特許第6336166号(P6336166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6336166イミダフェナシンの新規中間体、その製造方法及びそれを用いたイミダフェナシンの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336166
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】イミダフェナシンの新規中間体、その製造方法及びそれを用いたイミダフェナシンの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 233/61 20060101AFI20180528BHJP
   A61K 31/4174 20060101ALN20180528BHJP
   A61P 1/00 20060101ALN20180528BHJP
   A61P 1/16 20060101ALN20180528BHJP
   A61P 13/06 20060101ALN20180528BHJP
   A61P 13/02 20060101ALN20180528BHJP
   A61P 43/00 20060101ALN20180528BHJP
【FI】
   C07D233/61 102
   C07D233/61 103
   C07D233/61CSP
   !A61K31/4174
   !A61P1/00
   !A61P1/16
   !A61P13/06
   !A61P13/02
   !A61P43/00 111
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-49094(P2017-49094)
(22)【出願日】2017年3月14日
(65)【公開番号】特開2017-186307(P2017-186307A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2017年7月19日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0030439
(32)【優先日】2016年3月14日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517090875
【氏名又は名称】ヘクサファーマテック カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン,シン
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン,セオングヒェオン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ナリ
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/064945(WO,A1)
【文献】 特開2015−38053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D233/00−233/96
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩又はその水和物。
【化1】
【請求項2】
下記の化学式2で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩又はその水和物。
【化2】
【請求項3】
(S−1)4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル及び2−メチルイミダゾールを反応させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造するステップと、
(S−2)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリル及びベンゼンスルホン酸を反応させて下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩を製造するステップと、
【化3】
を含む4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩の製造方法。
【請求項4】
前記ステップ(S−2)のベンゼンスルホン酸は、一水和物の形である請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
(S−1)4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル及び2−メチルイミダゾールを反応させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造するステップと、
(S−2)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリル及びシュウ酸を反応させて下記の化学式2で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩を製造するステップと、
【化4】
を含む4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩の製造方法。
【請求項6】
前記ステップ(S−2)のシュウ酸は、二水和物の形である請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
(S−1)4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル及び2−メチルイミダゾールを反応させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造するステップと、
(S−2)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリル及びベンゼンスルホン酸又はシュウ酸を反応させて、下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩又はその水和物を製造するか、あるいは、下記の化学式2で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩又はその水和物を製造するステップと、
【化5】
【化6】
(S−3)前記化学式1又は化学式2の化合物をアルカリ金属水酸化物と反応させて粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドを製造するステップと、
(S−4)粗い4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドにp−トルエンスルホン酸を反応させて下記の化学式3で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩を製造するステップと、
【化7】
(S−5)前記化学式3の化合物にアルカリ金属水酸化物を加えて下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド(イミダフェナシン)を製造するステップと、
【化8】
を含むイミダフェナシンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度のイミダフェナシンを製造するための新規中間体、その製造方法及びそれを用いてイミダフェナシンを高収率および高純度で製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
イミダフェナシン(Imidafenacin)は、下記の化学式Iの構造を有し、その化学名は、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドである。イミダフェナシンは、選択的且つ強力なムスカリン受容体の拮抗作用をし、過敏性腸症候群、胆道又は尿道の痙攣、尿失禁などの疾患に好適に用いられる有用な物質である。
【化1】
以下、イミダフェナシン又はこの塩の従来の製造方法について説明する。
【0003】
特許文献1には、下記の反応式1に従ってイミダフェナシンを製造する方法が開示されている。
【化2】
【0004】
具体的に、トリエチルアミン(TEA)などの塩基の存在下で4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル及び2−メチルイミダゾールを150℃で30時間反応させて中間体である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造した後、この化合物に70%の硫酸を加え、140〜150℃で40分間攪拌してイミダフェナシンを合成した。
【0005】
しかしながら、前記反応式1の製造方法において、中間体の製造ステップにおいては塩基を用いるため副反応事例が多発し、150℃の高温で30時間以上反応を行わなければならず、生成された中間体化合物の溶解度が低いため一緒に生成された柔軟物質を除去するのに精製過程が多いため収率が低い。また、イミダフェナシンの製造ステップにおいては、高濃度(70%)の硫酸を用いて140〜150℃の高温で反応を行うため反応過程において危険性が存在し、反応後の処理過程において生成される硫酸塩が環境を汚染させる原因となるため量産には向いていないという問題がある。
【0006】
特許文献2には、前記反応式1の製造方法の問題を解消するために下記の反応式2に従ってイミダフェナシンを製造する方法が開示されている。
【化3】
【0007】
具体的に、中間体の製造ステップにおいて、リン酸塩の形に4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造し、イミダフェナシンの製造ステップにおいては、アルカリ金属水酸化物を用いて加水分解反応を行った後、HP−20などの合成吸着剤を用いて精製を行った。
しかしながら、前記中間体の製造ステップにおいては、リン酸塩の形に固体化させて反応式1の製造方法よりも精製回数を減らしたが、製造された中間体の純度が低いため依然として精製過程をさらに多数回行うことを余儀なくされ、加水分解反応後にも合成吸着剤を用いた精製過程を行うことが必要である。このように、収率及び純度が低いため、前記反応式2の製造方法は高純度のイミダフェナシンの合成のための方法として好適ではないという問題がある。
【0008】
特許文献3には、反応式2の製造方法の問題を解消するために下記の反応式3に従ってイミダフェナシンを製造する方法が開示されている。
【化4】
【0009】
具体的に、前記反応式3の製造方法において、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリル中間体をリン酸塩の形で製造した後、粗い(crude)イミダフェナシンを製造し、塩酸塩又はリン酸塩の形で精製した後、これを再び中和させてイミダフェナシンを製造した。
【0010】
しかしながら、前記反応式3の製造方法においては、中間体のリン酸塩を用いて精製を繰り返し行って純度を高め、イミダフェナシンの製造ステップにおいて塩酸塩又はリン酸塩を製造して再び精製を繰り返し行って純度を高めた。しかしながら、このような塩の選択には問題が存在するが、繰り返し的な精製のために収率が低くなって高い製造コストがかかり、本発明者らが再現実験を行ったところ、得られたイミダフェナシンの合計の柔軟物質が全体の0.24%であって、高純度の医薬品を得るのには好適ではない方法である。
【0011】
医薬品の規制調和国際会議(ICH)ガイドライン又は日本国の基準及び試験法によれば、イミダフェナシンの場合、個別的な柔軟物質は全体の0.1%以下ではなければならず、その合計の柔軟物質が全体の0.3%以下(純度99.7%以上)ではなければならない。しかしながら、上記基準に沿う医薬品よりも優れた安全性などが求められる医薬業界の最近の動向に伴い、合計の柔軟物質が0.10%以下、好ましくは、合計の柔軟物質が0.05%以下、より好ましくは、合計の柔軟物質が0.02%以下である超高純度の原料が求められているのが現状であるが、これは、なかなか達成し難いレベルの純度である。
【0012】
このように、先行技術文献に開示されている製造方法によっては、最近、業界において求められるような好適な安全性が確保される超高純度のイミダフェナシンが製造され難いという問題が存在する。この理由から、このような業界の要求に応えるために、簡単な工程だけでも超高純度のイミダフェナシンが製造可能な方法の開発が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO95/15951号公報
【特許文献2】特開2003−201281号公報
【特許文献3】WO2006/064945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、反応中に生成される多くの副反応物質を効率よく除去し、経済的に大量で合成可能である他、好適な安定性が確保される超高純度のイミダフェナシンの製造方法を提供することである。
【0015】
また、本発明の他の目的は、超高純度のイミダフェナシンの製造に好適に用いられる新規な中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明者らが研究努力した結果、イミダフェナシンの新規中間体を用いてイミダフェナシン製造する場合、簡単な工程だけで超高純度のイミダフェナシンを高収率で製造することができることを確認して本発明を完成した。
【0017】
以下では、イミダフェナシンの新規中間体、その製造方法及びそれを用いたイミダフェナシンの製造方法について詳細に説明する。

新規中間体及びその製造方法
【0018】
本発明は、高純度のイミダフェナシンを製造するのに好適に用いられる新規中間体を提供する。具体的には、本発明の新規中間体は、下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩又はその水和物であるか、あるいは、下記の化学式2で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩又はその水和物である。
【化5】
【化6】
【0019】
また、本発明は、前記化学式1及び化学式2で表される新規中間体を製造する方法を提供する。具体的には、本発明の中間体の製造方法は、
(S−1)4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル及び2−メチルイミダゾールを反応させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造するステップと、
(S−2)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリル及びベンゼンスルホン酸又はシュウ酸を反応させて、下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩を製造するか、あるいは、下記の化学式2で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩を製造するステップと、を含む。
【化7】
【化8】
【0020】
前記ステップ(S−1)は、従来の技術(例えば、上記の特許文献2など)に開示されている条件下で行われる。例えば、前記ステップ(S−1)は、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)又はジメチルアセトアミド(DMA)の存在下で行われ、好ましくは、ジメチルスルホキシド(DMSO)の存在下で行われる。なお、前記ステップ(S−1)は、80〜120℃で行われ、好ましくは、95〜105℃で行われる。
【0021】
前記ステップ(S−2)は、ステップ(S−1)において製造された4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルの純度を高めるために、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルのベンゼンスルホン酸塩又はシュウ酸塩を製造するステップである。ステップ(S−2)において用いられるベンジェンスルホン酸は一水和物の形であり、シュウ酸は二水和物の形であることができ、前記ステップ(S−2)は、アセトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール又はアセトニトリルの存在下で行われ、好ましくは、アセトンの存在下で行われる。なお、前記ステップ(S−2)は、20〜60℃で行われ、好ましくは、30〜40℃で行われる。
【0022】
また、本発明の製造方法では、前記ステップ(S−2)において製造された粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩又はシュウ酸塩を、極性溶媒条件下で再結晶して精製することができる。前記再結晶化に用いられる極性溶媒は、アセトン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、エタノール又はアセトニトリルの存在下で行われ、好ましくは、アセトニトリルの存在下で行われる。また、前記再結晶化は、溶解のために還流することができ、好ましくは、還流後に冷却させて0〜5℃で行われる。
【0023】
このようにして製造した本発明の中間体を用いて、簡単な工程だけでも業界の要求に応えるレベルの超高純度のイミダフェナシンを経済的に製造することができる。ここで、超高純度とは、合計の柔軟物質が全体の0.10%以下であり、好ましくは、0.05%以下であり、より好ましくは、0.02%以下である。

新規中間体を用いたイミダフェナシンの製造方法
【0024】
本発明は、化学式1で表される中間体又は化学式2で表される中間体を用いて超高純度のイミダフェナシンを製造する方法を提供する。具体的に、本発明のイミダフェナシンの製造方法は、下記のステップ(S−1)〜ステップ(S−5)を含む。
【0025】
すなわち、本発明のイミダフェナシンの製造方法は、
(S−1)4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル及び2−メチルイミダゾールを反応させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルを製造するステップと、
(S−2)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリル及びベンゼンスルホン酸又はシュウ酸を反応させて、下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩又はその水和物を製造するか、あるいは、下記の化学式2で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩又はその水和物を製造するステップと、
【化9】
【化10】
(S−3)前記化学式1又は化学式2の化合物をアルカリ金属水酸化物と反応させて粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドを製造するステップと、
(S−4)粗い4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドにp−トルエンスルホン酸を反応させて下記の化学式3で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩を製造するステップと、
【化11】
(S−5)前記化学式3の化合物にアルカリ金属水酸化物を加えて下記の化学式1で表される4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド(イミダフェナシン)を製造するステップと、を含む。
【化12】
【0026】
前記ステップ(S−1)及びステップ(S−2)は、上述した通りである。
【0027】
前記ステップ(S−3)は、ベンゼンスルホン酸塩又はシュウ酸塩の形のニトリル中間体を塩基性加水分解してアミド化合物である粗い(crude)イミダフェナシンを製造するステップである。前記ステップ(S−3)において用いられるアルカリ金属水酸化物は水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)であり得、好ましくは、水酸化カリウム(KOH)である。前記ステップ(S−3)は、通常のニトリル化合物の加水分解反応条件下で行われ、例えば、上記の特許文献2などに開示されている公知の条件下で行われる。
【0028】
前記ステップ(S−4)は、ステップ(S−3)において製造された粗いイミダフェナシンの純度を高めるためにイミダフェナシンの酸付加塩を製造するステップである。具体的に、粗いイミダフェナシンにp−トルエンスルホン酸を反応させてp−トルエンスルホン酸塩を製造することができる。前記ステップ(S−4)において用いられるp−トルエンスルホン酸は一水和物の形であり、前記ステップ(S−4)は、アセトン、水又はこれらの混合溶媒の存在下で行われる。なお、前記ステップ(S−4)は30〜60℃で行われ、好ましくは、40〜50℃で行われる。
【0029】
前記ステップ(S−5)は、酸付加塩の形のイミダフェナシンを中和させてイミダフェナシンを最終的に得るステップである。前記ステップ(S−5)において用いられるアルカリ金属水酸化物は、水酸化カリウム(KOH)又は水酸化ナトリウム(NaOH)であり得、好ましくは、水酸化ナトリウム(NaOH)である。前記ステップ(S−5)は、通常の中和反応条件下で行われ、例えば、上記の特許文献3などに開示されている公知の条件下で行われる。
【0030】
本発明のイミダフェナシンの製造方法により、簡単な工程だけでも経済的に超高純度のイミダフェナシンを製造することができる。このため、本発明の製造方法は、さらなる精製過程が不要になるか、あるいは、さらなる精製過程が少ないので、イミダフェナシンを高収率で製造することができ、従来の技術に比べて量産に向いている。
【発明の効果】
【0031】
本発明によるイミダフェナシンの製造方法によれば、新規中間体を用いて従来のイミダフェナシンの製造方法における問題を解消することができ、低いコストにて超高純度のイミダフェナシンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。但し、これらの実施例は単なる本発明の例示に過ぎず、本発明の範囲がこれらにのみ限定されるものではない。
【実施例1】
【0033】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩の製造
【0034】
4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル30g(0.1 mol)、2−メチルイミダゾール41g(0.5 mol)及びジメチルスルホキシド(DMSO)60mLの混合物を100℃で2時間攪拌した後、30℃まで冷却させた後に精製水150mLを加え、室温で酢酸エチル90mLを加えて30分間攪拌した後、有機層を取った。有機層に精製水150mLを加えて層分離した後に有機層を取り、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させた後にろ過し、酢酸エチル10mLで洗浄した後に有機層を減圧濃縮した。残留物にアセトン300mL及びベンゼンスルホン酸一水和物21.13g(0.12 mol)を入れて内部温度40℃で溶解させ、1時間攪拌した。内部温度を室温まで冷却させ、3時間攪拌した。内部の温度を5℃まで冷却させ、再び1時間攪拌した後、析出された結晶をろ取した。アセトン10mLで洗浄した後、40℃で5時間減圧乾燥させて粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩37.6 gを得た。乾燥した粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩37.6g及びアセトニトリル376mLの混合物を加熱溶解させた。徐々に温度を下げて結晶を析出させた後、20℃で2時間攪拌し、冷却させて5℃で2時間攪拌した。生成された結晶をろ取し、冷アセトニトリル10mLで洗浄して精製された4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩35.2g(収率:76.6%)を得た。
合計の柔軟物質:0.01%(HPLC)
【実施例2】
【0035】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩の製造
【0036】
4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル30g(0.1 mol)、2−メチルイミダゾール41g(0.5 mol)及びジメチルスルホキシド(DMSO)60mLの混合物を100℃で2時間攪拌した後、30℃まで冷却させた後に精製水150mLを加え、室温で酢酸エチル90mLを加えて30分間攪拌した後、有機層を取った。有機層に精製水150mLを加えて層分離した後に有機層を取り、硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥させた後にろ過し、酢酸エチル10mLで洗浄した後に有機層を減圧濃縮した。残留物にアセトン300mL及びシュウ酸二水和物10g(0.12 mol)を入れて1時間還流した。内部温度を室温まで冷却させ、3時間攪拌した。内部の温度を5℃まで冷却させ、再び1時間攪拌した後、析出された結晶をろ取した。アセトン10mLで洗浄した後、40℃で5時間減圧乾燥させて粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩32gを得た。乾燥した粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩32g及びアセトニトリル320mLの混合物を加熱溶解させた。徐々に温度を下げて結晶を析出させた後、20℃で2時間攪拌し、冷却させて5℃で2時間攪拌した。生成された結晶をろ取し、冷アセトニトリル10mLで洗浄して精製された4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩30g(収率:76.7%)を得た。
合計の柔軟物質:0.01%(HPLC)
【実施例3】
【0037】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド(イミダフェナシン)の製造
ステップ1:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶の製造
【0038】
実施例1において得られた4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩35.2g(0.08 mol)、93%の水酸化カリウム46.2g(0.77 mol)及び2−プロパノール176mLの混合物を窒素雰囲気下で20時間加熱還流した後、徐々に冷却させた。攪拌下に内部温度30℃以下で精製水350mLを加え、結晶を析出させて5℃で2時間攪拌した。生成された結晶をろ取し、精製水30mLで洗浄した後、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶24g(収率:98.1%)を得た。
ステップ2:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩の製造
【0039】
ステップ1において製造された粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド結晶24g(0.075 mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物17.15g(90mmol)及びアセトン240mLの混合物を加熱溶解させた。徐々に温度を下げて結晶を析出させた後、20℃で2時間攪拌した。生成された結晶を冷却させてろ過し、冷アセトン10mLで洗浄して4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩33.7 gを得た。得られた粗p−トルエンスルホン酸塩33.7g(69 mmol)及びアセトン337mLの混合物を加熱溶解させた。徐々に温度を下げて結晶を析出させた後、20℃で2時間攪拌した後に冷却させて結晶をろ過し、冷アセトン10mLで洗浄した後に40℃で12時間減圧乾燥させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩精製物30.1g(収率:81.5%)を得た。
ステップ3:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドの製造
【0040】
ステップ2において製造された4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩精製物30.1g(61 mmol)をエタノール150mLに溶解させ、攪拌下で2Nの水酸化ナトリウム水溶液33mLを加えて中和させ、結晶を析出した。精製水300mLを加えて冷却させ、2時間攪拌した後、結晶をろ取し、精製水30mLで洗浄した。湿潤結晶にエタノール180mLを投入し、60℃で溶解させた後、20℃まで冷却させて結晶を析出した。3時間攪拌した後に結晶をろ取し、精製水30mLで洗浄した。60℃で12時間真空乾燥させて白色の結晶性粉末4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド18.9g(収率:96.6%)を得た。
合計の柔軟物質:0.02%(HPLC)
【実施例4】
【0041】
4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド(イミダフェナシン)の製造
ステップ1:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶の製造
【0042】
実施例2において得られた4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルシュウ酸塩30g(0.08 mol)、93%の水酸化カリウム46.2g(0.77 mol)及び2−プロパノール150mLの混合物を窒素雰囲気下で20時間加熱還流した後、徐々に冷却させた。攪拌下に内部温度30℃以下で精製水300mLを加え、結晶を析出させて5℃で2時間攪拌した。生成された結晶をろ取し、精製水30mLで洗浄した後、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶23.9g(収率:97.6%)を得た。
ステップ2:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩の製造
【0043】
ステップ1において製造された粗い(crude)4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド結晶23.9g(0.075 mol)、p−トルエンスルホン酸一水和物17.08g(90 mmol)及びアセトン240mLの混合物を加熱溶解させた。徐々に温度を下げて結晶を析出させた後、20℃で2時間攪拌した。生成された結晶を冷却させてろ過し、冷アセトン10mLで洗浄して4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩33.7 gを得た。得られた粗p−トルエンスルホン酸塩33.3g(68 mmol)及びアセトン333mLの混合物を加熱溶解させた。徐々に温度を下げて結晶を析出させた後、20℃で2時間攪拌した後に冷却させて結晶をろ過し、冷アセトン10mLで洗浄した後に40℃で12時間減圧乾燥させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩精製物29.8g(収率:81%)を得た。
ステップ3:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドの製造
【0044】
ステップ2において製造された4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドp−トルエンスルホン酸塩精製物29.8g(61 mmol)をエタノール150mLに溶解させ、攪拌下で2Nの水酸化ナトリウム水溶液33mLを加えて中和させ、結晶を析出した。精製水300mLを加えて冷却させ、2時間攪拌した後、結晶をろ取し、精製水30mLで洗浄した。湿潤結晶にエタノール180mLを投入し、60℃で溶解させた後、20℃まで冷却させて結晶を析出した。3時間攪拌した後に結晶をろ取し、精製水30mLで洗浄した。60℃で12時間真空乾燥させて白色の結晶性粉末4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド18.4g(収率:95%)を得た。
合計の柔軟物質:0.02%(HPLC)

<比較例>上記の特許文献3(WO2006/064945号)の製造方法によるイミダフェナシンの製造
ステップ1:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルリン酸塩の製造
【0045】
4−ブロモ−2,2−ジフェニルブチロニトリル50g(0.167mol)、2−メチルイミダゾール68.5g(0.834mol)及びジメチルスルホキシド(DMSO)25mLの混合物を95〜105℃で5時間攪拌した後に、氷水で冷却させた。内部温度39℃で酢酸エチル200mL及び水200mLを加えて5分間攪拌した後に有機層を分取した。有機層を水200mL、2.5%の酢酸200mLの順に洗浄した後に有機層を減圧濃縮させた。残留物をエタノール200mLに溶解させ、攪拌下で内部温度31℃で85%のリン酸19.2g(0.167mol)/エタノール100mL溶液を滴加し、白濁されたときに滴加を止めた(約50mLを滴加)。30分間攪拌して結晶の析出を確認した後、残りのリン酸溶液を滴加し、次いで、内部温度30℃で16時間攪拌し続けた。析出された結晶をろ取し、エタノール100mLで洗浄した後、60℃で5時間減圧乾燥(真空ポンプ)させて4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルリン酸塩を49.6g(収率74.5%)得た。
【0046】
この化合物を精製水50mL/2−プロパノール200mLの混合液に加熱し完全に溶解させ、攪拌下で2−プロパノール250mLを加えて氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後に、析出された結晶をろ取し、2−プロパノール50mL、酢酸エチル50mLの順に洗浄した。60℃で17時間減圧乾燥(真空ポンプ)させて吸湿性を有する白色の結晶性粉末である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルリン酸塩精製品を45.3g(収率:68%)得た。
ステップ2:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶の製造
【0047】
ステップ1において得られた精製品40.0g(100mmol)、86%の水酸化カリウム66g(1.01mol)及び2−プロパノール200mLの混合物をアルゴン雰囲気下で5時間加熱還流した後、氷水で冷却させた。攪拌下で内部温度30℃で2mol/L塩酸400mLを加え、(50℃まで昇温)結晶析出させて内部温度15℃以下で1時間攪拌した後に、結晶をろ取した。2−プロパノール15mL/精製水30mLの混合液で洗浄し、次いで、精製水125mLで5回洗浄した。40℃で16時間送風乾燥させ、粗結晶27.6g(86.4%)を得た。この粗結晶27.6gを95%の2−プロパノール100mLの混合液に加熱し完全に溶解させ、室温で1時間攪拌して結晶析出させた後、氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後、析出された結晶をろ取して2−プロパノール5mLで洗浄した。60℃で3時間減圧乾燥(真空ポンプ)させて白色の結晶性粉末である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶12.8g(収率:80%)得た。
ステップ3:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド塩酸塩の製造
【0048】
ステップ2において得られた4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド粗結晶19.2g(60.0mmol)を濃い塩酸5mL/2−プロパノール95mLの混合液に加熱し完全に溶解させた後、酢酸エチル100mLを加え、室温で1時間攪拌して結晶析出させた後に、氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後、結晶をろ取し、酢酸エチル10mLで洗浄した。湿潤結晶を95%2−プロパノール100mLに加熱し完全に溶解させた後、酢酸エチル100mLを加え、室温で1時間攪拌して結晶析出させた後、氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後、結晶をろ取し、酢酸エチル10mLで洗浄した。60℃で3時間減圧乾燥(真空ポンプ)させ、4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド塩酸塩を16.9g(収率79.3%)得た。
【0049】
このような塩酸塩を90%の2−プロパノール80mLに加熱し完全に溶解させた後、酢酸エチル160mLを加え、室温で1時間攪拌して結晶析出させた後、氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後、結晶をろ取し、酢酸エチル10mLで洗浄した。60℃で3時間減圧乾燥(真空ポンプ)させて白色の結晶性粉末である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド塩酸塩を14.5g(通算収率:68%)得た。
ステップ4:4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドの製造
【0050】
ステップ3において得られた4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミド塩酸塩14.5g(40.8mmol)を精製水144.6mLに溶解させ、活性炭1.44gを加え、1時間攪拌した後、セルロースパウダー2.0gを敷いた2.1cmの桐山ロートでろ過して、精製水3mLで洗浄した。ろ液及び洗浄液にエタノール114.1mLを加え、攪拌下で2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液20mLを加えて中和させて結晶を析出させた。室温で1時間攪拌した後、氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後に結晶をろ取し、40%のエタノール20mLで洗浄し、次いで、精製水100mLで5回(5回目の洗浄液:pH8.57)洗浄した。60℃で5時間減圧乾燥(真空ポンプ)させて11.9g(92.0%)の結晶を得た。これらのうち5.78gの結晶を90%のエタノール30mLに加熱し完全に溶解させ、室温で1時間攪拌して結晶を析出させた後、氷水で冷却させた。内部温度15℃以下で1時間攪拌した後、結晶をろ取し、エタノール5mLで洗浄した。60℃で3時間減圧乾燥(真空ポンプ)させて白色の結晶性粉末である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブタンアミドを5.22g(通算収率:83%)得た。
合計の柔軟物質:0.24%(HPLC)
【0051】
実施例1及び実施例2においては、簡単な工程だけでもイミダフェナシンの新規中間体である4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩又は4−(2−メチル−1−イミダゾリル)−2,2−ジフェニルブチロニトリルベンゼンスルホン酸塩シュウ酸塩を高収率および高純度にて製造することができる。
【0052】
実施例3および実施例4においては、実施例1及び実施例2において製造された新規中間体を出発物質として、イミダフェナシンを製造した結果、合計の柔軟物質がそれぞれ0.02%に過ぎないほど超高純度のイミダフェナシンを製造することができる。一方、比較例においてイミダフェナシンを製造した場合では、合計の柔軟物質が0.24%であり、本発明の実施例3又は実施例4の場合よりも12倍高かった。
【0053】
したがって、本発明は、原薬の製造時に合計の柔軟性物質が0.1%以下、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.02%以下の超高純度を要求する医薬業界のニーズに十分に応えることができるので、イミダフェナシンの大量合成に非常に好適に用いられる。