【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、本発明は、流体密メンブレンを備えた流体貯蔵タンクを断熱するようになった自立型ケースを製造する方法であって、この方法は、
繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料で作られた複数の支承ウェブを用意するステップと、
ベースパネル及びカバーパネルを用意するステップと、
支承ウェブをベースパネルとカバーパネルとの間に介在して設けてベースパネルとカバーパネルがケースの厚さ方向に互いに間隔を置いて配置されると共に支承ウェブが厚さ方向に延びるようにするステップと、
支承ウェブをベースパネル及び/又はカバーパネルに固定するステップと、
支承ウェブ相互間に設けられた複数のコンパートメントを断熱内張りで内張りするステップと、を含み、
ベースパネル及びカバーパネルは各々、支承ウェブを固定する少なくとも1つの熱可塑性要素を有し、支承ウェブは、支承ウェブとベースパネル及びカバーパネルの熱可塑性要素との間のインターフェースゾーンのところで行われる熱可塑性樹脂溶接作業によってベースパネル及びカバーパネルに固定されることを特徴とする製造方法を提供する。
【0010】
かくして、支承ウェブをベースパネル及び/又はカバーパネルに簡単且つ確実な仕方で接合することができる。と言うのは、固定要素は、支承ウェブの構造的健全性を低下させず、その結果、これら支承ウェブの強度は、ベースパネル及び/又はカバーパネルへの固定によっては低下しないからである。
【0011】
実施形態によれば、この方法は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むのが良い。
‐ベースパネル及びカバーパネルは各々、ケースの内側を向く内側フェースと、外側フェースとを有し、ベースパネル及びカバーパネルの内側フェースは、支承ウェブを固定する熱可塑性フィルムで覆われる。
‐ベースパネル及び/又はカバーパネルの内側フェースは、全体が熱可塑性フィルムで覆われる。
‐取り外し可能な保護マスクを溶接作業に先立ってインターフェースゾーン相互間でベースパネル及び/又はカバーパネルの内側フェース上に配置するステップを含む。かくして、フィルムは、支承ウェブの固定ゾーンの外側で保護される。
‐ベースパネル及び/又はカバーパネルの外側フェースは、全体が熱可塑性フィルムで覆われる。かくして、ベースパネルとカバーパネルの熱屈曲度は、タンクが冷やされたときに釣り合いが取られる。
‐ベースパネル及び/又はカバーパネルの内側フェースは、部分的に、熱可塑性フィルムで覆われ、複数の熱可塑性フィルムストリップが各々、支承ウェブとのインターフェースゾーンに配置される。
‐ベースパネル及び/又はカバーパネルは、合板本体を有し、熱可塑性フィルムは、合板本体に接着される。
‐熱可塑性フィルムは、繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料である。かかる熱可塑性フィルムは、ベースパネル及び/又はカバーパネルの屈曲強度及び耐穴あけ性(耐破壊性)を向上させる。
‐ベースパネル及び/又はカバーパネルは、繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料で作られた本体を有し、本体は、支承ウェブを固定するための熱可塑性要素を形成している。
‐ベースパネル及び/又はカバーパネルは、支承ウェブを固定するための熱可塑性マトリックスを含浸させた木製本体を有する。
‐熱可塑性要素は、ベースパネル及び/又はカバーパネルに設けられたボア内に且つ支承ウェブに設けられたボア内に挿入される熱可塑性スタッドである。
‐支承ウェブを固定するための熱可塑性要素は、支承ウェブの熱可塑性マトリックスと同じ熱可塑性マトリックスを含む。
‐熱可塑性樹脂溶接は、赤外線による溶接、超音波溶接、誘導溶接、摩擦溶接、充填剤の添加による溶接、熱風ジェット溶接、及び有炎燃焼から選択された方法によって実施される。
‐上記製造方法では、
・支承ウェブは、カバーパネルを支持するようになっていて且つ自立型ケースに配置される流体密メンブレンの金属ストレークを溶接するための溶接支持体を固着するようになった固定ストラップを備えた上端部を有し、固定ストラップは、溶接支持体の折り畳まれ長手方向に延びる縁部と協働するようになった折り畳まれ長手方向に延びる縁部を有し、
・カバーパネルは、カバーパネルの厚さ全体にわたって延びる互いに平行な溝を有し、
・支承ウェブは、固定ストラップが各々カバーパネルの溝内に延びるようベースパネルとカバーパネルとの間に配置される。
‐固定ストラップは、この固定ストラップの成形中、支持ウェブの塊中に嵌め込まれる。
‐支承ウェブがハウジングを備えた上端部を有する主要本体と、固定ストラップ上に成形された熱可塑性材料から成るインサートとを有し、インサートは、支承ウェブの主要本体の上端部のハウジング内に位置決めされると共に熱可塑性樹脂溶接作業によって主要本体に固定される。
【0012】
一実施形態によれば、本発明は又、流体密メンブレンを備えた流体貯蔵タンクを断熱するようになった自立型ケースであって、このケースは、
‐ケースの厚さ方向に互いに間隔を置いて配置されたベースパネル及びカバーパネルを有し、
‐ベースパネルとカバーパネルとの間に介在して設けられた状態で複数のコンパートメントで構成するよう厚さ方向に延びる複数の支承ウェブを有し、支承ウェブは、繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料で作られ、
‐支承ウェブ相互間に配置されたコンパートメント内に延びる断熱内張りを有し、
‐ベースパネル及びカバーパネルは各々、少なくとも1つの熱可塑性要素を有し、
‐支承ウェブは、支承ウェブとベースパネル及びカバーパネルの熱可塑性要素との間に設けられたインターフェースゾーンでの熱可塑性樹脂溶接作業によってベースパネル及び/又はカバーパネルに固定されていることを特徴とするケースを提供する。
【0013】
実施形態によれば、かかるケースは、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むのが良い。
‐支承ウェブは、ベースパネル及びカバーパネルにそれぞれ向いた状態で配置された支承ウェブの2つの縁部に沿って延びる荷重分配プレートを有する。
‐支承ウェブは、複数の起伏部を有し、起伏部の軸線は、ベースパネル及びカバーパネルに垂直に延びている。
【0014】
一実施形態によれば、本発明は又、液体密メンブレンを備えた流体貯蔵タンクを断熱するようになった自立型ケースの製造方法であって、この方法は、
‐繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料で作られた複数の支承ウェブを用意するステップを含み、この支承ウェブは、カバーパネルを支持するようになっていて且つ自立型ケースに配置される流体密メンブレンの金属ストレークを溶接するための溶接支持体を固着するようになった固定ストラップを備えた上端部を有し、固定ストラップは、溶接支持体の折り畳まれ長手方向に延びる縁部と協働するようになった折り畳まれ長手方向に延びる縁部を有し、
‐ベースパネル及びカバーパネルを用意するステップを含み、カバーパネルは、カバーパネルの全幅にわたって延びる互いに平行な溝を有し、
‐支承ウェブをベースパネルとカバーパネルとの間に介在して設けてベースパネルとカバーパネルがケースの厚さ方向に互いに間隔を置いて配置されると共に支承ウェブが厚さ方向に延びて固定ストラップが各々、カバーパネルの溝の内側で延びるようにするステップを含み、
‐支承ウェブ相互間に設けられた複数のコンパートメントを断熱内張りで内張りするステップを含み、
‐支承ウェブをベースパネル及びカバーパネルに固定するステップを含むことを特徴とする方法を提供する。
【0015】
実施形態によれば、自立型ケースを製造する方法は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むのが良い。
‐繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料から成形することによって支承ウェブを作り、固定ストラップをこれらの成形中、支承ウェブの塊中に嵌め込む。
‐支承ウェブを製作するステップは、
・モールド内に繊維強化熱可塑性マトリックスを含む複合材料を配置するステップを含み、
・流体密メンブレンの金属ストレークを溶接するための溶接支持体を固着するようになった固定ストラップをモールド内に挿入するステップを含み、
・複合材料を成形するステップを含み、この成形ステップ中、固定ストラップを支承ウェブの塊中に嵌め込むステップを含む。
‐複合材料を熱成形又は熱圧縮によって成形する。
【0016】
他の実施形態によれば、自立型ケースを製造する方法は、以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むのが良い。
‐支承ウェブがハウジングを有する主要本体及び固定ストラップ上に成形された熱可塑性材料から成るインサートを有し、インサートは、支承ウェブの主要本体の上端部のハウジング内に位置決めされると共に熱可塑性樹脂溶接作業によって主要本体に固定される。 ‐支承ウェブを製作するステップは、
・ハウジングを備えた上端部を有する複合材料をモールド内に配置するステップと、
・固定ストラップ上に熱可塑性材料を成形することによってインサートを形成するステップと、
・このインサートを支承ウェブの主要本体のハウジング内に位置決めしてこのインサートを熱可塑性樹脂溶接作業によって主要本体に固定するステップとを含む。
【0017】
本発明は又、支承ウェブがカバーパネルを支持するようになっていて且つ流体密メンブレンの金属ストレークを溶接するための溶接支持体を固着するようになった固定ストラップを備えた上端部を有することを特徴とする自立型ケースに関する。
【0018】
一実施形態によれば、本発明は又、流体密断熱型の流体貯蔵タンクであって、互いに隣接して配置された上述の複数のケースを有する断熱バリヤと、断熱バリヤ上に配置される封止メンブレンとを有することを特徴とする流体貯蔵タンクを提供する。
【0019】
かかるタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部をなしても良く、或いは、沿岸水域又は沖合に位置する浮遊式構造体、特にLNGタンカは、浮遊式貯蔵及び再ガス化ユニット(FSRU)、浮遊式産出・貯蔵・揚荷ユニット(FPSO)その他の中に設置されても良い。
【0020】
一実施形態によれば、流体を輸送する船が二重船殻と、二重船殻内に配置された上述のタンクとを有する。
【0021】
一実施形態によれば、本発明は又、かかる船に荷積みし又は荷揚げする方法であって、断熱パイプラインを通って浮遊式又は陸上貯蔵施設から船のタンクに又は船のタンクから浮遊式又は陸上貯蔵施設に流体を送ることを特徴とする方法を提供する。
【0022】
一実施形態によれば、本発明は又、流体を移送するシステムであって、このシステムは、上記船と、船殻内に設置されたタンクを浮遊式又は陸上貯蔵施設に連結するよう配置された断熱パイプラインと、断熱パイプラインを通って浮遊式又は陸上貯蔵施設から船のタンクまで又は船のタンクから浮遊式又は陸上貯蔵施設まで流体を圧送するポンプとを含むことを特徴とするシステムを提供する。
【0023】
本発明は、添付の図面を参照して説明のためにのみ与えられて本発明を限定することがない本発明の幾つかの特定の実施形態の以下の説明から良好に理解されると共にその別の目的、細部、特徴及び利点が明らかになろう。