特許第6335937号(P6335937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335937膨張可能なカーテン及び該膨張可能なカーテンを格納状態に配置する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335937
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】膨張可能なカーテン及び該膨張可能なカーテンを格納状態に配置する方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/237 20060101AFI20180521BHJP
   B60R 21/232 20110101ALI20180521BHJP
【FI】
   B60R21/237
   B60R21/232
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-562342(P2015-562342)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2016-509973(P2016-509973A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】IB2013000881
(87)【国際公開番号】WO2014140665
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2016年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】591067705
【氏名又は名称】ティーアールダブリュー・ヴィークル・セーフティ・システムズ・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TRW VEHICLE SAFETY SYSTEMS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100093089
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 滋
(72)【発明者】
【氏名】エマンバクシュ,アリ
(72)【発明者】
【氏名】イン,リャン
(72)【発明者】
【氏名】ネイエフ,エヤド
【審査官】 神田 泰貴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−111075(JP,A)
【文献】 特開2011−073562(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0007121(US,A1)
【文献】 米国特許第06371512(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/232
B60R 21/237
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車の搭乗者(28)を保護するための膨張可能な保護装置(14、14a)を格納状態に配置する方法であって
車のルーフ(18)に沿って車と接続される上端縁部分(34)と、該上端縁部分(34)から所定寸法離間した下方位置で水平方向へ伸びる下端縁部分(38)と、該上端縁部分(34)及び下端縁部分(38)間で上下方向に延在する中間部分とを有する前記保護装置(14、14a)を提供するステップと、
前記下端縁部分(38)を所定形状に折り畳むステップと、
前記中間部分を単一の周方向にロール巻きし、前記所定形状に折り畳んだ下端縁部分(38)がロール巻きした部分(114、114a)により取り囲まれた中央空間(116、116a)を占めるようにするステップとを備え、
前記下端縁部分(38)を所定形状に折り畳むステップは、該下端縁部分(38)をジグザグ形状に折り畳んで少なくとも四つの折り返し部を有する積重したz−折り畳みの形態(110)を形成する折り畳むステップを含む、方法。
【請求項2】
側部構造体(16)とルーフ(18)とを有する車の搭乗者(28)を保護するための、膨張可能な保護装置(14、14a)であって、
前記保護装置(14、14a)は、車のルーフ(18)に沿って配置された格納状態から、車のルーフ(18)から離れて前記側部構造体(16)と車の搭乗者(28)との間に配置された展張状態まで膨張可能であり、
前記保護装置(14、14a)は、車のルーフ(18)に沿って車と接続される上端縁部分(34)と、該上端縁部分(34)から所定寸法離間した下方位置で水平方向へ伸びる下端縁部分(38)と、該上端縁部分(34)及び下端縁部分(38)間で上下方向に延在する中間部分とを有し、
前記保護装置(14、14a)の格納状態にて、前記下端縁部分(38)が所定形状に折り畳まれ、且つ前記中間部分が単一の周方向にロール巻きした形態を有しており、このため、前記所定形状に折り畳んだ下端縁部分(38)は、該中間部分のロール巻きした部分(114、114a)により境界付けられた中央空間(116、116a)を占めており
前記所定形状に折り畳んだ下端縁部分(38)は、ジグザグ形状に折り畳まれて少なくとも四つの折り返し部を含む積重したz−折り畳みの形態(110)を形成している、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、車の搭乗者の保護を助ける膨張可能な車の搭乗者保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 車の衝突又は横転のような、搭乗者の保護が望まれる事故が発生したとき、車の搭乗者の保護を助ける膨張可能な車の搭乗者保護装置を膨張させることは知られている。膨張可能な車の搭乗者の保護装置の1つの特別な型式は、膨張可能なカーテンである。膨張可能なカーテンは、車のルーフから離れた格納状態から車の側部構造体と車の搭乗者との間の展張位置まで膨張可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 本発明は、側部構造体とルーフとを有する車の搭乗者の保護を助ける装置に関する。該装置は、車のルーフに沿って配置される格納状態を有する膨張可能な車の搭乗者保護装置を含む。該保護装置は、車のルーフから離れて側部構造体と車の搭乗者との間に配置された展張状態まで膨張可能である。該保護装置は、車のルーフに沿って車と接続される上端縁部分を含む。該保護装置の下端縁部分は、格納状態にて少なくとも一回、それ自体に折り畳まれる。該保護装置は、格納状態にあるとき、ロール巻きした形態を有しており、このため、折り畳んだ下端縁部分は、該保護装置のロール巻きした部分により境界付けられた中央空間を占める。
【0004】
[0004] 本発明は、また、側部構造体とルーフとを有する車の搭乗者の保護を助ける方法にも関する。該方法は、車のルーフに沿って車と接続される上端縁部分と、対向した下端縁部分とを有する膨張可能な車の搭乗者保護装置を提供するステップを備えている。該方法は、下端縁部分を少なくとも一回、それ自体に折り畳むステップも含む。該方法は、保護装置をロール巻きし、折り畳んだ下端縁部分がロール巻きした部分より取り囲まれた中央空間を占めるようにする更なるステップを備えている。
【0005】
[0005] 本発明の上記及びその他の特徴は、添付図面を参照して、以下の説明を読むことにより、本発明の技術の当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に従って、車の搭乗者の保護を助ける装置の格納状態を示す概略図である。
図2図1の装置の展張状態を示す概略図である。
図3図3Aは、該装置のカバー部分の平面図である。図3Bは、組み立てた状態ある、図3Aのカバーの等角図である。
図4図4Aは、本発明の第一の実施の形態に従った、装置の一部分を示す概略図である。図4Bは、本発明の第一の実施の形態に従った、装置の一部分を示す概略図である。
図5図5Aは、本発明の第二の実施の形態に従った、装置の一部分を示す概略図である。図5Bは、本発明の第二の実施の形態に従った、装置の一部分を示す概略図である。
図6】本発明に従った方法を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0013] 本発明の代表例として、図1及び図2には、車12の搭乗者28の保護を助ける装置が示されている。該装置10は、膨張可能なカーテン14の形態をした膨張可能な車の搭乗者保護装置を含む。該膨張可能なカーテン14は、図1に示した格納状態を有し、該格納状態において、収縮したカーテンは、ロール巻きし、折り畳み、又はロール巻きしかつ折り畳み、車12の側部構造体16とルーフ18との交点に隣接する位置に配置されている。該膨張可能なカーテン14は、格納位置からルーフ18から離れる方向に向けて図2に示した展張位置まで膨張可能である。展張位置において、膨張したカーテン14は、側部構造体16に沿って伸延してかつ車12の側部構造体と任意の搭乗者28との間に配置されている。
【0008】
[0014] 該膨張可能なカーテン14は、任意の適当な材料にて形成することができる。例えば、該膨張可能なカーテン14は、ナイロン糸(例えば、ナイロン6−6糸)で織った布地にて形成することができる。また、膨張可能なカーテン14は、任意の適当な構造を有することができる。例えば、該膨張可能なカーテン14は、カーテンが単一の材料片として織られた単一織(OPW)構造を有することができる。別の例として、該膨張可能なカーテン14は、縫い付け、超音波溶接、熱接合又は接着剤のような手段を介して布地パネルを相互に接続することにより構成することができる。
【0009】
[0015] 該膨張可能なカーテン14は、未被覆とし、気体不透過性ウレタンのような材料にて被覆し、又は気体不透過性フィルムのような材料にて積層することができる。このため、該膨張可能なカーテン14は、気体密又は実質的に気体密の構造を有することができる。当業者は、ポリエステル糸のような代替的な材料及びシリコーンのような代替的な被覆材を使用して膨張可能なカーテンを構成することが可能であることも理解されよう。
【0010】
[0016] 該装置10は、また、インフレータ24の形態をした膨張流体源も含む。該インフレータ24は、起動し、膨張可能なカーテン14を膨張させる膨張流体を提供することが可能である。該インフレータ24は、任意の適当な構造又は形態とすることができる。例えば、該インフレータ24は、膨張可能なカーテン14を膨張させる気体の形態をした貯蔵した量の加圧膨張流体(図示せず)を保持することができる。別の例として、該インフレータ24は、加圧した膨張流体と膨張流体を加熱する着火可能な材料との組み合わせを保持するようにしてもよく、又は気体発生材料の燃焼を利用して膨張流体を発生させる火工技術インフレータとしてもよい。更なる例として、該インフレータ24は、膨張可能なカーテン14を膨張させる膨張流体を提供する媒体を供給する任意の適当な型式又は構造のものとしてもよい。
【0011】
[0017] 図1に図示した実施の形態において、該インフレータ24は、導管又は充填管22を通じて膨張可能なカーテン14と流体的に連絡する状態にて接続されている。該充填管22は、金属、プラスチック又は布地のような任意の適当な材料にて構成することができる。これと代替的に、該充填管22は、省略し、膨張流体がインフレータ24から直接的に又はマニホルドを通して膨張可能なカーテン14内に排出されるようにしてもよい。
【0012】
[0018] 該充填管22は、任意の適当な形態としてもよい。例えば、該充填管22は、図1及び図2に示したように、膨張可能なカーテン14の実質的に全長に沿って伸延するようにすることができる。これと代替的に、該充填管22は、膨張可能なカーテン14の長さの任意の部分に沿って伸延するようにしてもよい。膨張可能なカーテン14内に配置された充填管22の部分は、膨張流体がカーテンに供給されるときに通る複数の開口(図示せず)を含む。
【0013】
[0019] 該装置10は、また、膨張可能なカーテン14を格納状態にて支持するのを助けるカバー44も含む。該カバー44は、各種の構造とすることができる。例えば、該カバー44は、「ソフトパック」ストラクチャと称される構造とすることができる。ソフトパックストラクチャにおいて、該カバー44は、膨張可能なカーテン14に巻き付け又はその周りに配置された、布地のような、シート材料又はパネル材料から成るものとすることができる。1つの特定的なソフトパックストラクチャにおいて、該カバー44は、その内部に膨張可能なカーテン14及び充填管22が配置されるソック、シース又は管の構造とされる。
【0014】
[0020] カバー44を構成するために使用される布地材料は、ナイロン又はポリエステルのような、織り材料、プラスチックフィルムのような不織材料、又は任意の適当なその他の材料とすることができる。該カバー44は、接着剤、縫い付け、超音波溶接、熱接合又はカバーをOPW構造にて縫うといったような既知の方法を使用して布地材料の部分を相互に接続することにより形成することができる。1つの特定的なソフトパックストラクチャにおいて、該カバー44は、布地材料の部分を超音波溶接を介して相互に接続することにより形成することができる。かかるストラクチャは、図3A及び図3Bに示されている。
【0015】
[0021] 図3A及び図3Bを参照すると、該カバー44は、パネルの第一の端縁部分86に沿って切り欠き又はその他の方法にて形成された開口92を備えることができる。該開口92は、図3A及び図3Bに示したような全体として矩形の切り欠いた構造のような任意の所望の構造とすることができる。該開口92は、図3A及び図3Bに示したような、パネル80の下端縁86と交差することができる。これと代替的に、該開口92は、パネル80の下端縁86から隔てられるようにしてもよい。図3Bに示した、該カバー44の組み立てた状態において、第一の端縁部分86は、超音波溶接84により対向した第二の端縁88と相互に接続される。このことは、カバー44に対して全体として管状ソック又はシース状の形態を付与することになる。
【0016】
[0022] 該カバー44は、また、カバー44の第一及び第二の端縁部分86、88に対して全体として平行に伸延する長手方向引き裂きシーム126も含む。図3A及び図3Bに示したように、該引き裂きシーム126は、第一及び第二の端縁部分86、88(図3A)の間の全体として中央に、かつ超音波溶接部84に対向して(図3B)配置することができる。該引き裂きシーム126は、例えば、該引き裂きシームに沿ってパネル80の引き裂き強さを弱体化する孔部分を有するようにしてもよい。
【0017】
[0023] 該装置10は、車に単一のユニットして搭載し得るように組み立てることができる。例えば、該装置10は、充填管22と接続したインフレータ24を含む膨張可能なカーテンモジュール50(図4)を備えることができ、該カーテンモジュールは、ロール巻きし又は折り畳んだ膨張可能なカーテン14内に配置されかつカバー44内に包装されている。該膨張可能なカーテンモジュール50は、フック又はブラケットのような手段30によって車12内にて支持されており、該フック又はブラケットは、膨張可能なカーテン14、インフレータ24、充填管22、カバー44又はその任意の組み合わせを車12と接続する。例えば、該ブラケット30は、充填管22及び膨張可能なカーテン14の上端縁部分34の部分を取り巻きかつクランプ1止めすると共に、カバー44の開口92を通って伸延することができる。
【0018】
[0024] 膨張可能なカーテン14を膨張させることが望まれる事象が発生したことを検知したとき、センサ150は、リード線152を介してインフレータ24に対して起動信号を提供する。インフレータ24が起動したとき、膨張流体は、充填管22を通して膨張可能なカーテン14内に導入される。該膨張可能なカーテン14は、引き裂きシーム126に沿ってカバー44を引き裂く。該膨張可能なカーテン14は、インフレータ24により提供された膨張流体の圧力の下、膨張しかつ図1の格納位置から図2の展張位置まで展張される。
【0019】
[0025] 該展張位置において、該膨張可能なカーテン14は、車12の側部構造体16と任意の搭乗者28との間の位置に配置される。該膨張可能なカーテン14は、膨張したとき、側部構造体16に沿って車12内にて前後方向に伸延して、かつ車のAピラー100、Bピラー102及びCピラーの部分を覆う。上端縁部分34は、側部構造体16と車のルーフ18との交点に沿って伸延し、下端縁部分38は、車のベルトラインの付近にて側部構造体に沿って伸延する。該膨張可能なカーテン14は、カーテンとの衝撃を吸収するのを助けかつ衝撃エネルギーをカーテンの広い面積の全体に分配することを助ける。なお、カーテン14の上端縁部分34と下端縁部分38との間で上下方向に延在する中間部分が、後述する如く実質的にZ−折り畳み及びロール巻きされる部分となる。
【0020】
[0026] 側部構造体16及びルーフ18に沿った車のストラクチャの狭い収納箇所において、空間は制限される。従って、膨張可能なカーテンモジュール50のサイズ(「パッケージサイズ」と称する)を最小に保つことができることが極めて望ましい。この空間内において、かかる特徴を持つ空間の場合、数ミリメートルのかかる空間の削減は非常な利点であり、それは、かかる削減は、特定的なルーフ/側部構造体の特徴を有する車内にて特定的なカーテンの形態が使用可能であるかどうかを決定するファクタとなるからである。
【0021】
[0027] 膨張可能なカーテン14を格納状態に配置する1つの方法は、カーテンが底部からロール巻きされるロール巻き−折り畳みと呼ばれる方法を使用することである。このような仕方にて膨張可能なカーテン14を格納状態に配置するとき、緊密なロール巻き、緊密な折り畳み又は緊密なロール巻き状態を維持し、カーテンのロール巻き直径を最小にすることを助けることが望ましい。そうであっても、これを行うとき、膨張可能なカーテン14を形成するために使用される材料及び任意の施した被覆材のようなファクタによって課される物理的な制約がある。例えば、膨張可能なカーテンを過度に緊密にロール巻きすれば、閉止状態となり、エアバッグの重ね合わさり部分が互いに接着し又はさもなければ、巻き戻しに抵抗し又は巻き戻しを妨害し、このことは、急速にかつ効率的にカーテンを展張することを妨げる可能性がある。更に、該物を構成するために使用される材料は、膨張可能なカーテンモジュールの50のパッケージサイズを小さくする、理想的に小さい直径までカーテンをロール巻きする能力を制限する可能性がある。例えば、膨張可能なカーテンを形成するために使用される材料、カーテンパネルに施される被覆材、及びカーテンパネルを相互に接続するために使用される材料は、カーテンをいかに緊密にロール巻きすることができるか、すなわち、カーテンの最初のロール巻き直径をいかに小さくすることができるかに影響を与える可能性がある。
【0022】
[0028] 本発明によれば、膨張可能なカーテン14は、さもなければ使用されない空間を活用して、膨張可能なカーテンモジュール50のパッケージサイズを小さくする形態とされた折り畳みかつロール巻きする技術を採用する。図4A−4Cを参照すると、本発明の一例としての1つの実施の形態に従い、該膨張可能なカーテン14は、ロールの中心の空間を利用して膨張可能なカーテンモジュールの50の全体的なパッケージサイズを小さくするZ−折り畳み及びロール巻きした形態を採用する。最初に下端縁部分38を折り畳み、次に、膨張可能なカーテン14をロール巻きすることにより、下端縁部分は、ロールをさもなければ占められないロールの中央空間内に少なくとも部分的に配置することができる。さもなければ占められない中央空間を利用することにより、格納状態にあるときのカーテン内のロール数を少なくすることができ、このことは、膨張可能なカーテンモジュールのパッケージサイズを小さくすることになる。
【0023】
[0029] 小さいパッケージサイズを実現するため、膨張可能なカーテン14の下端縁部分38は、最初に、Z−折り畳みと称する前後方向へ向けた仕方にて折り畳む。該Z−折り畳み部110は、図4Aに図示されている。Z−折り畳み部110が実現されたならば、次に、膨張可能なカーテン14をZ−折り畳み部110及び下端縁部分38から開始して全体として図4Aに矢印112で示した方向に向けてロール巻きする。このロール巻きは、膨張可能なカーテン14が図4Bに示した完全にロール巻きした状態となる迄、続行する。図4Bに示したロール14は、カーテン14のZ−折り畳み部110の部分が配置された中央空間116から去る。この空間116は、さもなければ占められないままであるから、Z−折り畳み部116をこの位置に配置することは、中央空間を望ましいように利用することになる。このように、中央空間116を使用して膨張可能なカーテン14のZ−折り畳み部110の部分を格納することは、膨張可能なカーテンモジュール50のパッケージサイズを小さくすることに役立つ。
【0024】
[0030] 膨張可能なカーテン14をロール114にて配置するとき、Z−折り畳み部110の折り畳んだ状態を維持し、かつZ−折り畳み部の位置を中央空間内に維持するよう注意しなければならない。このような注意を怠ったならば、Z−折り畳み部110は、平坦となりかつロール114と共にロール巻きされる可能性がある。この状態が生じたならば、Z−折り畳み部110は、中央空間116を占めるのではなく、ロール114の一部分となる。形成されるロール114は、サイズが小さくならず、実際上、Z−折り畳み部110がカーテン14の最初にロール巻きした部分となるため、サイズは増大するであろう。
【0025】
[0031] 図4A及び図4Bに示した実施の形態において、Z−折り畳み部110は、7つの折り畳み部120を含む。しかし、Z−折り畳み部110は、より多数の又はより少数の折り畳み部を含むことができる。Z−折り畳み部110内に含まれる折り畳み部の数は、膨張可能なカーテン14を形成するために使用した材料、カーテンにて使用した被覆材又は積層材の型式、下端縁部分38の補強材及び上方に位置するカーテンパネルを下端縁部分に沿って相互に接続するため使用した任意の縫い付け/接着剤のような相互に関係するファクタに依存する。理想的には、下端縁部分38をロール巻きする能力を制限するカーテン14の部分は、Z−折り畳み部110内に含めて、ロール114の直径に大きな影響を与えないようにする。例えば、縫い付けかつ下端縁部分38に沿ってその縫い付け部を付随的に密封することは、カーテン14をロール巻きすることにとって望ましくはないであろう。しかし、Z−折り畳み部110内にこれらの部分を含めることにより、これらの部分は、中央空間116内に配置することができる。その結果、ロール14の直径は、縫い付けによって増大しないのみならず、実際上、カーテン14の当該部分をZ−折り畳み部110内に配置しかつ中央空間内に配置することにより縮小させることができる。
【0026】
[0032] 別の実施の形態が図5A及び図5Bに示されている。図5A及び図5Bにおいて、図4A図4Bに使用したものと同様の参照番号を使用するが、混乱を避けるため、図5A及び図5Bの数字に添え字「a」を付す。図5A及び図5Bの実施の形態は、図4A図4Bの実施の形態と同様であるが、図4A及び図4BのZ−折り畳み部110に代えて図5A及び図5Bにては、フリップ折り畳みが使用されている。
【0027】
[0033] 図5A及び図5Bの実施の形態において、膨張可能なカーテン14aの下端縁部分38aは、最初、フリップ折り畳みと称する方法にて一回、折り畳む。該フリップ折り畳み部130は、図5Aに図示されている。フリップ折り畳み部130が実現されたならば、次に、膨張可能なカーテン14aをフリップ折り畳み部130及び下端縁部分38aから開始して、全体として図5Aに示した方向に向けてロール巻きする。このロール巻きは、膨張可能なカーテン14aが図5Bに示した完全にロール巻きした状態となる迄、続行する。図5Bに示したロール114aは、カーテン14aのフリップ折り畳み部130が配置された中央空間116aから去る。この空間116aは、さもなければ占められないままであるため、フリップ折り畳み部130をこの位置に配置することは、中央空間を望ましいように使用することになる。このように、中央空間116aを使用して膨張可能なカーテン14aのフリップ折り畳み部130を格納することは、膨張可能なカーテンモジュールのパッケージサイズを小さくすることに役立つ。
【0028】
[0034] 膨張可能なカーテン14aをロール114aにて配置するとき、フリップ折り畳み部130の折り畳んだ状態を維持し、かつフリップ折り畳み部の位置を中央空間内に維持するよう注意しなければならない。このような注意を怠ったならば、フリップ折り畳み部130は、平坦となりかつロール114aと共にロール巻きされる可能性がある。この状態が生じたならば、フリップ折り畳み部130は、中央空間116aを占めるのではなく、ロール114aの一部分となる。形成されるロール114aは、サイズが小さくならず、実際上、フリップ折り畳み部130がカーテン14aの最初にロール巻きした部分となるため、サイズは増大するであろう。
【0029】
[0035] 図5A及び図5Bに示した実施の形態において、フリップ折り畳み部130は、単一の折り畳み部132を含む。しかしながら、この単一の折り畳み部132及び形成されるフリップ折り畳み部130が中央空間116a内に配置されることは、パッケージサイズを顕著に小さくすることができる。その理由は、少なくとも一部分、フリップ折り畳み部130が膨張可能なカーテン14aの下端縁部分38にて形成されるためである。下端縁部分38aは、カーテン14aの重なり合うパネル、カーテンの縫い付け部及び/または下端縁を密封するために使用した任意の密封材料(例えば、被覆材又はガスケット)及び補強材を相互に接続する縫い付け部を含むことができ、これらの材料は、すべて、カーテンの該特定の部分をロール巻きすることを困難にする。その結果、カーテン14aのこの下端縁部分38aをロール巻きするためには、最初のロールは望ましいよりも大きい直径を要求するであろうし、この直径はカーテンをロール巻きする過程の全体にわたって段階的に増大し、望ましいよりも大きいパッケージサイズとなる。本発明のフリップ折り畳み部130を中央空間116a内に配置することは、カーテン14aの下端縁部分38aがロール114aの直径に大きな影響を与えることを少なくとも部分的に解消することになり、これにより、膨張可能なカーテンモジュールのパッケージサイズを小さくする。
【0030】
[0036] 図6Aを参照すると、膨張可能なカーテンを格納した状態に配置する方法200は、車のルーフに沿って車と接続される上端縁部分と、対向した下端縁部分とを有する膨張可能な車の搭乗者保護装置を提供するステップ202を含む。該方法200は、下端縁部分をそれ自体の上に少なくとも一回、折り畳むステップ204も含む。該方法200は、保護装置をロール巻きして、折り畳んだ下端縁部分がロール巻きした部分により取り囲まれた中央空間を占めるようにするステップ206を更に含む。保護装置をロール巻きするするステップ206は、折り畳んだ下端縁部分を中央空間内に配置された状態に維持し、該部分が保護装置の残りの部分と共にロール巻きされないようにするステップを備えている。
【0031】
[0037] 下端縁部分を折り畳むステップ204は、下端縁部分をz−折り畳みの形態にて折り畳むステップを含むことができる。該z−折り畳みの形態は、反対方向に少なくとも2回、折り畳むことを含むことができる。これと代替的に、下端縁部分を折り畳むステップ204は、下端縁部分を単一の折り畳みの形態にて折り畳むことを含むことができる。この単一の折り畳みの形態は、ロールの多数の層を占める単一の折り畳み部分を含むことができる。
【0032】
[0038] 本発明の上記の説明から、当業者は、本発明に対する応用例、改良例、変形例及び改変例が認識されよう。当業者の範囲に属するかかる応用例、改良例、変形例及び改変例は、添付した請求項に包含することを意図するものである。以下は、出願当初の本発明の各種形態である。
(形態1)膨張可能な車の搭乗者保護装置を格納状態に配置する方法において、
車のルーフに沿って車と接続される上端縁部分と、対向した下端縁部分とを有する膨張可能な車の搭乗者保護装置を提供するステップと、
前記下端縁部分を少なくとも一回、それ自体の上方に折り畳むステップと、
前記保護装置をロール巻きし、折り畳んだ下端縁部分がロール巻きした部分により取り囲まれた中央空間を占めるようにするステップとを備える、前記方法。
(形態2)形態1に記載の方法において、前記下端縁部分を折り畳むステップは、該下端縁部分を少なくとも二つの折り畳み部を有するz−折り畳みの形態にて反対方向に折り畳むステップを含む、方法。
(形態3)形態1に記載の方法において、前記下端縁部分を折り畳むステップは、該下端縁部分を単一の折り畳み部の形態にて折り畳み、該単一の折り畳んだ部分がロールの多数の層を占めるようにするステップを含む、方法。
(形態4)形態1に記載の方法において、前記保護装置をロール巻きするステップは、折り畳んだ下端縁部分が中央空間内に配置された状態に維持し、該下端縁部分が該保護装置の残りの部分と共にロール巻きされないようにするステップを含む、方法。
(形態5)側部構造体とルーフとを有する車の搭乗者を保護する装置において、
車のルーフに沿って配置される格納状態を有する膨張可能な車の搭乗者保護装置であって、車のルーフから離れて前記側部構造体と車の搭乗者との間に配置された展張状態まで膨張可能である前記膨張可能な車の搭乗者保護装置と、
車のルーフに沿って車と接続される上端縁部分と、対向した下端縁部分であって、前記保護装置の格納状態にて少なくとも一回、それ自体の上に折り畳まれる前記下端部縁部分とを備え、該保護装置は、格納状態にあるとき、ロール巻きした形態を有しており、このため、前記折り畳んだ下端縁部分は、該保護装置のロール巻きした部分により境界付けられた中央空間を占めるようにした、装置。
(形態6)形態5に記載の装置において、前記折り畳んだ下端縁部分は、反対方向に向けた少なくとも二つの折り畳み部を含むz−折り畳みの形態を有する、装置。
(形態7)形態5に記載の装置において、前記折り畳んだ下端部縁部分は、単一の折り畳み部の形態を有し、該ロールは、該単一の折り畳み部がロールの多数の層を占めるようにした、装置。
(形態8)形態5に記載の装置において、前記保護装置のロール巻き部分が中央空間内に維持され、該ロール巻き部分が前記保護装置の残りの部分と共にロール巻きされないようにした、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6