特許第6335969号(P6335969)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6335969次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6335969
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年5月30日
(54)【発明の名称】次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/083 20060101AFI20180521BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20180521BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20180521BHJP
   A61B 5/22 20060101ALI20180521BHJP
【FI】
   A61B5/08 100
   G01N27/62 V
   G01N33/497 A
   A61B5/22 B
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-98360(P2016-98360)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-205186(P2017-205186A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2018年1月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505335256
【氏名又は名称】富士医科産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】中島 茂
【審査官】 松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4591852(JP,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0073182(US,A1)
【文献】 米国特許第5135311(US,A)
【文献】 米国特許第4386604(US,A)
【文献】 DAUNCEY, M.J.,A human calorimeter for the direct and indirect measurement of 24h energy expenditure,Br. J. Nutr.,1978年,Vol.39,557-566
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/083
A61B 5/22
G01N 33/497
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の給排気量が調整されるチャンバー内に収容した被験者の酸素摂取量と炭酸ガス産生量から被験者の代謝を測定するエネルギー代謝熱量測定装置において、
屋外から取り込んだ空気を空調機で温度制御するサブチャンバーと、
該サブチャンバー内で温度制御された空気をチャンバーに給気する給気用ファンと、チャンバー内の空気を室外へ排出する排気用ファンと、
給気用ファン及び排気用ファンの電流値を夫々制御する一対のDC電源調節計と、
チャンバー内の空気の給排気量を計測する一対の質量流量計とを備え、
DC電源調節計の電流値を調節して各質量流量計が示す給排気量を等しくするように構成したことを特徴とする次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター。
【請求項2】
前記サブチャンバー内に給気する外気の温度と、前記サブチャンバー内から排気する室内空気の温度とを熱交換せしめる全熱交換器を前記サブチャンバーの外側に設置し、該全熱交換器にて外気温を室内空気の温度に近づけてから前記サブチャンバー内に給気するように構成した請求項1記載の次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター。
【請求項3】
前記チャンバー内に、前記チャンバー内の空気を下から吸気して上部から排気する自立型空気調和機を設置し、該自立型空気調和機の給排気にて前記チャンバー内のガス濃度が均一になるように構成した請求項1記載の次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター。
【請求項4】
前記チャンバー内の設定温度・湿度は、日内変動に合わせた住環境再現のプログラム設定をするように構成した請求項1記載の次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター。
【請求項5】
前記チャンバー内の質量分析計に、分析精度が0.001%の高精度新型質量分析計を備えた請求項1記載の次世代型高解析ヒューマンカロリーメーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チャンバー内に収容した被験者のN2・O2・CO2-44・CO2-45・Ar等のGas濃度を連続的に計測し被験者のエネルギー消費量やエネルギー基質の酸化量を測定する次世代型高解析ヒューマンカロリーメーターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のヒューマンカロリーメーターとして、当出願人が先に提案した高解析ヒューマンカロリーメーターがある(特許文献1参照)。このヒューマンカロリーメーターでは、チャンバー内の気圧を外部の気圧と同圧に設定したもので、チャンバー内の温度制御に、チラー水を冷却循環水とする冷却器と、ヒーターユニットと、これらの機器の計測制御を行なうデジタル指示調節計とを備えた空気調和機を設置した構成を成している。更に、空気調和機で温度制御された空気を複数台の換気用送風機でチャンバー内に送風するように設けたものである。
【0003】
このヒューマンカロリーメーターにより、食事等の微量な熱量や、安静時の熱量、睡眠時の熱量などでも短時間で測定することが可能になり、チャンバーを使用する代謝熱量測定装置の測定精度を高めることができるようになった。しかも日常の生活スタイルにおける代謝熱量などでも極めて正確に測定することが可能になり、この正確な代謝熱量測定により新たな研究にも活用可能な高精度の機能を有するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4591852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヒューマンカロリーメーターでは、空気調和機で温度制御された空気をチャンバー内に直接送風する構成を採用していた。すなわち空気調和機で温度制御された空気を複数台の換気用送風機でチャンバー内に送風するように構成している。
【0006】
ところが、チャンバー内に供給する空気は、空気調和機で空調された空気を常に一定の流量で供給する必要がある。間欠給気で代謝試験室に外気が一時的に多く給気された時、その影響を受け代謝試験室の酸素濃度(O2)は高くなり二酸化炭素(CO2)は低くなる。この僅かな空気の濃度変動をガス分析計・高精度質量分析計を使用しているために一時的なノイズを測定することになり、不都合が生じる。この空気の濃度変化がエネルギー消費量に影響を与える。
【0007】
そこでこの問題を解決するため、新たなFlowシステムを開発する必要がある。測定精度を更に高精度にするには、給気量と排気量を正確にコントロールして試験室内に常に給排気量が一定になるようにコントロールする必要があるためである。
【0008】
また、従来海外のヒューマンカロリーメーターは空気調和機を室内天井部の内部に設置していた。すなわち、天井前面から吹き出し、同天井部後部から給気するシステムであり、室内天井部から室内に吹き出した空気を循環させている。この方法では室内の気流が均一になり難く、空気が完全に混ざらない為に、室内に温度差と空気濃度とに誤差が生じる虞もあった。
【0009】
そこで、本発明は、上述の課題を解消すべく創出されたもので、チャンバー内の給気量と排気量とをコントロールすることで、室内に平均に空気を循環させてガス濃度を均一にすることができ、エネルギー代謝量を安定した状態で測定できる次世代型高解析ヒューマンカロリーメーターの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、空気の給排気量が調整されるチャンバー10内に収容した被験者の酸素摂取量と炭酸ガス産生量から被験者の代謝を測定するエネルギー代謝熱量測定装置において、屋外から取り込んだ空気を空調機で温度制御するサブチャンバー20と、該サブチャンバー20内で温度制御された空気をチャンバー10に給気する給気用ファン11と、チャンバー10内の空気を室外へ排出する排気用ファン12と、給気用ファン11及び排気用ファン12の電流値を夫々制御する一対のDC電源調節計13,14と、チャンバー10内の空気の給排気量を計測する一対の質量流量計15, 16を備え、DC電源調節計13,14の電流値を調節して各質量流量計15,16が示す給排気量を等しくするように構成したことにある。
【0011】
第2の手段は、前記サブチャンバー20内に給気する外気の温度と、前記サブチャンバー20内から排気する室内空気の温度とを熱交換せしめる全熱交換器30を前記サブチャンバー20の外側に設置し、該全熱交換器30にて外気温を室内空気の温度に近づけてから前記サブチャンバー20内に給気するように構成したものである。
【0012】
第3の手段は、前記チャンバー10内に、前記チャンバー10内の空気を下から吸引して上部から排気する自立型空気調和機40を設置し、該自立型空気調和機40の給排気にて前記チャンバー10内のガス濃度が均一になるように構成した。
【0013】
第4の手段は、前記チャンバー10内の設定温度・湿度を、人が居住する住環境の温度・湿度の環境条件に合わせて予めプログラム設定するように構成したものである。
【0014】
第5の手段は、前記チャンバー10内の質量分析に、分析精度が0.001%の高精度新型質量分析計を備えたものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1によると、下記のように構成される。屋外から取り込んだ空気を空調機で温度制御するサブチャンバー20。サブチャンバー20内で温度制御された空気をチャンバー10に給気する給気用ファン11。チャンバー10内の空気を室外へ排出する排気用ファン12。給気用ファン11及び排気用ファン12の電流値を夫々制御する一対のDC電源調節計13,14。チャンバー10内の空気の給排気量を計測する一対の質量流量計15,16とを備える。DC電源調節計13,14の電流値を調節して各質量流量計15,16が示す給排気量を等しくするように構成した。このことによりサブチャンバー20内に供給される空気の供給量とサブチャンバー2010から排出される排出量とが同量に制御され、サブチャンバー2010内の差圧は常に0となり、常圧環境になる。
【0016】
この結果、チャンバー10内は常圧環境で室内にリークがなくなり、代謝試験室ガス濃度に影響を与えない環境になる。また給排気の設定で大型の試験室であっても給排気が正確にコントロールできるため容積が小さな試験室の環境を作ることができる。更にエネルギー代謝の計算に用いられている室内の容積に変化がなくなり、測定の精度が高精度になる。
【0017】
請求項2のように、全熱交換器30をサブチャンバー20の外側に設置し、該全熱交換器30にて外気温を室内空気の温度に近づけてからサブチャンバー20内に給気するように構成した。外気温が急激に変化する状態でもサブチャンバー20内の温度変化を極力抑制することができ、サブチャンバー20内の温度差を少なく保つことができる。
【0018】
請求項3のごとく、チャンバー10内に、前記チャンバー10内の空気を下から吸引して上部から排気する自立型空気調和機40を設置し、該自立型空気調和機40の給排気にて前記チャンバー10内のガス濃度が均一になるように構成したことで、エネルギー消費量の測定精度が更に向上する。しかも、被験者も室内の温度差がない為、居住性に優れた高精度代謝試験室を提供することができる。
【0019】
請求項4のように、ヒューマンカロリーメーターは通常一定の温度・湿度条件で人の代謝試験を行っている。実際人の居住環境は昼間と夜間の温度差または日中の温度差の日内変動があり、人の居住環境下でより正確な環境下での代謝試験ができるプログラムを開発した。住環境が人の内部環境に与える影響を、正確に再現し、エネルギー代謝試験が行えるようになった。チャンバー10内の設定温度・湿度は、外気の温度・湿度の変化に合わせて予めプログラム設定するように構成したことで、住環境の日内変動の室内環境を人の内部環境に与える外部環境を正確に再現することができる。この結果、一定温度化の環境と日常の環境の違いが人の代謝に影響を与える試験研究が行えるようになった。
【0020】
請求項5のように、チャンバー10内の質量分析に、分析精度が0.001%の高精度新型質量分析計を備えたことから、より高精度で微量なエネルギー消費量を測定する事が出来る。
【0021】
このように本発明により、チャンバー内の給気量・排気量をコントロールし室内空気を循環させてガス濃度を均一にすることができ、安定した状態でエネルギー代謝量を高精度で測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明装置を示す概略図である。
図2】本発明チャンバーの空気の撹拌状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。本発明装置は、被験者の代謝熱量を測定する代謝熱量測定装置であり、特に、チャンバー内に収容した被験者の酸素の消費量と炭酸ガスの排出量から代謝熱量を測定するものである。本発明の主な構成として、チャンバー10とサブチャンバー20、そして給気用ファン11と排気用ファン12、更に、DC電源調節計13,14と質量流量計15,16を備えている。
【0024】
チャンバー10は、被験者を収容する独立した高気密性の部屋を構成している。このチャンバー10は、鋼板製断熱式パネルを組み立てたもので、各パネルの結合部をシリコンコーキングにてシーリング加工をし気密性を保持している。更に、チャンバー10内の気圧を外部の気圧と同圧になるように設定している。
【0025】
すなわち、サブチャンバー20にて、屋外から取り込んだ空気を空調機で温度制御し、この温度制御された空気をチャンバー10に給気する給気用ファン11と、チャンバー10内の空気を室外へ排出する排気用ファン12とをコントロールする構成である。
【0026】
本発明では、給気用ファン11及び排気用ファン12の電流値を夫々制御する一対のDC電源調節計13,14を設けている。一方、チャンバー10内の空気の給排気量を計測する一対の質量流量計15,16を設置している。そして、これらDC電源調節計13,14と質量流量計15,16とによりチャンバー10内の気圧を外部の気圧と同圧になるように構成している。すなわち、DC電源調節計13,14の電流値をコントロールして各質量流量計15,16が示す給排気量が等しくなるように調整する構成である。
【0027】
また、チャンバー10内に供給された空気が室内の空気に完全に混ざり合わなければ、チャンバー10内の空気の濃度に誤差が生じ、この誤差がエネルギー消費量に大きな影響を与える。そのため本発明では、このチャンバー10内を全て均一化した気流で循環するようにチャンバー10内に自立型空気調和機40を備えている(図1参照)。
【0028】
この自立型空気調和機40は、チャンバー10内の温度や湿度を正確に制御する装置であり、チャンバー10内の空気を下から吸気して上部から排気することで、チャンバー10内のガス濃度が均一になるように構成したものである。図示例では、ファン17、加湿器18、ヒーターユニット19、冷却器22を備えたもので、これらの制御は、計測制御部3にて行われる。
【0029】
冷却器22は、チラーユニット21により、チラー水を冷却水タンクに循環させて冷却器22の温度を一定に制御する。たとえば、水温を摂氏5度±0.1度に温度制御した冷却水をチラーユニット21に循環させ、このチラーユニット21を通過するチャンバー10内の空気を冷却するものである。
【0030】
ヒーターユニット19は、チャンバー10内の温度を加熱するものである。そして、これらチラーユニット21と空調機22を計測制御する計測制御部3により、チラーユニット21や空調機22がコントロールされ、チャンバー10内の温度を一定にする。
【0031】
ファン17は、自立型空気調和機40の下部に吸気した空気を上部から排出することで、チャンバー10内の空気を循環し室内空気を一定に温湿度制御するものである。このファン17の前面に、上下左右に向き調整可能なブレードを装着することで、更に効率良く空気を循環させることが可能になる。また、このファン17は、有圧型多風量式を複数台採用し、換気をインバーター制御で行なうことで、室内に温度差が生じない空調方式とする。この結果、チャンバー10内においてガス濃度差が無い均一な環境になり、温湿度・空気濃度を安定化し、安静時から運動時における室内ガス濃度の均一な環境を実現する。
【0032】
加湿器18は、チャンバー10内の湿度制御を正確にするために備えている。この加湿器18は、例えば設定値50%に対し±1%以下の精度を有するものが望ましい(環境試験室A級制御で±3%以下)。このような加湿器18を採用することで、チャンバー10内の高精度の湿度制御を実現することができる。また、蒸気式の加湿器18を用いることで、加湿時に煮沸殺菌され、細菌や白い粉を含まないクリーンな蒸気を噴霧するので、チャンバー10室内環境に人間を対象とした試験に最適である。尚、図1には、この他の構成として、パソコン1、コントローラー2、屋外空調コンデンサー4などを備えている。
【0033】
一方、サブチャンバー20は、屋外から取り込んだ空気を空調機で温度制御する部屋で、外気温を一定の温度に調整した後、DC電源調節計13,14でチャンバー10内に給気する。このサブチャンバー20には、エアコン23が設置されており、サブチャンバー20内に取り込んだ外気を制御しチャンバー10内に一定量を給気している。図示例では、サブチャンバー20の外側に全熱交換器30を設置している。
【0034】
この全熱交換器30は、外気の温度と、サブチャンバー20内から排気する室内空気の温度とを熱交換する装置で、外気温を空調し一定の温度に制御してチャンバー10へ給気している。そして、外気温がサブチャンバー20内の温度と大きく乖離している状況でも、この全熱交換器30を通すことで、サブチャンバー20内の温度制御の効率を上げている。
【0035】
チャンバー10内の設定温度・湿度は、外気の温度・湿度の変化に合わせて予めプログラム設定するように構成し、温度・湿度を住環境に合わせ日内変動を再現する機能を持つようにしている。そして、グラフィックパネルコントロール画面から温度・湿度・時間の環境条件を設定し最小1時間からの温度・湿度の設定ができるように構成する。例えば、日中は午前から午後にかけ室内温度が上がり、夕方から夜間・明け方は気温が下がるように設定する。また、夜間の睡眠時の際は室内の温度をさげ代謝試験を行う事が出来る。このように、日内変動に伴う日常生活の住環境下で、より正確な代謝試験を行うことができる。
【0036】
チャンバー10内の酸素量は換気時の流入量及び被験者の酸素摂取量によって決定され、同様に二酸化炭素濃度の変化率は外気からの二酸化炭素流入量と被験者の二酸化炭素生産量から決定される。そこで、チャンバー10内の空気の給排気量を精密に調整するため、この流量制御に、温度と気圧の影響を受けない質量流量を計測する質量流量計15,16を備えている(図1参照)。この質量流量計15,16は、単位時間当たりの流量を0.5%の誤差の高精度で計測する。
【0037】
チャンバー10内の高精度新型質量分析計50に、分析精度が0.001%の高精度新型質量分析計を備える(図1参照)。従来のヒューマンカロリーメーターでは、分析計精度0.002%の質量分析計(Thermo社製Prima dB)を使用していた。本発明では、特に、分析精度が0.001%の高精度新型質量分析計(Thermo社製:製品名Prima Pro,Prima BT)を使用する。あわせて安定同位体CO2-45の測定を高精度で行う。
【0038】
また、従来のHuman Calorimeterは同時解析のアルゴリズムは1種類で行っている。そして、24時間の代謝試験のために用いられてきたアルゴリズムは、Henningのアルゴリズムが使用されていた。ところが、このHenningのアルゴリズムは短時間の運動の解析には対応しない。近年は短時間の代謝試験で運動を解析する試験研究が求められている。そこで、Henningのアルゴリズムに加えて、短時間のエネルギー消費量が計算できるBrownの移動平均方式のアルゴリズムを用いることで短時間の運動から長時間の代謝試験に対応できるようになる(表1参照)。
【表1】
【0039】
更に、従来のエネルギー消費量の計算は外気のO2・CO2濃度と代謝試験室の人が入室して消費するO2・と産生するCO2の濃度差から求めている。この場合、交互に一定の時間で外気・内気を測定するとDataが間欠になり連続してのDataの評価ができない。また交互に分析計で外気と内気を測定したときは分析精度が劣る。この為一般的に試験前の一定時間の外気と試験終了時の外気を測定し平均化して試験中の外気濃度をエネルギー計算に用いている。しかし装置の立地条件により外気濃度に変動が生じる。この影響により微量なエネルギー消費量を求める際は外気変動が影響を与えエネルギー消費量が変化する。そこで、1時間毎に外気を測定し1時間毎のエネルギー消費量を求める新たな外気変動型のアルゴリズム計算式により、外気変動に対応するアルゴリズムができ、より正確なエネルギー消費量が求められるようになる(表2参照)。
【表2】
【0040】
尚、本発明は、図示例に限定されるものではなく、各構成要素の設計変更や材質の置換、用途の変更などは、本発明の要旨を変更しない範囲で任意に行えるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 パソコン
2 コントローラー
3 計測制御部
4 屋外空調コンデンサー
10 チャンバー
11 給気用ファン
12 排気用ファン
13 DC電源調節計
14 DC電源調節計
15 質量流量計
16 質量流量計
17 ファン
18 加湿器
19 ヒーターユニット
20 サブチャンバー
21 チラーユニット
22 冷却器
23 エアコン
30 全熱交換器
40 自立型空気調和機
50 高精度新型質量分析計
図1
図2