【課題を解決するための手段】
【0011】
このコンパクト生成物は、好ましくは、例えば、方解石、マグネシアもしくはドロマイトの生石灰又は生ドロマイト(quick lime or quick dolomite)などの、カルシウム及び/又はマグネシウム酸化物に基づくコンパクト生成物である。この生成物では、a、b、z、t及びuは、0と50%の間の任意の値をとることができる。
【0012】
本組成物は、天然物に由来してもよく、多かれ少なかれ焼かれ、多かれ少なかれ水和され又は水和されないが、常に、生の生成物(quick products)を少なくとも50重量%含む(すなわち、生成物は、カルシウム及び/又はマグネシウムの酸化物に基づく)。本組成物はまた、一つ又はいくつかのカルシウム又はマグネシウムの化合物の混合物に由来してもよい。本組成物は、上記のカルシウムマグネシウム化合物、又は他の添加された無機もしくは有機の生成物を、1つ以上含んでもよい。
【0013】
カルシウムマグネシウム化合物中のCaCO
3、MgCO
3、CaO、MgO、Ca(OH)
2及びMg(OH)
2含有量は、従来の方法を用いて容易に測定することができる。例えば、それらは、蛍光X線分析により測定することができ、その手順は、EN15309規格に記載されており、両方ともEN459−2:2010E規格に従って、強熱減量の測定及びCO
2量の測定と組み合わされる。
【0014】
組成物中の酸化物の形態でのカルシウム及びマグネシウムの含有量もまた、最も単純なケースにおいては、同じ方法で測定してもよい。より複雑なケース、例えば、多様な無機又は有機添加剤を含有する組成物においては、当業者は、酸化物の形態でのこれらのカルシウム及びマグネシウムの含有量の測定に適用するために、電池の特性評価技術を適応させることができる。例として、網羅的でない方法として、任意に不活性雰囲気下で行われる、熱重量分析(TGA)及び/又は示差熱分析(TDA)、又は代替的に、リートベルトタイプの半定量分析に関連付けられたX線回折分析(XRD)に頼ることができる。
【0015】
この問題を解決するために、冒頭に示したように本発明にしたがって組成物が提供され、この組成物は、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物が粒子の形態であることを特徴とし、前記組成物はコンパクトの形態であり、各コンパクトは、少なくとも前記コンパクト化され(締固められ)成形されたカルシウムマグネシウム化合物の粒子によって形成され、前記コンパクトは、10%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0016】
コンパクトとは、コンパクト化され(compacted)又は圧縮された(compressed)、微粉末(典型的には7mm未満のサイズ)又は微粉末の混合物を意味する。これらのコンパクトは、一般にタブレット又はブリケットの形態で現れる。
【0017】
本発明の意味において、錠剤(tablet)とは、キャビティ内に配置された前記の微粉末に対する2つのピストン(一方は高位置、他方は低位置)の組合せ作用によって得られる、微粉末を締固める又は圧縮する(compacting or compressing)技術を用いて成形された物体を意味する。したがって、錠剤という用語は、錠剤、ペレット又は圧縮錠剤、及びより一般的には例えば円筒形、八角形、立方体、又は直方体などの多様な三次元形状を有する物体の群に属する成形された物体全体を含む。前記技術には、一般に回転プレス又は液圧プレスを使用する。
【0018】
本発明の意味において、ブリケット(briquette)とは、前記の粉末に対する2つのタンジェンシャルローラー(所望のブリケットの形状及び寸法に実質的に対応する型を形成するキャビティを備えた、一般に円筒)の組合せ作用によって得られ、ウォームスクリュー(worm screw)によって強制的に供給される、微粉末を締固める又は圧縮する技術を用いて成形された物体を意味する。したがって、ブリケットという用語は、ブリケット、小石状、石鹸バー、又は板状の群に属する成形された物体全体を含む。前記技術には、一般にタンジェンシャルローラーを有するプレス機を使用する。
【0019】
本発明の意味において、シャッタテスト指数とは、最初は10mm超のサイズの0.5kgの生成物を用いて、2mの落下を4回した後に生成した、10mm未満の微粉末の質量百分率を意味する。これらの4回の落下は、取り外し可能な底部を備え、長さ2m及び直径40cmのチューブ(容器)を使用して達成される。容器のベースは、厚さ3mmのポリプロピレンプレートである。容器は、コンクリート地盤に載っている。
【0020】
本発明の錠剤又はブリケットの形態のコンパクト生成物は、内部構造を考慮することにより、石灰岩又はドロマイト岩の焼成で得られた岩状生成物と、容易に区別することができる。焼成で得られる岩状生成物とは異なり、単純な肉眼観察により、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、構成粒子が視認できる均一な表面を有する本発明のコンパクト生成物の構成粒子を簡単に示すことができる。
【0021】
さらに、本発明の錠剤又はブリケットの形態のコンパクト生成物はまた、内部構造を考慮することにより、従来公知のブリケット等の形態の生成物と区別される。本発明のコンパクト生成物は、単純な肉眼観察により、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)下で、容易に検出可能な数百マイクロメートルから数ミリメートルの長さで、且つ数マイクロメートルから数百マイクロメートルの幅のクラックを含むこれまでに公知のブリケット等の形態の生成物とは異なり、落下に対する耐性に悪影響を有する割れ目やクラックなどの巨視的な欠陥又はマクロ欠陥を、含まない。
【0022】
本発明によれば、組成物は、微粉末を適用することができないその後の使用のために特に重要な、落下に対する高い耐性と、湿った雰囲気中のエージングに対する高い耐性とを有するコンパクト生成物として現れる。したがって、本発明の組成物は、これまで可能ではなかった、カルシウムマグネシウム化合物の用途における、7mm以下のd
100を有する微細なカルシウムマグネシウム化合物粒子の利用を可能にする。
【0023】
したがって、本発明による前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、天然の石灰石又はドロマイトの焼成で得られる生石灰(quick lime)、生ドロマイト石灰、生マグネシウム石灰、又はドロマイトを用いて少なくとも形成される。
【0024】
不純物には、例えばアルミノシリケートタイプの粘土、シリカ、鉄又はマンガンに基づく不純物など、天然の石灰石及びドロマイト中に見出される全てのものが、特に含まれる。
【0025】
したがって、本発明の組成物は、例えば、天然の石灰石又はドロマイトの焼成で得られた未焼材料、又はカルシウムマグネシウム化合物の再炭酸化処理で得られる生成物などの、カルシウム又はマグネシウムの炭酸塩をも含み得る。最後に、カルシウムマグネシウム化合物の水和(消和)で得られるカルシウム又はマグネシウムの水酸化物も含み得る。
【0026】
本発明の組成物の代替例においては、カルシウムマグネシウム化合物は、全て又は部分的に、副産物のリサイクル、特に鉄鋼産業の転炉に存在するスラグに由来する。そのようなスラグは、典型的には、40%から70%のCaO、及び3%から15%のMgOの質量含有率を有する。
【0027】
本発明の有利な代替例において、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、x+y≧60%、好ましくは75%以上、より好適には80%以上、さらにより好適には90%以上、より特には93%以上、又はさらには95%以上である質量分率を示す。
【0028】
この有利な代替例において、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、カルシウム及び/又はマグネシウム酸化物に基づく大部分の化合物であり、したがって、生(quick)カルシウムマグネシウム化合物である。
【0029】
別の有利な実施形態において、本発明の組成物は、酸化物の形態においてカルシウム及びマグネシウムをあわせた含有量を、組成物の総重量に基づいて、40重量%以上、有利には60重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、好適には93%重量%以上、さらには95重量%を有する。
【0030】
有利には、前記コンパクトは8%未満のシャッタテスト指数を有する。より特には、本発明によれば、前記コンパクトは6%未満のシャッタテスト指数を有する。より有利には、前記コンパクトは4%未満のシャッタテスト指数を有する。そして、さらにより有利には、前記コンパクトは3%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0031】
有利には、本発明の組成物は、少なくとも2時間、190°Cで真空下で脱気した後、窒素の吸着を用いた検圧法(manometry)によって測定し、ISO9227:2010E規格に記載されているようにマルチポイントBET法に従って計算した比表面積、すなわち0.4m
2/g以上、好ましくは0.6m
2/g以上、より好適には0.8m
2/g以上、さらにより好適には1.0m
2/g以上、及び特には1.2m
2/g以上である比表面積を有し、これは、一般に0.1m
2/g以下の比表面積を有する焼結体の比表面積よりもはるかに大きい。
【0032】
このようにして、本組成物は、特に、成形前にカルシウムマグネシウム化合物の固有の特性/構造的特性を保持することによって、上記の焼結ブリケットに比べて比較的高い比表面積を有する。
【0033】
前記組成物はまた、その全細孔容積(30,000psia(207MPa)で測定したスケルトン密度と0.51psia(3.5kPa)で測定した見かけ密度との差を、そのスケルトン密度で割ることからなるISO15901−1:2005E規格のパート1に従って、水銀の侵入を用いた圧入法によって決定した)が、20%以上、好ましくは25%以上、さらにより好適には30%以上であることを特徴とし、これは、一般に10%以下の全細孔容積を有する焼結体の全細孔容積よりもはるかに大きい。
【0034】
有利には、本発明の組成物は、特に、成形前にカルシウムマグネシウム化合物の固有の特性/構造的特性を保持することによって、上記の焼結ブリケットに比べて比較的高い全細孔容積を有する。
【0035】
有利には、前記組成物は、コンパクト内に均一な密度分布を有する。実際に、一軸プレスを用いて提案される締固め方法(compaction method)は、密度が、長手方向に沿って(すなわち、パンチの長手方向の変位軸に沿って)及び横方向に沿って(すなわち、パンチの長手方向の変位軸と垂直に)、実質的に同じであるコンパクトの形成を可能にする。
【0036】
パンチの一方のみが他方に対して相対的に移動しているとき、特に、低い密度勾配が、長手方向に沿って存在する可能性があり、最も高い密度がアクティブなパンチの側で見出され、最も低い密度がアクティブでない反対の側で見出される。
【0037】
本発明によれば、前記コンパクトは、30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m
3)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験後、20%未満の、好ましくは10%未満のシャッタテスト指数をも有する。
【0038】
本発明の意味において、加速エージング試験とは、生成物と、湿った雰囲気との間の接触(contact)が最適となるように(すなわち、それぞれの前記構成のコンパクトが、少なくとも1cm、他のコンパクトから離間される)、容器の上方に配置されたグリッド自体の上の単層として配置された10mm以上のサイズの0.5kgの生成物を用いて開始される環境チャンバー内で行われる2時間のエージングを意味する。エージング中の質量の増加は、水の吸収を定量化し、したがって組成物の水和を定量化する。
【0039】
エージング後に測定されるシャッタテスト指数は、はじめに生成物の全体から得られ、そのことは、たとえ、加速エージング試験がそれ自体で微粉末を生成したとしても、それらは最終的な結果に適切にカウントされることを意味する。加速エージング試験は、その強度を調節するために、異なる温度及び相対湿度条件下(したがって絶対湿度の)で実施することができる。1(より厳しくない試験)から4(最も厳しい試験)までの範囲の4つの強度レベルを使用した:
− レベル1:30℃及び相対湿度75%(絶対湿度22.8g/m
3をもたらす);
− レベル2:40℃及び相対湿度50%(絶対湿度25.6g/m
3をもたらす);
− レベル3:40℃及び相対湿度60%(絶対湿度30.7g/m
3をもたらす);
− レベル4:40℃及び相対湿度70%(絶対湿度35.8g/m
3をもたらす)。
【0040】
有利には、前記コンパクトは、40℃で相対湿度50%(すなわち、絶対湿度25.6g/m
3)下、2時間の、レベル2の加速エージング試験後、20%未満、好ましくは10%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0041】
より有利には、前記コンパクトは、40℃で相対湿度60%(すなわち、絶対湿度30.7g/m
3)下、2時間の、レベル3の加速エージング試験後、20%未満、好ましくは10%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0042】
さらにより有利には、前記コンパクトは、40℃で相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m
3)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験後、20%未満、特には10%未満、より特には5%未満、及びさらに最も特には3%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0043】
本発明によれば、コンパクトは、例えば結合剤又は潤滑剤などの有機添加剤を含有してもよいが、これらの有機添加剤を含有しなくてもよい。
【0044】
本発明の組成物中に存在する有機炭素の割合は、総炭素割合と鉱物由来の炭素の割合との間の差によって計算することができる。総炭素割合は、例えばASTM C25(1999)規格に従って炭素/硫黄(C/S)分析によって測定され、鉱物由来の炭素の割合は、例えばEN 459−2:2010E規格に従ってCO
2体積を計量することにより決定される。
【0045】
本発明の組成物の特定の実施形態において、前記粒子は、7mm以下のサイズを有し、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって観察でき、締固めの前に、7mm以下、特には5mm以下の粒子サイズd
100を有し、例えば篩い分けにより測定される。
【0046】
したがって、本発明によれば、組成物は、微粉末を適用することができないその後の使用のために特に重要な、7mm以下のd
100を有するカルシウムマグネシウム化合物の粒子で構成される微粒子で最初に得られ、最終的に、落下に対する高い耐性と湿った雰囲気中のエージングに対する耐性とを有するコンパクトとして現れる。したがって、本発明の組成物は、上述したように、これまで可能ではなかった、カルシウムマグネシウム化合物の用途における、7mm以下のd
100を有するカルシウムマグネシウム化合物の微粒子の利用をとりわけ可能にする。
【0047】
表記Dxは、mmで表現される直径を表し、X質量%の測定粒子の大きさ以下であることと関連する。
【0048】
本発明の特定の有利な実施形態において、カルシウムマグネシウム化合物の前記粒子は、締固めの前に、3mm以下、特には2mm以下のd
90を有する。
【0049】
より具体的には、カルシウムマグネシウム化合物の前記粒子は、締固めの前に、1mm以下、特には500μm以下のd
50、及び0.1μm以上、特には0.5μm以上、特には1μm以上のd
50を有する。
【0050】
本発明の別の有利な実施形態によれば、前記コンパクトは、乾式ルートを介して微粉末を成形する方法によって得られる生成物の特性、規則的かつ均一な形状、例えば、錠剤又はブリケットからなる群から選択され、かつ、10と100mmの間、好ましくは15mm以上、好ましくは20mm以上、及び好ましくは70mm以下、特には50mm以下に含まれるサイズを有する。
【0051】
コンパクトのサイズは、ふるい又はスクリーンを通過するサイズ、例えば、正方形のメッシュを意味する。
【0052】
より具体的には、本発明の意味において、前記コンパクトは、コンパクトあたり、少なくとも1g、好ましくは少なくとも5g、好適には少なくとも10g、特には少なくとも15gの平均重量を有する。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、前記コンパクトは、コンパクトあたり、200g以下、好ましくは150g以下、好適には100g以下、特には50g以下の平均重量を有する。
【0054】
有利には、前記コンパクトは、1.5と3の間、有利には1.5と2.8の間、好ましくは1.7と2.6の間に含まれる見かけ密度を有する。
【0055】
本発明の有利な実施形態では、前記コンパクトは貫通孔を含む。
【0056】
有利な代替例において、本発明の組成物は、例えばコランダム、ベーマイト、又は非晶質アルミナ等のAl
2O
3等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのアルミニウム系酸化物をさらに含む。
【0057】
有利な代替例において、本発明の組成物は、例えばベーマイト、ギブサイト又はダイアスポア等のAl
2O
3等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのアルミニウム系水酸化物をさらに含む。
【0058】
有利な実施形態において、本組成物は、例えば焼成シリカ又沈降シリカ等のSiO
2等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのシリコン系酸化物を含んでもよい。
【0059】
有利な実施形態において、本組成物はまた、SiO
2等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのシリコン系水酸化物を含んでもよい。
【0060】
別の実施形態において、本発明の組成物は、例えばヘマタイト、マグネタイト又はウスタイト等のFe
2O
3等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかの鉄系酸化物をさらに含む。
【0061】
別の実施形態において、本発明の組成物は、例えばゲーサイト又はリモナイト等のFe
2O
3等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかの鉄系水酸化物をさらに含む。
【0062】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、例えば軟マンガン鉱又は一酸化マンガンMnO等のMnO等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から10重量%の範囲、好ましくは、1重量%から5重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのマンガン系酸化物を含む。
【0063】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、MnO等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から10重量%の範囲、好ましくは、1重量%から5重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのマンガン系水酸化物を含む。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、コンパクトは錠剤(tablet)として現れる。
【0065】
これらのコンパクト生成物の形状は、石灰岩又はドロマイト岩の焼成後に伝統的に得られる岩状カルシウムマグネシウム化合物の形状と、容易に区別される。
【0066】
本発明の組成物の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0067】
本発明はまた、多層構造を形成するためのいくつかの連続層を含む複合材料であって、少なくとも一つの層は、本発明の組成物の前記コンパクト生成物で形成される複合材料に関する。
【0068】
本発明の複合材料の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0069】
本発明は、以下の連続工程を含む、コンパクトの形態での組成物を生成する方法にも関する。
(a)少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の粒子を少なくとも含む、粒子の組成物であって、化合物が、式aCaCO
3.bMgCO
3.xCaO.yMgO.zCa(OH)
2.tMg(OH)
2.uI(Iは不純物を表し、カルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、各a、b、z、t及びuは質量分率0%以上50%以下を表し、各x及びyは質量分率0%以上100%以下であって、x+y≧50%を表し。)に適合する、前記組成物を、1cm
2と40cm
2の間、有利には1cm
2と20cm
2の間、好ましくは1cm
2と10cm
2の間、特には2cm
2と10cm
2の間に含まれる断面を有する2つのパンチの間の閉じ込め空間に提供する工程、
(b)三次元形状のコンパクト生成物を形成するために、200MPaと700MPaの間、好ましくは250MPaと500MPaの間、より好適には300MPaと500MPaの間、さらにより好適には375MPaと490MPaの間に含まれる締固め圧力を適用することにより、前記粒子を締固める工程、
(c)締固め圧力を開放する工程、並びに
(d)前記コンパクト生成物を収集する工程。
【0070】
有利には、本方法は、本方法の良好な安定性とそれによるコンパクトの良好な品質を確保することを目的とし、粒子が粒子組成物中に均一に分散している均一な粒子組成物を得ることを目的として、粒子の組成物を形成するために粒子を混合する工程を、前記提供工程の前に含む。
【0071】
提供される粒子組成物は、必ずしも必要ではないが、例えば従来の結合剤もしくは潤滑剤などの有機性の添加剤、又は例えば酸化物もしくは水酸化物などの鉱物性添加剤のいずれかの添加剤を含むことができる。前記の酸化物もしくは水酸化物などの鉱物性物質は、特に、Al
2O
3等価物として表現される1から30%の量、好ましくは5から20%の量のアルミニウム系、特に、SiO
2等価物として表現される1から30%の量、好ましくは5から20%の量のシリコン系、特に、Fe
2O
3等価物として表現される1から30%の量、好ましくは5から20%の量の鉄系、特に、MnO等価物として表現される1から10%の量、好ましくは1から5%の量のマンガン系であり、あるいは、鉱物性添加剤はさらにモーススケールで5以上の硬度を有し、それらの粒子は、200μm以下、好ましくは150μm以下、及びより好適には100μm以下のサイズd
100を有することを特徴とする。
【0072】
有利には、粒子組成物を提供する前記工程は、2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間に配置される前記組成物と常に同量であるようにして、制御され、行われる。
【0073】
本発明の方法の別の実施形態において、前記2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間は、粉末としての潤滑剤(例えばステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムなど)が前記2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間の表面に堆積する間の潤滑工程によって、事前に潤滑される。粒子組成物の粒子を用いて締固めされた粉末として前記潤滑剤は、コンパクト生成物の総重量に基づいて、有利には0.01重量%と0.3重量%の間、好ましくは0.02重量%と0.1重量%の間を表す。したがって、この実施形態は、内部潤滑よりも経済的である外部潤滑(すなわち、パンチ及びダイの潤滑)の可能性をもたらし、この外部潤滑は、締固めされる組成物の中に潤滑剤を直接添加する構成からなり、通常0.25重量%から1重量%の潤滑剤を必要とする。さらに、これにより、コンパクト化される組成物の中に補完的な化合物を添加することを回避でき、それにより、変性の危険性を回避できる。
【0074】
この方法は、落下に対する非常に良好な耐性とエージングに対する良好な耐性とを有する一つ又はいくつかのカルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクトの形成をもたらす。
【0075】
さらに、内部組織を考慮することにより、前記方法によるこのコンパクトは、ローラーを有するプレス機を用いた成形方法から生じる現在知られている生成品、例えばブリケットなど、と区別される。本発明のコンパクトは、肉眼での単純な観察により、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、容易に検出可能な数百マイクロメートルから数ミリメートルの長さで、且つ数マイクロメートルから数百マイクロメートルの幅の割れ目を含むこれまでに公知のブリケット等の形態の生成物とは異なり、割れ目、クラック又は劈開面などのマクロ欠陥を、含まない。
【0076】
一実施形態によれば、圧縮を行うために回転プレス機が使用されるが、一般的には、締固めシステムはいかなるタイプのものであってもよく、例えば、液圧プレス機を使用してもよい。原理的には、これらの締固めシステムは、一つ又は二つのパンチ(これらの構成要素が、締固めのために中に組成物が配置される前記閉じ込め区間を形成する)を摺動し得るダイ(die)を、その内側に含む。
【0077】
コンパクトを形成するために必要な締固めストレスを加えるのが、パンチの作用である。この加えられた締固めストレスは、組成物にもたらす所定の締固め圧力からなっていてもよい。それは、2つのパンチの間の閉じ込め空間における特定の体積に対応し、それにより、パンチの特定の位置に対応し、そして必要に応じて、約50ミリ秒までの範囲の所定の時間、これらのパンチの位置に保持してもよい。一方、これより長い時間、この位置に保持することには害がないことを認識しているが、それによる追加的な利点はない。
【0078】
パンチを備える回転プレス機は、高い締固め圧力で動作する。原理的には、締固めシステムは、一つ又は二つのパンチ(これらの構成要素が、締固めのために中に組成物が配置される前記閉じ込め区間を形成する)を摺動し得るダイを形成するキャビティを備えた、回転台を含む。
【0079】
回転プレス機の形状と動作により、締固めされる生成物に力をより良く伝達することができるので、コンパクト内により均一な密度分布を生成し、それにより、より優れた機械強度とより少ない構造欠陥をもたらすことができる。
【0080】
カルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクト化された生成物を形成するための回転プレス機の使用は、事前包装及び/又は事前締固めの可能性と共に、締固め(compaction)の動力学的及び運動学的なより良い制御の機会を、さらにもたらす。それにより、粉末のより高密度化の可能性をもたらし、且つ、空気を追い出すことにより、劈開やキャッピングなどの欠陥の形成を回避することができる。
【0081】
有利には、本発明の方法において、前記収集されたコンパクト生成物は、その後、1分と90分の間、好ましくは5分以上60分以下、より特には10分以上かつ30分以下を含む所定時間、700℃と1200℃の間で熱処理される。
【0082】
有利には、熱処理は、800℃超、有利には900℃超、及び1100℃未満、好ましくは1000℃未満で行われる。
【0083】
特定の実施形態において、熱処理は、熱処理の生産性が最適になるように、できるだけ短く温度を上昇及び下降させるランプをさらに含む。
【0084】
この方法は、落下に対する非常に良好な耐性とエージングに対する非常に良好な耐性とを有する一つ又はいくつかのカルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクトの形成をもたらす。
【0085】
一実施形態によれば、例えばトンネルオーブン、通路オーブン、ローラー窯、又はさらにメッシュベルト窯などの水平オーブンが、熱処理を行うために使用される。代替的に、例えば過度の摩滅のせいでコンパクトの完全性に変化をもたらすことがないような、任意の他のタイプの従来のオーブンを使用してもよい。
【0086】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、CO
2及び水蒸気を含有するガスの流れの下で、5分以上、好ましくは10分以上、及び60分以下、好ましくは30分以下の所定時間、50℃以上、好ましくは100℃以上、及び好ましくは150℃以上、及び700℃以下、有利には500℃以下、好ましくは400℃以下、特には300℃以下、有利には250℃以下の温度で、前記収集されたコンパクト生成物の表面処理の工程をさらに含み、熱処理がある場合は、熱処理後に任意に行ってもよい。
【0087】
有利には、ガス流は、容量比で5%以上、容量比で25%以下、好ましくは15%以下の水蒸気濃度を含む。
【0088】
好ましくは、ガス流は、容量比で5%以上、好ましくは10%以上、及び容量比で40%以下、好ましくは25%以下の、ガス中のCO
2濃度を含む。
【0089】
より具体的には、使用するガス流は、例えば従来の石灰窯からの燃焼ヒューム(combustion fumes)に由来する。
【0090】
この方法を用いて、落下に対する非常に良好な耐性とエージングに対する非常に良好な耐性とを有する一つ又はいくつかのカルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクトを形成することが可能である。
【0091】
一実施形態によれば、垂直向流反応器であって、その上部を通じてコンパクトを供給し、且つ底部を通じてガスを供給する垂直向流反応器が、前記の表面処理を行うために使用される。
【0092】
有利には、例えば、燃焼ヒュームに由来するガスの場合のように、すでに高温であるか又は事前に予熱した前記ガスの注入を介して、コンパクトの温度の上昇が直接的に達成され得る。
【0093】
これは必ずしも必要ではないが、二酸化炭素及び水蒸気を含有する合成ガスを用いるよりも、燃焼ヒュームを用いてこの表面処理を行う方が、経済的、環境的及び持続可能な活動上の理由から、利点があることがよく理解されるであろう。
【0094】
一代替例において、本発明は、多層構造を形成するためのいくつかの連続層を含む複合材料を製造する方法であって、少なくとも一つの層は、本発明の方法によって組成物の前記コンパクト生成物で形成され、前記コンパクト生成物の前記少なくとも一つの層及び別のコンパクト層を、締固めるための追加の工程をさらに含む、前記方法に関する。
【0095】
本発明の方法の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0096】
本発明の目的はまた、鉄鋼作業において、特に、酸素転炉(oxygen converter)において、又は電気アーク炉において、排煙の処理において、水の処理において、廃スラッジ及び廃水の処理において、農業、建築業、及び例えば土壌安定化などの土木工事においての、本発明の複合材料の使用、本発明の組成物の使用、又は本発明の方法から生じる複合材料もしくは組成物の使用である。
【0097】
本発明の使用の他の形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0098】
本発明の他の特徴、詳細及び利点は、非限定的に、付随する実施例を参照して、以下の説明から明らかになるであろう。