特許第6335951号(P6335951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335951
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】位相誤差測定装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20180521BHJP
【FI】
   H04L7/00 810
   H04L7/00 160
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-28948(P2016-28948)
(22)【出願日】2016年2月18日
(65)【公開番号】特開2017-147647(P2017-147647A)
(43)【公開日】2017年8月24日
【審査請求日】2016年8月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】杉山 修
【審査官】 大野 友輝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/082628(WO,A1)
【文献】 特開2014−171014(JP,A)
【文献】 特開2010−004413(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同期が必要とされる複数のノード(81、82)を含んで成る通信ネットワークシステムにおける所定のノードの同期ずれを、当該複数のノードのうちの別ノードを用いて位相誤差として測定する位相誤差測定装置であって、
被測定ノードである前記所定のノードから出力された1PPS(Pulse Per Second)信号を1PPS被測定信号として入力する被測定信号用入力端子(17)と、
準ノードとしての、同期ずれを生じていない前記別のノードから出力された1PPS信号を基準信号として入力する基準信号用入力端子(22)と、
前記基準信号用入力端子から入力された基準信号と位相同期した信号を出力する位相同期部(11)と、
前記位相同期部の出力した信号から生成された1PPS基準信号に対する前記1PPS被測定信号の位相誤差を求める位相比較部(13)と、
を備える位相誤差測定装置。
【請求項2】
被測定ノードから出力された1PPS(Pulse Per Second)信号を1PPS被測定信号として入力する被測定信号用入力端子(17)と、
前記被測定ノードとは異なる基準ノードから出力された1PPS信号を基準信号として入力する基準信号用入力端子(22)と、
前記基準信号用入力端子から入力された基準信号と位相同期した信号を出力する位相同期部(11)と、
前記位相同期部の出力した信号から生成された1PPS基準信号に対する前記1PPS被測定信号の位相誤差を求める位相比較部(13)と、
前記位相比較部の求めた位相誤差を被測定ノードごとに記憶し、位相誤差が記憶されている被測定ノードのなかに前記基準ノードが存在する場合、前記基準ノードと一致する被測定ノードの位相誤差に応じて、前記1PPS基準信号を補正する補正部(24)と、
を備える位相誤差測定装置。
【請求項3】
協定世界時に同期した信号を含む衛星信号を受信するアンテナ(16)と、
前記衛星信号を用いて1PPS信号を生成し、基準信号として出力する基準信号生成部(15)と、
前記位相同期部に入力される基準信号を、前記基準信号生成部から出力された第1の基準信号と前記基準信号用入力端子から入力された第2の基準信号とで切り替えるスイッチ(21)と、
をさらに備える請求項1又は2に記載の位相誤差測定装置。
【請求項4】
前記基準信号用入力端子からの入力信号を検出する自動検出部(23)をさらに備え、
前記スイッチは、前記自動検出部が入力信号を検出すると、前記第2の基準信号を前記位相同期部に出力する、
請求項に記載の位相誤差測定装置。
【請求項5】
同期が必要とされる複数のノード(81、82)を含んで成る通信ネットワークシステムにおける所定のノードの同期ずれを、当該複数のノードのうちの別ノードを用いて位相誤差として測定する位相誤差測定方法であって、
準ノードとしての、同期ずれを生じていない前記別のノードから出力された1PPS信号を基準信号とし、前記基準信号と位相同期した信号を出力させる手順と、
当該基準信号と位相同期した信号から1PPS基準信号を生成し、生成した当該1PPS基準信号に対する、前記所定のノードから出力された1PPS信号である1PPS被測定信号の位相誤差を求める手順と、
を有する位相誤差測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻同期における位相誤差を測定する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局間の時刻同期を行うシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1のシステムは、ホールドオーバ回路を備えることで、衛星からの信号を受信できない環境においても時刻同期を行う。
【0003】
ホールドオーバ回路は、時間の経過と共に、協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)とのずれが大きくなる。基地局によっては、衛星からの信号を受信できる状態から当該基地局に移動するまでに、時間を要する場合がある。この時間がホールドオーバ回路の性能を超えると、時刻同期の精度が低下する問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015−23337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衛星からの信号を受信できる状態から当該基地局に移動するまでに時間を要する場合であっても、時刻同期の精度の低下を防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明の位相誤差測定装置は、
同期が必要とされる複数のノード(81、82)を含んで成る通信ネットワークシステムにおける所定のノードの同期ずれを、当該複数のノードのうちの別ノードを用いて位相誤差として測定する位相誤差測定装置であって、
被測定ノードである前記所定のノードから出力された1PPS(Pulse Per Second)信号を1PPS被測定信号として入力する被測定信号用入力端子(17)と、
準ノードとしての、同期ずれを生じていない前記別のノードから出力された1PPS信号を基準信号として入力する基準信号用入力端子(22)と、
前記基準信号用入力端子から入力された基準信号と位相同期した信号を出力する位相同期部(11)と、
前記位相同期部の出力した信号から生成された1PPS基準信号に対する前記1PPS被測定信号の位相誤差を求める位相比較部(13)と、
を備える。
また本願発明の位相誤差測定装置は、
被測定ノードから出力された1PPS(Pulse Per Second)信号を1PPS被測定信号として入力する被測定信号用入力端子(17)と、
前記被測定ノードとは異なる基準ノードから出力された1PPS信号を基準信号として入力する基準信号用入力端子(22)と、
前記基準信号用入力端子から入力された基準信号と位相同期した信号を出力する位相同期部(11)と、
前記位相同期部の出力した信号から生成された1PPS基準信号に対する前記1PPS被測定信号の位相誤差を求める位相比較部(13)と、
前記位相比較部の求めた位相誤差を被測定ノードごとに記憶し、位相誤差が記憶されている被測定ノードのなかに前記基準ノードが存在する場合、前記基準ノードと一致する被測定ノードの位相誤差に応じて、前記1PPS基準信号を補正する補正部(24)と、
を備える。
【0007】
本願発明の位相誤差測定方法は、
同期が必要とされる複数のノード(81、82)を含んで成る通信ネットワークシステムにおける所定のノードの同期ずれを、当該複数のノードのうちの別ノードを用いて位相誤差として測定する位相誤差測定方法であって、
準ノードとしての、同期ずれを生じていない前記別のノードから出力された1PPS信号を基準信号とし、前記基準信号と位相同期した信号を出力させる手順と、
当該基準信号と位相同期した信号から1PPS基準信号を生成し、生成した当該1PPS基準信号に対する、前記所定のノードから出力された1PPS信号である1PPS被測定信号の位相誤差を求める手順と、
を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、衛星からの信号を受信できる状態から当該基地局に移動するまでに時間を要する場合であっても、時刻同期の精度の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るシステム構成の一例を示す。
図2】実施形態に係る位相誤差測定装置の構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0011】
図1に、実施形態に係るシステム構成の一例を示す。実施形態に係るシステムは、Precision Time Protocolを使用してUTC時刻に同期するノード82が接続されている通信ネットワークシステムである。ノード82は、BC(Boundary Clock)として機能し、1Hzの1PPS(Pulse Per Second)信号を出力する。実施形態に係る位相誤差測定装置91は、ネットワークの品質を確認するために、被測定ノードであるBCから出力される1PPS信号の位相誤差を測定する機能を有する。ノード82は、GM(Grandmaster)として機能するノード81に接続されていてもよい。
【0012】
図2に、実施形態に係る位相誤差測定装置の構成の一例を示す。位相誤差測定装置91は、位相同期部11、分周部12、位相比較部13及び判定部14を備える。位相同期部11に基準信号が入力され、位相比較部13に被測定信号となるBCからの1PPS信号が入力される。
【0013】
位相同期部11は、位相比較器111、増幅器112、発振器113及び分周114を備える。位相比較器111は、基準信号と分周114からのパルス信号との位相を比較する。増幅器112は、位相比較器111からの出力信号を増幅する。発振器113は、増幅器112から出力される周波数制御電圧に応じた周波数の正弦波を出力する。ここで、発振器113は、精度が高くかつ安定度の高いものが好ましく、例えばルビジウム発振器を用いることが好ましい。分周114は、発振器113から出力される正弦波を用いて1PPS信号を生成する。
【0014】
分周部12は、発振器113から出力される正弦波を用いて1PPS基準信号を生成する。分周部12及び分周114は、共通の回路を用いて構成してもよい。位相比較部13は、分周部12からの信号と被測定信号用入力端子17からの被測定信号の位相を比較し、位相誤差を求める。位相誤差測定装置91は、位相誤差を用いて、BCの出力する1PPS被測定信号が1PPS基準信号からどの程度ずれているかを表示する。これにより、位相誤差測定装置91のユーザは、タイムエラーを評価することができる。
【0015】
判定部14は、位相誤差が閾値を超えているか否かを判定する。これにより、位相誤差測定装置91は、タイムエラーを表示することができる。
【0016】
位相誤差測定装置91は、さらに、基準信号生成部15及びアンテナ16を備える。アンテナ16は、衛星測位システムで用いられる協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)に同期した衛星信号を受信する。基準信号生成部15は、衛星信号を用いて、1PPS信号を生成し、これを基準信号S1として出力する。
【0017】
位相誤差測定装置91は、さらに、スイッチ21及び基準信号用入力端子22を備える。基準信号用入力端子22に、GM又はBCとして機能する任意のノードから出力された1PPS信号が基準信号S2として入力される。基準信号用入力端子22に接続されるノードが基準ノードとなる。
【0018】
BCの設置場所によっては、衛星信号が受信できないか、基準信号生成部15で使用する衛星の数が予め定められた数に満たない場合がある。この場合、位相同期部11を基準信号生成部15からの基準信号S1に同期させ、同期後の発振器113からの信号を1PPS基準信号に用いることが考えられる。
【0019】
しかし、基準信号生成部15が基準信号S1を生成できない状態になると、時間の経過と共に、位相同期部11から出力される1PPS基準信号とUTCに同期した1PPS信号とのずれが大きくなる。そこで、基準信号S1を用いることができない場合、UTCに同期した状態にあるGM又はBCからの1PPS信号を基準信号用入力端子22に入力する。
【0020】
このように、衛星信号から得られる基準信号だけでなく、外部から入力される1PPS信号を基準信号に用いる。これにより、基準信号S1を生成できない状態において、衛星信号を用いて位相同期部11をホールドオーバさせた1PPS基準信号よりも精度の高い1PPS基準信号を用いて、ネットワークの品質を確認することができる。
【0021】
例えば、図1において、ノード82−1についてはUTCとの同期が確認できているが、ノード82−2については基準信号S1を生成できない場合を想定する。BCであるノード82−1と82−2が近接している場合は、ノード82−1からの1PPS信号を基準信号用入力端子22に入力し、位相同期部11をノード82−1からの1PPS信号で同期させた状態で、ノード82−2からの1PPS信号を被測定信号用入力端子17に入力する。
【0022】
ノード82−1と82−2が近接しておらず、ケーブル引き回しの制約などで直接比較することが困難な場合は、ノード82−1からの1PPS信号を基準信号用入力端子22に入力し、位相同期部11を基準信号用入力端子22から入力されたBCの1PPS信号に同期させる。そして、ノード82−1を基準信号用入力端子22から外し、ノード82−2からの1PPS信号を被測定信号用入力端子17に入力する。
【0023】
なお、ノード82−1は、ノード82−2よりもGM側の上流に接続されているノードであってもよいし、GM側とは反対の下流に接続されているノードであってもよい。
【0024】
ここで、発振器113のホールドオーバ性能が優れている場合、基準信号との同期状態が失われた状態であっても、位相同期部11は、そのホールドオーバ性能を利用して一定時間UTCの位相情報を保つことができる。発振器113の短期安定度は、5×10−9/1s未満であることが好ましい。
【0025】
位相誤差測定装置91は、さらに、自動検出部23を備えることが好ましい。自動検出部23は、基準信号用入力端子22からの入力信号を検出する。基準信号用入力端子22からの入力信号がない場合、スイッチ21は、基準信号生成部15からの1PPS信号を位相同期部11に出力する。一方、自動検出部23が入力信号を検出すると、スイッチ21は、基準信号用入力端子22からの1PPS信号を位相同期部11に出力する。
【0026】
位相誤差測定装置91は、さらに、補正部24を備えることが好ましい。補正部24は、既に測定した位相誤差をノード82−1ごとに保持する。自動検出部23がノード82−1の1PPS信号を検出した場合、補正部24は、ノード82−1の位相誤差に応じて、分周部12から出力される1PPS基準信号を補正する。例えば、ノード82−1の位相が遅れていた場合、1PPS基準信号の位相をその分だけ早める。ノード82−1の位相が進んでいた場合、1PPS基準信号の位相をその分だけ遅らせる。これにより、BCからの1PPS信号に含まれる位相誤差を補正することができる。
【0027】
なお、位相誤差測定装置91は、補正部24を備えず、判定部14が補正部24と同様の機能を備えていてもよい。この場合、判定部14は、位相比較部13の求めた位相誤差を補正した後に、位相誤差が閾値を超えているか否かを判定する。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
11:位相同期部
12:分周部
13:位相比較部
14:判定部
15:基準信号生成部
16:アンテナ
17:被測定信号用入力端子
21:スイッチ
22:基準信号用入力端子
23:自動検出部
24:補正部
81、82:ノード
91:位相誤差測定装置
111:位相比較器
112:増幅器
113:発振器
114:分周
図1
図2