(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、ヒトの知的機能を総称した概念として、「認知機能」が知られている。認知機能とは、外部から入ってきた情報に基づいて自分の置かれている状況を認識したり、何かを記憶したり学習したり、問題解決のために深く考えたりするヒトの知的機能のことをいう。特許文献1に記載の技術では、検出情報としては機器の操作履歴といった単独の情報のみを用いるため、ユーザの認知機能を知ることはできなかった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、ユーザの認知機能を示す情報を好適に収集することが可能な認知機能情報収集装置及び認知機能情報収集システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するために、本発明の認知機能情報収集装置は、ユーザの居室に設けられて当該ユーザの認知機能情報を収集する認知機能情報収集装置であって、前記ユーザの在宅/外出に応じて操作される操作部と、前記居室において前記ユーザを検知する人感センサと、前記操作部の操作状態及び前記人感センサの検知結果を認知機能情報としてサーバ装置へ送信する制御部と、を
備え、前記制御部は、前記認知機能情報に基づいて、前記ユーザの認知機能を判定し、判定結果を前記サーバ装置へ送信することを特徴とする。
【0007】
本発明において、操作部の操作状態及び人感センサの検知結果は、互いに組み合わされることによって認知機能情報となる。例えば、操作部の操作状態が外出を示すにも関わらず人感センサによってユーザが検知されている場合には、操作部の操作状態及び人感センサの検知結果は互いに矛盾しており、操作部の操作し忘れというユーザの認知機能の低下が推定される。
【0008】
かかる構成によると、ユーザの認知機能を示す情報として、操作部の操作状態及び人感センサの検知結果を好適に収集し、ユーザの認知機能の推定(例えば、認知症の進行度の推定)に利用することが可能となる。
また、かかる構成によると、例えば各認知機能情報に矛盾が発生した場合にユーザの認知機能が低下していると判定することができる。
【0009】
前記認知機能情報収集装置は、前記居室の温度を検出する温度センサを備え、前記制御部は、前記操作部の操作状態、前記人感センサの検知結果及び前記温度センサの検出結果を前記認知機能情報として前記サーバ装置へ送信する構成であってもよい。
【0010】
かかる構成によると、さらに温度センサの検出結果を認知機能情報として利用することが可能となる。
【0011】
前記認知機能収集装置は、赤外線信号を受信する赤外線受信部を備え、前記制御部は、前記操作部の操作状態、前記人感センサの検知結果及び前記赤外線受信部の受信結果を前記認知機能情報として前記サーバ装置へ送信する構成であってもよい。
【0012】
かかる構成によると、さらに赤外線受信部の受信結果を認知機能情報として利用することが可能となる。
【0013】
前記認知機能収集装置は、ICカードを読み取るICカード読取部を備え、前記制御部は、前記操作部の操作状態、前記人感センサの検知結果及び前記ICカード読取部の読取状態を前記認知機能情報として前記サーバ装置へ送信する構成であってもよい。
【0014】
かかる構成によると、さらにICカード読取部の読取状態を認知機能情報として利用することが可能となる。
【0017】
また、本発明の認知機能情報収集システムは、前記認知機能情報収集装置と、前記認知機能情報収集装置によって送信された前記認知機能情報を受信し、受信された前記認知機能情報を記憶部に記憶させる前記サーバ装置と、を備える認知機能情報収集システムであって、前記サーバ装置は、前記記憶部に記憶された前記認知機能情報に基づいて、前記ユーザの認知機能を判定する制御部を備えることを特徴とする。
【0018】
かかる構成によると、ある程度の期間の認知機能情報を用いて、ユーザの認知機能の変化に基づく判定を行うことができる。
また、本発明の認知機能情報収集システムは、ユーザの居室に設けられて当該ユーザの認知機能情報を収集するために、前記ユーザの在宅/外出に応じて操作される操作部と、前記居室において前記ユーザを検知する人感センサと、前記操作部の操作状態及び前記人感センサの検知結果を認知機能情報としてサーバ装置へ送信する制御部と、を備える認知機能情報収集装置と、前記認知機能情報収集装置によって送信された前記認知機能情報を受信し、受信された前記認知機能情報を記憶部に記憶させる前記サーバ装置と、を備える認知機能情報収集システムであって、前記サーバ装置は、前記記憶部に記憶された前記認知機能情報に基づいて、前記ユーザの認知機能を判定する制御部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、ユーザの認知機能を示す情報を好適に収集することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。なお、本発明において収集対象となる認知機能とは、記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断等の知的な能力のことをいう。
【0022】
<認知機能情報収集システム>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る認知機能情報収集システム1は、複数のユーザを対象として、テレビ20を用いた情報提供を行ったり、安否確認を行ったり、認知機能情報を収集したりするシステムである。認知機能情報収集システム1は、オペレータ側端末装置10と、テレビ20と、認知機能情報収集装置であるユーザ側端末装置30と、リモコン装置40と、通知装置50と、サーバ装置60と、を備える。テレビ20、ユーザ側端末装置30、リモコン装置40及び通知装置50は、複数のユーザごとに設けられている。
【0023】
オペレータ側端末装置10及びユーザ側端末装置30は、それぞれネットワーク(インターネット等)NWを介してサーバ装置60と通信可能に接続されている。また、ユーザ側端末装置30は、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)ケーブルを介してテレビ20と通信可能に接続されており、赤外線通信によってリモコン装置40と通信可能に接続されており、無線通信によって通知装置50と通信可能に接続されている。
【0024】
<オペレータ側端末装置10>
オペレータ側端末装置10は、オペレータの職場に設置されており、役所職員等といったオペレータが操作するコンピュータ等である。オペレータ側端末装置10は、キーボード、マウス等からなる操作部11と、モニタ等からなる通知部12と、これらを制御する制御部13と、を備える。制御部13は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力回路等によって構成されており、操作部11の操作結果に基づく情報をサーバ装置60へ送信したり、サーバ装置60によって送信された情報を通知部12へ出力してオペレータに知らせたりする。
【0025】
<テレビ>
テレビ20は、認知機能情報収集対象となるユーザの自宅の居室に設置されている。
【0026】
<ユーザ側端末装置>
ユーザ側端末装置30は、認知機能情報収集対象となるユーザの自宅の居室において、例えば、テレビ20の近傍に設置されている。ユーザ側端末装置30は、スイッチ等からなる操作部31と、発光器(LED等)からなる通知部32と、人感センサ33と、温度センサ34と、ICカード読取部35と、これらを制御する制御部36と、を備える。
【0027】
≪操作部(トグルスイッチ)≫
図2(a)(c)に示すように、操作部31は、ユーザによって操作されるトグルスイッチである。操作部31は、ユーザ側端末装置30の筐体の前面に設けられている。ユーザは、在宅時には操作部31であるトグルスイッチを上に倒し、外出時(外出する際)には操作部31であるトグルスイッチを下に倒す。操作部31は、かかる操作結果を制御部36へ出力する。
【0028】
≪通知部≫
図2(a)に示すように、通知部32は、通知ランプ32a,32b,32cと、インターネット接続確認用ランプ32dと、を備える。通知ランプ32a,32b,32c及びインターネット接続確認用ランプ32dは、ユーザ側端末装置30の筐体の前面に設けられている。
【0029】
通知ランプ32aは、例えば、緊急情報がユーザ側端末装置30に届いた場合に、制御部36による制御によって赤色に点灯又は点滅する。緊急情報の例としては、地震情報、気象の警報等が挙げられる。
【0030】
通知ランプ32bは、例えば、福祉情報がユーザ側端末装置30に届いた場合に、制御部36による制御によって橙色に点灯又は点滅する。福祉情報の例としては、予防接種の開催情報等が挙げられる。
【0031】
通知ランプ32cは、例えば、一般情報がユーザ側端末装置30に届いた場合に、制御部36による制御によって緑色に点灯又は点滅する。一般情報の例としては、健康情報等が挙げられる。
【0032】
インターネット接続確認用ランプ32dは、ネットワークNWであるインターネットへの接続状態を判定した制御部36による制御によって青色に点灯又は点滅する。本実施形態において、インターネット接続確認用ランプ32dは、インターネットへの接続状態が正常である場合に点灯し、インターネットへの接続状態が異常である場合に点滅する。
【0033】
≪人感センサ≫
図2(a)に示すように、人感センサ33は、ユーザ側端末装置30の筐体の前面に設けられており、当該人感センサ33の検出範囲内の移動体(ヒト)等を検知するセンサである。人感センサ33は、かかる検知結果を制御部36へ出力する。
【0034】
≪温度センサ≫
図2(b)に示すように、温度センサ34は、ユーザ側端末装置30の筐体の後面に設けられており、ユーザ側端末装置30が設けられた居室の温度(室温)を検出するセンサである。温度センサ34は、かかる検出結果を制御部36へ出力する。
【0035】
≪ICカード読取部≫
図2(c)に示すように、ICカード読取部35は、ユーザ側端末装置30の筐体の一側面に設けられており、当該ICカード読取部35に差し込まれたICカードに記憶された情報(ユーザID等)を読み取るリーダである。ICカード読取部35は、かかる読取結果を制御部36へ出力する。
【0036】
≪制御部≫
図1に示すように、制御部36は、ユーザ側端末装置30の筐体内に設けられており、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されている。制御部36は、サーバ装置60によって送信された情報、及び、ユーザによるリモコン装置40の操作結果に基づいて、通知ランプ32a〜32cを制御したり、サーバ装置60によって送信された情報をテレビ20に表示させたり、通知装置50の通知部51を制御したりする。また、制御部36は、ユーザの認知機能情報を収集し、収集結果をサーバ装置60へ送信する。かかる認知機能情報の収集に関しては、後で詳細に説明する。
【0037】
また、
図2に示すように、ユーザ側端末装置30は、赤外線受信部37aと、LAN(Local Area Network)ケーブル接続端子37bと、HDMIケーブル接続端子37cと、AC(Alternating Current)アダプタ接続端子37dと、を備える。
【0038】
図2(a)に示すように、赤外線受信部37aは、ユーザ側端末装置30の筐体の前面に設けられており、リモコン装置40によって送信された赤外線を受信し、当該赤外線に含まれる情報を制御部36へ出力する。また、赤外線受信部37aは、リモコン装置40以外のテレビ20用、エアコン用等の図示しないリモコン装置によって送信された赤外線を受信し、受信結果を制御部36へ出力する。
【0039】
図2(b)に示すように、LANケーブル接続端子37bは、ユーザ側端末装置30の筐体の後面に設けられており、当該ユーザ側端末装置30をネットワークNWとしてのインターネットに接続するためのLANケーブルが接続される端子である。
【0040】
図2(b)に示すように、HDMIケーブル接続端子37cは、ユーザ側端末装置30の筐体の後面に設けられており、当該ユーザ側端末装置30をテレビ20に接続するためのHDMIケーブルが接続される端子である。
【0041】
図2(b)に示すように、ACアダプタ接続端子37dは、ユーザ側端末装置30の筐体の後面に設けられており、当該ユーザ側端末装置30をAC電源に接続するためのACアダプタが接続される端子である。
【0042】
<リモコン装置>
図1に示すように、リモコン装置40は、認知機能情報収集対象となるユーザの自宅の居室に設置されており、ユーザ側端末装置30との赤外線通信によってテレビ20の表示内容を変更する装置である。リモコン装置40は、操作部41と、制御部42と、を備える。
【0043】
≪操作部≫
図3(a)に示すように、操作部41は、左右ボタン41aと、上ボタン41bと、下ボタン41cと、決定ボタン41dと、を備える。
【0044】
左右ボタン41aは、リモコン装置40の上面の左端部に設けられており、テレビ20の画面の表示内容を切り換えるためのボタンである。本実施形態において、左右ボタン41aは、初期画面、未読一覧、緊急情報一覧、福祉情報一覧、一般情報一覧等の切替を行うためのボタンである。
【0045】
上ボタン41bは、リモコン装置40の上面の右端部に設けられており、左右ボタン41aによって選択された一覧において、選択(選択カーソル等)を上方向に移動させるためのボタンである。
【0046】
下ボタン41cは、リモコン装置40の上面の右端部において上ボタン41bの下方に設けられており、左右ボタン41aによって選択された一覧において、選択(選択カーソル等)を下方向に移動させるためのボタンである。
【0047】
決定ボタン41dは、リモコン装置40の上面の右端部において上ボタン41b及び下ボタン41cの右側に設けられており、テレビ20の画面の表示内容を切り換えるためのボタンである。本実施形態において、決定ボタン41dは、左右ボタン41aによって選択された一覧において、上ボタン41b及び下ボタン41cによって選択された情報をテレビ20に表示させるためのボタンである。
【0048】
≪制御部≫
図1に示すように、制御部42は、リモコン装置40の筐体内に設けられており、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されている。制御部42は、操作部41の操作結果を、赤外線としてユーザ側端末装置30へ送信する。
【0049】
図3(b)に示すように、リモコン装置40は、赤外線送信部43を備える。赤外線送信部43は、リモコン装置40の筐体の一側面(ユーザによる使用状態においてユーザ側端末装置30に向く面)に設けられており、操作部41の操作結果を情報として含む赤外線を送信する。
【0050】
<通知装置>
図1に示すように、通知装置50は、認知機能情報収集対象となるユーザが携行可能な端末装置である。通知装置50は、通知部51と、制御部52と、を備える。
【0051】
≪通知部≫
図4に示すように、通知部51は、通知装置50の筐体の上面に設けられており、発光器(LED等)によって構成されている。
【0052】
≪制御部≫
図1に示すように、制御部52は、通知装置50の筐体内に設けられており、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されている。制御部52は、ユーザ側端末装置30の制御部36と無線通信可能に構成されている。制御部52は、ユーザ側端末装置30の制御部36からの信号に基づいて、ユーザ側端末装置30に新着情報が届いた場合に、通知部51を点灯又は点滅させ、当該新着情報が既読となった場合に、通知部51を消灯させる。なお、制御部52は、通知装置50のバッテリ残量をユーザ側端末装置30の制御部36へ送信する。制御部36は、受信されたバッテリ残量をテレビ20へ送信し、当該テレビに表示させる。
【0053】
図4に示すように、通知装置50は、ACアダプタ接続端子53と、ストラップ取付部54と、を備える。
【0054】
図4(b)に示すように、ACアダプタ接続端子53は、通知装置50の筐体の一側面に設けられており、当該通知装置50をAC電源に接続するためのACアダプタが接続される端子である。
【0055】
図4(a)に示すように、ストラップ取付部54は、通知装置50の筐体の上面に設けられており、当該通知装置50を携行しやすくするためのストラップを取付可能な部位である。
【0056】
<サーバ装置>
図1に示すように、サーバ装置60は、ネットワークNW上のクラウドに設けられている。サーバ装置60は、CPU、ROM、RAM、入出力回路等によって構成されており、機能部として、記憶部61と、制御部62と、を備える。
【0057】
≪記憶部≫
記憶部61には、ユーザ情報データベース61aと、認知機能情報データベース61bと、が格納されている。
【0058】
図5(a)に示すように、ユーザ情報データベース61aには、例えば、ユーザ名と、当該ユーザ(及び/又は、当該ユーザの親族、同居者、介護者等)のメールアドレスと、当該ユーザが携行するICカードに固有のICカード番号と、当該ユーザの自宅に設置されるユーザ側端末装置30に固有の端末IDと、が関連付けて記憶されている。また、ユーザ情報データベース61aには、見守りメール送信設定として、例えば、当該ユーザの温度閾値(下限及び上限)と、当該ユーザの人感センサ33の無反応時間と、当該ユーザの赤外線受信部37aの無反応時間と、見守りメールの送信間隔と、が関連付けて記憶されている。見守りメールとは、サーバ装置60の制御部62が、所定の条件に基づいて、予め登録されたメールアドレスにユーザの安否を問い合わせるために送信されるメールのことをいう。これらの情報の使用手法については、後記する。
【0059】
図5(b)に示すように、認知機能情報データベース61bには、認知機能情報として、操作部31の操作状態と、人感センサ33の検知結果と、温度センサ34の検出結果と、赤外線受信部37aの検出結果と、ICカード読取部35の読取状態と、が測定日時と関連付けて記憶されている。さらに、認知機能情報データベース61bには、認知機能情報に基づく認知機能の判定結果が認知機能情報と関連付けて記憶されている。
【0060】
≪制御部≫
制御部62は、オペレータ側端末装置10の制御部13によって送信されたユーザ情報に基づいて、ユーザ情報データベース61aを管理(記憶、更新、追加、修正、削除等)する。すなわち、各ユーザは、ユーザ情報データベース61aに必要な情報を書類等に記入し、かかる書類等をオペレータ宛てに配送する。オペレータは、かかる書類等の記入内容に基づいてオペレータ側端末装置10の操作部11を操作する。オペレータ側端末装置10の制御部13は、かかる操作結果に基づいて、ユーザ情報をサーバ装置60へ送信し、サーバ装置60の制御部62は、かかるユーザ情報を受信し、受信されたユーザ情報をユーザ情報データベース61aに記憶させる。
【0061】
また、制御部62は、ユーザ側端末装置30の制御部36によって送信された認知機能情報に基づいて、認知機能情報データベース61bを管理(記憶、更新、追加、修正、削除等)する。
【0062】
本実施形態において、制御部62は、認知機能情報データベース61bに記憶された操作部31の操作状態、人感センサ33の検知結果、温度センサ34の検出結果及び赤外線受信部37aの受信結果と、ユーザ情報データベース61aに記憶された温度閾値及び各無反応時間と、に基づいて、例えば、操作部31の操作状態が在宅を示すにも関わらず、温度が温度閾値から外れていたり、無反応を示す検知結果等が無反応時間を超えて連続したりする場合に、対応するメールアドレスを用いて、見守りメールを送信間隔ごとに送信する。
【0063】
続いて、認知機能情報収集システム1の作用について、情報提供機能、安否確認機能、認知機能情報収集機能の順に説明する。
【0064】
<テレビ20を用いた情報提供機能>
オペレータ側端末装置10の制御部13は、オペレータによる操作部11の操作に基づいて、緊急情報、福祉情報、一般情報等といった提供用情報をサーバ装置60へ送信する。サーバ装置60の制御部62は、提供用情報を受信すると、受信された提供用情報をユーザ情報データベース61a内のメールアドレスを用いてユーザ側端末装置30へ送信する。ユーザ側端末装置30の制御部36は、提供用情報を含むメールを受信すると、提供用情報の種類に応じた通知ランプ32a〜32cを点灯又は点滅させるとともに、通知装置50の制御部52を介して通知部51を点灯又は点滅させる。通知ランプ32a〜32c及び通知部51の点灯又は点滅を見たユーザは、リモコン装置40の操作部41を操作する。ユーザ側端末装置30の制御部36は、操作部41の操作に基づいて、テレビ20に提供用情報を表示させる。また、制御部36は、提供用情報が既読になった場合に、通知ランプ32a〜32c及び通知部51を消灯させる。
【0065】
なお、提供用情報が緊急情報である場合には、ユーザ側端末装置30の制御部36は、リモコン装置40の操作部41の操作に関わらず、緊急情報をテレビ20に表示させることができる。制御部36は、緊急情報の表示後に所定時間が経過した場合にテレビ20を自動消灯させる構成であってもよい。
【0066】
<安否確認機能>
ユーザ側端末装置30の制御部36は、人感センサ33の検知結果、温度センサ34の検出結果等を定期的(例えば、1分おき)に収集してサーバ装置60へ送信する。サーバ装置60の制御部62は、制御部36によって送信された情報を受信すると、受信された情報を認知機能情報データベース61bに記憶させる。サーバ装置60の制御部62は、各データベース61a,61bを参照して、例えば、操作部31の操作状態が在宅を示すにも関わらず、温度が温度閾値から外れていたり、無反応を示す検知結果等が無反応時間を超えて連続したりする場合に、ユーザ情報データベース61aに予め記憶されたメールアドレス(ユーザの親族、同居者、介護者等)に見守りメールを送信する。本実施形態では、制御部62は、異常が解消するまで(例えば、温度が温度閾値の範囲内になったり、検知結果等が反応ありを示すまで)、予め設定された送信間隔ごとに見守りメールを送信し続ける。
【0067】
なお、見守りメールに関する情報をテレビ20に表示させるようにしてもよい。この場合、サーバ装置60の制御部62は、提供用情報を受信すると、受信された提供用情報をユーザ情報データベース61a内のメールアドレスを用いてユーザ側端末装置30へ送信する。ユーザ側端末装置30の制御部36は、提供用情報を含むメールを受信すると、提供用情報の種類に応じた通知ランプ32a〜32cを点灯又は点滅させるとともに、通知装置50の制御部52を介して通知部51を点灯又は点滅させる。通知ランプ32a〜32c及び通知部51の点灯又は点滅を見たユーザは、リモコン装置40の操作部41を操作する。ユーザ側端末装置30の制御部36は、操作部41の操作に基づいて、テレビ20に見守りメールを表示させることが可能である。特に、見守りメールが緊急情報に分類される場合には、制御部36は、当該見守りメールを自動的にテレビ20に表示させることができる。また、制御部36は、見守りメールが既読になった場合に、通知ランプ32a〜32c及び通知部51を消灯させる。ユーザ側端末装置30の制御部36は、見守りメールが既読になった場合に、返信メールを自動的に生成してサーバ装置60又はオペレータ側端末装置10へ送信することもできる。
【0068】
<ユーザ側端末装置30による認知機能情報収集機能>
ユーザ側端末装置30の制御部36は、ユーザの認知機能情報を収集し、収集された認知機能情報をサーバ装置60へ送信する。本実施形態において、制御部36は、認知機能情報として以下に示す情報を定期的(例えば、1分おき)に収集する。
・操作部(トグルスイッチ)31の操作状態
・人感センサ33の検知結果
・温度センサ34の検出結果
・赤外線受信部37aの受信結果
・ICカード読取部35の読取状態
ここで、人感センサ33の検知結果、赤外線受信部37aの受信結果については、収集間隔(例えば、1分)の間に検知又は受信していれば検知あり/受信ありとすることもできる。すなわち、制御部36は、同時刻又は所定時間間隔内における操作部31の操作状態、人感センサ33の検知結果等を認知機能情報としてサーバ装置60へ送信する。
【0069】
例えば、これらの認知機能情報が以下の組み合わせの場合には、ユーザの認知機能が低下しているものと考えられる。
【0070】
≪操作部31の操作状態が在宅を示す場合≫
・人感センサ33がユーザを検知していない
・温度センサ34の検出結果が所定範囲から外れている(エアコンがOFFになっている)
・赤外線受信部37aが赤外線を受信しない
・ICカード読取部35がICカードを読み取っていない
これらの場合には、ユーザが、操作部31の操作を忘れて外出している可能性がある。
【0071】
≪操作部31の操作状態が外出を示す場合≫
・人感センサ33がユーザを検知している
・温度センサ34の検出結果が所定範囲内である(エアコンがONになっている)
・赤外線受信部37aが赤外線を受信している
・ICカード読取部35がICカードを読み取っている
これらの場合には、ユーザが、在宅しているにも関わらず、操作部31の操作を忘れている可能性がある。
【0072】
前記した認知機能の判定手法の例は、操作部31の操作状態を基準としたものであるが、人感センサ33の検知結果、温度センサ34の検出結果、赤外線受信部37aの受信結果、及び、ICカード読取部35の読取状態のそれぞれを基準とした認知機能の判定が可能である。
【0073】
本実施形態において、制御部36は、認知機能情報として収集された情報の前記したような矛盾点に基づいて認知機能を判定し、判定結果を認知機能情報とともにサーバ装置60へ送信する。例えば、制御部36は、認知機能情報に前記したような矛盾点がある場合には認知機能「×(低下)」と判定し、認知機能情報に矛盾点が無い場合には認知機能「○(良好)」と判定することができる。
【0074】
ここで、
図5(b)を参照して、あるユーザAの認知機能の判定の例について説明する。なお、かかる例では、温度センサ34の検出結果は、認知機能の判定に用いられていない。
まず、12時00分の時点では、ユーザAは在宅している。ここで、操作部31の操作状態、人感センサ33の検出結果、赤外線受信部37aの受信結果、及び、ICカード読取部35の読取状態が全て「在宅」を示すものとなっており、これらの間に矛盾が生じていないため、制御部36は、認知機能「○(良好)」と判定する。
その後、13時00分の時点では、ユーザAは、ICカードを携行したにも関わらずに操作部31の操作を忘れて外出している。ここで、操作部31の操作状態が「在宅」を示すものである一方、人感センサ33の検出結果、赤外線受信部37aの受信結果、及び、ICカード読取部35の読取状態が「外出」を示すものとなっており、これらの間に矛盾が生じているため、制御部36は、認知機能「×(低下)」と判定する。
その後、14時00分の時点では、ユーザAは、帰宅したにも関わらずにICカードをICカード読取部35に差し込むのを忘れている。ここで、操作部31の操作状態、人感センサ33の検出結果、及び、赤外線受信部37aの受信結果が「在宅」を示すものである一方、ICカード読取部35の読取状態が「外出」を示すものとなっており、これらの間に矛盾が生じているため、制御部36は、認知機能「×(低下)」と判定する。
【0075】
本実施形態において、制御部36は、ICカード読取部35によって読み取られた最新のICカード番号又はユーザ名を認知機能情報と関連付けてサーバ装置60へ送信することができる。
【0076】
また、サーバ装置60の制御部62は、認知機能情報データベース61bに記憶された認知機能情報を用いて、ユーザの認知機能の変化傾向に基づく判定を行うことができる。
【0077】
オペレータ側端末装置10の制御部13は、オペレータによる操作部11の操作に基づいて、認知機能情報データベース61bに記憶された認知機能情報及び判定結果を通知部(例えば、モニタ)12に表示させることができる。オペレータは、認知機能情報及び判定結果を閲覧し、ユーザの認知機能の低下等を推定することができる。
【0078】
本発明の実施形態に係る認知機能情報収集システム1は、ユーザ側端末装置30が同時刻(又は、所定時間間隔内)における操作部31の操作状態、人感センサ33の検知結果、温度センサ34の検出結果、赤外線受信部37aの受信結果及びICカード読取部35の読取状態を認知機能情報として収集し、収集結果をサーバ装置60へ送信するので、ユーザの認知機能を示す情報を好適に収集することができる。収集された認知機能情報は、オペレータ、医師等による認知機能の低下等の判断に利用可能である。
【0079】
また、本発明の実施形態に係る認知機能情報収集システム1は、ユーザ側端末装置30が同時刻(又は、所定時間間隔内)における認知機能情報に基づいてユーザの認知機能を判定し、判定結果をサーバ装置60へ送信するので、ユーザの認知機能の低下を好適に判定することができる。
【0080】
また、本発明の実施形態に係る認知機能情報収集システム1は、サーバ装置60の制御部62がユーザの認知機能を判定するので、ある程度の期間の認知機能情報を用いて、ユーザの認知機能の変化傾向に基づく判定を行うことができる。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変形可能である。例えば、ユーザ側端末装置30においてICカード読取部35が省略されている場合には、制御部36は、ICカード番号に代えて制御部36に予め記憶されている端末IDを認知機能情報と関連付けてサーバ装置60へ送信する構成であってもよい。
【0082】
また、サーバ装置60の制御部62は、見守りメールを、ユーザ側端末装置30以外のユーザが所有する装置(テレビ20、スマートフォン等)に送信したり、電子メール以外のSNS(Social Network Service)を用いて送信したりする構成であってもよい。
【0083】
また、制御部36,62は、提供用情報が既読になっているか否かを認知機能情報の一つとして取り扱う構成であってもよい。また、リモコン装置40から送信される赤外線信号に二次変調がかけられており、制御部36,62が、かかる二次変調に基づいて、受信された赤外線信号がどのリモコン装置から送信されたかを識別し、かかる識別結果を認知機能情報の一つとして取り扱う構成であってもよい。
【0084】
また、制御部62は、認知機能の判定結果に基づいて、ユーザ情報データベース61aに記憶された人感センサ33及び赤外線受信部37aの無反応時間を変更する構成であってもよい。
【0085】
また、認知機能の判定は、「○」「×」の二段階評価に限定されず、三段階以上の評価、100点満点での評価等であってもよい。