【文献】
Pantech,Consideration on UP Alternatives 2C and 3C[online], 3GPP TSG-RAN WG2#82 R2-131797,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_82/Docs/R2-131797.zip>,2013年 5月20日
【文献】
CATT,Discussion on U-plane delay[online], 3GPP TSG-RAN WG2#82 R2-131873,インターネット<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_82/Docs/R2-131873.zip>,2013年 5月20日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
状況報告を送信する移動局であって、前記移動局は、少なくとも1つの無線ベアラを介してマスタ基地局に、および、少なくとも1つのデータ無線ベアラを介してソース二次基地局に接続され、前記移動局は、
前記移動局の前記少なくとも1つのデータ無線ベアラが前記ソース二次基地局から目標基地局に再設定されるときに、状況報告を送信するように適合された、プロセッサおよび送信器、
を備え、
前記状況報告は、前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのすべてを介して前記移動局によって受信されるデータパケットの受信状況の情報を含み、かつ、その情報が前記状況報告に含まれる前記少なくとも1つのデータ無線ベアラの各々について1つの無線ベアラ識別子を含む、
移動局。
前記送信器は、前記移動局を前記マスタ基地局に直接接続する前記少なくとも1つの無線ベアラのうちの1つを介して、好ましくはデータ無線ベアラまたはシグナリング無線ベアラを介して、前記マスタ基地局に前記状況報告を送信するように適合された、
請求項1に記載の移動局。
前記状況報告はさらに、前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのうちの1つを介して受信されるデータパケットの受信状況の情報の後に少なくとも1つの拡張フラグを含み、前記拡張フラグは、前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのうちの別の1つのデータ無線ベアラを介して受信されるデータパケットの受信状況のさらなる情報の存在を示す、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の移動局。
前記状況報告は、前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのすべてを介して前記移動局の受信器によって受信されるPDCPサービスデータユニットの受信状況の情報を含む、PDCP状況報告である、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の移動局。
前記状況報告は、前記移動局内の受信器によるRRC接続再設定メッセージの受信に応答して送信され、前記RRC接続再設定メッセージは、前記ソース二次基地局から前記目標基地局への前記移動局の前記少なくとも1つのデータ無線ベアラの前記再設定の一部として受信される、
請求項1〜5のいずれか一項に記載の移動局。
前記マスタ基地局から状況報告を受信するように適合された受信器であって、前記状況報告は、前記マスタ基地局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのすべてを介して前記マスタ基地局によって受信されるデータパケットの受信状況の情報を含み、かつ、その情報が前記状況報告に含まれる前記少なくとも1つのデータ無線ベアラの各々について1つの無線ベアラ識別子を含む、受信器、
をさらに備える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の移動局。
移動局から送信される状況報告を処理するマスタ基地局であって、前記移動局は、少なくとも1つの無線ベアラを介して前記マスタ基地局に、および、少なくとも1つのデータ無線ベアラを介してソース二次基地局に接続され、前記基地局は、
前記ソース二次基地局から目標基地局へ前記移動局の前記少なくとも1つのデータ無線ベアラを再設定するときに、前記移動局から状況報告を受信および処理するように適合された受信器およびプロセッサであって、前記状況報告は、前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのすべてを介して前記移動局によって受信されるデータパケットの受信状況の情報を含み、かつ、その情報が前記状況報告に含まれる前記少なくとも1つのデータ無線ベアラの各々について1つの無線ベアラ識別子を含む、受信器およびプロセッサ、
を備える、マスタ基地局。
移動局によって状況報告を送信する方法であって、前記移動局は、少なくとも1つの無線ベアラを介してマスタ基地局に、および、少なくとも1つのデータ無線ベアラを介してソース二次基地局に接続され、前記方法は、
前記ソース二次基地局から目標基地局へ前記移動局の前記少なくとも1つのデータ無線ベアラを再設定するとき、
状況報告を前記移動局によって送信するステップであって、前記状況報告が、
前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのすべてを介して前記移動局によって受信されるデータパケットの受信状況の情報を備え、かつ
その情報が前記状況報告に含まれる前記少なくとも1つのデータ無線ベアラの各々について1つの無線ベアラ識別子を備える、ステップ、
を含む、方法。
前記状況報告は、前記移動局を前記マスタ基地局に直接接続する前記少なくとも1つの無線ベアラのうちの1つを介して、好ましくはデータ無線ベアラまたはシグナリング無線ベアラを介して、前記マスタ基地局に前記移動局によって送信される、
請求項10に記載の方法。
前記状況報告は、好ましくはRRC接続再設定完了メッセージ内で、前記移動局を前記マスタ基地局に直接接続する前記少なくとも1つの無線ベアラのうちの1つのシグナリング無線ベアラを介して無線リソース制御(RRC)メッセージの一部として前記マスタ基地局に前記移動局によって送信される、
請求項11に記載の方法。
前記状況報告は、前記移動局を前記マスタ基地局に直接接続する前記少なくとも1つの無線ベアラのうちの1つのデータ無線ベアラを介してパケットデータ収束プロトコル(PDCP)制御パケットデータユニットとして前記マスタ基地局に前記移動局によって送信される、
請求項11に記載の方法。
前記状況報告はさらに、前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのうちの1つを介して受信されるデータパケットの受信状況の情報の後に少なくとも1つの拡張フラグを含み、前記拡張フラグは、前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのうちの別の1つのデータ無線ベアラを介して受信されるデータパケットの受信状況のさらなる情報の存在を示す、
請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
前記状況報告は、前記移動局を前記ソース二次基地局に接続する前記少なくとも1つのデータ無線ベアラのすべてを介して受信されるPDCPサービスデータユニットの受信状況の情報を含む、PDCP状況報告である、
請求項10〜16のいずれか一項に記載の方法。
前記状況報告は、前記移動局におけるRRC接続再設定メッセージの受信に応答して送信され、前記RRC接続再設定メッセージは、前記ソース二次基地局から前記目標基地局への前記移動局の前記少なくとも1つのデータ無線ベアラの再設定の一部として受信される、
請求項10〜17のいずれか一項に記載の方法。
前記データパケットは、前記マスタ基地局から前記二次基地局を介して前記移動局に転送され、また、状況報告機能を有する上位レイヤは、前記二次基地局にではなく前記マスタ基地局にある、
請求項10〜19のいずれか一項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
ロングタームエボリューション(LTE)
【0003】
WCDMA(登録商標)無線アクセス技術をベースとする第3世代の移動通信システム(3G)は、世界中で広範な規模で配備されつつある。この技術を機能強化または発展・進化させるうえでの最初のステップとして、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)と、エンハンストアップリンク(高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)とも称する)とが導入され、これにより、極めて競争力の高い無線アクセス技術が提供されている。
【0004】
ユーザからのますます増大する需要に対応し、新しい無線アクセス技術に対する競争力を確保する目的で、3GPPは、ロングタームエボリューション(LTE)と称される新しい移動通信システムを導入した。LTEは、今後10年間にわたり、データおよびメディアの高速伝送ならびに大容量の音声サポートに要求されるキャリアを提供するように設計されている。高いビットレートを提供する能力は、LTEにおける重要な方策である。
【0005】
LTE(ロングタームエボリューション)に関する作業項目(WI)の仕様は、E−UTRA(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access(UTRA):進化したUMTS地上無線アクセス)およびE−UTRAN(Evolved UMTS Terrestrial Radio Access Network(UTRAN):進化したUMTS地上無線アクセスネットワーク)と称され、最終的にリリース8(LTEリリース8)として公開される。LTEシステムは、パケットベースの効率的な無線アクセスおよび無線アクセスネットワークであり、IPベースの全機能を低遅延かつ低コストで提供する。LTEでは、与えられたスペクトルを用いてフレキシブルなシステム配備を達成するために、スケーラブルな複数の送信帯域幅(例えば、1.4MHz、3.0MHz、5.0MHz、10.0MHz、15.0MHz、および20.0MHz)が指定されている。ダウンリンクには、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、かかる無線アクセスは、低いシンボルレートのため本質的にマルチパス干渉(MPI)を受けにくく、また、サイクリックプレフィックス(CP)を使用しており、さらに、さまざまな送信帯域幅の構成に対応可能だからである。アップリンクには、SC−FDMA(Single-Carrier Frequency Division Multiple Access:シングルキャリア周波数分割多元接続)をベースとする無線アクセスが採用されている。なぜなら、ユーザ機器(UE)の送信出力が限られていることを考えれば、ピークデータレートを向上させるよりも広いカバレッジエリアを提供することが優先されるからである。LTEリリース8/9では、数多くの主要なパケット無線アクセス技術(例えば、MIMO(多入力多出力)チャネル伝送技術)が採用され、高効率の制御シグナリング構造が達成されている。
【0006】
LTEアーキテクチャ
【0007】
図1は、LTEの全体的なアーキテクチャを示し、
図2は、E−UTRANのアーキテクチャをより詳細に示している。E−UTRANは、eNodeBから構成され、eNodeBは、UE向けの、E−UTRAのユーザプレーン(PDCP/RLC/MAC/PHY)および制御プレーン(RRC)のプロトコルを終端処理する。eNodeB(eNB)は、物理(PHY)レイヤ、メディアアクセス制御(MAC)レイヤ、無線リンク制御(RLC)レイヤ、およびパケットデータ制御プロトコル(PDCP)レイヤ(これらのレイヤはユーザプレーンのヘッダ圧縮および暗号化の機能を含む)をホストする。eNBは、制御プレーンに対応する無線リソース制御(RRC)機能も提供する。eNBは、無線リソース管理、アドミッション制御、スケジューリング、交渉によるアップリンクQoS(サービス品質)の実施、セル情報のブロードキャスト、ユーザプレーンデータおよび制御プレーンデータの暗号化/復号化、ダウンリンク/アップリンクのユーザプレーンパケットヘッダの圧縮/復元など、多くの機能を実行する。複数のeNodeBは、X2インタフェースによって互いに接続されている。
【0008】
また、複数のeNodeBは、S1インタフェースによってEPC(Evolved Packet Core:進化したパケットコア)、より具体的には、S1−MMEによってMME(Mobility Management Entity:移動管理エンティティ)、S1−Uによってサービングゲートウェイ(SGW:Serving Gateway)に接続されている。S1インタフェースは、MME/サービングゲートウェイとeNodeBとの間の多対多関係をサポートする。SGWは、ユーザデータパケットをルーティングして転送する一方で、eNodeB間のハンドオーバ時におけるユーザプレーンのモビリティアンカーとして機能し、さらに、LTEと別の3GPP技術との間のモビリティのためのアンカー(S4インタフェースを終端させ、2G/3GシステムとPDN GWとの間でトラフィックを中継する)として機能する。SGWは、アイドル状態のユーザ機器に対しては、ダウンリンクデータ経路を終端させ、そのユーザ機器へのダウンリンクデータが到着したときにページングをトリガーする。SGWは、ユーザ機器のコンテキスト(例えばIPベアラサービスのパラメータ、ネットワーク内部ルーティング情報)を管理および格納する。さらに、SGWは、合法傍受(lawful interception)の場合にユーザトラフィックの複製を実行する。
【0009】
MMEは、LTEのアクセスネットワークの主要な制御ノードである。MMEは、アイドルモードのユーザ機器の追跡およびページング手順(再送信を含む)の役割を担う。MMEは、ベアラのアクティブ化/非アクティブ化プロセスに関与し、さらには、最初のアタッチ時と、コアネットワーク(CN)ノードの再配置を伴うLTE内ハンドオーバ時とに、ユーザ機器のSGWを選択する役割も担う。MMEは、(HSSと対話することによって)ユーザを認証する役割を担う。非アクセス層(NAS:Non-Access Stratum)シグナリングはMMEにおいて終端され、MMEは、一時的なIDを生成してユーザ機器に割り当てる役割も担う。MMEは、サービスプロバイダの公衆陸上移動網(PLMN:Public Land Mobile Network)に入るためのユーザ機器の認証をチェックし、ユーザ機器のローミング制約を実施する。MMEは、NASシグナリングの暗号化/整合性保護においてネットワーク内の終端点であり、セキュリティキーの管理を行う。シグナリングの合法傍受も、MMEによってサポートされる。さらに、MMEは、LTEのアクセスネットワークと2G/3Gのアクセスネットワークとの間のモビリティのための制御プレーン機能を提供し、SGSNからのS3インタフェースを終端させる。さらに、MMEは、ローミングするユーザ機器のためのホームHSSに向かうS6aインタフェースを終端させる。
【0010】
LTEにおけるコンポーネントキャリア構造
【0011】
3GPP LTEシステムのダウンリンクコンポーネントキャリアは、いわゆるサブフレームにおける時間−周波数領域でさらに分割される。3GPP LTEで、各サブフレームは、
図3に示すように2つのダウンリンクスロットに分割され、そこにおいて、第1のダウンリンクスロットは、第1のOFDMシンボル内の制御チャネル領域(PDCCH領域)を備える。各サブフレームは、時間領域内の所与の数のOFDMシンボルで構成され(3GPP LTE(リリース8)では12個または14個のOFDMシンボル)、各OFDMシンボルはコンポーネントキャリアの帯域幅全体に広がる。したがって、OFDMシンボルは、各々、
図4にも示すように、N
DLRB×N
RBsc個のそれぞれのサブキャリアで送信されるいくつかの変調シンボルで構成される。
【0012】
例えば3GPPロングタームエボリューション(LTE)において使用されるような、例えばOFDMを使用する、マルチキャリア通信システムを想定すると、スケジューラによって割り当てることができるリソースの最小単位は、1つの「リソースブロック」である。物理リソースブロック(PRB)は、
図4に例示されるように時間領域におけるN
DLsymb個の連続するOFDMシンボル(例えば、7つのOFDMシンボル)および周波数領域におけるN
RBsc個の連続するサブキャリア(例えば、コンポーネントキャリアの12個のサブキャリア)として定義される。したがって、3GPP LTE(リリース8)では、物理リソースブロックは、時間領域における1つのスロットおよび周波数領域における180kHzに対応する、N
DLsymb×N
RBsc個のリソースエレメントで構成される(ダウンリンクリソースグリッドについてさらに詳しくは、例えば、3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献1の6.2節を参照)。
【0013】
1つのサブフレームは、2つのスロットで構成され、したがって、いわゆる「通常の」CP(サイクリックプレフィックス)が使用されるときにはサブフレーム内に14個のOFDMシンボルが存在し、いわゆる「拡張」CPが使用されるときにはサブフレーム内に12個のOFDMシンボルが存在する。専門用語を目的として、以下で、サブフレーム全体に広がる同じN
RBsc個の連続するサブキャリアと同等の時間−周波数リソースは、「リソースブロックペア」または同意義の「RBペア」もしくは「PRBペア」と呼ばれる。
【0014】
「コンポーネントキャリア」という用語は、周波数領域におけるいくつかのリソースブロックの組合せを示す。LTEの将来のリリースでは、「コンポーネントキャリア」という用語はもはや使用されず、その代わりに、その専門用語はダウンリンクおよびオプションでアップリンクリソースの組合せを示す「セル」に変更される。ダウンリンクリソースのキャリア周波数とアップリンクリソースのキャリア周波数との間のリンク付けは、ダウンリンクリソースで送信されるシステム情報において指示される。
【0015】
コンポーネントキャリア構造についての同様の想定が、後のリリースにも適用される。
【0016】
より広い帯域幅のサポートのためのLTE−Aにおけるキャリアアグリゲーション
【0017】
世界無線通信会議2007(WRC−07)において、IMT−Advancedの周波数スペクトルが決定された。IMT−Advancedのための全体的な周波数スペクトルは決定されたが、実際に利用可能な周波数帯域幅は、地域や国によって異なる。しかしながら、利用可能な周波数スペクトルのアウトラインの決定に続いて、3GPP(第3世代パートナーシッププロジェクト)において無線インタフェースの標準化が開始された。3GPP TSG RAN #39会合において、「Further Advancements for E-UTRA (LTE-Advanced)」に関する検討項目の記述が承認された。この検討項目は、E−UTRAを進化・発展させるうえで(例えば、IMT−Advancedの要求条件を満たすために)考慮すべき技術要素をカバーしている。
【0018】
LTEアドバンストシステムがサポートすることができる帯域幅は100MHzであり、一方、LTEシステムは20MHzのみをサポートすることができる。今日、無線スペクトルの欠如がワイヤレスネットワークの開発のボトルネックになり、結果として、LTEアドバンストシステムのために十分広いスペクトル帯域を見つけることは困難である。したがって、より広い無線スペクトル帯域を獲得するための方法を見つけることは急務であり、ここにおいて、可能性のある答えは、キャリアアグリゲーション機能である。
【0019】
キャリアアグリゲーションでは、最大で100MHzの広い送信帯域幅をサポートする目的で、2つ以上のコンポーネントキャリアがアグリゲートされる。LTE−Advancedシステムでは、LTEシステムにおけるいくつかのセルが、より広い1つのチャネルにアグリゲートされ、このチャネルは、たとえLTEにおけるこれらのセルが異なる周波数帯域である場合でも100MHzに対して十分に広い。
【0020】
少なくとも、アグリゲートされるコンポーネントキャリアの数がアップリンクとダウンリンクとで同じであるとき、すべてのコンポーネントキャリアをLTEリリース8/9互換として設定することができる。ユーザ機器によってアグリゲートされるすべてのコンポーネントキャリアが必ずしもLTEリリース8/9互換でなくてよい。リリース8/9のユーザ機器がコンポーネントキャリアにキャンプオンする(camp on)ことを回避するため、既存のメカニズム(例:バーリング(barring))を使用することができる。
【0021】
ユーザ機器は、自身の能力に応じて1つまたは複数のコンポーネントキャリア(複数のサービングセルに対応する)を同時に受信または送信することができる。キャリアアグリゲーションのための受信能力もしくは送信能力またはその両方を備えた、LTE−Aリリース10のユーザ機器は、複数のサービングセル上で同時に受信する、もしくは送信する、またはその両方を行うことができ、これに対して、LTEリリース8/9のユーザ機器は、コンポーネントキャリアの構造がリリース8/9の仕様に従う場合、1つのみのサービングセル上で受信および送信を行うことができる。
【0022】
キャリアアグリゲーションは、連続するコンポーネントキャリアおよび不連続なコンポーネントキャリアの両方においてサポートされ、各コンポーネントキャリアは、3GPP LTE(リリース8/9)の計算方式(numerology)を使用して、周波数領域における最大110個のリソースブロックに制限される。
【0023】
同じeNodeB(基地局)から送信される、場合によってはアップリンクおよびダウンリンクにおいて異なる帯域幅の異なる数のコンポーネントキャリアをアグリゲートするように、3GPP LTE−A(リリース10)互換のユーザ機器を構成することが可能である。設定することのできるダウンリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のダウンリンクのアグリゲーション能力に依存する。逆に、設定することのできるアップリンクコンポーネントキャリアの数は、ユーザ機器のアップリンクのアグリゲーション能力に依存する。ダウンリンクコンポーネントキャリアよりもアップリンクコンポーネントキャリアが多くなるように移動端末を構成することはできない。
【0024】
一般的なTDD配備では、コンポーネントキャリアの数および各コンポーネントキャリアの帯域幅は、アップリンクとダウンリンクとで同じである。同じeNodeBから送信されるコンポーネントキャリアは、必ずしも同じカバレッジを提供する必要はない。
【0025】
連続的にアグリゲートされるコンポーネントキャリアの中心周波数の間隔は、300kHzの倍数である。これは、3GPP LTE(リリース8/9)の100kHzの周波数ラスターとの互換性を保つと同時に、15kHz間隔のサブキャリアの直交性を維持するためである。アグリゲーションのシナリオによっては、連続するコンポーネントキャリアの間に少数の使用されないサブキャリアを挿入することによって、n×300kHzの間隔あけを容易にすることができる。
【0026】
複数のキャリアをアグリゲートする影響は、MAC層に及ぶのみである。MAC層には、アップリンクおよびダウンリンクの両方において、アグリゲートされるコンポーネントキャリアごとに1つのHARQエンティティが要求される。コンポーネントキャリアあたりのトランスポートブロックは最大1個である(アップリンクにおけるSU−MIMOを使用しない場合)。トランスポートブロックおよびそのHARQ再送信(発生時)は、同じコンポーネントキャリアにマッピングする必要がある。
【0027】
図5および
図6は、それぞれ、ダウンリンクおよびアップリンクにおける、キャリアアグリゲーションが設定された第2層構造を示している。
【0028】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、移動端末はネットワークとの1つのRRC接続のみを有する。RRC接続の確立/再確立時、1つのセルが、LTEリリース8/9と同様に、セキュリティ入力(1つのECGI、1つのPCI、および1つのARFCN)と、非アクセス層(NAS)モビリティ情報(例:TAI)とを提供する。RRC接続の確立/再確立の後、そのセルに対応するコンポーネントキャリアは、ダウンリンクプライマリセル(PCell)と称される。接続状態では、ユーザ機器あたりつねに1つのダウンリンクPCell(DL PCell)および1つのアップリンクPCell(UL PCell)が設定される。コンポーネントキャリアの設定されたセットおいて、他のセルは2次セル(SCell)と呼ばれ、SCellのキャリアはダウンリンク2次コンポーネントキャリア(DL SCC)およびアップリンク2次コンポーネントキャリア(UL SCC)である。ダウンリンクPCellおよびアップリンクPCellの特徴は以下のとおりである。
− 各SCellごとに、ダウンリンクリソースに加えてアップリンクリソースのユーザ機器による使用を設定することができる。したがって、設定されるDL SCCの数はUL SCCの数よりもつねに大きいかまたは等しく、アップリンクリソースのみを使用するようにSCellを設定することはできない。
− アップリンクPCellが、層1アップリンク制御情報の送信のために使用される。
− ダウンリンクPCellは、SCellとは異なり非アクティブ化することはできない。
− UEの観点からすると、各アップリンクリソースは、1つのサービングセルにのみ属する。
− 設定することができるサービングセルの数は、UEのアグリゲーション能力によって決まる。
− ダウンリンクPCellにおいてレイリーフェージング(RLF)が発生すると再確立がトリガーされるが、ダウンリンクSCellにRLFが発生しても再確立はトリガーされない。
− ダウンリンクPCellセルは、ハンドオーバとともに(すなわちセキュリティキー変更およびRACH手続きとともに)変化する。
− 非アクセス層情報はダウンリンクPCellから取得される。
− PCellは、ハンドオーバ手順(すなわちセキュリティキー変更およびRACH手順)によってのみ変更することができる。
− PCellは、PUCCHの送信に使用される。
【0029】
コンポーネントキャリアの設定および再設定は、RRCによって行うことができる。アクティブ化および非アクティブ化は、MAC制御要素を介して行われる。LTE内ハンドオーバ時、RRCによって、ターゲットセルで使用するためのSCellを追加、削除、または再設定することもできる。新しいSCellを追加するときには、SCellのシステム情報(送信/受信に必要である)を送るために個別のRRCシグナリングが使用される(LTEリリース8/9におけるハンドオーバ時と同様)。
【0030】
キャリアアグリゲーションを使用するようにユーザ機器が構成されているとき、アップリンクコンポーネントキャリアとダウンリンクコンポーネントキャリアの一対がつねにアクティブである。この対のうちのダウンリンクコンポーネントキャリアは、「ダウンリンクアンカーキャリア」と称されることもある。同じことはアップリンクについてもあてはまる。
【0031】
キャリアアグリゲーションが設定されているとき、同時に複数のコンポーネントキャリアについてユーザ機器をスケジューリングすることができるが、一度に行うことのできるランダムアクセス手順は最大で1つである。クロスキャリアスケジューリング(cross-carrier scheduling)では、コンポーネントキャリアのPDCCHによって別のコンポーネントキャリアのリソースをスケジューリングすることができる。この目的のため、それぞれのDCIフォーマットにコンポーネントキャリア識別フィールド(「CIF」と称する)が導入されている。
【0032】
クロスキャリアスケジューリングが行われていないときには、アップリンクコンポーネントキャリアとダウンリンクコンポーネントキャリアとをリンクすることによって、グラントが適用されるアップリンクコンポーネントキャリアを識別することができる。アップリンクコンポーネントキャリアへのダウンリンクコンポーネントキャリアのリンクは、必ずしも1対1である必要はない。言い換えれば、同じアップリンクコンポーネントキャリアに複数のダウンリンクコンポーネントキャリアをリンクすることができる。一方で、1つのダウンリンクコンポーネントキャリアは、1つのアップリンクコンポーネントキャリアのみにリンクすることができる。
【0033】
OSIレイヤの一般的概要
【0034】
図7は、OSIモデルの簡単な概要を提供する。LTEアーキテクチャのさらなる論考はこのOSIモデルに基づき、また、本発明も本明細書においてOSIモデルに基づいて論じられる。
【0035】
開放型システム間相互接続参照モデル(OSIモデルまたはOSI参照モデル)は、通信およびコンピュータネットワークプロトコル設計の階層化された抽象的記述である。OSIモデルは、システムの機能を一連のレイヤに分ける。各レイヤは、下位のレイヤの機能のみを使用し、上位のレイヤにのみ機能をエクスポートするという特性を有する。一連のこれらのレイヤからなるプロトコル動作を実装するシステムは、「プロトコルスタック」または「スタック」として知られている。その主な特徴は、あるレイヤが別のレイヤとどのように対話するかの仕様を指示するレイヤ間のジャンクションである。これは、ある製造業者によって書かれたレイヤが別の製造業者からのレイヤと動作し得ることを意味する。本発明を目的として、最初の3つのレイヤのみが、以下にさらに詳しく説明される。
【0036】
物理レイヤまたはレイヤ1の主な目的は、特定の物理メディア(例えば、同軸ケーブル、ツイストペア、光ファイバ、無線インタフェースなど)を介する情報(ビット)の転送である。それは、通信チャネルを介して送信される信号(またはシンボル)にデータを変換または変調する。
【0037】
データリンクレイヤ(またはレイヤ2)の目的は、入力データをデータフレームに分割することによって特定の物理レイヤと互換性のある方法で情報フローを形成することである(セグメント化および再構築(SAR:Re-assembly)機能)。さらに、データリンクレイヤ(またはレイヤ2)は、失われたフレームの再送信を要求することによって、潜在的送信エラーを検出および訂正することができる。データリンクレイヤ(またはレイヤ2)は、通常は、アドレス指定メカニズムを提供し、データ転送速度を受信器容量と合わせるために、フロー制御アルゴリズムを提供することができる。共用メディアが複数の送信器および受信器によって同時に使用される場合、データリンクレイヤは、通常は、物理メディアへのアクセスを調整および制御するためのメカニズムを提供する。
【0038】
データリンクレイヤによって提供される多数の機能が存在するため、データリンクレイヤは、しばしば、サブレイヤに細分される(例えば、UMTSにおけるRLCおよびMACサブレイヤ)。レイヤ2プロトコルの代表的な例は、固定回線ネットワークのPPP/HDLC、ATM、フレームリレー、および、ワイヤレスシステムのRLC、LLCまたはMACである。レイヤ2のサブレイヤPDCP、RLCおよびMACのさらに詳しい情報は、後に提供する。
【0039】
ネットワークレイヤまたはレイヤ3は、トランスポートレイヤによって要求されるサービスの質を維持しながら、1つまたは複数のネットワークを介してソースから宛先に可変長パケットを転送する機能的および手続き的手段を提供する。通常は、ネットワークレイヤの主な目的は、とりわけ、ネットワーク経路指定、ネットワークフラグメンテーションおよび輻輳制御機能を実行することである。ネットワークレイヤプロトコルの主な例は、IPインターネットプロトコルまたはX.25である。
【0040】
レイヤ4からレイヤ7に関して、レイヤ3より上で動作するアプリケーションおよびサービスは、しばしば、OSIモデルの異なるレイヤの属性とされることになるさまざまな機能を実装するため、アプリケーションおよびサービスに応じて、アプリケーションまたはサービスをOSIモデルの特定のレイヤの属性とすることがときに困難であることに留意されたい。したがって、特にTCP(UDP)/IPベースのネットワークで、レイヤ4以上は、ときに、結合され、いわゆる「アプリケーションレイヤ」を形成する。
【0041】
レイヤサービスおよびデータ交換
【0042】
以下、本明細書で使用されるものとしてのサービスデータユニット(SDU)およびプロトコルデータユニット(PDU)という用語が、
図8に関して定義される。OSIモデル内のレイヤ間のパケットの交換を一般的方法で正式に説明するために、SDUおよびPDUエンティティが導入されている。SDUは、いわゆるサービスアクセスポイント(SAP)を介してレイヤNにあるプロトコルにサービスを要求するレイヤN+1にあるプロトコルから送信される情報(データ/情報ブロック)の単位である。PDUは、同レイヤNにある同プロトコルの送信器および受信器での同位プロセスの間で交換される情報の単位である。
【0043】
PDUは、レイヤN特有のヘッダが先行する、そしてオプションでトレーラによって終了させられる、受信されたSDUの処理済みのバージョンからなるペイロード部分によって一般に形成される。これらの同位プロセスの間には直接物理接続は存在しない(レイヤ1を除く)ので、PDUは、処理のためにレイヤN−1に送られる。したがって、レイヤN PDUは、レイヤN−1の観点からするとSDUである。
【0044】
LTEレイヤ2−ユーザプレーンおよび制御プレーンプロトコルスタック
【0045】
LTEレイヤ2ユーザ−プレーン/制御−プレーンプロトコルスタックは、
図9に示すような3つのサブレイヤ、PDCP、RLCおよびMAC、を備える。前に説明したように、送信側で、各レイヤは、そのレイヤがサービスを提供する上位レイヤからSDUを受信し、下位のレイヤにPDUを出力する。RLCレイヤは、PDCPレイヤからパケットを受信する。これらのパケットは、PDCPの観点からはPDCP PDUと呼ばれ、RLCの観点からはRLC SDUを表す。RLCレイヤは、下位のレイヤ、すなわちMACレイヤ、に提供されるパケットを作成する。RLCによってMACレイヤに提供されるパケットは、RLCの観点からはRLC PDUであり、MACの観点からはMAC SDUである。
【0046】
受信側では、各レイヤが上位のレイヤにSDUを渡して、それらはPDUとして受信され、プロセスは反転される。
【0047】
物理レイヤは、ターボ符号化および周期的冗長検査(CRC)によって保護されたビットパイプを基本的に提供するが、リンク−レイヤプロトコルは、さらに高い信頼性、セキュリティ、および完全性によって上位レイヤへのサービスを強化する。加えて、リンクレイヤは、マルチユーザメディアアクセスおよびスケジューリングの役割を担う。LTEリンク−レイヤ設計の主な課題のうちの1つは、広い範囲の異なるサービスおよびデータ転送速度を有するインターネットプロトコル(IP)データフローの要求される信頼性レベルおよび遅延を実現することである。特に、プロトコルオーバヘッドはスケール変更する必要がある。例えば、ボイスオーバIP(VoIP)フローは、約100msの遅延および1パーセントまでのパケット損失を許容し得ると、広く想定されている。他方で、TCPファイルダウンロードは、低い帯域幅−遅延の積を有するリンクを介してよりよく機能することが、よく知られている。したがって、非常に高いデータ転送速度(例えば、100Mb/s)でのダウンロードは、さらに低い遅延を要求し、加えて、VoIPトラフィックよりもIPパケット損失に敏感である。
【0048】
概して、これは、部分的に絡み合ったLTEリンクレイヤの3つのサブレイヤによって達成される。
【0049】
パケットデータ収束プロトコル(PDCP)サブレイヤは、主にIPヘッダ圧縮および暗号化の役割を担う。加えて、それは、eNB間ハンドオーバの場合に無損失の移動をサポートし、上位レイヤ制御プロトコルに完全性保護を提供する。
【0050】
無線リンク制御(RLC)サブレイヤは、主としてARQ機能性を備え、データセグメント化および連結をサポートする。後者の2つは、データ転送速度とは無関係にプロトコルオーバヘッドを最小化する。
【0051】
最後に、メディアアクセス制御(MAC)サブレイヤは、HARQを提供し、スケジューリング動作およびランダムアクセスなど、メディアアクセスに必要とされる機能を担う。
図10は、リンク−レイヤプロトコルを介する物理レイヤまでのIPパケットのデータフローを例示的に示す。本図は、各プロトコルサブレイヤがそれ自体のプロトコルヘッダをデータユニットに追加することを示す。
【0052】
パケットデータ収束プロトコル(PDCP)
【0053】
PDCPレイヤは、制御プレーンの無線リソース制御(RRC)メッセージおよびユーザプレーンのIPパケットを処理する。無線ベアラ特性および関連するRLCエンティティのモード(AM、UM、TM)に応じて、PDCPレイヤのPDCPエンティティによって実行される主要な機能は、次の通りである。
− ヘッダ圧縮および解凍(例えば、ユーザプレーンデータ(DRB)のローバストヘッダ圧縮(ROHC)を使用する)
− セキュリティ機能:
・ユーザプレーンおよび制御プレーンデータ(SRBおよびDRBの)の暗号化および復号化
・制御プレーンデータ(SRBの)の完全性保護および検証
− SRBおよびDRBのPDCPシーケンス番号のメンテナンス
− ハンドオーバサポート機能:
・AM DRBのハンドオーバでの上位レイヤのPDUの順番通りの配信および並べ替え
・AM DRBの状況報告およびAM DRBの下位レイヤSDUの重複削除を含む、RLC AM(Acknowledged Mode:確認応答モード)にマップされたユーザプレーンデータの無損失のハンドオーバ
− タイムアウト(SRBおよびDRBの)によるユーザプレーンデータの破棄
【0054】
PDCPレイヤは、個別制御チャネル(DCCH)または個別トランスポートチャネル(DTCH)のいずれかを使用する無線ベアラのみについて、ユーザプレーンにおいて、ならびに制御プレーンにおいて、データストリームを管理する。PDCPレイヤのアーキテクチャは、ユーザプレーンデータと制御プレーンデータとによって異なる。2つの異なるタイプのPDCP PDU、具体的には、PDCPデータPDUおよびPDCP制御PDU、がLTEにおいて定義される。PDCPデータPDUは、制御およびユーザプレーンデータの両方に使用される。PDCP制御PDUは、ヘッダ圧縮の、およびハンドオーバの場合に使用され、したがってユーザプレーン内でのみ使用されるPDCP状況報告の、フィードバック情報を移送するためにのみ使用される。
【0055】
本発明との関連性が低いため、ヘッダ圧縮およびセキュリティの機能は詳しくは説明しない。それらに関する詳細は、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献2の4.2.2章、4.2.3章および4.2.4章で見ることができる。
【0056】
他方では、ハンドオーバ機能が、以下に詳細に説明される。ハンドオーバは、UEが、RCC_CONNECTED状態で、あるセルのカバレッジから別のセルのカバレッジに移動するときに実行される。要求されるQoSに応じて、シームレスまたは無損失のいずれかのハンドオーバが、以下に説明するように、各ユーザプレーン無線ベアラに適するように実行される。
【0057】
シームレスハンドオーバが、RLC UM(Unacknowledged Mode:非確認応答)にマップされたユーザプレーン無線ベアラについて適用される。これらのタイプのデータは、通常は、損失にはかなり耐性があるが、遅延にはあまり耐性がない(例えば、音声サービス)。
【0058】
PDCPデータPDUに追加されたシーケンス番号に基づいて、ハンドオーバ中に順番通りの配信を確保することと、受信がハンドオーバに先立ってまだ確認応答されていないPDCP SDUの再送信を実行することとによって、完全に無損失のハンドオーバ機能を提供することも可能である。この無損失のハンドオーバ機能は、1つのPDCP SDUの損失が、伝送制御プロトコル(TCP)の反応によりデータ転送速度の大幅な減少をもたらし得る、ファイルダウンロードなどの遅延耐性のあるサービスに使用される。
【0059】
無損失のハンドオーバは、RLC AM(確認応答モード)にマップされたユーザプレーン無線ベアラ(すなわち、データ無線ベアラ)について適用される。簡潔性を理由として、eNodeB間ハンドオーバおよびeNodeB内ハンドオーバは、LTEにおいて同じ方法で扱われる。
【0060】
通常の送信では、UEがあるセルから別のセルにハンドオーバしていない間、UEおよびeNodeB内のRLCレイヤは順番通りの配信を確保する。RLCプロトコルによって再送信される、またはHARQ送信における可変遅延により順番を外れて到達する、PDCP PDUは、RLC SNに基づいて並べ替えられる。ハンドオーバで、UE内のおよびeNodeB内のRLCレイヤは、ヘッダ圧縮プロトコルがリセットされる前に、それらを解凍させるために、PDCPレイヤに既に受信されたすべてのPDCP PDUを配信することになる。いくつかのPDCP SDUは、この時点で入手可能ではないことがあるので、順番通りに入手可能ではないPDCP SDUは、UE内の上位レイヤにまたはネットワーク内のゲートウェイに直ちに配信されない。PDCPレイヤで、順番を外れて受信されたPDCP SDUは、並べ替えバッファに記憶される。送信されたがRLCレイヤによってまだ確認応答されていないPDCP SDUは、PDCPレイヤ内の再送信バッファに記憶される。
【0061】
アップリンクにおける無損失のハンドオーバを確保するために、UEは、PDCP再送信バッファに記憶されたPDCP SDUを再送信する。例えば、ハンドオーバの後、UEは、送信の成功がまだ確認応答されていないそれらのPDCP SDUの目標eNodeBへの送信を再始動する。アップリンクにおける順番通りの配信を確保するために、ソースeNodeBは、解凍の後に、ゲートウェイに順番通りに受信されたPDCP SDUを配信し、順番を外れて受信されたPDCP SDUを目標eNodeBに転送する。それにより、目標eNodeBは、ハンドオーバ中に保持されたPDCP SNに基づいて、ソースeNodeBから受信された解凍されたPDCP SDUと、UEから受信された再送信されたPDCP SDUとを並べ替え、正しい順番でそれらをゲートウェイに配信することができる。
【0062】
ダウンリンクにおける無損失のハンドオーバを確保するために、ソースeNodeBは、受信がまだUEによって確認応答されていない圧縮されていないPDCP SDUをダウンリンクにおける再送信のために目標eNodeBに転送する。ソースeNodeBは、そのソースeNodeBに送信された最後のパケットを指示するゲートウェイからの指示を受信する。目標eNodeBが、それがゲートウェイから受信されたパケットの送信をいつ開始することができるかを知るように、ソースeNodeBはまた、目標eNodeBにこの指示を転送する。
【0063】
UEは、SNの昇順で目標eNodeBからのパケットを予期することになる。ソースeNodeBから目標eNodeBにパケットが転送されない場合(すなわち、UEが予期するパケットのうちの1つが、ハンドオーバ動作中に欠落したとき)、UEは、そのパケットが失われたと直ちに結論を出し、既に順番に受信されたパケットを上位レイヤに転送することができる。これは、潜在的再送信を待つために、既に受信されたパケットをUEが保持する必要性を避ける。それにより、ネットワーク内のパケットの転送は、UEに知らせることなしに、決定され得る。
【0064】
場合によっては、PDCP SDUは無事に受信されたが、対応するRLC確認応答が受信されないことが起こり得る。この場合、ハンドオーバの後、RLCレイヤによって受信された誤った状況に基づいて、UEまたは目標eNodeBによって不必要な再送信が開始されることがある。これらの不必要な再送信を避けるために、PDCP状況報告が、eNodeBからUEにおよびUEからeNodeBに送信され得る。加えて、PDCP状況報告は、正しく受信されたがヘッダ解凍に失敗したPDCP SDUの再送信を要求することができる。ハンドオーバの後にPDCP状況報告を送信するかどうかは、各無線ベアラについて独立して設定される。
【0065】
PDCP PDUフォーマット
【0066】
PDCPには、2つのタイプのPDU、具体的にはPDCPデータPDUおよびPDCP制御PDU、が存在する。PDCPデータPDUは、IPパケットなどのユーザプレーンデータまたはRRC/NASメッセージなどの制御プレーンデータを転送するために使用される。ユーザプレーンデータのPDCP PDUは、そのフォーマットがそれぞれ
図11および12に示された、データPDUと制御PDUとを区別するために、「D/C」フィールドを備える。PDCPデータPDUは、7または12ビットシーケンス番号(SN)を備える。ユーザプレーンデータのPDCPデータPDUは、圧縮されていない(ヘッダ圧縮が使用されていない場合)または圧縮されたIPパケットのいずれかを含む。制御プレーンデータのPDCPデータPDU(例えば、RRCシグナリング)は、完全性保護のための32ビット長のMAC−Iフィールドを備える。制御プレーンデータのPDCPデータPDUは、1つの完全なRRCメッセージを含む。
【0067】
PDCP制御PDUは、ユーザプレーンデータを処理するPDCPエンティティによって使用される。PDCPヘッダ内のPDUタイプフィールドによって区別される、現在定義されている2つのタイプのPDCP制御PDUが存在する。PDCP制御PDUは、無損失のハンドオーバの場合のPDCP「状況報告」、またはROHCヘッダ圧縮プロトコルによって作成されるROHCフィードバックのいずれかを運ぶ。ROHCフィードバックを運ぶPDCP制御PDUは、RLC UMまたはRLC AMのいずれかにマップされたユーザプレーン無線ベアラのために使用され、一方、PDCP状況報告を運ぶPDCP制御PDUは、RLC AMにマップされたユーザプレーン無線ベアラのためにのみ使用される。
【0068】
PDCP状況報告
【0069】
無損失のハンドオーバの場合のPDCP状況報告(PDCP SR)を運ぶPDCP制御PDUは、既に正確に受信されたPDCP SDUの再送信を防ぐために使用され、正確に受信されたがヘッダ解凍が失敗したPDCP SDUの再送信を要求するために使用することができる。状況報告を有するこのPDCP制御PDUは、どのPDCP SDUが再送信される必要があるかおよび参照SN、FMS(First Missing SDU:最初に紛失したSDU)、を指示する、ビットマップを含む。すべてのPDCP SDUが順番通りに受信された場合、このフィールドは、次の予期されるSNを指示し、ビットマップは含まれない。
【0070】
図13は、12ビットSN長が使用されるときにPDCP状況報告を運ぶPDCP制御PDUのフォーマットを示し、そして、
図14は、非特許文献3の6.2.6章に定義されるような、15ビットSN長が使用されるときのPDCP状況報告を運ぶPDCP制御PDUのフォーマットを示す。このフォーマットは、RLC AMにマップされたDRBについて適用可能である。
【0071】
図13および
図14から明らかなように、PDCP状況報告のPDCP制御PDUは、非特許文献3の6.3.7章〜6.3.10章(参照により本明細書に組み込まれている)によって定義される以下のパラメータを備える。
− 1ビット「D/C」フィールド、制御PDCP PDUおよびデータPDCP PDUを区別することを可能にする
− 3ビットPDUタイプフィールド、PDCP状況報告と散在するROHCフィードバックパケットとを区別することを可能にし、ビット010〜111が予約される
− FMSフィールド、12ビットSNが使用されるときに12ビットの長さを有し、15ビットSNが使用されるときに15ビットの長さを有する、それは最初に紛失したPDCP SDUのPDCP SNを示す
− 可変長のビットマップフィールド、長さは0でもよい、タイプ「ビットマップ」の最初のオクテットのMSBは、SN(FMS+1)モジュロ(Maximum_PDCP_SN+1)を有するPDCP SDUが受信されたかどうか、およびオプションで正確に解凍されたかどうか、を示す。タイプ「ビットマップ」の最初のオクテットのLSBは、SN(FMS+8)モジュロ(Maximum_PDCP_SN+1)を有するPDCP SDUが受信されたかどうか、およびオプションで正確に解凍されたかどうか、を示す。UEは、どのSDUが紛失したか(セットされていないビット−「0」)、すなわちSDUが受信されていないかどうか、またはオプションで、受信されたが正確に解凍されなかったかどうか、ならびに、どのSDUが再送信を必要としないか(セットされたビット−「1」)、すなわちSDUが正確に受信されたかどうか、および正確に解凍されたかどうかを示す、ビットマップに記入する。
【0072】
PDCP状況報告は、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献3の5.3.5.3.1章でより詳細に説明されている。
【0073】
送信動作では、上位レイヤが、RLC AMにマップされた無線ベアラについて、PDCP再確立を要求するとき、UEは、
− 無線ベアラが、アップリンクでPDCP状況報告を送信するように下位レイヤによって設定された場合、下位レイヤの再確立により下位レイヤから受信されたPDCPデータPDUを処理した後に、以下に示すように状況報告を編集し、これを、以下によって、すなわち、
・第1の紛失したPDCP SDUのPDCP SNにFMSフィールドをセットすること、
・少なくとも1つの、順番を外れたPDCP SDUが記憶されている場合、次の8の倍数まで切り上げた、第1の紛失したPDCP SDUを含まないそれ以降の、順番を外れた最後のPDCP SDUまでの、PDCP SNの数と等しいビットの長さのビットマップフィールドを割り当てること、
・下位レイヤによって指示された通りに受信されなかったすべてのPDCP SDU、および、オプションで、解凍が失敗したPDCP SDU、のビットマップフィールド内の対応する場所に「0」としてセットすること、
・すべての他のPDCP SDUについてビットマップフィールド内で「1」として指示すること、
によって、送信のために第1のPDCP PDUとして下位レイヤに提出する。
【0074】
受信動作では、RLC AMにマップされた無線ベアラについて、PDCP状況報告がダウンリンクで受信されるとき、
− もしあれば、「1」にセットされたビットマップ内のビットを有する、またはFMSフィールドによって識別されるPDCP SDUのカウント値より少ない関連カウント値を有する、各PDCP SDUについて、対応するPDCP SDUの配信の成功が確認され、UEはそのPDCP SDUを処理することになる。
【0075】
言い換えれば、PDCP状況報告は、PDCPレイヤが再確立される度に、編集され、送信される。
【0076】
確立されたすべての無線ベアラのPDCP再確立は、例えば、ハンドオーバ中に、すなわち、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献4の5.3.5.4章で定義されるように、mobilityControlInfoを含むRRCConnectionReconfigurationをUEによって受信するときに、実行される。参照により本明細書に組み込まれている非特許文献4の5.3.5.3章に定義されるように、RRC接続再確立手続きが無事完了した後に、これが第1のRRCConnectionReconfigurationメッセージである場合に、UEがmobilityControlInfoを含まないRRCConnectionReconfigurationを受信するときに、SRB2のPDCP再確立および確立されたすべてのDRBが、実行される。さらに、PDCP再確立はまた、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献4の5.3.7.5章に定義されるように、UEがRRCConnectionReestablishmentを受信するとき、SRB1のみについてであるが、実行される。
【0077】
RRC
【0078】
無線リソース制御(RRC)レイヤは、無線インタフェースでのUEとeNBとの間の通信と、いくつかのセルにわたり移動するUEの移動とを制御する。RRCプロトコルはまた、NAS情報の転送をサポートする。RRC_IDLEにおけるUEについて、RRCは、入電のネットワークからの通知をサポートする。RRC接続制御は、ページング、測定設定および報告、無線リソース設定、初期セキュリティ起動、シグナリング無線ベアラ(SRB)の確立、ならびにユーザデータを運ぶ無線ベアラ(データ無線ベアラ、DRB)の確立を含む、RRC接続の確立、修正および解放に関するすべての手続きを対象とする。
【0079】
個別RRCメッセージは、PDCPおよびRLCレイヤを介して論理チャネル、具体的には接続確立中の共通制御チャネル(CCCH)またはRRC_CONNECTEDにおける個別制御チャネル(DCCH)のいずれか、にマップされる、シグナリング無線ベアラを横切って転送される。システム情報およびページングメッセージは、それぞれ、論理チャネル、ブロードキャスト制御チャネル(BCCH)およびページング制御チャネル(PCCH)に直接マップされる。
【0080】
SRB1とSRB2との主な差は、eNBにおける優先順位処理であり、すなわち、SRB2を介して送信されるRRCメッセージは、SRB1を介して送信されるRRCメッセージよりも低い優先順位を有する。
【0081】
SRB0は、CCCHを使用するRRCメッセージのために使用され、SRB1はDCCHを使用するRRCメッセージのために使用され、SRB2は、NAS個別情報のみを含むDCCHを使用する(より低い優先順位の)RRCメッセージを目的とする。SRB2確立に先立って、SRB1はまた、NAS個別情報またはMDT(測定ドライブテスト)ログを取られた測定結果のみを含むRRCメッセージのために使用される。加えて、SRB1は、NAS個別情報のみを含むより高い優先順位のRRCメッセージのために使用される。
【0082】
DCCHを使用するすべてのRRCメッセージは、PDCPレイヤによって完全性保護および暗号化される(セキュリティ起動の後)。CCCHを使用するRRCメッセージは、完全性保護されない。
【0083】
無線リンク制御(RLC)
【0084】
RLCレイヤは、PDCPレイヤ(RLCの観点から、「上位」レイヤ)とMACレイヤ(RLCの観点から、「下位レイヤ」)との間に置かれる。RLCレイヤは、サービスアクセスポイント(SAP)を介してPDCPレイヤと通信し、論理チャネルを介してMACレイヤと通信する。RLCレイヤは、MACレイヤによって指示されたサイズにPDCP PDU(すなわちRLC SDU)を適合させるために、それらを再フォーマットする、すなわち、RLC送信器はPDCP PDUをセグメント化するおよび/または連結させ、RLC受信器はRLC PDUを再構築してPDCP PDUを再構成する。加えて、RLC PDUが、MACレイヤで実行されるHARQ動作により順番を外れて受信された場合、RLCはそれらを並べ替える。
【0085】
RLCレイヤの機能は、「RLCエンティティ」によって実行される。RLCエンティティは、3つのデータ送信モード、すなわち、透過モード(TM)、非確認応答モード(UM)および確認応答モード(AM)、のうちの1つで設定される。AMでは、特別な機能が、再送信をサポートするために定義される。
【0086】
UM RLCの主な機能は、次のように要約することができる。すなわち、RLC SDU(すなわちPDCP PDU)のセグメント化および連結、RLC PDUの並べ替え、RLC SDUの重複検出、RLC SDUの再構築。
【0087】
AM RLCの主な機能は、次のように要約することができる。RLCデータPDUの再送信、再送信されたRLCデータPDUの再セグメント化、ポーリング、状況報告、状況禁止。
【0088】
RLCのさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれている、非特許文献2の4.3.1章によって与えられる。
【0089】
ハンドオーバ手続き
【0090】
上記で説明したように、UEがPDCP状況報告のために設定されるとき、ハンドオーバがそのUEによって実行される度に、PDCP状況報告が編集され、送信される。
【0091】
3GPP LTEハンドオーバ手続きは、3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献5の10.1.2節において特定されている。さらに、RRC接続再設定に関するハンドオーバ手続きの詳細は、3GPPのウェブサイトで入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれている非特許文献4に定義されている。
【0092】
接続モードにおけるUEのE−UTRAN内アクセス移動サポートは、ソースネットワーク側での最終的ハンドオーバ(HO)決定に先行するプロセス(ある特定のUE特有のエリア制約事項を考慮したUEおよびeNB測定結果の制御および評価)、目標ネットワーク側のリソースの準備、新しい無線リソースへのUEの指揮、および、(古い)ソースネットワーク側でのリソースの最終的な解放のような、ハンドオーバ手続きのすべての必要なステップを処理する。
【0093】
RRC_CONNECTED状態でのUEのE−UTRAN内ハンドオーバ(HO)は、E−UTRANにおけるHO準備シグナリングを有する、UE支援のネットワーク制御HOである。
− HOコマンドの部分は、目標eNBに由来し、ソースeNBによって透過的にUEに転送される。
− HOを準備するために、ソースeNBは、すべての必要な情報を目標eNBに渡す。
− ソースeNBおよびUEの両方が、HO失敗の場合にUEの復帰を可能にするための何らかのコンテキスト(例えば、C−RNTI)を保持する。
− UEは、個別RACHプリアンブルを使用する無競合手続きに従って、または個別RACHプリアンブルが入手可能でない場合には競合ベースの手続きに従って、RACHを介して目標セルにアクセスする。
− そのUEは、ハンドオーバ手続きが終了する(無事にまたは失敗して)まで、個別プリアンブルを使用する。
− 目標セルに向けたRACH手続きがある一定の時間内に成功しなかった場合、UEは、最良のセルを使用し、無線リンク障害復旧を開始する。
【0094】
HO手続きの準備および実行フェーズは、EPCの関与なしに実行され、すなわち、準備メッセージはeNBの間で直接に交換される。HO完了フェーズ中のソース側でのリソースの解放は、eNBによってトリガーされる。
【0095】
以下、
図15に示すMME/サービングゲートウェイ内ハンドオーバ(HO)手続きのより詳細な説明が与えられ、先行する番号は、
図15のシーケンス線図における対応するステップを指す。
【0096】
0 ソースeNB内のUEコンテキストは、接続確立または最後のTA更新のいずれかで提供されたローミング制約事項に関する情報を含む。
【0097】
1 ソースeNBは、そのエリア制約情報に従って、UE測定手続きを設定する。ソースeNBによって提供される測定結果は、UEの接続移動を制御する機能を支援することができる。
【0098】
2 測定報告がトリガーされ、eNBに送信される。
【0099】
3 ソースeNBは、測定報告およびRRM情報に基づいて、UEをハンドオフする決定を行う。
【0100】
4 ソースeNBは、目標側でHOを準備するために、必要な情報を渡す目標eNBにハンドオーバ要求メッセージを発行する(ソースeNBでのUE X2シグナリングコンテキスト参照、UE S1 EPCシグナリングコンテキスト参照、目標セルID、KeNB
*、ソースeNBにおけるUEのC−RNTIを含むRRCコンテキスト、AS設定、ソースセルのE−RABコンテキストおよび物理レイヤID+起こり得るRLF復旧のショートMAC−I)。UE X2/UE S1シグナリング参照は、目標eNBがソースeNBおよびEPCをアドレス指定することを可能にする。E−RABコンテキストは、必要なRNLおよびTNLアドレス指定情報、およびE−RABのQoSプロファイルを含む。
【0101】
5 アドミッション制御が、リソースが目標eNBによって認可され得る場合、HO成功の可能性を増やすために、受信されたE−RAB QoS情報に応じて目標eNBによって実行され得る。目標eNBは、受信されたE−RAB QoS情報に従って、必要とされるリソースを設定し、C−RNTI、およびオプションでRACHプリアンブルを予約する。目標セルで使用されることになるAS設定は、独立して(すなわち「確立」)またはソースセルで使用されるAS設定と比較した差分として(すなわち「再設定」)のいずれかで特定することができる。
【0102】
6 目標eNBは、L1/L2でHOを準備し、ハンドオーバ要求確認応答をソースeNBに送信する。ハンドオーバ要求確認応答メッセージは、ハンドオーバを実行するためのRRCメッセージとしてUEに送信されることになる透過的コンテナを含む。そのコンテナは、新しいC−RNTI、選択されたセキュリティアルゴリズムの目標eNBセキュリティアルゴリズム識別子、を含み、個別RACHプリアンブル、および、場合によりいくつかの他のパラメータ、すなわちアクセスパラメータ、SIBなど、を含むことができる。ハンドオーバ要求確認応答メッセージはまた、必要に応じて、転送トンネルのためのRNL/TNL情報を含むことができる。
【0103】
注:ソースeNBがハンドオーバ要求確認応答を受信するとすぐに、または、ハンドオーバコマンドの送信がダウンリンクで開始されるとすぐに、データ転送が開始され得る。
【0104】
ステップ7から16は、HO中のデータ損失を回避するための手段を提供し、3GPPのウェブサイトで入手可能であり参照により本明細書に組み込まれている非特許文献5の10.1.2.1.2および10.1.2.3でさらに詳述されている。
【0105】
7 目標eNBは、UEに向けてソースeNBによって送信されることになる、ハンドオーバを実行するためのRRCメッセージ、すなわちmobilityControlInformationを含むRRCConnectionReconfigurationメッセージ、を生成する。ソースeNBは、メッセージの必要な完全性保護および暗号化を実行する。UEは、必要なパラメータ(すなわち、新しいC−RNTI、目標eNBセキュリティアルゴリズム識別子、およびオプションで個別RACHプリアンブル、目標eNB SIBなど)を有するRRCConnectionReconfigurationメッセージを受信し、HOを実行するようにソースeNBによって命令される。UEは、HARQ/ARQ応答をソースeNBに配信するためにハンドオーバ実行を遅らせる必要はない。
【0106】
8 ソースeNBは、PDCP状況保存が適用される(すなわち、RLC AMの)E−RABのアップリンクPDCP SN受信器状況およびダウンリンクPDCP SN送信器状況を伝播するために、目標eNBにSN状況転送メッセージを送信する。アップリンクPDCP SN受信器状況は、第1の紛失したUL SDUのPDCP SNを少なくとも含み、そのようなSDUが存在する場合に、UEが目標セルにおいて再送信する必要がある順番を外れたUL SDUの受信状況のビットマップを含み得る。ダウンリンクPDCP SN送信器状況は、目標eNBが、まだPDCP SNを有しない、新しいSDUに割り当てることになる、次のPDCP SNを示す。ソースeNBは、UEのE−RABのいずれもPDCP状況保存で扱われない場合に、このメッセージの送信を省略することができる。
【0107】
9 mobilityControlInformationを含むRRCConnectionReconfigurationメッセージを受信した後、UEは、目標eNBへの同期化を実行し、個別RACHプリアンブルがそのmobilityControlInformationで指示された場合には無競合手続きに続いて、または、個別プリアンブルが指示されなかった場合には競合ベースの手続きに続いて、RACHを介して目標セルにアクセスする。UEは、目標eNB特有のキーを導出し、目標セルで使用されることになる選択されたセキュリティアルゴリズムを設定する。
【0108】
10 目標eNBが、UL割当ておよびタイミングの前進で応答する。
【0109】
11 UEが目標セルに無事にアクセスしたとき、UEは、可能であればいつも、アップリンクバッファ状況報告とともに、ハンドオーバを確認するためのRRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージ(C−RNTI)を目標eNBに送信して、そのハンドオーバ手続きがそのUEについて完了したことを指示する。目標eNBが、RRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージで送信されるC−RNTIを確認する。目標eNBは、ここで、UEへのデータの送信を開始することができる。
【0110】
12 目標eNBが、パス切替え要求メッセージをMMEに送信して、UEがセルを変更したことを知らせる。
【0111】
13 MMEが、ベアラ修正要求メッセージをサービングゲートウェイに送信する。
【0112】
14 サービングゲートウェイが、ダウンリンクデータパスを目標側に切り替える。サービングゲートウェイは、古いパスで1つまたは複数の「エンドマーカ」パケットをソースeNBに送信し、次いで、ソースeNBに向けて任意のUプレーン/TNLリソースを解放することができる。
【0113】
15 サービングゲートウェイが、ベアラ修正応答メッセージをMMEに送信する。
【0114】
16 MMEが、パス切替え要求確認応答メッセージでパス切替え要求メッセージを確認する。
【0115】
17 UEコンテキスト解放メッセージを送信することによって、目標eNBは、ソースeNBにHOの成功を知らせ、ソースeNBによるリソースの解放をトリガーする。目標eNBは、このメッセージをパス切替え要求確認応答メッセージがMMEから受信された後に送信する。
【0116】
18 UEコンテキスト解放メッセージを受信したとき、ソースeNBは、UEコンテキストに関連する無線およびCプレーン関連リソースを解放することができる。任意の進行中のデータ転送は、継続することができる。
【0117】
HeNBを含むX2ハンドオーバが使用されるとき、および、ソースHeNBがHeNB GWに接続されるとき、明示的GWコンテキスト解放指示を含むUEコンテキスト解放要求メッセージが、HeNB GWが、そのUEコンテキストに関連するすべてのリソースを解放し得ることを指示するために、ソースHeNBによって送信される。
【0118】
スモールセル
【0119】
移動体データの爆発的需要は、いかに移動体事業者が、より大容量およびユーザ体験の品質(QoE)の向上の難しい要件に応える必要があるかの変化を促している。現在、ロングタームエボリューション(LTE)を使用する第4世代ワイヤレスアクセスシステムが、3G/3.5Gシステムよりも低いレイテンシおよび高い効率でより高速のアクセスを実現するために、多数の事業者によって世界中で配備されている。しかしながら、予想される将来のトラフィック成長は、驚異的であり、特にトラフィックの最高容量を生成する高トラフィックエリア(ホットスポットエリア)では、容量要件に対処するためのさらなるネットワーク高密度化の必要性が非常に高まっている。ネットワーク高密度化―ネットワークノードの数を増やし、それによりネットワークノードをユーザ端末に物理的により近づけること―は、トラフィック容量を改善するおよびワイヤレス通信システムの達成可能なユーザ−データ転送速度を高めるための鍵である。
【0120】
マクロ配備の直接的な高密度化に加えて、ネットワーク高密度化は、既存のマクロノード層のカバレッジの下でそれぞれスモールセルの補足的低電力ノードの配備によって達成することができる。そのような異種配備では、低電力ノードは、例えば屋内および屋外のホットスポットの場所において、ローカルに非常に高いトラフィック容量および非常に高いユーザスループットを提供する。その一方で、マクロ層は、カバレッジエリア全体にわたりサービスアベイラビリティおよびQoEを確保する。言い換えれば、低電力ノードを含む層はまた、広いエリアをカバーするマクロ層とは対照的に、ローカルエリアアクセスを提供すると言うことができる。
【0121】
スモールセルそれぞれの低電力ノードの設置ならびに異種配備は、LTEの第1のリリース以降、可能であった。この関連で、いくつかの解決策が、LTEの最近のリリース(すなわち、リリース10/11)において特定された。より具体的には、これらのリリースは、異種配備における層間の干渉を処理するために、追加のツールを紹介した。パフォーマンスをさらに最適化し、コスト/エネルギー効率の高い動作を実現するために、スモールセルは、さらなる拡張を必要とし、多くの場合、既存のマクロセルと対話するまたは既存のマクロセルを補完する必要がある。そのような解決策は、LTEリリース12以降のさらなる進化の間に調査されることになる。特に、低電力ノードおよび異種配備に関連するさらなる拡張が新しいリリース12の研究事項(SI)「E−UTRAおよびE−UTRANのためのスモールセル拡張の研究(Study on Small Cell Enhancements for E-UTRA and E-UTRAN)」の下で検討されることになろう。これらの活動のうちのいくつかは、低電力層および二重層接続性へのマクロ支援の異なる形を含む、マクロ層と低電力層との間のさらに高度の相互作用の達成に重点的に取り組むことになろう。二重接続は、デバイスがマクロ層および低電力層の両方への同時接続を有することを暗示する。
【0122】
スモールセル拡張の本研究事項において想定されるいくつかの配備シナリオを以下に論じる。以下のシナリオでは、非特許文献6において理想的ではないバックホールとして分類されたバックホール技術が想定される。
【0123】
理想的バックホール(すなわち、光ファイバを使用する個別2地点間接続などの非常に高いスループットおよび非常に小さいレイテンシのバックホール)および非理想的バックホール(すなわち、xDSLなどの市場で広く使用されている通常のバックホール、マイクロウェーブ、および中継のような他のバックホール)の両方が研究されるべきである。性能−コストのトレードオフが、考慮されるべきである。
【0124】
オペレータ入力に基づく非理想的バックホールの分類が、以下の表に記載される。
【0125】
【表1】
【0126】
RRH(Remote Radio Head:遠隔無線ヘッド)を配備するために使用することができるファイバアクセスは、本研究では想定されていない。HeNBは除外されないが、HeNBの送信電力がピコeNBのそれよりも低くても、配備シナリオおよび課題に関してピコeNBと区別されない。以下の3つのシナリオが、考えられる。
【0127】
シナリオ#1は、
図16に示され、同じキャリア周波数(周波数内)のマクロセルおよびスモールセルが理想的ではないバックホールを介して接続される配備シナリオである。ユーザは、屋外および屋内の両方に分散される。
【0128】
シナリオ#2は、
図17および18に示され、異なるキャリア周波数(周波数間)のマクロセルおよびスモールセルが理想的ではないバックホールを介して接続される配備シナリオを指す。ユーザは、屋外および屋内の両方に分散される。本明細書で2aおよび2bと呼ばれる、2つの異なるシナリオ#2が基本的に存在し、その差は、シナリオ2bでは、屋内スモールセル配備が考慮されるということである。
【0129】
シナリオ#3は、
図19に示され、1つまたは複数のキャリア周波数のスモールセルのみが理想的ではないバックホールリンクを介して接続される配備シナリオを指す。
【0130】
配備シナリオに応じて、異なる課題/問題が存在し、さらなる調査を必要とする。研究事項フェーズの間に、そのような課題が、対応する配備シナリオについて識別され、非特許文献7において捉えられ、それらの課題/問題のさらなる詳細は、そこで見ることができる。
【0131】
非特許文献7の5節に記載された識別された課題を解決するために、以下の設計目標が、非特許文献6で特定された要件に加えて、本研究について検討される。
【0132】
移動性頑強性に関して、
− RRC_CONNECTEDにおけるUEについて、スモールセル配備によって達成される移動性パフォーマンスは、マクロのみのネットワークのそれに匹敵すべきである。
【0133】
頻繁なハンドオーバによるシグナリング負荷の増加に関して、
− いずれの新しい解決策も、コアネットワークに向けたシグナリング負荷の過度の増加をもたらしてはならない。しかし、スモールセル拡張によって引き起こされる追加のシグナリングおよびユーザプレーントラフィック負荷もまた、考慮されるべきである。
【0134】
ユーザごとのスループットおよびシステム容量の改善に関して、
− 理想的バックホール配備に似たユーザごとのスループットおよびシステム容量を達成するために、マクロセルおよびスモールセルにわたる無線リソースを使用し、一方で、QoS要件が目標とされるべきであることを考慮する。
【0135】
二重接続
【0136】
3GPP RAN作業グループにおいて現在審議中の問題への1つの有望な解決策は、いわゆる「二重接続」コンセプトである。「二重接続」という用語は、非理想的バックホールを介して接続された少なくとも2つの異なるネットワークノードによって提供される無線リソースを所与のUEが消費する動作を示すために使用される。基本的に、UEは、マクロセル(マクロeNB)およびスモールセル(2次または小型eNB)の両方と接続される。さらに、UEの二重接続に関与する各eNBは、異なる役割を想定することができる。それらの役割は、eNBの電力クラスに必ずしも依存せず、UEの間で異なってもよい。
【0137】
本研究事項は、現在、非常に初期の段階にあるので、二重接続の詳細はまだ決定されていない。例えば、アーキテクチャはまだ合意されていない。したがって、多くの事項/詳細、例えばプロトコル拡張は、現在、まだ未決定である。
図20は、二重接続の例示的アーキテクチャを示す。それは単に1つの潜在的オプションとして理解されるべきであり、本発明は、この特定のネットワーク/プロトコルアーキテクチャに限定されず、広く適用され得る。アーキテクチャに関する以下の想定が、本明細書では行われる。
− 各パケットをどこに供するか、C/Uプレーン分割、のベアラレベルごとの決定
・例として、UE RRCシグナリングおよびVoLTEなどの高いQoSデータが、マクロセルによって提供可能であり、一方、ベストエフォート型データがスモールセルにオフロードされる。
− ベアラ間の結合はなく、マクロセルとスモールセルとの間に必要とされる共通のPDCPまたはRLCはない。
− RANノード間のルーザ調整
− SeNBはS−GWに接続しない、すなわち、パケットはMeNBによって転送される。
− スモールセルはCNに対して透過的である。
【0138】
最後の2つの箇条書きに関して、SeNBがS−GWと直接接続されること、すなわち、S1−UがS−GWとSeNBとの間にあること、もまた起こり得ることに留意されたい。基本的に、ベアラマッピング/分割に関する3つの異なるオプションが存在する。
− オプション1:
図21aに示され、S1−Uはまた、SeNBにおいて終了する。
− オプション2:
図21bに示され、S1−UはMeNBにおいて終了し、ベアラはRANにおいて分割しない。
− オプション3:
図21cに示され、S1−UはMeNBにおいて終了し、ベアラはRANにおいて分割する。
【0139】
図21a〜cは、Uプレーンデータのダウンリンク方向を一例として挙げる、それらの3つのオプションを示す。説明を目的として、オプション2は、本出願のために主として想定され、
図20のベースでもある。
【0140】
スモールセル拡張のためのユーザプレーンアーキテクチャ
【0141】
図21a〜
図21cに示すようなUプレーンデータの分割の論考に加えて、異なる代替も、ユーザプレーンアーキテクチャについて論じられた。
【0142】
S1−UインタフェースがMeNBで終了するとき(
図21b、
図21c)、SeNB内のプロトコルスタックは、RLC(再)セグメント化を少なくともサポートしなければならないことは、共通に理解されていることである。これは、RLC(再)セグメント化が、物理インタフェース(例えば、RLC PDUのサイズを示すMACレイヤ、上記を参照)に密接に結合された動作であり、非理想的バックホールが使用されるとき、RLC(再)セグメント化が、RLC PDUを送信するものと同じノードで起こらなければならないという事実による。
【0143】
この想定に基づいて、ユーザプレーン代替の4つのファミリは、現在行われている論考において区別される。
【0144】
A.独立PDCP:本オプションは、ベアラごとに完全に、現在定義されている無線インタフェースUプレーンプロトコルスタックを終了させ、1つのノードによる1つのEPSベアラの送信を実現するように適合されるが、追加のレイヤの助けとともにMeNBおよびSeNBによる送信のために単一のEPSベアラの分割をサポートすることもできる。異なるベアラの送信はさらに、MeNBおよびSeNBから同時に生じ得る。
【0145】
B.マスタ−スレーブPDCP:本オプションは、S1−Uが、MeNB内に存在するPDCPレイヤの少なくとも一部を有するMeNBで終了すると想定する。ベアラ分割の場合、MeNBで終了された、PDCPベアラのPDCP PDUを配信するように設定されたeNBごとに、UE側にも、別個の独立したRLCベアラが存在する。
【0146】
C.独立RLC:本オプションは、S1−Uが、MeNB内に存在するPDCPレイヤを有するMeNB内で終了すると想定する。ベアラ分割の場合、MeNBで終了した、PDCPベアラのPDCP PDUを配信するように設定されたeNBごとに、UE側にも、別個の独立したRLCベアラが存在する。
【0147】
D.マスタ−スレーブRLC:本オプションは、S1−Uが、PDCPレイヤおよびMeNB内に存在するRLCレイヤの一部を有するMeNBで終了すると想定する。EPSベアラのUE内の1つのみのRLCエンティティを要求する一方で、ネットワーク側で、RLC機能は、SeNB内で動作する「スレーブRLC」を有する、関連するノードの間で分散される。ダウンリンクで、スレーブRLCは、SeNBで必要とされる遅延クリティカルなRLC動作の管理をする。スレーブRLCは、マスタがスレーブによる送信のために割り当てた容易に構築されたRLC PDU(マスタによって既に割り当てられたシーケンス番号を有する)をMeNBでマスタRLCから受信し、それらをUEに送信する。これらのPDUのMACスケジューラからの認可へのカスタムフィッティングは、現在定義されている再セグメント化メカニズムを再使用することによって、達成される。
【0148】
それに基づいて、
図22a〜
図22iに示される異なるアーキテクチャが提案され、これらは非特許文献8から引用された。
【0149】
図22a〜
図22iに示すさまざまな代替の主な特性の概要は、以下に与えられ、ベアラ分割は複数のeNBを介するベアラを分割する能力として理解されるものとする。S1インタフェースから出ると指示された、2つのみのベアラが想定されていることが、図から理解されよう。
− 1A:S1−Uは、SeNB+独立PDCP(ベアラ分割なし)で終了する。
− 2A:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割なし+SeNBでの独立PDCPで終了する。
− 2B:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割なし+マスタ−スレーブPDCPで終了する。
− 2C:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割なし+SeNBでの独立RLCで終了する。
− 2D:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割なし+マスタ−スレーブRLCで終了する。
− 3A:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割+分割ベアラの独立PDCPで終了する。
− 3B:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割+分割ベアラのマスタ−スレーブPDCPで終了する。
− 3C:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割+分割ベアラの独立RLCで終了する。
− 3D:S1−Uは、MeNB+MeNBにおけるベアラ分割+分割ベアラのマスタ−スレーブRLCで終了する。
【0150】
本論考で、さまざまな利点および欠点が、上記の代替の各々について識別される。
【0151】
ユーザプレーンアーキテクチャの欠点
【0152】
前のセクションにおいて説明したように、スモールセルおよび二重接続は、最近の成果であり、効率的システムを可能にするために対処する必要があるいくつかの問題をまだ引き起こす。
【0153】
例えば、
図22dおよび
図22eのそれら、そしてまた
図22hおよび
図22iのそれら、および、分散型のPDCPスレーブ−マスタ概念の後の実装形態に応じて
図22cおよび
図22gのそれらのアーキテクチャもまた、SeNBにマップされたベアラのPDCPレイヤがMeNB内に存在するプロトコルアーキテクチャに関するハンドオーバシナリオに関して問題が存在する。それに対応して、
図21bおよび
図21cに示すシナリオが、本発明について想定される。これは、以下で詳細に説明される。
【0154】
リリース8では、無損失の送信は、確認応答モード(AM)データ無線ベアラ、すなわちRLC AMを使用しているデータ無線ベアラ、についてサポートされる。基本的に、AM RLC受信器は、RLC状況報告を使用し、正確に受信されなかったRLC PDUに否定的に確認応答する。すべてのRLC PDUが受信されるまで、または、eNBによって設定された再送信の最大数に到達するまで、再送信が繰り返し実行される。ハンドオーバでは、無損失の送信もサポートするために、PDCP再送信メカニズムが、リリース8で紹介されている。RLC状況報告は通常は最新ではない、すなわち、UE受信状況は既に変化していることがあるので、これは必要である。
【0155】
この選択的PDCP再送信メカニズムは、ハンドオーバの前にRLCエンティティによって確認応答されなかった目標eNBからのハンドオーバの後にPDCP SDUを再送信する。PDCP再送信をサポートするために、PDCP受信器は、PDCP再確立の前にRLC再確立の結果として受信されたPDCP PDUを処理することを要求される。受信器側の再構成されたPDCP SDUは、それらが順番を外れている場合、または他の方法で上位レイヤに配信された場合、並べ替えバッファに記憶される。ハンドオーバの後、ハンドオーバの前に確認応答されなかったPDCP SDUは、送信エンティティによって再送信され、PDCP受信器は、それらを並べ替えバッファに記憶されたSDUとともに並べ替える。並べ替えが機能するために、カウントおよびまたPDCPシーケンス番号を含む、すべてのPDCP状態変数は、ハンドオーバで保持される必要がある。
【0156】
PDCP再送信は、PDCP状況報告を使用することによって、さらに最適化することができる。前述のように、RLC状況報告は最新ではないことがあり、すなわち、PDCP SDUの受信がRLC状況報告によって確認応答されていなかったとしても、そのPDCP SDUがハンドオーバの前に無事に送信されていることが起こり得る。したがって、ハンドオーバの後にPDCP SDUの不必要な再送信がいくらかある可能性がある。それらを避けるために、PDCP受信器は、ハンドオーバの後にPDCP状況報告をPDCP送信器に送信する。不必要な再送信が回避され得るように、PDCP状況報告は、PDCP受信器の最新の並べ替えバッファの状況を記載する。
【0157】
二重接続の範囲で、リリース8ハンドオーバまたはリリース10キャリアアグリゲーション移動事象と比較して新しい移動事象が存在する。本発明の基礎にあるいくつかの問題を説明するために、UEが二重接続する、すなわちUEがMeNBおよびSeNBにも接続を確立し、それのSeNBを変更する、移動事象に焦点を合わせる。これは、
図23に示される。SeNB変更で、すなわちMeNBは変更されず、ソースSeNB(移動事象の前に接続されたSeNB)を介して送信される無線ベアラ(本例ではEPSベアラ#1の部分としての無線ベアラ#1)は、目標SeNB(SeNB変更の後に接続されるSeNB)にマップされる。
【0158】
本発明はまた、例えば、二重接続するUEが単一接続に移る、すなわちマクロセルにのみ接続される、ことになる、他の移動シナリオにもまた適用可能であることに留意されたい。これは、
図24に示される。ソースSeNBに前にマップされたベアラは、その移動事象の後に、MeNBによって供される。本発明はまた、UEがMeNBならびにSeNBを変更する、そして単一の新しいMeNBの(すなわち新しいSeNBなしの)単一接続(図示せず)に変更し得る、ケースにも適用される。
【0159】
以下の説明では、
図23のシナリオが想定される。PDCPレイヤはMeNB内に存在する(例えば、
図22dを参照)ので、PDCPレイヤは、SeNB変更について再確立されないことになる。それに対応して、MeNBは、SeNB変更の後に、PDCP PDUを新しいSeNB2に転送する。AM DRBのSeNBでの無損失の送信もまたサポートするために、RLCレイヤによって前に確認応答されなかったPDCP SDUは、SeNB変更の後に、新しいSeNB2によって再送信される。しかし、MeNBは、SeNB変更の前にRLC/PDCP受信状況の最新の知識を有しないので、SeNB変更後の不必要なPDCP SDU再送信が結果となり得る。PDCP再確立は実行されないので、PDCP状況報告はトリガーされないことに留意されたい。