(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1骨幹端部材の前記テーパ状のボアは、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部に取り付け可能であり、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部と前記第1骨幹端部材との間に摩擦固定を生成するような大きさ及び形状であり、
前記第2骨幹端部材の前記テーパ状のボアは、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部に取り付け可能であり、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部と前記第1骨幹端部材との間に摩擦固定を生成するような大きさ及び形状であり、
前記遠位大腿骨インプラント構成要素が、前記第1骨幹端部材と組み合わされる際に、前記近位脛骨インプラント構成要素の前記関節運動表面と前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位顆表面との間の接触部が第1関節線を画定しており、
前記遠位大腿骨インプラント構成要素が、前記第2骨幹端部材と組み合わされる際に、前記近位脛骨インプラント構成要素の前記関節運動表面と前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位顆表面との間の接触部が第2関節線を画定しており、
前記第2関節線は、前記第1関節線よりも遠位にある、請求項1に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
前記第1関節線と前記第2関節線との間の距離は、前記第1骨幹端部材と前記第2骨幹端部材との前記全体的な軸方向長さの間の差と対応し、遠位方向のオフセットを画定する、請求項2に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
第3骨幹端部材であって、近位方向に向かってテーパ状になっている外側表面、及び前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部に取り付け可能であり、前記茎部と前記第3骨幹端部材との間に摩擦固定を生成する大きさ及び形状のテーパ状のボアを画定する内側表面を有しており、前記第3骨幹端部材の前記外側表面は複数のステップを有するステップ付き部分を含み、各ステップは最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法を有しており、前記ステップ付き部分は全体的な軸方向長さL+X+Yを有している、第3骨幹端部材と、を更に含み、
前記第3骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さLにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法及び最大前方−後方寸法は、前記第1骨幹端部材及び前記第2骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さLにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法と同じであり、
前記第3骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さL+Xにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法は、前記第2骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さL+Xにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法と同じである、請求項1に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本開示の概念には様々な改変及び代替的形態が考えられるが、その特定の代表的な実施形態を図面に例として示し、本明細書において詳細に述べる。ただし、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」において定義される発明の趣旨及び範囲に包含されるすべての改変物、均等物及び代替物を網羅することを意図するものである点は理解されるべきである。
【0032】
解剖学的基準を表す、前、後、内側、外側、上、下などの用語は、本明細書全体を通じて、本明細書において述べられる整形外科用インプラント及び整形外科用手術器具に関して、並びに患者の自然の解剖学的構造に関して使用されてよい。これらの用語は、解剖学的構造の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても広く理解された意味を有するものである。明細書及び特許請求の範囲におけるこれらの解剖学的基準を表す用語の使用は、特に断らない限りは、それらの広く理解されている意味と一貫性を有するものとする。
【0033】
図1は、本発明の原理を例示するモジュール式膝プロテーゼシステムの大腿骨構成要素の実施例を例示する。システムの大腿骨構成要素は、遠位方向に湾曲した顆表面12、14を備える、遠位大腿骨構成要素10を含む。図示された遠位大腿骨構成要素は、後部安定化構成要素である。
図1に例示されるシステムはまた、大腿骨16と、茎部16及びカラー18が遠位大腿骨構成要素上に選択的に取り付けられ得るように、茎部16と、遠位大腿骨構成要素10及びボルト20との間に配置するためのカラー18を含む。各茎部16は、平滑であり、遠位端における最大外径から、遠位端の近位におけるより小さい外径へとテーパ状である、円錐台状(frusto-conical)外側表面を有する。茎部延長部22がまた提供される。上記の構成要素の全てが、例えば、Warsaw,IndianaのDePuy Orthopaedics,Inc.から入手可能なP.F.C.SIGMA.(登録商標)Knee Systemの標準的部品であり得る。例示される実施形態における各茎部16は、米国特許公開番号第2006/0030945号、表題「Modular Orthopaedic Implant System with Multi−Use Stems」に例示されるもののような機構を有するアダプタである。茎部16はまた、米国特許番号第6,171,342号、表題「Medical Fastening System」、同第5,824,097号、表題「Medical Fastening System」、同第5,782,921号、表題「Modular Knee Prosthesis」に例示されるものなどの機構を有し得る。また米国特許公開番号第2006/0030945号に記載されるように、茎部拡張は
図1に例示されるもの意外の機構を有してもよい。これらの構成要素は例示のみを目的に記載され、本請求項で明示しない限り、本発明は任意の特定の遠位大腿骨構成要素又は茎部又は任意の他の特定の構成要素に限定するものではないことが理解されるべきである。例えば、いくつかの実施形態において、大腿骨構成要素10は、例示されるアダプタ16、カラー18、及びボルト20以外の一体型の茎部16を有することがある。
【0034】
図1の実施形態において、例示されるシステムの大腿骨構成要素は、複数の大きさの骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cを含む。以下により詳細に記載されるように、4つの大きさの骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cの外側表面の形状が、これらの軸長さの実質的な部分にわたって同じである。複数の大きさの遠位大腿骨構成要素10、及び茎部延長部22は典型的には、モジュール式膝プロテーゼシステムに含まれることが理解されるべきである。本発明の原理を使用するモジュール式膝プロテーゼシステムは、より少ない又はより多い寸法の骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cを含み得ることが理解されるべきである。
【0035】
図2に示すように、脛骨側において、キットは脛骨トレイ構成要素30、脛骨軸受インサート32及び茎部エクステンション34を含む。図示された脛骨トレイ構成要素30は、インディアナ州ワルシャワのDePuy Orthopaedics Inc.より入手可能な、商業用MBT改正脛骨トレイである。トレイ構成要素30は、茎部エクステンション34を取り付けることができる雌ネジ部を持つ1つのボア(示されず)が開いた一体式茎部部位36を有する。茎部部位36の外側表面は平滑な仕上げを有し、関節運動表面からテーパ状になり、キール31、33を通じて脛骨トレイ構成要素30の内側表面に接続される。茎部部位36は、上部に脛骨軸受インサート32が位置する近位表面を有するプラットフォーム38から遠位方向に延びる。脛骨構成要素はまた、脛骨トレイ構成要素30のテーパ状茎部部位36と摩擦固定するような大きさ、及び形状のテーパ状ボア(図示されない)を有する、スリーブ40などの、1つ以上の種類又は寸法の骨幹端スリーブを含み得る。これらの構成要素は例示のみを目的に記載され、本請求項で明示しない限り、本発明は任意の特定の種類の脛骨構成要素又は茎部又は任意の他の特定の構成要素に限定するものではないことが理解されるべきである。例えば、脛骨構成要素は、米国特許番号第7,628,818号、及び同第8,128,703号(これらは本明細書において参照として全体が組み込まれる)に開示されるものなどの、一体型の全てのポリマー構成要素、又は固定軸受システムを含み得る。
【0036】
遠位大腿骨構成要素10の湾曲した凸状顆12、14及び脛骨軸受インサート32の湾曲した凹状顆表面(
図2に示される破線37、39で示される、脛骨軸受インサートの湾曲した凹状顆表面)の接合点は、膝が屈曲し延びる際の大腿骨及び脛骨構成要素の関節運動を規定する。患者の足が伸びているとき、湾曲した凸状顆12、14と凹状顆表面37、39との間の接触部は、遠位関節線と対応する。膝が完全に延びた状態から屈曲すると、遠位大腿骨構成要素10、及び脛骨軸受インサート32は、完全に延びた状態(大腿骨顆の後方表面が軸受表面と接触するとき)の関節線が、遠位関節線から若干変動するように、互いに対して移動する。脛骨インサート上の遠位大腿骨構成要素の顆表面の接触点の接線である、関節線の平面が、
図1及び
図13の21、及び
図14の21Aに示される。
【0037】
典型的なモジュール式膝プロテーゼシステム、又はキットは、複数の大きさの、例示される脛骨構成要素30、32、34、40それぞれを含む。
【0038】
骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cは、骨で使用するために設計され、骨の状態は、骨の骨幹端における追加的な支持又は固定を必要とする。大腿骨24、24A、24B、24Cのそれぞれは、外側表面を有し、これは遠位基部47、47A、47B、47C、及び遠位基部から近位端26、26A、26B、26Cに近位方向に延びる、ステップ付き部分49、49A、49B、49Cを含む。各ステップ付き49、49A、49B、49Cは、
図3〜10において、大腿骨スリーブ24、24A、24B、24Cにおける50A、50B、50C、及び50Dで、脛骨スリーブ40における54(
図2)において示される、複数の隣接するステップ又はテラスを有する。大腿骨スリーブにおいて、ステップ付き外側表面は近位方向に向かってテーパ状になっており、遠位端56、56A、56B、56Cにおけるステップ50、50A、50B、50Cは、最も大きい後方−前方、及び内側−外側寸法を有し、端部26、26A、26B、26Cにおけるステップ50、50A、50B、50Cは、最も小さい後方−前方、及び内側−外側寸法を有し、中間ステップは、遠位端56、56A、56B、56Cから近位端26、26A、26B、26Cに向かって徐々に小さくなっている。脛骨スリーブ40に関し、外側表面は遠位方向に向かってテーパ状になっており、最も遠位のステップは最も小さい前方−後方及び内側−外側寸法を有し、最も近位のステップは最も大きな後方−前方、及び内側−外側寸法を有し、中間ステップは近位端から遠位端に向かって徐々に小さくなっている。
【0039】
ステップ50、50A、50B、50Cの数及び大きさは、例示される実施形態のステップの数及び寸法と異なっていてもよいことが理解されるべきである。例えば、骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cの外側表面はステップを有し、Warsaw,IndianaのDePuy Orthopaedics,Incにより販売される標準的な市販の骨幹端スリーブ様の形状であり、例えば、米国特許番号第7,799,085号などの先行技術に開示されるスリーブの様に構成されてもよい。スリーブ24、24A、24B、24Cの外側表面はまた、先行技術に開示されるように、骨内成長を促進するように、多孔質コーティングされてもよく、多孔質コーティングは、スリーブ24、24A、24B、24Cのステップ付き外側表面の実質的全部又は一部にわたって延びてもよい。
【0040】
図1、3〜6、及び11〜12に示されるように、例示される大腿骨スリーブ24、24A、24B、24Cは、近位ボア68、68A、68B、68C、及び遠位ボア72、72A、72B、72Cを画定する内側表面64、64A、64B、64Cを有する。各大腿骨スリーブの近位及び遠位ボア68、68A、68B、68C、72、72A、72B、72Cは、ボアの中央長手方向軸76、76A、76B、76Cに沿って接続及び位置合わせされてもよい。
【0041】
大腿骨スリーブ24、24A、24B、24Cの近位ボア68、68A、68B、68Cは、茎部延長部22の遠位端80を受容するような大きさ及び形状である。したがって、その遠位端においてMorseテーパ状ポストを有する茎部延長部において、近位ボアは、Morseテーパ状ポストを受容し、かつこれを摩擦固定するような大きさ及び形状のMorseテーパ状ボアを含む。あるいは、ねじ付き遠位端を有する茎部延長部において、近位ボアは、茎部延長部のねじ付き遠位端を受容し、これを固定するように、ねじを有してもよい。アダプタは、米国特許番号第7,799,085号に開示されるように、異なる種類の茎部延長部の使用を可能にするアダプタもまた使用され得る。
【0042】
大腿骨骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cの遠位ボア72、72A、72B、72Cは、円錐台状Morseテーパ状ボアであり、スリーブ24、24A、24B、24Cの遠位端56、56A、56B、56Cから、スリーブ24、24A、24B、24Cの近位端26、26A、26B、26Cに向かってテーパ状になっている。これらの遠位ボア72、72A、72B、72Cは、遠位大腿骨構成要素10の茎部又はアダプタ16上に取り付け可能であり、遠位大腿骨構成要素の茎部と骨幹端スリーブとの間に摩擦固定を形成するような大きさ、形状、及び仕上げであり、茎部又はアダプタ16はMorseテーパ状ポストを画定する。
【0043】
本明細書において使用するとき、「Morseテーパ状」とは、係合要素の間の固定テーパ形状の一種を指す。一般的に、Morseテーパ状ポスト及びボアは、実質的に同じテーパ角度の円錐台状形状を有し、ポストとボアを画定する壁部との間の緊密な摩擦係合を可能にするために、これらの長さに沿っていくつかの点で補完的な外径及び内径を有する。このような固定テーパ形状のための、標準的なテーパ角度及び標準的な表面仕上げが、本発明において使用され得る。他の種類のテーパ状構成要素が使用され得ることが理解されるべきである。
【0044】
例示される膝プロテーゼシステムにおいて、各大きさのスリーブ24、24A、24B、24Cの遠位ボア72、72A、72B、72Cは、スリーブの遠位端56、56A、56B、56Cにおいて同じ最大内径を有する。この最大内径は、遠位大腿骨構成要素10の遠位大腿骨の茎部又はアダプタ16のテーパ状の円錐台状外側表面75の最大外径と実質的に対応する。全ての大きさのスリーブ24、24A、24B、24C及び、茎部又はアダプタ16のテーパ状円錐台状外側表面75の遠位ボア72、72A、72B、72C、又はアダプタ16は、近位方向において実質的に同じテーパ角度でテーパ状になっており、これによりスリーブ24、24A、24B、24C及び茎部又はアダプタ16の対応する軸方向運動は、スリーブ24の内側表面64、64A、64B、64Cが、茎部又はアダプタ16のテーパ状円錐台状外側表面75と係合及び摩擦固定する際に、2つを一緒に固定する。
【0045】
図3、7及び13に示されるように、最小寸法の大腿骨骨幹端スリーブ24のステップ付き外側表面49は、「L」として示される、遠位基部47と近位端部26との間の全体軸方向長さを有する。次に大きい寸法の大腿骨骨幹端スリーブ24Aのステップ付き外側表面49Aは、「L+X」の基部47Aと近位端26Aとの間の全体軸方向長さを有し、寸法「L」及び「X」は
図4及び
図8に示されている。次に大きい寸法の大腿骨骨幹端スリーブ24Bのステップ付き外側表面49Bは、「L+X+Y」の基部47Bと近位端26Bとの間の全体軸方向長さを有し、寸法「L」、「X」及び「Y」は
図5及び
図9に示されている。最大の例示される大きさの大腿骨骨幹端スリーブ24Cのステップ付き外側表面49Cは、「L+X+Y」の基部47Cと近位端26Cとの間の全体軸方向長さを有し、寸法「L」、「X」、「Y」、及び「Z」は
図6、10、及び14に示されている。異なる大きさの大腿骨骨幹端スリーブは、各大きさの間に数ミリメートル(例えば、4ミリメートル)の差異を有してもよい(よってX=4mm、Y=4mm、及びZ=4mm)。これらの寸法は単に例として提示され、本発明は、請求項において明示的に指定されない限り、いずれの特定の寸法にも限定されない。
【0046】
例示されるモジュール膝プロテーゼシステムにおいて、全ての大きさの大腿骨骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cのステップ付き外側表面49、49A、49B、49Cの形状は、軸方向長さ「L」に沿って本質的に同一である。したがって、最小のスリーブにおいて「L」が68mmである場合、他のスリーブ寸法24A、24B、24Cの近位68mmの寸法及び形状は、最小のスリーブ24の近位68mmの寸法及び形状と本質的に同一である。換言すれば、例示される大きさの大腿骨骨幹端スリーブ24、24A、24B、24Cの全ての軸方向長さ「L」にわたって、スリーブは同じ数のステップを有し、各ステップは、同じ最大内側−外側寸法を有し、同じ最大前方後方寸法、同じ軸方向高さ、及び同じ形状を有する。異なる大きさの大腿骨骨幹端スリーブは、基部47、47A、47B、47C、及び最小のスリーブ24の長さ「L」を超えるスリーブの軸方向延長部と対応する遠位部分の大きさのみが異なる。
【0048】
図13及び
図14は、遠位大腿骨インプラント構成要素10、大腿骨茎部延長部22、脛骨トレイ30、脛骨インサート32、及び脛骨茎部延長部34を備える、最小及び最大の例示される大腿骨骨幹端スリーブ24、24Cのアセンブリを例示する。例示されるアセンブリは、近位端26、26Cの平面(100及び102に示される平面)から、
図13の21、及び
図14の21Aに示される関節線の平面までの、最大軸方向長さを有する。アセンブリのこれらの最大軸方向長さは、
図13のAL1、及び
図14のAL2に示される。AL2は、AL1よりも、寸法「X+Y+Z」だけ長く、これは、最小スリーブ24の長さ「L」を超えるスリーブ24Cの軸方向長さである。
【0049】
図13及び
図14に見られるように、より長いスリーブ24Cの使用により、関節線21が位置21Aへとオフセット距離o
1だけ遠位化する。このオフセット距離o
1はまた、寸法「X+Y+Z」と対応する。同様にスリーブ24Aの使用は、関節線を寸法「X」だけ遠位化させ、スリーブ24Bの使用は、関節線を寸法「X+Y」だけ遠位化させる。
【0050】
異なる大きさのスリーブ24、24A、24B、24Cのステップ付き外側表面49、49A、49B、49Cの形状は、軸方向長さ「L」を通じて同じであり、外科医は最も小さい大きさの大腿骨スリーブ24を受容するように遠位大腿骨を準備することができる。外科医が手術中に関節線を遠位化すべきであると判断する場合、外科医は他の大きさのスリーブ24A、24B、24Cのいずれかを使用してもよく、より大きい大きさのスリーブの近位は、より小さいスリーブを受容するように大腿骨に準備された開口部内に適合し、距離「X」、「X+Y」、又は「X+Y+Z」だけ骨から遠位方向に延びて、関節線を遠位方向にオフセットする。外科医は骨の空洞をそれ以上準備することなく、この遠位化を達成することができる。
【0051】
上記のように、大腿骨増強部は、関節線が遠位化する際に、大腿骨インプラントの構成要素の遠位及び後方の骨に面する表面上で使用され得る。例示される実施形態において、遠位増強部110は、
図14に示されるようにスリーブ24Cが使用される際に、遠位大腿骨インプラント構成要素10の遠位固定表面109の対の一方に取り付けられてもよい。例示される実施形態において、増強部109の厚さは、オフセット距離o
1と等しい。遠位固定表面109の一方が顆表面12と反対側に位置付けられ、他方の遠位固定表面109は、顆表面14の反対側に位置付けられる。別の遠位増強部が、この表面にも同様に取り付けられることが理解されるべきである。
図13に示されるように、スリーブ24が使用されるとき、増強部は必要ない。
【0052】
本発明の原理はまた、
図2に示される脛骨スリーブ40など、膝インプラントシステムの脛骨構成要素にも適用され得ることが理解されるべきである。このようなシステムは、外科医が、脛骨トレープラットフォーム38に近位方向のオフセットをもたらすように、構成要素を選択することを可能にする。
【0053】
本明細書において開示されるプロテーゼシステムの全ての構成要素は、例えば脛骨軸受インサート32のための標準的なポリマー(例えば、UHMWPE)などの標準材料で作製されてもよく、及び残りの構成要素のためのコバルトクロム及びチタン合金などの標準的な金属で作製されてもよい。骨内成長を促進するため、スリーブ24、24A、24B、24Cは、多孔質コーティングされ、米国特許番号第20100057212号(「Porous Titanium Tibial Sleeves and Their Use in Revision Knee Surgery」)、及び同第20100076565号(「Porous Titanium Femoral Sleeves and Their Use in Revision Knee Surgery」)に開示されるチタンフォームを含む場合があり、双方とも本明細書においてこれらの全体を組み込まれる。
【0054】
図15〜37をここで参照し、別のモジュール膝プロテーゼシステムが、別の実施形態の大腿骨構成要素(今後、構成要素200)を有するものとして示される。モジュール式膝プロテーゼシステムと共に使用するための、整形外科用器具システム300もまた示される。
図15〜37に例示される実施形態のいくつかの特徴は、
図1〜14の実施形態を参照して上述されるものと実質的に同様である。そのような特徴は、
図15〜37おいて、
図1〜14で使用されるものと同一の参照番号を用いて指定される。
【0055】
図15に示されるように、システムの大腿骨構成要素200は、遠位方向に湾曲した凸状顆表面12、14を含む、大腿骨構成要素210を含む。表面12、14は、天然大腿骨顆に近接するような様式で形成される(すなわち、湾曲する)。例示的な実施形態において、顆表面12は、内側顆表面12であり、顆表面14は、外側顆表面14である。表面12、14は、互いに離間しており、よってその間に顆間ノッチを画定する。
【0056】
顆表面12、14は、大腿骨構成要素210の軸受表面212に形成され、大腿骨構成要素210は、軸受表面212と反対側に位置付けられた固定表面214を含む。大腿骨構成要素210はまた、表面214から上方に延びる、細長い茎部ポスト216を含む。細長い茎部ポスト216は、例えば、茎部延長部22などの、茎部構成要素を受容する、又は例えば、上記のスリーブ24、24A、24B、24C、又は以下でより詳細に記載されるスリーブ224、224A、224Bなどの、骨幹端スリーブに係合する。
【0057】
図15に示されるように、大腿骨構成要素210の細長い茎部ポスト216は、内部に画定されるテーパ状ボア218を有し、ここに茎部延長部22のテーパ状遠位端80が前進して、ポスト216を茎部延長部22にテーパ状に固定する。遠位方向大腿骨構成要素10のアダプタ16と同様に、細長い茎部ポスト216の外側表面220はまた、テーパ状であり、スリーブ24、24A、24B、24Cの遠位ボア72、72A、72B、72Cの各1つ、又はスリーブ224、224A、224Bのテーパ状遠位ボア272、272A、272B、の1つに前進してもよい。上記のように、各遠位ボアは、対応するスリーブと大腿骨構成要素210との間に、例えばテーパ状固定などの摩擦固定を形成するような形状及び仕上げである。例示される実施形態において、外側表面220はMorseテーパを画定する。
【0058】
大腿骨構成要素210の固定表面214は、顆表面12、14の反対側に位置付けられた、多くの表面230、232、234、236を含む。例示される実施形態において、固定表面214は、遠位大腿骨構成要素10の遠位固定表面109と同様の遠位固定表面230の対を含む。遠位固定表面230の一方は内側に位置付けられ、他方は外側に位置付けられる。固定表面214はまた、後方固定表面232を含み、一方が内側に位置付けられ、他方が外側に位置付けられる。
図15に示されるように、後方固定表面232は、ほぼ上下方向に延びる。
【0059】
固定表面214はまた、後方面取り表面234の対を含み、一方が内側に位置付けられ、他方が外側に位置付けられる。内側及び外側の後方面取り固定表面234は、それらの対応する後方固定表面232に向かって、それらの対応の外側及び内側の遠位固定表面230から上方及び後方方向に延びる。
図15に示されるように、固定表面214は、一対の前方面取り表面236を有し、一方は中央に位置し、他方が外側に位置する。内側及び外側の前方面取り固定表面236は、それらの対応する後方固定表面232に向かって、それらの対応する外側及び内側の遠位固定表面230から上方及び後方方向に延びる。
【0060】
固定表面230、232、234、236それぞれは、内部に形成されるセメントポケットを有する。例示される実施形態において、セメントポケットは、互いに連続しており、よって単一の連続的なセメントポケット240が、大腿骨構成要素210の内側及び外側表面214の両方に形成される。各セメントポケット240は、対応する固定表面214から底部壁部244へと内側に延びる、側壁242によって画定される。
【0061】
取り付け開口部250は、各遠位固定表面230で固定される。
図15に示されるように、開口部250は、セメントポケット240内に位置付けられるリム254から内側に延びる、円筒形壁部252によって画定される。以下により詳細に記載されるように、開口部250は、増強部構成要素342、344を大腿骨構成要素210に固定するために、遠位増強部構成要素342、344の取り付けプラグ256を受容するような大きさである。
【0062】
別の取り付け開口部260は、各後方固定表面232に画定される。
図15に示されるように、開口部260は、セメントポケット240内に位置付けられるリム254から内側に延びる、円筒形壁部252によって画定される。以下により詳細に記載されるように、開口部260は、増強部構成要素346、348を大腿骨構成要素210固定するために、遠位増強部構成要素346、348の取り付けプラグ256を受容するような大きさである。
【0063】
図15に示されるように、大腿骨構成要素200は、複数の大きさの骨幹端スリーブ224、224A、224Bを含む。上記のスリーブ24、24A、24B、24Cと同様に、3つの大きさの外側表面のスリーブ224、224A、224Bの形状は、これらの軸方向長さの一部に沿って同じである。本明細書において使用されるとき、用語「同じ」、「適合する」又は「同一の」とは、同じ寸法及び構成を有するように設計された、構成要素を指す。このような構成要素は、いくつかの点における僅かな構成要素の変動を生じる、許容誤差、又は製造のばらつきを有することがある。例えば、骨幹端スリーブ224、224A、224Bの部分は同じであるように設計されるが、それでも製造時の許容誤差により僅かに異なる場合がある。しかしながら、このような構成要素は、これらが同じ構成及び寸法を有するために、同じであり、適合し、又は同一である。複数の大きさの大腿骨構成要素210は典型的には、モジュール式膝プロテーゼシステムに含まれることが理解されるべきである。本開示の原理を使用するモジュール式膝プロテーゼシステムは、より少ない又はより多い寸法の骨幹端スリーブ224、224A、224Bを含み得ることが理解されるべきである。
【0064】
スリーブ24、24A、24B、24Cと同様に、スリーブ224、224A、224Bは、骨の状態が、骨の骨幹端における追加的な支持又は固定を必要とする骨で使用するように設計される。
図15に示されるように、スリーブ224、224A、224Bのそれぞれは、遠位基部262、262A、262B、及び、その対応する遠位基部から対応する近位端266、266A、266Bへと近位方向に延びる、本体264、264A、264Bを有する。
【0065】
図15に示されるように、スリーブ224、224A、224Bのそれぞれは、その近位端266、266A、266B内に画定される近位骨268、268A、268Bを有する。大腿骨スリーブ224、224A、224Bの近位ボア268、268A、268B、茎部延長部22の遠位端80を受容するような大きさ及び形状である。したがって、その遠位端においてテーパ状ポストを有する茎部延長部において、近位ボアは、テーパ状ポストを受容し、かつこれを摩擦固定するような大きさ及び形状のテーパ状ボアを含む。あるいは、ねじ付き遠位端を有する茎部延長部において、近位ボアは、茎部延長部のねじ付き遠位端を受容し、これを固定するように、ねじを有してもよい。上記のように、スリーブ224、224A、224Bのそれぞれは、
図16〜18に見られるように、各スリーブの対応する遠位基部262、262A、262Bに画定される、遠位ボア272、272A、272Bを有する。
【0066】
ここで
図16〜18を参照し、スリーブ224、224A、224Bの本体264、264A、264Bは、複数のステップ付き壁部274、274A、274Bを含む。隣接するステップ付き壁部274、274A、274Bの各対は、環状の表面276、276A、276Bによって接続される。結果として、本体264、264A、264Bは、スリーブ24、24A、24B、24Cと同様にテラス状になっている。例示される実施形態において、本体264、264A、264Bは、スリーブ224、224A、224Bがそれらの対応する近位端266、266A、266Bにおいて最小の前方−後方寸法、及び最小の内側−外側寸法を有し、本体264、264A、264Bから、これらの対応する遠位基部262、262A、262Bまで延びるにつれて徐々に大きくなるように、テーパ状になっている。
【0067】
ステップ付き壁部274、274A、274Bの数及び大きさは、例示される実施形態のステップの数及び大きさと異なっていてもよいことが理解されるべきである。スリーブ262、262A、262Bの外側表面はまた、先行技術に開示されるように、骨内成長を促進するように、多孔質コーティングされてもよく、多孔質コーティングは、スリーブ224、224A、224Bのステップ付き外側表面の実質的全部又は一部にわたって延びてもよい。これらの寸法は単に例として提示され、本開示は、請求項において明示的に指定されない限り、いずれの特定の寸法にも限定されない。
【0068】
図16に示されるように、スリーブ224の本体264は、長手方向軸280を有し、軸280に沿って画定される軸方向長さ「L」を有する、テーパ状外側表面282を有する。例示的な実施形態において、環状表面276は、実質的に平坦である。結果として、ステップ付き表面274は、組み合わされて本体264の軸方向長さLを画定する。この例示される実施形態において、軸方向長さLは、およそ45ミリメートルに等しい。
【0069】
図17に示されるように、スリーブ224Aの本体264Aは、長手方向軸280A、及びテーパ状の外側表面282Aを有する。テーパ状外側表面282Aは、軸280Aに沿って画定される軸方向長さ「L」を有する近位区分284A、及び近位区分284Aから遠位基部262Aまで遠位方向に延びる区分286Aを有する。区分286Aは、軸280Aに沿って画定される、軸方向長さ「X」を有する。結果として本体264Aの全体的な軸方向長さは「L+X」であり、例示される実施形態において、軸方向長さ「L+X」は、およそ50ミリメートルに等しい。
【0070】
図18に示されるように、スリーブ224Bの本体264Bは、長手方向軸280B、及びテーパ状の外側表面282Bを有する。テーパ状外側表面282Bは、軸280Bに沿って画定される軸方向長さ「L」を有する近位区分284B、及び近位区分284Aから遠位方向に延びる区分286Bを有する。区分286Aは、軸280Bに沿って画定される、軸方向長さ「X」を有する。テーパ状外側表面282Bは、区分286Bから遠位基部262Bへと遠位方向に延びる、別の区分288Bを有する。区分288Bは、軸280Bに沿って画定される、軸方向長さ「Y」を有する。結果として本体264Bの全体的な軸方向長さは「L+X+Y」である。例示される実施形態において、軸方向長さ「L+X+Y」は、およそ55ミリメートルである。
【0071】
例示される実施形態において、異なる大きさの大腿骨骨幹端スリーブは、各大きさの間に数ミリメートル(例えば、5ミリメートル)の差異を有してもよい。(よってX=5mm、Y=5mm、及びZ=5mm)加えて、異なるスリーブの全体的な軸方向長さは変動し得る。例えば、一実施形態において、スリーブの全体的な軸方向長さは、30ミリメートル〜55ミリメートルであり得る。
【0072】
例示されるモジュール式膝プロテーゼシステムにおいて、全ての大きさの大腿骨骨幹端スリーブ224、224A、224Bのテーパ状外側表面282、282A、282Bの外側形状は、軸方向長さ「L」にわたって本質的に同一である。したがって、スリーブ224の「L」が45mmである場合、他のスリーブの寸法224A、224Bの近位45mmの大きさ及び形状(すなわち、近位区分284A、284B)は、スリーブ224の近位45mmの大きさ及び形状と本質的に同一である。換言すると、全ての例示される大きさの大腿骨骨幹端スリーブ224、224A、224Bに関し、軸方向長さ「L」にわたり、スリーブは、
図16〜18に示されるように、スリーブは同じ数のステップ付き壁部を有する。更に、
図19に示されるように、軸方向長さ「L」にわたる、各ステップ付きの壁部はまた、同じ最大内側−外側寸法290、同じ最大前方−後方寸法292、及び同じ形状を有する。軸方向長さ「L」にわたるステップ付き壁部はまた、
図16〜18に示されるように、同じ軸方向高さを有する。
【0073】
異なる大きさの、大腿骨骨幹端スリーブ224、224A、224Bは、基部262、262A、262Bの大きさ、及び所定の軸方向長さを超えるスリーブの軸方向延長部と対応する遠位部のみにおいて異なる。例えば、大腿骨骨幹端スリーブ224A、224Bのテーパ状外側表面282A、282Bは、軸方向長さ「X」にわたって本質的に同一である。したがって、スリーブ224Aの「X」が5mmであるとき、スリーブ224Bの区分286Bの大きさ及び形状は、スリーブ224Aの区分286Aの寸法及び形状と本質的に同一である。換言すると、例示される大きさの大腿骨骨幹端スリーブ224A、224Bに関し、軸方向長さ「X」にわたり、スリーブは、
図17〜18に示されるように、スリーブは同じ数のステップ付き壁部を有する。更に、
図20に示されるように、各ステップ付きの壁部は、同じ最大内側−外側寸法294、同じ最大前方−後方寸法296、及び同じ形状を有する。それでも、大腿骨骨幹端スリーブ224Bは、スリーブ224Aと、基部262Bの大きさ、及び遠位区分288Bの構成において異なる。
【0074】
ここで
図21〜25を参照し、大腿骨構成要素200と共に使用され得る複数の外科用器具300が示される。例示される実施形態において、外科用器具300は、複数の大きさの外科用ブローチ302、302A、302Bを有する。各ブローチ302、302A、302Bは、例えば、ステンレス鋼又はコバルトクロムなどの金属材料から形成される。以下でより詳細に記載されるように、ブローチ302、302A、302Bの外側形状は、これらの軸長さの一部にわたって同じであり、骨幹端スリーブ224、224A、224Bの外側形状と対応する。上記のように、他の実施形態において、大腿骨構成要素200はより少ない又は多いサイズの骨幹端スリーブ224、224A、224Bを含む場合があり、このような実施形態において、外科用器具300は、より少ない又はより大きいサイズのブローチ302、302A、302Bを含み得ることが理解されるべきである。
【0075】
ブローチ302、302A、302Bは、近位先端部304、304A、304B、及び近位先端部304、304A、304Bから対応する遠位端308、308A、308Bまで延びる本体306、306A、306Bを含む。例示される実施形態において、各ブローチ302、302A、302Bの先端部304、304A、304Bは、大腿骨茎部トライアルを受容するような大きさの、内部に画定された開口部310、310A、310Bを有する。各ブローチ302、302A、302Bの遠位端308、308A、308Bは、器具ハンドルの取り付け機構と係合するように構成される。各ブローチ302、302A、302Bの遠位端308、308A、308Bが、米国特許出願番号第XX/XXX,XXX号、表題「FEMORAL SYSTEM HANDLE SURGICAL INSTRUMENT AND METHOD OF ASSEMBLING SAME」(代理人整理番号第265280223293号)に示され、かつ記載され、これは同時に出願され、本明細書において参照として明示的に組み込まれる。
【0076】
本体306、306A、306Bは、その外側表面322、322A、322Bに画定される、複数の切削歯312、312A、312Bを有する。切削歯312、312A、312Bは、スリーブを受容するような大きさの、骨の空洞を画定するように、患者の大腿骨の髄管を囲む骨と係合するように構成されている。切削歯312、312A、312Bは協調して、これらの対応する外側表面322、322A、322Bの複数のステップ付き平面314、314A、314Bを画定する。結果として、本体264、264A、264Bはテラス状になる。例示される実施形態において、本体306、306A、306Bは、ブローチ302、302A、302Bが、これらの対応する近位先端部304、304A、304Bにおいて、最小の前方−後方寸法、及び最小の内側−外側寸法を有し、本体306、306A、306Bがこれらの対応する遠位端308、308Aに308Bに延びるにともなって徐々に大きくなるように、テーパ状になっている。例示される実施形態において、ブローチ302、302A、302Bのステップ付き平面314、314A、314Bの数は、スリーブ224、224A、224Bのステップ付き壁部274、274A、274Bの数と対応する。
【0077】
図21に示されるように、ブローチ302の本体306は、長手方向軸320、及び切削歯312の先端部324によって画定されるテーパ状の外側表面322を有する。テーパ状外側表面322は、軸320に沿って画定される軸方向長さ「L」を有する。このように、本体306は、スリーブ224の本体264と同じ軸方向高さを有する。加えて、本体306のステップ付き平面314は組み合わされて、本体306の軸方向長さLを画定する。例示される実施形態において、ステップ付き平面314の数は、スリーブ224のステップ付き壁部274の数と同等であり、したがって、各ステップ付き平面314は、スリーブ224のステップ付き壁部274と対応する。
【0078】
ブローチ302のテーパ状の外側表面322は、近位先端部304から延びる近位区分326、及び近位区分326から遠位端部308に延びる区分328を有する。遠位区分328は、軸方向長さLのおよそ50%である、軸方向長さを有する。
【0079】
テーパ状外側表面322の近位区分326において、ステップ付き平面314によって画定されるブローチ302の外側形状は、ステップ付き壁部274によって画定されるスリーブ224の対応する外側形状と同じである。換言すると、ステップ付き平面314の数は、ステップ付き壁部274の数と同じであり、各ステップ付き平面314は、対応するステップ付き壁部274と、同じ最大内側−外側寸法、及び同じ最大前方−後方寸法、及び同じ軸方向高さを有する。例えば、
図24に示されるように、近位区分326のステップ付き平面314は、スリーブ224の対応するステップ付き壁部274と同じ最大内側−外側寸法290、及び同じ最大前方−外側寸法292を画定する。結果として、ブローチ302は、スリーブ224と実質的に同じ近位区分を含む、患者の大腿骨内の空洞を画定するように構成され、よってスリーブ224はこの区分に適合する。
【0080】
テーパ状外側表面322の遠位区分328において、ステップ付き平面314の数は、ステップ付き壁部274の数と等しく、各ステップ付き平面314は、対応するステップ付き壁部274と同じ軸方向高さを有する。しかしながら、各ステップ付き平面314の最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法は、対応するステップ付き壁部274の最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法よりも小さい。換言すれば、ステップ付き平面314によって画定されるブローチ302の外側形状は、ステップ付き壁部274により画定されるスリーブ224の対応する外側形状よりも小さい。結果として、ブローチ302は、スリーブ224よりも小さな遠位区分を含む患者の大腿骨に空洞を画定するように構成され、よってスリーブ224はこの区分に圧力嵌めされる。
【0081】
例示される実施形態において、遠位区分328内の各ステップ付き平面314の最大内側−外側寸法は、スリーブ224の対応するステップ付き壁部274の最大内側−外側寸法よりも0.35mm小さい。同様に、遠位区分328の各ステップ付き平面314の最大前方−後方寸法は、スリーブ224の対応するステップ付き壁部274の最大前方−後方寸法よりも0.35mm小さい。他の実施形態において、ブローチ302の寸法が、スリーブ224に対するより高い、又は低い圧力嵌めをもたらすように調節され得ることが理解されるべきである。
【0082】
更に、大腿骨骨幹端スリーブ224、224A、224Bの外側表面282、282A、282Bの形状が、軸方向長さ「L」を通じて本質的に同一であるため、スリーブ224A、224Bは、患者の大腿骨内にブローチ302によって準備された空洞内に適合し、骨から距離「X」又は「X+Y」だけ遠位方向に延びる。したがって、スリーブ224Aが、ブローチ302によって準備された空洞内に挿入されるとき、ブローチ302の遠位区分328に対応するスリーブ224の部分が圧力嵌めされ、一方でブローチ302の近位区分326に対応する部分が、空洞のこの部分に適合する。
【0083】
図22に示されるように、ブローチ302Aの本体306Aは、長手方向軸320A、及び切削歯312Aの先端部324Aによって画定されるテーパ状の外側表面322Aを有する。テーパ状外側表面322Aは、軸320Aに沿って画定される軸方向長さ「L+X」を有する。このように、本体306Aは、スリーブ224Aと同じ軸方向高さを有する。加えて、本体306Aのステップ付き平面314Aは組み合わされて、本体306Aの軸方向長さ「L+X」を画定する。例示される実施形態において、ステップ付き平面314Aの数は、スリーブ224Aのステップ付き壁部274Aの数と同等であり、したがって、各ステップ付き平面314は、スリーブ224Aのステップ付き壁部274Aと対応する。
【0084】
ブローチ302Aのテーパ状の外側表面322Aは、近位先端部304Aから延びる近位区分326A、及び近位区分326Aから遠位端部308Aに延びる区分328Aを有する。遠位区分328は、軸方向長さ「L+X」のおよそ50%である、軸方向長さを有する。
【0085】
テーパ状外側表面322Aの近位区分326Aにおいて、ステップ付き平面314Aによって画定されるブローチ302Aの外側形状は、ステップ付き壁部274Aによって画定されるスリーブ224Aの対応する外側形状と同じである。換言すると、ステップ付き平面314Aの数は、ステップ付き壁部274Aの数と同じであり、各ステップ付き平面314Aは、対応するステップ付き壁部274Aと、同じ最大内側−外側寸法、及び同じ最大前方−後方寸法、及び同じ軸方向高さを有する。例えば、
図24に示されるように、近位区分326Aのステップ付き平面314Aは、スリーブ224Aの対応するステップ付き壁部274Aと同じ最大内側−外側寸法290、及び同じ最大前方−外側寸法292を画定する。結果として、ブローチ302Aはスリーブ224Aと実質的に同じ近位区分を含む、患者の大腿骨内の空洞を画定するように構成され、よってスリーブ224Aはこの区分に適合する。
【0086】
テーパ状外側表面322Aの遠位区分328Aにおいて、ステップ付き平面314Aの数は、ステップ付き壁部274Aの数と等しく、各ステップ付き平面314Aは、対応するステップ付き壁部274Aと同じ軸方向高さを有する。しかしながら、各ステップ付き平面314Aの最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法は、対応するステップ付き壁部274Aの最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法よりも小さい。換言すれば、ステップ付き平面314Aによって画定されるブローチ302Aの外側形状は、ステップ付き壁部274Aにより画定されるスリーブ224Aの対応する外側形状よりも小さい。
【0087】
例えば、
図25に示されるように、遠位区分328のステップ付き平面314Aは、対応するステップ付き壁部274Aの最大内側−外側寸法294よりも小さい、最大内側−外側寸法330を画定する。同様に、遠位区分328の同じステップ付き平面314Aは、対応するステップ付き壁部274Aの最大内側−外側寸法294よりも小さい、最大前方−後方寸法332を画定する。結果として、ブローチ302Aは、スリーブ224Aよりも小さな遠位区分を含む患者の大腿骨に空洞を画定するように構成され、よってスリーブ224Aはこの区分に圧力嵌めされる。
【0088】
例示される実施形態において、遠位区分328A内の各ステップ付き平面314Aの最大内側−外側寸法は、スリーブ224Aの対応するステップ付き壁部274Aの最大内側−外側寸法よりも0.35mm小さい。同様に、遠位区分328Aの各ステップ付き平面314Aの最大前方−後方寸法は、スリーブ224Aの対応するステップ付き壁部274Aの最大前方−後方寸法よりも0.35mm小さい。他の実施形態において、ブローチ302Aの寸法が、スリーブ224Aに対するより高い、又は低い圧力嵌めをもたらすように調節され得ることが理解されるべきである。内側−外側圧力嵌め、及び前方−後方圧力嵌めは、同じであっても、異なっていてもよいことが理解されるべきである。
【0089】
更に、大腿骨骨幹端スリーブの224A、224Bの外側表面282A、282Bの形状が、軸方向長さ「L+X」を通じて本質的に同一であるため、224Bは、患者の大腿骨内にブローチ302Aによって準備された空洞内に適合し、骨から距離「X+Y」だけ遠位方向に延びる。したがって、スリーブ224Bが、ブローチ302Aによって準備された空洞内に挿入されるとき、ブローチ302Aの遠位区分328Aに対応するスリーブ224Bの部分が圧力嵌めされ、一方でブローチ302Aの近位区分326Aに対応する部分224Bが、空洞のこの部分に適合する。
【0090】
図23に示されるように、ブローチ302Bの本体306Bは、長手方向軸320B、及び切削歯312Bの先端部324Bによって画定されるテーパ状の外側表面322Bを有する。テーパ状外側表面322Bは、軸320Bに沿って画定される軸方向長さ「L+X+Y」を有する。このように、本体306Bは、スリーブ224Bと同じ軸方向高さを有する。加えて、本体306Bのステップ付き平面314Bは組み合わされて、本体306Bの軸方向長さ「L+X+Y」を画定する。例示される実施形態において、ステップ付き平面314Bの数は、スリーブ224Bのステップ付き壁部274Bの数と同等であり、したがって、各ステップ付き平面314は、スリーブ224Bのステップ付き壁部274Bと対応する。
【0091】
ブローチ302Bのテーパ状の外側表面322Bは、近位先端部304Bから延びる近位区分326B、及び近位区分326Bから遠位端部308Bに延びる区分328Bを有する。遠位区分328は、軸方向長さ「L+X+Y」のおよそ50%である、軸方向長さを有する。
【0092】
テーパ状外側表面322Bの近位区分326Bにおいて、ステップ付き平面314Bによって画定されるブローチ302Bの外側形状は、ステップ付き壁部274Bによって画定されるスリーブ224Bの対応する外側形状と同じである。換言すると、ステップ付き平面314Bの数は、ステップ付き壁部274Bの数と同じであり、各ステップ付き平面314Bは、対応するステップ付き壁部274Bと、同じ最大内側−外側寸法、及び同じ最大前方−後方寸法、及び同じ軸方向高さを有する。結果として、ブローチ302Bは、スリーブ224Bと実質的に同じ近位区分を含む、患者の大腿骨内の空洞を画定するように構成され、よってスリーブ224Bはこの区分に適合する。
【0093】
テーパ状外側表面322Bの遠位区分328Bにおいて、ステップ付き平面314Bの数は、ステップ付き壁部274Bの数と等しく、各ステップ付き平面314Bは、対応するステップ付き壁部274Bと同じ軸方向高さを有する。しかしながら、各ステップ付き平面314Bの最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法は、対応するステップ付き壁部274Bの最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法よりも小さい。換言すれば、ステップ付き平面314Bによって画定されるブローチ302Bの外側形状は、ステップ付き壁部274Bにより画定されるスリーブ224Bの対応する外側形状よりも小さい。結果として、ブローチ302Bは、スリーブ224Bよりも小さな遠位区分を含む患者の大腿骨に空洞を画定するように構成され、よってスリーブ224Bはこの区分に圧力嵌めされる。
【0094】
例示される実施形態において、遠位区分328B内の各ステップ付き平面314Bの最大内側−外側寸法は、スリーブ224Bの対応するステップ付き壁部274Bの最大内側−外側寸法よりも0.35mm小さい。同様に、遠位区分328Bの各ステップ付き平面314Bの最大前方−後方寸法は、スリーブ224Bの対応するステップ付き壁部274Bの最大前方−後方寸法よりも0.35mm小さい。他の実施形態において、ブローチ302Bの寸法が、スリーブ224Bに対するより高い、又は低い圧力嵌めをもたらすように調節され得ることが理解されるべきである。
【0095】
ここで
図26〜35を参照し、大腿骨構成要素200の複数の増強部340が示される。増強部340は、複数の遠位増強部342、344(
図26〜29)、及び複数の後方増強部346、348を含む。上記のように、増強部340のそれぞれは、取り付け開口部250内に受容されるように構成される、取り付け256を含む。各増強部340はまた、以下で詳細に記載されるように、対応する増強部340を大腿骨構成要素210に固定するように構成された、保持機構350を含む。例示される実施形態において、増強部340は、例えば、コバルトクロム、チタン、又はステンレス鋼などの任意の好適なインプラント等級の金属材料から形成される。
【0096】
図26〜27に示されるように、遠位増強部342は、近位表面360、近位表面360と反対側に位置付けられた遠位表面362、及び表面360、362を接続する側壁364を有する、楔型本体358を含む。側壁364は、テーパ状前方表面366、及びテーパ状後方表面368を含み、これらは、表面360、362に対して斜めに延びる。遠位方向増強部342が大腿骨構成要素210に固定されるとき、テーパ状前方表面366は、大腿骨構成要素210の前方面取り表面236と係合するように構成され、テーパ状後方表面368は、大腿骨構成要素210の後方面取り表面234に係合するように構成される。
【0097】
図26に示されるように、遠位方向増強部342の近位表面360は、リム表面370、及びリム表面370から内側に延びる側壁372を有する。側壁372は、底面374と協調して、近位表面360内にポケット376を画定する。取り付けプラグ256の上端378は、底面374内に画定される開口部380に位置付けられ、プラグ256の本体382は、
図27に示されるように、増強部本体358を通じて、本体358の下に位置付けられる端部384へと延びる。本体382の端部384は、4つの脚部386へと分割される。
【0098】
増強部340の保持機構350は、取り付けプラグ256の本体382に螺着される、締結具388を含む。締結具288は、締結具288を回転させるためにドライバが挿入され得る、ソケットを含む。締結具388が第1方向に回転されると、締結具388が本体382の端部384の方に駆動されて、脚部386を外側に拡張させ、締結具が反対方向に回転すると、締結具388が本体382の端部384から離れるように動き、脚部386を後退させられる。
【0099】
楔型本体358の遠位表面362は、大腿骨構成要素210の遠位表面230と係合するように構成される。例示される実施形態において、複数の脚部390は、楔型本体358の遠位表面362から延びる。各脚部390は、大腿骨構成要素210のセメントポケット240に位置付けられるような大きさである。
図27に示されるように、楔型本体358はまた、遠位表面362と近位表面360との間に画定される厚さ392を有する。
【0100】
図28〜29に示されるように、遠位増強部344は、近位表面402、近位表面402と反対側に位置付けられた遠位表面404、及び表面402、404を接続する側壁406を有する、楔型本体400を含む。側壁406は、テーパ状前方表面408、及びテーパ状後方表面410を含み、これらは、表面408、410に対して斜めに延びる。遠位方向増強部344が大腿骨構成要素210に固定されるとき、テーパ状前方表面408は、大腿骨構成要素210の前方面取り表面236と係合するように構成され、テーパ状後方表面410は、大腿骨構成要素210の後方面取り表面234に係合するように構成される。
【0101】
側壁406は、内部に画定される後方ノッチ412を有する。
図28〜29に示されるように、ノッチ412は、近位表面402と平行に、かつテーパ状の後方表面410の縁部から前方に延びる実質的に平坦な近位表面414と、近位表面414と垂直に延びる実質的に平坦な後方表面416とによって画定される。ノッチ412は、以下でより詳細に記載されるように、後方増強部348を受容するような大きさである。
【0102】
図28に示されるように、遠位増強部344の近位表面402は、遠位増強部342の近位表面360と同様の構成を有する。表面402は、リム表面420、及びリム表面420から内側に延びる側壁422を有する。側壁422は、底面424と協調して、近位表面402内にポケット426を画定する。取り付けプラグ256の上端428は、底面424内に画定される開口部430に位置付けられ、プラグ256の本体432は、
図29に示されるように、増強部本体358を通じて、本体358の下に位置付けられる端部384へと延びる。本体432の端部384は、4つの脚部386へと分割される。
【0103】
増強部340の保持機構350は、取り付けプラグ256の本体432に螺着される、締結具438を含む。締結具438は、締結具438を回転させるためにドライバが挿入され得る、ソケットを含む。締結具438が第1方向に回転されると、締結具438が本体432の端部384の方に駆動されて、脚部386を外側に拡張させ、締結具が反対方向に回転すると、締結具438が本体432の端部384から離れるように動き、脚部386を後退させられる。
【0104】
楔型本体400の遠位表面404は、大腿骨構成要素210の遠位表面230と係合するように構成される。例示される実施形態において、複数の脚部440は、楔型本体400の遠位表面404から延びる。各脚部440は、大腿骨構成要素210のセメントポケット240に位置付けられるような大きさである。
図29に示されるように、楔型本体358はまた、遠位表面404と近位表面402との間に画定される厚さ442を有する。
【0105】
図27及び
図29に示されるように、増強部344の厚さ442は、増強部342の厚さ392よりも大きい。例示される実施形態において、厚さ392は、およそ4ミリメートルであり、厚さ442は、およそ12ミリメートルである。他の実施形態において、増強部の厚さは、他の大腿骨構成要素200の大きさによって増加又は減少してもよいことが理解されるべきである。加えて、
図27及び
図29に示されるように、増強部344の遠位表面404は、増強部342の遠位表面362よりも広い。
【0106】
上記のように、脛骨構成要素200はまた、後方増強部346、348を含む。後方増強部346、348はそれぞれ、前方表面452、及び前方表面452の反対側に位置する後方表面454を有する本体450を含む。
図30及び
図32に示されるように、後方増強部346、348のそれぞれは、取り付けプラグ256を有し、これは遠位増強部342、344に関して先に記載された構成と同様の構成を有する。
【0107】
本体450の後方表面454は、大腿骨構成要素210の後方固定表面232と係合するように構成される。例示される実施形態において、複数の足部456が、後方表面454から延びる。各脚部456は、大腿骨構成要素210のセメントポケット240に位置付けられるような大きさである。
図30に示されるように、後方増強部346は、前方表面452と後方表面454との間で画定される厚さ460を有し、
図32に示されるように、後方増強部348は、前方表面452と後方表面454との間に画定される厚さ462を有する。例示される実施形態において、増強部348の厚さ462は、増強部346の厚さ460よりも大きい。
【0108】
使用中、増強部340は、使用される増強部340の組み合わせにかかわらず、同じ順序で大腿骨構成要素210に取り付けられてもよい。例えば、
図30〜31に示されるように、後方増強部346は最初に、開口部260に挿入される取り付けプラグ256を介して大腿骨構成要素210の後方固定表面232に取り付けられてもよい。取り付けプラグ256の締結具(図示されない)を使用し、取り付けプラグ256の脚部386は、拡張して、開口部250を画定する壁部252と係合し、これによって増強部346を後方固定表面232に固定する。
【0109】
遠位増強部342はその後、固定表面230に取り付けられてもよい。
図31に示されるように、取り付けプラグ256は、遠位固定表面230の開口部250と位置合わせされる。遠位増強部342は、プラグ256が開口部250に受容されるように、下方に前進してもよい。締結具388は、その後壁部252を取り付けプラグ256の脚部386と係合させるように操作されてもよく、これによって増強部342を遠位固定表面230に固定させる。
【0110】
図32〜35に示されるように、増強部340の別の組み合わせは、(この場合、最大の増強部344、348)、増強部342、346と同じ順番で取り付けられてもよい。このため、後方増強部348は、後方増強部348は最初に、開口部260に挿入される取り付けプラグ256を介して大腿骨構成要素210の後方固定表面232に取り付けられてもよい。取り付けプラグ256の締結具(図示されない)を使用し、取り付けプラグ256の脚部386は、拡張して、開口部250を画定する壁部252と係合し、これによって増強部348を後方固定表面232に固定する。
【0111】
遠位増強部344はその後、固定表面230に取り付けられてもよい。このため、遠位増強部344は、
図33に示されるように、遠位固定表面230の上に位置付けられる。増強部344はその後、
図34に示されるように回転させられ、下方に勧められてもよい。
【0112】
図34に示されるように、ユーザーは、後方増強部348の下で、遠位増強部344の後方縁部を摺動させて、遠位増強部344を適所に「かける」。このとき、後方増強部348は、遠位増強部344の後方ノッチ412に前進する。遠位増強部344のプラグ256が、開口部250内に受容され、増強部344が
図35に示されるように適切に配置されるとき、後方増強部348は後方ノッチ412に残る。締結具388は、その後壁部252を取り付けプラグ256の脚部386と係合させるように操作されてもよく、これによって増強部348を遠位固定表面230に固定させる。
【0113】
図36〜37に示されるように、大腿骨構成要素200は、大腿骨整形外科用プロテーゼを形成するように組み立てられてもよい。
図36において、最小の大腿骨スリーブ224、及び最小の増強部342、346は、大腿骨構成要素210と組み合わされて、プロテーゼ470を形成する。
図37において、最大大腿骨スリーブ224B及び最大増強部344、348は、大腿骨構成要素210と組み合わされて、プロテーゼ472を形成する。
図36〜37に示されるように、顆表面12、14の最遠位点474は、患者の脚部が伸びているときに、大腿骨整形外科用プロテーゼの関節線を画定する。
図36において、関節線が直線476によって示され、
図37において、関節線は直線478によって示される。
【0114】
例示されるアセンブリは、近位端266、266Bの平面(480及び482に示される平面)から、
図36の476、及び
図37の478に示される関節線の平面までの、最大軸方向長さを有する。アセンブリのこれらの最大軸方向長さは、
図36のAL1、及び
図37のAL2に示される。例示される実施形態において、AL2はAL1よりも、寸法「X+Y」だけ長く、これは、最小スリーブ224の長さ「L」を超えるスリーブ224Bの軸方向長さである。
【0115】
図36〜37にも見られるように、より長いスリーブ224Bの使用により、関節線476が位置478へとオフセット距離o
1だけ遠位化する。このオフセット距離o
1はまた、寸法「X+Y」と対応する。同様に、スリーブ224Aを使用して、関節線を、関節線476に対して寸法「X」だけ遠位化させる。
【0116】
異なる大きさのスリーブ224、224A、224Bのステップ付き264、264B、264Cの形状が、軸方向長さ「L」を通じて同じであるため、外科医は最小の大きさの大腿骨スリーブ224を受容するために、ブローチ302を使用して遠位大腿骨を準備することができる。外科医が手術中に関節線を遠位化すべきであると判断する場合、外科医は他の大きさのスリーブ224A、224Bのいずれかを使用してもよく、より大きい大きさのスリーブの近位部位は、より小さいスリーブを受容するように大腿骨に準備された開口部内に適合し、距離「X」、「X+Y」だけ骨から遠位方向に延びて、関節線を遠位方向にオフセットする。例示される実施形態において、遠位増強部344の厚さ442は、オフセット距離o
1と同等であり、これによってプロテーゼ472のスリーブ224Bが、関節線が遠位化される際に安定化し得る。したがって、外科医は骨の空洞をそれ以上準備することなく、この遠位化を達成することができる。
【0117】
関節線の遠位化の選択肢をもたらす別のシステムは、本明細書と同時に出願される、Peter J.James,Richard E.Jones,Benjamin J.Sordelet,Timothy G.Vendrely、及びStephanie M.Wainscott,により出願される、米国特許出願、表題「Knee Prosthesis System with Standard and Distally Offset Joint Line」(代理人整理番号DEP6328USPSP,Ser.61/703,412)に開示される、これらは本明細書において参照としてその全体を組み込まれる。
【0118】
以上、図面及び上記の説明文において本開示内容を詳細に図示、説明したが、こうした図示、説明はその性質上、例示的なものとみなすべきであって、限定的なものとみなすべきではなく、あくまで例示的実施形態を示し、説明したものにすぎないのであって、本開示の趣旨の範囲に含まれる変更及び改変は全て保護されることが望ましい点は理解されるであろう。
【0119】
本開示は、本明細書において述べた方法、装置、及びシステムの様々な特徴に基づく多くの利点を有するものである。本開示の方法、装置、及びシステムの代替的実施形態は、ここで述べた特徴の全てを含むわけではないが、こうした特徴の利点の少なくとも一部から利するものである点に留意されたい。当業者であれば、本発明の1つ又は2つ以上の特徴を取り入れた、特許請求の範囲において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される方法、装置、及びシステムを独自に容易に実施することが可能である。
【0120】
〔実施の態様〕
(1) モジュール式膝プロテーゼシステムであって、
(i)一対の離間し、湾曲した遠位顆表面、(ii)遠位の骨に面する表面、及び(iii)遠位端から近位方向へとテーパ状になっている外側表面を有する茎部を有する遠位大腿骨インプラント構成要素であって、前記茎部の前記外側表面は、前記遠位端において最大外径を有しており、前記遠位端の近位の第2位置においてより小さい外径を有する、遠位大腿骨インプラント構成要素と、
前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位の骨に面する表面に固定されるように構成された遠位大腿骨増強部と、
前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位顆表面を受容し前記遠位顆表面と関節運動する関節運動表面、及び茎部を有している近位脛骨インプラント構成要素であって、前記茎部は、近位端から前記遠位方向にテーパ状になっている外側表面を有しており、前記茎部の前記外側表面は、前記近位端における最大外径、及び前記近位端の遠位の第2位置におけるより小さい外径を有している、近位脛骨インプラント構成要素と、
前記近位方向に向かってテーパ状になっている外側表面、及び前記インプラント構成要素の1つの前記茎部に取り付け可能であり、前記茎部と第1骨幹端部材との間に摩擦固定を生成するような大きさ及び形状であるテーパ状のボアを画定する内側表面を有している第1骨幹端部材であって、前記第1骨幹端部材の前記外側表面は複数のステップを有するステップ付き部分を含んでおり、各ステップは最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法を有しており、前記ステップ付き部分は、全体的な軸方向長さLを有している、第1骨幹端部材と、
前記近位方向に向かってテーパ状になっている外側表面、及び前記インプラント構成要素の1つの前記茎部に取り付け可能であり、前記茎部と第2骨幹端部材との間に摩擦固定を生成するような大きさ及び形状であるテーパ状のボアを画定する内側表面を有する第2骨幹端部材であって、前記第2骨幹端部材の前記外側表面は複数のステップを有するステップ付き部分を含んでおり、各ステップは最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法を有しており、前記ステップ付き部分は、全体的な軸方向長さL+Xを有している、第2骨幹端部材とを含み、
(i)前記第2骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さLにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法は、前記第1骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さLにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法と同じであり、よって同じ準備された骨空間は前記第1骨幹端部材、又は前記第2骨幹端部材のいずれかを受容し、前記遠位大腿骨増強部はXと実質的に等しい厚さを有する、モジュール式膝プロテーゼシステム。
(2) 前記第1骨幹端部材の前記テーパ状のボアは、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部に取り付け可能であり、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部と前記第1骨幹端部材との間に摩擦固定を生成するような大きさ及び形状であり、
前記第2骨幹端部材の前記テーパ状ボアは、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部に取り付け可能であり、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記茎部と前記第1骨幹端部材との間に摩擦固定を生成するような大きさ及び形状であり、
前記遠位大腿骨インプラント構成要素が、前記第1骨幹端部材と組み合わされる際に、前記近位脛骨インプラント構成要素の前記関節運動表面と前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位顆表面との間の接触部が第1関節線を画定しており、
前記遠位大腿骨インプラント構成要素が、前記第2骨幹端部材と組み合わされる際に、前記近位脛骨インプラント構成要素の前記関節運動表面と前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位顆表面との間の接触部が第2関節線を画定しており、
前記第2関節線は、前記第1関節線よりも遠位にある、実施態様1に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
(3) 前記第1関節線と前記第2関節線との間の距離は、前記第1骨幹端部材と前記第2骨幹端部材との前記全体的な軸方向長さの間の差と対応し、遠位方向のオフセットを画定する、実施態様2に記載のモジュール式膝プロテーゼ。
(4) 前記遠位大腿骨増強部の前記厚さは、前記第2骨幹端部材によってもたらされる前記遠位方向のオフセットと実質的に等しい、実施態様3に記載のモジュール式膝プロテーゼ。
(5) 第3骨幹端部材であって、近位方向に向かってテーパ状になっている外側表面、及び前記インプラント構成要素の1つの前記茎部に取り付け可能であり、前記茎部と前記第3骨幹端部材との間に摩擦固定を生成する大きさ及び形状のテーパ状のボアを画定する内側表面を有しており、前記第3骨幹端部材の前記外側表面は複数のステップを有するステップ付き部分を含み、各ステップは最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法を有しており、前記ステップ付き部分は全体的な軸方向長さL+X+Yを有している、第3骨幹端部材と、
前記第1遠位大腿骨増強部の代わりに、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位の骨に面する表面に固定されるように構成された第2遠位大腿骨増強部であって、前記第2遠位大腿骨増強部はX+Yと等しい厚さを有している、第2遠位大腿骨増強部と、を更に含み、
前記第3骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さLにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法及び最大前方−後方寸法は、前記第1骨幹端部材及び前記第2骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さLにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法と同じであり、
前記第3骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さL+Xにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法は、前記第2骨幹端部材の前記ステップ付き部分の前記軸方向長さL+Xにわたる各ステップの前記最大内側−外側寸法、及び最大前方−後方寸法と同じである、実施態様1に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
【0121】
(6) 前記遠位大腿骨増強部は、第1遠位大腿骨増強部であり、前記第1遠位大腿骨増強部は、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前方面取り表面と係合するように構成されたテーパ状前方表面、及び前記第1遠位大腿骨増強部が前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位の骨に面する表面に固定される際に、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の後方面取り表面と係合するテーパ状後方表面を含んでおり、
前記第2遠位大腿骨増強部は、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前方面取り表面と係合するように構成されたテーパ状前方表面、及び前記第1遠位大腿骨増強部が前記遠位大腿骨インプラント構成要素の前記遠位の骨に面する表面に固定される際に、前記遠位大腿骨インプラント構成要素の後方面取り表面に係合するテーパ状後方表面を含んでいる、実施態様5に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
(7) 前記第1遠位大腿骨増強部の幅は、前記テーパ状前方表面の近位縁部と、前記テーパ状後方表面の前方縁部との間で画定されており、
前記第2遠位大腿骨増強部の幅は、前記テーパ状前方表面の近位縁部と、前記テーパ状後方表面の前方縁部との間で画定されており、
前記第2遠位大腿骨増強部の前記幅は、前記第1遠位大腿骨増強部の前記幅よりも大きい、実施態様6に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
(8) 前記第1遠位大腿骨増強部は、前記テーパ状前方表面の前記近位縁部を、前記テーパ状後方表面の前記近位縁部に接続する、実質的に平坦な近位表面を含んでおり、
前記第2遠位大腿骨増強部は(i)前記テーパ状前方表面の前記近位縁部から後方に延びる第1の実質的に平坦な近位表面、(ii)前記テーパ状後方表面の前記近位縁部から前方に延びる第2の実質的に平坦な近位表面を含んでおり、前記第2の実質的に平坦な近位表面は、前記第1の実質的に平坦な近位表面からオフセットされている、実施態様6に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
(9) 前記第2遠位大腿骨増強部は、前記第2の実質的に平坦な近位表面を前記第1の実質的に平坦な近位表面に接続する、近位−遠位方向に延びる近位表面を更に含んでおり、前記近位表面及び前記第2の実質的に平坦な近位表面は協調して、前記第2の遠位大腿骨増強部の後方ノッチを画定する、実施態様8に記載のモジュール式膝プロテーゼシステム。
(10) 整形外科用膝プロテーゼシステムであって、
内側顆表面及び外側顆表面を含む大腿骨プロテーゼ構成要素と、
(i)前記大腿骨プロテーゼ構成要素に別個に固定されるように構成された第1端部、及び(ii)前記第1端部と反対側に位置付けられた第2端部から延びるテーパ状本体を含む、第1スリーブ構成要素と、
(i)前記第1スリーブ構成要素の代わりに前記大腿骨プロテーゼ構成要素に別個に固定されるように構成された第1端部、(ii)前記第1端部と反対側に位置付けられた第2端部から遠位方向に延びる第1テーパ状本体、及び(iii)前記第1テーパ状本体から遠位方向に延びる第2テーパ状本体を含む、第2スリーブ構成要素とを含んでおり、
前記第1スリーブ構成要素の前記テーパ状本体、及び前記第2スリーブ構成要素の前記第1テーパ状本体が第1外側形状を有し、前記第2スリーブ構成要素の前記第2テーパ状本体が、前記第1外側形状と異なる第2外側形状を有しており、
(i)前記内側顆表面の最遠位点、及び前記外側顆表面の最遠位点によって想像線が画定されており、(ii)前記第1スリーブ構成要素が前記大腿骨プロテーゼ構成要素に固定される際に、前記想像線と前記第1スリーブ構成要素の前記第1端部との間に第1距離が画定されており、
(iii)前記第2スリーブ構成要素が前記大腿骨プロテーゼ構成要素に固定される際に、前記想像線と前記第2スリーブ構成要素の前記第1端部との間に第2距離が画定されており、前記第2距離は前記第1距離よりも大きい、整形外科用膝プロテーゼシステム。
【0122】
(11) 前記大腿骨プロテーゼ構成要素の第1の骨に面する表面に固定されるように構成された遠位大腿骨増強部を更に含んでおり、前記遠位大腿骨増強部は前記第2距離に等しい厚さを有している、実施態様10に記載の整形外科用膝プロテーゼシステム。
(12) 前記遠位大腿骨増強部は、
前記大腿骨プロテーゼ構成要素の前方面取り表面に係合するように構成されたテーパ状前方表面と、
前記大腿骨プロテーゼ構成要素が、前記大腿骨プロテーゼ構成要素の前記第1の骨に面する表面に固定される際に、前記大腿骨プロテーゼ構成要素の後方面取り表面と係合するテーパ状後方表面と、
後方大腿骨増強部を受容するような大きさの後方ノッチとを含む、実施態様11に記載の整形外科用膝プロテーゼシステム。
(13) 前記第1の骨に面する表面と垂直に延びる前記大腿骨プロテーゼ構成要素の第2の骨に面する表面に固定されるように構成された後方大腿骨増強部を更に含み、前記後方大腿骨増強部、及び前記遠位大腿骨増強部が、前記大腿骨プロテーゼ構成要素に固定される際に、前記後方大腿骨増強部が、前記遠位大腿骨増強部の前記後方ノッチ内に位置付けられる、実施態様12に記載の整形外科用膝プロテーゼシステム。
(14) 整形外科用膝プロテーゼシステムであって、
顆表面、及び前記顆表面と反対側に位置付けられた第1の骨に面する表面を含む、大腿骨プロテーゼ構成要素と、
(i)前記大腿骨プロテーゼ構成要素の前記骨に面する表面と係合するように構成された遠位表面、及び(ii)近位表面と前記遠位表面との間で画定される第1厚さを有する第1遠位増強部と、
(i)前記第1遠位増強部の代わりに前記大腿骨プロテーゼ構成要素の前記骨に面する表面と係合するように構成された遠位表面、(ii)近位表面と前記遠位表面との間に画定される第2厚さであって、前記第2厚さは前記第1厚さよりも大きい、第2厚さ、及び(iii)前記近位表面から遠位方向に延びる後方ノッチを有する第2遠位増強部とを有する、整形外科用膝プロテーゼシステム。
(15) 前記第1の骨に面する表面と垂直に延びる前記大腿骨プロテーゼ構成要素の第2の骨に面する表面に固定されるように構成された後方大腿骨増強部を更に含み、前記後方大腿骨増強部、及び前記第2遠位大腿骨増強部が、前記大腿骨プロテーゼ構成要素に固定される際に、前記後方大腿骨増強部が、前記第2遠位大腿骨増強部の前記後方ノッチに位置付けられる、実施態様14に記載の整形外科用膝プロテーゼシステム。
【0123】
(16) 前記後方大腿骨増強部、及び前記第1遠位大腿骨増強部が、前記大腿骨プロテーゼ構成要素に固定される際に、前記後方大腿骨増強部が、前記第1遠位大腿骨増強部の前記近位表面の近位に位置付けられる、実施態様15に記載の整形外科用膝プロテーゼシステム。