩和剤、皮膚鎮痛剤(skin soothing agent)、皮膚治癒剤(skin healing agent)、可塑剤、保存剤、保存向上剤(preservativeenhancer)、推進剤、還元剤、皮膚調整剤、皮膚浸透促進剤、皮膚保護剤、溶剤、懸濁化剤、乳化剤、増粘剤、可溶化剤、日焼け止め、サンブロック、紫外線吸収剤又は紫外線散乱剤、サンレスタンニング剤、キレート剤、金属イオン封鎖剤、脱毛剤、落屑剤/角質除去剤(exfoliant)、有機ヒドロキシ酸、又は天然抽出物などの少量の他の成分を含んでもよい。
【0025】
以下の実施例は、本発明の実施形態をより詳細に説明するためのものである。これらの実施例は、本発明の範囲に関する網羅的又は独占的なものと解釈してはならない。
【実施例】
【0026】
6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの合成に使用される溶剤及び試薬は、商業的供給源から、例えばSigma―AldrichCo.(St Louis, MO, US)又は他の薬品供給会社などから購入される。使用される溶剤及び試薬は、試薬グレード以上のものである。
【0027】
(実施例I)
<化合物IXからの化合物Xの合成>
化合物IX(35.2g、0.168mol)含有ジエチルエーテル(250ml)溶液に亜鉛粉末(17.5g、0.268mol)を添加した。得られた混合物を還流温度直下の温度で加熱した。トリクロロアセチルクロリド(26.3ml、0.234mol)をジエチルエーテルで100mlに希釈し、得られた溶液を化合物IXが含まれる混合物に滴下した。約1分間後、反応混合物を勢いよく還流させ始めた。トリクロロアセチルクロリド溶液は、約90分間にわたって添加された。添加が完了した後、撹拌は還流下で約30分間続いた。反応混合物を室温まで冷却し、CELITE(登録商標)珪藻土を通してろ過した。濾過ケーキをジエチルエーテルで洗浄した。有機相層を合わせて水で2回洗浄し、得られた有機相層をNaHCO
3の飽和水溶液とともに約1時間撹拌した。層が分離された後、有機相層を食塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥、シリカのショートプラグを通してろ過し、真空で濃縮した。残留物をバルブトゥーバルブ蒸留(0.03mniHg、180℃〜200℃)によって精製し、約45gの無色油状物を得た。
【0028】
(実施例II)
化合物Xからの化合物XIIの合成
化合物X(30g、0.093mol)含有酢酸(250ml)溶液に亜鉛(60g、0.91mol)を約15℃で約55分間にわたって少量ずつ添加した。温度を約25℃まで上昇させた。添加が完了した後、混合物を約1時間撹拌した。反応混合物をCELITE(登録商標)珪藻土を通してろ過し、ろ液を真空で濃縮した。残留物をヘプタン(250ml)と水との間に分配した。有機相層と水相層を分離して、有機相層をNaHCO
3/食塩水の飽和水溶液で2回洗浄し、Na
2SO
4で乾燥した後、有機相層に酢酸エチル50mlを添加した。得られた混合物をシリカを通してろ過し、ろ液を濃縮した。残留物をバルブトゥーバルブ蒸留(0.02mmHg、140℃)によって精製し、約14.5gの無色油状物(0.0575mol、収率62%)を得た。
【0029】
(実施例III)
化合物XIIからの化合物XIIIの合成
DMSO(100ml)にNaH(2.7g、60%油状物、67.4mmol)を添加した。得られた混合物を55℃に加熱し、約1.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、THF(100ml)を添加して、混合物を−5℃まで冷却した。トリメチルスルホニウムヨージド(13.7g、67.4mmol)を一度に添加し、混合物を約2分間撹拌し、その間、すべてのトリメチルスルホニウムヨージドが溶解したわけではなかった。アイス/メタノールバスを取り除いて、化合物XII(14.15g、56.15mmol)含有THF(20ml)溶液を一度に添加した。温度を約8℃まで上昇させた。撹拌を約2時間続けて、温度を室温まで上昇させた。混合物を水(500ml)に注いで、ヘプタン(2×300ml)で2回抽出した。混ぜ合わさった有機相層を水4回洗浄して、食塩水で1回洗浄した。酢酸エチル(200ml)を添加し、得られた溶液をNa
2SO
4で乾燥した。得られた混合物をシリカのショートプラグを通してろ過し、濃縮し、14.8g(0.0556mol、99%収率)の無色油状物である化合物XIIIを得た。
【0030】
(実施例IV)
化合物XIIIからの6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンの合成
化合物XIII(47.2g、0.177mol)含有THF(200ml)溶液にヨウ化リチウム(28.5g、0.212mol)含有THF(100ml)溶液を少量ずつ添加した。添加は非常に発熱し、得られた混合物を氷浴で室温まで冷却した。反応温度は約10℃〜約25℃の間で変化した。混合物を約2時間撹拌して、水(200ml)に注いだ。混合物をヘプタンで2回抽出した。混ぜ合わさった有機相層を食塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウム(Na
2SO
4)で乾燥し、シリカを通してろ過した。シリカのプラグを20%の酢酸エチル含有ヘプタン溶液で洗浄した。有機相層を濃縮して約45gの油状物である粗生成物を得た。粗生成物をクロマトグラフィー(勾配、0%〜25%の酢酸エチル含有ヘプタン溶液、Silicycle社800gSiカートリッジ)によって精製し、約22g(0.082mol、46%収率)の純粋な6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを得た。別の画分における約11gの6−(5−エトキシヘプト−1−イル)ビシクロ[3.3.0]オクタン−3−オンを低純度(23%収率)で得た。
【0031】
本発明は多様な改良及び代替形態の影響を受けやすい可能性があるが、特定の実施形態は、図面における実施例によって示され、本明細書で詳細に説明された。しかし、本発明は開示した特定の形態に限定されることを意図するものではないと理解すべきである。むしろ、本発明は、以下の特許請求の範囲及びその法律上の等価物で定義された本発明の範囲内にあるすべての改良、同等の変更、及び代替を含むものである。