(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の容器詰飲料は、成分(A)として非重合体カテキン類を含有する。ここで、「非重合体カテキン類」とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート及びガロカテキンガレート等の非エピ体カテキン類、並びにエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレート等のエピ体カテキン類を併せての総称であり、本発明においては上記8種のうち少なくとも1種を含有すればよい。なお、成分(A)の含有量は、上記8種の合計量に基づいて定義される。
【0010】
本発明の容器詰飲料中の成分(A)の含有量は0.025〜0.2質量%であるが、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料を調製する観点から、0.03質量%以上が好ましく、0.035質量%以上がより好ましく、0.04質量%以上が更に好ましく、またドライ感の改善の観点から、0.18質量%以下が好ましく、0.16質量%以下がより好ましく、0.14質量%以下が更に好ましい。成分(A)の含有量の範囲としては、本発明の容器詰飲料中に、好ましくは0.03〜0.18質量%、より好ましくは0.035〜0.16質量%であり、更に好ましくは0.04〜0.14質量%である。
【0011】
本発明の容器詰飲料は、成分(B)としてテアニンを含有する。本発明の容器詰飲料中の成分(B)の含有量は0.002〜0.023質量%であるが、コク味の増強の観点から、0.0025質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.0035質量%以上が更に好ましく、また鼻抜け香の改善、ドライ感の改善の観点から、0.02質量%以下が好ましく、0.018質量%以下がより好ましく、0.013質量%以下が更に好ましく、0.011質量%以下がより更に好ましい。成分(B)の含有量の範囲としては、本発明の容器詰飲料中に、好ましくは0.0025〜0.02質量%であり、より好ましくは0.0025〜0.018質量%であり、更に好ましくは0.003〜0.013質量%であり、より更に好ましくは0.0035〜0.011質量%である。
【0012】
本発明の容器詰飲料は、成分(C)としてルチンを含有する。本発明の容器詰飲料中の成分(C)の含有量は0.0003〜0.0016質量%であるが、鼻抜け香の改善、ドライ感の改善の観点から、0.0004質量%以上が好ましく、0.00045質量%以上がより好ましく、0.0005質量%以上が更に好ましく、またコク味の増強、鼻抜け香の改善の観点から、0.0015質量%以下が好ましく、0.0013質量%以下がより好ましく、0.0011質量%以下が更に好ましい。成分(C)の含有量の範囲としては、本発明の容器詰飲料中に、好ましくは0.0004〜0.0015質量%であり、より好ましくは0.00045〜0.0013質量%であり、更に好ましくは0.0005〜0.0011質量%である。
【0013】
また、本発明の容器詰飲料は、成分(B)と成分(C)の含有量が下記式(1)の関係を満たすことが重要である。
【0014】
−0.032b+0.0006<c<−0.032b+0.0027 (1)
【0015】
〔式(1)中、cは成分(C)の含有量(質量%)を示し、bは成分(B)の含有量(質量%)を示す。〕
【0016】
すなわち、成分(B)の含有量をbとしたときに、−0.032b+0.00060と、−0.032b+0.0027との間に成分(C)の含有量cが存在するように制御することで、コク味が増強されるとともに、鼻抜け香及びドライ感も改善されることを見出した。
【0017】
本発明の容器詰飲料は、好ましくは下記式(2)の関係、より好ましくは下記式(3)の関係、更に好ましくは下記式(4)の関係を満たすと、コク味の増強効果、並びに鼻抜け香及びドライ感の改善効果をより一層高めることができる。
【0018】
−0.032b+0.00062<c<−0.032b+0.0018 (2)
−0.032b+0.00067<c<−0.032b+0.0016 (3)
−0.032b+0.00069<c<−0.032b+0.0013 (4)
【0019】
〔式(2)〜(4)中、cは及びbは前記式(1)中のc及びbと同義である。〕
【0020】
なお、本発明の容器詰飲料においては、(B)テアニンの含有量が比較的高い場合、例えば、0.005質量%以上の場合、鼻抜け香低下の抑制効果とドライ感改善効果の両者の効果の評価値の合計スコアを一層高める観点から、下記式(2)中のcが、c<−0.032b+0.0018を満たすことが好ましく、下記式(3)中のcが、c<−0.032b+0.0016を満たすことが更に好ましく、下記式(4)中のcが、c<−0.032b+0.0013を満たすことが更に好ましい。
一方、本発明の容器詰飲料において、(B)テアニンの含有量が比較的低い場合、例えば、0.013質量%未満の場合、鼻抜け香の改善効果とコク味の改善効果の両者の効果の評価値の合計スコアを一層高める観点から、下記式(2)中のcが、−0.032b+0.00062<cを満たすことが好ましく、下記式(3)中のcが、−0.032b+0.00067<cを満たすことがより好ましく、下記式(3)中のcが、−0.032b+0.00069<cを満たすことが更に好ましい。
【0021】
また、本発明の容器詰飲料は、成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が、コク味の増強、鼻抜け香及びドライ感の改善の観点から、0.01以上が好ましく、0.03以上がより好ましく、0.04以上が更に好ましく、そして1以下が好ましく、0.7以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(B)]の範囲としては、好ましくは0.01〜1であり、より好ましくは0.03〜0.7であり、更に好ましくは0.04〜0.3である。
【0022】
また、本発明の容器詰飲料は、成分(A)と成分(C)との質量比[(C)/(A)]が、コク味の増強の観点から、0.001以上が好ましく、0.004以上がより好ましく、0.006以上が更に好ましく、0.01以上がより更に好ましく、またドライ感の改善の観点から、0.05以下が好ましく、0.04以下がより好ましく、0.03以下が更に好ましい。かかる質量比[(C)/(A)]の範囲としては、好ましくは0.001〜0.05であり、より好ましくは0.004〜0.04であり、更に好ましくは0.006〜0.03であり、より更に好ましくは0.01〜0.03である。
【0023】
更に、本発明の容器詰飲料は、成分(D)として糖鎖数3〜7のマルトオリゴ糖を含有することができる。成分(D)を含有させることで、コク味をより一層増強することができる。ここで「マルトオリゴ糖」とは、糖(グルコース)がα−1,4−グルコシド結合により直鎖状に結合したオリゴ糖をいう。成分(D)として、具体的には、糖鎖数3のマルトトリオース、糖鎖数4のマルトテトラオース、糖鎖数5のマルトペンタオース、糖鎖数6のマルトヘキサオース、糖鎖数7のマルトヘプタオースの5種が挙げられる。なお、成分(D)の含有量は、これらのマルトオリゴ糖の合計量に基づいて定義される。
【0024】
本発明においては、成分(D)として、例えば、澱粉の加水分解等により適宜合成したものを使用しても、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、フジオリゴ♯450、フジオリゴ♯450P、フジオリゴG67(商品名、日本食品化工株式会社製)等を挙げることができる。
【0025】
本発明で使用するマルトオリゴ糖は、成分(D)中の(E)糖鎖数5〜7のマルトオリゴ糖の質量比[(E)/(D)]が、コク味の増強の観点から、0.1以上が好ましく、0.3以上がより好ましく、0.5以上が更に好ましい。かかる質量比[(E)/(D)]の上限値は特に限定されず、1であってもよいが、鼻抜け香及びドライ感の改善の観点から、0.9以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.8以下が更に好ましい。かかる質量比[(E)/(D)]の範囲としては、好ましくは0.1〜1であり、より好ましくは0.3〜0.9であり、更に好ましくは0.5〜0.85であり、より更に好ましくは0.5〜0.8である。
【0026】
本発明の容器詰飲料中の成分(D)の含有量は、コク味の増強の観点から、0.00001質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、0.27質量%以上が更に好ましく、また鼻抜け香の改善、ドライ感の改善の観点から、0.35質量%以下が好ましく、0.32質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下が更に好ましい。成分(D)の含有量の範囲としては、本発明の容器詰飲料中に、好ましくは0.00001〜0.35質量%であり、より好ましくは0.001〜0.32質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.3質量%であり、更に好ましくは0.27〜0.3質量%である。
【0027】
ここで、高濃度の非重合体カテキン類を含有する容器詰飲料中に成分(D)を含有させると、コク味が増強されるものの、茶葉を急須等で浸出させた茶飲料の淹れたての香り、中でも、口に含んだときに喉から鼻に抜けて感じる鼻抜け香とともに、ドライ感も低下するという更なる課題があることを本発明者は初めて見出した。この鼻抜け香及びドライ感についても、前述のように、テアニン及びルチンの含有量を特定範囲内にて一定の関係を満たすように制御することで改善され、コク味がより一層増強された容器詰飲料が得られることを、本発明者は見出した。
【0028】
更に、本発明の容器詰飲料は、香料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、各種エステル、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、品質安定剤等の添加剤を1種又は2種以上を組み合わせて含有することができる。これら添加剤の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定することができる。
【0029】
本発明の容器詰飲料は、本発明の効果を十分に享受しやすい点で茶飲料が好ましい。茶飲料としては、例えば、緑茶飲料、烏龍茶飲料、紅茶飲料が挙げられ、中でも緑茶飲料が好ましい。また、例えば、果汁ジュース、野菜ジュース、スポーツ飲料、アイソトニック飲料、エンハンスドウォーター、ボトルドウォーター、ニアウォーター、コーヒー飲料、栄養ドリンク剤、美容ドリンク剤等の非アルコール飲料、ビール、ワイン、清酒、梅酒、発泡酒、ウィスキー、ブランデー、焼酎、ラム、ジン、リキュール類等のアルコール飲料であっても良い。
【0030】
本発明の容器詰飲料のpH(20℃)は、風味及び非重合体カテキン類の安定性の観点から、2以上が好ましく、2.5以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、そして7以下が好ましく、6.5以下がより好ましく、6.3以下が更に好ましい。かかるpHの範囲としては、好ましくは2〜7であり、より好ましくは2.5〜6.5であり、更に好ましくは3〜6.3である。
【0031】
本発明の容器詰飲料は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、瓶等の通常の包装容器に充填して提供することができる。
【0032】
本発明の容器詰飲料は、加熱殺菌されていてもよく、加熱殺菌方法としては、適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであれば特に限定されるものではない。例えば、レトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、充填後殺菌法(パストリゼーション)等を挙げることができる。また、容器詰飲料の容器の種類に応じて加熱殺菌法を適宜選択することも可能であり、例えば、金属缶、瓶のように、飲料を容器に充填後、容器ごと加熱殺菌できる場合にあってはレトルト殺菌や充填後殺菌法(パストリゼーション)を採用することができる。また、PETボトルのようにレトルト殺菌できないものについては、飲料をあらかじめ上記と同等の殺菌条件で加熱殺菌し、無菌環境下で殺菌処理した容器に充填するアセプティック充填や、ホットパック充填等を採用することができる。
【0033】
本発明の容器詰飲料は、例えば、前記式(1)の関係を満たす茶抽出物と、必要により成分(D)、添加剤を配合し、成分(A)〜(C)の各含有量を調整して容器に充填することにより製造することができる。
前記式(1)の関係を満たす茶抽出物は、例えば、茶葉から得られた茶抽出物の中から前記式(1)の関係を満たす茶抽出物を選択しても、2種以上の茶抽出物を前記式(1)の関係を満たすように混合して調製してもよい。また、茶品種、採取時期、火入れ加工程度等の異なる茶葉の中から前記式(1)の関係を満たす茶葉を選択し、茶抽出物を調製してもよい。更に、1種又は2種以上の茶抽出物に、成分(A)及び成分(B)から選ばれる少なくとも1種を前記式(1)の関係を満たすように添加してもよい。なお、茶品種は一般に栽培されているものであれば、特に限定されるものではない。また、採取時期は、一番茶、二番茶、三番茶及び四番茶のいずれでもよいが、一番茶が好ましい。火入れ条件は適宜選択することが可能であるが、例えば、温度は好ましくは150〜300℃、より好ましくは170〜230℃であり、加熱時間は好ましくは1〜15分、より好ましくは1〜10分である。
【0034】
抽出に使用する茶葉としては、Camellia属、例えば、C.sinensis.var.sinensis(やぶきた種を含む)、C.sinensis.var.assamica及びそれらの雑種から選択される茶葉が挙げられる。茶葉は、その加工方法により、不発酵茶、半発酵茶、発酵茶に分類することができる。不発酵茶としては、例えば、煎茶、深蒸し煎茶、焙じ茶、番茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、釜入り茶、茎茶、棒茶、芽茶等の緑茶が挙げられる。また、半発酵茶としては、例えば、鉄観音、色種、黄金桂、武夷岩茶等の烏龍茶が挙げられる。更に、発酵茶としては、ダージリン、アッサム、スリランカ等の紅茶が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、非重合体カテキン類の含有量の点から、不発酵茶が好ましく、緑茶がより好ましく、また本発明の効果を奏する点で、火入れ加工煎茶及び焙じ茶が殊更に好ましい。
【0035】
抽出方法は、撹拌抽出、カラム抽出、ドリップ抽出等の公知の方法を採用することができる。抽出に使用する水の温度は適宜選択可能であるが、通常25〜100℃である。抽出時間及び抽出倍率も適宜選択可能であるが、抽出時間は通常5〜60分であり、抽出倍率は通常1〜50倍である。
【0036】
抽出後、濾過、遠心分離、膜処理等の公知の固液分離手段により、茶葉と茶抽出物とを分離することができる。また、固液分離後の茶抽出物を、例えば、下記の(i)〜(iii)のいずれか1以上の精製工程に供することも可能である。
(i)茶抽出物を有機溶媒又は有機溶媒水溶液に溶解又は分散して析出物を除去する方法。
(ii)茶抽出物を有機溶媒又は有機溶媒水溶液に溶解又は分散し、活性炭、酸性白土、活性白土及び合成吸着剤から選ばれる1種又は2種以上の吸着剤と接触させる方法。
(iii)茶抽出物を有機溶媒又は有機溶媒水溶液に溶解又は分散し、イオン交換樹脂と接触させる方法。
このようにして得られた茶抽出物は、そのままでも、乾燥、濃縮して使用してもよい。
【0037】
上記実施形態に関し、本発明は更に以下の飲料を開示する。
<1>
次の(A)、(B)及び(C);
(A)非重合体カテキン類 0.025〜0.2質量%、
(B)テアニン 0.002〜0.023質量%、及び
(C)ルチン 0.0003〜0.0016質量%、
を含有し、
成分(B)と成分(C)の含有量が下記式(1);
−0.032b+0.0006<c<−0.032b+0.0027 (1)
〔式(1)中、cは成分(C)の含有量(質量%)を示し、bは成分(B)の含有量(質量%)を示す。〕
の関係を満たす、容器詰飲料。
【0038】
<2>
非重合体カテキン類が、好ましくはカテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートから選ばれる1種又は2種以上であり、更に好ましくは前記8種すべてである、前記<1>記載の容器詰飲料。
<3>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.03質量%以上、より好ましくは0.035質量%以上、更に好ましくは0.04質量%以上であって、好ましくは0.18質量%以下、より好ましくは0.16質量%以下、更に好ましくは0.14質量%以下である、前記<1>又は<2>記載の容器詰飲料。
<4>
成分(A)の含有量が、好ましくは0.03〜0.18質量%、より好ましくは0.035〜0.16質量%、更に好ましくは0.04〜0.14質量%である、前記<1>〜<3>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<5>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.0025質量%以上、より好ましくは0.003質量%以上、更に好ましくは0.0035質量%以上であって、好ましくは0.02質量%以下、より好ましくは0.018質量%以下、更に好ましくは0.013質量%以下、より更に好ましくは0.011質量%以下である、前記<1>〜<4>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<6>
成分(B)の含有量が、好ましくは0.0025〜0.02質量%、より好ましくは0.0025〜0.018質量%、更に好ましくは0.003〜0.013質量%、より更に好ましくは0.0035〜0.011質量%である、前記<1>〜<5>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<7>
成分(C)の含有量が、好ましくは0.0004質量%以上、より好ましくは0.00045質量%以上、更に好ましくは0.0005質量%以上であって、好ましくは0.0015質量%以下、より好ましくは0.0013質量%以下、更に好ましくは0.0011質量%以下である、前記<1>〜<6>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<8>
成分(C)の含有量が、好ましくは0.0004〜0.0015質量%、より好ましくは0.00045〜0.0013質量%、更に好ましくは0.0005〜0.0011質量%である、前記<1>〜<7>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<9>
前記式(1)が、好ましくは下記式(2)であり、より好ましくは下記式(3)であり、更に好ましくは下記式(4)である、前記<1>〜<8>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
−0.032b+0.00062<c<−0.032b+0.0018 (2)
−0.032b+0.00067<c<−0.032b+0.0016 (3)
−0.032b+0.00069<c<−0.032b+0.0013 (4)
〔式(2)〜(4)中、cは及びbは前記式(1)中のc及びbと同義である。〕
<10>
成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上、更に好ましくは0.04以上であって、好ましくは1以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.3以下である、前記<1>〜<9>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
【0039】
<11>
成分(B)と成分(C)との質量比[(C)/(B)]が、好ましくは0.01〜1、より好ましくは0.03〜0.7、更に好ましくは0.04〜0.3である、前記<1>〜<10>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<12>
成分(A)と成分(C)との質量比[(C)/(A)]が、好ましくは0.001以上、より好ましくは0.004以上、更に好ましくは0.006以上、より更に好ましくは0.01以上であって、好ましくは0.05以下、より好ましくは0.04以下、更に好ましくは0.03以下である、前記<1>〜<11>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<13>
成分(A)と成分(C)との質量比[(C)/(A)]が、好ましくは0.001〜0.05、より好ましくは0.004〜0.04、更に好ましくは0.006〜0.03、より更に好ましくは0.01〜0.03である、前記<1>〜<12>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<14>
更に成分(D)として、好ましくは糖鎖数3〜7のマルトオリゴ糖を含有する、前記<1>〜<13>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<15>
糖鎖数3〜7のマルトオリゴ糖が、好ましくはマルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース及びマルトヘプタオースから選ばれる1種又は2種以上である、前記<14>記載の容器詰飲料。
<16>
(D)糖鎖数3〜7のマルトオリゴ糖中の(E)糖鎖数5〜7のマルトオリゴ糖の質量比[(E)/(D)]が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上であって、好ましくは1以下、より好ましくは0.9以下、更に好ましくは0.85以下、より更に好ましくは0.8以下である、前記<14>又は<15>記載の容器詰飲料。
<17>
(D)糖鎖数3〜7のマルトオリゴ糖中の(E)糖鎖数5〜7のマルトオリゴ糖の質量比[(E)/(D)]が、好ましくは0.1〜1、より好ましくは0.3〜0.9、更に好ましくは0.5〜0.85、より更に好ましくは0.5〜0.8である、前記<14>〜<16>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<18>
成分(D)の含有量が、好ましくは0.00001質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であって、更に好ましくは0.27質量%以上であって、好ましくは0.35質量%以下、より好ましくは0.32質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以下である、前記<14>〜<17>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<19>
成分(D)の含有量が、好ましくは0.00001〜0.35質量%、より好ましくは0.001〜0.32質量%、更に好ましくは0.01〜0.3質量%であり、更に好ましくは0.27〜0.3質量%である、前記<14>〜<18>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<20>
更に、好ましくは香料、ビタミン、ミネラル、酸化防止剤、各種エステル、色素、乳化剤、保存料、調味料、酸味料、果汁エキス、野菜エキス、花蜜エキス、及び品質安定剤から選ばれる1種又は2種以上の添加剤を含有する、前記<1>〜<19>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
【0040】
<21>
好ましくは容器詰茶飲料であり、更に好ましくは容器詰緑茶飲料である、前記<1>〜<20>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<22>
pHが、好ましくは2以上、より好ましくは2.5以上、更に好ましくは3以上であって、好ましくは7以下、より好ましくは6.5以下、更に好ましくは6.3以下である、前記<1>〜<21>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<23>
pHが、好ましくは2〜7、より好ましくは2.5〜6.5、更に好ましくは3〜6.3である、前記<1>〜<22>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<24>
容器が、好ましくはポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、又は瓶である、前記<1>〜<23>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<25>
好ましくは加熱殺菌されたものである、前記<1>〜<24>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<26>
加熱殺菌法が、好ましくは適用されるべき法規(日本にあっては食品衛生法)に定められた条件に適合するものであり、更に好ましくはレトルト殺菌法、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、又は充填後殺菌法(パストリゼーション)である、前記<1>〜<25>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
<27>
(A)非重合体カテキン類が、好ましくは不発酵茶に由来するものであり、より好ましくは緑茶に由来するものであり、更に好ましくは火入れ加工煎茶及び焙じ茶から選ばれる少なくとも1種に由来するものである、前記<1>〜<26>のいずれか一に記載の容器詰飲料。
【実施例】
【0041】
1.非重合体カテキン類の分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP、島津製作所製)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラムL−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度40℃にてグラジエント法で分析した。非重合体カテキン類の標準品として、栗田工業製のものを使用し、検量線法で定量した。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有する蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有するアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
【0042】
時間(分) A液濃度(体積%) B液濃度(体積%)
0 97% 3%
5 97% 3%
37 80% 20%
43 80% 20%
43.5 0% 100%
48.5 0% 100%
49 97% 3%
60 97% 3%
【0043】
2.テアニンの分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、次いで蒸留水で希釈した試料を、キャピラリー電気泳動装置(CAPI−3300、大塚電子製)に未修飾のフェーズドシリカキャピラリー管(内径75μm、長さ80cm,有効長75cm)を装着して測定した。泳動液は、50mMホウ酸、10mMリン酸水素ニナトリウム、及び50mMドデシル硫酸ナトリウムを含む、10v/v%メタノール水溶液(pH8.2)とした。試料導入方法は、落差法(Δh=25mm,90sec)を選択し、泳動条件は、定電圧法(25kV)を用い、検出波長は、200nmで間接吸光度法を用いた。
【0044】
3.ルチンの分析
試料溶液をフィルター(0.45μm)で濾過し、高速液体クロマトグラフ(型式Waters2695、WATERS製)を用い、カラム(Shimpach VP ODS、150×4.6mmI.D.)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。移動相C液はリン酸を0.05質量%含有する蒸留水溶液、D液はメタノール溶液とし、流速は1mL/分、試料注入量は10μL、UV検出器波長は368nmの条件で行った。なお、グラジエントの条件は、以下のとおりである。
【0045】
時間(分) C液濃度(体積%) D液濃度(体積%)
0 95% 5%
20 80% 20%
40 30% 70%
41 0% 100%
46 0% 100%
47 95% 5%
60 95% 5%
【0046】
5.官能評価
各容器詰飲料の「鼻抜け香」、「コク味」及び「ドライ感(口が渇くような感覚)」について専門パネル3名が官能試験を行った。官能試験では、表1〜4の容器詰飲料について下記の評価基準にて評価した。その後、専門パネルの評点の平均値を求めた。なお、評点は数値が大きい程、良好であることを意味する。
【0047】
(1)鼻抜け香の評価基準
実施例1の容器詰飲料の鼻抜け香を評点5とし、比較例5の容器詰飲料の鼻抜け香を評点1として、下記の5段階で評価を行った。
1:弱い
2:やや弱い
3:普通
4:やや強い
5:強い
【0048】
(2)コク味の評価基準
実施例1の容器詰飲料のコク味を評点5とし、比較例3の容器詰飲料のコク味を評点1として、下記の6段階で評価を行った。
1:弱い
2:やや弱い
3:普通
4:やや強い
5:強い
6:より強い
【0049】
(3)ドライ感(口が渇くような感覚)の評価基準
実施例1の容器詰飲料のドライ感を評点5とし、比較例6の容器詰飲料のドライ感を評点1として、下記の5段階で評価を行った。
1:強い
2:やや強い
3:普通
4:やや弱い
5:弱い
【0050】
調製例1
緑茶抽出液(1)
緑茶葉(二番煎茶:秋冬番焙じ茶=50:50ブレンド)30gを70℃のイオン交換水1000gで4分間攪拌抽出し、その後金網により濾過して、茶殻を取り除いた。次に、この抽出液を2号濾紙で吸引濾過して、緑茶抽出液(1)を得た。得られた緑茶抽出液(1)は、ルチンの含有量が0.00044質量%、テアニンの含有量が0.0046質量%、非重合体カテキン類の含有量が0.15質量%であった。
【0051】
調製例2
緑茶抽出液(2)
緑茶葉(二番煎茶)30gを70℃のイオン交換水1000gで5分間、攪拌抽出し、その後金網により濾過して、茶殻を取り除いた。次に、この抽出液を2号濾紙で吸引濾過して、緑茶抽出液(2)を得た。得られた緑茶抽出液(2)は、ルチンの含有量が0.00030質量%、テアニンの含有量が0.0112質量%、非重合体カテキン類の含有量が0.27質量%であった。
【0052】
調製例3
緑茶抽出液(3)
緑茶葉(二番煎茶:秋冬番焙じ茶=95:5)30gを65℃のイオン交換水1000gで6分間、攪拌抽出し、その後金網により濾過して、茶殻を取り除いた。次に、この抽出液を2号濾紙で吸引濾過して、緑茶抽出液(3)を得た。得られた緑茶抽出液(3)は、ルチンの含有量が0.00027質量%、テアニンの含有量が0.0066質量%、非重合体カテキン類の含有量が0.24質量%であった。
【0053】
調製例4
緑茶抽出物
緑茶葉0.6kgに88℃のイオン交換水9kgを添加し、30分間攪拌バッチ抽出した後、200メッシュ金網で粗濾過後、抽出液中の微粉を除去する為に遠心分離操作を行い、噴霧乾燥機を用いて粉体にして緑茶抽出粉末0.2kgを得た。この緑茶抽出粉末200gを常温、250r/min攪拌条件下の95質量%エタノール水溶液800g中に分散させ、酸性白土(ミズカエース#600、水澤化学社製)100gを投入後、約10分間攪拌を続けた。その後、2号濾紙で濾過した。その後、活性炭(SGK、フタムラ化学社製)16gを添加し再び2号濾紙で濾過した。次に0.2μmメンブランフィルターによって再濾過し、濁りの除去を行った。40℃、0.0272kg/cm
2の減圧でエタノールを留去し、イオン交換水で非重合体カテキン類濃度を15質量%に調整して緑茶抽出物を得た。得られた緑茶抽出物は、ルチンの含有量が0.109質量%、テアニンの含有量が0.49質量%であった。
【0054】
実施例1〜10及び比較例1〜8
表1に記載の各成分を配合して飲料を製造し、108℃で0.5分間の加熱殺菌処理を行った後、PETボトルに充填し容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を表1に併せて示す。
【0055】
【表1】
【0056】
実施例11〜14並びに比較例9及び10
表2に記載の各成分を配合して飲料を製造したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を表2に併せて示す。
【0057】
【表2】
【0058】
実施例15〜17並びに比較例11及び12
表3に記載の各成分を配合して飲料を製造したこと以外は、実施例3と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を、実施例4及び13の結果とともに表3に併せて示す。
【0059】
【表3】
【0060】
実施例18〜24
表4に記載の各成分を配合して飲料を製造したこと以外は、実施例1と同様の操作により容器詰飲料を得た。得られた各容器詰飲料について分析及び官能評価を行った。その結果を、実施例1の結果とともに表4に併せて示す。
【0061】
【表4】
【0062】
表1〜4から、テアニン及びルチンの含有量を特定範囲内において一定の関係を満たすように制御することで、コク味が感じられ、鼻抜け香及びドライ感の改善された容器詰飲料が得られることがわかる。