特許第6335938号(P6335938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335938改善された気密性を有するバイポーラリチウムイオン電池及び関連する製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335938
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】改善された気密性を有するバイポーラリチウムイオン電池及び関連する製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20180521BHJP
   H01M 10/0525 20100101ALI20180521BHJP
   H01M 4/485 20100101ALI20180521BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20180521BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20180521BHJP
   H01M 2/08 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   H01M10/0585
   H01M10/0525
   H01M4/485
   H01M4/58
   H01M4/66 A
   H01M2/08 K
【請求項の数】14
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-562466(P2015-562466)
(86)(22)【出願日】2014年3月10日
(65)【公表番号】特表2016-513863(P2016-513863A)
(43)【公表日】2016年5月16日
(86)【国際出願番号】IB2014059579
(87)【国際公開番号】WO2014141032
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】1352136
(32)【優先日】2013年3月11日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−フランソワ・ダムランクール
(72)【発明者】
【氏名】ジル・モロー
【審査官】 青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−123712(JP,A)
【文献】 特開2004−158343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/02− 2/08
H01M 10/05−10/0587
H01M 6/00− 6/22
H01M 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−一方が他方の頂部に積層され、各々がアノード、カソード及び電解質を含む、少なくとも第1及び第2の電気化学セル(C1、C2)と、
−それの一面が、前記第1のセル(C1)のリチウム挿入材料で作られた前記アノード(16)によって覆われ、対向表面が、前記第2のセル(C2)のリチウム挿入材料で作られる前記カソード(18)によって覆われた少なくとも1つのバイポーラ電流コレクタ(1)であって、前記バイポーラコレクタが、それらの面の各々において、その周囲に、前記第1及び第2のセルの前記電解質に対して不浸透性の壁の周囲領域を形成し、それを囲む電気絶縁材料の少なくとも1つのビーズ(23)を含むバイポーラ電流コレクタ(1)と、
−それの一面が前記第1のセル(C1)の前記カソード(14)によって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接する少なくとも1つの第1の電流コレクタ(13)であって、前記第1の隣接するコレクタがまた、その周囲に、前記第1のセルの電解質に対して不浸透性の壁の周囲領域も形成する電気絶縁材料の少なくとも1つのビーズ(23)を含む、第1の電流コレクタ(13)と、
−それの一面が前記第2のセル(C2)の前記アノード(20)によって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接する少なくとも1つの第2の電流コレクタ(21)であって、前記第2の隣接するコレクタがまた、その周囲に、前記第2のセルの電解質に対して不浸透性の壁の周囲領域も形成する電気絶縁材料の少なくとも1つのビーズ(23)を含む、第2の電流コレクタ(21)と、
を含み、
各不浸透性の壁が、その2つの主要面の各々において、熱融着電気絶縁材料で作られる層又はシート(25a、25b)で覆われたハニカムマトリクス(24)で形成された少なくとも1つのビーズ(23)からなり、
各層又はシートが、前記電流コレクタの一方に熱融着され、
前記2つの層又はシート(25a、25b)が共に接合するような方法で前記熱融着電気絶縁材料が前記ハニカムの胞(240)を少なくとも部分的に充填する、
バイポーラリチウムイオン電池。
【請求項2】
各電流コレクタが、アルミニウムで作られる基板である、請求項1に記載のバイポーラ電池。
【請求項3】
前記熱融着材料が、電流コレクタへの取付及び前記熱融着の前に、前記ハニカムマトリクスの前記2つの主要面の各々及び内部にコーティングされるエポキシ樹脂又はメタクリレート樹脂である、請求項1又は2に記載のバイポーラ電池。
【請求項4】
前記熱融着材料が、前記ハニカムマトリクスの前記2つの主要面の各々における電流コレクタへの取付及び前記熱融着の前における、前記ハニカムマトリクス(24)の内部に高温鋳造されたポリエチレン及びシート(25a、25b)の形態で熱間圧延されたポリエチレンの一方である、請求項1又は2に記載のバイポーラ電池。
【請求項5】
各ビーズ(23)の厚さが、電気化学セルの厚さと実質的に等しい、請求項1から4の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項6】
各ビーズの厚さが、100から200μm、好ましくは150μm±5μmである、請求項1から5の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項7】
各ビーズ(23)の幅が、0.1から2cmである、請求項1から6の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項8】
前記電気化学セルに最も近い、前記ハニカムマトリクスの胞(240i)の幾つかが、前記電解質と反応する傾向にある粘着性のある化合物又は塩で満たされる、請求項1から7の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項9】
前記電気化学セルから最も遠い、前記ハニカムマトリクスの胞(240e)の幾つかが、周囲空気中の水分と反応する傾向にある粘着性のある化合物又は塩で満たされる、請求項1から8の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項10】
n−2個のバイポーラ電流コレクタと共にn個の電気化学セルの積層体を含み、前記隣接するコレクタの1つが、末端電流コレクタであり、前記隣接するコレクタの他方が、他の末端電流コレクタである、請求項1から9の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項11】
前記アノードが、LiTi12で作られ、前記カソードが、LiFePOで作られる、請求項1から10の何れか一項に記載のバイポーラ電池。
【請求項12】
一方の頂部に他方が積層され、各々がアノード、カソード及び電解質を含む第1及び第2の電気化学セル(C1、C2)を少なくとも含むバイポーラ電池の製造方法であって、
(a)前記第1のセルのリチウム挿入材料で作られた前記アノード(16)によって覆われた一方の面と、前記第2のセルのリチウム挿入材料で作られた前記カソード(18)によって覆われた対向する面と、を有するバイポーラ電流コレクタ(1)を製造する段階と、
(b)それの一面が前記第1のセルのカソード(14)によって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接することを目的とする第1の電流コレクタ(13)を製造する段階と、
(c)それの一面が前記第2のセルのアノード(20)によって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接することを目的とする第2の電流コレクタ(21)を製造する段階と、
(d)ハニカムマトリクス(24)で形成された第1のビーズ(23)を製造する段階であって、前記マトリクスの胞(240)の少なくとも幾つかが、層又はシート(25a、25b)の形態を取るその2つの主要面の各々をさらに覆う熱融着電気絶縁材料で満たされる段階と、
(e)前記アノード(20)で覆われた前記第2のコレクタのその面の周囲に前記ビーズ(23)を取り付ける段階と、
(f)前記第1のビーズ(23)の内部において前記第2のコレクタの前記アノード(20)に第1のセパレータ(19)を取り付ける段階と、
(g)前記隣接する第2のコレクタの前記アノード(20)が前記バイポーラコレクタの前記カソード(18)に面する一方で、前記第1のセパレータから分離され、前記第1のシーリングビーズ(23)が前記第2のコレクタ及び前記バイポーラコレクタの両方に対して支持するように、前記バイポーラ電流コレクタ(1)を積層する段階と、
(h)前記ハニカムマトリクスを熱融着するように前記コレクタの周囲に接触をもたらす前記第1のビーズ(23)を加熱する段階と、
を含み、
前記段階(d)から(h)が、第2のシーリングビーズ(23)、第2のセパレータ(15)及び前記第1の電流コレクタ(13、14)と共に、少なくとも1回行われる、バイポーラ電池の製造方法。
【請求項13】
各段階(f)における加熱が、先に積層された前記コレクタの周囲部分に対して配置されたU形状の加熱顎体(24)を用いて行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
各段階(f)における加熱が、200℃以下の温度、典型的には約80℃で行われる、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターカレーション−デインターカレーションとしても知られる、少なくとも1つの電極のリチウムの挿入又は脱離の原理に基づいて動作するリチウム電気化学的発電装置の分野に関連する。
【0002】
それは、より具体的には、バイポーラ電池とも称される少なくとも1つのバイポーラ電流コレクタを含むリチウム電気化学蓄電池に関連する。このようなバイポーラ電池において、バイポーラ電極とも称されるバイポーラコレクタは、その対向する面の各々に、符号が反対である2つの電極材料、すなわち面の一方によって支持されるカソード(正極)及び対向する面の他方によって支持されるアノード(負極)を支持する。
【0003】
本発明は、電解質に対する電気化学的発電装置のシールを改善すること、特に液体形態の電解質に対するバイポーラ電池のシールを改善することを目的とする。
【背景技術】
【0004】
従来のリチウムイオン電池の構造は、それがアノード、カソード及び電解質を含む単一の電気化学セルに基づくので、モノポーラと称され得る構造である。幾つかのタイプのモノポーラの構造が知られている:
−特許文献1に開示されるような円筒構造、
−特許文献2及び特許文献3に開示されるようなプリズム構造、
−特許文献4、特許文献5及び特許文献6に開示されるような積層構造。
【0005】
モノポーラ構成は、巻き取りによって作られる。巻き取りは、正極材料(カソード)が連続的に堆積された電流コレクタからなり、ポリマー又はセラミック材料で作られたセパレータが、それ自体が他の電流コレクタに堆積された負極材料(アノード)に挿入されている。このモノポーラ構成は、大きな活性表面を有するという主たる利点を有するが、電位差は、使用される2つの電極材料の間の電位差の単位値に制限され、それはまた、積層構造の場合である。
【0006】
同等なエネルギー密度を保持しながらモノポーラのリチウムイオン電池の平均電位を増加させるために、直列の複数の電気化学セルを有する電池を製造することが知られている。この電池の構成は、それが、それ自体がバイポーラ電極と称される、プレートの形態の同一の電流コレクタに支持される1つのセルのアノード及び隣接するセルのカソードを含むので、従ってバイポーラと称される。バイポーラ電池の構成は、従って、バイポーラ電極又は電流コレクタを介した複数のモノポーラ蓄電池の直列接続に相当するが、外部接続によって直列に接続されたモノポーラ蓄電池と比較して低い電気抵抗を有するという利点がある。特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、特許文献12及び特許文献13等の、このようなバイポーラ電池に関連する多くの特許出願又は特許が本明細書で引用され得る。
【0007】
バイポーラ電池の続く利点は、低い質量を有し、不必要な体積を含まないことである。
【0008】
バイポーラ電池の設計に関する主たる問題は、互いに対して、一般的に液体形態である電解質に対して完全に不浸透性である区画の製造である。実際に、乏しいシールが、イオン性の短絡回路を介してバイポーラ電池の機能不良を引き起こす。
【0009】
これは、さらに、バイポーラリチウムイオン電池の分野を取り扱う特許文献のほとんどが、一方の区画から他方の区画への電解質の漏れ(イオン性の短絡回路)を防止するために、シーリング又はシーラント方法に関するものであるという事実によって確認される。
何れのシーリング手段が採用されても、それは、
−例えばエチレンカーボネート(EC)及びジメチルカーボネート(DMC)の溶媒混合液中におけるリチウム塩LiPFの溶液からなる液体電解質に対して化学的に抵抗性でなければならず、
−実際に、バイポーラ電池を形成する種々の要素を積層する動作中に、容易に実施することができなければならず、シールの実施が、電極、セパレータ又は電解質の劣化なしに又はほとんどなしに、産業上の製造ラインに適合し、比較的低温で実施されることができるものでなければならず、
−全体的な長期間のシールを保証しなければならない。
【0010】
以上に言及された特許出願又は特許のうち、特許文献8が引用され得、バイポーラコレクタの周囲に付けられたフレキシブルな接着フィルム5、6を用いた方法を開示している。
【0011】
特許文献9がまた引用され得、樹脂10内の電流コレクタ及び電解質10をコーティングする方法を開示している。
【0012】
特許文献10がまた引用され得、バイポーラコレクタの間に配置される組み合わされたポリイミド/PPシーリング層9を用いたシーリング方法を開示しており、ポリアミドが、セルから離れたコレクタの周囲に直接溶接されている。
【0013】
特許文献13は、フルオロポリマー内部障壁14、22がバイポーラコレクタ11の周囲に配置され、エラストマー外部フレーム18、23が、任意にコレクタ11上における追加のエラストマーリング15の配置を任意に有するバイポーラコレクタ上及びその周囲における障壁14、22の外側に配置されているので、二重シーリング方法を提供している。
【0014】
本出願人のための特許文献14がさらに引用され、一方が隣接する他方に対してプレートの寸法が増加し、セルの積層軸に沿って2つの結合部が互いに対向して位置しないように、相互接続プレートの間に介在されるシーリング結合部が横方向にオフセットされている方法を提供している。
【0015】
最後に、特許文献15が引用され、それは、ポリマーベースのシーリング手段を電流コレクタとして作用する金属格子又はシートと統合する方法を開示している。
【0016】
そのため、バイポーラリチウムイオン電池の電解質に関する区画の間のシールを改善するために既に想定された方法は、以下のように纏められ得る:
−プレートの形態のバイポーラ電極と称されるバイポーラ電流コレクタの秩序立った形態、
−プレートの周囲における種々の接着剤/ポリマー又は樹脂の使用、
−電解質に対する追加の障壁を生成するためのバイポーラ電流コレクタプレートの形態の増加、
−電流コレクタとして作用する金属格子又はシートとのポリマーベースのシーリング手段の統合。
【0017】
既に検討されたこれらの全てのシーリング方法は、完全に満足がいくものではない。実際に、それらは全て、電解質に対してバイポーラ電池の動作中又は保持中に低い構造安定性を示すポリマー又は樹脂を使用する。さらに、ポリマーを用いた方法の実施は、これらが、電池の動作中に達することが確実に予想されない特定の温度以上で流れる傾向を有するが、暴走の場合であり得るので、扱い難い。最終的に、バイポーラ電池の製造中に提供される区画内のポリマーの熱融着は、繰り返される加熱の事実によって既にシールされた電気化学区画のシールの劣化をもたらし得、それは、そのポリマーの望まれない流れを引き起こし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0121348号明細書
【特許文献2】米国特許第7348098号明細書
【特許文献3】米国特許第7338733号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/060189号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0057392号明細書
【特許文献6】米国特許第7335448号明細書
【特許文献7】米国特許第7279248号明細書
【特許文献8】米国特許第7220516号明細書
【特許文献9】米国特許第7320846号明細書
【特許文献10】米国特許第7163765号明細書
【特許文献11】国際公開第03/047021号
【特許文献12】国際公開第2006/061696号
【特許文献13】米国特許第7097937号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第2073300号明細書
【特許文献15】国際公開第2011/157751号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の一般的な目的は、バイポーラリチウムイオン電池における、より一般的にはリチウム電気化学発電装置における、電解質、特に液体電解質に対して、それらの間の区画のシールを改善するために既に予想されたもの以外の方法を提供することである。
【0020】
特定の目的は、電解質、具体的には液体電解質に対して、バイポーラ電池、より一般的にはリチウム電気化学発電装置をシーリングする方法を提供することであり、それは、好ましくは比較的低温において、動作中又は保持中に安定しており、容易に実施することができる。
【課題を解決するための手段】
【0021】
このために、本発明の主題は、
バイポーラ型リチウムイオン電池であって、
−一方が他方の頂部に積層され、各々がアノード、カソード及び電解質を含む、少なくとも第1及び第2の電気化学セルと、
−それの一面が、前記第1のセルのリチウム挿入材料で作られた前記アノードによって覆われ、対向表面が、前記第2のセルのリチウム挿入材料で作られた前記カソードによって覆われた少なくとも1つのバイポーラ電流コレクタであって、前記バイポーラコレクタが、それらの面の各々において、その周囲に、前記第1及び第2のセルの前記電界質に対して不浸透性の壁の周囲領域を形成し、それを囲む電気絶縁材料の少なくとも1つのビーズを含むバイポーラ電流コレクタと、
−それの一面が前記第1のセルの前記カソードによって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接する少なくとも1つの第1の電流コレクタであって、前記第1の隣接するコレクタがまた、その周囲に、前記第1のセルの電解質に対して不浸透性の壁の周囲領域も形成する電気絶縁材料の少なくとも1つのビーズを含む、第1の電流コレクタと、
−その一面が前記第2のセルの前記アノードによって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接する少なくとも1つの第2の電流コレクタであって、前記第2の隣接するコレクタがまた、その周囲に、前記第2のセルの電解質に対して不浸透性の壁の周囲領域も形成する電気絶縁材料の少なくとも1つのビーズを含む、第2の電流コレクタと、
を含む、バイポーラ型リチウムイオン電池である。
【0022】
本発明によれば、各不浸透性の壁は、その2つの主面の各々において、熱融着電気絶縁材料で作られる層又はシートで覆われたハニカムマトリクスで形成された少なくとも1つのビーズからなり、各層又はシートは、前記電流コレクタの一方に熱融着され、前記2つの層又はシートが共に接合するような方法で前記熱融着電気絶縁材料は前記ハニカムの胞を少なくとも部分的に充填する。
【0023】
ハニカムマトリクスは、好ましくは、熱融着条件下で流れない材料に基づく。好ましくは、マトリクスは、ポリマーで形成され、より好ましくは、ハニカムマトリクスは、ポリウレタンPU及びポリテトラフルオロエチレンPTFEから選択される材料を含む。有利には、ハニカムマトリクスは、ポリウレタン又はポリテトラフルオロエチレンで作られる。
【0024】
“熱融着材料”という表現は、本明細書及び本発明の文脈において、熱の作用下において典型的にはアルミニウムで作られる電流コレクタにハニカム構造体が溶接されることを可能にする材料を意味するものと理解される。
【0025】
本発明によるシーリング方法は、内部から電解質の外部へ及び外部から大気の内部への両方において、信頼性をもってバイポーラ電池の区画の全てにおける漏れの恐れを避けることを可能にする。
【0026】
本発明は、従来技術の樹脂又はポリマーベースの融着方法を改善する。
【0027】
具体的に、第1に、ハニカムマトリクスの構造体は、予め、すなわち熱融着の前に、且つその後に、その高さが一定のままであり、電池の区画の単位高さを決定する各ビーズが良好な機械的強度を有することを保証することを可能にする。従って、欠陥がある最終的なシール及び非常に小さ過ぎる最終的なシール高さをもたらす従来技術の樹脂又はポリマーの流れの否定的な結果は避けられる。
【0028】
次に、ハニカムマトリクス構造体の信頼性のある熱融着は、約10から100秒間にわたって、典型的には200℃以下である、好ましくは約80℃である、相対的に低い温度で加熱することによって行われる。
【0029】
熱融着が電気化学区画に対して行われると、特に他の融着ビーズを熱融着するために必要とされる連続的な加熱作用中に、又は電離が劣化モード(公称温度以上の温度)において機能する傾向にあるときに、電池の他の区画が熱くなる又は壁が厚くなる場合においてさえ、もはや不浸透性の壁の修正の恐れはない。従って、バイポーラ電池の区画の所定の熱融着において、そのハニカム構造体の一部、すなわちその胞の幾つかが、バイポーラ電池の他の区画の他のシーリングビーズを熱融着するために要求される連続的な加熱動作中に崩壊する場合でさえ、この構造体の残りの部分が、シールが保たれることを保証することを可能にする。
【0030】
さらに、種々のシーリングビーズのハニカムマトリクス構造のために、本発明によるバイポーラ電池は、特定のフレキシビリティを有する。ハニカムマトリクスのPU又はPTFE材料及び選択されるシート又は層の熱融着電気絶縁材料は、電解質に対する高い化学抵抗及び動作温度に対する高い抵抗を有する。
【0031】
本明細書及び本発明の文脈における“リチウム挿入材料で作られる電極”は、少なくとも1つのリチウム挿入材料及び少なくとも1つのポリマーバインダーを含む電極を意味するものと理解される。任意に、電極は、さらに、電子伝導体、例えば、カーボンファイバー又はカーボンブラックを含み得る。
【0032】
本明細書及び本発明の文脈において、特に正極における“リチウム挿入材料”は、スピネル構造を有するマンガンを含むリチオ化された酸化物、層状構造を有するリチオ化された酸化物、及び、それらの混合物、式LiM(XOのポリアニオン系の構成を有するリチオ化された酸化物から選択される材料を意味するものと理解され、Mは、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Mg、Zn、V、Ca、Sr、Ba、Ti、Al、Si、B及びMoから選択される元素を表し、Xは、P、Si、Ge、S及びAsから選択される元素を表し、y、z及びnは、正の整数である。
【0033】
特に負極における“リチウム挿入材料”はまた、リチオ化された又はリチオ化されていないチタン酸化物、例えばLiTi12又はTiOから選択される材料を意味するものと理解される。より具体的には、負極材料は、炭素質材料、リチオ化されていないチタン酸化物、及びそれらの誘導体、LiTi12等のリチオ化されたチタン酸化物及びそれらの誘導体並びにそれらの混合物から選択され得る。
【0034】
本明細書及び本発明の文脈における“リチオ化された誘導体”は、式Li(4−x1)x1Ti12及びLiTi(5−y1)y112の化合物を意味するものと理解され、ここで、x1及びy1はそれぞれ、0から0.2であり、M及びNはそれぞれ、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si及びMoから選択される化学元素である。
【0035】
本明細書及び本発明の文脈における“リチオ化されていない誘導体”は、Ti(5−y1)y112を意味するものと理解され、y1は、0から0.2であり、Nは、Na、K、Mg、Nb、Al、Ni、Co、Zr、Cr、Mn、Fe、Cu、Zn、Si及びMoから選択される化学元素である。
【0036】
“バイポーラ電流コレクタに隣接する電流コレクタ”は、積層体のバイポーラ電流コレクタに最も近く、積層体の他のバイポーラ電流コレクタ又は末端電流コレクタの何れかであり得るコレクタを意味するものと理解される。
【0037】
好ましくは、各ビーズの厚さは、電気化学セルの厚さと実質的に等しい。
【0038】
繰り返しになるが、好ましくは、各ビーズの厚さは、100から200μm、好ましくは、150μm±5μmである。
【0039】
繰り返しになるが、好ましくは、各ビーズの幅は、0.1から2cmである。
【0040】
第1の有利な実施形態によれば、電気化学セルに最も近いハニカムマトリクスの胞の幾つかは、電解質と反応する傾向にある塩又は粘着性の化合物で満たされる。
【0041】
第2の有利な実施形態によれば、電気化学セルから最も遠いハニカムマトリクスの胞の幾つかは、大気中の水分と反応する傾向にある塩又は粘着性の化合物で満たされる。第1及び第2の実施形態は、組み合わされ、すなわち、リチオ化された電解質及び大気の両方に近い胞、すなわち、電気化学セルC1、C2の外部は、塩又は粘着性の化合物で満たされ得る。従って、これらの実施形態によれば、電池の内部に向かう大気又は電池の外部に向かう電解質の何れかの起こり得る漏れの開始中に、対象となる胞内における塩の反応又は粘着性の化合物の増大は、潜在的な漏れのルートを塞ぐだろう。すなわち、密閉は、本発明によるバイポーラ電池への又はバイポーラ電池からの漏れの開始の場合においてさえ、このように保証される。
【0042】
一実施形態によれば、バイポーラ電池は、n−2個のバイポーラ電流コレクタと共にn個の電気化学セルの積層体を含み、隣接するコレクタの1つが、末端電流コレクタであり、隣接するコレクタの他方が、他の末端電流コレクタである。
【0043】
一変形実施形態によれば、全てのアノードは、LiTi12で作られ、全てのカソードは、LiFePOで作られる。
【0044】
本発明の主題は、その他の側面において、
一方が他方の頂部に積層され、各々がアノード、カソード及び電解質を含む第1及び第2の電気化学セルを少なくとも含むバイポーラ電池の製造方法であって、
(a)前記第1のセルのリチウム挿入材料で作られた前記アノードによって覆われた一方の面と、前記第2のセルのリチウム挿入材料で作られた前記カソードによって覆われた対向する面と、を有するバイポーラ電流コレクタを製造する段階と、
(b)それの1つの面が前記第1のセルのカソードによって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接することを目的とする第1の電流コレクタを製造する段階と、
(c)それの1つの面が前記第2のセルのアノードによって覆われた、前記バイポーラコレクタに隣接することを目的とする第2の電流コレクタを製造する段階と、
(d)ハニカムマトリクスで形成された第1のビーズを製造する段階であって、前記マトリクスの胞の少なくとも幾つかが、層又はシートの形態を取るその2つの主要面の各々をさらに覆う熱融着電気絶縁材料で満たされる段階と、
(e)前記アノードで覆われた前記第2のコレクタのその面の周囲に前記ビーズを取り付ける段階と、
(f)前記第1のビーズの内部において前記第2のコレクタの前記アノードに第1のセパレータを取り付ける段階と、
(g)前記隣接する第2のコレクタの前記アノードが前記バイポーラコレクタの前記カソードに面する一方で、前記第1のセパレータから分離され、前記第1のシーリングビーズが前記第2のコレクタ及び前記バイポーラコレクタの両方に対して支持するように、前記バイポーラ電流コレクタを積層する段階と、
(h)前記ハニカムマトリクスを熱融着するように前記コレクタの周囲に接触をもたらす前記第1のビーズを加熱する段階と、
を含み、
前記段階(d)から(h)が、第2のシーリングビーズ、第2のセパレータ及び前記第1の電流コレクタと共に、少なくとも1回行われる、バイポーラ電池の製造方法である。
【0045】
本明細書及び本発明の文脈における“セパレータ”は、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルアセテート(PVA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン又はセルロースから選択されるポリマー等の少なくとも1つのポリマー材料で形成される電気絶縁性のイオン伝導体を意味するものと理解される。
【0046】
本発明による電解質は、炭酸塩及び少なくとも1つのリチウム塩の混合物で形成される液体であり得る。“リチウム塩”は、好ましくは、LiPF、LiClO、LiBF及びLiAsFから選択される塩を意味すると理解される。
【0047】
あるいは、電解質は、1つ又はそれ以上のリチウムイオンベースのイオン性液体、すなわち、無機又は有機アニオンと錯体を形成するリチウムカチオンから構成される塩を含み得、それは、大気温度で液体状態である特性を有する。イオン性液体は、アニオンの性質によって、親水性又は疎水性であり得る。イオン性液体の実施例には、トリフルオロメタンスルホン酸(CFSO)、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド[(CFSON]及びトリス((トリフルオロメチル)スルホニル)メタナイド[(CFSOC]のような疎水性のアニオンベースのイオン性液体が含まれる。
【0048】
各段階(f)における加熱は、好ましくは、予め積層されたコレクタの周囲部分に配置されるU形状の加熱顎体を用いて行われる。
【0049】
各段階(f)における加熱は、好ましくは、約200℃以下の温度で、典型的には約80℃で行われる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
他の利点及び特徴は、以下の図面を参照して例示目的で与えられる詳細な説明を読むことによって、より明らかになるだろう。
【0051】
図1】従来技術によるバイポーラリチウム電池の長手方向の概略断面図である。
図2A】従来技術によるバイポーラリチウム電池に使用されるバイポーラ電流コレクタの前面図である。
図2B】従来技術によるバイポーラリチウム電池に使用されるバイポーラ電流コレクタの断面図である。
図3A】従来技術によるバイポーラリチウム電池に使用される他のバイポーラ電流コレクタの前面図である。
図3B】従来技術によるバイポーラリチウム電池に使用される他のバイポーラ電流コレクタの断面図である。
図4】本発明によって製造される不浸透性の壁が見られることを可能にする、本発明によるバイポーラリチウム電池の概略側面図である。
図4A】本発明の一実施形態によるシーリングビーズが見られることを可能にする図4の詳細図である。
図5】本発明によるシーリングビーズのハニカムマトリクス構造体の一実施形態の上面図である。
図5A】本発明によるハニカムマトリクス胞の壁の構成が見られることを可能にする図5の詳細図である。
図6A】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6B】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6C】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6D】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6E】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6F】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6G】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6H】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6I】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図6J】本発明によるバイポーラリチウム電池の製造の段階を示す長手方向の断面図である。
図7】本発明によるシーリングビーズのハニカムマトリクス構造体の種々の変形実施形態の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
明確性のために、従来技術及び本発明による同一のバイポーラ電池要素を示す同一の参照符号が図1から図7の全てにおいて使用される。
【0053】
従来技術によるバイポーラリチウムイオン電池は、国際公開第03/047021号に示されるように、図1に表される。この電池は、上部に、アルミニウム導電性基板13(電流コレクタ正極端子)及びLi1.04Mn1.96等の正のリチウム挿入材料に基づく活性層14、並びに、下部に、アルミニウム導電性基板21(負の末端電流コレクタ)及びLiTi12等の正のリチウム挿入材料に基づく活性層20を含む。
【0054】
この電池内において、バイポーラ電流コレクタとも称されるバイポーラ電極1は、プレートの形態のアルミニウム導電性基板10の各側にアノード層16及びカソード層18を含む。下部電極20及び上部電極14は、電解質が液体又はゲル形態で存在する2つのセパレータ15、19によってバイポーラ電極1から離隔される。形成される2つの隣接する電気化学セル14、15、16及び18、19、20の間の電池電解質に対するシールは、全ての電極及びプレート10の周囲に樹脂又は接着剤堆積物によって生成される結合部22によって提供される。
【0055】
従来技術によるバイポーラ電流コレクタ10は、電極を製造するために使用されるリチウムイオン挿入材料に従って、
−重ね合わせた2つのプレートからなり、典型的にはアルミニウム10Alで作られるその一方が、カソード11によって覆われ、典型的には銅10Cで作られる他方が、アノード12で覆われ(図2A及び図2B)、又は、
−典型的にはアルミニウム10Alで作られる単一のプレートからなり、それらの面の一方がカソード11によって覆われ、それらの面の他方がアノード12によって覆われる(図3A及び3B)。
従来技術によるバイポーラ電池のデザインにおいて遭遇する主たる問題は、2つのセルC1及びC2の間、すなわち図1における符号14、15、16及び18、19、20で示される区画の間等の、互いに対して、通常液体形態である電解質に対して完全に不浸透性である区画の製造である。
【0056】
これを実現するために従来技術によるバイポーラ電極のプレート10内における結合部22の実現又は増加は、完全に満足がいくものではない。
【0057】
その結果として、本発明者は、電解質、より具体的には液体電解質に対するバイポーラリチウムイオン電池のシーリングのための新規な方法を提供し、それは、動作中及び保持中に安定しており、好ましくは比較的低温で容易に実施可能である。
【0058】
本発明者は、そのマトリクス構造体が、ポリウレタン(PU)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に基づくハニカムで作られ、そのマトリクスの2つの主要面が、電気絶縁性であるだけではなく、電流コレクタが作られる材料に対して熱融着する材料で作られる層又はシートで覆われる、ビーズを有する各々の不浸透性の壁を製造することを見出した。ハニカムの高さにわたって完全な密閉を保証するために、熱融着材料は、2つの対向する層又はシートが共に接合するような方法でハニカムの胞を少なくとも部分的に満たす。
【0059】
図4、4A、5及び5Aは、本発明によるシーリングビーズ23の製造を示す。
【0060】
ビーズ23は、その2つの主要面の各々がポリエチレン(PE)シート25a、25bで覆われるポリウレタン(PU)で作られるハニカムマトリクス構造体24を含む。ハニカムの胞240の壁はまた、PEで作られるシート25a、25bを接合するPEで作られるコーティング25で覆われる(図4A)。
【0061】
このようなビーズ23を製造するために、PUで作られるハニカムマトリクス構造体24は、有利には、熱成形又は高温鋳造によって製造され得る。次に、PEで作られる内部コーティング25は、胞240の壁に成形され(図5A)、最後に、PEで作られるシート25a、25bは、マトリクス24の2つの主要面の各々に熱間圧延される。これらのシート25a、25b及び内部コーティング25は、典型的にはアルミニウムで作られる、バイポーラ電池の積層体の種々の金属電流コレクタ10に対するマトリクス構造体24の密閉を保証するのに寄与する(図4)。
【0062】
本発明による各シーリングビーズ23の幅は、ハニカムマトリクス24の幅に実質的に相当し、有利には、0.5から1cmである。
【0063】
本発明による各シーリングビーズ23の高さは、ハニカムマトリクス24の高さにPEシート25a、25bの高さを加えたものに実質的に相当し、有利には、100から200μm、好ましくは、150μmである。
【0064】
ハニカムマトリクス構造24に関して、本発明によるシーリングビーズ23は、以下のような多くの利点を有する:
−PUのハニカムマトリクス構造体24の高さにPEシート25a、25bの高さを加えたものに実質的に相当する一定の電気化学的な区画C1、C2の高さを保証する良好な機械的強度、
−シーリング結合が固体構造である従来技術による電池よりフレキシブルである本発明によるバイポーラ電池における傾向、
−従来技術によるシーリング結合と比較して低い重量のシーリングビーズ23、
−連続して多数回加熱した後に、バイポーラ電池の電気化学区画の全てが密閉状態であることが保証される、
−多くの胞がそれ自体で、各電気化学セルと外部環境との間に多数のシーリング気密室を形成するので、密閉が、従来技術において得られるものと比較して改善される。
【0065】
その表面の各々が熱融着電気絶縁材料で覆われ又はコーティングされる、PU又はPTFEに基づくハニカムマトリクスを有する本発明によるシーリング手段を統合するバイポーラ電池を製造する段階は、図6Aから6Jを参照して以下に記載される。製造される電池は、一方が他方の頂部にあり、各々がアノード、カソード及び電解質を含む、積層される2つのセルC1、C2を含む。基板10、13、21の全てがアルミニウムで作られ、アノードの全てがLiTi12で作られ、カソードの全てがLiFePOで作られることが特定される。セパレータは全て、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等の同一の材料で作られる。使用される電解質は、例えば、炭酸塩及びリチウム塩LiPFの混合物である。
【0066】
段階1から6が大気温度で行われることが特定される。
【0067】
(段階1)
一方の面が第1のセルC1のカソード18で覆われ、対向する面が第2のセルC2のアノード16で覆われるバイポーラ電流コレクタ1が製造される(図6A)。
【0068】
(段階2)
一方の面が第1のセルC1のアノード20で覆われる電流コレクタ21が製造される(図6B)。
【0069】
(段階3)
一方の面が第2のセルC2のカソード14で覆われる末端電流コレクタ13が製造される(図6C)。
【0070】
(段階4)
図4A及び4Bを参照して以上に記載されるように、PUに基づくハニカムマトリクス24、その胞の内部にPE、及び、その主要面の各々においてPEシート25a、25bを含む第1のビーズ23が製造される。次に、ハニカムマトリクス24を有する第1のビーズ23は、アノード20で覆われるコレクタのその面の周囲に平坦に堆積され、その面に直接接触する(図6D)。
【0071】
(段階5)
第1のセパレータ19は、第1の末端電流コレクタ21のアノード20上及び第1のビーズ23の内部にそれを配置することによって挿入される(図6E)。
【0072】
一方で、カソード18が第1のセパレータ19に直接接触し、他方で、第1のビーズ23が実際の電流コレクタ10の周囲に直接接触するように、バイポーラ電流コレクタ1は、第1の末端コレクタ21に積層される(図6F)。
【0073】
(段階6)
次に、第1のビーズ23は、形成された電気化学セルC2を取り囲むU形状の加熱顎体24を用いて加熱される(図6G)。この加熱段階は、バイポーラコレクタ1及び末端電流コレクタ21の面の一方に対して第1のビーズ23のシート25a、25bを熱融着する。
【0074】
(段階7)
上述の段階4と同一の段階がバイポーラコレクタ1に関して行われる。従って、図4A及び4Bを参照して以上に記載されるように、PUに基づくハニカムマトリクス24、その胞の内部にPE、及び、その主要面の各々においてPEシート25a、25bを含む第2のビーズ23が製造される。次に、ハニカムマトリクス24を有する第2のビーズ23は、バイポーラコレクタのアノード16で覆われるコレクタのその面の周囲に平坦に堆積され、その面に直接接触する。
【0075】
(段階8)
第2のセパレータ15は、バイポーラコレクタ1のアノード16上及び第2のビーズ23の内部にそれを配置することによって挿入される(図6H)。
【0076】
一方で、カソード14が第2のセパレータ15に直接接触し、他方で、第2のビーズ23の自由面が末端電流コレクタ13の周囲に直接接触するように、第2の末端電流コレクタ13は、バイポーラコレクタ1に積層される(図6I)。
【0077】
(段階9)
次に、2つのセルC1、C2のバイポーラ電池積層体の周囲は、取り囲むU形状の加熱顎体24を用いて加熱される(図6J)。この加熱段階は、バイポーラコレクタ及び末端電流コレクタ13の面の一方に対して第2のビーズ23のシート25a、25bを熱融着する。
【0078】
このように全てのビーズ23によって得られたシールは、従って、電解質に対して完全であり、これは、バイポーラ電池のセルC1、C2の全てに当て嵌まる。
【0079】
電解質に関して、ポリマー形態の電解質又は低温で凝固する電解質又はセパレータに含浸された液体形態の電解質が使用され得る。電解質を活性化するために、各セパレータ15、19は、組立中におけるそれの溶け込みの前に、ゲル形態又は低温で凝固する形態の電解質が含浸される。あるいは、組立は、電池全体の積層、本発明によって生成されるシール、次いで、2つのビーズの間に配置されるパイプを通した後続の充填における液体電解質に対して行われる導入を用いて行われ得る。
【0080】
本発明によるビーズを用いて製造されたバイポーラ電池のシールをさらに強化するために、ビーズのハニカム構造の特定の胞は、有利には、塩又は粘着性の化合物で満たされ得る。従って、図7に示されるように、セルC1、C2に最も近いものであり、セルのリチオ化された電解質と接触をもたらすビーズ23のマトリクス24の内部胞240iは、有利には、前記電解質と反応する傾向にある塩又は粘着性の化合物で満たされる。外部環境に最も近いものであり、大気と接触をもたらすビーズ23のマトリクス24の外部胞240eはまた、有利には、空気中の水分と反応する傾向にある塩又は粘着性の化合物で満たされ得る。粘着性の化合物の手段として、それは、ポリアクリル酸ナトリウム等の重要な高吸収性ポリマーであり得る。
【0081】
ハニカムマトリクス24の各主要面を熱間圧延することによるコーティングの代わりに、代替的に、ハニカムマトリクスは、電流コレクタへの堆積の前及び実際の熱融着段階の前に、エポキシド又はメタクリル樹脂でコーティングされ得る。
【0082】
本発明は、これまでに記載された実施例に限定されず、示された実施例の特徴は、特に示されていない変形例内において共に組み合わされ得る。
【0083】
言うまでもなく、熱融着材料で作られたコーティングシート又は層を有するPU又はPEに基づくハニカムマトリクスを含むビーズを用いた本発明によるシールは、積層された2つのセルを有するバイポーラ電池と組み合わせて記載されており、それは、n−2個のバイポーラコレクタ及び2つの末端電流コレクタ13、21を用いて前述の段階1から9を繰り返すことによって、積層されたn個のセルを有する電池に対して同一の方法で実施され得る。
【符号の説明】
【0084】
1 電気化学セル
10 電流コレクタ
10Al アルミニウムで作られたバイポーラ電流コレクタ
10C 銅で作られたバイポーラ電流コレクタ
11 バイポーラコレクタ
13 末端電流コレクタ
14 カソード
15 セパレータ
16 アノード
18 カソード
19 セパレータ
20 アノード
21 電流コレクタ
22 結合部
23 ビーズ
24 ハニカムマトリクス
25a 層、シート
25b 層、シート
26 外部胞
240 胞
240e 胞
240i 胞
C1 第1セル
C2 第2セル
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4-4A】
図5
図5A
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図6G
図6H
図6I
図6J
図7