特許第6336106号(P6336106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336106
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】放熱構造
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20180528BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20180528BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20180528BHJP
【FI】
   H01L23/40 E
   H01L23/36 Z
   H05K7/20 F
   H05K7/20 B
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-556105(P2016-556105)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(86)【国際出願番号】JP2014078783
(87)【国際公開番号】WO2016067393
(87)【国際公開日】20160506
【審査請求日】2017年4月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100160093
【弁理士】
【氏名又は名称】小室 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】池田 康亮
(72)【発明者】
【氏名】森永 雄司
(72)【発明者】
【氏名】松嵜 理
【審査官】 木下 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−282931(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0286179(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0175852(US,A1)
【文献】 特開2011−114176(JP,A)
【文献】 特開昭50−125258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34−23/473
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第一と第二の面を有するベース部と、前記第一の面から垂直に延伸する少なくとも1つの放熱フィンとを含むヒートシンクであって、各放熱フィンが、その先端部にある差込口から前記ベース部側に向かって延伸する差込溝と、前記差込溝によって分断された第一と第二のフィン部とを有する、ヒートシンクと
前記差込口から前記差込溝に差し込まれた第一の発熱部品と、
前記差込溝に前記第一の発熱部品が差し込まれた状態で、前記第一と第二のフィン部の先端部をその外側面から挟み込むように、前記差込口を塞ぐ挟持部材と、を含み、
前記挟持部材の線膨張係数は、前記第一と第二のフィン部の線膨張係数よりも小さい
放熱構造。
【請求項2】
前記第一の発熱部品は、順に積層された、第一の基板、第一の半導体素子、接続子、第二の半導体素子、および第二の基板を含み、
前記第一の基板および前記第二の基板が、前記第一と第二のフィン部と接している
請求項1に記載の放熱構造。
【請求項3】
前記第一の基板と前記第二の基板とが有する互いに向き合う面を覆う保護膜が設けられている
請求項2に記載の放熱構造。
【請求項4】
前記ベース部の前記第二の面に接合され、前記第一の発熱部品と電気的に接続された回路基板を備える
請求項1〜3の何れか一項に記載の放熱構造。
【請求項5】
前記回路基板上にあり、前記第一の発熱部品よりも発熱量が小さい第二の発熱部品
を更に含む請求項4に記載の放熱構造。
【請求項6】
前記ベース部内にあり、平面視で前記第一の差込溝上にあって、前記第一の発熱部品と前記第二の発熱部品とを着脱可能に電気的に接続するコネクタと、
を更に含む請求項5に記載の放熱構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、電子部品などの発熱部品の放熱構造として、ヒートシンクを用いた放熱構造が知られている(特許文献1を参照。)。特許文献1の放熱構造では、ベース部と、ベース部の第一の面に立設された複数の放熱フィンとを含むヒートシンクが用いられる。ベース部の第一の面とは反対側の第二の面には、冷却対象となる全ての発熱部品が配置される。発熱部品の熱は、ベース部を経由して放熱フィンに伝わり、放熱フィンから外部に放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−110181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したヒートシンクを用いた放熱構造においては、放熱性を高めるために放熱フィンを設けるなどの工夫がされているものの、放熱性の面で更なる改善の余地がある。例えば、パワーデバイスなどの発熱量が比較的大きい発熱部品を冷却する場合には、高い放熱性を有する放熱構造が必要となる。
【0005】
また、ヒートシンクの放熱効率を決定する要因のひとつとして、ヒートシンクと発熱部品との密着性がある。すなわち、発熱部品の発熱量が大きいほど、ヒートシンクと発熱部品との密着性を高めることが好ましい。
【0006】
ところで、ヒートシンクに求められる放熱効率は、発熱部品の発熱量によって異なる。すなわち、発熱部品の発熱量が小さい場合は、ヒートシンクにそれほど高い放熱効率は要求されない。一方、発熱部品の発熱量が大きい場合は、ヒートシンクに高い放熱効率が必要となる。
【0007】
しかしながら、従来の放熱構造では、発熱部品の発熱量の違いによらず、ヒートシンクと発熱部品との密着性が変化しないために、発熱部品の発熱量が大きくなると、発熱部品が発する熱を十分に逃がすことができなることがあった。
【0008】
本発明の一態様は、ヒートシンクと発熱部品との密着性を高めることによって、高い放熱性が得られる放熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る放熱構造は、互いに対向する第一と第二の面を有するベース部と、前記第一の面から垂直に延伸する少なくとも1つの放熱フィンとを含むヒートシンクであって、各放熱フィンが、その先端部にある差込口から前記ベース部側に向かって延伸する差込溝と、前記差込溝によって分断された第一と第二のフィン部とを有する、ヒートシンクと、前記差込口から前記差込溝に差し込まれた第一の発熱部品と、前記差込溝に前記第一の発熱部品が差し込まれた状態で、前記第一と第二のフィン部の先端部をその外側面から挟み込むように、前記差込口を塞ぐ挟持部材と、前記挟持部材の線膨張係数は、前記第一と第二のフィン部の線膨張係数よりも小さい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、放熱フィンに設けられた差込溝に第一の発熱部品が差し込まれた状態で、放熱フィンを差込溝の幅方向から挟み込む挟持部材が設けられていることから、第一の発熱部品と放熱フィンとの密着性を高めることができ、放熱性の高い放熱構造が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る放熱構造の一例を示す断面図である。
図2図1に示す放熱構造を第1の面側から見た平面図である。
図3図1示す半導体モジュールを拡大して示す断面図である。
図4A】モールド樹脂が設けられた半導体モジュールの断面模式図である。
図4B】絶縁膜が設けられた半導体モジュールの断面模式図である。
図5A】差込溝の変形例を示す断面図である。
図5B】差込溝の変形例を示す断面図である。
図5C】差込溝の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明では、各構成要素を見易くするため、図面において構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがある。
【0013】
図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である放熱構造1について説明する。
放熱構造1は、図1及び図2に示すように、ヒートシンク2と、複数の半導体モジュール(第一の発熱部品)3と、回路基板4と、複数の電子部品(第二の発熱部品)5とを備える半導体装置において、半導体モジュール3及び電子部品5が発する熱をヒートシンク2により放熱する構造である。
【0014】
具体的に、この放熱構造1において、ヒートシンク2は、例えばCuやAlなどの熱伝導性の高い材料からなる。ヒートシンク2は、ベース部6と、複数の放熱フィン7A,7Bとを有している。ベース部6は、矩形平板状に形成されている。各放熱フィン7A,7Bは、矩形平板状に形成されて、ベース部6の第一の面6aに対して垂直に立設されている。また、複数の放熱フィン7A,7Bは、ベース部6の長手方向(図2中における左右方向)の両端部及びその両端部の間に位置して、互いに間隔を空けた状態で並んで設けられている。また、各放熱フィン7A,7Bは、ベース部6の短手方向(図2中における上下方向)の両端部の間に亘って立設されている。
【0015】
本実施形態では、複数の放熱フィン7A,7Bのうち、ベース部6の長手方向の両端部に沿った位置に2つの放熱フィン7Aと、これら2つの放熱フィン7Aの間に2つの放熱フィン7Bとがベース部6の長手方向に並んで設けられている。また、放熱フィン7Bは、半導体モジュール3を配置するため、放熱フィン7Aよりも高さ及び厚み方向の寸法が大きくなっている。なお、ヒートシンク2については、本実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、各放熱フィン7A,7Bの数や寸法等を適宜変更して実施することが可能である。
【0016】
放熱フィン7Bには、差込溝8が設けられている。差込溝8は、放熱フィン7Bの先端側に設けられた差込口8aから半導体モジュール3を差し込み可能に保持する。具体的に、この差込溝8は、放熱フィン7Bの先端側から一定の幅で第一の面6aに対して垂直に半導体モジュール3を差し込むのに十分な深さで切り欠かれている。放熱フィン7Bは、この差込溝8によって2つのフィン部7a,7bに分断されている。
【0017】
放熱フィン7Bの先端には、挟持部材9が設けられている。挟持部材9は、蓋部9aと、蓋部9aの幅方向(図1中における左右方向)の両端部から立設された一対の挟持部9bとを有している。挟持部材9は、差込溝8に半導体モジュール3が差し込まれた状態において、蓋部9aが差込口8aを覆い、且つ、一対の挟持部9bがフィン部7a,7bを差込溝8の幅方向から挟み込むように、放熱フィン7Bの先端に取り付けられている。これにより、一対のフィン部7a,7bに挟み込まれた半導体モジュール3のフィン部7a,7b)に対する密着性を高めることができる。
【0018】
また、挟持部材9は、放熱フィン7B(ヒートシンク2)よりも線膨張係数が小さい材料からなることが好ましい。この場合、半導体モジュール3が発する熱により放熱フィン7Bが熱膨張したときに、挟持部材9によってフィン部7a,7bが外側に広がることを抑え込むことができる。これにより、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を更に高めることができる。
【0019】
半導体モジュール3は、図3に拡大して示すように、第一の基板10と、第一の半導体素子11と、接続子12と、第二の半導体素子13と、第二の基板14とを、順に積層することにより構成されている。
【0020】
このうち、第一及び第二の基板10,14は、セラミック基板であり、セラミック板(絶縁板)15,16と、セラミック板15,16の両面に設けられたCu層(導電層)17,18とを有している。また、第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面側のCu層17,18は、この半導体モジュール3の回路パターン17a,18aを形成している。なお、第一及び第二の基板10,14は、セラミック基板に限らず、例えばアルミニウム基板であってもよい。アルミニウム基板は、アルミニウム板の両面に絶縁層を介してCu層が設けられた構成である。
【0021】
第一及び第二の半導体素子11,13は、動作時の発熱量が比較的大きい、例えばパワーダイオードやパワートランジスタなどのパワーデバイスである。第一の半導体素子11と第二の半導体素子13とは、第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面側に各々実装されることによって、それぞれの回路パターン17a,18aと電気的に接続されている。
【0022】
接続子12は、例えばCuなどの導電性材料からなる。接続子12は、第一の接続部12aと、第二の接続部12bと、連結部12cとを有している。このうち、第一の接続部12aは、第一の半導体素子11と第二の半導体素子13とを電気的に接続する部分であり、第二の接続部12bは、一方の回路パターン17aと電気的に接続される部分であり、連結部12cは、第一の接続部12aと第二の接続部12bとを連結する部分である。
【0023】
第一の接続部12aは、第一の基板10と第二の基板14との間隔を保持するのに十分な厚みで柱状に形成されている。第一の接続部12aの両端部は、はんだ等の導電性接着剤(図示せず。)を介して第一の半導体素子11及び第二の半導体素子13と接合されている。第二の接続部12bは、板状に形成されて、はんだ等の導電性接着剤(図示せず。)を介して一方の回路パターン17aと接合されている。連結部12cは、第一の接続部12aと第二の接続部12bとを連結するのに十分な長さで長尺板状に形成されている。連結部12cの一端側は、第一の接続部12aの側面と一体に接続されている。連結部12cの他端側は、第二の接続部12b側に折り曲げられて第二の接続部12bと一体に接続されている。
【0024】
第一の基板10と第二の基板14との間には、スペーサ19が配置されている。スペーサ19は、第一の接続部12aと共に、第一の基板10と第二の基板14との間隔を保持している。また、スペーサ19は、この半導体モジュール3の回路部品として、回路パターン17a,18aの間に挟み込まれた状態で配置されている。回路部品としては、例えば、配線部、抵抗器、コンデンサなどが挙げられる。
【0025】
図1及び図2に示す回路基板4及び複数の電子部品5は、半導体モジュール3の駆動を制御する制御部30を構成している。このうち、回路基板4は、ヒートシンク2(ベース部6)の第一の面6aとは反対側の第二の面6bに接合されている。一方、複数の電子部品5は、回路基板4上に実装されている。各電子部品5は、各半導体モジュール3よりも発熱量が小さい発熱部品である。
【0026】
複数の電子部品5のうち一部の電子部品5と半導体モジュール3とは、コネクタ20を介して電気的に接続されている。コネクタ20は、半導体モジュール3側の第一の接続端子21a,21bが差し込まれる第一の差込口22a,22bと、電子部品5側の第二の接続端子23が差し込まれる第二の差込口24とを有している。半導体モジュール3側の第一の接続端子21a,21bは、図3において図示を省略するものの、回路パターン17a,18aと各々接続されている。
【0027】
ヒートシンク2には、コネクタ20を差し込み可能に保持する差込孔25が設けられている。ヒートシンク2には、半導体モジュール3側の第一の接続端子21a,21bを貫通させる第一の貫通孔26a,26bが設けられている。第一の貫通孔26a,26bは、差込溝8の底面から差込孔25に向かって形成されている。ヒートシンク2及び回路基板4には、電子部品5側の第二の接続端子23を貫通させる第二の貫通孔27が設けられている。第二の貫通孔27は、回路基板4の電子部品5が実装される面から差込孔25に向かって形成されている。また、第一の接続端子21a,21b及び第二の接続端子23は、第一の貫通孔26a,26b及び第二の貫通孔27との間で電気的に絶縁されている。
【0028】
以上のような構成を有する放熱構造1では、半導体モジュール3が差込溝8に差し込まれた状態で放熱フィン7Bと接している。これにより、半導体モジュール3が発する熱は、差込溝8の内壁面、すなわちフィン部7a,7bと接する第一及び第二の基板10,14から放熱フィン7Bへと伝わり、外部に放熱されることになる。一方、複数の電子部品5が発する熱は、回路基板4からベース部6を経由して放熱フィン7A,7Bへと伝わり、外部に放熱されることになる。この場合、半導体モジュール3が発する熱は、ベース部6を経由することなく、放熱フィン7Bへと直接伝わるため、熱の伝達経路が短くなり、半導体モジュール3の放熱性が高まる。
【0029】
したがって、本実施形態の放熱構造1では、半導体モジュール3を放熱フィン7Bに接した状態で配置することで、従来のように半導体モジュール3をベース部6の第二の面6bに配置する場合に比べて、高い放熱性を得ることが可能である。
【0030】
また、本実施形態の放熱構造1では、半導体モジュール3を差込溝8に差し込んだ状態で配置することで、従来のように半導体モジュール3をベース部6の第二の面6bに配置する場合に比べて、小型化が可能となる。さらに、半導体モジュール3の第一及び第二の基板10,14をフィン部7a,7bに接触させることで、半導体モジュール3からの放熱を効率よく行わせることが可能である。
【0031】
また、本実施形態の放熱構造1では、放熱フィン7Bに設けられた差込溝8に半導体モジュール3が差し込まれた状態で、放熱フィン7Bを差込溝8の幅方向から挟み込む挟持部材9が設けられていることから、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を高めることができる。さらに、半導体モジュール3が発する熱により放熱フィン7Bが熱膨張したときに、挟持部材9によってフィン部7a,7bが外側に広がることを抑え込むことができる。これにより、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を更に高めることが可能である。
【0032】
したがって、本実施形態の放熱構造1では、半導体モジュール3の発熱量が大きくなるに従って、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性が増すことになる。その結果、半導体モジュール3の発熱量が大きくなっても、半導体モジュール3が発する熱を十分に放熱フィン7Bへと逃がすことが可能である。
【0033】
以上のように、本実施形態の放熱構造1では、半導体モジュール3の発熱量が大きい場合でも、ヒートシンク2と半導体モジュール3との密着性を高めることによって、高い放熱性を得ることが可能である。
【0034】
ところで、半導体モジュール3については、図4Aに模式的に示すように、絶縁性の確保及びパーティクルに対する保護のため、モールド樹脂28によって第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面側を封止することが行われる。しかしながら、このようなモールド樹脂28は、第一及び第二の半導体素子11,13や第一及び第二の基板10,14等との間で線膨張係数の差が大きいため、熱膨張時にクラック等が生じ易い。
【0035】
これに対して、本発明では、図4Bに模式的に示すように、モールド樹脂28の代わりに、第一の基板10と第二の基板14との互いに対向する面を覆う絶縁膜29を設けた構成とすることが可能である。絶縁膜29には、例えばセラミック等の高熱伝導性を有する絶縁材料が用いられる。
【0036】
本実施形態の放熱構造1では、このような絶縁膜29が設けられた半導体モジュール3を差込溝8に差し込むことによって、絶縁性の確保及びパーティクルに対する保護が可能となる。さらに、絶縁膜29を設けた場合は、絶縁膜29の薄膜化によって半導体モジュール3からの放熱性が高められるだけでなく、線膨張係数の差によるクラックの発生が抑制可能となる。また、モールド樹脂28で封止するための工程が省略できるため、製造工程の簡略化が図れる。
【0037】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、本発明では、例えば図5Aに示すように、差込溝8に半導体モジュール3を差し込み易くするため、差込口8aにテーパー部8bを設けた構成としてもよい。また、差込溝8については、上述した一定の幅を有する形状に限らず、例えば図5Bに示すように、深さ方向の先端部に向かって漸次幅が狭くなる形状(いわゆる楔形状)や、図5Cに示すように、深さ方向の中央部に向かって漸次幅が狭くなる形状(いわゆる鼓形状)とすることで、この差込溝8に差し込まれた半導体モジュール3が容易に抜けない構造とすることも可能である。
【0038】
また、図5A図5Cに示す構造では、何れも放熱フィン7Bを差込溝8の幅方向から挟み込む挟持部材9が設けられていることから、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を高めることが可能である。さらに、半導体モジュール3が発する熱により放熱フィン7Bが熱膨張したときに、挟持部材9によってフィン部7a,7bが外側に広がることを抑え込むことよって、半導体モジュール3と放熱フィン7B(フィン部7a,7b)との密着性を更に高めることが可能である。これにより、半導体モジュール3が発する熱を十分に放熱フィン7Bへと逃がすことができるため、高い放熱性を得ることが可能である。
【0039】
また、本発明の第一の発熱部品としては、上述した半導体モジュール3に必ずしも限定されるものではなく、その配置される位置や数等についても適宜変更を加えることが可能である。また、差込溝8についても、第一の発熱部品の大きさに合わせて適宜変更を加えることが可能である。したがって、複数の放熱フィン7には、個々の第一の発熱部品の大きさに合わせて深さや幅の異なる差込溝8が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1…放熱構造 2…ヒートシンク 3…半導体モジュール(第一の発熱部品) 4…回路基板 5…電子部品(第二の発熱部品) 6…ベース部 6a…第一の面 6b…第二の面 7A,7B…放熱フィン 7a,7b…フィン部 8…差込溝 9…挟持部材 10…第一の基板 11…第一の半導体素子 12…接続子 13…第二の半導体素子 14…第二の基板 15,16…セラミック板(絶縁板) 17,18…Cu層(導電層) 17a,18a…回路パターン 19…スペーサ 20…コネクタ 21a,21b…第一の接続端子 22a,22b…第一の差込口 23…第二の接続端子 24…第二の差込口 25…差込孔 26a,26b…第一の貫通孔 27…第二の貫通孔 28…モールド樹脂 29…絶縁膜 30…制御部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C