(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面が第1開口部において開放された有底の容器にプラス端子が上向きとなるように収容された複数の二次電池を、上面が第2開口部において開放された有底の放電用容器に前記プラス端子が上向きとなるように移し替える入替工程と、
前記放電用容器に収容された二次電池を100℃以上250℃以下の温度で所定時間加熱することにより放電させる加熱工程とを備え、
前記入替工程は、
前記二次電池が収容された前記容器に対し、前記第1開口部側を覆うように、下面が第3開口部において開放された有底の反転用容器を該第3開口部側から被せる第1被覆工程と、
前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットを反転させる第1反転工程と、
反転された前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットから前記容器を引き抜いて前記二次電池を前記反転用容器内に収容させる第1引抜工程と、
前記容器を引き抜いて生じた前記反転用容器と前記二次電池との隙間に、前記放電用容器を前記第2開口部側から挿入する第2被覆工程と、
前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットを反転させる第2反転工程と、
反転させた前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットから前記反転用容器を引き抜いて前記放電用容器に収容された前記二次電池を得る第2引抜工程とを備えた
ことを特徴とする二次電池のリサイクル方法。
上面が第1開口部において開放された有底の容器にプラス端子が上向きとなるように収容された複数の二次電池を、上面が第2開口部において開放された有底の放電用容器に前記プラス端子が上向きとなるように移し替える入替手段と、
前記放電用容器に収容された二次電池を100℃以上250℃以下の温度で所定時間加熱することにより放電させる加熱手段とを備え、
前記入替手段は、
前記二次電池が収容された前記容器に対し、前記第1開口部側を覆うように、下面が第3開口部において開放された有底の反転用容器を該第3開口部側から被せる第1被覆手段と、
前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットを反転させる第1反転手段と、
反転させた前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットから前記容器を引き抜く第1引抜手段と、
前記容器の引き抜きにより生じた前記反転用容器と前記二次電池との隙間に、前記放電用容器を前記第2開口部側から挿入する第2被覆手段と、
前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットを反転させる第2反転手段と、
反転させた前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットから前記反転用容器を引き抜く第2引抜手段とを備えた
ことを特徴とする二次電池のリサイクルシステム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術を例えば大量の二次電池に適用しようとすると、放電処理前の大量の二次電池を加熱処理層に安全にセットしなければならないところ、特許文献1には、そのようなセット方法については具体的に開示されておらず、改良の余地があると考えられる。
【0006】
そこで本発明では、二次電池の放電処理における作業の安全性を高めた二次電池のリサイクル方法及びリサイクルシステムをもたらすことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、ここに開示する第1の技術に係る二次電池のリサイクル方法は、上面が第1開口部において開放された有底の容器にプラス端子が上向きとなるように収容された複数の二次電池を、上面が第2開口部において開放された有底の放電用容器に前記プラス端子が上向きとなるように移し替える入替工程と、前記放電用容器に収容された二次電池を100℃以上250℃以下の温度で所定時間加熱することにより放電させる加熱工程とを備え、前記入替工程は、前記二次電池が収容された前記容器に対し、前記第1開口部側を覆うように、下面が第3開口部において開放された有底の反転用容器を該第3開口部側から被せる第1被覆工程と、前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットを反転させる第1反転工程と、反転された前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットから前記容器を引き抜いて前記二次電池を前記反転用容器内に収容させる第1引抜工程と、前記容器を引き抜いて生じた前記反転用容器と前記二次電池との隙間に、前記放電用容器を前記第2開口部側から挿入する第2被覆工程と、前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットを反転させる第2反転工程と、反転させた前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットから前記反転用容器を引き抜いて前記放電用容器に収容された前記二次電池を得る第2引抜工程とを備えたことを特徴とする。
【0008】
使用済み等のリサイクル処理に供される二次電池は、通常複数の二次電池が、そのプラス端子が上向きに揃えられて1つのプラスチックケース等に収められた状態で入荷される。そうすると、二次電池を加熱工程に供するためには、加熱工程においてプラス端子周りに設けられた安全弁から電解液が蒸発することを考慮すると、例えば耐熱性の容器等にプラス端子が上向きのまま複数の二次電池を移し替えなければならない。しかしながら、放電前の二次電池を例えば手作業で耐熱性の容器に移し替えることは安全性の面から困難である。本技術によれば、反転用容器を用いて二次電池を二度反転させることにより、入荷時における容器を放電用容器に安全且つ容易に交換することができる。そうすると、放電前の複数の二次電池を、これらに直接触れることなく、そのプラス端子が上向きの状態で放電用容器に安全且つ容易に収容することができる。そうして、二次電池のリサイクル処理における加熱工程の作業の安全性を高めることができる。
【0009】
第2の技術は、第1の技術において、前記放電用容器の側面及び底面の少なくとも一方に複数の孔部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本技術によれば、放電用容器の側面及び底面の少なくとも一方に複数の孔部が形成されていることで、加熱工程における二次電池の昇温速度を向上させることができる。そうして、二次電池の放電を促進させることができる。
【0011】
第3の技術は、第1又は第2の技術において、前記反転用容器の底面は絶縁性部材により形成されていることを特徴とする。
【0012】
第1反転工程において反転された前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットでは、二次電池のプラス端子は反転用容器の底部に当接し得る。本技術によれば、反転用容器の底部を絶縁性部材とすることにより、入替工程における作業の安全性を高めることができる。
【0013】
第4の技術は、第1〜3の技術のいずれか1項において、前記二次電池は、上部に前記プラス端子を備えるとともに、内部に正極材、負極材及びセパレータが巻回されてなる電極群構造体が収容された巻回型二次電池であり、前記加熱工程後の前記二次電池を前記放電用容器から取り出す取出工程と、前記二次電池の前記上部と底部とを切り落として、前記電極群構造体が収容された二次電池本体を得る切断工程と、前記二次電池本体から前記電極群構造体を押し出して取り出す押出工程と、前記電極群構造体の前記正極材、前記負極材、及び前記セパレータを分離する分離工程と、前記正極材から正極材料を剥離して回収する作業と、前記負極材から負極材料を剥離して回収する作業との少なくとも一方を行う材料回収工程とを備えたことを特徴とする。
【0014】
本技術によれば、加熱工程において放電された二次電池を解体作業に供し、正極材料及び/又は負極材料を回収することにより、二次電池のリサイクル作業の安全性を高めることができる。
【0015】
第5の技術は、第4の技術において、前記取出工程の後であり且つ前記切断工程の前に、前記二次電池の前記プラス端子及びマイナス端子を洗浄する洗浄工程と、洗浄された前記二次電池の電圧を測定する電圧測定工程と、前記電圧測定工程において、残留電圧が所定値を超える前記二次電池を取り除く除去工程とを備えたことを特徴とする。
【0016】
本技術によれば、加熱工程後の二次電池について、放電が不十分であった二次電池を取り除くことにより、切断工程以後の解体作業の安全性をさらに高めることができる。
【0017】
ここに開示する第6の技術に係る二次電池のリサイクルシステムは、上面が第1開口部において開放された有底の容器にプラス端子が上向きとなるように収容された複数の二次電池を、上面が第2開口部において開放された有底の放電用容器に前記プラス端子が上向きとなるように移し替える入替手段と、前記放電用容器に収容された二次電池を100℃以上250℃以下の温度で所定時間加熱することにより放電させる加熱手段とを備え、前記入替手段は、前記二次電池が収容された前記容器に対し、前記第1開口部側を覆うように、下面が第3開口部において開放された有底の反転用容器を該第3開口部側から被せる第1被覆手段と、前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットを反転させる第1反転手段と、反転させた前記容器、前記二次電池及び前記反転用容器のセットから前記容器を引き抜く第1引抜手段と、前記容器の引き抜きにより生じた前記反転用容器と前記二次電池との隙間に、前記放電用容器を前記第2開口部側から挿入する第2被覆手段と、前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットを反転させる第2反転手段と、反転させた前記反転用容器、前記二次電池及び前記放電用容器のセットから前記反転用容器を引き抜く第2引抜手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本技術によれば、反転用容器を用いて二次電池を二度反転させることにより、入荷時における容器を放電用容器に安全且つ容易に交換することができる。そうすると、放電前の複数の二次電池を、これらに直接触れることなく、そのプラス端子が上向きの状態で放電用容器に安全且つ容易に収容することができる。そうして、二次電池の加熱による放電作業の安全性を高めることができる。
【0019】
第7の技術は、第6の技術において、前記放電用容器の側面及び底面の少なくとも一方に複数の孔部が形成されていることを特徴とする。
【0020】
本技術によれば、放電用容器の側面及び底面の少なくとも一方に複数の孔部が形成されていることで、加熱手段による加熱の際の二次電池の昇温速度を向上させることができる。そうして、二次電池の放電を促進させることができる。
【0021】
第8の技術は、第6又は第7の技術において、前記二次電池は、上部に前記プラス端子を備えるとともに、内部に正極材、負極材及びセパレータが巻回されてなる電極群構造体が収容された巻回型二次電池であり、前記加熱手段により放電された前記二次電池を前記放電用容器から取り出す取出手段と、前記二次電池の前記上部と底部とを切り落とす切断手段と、前記上部及び前記底部が切り落とされた前記二次電池から前記電極群構造体を押し出して取り出す押出手段と、前記電極群構造体の前記正極材、前記負極材、及び前記セパレータを分離する分離手段と、前記正極材から正極材料を剥離して回収する作業、及び前記負極材から負極材料を剥離して回収する作業の少なくとも一方を行う材料回収手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】
本技術によれば、加熱手段により放電された二次電池を解体して正極材料及び/又は負極材料を回収することにより、安全性の高い二次電池のリサイクル作業を実現することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上述べたように、本発明によると、反転用容器を用いて二次電池を二度反転させることにより、入荷時における容器を放電用容器に安全且つ容易に交換することができる。そうすると、放電前の複数の二次電池を、これらに直接触れることなく、そのプラス端子が上向きの状態で放電用容器に安全且つ容易に収容することができる。そうして、二次電池のリサイクル処理における加熱工程の作業の安全性を高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0026】
<二次電池のリサイクル方法及びリサイクルシステム>
実施形態1に係る二次電池のリサイクル方法は、
図1に示すように、放電工程SIと、解体工程SIIとを備えている。放電工程SIは、例えば
図2に示すように、入替工程S1と、加熱工程S2とを備えている。解体工程SIIは、例えば
図3に示すように、取出工程S3と、洗浄工程S4と、電圧測定工程S5と、除去工程S6と、切断工程S7と、押出工程S8と、分離工程S9と、材料回収工程S10とを備えている。
【0027】
図4は、実施形態1に係る二次電池のリサイクルシステム100の一例を示している。リサイクルシステム100は、上記放電工程SIを行う放電装置部100aと、上記解体工程SIIを行う解体装置部100bとを備えている。放電装置部100a及び解体装置部100bは、二次電池1に対して、それぞれ
図2及び
図3の各工程の作業を行うように構成されている。
【0028】
以下、リサイクルシステム100及び当該リサイクルシステム100を用いて行われるリサイクル方法の各構成について詳述する。
【0029】
<二次電池>
図4、
図5A及び
図5Bに示すように、本実施形態のリサイクル対象である二次電池1は、携帯電話、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デジタルカメラ、ウェアラブル機器等のモバイル機器搭載用の円筒型の巻回型リチウムイオン二次電池である。二次電池1は、電池本体11(二次電池本体)と、外部取出用電極として上部に形成されたプラス端子12と、外部取出用電極として底部に形成されたマイナス端子13とを備えている。なお、プラス端子12が形成された上部には電池本体11内部の圧力の過度の上昇を抑えるための安全弁(不図示)が形成されている。電池本体11は、円筒型の缶製の電池外装容器11aと、当該電池外装容器11aの内部に収容された電極群構造体14及び電解液等とを備えている。電極群構造体14は、正極材15、負極材17及びセパレータ16,18が巻回されてなる構造体である。
【0030】
リチウムイオン二次電池は、特に限定されるものではないが、具体的には例えば、正極材料としてコバルト酸リチウム(LiCoO
2)、負極材料として黒鉛(LiC
6)を用いたコバルト系リチウムイオン電池、正極材料としてニッケル酸リチウム(LiNiO
2)を用いたニッケル系リチウムイオン電池、マンガン酸リチウム(LiMn
2O
4)を正極材料に使用するマンガン系リチウムイオン電池、リン酸鉄リチウム(LiFePO
4)を正極材料に使用するリン酸鉄系リチウムイオン電池、正極材料であるコバルト酸リチウムのコバルトの一部をニッケルとマンガンで置換したコバルト・ニッケル・マンガンの3種類の原料を使用する三元系リチウムイオン電池、負極材料としてチタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)を、正極材料としてマンガン酸リチウムを使用したチタン酸系リチウムイオン電池等が挙げられる。
【0031】
リチウムイオン電池は、電解質及び有機溶媒を含む電解液を備えている。電解液は、一般的なリチウムイオン電池に含まれる構成であってよい。電解質の例としては、限定する意図ではないが、LiPF
6,LiCF
3SO
3,LiC
4F
9SO
3,LiClO
4,LiBF
4,LiAsF
6,LiN(CF
3SO
2)
2,LiC(CF
3SO
2)
3等の各種リチウム塩やこれらの混合物が挙げられる。有機溶媒の例としては、限定する意図ではないが、具体的には例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等やこれらの混合溶媒が挙げられる。
【0032】
<容器>
図5A及び
図5Bに示すように、リサイクル対象の二次電池1は、容器91に、プラス端子12が上向きとなるように、複数個収容された状態で入荷される。
【0033】
容器91は、上面が第1開口部95において開放された有底の容器である。容器91の材質は、特に限定されるものではなく、例えばプラスチック製、塩化ビニール樹脂製等が挙げられる。
【0034】
<放電工程>
≪入替工程≫
二次電池1を加熱工程S2に供するためには、加熱工程S2においてプラス端子12周りに設けられた安全弁から電解液が蒸発することを考慮すると、例えば耐熱性の容器等にプラス端子12が上向きのまま複数の二次電池1を移し替えることが望ましい。
【0035】
すなわち、入替工程S1は、
図4の白抜き矢印B1で示すように、容器91に収容された複数の二次電池1を、放電用容器21にプラス端子12が上向きとなるように移し替える工程である。
【0036】
入替工程S1は、例えば
図6に示すように、第1被覆工程S11と、第1反転工程S12と、第1引抜工程S13と、第2被覆工程S14と、第2反転工程S15と、第2引抜工程S16とを備えている。
【0037】
図7A〜
図7Fは、入替工程S1の各工程を図示している。詳細は後述するが、入替工程S1は、第1ホルダ41(第1反転手段、第1引抜手段)、第2ホルダ42(第1被覆手段、第1反転手段、第2反転手段、第2引抜手段)、及び第3ホルダ43(第2被覆手段、第2反転手段)を備えた入替装置40(入替手段)により、反転用容器51を用いて行われる。入替装置40は、さらにサーボモータ等の図外のモータと、当該モータ、第1ホルダ41、第2ホルダ42、及び第3ホルダ43の駆動を制御する図外の制御装置とを備えている。
【0038】
−放電用容器−
図8A〜
図8Dに示すように、放電用容器21は、上面が第2開口部25において開放された有底の容器であり、放電用容器底面22(底面)と放電用容器側面24(側面)とを備えている。放電用容器21は、加熱工程S2に供するため、耐熱性及び耐薬品性を備えている材質であることが必要であり、そのような材質としては例えばステンレス製、アルミニウム製、チタン製、鉄製等の金属製が挙げられる。
【0039】
放電用容器21の放電用容器底面22には、複数の底面孔部22a(孔部)が形成されている。また、放電用容器21の放電用容器側面24には、複数の側面孔部24a(孔部)が形成されている。底面孔部22a及び側面孔部24aは、加熱工程S2において、乾燥器61(加熱手段)内の熱風の二次電池1への接触を促し、二次電池1の昇温速度を向上させて、二次電池1内部の電解液の蒸発を促進させることで放電処理時間を短縮化する観点から、例えば孔径5mm以上30mm以下、単位面積(100cm
2)当たりの形成数が5個以上400個以下の孔とすることができる。なお、底面孔部22a及び側面孔部24aの少なくとも一方が設けられた構成であってもよいが、放電処理時間を短縮化する観点からは、底面孔部22a及び側面孔部24aの両者が形成されていることが望ましい。
【0040】
また、底面孔部22a及び側面孔部24aの形状は、特に限定されるものではなく、
図8A〜
図8Dに示すように円形としてもよいし、楕円形、正方形、長方形、多角形等としてもよい。また底面孔部22a及び側面孔部24aの形成方法は、特に限定されるものではなく、
図8A〜
図8Dに示すようなパンチングメッシュでもよいし、網状であってもよい。なお、底面孔部22a及び側面孔部24aの形状が円形以外の場合は、その孔径は最大幅とすることができる。具体的には例えば、底面孔部22a及び側面孔部24aの形状が長方形の場合は、その孔径は最大幅としての対角線の長さとすることができる。
【0041】
−反転用容器−
図9A〜
図9Cに示すように、反転用容器51は、下面が第3開口部55において開放された有底の容器であり、反転用容器底部52(反転用容器の底面)と、反転用容器側壁部54と、反転用容器段差部53とを備えている。反転用容器段差部53は、入替工程S1における二次電池1の転倒を抑制して作業の安全性を向上させるためのものである。
【0042】
反転用容器51は、第1反転工程S12〜第2被覆工程S14において、二次電池1のプラス端子12が接触し得るため、入替工程S1における安全性向上の観点から、絶縁性部材であることが望ましい。特に反転用容器底部52は絶縁性部材により形成されていることが望ましい。絶縁性部材は、例えばアクリル樹脂製、塩化ビニール樹脂製、合成ゴム製、テフロン(登録商標)等のフッ素樹脂製等の部材とすることができる。なお、反転用容器底部52のうち二次電池1のプラス端子12が当接する内面のみ絶縁性部材としてもよい。
【0043】
なお、反転用容器51は、反転用容器底部52と、反転用容器側壁部54となる部材が別部材として準備され、容器91の上側で、
図7Aで示すような状態に組み立てられるように構成された部材であってもよい。また、反転用容器段差部53は、入替工程S1における作業の安全性を向上させる観点から、設けることが好ましいが、設けない構成としてもよい。また、二次電池1の転倒を抑制するための構成としては、反転用容器段差部53以外の構成も適宜採用することができる。
【0044】
−第1被覆工程−
第1被覆工程S11は、
図7Aに示すように、二次電池1が収容された容器91に対し、反転用容器51を被せる工程である。
【0045】
具体的に、二次電池1が収容された容器91は、第1ホルダ41により保持されている。この容器91に対して、第2ホルダ42により保持された反転用容器51が、その第3開口部55側から、容器91の第1開口部95側を覆うように被せられる。そうして、容器91、二次電池1及び反転用容器51のセットは、反転用容器段差部53が容器91の上端に当接した状態で、第1ホルダ41と第2ホルダ42とにより挟持される。
【0046】
なお、「反転用容器51が、その第3開口部55側から、容器91の第1開口部95側を覆うように被せられる」構成には、例えば、上述したような、「反転用容器底部52と、反転用容器側壁部54となる部材が別部材として準備され、容器91の上側で、
図7Aで示すような状態に組み立てられる」構成も含む。
【0047】
−第1反転工程−
第1反転工程S12は、容器91、二次電池1及び反転用容器51のセットを反転させる工程である。
【0048】
図7Bに示すように、本工程において、第1ホルダ41と第2ホルダ42は、図外のモータ及び制御装置により駆動されて互いの位置が入れ替わった状態となる。そうして、第1ホルダ41と第2ホルダ42に挟持された容器91、二次電池1及び反転用容器51のセットは、第1ホルダ41及び第2ホルダ42の移動に伴って反転される。このとき、容器91の内部に収容されていた二次電池1は、プラス端子12が反転用容器底部52の内面に当接した状態となる。
【0049】
−第1引抜工程−
そして、
図7Cに示すように、第1ホルダ41は、第1引抜工程S13において、反転された容器91、二次電池1及び反転用容器51のセットから容器91を引き抜く。これにより、二次電池1は、プラス端子12が反転用容器底部52に当接した状態で反転用容器51内に収容される。なお、容器91が引き抜かれた後は、反転用容器51と二次電池1との間に隙間56が形成される。
【0050】
−第2被覆工程−
第2被覆工程S14は、放電用容器21を隙間56に挿入する工程である。
【0051】
具体的に、第3ホルダ43に保持された放電用容器21は、
図7Dに示すように、その第2開口部25側から隙間56に挿入される。そして、放電用容器21の上端は、反転用容器段差部53に当接した状態となる。そうして、反転用容器51、二次電池1及び放電用容器21のセットは、第2ホルダ42と第3ホルダ43とに挟持される。
【0052】
−第2反転工程−
第2反転工程S15は、反転用容器51、二次電池1及び放電用容器21のセットを反転させる工程である。
【0053】
具体的に、
図7Eに示すように、本工程において、第2ホルダ42と第3ホルダ43は、第1反転工程S12と同様に、図外のモータ及び制御装置により駆動されて、互いの位置が入れ替わった状態となる。そうして、第2ホルダ42と第3ホルダ43に挟持された反転用容器51、二次電池1及び放電用容器21のセットは、第2ホルダ42及び第3ホルダ43の移動に伴って反転される。このとき、反転用容器51の内部に収容されていた二次電池1は、二次電池1のマイナス端子13が放電用容器21の放電用容器底面22に当接した状態となる。
【0054】
−第2引抜工程−
図7Fに示すように、第2引抜工程S16において、第2ホルダ42は、反転させた反転用容器51、二次電池1及び放電用容器21のセットから反転用容器51を引き抜く。そうして、プラス端子12が上向きの状態で放電用容器21に収容された二次電池1が得られる。
【0055】
≪加熱工程≫
加熱工程S2は、放電用容器21に収容された二次電池1を乾燥器61内に導入して、所定温度で所定時間加熱する工程である。
【0056】
具体的に、
図4の矢印B2で示すように、二次電池1は、放電用容器21に収容された状態で、乾燥器61内に導入される。乾燥器61内への二次電池1の導入は手動で行ってもよいし、フォークリフトやコンベア装置等を用いて二次電池1が収容された放電用容器21を乾燥器61内へ導入する等、自動で行う構成としてもよい。
【0057】
乾燥器61は、市販の循環型定温乾燥器、全排気型オーブン等を用いることができるが、電解液の蒸発により可燃性の有機溶媒が二次電池1外に排出されるため防爆性の乾燥器を用いることが望ましいという観点から、全排気型オーブン等を用いることが望ましい。なお、乾燥器61には、電解液の有機溶媒を含む排気を洗浄する洗浄装置、スクラバー等が配設されていることが望ましい。また、乾燥器61内部を例えば窒素ガス等の不活性ガスで置換することにより、加熱工程S2における安全性を高めることができる。
【0058】
所定温度は、電解液の蒸発を促す観点から、好ましくは100℃以上250℃以下、より好ましくは120℃以上220℃以下、特に好ましくは150℃以上200℃以下である。所定時間は電解液の十分な蒸発を促す観点から、好ましくは30分以上3時間以下、より好ましくは40分以上2時間以下である。
【0059】
加熱工程S2前の二次電池1の電圧は、例えば0.5V超であり、特に2.5V以上である。そして、加熱工程S2により放電された二次電池1の残留電圧は、次工程以後の作業の安全性を高める観点から、好ましくは0.5V以下、より好ましくは0.4V以下、特に好ましくは、0.2V以下である。また、1つの放電用容器21に収容された二次電池1の総本数に対する、加熱工程S2後において残留電圧が0.5V以下となった二次電池1の本数の割合を百分率で表したものを放電率(%)とすると、当該放電率は、以降の解体工程SIIの安全性を確保するとともに、二次電池1のリサイクル処理を効率的に行う観点から、好ましくは50%以上、より好ましくは69%以上、特に好ましくは79%以上である。
【0060】
加熱終了後は、乾燥器61内で、又は乾燥器61から放電用容器21に収容された二次電池1を取り出した状態で、例えば二次電池1の温度が約60℃以下となるまで冷却することが好ましい。
【0061】
<解体工程>
≪取出工程≫
取出工程S3は、加熱工程S2後、冷却された二次電池1を放電用容器21から図外の取出手段により取り出す工程である。取出手段は、特に限定されるものではないが、手動であってもよいし、産業用ロボットアーム等により構成されていてもよい。
図4の矢印B3に示すように、放電用容器21から取り出された二次電池1は、ベルトコンベア62a上に配置されて、矢印A1で示す方向に送り出される。
【0062】
≪洗浄工程≫
送り出された二次電池1は、洗浄工程S4において、ブラシ部材63によりプラス端子12及びマイナス端子13部分がブラッシングされて洗浄される。二次電池1の洗浄方法は、ブラッシングに限られるものではなく、ワイピング、溶媒洗浄、エアブロー等やこれらの複数の方法を組み合わせた構成であってもよい。
【0063】
≪電圧測定工程≫
洗浄された二次電池1は、電圧測定工程S5において、電圧測定器64によりその残留電圧が測定される。電圧測定器64には図示しない制御部が接続されており、残留電圧が、例えば0.5V等の所定値以下であるか否かを判定する。
【0064】
≪除去工程≫
除去工程S6は、電圧測定工程S5で残留電圧が所定値を超えたと判定された場合に、判定された二次電池1を取り除く工程である。
【0065】
具体的に説明すると、まず、ベルトコンベア62aの先には、稼働扉65が配設されている。稼働扉65には、駆動手段としてのアクチュエータ(不図示)及び駆動を制御する制御部(不図示)が接続されている。電圧測定工程S5において、残留電圧が上記所定値を超えたと判断された場合には、制御部及びアクチュエータの作用により、稼働扉65が矢印A3で示すように開いて一点鎖線で示す位置に配置される。そうすると、残留電圧が所定値を超えた二次電池1bは、矢印A4,A6に示すように、開いた稼働扉65に案内されて副ベルトコンベア62cに送られる。一方、残留電圧が所定値以下と判断された二次電池1aは、矢印A2,A5に示すように、閉じられた稼働扉65に案内されて、主ベルトコンベア62bに送り出される。
【0066】
主ベルトコンベア62bに送られた二次電池1aは、次の切断工程S7に送られる。一方、副ベルトコンベア62cに送られた二次電池1bは、再度加熱工程S2にリターン等され得る。
【0067】
なお、除去工程S6は、
図4の構成に限られるものではなく、例えば産業用ロボットアーム等を用いて、残留電圧が所定値を超えると判定された二次電池1bを取り除く構成等その他の構成としてもよい。
【0068】
≪切断工程≫
そして、二次電池1aは、
図4の矢印B4で示すように、切断工程S7に供される。切断工程S7は、二次電池1aのプラス端子12が配置された上部とマイナス端子13が配置された底部とを切り落とす工程である。そうして、電極群構造体14が収容された電池本体11を得る。リサイクルシステム100には、図外の切断機(切断手段)が配設されており、当該切断機により、二次電池1aの上部及び底部は切り落とされる。切断機としては、特に限定されるものではなく、例えばダイヤモンドカッターを備えた切断機等、市販のものを適宜用いることができる。
【0069】
≪押出工程≫
次に、二次電池1aは、
図4の矢印B5で示すように、押出工程S8に供される。押出工程S8は、電池本体11から電極群構造体14を押し出して取り出す工程である。リサイクルシステム100には、押出ロッド67(押出手段)が配設されており、切断工程S7後の電池本体11の上部側又は底部側のいずれか一方側から押出ロッド67が電池本体11内部に挿入され、内部の電極群構造体14が押し出される。そうして電極群構造体14が取り出される。
【0070】
≪分離工程≫
そして、押出工程S8で取り出された電極群構造体14は、
図4の矢印B6で示すように、分離工程S9に供される。分離工程S9は、電極群構造体14の正極材15、負極材17、及びセパレータ16,18を分離する工程である。
【0071】
リサイクルシステム100には、分離装置68(分離手段)が配設されており、当該分離装置68により、正極材15、負極材17、及びセパレータ16,18は分離される。具体的に、分離装置68には、電極群構造体14がセットされるローラ68aが設けられており、ローラ68aが回転することで、矢印A9で示すように、互いに貼り合わされた正極材15、負極材17、及びセパレータ16,18の巻回が解かれて、送り出される。そして、送り出された正極材15、負極材17、及びセパレータ16,18は、互いに分離されてローラ68b,68c,68d,68eに巻き取られる。
【0072】
≪材料回収工程≫
分離装置68には、剥離刃69(材料回収手段)が備えられており、ローラ68bに巻き取られる正極材15から正極材料15aが剥離される。そうして、材料回収工程S10において、正極材料15aが回収部70に回収される。そして、ローラ68bには、正極材15の正極用集電体15bが巻き取られる。
【0073】
なお、正極材15から正極材料15aを剥離する方法としては、上述の剥離刃69により正極材料15aを物理的に削り落とす方法に限られるものではなく、正極材15を化学的に処理することで正極材料15aを回収する方法等他の方法を採用してもよい。
【0074】
また、
図4では、正極材15から正極材料15aを回収する構成のみを図示しているが、正極材料15aを回収する構成に加えて、又はこれに代えて、負極材17から負極材料を回収する構成を設けてもよい。
【0075】
さらに、分離工程S9と材料回収工程S10とを別の装置で行う構成としてもよい。
【0076】
<作用効果>
本実施形態に係る二次電池のリサイクル方法及びリサイクルシステム100は、以下の作用効果を奏する。
【0077】
すなわち、放電前の二次電池1を例えば手作業で放電用容器21に移し替えることは安全性の面から困難である。上述の入替工程S1において、反転用容器51を用いて二次電池1を二度反転させることにより、入荷時における容器91を放電用容器21に安全且つ容易に交換することができる。そうすると、放電前の複数の二次電池1を、例えば作業員等がこれらに直接触れることなく、そのプラス端子が上向きの状態で放電用容器21に安全且つ容易に収容することができる。そうして、次の加熱工程S2の作業の安全性を高めることができる。
【0078】
また、二次電池1を放電する方法としては、一般的に塩水処理、冷凍処理、焼成処理等が挙げられるものの、例えば塩水処理では放電時間の長期化や処理後の悪臭発生等の問題、冷凍処理は高コストの問題、焼成処理は高コストや処理後の電池材料の酸化等の問題がある。上述の加熱工程S2において、二次電池1を上記温度範囲で加熱し、電解液を蒸発させるから、二次電池1を低コストで、悪臭発生や酸化等の問題を生じることなく効果的に放電させることができる。
【0079】
さらに、本実施形態の加熱工程S2では、上述のごとく、側面孔部24a及び/又は底面孔部22aを備えた放電用容器21を用いて二次電池1のプラス端子12が上向きとなるように二次電池1を保持する。これにより、二次電池1内部の電解液の蒸発を促し、放電時間を短縮化して、二次電池1の放電効率を向上させることができる。
【0080】
そして、加熱工程S2において放電された二次電池1を次の解体工程SIIにより解体することで、安全且つ効率的に正極材料及び/又は負極材料を回収することができ、延いては、二次電池1のリサイクル作業の安全性及び効率性を高めることができる。
【0081】
なお、解体工程SIIにおいて、取出工程S3の後であり且つ切断工程S7の前に、洗浄工程S4と、電圧測定工程S5と、除去工程S6とを備えることにより、切断工程S7以後の解体作業における残留電圧の装置や作業員等への影響を低減させて、解体作業の安全性をさらに高めることができる。
【0082】
(その他の実施形態)
以下、本発明に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
実施形態1では、二次電池1はモバイル機器搭載用の円筒型の巻回型リチウムイオン電池であったが、この構成に限られるものではない。具体的に、二次電池1は、例えばモバイル機器以外の電子機器搭載用、自動車搭載用、電動自転車搭載用、電動工具用、ドローン搭載用、産業用ロボット搭載用、蓄電システム用等であってもよい。また、二次電池1は、例えばリチウムイオンポリマー電池、ニッケル水素二次電池等であってもよい。さらに、二次電池1は、例えば実施形態1のリチウムイオン電池のような電池単体としての電池セルであってもよいし、本構成に限らず、そのような電池セルを複数個(例えば6個か8個程度)直列に接続して1つの部品単位とした電池モジュール、当該電池モジュールを複数直列に接続して構成された組電池、及び、当該組電池と、電池モジュールの充電状態を監視制御する制御装置や電気回路を切断するためのリレーや機械的に回路を切断するためのセーフティプラグや組電池を冷却する冷却ブロア等の電子部品と、各部品を接続する信号線や動力線と、これらを密閉収納するケース等から構成される電池パック等であってもよい。
【0084】
また、複数の二次電池とは、上述の電池セルを複数個含むものに限らず、上述の電池モジュール、組電池、及び電池パックのいずれかを複数個含むものも該当する。また、上述の電池セル、電池モジュール、組電池、及び電池パックの二種以上を組み合わせて複数個としたものも含まれる。
【0085】
二次電池1の電極構造は巻回型に限られるものではなく、例えば、積層型等であってもよい。また、二次電池1の外装容器は缶に限られるものではなく、例えばラミネートフィルム外装等であってもよい。さらに、二次電池1の形態は円筒型に限られるものではなく、角型、シート型等であってもよい。なお、円筒型以外の形態の場合、プラス端子12、マイナス端子13及び安全弁が上部等に形成され得る。プラス端子12、マイナス端子13及び安全弁が形成された部分が上向きの状態で容器91に収容されて入荷され得る。そうすると、入替工程S1では、プラス端子12、マイナス端子13及び安全弁が形成された部分が上向きの状態となるように、放電用容器21に収容され得る。
【0086】
また、入替装置40は、実施形態1の構成に限られるものではなく、
図6に示す各工程を実行可能な構成であれば、いかなる構成も採用することができる。具体的に、実施形態1では、第1ホルダ41と第3ホルダ43とは異なる部材であったが、同じ部材であってもよい。また、第1被覆工程S11〜第1引抜工程S13までを1つの装置で行い、第2被覆工程S14〜第2引抜工程S16までを別の装置で行う構成としてもよい。
【0087】
さらに、上記実施形態1では、取出工程S3の後であり且つ切断工程S7の前に、洗浄工程S4と、電圧測定工程S5と、除去工程S6とを備えた構成であったが、これらの工程は任意の工程であり、例えばリサイクルシステム100の各装置をアースすることで、残留電圧の影響を低減することができる場合等には、洗浄工程S4と、電圧測定工程S5と、除去工程S6とを設けない構成としてもよい。これにより、解体工程SIIをより簡潔化することができる。
【0088】
また、実施形態1では、押出工程S8は押出ロッド67を用いる構成であったが、当該構成に限られるものではなく、例えば手作業等の他の押出手段により電極群構造体14を取り出す構成としてもよい。
【実施例】
【0089】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。
【0090】
<加熱実験>
(実施例1)
二次電池として、最大径18.5mm、最大長さ65mmの円筒型の巻回型ニッケル系リチウムイオン電池48本(電圧3.6V)を、プラス端子が上向きとなるようにステンレス製の放電用容器に収容し、定温乾燥器(アズワン株式会社製OF−450S)を用いて加熱した。
【0091】
放電用容器としては、幅15cm×奥行18cm×高さ10cmのステンレス製容器で、側面及び底面のいずれにも孔径8mmのパンチングメッシュを施したものを用いた。なお、孔部の形成数は、側面及び底面のいずれも100cm
2当たり20個とした。
【0092】
加熱条件は、温度190℃、時間は1.5時間であった。具体的に、オーブンを予め190℃に加熱しておき、電池を収容した放電用容器をオーブンに導入後1.5時間でオーブンを開けて放電用容器を取出し、大気中常温で3時間放置冷却した。
【0093】
その後、電池を放電用容器から取出し、プラス端子及びマイナス端子をウエスで拭き取って市販のテスター(株式会社MonotaRO製)で残留電圧を測定した。
【0094】
(実施例2)
放電用容器のパンチングメッシュの孔径を10mmとした以外は、実施例1と同様に実験を行った。
【0095】
(実施例3)
放電用容器のパンチングメッシュの孔径を12mmとした以外は、実施例1と同様に実験を行った。
【0096】
(実施例4)
二次電池を最大径14mm、最大長さ65mmの円筒型の巻回型三元系リチウムイオン電池56本(電圧3.6V)とした。また、放電用容器のサイズを幅12cm×奥行14cm×高さ10cmとした。さらに、加熱条件を190℃2時間とした。これらの構成以外は、実施例2と同様に実験を行った。
【0097】
(実施例5)
放電用容器のパンチングメッシュの孔径を12mmとした以外は、実施例4と同様に実験を行った。
【0098】
<加熱実験結果について>
実施例1〜6の加熱実験の結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
表1に示すように、実施例1〜3では、いずれにおいても、50%以上の電池において、残留電圧が0.5V以下となるまで放電できることが判った。特に、孔径10mmの実施例2では、全ての電池において、残留電圧が0.5V以下となり、効率的に放電できることが判った。また、実施例5,6では、全ての電池において残留電圧が0.5V以下となるまで放電できることが判った。
【解決手段】二次電池のリサイクル方法は、上面が第1開口部95において開放された有底の容器91にプラス端子12が上向きとなるように収容された複数の二次電池1を、上面が第2開口部25において開放された有底の放電用容器21に前記プラス端子12が上向きとなるように移し替える入替工程S1と、前記放電用容器21に収容された二次電池1を100℃以上250℃以下の温度で所定時間加熱することにより放電させる加熱工程S2とを備えている。