(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6336239
(24)【登録日】2018年5月11日
(45)【発行日】2018年6月6日
(54)【発明の名称】多成分カートリッジ用の分配デバイス
(51)【国際特許分類】
B05C 17/005 20060101AFI20180528BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20180528BHJP
B67D 7/02 20100101ALI20180528BHJP
【FI】
B05C17/005
B05C5/00 A
B67D7/02 Z
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-233536(P2012-233536)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2013-132642(P2013-132642A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2015年9月28日
(31)【優先権主張番号】11195135.6
(32)【優先日】2011年12月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508105773
【氏名又は名称】スルザー ミックスパック アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリンコ バルデリ
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
欧州特許第00543776(EP,B1)
【文献】
欧州特許第00791403(EP,B1)
【文献】
欧州特許第00791404(EP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2004/0045982(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0039113(US,A1)
【文献】
米国特許第05263614(US,A)
【文献】
米国特許第05314092(US,A)
【文献】
米国特許第05441175(US,A)
【文献】
米国特許第06290101(US,B1)
【文献】
米国特許第06382466(US,B1)
【文献】
米国特許第05249709(US,A)
【文献】
特開平11−056874(JP,A)
【文献】
特表2008−537714(JP,A)
【文献】
国際公開第2012/006749(WO,A1)
【文献】
特表2000−501986(JP,A)
【文献】
特開昭63−310667(JP,A)
【文献】
特表2009−521963(JP,A)
【文献】
特開平10−045181(JP,A)
【文献】
特表2005−536331(JP,A)
【文献】
特開2005−096446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00−21/00
B05B 1/00−17/08
B05D 1/00− 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多成分カートリッジ用の分配デバイス(1)であって、
前記分配デバイス(1)は、前記多成分カートリッジのカートリッジ端部を受け入れるための受け入れ要素(3)が内部に配置されたハウジング(2)を含み、
前記カートリッジ端部は、充填体で満たされた第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器の入口側に配置され、前記第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器は、それぞれのピストンによって前記カートリッジ端部でそれぞれ液密式に密閉され、
プランジャ装置(5)と、前記プランジャ装置(5)を移動させるための駆動装置(6)とが前記ハウジング(2)内に配置され、
前記プランジャ装置(5)の分配方向の移動は、前記多成分カートリッジの前記貯蔵容器から前記充填体を分配するための前記駆動装置(6)によって行うことができ、
前記受け入れ要素が、実質的に前記分配方向に平行に配置された回転軸線(10)を有し、
前記受け入れ要素(3)に押し込まれた前記カートリッジ端部は、前記回転軸線(10)のまわりで前記受け入れ要素(3)と共に前記多成分カートリッジを回転させることによって組み付け位置(20)から、前記組み付け位置(20)とは異なる分配位置(30)に動かされることができ、
前記組み付け位置(20)は、前記カートリッジ端部が前記受入れ要素(3)に取り付けられること及び前記受入れ要素(3)から取り外されることを可能にし、前記分配位置(30)は、前記プランジャ装置(5)の移動によって前記充填体を分配することを可能にし、前記受け入れ要素(3)が溝(9)を有し、案内要素(8)が、前記取り付け状態において分離できないように前記ハウジング(2)に接続され、且つ前記溝(9)内に受け入れられることができる突起部(14)として形成され、それにより前記受け入れ要素(3)は、前記案内要素(8)内に回転可能に配置され、また前記受け入れ要素(3)又は前記案内要素(8)は、前記組み付け位置(20)と前記分配位置(30)の間の回転を制限するエンドストップを有する
ことを特徴とする分配デバイス(1)。
【請求項2】
前記組み付け位置(20)から前記分配位置までの回転角度が、実質的に90°である請求項1に記載の分配デバイス。
【請求項3】
前記案内要素(8)は、前記取り付け状態において前記ハウジング(2)内に配置される請求項1又は2に記載の分配デバイス。
【請求項4】
前記受け入れ要素(3)が、前記ハウジング(2)内の前記案内要素(8)に回転可能に支持される請求項1から3までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【請求項5】
前記カートリッジ端部及び前記受け入れ要素(3)の組み付け時に、前記第1の貯蔵容器及び前記第2の貯蔵容器の長手方向の軸線を、前記第2の貯蔵容器用の第2の開口部(13)と前記第1の貯蔵容器用の第1の開口部(12)との間の接続ラインに沿って移動させることができる請求項1から4までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【請求項6】
前記受け入れ要素(3)が、前記カートリッジ端部を受け入れるための案内溝(11)を有する請求項1から5までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【請求項7】
前記受け入れ要素(3)が、前記多成分カートリッジを前記分配位置(30)及び/又は前記組み付け位置(20)に固定するためのラッチ要素、特に前記分配位置(30)及び/又は前記組み付け位置(20)にラッチするためのラッチ要素を有する請求項1から6までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【請求項8】
使用者がラッチしたことを聞き取れるように、ラッチ時にクリック音を発することができる請求項7に記載の分配デバイス。
【請求項9】
前記カートリッジ端部は、前記受け入れ要素(3)に挿入すること、及び前記受け入れ要素(3)から再び取り外すことが可能である請求項1から8までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【請求項10】
前記受け入れ要素(3)が、前記多成分カートリッジの前記貯蔵容器の正確な位置決めのためのコード化要素を有する請求項1から9までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【請求項11】
前記コード化要素が、前記多成分カートリッジのそれぞれの貯蔵容器を内部に受け入れ可能な第1の開口部(12)及び第2の開口部(13)を含み、前記第1の開口部(12)の直径が前記第2の開口部(13)の直径とは異なる請求項10に記載の分配デバイス。
【請求項12】
前記多成分カートリッジの分配端部の方向への前記プランジャ装置(5)の移動が、前記駆動装置(6)のトリガー・レバー装置(7)の作動によって行われる請求項1から11までのいずれか一項に記載の分配デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動で作動させることができる多成分カートリッジ用の分配デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そうした分配デバイスは、例えば欧州特許第0791403B1号又は欧州特許第0791404B1号によって知られている。欧州特許第0791403B1号に記載された2成分カートリッジは、同じ断面積を有するシリンダとして形成された2つの貯蔵容器を有する。入口側のカートリッジ端部は、2つのシリンダを接続するフランジとして形成される。シリンダを分配デバイス内に正確に位置決めするために、フランジにコード化手段(coding means)が取り付けられる。分配デバイスはフランジに適合した陥凹部を有し、その中にフランジが上から突き立てられる。特に充填体に粘性があるときには、ゆっくり移動する大きい分配力が、分配デバイスに対して、2成分カートリッジの分配端部のフランジ用マウント部の上部開放端に作用する。
【0003】
このため、欧州特許第0791404B1号又は欧州特許第0543776B1号では、フランジを上から分配装置のハウジングに向かって押す安全キャップが設けられている。しかしながら、この手段は、粘性があり、ゆっくりと移動する充填体に対しては、安全キャップが大きい力によって損傷を受け、さらには破損する可能性があるため、十分ではないことが分かっている。特に、混合比が1:1の混合比からはずれる場合、多成分カートリッジが、フランジの長手方向側を介して不均一な負荷を受ける可能性があることは確かである。これによって傾斜トルクが形成される可能性があり、その結果、この場合にも安全キャップに損傷をもたらす、安全キャップにおける不均一な負荷分布が生じることがある。
【0004】
公開済みのスイス特許第CH703427A1号は、少なくとも1つの流動可能な成分をカートリッジから放出するためのディスペンサについて記載している。ディスペンサは、カートリッジ・ホルダ、及び前記ホルダ内で前進方向に沿って移動させることができる前進要素を有する。カートリッジを、前進方向に逆らって、カートリッジ・ホルダ内に軸方向に挿入することができる。カートリッジを軸方向に固定するために、カートリッジ・ホルダに回転要素が取り付けられる。カートリッジは、第1の向きにおいて、前進方向に逆らってカートリッジ・ホルダ内に挿入することができるが、回転要素は、第2の向きにおいて、挿入されたカートリッジを軸方向に固定する。回転要素が第1の向きから第2の向きに回転する間、したがって、カートリッジを軸方向に固定する間、カートリッジは回転しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第0791403B1号
【特許文献2】欧州特許第0791404B1号
【特許文献3】欧州特許第0543776B1号
【特許文献4】スイス特許第CH703427A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、分配デバイス内のカートリッジ端部のフランジの代替的なアタッチメントを提供することであり、分配デバイスは、改善された負荷分布によってカートリッジ端部のフランジ用マウント部が受ける力が小さくなるため、より長い動作寿命を有するようになる。
【0007】
本発明の他の目的は、多成分カートリッジの簡易化された扱い及び交換を可能にする分配デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、以下の特徴を有する分配デバイスによって満たされる。多成分カートリッジ用の分配デバイスは、多成分カートリッジのカートリッジ端部を受け入れるための受け入れ要素が内部に配置されたハウジングを含む。カートリッジ端部は、多成分カートリッジの入口側に配置されている。2成分カートリッジの形の多成分カートリッジは、それぞれが充填体で満たされた第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器であって、それぞれのピストンによってカートリッジ端部でそれぞれ液密式に密閉される第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器を有する。ハウジング内には、プランジャ装置と、プランジャ装置を移動させるための駆動装置とが配置される。プランジャ装置の分配方向の移動は、駆動装置によって行われ、充填体を多成分カートリッジの貯蔵容器から分配することができる。受け入れ要素は、実質的に分配方向に平行に配置された回転軸線を有する。受け入れ要素に押し込まれたカートリッジ端部は、この回転軸線のまわりの回転によって、組み付け位置から分配位置に動かすことができる。多成分カートリッジは、特に、分配方向に対して交差するようにして受け入れ要素内に取り付けられる。
【0009】
カートリッジ端部が組み付け位置から分配位置まで回転するための回転角度は、有利には実質的に90°である。これにより、負荷分布ができるだけ均一になり、カートリッジ端部が、特に狭い挿入部から離れ、受け入れ要素に完全に受け入れられることが保証される。
【0010】
実施例によれば、受け入れ要素は、案内要素内に回転可能に配置される。このために案内要素は、取り付けられた状態においてハウジングに分離できないように接続することができる。特に受け入れ要素は、ハウジング内の案内要素に回転可能に支持することができる。案内要素は突起部として形成すること、及び受け入れ要素の溝に受け入れることが可能である。
【0011】
カートリッジ端部及び受け入れ要素の組み付け時に、第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器を、第2の貯蔵容器用の第2の開口部と第1の貯蔵容器用の第1の開口部との間で、第1の貯蔵容器の長手方向の軸線と第2の貯蔵容器の長手方向の軸線との間に延びる接続ラインに沿って移動させることができる。これにより、挿入が最も小さい寸法、すなわちカートリッジ端部のフランジの幅寸法によって行われることが保証される。
【0012】
実施例によれば、受け入れ要素は、カートリッジ端部を受け入れるための案内溝を有する。特に、受け入れ要素又は案内要素は、組み付け位置と分配位置の間の回転を制限するために、アバットメントを有することができる。受け入れ要素は、多成分カートリッジを分配位置及び/又は組み付け位置に固定するための、アバットメント及び/又はラッチ要素を有することができ、特に受け入れ要素は、分配位置及び/又は組み付け位置にラッチするためのラッチ要素を有する。使用者がラッチしたことを聞き取れるように、ラッチ時にクリック音を発することができる。
【0013】
実施例のそれぞれによれば、カートリッジ端部は、受け入れ要素に挿入すること、及び受け入れ要素から再び取り外すことが可能である。受け入れ要素は、多成分カートリッジの貯蔵容器の正確な位置決めのためのコード化要素(符号化要素)を有することができる。特にコード化要素は、多成分カートリッジのそれぞれの貯蔵容器を内部に受け入れ可能な第1の開口部及び第2の開口部を含むことができ、ここで第1の開口部の直径は第2の開口部の直径とは異なっていてもよい。
【0014】
駆動装置は、例えば駆動装置のトリガー・レバー装置の作動によって、多成分カートリッジの分配端部の方向へのプランジャ装置の移動を実施することができる。
【0015】
他の実施例によれば、第1のプランジャ及び第2のプランジャは、同じ大きさのものとすることができる。
【0016】
本発明は、特に前述の実施例のいずれか1つによる分配デバイス、並びに分配デバイスに受け入れるための少なくとも1つの多成分カートリッジを有するシステムを含む。
【0017】
分配デバイス内に多成分カートリッジのカートリッジ端部を取り付けるための方法は、多成分カートリッジのカートリッジ端部を、組み付け位置においてハウジング内に回転可能に配置された受け入れ要素に挿入するステップであって、カートリッジ端部が、充填体で満たされた第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器の入口側に配置されており、第1の貯蔵容器及び第2の貯蔵容器が、それぞれのピストンによってカートリッジ端部でそれぞれ液密式に密閉されるようになされたステップと、カートリッジ要素、及びカートリッジ端部に回転するようにしっかりと接続された受け入れ要素を分配位置に回転させるステップとを含む。
【0018】
特に、組み付け位置及び/又は分配位置は、アバットメント又はラッチ要素によって決めることができ、また特にアバットメント及び/又はラッチ要素によって、組み付け位置及び/又は分配位置を確保することも可能である。
【0019】
固定にはラッチを含むことができ、ラッチ時に、ラッチが行われたことを使用者に知らせるクリック音を発生させることができる。
【0020】
反対方向に回転させることによって、カートリッジ端部を分配位置から組み付け位置に戻すことができる。組み付け位置では、カートリッジ端部を受け入れ要素から取り外すことができる。
【0021】
受け入れ要素は、コード化要素を有することができる。貯蔵容器は、コード化要素によって分配デバイスに正確に接続することができる。正確な接続は、異なる混合比の場合、それによってプランジャが異なる大きさを有することがあるため重要である。
【0022】
プランジャは、駆動装置によって移動される。駆動装置は、実施例の1つによるトリガー・レバー装置を含む。トリガー・レバー装置を作動させることによって、トリガー・レバー装置に接続された供給機構が作動され、その結果、多成分カートリッジの分配端部の方向にプランジャの移動が行われる。供給機構は、プランジャ装置に取り付けられた歯付き軌道と相互作用する少なくとも1つの回転可能なフィンガ要素を含む。これと類似して、この位置にクランプ要素を設けることも妥当であろう。クランプ要素により、代替的な示されていない実施例に従い、摩擦閉鎖によってプランジャ装置を移動させることができる。
【0023】
分配位置では、プランジャの移動によって、多成分カートリッジの対応する貯蔵容器に移動可能に支持されたピストンが多成分カートリッジの分配端部の方向に動かされる。これにより、対応する貯蔵容器の充填体積が減少し、充填体が多成分カートリッジの分配端部を介して分配される。多成分カートリッジの分配端部にはミキサを取り付けることができる。このミキサは、各貯蔵容器の充填体の成分を互いに混合するために、静的混合要素を含むことができる。
【0024】
以下では、図面を参照して本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】ハウジングの一部を取り除いた、第1の実施例による分配デバイスを通る縦断面図である。
【
図2】第1の実施例による受け入れ要素、及び受け入れ要素に受け入れられるように企図された2成分カートリッジを示す図である。
【
図3】2成分カートリッジを内部に受け入れた状態の
図2による受け入れ要素を示す図である。
【
図4】
図2による受け入れ要素のカートリッジ側からの図である。
【
図5】受け入れ要素の、分配デバイスのハウジング内に受け入れられる側からの図である。
【
図6】第2の実施例による受け入れ要素のカートリッジ側からの図である。
【
図7】受け入れ要素の、分配デバイスのハウジング内に受け入れられる側からの図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
第1の実施例による分配デバイス1を通る縦断面図が、
図1に示されている。分配デバイスの個々の構成要素からなる装置を見える部分として示すために、ハウジング2の一部を取り除いてある。ハウジング2の中に、多成分カートリッジのカートリッジ端部を受け入れるための受け入れ要素3が配置される。そうした多成分カートリッジが、例えば
図2に示されている。多成分カートリッジのカートリッジ端部は、カートリッジの入口側に配置される複数の貯蔵容器であって、充填体で満たされており、またそれぞれがピストンによってそれぞれ液密式に密閉される複数の貯蔵容器を含む。この装置には、2つの貯蔵容器が示されている。
【0027】
図が不明確になりすぎないように、
図1には多成分カートリッジを示していない。受け入れ要素3は、プランジャ装置5がそれを通って移動することが可能な開口部を含む。ハウジング2内には、プランジャ装置5用のマウント部4がさらに存在する。プランジャ装置5は、案内レール上に支持される2つのプランジャを含む。プランジャは、
図1の水平方向に移動させることができる。これらが多成分カートリッジのピストンを押し、ピストンを多成分カートリッジの分配端部の方向に移動させる。これによって、貯蔵容器内に存在する充填体が分配される。
【0028】
プランジャの移動は、プランジャ装置5を移動させるように働く駆動装置6によって行われる。多成分カートリッジの分配端部の方向におけるプランジャ装置5の移動は、トリガー・レバー装置7を作動させることによって行うことができる。
【0029】
分配端部の方向におけるこの移動方向を、充填体を多成分カートリッジの貯蔵容器から分配するための分配方向と呼ぶ。プランジャ装置5の移動は、プランジャ装置5を通って延びる長手方向の軸線に沿って行われる。
【0030】
受け入れ要素は、実質的に分配方向に平行に配置された回転軸線10を有する。受け入れ要素3に押し込まれたカートリッジ端部は、回転軸線10のまわりの回転によって組み付け位置から分配位置に移される。受け入れ要素3は、案内要素8の中に回転可能に配置される。案内要素8はハウジング2の中に配置され、特にハウジングの一部として形成すること、したがって、ハウジング2に分離できないように接続することが可能である。
図1によれば、案内要素8は、受け入れ要素の溝9の中に案内することができる突起部14である。溝は、少なくとも部分的に取り囲む溝9として形成される。突起部14は、案内要素8の周縁に配置された複数の部分からなることができる。
【0031】
図2は、第1の実施例による受け入れ要素3、及び受け入れ要素3に受け入れられるように企図された2成分カートリッジを示している。受け入れ要素3は、基本的な形としては実質的に円筒形の物体であり、
図3では省略されている溝9によってハウジング2内に保持される。
【0032】
ほとんどの場合、カートリッジ端部は、入口側に、多成分カートリッジの2つの貯蔵容器を接続するためのフランジを有する。このフランジはカートリッジの組み付け時に、カートリッジ端部を受け入れるように働く受け入れ要素3に配置された案内溝11の中に導入される。案内溝11は、受け入れ要素内に存在する中空空間16の一部であり、これは実質的にカートリッジ端部の形状、特にカートリッジ端部のフランジの形状である。中空空間16は、組み付け状態において多成分カートリッジの貯蔵容器を受け入れる、第1の前側開口部12及び第2の前側開口部13を有する。
【0033】
さらに中空空間は、カートリッジ端部への挿入及びカートリッジ端部からの抜き出しを可能にする、受け入れ要素のジャケット内の開口部17を有する。開口部17は、的確にはカートリッジ端部を受け入れ要素に挿入することができるように十分に大きく、したがって、2つの貯蔵容器を順々に挿入することが可能であり、これは、第1の貯蔵容器が、第1の貯蔵容器向けの第1の開口部12に対して同軸に配置される位置に到達するために、第2の貯蔵容器向けの第2の開口部13を通して移動されることを意味する。これは、カートリッジ端部が、第1の開口部12を覆うために、第2の開口部13上で押されるように受け入れ要素に挿入されることを意味する。したがって、カートリッジ端部及び受け入れ要素の組み付け時に、貯蔵容器は、第2の開口部13と第1の開口部12との間で、それらの長手方向の軸線に対して直角な面内に位置し、これらの長手方向の軸線を正確に接続する接続ラインに沿って移動される。
【0034】
したがって開口部17は、実質的にフランジの幅寸法に対応する最大幅寸法23を有する。中空空間の深さは、少なくともフランジの長手方向の寸法に対応する。この配置は、受け入れ要素3のジャケット表面の極力最小の部分だけがジャケット側の開口部17として使用されるという利点を有する。これにより、受け入れ要素3の弱化が最小限になり、したがって、受け入れ要素3の剛性及び頑健性(構造安定性)が増す。
【0035】
分配デバイスが垂直位置に保持され、受け入れ要素3が組み付け位置20に位置するとき、開口部17は頂部にあることが好ましい。これは、この好ましい変形形態において、カートリッジが頂部から、したがって分配方向に対して交差するように取り付けられることを意味する。
【0036】
図3は、2成分カートリッジが内部に受け入れられた、
図2による受け入れ要素を示している。組み付け位置(組み付け姿勢)20から分配位置(分配姿勢)30までの回転角度は、実質的に90°である。
図3では、ジャケット側の開口部17を、上側の位置から回転によって横方向の位置になるようにし、その結果、カートリッジが実質的に水平な位置をとるようになることが明らかである。分配デバイスが垂直位置に保持されたとき、第1の開口部12及び第2の開口部13は、実質的に互いに隣りに位置し、したがって、貯蔵容器の長手方向の軸線は実質的に水平面内に配置される。
【0037】
図4は、取り付けられた状態における、
図2による受け入れ要素のカートリッジ側からの図を示している。第1の開口部12及び第2の開口部13は、分配位置に対応する位置に示されている。さらに
図4の例には、2つのプランジャのための陥凹部18、19が示されている。陥凹部18、19は、実質的に円形である。陥凹部18の直径は、陥凹部19の直径より小さい。この装置は、混合比が少なくとも4:1である多成分カートリッジに適している。特に混合比は10:1であっても、又はそれより高くてもよい。充填体積は少なくとも10ml、好ましくは少なくとも25ml、特に好ましくは50mlとすることができる。充填体積は、多くとも200ml、好ましくは多くとも75mlとすることができる。
【0038】
図5は、受け入れ要素の、分配デバイスのハウジング内に受け入れられる側からの図を示している。ハウジング内に配置された案内要素を受け入れるように働く溝9と同様に、プランジャ用の陥凹部18及び19も示されている。さらに、ラッチ要素21並びにラッチ要素22が示されている。ラッチ要素21は、分配位置30において受け入れ要素を固定し、ラッチ要素22は、組み付け位置20において受け入れ要素をラッチする。
【0039】
図6は、取り付けられた状態における、第2の実施例による受け入れ要素のカートリッジ側からの図を示している。第1の開口部12及び第2の開口部13は、分配位置に対応する位置に示されている。さらに
図4の例には、2つのプランジャのための陥凹部18、19が示されている。陥凹部18、19は、実質的に円形である。陥凹部18の直径は、陥凹部19の直径に等しい大きさのものである。この装置は、混合比が1:1であるか、又はこれから実質的に離れていない多成分カートリッジに適している。特に混合比は、最大2:1とすることができる。充填体積は少なくとも10ml、好ましくは少なくとも25ml、特に好ましくは50mlとすることができる。充填体積は、多くとも200ml、好ましくは多くとも75mlとすることができる。
図7は、受け入れ要素の、分配デバイスのハウジング内に受け入れられる側からの図を示している。
図5に関する記述に関連付けることができるように、
図6に対応して形成された陥凹部18、19を除き、
図7では同じ要素が用いられている。
【符号の説明】
【0040】
1 分配デバイス
2 ハウジング
3 受け入れ要素
4 マウント部
5 プランジャ装置
6 駆動装置
7 トリガー・レバー装置
8 案内要素
9 溝
10 回転軸線
11 案内溝
12 第1の前側開口部
13 第2の前側開口部
14 突起部
15 アバットメント
16 中空空間
17 開口部
18、19 陥凹部
20 組み付け位置
21、22 ラッチ要素
23 最大幅寸法
30 分配位置