特許第6336057号(P6336057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336057コンパクト化合物としてのカルシウムマグネシウム化合物を含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336057
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】コンパクト化合物としてのカルシウムマグネシウム化合物を含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/06 20060101AFI20180528BHJP
   C01F 11/02 20060101ALI20180528BHJP
   C21C 5/30 20060101ALI20180528BHJP
   C21C 5/52 20060101ALI20180528BHJP
   C21B 11/10 20060101ALI20180528BHJP
   C21B 13/12 20060101ALI20180528BHJP
   B28B 3/02 20060101ALI20180528BHJP
   C01F 11/18 20060101ALI20180528BHJP
   B01J 2/22 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   C04B35/06
   C01F11/02 B
   C21C5/30 Z
   C21C5/52
   C21B11/10
   C21B13/12
   B28B3/02 P
   C01F11/18 Z
   B01J2/22
【請求項の数】33
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-522661(P2016-522661)
(86)(22)【出願日】2014年7月11日
(65)【公表番号】特表2016-531065(P2016-531065A)
(43)【公表日】2016年10月6日
(86)【国際出願番号】EP2014064982
(87)【国際公開番号】WO2015007661
(87)【国際公開日】20150122
【審査請求日】2016年1月5日
(31)【優先権主張番号】2013/0485
(32)【優先日】2013年7月15日
(33)【優先権主張国】BE
(31)【優先権主張番号】2014/0280
(32)【優先日】2014年4月22日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】514311209
【氏名又は名称】エス.ア.ロイスト ルシェルシュ エ デヴロップマン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリニエール、ギュローム
(72)【発明者】
【氏名】ショパン、ティエリー
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05186742(US,A)
【文献】 特開平10−317040(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02872447(FR,A1)
【文献】 特表2011−528282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00−35/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物を含む組成物であって、
式aCaCO.bMgCO.xCaO.yMgO.zCa(OH).tMg(OH).uI(Iは不純物を表し、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、各a、b、z、t及びuは質量分率0%以上50%以下を表し、各x及びyは質量分率0%以上100%以下であって、x+y≧50%を表す。)に適合し、
前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、天然の石灰石又はドロマイトの焼成からの生石灰、生ドロマイト石灰、生マグネシウム石灰、又はドロマイトから少なくともできており、かつ粒子の形態であることを特徴とし、
前記組成物は、酸化物の形態においてカルシウム及びマグネシウムをあわせた含有量を、組成物の総重量に基づいて重量比で20%以上有し、コンパクトの形態であり、
各コンパクトは、前記コンパクト化され成形されたカルシウムマグネシウム化合物の粒子によって形成され、前記コンパクトは、10%未満のシャッタテスト指数を有
前記コンパクトは、微粉末を締固める又は圧縮する技術を用いて成形された物体である、
上記組成物。
【請求項2】
前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、x+y≧60%である質量分率を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記コンパクトは、8%未満のシャッタテスト指数を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
酸化物の形態においてカルシウム及びマグネシウムをあわせた含有量が、組成物の総重量に基づいて、40重量%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも2時間、190°Cで真空下で脱気した後、窒素の吸着を用いた検圧法によって測定し、ISO9227:2010E規格に記載されているようにマルチポイントBET法に従って計算した比表面積であって、0.4m/g以上である比表面積を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
ISO15901−1:2005E規格のパート1に従って、水銀の侵入を用いた圧入法によって決定した全細孔容積であって、20%以上である全細孔容積を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験後、20%未満のシャッタテスト指数を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
40℃で、相対湿度50%(すなわち、絶対湿度25.6g/m)下、2時間の、レベル2の加速エージング試験後、20%未満のシャッタテスト指数を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
40℃で、相対湿度60%(すなわち、絶対湿度30.7g/m)下、2時間の、レベル3の加速エージング試験後、20%未満のシャッタテスト指数を有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
40℃で、相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験後、20%未満のシャッタテスト指数を有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
さらに、有機添加剤を含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記粒子は、7mm以下のサイズを有し、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって観察でき、締固めの前に、7mm以下の粒子のサイズd100を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の前記粒子が、締固めの前に、3mm以下のd90を有する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の前記粒子が、締固めの前に、1mm以下のd50を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記コンパクトは、ペレット、錠剤、圧縮錠剤、ブリケット、板状、小石状、又は石鹸バーの形状からなる群から選択される形状であり、かつ、10と100mmの間に含まれるサイズを有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記コンパクトは、コンパクトあたり、少なくとも1gの平均重量を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記コンパクトは、コンパクトあたり、200g以下の平均重量を有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記コンパクトは、1.5と3の間に含まれる見かけ密度を有する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記コンパクトは貫通孔を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
アルミニウム系酸化物、シリコン系酸化物、鉄系酸化物、及びマンガン系酸化物の群から選択される一つ又はいくつかの酸化物をさらに含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
アルミニウム系水酸化物、シリコン系水酸化物、鉄系水酸化物、及びマンガン系水酸化物の群から選択される一つ又はいくつかの水酸化物をさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
多層構造を形成するためのいくつかの連続層を含む複合材料であって、少なくとも一つの層は、請求項1〜21のいずれか一項に記載の前記組成物で形成される、前記複合材料。
【請求項23】
以下の工程を含む、コンパクトの形態での組成物を製造する方法:
(a)少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の粒子を少なくとも含む、粒子の組成物であって、化合物が、天然の石灰石又はドロマイトの焼成からの生石灰、生ドロマイト石灰、生マグネシウム石灰、又はドロマイトから少なくともできており、かつ式aCaCO.bMgCO.xCaO.yMgO.zCa(OH).tMg(OH).uI(Iは不純物を表し、カルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、各a、b、z、t及びuは質量分率0%以上50%以下を表し、各x及びyは質量分率0%以上100%以下であって、x+y≧50%を表し。)に適合する、前記組成物を、1cmと40cmの間に含まれる断面を有する2つのパンチの間の閉じ込め空間に提供する工程、
(b)三次元形状のコンパクト生成物を形成するために、200MPaと700MPaの間に含まれる締固め圧力を適用することにより、前記粒子を締固める工程、
(c)締固め圧力を開放する工程、並びに
(d)前記閉じ込め空間から、前記コンパクト生成物を排出する工程。
【請求項24】
粒子が粒子の組成物中に均一に分散している粒子の均一な組成物を得ることを目的として、粒子の組成物を形成するために、粒子を混合する工程を、前記提供工程の前に含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
提供された前記粒子の組成物が添加剤を含有し、当該添加剤が、潤滑剤及びモーススケールで5以上の硬度を有する添加剤であって200μm以下の粒子のサイズd100を有するさらなる添加剤から選択される、請求項23又は24に記載の方法。
【請求項26】
前記2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間は、粉末の形態の潤滑剤が前記2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間の表面に堆積する間の潤滑工程によって、事前に潤滑され、
粒子の組成物の粒子でコンパクト化された粉末の形態の前記潤滑剤は、コンパクト生成物の総重量に基づいて重量比で、0.01%と0.3%の間を表す、請求項23〜25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記排出されたコンパクト生成物を、その後、1分と90分の間を含む所定時間、700℃と1200℃の間で熱処理する、請求項23〜26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記排出されたコンパクト生成物を、800°C超で及び1100°C未満で熱処理する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
CO及び水蒸気を含有するガスの流れの下で、5分以上及び60分以下の所定時間、50℃以上及び700℃以下の温度で、前記排出されたコンパクト生成物の表面処理の工程をさらに含み、熱処理がある場合は、熱処理後に任意に行ってもよい、請求項23〜28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記ガス流が、容量比で5%以上、容量比で25%以下の水蒸気濃度を有する、請求項23〜29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記ガス流が、容量比で5%以上及び容量比で40%以下の、ガス中のCO濃度を有する、請求項23〜30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
多層構造を形成するためのいくつかの連続層を含む複合材料を製造する方法であって、
少なくとも一つの層は、請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法によって前記組成物で形成され、
前記排出工程の前に、前記少なくとも一つの層のための、及び別のコンパクト層のための追加の締固め工程をさらに含む、前記方法。
【請求項33】
素転炉において、又は電気アーク炉において、排煙の処理において、水の処理において、廃スラッジ及び廃水の処理において、農業において、建築業及び土木工事においての、請求項22の、もしくは請求項32の方法から生じる、複合材料の使用、又は請求項1〜21のいずれか一項に記載の、もしくは請求項23〜31のいずれか一項に記載の方法から生じる、組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物を含む組成物であって、式aCaCO.bMgCO.xCaO.yMgO.zCa(OH).tMg(OH).uI(Iは不純物を表し、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、各a、b、z、t及びuは質量分率0%以上50%以下を表し、各x及びyは質量分率0%以上100%以下であって、x+y≧50%を表し。)に適合し、前記組成物は、酸化物の形態においてカルシウム及びマグネシウムをあわせた含有量を、組成物の総重量に基づいて重量比で20%以上有する、上記組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
カルシウムマグネシウム化合物は、例えば、製鉄、ガス処理、水及びスラッジ処理、農業、建築業、土木工事などの、多くの産業で使用されている。これらは、岩、又は微粉末(典型的には7mm未満のサイズ)として使用することができる。特定の産業では、やはり岩の形状が好ましい。これは、例えば、酸素転炉中又は電気アーク炉中にカルシウムマグネシウム化合物を添加する際の製鉄の場合である。
【0003】
石灰の生産者は、岩状カルシウムマグネシウム化合物と、焼成前及び焼成中並びにその後の取り扱い中及び操作中に生成される微粉末との間の、マテリアルバランスを常に維持する。それにもかかわらず、ある場合には、過剰な微粒子が生成される。これらの微粒子は、その後、ブリケット等の形態で共に凝集される。このことは、過剰な微粉末を除去する可能性をもたらすだけでなく、これらのブリケット等を添加することにより、岩状カルシウムマグネシウム化合物の生成を人工的に増加させる結果をもたらす。
【0004】
これらのブリケット等は、一般に、岩状カルシウムマグネシウム化合物の機械強度よりも、低い機械強度を有する。これらのブリケット等はまた、一般に、岩状カルシウムマグネシウム化合物よりも、保管中又は取り扱い中のエージングに対する耐性が低い。一般に、これらの乏しい特性の原因は、マクロ欠陥の存在と、粒子間の界面での強い化学結合の不存在である。このことが、実際問題として、産業的に、カルシウムマグネシウム化合物の微粒子のブリケット化が今のところあまり使用されてないことを説明する。このタイプの方法によって形成されたコンパクト(compacts)の乏しい特性を考慮すると、リサイクル工程が必要であるこのタイプの方法で生成されたコンパクトはその非常に多くが使用不能であるので、ブリケット化(briquetting)は、50%未満の収率を提供すると推定される。
【0005】
本発明の意味において、マクロ欠陥は、肉眼で、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)下で、観察可能な割れ目(clefts)、クラック、劈開面などを意味する。
【0006】
長年にわたって、カルシウムマグネシウム化合物のブリケットなどの強度及び耐久性を向上させるために、いくつかの添加剤、例えば、ステアリン酸カルシウム又は紙繊維が使用されたが、十分な改善にはつながらなかった。さらに、多くの場合、他の成形された工業製品に現在使用されている添加剤を使用することは制限されている。これは、特にカルシウムマグネシウム化合物のブリケットを製造する場合のように、カルシウムマグネシウム化合物が水と激しく反応すること、又は、カルシウムマグネシウム化合物のブリケットへの最終的使用においてこれらの添加剤が潜在的に悪影響を及ぼすこと、のいずれかの理由によるためである。
【0007】
米国特許第7,105,114号には、ブリケットの機械特性を大幅に向上し、且つ前述の不都合を有さない、疑似プラスチックの炭素鎖を含有する0.5〜5重量%の結合剤を使用した、(ドロマイトの)生石灰の微粉末のブリケット化方法がクレームされている。にもかかわらず、この方法では、完全に不十分な機械強度を示すブリケットを得ることにしかつながらず、得られるブリケットの半分が、0.9mと1.8mの間の落下(3フィートと6フィートの間の落下)の後、壊れる。
【0008】
カルシウムマグネシウム化合物に基づくブリケット等は、非常に高温で熱処理を施すことによって硬化してもよく(consolidated)、ブリケット等の焼結をもたらす。例えば、焼かれたドロマイトブリケットの場合は、1200°C超、さらに理想的には1300°C超の温度で1〜数時間の熱処理が、前記ブリケットの機械特性の向上をもたらすことが知られている。そのような非常に高温での熱処理は、それにもかかわらず、上記ブリケットのテクスチャー特性における変化につながり、特に、比表面積及び細孔容積の両方の急激な減少につながる。これは、EN459−2:2010E規格に記載されているように、水に対する反応性の急激な減少も伴い、特定の用途にとって多くの問題を有している。
【0009】
そのため、落下に対する耐性の非常に明確な改善により、及び、好ましくは、湿った雰囲気中のエージングに対するはるかに優れた耐性により、現在知られているブリケットの形態の生成物とは区別され、その一方で、成形前にカルシウムマグネシウム化合物の固有の特性(構造的特性)、特にその比表面積及び/又はその細孔容積を保持する、カルシウムマグネシウム化合物を含有するコンパクト生成物(compact product)を開発する必要性が実際にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、コンパクト生成物の形態での組成物を提供することによって、従来技術の欠点を克服することにあり、前記組成物は、少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物を含み、式aCaCO.bMgCO.xCaO.yMgO.zCa(OH).tMg(OH).uI(Iは不純物を表し、各a、b、z、t及びuは質量分率0%以上50%以下を表し、各x及びyは質量分率0%以上100%以下であって、x+y≧50%を表し。)に適合し、前記組成物は、酸化物の形態においてカルシウム及びマグネシウムをあわせた含有量を、組成物の総重量に基づいて重量比で20%以上有し、前記コンパクト生成物は、落下に対する特に高い耐性だけでなく、湿った雰囲気中のエージングに対する良好な耐性を示すことによって、これまでに公知の生成物とは区別され、有利なテクスチャー特性、特に高い比表面積及び/又は高い細孔容積を有する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このコンパクト生成物は、好ましくは、例えば、方解石、マグネシアもしくはドロマイトの生石灰又は生ドロマイト(quick lime or quick dolomite)などの、カルシウム及び/又はマグネシウム酸化物に基づくコンパクト生成物である。この生成物では、a、b、z、t及びuは、0と50%の間の任意の値をとることができる。
【0012】
本組成物は、天然物に由来してもよく、多かれ少なかれ焼かれ、多かれ少なかれ水和され又は水和されないが、常に、生の生成物(quick products)を少なくとも50重量%含む(すなわち、生成物は、カルシウム及び/又はマグネシウムの酸化物に基づく)。本組成物はまた、一つ又はいくつかのカルシウム又はマグネシウムの化合物の混合物に由来してもよい。本組成物は、上記のカルシウムマグネシウム化合物、又は他の添加された無機もしくは有機の生成物を、1つ以上含んでもよい。
【0013】
カルシウムマグネシウム化合物中のCaCO、MgCO、CaO、MgO、Ca(OH)及びMg(OH)含有量は、従来の方法を用いて容易に測定することができる。例えば、それらは、蛍光X線分析により測定することができ、その手順は、EN15309規格に記載されており、両方ともEN459−2:2010E規格に従って、強熱減量の測定及びCO量の測定と組み合わされる。
【0014】
組成物中の酸化物の形態でのカルシウム及びマグネシウムの含有量もまた、最も単純なケースにおいては、同じ方法で測定してもよい。より複雑なケース、例えば、多様な無機又は有機添加剤を含有する組成物においては、当業者は、酸化物の形態でのこれらのカルシウム及びマグネシウムの含有量の測定に適用するために、電池の特性評価技術を適応させることができる。例として、網羅的でない方法として、任意に不活性雰囲気下で行われる、熱重量分析(TGA)及び/又は示差熱分析(TDA)、又は代替的に、リートベルトタイプの半定量分析に関連付けられたX線回折分析(XRD)に頼ることができる。
【0015】
この問題を解決するために、冒頭に示したように本発明にしたがって組成物が提供され、この組成物は、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物が粒子の形態であることを特徴とし、前記組成物はコンパクトの形態であり、各コンパクトは、少なくとも前記コンパクト化され(締固められ)成形されたカルシウムマグネシウム化合物の粒子によって形成され、前記コンパクトは、10%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0016】
コンパクトとは、コンパクト化され(compacted)又は圧縮された(compressed)、微粉末(典型的には7mm未満のサイズ)又は微粉末の混合物を意味する。これらのコンパクトは、一般にタブレット又はブリケットの形態で現れる。
【0017】
本発明の意味において、錠剤(tablet)とは、キャビティ内に配置された前記の微粉末に対する2つのピストン(一方は高位置、他方は低位置)の組合せ作用によって得られる、微粉末を締固める又は圧縮する(compacting or compressing)技術を用いて成形された物体を意味する。したがって、錠剤という用語は、錠剤、ペレット又は圧縮錠剤、及びより一般的には例えば円筒形、八角形、立方体、又は直方体などの多様な三次元形状を有する物体の群に属する成形された物体全体を含む。前記技術には、一般に回転プレス又は液圧プレスを使用する。
【0018】
本発明の意味において、ブリケット(briquette)とは、前記の粉末に対する2つのタンジェンシャルローラー(所望のブリケットの形状及び寸法に実質的に対応する型を形成するキャビティを備えた、一般に円筒)の組合せ作用によって得られ、ウォームスクリュー(worm screw)によって強制的に供給される、微粉末を締固める又は圧縮する技術を用いて成形された物体を意味する。したがって、ブリケットという用語は、ブリケット、小石状、石鹸バー、又は板状の群に属する成形された物体全体を含む。前記技術には、一般にタンジェンシャルローラーを有するプレス機を使用する。
【0019】
本発明の意味において、シャッタテスト指数とは、最初は10mm超のサイズの0.5kgの生成物を用いて、2mの落下を4回した後に生成した、10mm未満の微粉末の質量百分率を意味する。これらの4回の落下は、取り外し可能な底部を備え、長さ2m及び直径40cmのチューブ(容器)を使用して達成される。容器のベースは、厚さ3mmのポリプロピレンプレートである。容器は、コンクリート地盤に載っている。
【0020】
本発明の錠剤又はブリケットの形態のコンパクト生成物は、内部構造を考慮することにより、石灰岩又はドロマイト岩の焼成で得られた岩状生成物と、容易に区別することができる。焼成で得られる岩状生成物とは異なり、単純な肉眼観察により、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、構成粒子が視認できる均一な表面を有する本発明のコンパクト生成物の構成粒子を簡単に示すことができる。
【0021】
さらに、本発明の錠剤又はブリケットの形態のコンパクト生成物はまた、内部構造を考慮することにより、従来公知のブリケット等の形態の生成物と区別される。本発明のコンパクト生成物は、単純な肉眼観察により、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)下で、容易に検出可能な数百マイクロメートルから数ミリメートルの長さで、且つ数マイクロメートルから数百マイクロメートルの幅のクラックを含むこれまでに公知のブリケット等の形態の生成物とは異なり、落下に対する耐性に悪影響を有する割れ目やクラックなどの巨視的な欠陥又はマクロ欠陥を、含まない。
【0022】
本発明によれば、組成物は、微粉末を適用することができないその後の使用のために特に重要な、落下に対する高い耐性と、湿った雰囲気中のエージングに対する高い耐性とを有するコンパクト生成物として現れる。したがって、本発明の組成物は、これまで可能ではなかった、カルシウムマグネシウム化合物の用途における、7mm以下のd100を有する微細なカルシウムマグネシウム化合物粒子の利用を可能にする。
【0023】
したがって、本発明による前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、天然の石灰石又はドロマイトの焼成で得られる生石灰(quick lime)、生ドロマイト石灰、生マグネシウム石灰、又はドロマイトを用いて少なくとも形成される。
【0024】
不純物には、例えばアルミノシリケートタイプの粘土、シリカ、鉄又はマンガンに基づく不純物など、天然の石灰石及びドロマイト中に見出される全てのものが、特に含まれる。
【0025】
したがって、本発明の組成物は、例えば、天然の石灰石又はドロマイトの焼成で得られた未焼材料、又はカルシウムマグネシウム化合物の再炭酸化処理で得られる生成物などの、カルシウム又はマグネシウムの炭酸塩をも含み得る。最後に、カルシウムマグネシウム化合物の水和(消和)で得られるカルシウム又はマグネシウムの水酸化物も含み得る。
【0026】
本発明の組成物の代替例においては、カルシウムマグネシウム化合物は、全て又は部分的に、副産物のリサイクル、特に鉄鋼産業の転炉に存在するスラグに由来する。そのようなスラグは、典型的には、40%から70%のCaO、及び3%から15%のMgOの質量含有率を有する。
【0027】
本発明の有利な代替例において、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、x+y≧60%、好ましくは75%以上、より好適には80%以上、さらにより好適には90%以上、より特には93%以上、又はさらには95%以上である質量分率を示す。
【0028】
この有利な代替例において、前記少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物は、カルシウム及び/又はマグネシウム酸化物に基づく大部分の化合物であり、したがって、生(quick)カルシウムマグネシウム化合物である。
【0029】
別の有利な実施形態において、本発明の組成物は、酸化物の形態においてカルシウム及びマグネシウムをあわせた含有量を、組成物の総重量に基づいて、40重量%以上、有利には60重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、好適には93%重量%以上、さらには95重量%を有する。
【0030】
有利には、前記コンパクトは8%未満のシャッタテスト指数を有する。より特には、本発明によれば、前記コンパクトは6%未満のシャッタテスト指数を有する。より有利には、前記コンパクトは4%未満のシャッタテスト指数を有する。そして、さらにより有利には、前記コンパクトは3%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0031】
有利には、本発明の組成物は、少なくとも2時間、190°Cで真空下で脱気した後、窒素の吸着を用いた検圧法(manometry)によって測定し、ISO9227:2010E規格に記載されているようにマルチポイントBET法に従って計算した比表面積、すなわち0.4m/g以上、好ましくは0.6m/g以上、より好適には0.8m/g以上、さらにより好適には1.0m/g以上、及び特には1.2m/g以上である比表面積を有し、これは、一般に0.1m/g以下の比表面積を有する焼結体の比表面積よりもはるかに大きい。
【0032】
このようにして、本組成物は、特に、成形前にカルシウムマグネシウム化合物の固有の特性/構造的特性を保持することによって、上記の焼結ブリケットに比べて比較的高い比表面積を有する。
【0033】
前記組成物はまた、その全細孔容積(30,000psia(207MPa)で測定したスケルトン密度と0.51psia(3.5kPa)で測定した見かけ密度との差を、そのスケルトン密度で割ることからなるISO15901−1:2005E規格のパート1に従って、水銀の侵入を用いた圧入法によって決定した)が、20%以上、好ましくは25%以上、さらにより好適には30%以上であることを特徴とし、これは、一般に10%以下の全細孔容積を有する焼結体の全細孔容積よりもはるかに大きい。
【0034】
有利には、本発明の組成物は、特に、成形前にカルシウムマグネシウム化合物の固有の特性/構造的特性を保持することによって、上記の焼結ブリケットに比べて比較的高い全細孔容積を有する。
【0035】
有利には、前記組成物は、コンパクト内に均一な密度分布を有する。実際に、一軸プレスを用いて提案される締固め方法(compaction method)は、密度が、長手方向に沿って(すなわち、パンチの長手方向の変位軸に沿って)及び横方向に沿って(すなわち、パンチの長手方向の変位軸と垂直に)、実質的に同じであるコンパクトの形成を可能にする。
【0036】
パンチの一方のみが他方に対して相対的に移動しているとき、特に、低い密度勾配が、長手方向に沿って存在する可能性があり、最も高い密度がアクティブなパンチの側で見出され、最も低い密度がアクティブでない反対の側で見出される。
【0037】
本発明によれば、前記コンパクトは、30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験後、20%未満の、好ましくは10%未満のシャッタテスト指数をも有する。
【0038】
本発明の意味において、加速エージング試験とは、生成物と、湿った雰囲気との間の接触(contact)が最適となるように(すなわち、それぞれの前記構成のコンパクトが、少なくとも1cm、他のコンパクトから離間される)、容器の上方に配置されたグリッド自体の上の単層として配置された10mm以上のサイズの0.5kgの生成物を用いて開始される環境チャンバー内で行われる2時間のエージングを意味する。エージング中の質量の増加は、水の吸収を定量化し、したがって組成物の水和を定量化する。
【0039】
エージング後に測定されるシャッタテスト指数は、はじめに生成物の全体から得られ、そのことは、たとえ、加速エージング試験がそれ自体で微粉末を生成したとしても、それらは最終的な結果に適切にカウントされることを意味する。加速エージング試験は、その強度を調節するために、異なる温度及び相対湿度条件下(したがって絶対湿度の)で実施することができる。1(より厳しくない試験)から4(最も厳しい試験)までの範囲の4つの強度レベルを使用した:
− レベル1:30℃及び相対湿度75%(絶対湿度22.8g/mをもたらす);
− レベル2:40℃及び相対湿度50%(絶対湿度25.6g/mをもたらす);
− レベル3:40℃及び相対湿度60%(絶対湿度30.7g/mをもたらす);
− レベル4:40℃及び相対湿度70%(絶対湿度35.8g/mをもたらす)。
【0040】
有利には、前記コンパクトは、40℃で相対湿度50%(すなわち、絶対湿度25.6g/m)下、2時間の、レベル2の加速エージング試験後、20%未満、好ましくは10%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0041】
より有利には、前記コンパクトは、40℃で相対湿度60%(すなわち、絶対湿度30.7g/m)下、2時間の、レベル3の加速エージング試験後、20%未満、好ましくは10%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0042】
さらにより有利には、前記コンパクトは、40℃で相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験後、20%未満、特には10%未満、より特には5%未満、及びさらに最も特には3%未満のシャッタテスト指数を有する。
【0043】
本発明によれば、コンパクトは、例えば結合剤又は潤滑剤などの有機添加剤を含有してもよいが、これらの有機添加剤を含有しなくてもよい。
【0044】
本発明の組成物中に存在する有機炭素の割合は、総炭素割合と鉱物由来の炭素の割合との間の差によって計算することができる。総炭素割合は、例えばASTM C25(1999)規格に従って炭素/硫黄(C/S)分析によって測定され、鉱物由来の炭素の割合は、例えばEN 459−2:2010E規格に従ってCO体積を計量することにより決定される。
【0045】
本発明の組成物の特定の実施形態において、前記粒子は、7mm以下のサイズを有し、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡によって観察でき、締固めの前に、7mm以下、特には5mm以下の粒子サイズd100を有し、例えば篩い分けにより測定される。
【0046】
したがって、本発明によれば、組成物は、微粉末を適用することができないその後の使用のために特に重要な、7mm以下のd100を有するカルシウムマグネシウム化合物の粒子で構成される微粒子で最初に得られ、最終的に、落下に対する高い耐性と湿った雰囲気中のエージングに対する耐性とを有するコンパクトとして現れる。したがって、本発明の組成物は、上述したように、これまで可能ではなかった、カルシウムマグネシウム化合物の用途における、7mm以下のd100を有するカルシウムマグネシウム化合物の微粒子の利用をとりわけ可能にする。
【0047】
表記Dxは、mmで表現される直径を表し、X質量%の測定粒子の大きさ以下であることと関連する。
【0048】
本発明の特定の有利な実施形態において、カルシウムマグネシウム化合物の前記粒子は、締固めの前に、3mm以下、特には2mm以下のd90を有する。
【0049】
より具体的には、カルシウムマグネシウム化合物の前記粒子は、締固めの前に、1mm以下、特には500μm以下のd50、及び0.1μm以上、特には0.5μm以上、特には1μm以上のd50を有する。
【0050】
本発明の別の有利な実施形態によれば、前記コンパクトは、乾式ルートを介して微粉末を成形する方法によって得られる生成物の特性、規則的かつ均一な形状、例えば、錠剤又はブリケットからなる群から選択され、かつ、10と100mmの間、好ましくは15mm以上、好ましくは20mm以上、及び好ましくは70mm以下、特には50mm以下に含まれるサイズを有する。
【0051】
コンパクトのサイズは、ふるい又はスクリーンを通過するサイズ、例えば、正方形のメッシュを意味する。
【0052】
より具体的には、本発明の意味において、前記コンパクトは、コンパクトあたり、少なくとも1g、好ましくは少なくとも5g、好適には少なくとも10g、特には少なくとも15gの平均重量を有する。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、前記コンパクトは、コンパクトあたり、200g以下、好ましくは150g以下、好適には100g以下、特には50g以下の平均重量を有する。
【0054】
有利には、前記コンパクトは、1.5と3の間、有利には1.5と2.8の間、好ましくは1.7と2.6の間に含まれる見かけ密度を有する。
【0055】
本発明の有利な実施形態では、前記コンパクトは貫通孔を含む。
【0056】
有利な代替例において、本発明の組成物は、例えばコランダム、ベーマイト、又は非晶質アルミナ等のAl等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのアルミニウム系酸化物をさらに含む。
【0057】
有利な代替例において、本発明の組成物は、例えばベーマイト、ギブサイト又はダイアスポア等のAl等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのアルミニウム系水酸化物をさらに含む。
【0058】
有利な実施形態において、本組成物は、例えば焼成シリカ又沈降シリカ等のSiO等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのシリコン系酸化物を含んでもよい。
【0059】
有利な実施形態において、本組成物はまた、SiO等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのシリコン系水酸化物を含んでもよい。
【0060】
別の実施形態において、本発明の組成物は、例えばヘマタイト、マグネタイト又はウスタイト等のFe等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかの鉄系酸化物をさらに含む。
【0061】
別の実施形態において、本発明の組成物は、例えばゲーサイト又はリモナイト等のFe等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から30重量%の範囲、好ましくは、5重量%から20重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかの鉄系水酸化物をさらに含む。
【0062】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、例えば軟マンガン鉱又は一酸化マンガンMnO等のMnO等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から10重量%の範囲、好ましくは、1重量%から5重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのマンガン系酸化物を含む。
【0063】
さらに別の実施形態において、本発明の組成物は、MnO等価物として表現される組成物の総重量に基づいて、特に、1重量%から10重量%の範囲、好ましくは、1重量%から5重量%の範囲に含まれる含有量で、一つ又はいくつかのマンガン系水酸化物を含む。
【0064】
本発明の好ましい実施形態において、コンパクトは錠剤(tablet)として現れる。
【0065】
これらのコンパクト生成物の形状は、石灰岩又はドロマイト岩の焼成後に伝統的に得られる岩状カルシウムマグネシウム化合物の形状と、容易に区別される。
【0066】
本発明の組成物の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0067】
本発明はまた、多層構造を形成するためのいくつかの連続層を含む複合材料であって、少なくとも一つの層は、本発明の組成物の前記コンパクト生成物で形成される複合材料に関する。
【0068】
本発明の複合材料の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0069】
本発明は、以下の連続工程を含む、コンパクトの形態での組成物を生成する方法にも関する。
(a)少なくとも一つのカルシウムマグネシウム化合物の粒子を少なくとも含む、粒子の組成物であって、化合物が、式aCaCO.bMgCO.xCaO.yMgO.zCa(OH).tMg(OH).uI(Iは不純物を表し、カルシウムマグネシウム化合物の総重量に基づいて、重量比で、各a、b、z、t及びuは質量分率0%以上50%以下を表し、各x及びyは質量分率0%以上100%以下であって、x+y≧50%を表し。)に適合する、前記組成物を、1cmと40cmの間、有利には1cmと20cmの間、好ましくは1cmと10cmの間、特には2cmと10cmの間に含まれる断面を有する2つのパンチの間の閉じ込め空間に提供する工程、
(b)三次元形状のコンパクト生成物を形成するために、200MPaと700MPaの間、好ましくは250MPaと500MPaの間、より好適には300MPaと500MPaの間、さらにより好適には375MPaと490MPaの間に含まれる締固め圧力を適用することにより、前記粒子を締固める工程、
(c)締固め圧力を開放する工程、並びに
(d)前記コンパクト生成物を収集する工程。
【0070】
有利には、本方法は、本方法の良好な安定性とそれによるコンパクトの良好な品質を確保することを目的とし、粒子が粒子組成物中に均一に分散している均一な粒子組成物を得ることを目的として、粒子の組成物を形成するために粒子を混合する工程を、前記提供工程の前に含む。
【0071】
提供される粒子組成物は、必ずしも必要ではないが、例えば従来の結合剤もしくは潤滑剤などの有機性の添加剤、又は例えば酸化物もしくは水酸化物などの鉱物性添加剤のいずれかの添加剤を含むことができる。前記の酸化物もしくは水酸化物などの鉱物性物質は、特に、Al等価物として表現される1から30%の量、好ましくは5から20%の量のアルミニウム系、特に、SiO等価物として表現される1から30%の量、好ましくは5から20%の量のシリコン系、特に、Fe等価物として表現される1から30%の量、好ましくは5から20%の量の鉄系、特に、MnO等価物として表現される1から10%の量、好ましくは1から5%の量のマンガン系であり、あるいは、鉱物性添加剤はさらにモーススケールで5以上の硬度を有し、それらの粒子は、200μm以下、好ましくは150μm以下、及びより好適には100μm以下のサイズd100を有することを特徴とする。
【0072】
有利には、粒子組成物を提供する前記工程は、2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間に配置される前記組成物と常に同量であるようにして、制御され、行われる。
【0073】
本発明の方法の別の実施形態において、前記2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間は、粉末としての潤滑剤(例えばステアリン酸カルシウム又はステアリン酸マグネシウムなど)が前記2つのパンチの間に閉じ込められた前記空間の表面に堆積する間の潤滑工程によって、事前に潤滑される。粒子組成物の粒子を用いて締固めされた粉末として前記潤滑剤は、コンパクト生成物の総重量に基づいて、有利には0.01重量%と0.3重量%の間、好ましくは0.02重量%と0.1重量%の間を表す。したがって、この実施形態は、内部潤滑よりも経済的である外部潤滑(すなわち、パンチ及びダイの潤滑)の可能性をもたらし、この外部潤滑は、締固めされる組成物の中に潤滑剤を直接添加する構成からなり、通常0.25重量%から1重量%の潤滑剤を必要とする。さらに、これにより、コンパクト化される組成物の中に補完的な化合物を添加することを回避でき、それにより、変性の危険性を回避できる。
【0074】
この方法は、落下に対する非常に良好な耐性とエージングに対する良好な耐性とを有する一つ又はいくつかのカルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクトの形成をもたらす。
【0075】
さらに、内部組織を考慮することにより、前記方法によるこのコンパクトは、ローラーを有するプレス機を用いた成形方法から生じる現在知られている生成品、例えばブリケットなど、と区別される。本発明のコンパクトは、肉眼での単純な観察により、光学顕微鏡又は走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、容易に検出可能な数百マイクロメートルから数ミリメートルの長さで、且つ数マイクロメートルから数百マイクロメートルの幅の割れ目を含むこれまでに公知のブリケット等の形態の生成物とは異なり、割れ目、クラック又は劈開面などのマクロ欠陥を、含まない。
【0076】
一実施形態によれば、圧縮を行うために回転プレス機が使用されるが、一般的には、締固めシステムはいかなるタイプのものであってもよく、例えば、液圧プレス機を使用してもよい。原理的には、これらの締固めシステムは、一つ又は二つのパンチ(これらの構成要素が、締固めのために中に組成物が配置される前記閉じ込め区間を形成する)を摺動し得るダイ(die)を、その内側に含む。
【0077】
コンパクトを形成するために必要な締固めストレスを加えるのが、パンチの作用である。この加えられた締固めストレスは、組成物にもたらす所定の締固め圧力からなっていてもよい。それは、2つのパンチの間の閉じ込め空間における特定の体積に対応し、それにより、パンチの特定の位置に対応し、そして必要に応じて、約50ミリ秒までの範囲の所定の時間、これらのパンチの位置に保持してもよい。一方、これより長い時間、この位置に保持することには害がないことを認識しているが、それによる追加的な利点はない。
【0078】
パンチを備える回転プレス機は、高い締固め圧力で動作する。原理的には、締固めシステムは、一つ又は二つのパンチ(これらの構成要素が、締固めのために中に組成物が配置される前記閉じ込め区間を形成する)を摺動し得るダイを形成するキャビティを備えた、回転台を含む。
【0079】
回転プレス機の形状と動作により、締固めされる生成物に力をより良く伝達することができるので、コンパクト内により均一な密度分布を生成し、それにより、より優れた機械強度とより少ない構造欠陥をもたらすことができる。
【0080】
カルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクト化された生成物を形成するための回転プレス機の使用は、事前包装及び/又は事前締固めの可能性と共に、締固め(compaction)の動力学的及び運動学的なより良い制御の機会を、さらにもたらす。それにより、粉末のより高密度化の可能性をもたらし、且つ、空気を追い出すことにより、劈開やキャッピングなどの欠陥の形成を回避することができる。
【0081】
有利には、本発明の方法において、前記収集されたコンパクト生成物は、その後、1分と90分の間、好ましくは5分以上60分以下、より特には10分以上かつ30分以下を含む所定時間、700℃と1200℃の間で熱処理される。
【0082】
有利には、熱処理は、800℃超、有利には900℃超、及び1100℃未満、好ましくは1000℃未満で行われる。
【0083】
特定の実施形態において、熱処理は、熱処理の生産性が最適になるように、できるだけ短く温度を上昇及び下降させるランプをさらに含む。
【0084】
この方法は、落下に対する非常に良好な耐性とエージングに対する非常に良好な耐性とを有する一つ又はいくつかのカルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクトの形成をもたらす。
【0085】
一実施形態によれば、例えばトンネルオーブン、通路オーブン、ローラー窯、又はさらにメッシュベルト窯などの水平オーブンが、熱処理を行うために使用される。代替的に、例えば過度の摩滅のせいでコンパクトの完全性に変化をもたらすことがないような、任意の他のタイプの従来のオーブンを使用してもよい。
【0086】
さらに別の実施形態において、本発明の方法は、CO及び水蒸気を含有するガスの流れの下で、5分以上、好ましくは10分以上、及び60分以下、好ましくは30分以下の所定時間、50℃以上、好ましくは100℃以上、及び好ましくは150℃以上、及び700℃以下、有利には500℃以下、好ましくは400℃以下、特には300℃以下、有利には250℃以下の温度で、前記収集されたコンパクト生成物の表面処理の工程をさらに含み、熱処理がある場合は、熱処理後に任意に行ってもよい。
【0087】
有利には、ガス流は、容量比で5%以上、容量比で25%以下、好ましくは15%以下の水蒸気濃度を含む。
【0088】
好ましくは、ガス流は、容量比で5%以上、好ましくは10%以上、及び容量比で40%以下、好ましくは25%以下の、ガス中のCO濃度を含む。
【0089】
より具体的には、使用するガス流は、例えば従来の石灰窯からの燃焼ヒューム(combustion fumes)に由来する。
【0090】
この方法を用いて、落下に対する非常に良好な耐性とエージングに対する非常に良好な耐性とを有する一つ又はいくつかのカルシウムマグネシウム化合物に基づくコンパクトを形成することが可能である。
【0091】
一実施形態によれば、垂直向流反応器であって、その上部を通じてコンパクトを供給し、且つ底部を通じてガスを供給する垂直向流反応器が、前記の表面処理を行うために使用される。
【0092】
有利には、例えば、燃焼ヒュームに由来するガスの場合のように、すでに高温であるか又は事前に予熱した前記ガスの注入を介して、コンパクトの温度の上昇が直接的に達成され得る。
【0093】
これは必ずしも必要ではないが、二酸化炭素及び水蒸気を含有する合成ガスを用いるよりも、燃焼ヒュームを用いてこの表面処理を行う方が、経済的、環境的及び持続可能な活動上の理由から、利点があることがよく理解されるであろう。
【0094】
一代替例において、本発明は、多層構造を形成するためのいくつかの連続層を含む複合材料を製造する方法であって、少なくとも一つの層は、本発明の方法によって組成物の前記コンパクト生成物で形成され、前記コンパクト生成物の前記少なくとも一つの層及び別のコンパクト層を、締固めるための追加の工程をさらに含む、前記方法に関する。
【0095】
本発明の方法の他の実施形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0096】
本発明の目的はまた、鉄鋼作業において、特に、酸素転炉(oxygen converter)において、又は電気アーク炉において、排煙の処理において、水の処理において、廃スラッジ及び廃水の処理において、農業、建築業、及び例えば土壌安定化などの土木工事においての、本発明の複合材料の使用、本発明の組成物の使用、又は本発明の方法から生じる複合材料もしくは組成物の使用である。
【0097】
本発明の使用の他の形態は、添付の特許請求の範囲に示されている。
【0098】
本発明の他の特徴、詳細及び利点は、非限定的に、付随する実施例を参照して、以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0099】
図1】本発明に従って形成された生石灰コンパクトを示す100倍の倍率でのSEM(走査型電子顕微鏡Scanning Electron Microscopyの頭字語)画像である。
図2】本発明に従って形成された生ドロマイトコンパクト(quick dolomite compact)を示す100倍の倍率でのSEM画像である。
図3】従来技術により形成された生ドロマイトブリケットを示す100倍の倍率でのSEM画像である。
図4】回転窯から生じる焼結した生石灰岩を示す100倍の倍率でのSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0100】
(実施例1) 生石灰コンパクト
転プレス機が使用される。0〜3mmの生石灰微粉末約30キログラムからはじめて、これらの微粉末の9gが、直径20mmで円筒形状の工具の各ダイに順次注がれる。圧縮は、400MPaの圧力下、105mm/sのパンチの型閉速度(closing−in speed)、及び136msの保持時間で行われる。
【0101】
9gの重量及び20.4mmの寸法(直径)をそれぞれ有する、数キログラムの円筒形コンパクトが得られる。その高さは13.0mmであり、その密度は2.1である。これらのコンパクトは、均一な品質のものであり、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を示す図1に示すように、巨視的な欠陥を含まない。それらは、互いに隣接して並置された粒子からなる。
【0102】
これらのコンパクトは、1.6m/gのBET比表面積(少なくとも2時間、190°Cで真空下で脱気した後、窒素の吸着を用いた検圧法によって測定し、ISO9227:2010E規格に記載されているようにマルチポイントBET法に従って計算した)を有し、且つ、35%の全水銀細孔容積(30,000psiaで測定したスケルトン密度と0.51psiaで測定した見かけ密度との差を、そのスケルトン密度で割ることからなるISO15901−1:2005E規格のパート1に従って、水銀の侵入による圧入法によって決定した)を有する。
【0103】
シャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。2.0%のシャッタテスト指数が得られる。
【0104】
シャッタテストはまた、これらのコンパクトの10kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。3.2%のシャッタテスト指数が得られる。さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で1.9%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。エージング試験によって生成する10mm未満の微粒子も考慮して、10.2%のシャッタテスト指数が得られる。
【0105】
(実施例2) 生ドロマイト又はドロマイトのコンパクト
転プレス機が使用される。0〜3mmの生ドロマイト微粉末約30キログラムからはじめて、これらの微粉末の9gが、直径20mmで円筒形状の工具の各ダイに順次注がれる。圧縮は、400MPaの圧力下、105mm/sのパンチの型閉速度、及び136msの保持時間で行われる。
【0106】
9gの重量及び20.4mmの寸法(直径)をそれぞれ有する、数キログラムのコンパクトが得られる。その高さは13.0mmであり、その密度は2.1である。これらのコンパクトは、均一な品質のものであり、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を示す図2に示すように、巨視的な欠陥を含まない。それらは、互いに隣接して並置された粒子からなる。
【0107】
これらのコンパクトは3.6m/gのBET比表面積を有し、且つ、36%の全水銀細孔容積を有する。
【0108】
シャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。2.2%のシャッタテスト指数が得られる。
【0109】
シャッタテストはまた、これらのコンパクトの10kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。3.0%のシャッタテスト指数が得られる。さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、40℃で、相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で2.1%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。17.9%のシャッタテスト指数が得られる。
【0110】
さらに、0.2mの面積にわたって広がるこれらのコンパクトの10kgは、25℃で、相対湿度94%(すなわち、絶対湿度21.6g/m)下、7時間のエージング試験を受ける。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの10kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。18.5%のシャッタテスト指数が得られる。
【0111】
(実施例3) 生石灰又は生ドロマイトのコンパクト
転プレス機が使用される。50%の0〜3mmの生石灰微粉末と50%の0〜3mmの生ドロマイト微粉末とからなる混合物約30キログラムからはじめて、これらの混合物の9gが、直径20mmで円筒形状の工具の各ダイに順次注がれる。圧縮は、400MPaの圧力下、105mm/sのパンチの型閉速度、及び136msの保持時間で行われる。
【0112】
9gの重量及び20.4mmの寸法(直径)をそれぞれ有する、数キログラムのコンパクトが得られる。その高さは13.0mmであり、その密度は2.1である。これらのコンパクトは、均一な品質のものであり、巨視的な欠陥を含まない。
【0113】
これらのコンパクトは2.4m/gのBET比表面積を有し、且つ、36%の全水銀細孔容積を有する。
【0114】
シャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。1.9%のシャッタテスト指数が得られる。
【0115】
さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、40℃で、相対湿度50%(すなわち、絶対湿度26.6g/m)下、2時間の、レベル2の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で2.3%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。18.6%のシャッタテスト指数が得られる。
【0116】
(実施例4) 生石灰コンパクト
転プレス機が使用される。0〜3mmの生石灰微粉末約30キログラムからはじめて、これらの微粉末の23gが、直径26mmで円筒形状の工具の各ダイに順次注がれる。圧縮は、400MPaの圧力下、128mm/sのパンチの型閉速度、及び80msの保持時間で行われる。
【0117】
23gの重量及び26.2mmの寸法(直径)をそれぞれ有する、数キログラムのコンパクトが得られる。その高さは23.3mmであり、その密度は2.1である。
【0118】
これらのコンパクトは1.6m/gのBET比表面積を有し、且つ、34%の全水銀細孔容積を有する。
【0119】
シャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。2.3%のシャッタテスト指数が得られる。
【0120】
さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で1.9%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。エージング試験によって生成する10mm未満の微粒子も考慮して、8.7%のシャッタテスト指数が得られる。
【0121】
(実施例5) 10%Feを含有する生石灰コンパクト
毎分350回の回転(すなわち、2.6m/s)で使用される、半径7cmの標準ブレードを搭載した容量10dmの粉末ミキサーGericke GCM450が使用される。このミキサーは、90重量%の生石灰微粉末と、10重量%の予備乾燥した0〜50μmのノースランド鉄鉱石粉末(水分含有量0.5重量%)とからなる混合物を調製するために、連続モードで使用される。粉末の総流量は、300kg/hであり、滞留時間は3.5秒である。得られた混合物は、非常に均一である。これは、最終的な混合物から採取された異なる10gのサンプルについてのFe含有量が、常に9%と11%の間に含まれる(相対的に±10%)ことを意味する。
【0122】
外部潤滑システムをさらに装備した「Titan」タイプのEurotabの回転プレス機が使用される。外部潤滑システムは、各コンパクトの重量に基づいて0.02重量%のステアリン酸カルシウム粉末を、充填から上流にある、各キャビティの表面に堆積してなる。その混合物約30キログラムからはじめて、この混合物の9.4gを、直径20mmで円筒形状の工具の各ダイに順次注いだ。圧縮は、450MPaの圧力下、204mm/sのパンチの型閉速度、及び70msの保持時間で行われる。
【0123】
9.4gの重量及び20.2mmの寸法(直径)をそれぞれ有する、数キログラムのコンパクトが得られる。その高さは13.0mmであり、その密度は2.2である。これらのコンパクトは、均一な品質のものであり、巨視的な欠陥を含まない。
【0124】
これらのコンパクトは1.4m/gのBET比表面積を有し、且つ、34%の全水銀細孔容積を有する。
【0125】
シャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。2.9%のシャッタテスト指数が得られる。
【0126】
(実施例6) 10%Feを含有する生石灰コンパクト
実施例5で調製したものと同じ混合物から出発して、「Titan」タイプのEurotabの回転プレス機が使用される。その混合物の24gを、直径26mmで円筒形状の工具の各ダイに順次注がれる。圧縮は、450MPaの圧力下、128mm/sのパンチの型閉速度、及び80msの保持時間で行われる。
【0127】
24gの重量及び26.2mmの寸法(直径)をそれぞれ有する、数キログラムの円筒形コンパクトが得られる。その高さは20.2mmであり、その密度は2.2である。
【0128】
これらのコンパクトは1.6m/gのBET比表面積を有し、且つ、36%の全水銀細孔容積を有する。
【0129】
シャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。2.7%のシャッタテスト指数が得られる。
【0130】
さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で1.9%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。エージング試験によって生成する10mm未満の微粒子も考慮して、8.1%のシャッタテスト指数が得られる。
【0131】
(実施例7) 生石灰コンパクト(熱処理あり)
実施例1の生石灰コンパクトからはじめて、これらのコンパクトの1kgを電気オーブンに入れ、900℃で20分間の熱処理を行う。
【0132】
そのコンパクトを冷却した後、次いでシャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。0.9%のシャッタテスト指数が得られる。
【0133】
これらのコンパクトは1.2m/gのBET比表面積を有し、且つ、39%の全水銀細孔容積を有する。
【0134】
さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、40℃で、相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で4.2%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。2.5%のシャッタテスト指数が得られる。
【0135】
(実施例8) 生ドロマイトコンパクト(熱処理あり)
実施例2の生ドロマイトコンパクトからはじめて、これらのコンパクトの1kgを電気オーブンに入れ、900℃で20分間の熱処理を行う。
【0136】
そのコンパクトを冷却した後、次いでシャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。1.0%のシャッタテスト指数が得られる。
【0137】
これらのコンパクトは2.8m/gのBET比表面積を有し、且つ、40%の全水銀細孔容積を有する。
【0138】
さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、40℃で、相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で1.7%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。1.7%のシャッタテスト指数が得られる。
【0139】
(実施例9) 生石灰コンパクト(表面処理あり)
実施例1の生石灰のコンパクトからはじめて、これらのコンパクトの1kgを電気オーブンに入れ、表面処理を、20dm/分のガス(70体積%の空気、20体積%のCO、及び10体積%の水蒸気を含む)の流れの下、200℃で30分間行う。
【0140】
そのコンパクトを冷却した後、次いでシャッタテストは、これらのコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。1.2%のシャッタテスト指数が得られる。
【0141】
これらのコンパクトは1.6m/gのBET比表面積を有し、且つ、35%の全水銀細孔容積を有する。
【0142】
さらに、これらのコンパクトの0.5kgは、40℃で、相対湿度70%(すなわち、絶対湿度35.8g/m)下、2時間の、レベル4の加速エージング試験を受ける。これは、これらのコンパクトの質量で1.2%の増加をもたらす。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたコンパクトの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。10mm未満の微粒子の量が秤量される。1.5%のシャッタテスト指数が得られる。
【0143】
(比較例1) 生ドロマイトブリケット
ーラーを有する工業プレス機が使用される。0.25%のステアリン酸カルシウムを添加した数トンの0〜3mmのドロマイト微粒子からはじめて、これらの微粒子が、2つの締固めローラーの間のギャップ内でフィードスクリューを介して圧縮される。約100kN/cmの線形圧力下で得られる、約20cm3のブリケットが生成される。ブリケットは、約40〜45gの重量と2.2の密度とを有する。これらのブリケットは、非常に変わりやすい品質のものであり、SEMで撮影した写真を示す図3に示すように、割れ目やクラックなどの巨視的な欠陥を有する。それらは、肉眼で視認可能な劈開面を有し、時にはいくつかの断片に分割されている。
【0144】
これらのブリケットは3.6m/gのBET比表面積を有し、且つ、34%の全水銀細孔容積を有する。
【0145】
シャッタテストは、これらのブリケットの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。13.9%のシャッタテスト指数が得られる。
【0146】
シャッタテストはまた、これらのブリケットの10kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。13.2%のシャッタテスト指数が得られる。さらに、これらのブリケットの0.5kgは、30℃で、相対湿度75%(すなわち、絶対湿度22.8g/m)下、2時間の、レベル1の加速エージング試験を受ける。これは、これらのブリケットの質量で1.8%の増加をもたらす。
【0147】
次いでシャッタテストは、これらのエージングしたブリケットの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。50%のシャッタテスト指数が得られる。
【0148】
さらに、0.2mの面積にわたって広がるこれらのブリケットの10kgは、25℃で、相対湿度94%(すなわち、絶対湿度21.6g/m)下、7時間のエージング試験を受ける。次いでシャッタテストは、これらのエージングしたブリケットの10kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された10mm未満の微粒子の量が秤量される。60%のシャッタテスト指数が得られる。
【0149】
(比較例2) 生ドロマイトブリケット
比較例1の生ドロマイトブリケットからはじめて、これらのブリケットの1kgを電気オーブンに入れ、1000℃で20分間の熱処理を行う。
【0150】
そのブリケットを冷却した後、次いでシャッタテストは、これらのブリケットの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。10.6%のシャッタテスト指数が得られる。
【0151】
これらのブリケットは2.6m/gのBET比表面積を有し、且つ、35%の全水銀細孔容積を有する。
【0152】
(比較例3) 生ドロマイトブリケット
比較例1の生ドロマイトブリケットからはじめて、これらのブリケットの1kgを電気オーブンに入れ、1300℃で2時間の熱処理を行う。
【0153】
そのブリケットを冷却した後、次いでシャッタテストは、これらのブリケットの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。6%のシャッタテスト指数が得られる。
【0154】
これらのブリケットは0.3m/gのBET比表面積を有し、且つ、18%の全水銀細孔容積を有する。
【0155】
(比較例4) 回転窯からの焼結した生石灰岩
10〜40mmの石灰岩からはじめて、得られた、回転窯からの焼結した石灰岩が使用される。それにより、石灰は、5〜6時間の滞留時間で、約1200〜1300°Cで得られた。
【0156】
この石灰岩は、均一な品質のものであり、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した写真を示す図4に示すように、巨視的な欠陥を含まない。この画像では、焼結した石灰岩の構成粒子を区別することが不可能な、均一な表面が観察される。
【0157】
(比較例5) 生ドロマイトブリケット
比較例1の生ドロマイトブリケットからはじめて、これらのブリケットの1kgを電気オーブンに入れ、1400℃で4時間の熱処理を行う。
【0158】
そのブリケットを冷却した後、次いでシャッタテストは、これらのブリケットの0.5kgからはじめて、2mの落下を4回連続して行うことにより行う。これらの4回の落下の終了時に生成された、10mm未満の微粒子の量が秤量される。3.6%のシャッタテスト指数が得られる。
【0159】
これらのブリケットは0.2m/gのBET比表面積を有し、且つ、13%の全水銀細孔容積を有する。
【0160】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、多くの改変が提供され得ることは明らかである。
図1
図2
図3
図4