(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
[膜剥がれの発生に関する考察]
上述の非流動性樹脂を用いたパネル部同士の接合は、次のような工程を経てなされる。
(工程a) 一方のパネル部(例えば、第2パネル部)に非流動性樹脂を形成する。
(工程b) 非流動性樹脂の残りの主面に、もう一方のパネル部(例えば、第1パネル部)を貼着する。
(工程c) 非流動性樹脂に対して、加熱もしくは光照射を行うことで流動性を付与した後、硬化させることにより、パネル部同士の貼り合わせが完了する。
【0015】
上記において、(工程a)および(工程b)を減圧雰囲気下で実行することにより、非流動性樹脂と両パネル部との間が隙間なく接する状態となる。
【0016】
通常、表示パネルの構成に含まれる2枚のパネル部の内の少なくとも一方においては、その対向主面が凹凸形状となっている。このため、上記(工程c)において、樹脂に流動性を付与した際に、パネル部同士の間の樹脂の密度が領域毎に異なる。具体的には、パネル部同士の間隔が狭い領域では、密度が高く、間隔が広い領域では、密度が低い。この密度分布により圧力差が生じ、間隔が狭い領域から広い領域へと樹脂が流動することになる。
【0017】
このような樹脂流動は、パネル部の対向表面側に存在する膜体(例えば、有機EL表示パネルの場合、ELパネル部における封止層や電極層、あるいは有機EL層など)にせん断力が加わる原因となる。そして、せん断力がある程度以上大きくなった場合には、膜剥がれが生じるものと考えられる。
【0018】
パネル部における膜剥がれは、表示品質の低下に直結するものであり、貼り合わせ工程の実行に際して、膜体に加わるせん断力を出来るだけ小さくすることが、表示パネルの表示品質を高める上で重要となる。
【0019】
[本発明の各態様]
本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法は、一方の主面である第1主面が凹凸形状を有する第1パネル部を準備する工程と、第2パネル部を準備する工程と、前記第2パネル部における一方の主面である第2主面に、一方の主面が接するようにシート状の第1非流動性樹脂を配置する工程と、前記第1非流動性樹脂の他方の主面に、一方の主面が接するようにシート状の第2非流動性樹脂を配置する工程と、前記第2非流動性樹脂の他方の主面に、前記第1パネル部の前記第1主面が接するように前記第1パネル部を配置する工程と、前記第1および第2非流動性樹脂に対して加熱もしくは光照射を行って樹脂に流動性を付与した後、硬化させることにより、前記第1および第2非流動性樹脂からそれぞれ第1および第2封止樹脂層を形成する工程と、を備え、前記第1および第2封止樹脂層を形成する工程で前記加熱もしくは光照射を行う前において、前記第2非流動性樹脂の粘度は、前記第1非流動性樹脂の粘度よりも低い。
【0020】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第1非流動性樹脂を配置する工程と、前記第1パネル部を配置する工程とは、ともに減圧雰囲気下で実行され、当該両工程を実行した後において、前記第2非流動性樹脂は、前記第1パネル部の第1主面の凹凸形状における凸部の頂部および凹部の底部を含む前記第1主面の全体に接しており、前記第1非流動性樹脂は、前記第2パネル部における前記第2主面の全体に接している。
【0021】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第1非流動性樹脂の粘度と前記第2非流動性樹脂の粘度との差が1000Pa・s以上である。
【0022】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第1非流動性樹脂の粘度は、35000Pa・s以下であり、前記第2非流動性樹脂の粘度は、15000Pa・s以上である。
【0023】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第1パネル部は、基板と、当該基板上に位置し平面視において互いに隣接する発光領域および非発光領域とを有し、前記第1主面の凹凸形状における凹部が前記発光領域に相当し、前記第1主面の凹凸形状における凸部が前記非発光領域に相当する。
【0024】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第2パネル部の前記第2主面は、前記第1パネル部の前記第1主面よりも平坦である。
【0025】
本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法は、一方の主面である第1主面が凹凸形状を有する第1パネル部を準備する工程と、第2パネル部を準備する工程と、前記第2パネル部における一方の主面である第2主面に、一方の主面が接するようにシート状の第1非流動性樹脂を配置する工程と、前記第1非流動性樹脂の他方の主面に、一方の主面が接するようにシート状の第2非流動性樹脂を配置する工程と、前記第2非流動性樹脂の他方の主面に、第3非流動性樹脂を配置する工程と、前記第3非流動性樹脂における前記第2非流動性樹脂が接する主面とは反対側の主面に、前記第1主面が接するように前記第1パネル部を配置する工程と、前記第1、第2および第3非流動性樹脂に対して加熱もしくは光照射を行って樹脂に流動性を付与した後、硬化させることにより、前記第1、第2および第3非流動性樹脂からそれぞれ第1、第2および第3封止樹脂層を形成する工程と、を備え、前記第1、第2および第3封止樹脂層を形成する工程で前記加熱もしくは光照射を行う前において、前記第3非流動性樹脂の粘度は、前記第1非流動性樹脂もしくは前記第2非流動性樹脂の粘度の少なくとも一方よりも低い。
【0026】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第3非流動性樹脂の粘度と前記第1非流動性樹脂の粘度との差が1000Pa・s以上である。
【0027】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、前記第3非流動性樹脂の粘度は、35000Pa・s以上である。
【0028】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、基板と、当該基板上に位置し平面視において互いに隣接する発光領域および非発光領域とを有し、前記第1主面の凹凸形状における凹部が前記発光領域に相当し、前記第1主面の凹凸形状における凸部が前記非発光領域に相当する。
【0029】
本発明の一態様に係る表示パネルは、一方の主面である第1主面が凹凸形状を有する第1パネル部と、前記第1パネル部における前記第1主面に対して、互いに間隔をあけた状態で対向配置された第2パネル部と、前記第1パネル部と前記第2パネル部との間に配置され、一方の主面が前記第1パネル部の前記第1主面と接するシート状の第2封止樹脂層と、前記第2パネル部と前記第2封止樹脂層との間に配置され、一方の主面が少なくとも前記第2封止樹脂層と接するシート状の第1封止樹脂層と、を備え、前記第1封止樹脂層および第2封止樹脂層は、前記第1パネル部と前記第2パネル部との間に配置される形態において前記第2封止樹脂層の粘度が前記第1封止樹脂層の粘度よりも低くなる状態を経て形成される。
【0030】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第2パネル部の一方の主面である第2主面は、凹部の底部よりも凸部の頂部が前記第1パネル部側に張り出した凹凸形状を有しており、さらに、前記第2封止樹脂層と前記第1パネル部との間に配置され、一方の主面が前記第1封止樹脂層の前記第2主面と接し、且つ、他方の主面が前記第2パネル部の前記第2主面に接する第3封止樹脂層を備え、前記第1封止樹脂層、前記第2封止樹脂層、および前記第3封止樹脂層は、前記第1パネル部と前記第2パネル部との間に配置されている形態において前記第3封止樹脂層の粘度が前記第2封止樹脂層の粘度よりも低くなる状態を経て形成される。
【0031】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの製造方法の特定の局面では、基板と、当該基板上に位置し平面視において互いに隣接する発光領域および非発光領域とを有し、前記第1主面の凹凸形状における凹部が発光領域に相当し、前記第1主面の凹凸形状における凸部が非発光領域に相当する。
【0032】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第1パネル部および前記第2パネル部を平面視する場合に、前記第2パネル部における前記第1パネル部の前記非発光領域に対応する領域を非発光対応領域とするとき、前記第2パネル部の前記第2主面の前記凹部は、前記非発光対応領域内に設けられている。
【0033】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第1パネル部および前記第2パネル部を平面視する場合に、前記第2パネル部における前記第1パネル部の前記非発光領域に対応する領域を非発光対応領域とするとき、前記第2パネル部における前記第2主面の前記凸部は、前記非発光対応領域内に設けられている。
【0034】
また、本発明の一態様に係る表示パネルの特定の局面では、前記第2パネル部は、基板と、当該基板に対して形成されたカラーフィルタ層と、当該カラーフィルタ層に隣接して形成されたブラックマトリクス層とを有してなるカラーフィルタパネルである。
【0035】
[実施の形態1]
1.表示装置の概略構成
本発明の実施の形態に係る表示装置1の概略構成について、
図1および
図2を用い説明する。
【0036】
図1に示すように、表示装置1は、有機EL表示パネル(以下では、単に「表示パネル」と記載する。)10と、これに接続された駆動・制御部20とを備えている。表示パネル10は、有機材料の電界発光現象を利用したパネルであり、複数の画素部を有する。
【0037】
図2に示すように、表示パネル10では、X−Y方向に二次元配置された複数のサブピクセル100R,100G,100Bを備える。隣接配置されたサブピクセル100R,100G,100Bで一のピクセル100が構成されている。
【0038】
図1に戻って、駆動・制御部20は、4つの駆動回路21〜24と制御回路25とから構成されている。
【0039】
なお、表示装置1における表示パネル10と駆動・制御部20との配置関係については、
図1の形態には限定されない。また、駆動・制御部20が備える回路についても、
図1に示す形態に限定されない。
【0040】
また、ピクセル構成については、
図2に示すようなR,G,Bの3色のサブピクセルからなる形態に限定されず、4色以上から一のピクセルが構成されることとしてもよい。
【0041】
2.表示パネルの構成
表示パネル10の構成について、
図3から
図6を用い説明する。なお、ここでは、第1パネル部としてELパネル部を用い、第2パネル部としてCFパネル部を用いて説明する。
【0042】
先ず、
図3に示すように、基板111上に複数の膜体111〜117が積層形成されてなるELパネル部11と、基板121上に層122,123が積層形成されてなるカラーフィルタ(CF)パネル部12とが、間に封止樹脂層13を挟んだ状態で対向配置されている。
【0043】
封止樹脂層13は、ELパネル部11におけるZ軸方向下側主面(第1主面)と、CFパネル部12におけるZ軸方向上側主面(第2主面)との双方に対して接している。封止樹脂層13は、ELパネル部11とCFパネル部12との接合の役割の他、外部からの水分や空気などがELパネル部11に対して侵入することを抑制する役割も果たす。
【0044】
(1)ELパネル部11の構成
図4(a)、(b)に示すように、ELパネル部11は、基板111の一方の主面(Z軸方向下側の主面)に層間絶縁膜112が積層されている。基板111は、TFT層を有するものである(図示を省略。)。層間絶縁膜112は、電気的な絶縁の役割と、TFT層による基板111表面の凹凸の影響を抑制するための平坦化膜としての役割も担っている。
【0045】
層間絶縁膜112上には、各サブピクセル100R,100G,100B単位で、アノード113が形成されている。
図4(a)、(b)に示すように、アノード113は、X軸方向に比べてY軸方向の長さが長い形状を有している。
【0046】
隣り合うアノード113同士の間には、バンク114が立設されている。バンク114は、アノード113の上の一部に重なるように、その周囲を囲繞するように設けられており、各サブピクセル100R,110G,100Bとなる部分の凹部を規定する。なお、
図4(a)、(b)などでは、バンク114の側面が垂直に立ち上がった断面形状としているが、これは便宜上のものであって、実際には斜面となる場合もある。即ち、バンク114は、台形状の断面形状を有することもできる。
【0047】
バンク114により規定された凹部内においては、アノード113上に有機発光層115が積層形成されている。本実施の形態においては、有機発光層115は、各サブピクセル100R,100G,100B毎に対応する波長域の光を出射する層である。
【0048】
なお、本実施の形態では、アノード113と有機発光層115とが互いに接した構成を一例として採用しているが、層間にホール注入層やホール輸送層などが介挿された構成を採用することもできる。
【0049】
有機発光層115上には、カソード116および封止層117が順に積層形成されている。カソード116および封止層117は、ELパネル部11全体に連続した状態で形成されており、バンク114の頂部の上にも形成されている。このため、封止層117の表面、即ち、ELパネル部11のZ軸方向下側の表面は、バンク114の頂部に相当する部分がZ軸方向下向きに凸部117aとなり、バンク114同士の間に相当する部分がZ軸方向上向きに凹んだ凹部117bとなっており、全体として凹凸形状となっている。換言すると、ELパネル部11におけるZ軸方向下側主面には、凹凸ギャップG
e1が存在する。
【0050】
なお、本実施の形態では、有機発光層115とカソード116とが互いに接した構成を一例として採用しているが、層間に電子注入層や電子輸送層などが介挿された構成を採用することもできる。
以上の構成により、ELパネル部11は、基板111と、基板111上に位置し平面視において互いに隣接する発光領域および非発光領域とを有し、発光領域は非発光領域に対して凹となるように配置される。また、ELパネル部11の一方の主面である第1主面の形状には、発光領域と非発光領域とがなす凹凸形状が反映されている。
【0051】
(2)CFパネル部12の構成
図5に示すように、X−Y方向での平面視において、CFパネル部12では、赤色のカラーフィルタ層(R−CF層)122R、緑色のカラーフィルタ層(G−CF層)122G、青色のカラーフィルタ層(B−CF層)122BがX−Y方向に二次元配置されている。各カラーフィルタ層122R,122G,122Bの配置は、サブピクセル100R,100G,100Bに対応している(
図2を参照)。そして、各カラーフィルタ層122R、122G、122Bの平面形状も、サブピクセル100R,100G,100Bに対応して、X軸方向に比べてY軸方向が長い矩形状となっている。
【0052】
図6(a)、(b)に示すように、隣り合うカラーフィルタ層(以下、「CF層」と記載することがある。)122同士の間には、ブラックマトリクス層(以下、「BM層」と記載することがある。)123が形成されている。CF層112の周縁部は、BM層123の上に乗り上げた状態となっている。
【0053】
BM層123は、表示パネル10における表示面への発光の照り返しや、外光の入射を抑制し、表示コントラストの向上を図る目的で設けられた黒色層である。
図3に示すように、CFパネル部12におけるBM層123は、ELパネル部11におけるバンク114に対応(対向)した状態で形成されている。
【0054】
図6(a)、(b)に示すように、CFパネル部12においては、基板121の表面を基準とした場合におけるBM層123の上面123aまで高さ(厚み)は、CF層112の上面122aまでの高さ(厚み)と同じである。すなわち、CFパネル部12におけるZ軸方向上側主面は、ELパネル部11におけるZ軸方向下側主面よりも平坦である。
【0055】
3.表示パネル10の各構成材料
(1)基板111,121
基板111,121の構成材料としては、例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板、硫化モリブデン、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、マグネシウム、鉄、ニッケル、金、銀などの金属基板、ガリウム砒素基などの半導体基板、プラスチック基板等を採用することができる。
【0056】
プラスチック基板としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂いずれの樹脂を用いてもよい。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルベンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオ共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、プリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、変形ポリフェニレンオキシド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうち1種、または2種以上を積層した積層体を用いることができる。
【0057】
なお、本実施の形態では、ELパネル部11における基板111には、公知のTFT層が形成されて成る。これについては、図示を省略しており、また、公知の構成を適宜使用するものであるので説明も省略する。
【0058】
(2)層間絶縁膜112
層間絶縁膜112は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、アクリル系樹脂材料などの有機化合物を用い形成されている。ここで、層間絶縁膜112は、有機溶剤耐性を有することが好ましい。また、層間絶縁膜112は、製造工程中において、エッチング処理、ベーク処理等が施されることがあるので、それらの処理に対して過度に変形や変質などを生じない高い耐性を有する材料を用い形成されることが望ましい。
【0059】
(3)アノード113
アノード113は、銀(Ag)またはアルミニウム(Al)を含む金属材料から構成されている。トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合には、その表面部が高い反射性を有することが好ましい。
【0060】
なお、アノード113については、上記のような金属材料からなる単層構造だけではなく、金属層と透明導電層との積層体を採用することもできる。透明導電層の構成材料としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用いることができる。
【0061】
(4)バンク114
バンク114は、樹脂等の有機材料を用い形成されており絶縁性を有する。バンク114の形成に用いる有機材料の例としては、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ノボラック型フェノール樹脂等があげられる。バンク114は、表面に撥水性をもたせるために、表面をフッ素処理することもできる。
【0062】
さらに、バンク114の構造については、
図3および
図4(a)、(b)に示すような一層構造だけでなく、二層以上の多層構造を採用することもできる。この場合には、層毎に上記材料を組み合わせることもできるし、層毎に無機材料と有機材料とを用いることもできる。
【0063】
(5)有機発光層115
有機発光層115は、上述のように、ホールと電子とが注入され再結合されることにより励起状態が生成され発光する機能を有する。有機発光層115の形成に用いる材料は、湿式印刷法を用い製膜できる発光性の有機材料を用いることが必要である。
【0064】
具体的には、例えば、特許公開公報(日本国・特開平5−163488号公報)に記載のオキシノイド化合物、ペリレン化合物、クマリン化合物、アザクマリン化合物、オキサゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ペリノン化合物、ピロロピロール化合物、ナフタレン化合物、アントラセン化合物、フルオレン化合物、フルオランテン化合物、テトラセン化合物、ピレン化合物、コロネン化合物、キノロン化合物及びアザキノロン化合物、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、ローダミン化合物、クリセン化合物、フェナントレン化合物、シクロペンタジエン化合物、スチルベン化合物、ジフェニルキノン化合物、スチリル化合物、ブタジエン化合物、ジシアノメチレンピラン化合物、ジシアノメチレンチオピラン化合物、フルオレセイン化合物、ピリリウム化合物、チアピリリウム化合物、セレナピリリウム化合物、テルロピリリウム化合物、芳香族アルダジエン化合物、オリゴフェニレン化合物、チオキサンテン化合物、アンスラセン化合物、シアニン化合物、アクリジン化合物、8−ヒドロキシキノリン化合物の金属錯体、2−ビピリジン化合物の金属錯体、シッフ塩とIII族金属との錯体、オキシン金属錯体、希土類錯体などの蛍光物質で形成されることが好ましい。
【0065】
(6)カソード116
カソード116は、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)若しくは酸化インジウム亜鉛(IZO)などを用い形成される。本実施の形態のように、トップエミッション型の本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。光透過性については、透過率が80[[%]]以上とすることが好ましい。
【0066】
(7)封止層117
封止層117は、有機発光層115などの有機層が水分に晒されたり、空気に晒されたりすることを抑制する機能を有し、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成される。また、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)などの材料を用い形成された層の上に、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などの樹脂材料からなる封止樹脂層を設けてもよい。
【0067】
封止層117は、トップエミッション型である本実施の形態に係る表示パネル10の場合においては、光透過性の材料で形成されることが必要となる。
【0068】
(8)CF層122
CFパネル部12におけるCF層122は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の各色の波長域の可視光を選択的に透過する、公知の材料から構成される。例えば、アクリル樹脂をベースに形成されている。
【0069】
(9)BM層123
CFパネル部12におけるBM層123は、例えば、光吸収性および遮光性に優れる黒色顔料を含む紫外線硬化樹脂材料から構成されている。具体的な紫外線硬化樹脂材料としては、例えば、アクリル樹脂等がある。
【0070】
(10)封止樹脂層13
封止樹脂層13は、各種透明樹脂材料で構成されている。具体的には、例えば、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂等から構成されている。
【0071】
(11)その他
本実施の形態では省略しているが、アノード113と有機発光層115との間に、ホール注入層およびホール輸送層を介挿させる場合には、例えば、次のような材料を用いることができる。
【0072】
(i)ホール注入層
ホール注入層は、例えば、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、イリジウム(Ir)などの酸化物、あるいは、PEDOT(ポリチオフェンとポリスチレンスルホン酸との混合物)などの導電性ポリマー材料からなる層である。なお、ホール注入層の構成材料として金属酸化物を用いる場合には、PEDOTなどの導電性ポリマー材料を用いる場合に比べて、ホールを安定的に、またはホールの生成を補助して、有機発光層108に対しホールを注入する機能を有し、大きな仕事関数を有する。
【0073】
ここで、ホール注入層を遷移金属の酸化物から構成する場合には、複数の酸化数をとるためこれにより複数の準位をとることができ、その結果、ホール注入が容易になり駆動電圧を低減することができる。特に、酸化タングステン(WO
X)を用いることが、ホールを安定的に注入し、且つ、ホールの生成を補助するという機能を有するという観点から望ましい。
【0074】
(ii)ホール輸送層
ホール輸送層は、親水基を備えない高分子化合物を用い形成されている。例えば、ポリフルオレンやその誘導体、あるいはポリアリールアミンやその誘導体などの高分子化合物であって、親水基を備えないものなどを用いることができる。
【0075】
また、有機発光層115とカソード116との間に電子輸送層を介挿させる場合には、その材料として、例えば、次のようなものを用いることができる。
【0076】
(iii)電子輸送層
電子輸送層は、カソード116から注入された電子を有機発光層115へ輸送する機能を有し、例えば、オキサジアゾール誘導体(OXD)、トリアゾール誘導体(TAZ)、フェナンスロリン誘導体(BCP、Bphen)などを用い形成されている。
【0077】
4.封止樹脂層13の詳細構成
図3に示すように、本実施の形態に係る封止樹脂層13は、第1封止樹脂層13aと第2封止樹脂層13bの二層構造である。第1封止樹脂層13aは、ELパネル部11とCFパネル部12との間に配置され、ELパネル部11におけるZ軸方向下側主面と接しないが、CFパネル部12におけるELパネル部11のZ軸方向下側主面に対向するZ軸方向上側主面とは接する。第2封止樹脂層13bは、ELパネル部11と第1封止樹脂層13aとの間に配置され、少なくとも第1封止樹脂層13aと接する。本実施の形態においては、第2封止樹脂層13bは、第1封止樹脂層13aとELパネル部11のZ軸方向下側主面の双方に接している。
【0078】
また、本実施の形態においては、第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度は、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度よりも低い。なお、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂は、後述する第1非流動性樹脂130(
図10参照)であり、第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂は、後述する第2非流動性樹脂132(
図10参照)である。
【0079】
5.効果
第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度を、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度よりも低くすることにより、膜剥がれの発生が抑制される。これより、本実施の形態に係る表示パネル10では、高い表示品質を得ることができる。
【0080】
これは、次のようなメカニズムによるものと考えられる。
【0081】
本実施の形態に係る表示パネル10では、ELパネル部11とCFパネル部12のうち、より主面の凹凸の大きいELパネル部11の主面と接する第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度を、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度よりも低くしている。ここで、封止樹脂層13の形成に係る過程において、樹脂材料に対して熱もしくは光エネルギの付与を行う際に樹脂流動が生じる。原料となる非流動性樹脂の粘度を上述した関係となるようにすることにより、封止樹脂層13を、粘度の高い非流動性樹脂のみで構成する場合と比較して、樹脂流動によりELパネル部11の各層に加わるせん断力を小さくすることができる。この結果、膜剥がれが抑制されると考えられる。
【0082】
なお、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度と、第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度との差は、特に限定されない。第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度が第1封止樹脂層13aより低いものであれば、第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度が第1封止樹脂層13aと同じである場合と比較して、膜剥がれの発生は抑制される。しかしながら、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度と第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度との差が大きいほど、膜剥がれ発生抑制効果は高い。第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度と第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度との差は、例えば1000[Pa・s]以上であることが望ましい。また、第1封止樹脂層13aの原料となる非流動性樹脂の粘度は、35000[Pa・s]以下であることが望ましく、第2封止樹脂層13bの原料となる非流動性樹脂の粘度は、15000[Pa・s]以上であることが望ましい。
【0083】
また、第1封止樹脂層13aの膜厚の上限値および第2封止樹脂層13bの膜厚は特に限定されないが、第2封止樹脂層13bの膜厚の下限値は、ELパネル部11におけるZ軸方向下側の主面の凹凸を埋めることができる膜厚であることが望ましい。すなわち、
図4に示す凹凸ギャップG
e1以上の膜厚であることが望ましい。
【0084】
6.製造方法
本実施の形態に係る表示パネル10の製造方法について、
図7から
図11を用い説明する。なお、以下では、本実施の形態に係る表示パネル10の製造過程を、(1)ELパネル部11を準備する工程、(2)CFパネル部12を準備する工程、(3)ELパネル部11とCFパネル部12とを貼り合わせる工程に大きく分けて説明する。
【0085】
(1)ELパネル部11を準備する工程
(i)
図7(a)に示すように、TFT層が形成されてなる基板111上に、層間絶縁膜112を積層形成する。そして、
図7(b)に示すように、層間絶縁膜112上に金属薄膜1130を形成する。金属薄膜1130の形成は、例えば、スパッタリング法を用い実行することができる。
【0086】
次に、層間絶縁膜112上の金属薄膜1130をパターニングし、アノード113および補助電極(バスバー)118を形成する。パターニングは、例えば、フォトリソグラフィー法を用い実行することができる。
【0087】
次に、
図7(d)に示すように、アノード113および補助電極118を覆うように、絶縁性有機材料からなるバンク材料層1140を形成する。そして、
図8(a)に示すように、バンク材料層1140をパターニングすることで、隣り合うアノード113同士の間、および隣り合うアノード113と補助電極118との間にバンク114を立設する。バンク114の形成に際してのパターニングは、例えば、所定の開口が開設されたマスクを上方に配置して露光を行い、その後に現像により不要な部分を除去する(ウェットプロセスを実行する)ことによりなされる。
【0088】
(ii)
図8(b)に示すように、バンク114により規定された凹部114aに対し、凹部毎に発光色が異なる有機発光層115R,115G,115Bを形成する。補助電極118の上方である凹部114bには、有機発光層の形成を行わない。
【0089】
有機発光層115R,115G,115Bの形成は、例えば、インクジェット法を用いて行うことができ、具体的には、凹部114a毎に有機発光材料を含むインクを塗布し、その後にこれを乾燥させることで行うことができる。
【0090】
(iii)
図8(c)に示すように、有機発光層115(有機発光層115R,115G,115Bを総称。)の上、およびバンク114の露出部分を覆うように、連続的にカソード116を形成する。カソード116の形成は、例えば、スパッタリング法などを用い実行することができる。
【0091】
(iv)
図8(d)に示すように、カソード116上を覆うように、封止層117を形成する。封止層117の形成は、例えば、スパッタリング法やCVD(化学気相成長)法やALD(原子層堆積)法などを用いて実行することができる。
【0092】
(2)CFパネル部12を準備する工程
(i)
図9(a)に示すように、基板121の一方の主面上に対し、BM材料層1230を積層形成する。BM材料層1230の形成では、先ず、紫外線硬化樹脂(例えば、紫外線硬化アクリル樹脂)材料を主成分とし、これに黒色顔料が添加されてなるBM材料を溶液に分散させてBMペーストを調整する。そして、調整されたペーストを基板121の一方の主面上を覆うように塗布する。
【0093】
次に、塗布したペーストを乾燥させて溶媒をある程度揮発させることによって、BM材料層1230の形成を行う。
【0094】
(ii)
図9(b)に示すように、形態が保持できるまで乾燥されたBM材料層1230の上に、マスク500を配置する。マスク500には、ELパネル部11のバンク114に形成位置に対応させて窓部500aが開設されている。
【0095】
次に、マスク500の窓部500aを通して、BM材料層1230における露出面に対して、紫外線を照射する。
【0096】
(iii) 紫外線の照射後、乾燥後のBM材料層1230を現像することにより、未露光部分が除去され、この後、焼成を行うことにより、
図9(c)に示すようなBM層123が形成できる。なお、形成されたBM層123は、ELパネル部11におけるバンク114に対応する位置に配置される。
【0097】
(iv)
図9(d)に示すように、BM層123で規定された開口部123aに対し、青色のCF層122Bを形成する。CF層122Bの形成は、先ず、紫外線硬化樹脂成分を主成分とするCF材料を溶媒に分散させてペーストを作製し、次に、このペーストを形成して、溶媒をある程度揮発させる。その後、所定の窓部が開設されたマスクを配置し(図示を省略。)、窓部を通して紫外線照射する。
【0098】
その後、現像を行い、マスクおよび未硬化のペーストを除去し、焼成を行う。これにより、
図9(d)に示すようなB−CF層122Bが形成される。なお、上述のように、本実施の形態では、全てのCF層122について、その外縁部がBM層123に乗り上げた状態で形成される。
【0099】
(v)
図9(e)に示すように、上記と同様の作業を繰り返し、G−CF層122Gを形成する。
【0100】
(vi)
図9(f)に示すように、上記と同様の作業を繰り返し、R−CF層122Rを形成する。
【0101】
なお、R−CF層122R、G−CF層122G、B−CF層122Bの形成順は、上記以外であってもよい。
【0102】
(3)ELパネル部11とCFパネル部12とを貼り合わせる工程
(i)
図10(a)に示すように、シート状の第1非流動性樹脂(材料)130を準備する。第1非流動性樹脂130の両主面には、ラミネートフィルム131a,131bが貼着されている。
【0103】
(ii)
図10(b)に示すように、第1非流動性樹脂130に貼着された一方のラミネートフィルム131aを剥離し、これにより露出した主面130aをCFパネル部12に貼着する。なお、本実施の形態では、第1非流動性樹脂130とCFパネル部12との貼り合わせについては、減圧雰囲気下で実行する。
【0104】
(iii)
図10(c)に示すように、貼着後においては、第1非流動性樹脂130の主面130aは、CFパネル部12におけるBM層123の上面123aおよびCF層122の上面122aを含む主面全体に対して密着した状態となっている。
【0105】
(iv)
図10(d)に示すように、第1非流動性樹脂130に貼着されたもう一方のラミネートフィルム131bを剥離して、主面130bを露出させる。
【0106】
(v)
図10(e)に示すように、ラミネートフィルム131bの剥離により露出した主面130bに対して、シート状の第2非流動性樹脂132を貼着する。
【0107】
(vi)
図11(a)に示すように、第2非流動性樹脂132の主面132aに対し、ELパネル部11を貼着する。本工程についても減圧雰囲気下で実行される。よって、
図11(b)に示すように、貼着後においては、第2非流動性樹脂132の主面132aは、ELパネル部11における封止層117の凹部117bの底部および凸部117aの頂部を含む主面全体に対して密着した状態となっている。
【0108】
(vii)
図11(c)に示すように、ELパネル部11とCFパネル部12との間に第1および第2非流動性樹脂130、132を挟んで貼り合わせた状態において、第1および第2非流動性樹脂130、132に対して光(例えば、紫外光)を照射することにより流動性を付与し、その後にこれを硬化させる。このようにすることにより、第1非流動性樹脂130および第2非流動性樹脂132から、それぞれ第1封止樹脂層13aおよび第2封止樹脂層13bが形成される。この結果、第1封止樹脂層13aおよび第2封止樹脂層13bを含む封止樹脂層13の形成がなされる。これより、表示パネル10が完成する。なお、用いる樹脂によっては、加熱により硬化させる。
【0109】
本実施の形態では、第2非流動性樹脂132の粘度を、第1非流動性樹脂130の粘度よりも低いこととしているので、上記(iv)において樹脂に対し流動性を付与した際にELパネル部11の各層に加わるせん断力を小さくすることができる。この結果、このせん断力に起因する膜剥がれの発生を抑制することができる。
【0110】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る表示パネル10Aの概略構成について、
図12を用い説明する。
実施の形態1に係る表示パネル10との相違点は、CFパネル部12Aおよび封止樹脂層13Aの構成である。
【0111】
すなわち、CF層124の上面がBM層123の上面よりも高くなるように形成されていることにより、ELパネル部11の主面だけでなく、CFパネル部12AのZ軸方向上側主面も、凹部の底部よりも凸部の頂部がELパネル部11の側に張り出した、全体として凹凸形状をなしている。
【0112】
また、本実施の形態に係る封止樹脂層13Aは三層構造であり、第1封止樹脂層13c、第2封止樹脂層13dおよび第3封止樹脂層13eを含む。第1封止樹脂層13cは、シート状であり、ELパネル部11とCFパネル部12Aとの間に配置され、ELパネル部11のZ軸方向下側主面と接しないが、CFパネル部12AのZ軸方向上側主面とは接する。第2封止樹脂層13dは、シート状であり、第1封止樹脂層13cとELパネル部11との間に配置され、少なくとも第1封止樹脂層13cと接する。本実施の態様においては、第2封止樹脂層13dは、第1封止樹脂層13cには接するが、ELパネル部11のZ軸方向下側主面とは接していない。第3封止樹脂層13eは、シート状であり、第2封止樹脂層13dとELパネル部11との間に配置され、第2封止樹脂層13dとELパネル部11のZ軸方向下側主面との双方に接する。そして、第1封止樹脂層13cの原料および第3封止樹脂層13eの原料の粘度は、第2封止樹脂層13dの原料の粘度よりも低い。なお、第1封止樹脂層13cの原料となる非流動性樹脂は、第1非流動性樹脂であり、第2封止樹脂層13dの原料となる非流動性樹脂は、第2非流動性樹脂であり、第3封止樹脂層13eの原料となる非流動性樹脂は、第3非流動性樹脂である。
【0113】
このような構成により、膜剥がれ発生を抑制する効果をCFパネル部12Aにおいても得ることが可能である。具体的には、CF層124およびBM層123の膜剥がれを防止することができ、表示パネルの表示品質を高めることが可能である。なお、この効果は、第1非流動性樹脂の粘度が、第2非流動性樹脂の粘度よりも低いことで得ることができる。
また、ELパネル部11およびCFパネル部12Aを平面視する場合に、CFパネル部12AにおけるELパネル部11の非発光領域に対応する領域を非発光対応領域とする。このとき、CFパネル部12AにおけるZ軸方向上側主面(第2主面)の凹部は、非発光対応領域内に設けられている。
【0114】
なお、CFパネル部12AにおけるZ軸方向上側主面(第2主面)の凸部が、非発光対応領域内に設けられていてもよい。
【0115】
なお、第3非流動性樹脂の粘度と第1非流動性樹脂の粘度との差は、1000Pa・s以上であることが好ましい。これにより、せん断力に起因する膜剥がれの発生を抑制することができる。
【0116】
また、第3非流動性樹脂の粘度は、15000Pa・s以上であることが好ましい。この場合にも、せん断力に起因する膜剥がれの発生を抑制することができる。
【0117】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る表示パネル10Bの概略構成について、
図13を用い説明する。実施の形態1に係る表示パネル10に対し、ELパネル部11A、CFパネル部12Aおよび封止樹脂層13B全ての構成が異なる。
【0118】
ELパネル部11Aにおける封止層1171は、実施の形態1と異なり、その表面が平坦に形成されていることにより、ELパネル部11AのZ軸方向下側主面は平坦である。CFパネル部12Aは、実施の形態2と同様の構成であり、Z軸方向上側主面は凹凸形状をなしている。
【0119】
本実施の形態に係る封止樹脂層13Bは、第1封止樹脂層13fと第2封止樹脂層13gとの二層構造である。第1封止樹脂層13fは、ELパネル部11AとCFパネル部12Aとの間に配置され、ELパネル部11AのZ軸方向下側主面と接しないが、CFパネル部12AのZ軸方向上側主面とは接する。第2封止樹脂層13gは、ELパネル部11Aと第1封止樹脂層13fとの間に配置され、第1封止樹脂層13fとELパネル部11AのZ軸方向下側主面の双方に接している。第2封止樹脂層13gの原料の粘度より、第1封止樹脂層13fの原料の粘度の原料の粘度が低い。
【0120】
このような構成によっても、実施の形態2と同様に、CF層124およびBM層123の膜剥がれを防止することができ、表示パネルの表示品質を高めることが可能である。
【0121】
[変形例]
図14(a)に示す変形例では、CFパネル部34におけるCF層342の高さがBM層343の高さに比べて低くなっており、封止樹脂層35に接することになるCFパネル部34の主面は、全体として凹凸形状となっている。さらに、
図14(b)に示す変形例では、CFパネル部36におけるCF層362との高さがBM層363の高さに比べて高くなっており、封止樹脂層37に接することになるCFパネル部36の主面は、全体として凹凸形状となっている。
【0122】
図14(a)、(b)に示す変形例の構成であっても、膜剥がれの発生を抑制することが可能である。
【0123】
[その他の事項]
上記実施の形態などでは、所謂、トップエミッション構造の有機EL表示パネルを一例として採用したが、本発明はこれに限定されず、ボトムエミッション構造の有機EL表示装置についても上記構成を採用することができる。
【0124】
また、上記実施の形態で示した各部材の形状や構成材料等は一例であって、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施の形態などでは、2枚のパネル部の内の一方をCFパネル部としたが、必ずしもカラーフィルタ層が形成されてなるCFパネル部である必要はない。例えば、ガラスや樹脂などからなる基板であってもよい。
【0125】
また、
図2等に示すように、上記実施の形態では、平面視において、複数の発光領域(サブピクセル)がマトリクス状の配置された構成を採用したが、本発明における発光領域の配置形態はこれに限定されない。例えば、ハニカム構成の配置形態を採用することなども可能である。
【0126】
また、上記実施の形態では、井桁状(格子状)に形成されたバンクによって各サブピクセルの周囲を囲繞するピクセルバンクについて本発明の一態様を適用する例について説明したが、これに限定されない。各サブピクセルをストライプ状に区画するラインバンクについて本発明の一態様を適用することも可能である。
【0127】
また、上記実施の形態では、非流動性樹脂に対して光(例えば、紫外光)を照射することにより流動性を付与していたが、これに限らず、例えば、非流動性樹脂に対して加熱することにより流動性を付与することができる。
【0128】
また、非流動性樹脂を介してELパネル部とCFパネル部とを貼り合わせる工程については、必ずしも減圧雰囲気下で実行する必要はない。例えば、大気圧雰囲気下などで貼り合わせを実行した後、ELパネル部とCFパネル部との間に力をかけて、ELパネル部と非流動性樹脂との間、およびCFパネル部と非流動性樹脂との各間の隙間を無くすることとしてもよい。
【0129】
さらに、本発明は、有機EL表示パネルに限らず、種々の表示パネルに適用することができ、その場合にも同様の効果を得ることができる。