(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
多くの国々では、ガソリン又はディーゼルによって駆動される車両に対して、排気ガス中の煤粒子濃度を測定するためのセンサを規定している。煤粒子濃度を測定するための公知のセンサの検出原理は、電気伝導性の煤粒子の、電極構造体への付着を基礎にすることができる。このような電気伝導性粒子の付着は、対応する各電極間における、時間の経過に伴う電気抵抗の減少又は電流の増加において反映される。測定サイクルは、付着物のないセンサ又は剥き出しのセンサを用いて開始することができ、このセンサは、排気ガス中において電気伝導性粒子に曝される。電気抵抗が所定の閾値を下回っている間の期間を、排気ガス中の煤粒子濃度の尺度として使用することができる。電気伝導性粒子が持続的に付着した後にセンサを再び使用できるようにするために、センサを加熱して付着した煤を焼却することができ、その後、さらなる測定サイクルを開始することができる。
【0003】
例えば、電気抵抗式の発熱体にて大きな電圧及び電流を使用することによって、センサを所要の焼却温度まで加熱することができる。特に、高い電圧を供給するためには多大な電気工学的コストが必要とされる。厚いセンサは特に高い電圧を必要とするが、薄いセンサは限定的な機械的安定性しか有さないことに留意すべきである。
【0004】
本発明の開示
本発明の対象は、電気伝導性粒子を検出するための粒子センサであって、少なくとも1つの電極を備える第1の電極構造体と、少なくとも1つの電極を備える第2の電極構造体とを有し、前記第1の電極構造体及び前記第2の電極構造体は、電気絶縁性の基体の上に配置されており、前記第1の電極構造体の電極と前記第2の電極構造体の電極との間には、電位差を形成可能であり、前記基体は、前記第1の電極構造体及び前記第2の電極構造体を加熱するための発熱構造体を有し、前記発熱構造体は、前記基体によって少なくとも部分的に包囲されている、粒子センサである。
【0005】
従って、このような粒子センサは、とりわけ抵抗式の粒子センサであり、とりわけ実質的に煤粒子として炭素から構成されうる被検粒子が、とりわけ電気伝導性であるという特性を基礎にすることができる。付着した煤粒子を検出するために、電気伝導性が利用される。このために粒子センサは、第1の電極構造体と第2の電極構造体とを有し、第1の電極構造体と第2の電極構造体とはそれぞれ少なくとも1つの電極を備える。電極構造体、又は、電極構造体の電極は、電気絶縁性の基体の上に配置されている。電気絶縁性の基体はとりわけ、電気絶縁材料から成形された基体、又は、基本的には電気伝導性であるが電気絶縁性のカバー層を有する基体、とすることができる。電気絶縁性とは、本発明ではとりわけ電気抵抗率が1kΩcm以上の範囲内にある場合であると理解することができ、これに対して電気伝導性とは、とりわけ電気抵抗率が1kΩcm未満の範囲内にある場合であると理解することができる。
【0006】
さらに熱絶縁性とは、本発明ではとりわけ熱伝導率が15W/m/K以下の範囲内にある場合であると理解することができ、これに対して熱伝導性とは、とりわけ熱伝導率が15W/m/Kより大きい範囲内にある場合であると理解することができる。
【0007】
基体の上に配置された電極構造体が被検粒子を含むガス流に曝されると、この電極構造体に被検粒子が付着する。これにより、例えば適切な電圧源を設置及び接続することによって、第1の電極構造体と第2の電極構造体との間に電位差が形成されると、電流測定、電圧測定、キャパシタンス測定、及び/又は、抵抗測定を実施することができる。とりわけ目下の電流、電圧、又は抵抗の変化によって、付着した粒子に関する情報、ひいてはガス流中の粒子濃度に関する情報を供給することができる。
【0008】
この測定法は、付着した電気伝導性粒子によって、相異なる電極構造体の各電極間に電流が流れるようになるということ、又は、各電極間に存在する抵抗が減少するということを基礎とすることができる。従って、電流の増加又は電気抵抗の減少を定量化することにより、例えば電極構造体に付着した粒子に関する情報を供給することが可能となる。このことはとりわけ、時間の経過に伴う電流又は抵抗の変化を監視することによって実現することができる。
【0009】
ある特定の測定期間が経過した後には、付着した粒子をセンサ又は電極構造体から再び除去することができ、センサを再生してさらなる測定サイクルを開始することができる。このために、このような粒子センサは発熱構造体を有する。発熱構造体は、とりわけ第1の電極構造体及び第2の電極構造体を加熱するために使用され、これによってこれらの電極構造体は、付着した煤粒子を燃焼又は酸化させて当該電極構造体から除去するために充分な焼却温度まで導かれることができる。適切な焼却温度は、500℃以上の範囲内とすることができる。このために発熱構造体は、とりわけ電気伝導性かつ熱伝導性の材料から形成することができ、電気抵抗式の発熱体として使用することができる。
【0010】
発熱構造体は、基体によって少なくとも部分的に包囲することができる。換言すると、発熱構造体は、基体内に配置されており、基体又は基体材料によって少なくとも部分的に取り囲まれている。とりわけ電気絶縁性かつ熱絶縁性の材料から形成されている基体内に、このようにして発熱構造体を組み込むことによって、この発熱構造体を電気的に絶縁させることが可能となり、他方では化学的にパッシベーション化させることができる。これにより発熱構造体は、外部からの腐食作用又はその他の影響に対して安定する。発熱構造体は、アクティブな測定領域の機械的な連結部に対して特に安定しており、又は安定化されており、これによって、形成された熱が熱伝導によって例えばケーシングへと排熱されることを最小化又は防止することができる。
【0011】
このような粒子センサはさらに、特に簡単かつ低コストに製造可能である。なぜなら、とりわけ低コストのごく少数のプロセスステップしか必要とされないからである。
【0012】
とりわけ発熱構造体は、それでもなお、機械的な連結部又は固定部に対して熱絶縁されているのみならず、形成された熱をさらに良好に局在化させることが可能である。換言すると、形成された熱を、実質的に発熱構造体の周辺へと集中させることができる、又は、実質的に焼却するための熱出力を、アクティブなセンサ面又は電極構造体へと集中させることができる。なぜなら周囲環境からの熱的分離、及び、とりわけケーシングとの連結部からの熱的分離が実現されているからである。これにより、付着した電気伝導性粒子を除去するために電極構造体を特に効果的に加熱することが可能となる。従って、付着した粒子をごく小さい電圧又は電流で除去することが可能となる。これにより、粒子センサを再生するための電流及び/又は電圧の消費量を特に少なく抑えることができ、このことは粒子センサの製造において多大なコスト的利点をもたらしうる。
【0013】
発熱構造体は、例えば1W/mKの範囲内の熱伝導率を有しうる熱絶縁性の基体内に配置されているが、それにもかかわらずこの電極構造体を問題なく加熱することが可能である。なぜなら多くの場合、熱分布の勾配は、高さに比べて大きい幅又は長さに亘って、つまり基体材料の平面的な広がりに亘って生じるが、とりわけ1μmの範囲内とすることができる、電極構造体と発熱体層との間の僅かな距離にも起因して、適切な焼却温度を生じさせるための熱は、発熱構造体から高さに沿って電極構造体へと充分に到達することが可能だからである。
【0014】
従って、粒子センサのために薄膜とも呼ばれるこのような加熱可能な基体を用いることにより、例えば約5mm×5mmのような比較的大きな電気絶縁性の層又は基板であっても、電極構造体に付着した粒子の焼却を問題なく実施することができる。この場合には、充分な機械的安定性を有していて、かつ電極の再生のためにごく小さい電流又は電圧しか必要としない、非常に薄い粒子センサ又は非常に薄い基体を形成することができる。さらには、例えば電極構造体並びに発熱構造体を、例えば自動車の搭載電子機器に、熱的にも電気的にもユーザの要求に合わせて連結させることが可能となる。加熱を電極構造体の領域へと集中させることにより、例えば車両で一般的な約12Vの電圧で焼却を実施することが可能となる。
【0015】
従って、このような粒子センサは、連結部又は固定部に対して熱絶縁されている機械的に安定した電気抵抗式の発熱構造体を、基体内に含んでいる。電気抵抗式の発熱体の組み込みと、基体又は薄膜の製造とは、同じプロセスステップで実施することができる。このことにより、比較的簡単かつ低コストのプロセスステップに基づいて、煤粒子センサのためのアクティブかつ安定した基体の製造が可能となる。このために必要なプロセスは、とりわけマイクロメカニクスの分野から基本的に広く知られている。
【0016】
1つの実施形態では、前記基体を、二酸化ケイ素から形成することができ、及び/又は、前記発熱構造体を、ケイ素から形成することができる。このような材料は、マイクロメカニクスの分野で広く知られた方法によって特に簡単に加工することができるので、特に簡単かつ円熟した低コストの製造方法が可能である。これに加え、例えば二酸化ケイ素の熱伝導率はケイ素に比べて約100倍小さく、さらには良好な電気絶縁性を有しているので、二酸化ケイ素は、熱絶縁体としても電気絶縁体としても特に適している。この実施形態ではさらに、とりわけ熱による酸化プロセスに少なくとも部分的に基づいて基体を製造することができる特に簡単な製造方法が可能となる。この場合には、電気伝導性かつ熱伝導性のベース層を少なくとも部分的に電気絶縁性かつ熱絶縁性の材料に化学変化させることができ、この電気絶縁性かつ熱絶縁性の材料によって電気抵抗式の発熱体が包囲されるという点を、とりわけ利点と見なすことができる。
【0017】
別の1つの実施形態では、前記発熱構造体は、前記基体によって完全に包囲することができる。この実施形態では、熱伝導による熱損失を特に確実に低減することができる。これによって、再生している間に流れる電流、又は、再生のために印加される電圧の消費量を、特に少なく抑えることができる。この結果、このようなセンサを特に低コストに駆動及び設置することが可能となる。さらには発熱構造体を、例えば腐食作用から特に効果的に保護することが可能となる。発熱構造体が基体によって完全に包囲されているということは、とりわけ外被状に包囲されていることを意味しうる。このことは本発明ではさらに、電極構造体に隣接して配置されている、該電極構造体に対して作用すべき発熱構造体の高温領域又は被加熱領域は、基体内に完全に埋め込まれている、又は基体によって完全に包囲されているが、しかしながら、対応する端子は例えば基体によって包囲する必要はない、又は対応する端子は基体の外側に配置してもよいということを意味しうる。
【0018】
別の1つの実施形態では、前記発熱構造体は、前記基体内に配置されたメッシュ状の導体構造体を有することができる。とりわけ二次元のメッシュ状の導体構造体によって、被加熱領域を、使用場所に合わせて特に有利に適合させることができる。とりわけケイ素から形成されうるこのメッシュ状の導体構造体は、1つ又は複数の電極構造体に対応する寸法及び/又は位置を有することができる。導体構造体は、とりわけジュール熱又は電気抵抗によって加熱作用を引き起こすことができ、これにより、電圧印加又は通電によって電極構造体を公知の方法で焼却又は再生させることが可能となる。メッシュ状の構造によればさらに、広い領域を均一に加熱することが可能となり、従って、被加熱領域の長さ又は幅に亘る温度勾配は実質的に生じないか、又はごく僅かしか生じない。メッシュ状の導体構造体のさらなる利点は、対応する導体路同士が良好に相互ネットワーク化されていること、又は良好に相互接続されていることに見受けられるであろう。この結果として、例えばセンサの損傷によって個々の導体路が切断されたとしても、問題なく加熱を継続できるという利点が生じる。この場合、メッシュ構造又はメッシュ状の構造体とは、複数の導体路同士がとりわけ何度も相互接続又は相互ネットワーク化されて配置されている構造体であると理解することができる。
【0019】
別の1つの実施形態では、前記発熱構造体、とりわけ前記メッシュ状の導体構造体は、少なくとも部分的に500nm以下の範囲内にある幅を有する導体路を有することができる。とりわけメッシュ状の構造体の構成要素とすることができるこのような導体路は、電流が小さくても良好な加熱作用を引き起こすことができる。従って、この実施形態では、粒子センサを特に低コストに駆動又は電気的制御することが可能となる。この場合には、導体路は、このような幅又はこのような断面を如何なる箇所においても有さなければならないというわけではなく、導体路の延びに沿って変化する断面又は幅を有するように導体路を形成することもできる、従って導体路は、一部の領域においてのみこのような幅を有していればよい。
【0020】
とりわけケイ素からなるこのような導体路の別の利点は、電気抵抗の温度依存性の特性にあるとすることができる。例えばドーピングされた半導体の場合には、電気抵抗は、温度に関連した最大値を有する。この最大値では、外因性伝導率が真性伝導率に移行する。この最大値と、これに次ぐ電気伝導率の減少とによって、規定された温度プロフィールを調整するための制御技術的コストが増加する。この場合には、例えば高ドーピングによって、又はさらに、とりわけ500nm以下の範囲内、とりわけ100nmの範囲内にあるような非常に小さい導体断面によって、例えばいわゆる“少数電荷キャリア排除効果”に基づき、最大値の位置をより高温へとシフトさせることができる。
【0021】
別の1つの実施形態では、前記基体の温度を均一化するために、前記発熱構造体によって取り囲まれた均一化領域を設けることができ、とりわけ前記均一化領域は、電気伝導性及び/又は熱伝導性の材料から形成することができる。この実施形態では、温度を特に有利に均一化することができ、これによって電極構造体を特に均一に加熱することが可能となる。さらには温度ピークを回避することができ、これによって損傷を回避することができ、使用される所要電力を最小限にすることができる。詳細には、この均一化領域は、焼却温度を最大で+200℃まで上回る温度を有する温度プラトーが生じる平らな領域とすることができ、とりわけこの場合には、1000℃より高温の範囲内にある温度を回避することができる。このために均一化領域は、適切な平らな広がりを有することができ、とりわけ電気伝導性及び/又は熱伝導性の調整可能な材料比率を有することができる。
【0022】
別の1つの実施形態では、前記均一化領域は、前記発熱構造体によって取り囲まれた電気絶縁性の領域によって取り囲むことができる。この実施形態ではとりわけ、熱放散を所期のように調節可能に増加させることによって温度の均一化を実現することができるか、又は、電気的に生じる熱出力が所期のように局所的に使用されるように電気抵抗を調整することによって温度の均一化を実現することができる。
【0023】
別の1つの実施形態では、前記基体及び前記発熱構造体は、第1の層内に配置されており、前記電極構造体は、第2の層内に配置されており、前記第2の層は、前記第1の層の上に配置されている。従って、この実施形態では、このようなセンサは、とりわけ直接隣接可能な複数の層を有する。これによって電極構造体の層を、発熱構造体によって熱損失なく特に有利に加熱することができる。この実施形態ではさらに、粒子センサを特にコンパクトに構成することができる。これにより、このような粒子センサを非常に多岐に亘って使用することが可能となる。
【0024】
ここで、本発明の粒子センサのさらなる利点及び技術的特徴に関しては、本発明の方法に関連した説明、図面、及び、図面に基づく説明が明示的に参照される。
【0025】
本発明の対象はさらに、粒子センサ、とりわけ本発明による粒子センサを製造する方法であって、
a)ベース層と、前記ベース層の上に配置された電気絶縁層と、前記電気絶縁層の上に配置された電気伝導層とを含むベース体を準備するステップと、
b)前記電気伝導層をパターニングするために、前記電気伝導層に少なくとも1つの切欠部を設けるステップと、
c)前記電気伝導層の上に電気絶縁性のカバー層を被着させるステップと、
d)前記カバー層の上に少なくとも2つの電極構造体を被着させるステップと
を含む、方法である。
【0026】
このような方法は、とりわけ上で説明したような粒子センサを製造するために使用される。
【0027】
第1の方法ステップa)ではまず、ベース層と、前記ベース層の上に配置された電気絶縁層と、前記電気絶縁層の上に配置された電気伝導層とを含むベース体が準備される。ベース層は、とりわけ製造工程中におけるとりわけベース体の安定性のために使用することができ、厚い厚さを有しうる。ベース層の厚さは、所要の安定性に応じて、又は、電気絶縁層及び/又は電気伝導層の厚さに応じて選択することができる。例として挙げられる厚さは、約700μmの範囲内である。ベース層は、電気絶縁性及び/又は熱絶縁性とすることができるか、又は好ましくは、電気伝導性及び/又は熱伝導性とすることもできる。電気絶縁層は、例えば1μmの範囲内にある厚さを有することができる。さらには、電気絶縁層の上に配置される電気伝導層は、5μm以上100μm以下の範囲内にある厚さを有することができる。さらには、電気伝導層とベース層とが同じ材料から形成される場合には、製造技術的な観点から有利であろう。
【0028】
ベース体から出発して、さらなる方法ステップb)では、電気伝導層に少なくとも1つの切欠部、とりわけ複数の切欠部が設けられる。この1つ又は複数の切欠部は、とりわけ電気絶縁層に達する深さまで延在することができる。従って、電気絶縁層は露出されるが、電気絶縁層の厚さは変わらないか、又は実質的に変わらない。とりわけ切欠部を形成するために選択すべき方法に関連して、例えばケイ素と二酸化ケイ素とのように、これら2つの層の間で化学的特性又は物理的特性が充分に大きく異なるように選択された場合には、電気伝導層のパターニングのために、このように、所定の深さにおいて切欠部の形成が終了されうる。このようなパターニング又は切欠部の形成のために適切な方法は、例えば、切欠部を画定するためのフォトリソグラフィ方法と、これに次ぐ、電気伝導層に切欠部をパターニングするための深掘りエッチング法(Deep reactiv ion etching)である。このことは、マイクロパターニングの枠内で実施することができる。例えば深掘りエッチングでは、例えばケイ素を含む電気導電層内における切欠部の形成は、有利には、電気絶縁層との化学的な相違に基づいて明確に規定されて停止されうる。とりわけベース層とは反対側に配置された電気伝導層に切欠部を設けることによって、例えばメッシュ状の、とりわけ二次元のメッシュ状の構造体(パターニング)を得ることができる。方法ステップb)は基本的に、ベース体のパターニングのため、さらにはとりわけ複数の機能領域を形成するために使用することができる。
【0029】
さらなる方法ステップc)において、電気伝導層の上にカバー層が被着される場合には、とりわけカバー層として電気絶縁層が被着される場合には、形成された切欠部をカバー層の電気絶縁性材料によって充填することができ、これにより、カバー層の領域において実質的に平坦な輪郭平面を形成することができる。電気絶縁性かつ熱絶縁性のカバー層内に埋め込まれた電気伝導層は、以下では発熱構造体として使用することができる。電気絶縁性かつ熱絶縁性のカバー層を被着させることにより、例えばのちに電極構造体を使用した場合などに、発熱構造体によって形成された熱が良好に局在化されるようにこの発熱構造体を絶縁させることができる。電気絶縁性のカバー層は、さらなる別の電気絶縁層と一緒に、発熱構造体を少なくとも部分的に包囲する1つの基体を形成することができる。
【0030】
さらなる方法ステップd)では、カバー層の上に電極構造体を被着させることができる。形成された熱を電極構造体へと集中させることが可能となるように、発熱構造体が内部に配置された領域にて電極構造体を被着させると有利であろう。そうして、このようにして製造されたセンサを測定領域として使用する際に、これらの電極構造体を、電気伝導性粒子を検出するために使用することができ、測定サイクルの後には、発熱構造体によって再生させることができる。電極構造体の被着は、例えば白金、タングステン、又は炭化ケイ素のような高融点の化学的に不活性な材料を、例えば蒸着又はスパッタリングのように物理蒸着及び/又は化学蒸着することによって実施することができる。
【0031】
上述した方法によって基体層内に発熱構造体を組み込むことが可能となり、しかも、ごく少数のプロセスステップしか必要なくなる。このことは、広く知られたとりわけマイクロ技術において円熟した方法を使用することによって実現することができる。さらには基体を適切に選択することによって発熱構造体を基体内に組み込むことができるので、その後の発熱構造体の蒸着及びパターニングが省略される。
【0032】
1つの実施形態では、前記電気伝導層として、化学変化可能な層を使用することができ、前記電気伝導層の化学変化によって前記電気絶縁性のカバー層を形成することができる。例えば、化学変化は、酸化又は酸化物層の形成を含むことができるか、又は、化学変化は、窒化又は窒化物層の形成を含むことができる。電気絶縁層はさらに、例えば化学気相蒸着によって簡単に被着させることもできる。本発明においてはとりわけ、いずれにせよ既存の化学変化可能な又は被酸化性の電気伝導層を、例えば800℃以上1200℃以下の高温で酸化性環境に曝し、それと時間的に同時に酸素又は水蒸気を添加することによって、酸化物層を形成することができる。これによってカバー層を、特に簡単な方法で、すなわち良好に制御可能な電気伝導性材料の酸化によって、被着させることができる。この場合には、設けられた切欠部が酸化によって閉鎖されるということを、とりわけ利点とすることができる。なぜなら、酸化物は一方では被酸化性材料の内側へと成長し、他方では外側へと成長するからである。さらには、電気伝導層内の全ての溝部が酸化物層によって閉鎖されると、酸化は自動的に終了し、これによってプロセス技術的な利点がもたらされうる。若しくは、プロセスが終了されるとすぐに、酸化が自動的に終了する。このようにすると、本方法において切欠部を設けることによって形成された構造体の上に、カバー層を特に簡単に被着させることが可能となり、しかも、マスク等を使用する必要はなくなる。というのは、酸化の場所又はカバー層の被着位置は、方法ステップb)における構造体の構成によって予め正確に規定されるからである。同じことが、電気伝導層の窒化にも当てはまる。例えば窒化ケイ素層を形成するための窒化に適した反応条件は、シラン及びアンモニアを添加して、500℃以上1000℃以下の範囲内の温度を含みうる。
【0033】
この関連において、電気伝導層を電気絶縁層に適切に化学変化させたことにより、この変換中に電気導電層の材料が消費され、1μm以上の寸法を有していた構造体が、100nmの電気伝導性の構造体に変化しうるということに言及すべきである。変化中に構造体の高さは幅に比べて僅かにしか小さくならないので、これによって1:200(幅対高さ)の極めて高いアスペクト比を有する構造体を形成することができる。
【0034】
この実施形態では、上述した方法により、とりわけ20μm以上の厚さを有する電気絶縁性かつとりわけ熱絶縁性の層も、化学変化によって特に有利に被着させることが可能となる。このことは、従来技術から公知の方法に比べて有利である。なぜならこの場合には、例えば従来のような酸化によれば、技術的に有意に実現可能な3μmまでの層厚さが実現され、又は、とりわけ例えば化学蒸着のような蒸着によれば、10μmのより厚い層厚さが実現されるからである。
【0035】
別の1つの実施形態では、前記ベース層及び/又は前記電気伝導層をケイ素から形成することができ、及び/又は、前記電気絶縁層を二酸化ケイ素から形成することができる。この実施形態では、ベース体は、いわゆる“シリコン・オン・インシュレータ(SOI)”のベース体とすることができるか、又は、エピタキシャル成長させたケイ素とすることができるか、又は非常に低コストの選択肢として、酸化した基体上の多結晶ケイ素層とすることができる。ケイ素から形成される各層は、例えばリン、ホウ素、ヒ素などによって互いに別個に高ドーピングすることができ、これによって非常に良好な電気伝導性を有することができる。これらの層はさらに、電気絶縁性材料、とりわけ二酸化ケイ素からなる比較的薄い層によって互いに分離されている。従って、この実施形態では、とりわけ低コストの問題なく得られる公知のベース体を使用することができ、このことによって製造方法を、特に簡単かつ低コストに構成することが可能となる。
【0036】
別の1つの実施形態では、前記少なくとも1つの切欠部を、とりわけ円周状に閉じられた円形の開口部として形成することができる。円形の開口部は、特に簡単に形成することができる。さらには、円形の開口部を形成することにより、粒子センサの発熱構造体に特に適したメッシュ状の導体構造体を特に簡単に形成することができる。メッシュ状の導体構造体は、方法ステップb)でのパターニングの際に除去されなかった、開口部に隣接して残存する材料の少なくとも一部によって形成することができる。とりわけ本発明では、複数の円形の開口部を設けることができる。但し、本発明においては、完全には円周状に閉じられていない開口部が設けられうることは排除されていない。さらには、これらの開口部は、例えば2μm以上3μm以下の範囲内の直径を有することができる。
【0037】
別の1つの実施形態では、六方格子状に配置される複数の切欠部、とりわけ複数の円形の開口部を形成することができる。とりわけ開口部、又はとりわけ円形の開口部を六方格子状に配置した場合、又は、六方格子状に開口部を配置した場合には、等方性構造を得ることができる。このような等方性構造は、とりわけ例えば異方性応力に対する構造体の安定性を向上させる。なぜなら、一義的な優先方向が存在しないからである。このような等方性によってさらに、均一な酸化成長も可能となる。なぜなら、結晶方向の配向が必要ないからである。
【0038】
さらには、発熱体を基体層内に組み込むために、完全な酸化を省略することができる。六方格子状の配置とは、とりわけ六方結晶構造の平面図に即した配置を意味しうる。
【0039】
本発明の方法のさらなる利点及び技術的特徴に関しては、本発明の粒子センサに関連する説明、図面、及び、図面の詳細な説明が明示的に参照される。
【0040】
図面及び実施例
本発明の各対象のさらなる利点及び有利な実施形態を図面によって示し、以下の記載において説明する。但し、これらの図面は、説明する目的でのみなされたものであり、いかなる形であっても本発明を限定することは意図されていないことに留意すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1には、本発明による粒子センサ10が示されている。このような粒子センサ10は、例えば自動車の排気系内に配置することができる。この場合、このような粒子センサ10は、例えば自動車の排気系内に配置された粒子フィルタの機能、又は粒子排出量を検出することができる。
【0043】
従って、このような粒子センサ10は、とりわけ電気伝導性粒子を検出するために使用される。粒子センサ10は、とりわけ少なくとも1つの電極12を備える第1の電極構造体14と、少なくとも1つの電極16を備える第2の電極構造体18とを有することができる。この場合には、第1の電極構造体14と第2の電極構造体18とが1つの電極システム20を構成している。電極システム20又は電極構造体14,18は、
図1に図示されているような、櫛形に互いに噛み合うすだれ状電極からなるシステムを構成することができる。第1の電極構造体14及び第2の電極構造体18は、電気絶縁性の基体22の上に配置されている。第1の電極構造体14の電極12と第2の電極構造体18の電極16との間には、電位差を形成することができる。このために例えば、図示しない電圧源12を電極12,16に接続させることができる。とりわけ煤粒子のような、ガス流中に存在する粒子を検出するために、相異なる電極構造体14,18の間の電位差に基づいて形成された電流又は抵抗又はキャパシタンスを求めることができる。このために電極構造体14,18は、電気端子又は導電線24,26に接続されている。
【0044】
所定の測定サイクル又は所定の測定期間の経過後に、付着した粒子を電極構造体14,18から再び除去するために、粒子センサ10は発熱構造体28を有する。発熱構造体28はとりわけ、付着した粒子を酸化させて電極構造体14,18から除去することが可能となる焼却温度まで、第1の電極構造体14又は第2の電極構造体18を加熱するために使用される。従って、電極システム20全体を有利に再生できるようにするために、発熱構造体28をとりわけ電極構造体の寸法又は位置又は面積に合わせて適合させることができ、ひいては、発熱構造体28を電極システム20の面積に一致する面積又はそれ以上の面積を有するように構成できることは、当業者には自明である。場合によってはこの発熱構造体28を、後で詳細に説明するように、局所的に均一化領域56によって置き換えることができる。
【0045】
発熱構造体28は、とりわけ基体22によって少なくとも部分的に、とりわけ完全に、例えば外被状に包囲することができる。このことはとりわけ、
図1の線分A−A’に沿った断面図を示す
図2に図示されている。
【0046】
図2では、発熱構造体28が基体22の内部に配置されていること、又は、発熱構造体28が基体22の材料によって完全に包囲されていることが見て取れる。
【0047】
基体22は、例えば二酸化ケイ素から形成することができ、これに対して発熱構造体28は、ケイ素から形成することができる。これに代わる基体22用の材料には、例えば窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は酸化チタンが含まれ、これに対して発熱構造体28用の代わりとなる材料には、とりわけ1000℃を上回る融点を有する金属、例えばチタンが含まれうる。さらには、電極システム20又は電極構造体14,18は、白金、タングステン、及び炭化ケイ素から形成することができる。
【0048】
図2ではさらに、基体22及び発熱構造体28が第1の層30に配置されており、電極構造体14,18が第2の層32に配置されていることが見て取れる。第2の層32は、第1の層30の上に配置することができる。第1の層30の下に配置された第3の層34にはさらに、とりわけ粒子センサ10を固定して電気的にコンタクトさせるための機械的な連結部36を配置することができる。
【0049】
このような粒子センサ10の製造方法は、以下の
図3から
図6に示されている。
【0050】
図3によれば、方法ステップa)において、ベース層40と、ベース層40の上に配置された電気絶縁層42と、電気絶縁層42の上に配置された電気伝導層44とを含むベース体38が準備される。
図3aは、ベース体38の断面図を示しており、これに対して
図3bは、ベース体38又は電気伝導層44の平面図を示している。電気伝導層44及びベース層40は、双方ともケイ素から形成することができる。この場合に、ケイ素を例えば高ドーピングすることができる。例えばケイ素は、例えばリン、ホウ素、及びヒ素のようなドーピング材料を有することができ、そのドーピング濃度は、ケイ素の飽和限界まで到達してもよい。これによって特に良好な電気伝導性を実現することができる。これに代わるベース層用の材料には、例えば石英、鋼、及びチタンが含まれる。電気絶縁層42は、とりわけ二酸化ケイ素から形成することができる。
【0051】
ベース層40が、上側の電気伝導層44と同じ材料から形成される場合には、プロセス制御が統一されていることに基づき、プロセス技術的な観点からこのことは有利である。なぜなら、実質的に同じ処理ステップを使用することができるからである。
【0052】
図4によれば、さらなる方法ステップb)において、ベース体38の表面、又は、とりわけ上側の電気伝導層44がパターニングされる。このために例えばフォトリソグラフィ方法と、これに次ぐ、深掘りエッチング方法とを実施することができる。とりわけ方法ステップb)において、電気伝導層44内に少なくとも1つの、とりわけ複数の切欠部46を設けることができる。この場合にはこの電気伝導層44を、例えば実質的に3つの異なる機能領域に分けることができる。
【0053】
第1の機能領域i)では、電気伝導層44を、パターニングすることなく実質的に完全に除去することができる。このことは、非常に大きな寸法の切欠部46aを設けることによって実現することができる。第1の機能領域i)において、電気伝導層44の電気伝導性材料、とりわけケイ素を完全に除去することよって、基体22への熱的結合を低減することが可能となる。この領域では、電気加熱も行われない。従って、このパターニングによって、電気による熱出力を所期のように他の領域へと転じさせることが可能となる。しかしながらこのパターニングは、電気絶縁性材料層、とりわけ二酸化ケイ素薄膜の機械的安定性の低下との関連において設計しなければならない。換言すると、粒子センサ10が充分な安定性を有するように注意すべきである。
【0054】
さらなる機能領域ii)には、パターニングされた切欠部46bを設けることができ、これらの切欠部46bの間には突出部48が残存する。突出部48は、粒子センサ10がのちに機能する際に発熱構造体28として使用することができ、とりわけメッシュ状の構造体(パターニング)として形成されている。とりわけ
図4bでは、この領域ii)において切欠部46bが、少なくとも部分的に閉じられた円形の開口部として形成されており、これらの開口部が互いに六方格子状の配置で構成されていることが見て取れる。しかしながら、これらの開口部がさらに、とりわけ六方格子状に配置された円形の開口部とは異なる別の形状を有することも基本的には可能である。従って、とりわけハニカム構造又はハニカムホール構造の開口部を形成してもよい。さらには、例えば正方形、線形、長方形、又はらせん形の構造も考えられる。但し、この列挙が網羅的なものであるとは理解すべきではない。従って、この領域ii)では、とりわけ二酸化ケイ素層のような比較的厚い電気絶縁材料層の製造と、この層内に含まれる又はこの層内に埋め込まれる発熱構造体28の製造とを、1つ又は2つのプロセスステップで実施することができる。このことにより、プロセス技術的な格別の利点を奏することができる。
【0055】
さらなる機能領域iii)は、電気伝導層44の未処理の材料の領域50を実質的に含み、粒子センサ10が機能する際には、例えば発熱構造体28及び/又は電極システム20の電気端子24,26又は電気接続部として使用することができる。電気伝導層44のこの領域50は、他方では、基体22上又は基体22内の温度分布を特に均一にするために使用することができる。この領域iii)では、表面は酸化されるがパターニングは存在しないので、パターニングされずに充分な厚さを有する電気伝導性層が残存する。従って、この領域は、とりわけケイ素領域のように、とりわけ高い熱伝導性及び高い電気伝導性を有する領域として残存することができる。この場合には、残存するケイ素は、電気絶縁層42を介してベース層40又はバルクから電気的かつプロセス技術的に分離されている。化学変化から生じたカバー層52をさらに、別の1つの絶縁層を追加的に蒸着させることによって補強することができ、これによってカバー層52を平坦にすることができる。
【0056】
複数の、とりわけ3つの異なる機能領域i),ii),iii)を、上述したように1つのプロセスフローで実現するための基本的な手段は、とりわけ二酸化ケイ素のような電気絶縁層の完全に平坦な蒸着とは著しく異なっている。むしろ、個々の機能領域に関連して既に説明したように、簡単に適用可能な方法によって特に簡単に、個々の機能領域に対して特有の特性を割り当てることができる。但し、各機能領域の構成は、図示した構成に限定されているわけではない。このことは、方法ステップc)に関連して以下に説明するように、とりわけ基体材料である電気絶縁層の、酸化による形成に関連して実現される。1μm以上の特に厚い二酸化ケイ素層を、非常に厳密に調整することができ、これにより、残存するケイ素構造体のために正確なプロセス制御を調整することができる。
【0057】
さらなる方法ステップc)では、
図5a及び5bに図示されているように、電気伝導層44又は電気伝導層44から形成された例えば突出部48又は50のような構造体の上に、電気絶縁性のカバー層52を被着させることができる。これらの突出部48又は50は、単に概略的に図示したが、もちろん層52の下側に存在している。電気絶縁層52は、電気伝導層44のうちの、方法ステップb)で残された領域の上に被着させることができる。例えば電気伝導層44が被酸化性の層である場合には、とりわけ熱酸化プロセスによって電気絶縁層52を形成することができる。とりわけ電気伝導性材料としてケイ素を使用する場合には、例えばとりわけ二酸化ケイ素を形成するための熱酸化プロセスによって、電気絶縁性のカバー層52を形成することができる。このような酸化物層の成長は、とりわけ方法ステップb)で設けられた切欠部46の寸法及びパターン、例えば円形の開口部の直径及び位置、に応じて実施することができる。例えばこのような実施形態によれば、被酸化性材料がこれ以上露出しなくなると、又は、酸化性雰囲気に充分に近い距離範囲内に被酸化性材料がこれ以上存在しなくなると、酸化プロセスを自動的に終了させることができる。なぜなら、酸化物層が500nmより厚くなると、この酸化物層を介した拡散は、酸化速度を著しく制限するからである。従って、例えば3μm未満の充分に近い距離範囲内に被酸化性材料が存在する場所でのみ、酸化が行われうる。このことによって例えばマスクを使用することなく、規定されたパターニングが可能となる。
【0058】
この方法ステップc)では、酸化プロセスは有利である。というのは、例えば二酸化ケイ素のような酸化物は、例えばケイ素のような被酸化性材料の中へと成長するだけでなく、酸化物層の一部をさらに外側へも成長させるからである。例えば、その結果として生じるとりわけ二酸化ケイ素層のような酸化物層は、例えば45%がケイ素の中へと成長し、55%がケイ素から外側へと成長する。ここで、例えば円形の開口部の直径のような、切欠部46の形状及び/又は寸法と、切欠部46のとりわけ六方最密配置とを選択した場合には、領域ii)にて、閉鎖された二酸化ケイ素層を生じさせることができ、この二酸化ケイ素層の中心部には、とりわけ高ドーピングされたケイ素からなる微細なメッシュが埋め込まれており、メッシュ状の発熱構造体28として使用することができる。
【0059】
従って、先行する方法ステップにおいて設けられた切欠部46を再び閉鎖することができ、個々の突出部48は、それぞれの構成又は厚さに応じて部分的又は完全に、とりわけ二酸化ケイ素のような酸化物に変化することができる。このようにして、例えば20μmの厚さを有しうる厚い酸化物層を形成することができる。この場合には、例えばこのような厚さを有する酸化物層は、基体22全体のため、又は、粒子センサ10全体のために使用することができ、個別化されたアイランド領域に縮小する必要はない。さらには、1つの基体22を複数の電気絶縁層42,52から形成することができるということは当業者には自明である。
【0060】
従って、この方法ステップにおいて、とりわけ電気伝導性材料のメッシュ状の構造体を形成することができる。このことは例えば
図6aに図示されている。
図6aでは、とりわけ発熱構造体28として使用可能なメッシュ状の電気伝導性の構造体が、例えば二酸化ケイ素からなるとりわけ六方格子状に配置された円形の開口部と、これらの開口部の周囲に形成された電気伝導性材料とによって形成されている様子が見て取れる。メッシュ状の導体構造体は、基体22内に配置することができる。この導体構造体はさらに、少なくとも部分的に500nm以下の範囲内又は100nmの範囲内にある厚さを有する導体路を有することができる。例えばこの厚さは、例えば円形の構造体同士の間に配置されている最も小さい導体路が有しうる。これによって、これらの導体路は、少なくとも局所的又は部分的に高い電気抵抗を示し、従って、発熱構造体28のための電気抵抗式の発熱体として使用することができる。
【0061】
図6にはさらに、さらなるオプションの方法ステップが図示されている。この方法ステップでは、ベース層40の一部分54を、例えば裏面の深掘りエッチングによって除去することができる。この場合には、電気絶縁層42以外の材料だけを除去すると有利であり、従って、電気絶縁層42は実質的に変化することなく残存し、この領域にて露出される。
【0062】
この場合にベース層40を除去する利点は、発熱構造体28によって形成された熱が、とりわけ厚いこのベース層40へと排出され得なくなるので、所望の範囲に加熱を局在化させることができるということにあろう。これによってこのような粒子センサ10は、特に低エネルギで発熱することができ、使用される電圧又は電流の消費量を少なく抑えることができる。
【0063】
さらなる方法ステップd)ではさらに、少なくとも2つの電極構造体14,18を含む電極システム20を、電気絶縁層52又は基体22の上に被着させることができる。この方法ステップ自体は公知であり、例えば蒸着及びパターニングによって実現することができる。この方法ステップd)は、図面には詳細には図示されていない。
【0064】
図7には、粒子センサ10の別の実施形態が図示されている。
図7は、発熱構造体28によって生じた基体22の温度を均一化するために、基体22の例えば中央の領域に、該基体22の均一化領域56が設けられうる様子を示している。この均一化領域56は、メッシュ状の発熱構造体28によって取り囲むことができる。この実施形態では、とりわけケイ素のような熱伝導性及び/又は電気伝導性の材料の非パターニング領域によって、電気による熱出力を均一化することができる。というのは、均一化領域56は、電気抵抗が小さく熱伝導性が高い領域を含むからである。この領域では、とりわけ熱抵抗が小さいので、熱が良好に伝わることができるか、又は、発熱構造体28の内部の基体22内で熱が良好に分散することができる。さらには電気抵抗が小さいので、ごく僅かな電気加熱しか行われない。
【0065】
この場合には、均一化領域56をさらに電気絶縁性のフレーム58によって取り囲むことができる。
図8に図示されているように、この電気絶縁性のフレーム58は、閉じられた輪郭を有する溝部に相当し、メッシュ状の発熱構造体と同じ深掘りパターニングプロセスにて製造される。とりわけ二酸化ケイ素から形成されるこの電気絶縁性のフレーム58自体を、発熱構造体28によって取り囲むことができる。この実施形態では、基体22内の温度を、とりわけケイ素面の高い熱伝導性によって均一化することができるが、但し、電気抵抗が小さく低減されている場合のみである。この領域では、とりわけ本当に熱が必要とされる領域へと熱を集中させることができる。
【0066】
従って、
図7及び8による実施形態では、高い熱伝導性を有するケイ素は、例えば
図7によれば、電気抵抗による熱出力と熱放散との適切な分配によって、又は
図8によれば、専ら熱放散によって、電気絶縁層42又は二酸化ケイ素薄膜上における温度分布を均一にすることができる。中央領域の良好な熱絶縁性に基づき、熱的により良好に結合されている薄膜周縁部よりも高温が生じうるので、このような温度の均一化は有利であろう。
図7及び8に図示された均一化領域56は、例えば10μm以上20μm以下の範囲の寸法を有することができる。唯1つの均一化領域56を、例えば基体22又は発熱構造体28の中心部に設けてもよいが、又は、基体22内の温度を均一化するため若しくは均一に分布させるために、適切に配置可能な複数の均一化領域56を設けてもよい。